JP6397606B2 - 磁性材料、磁性磁器組成物、フェライト磁石および磁性磁器組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
そこで本発明は、高い保磁力を有して低温焼成が可能なフェライト磁石用の磁性材料を提供することを主たる目的としている。
上記目的を達成するための本発明は、積層チップ部品に永久磁石として用いられる磁性材料であって、
化学式BaO・nFe2O3で表わされるM型六方晶の磁性フェライトの原料にBi2O3とSiO2が添加されてなり、
前記Bi2O3の含有量が5.0wt%以上26.0wt%以下であり、
前記SiO2の含有量が0.1wt%以上2.2wt%以下である、
ことを特徴とする磁性材料としている。 また、この磁性材料を焼結させてなる磁性磁器組成物、および当該磁性磁器組成物を着磁してなるフェライト磁石も本発明の範囲とした。
さらに本発明は、積層チップ部品に永久磁石として用いられる磁性磁器組成物の製造方法にも及んでおり、当該製造方法に係る発明は、n<6として化学式BaO・nFe2O3で表わされるM型六方晶の磁性フェライトの原料を仮焼成するステップと、
前記仮焼成によって得た粉体を粒径が1μm以下の粉体に粉砕するステップと、
前記粒径が1μm以下の粉体にBi2O3とSiO2を添加する焼結助剤添加ステップと、
前記Bi2O3とSiO2が添加された前記粉体にバインダーを加えて造粒物を得るステップと、
前記造粒物を所定の形状の成形体に成形するステップと、
前記成形体を銀の融点以下の温度で焼成して焼結体を得るステップと、
を含み、
前記焼結助剤添加ステップでは、前記Bi2O3の含有量が5.0wt%以上26.0wt%以下となるように当該Bi2O3を添加するとともに、前記SiO2の含有量が0.1wt%以上2.2wt%以下となるように当該SiO2を添加する、ことを特徴とする磁性磁器組成物の製造方法としている。
本発明の実施例に係る磁性材料は、磁性フェライトの原料に焼結性を確保するための焼結助剤が添加されたものであり、磁性フェライトとその焼結助剤の種類、および焼結助剤の添加量が最適化されている。それによって、Agの融点以下である900℃での低温焼成でも十分な密度が確保された焼結体(磁性磁器組成物)が得られるとともに、その磁器組成物を着磁することで得られるフェライト磁石は十分に高い保磁力を有し、例えば、積層インダクタなどの内部に配置される永久磁石に適用すれば、優れた直流重畳特性を得ることができるものとなっている。
本発明の実施例に係る磁性材料の組成を規定するために、組成が異なる各種磁性材料からなるフェライト磁石をサンプルとして作製し、各種サンプルについて種々の特性を評価した。概略的には、M型六方晶であるBaフェライトまたはSrフェライトからなる磁性フェライトの原料に各種添加物が添加されている磁性材料を焼結させるとともに、その焼結によって得た磁器組成物を着磁して得たフェライト磁石をサンプルとした。
M型六方晶のBaフェライトは一般式BaO・nFe2O3で表され、同じくM型六方晶のSrフェライトは一般式SrO・nFe2O3で表される。そして一般式中のnは、化学量論組成ではn=6である。しかし、実際のnの値は磁性材料を焼結する際に大きく変動し、概ね5.4≦n≦6.2の範囲のいずれかの値となる。
図1にサンプルの製造手順を示した。まず、磁性フェライトの原料を秤量する(s1)。具体的には、BaフェライトについてはBaOとFe2O3のモル比が1:5.5となるように原料を秤量し、SrフェライトについてはSrOとFe2O3のモル比が1:5.8となるように原料を秤量する。そして、秤量した磁性フェライトの原料を混合する(s2)。次いで、磁性フェライト原料の混合物を1100℃で仮焼し(s3)、その後ボールミルで48h粉砕を行い、最終的に1μm以下の粉体にする(s4)。
上記手順に従って作製した各サンプルについて、焼結密度D(g/cm3)、残留磁束密度Br(kG)、および保磁力Hc(kOe)の各特性を評価した。以下の表1に、各サンプルにおける各種特性を示した。
以上より、本発明の実施例は、磁性フェライトとしてBaフェライトを含むとともに、その磁性フェライトにBi2O3とSiO2が添加されている磁性材料であって、Bi2O3およびSiO2がそれぞれ5.0wt%以上26.0wt%以下および0.1wt%以上2.2wt%以下含まれているものとなる。そして、900℃よりも低い温度で焼成しても十分に緻密化して高密度の磁性磁器組成物が得られる。そしてその磁性磁器組成物を着磁することで得られるフェライト磁石は高い保磁力を有している。これは、Baフェライトの材料に焼結助剤であるBi2O3とSiO2が適量添加されていることで、焼成時に焼結助剤が選択的に反応し、ビスマスシリケイトガラス相を形成したものと考えることができる。そして、この焼成に際し、六方晶フェライト粒子であるBaフェライトの粒成長が抑制されるため、緻密化による高い密度とともに高い保磁力も得られたものと思われる。また、Bi2O3の添加量およびSiO2の添加量の増大にともない、個々の粒子を覆うように粒界ガラス相が増大するので、磁化反転の伝播が抑制されることにより、保磁力はさらに増大する。事実、上記各サンプルの特性をみると、Bi2O3の添加量が5.0wt%より少ないと焼結性が不十分で密度4.5g/cm3未満となり、26.0wt%より多いと粒子径が増大することに起因する保磁力の低下が確認できた。SiO2の添加量に関しては0.1wt%未満では粒子径が増大して保磁力が低下してしまう。また、2.2wt%より多いと残留磁束密度が1.5kG未満に低下してしまう。
s5 焼結助剤秤量工程、s6 焼結助剤混合工程、s7 造粒工程、s8 成形工程、s9 焼成工程、s10 着磁工程
Claims (4)
- 積層チップ部品に永久磁石として用いられる磁性材料であって、
化学式BaO・nFe2O3で表わされるM型六方晶の磁性フェライトの原料にBi2O3とSiO2が添加されてなり、
前記Bi2O3の含有量が5.0wt%以上26.0wt%以下であり、
前記SiO2の含有量が0.1wt%以上2.2wt%以下である、
ことを特徴とする磁性材料。 - 請求項1に記載の磁性材料を焼結させてなる磁性磁器組成物。
- 請求項2に記載の磁性磁器組成物を着磁してなるフェライト磁石。
- 積層チップ部品に永久磁石として用いられる磁性磁器組成物の製造方法であって、
n<6として化学式BaO・nFe2O3で表わされるM型六方晶の磁性フェライトの原料を仮焼成するステップと、
前記仮焼成によって得た粉体を粒径が1μm以下の粉体に粉砕するステップと、
前記粒径が1μm以下の粉体にBi2O3とSiO2を添加する焼結助剤添加ステップと、
前記Bi2O3とSiO2が添加された前記粉体にバインダーを加えて造粒物を得るステップと、
前記造粒物を所定の形状の成形体に成形するステップと、
前記成形体を銀の融点以下の温度で焼成して焼結体を得るステップと、
を含み、
前記焼結助剤添加ステップでは、前記Bi2O3の含有量が5.0wt%以上26.0wt%以下となるように当該Bi2O3を添加するとともに、前記SiO2の含有量が0.1wt%以上2.2wt%以下となるように当該SiO2を添加する、
ことを特徴とする磁性磁器組成物の製造方法。
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