JP5786878B2 - 誘電体磁器組成物、電子部品および複合電子部品 - Google Patents

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Description

本発明は、低温焼結が可能であり、かつ低比誘電率である誘電体磁器組成物と、この誘電体磁器組成物を適用した電子部品、コモンモードフィルタ等の複合電子部品に関する。
近年、携帯電話などの通信分野に使用される電子部品の小型化、高性能化、高周波化に伴い、高周波で高減衰特性を有するLC複合電子部品やコモンモードフィルタ等の電子部品の需要が急速に高まっている。
現在、LC複合電子部品におけるコイル部、あるいはコモンモードフィルタのコイル部には、磁性体であるNi−Cu−Zn系フェライト、または、非磁性Cu−Zn系フェライト若しくは誘電体材料が用いられているが、誘電率が約8〜15と比較的に高いため、浮遊容量の影響を受けやすい。そのため、高周波化に対応するには限界があり、さらに低い比誘電率(例えば、誘電率4.9以下)の材料が求められている。
特に、近年の高周波対応に適した誘電率5未満を実現するためには、誘電率が6〜7程度となるムライトやフォルステライトといった結晶体では実現不可能であり、低誘電率なガラスを用いた材料系の開発が求められている。
また、LC複合電子部品やコモンモードフィルタ等は、異材質(例えば、コンデンサ部とコイル部)を同時焼成することにより形成される。そのため、異材質同士の線膨張係数をできるだけ一致させることが必要となる。
また、導電材のコスト削減や直流抵抗を低くするために、Agを含む導電材を用いることが好ましく、Agの融点以下の低温(例えば950℃以下)での焼結が可能な材料であることも求められる。
このような低温焼成が可能なセラミック材料として、例えば、特許文献1では、比誘電率が4.2程度と低く、石英と溶融石英(アモルファスシリカ)との比率により熱膨張率が制御されたセラミック基板が提案されている。
しかしながら、特許文献1において開示されている低温焼成セラミック材料では、いまだ線膨張係数が80×10−7/℃程度であり、フェライトの線膨張係数95×10−7/℃〜115×10−7/℃には程遠く、線膨張係数の差によるクラック発生のため異材質一体化同時焼成は不可能であった。
さらにフェライトと一体化同時焼成を行うと、一般的にB等のガラス成分がフェライト中へ拡散を起こし、素体中のガラス成分が減少する傾向がある。そのため焼結性が低下し、内部電極に用いているAgが素体中に拡散を起こしやすくなり、内部電極の減少・変形が誘発され、電子部品としての特性及び信頼性に悪影響をもたらすという不具合があった。
特開平9−241068号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、低温での焼結を可能とし、低い比誘電率を実現し、しかもその他の特性(相対密度、絶縁抵抗など)も良好で、異材質同時焼成をも可能とするとともに、内部電極を形成した際に素体中へのAgの拡散を抑制することが可能な誘電体磁器組成物を提供することを目的とする。
また、本発明の別の目的は、この誘電体磁器組成物から構成されている非磁性層を有する電子部品、および積層コモンモードフィルタおよびESD機能を付加した積層コモンモードフィルタ等の積層複合電子部品を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る誘電体磁器組成物は、
主成分が、SiO−KO−B系ガラスを40〜65重量%、石英を35〜50重量%含有し、残部がアモルファスシリカで構成されており、
前記主成分100重量%に対して、副成分として、アルミナ1.5〜4重量%、KO−MO−SiO−B系ガラス(MOは、CaOまたはSrOの少なくともいずれか一方である)を5〜20重量%含有することを特徴とする。
本発明によれば、低温(例えば950℃以下)での焼結が可能で、線膨張係数を所望の範囲(例えば95×10−7/℃〜115×10−7/℃)で任意で調整でき、低い誘電率(例えば4.9以下)でありながら、高密度で絶縁抵抗が高く、Ni−Cu−Zn系フェライトとの一体化製品に適した誘電体磁器組成物を得ることができる。
また、本発明の誘電体磁器組成物は、Ag電極が用いられる電子部品の非磁性層として用いることで、Agの素体中へ拡散を抑制し、内部電極の減少・変形を効果的に防止することができる。その結果、電子部品としての特性及び信頼性の向上を図ることが可能となる。
好ましくは、主成分に含まれるSiO−KO−B系ガラスは、ガラス転移点が480〜520℃である。
好ましくは、副成分に含まれるKO−MO−SiO−B系ガラスは、線膨張係数が105×10−7/℃〜125×10−7/℃であり、軟化点が580〜680℃である。
本発明に係る電子部品は、
非磁性体層を有し、
前記非磁性体層が上記いずれかの誘電体磁器組成物で構成されている。
本発明に係る積層複合電子部品は、
コイル用導体および非磁性体層で構成されるフィルタ部と、
磁性体層を含む外装部と、を有し、
前記コイル用導体が、導電材としてAgを含んでおり、
前記非磁性体層が上記いずれかの誘電体磁器組成物で構成されている
本発明に係る積層複合電子部品は、好ましくは、積層コモンモードフィルタまたはESD機能を付加した積層コモンモードフィルタである。
図1Aは、本発明の一実施形態に係る積層コモンモードフィルタの斜視図である。 図1Bは、本発明の他の実施形態に係る積層コモンモードフィルタの斜視図である。 図2Aは、図1Aに示す積層コモンモードフィルタの積層構造を示す分解斜視図である。 図2Bは、図1Bに示す積層コモンモードフィルタの積層構造を示す分解斜視図である。 図2Cは、図1Bに示す積層コモンモードフィルタの他の実施形態に係る積層構造を示す分解斜視図である。 図3(a)は、本発明の実施例に係る試料4を、図3(b)は、本発明の比較例に係る試料23を、それぞれEPMAでAgのマッピング分析を行った結果を示す図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
積層コモンモードフィルタ
図1Aに示すように、本発明の一実施形態に係る積層複合電子部品としての積層コモンモードフィルタ1は、本体積層部10に、外部電極2〜9が形成されている。積層コモンモードフィルタ1の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよいが、通常、2.0〜0.4mm×1.0〜0.3mm×0.7〜0.3mm程度である。まず、本実施形態に係る積層コモンモードフィルタの構造について説明する。
本体積層部10は、図2Aに示すように、本実施形態では、積層方向(Z軸方向)に、下側の外装部30と内装部20と上側の外装部30とが積層されている構造を有し、内装部20では、Z軸方向と垂直な平面(X−Y軸平面)に2つで、Z軸方向にも2つのコイルが形成してある。
下側と上側の外装部30は、それぞれ同様な積層構造を有し、最外層側の磁性体層31と、非磁性体層26と内側磁性体層32との積層構造を有する。これらの層31、26、32は、それぞれ単一層で構成されても良いが、複数の層で構成されても良い。
内装部20は、非磁性体層21〜25がZ軸方向に積層されている構造を有する。これらの非磁性体層21〜25は、外装部30に含まれる非磁性体層26と同一材質の誘電体磁器組成物で構成されていることが好ましく、その材質については後述する。ただし、これらは、必ずしも全く同一の誘電体磁器組成物で構成する必要はなく、外装部30と内装部20とで、非磁性体層の種類を変えても良い。また、非磁性体層21〜25は、それぞれ単一層で構成されても良いが、複数の層で構成されても良い。
本実施形態では、各非磁性体層21〜25には、X軸方向に所定距離離れて、1対の芯体用スルーホールが形成してあり、それぞれのスルーホールに、Z軸方向に貫通する芯体用磁性体33および34が埋め込まれている。これらの芯体用磁性体33および34は、好ましくは、外装部30に配置してある内側磁性体層32に接続してある。
各芯体用磁性体33および34の周囲に、コイルをそれぞれ形成するために、各非磁性体層21〜25には、所定パターンのコイル用導体12〜19が形成してあり、異なる層に位置するコイル用導体12〜19は、それぞれスルーホール電極41〜44を介して接続してある。各コイル用導体12〜19は、図1Aに示す外部電極2〜9にそれぞれ接続して、芯体用磁性体33および34の周囲に、それぞれZ軸方向に2つのコイルを形成するようなパターンを有している。
なお、図1Aおよび図2Aに示す実施形態では、平面方向に2つのコイルを有するコモンモードフィルタを例示したが、本発明では、コモンモードフィルタの構造は特に限定されない。たとえば図1Bおよび図2Bに示すような構造も考えられる。
このコモンモードフィルタ1aでは、図1Bに示すように、本体積層部10aに、外部電極2a〜5aと、ESD(静電気放電対策)用外部電極61および71が形成されている。本体積層部10aは、図2Bに示すように、本実施形態では、積層方向(Z軸方向)に、下側の外装部30aと内装部20と上側の外装部30とが積層されている構造を有し、内装部20では、Z軸方向と垂直な平面(X−Y軸平面)には単一でZ軸方向には2つのコイルが形成してある。
本実施形態では、下側の外装部30aと上側の外装部30は、異なる積層構造を有し、下側の外装部30aでは、上側の外装部30と異なり、所定パターンのEDS用導体層51〜55が、非磁性体層26a、26bの間に形成してある。これらの導体層51〜55は、コイル用導体12a〜15aと同様な導電層で構成することができ、コイル用導体12a〜15aは、図2Aに示すコイル用導体12〜19と同様な材質で構成することができる。
内装部20は、非磁性体層21〜25がZ軸方向に積層されている構造を有する。これらの非磁性体層21〜25は、外装部30、30aに含まれる非磁性体層26、26aと同一材質の誘電体磁器組成物で構成されていることが好ましく、その材質については後述する。ただし、これらは、必ずしも全く同一の誘電体磁器組成物で構成する必要はなく、外装部30、30aと内装部20とで、非磁性体層の種類を変えても良い。また、非磁性体層21〜25は、それぞれ単一層で構成されても良いが、複数の層で構成されても良い。
本実施形態では、各非磁性体層21〜25には、単一の芯体用スルーホールが形成してあり、そのスルーホールに、Z軸方向に貫通する芯体用磁性体33が埋め込まれている。この芯体用磁性体33は、好ましくは、外装部30に配置してある内側磁性体層32に接続してある。
芯体用磁性体33の周囲に、コイルをそれぞれ形成するために、各非磁性体層21〜25には、所定パターンのコイル用導体12a〜15aが形成してあり、異なる層に位置するコイル用導体12a〜15aは、それぞれスルーホール電極41a、43aを介して接続してある。各コイル用導体12a〜15aは、図1Bに示す外部電極2a〜5aにそれぞれ接続して、芯体用磁性体33の周囲にZ軸方向に分離された2つのコイルを形成するようなパターンを有している。また、ESD用導体層51の両端が、ESD用外部電極61および71に接続してある。
図2Cは、図2Bに示すコモンモードフィルタの変形例を示し、この本体積層部10bでは、Z軸方向の両側の外装部30b、30cに、ESD用導体層51a〜53a、51b、54b、55bが形成してある。ESD用導体層51a、51bの両端が、図1Bに示すESD用外部電極61および71に接続してある。なお、図1A〜図2Cにおいて、共通する部材には、共通する符号を付し、その説明は一部省略する。
上述した非磁性体層21〜25、26、26a、26bは、本発明の一実施形態に係る誘電体磁器組成物で構成してある。
本実施形態の誘電体磁器組成物は、主成分として、SiO−KO−B系ガラスと石英と、を含有し、必要に応じて残部がアモルファスシリカで構成されている。
主成分100重量%中、SiO−KO−B系ガラスの含有量は、40〜65重量%、好ましくは45〜60重量%、より好ましくは47.5〜57.5重量%である。SiO−KO−B系ガラスの含有量が40重量%より少ない場合は、十分な焼結性が得られない傾向があり、65重量%より多い場合は、線膨張係数確保に必要な量の石英を添加することができない。
SiO−KO−B系ガラスは、特に限定されず、市販のガラスを用いることができる。好ましくは、該ガラスは、ガラス転移点が480〜520℃程度であり、線膨張係数が20×10−7/℃〜28×10−7/℃であるホウケイ酸ガラスが望ましい。ガラス転移点、及び線膨張係数は、熱機械分析装置(TMA)により測定される。
また、SiO−KO−B系ガラスは、主としてSiO、KOおよびBから構成されており、各成分の含有量は、好ましくは、該ガラス100重量%中に、SiOが77〜83重量%、KOが1.6〜2.7重量%、Bが15〜20重量%である。なお、該ガラスは、本発明の効果を妨げない範囲でAl、ZrOを含んでいてもよく、好ましくはAlの含有量は0.5重量%以下、ZrOの含有量は0.2重量%以下である。
主成分100重量%中、石英の含有量は、35〜50重量%、好ましくは37〜47重量%、より好ましくは39〜45重量%である。石英の含有量が35重量%より少ない場合は、Ni―Cu―Znフェライトの線膨張係数を下回る傾向にあり、50重量%より多い場合は、Ni―Cu―Znフェライトの線膨張係数を上回る傾向にある。
主成分の残部は、アモルファスシリカのみから構成されていてもよい。
アモルファスシリカは、特に限定されず、例えば溶融法により製造された比較的安価なものや、四塩化ケイ素の熱分解などの気相法によって製造されたより高純度で高価なもの等が挙げられる。
本発明の誘電体磁器組成物は、上記主成分以外に、副成分として、アルミナおよびKO−MO−SiO−B系ガラス(MOは、CaOまたはSrOの少なくともいずれか一方である)を含有する。
アルミナの含有量は、主成分100重量%に対して、1.5〜4重量%、好ましくは1.6〜3.5重量%、より好ましくは1.7〜3重量%である。アルミナの含有量が1.5重量%より少ない場合は、クリストバライトの生成を抑制できず、クリストバライト生成に伴う線膨張係数の変化により、クラックが発生する傾向にある。一方、該含有量が4重量%より多い場合は、十分な焼結性が得られない傾向にある。
O−MO−SiO−B系ガラス(MOは、CaOまたはSrOの少なくともいずれか一方である)の含有量は、主成分100重量%に対して、5〜20重量%、好ましくは6〜18重量%、より好ましくは8〜15重量%である。KO−MO−SiO−B系ガラスの含有量が5重量%より少ない場合は、十分な焼結性が得られないと共に、KO量が低下するため、内部電極であるAgが素体中へ拡散しやすくなり、内部電極の減少・変形が誘発される傾向にある。一方、該含有量が20重量%より多い場合は、KOのクリストバライト生成因子として働きが顕著となり、クリストバライト生成に伴う線膨張係数の変化により、クラックが発生する傾向にある。
O−MO−SiO−B系ガラスは、特に限定されず、市販のガラスを用いることができる。好ましくは、該ガラスは、線膨張係数が105×10−7/℃〜125×10−7/℃、軟化点が580〜680℃程度の低軟点ホウケイ酸ガラスであることが望ましい。線膨張係数は、熱機械分析装置(TMA)により測定され、軟化点は、示差熱分析装置(DTA)により測定される。
また、KO−MO−SiO−B系ガラスは、主としてKO、MO、SiOおよびBから構成されており、各成分の含有量は、好ましくは、該ガラス100重量%中に、KOが7.5〜15重量%、MOが33〜50重量%、SiOが18〜22重量%、Bが22〜30重量%である。MOは、CaOまたはSrOの少なくともいずれか一方のアルカリ土類金属酸化物である。なお、該ガラスは、本発明の効果を妨げない範囲でAl、ZrOを含んでいてもよく、好ましくはAlの含有量は0.5重量%以下、ZrOの含有量は0.2重量%以下である。
近年、携帯電話やパーソナルコンピュータ等の電子機器に高速シリアル伝送インターフェースが数多く採用されてきており、それに伴い高いカットオフ周波数を有するコモンモードフィルタの需要が高まってきている。
このようなコモンモードフィルタ等の電子部品として好適な誘電体材料として、低温(たとえば950℃以下)での焼結を可能とし、低い比誘電率(例えば4.9以下)を実現し、しかもその他の特性(相対密度、絶縁抵抗)も良好で、異材質同時焼成をも可能とするとともに、内部電極を形成した際に素体中へのAgの拡散を抑制することが可能な誘電体磁器組成物が求められていた。
特に、フェライトとの異材質同時焼成を可能とするためには、フェライトに線膨張係数を一致させることが不可欠となるが、線膨張係数は材料固有の値であるため、その値を任意に変化させることは極めて困難であった。
そのため、従来の誘電体磁器組成物では、Ni−Cu−Znフェライトの線膨張係数に合わせるために、高線膨張係数でかつ低比誘電率な石英により高線膨張係数化を図っていた。しかし、石英のみで高線膨張係数化した場合、575℃付近におけるα→β相転移による線膨張係数の不連続性が大きくなるという、不具合があった。
また、一般的にB等のガラス成分は、フェライト中へ拡散を起こしやすく、素体中のガラス成分が減少する傾向がある。その結果、焼結性が低下し、内部電極に用いているAgが素体中に拡散を起こしやすくなり、内部電極の減少・変形が誘発され、電子部品としての特性及び信頼性に悪影響をもたらすという不具合があった。
一方、誘電体磁器組成物中へのAg拡散を抑制する効果のある成分としては、KOが知られていた。しかし、従来の誘電体磁器組成物では、KCOなどの化学物質形態で添加するのが一般的で、主成分原料であるSiO−KO−B系ガラスがKCOの添加により結晶化され、焼結性が低下するという不具合があった。
このような実情に鑑み、本発明者等は、鋭意検討の結果、低温(たとえば950℃以下)での焼結を可能とし、低い比誘電率(例えば4.9以下)を実現し、しかもその他の特性(相対密度、絶縁抵抗)も良好で、異材質同時焼成をも可能とするとともに、内部電極を形成した際に素体中へのAgの拡散を抑制することが可能な誘電体磁器組成物を見出し、本発明に至った。
すなわち、本実施形態に係る誘電体磁器組成物は、低誘電率なSiO−KO−B系ガラスに、フィラーとして低誘電率な石英及びアモルファスシリカを加えた主成分に対し、副成分として、誘電率が約7〜10と高めなアルミナとKO−MO−SiO−B系ガラス(MOは、CaOまたはSrOの少なくともいずれか一方である)の添加し、該副成分の添加量を低く抑えることで、950℃以下で低温焼結を可能としながら、比誘電率を4.9以下に抑制することができる。
特に、本実施形態に係る誘電体磁器組成物では、KO成分を、KO−MO−SiO−B系ガラスの形態で添加することにより、結晶化の進行を大幅に抑制しながら、高い焼結性を付与することが可能となる。これにより、フェライトとの一体化同時焼成後も内部電極であるAgが減少・変形するのを効果的に防止することができ、電子部品として高信頼性を確保することができる。
また、本実施形態に係る誘電体磁器組成物では、高線膨張係数であるKO−MO−SiO−B系ガラスを添加することにより、線膨張係数の不連続を緩和することが可能となり、Ni−Cu−Znフェライトとの一体化の不具合をなくすことが可能となる。
単一のコイルを形成するようにZ軸方向に隣り合う層に位置するコイル用導体に挟まれている非磁性体層22または24の厚みは、好ましくは5〜40μm、より好ましくは8〜25μm以下である。Z軸方向にコイルを分離するための非磁性体層23の厚みは、好ましくは5〜60μmである。
コイル用導体11〜19の厚みは、特に限定されず、非磁性体層の厚みに応じて適宜決定すればよい。
本実施形態では、非磁性体層は、本発明の誘電体磁器組成物を含有する。
コイル用導体11〜19、ESD用導体層51〜54、51a〜53a、51b、54b、55bおよびスルーホール用導体41〜44、41a、43aとしては、導電材としてAgを含み、たとえばAg、Ag合金(たとえばAg−Pd合金、微量のZrを含むAg)などを導電体とすることが好ましい。本発明の誘電体磁器組成物は、低温(たとえば、950℃以下)での焼成が可能なので、本実施形態では、導電材として直流抵抗の低い銀を用いることができる。
外部電極2〜9、2a〜5a、61、71は特に限定されないが、銀を含む導電材が使用でき、この電極は、Cu−Ni−Sn、Ni−Sn、Ni−Au、Ni−Ag等でめっきされていることが好ましい。
積層コモンモードフィルタ1の製造方法
本実施形態の積層コモンモードフィルタは、従来の積層コモンモードフィルタと同様に、非磁性体グリーンシートおよび磁性体グリーンシートを作製し、グリーン状態の本体積層部10、10a、10bを形成し、これを焼成した後、外部電極1〜9、2a〜5a、61、71を形成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
非磁性体グリーンシートの製造
まず、非磁性体層を構成することとなる非磁性材料の原料を準備する。本実施形態では、非磁性体材料の原料として、本発明の誘電体磁器組成物の原料を用いる。
本発明の誘電体磁器組成物の主成分の原料としては、SiO−KO−B系ガラス、石英、必要に応じてアモルファスシリカを用いることができ、いずれも市販のものを用いることができる。
また、本発明の誘電体磁器組成物の副成分の原料としては、アルミナおよびKO−MO−SiO−B系ガラス(MOは、CaOまたはSrOの少なくともいずれか一方である)を用いることができ、いずれも市販のものを用いることができる。
本実施形態では、まず、各主成分原料と各副成分原料とを混合する。混合を行う方法としては、特に限定されないが、たとえば、原料粉末を粉体状態で乾式混合により行っても良いし、原料粉末に水や有機溶媒や分散剤などを添加し、ボールミル等を使用し、湿式混合により行っても良い。
そして、得られた原料粉体を塗料化して、非磁性体層用ペーストを調整する。非磁性体層用ペーストは、原料粉体と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
コイル用導体用ペーストは、たとえば銀などの導電材と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、例えば、焼成前粉体100重量%に対して、バインダーは5〜30重量%程度、溶剤は50〜150重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤等から選択される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10重量%以下とすることが好ましい。
次に、非磁性体層用ペーストをドクターブレード法などによりシート化し、非磁性体グリーンシートを形成する。
次に、上記にて作製した非磁性体グリーンシート上に、コイル用導体を形成する。コイル用導体の形成は、コイル用導体用ペーストをスクリーン印刷等の方法によって、非磁性体グリーンシート上に形成する。なお、コイル用導体の形成パターンは、製造するコモンモードフィルタの回路構成等に応じて適宜選択すればよい。
次に、非磁性体グリーンシート上のコイル用導体にスルーホールを形成する。スルーホールの形成方法としては、特に限定されないが、たとえばレーザー加工などにより行うことができる。なお、スルーホールの形成位置は、コイル用導体上であれば特に限定されない。
磁性体グリーンシートの製造
まず、磁性体層および芯体用磁性体を構成することとなる磁性体材料の主成分原料を塗料化して、磁性体層用ペーストを調製する。磁性体層用ペーストは、上記の磁性体層用ペーストと同様に調製すればよい。
主成分原料としては、酸化鉄(α−Fe)、酸化銅(CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニッケル(NiO)、あるいは複合酸化物などを用いることができる。さらに、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物等を用いることができる。焼成により上記した酸化物になるものとしては、たとえば、金属単体、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、有機金属化合物等が挙げられる。また、磁性体の原料として、上記主成分以外にも必要に応じて副成分の出発原料を含有してもよい。
なお、誘電体材料は、磁性体層用ペーストとする前に、磁性体材料を構成する各出発原料の混合粉体を予備焼成し、その後、粉体の粉砕を行ってもよい。
そして、磁性体層用ペーストをドクターブレード法などによりシート化し、磁性体グリーンシートを形成する。
グリーンシートの積層
次に、上記にて作製した各非磁性体グリーンシートおよび磁性体グリーンシートを、順に積層し、グリーン状態の本体積層部10を形成する。
本体積層部の焼成および外部電極の形成
次に、磁性体グリーンシートおよび非磁性体グリーンシートを順次積層することにより作製したグリーン状態の本体積層部を焼成する。焼成条件としては、昇温速度を好ましくは50〜500℃/時間、さらに好ましくは200〜300℃/時間、保持温度を好ましくは840〜900℃、温度保持時間を好ましくは0.5〜8時間、さらに好ましくは1〜3時間、冷却速度を好ましくは50〜500℃/時間、さらに好ましくは200〜300℃/時間とする。
次に、焼成を行った本体積層部に、たとえばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、本体積層部の両側面に外部電極用ペーストを塗布・乾燥した後、焼き付けする。外部電極用ペーストは、たとえば銀などの導電材と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製することができる。なお、このようにして形成した外部電極上には、Cu−Ni−Sn、Ni−Sn、Ni−Au、Ni−Ag等で電気めっきを行うことが好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、本実施形態に係る誘電体磁器組成物には、上述した成分以外に、原料中の不可避的不純物元素の酸化物が数ppm〜数百ppm程度含まれていてもよい。
また、本実施形態に係る非磁性体グリーンシートの製造では、主成分原料と副成分原料とを同時に混合し塗料化して非磁性体層用ペーストを調整するが、これに限定されるものではなく、必要に応じて、主成分原料のみ、または、主成分原料および副成分原料の混合物を予備焼成(仮焼き)することができ、予備焼成にて得られた粉体を粉砕して塗料化したものを非磁性体層用ペーストとすることができる。
また、上述した実施形態では、本実施形態に係る誘電体磁器組成物を、コモンモードフィルタのフィルタ部を構成する非磁性体層として用いるが、特に制限されることはなく、各種電子部品の非磁性体層としても好適に用いることができる。
上述した実施形態では、本発明に係る積層複合電子部品としてコモンモードフィルタを例示したが、本発明に係る積層複合電子部品としては、積層型フィルタに限定されない。また、本発明の誘電体磁器組成物を、積層複合電子部品以外、たとえば、LC複合電子部品に適用することも可能である。
また、本発明の誘電体磁器組成物は、コイル用導体および非磁性体層が積層して構成されるコイル部を有する積層セラミックコイルにおける非磁性体層に適用してもよい。この場合には、コイル用導体としてAgを導電体とすることが好ましい。
以下、実施例により発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
まず、本発明に係る誘電体磁器組成物原料を構成する主成分原料として、SiO−KO−B系ガラス(ガラス1;ガラス転移点510℃、平均粒径3.3μm)、石英およびアモルファスシリカを準備した。また、副成分原料として、アルミナおよびKO−CaO−SiO−B系ガラス(ガラス2;線膨張係数118×10−7/℃、軟化点650℃、平均粒径0.8μm)を準備した。なお、SiO−KO−B系ガラスおよびKO−CaO−SiO−B系ガラスとしては、市販のガラスを用いた。
そして、上記原料を表1に示す組成となるように秤量し、ボールミルにより40時間湿式混合した。湿式混合後、得られたスラリーを乾燥機にて乾燥し、誘電体磁器組成物を得た。
(評価1)
得られた誘電体磁器組成物に、アクリル樹脂系バインダーを添加して顆粒とした後、加圧成形し、直径12mm、厚み6mmの円板状成形体を得た。この成形体を、空気中、900℃にて、2時間焼成して焼結体を得た。得られた焼結体に対し、以下の評価を行った。
[相対密度]
得られた焼結体について、焼成後の焼結体の寸法および重量から、焼結体密度を算出し、理論密度に対する焼結体密度を相対密度として算出した。相対密度は90%以上を良好とした。結果を表1に示す。

[比誘電率εs]
得られた焼結体に対し、ネットワークアナライザー(HEWLETT PACKARD社製8510C)を使用して、共振法(JIS R 1627)により、比誘電率(単位なし)を算出した。評価基準は、4.9以下を良好とした。結果を表1および2に示す。
[絶縁抵抗ρ]
まず、電極を形成した焼結体に対し、絶縁抵抗計(HEWLETT PACKARD社製4329A)を使用して、25℃においてDC25Vを30秒間印加した後の抵抗値を測定した。そして、この測定値と、焼結体の電極面積および厚みとから、絶縁抵抗ρ(Ω・m)を算出した。本実施例では、20個の試料について測定を行い、その平均を求めることにより評価した。評価基準は、1.0×1010Ω・m以上を良好とした。結果を表1に示す。
[線膨張係数α]
得られた焼結体に対し、熱膨張計(BRUKER AXS社製TD5000SA)を使用して、25℃から700℃までの熱膨張を測定し、熱膨張係数α(10−7/℃)を算出した。評価基準は、95×10−7/℃〜115×10−7/℃以上を良好とした。結果を表1に示す。
[クリストバライトの生成の有無]
得られた焼結体に対し、X線回折装置(スペクトリス社製PANalytical−MPD)を使用してX線回折を行った。X線源としてCu−Kα線を用い、測定条件は、電圧45kV、電流40mAで、2θ=20°〜60°の範囲を、ステップ幅0.033°、計数時間0.20secとした。評価基準は、クリストバライトに由来する結晶ピークの有無で判断し、クリストバライトの生成が「ない」ものを良好とした。結果を表1に示す。
(評価2)
得られた誘電体磁器組成物(平均粒径3μm)100重量%に対して、バインダー(アクリル樹脂)を15重量%、溶剤(アセトン メチルエチルケトン混合物)を60重量%、可塑剤(フタル酸ベンジルブチル)を7.5重量%追加して混合し、非磁性体層ペーストを得た。
次に、ドクターブレード法により、PETフィルム上に、非磁性体層ペーストを20μmの厚さに塗布し、非磁性体層用グリーンシートを形成した。次に、PETフィルム上に形成された非磁性体層用グリーンシートを、乾燥炉内に連続的に送り込み、75℃で2分間、非磁性体層用グリーンシートに含まれる溶剤を乾燥させた。
次に、コイル用導体用ペーストとして、銀粉末(平均粒径1.5μm)と、バインダーと溶剤とを、混練して調製した。その後、乾燥した非磁性体層用グリーンシート上に、コイル用導体層を形成し、再度、乾燥炉内に連続的に送り込み、75℃で2分間、コイル用導体用ペーストに含まれる溶剤を乾燥させた。
次に、固相法によりNi−Cu−Znフェライトを準備した。粉砕処理後のNi−Cu−Znフェライト粉末(平均粒径0.8μm)100重量%に対して、バインダー(アクリル樹脂)を10重量%、溶剤(アセトン メチルエチルケトン混合物)を50重量%、可塑剤(フタル酸ベンジルブチル)を6重量%を追加して混合し、磁性体層用ペーストを得た。
次に、ドクターブレード法により、PETフィルム上に、磁性体層ペーストを20μmの厚さに塗布し、磁性体層用グリーンシートを形成した。次に、PETフィルム上に形成された磁性体層用グリーンシートを、乾燥炉内に連続的に送り込み、75℃で2分間、非性体層用グリーンシートに含まれる溶剤を乾燥させた。
このようにして得られた、磁性体層用グリーンシートと、コイル用導体が形成された非磁性体層グリーンシートとを、図2Aに示す積層コモンモードフィルタを得るため、非磁性体層用グリーンシートに対して、Ag内部導体の印刷、内部電極用スルーホールの形成、磁性芯体用スルーホールの形成を行った後、これらの非磁性体層用グリーンシートと、磁性体層用グリーンシートを積層し、所望の積層コモンモードフィルタを得た。空気中、900℃にて、2時間焼成して積層コモンモードフィルタの焼結品を得た。得られた焼結品に対し、以下の評価を行った。
[Agの拡散の有無]
焼結品を樹脂埋め込み後、鏡面研磨し、Ag内部導体部付近を、EPMA(日本電子社製 JXA8800)で観察し、Agのマッピング分析を行った。評価基準は、図3の(a)のように素体へのAgの拡散が抑制されており、印刷時の形状が保たれているものを拡散なし、(b)のように素体へAgが拡散し、印刷時の形状が保たれていないものを拡散あり、と判断し、Agの拡散が「ない」ものを良好とした。結果を表1に示す。
Figure 0005786878
表1に示されるように、本発明に係る誘電体磁器組成物(試料3〜6、11〜13、18〜21および24〜26)では、クリストバライトが生成することがなく、相対密度、比誘電率、絶縁抵抗および線膨張係数のいずれの評価において良好であることが確認された。また、本発明に係る誘電体磁器組成物を用いて作製されたコモンモードフィルタでは、Ag内部導体付近において、Agの拡散が抑制されていることが確認された。
これに対し、主成分組成のうちSiO−KO−B系ガラス(ガラス1)および石英の少なくともいずれか一方の含有量が、本発明の範囲内にない誘電体磁器組成物(試料1、2、7〜10、14および15)では、相対密度および線膨張係数の少なくともいずれか一方が悪化することが確認された。
また、副成分として添加されるアルミナについては、その含有量が本発明の範囲を下回る誘電体磁器組成物(試料16および17)では、クリストバライトの生成が抑制されておらず、本発明の範囲を上回る誘電体磁器組成物(試料22)では、相対密度、絶縁抵抗および線膨張係数が悪化することが確認された。
また、副成分として添加されるKO−CaO−SiO−B系ガラス(ガラス2)については、その含有量が、本発明の範囲を下回る誘電体磁器組成物(試料23)では、コモンモードフィルタのAg内部導体付近において、Agの拡散が抑制されておらず、本発明の範囲を上回る誘電体磁器組成物(試料27および28)では、クリストバライトの生成が抑制されておらず、且つ相対密度、比誘電率および線膨張係数のいずれか一つ以上が悪化することが確認された。
1…積層コモンモードフィルタ
10、10a、10b…本体積層部
1〜9、61、72…外部電極
12〜19、12a〜15a…コイル用導体
20…内装部
21〜25…内層側非磁性体層
26、26a、26b…外層側非磁性体層
30、30a〜30c…外装部
31、32…磁性体層
33、34…芯体用磁性体
41〜44、41a、43a…スルーホール電極
51〜55…ESD用導体層

Claims (8)

  1. 主成分が、SiO−KO−B系ガラスを40〜65重量%、石英を35〜50重量%含有し、残部がアモルファスシリカで構成されており、
    前記主成分100重量%に対して、副成分として、アルミナ1.5〜4重量%、KO−MO−SiO−B系ガラス(MOは、CaOまたはSrOの少なくともいずれか一方である)を5〜20重量%含有することを特徴とする誘電体磁器組成物。
  2. 前記SiO−KO−B系ガラスは、ガラス転移点が480〜520℃であることを特徴とする請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  3. 前記KO−MO−SiO−B系ガラスは、線膨張係数が105×10−7/℃〜125×10−7/℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の誘電体磁器組成物。
  4. 前記KO−MO−SiO−B系ガラスは、軟化点が580〜680℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体磁器組成物。
  5. 非磁性体層を有する電子部品であって、
    前記非磁性体層が請求項1〜4のいずれかに記載の誘電体磁器組成物で構成されていることを特徴とする電子部品。
  6. コイル用導体および非磁性体層で構成されるフィルタ部と、
    磁性体層を含む外装部と、を有し、
    前記コイル用導体が、導電材としてAgを含んでおり、
    前記非磁性体層が請求項1〜4のいずれかに記載の誘電体磁器組成物で構成されていることを特徴とする積層複合電子部品。
  7. 前記積層複合電子部品が、積層コモンモードフィルタである特徴とする請求項6に記載の積層複合電子部品。
  8. 前記積層コモンモードフィルタが、ESD機能を付加するためのESD用導体層を有することを特徴とする請求項7に記載の積層複合電子部品。
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