JP7037434B2 - 耐熱性高透磁率MnZnフェライト - Google Patents

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Description

本発明は、耐熱性高透磁率MnZnフェライトに関する。
近年では、CO排出削減や省エネルギーのニーズが高まり、ハイブリット車や電気自動車など車載機器の電装化が進んでおり、車載機器に関するノイズ規制をクリアするための検討が進められている。
中でも、電動コンプレッサにおけるインバータとモータからは、コモンモードノイズが発生することが明らかとなっており、ACラインフィルタ等を用いたノイズ対策の必要性が増している。
従来、テレビやエアコン等の電源ラインから発生するノイズを抑制するため、ACラインフィルタなどコモンモードチョークコイルの開発が行われてきた。特に近年では、150kHzから数MHzの領域におけるノイズ減衰能力を高めるため、ACラインフィルタの磁心材(コア)となるMnZnフェライト(焼結体)の透磁率の向上及び透磁率の周波数に対する安定性を高める開発が行われてきた。
これまでACラインフィルタ用磁心材として開発されてきたMnZnフェライトは、室温付近における初透磁率を高めるため、キュリー温度が120℃程度のものが主であり、この温度を超えるような高い温度域で使用される車載機器等の用途ではラインフィルタとしての機能を発揮できなかった。
これに対し、特許文献1には、フェライトの基本成分組成を制御し、フェライト中に残留する炭素量を所定値以下に抑制することによって、-20~150℃の広い温度域において10kHzにおける初透磁率を高めたMn-Zn-Co系フェライトが開示されている。また、特許文献2には、さらに微量のMgOを添加した上で、フェライト中に残留する炭素量を所定値以下に抑制したMn-Zn-Co系フェライトが開示されている。これらの技術は、高い温度域で使用される機器に対して有効な技術であると考えられる。
特開2015-229626号公報 特開2015-229625号公報
一方で、特に車載用として用いられる電子部品は、高温環境における一時的な磁気特性だけではなく、例えば100℃以上の高温環境下で長期間継続して使用した場合にも性能を維持し続けるなどの高い耐久性も要求される。しかしこれまで上記特許文献を含めてこのような耐久性に対する評価はなされていなかった。
以上の課題に鑑み、本発明は、100℃以上の高温環境で長期間継続して使用した場合にも当初の高い比初透磁率の低下が少ない耐熱性高透磁率MnZnフェライトを提供することを目的とする。
本発明に係る耐熱性高透磁率MnZnフェライトは、
FeとZnOとMnOを主成分とするMnZnフェライトであって、
該主成分100mol%中、Feを50.50~54.00mol%、ZnOを11.00~18.00mol%、残部のMnOとなる量で含有し、
前記主成分の全量を100質量部としたときに、副成分としてCoを0.10~0.55質量部、SnOを0.50~4.00質量部、Biを0.001~0.030質量部、MoOを0.001~0.020質量部、SiOを0.001~0.010質量部、およびCaOを0.015~0.030質量部含有することを特徴とする。
本発明によれば、100℃以上の高温環境で長期間継続して使用した場合にも当初の高い比初透磁率の低下が少ない耐熱性高透磁率MnZnフェライトを提供することができる。
以下に本発明の実施形態について説明する。本発明の実施形態に係るMnZnフェライトは、焼結後の主成分として、Fe(酸化鉄(III))、およびZnO(酸化亜鉛)を含み、残部が実質的にMnO(酸化マンガン)で構成されている。また、本発明の実施形態に係るMnZnフェライトは、添加物として、SiO(二酸化ケイ素)、CaO(酸化カルシウム)、MoO(酸化モリブデン)、Bi(酸化ビスマス)、およびCo(酸化コバルト)、SnO(酸化スズ)を含んでいる。
(キュリー温度)
以下に本発明の実施形態に係るMnZnフェライトについて説明する。本実施形態によるMnZnフェライトは、例えば車載用のACラインフィルタなどの磁心材として用いられるため、高温環境での長時間連続使用に耐えるように、170~235℃という高いキュリー温度を有することが好ましい。キュリー温度とは、強磁性体が常磁性体に変わる温度である。MnZnフェライトにおいては、主成分のFe、MnO、ZnOの比率によってキュリー温度がほぼ決定される。そのため、これらの配合量を適切に組み合わせて170~235℃のキュリー温度を有するMnZnフェライトを得ることができる。
具体的には、主成分としてFeを50.50~54.00mol%、ZnOを11.00~18.00mol%、残部としてMnOを合わせて100mol%となるように含有することにより、キュリー温度170℃以上235℃以下のMnZnフェライトを得ることができる。Feは51.00mol%以上、53.00mol%以下であることがより好ましい。またZnOは15.00mol%以上、17.00mol%以下であることがより好ましい。
Feの含有量を50.50mol%以上とすることで、170℃以上のキュリー温度を得ることができる。また、Feを54.00mol%以下とすることで、23℃~150℃における10kHz~200kHzの比初透磁率において7000以上を得ることができる。
またZnOの含有量を11.00mol%以上とすることで、23℃~150℃における10kHz~200kHzの比初透磁率で7000以上を得ることができる。またZnOを18.00mol%以下とすることにより、キュリー温度170℃以上を得ることができる。
このMnZnフェライトは、キュリー温度が170℃以上であるため、車載用機器など100℃以上の高温環境下で長時間使用可能なMnZnフェライトコアを磁心としたラインフィルタを製造することができる。
以下に比初透磁率を向上させるための副成分について説明する。
(比初透磁率の温度依存性の向上)
MnZnフェライトはできるだけ高い比初透磁率を有することが好ましい。そのためには、均一で大きな結晶粒を有することが好ましい。そのため、材料として結晶粒成長を促すBiと結晶粒の均一な成長を促すMoOを組み合わせることで、均一で大きな結晶粒を得ることができ、高い比初透磁率が得られる。さらにCoを含有することで、結晶磁気異方性の温度依存性を小さく抑制し、広い温度範囲(23~150℃)で高い比初透磁率(7000以上)を得ることができる。これらの材料の配合量を適切に組み合わせることで、広い温度範囲にわたって高い比初透磁率を有するMnZnフェライトを得ることができる。
具体的には、上記のMnZnフェライトにおいて、主成分であるFe、MnO、ZnOの全量を100質量部としたとき、副成分として、Biを0.001~0.030質量部、MoOを0.001~0.020質量部含有することで23~150℃における10kHzの比初透磁率として7000以上を得ることができる。さらに、Coを0.10~0.55質量部含有することで比初透磁率の温度依存性を抑制することができる。なお、Biは0.005~0.020質量部であることがより好ましい。またMoOは0.001~0.010質量部であることがより好ましい。Coは0.20~0.40質量部であることがより好ましい。
Biの含有量を0.030質量部以下とすることで、粗大な結晶粒が多く発生することを抑制し、結晶粒径の不均一性を抑制し、初透磁率を高めつつフェライトの周波数特性の劣化を抑制するため、200kHzにおいても比初透磁率7000以上を得ることができる。また、Biを0.001質量部以上とすることで、コア中心部の結晶粒成長が十分行われ、10kHzの比初透磁率において7000以上を得ることができる。
MoOを0.001質量部以上含有することで、結晶粒径の均一な焼結体を得ることができ、周波数特性が改善され、200kHzにおいても比初透磁率7000以上を得ることができる。また、MoOを0.020質量部以下とすることで、コア中心部の結晶粒成長が十分行われ、10kHzの比初透磁率において7000以上を得ることができる。
Coを0.10質量部以上、0.55質量部以下含有することで、比初透磁率の温度依存性を抑制し、23℃から150℃において比初透磁率7000以上を得ることができる。
このMnZnフェライトは広い温度範囲(23~150℃)で高い比初透磁率(7000以上)を有するため、従来技術のMnZnフェライトを用いたラインフィルタと同じ大きさでより高性能なラインフィルタを製造することができる。若しくは従来と同等性能を有する、より小型のラインフィルタを製造することができる。
(比初透磁率の周波数依存性の向上)
MnZnフェライトは、SiOとCaOによる高い比抵抗を有する結晶粒界を形成することで、高周波領域における渦電流の発生を抑制し、高い周波数領域(~200kHz)まで高い比初透磁率(7000以上)を保つことができる。また、コアに巻線を施してラインフィルタの磁心として使用する場合に、特に重要と考えられる周波数帯域(150kHzから1MHz近傍)において、大きなノイズ減衰能力(インピーダンス)を有することができる。
具体的には、上記MnZnフェライトにおいて、主成分の全量を100質量部としたとき、副成分としてSiOを0.001~0.010質量部、CaOを0.015~0.030質量部含有することで、10kHz~200kHzの周波数領域において比初透磁率7000以上を得ることができる。なお、SiOは0.003~0.006質量部であることがより好ましい。CaOは0.018~0.023質量部であることがより好ましい。
SiOを0.001質量部以上含有することで、透磁率の周波数特性の劣化を抑制し、200kHzにおいても比初透磁率7000以上を得ることができる。また、SiOを0.010質量部以下とすることで、10kHzにおける比初透磁率の値が7000以上を得ることができる。
またCaOを0.015質量部以上含有することで、透磁率の周波数特性の劣化を抑制し、200kHzにおいても比初透磁率7000以上を得ることができる。また、CaOを0.030質量部以下とすることで、10kHzにおける比初透磁率の値が7000以上を得ることができる。
このようなMnZnフェライトは、コアに成型して巻線を施し、ラインフィルタの磁心として使用する際、特に重要と考えられる周波数帯域(150kHzから1MHz近傍)において、大きなノイズ減衰能力(インピーダンス)を有する。つまり、従来技術のMnZnフェライトを用いたラインフィルタと比べて、よりノイズを低減する能力が大きい。
(耐熱性の向上)
Feを50mol%以上含有するMnZnフェライトは、例えば150℃といった高温環境に放置すると、金属イオン(Fe2+やCo2+)が空孔子に拡散し始め、次第に磁壁の周りに空孔子が追いやられることで磁壁が動きにくくなり、比透磁率が低下すると考えられる。
この現象を抑制するためには、フェライト中の金属イオン(Fe2+、Co2+)を削減すること、若しくは空孔子を削減することが有効と考えられる。Fe2+を削減するためにはFeを50mol%以下とすることが有効と考えられるが、比透磁率及びキュリー温度が低下するという問題が生じてしまう。また、Co2+を削減するためにCoの含有量を減らしてしまうと、比透磁率の温度依存性が悪化してしまう。また、空孔子の削減には、焼結工程における酸素濃度を下げることが有効と考えられるが、200kHz程度の高周波領域まで高い比透磁率を維持するためには、フェライト焼結体の比抵抗を向上させるために適度に酸素濃度を高め、高抵抗な結晶粒界を形成する必要があり、空孔子を完全に排除するのは困難である。
発明者らは、焼結中の酸素濃度を減じることなく空孔子を減らすためには、Fe2+、Co2+以外の金属イオンを取り入れることが有効ではないかと考え、様々な検討を行った結果、Coを含有し、かつFeを50mol%以上含有するMnZnフェライトにおいて、SnOを適量含有することにより、高温環境で放置した後の比透磁率の低下を抑制できることを発見した。
具体的には、上記MnZnフェライトにおいて、主成分の全量を100質量部としたとき、副成分としてSnOを0.50~4.00質量部含有することで、150℃の環境下において1000時間放置した後の、120℃における10kHzでの比初透磁率の放置前に対する変化率を絶対値として35%以下に抑制することができることがわかった。なおSnOは1.50~2.50質量部であることがより好ましい。
SnOを0.50質量部以上含有することで、150℃の環境下で1000時間放置した後の120℃における比初透磁率が放置前の比初透磁率に比べて絶対値として35%以下とすることができる。また、SnOを4.00質量部以下とすることで、23℃~150℃における比初透磁率7000以上を得ることができる。
このようなMnZnフェライトは、100℃以上の車載環境などで長期間使用を継続する状況においても、経時変化による比初透磁率などの特性低下の少ないラインフィルタを提供することができる。
以上のように、FeとZnOとMnOを主成分とし、副成分としてCo、SnO、Bi、MoO、SiO、およびCaOを所定の範囲で含有することにより、キュリー温度が170℃以上であり、23~150℃の温度範囲で10kHz~200kHzという広い周波数において比初透磁率が7000以上と高く、かつ150℃の環境下において1000時間放置した後でも120℃における比初透磁率の低下が少ないという優れた耐熱特性を有する高透磁率MnZnフェライトを得ることができる。
(製造方法)
次に、MnZnフェライトの製造方法の一実施形態について説明する。
本実施形態のMnZnフェライトコアの製造方法は、混合工程、乾燥・造粒工程、仮焼工程、解砕工程、乾燥・造粒工程、成型工程、および焼結工程を含んでいる。
焼結後のFe含有量が50.50mol%以上、54.00mol%以下、ZnO含有量が11.00mol%以上、18.00mol%以下、残部がMnOとして全量で100mol%となるように、混合工程では、Feを49.30mol%以上、52.80mol%以下、ZnOを11.60mol%以上、18.60mol%以下、残部がMnOとなるように主成分の各原料粉末を秤量する。次に、すべての原料粉末を混合して解砕し、混合粉末を得る。具体的には、アトライタ等を用いて混合粉末のメジアン径D50が0.5μm以上、0.9μm以下となるまで凝集した原料粉末を解砕混合する。混合粉末の粒度分布は粒度分布測定装置で測定することができる。
乾燥・造粒工程では、混合工程で得られた混合粉末に、混合粉末の全質量を100質量部としたときに0.5~1質量部のポリビニルアルコールなどのバインダーを加え、スプレードライヤーなどを用いて噴霧することで顆粒を得る。
仮焼工程では、乾燥・造粒工程において得られた顆粒を、例えば空気雰囲気で750℃で1時間仮焼して仮焼物を得る。
解砕工程では、得られた仮焼物(主成分)の全質量を100質量部としたときに、0.001~0.010質量部のSiOを仮焼物に添加する。ここで、SiOの添加量は0.003~0.006質量部であることが好ましい。また、焼結後のCaO含有量が0.015~0.030質量部になるように、0.019~0.040質量部のCa(OH)を仮焼物に添加する。さらに仮焼物の全質量を100質量部としたときに焼結後のMoO含有量が0.001~0.020質量部となるよう、MoOの所要量を仮焼物に添加する。MoOは焼結工程で一部が揮発するため、焼結後の所望の含有量よりも多めの所要量を添加する。MoOの所要量は例えば0.1質量部以下である。
Biはフェライトに添加することで結晶粒を成長させる効果を有する一方、結晶粒径を不均一にする効果も有しているため、仮焼物の全質量を100質量部としたときに0.001~0.030質量部を仮焼物に添加することが望ましい。また、焼結後のCo含有量が0.10~0.55質量部となるように仮焼物の全質量を100質量部としたときに、0.09~0.54質量部のCo34を仮焼物に添加する。また、仮焼物の全質量を100質量部としたときに0.50~4.00質量部のSnOを添加する。
各添加物を添加した後、仮焼物を解砕して解砕粉末を得る。具体的には、解砕工程において、解砕後の粒径のメジアン径D50が0.5μm以上、且つ1.0μm以下になるまで仮焼物を解砕して解砕粉末を得る。
乾燥・造粒工程では、解砕工程において得られた解砕粉末に解砕粉末の全質量を100質量部としたときに、0.5~1.0質量部のポリビニルアルコールなどのバインダーを加え、スプレードライヤーなどで噴霧することで顆粒を得る。このとき、顆粒のメジアン径D50は80μm以上、200μm以下となることが望ましい。
成型工程においては、乾燥・造粒工程で得られた顆粒を所定の形状、例えば、外径が19mm、内径が13mm、高さが11mmのトロイダル型のコアに成形する。
焼結工程においては、例えば、1300℃で所定の時間だけ焼結することによって焼結体を得る。
次に実施例について説明する。実施例は、所定の成分を所定の量だけ含有する原料を用いてMnZnフェライトコアを作成し、その特性を評価した。まず、特性の評価に使用するフェライトコアについて説明する。本発明の実施例、および比較例で作成したフェライトコアは、外径が19mm、内径が13mm、および高さが11mmのトロイダル型のフェライトコアである。このフェライトコアに線径が0.26mmの銅線を10回巻きつけて評価試料を作成し、インピーダンスアナライザ(4194A、横河・ヒューレットパッカード社製)を使用して比初透磁率を測定した。尚、測定の際の電流値は0.2mAであった。
(実施例1)
焼結後のFe含有量が50.50mol%、ZnO含有量が16.00mol%、MnO含有量が33.50mol%として合計100mol%となるように、混合工程では、Feを49.30mol%、ZnOを16.60mol%、MnをMnO換算で34.10mol%として合計100mol%となるように各原料粉末を秤量して混合した。混合工程では、混合物のメジアン径D50が0.5μm以上、0.9μm以下となるまで混合物をアトライタで解砕した。次に、乾燥・造粒工程において、上記混合物の全質量を100質量部としたときに0.5質量部のポリビニルアルコールを加え、スプレードライヤーで噴霧することで顆粒を得た。次に仮焼工程としてこれを空気雰囲気中で750℃で1時間仮焼して仮焼物を得た。
得られた仮焼物の全質量を100質量部としたときに、0.004質量部のSiOを仮焼物に添加した。以下、同様に焼結後のCaO含有量が0.021質量部になるように、0.028質量部のCa(OH)、MoOを0.075質量部、Biを0.014質量部、焼結後のCo含有量が0.29質量部となるように、仮焼物の全質量を100質量部としたときに、0.28質量部のCo、SnOを2.00質量部、それぞれ仮焼物に添加した。
次に、解砕工程として仮焼物と添加物の混合物を、解砕後の粒径のメジアン径D50が0.5μm以上、1.0μm以下になるように解砕機で解砕して解砕粉末を得た。次に乾燥・造粒工程としてこの解砕物に、解砕物の全質量を100質量部としたときに、1質量部のポリビニルアルコールを加え、スプレードライヤーで噴霧することで顆粒を得た。このときの顆粒のメジアン径D50は110μmであった。次に成型工程、および焼結工程としてこの顆粒を外径が19mm、内径が13mm、高さが11mmのトロイダル型のコアに成形し、1300℃で焼結して焼結体を得た。焼結体を得るまでの上記の製造工程は、従来技術におけるフェライトコアの製造工程と同様である。
このフェライトコアの比初透磁率(23℃)は、10kHzで7200、200kHzで7300であった。また、キュリー温度は171℃であった。このフェライトコアを150℃の恒温槽(空気雰囲気)に1000時間放置し、放置前後の120℃における10kHzでの比初透磁率を測定し、その変化率を求めた。比初透磁率を前述のようにして測定した結果、10kHzにおける比初透磁率の変化率は-24.0%であった。尚、変化率は((放置後の120℃における比初透磁率-放置前の120℃における比初透磁率)/放置前の120℃における比初透磁率)×100(%)で計算した。
上記と同様にして表1に示す組成で実施例2~16、および比較例1~16のフェライトコアの特性を測定した。結果を表1に示す。
表1に示すように、本発明の範囲内の組成を有する材料を用いてMnZnフェライトコアを製造することにより、キュリー温度が170℃以上、10kHzから200kHzで比初透磁率(23℃)が7000以上であり、150℃の環境下に1000時間放置した前後の120℃における10kHzでの比初透磁率の変化率が絶対値として35%以下であるMnZnフェライトコアを得ることができた。
特に、実施例1-4と比較例1-4からキュリー温度を170-235℃にするためには、FeとZnOとMnOを所定の範囲内にすることが重要であることがわかる。また、実施例5-12と比較例5-12から、比初透磁率(23℃)を7000以上にするためにはSiOとCaOとMoOとBiを所定の範囲内にすることが重要であることがわかる。また、実施例13-16と比較例13-16から、150℃の環境下に1000時間放置した前後の120℃における比初透磁率の変化率が絶対値として35%以下とするためには、CoとSnOを所定の範囲内にすることが重要であることがわかる。
Figure 0007037434000001

Claims (5)

  1. FeとZnOとMnOを主成分とするMnZnフェライトであって、
    該主成分100mol%中、Feを50.50~54.00mol%、ZnOを11.00~18.00mol%、残部のMnOとなる量で含有し、
    前記主成分の全量を100質量部としたときに、副成分としてCoを0.10~0.55質量部、SnOを0.50~4.00質量部、Biを0.001~0.030質量部、MoOを0.001~0.020質量部、SiOを0.001~0.010質量部、およびCaOを0.015~0.030質量部含有することを特徴とする耐熱性高透磁率MnZnフェライト。
  2. 前記Coを0.20~0.40質量部、前記SnOを1.50~2.50質量部含有することを特徴とする請求項1に記載の耐熱性高透磁率MnZnフェライト。
  3. 前記Biを0.005~0.020質量部、前記MoOを0.001~0.010質量部含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の耐熱性高透磁率MnZnフェライト。
  4. 前記SiOを0.003~0.006質量部、前記CaOを0.018~0.023質量部含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の耐熱性高透磁率MnZnフェライト。
  5. 請求項1から4のいずれか一項に記載の耐熱性高透磁率MnZnフェライトを含み、150℃の環境下に1000時間放置した前後の120℃における10kHzでの比初透磁率の変化率が絶対値として35%以下である、ラインフィルタ用のMnZnフェライトコア。
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