JP6649799B2 - フェライトコア、およびフェライトコアの製造方法 - Google Patents

フェライトコア、およびフェライトコアの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、フェライトコア、およびフェライトコアの製造方法に関する。
MnZn系フェライトは、主にチョークコイル、およびACラインフィルタ等のコアに用いられている。特に、近年の電子機器に用いられるACラインフィルタ等には、150kHzから数MHzにおいて高いノイズ減衰能力が求められており、ACラインフィルタに用いられるコア磁心には高い比初透磁率及び比初透磁率の周波数安定性が求められる。
そのため、MnZn系フェライトにおいて、比初透磁率を向上させるため様々な検討が進められている。
例えば、特許文献1では、炭素の含有量を0.0050質量%以下に抑制することによって、1kHz〜200kHzの周波数帯域における比初透磁率を向上させたMnZn系フェライトを開示している。
また、特許文献2では、コア表面とコア内部とのZnOの含有量の差を一定範囲とすることによって、周波数150kHz程度における初透磁率を向上させたフェライトコアを開示している。
また、特許文献3では、低周波域における透磁率を改善するため、フェライト結晶粒を成長させると共に、CaOの分布を均一化し、さらには結晶粒界に濃化させたMnZn系フェライトコアを開示している。
特開2014−123708号公報 特開2006−165479号公報 特開平08−104563号公報
しかしながら、特許文献1乃至特許文献3に記載のフェライトは比初透磁率の値に向上の余地があった。
本発明の目的は、1kHzにおける比初透磁率の値を向上させ、150kHz近傍において高いインピーダンス特性を有するフェライト、フェライトコア、およびフェライトコアの製造方法を提供することにある。
本発明の一態様のフェライトは、
主成分として、
Fe の含有量が51.0mol%以上、55.0mol%以下、およびMnOの含有量が22.0mol%以上、28.0mol%以下であって、残部が実質的にZnOであり、
添加物として、全体質量100mass%に対し、SiO の含有量が0.002mass%以上、0.01mass%以下、CaOの含有量が0.01mass%以上、0.03mass%以下、MoO の含有量が0.015mass%以下(0を含む)、およびBi の含有量が0.001mass%以上、0.01mass%以下であり、
焼結後の平均結晶粒径が25μm以上、50μm以下であり、焼結密度が5.03g/cc以上、5.05g/cc以下である。
本発明の他の態様のフェライトコアは、本発明の一態様のフェライトで構成されたフェライトコアであって、磁路に垂直な断面積が10mm以上、80mm以下である。
本発明の他の態様のフェライトコアの製造方法は、
主成分として、
Fe の含有量が51.0mol%以上、55.0mol%以下、およびMnOの含有量が22.0mol%以上、28.0mol%以下であって、残部が実質的にZnOであり、
添加物として、全体質量100mass%に対し、SiO の含有量が0.002mass%以上、0.01mass%以下、CaOの含有量が0.01mass%以上、0.03mass%以下、MoO の含有量が0.015mass%以下(0を含む)、およびBi の含有量が0.001mass%以上、0.01mass%以下であるフェライトから構成されるフェライトコアを製造するための、混合工程、仮焼工程、解砕工程、成形工程、および焼結工程を含むフェライトコアの製造方法であって、
前記混合工程において、原料粉末の混合粒径D50を0.50μm以上、0.68μm以下に混合する工程を含む。
本発明は、1kHzにおける比初透磁率を向上させ、150kHz近傍において高いインピーダンス特性を有することができる。
本発明の実施形態に係るフェライトコアの製造方法の流れを示すフローチャートである。 実施例と比較例の比初透磁率、およびインピーダンス特性を示すグラフである。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[1.フェライト]
本発明の実施形態に係るフェライトは、焼結後の主成分として、Fe(酸化鉄(III))、およびMnO(酸化マンガン)を含み、残部が実質的にZnO(酸化亜鉛)で構成されている。また、本発明の実施形態に係るフェライトは、添加物として、SiO(二酸化ケイ素)、CaO(酸化カルシウム)、MoO(酸化モリブデン)、およびBi(酸化ビスマス)を含んでいる。
具体的には、Feの含有量は、51.0mol%以上、55.0mol%以下である。また、Feの含有量は、52.0mol%以上、53.0mol%以下であることが好ましい。これは、室温付近の初透磁率を高めるためである。
MnOの含有量は、22.0mol%以上、28.0mol%以下である。また、MnOの含有量は、24.0mol%以上、26.0mol%以下であることが好ましい。これは、室温付近の初透磁率を高めるためである。
SiOの含有量は、フェライト全体の質量を100mass%とした場合に、0.002mass%以上、0.01mass%以下である。これは、SiOの含有量が0.002mass%未満の場合、フェライトの周波数特性が劣化するためである。一方、SiOの含有量が0.01mass%を超えると、フェライトの初透磁率が低下するためである。
CaOの含有量は、フェライト全体の質量を100mass%とした場合に、0.01mass%以上、0.03mass%以下である。これは、CaOの含有量が0.01mass%未満の場合、フェライトの周波数特性が劣化するためである。一方、CaOの含有量が0.03mass%を超えると、フェライトの初透磁率が低下するためである。
MoOは、フェライト全体の質量を100mass%とした場合に、0.001mass%以上、0.1mass%以下を添加することが好ましい。これは、MoOの含有量が0.001mass%未満の場合、結晶粒径の均一な焼結体を得られず、周波数特性が低下するためである。一方、MoOの含有量が0.1mass%を超えると、原料粉末を焼結した際に空孔が多く発生し、焼結密度、および初透磁率が低下するためである。なお、フェライトの焼結後におけるMoOの含有量は、焼結後のフェライト全体の質量を100mass%とした場合に、実質的に0.015mass%以下(0を含む)であることが好ましい。
Biは、フェライトに添加することで、フェライトの結晶粒を成長させる効果を有している。フェライトの結晶粒を成長させることにより、1kHzにおける比初透磁率の値を高めることができる。一方、Biは、フェライトの結晶粒径を不均一にする効果も有している。したがって、Biの添加量は、最小限に抑えつつフェライトの結晶粒径を成長させることが望ましい。そのため、Biの含有量は、0.001mass%以上、0.01mass%以下であることが好ましい。これは、Biの含有量が0.01mass%を超えると、粗大な結晶粒が多く発生し、結晶粒径の不均一性を生じさせるため、初透磁率を高める一方でフェライトの周波数特性が低下するためである。
次に、焼結後のフェライトについて説明する。
焼結後のフェライトの平均結晶粒径は、25μm以上、50μm以下である。これは、焼結後のフェライトの平均結晶粒径が25μmよりも小さくなると、フェライトの初透磁率が低下するためである。一方、焼結後のフェライトの平均結晶粒径が50μmを超えると、フェライトは渦電流損失の影響を大きく受け、周波数特性が低下するためである。そのため、フェライトの平均結晶粒径は、30μm以上、40μm以下であることが好ましい。
焼結後のフェライトの結晶粒径のバラツキは、0.4以上、0.8以下である。これは、フェライトの結晶粒径のバラツキを0.4未満にすることは、製造上困難なためである。一方、フェライトの結晶粒径のバラツキが0.8を超えると、フェライトの周波数特性が劣化するためである。そのため、フェライトの結晶粒径のバラツキは、0.5以上、0.7以下であることが好ましい。
焼結後のフェライトコアの焼結密度は、5.03g/cc以上、5.05g/cc以下である。
[2.フェライトコア]
次に、本発明の実施形態に係るフェライトコア、およびフェライトコアの製造方法について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るフェライトコアの製造方法の流れを示すフローチャートである。
本発明のフェライトコアの製造方法は、混合工程、仮焼工程、解砕工程、成形工程、および焼結工程を含んでいる。
混合工程においては、まず、Feを51.0mol%以上、55.0mol%以下、MnOを22.0mol%以上、28.0mol%以下、ZnOを17mol%以上、27.0mol%以下となるように各原料粉末を秤量する。次に、各原料粉末を混合し、混合粉末を生成する(ステップS101)。なお、以下では、混合粉末のメジアン径D50を混合粒径D50と称し、混合粉末のメジアン径D90を混合粒径D90と称する。
具体的には、混合工程において、混合粒径D50が0.50μm以上、0.68μm以下になるまで原料粉末を混合する。これは、混合粒径D50を0.50μm未満にすることは、長時間の混合が必要になるので製造上困難なためである。一方、混合粒径D50が0.68μmを超えると、後の工程において仮焼粉のスピネル率が低下したり、焼結後の焼結密度が低下したりするためである。なお、混合粒径D50が0.50μm以上、0.68μm以下の時の混合粒径D90は、0.68μm以上、1.41μm以下である。
仮焼工程においては、混合工程において混合した混合粉末を、例えば、850℃で2時間仮焼きして仮焼粉を生成する(ステップS102)。
解砕工程においては、SiOを、全体質量100mass%に対し、0.01mass%以下(0を含む)仮焼粉に添加する。ここで、SiOの添加量は、0.001mass%以上、0.010mass%以下であることが好ましい。
また、CaOを、全体質量100mass%に対し、0.01mass%以上、0.03mass%以下仮焼粉に添加する。
さらに、MoOを、全体質量100mass%に対し、0.1mass%以下仮焼粉に添加する。ここで、MoOの添加量は、0.001mass%以上、0.100mass%以下であることが好ましく、0.06mass%以上、0.1mass%以下であることがさらに好ましい。これは、Biを含有している状態で、MoOの添加量が0.001mass%未満の場合、結晶粒径の均一な焼結体を得られず、周波数特性が低下するためであり、0.1mass%よりも多く添加してしまうと、焼結密度が低下し、比初透磁率が低下するからである。
さらにまた、Biは、フェライトに添加することで結晶粒を成長させる効果を有する一方、結晶粒径を不均一にする効果も有しているため、全体質量100mass%に対し0.001mass%以上、0.01mass%以下であることが好ましい。
各添加物を添加した後、仮焼粉を解砕して解砕粉末を生成する(ステップS103)。以下では、解砕粉末のメジアン径D50を解砕粒径D50と称する。
具体的には、解砕工程において、解砕粒径D50が0.5μm以上、かつ0.8μm以下になるまで仮焼粉を解砕する。これは、解砕粒径D50を0.5μm未満にすることは、長時間の解砕が必要になり製造上困難なためである。一方、解砕粒径D50が0.8μmを超えると後の工程において結晶粒の成長が不十分となり、焼結後のフェライトの初透磁率が低下するためである。また、解砕粒径D50は、0.55μm以上、0.70μm以下であることが好ましい。具体的には、解砕粒径D50を0.8μm未満にすることで、焼結後のフェライトの平均結晶粒径Xを25μm以上、50μm以下にすることができる。この時、結晶粒径の標準偏差をσとすると、0.4≦σ/X≦0.8の関係が成り立つ。すなわち、本発明のフェライトでは、結晶粒径の不均一さを示すσ/Xが小さくなり、焼結後のフェライトコアにおいて結晶粒径の均一な組織が得られる。
成形工程においては、解砕粉末を所定の形状、例えば、外形が19mm、内径が13mm、高さが11mmのトロイダル型のコアに成形する(ステップS104)。
焼結工程においては、例えば、1300℃で所定の時間だけ焼結することによって焼結体を得る(ステップS105)。焼結後のトロイダル型に成形したフェライトコアの磁路に垂直な断面積は、10mm以上、80mm以下である。
具体的には後述するが、本発明は、混合工程において、混合粒径D50を細かくすることで、仮焼時の反応を促進し、仮焼粉におけるスピネル率が向上する。また、本発明は、解砕工程において、解砕粒径D50を細かくすることで、焼結時における結晶粒の成長を促し、より均一で大きな結晶粒径を有するフェライトコアを得ることができる。さらに、本発明は、結晶粒の不均一性を招きやすいBiの添加量を最小限に抑え、かつP(リン)等を添加しないので粗大な結晶粒が少なくなる。その結果、本発明は渦電流の影響を抑制し、かつ周波数特性を向上させることができる。
以下、実施例に基づいて、本発明を具体的に説明する。
[特性の評価方法]
まず、特性の評価に使用するフェライトコアについて説明する。本発明の実施例、および比較例のフェライトコアは、外形が19mm、内径が13mm、および高さが11mmのトロイダル型のフェライトコアである。このフェライトコアに線径が0.26mmの導線を10回巻きつけて試料を作成し、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード 4194A)を使用して比初透磁率μ’、インピーダンス特性Z(Ω)を測定した。なお、測定の際の電流値は0.2mAである。
また、トロイダルコアの磁路の断面中央を金属顕微鏡で観察し、隣接する100個の結晶粒について、対象となる結晶粒と体積が等しい球の円の直径を結晶粒径として測定した。さらに、測定した100個の結晶粒径の、平均値、標準偏差、およびバラツキを算出した。
[実施例と比較例の比較]
(比初透磁率、およびインピーダンス特性)
実施例1、実施例2、および比較例1のトロイダルコアの作成条件について説明する。表1は、実施例1、実施例2、および比較例1のフェライトの主成分、添加物、混合粒径、および解砕粒径を示している。
Figure 0006649799
実施例1は、主成分として、Feを52.25mol%、MnOを24.94mol%、およびZnOを22.81mol%含んでいる。また、実施例1は、添加物として、焼結前のフェライトコアの全体の質量を100mass%とした場合に、SiOを0.002mass%、CaOを0.026mass%、MoOを0.071mass%、およびBiを0.007mass%添加している。さらに、実施例1は、混合工程において、混合粉末の混合粒径D50を0.59μm、および混合粒径D90を1.04μmに混合している。さらにまた、実施例1は、解砕工程において、解砕粉末の解砕粒径D50を0.66μmに解砕している。
実施例2は、主成分として、Feを52.25mol%、MnOを24.95mol%、およびZnOを22.80mol%含んでいる。すなわち、実施例2における主成分の配合比は、実質的に実施例1と同等である。また、実施例2は、添加物として、焼結前のフェライトコアの全体の質量を100mass%とした場合に、SiOを0.003mass%、CaOを0.021mass%、MoOを0.085mass%、およびBiを0.004mass%添加している。さらに、実施例2は、混合工程において、混合粉末の混合粒径D50を0.57μm、および混合粒径D90を0.88μmに混合している。すなわち、実施例2は、混合工程において、実施例1よりも混合粉末を細かく混合している。さらにまた、実施例2は、解砕工程において、解砕粉末の解砕粒径D50を0.63μmに解砕している。すなわち、実施例2は、解砕工程において、実施例1よりも解砕粉末を細かく解砕している。
比較例1は、主成分として、Feを52.21mol%、MnOを25.02mol%、およびZnOを22.77mol%含んでいる。すなわち、比較例1における主成分の配合比は、実施例1、および実施例2と同等である。また、比較例1は、添加物として、焼結前のフェライトコアの全体の質量を100mass%とした場合に、SiOを0.003mass%、CaOを0.021mass%、MoOを0.098mass%、およびBiを0.042mass%添加している。すなわち、比較例1は、実施例1、および実施例2に比べて、Biを過剰に含んでいる。さらに、比較例1は、混合工程において、混合粉末の混合粒径D50を0.75μm、および混合粒径D90を1.52μmに混合している。すなわち、比較例1は、実施例1、および実施例2に比べて混合粉末を粗く混合している。さらにまた、比較例1は、解砕工程において、解砕粉末の解砕粒径D50を0.88μmに解砕している。すなわち、比較例1は、実施例1、および実施例2に比べて解砕粉末を粗く解砕している。
したがって、実施例1、実施例2、および比較例1を比較すると、混合粒径D50、混合粒径D90、および解砕粒径D50の値が異なっている。
次に、実施例1、実施例2、および比較例1の焼結密度、結晶粒径、結晶粒径の標準偏差、および結晶粒径のばらつきについて説明する。
Figure 0006649799
表2は、実施例1、実施例2、および比較例1の焼結密度(g/cc)、焼結後の結晶粒径(μm)、結晶粒径の標準偏差、および結晶粒径のばらつきを示している。
表2に示すように、実施例1、実施例2、および比較例1の焼結密度は、それぞれ、5.05g/cc、5.04g/cc、5.02g/ccである。また、実施例1、実施例2、および比較例1の結晶粒径は、それぞれ、34.6μm、33.4μm、および27.0μmである。すなわち、実施例1、および実施例2のフェライトコアは、比較例1のフェライトコアと比べて、結晶粒径が大きく、かつ高密度に焼結されている。この結果は、混合粒径、および解砕粒径を細かくすることによって、結晶粒径が大きく、かつ高密度に焼結されたフェライトコアを得ることができることを示している。
実施例1、実施例2、および比較例1の標準偏差σは、それぞれ、22.9、19.1、および14.0である。また、実施例1、実施例2、および比較例1の結晶粒径をXとした時の結晶粒径のばらつきσ/Xは、それぞれ、0.66、0.57、および0.52である。結晶粒径のばらつきに関しては、実施例1、実施例2、および比較例1は、それぞれ、0.4≦σ/X≦0.8の関係を満たしている。
図2は、実施例1、実施例2、および比較例1の比初透磁率μ’と、インピーダンスZ(Ω)の周波数特性を示すグラフである。
図2において、第1の比初透磁率11、第2の比初透磁率21、および第3の比初透磁率31は、それぞれ、実施例1、実施例2、および比較例1の比初透磁率の周波数特性を示している。また、図2において、第1のインピーダンス特性12、第2のインピーダンス特性22、および第3のインピーダンス特性32は、それぞれ、実施例1、実施例2、および比較例1のインピーダンスの周波数特性を示している。
実施例1、および実施例2は、第1の比初透磁率11、および第2の比初透磁率12に示すように、1kHzにおいて、13500以上の高い比初透磁率を有している。それに対して、比較例1は、第3の比初透磁率13に示すように、1kHzにおける比初透磁率が13500未満である。この結果は、混合粒径、および解砕粒径を細かくすることによって、1kHzにおける比初透磁率が向上することを意味している。
実施例1、および実施例2は、第1のインピーダンス特性12、および第2のインピーダンス特性22に示すように、150kHzにおいて、1050Ω以上の高いインピーダンスを有している。それに対し、比較例1は、第3のインピーダンス特性32に示すように、150kHzにおけるインピーダンスが1050Ω未満である。この結果は、混合粒径、および解砕粒径を細かくすることによって、150kHzにおけるインピーダンスが向上することを意味している。
次に、混合粒径と焼結密度の関係について説明する。
Figure 0006649799
表3は、実施例3、実施例4、実施例5、実施例6、および比較例2の混合粒径(μm)、焼結密度(g/cc)、スピネル率、比初透磁率、およびインピーダンス(Ω)を示している。
表3に示されているように、実施例3〜6、および比較例2の主成分、および添加物の含有量は同じである。具体的には、実施例3〜6、および比較例2は、主成分として、Feを52.22mol%、MnOを24.94mol%、およびZnOを22.84mol%含んでいる。また、実施例3〜6、および比較例2は、添加物として、フェライトコアの全体の質量を100mass%とした場合に、SiOを0.003mass%、CaOを0.019mass%、MoOを0.087mass%、Biを0.004mass%含んでいる。
実施例3〜6、および比較例2は、同等の量の主成分、および添加物を秤量し、それぞれ、混合粒径を変えてフェライトコアを作成し、焼結密度の評価を行った。各例の混合粒径は以下の通りである。
・実施例3の混合粒径D50は0.51μmであり、混合粒径D90は0.66μmである。
・実施例4の混合粒径D50は0.57μmであり、混合粒径D90は0.88μmである。
・実施例5の混合粒径D50は0.62μmであり、混合粒径D90は1.13μmである。
・実施例6の混合粒径D50は0.68μmであり、混合粒径D90は1.41μmである。
・比較例2の混合粒径D50は0.89μmであり、混合粒径D90は2.21μmである。
実施例3〜6、および比較例2の焼結密度について説明する。実施例3の焼結密度は5.037g/ccである。実施例4の焼結密度は5.036g/ccである。実施例5の焼結密度は5.034g/ccである。実施例6の焼結密度は5.030g/ccである。比較例2の焼結密度は5.027g/ccである。この結果は、混合粒径が細かいほど、焼結密度が高くなることを示している。
ここで、混合粒径を微細化することによって焼結密度が高くなる理由について説明する。通常、原料粉末には粒度分布があるので平均の粒径よりも大きな粒子が存在する。大きな粒子の場合、焼結時の反応が遅くなるため、予熱の際に反応しない場合がある。そのため、本発明は、混合工程において、混合粉末を細かく混合することで粒度分布を狭くしている。これは、粒度分布を小さくすることで、平均の粒径よりも大きな粒子が少なくなり予熱の温度、および時間を変更することなくスピネル化反応を促進させることができるためである。その結果、本発明はフェライトコアの焼結密度を高めることができる。
次に、実施例3〜6、および比較例2のスピネル化率について説明する。実施例3のスピネル化率は59.4である。実施例4のスピネル化率は58.3である。実施例5のスピネル化率は49.9である。実施例6のスピネル化率は38.5である。比較例2のスピネル化率は28.7である。この結果は、混合粒径を微細化することによって、スピネル化反応が促進されていることを示している。なお、本発明におけるスピネル化率とは、ヘマタイトとスピネルを合わせた全量に対するスピネルの割合を意味する。具体的には、本発明におけるフェライトコアの主成分であるFe、MnO、およびZnOを混合し、仮焼きすると、温度の上昇とともにスピネルが生成される。すなわち、仮焼後の仮焼粉末にはヘマタイトとスピネルが混在している。
次に、実施例3〜6、および比較例2の比初透磁率について説明する。表3に示すように、実施例3の1kHzにおける比初透磁率は14200である。実施例4の1kHzにおける比初透磁率は14100である。実施例5の1kHzにおける比初透磁率は13900である。実施例6の1kHzにおける比初透磁率は13500である。比較例2の1kHzにおける比初透磁率は13100である。すなわち、実施例3〜6は、1kHzの周波数帯域において、13500以上の高いインピーダンスを有している。この結果は、混合粒径が小さく、かつ焼結密度が高いフェライトコアは、高い比初透磁率を有することを意味している。また、表3に示すように、混合粒径D50が0.68μmを超えると、比初透磁率が低下することが示されている。また、焼結密度が5.030g/cc未満となると比初透磁率が低下することが示されている。
次に、実施例3〜6、および比較例2のインピーダンス特性について説明する。実施例3の150kHzにおけるインピーダンスは1160Ωである。実施例4の150kHzにおけるインピーダンスは1160Ωである。実施例5の150kHzにおけるインピーダンスは1140Ωである。実施例6の150kHzにおけるインピーダンスは1110Ωである。比較例2の150kHzにおけるインピーダンスは1090Ωである。すなわち、実施例3〜6は、150kHzの周波数帯域において、1100Ω以上の高いインピーダンスを有している。この結果は、混合粒径が小さく、焼結密度が高いフェライトコアは、高いインピーダンスを有することを意味している。
以上、本発明を、実施形態、および実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態、および実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細は、請求項に記載された本発明の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
11・・・第1の比初透磁率
12・・・第1のインピーダンス特性
21・・・第2の比初透磁率
22・・・第2のインピーダンス特性
31・・・第3の比初透磁率
32・・・第3のインピーダンス特性

Claims (5)

  1. 主成分として、
    Feの含有量が51.0mol%以上、55.0mol%以下、およびMnOの含有量が22.0mol%以上、28.0mol%以下であって、残部が実質的にZnOであり、
    添加物として、全体質量100mass%に対し、SiOの含有量が0.002mass%以上、0.01mass%以下、CaOの含有量が0.01mass%以上、0.03mass%以下、MoOの含有量が0.015mass%以下(0を含む)、およびBiの含有量が0.001mass%以上、0.01mass%以下であり、
    焼結後の平均結晶粒径が25μm以上、50μm以下であり、
    焼結密度が5.03g/cc以上、5.05g/cc以下のフェライトで構成されたフェライトコアであり、
    磁路に垂直な断面積が10mm 以上、80mm 以下である、フェライトコア
  2. 前記平均結晶粒径をX、結晶粒径の標準偏差をσと表した場合に、
    0.4≦σ/X≦0.8の関係が成り立つ、請求項1に記載のフェライトコア
  3. 主成分として、
    Feの含有量が51.0mol%以上、55.0mol%以下、およびMnOの含有量が22.0mol%以上、28.0mol%以下であって、残部が実質的にZnOであり、
    添加物として、全体質量100mass%に対し、SiOの含有量が0.002mass%以上、0.01mass%以下、CaOの含有量が0.01mass%以上、0.03mass%以下、MoOの含有量が0.015mass%以下(0を含む)、およびBiの含有量が0.001mass%以上、0.01mass%以下であるフェライトから構成されるフェライトコアを製造するための、混合工程、仮焼工程、解砕工程、成形工程、および焼結工程を含むフェライトコアの製造方法であって、
    前記混合工程において、原料粉末の混合粒径D50を0.50μm以上、0.68μm以下に混合する工程を含
    焼結後の前記フェライトコアの磁路に垂直な断面積が10mm 以上、80mm 以下である、フェライトコアの製造方法。
  4. 前記解砕工程において仮焼結された前記原料粉末の解砕粒径D50を0.5μm以上、0.8μm以下に解砕する工程を含む、請求項に記載のフェライトコアの製造方法。
  5. 前記解砕工程において仮焼結された前記原料粉末の質量100mass%に対し、添加物として、MoOを0.001mass%以上、0.100mass%以下添加する工程を含む、請求項またはに記載のフェライトコアの製造方法。
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