JP2006165479A - フェライトコア、およびラインフィルタ - Google Patents

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伸一 坂野
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Abstract

【課題】 広帯域において、高い初透磁率を示すフェライトコア、特に150kHz程度の低周波領域において、高い初透磁率を示すフェライトコア、およびこのようなフェライトコアを含むラインフィルタを提供すること。
【解決手段】 主成分として、Feを52〜54mol%、ZnOを20〜25mol%含有し、残部が実質的にMnOであるMn−Zn系フェライトからなるフェライトコアであって、副成分として、所定量のSiの酸化物、Caの酸化物、Biの酸化物、Moの酸化物を含有し、前記フェライトコアの表面におけるZnOの含有量をαmol%、前記フェライトコアの内部におけるZnOの含有量をβmol%としたときに、ZnOの含有量の差(β−α)が、−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%であることを特徴とするフェライトコア。
【選択図】 なし

Description

本発明は、広帯域にわたり、高い初透磁率μiを示すフェライトコアに係り、さらに詳しくは、特に150kHz程度の低周波領域において、高い初透磁率μiを示し、ラインフィルタ用のコアとして好適に用いることができるフェライトコアに関する。
Mn−Zn系フェライトは、各種通信機器等の高帯域トランス用のコアやラインフィルタ、ノイズフィルタ用のコアとして利用されており、これらの用途においては、特に100kHz〜500kHz程度の高周波帯域にて、特に高い初透磁率を有することが要求されている。
このようなMn−Zn系フェライトにおいて、初透磁率を大きくする方法として、たとえば、フェライトの焼結後の平均結晶粒径を大きくする方法が挙げられる。
たとえば、特許文献1においては、結晶粒の成長を促すために、Biを使用しており、平均結晶粒径が50μm以上であるフェライトを得ている。しかしながら、この特許文献1のように、単に結晶粒径を大きくしただけでは、結晶粒径を大きくすることに伴い、同時に損失が増大してしまい、特に高周波における損失が増大してしまう。そのため、高周波側での使用が困難となってしまう。
また、特許文献2では、BiとCaOとを複合添加することにより高周波特性の改良を試みている。しかしながら、このような複合添加による特性の改良効果は100kHz程度までの周波数にとどまっており、より高い周波数、たとえば500kHz程度において、良好な特性が得られないという問題がある。そのため、この特許文献2では、10〜500kHzという広帯域において、高い初透磁率を有することが要求される用途で用いることができない。
これに対して、本出願人は、特許文献3、特許文献4において、広帯域で高い初透磁率を示すMn−Zn系フェライトを提案している。具体的には、特許文献3では、10〜500kHzという帯域で高い初透磁率を示すMn−Zn系フェライトを、特許文献4では、特に10kHz程度の低周波領域において高い初透磁率を示すMn−Zn系フェライトおよびその製造方法を提案している。
一方で、近年、FCC(連邦通信委員会)によるライン雑音に関する規制の改訂などにより、さらに高い初透磁率、特に150kHz(FCCライン雑音規制下限周波数)において高い初透磁率を示すMn−Zn系フェライトが求められている。しかしながら、上記特許文献3、特許文献4に記載のMn−Zn系フェライトでは、上記基準、特に150kHzにおける基準を満足することができなかった。
特公昭52−29439号公報 特公昭51−49079号公報 特開平6−204025号公報 特開2000−150223号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、広帯域にわたり、高い初透磁率を示すフェライトコア、特に150kHz程度の周波数帯域において、高い初透磁率を示すフェライトコア、およびこのようなフェライトコアを含むラインフィルタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、所定の主成分組成を有するフェライトコアにおいて、Si、Ca、Bi、Moの各酸化物を所定量含有するとともに、コア表面におけるZnOの含有量と、コア内部におけるZnOの含有量とを、所定範囲内とすることにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のフェライトコアは、
主成分として、Feを52〜54mol%、ZnOを20〜25mol%含有し、残部が実質的にMnOであるMn−Zn系フェライトからなるフェライトコアであって、
副成分として、前記フェライトコア全体100重量%に対して、
Siの酸化物を、SiO換算で0.005〜0.018重量%、
Caの酸化物を、CaO換算で0.006〜0.045重量%、
Biの酸化物を、Bi換算で0〜0.06重量%(ただし、0は含まない)、
Moの酸化物を、MoO換算で0〜0.08重量%(ただし、0は含まない)含有し、
前記フェライトコアの表面におけるZnOの含有量をαmol%、前記フェライトコアの内部におけるZnOの含有量をβmol%としたときに、ZnOの含有量の差(β−α)が、−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%であることを特徴とする。
本発明においては、上記所定の主成分組成、および副成分組成を有し、かつ、コア表面におけるZnOの含有量と、コア内部におけるZnOの含有量との差を、上記所定範囲内とすることにより、広帯域、特に150kHz程度の低周波領域において、高い初透磁率を示すフェライトコアを得ることができる。特に、本発明においては、前記コア表面のZnOの含有量αmol%と、前記コア内部のZnOの含有量βmol%との差(β−α)を上記所定範囲とすることにより、フェライトコア全体にわたり、ZnOの含有量の分布を所定の範囲内とすることができる。
コア表面とは、コア表面部から50μm程度の深さまでを意味し、特に、本発明においては、コア表面部におけるZnOの含有量をコア表面のZnOの含有量αmol%とする。また、コア内部とは、コア表面部より100μm程度削った部分からコア中心部を意味し、特に、本発明においては、表面より100μm程度削った部分におけるZnOの含有量をコア内部のZnOの含有量βmol%とする。
本発明のフェライトコアにおいて、前記フェライトコアを構成する結晶粒子の平均結晶粒子径は、40μmより大きく、120μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以上、80μm以下である。平均結晶粒子径が小さすぎると、初透磁率μiが低下してしまい、高透磁率の要求される用途への使用が困難になってしまう。一方、大きすぎると、損失が増大してしまい、特に、高周波帯域での使用が困難となってしまう。
本発明のフェライトコアにおいて、周波数150kHzにおける初透磁率μiは、11000以上であることが好ましく、より好ましくは12000以上である。また、周波数500kHzにおける初透磁率μiは、3000以上であることが好ましく、より好ましくは4000以上である。
本発明のフェライトコアの製造方法は、
主成分として、Feを52〜54mol%、ZnOを20〜25mol%含有し、残部が実質的にMnOであるMn−Zn系フェライトからなるフェライトコアを製造する方法であって、
副成分として、前記フェライトコア全体100重量%に対して、
Siの酸化物を、SiO換算で0.005〜0.018重量%、
Caの酸化物を、CaO換算で0.006〜0.045重量%、
Biの酸化物を、Bi換算で0〜0.06重量%(ただし、0は含まない)、
Moの酸化物を、MoO換算で0〜0.08重量%(ただし、0は含まない)を添加して、焼成する工程を有し、
前記フェライトコアの表面におけるZnOの含有量をαmol%、前記フェライトコアの内部におけるZnOの含有量をβmol%としたときに、ZnOの含有量の差(β−α)を、−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%とすることを特徴とする。
本発明の製造方法において、好ましくは、焼成後にフェライトコアとなるフェライト成形体と、前記フェライト成形体よりもZnO含有量の多い組成調整用の成形体と、を同時に焼成する工程を有することを特徴とする。
本発明の製造方法において、好ましくは、前記組成調整用の成形体のZnO含有量は、フェライト成形体のZnO含有量に対して、0.5mol%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.5〜4mol%多くする。
あるいは、本発明の製造方法においては、焼成雰囲気を調整するための打ち込みガス中に、Znを含有させることを特徴とすることが好ましい。
あるいは、本発明の製造方法においては、焼成雰囲気を調整するための打ち込みガスを、フェライト成形体に直接当たらないようにすることを特徴とすることが好ましい。
上記本発明のフェライトコア、または上記本発明の方法により製造されるフェライトコアは、広帯域、特に150kHzにおいて、高い初透磁率を示すため、ラインフィルタやノイズフィルタなどの各種フィルタ用のコア、特にラインフィルタ用のコアとして、好適に用いることができる。
本発明によると、フェライトコアにおいて、所定の主成分組成を有し、Si、Ca、Bi、Moの各酸化物を所定量含有するとともに、コア表面におけるZnOの含有量と、コア内部におけるZnOの含有量との差を、所定範囲内とするため、広帯域(特に、150kHz)において、高い初透磁率を示すフェライトコア、およびこのフェライトコアを含有するラインフィルタを提供することができる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るフェライトコアを示す図、
図2は本発明の一実施形態に係るフェライトコアの製造方法を説明するための図、
図3は図2におけるIII−III線に沿う断面図である。
フェライトコア1
本実施形態のフェライトコア1は、図1に示すように、トロイダル型の形状を有する。フェライトコア1の大きさは、特に限定されないが、通常、外径10〜45mm程度、内径5〜30mm程度、高さ5〜14mm程度である。本実施形態では、特に、T31形状、すなわち、外径30〜31mm程度、内径18〜19mm程度、高さ7〜8mm程度とすることが好ましい。
本実施形態のフェライトコア1は、FeおよびZnOを含有し、残部が実質的にMnOからなる主成分と、副成分として、Si、Ca、Bi、Moの各酸化物を所定量含有するMn−Zn系フェライトから構成される。
Feの含有量は、52〜54mol%であり、好ましくは52.6〜53.5mol%である。Feの含有量が少なすぎると、セカンダリーピーク温度(Tsp)が高温側へシフトしてしまい、実用性に乏しくなる傾向にある。一方、多すぎると、Tspが低温側へシフトしてしまい、同様に、実用性に乏しくなる傾向にある。
ZnOの含有量は、20〜25mol%であり、好ましくは21〜23mol%である。ZnOの含有量が少なすぎると、キュリー温度(Tc)が高温側へシフトしてしまい、Tsp−Tc間における初透磁率μiの低減が顕著になってしまう。一方、ZnOが多すぎると、Tcが低温側へシフトしまい、実用性に乏しくなる傾向にある。
Siの酸化物は、焼結を促進する効果と、粒界相を高抵抗化し、電力損失を低減させる効果とを有する。Siの酸化物の添加量は、Mn−Zn系フェライト全体100重量%に対して、SiO換算で0.005〜0.018重量%、好ましくは0.007〜0.013重量%とする。Siの酸化物の添加量が少なすぎると、上述の効果が得られなくなる傾向にある。一方、添加量が多すぎると、異常粒成長が発生してしまう傾向にある。
Caの酸化物は、Siの酸化物と共に粒界相を高抵抗化し、電力損失を低減させ、特に高周波特性を向上させる効果を有する。Caの酸化物の添加量は、Mn−Zn系フェライト全体100重量%に対して、CaO換算で0.006〜0.045重量%、好ましくは0.020〜0.035重量%とする。Caの酸化物の添加量が少なすぎると、上述の効果が得られなくなる傾向にある。一方、多すぎると、初透磁率μiが低下してしまう傾向にある。
Biの酸化物は、粒成長を促進し、初透磁率μiを向上させる効果を有する。Biの酸化物の添加量は、Mn−Zn系フェライト全体100重量%に対して、Bi換算で0重量%より多く、0.06重量%以下、好ましくは0.02〜0.04重量%とする。Biの酸化物の添加量が多すぎると、異常粒成長が発生してしまう傾向にある。一方、Biの酸化物を含有させない場合には、粒成長が不十分となり、初透磁率μiの低下が顕著になってしまう。
Moの酸化物は、結晶粒子を均一化する効果を有する。Moの酸化物の添加量は、Mn−Zn系フェライト全体100重量%に対して、MoO換算で0重量%より多く、0.08重量%以下、好ましくは0.02〜0.05重量%とする。Moの酸化物の添加量が多すぎると初透磁率μiが低下してしまう傾向にある。一方、Moの酸化物を含有させない場合には、結晶粒子を均一化する効果が得られないため、初透磁率μiが低下してしまう傾向にあり、特に、結晶粒子の平均粒径が大きくなった場合には、結晶粒子の不均一が増大してしまうため、初透磁率μiの低下が顕著になってしまう。
なお、上記Biの酸化物やMoの酸化物は、焼成時に添加量の一部が蒸発あるいは昇華してしまう場合があり、そのため、Biの酸化物、Moの酸化物は、実際の添加量と、焼成後のフェライトコアにおける含有量とが一致しない場合がある。すなわち、焼成後のコアにおけるBiの酸化物の含有量は、Bi換算で上記添加量の5〜40%(重量比)程度、焼成後のコアにおけるMoの酸化物の含有量は、MoO換算で上記添加量の5〜40%(重量比)程度である。
本実施形態においては、焼結後におけるフェライトコア1の平均結晶粒子径は、40μmより大きく、120μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以上、80μm以下である。平均結晶粒子径が小さすぎると、初透磁率μiが低下してしまい、高透磁率が要求される用途に使用できなくなる傾向にある。一方、大きすぎると、損失が増大してしまい、特に、高周波帯域での使用が困難となってしまう。
なお、本実施形態においては、焼結後の平均結晶粒径を、40μmより大きく、120μm以上と比較的に大きくする。そのため、平均結晶粒径を比較的に大きくする際にも、粒径が比較的に均一になるように、上記所定量のMoの酸化物を含有させる必要がある。
なお、本発明において、フェライトを構成する粒子の平均結晶粒径は、たとえば、以下に説明する方法により、測定することが可能である。
まず、画像解析によりフェライトを構成する個々の粒子の断面積を求める。次いで、個々の粒子の断面積と同じ断面積を有する円の直径の長さを求める。そして、この直径の値にπ/2を乗じることにより算出される値を、個々の粒子の結晶粒径とし、この平均を計算することにより、平均結晶粒子径を算出する。すなわち、この方法においては、粒子の形状を球と仮定することにより平均結晶粒径を算出する。
さらに、本実施形態のフェライトコア1は、コア表面におけるZnOの含有量をαmol%、コア内部におけるZnOの含有量をβmol%としたときに、ZnOの含有量の差(β−α)が、−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%、好ましくは−0.6mol%≦β−α≦0.6mol%である。ZnOの含有量の差(β−α)を上記所定範囲とすることにより、広帯域にわたり、高い初透磁率μiを示すことができる。また、ZnOの含有量の差(β−α)が上記範囲外となると、コア表面とコア内部との間におけるZnO含有量の差に起因して、フェライトコア内部における応力が大きくなってしまい、結果として、初透磁率μiが低下してしまう傾向にある。
なお、コア表面のZnOの含有量αmol%、およびコア内部のZnOの含有量βmol%は、たとえば以下の方法により測定することができる。
すなわち、たとえば研削機を用いて、深さ100μm程度まで、コア表面を削り、コア内部測定用の試料を準備する。そして、準備したコア内部測定用の試料と、コア表面を削っていない通常のフェライトコア試料とに対し、測定装置として蛍光X線やEPMAなどを使用して、ZnOの含有量を測定することにより求めることができる。
本実施形態においては、所定組成の主成分を有し、所定の副成分とを含有し、かつ、フェライト表面におけるZnOの含有量と、フェライト内部におけるZnOの含有量との差を、上記範囲とすることにより、広帯域において高い初透磁率μiを達成することができる。そのため、周波数150kHzにおける初透磁率μiを、11000以上、より好ましくは12000以上、周波数500kHzにおける初透磁率μiを、3000以上、より好ましくは4000以上とすることができる。
フェライトコア1の製造方法
本実施形態のフェライトコア1を製造する方法としては、まず、各原料粉末を秤量・混合し、これを仮焼し、仮焼物を所定の平均粒径、粒度分布になるように粉砕する。次いで、粉砕材料を造粒し、得られる造粒物を所定の形状に成形し、その後、この成形体を所定条件下で焼成し、焼成により得られた焼結体に所定の加工を施すことにより製造する。
以下、製造方法について具体的に説明する。
まず、出発原料として、上記した主成分の原料と、副成分の原料とを準備する。主成分および副成分の原料としては、上記した各酸化物あるいは焼成後にこれらの酸化物となる原料が挙げられ、このような焼成後に酸化物になる化合物としては、炭酸塩、ハロゲン化合物、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等が例示される。なお、必要に応じて、上記以外のその他の副成分を添加することができる。このような必要に応じて添加させる副成分の添加時期としては、特に限定はされないが、たとえば配合時、仮焼後の粉砕時等が挙げられる。
次に、準備した各主成分の原料、副成分の原料を秤量し、焼成後の最終的な組成において、目的の組成となるように調整する。なお、この原料混合物中には、原料中の不可避的不純物元素が含まれていても良く、このような元素としては、B、Al、P、Cr、Co、Na、K、S、Clなどが挙げられる。初透磁率などの磁気特性への影響を抑えるためには、これら各元素の組成物全体に対する重量比率が500ppm以下であることが好ましい。
次に、主成分原料と副成分原料との混合物を、仮焼する。仮焼きは、原料の熱分解、成分の均質化、フェライトの生成、焼結による超微粉の消失と適度の粒子サイズへの粒成長を起こさせ、原料混合物を後工程に適した形態に変換するために行われる。仮焼は酸化性雰囲気中、通常は空気中で行われる。仮焼温度は800〜1000℃、仮焼時間は1〜3時間とすることが好ましい。
次いで、上記にて得られた仮焼き材料に、粉砕を行い、粉砕材料を得る。粉砕は、仮焼き材料の凝集をくずして適度の焼結性を有する粉体を製造するために行われる。仮焼き材料が大きい塊を形成しているときには、粗粉砕を行ってからボールミルやアトライターなどを用いて湿式粉砕を行う。
次いで、粉砕材料の造粒(顆粒)を行い、造粒物を得る。造粒は、粉砕材料を適度な大きさの凝集粒子とし、成形に適した形態に変換するために行われる。こうした造粒法としては、たとえば、加圧造粒法やスプレードライ法などが挙げられる。スプレードライ法は、粉砕材料に、ポリビニルアルコールなどの通常用いられる結合剤を加えた後、スプレードライヤー中で霧化し、乾燥する方法である。
次いで、造粒物を所定形状に成形し、焼成前のフェライト成形体10を得る。造粒物を成形する方法としては、たとえば、乾式成形法、湿式成形法、押出成形法などが挙げられる。乾式成形法は、造粒物を、金型に充填して圧縮加圧(プレス)することにより行う成形法である。成形体の形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜決定すればよい。
次いで、フェライト成形体10の焼成を行い、焼結体を得る。焼成は、多くの空隙を含んでいる成形体の粉体粒子間に、融点以下の温度で粉体が凝着する焼結を起こさせ、緻密な焼結体を得るために行われる。
本実施形態においては、焼成は、以下のように行う。
すなわち、複数のフェライト成形体10と、組成調整用の成形体11とを、図2および図3に示すように、セッター20上に重ねて配置し、これらの成形体10,11を、セッター20に乗せた状態で焼成する。特に、本実施形態においては、フェライト成形体10よりもZnO含有量が多い組成調整用の成形体11を、複数のフェライト成形体10の最上部、かつ中央部に配置して焼成を行う。
このように、フェライト成形体10よりもZnO含有量が多い組成調整用の成形体11を配置することにより、焼成時に、この組成調整用の成形体11から、ZnOを揮発させることができ、揮発させたZnOにより、焼成雰囲気中のZnO濃度を制御することが可能となる。そのため、焼成雰囲気により、フェライト成形体10の表面付近のZnOの含有量を制御することができ、結果として、焼結後のフェライトコア1の表面におけるZnOの含有量αmol%と、フェライトコア1の内部におけるZnOの含有量βmol%との差(β−α)を一定の範囲とすることができる。
本実施形態においては、このように焼成時のZnO雰囲気を調整することにより、コア表面におけるZnOの含有量αmol%と、コア内部におけるZnOの含有量βmol%とを所定範囲とすることにより、コア内のZnO濃度の差に起因する応力を解消することができる。その結果、コア内にかかる応力が原因となる電磁気特性の低下、特に初透磁率の低下を有効に防止することができる。
なお、組成調整用の成形体11中のZnO含有量は、焼成条件にあわせて適宜選択すればよく、特に限定されないが、フェライト成形体10のZnO含有量に対して、0.5mol%以上とすることが好ましく、0.5〜4mol%多くすることがより好ましく、さらに好ましくは2mol%〜4mol%多くする。組成調整用の成形体11中におけるZnO含有量が少なすぎると、焼成雰囲気中におけるZnO濃度が低くなってしまう傾向にあり、フェライト成形体10からのZnOの揮発が発生しやすくなる傾向にある。一方、組成調整用の成形体11中におけるZnO含有量が多すぎると、焼成雰囲気中におけるZnO濃度が高くなりすぎてしまい、フェライト成形体10表面にZnOが吸着してしまうおそれがある。
また、セッター20の材質としては、特に限定されないが、フェライト材料からなるものとすることが好ましく、特に、フェライト成形体10と同じ組成とすることが好ましい。
焼成時の高温保持工程における安定温度(焼成温度)は、好ましくは1300〜1370℃、より好ましくは1330〜1350℃とする。焼成温度が低すぎると、焼結後の結晶粒子径が小さくなってしまい、初透磁率μiが低下し、高透磁率の要求される用途への使用が困難となってしまう。一方、焼成温度が高すぎると、結晶粒子径が大きくなりすぎてしまう傾向にある。
なお、本発明者等の知見によると、焼成温度を高くすると、フェライト成形体10からのZnOの揮発が発生しやすくなる傾向にあり、初透磁率μiが低下してしまう。また、その一方で、焼成温度を低くすると、平均結晶粒径が小さくなってしまい、同様に初透磁率μiが低下してしまう。そのため、本発明においては、高い初透磁率μiを得るために、上述のように焼結後の平均結晶粒径を40〜120μmとし、かつ、コア表面とコア内部とのZnOの含有量の差(β−α)を一定範囲とするために、焼成温度を上記範囲とし、かつ、上記方法により焼成雰囲気中のZnO濃度を制御することが好ましい。
また、焼成時における打ち込み雰囲気中における酸素濃度POは5〜60%とすることが好ましく、より好ましくは、10〜40%とする。焼成時の酸素濃度が低すぎると、焼結が不十分となってしまう傾向にあり、一方、酸素濃度が高すぎると、結晶粒子径の制御が困難になる傾向にある。
さらに、本実施形態においては、焼成時における打ち込み雰囲気が、直接フェライト成形体10にあたらないように制御することが好ましい。打ち込み雰囲気をこのように制御することにより、焼成雰囲気を略一定に保つことができる。
なお、その他の焼成の条件としては、好ましくは、昇温速度:50〜300℃/hr、焼成時間:2〜8時間程度とする。
このような工程を経て、本実施形態に係るフェライトコア1は製造される。
焼成後は、必要に応じて、表面研削,ラッピング,ポリッシッング,バレル加工,超音波加工等の手段により、エッジ部のバリを除去する処理を施す。
本実施形態においては、フェライトコア1は、上記所定の主成分組成を有し、かつ、副成分として、所定量のSi、Ca、BiおよびMoの各酸化物を含有し、コア表面におけるZnOの含有量αmol%と、コア内部におけるZnOの含有量βmol%との差(β−α)が、−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%としてある。そのため、広帯域にわたり、高い初透磁率を示すフェライトコア1を得ることができ、特に150kHz程度の低周波領域において、高い初透磁率を示すフェライトコア1を得ることができる。このような本実施形態のフェライトコア1は、ラインフィルタ用のコアとして好適に用いることができる。
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施形態では、図1に示すトロイダル形状を有するフェライトコアを例示したが、その形状は特に限定されず、種々の形状を採用することができる。具体的には、FT型、ET型、EI型、UU型、EE型などが例示される。
また、上述した実施形態では、焼成時にフェライト成形体10と組成調整用の成形体11とを、同時焼成することにより、フェライト成形体10および焼成後のフェライトコア1のZnO含有量を調整したが、ZnO含有量を調整する方法としては、特に限定されず、たとえば、以下に示すような方法を採用することができる。
すなわち、焼成雰囲気を調整するための打ち込み雰囲気中に、気体状のZnOを所定量含有させることによりZnO含有量を調整することも可能である。なお、この方法においては、打ち込み雰囲気中に含有させるZnOの濃度を調整することにより、フェライト成形体10および焼成後のフェライトコア1のZnO含有量を制御することができる。
また、上述した実施形態では、焼成時に使用する組成調整用の成形体11を、フェライト成形体10の最上部、かつ、中央部に1個配置したが、その配置位置や数は特に限定されず、ZnO濃度が制御可能な位置を選択して適宜配置すればよい。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
まず、出発原料として、Fe、MnO、ZnO、SiO、CaO、Bi、MoOを準備した。
次に、これらの原料を、以下の組成比にて配合し、次いで、仮焼および粉砕を行いMn−Zn系フェライト材料を調製した。
Fe:52.9mol%、MnO:24.9mol%、ZnO:22.2mol%、SiO:0.010重量%、CaO:0.030重量%、Bi:0.03重量%、MoO:0.03重量%。
なお、配合、仮焼および粉砕は以下の条件にて行った。
・配合および粉砕用ポット:ステンレスボールミルポット使用
・配合および粉砕用メディア:スチールボール使用
・配合、粉砕時間:2.5時間
・仮焼条件:900℃、2時間、大気中
次いで、得られたMn−Zn系フェライト材料100重量部にバインダーとしてのポリビニルアルコールを1.0重量部添加して、造粒して造粒物とし、加圧成形することにより、成形体密度3.0g/cm、T31形状(外形31mm、内径19mm、高さ8mmのトロイダル形状)の成形体とした。
上記にて得られた成形体を高温保持工程における焼成温度(保持温度)を1370℃にて、焼成を行った。なお、焼成時においては、フェライトコア表面におけるZnOの含有量αmol%と、フェライトコア内部におけるZnOの含有量βmol%との差(β−α)を変化させるために、保持時における前半部のPOを0〜60%と変化させ、PO条件の異なる焼結体試料1〜4を作製した。PO条件の調整は、焼成雰囲気中への打ち込み雰囲気の導入方法を変更することにより行った。そして、得られた各試料について、以下の方法により、ZnOの含有量差(β−α)、平均結晶粒子径、および初透磁率μiを測定した。
ZnOの含有量差(β−α)
得られた焼結体の表面、および表面から中心部方向に100μm以上削った部分について、蛍光X線(島津製作所製 XMF−2100)にて、コア表面部のZnOの含有量αmol%、よびコア中心部のZnOの含有量βmol%を測定した。そして、得られた測定結果より、ZnOの含有量差(β−α)を求めた。なお、測定は、深さ100μmの範囲について行った。結果を表1に示す。
平均結晶粒子径の測定
得られたトロイダル形状の焼結体において、2500μm以上の範囲について、以下の測定を行うことにより平均結晶粒子径の測定を行った。
すなわち、まず、結晶粒子のピクセル数を面積に変換する方法による画像解析により個々の結晶粒子の断面積を求めた。次いで、個々の粒子の断面積と同じ断面積を有する円の直径の長さを求めた。そして、この直径の値にπ/2を乗じることにより算出される値を、個々の粒子の結晶粒径とし、この平均を計算することにより、平均結晶粒子径を算出した。
初透磁率μiの測定
得られたトロイダル形状の焼結体に銅線ワイヤーを10ターン巻きつけ、インピーダンスアナライザ(ヒューレットパッカード 4284A)を使用して、初透磁率μiを測定した。測定条件としては、測定周波数150kHz、500kHz(合計2条件)、測定温度25℃、測定レベル0.5mAとした。結果を表1に示す。なお、本実施例においては、150kHzにおける初透磁率μiが11000以上、かつ、500kHzにおける初透磁率μiが3000以上を良好とした。
Figure 2006165479
表1の結果より、ZnOの含有量差(β−α)が、−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%である本発明の実施例の試料2〜4は、いずれも150kHzにおける初透磁率μiが11000以上、500kHzの初透磁率μiが3000以上となり、良好な結果であった。なお、ZnOの含有量差(β−α)が、0に近くなるほど、150kHz、500kHzいずれも初透磁率が高くなり、より良好な結果になることが確認でき、なかでも、ZnOの含有量差(β−α)が0.22mol%であった試料4は、特に良好な結果となった。
これに対して、ZnOの含有量差(β−α)が、1.27mol%であった比較例の試料1は、各成分の添加量を、実施例の試料2〜4と同じにしたにもかかわらず、150kHzにおける初透磁率μiが、11000を大幅に下回る結果となった。
この結果より、広帯域において(具体的には、150kHzおよび500kHzにおいて)、高い初透磁率を達成するためには、所定組成を有し、かつ、ZnOの含有量差(β−α)を、−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%とすることが望ましいことが確認できた。
実施例2
主成分組成を表2に示す各組成とした以外は、実施例1の試料4と同様にして、トロイダル形状の焼結体試料5〜16を作製し、実施例1と同様にして、ZnOの含有量差(β−α)、平均結晶粒子径、および初透磁率μiを測定した。結果を表2に示す。
Figure 2006165479
表2の結果より、ZnOの含有量差(β−α)が、−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%であり、かつ、主成分の組成が、本願発明の所定範囲内である実施例の試料4,6〜9,12〜15は、いずれも150kHzにおける初透磁率μiが11000以上、500kHzの初透磁率μiが3000以上となり、良好な結果であった。
これに対して、Feの含有量を51.7mol%とした比較例の試料5、およびZnOの含有量を19.6mol%とした比較例の試料11は、いずれも150kHzの初透磁率μiが、11000未満となる結果となった。一方、Feの含有量を54.5mol%とした比較例の試料10、およびZnOの含有量を25.4mol%とした比較例の試料16は、いずれも500kHzの初透磁率μiが、3000未満となる結果となった。
これらの結果より、広帯域において(具体的には、150kHzおよび500kHzにおいて)、高い初透磁率を達成するためには、ZnOの含有量差(β−α)を−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%とするだけでなく、主成分組成を、本発明の範囲内とする必要があることが確認できる。
実施例3
Siの酸化物の添加量を表3に示すように変化させた以外は、実施例1の試料4と同様にして、トロイダル形状の焼結体試料17〜21を作製し、実施例1と同様にして、ZnOの含有量差(β−α)、平均結晶粒子径、および初透磁率μiを測定した。結果を表3に示す。
Figure 2006165479
表3の結果より、ZnOの含有量差(β−α)が、−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%であり、かつ、Siの酸化物の添加量を、SiO換算で0.005〜0.018重量%とした実施例の試料4,17〜20は、いずれも150kHzにおける初透磁率μiが11000以上、500kHzの初透磁率μiが3000以上となり、良好な結果であった。
これに対して、Siの酸化物の添加量を、0.020重量%とした比較例の試料21は、150kHzの初透磁率μiが11000未満となり、さらに、500kHzの初透磁率μiが3000未満となる結果となった。
これらの結果より、広帯域において(具体的には、150kHzおよび500kHzにおいて)、高い初透磁率を達成するためには、ZnOの含有量差(β−α)を−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%とするだけでなく、Siの酸化物の添加量を、SiO換算で0.005〜0.018重量%とする必要があることが確認できる。
実施例4
Caの酸化物の添加量を表4に示すように変化させた以外は、実施例1の試料4と同様にして、トロイダル形状の焼結体試料22〜26を作製し、実施例1と同様にして、ZnOの含有量差(β−α)、平均結晶粒子径、および初透磁率μiを測定した。結果を表4に示す。
Figure 2006165479
表4の結果より、ZnOの含有量差(β−α)が、−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%であり、かつ、Caの酸化物の添加量を、CaO換算で0.006〜0.045重量%とした実施例の試料4,22〜25は、いずれも150kHzにおける初透磁率μiが11000以上、500kHzの初透磁率μiが3000以上となり、良好な結果であった。
これに対して、Caの酸化物の添加量を0.056重量%とした比較例の試料26は、150kHzの初透磁率μiが11000未満となる結果となった。
これらの結果より、広帯域において(具体的には、150kHzおよび500kHzにおいて)、高い初透磁率を達成するためには、ZnOの含有量差(β−α)を−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%とするだけでなく、Caの酸化物の添加量を、CaO換算で0.006〜0.045重量%とする必要があることが確認できる。
実施例5
Biの酸化物の添加量を表5に示すように変化させた以外は、実施例1の試料4と同様にして、トロイダル形状の焼結体試料27〜31を作製し、実施例1と同様にして、ZnOの含有量差(β−α)、平均結晶粒子径、および初透磁率μiを測定した。結果を表5に示す。
Figure 2006165479
表5の結果より、ZnOの含有量差(β−α)が、−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%であり、かつ、Biの酸化物の添加量を、Bi換算で0重量%より多く、0.06重量%以下とした実施例の試料4,27〜30は、いずれも150kHzにおける初透磁率μiが11000以上、500kHzの初透磁率μiが3000以上となり、良好な結果であった。
これに対して、Biの酸化物の添加量を0.07重量%とした比較例の試料31は、500kHzの初透磁率μiが3000未満となる結果となった。
これらの結果より、広帯域において(具体的には、150kHzおよび500kHzにおいて)、高い初透磁率を達成するためには、ZnOの含有量差(β−α)を−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%とするだけでなく、Biの酸化物の添加量を、Bi換算で、0重量%より多く、0.06重量%以下とする必要があることが確認できる。
なお、本実施例においては、フェライト焼結体試料4,27〜31について、蛍光X線(島津製作所製 XMF−2100)を使用して、Biの酸化物の含有量をそれぞれ測定した。その結果、Biの酸化物の焼結後における含有量は、焼成前の添加量と比較して、重量比で5〜40%となっていた。
実施例6
Moの酸化物の添加量を表6に示すように変化させた以外は、実施例1の試料4と同様にして、トロイダル形状の焼結体試料32〜36を作製し、実施例1と同様にして、ZnOの含有量差(β−α)、平均結晶粒子径、および初透磁率μiを測定した。結果を表6に示す。
Figure 2006165479
表6の結果より、ZnOの含有量差(β−α)が、−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%であり、かつ、Moの酸化物の添加量を、MoO換算で0重量%より多く、0.08重量%以下とした実施例の試料4,32〜35は、いずれも150kHzにおける初透磁率μiが11000以上、500kHzの初透磁率μiが3000以上となり、良好な結果であった。
これに対して、Moの酸化物の添加量を、0.09重量%とした比較例の試料36は、150kHzの初透磁率μiが、11000未満となる結果となった。
これらの結果より、広帯域において(具体的には、150kHzおよび500kHzにおいて)、高い初透磁率を達成するためには、ZnOの含有量差(β−α)を−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%とするだけでなく、Moの酸化物の添加量を、MoO換算で、0重量%より多く、0.08重量%以下とする必要があることが確認できる。
なお、本実施例においては、フェライト焼結体試料4,32〜36について、蛍光X線(島津製作所製 XMF−2100)を使用して、Moの酸化物の含有量をそれぞれ測定した。その結果、Moの酸化物の焼結後における含有量は、焼成前の添加量と比較して、重量比で5〜40%となっていた。
実施例7
焼成時の時間および温度を変化させて、焼結体試料の平均結晶粒径を表7に示すように変化させた以外は、実施例1の試料4と同様にして、トロイダル形状の焼結体試料37〜42を作製し、実施例1と同様にして、ZnOの含有量差(β−α)、平均結晶粒子径、および初透磁率μiを測定した。結果を表7に示す。
Figure 2006165479
表7の結果より、ZnOの含有量差(β−α)が、−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%であり、かつ、焼結体の平均結晶粒子径が40〜120μmである実施例の試料4,39〜41は、いずれも150kHzにおける初透磁率μiが11000以上、500kHzの初透磁率μiが3000以上となり、良好な結果であった。
これに対して、焼結体の平均結晶粒子径が25μm、37μmであった参考例の試料37,38は、いずれも150kHzの初透磁率μiが、11000未満となる結果となった。一方、焼結体の平均結晶粒子径が126μmであった参考例の試料42は、500kHzの初透磁率μiが、3000未満となる結果となった。
これらの結果より、広帯域において(具体的には、150kHzおよび500kHzにおいて)、高い初透磁率を達成するためには、ZnOの含有量差(β−α)を−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%とするだけでなく、焼結体の平均結晶粒子径を40〜120μmとすることが好ましいことが確認できた。
なお、上述の実施例1〜7においては、焼成雰囲気における酸素分圧を調整することにより、ZnOの含有量差(β−α)を制御した実施例を例示したが、図2、図3に示すように、組成調整用の成形体11を使用する方法を採用した場合にも、同様の結果が得られることが確認されている。
図1は本発明の一実施形態に係るフェライトコアを示す図である。 図2は本発明の一実施形態に係るフェライトコアの製造方法を説明するための図である。 図3は図2におけるIII−III線に沿う断面図である。
符号の説明
1… フェライトコア
10… フェライト成形体
11… 組成調整用の成形体
20… セッター

Claims (4)

  1. 主成分として、Feを52〜54mol%、ZnOを20〜25mol%含有し、残部が実質的にMnOであるMn−Zn系フェライトからなるフェライトコアであって、
    副成分として、前記フェライトコア全体100重量%に対して、
    Siの酸化物を、SiO換算で0.005〜0.018重量%、
    Caの酸化物を、CaO換算で0.006〜0.045重量%、
    Biの酸化物を、Bi換算で0〜0.06重量%(ただし、0は含まない)、
    Moの酸化物を、MoO換算で0〜0.08重量%(ただし、0は含まない)含有し、
    前記フェライトコアの表面におけるZnOの含有量をαmol%、前記フェライトコアの内部におけるZnOの含有量をβmol%としたときに、ZnOの含有量の差(β−α)が、−1.0mol%≦β−α≦1.0mol%であることを特徴とするフェライトコア。
  2. 前記フェライトコアを構成する結晶粒子の平均結晶粒子径が、40μmより大きく、120μm以下である請求項1に記載のフェライトコア。
  3. 周波数150kHzにおける初透磁率μiが、11000以上、周波数500kHzにおける初透磁率μiが、3000以上である請求項1または2に記載のフェライトコア。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のフェライトコアを含有するラインフィルタ。

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