JP2010285310A - フェライト組成物、フェライトコアおよび電子部品 - Google Patents

フェライト組成物、フェライトコアおよび電子部品 Download PDF

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【課題】高周波領域(たとえば、1MHz以上)においても電力損失Pcvが小さく、かつ飽和磁束密度および比抵抗が高いフェライト組成物と、該フェライト組成物で構成してあるフェライトコアと、該フェライトコアを有する電子部品とを提供すること。
【解決手段】主成分として、酸化鉄をFe換算で46.0〜49.89モル%、酸化銅をCuO換算で2.3〜19.0モル%、酸化亜鉛をZnO換算で22.0〜27.5モル%を含有し、残部が酸化ニッケルで構成され、主成分100モル%に対して、副成分として、リンをP換算で2〜63ppm、酸化ジルコニウムをZrO換算で43〜5980ppm、酸化コバルトをCoO換算で0.05〜2重量%含有することを特徴とするフェライト組成物。また、主成分中に、さらに酸化マンガンがMn換算で0.01〜2.1モル%を含有されてもよい。
【選択図】なし

Description

本発明は、トランス、チョークコイルおよびインダクタなどのフェライトコアの製造に好適なフェライト組成物と、該組成物から構成されるフェライトコアと、該フェライトコアのたとえば周囲に巻き線が巻回してあるコイル部品などの電子部品と、に関する。
近年、携帯機器等の各種電子機器の小型・軽量化が急速に進み、それに対応すべく、各種電子機器の電気回路に用いられる電子部品の小型化・高効率化・高周波数化への要求が急速に高まっている。
たとえば液晶バックライト用トランスなどは、ディスプレーの薄型化に伴い、より小さく、より薄い形状で、従来のものと同等以上の特性を持つことが要求されている。このようなトランスに用いられるコアに要求される特性としては、たとえば、使用周波数領域および使用温度領域での電力損失が小さいこと、飽和磁束密度が高いこと、比抵抗が高いことが挙げられる。従来、このようなトランスに用いられるコアの材料としては、電力損失の小さいMn−Zn系フェライトが多く使用されてきた。
しかしながら、Mn−Zn系フェライトは、比抵抗が低く、直巻線ができないことから小型化・薄型化には限界があった。また、使用周波数が高周波数になるほど、渦電流損失が増加するため、高周波数領域、たとえば、MHz領域における使用には適していないという問題があった。
これに対し、Ni−Zn系フェライトは、上記のMn−Zn系フェライトに比べて電力損失が大きいものの、比抵抗が高く、直巻線が可能である。このため、Ni−Zn系フェライトの低損失化を図るための種々の提案がなされている。
たとえば、特許文献1では、主成分として、酸化鉄をFe換算で46.0〜49.95モル%、酸化銅をCuO換算で2.3〜12.0モル%、酸化亜鉛をZnO換算で24.0〜30.0モル%、酸化マンガンをMn換算で0.01〜3.5モル%を含み、残部が酸化ニッケルで構成され、副成分として、リンをP換算で2〜63ppm、酸化タングステンをWO換算で0.001〜0.5wt%含む酸化物磁性材料が提案されている。
しかしながら、上記の酸化物磁性材料は50kHzにおける電力損失を改善しているものの、高周波領域、たとえば、MHz領域における電力損失については何ら考慮されておらず、高周波領域における低損失の実現が望まれていた。
特開2003−321272号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、高周波領域(たとえば、1MHz以上)においても電力損失Pcvが小さく、かつ飽和磁束密度および比抵抗が高いフェライト組成物と、該フェライト組成物で構成してあるフェライトコアと、該フェライトコアを有する電子部品とを、提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るフェライト組成物は、
主成分として、酸化鉄をFe換算で46.0〜49.89モル%、酸化銅をCuO換算で2.3〜19.0モル%、酸化亜鉛をZnO換算で18.0〜23.5モル%を含有し、残部が酸化ニッケルで構成され、
前記主成分100モル%に対して、副成分として、リンをP換算で2〜63ppm、酸化ジルコニウムをZrO換算で43〜5980ppm、酸化コバルトをCoO換算で0.05〜2重量%含有することを特徴とする。
あるいは、本発明に係るフェライト組成物は、
主成分として、酸化鉄をFe換算で46.0〜49.89モル%、酸化銅をCuO換算で2.3〜19.0モル%、酸化亜鉛をZnO換算で18.0〜23.5モル%、酸化マンガンをMn換算で0.01〜2.1モル%を含有し、残部が酸化ニッケルで構成され、
前記主成分100モル%に対して、副成分として、リンをP換算で2〜63ppm、酸化ジルコニウムをZrO換算で43〜5980ppm、酸化コバルトをCoO換算で0.05〜2重量%含有することを特徴とする。
主成分を構成する酸化物の含有量を上記の範囲とし、さらに副成分としてリン、酸化ジルコニウムおよび酸化コバルトを上記の範囲で含有させることにより、飽和磁束密度Bsおよび比抵抗を高く保ちつつ、高周波領域(たとえば、1MHz以上)においても電力損失(コアロス)を低減させることができる。
このような効果が得られる理由は必ずしも明らかではないが、リン、酸化ジルコニウムおよび酸化コバルトを上記の範囲で共存させることで得られる複合的な効果が大きく影響していると考えられる。
主成分中に酸化マンガンが含有される場合には、好ましくは、前記酸化鉄および前記酸化マンガンの合計含有量が、Fe換算およびMn換算で、51.0モル%以下である。
前記酸化鉄および前記酸化マンガンの合計含有量を上記の範囲とすることで、上述した効果をさらに高めることができる。
本発明に係るフェライトコアは、上記のいずれかに記載のフェライト組成物から構成され、1MHz以上の周波数領域で使用される。
本発明に係る電子部品は、上記のフェライトコアを有する電子部品である。
本発明に係る電子部品としては、特に制限されないが、コイル部品、トランス部品、磁気ヘッド部品などが挙げられる。コイル部品としては、インダクタやチョークコイル等が挙げられ、トランス部品としては、スイッチング用、インバータ用等の電源トランス等が挙げられる。
なお、使用される周波数の上限については特に制限されないが、本発明に係るフェライトコアや電子部品が用いられる機器の使用周波数を考慮すると、20MHz程度である。
本発明によると、飽和磁束密度および比抵抗を高く維持しつつ、高周波領域(たとえば、1MHz以上)においても、電力損失(コアロス)が低減されたフェライト組成物を得ることができる。
このようなフェライト組成物を、フェライトコアおよび電子部品に適用することで、小型化、高効率化、高周波数化を実現することができる。
図1は本発明の一実施形態に係るトランス用フェライトコアである。
以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。
本実施形態に係るトランス用フェライトコアとしては、図1に示したトロイダル型のほか、FT型、ET型、EI型、UU型、EE型、EER型、UI型、ドラム型、ポット型、カップ型等を例示することができる。このトランス用フェライトコアの周囲に巻き線を所定巻数だけ巻回することにより所望のトランスを得る。
本実施形態に係るトランス用フェライトコアは、本実施形態に係るフェライト組成物で構成してある。
本実施形態に係るフェライト組成物は、Ni−Cu−Zn系フェライトであり、主成分として、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛および酸化ニッケルを含有している。また、必要に応じて酸化マンガンを含有してもよい。
主成分100モル%中、酸化鉄の含有量は、Fe換算で、46.0〜49.89モル%、好ましくは47.0〜49.0モル%、より好ましくは47.5〜48.5モル%である。酸化鉄の含有量が少なすぎると、電力損失(コアロス)が増加する傾向にある。多すぎると、比抵抗が低下すると共に、電力損失が増加する傾向にある。
主成分100モル%中、酸化銅の含有量は、CuO換算で、2.3〜19.0モル%、好ましくは3.0〜15.0モル%、より好ましくは4.0〜10.0モル%である。酸化銅の含有量が少なすぎると、焼結性が低下し、その結果、電力損失が増加する傾向にある。多すぎると、飽和磁束密度が低下し、電力損失が増加する傾向にある。
主成分100モル%中、酸化亜鉛の含有量は、ZnO換算で、18.0〜23.5モル%、好ましくは19.0〜23.0モル%、より好ましくは20.0〜21.5モル%である。酸化亜鉛の含有量が少なすぎると、電力損失が増加する傾向にある。多すぎると、飽和磁束密度が低下すると共に、電力損失も増加する傾向にある。
主成分の残部は、酸化ニッケルのみから構成されていてもよいし、酸化ニッケルと酸化マンガンとから構成されていてもよい。
主成分の残部に、酸化マンガンが含有される場合には、主成分100モル%中、酸化マンガンの含有量は、Mn換算で、好ましくは0.01〜2.1モル%、より好ましくは0.03〜1.6モル%、さらに好ましくは0.05〜0.6モル%である。酸化マンガンの含有量が、多すぎても少なすぎても、電力損失が増加する傾向にある。
通常、マンガンは、酸化鉄中に酸化マンガンの形態で不可避的不純物として含有されているが、上記の範囲内であれば、酸化マンガンを含有させてもよい。
また、主成分中に酸化マンガンが含有されている場合には、酸化鉄および酸化マンガンの合計含有量(Fe+Mn)が、Fe換算およびMn換算で、51.0モル%以下であることが好ましく、50.0モル%以下であることがより好ましい。酸化鉄および酸化マンガンの合計含有量の上限を上記の範囲とすることで、良好な特性を得ることができる。
本実施形態に係るフェライト組成物は、上記の主成分に加え、副成分として、リン、酸化ジルコニウムおよび酸化コバルトを含有している。
リンの含有量は、主成分100モル%に対して、P換算で、2〜63ppm、好ましくは3〜30ppm、より好ましくは5〜10ppmである。リンの含有量が少なすぎると、焼結性が低下し、その結果、電力損失が増加する傾向にある。多すぎると、電力損失が増加する傾向にある。
酸化ジルコニウムの含有量は、主成分100モル%に対して、ZrO換算で、43〜5980ppm、好ましくは108〜3280ppm、より好ましくは220〜1530ppmである。酸化ジルコニウムの含有量が少なすぎると、電力損失が増加する傾向にある。多すぎると、電力損失が増加すると共に、飽和磁束密度が低下する傾向にある。
酸化コバルトの含有量は、主成分100モル%に対して、CoO換算で、0.05〜2重量%、好ましくは0.1〜1.5重量%、より好ましくは0.2〜1.0重量%である。酸化コバルトの含有量が少なすぎると、電力損失が増加する傾向にある。多すぎると、電力損失が増加すると共に、飽和磁束密度が低下する傾向にある。
本実施形態に係るフェライト組成物においては、主成分の組成範囲を上記の範囲に制御されていることに加え、副成分として、上記のリン、酸化ジルコニウムおよび酸化コバルトが特定量含有されている。その結果、飽和磁束密度および比抵抗は良好に維持しつつ、高周波数領域(たとえば、1MHz以上)における電力損失を低減させることができる。
なお、リン、酸化ジルコニウムまたは酸化コバルトが単独で含有されている場合には上記の効果は十分に得られない。また、リン、酸化ジルコニウムまたは酸化コバルトのうち、2種しか含有されていない場合も同様である。すなわち、上記の効果は、リン、酸化ジルコニウムおよび酸化コバルトの3種が特定量含有された場合に初めて得られる複合的な効果である。
また、本実施形態に係るフェライト組成物には、マンガン以外の不可避的不純物元素の酸化物が含まれ得る。
具体的には、B、C、Si、S、Cl、As、Se、Br、Te、Iや、Li、Na、Mg、Al、K、Ca、Ga、Ge、Sr、Cd、In、Sn、Sb、Ba、Pb、Bi等の典型金属元素や、Sc、Ti、V、Cr、Y、Nb、Mo、Pd、Ag、Hf、Ta等の遷移金属元素が挙げられる。
次に、本実施形態に係るフェライト組成物の製造方法の一例を説明する。
まず、出発原料(主成分の原料および副成分の原料)を、所定の組成比となるように秤量して混合し、原料混合物を得る。混合する方法としては、たとえば、ボールミルを用いて行う湿式混合や、乾式ミキサーを用いて行う乾式混合が挙げられる。なお、平均粒径が0.1〜3μmの出発原料を用いることが好ましい。
主成分の原料としては、酸化鉄(α−Fe )、酸化銅(CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニッケル(NiO)、必要に応じて酸化マンガン(Mn)、あるいは複合酸化物などを用いることができる。さらに、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物等を用いることができる。焼成により上記した酸化物になるものとしては、たとえば、金属単体、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、有機金属化合物等が挙げられる。
副成分の原料としては、リン(P)、酸化ジルコニウム(ZrO)および酸化コバルト(Co)を用いることができる。リンについては、リン酸(HPO)の形態で用いることが好ましい。酸化ジルコニウムおよび酸化コバルトについては、主成分の原料の場合と同様とすればよい。
なお、酸化コバルトの一形態であるCoは、保管や取り扱いが容易であることや、空気中でも価数が安定していることから、酸化コバルトの原料として好ましい。
次に、原料混合物の仮焼きを行い、仮焼き材料を得る。仮焼きは、原料の熱分解、成分の均質化、フェライトの生成、焼結による超微粉の消失と適度の粒子サイズへの粒成長を起こさせ、原料混合物を後工程に適した形態に変換するために行われる。こうした仮焼きは、好ましくは800〜1100℃の温度で、通常1〜3時間程度行う。仮焼きは、大気(空気)中で行ってもよく、大気中よりも酸素分圧が高い雰囲気や純酸素雰囲気で行っても良い。なお、主成分の原料と副成分の原料との混合は、仮焼きの前に行ってもよく、仮焼き後に行ってもよい。
次に、仮焼き材料の粉砕を行い、粉砕材料を得る。粉砕は、仮焼き材料の凝集をくずして適度の焼結性を有する粉体とするために行われる。仮焼き材料が大きい塊を形成しているときには、粗粉砕を行ってからボールミルやアトライターなどを用いて湿式粉砕を行う。湿式粉砕は、仮焼き材料の平均粒径が、好ましくは1〜2μm程度となるまで行う。
次に、粉砕材料の造粒(顆粒)を行い、造粒物を得る。造粒は、粉砕材料を適度な大きさの凝集粒子とし、成形に適した形態に変換するために行われる。こうした造粒法としては、たとえば、加圧造粒法やスプレードライ法などが挙げられる。スプレードライ法は、粉砕材料に、ポリビニルアルコールなどの通常用いられる結合剤を加えた後、スプレードライヤー中で霧化し、低温乾燥する方法である。
次に、造粒物を所定形状に成形し、成形体を得る。造粒物の成形としては、たとえば、乾式成形、湿式成形、押出成形などが挙げられる。乾式成形法は、造粒物を、金型に充填して圧縮加圧(プレス)することにより行う成形法である。成形体の形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜決定すればよいが、本実施形態ではトロイダル型形状とされる。
次に、成形体の本焼成を行い、焼結体(本実施形態のフェライト組成物)を得る。本焼成は、多くの空隙を含んでいる成形体の粉体粒子間に、融点以下の温度で粉体が凝着する焼結を起こさせ、緻密な焼結体を得るために行われる。こうした本焼成は、好ましくは900〜1300℃の温度で、通常2〜5時間程度行う。本焼成は、大気(空気)中で行ってもよく、大気中よりも酸素分圧が高い雰囲気で行っても良い。
このような工程を経て、本実施形態に係るフェライト組成物は製造される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
たとえば、上述した実施形態では、トロイダル型形状とするために、本焼成前に該形状に成形しているが、本焼成後に該形状に成形(加工)してもよい。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
まず、主成分の原料として、Fe、NiO、CuO、ZnO、Mnを準備した。副成分の原料として、HPO、ZrOおよびCoを準備した。また、参考のために、副成分の原料としてのWOも準備した。
次に、準備した主成分および副成分の原料の粉末を秤量した後、ボールミルで5時間湿式混合して原料混合物を得た。
次に、得られた原料混合物を、空気中において900℃で2時間仮焼して仮焼き材料とした後、ボールミルで20時間湿式粉砕して粉砕材料を得た。
次に、この粉砕材料を乾燥した後、該粉砕材料100重量%に、バインダーとしてのポリビニルアルコールを1.0重量%添加して造粒し、20メッシュの篩で整粒して顆粒とした。この顆粒を、100kPaの圧力で加圧成形して、トロイダル形状(寸法=外径18mm×内径10mm×高さ5mm)の成形体と、ディスク形状(寸法=直径25mm×厚さ5mm)の成形体を得た。
次に、これら各成形体を、空気中において、1000〜1250℃で2時間焼成して、焼結体としてのトロイダルコアサンプルおよびディスクコアサンプルを得た。得られたサンプルについて、蛍光X線分析を行い、フェライトコアの組成を測定した。なお、Coについては、Coの含有量としてではなく、CoOの含有量として測定した。結果を表1〜3に示す。また、リン(P)の含有量は吸光光度法により測定した。さらにサンプルに対し以下の特性評価を行った。
電力損失(Pcv)
得られたトロイダルコアサンプルに、1次巻線および2次巻線を5回ずつ巻回し、1MHz、10mT、23℃および50kHz、150mT、140℃での電力損失Pcvを測定した(単位:kW/m)。測定は、B−Hアナライザー(岩崎通信機株式会社製SY−8232)を用いて行った。1MHzにおけるPcvは28kW/m以下を良好とした。結果を表1〜3に示す。
なお、使用周波数が1MHz以上であるフェライトコアや電子部品は、たとえば携帯電話等に適用されるため、本実施例では、このような機器が通常用いられる温度領域においてPcvを測定した。
飽和磁束密度(Bs)
得られたトロイダルコアサンプルに、巻線を60回巻回した後、B−Hカーブトレーサー(理研電子株式会社製Model BHS40)を用いて4kA/mの磁場を印加したときの飽和磁束密度Bsを測定した(単位:mT)。Bsは420mT以上を良好とした。結果を表1〜3に示す。
比抵抗(ρ)
得られたディスクコアサンプルの両面に、In−Ga電極を塗り、直流抵抗値を測定し、比抵抗ρを求めた(単位:Ωm)。測定は、IRメーター(TOA Electronics社製SUPER MEGOHMMETER MODEL SM−5E)を用いて行った。ρは10Ωm以上を良好とした。結果を表1〜3に示す。
なお、表1〜3には、1MHzにおけるフェライトコアの性能指数を示すBs/Pcvも示した。Bs/Pcvは16.0以上を良好とした。
Figure 2010285310
Figure 2010285310
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表1より、副成分であるP、ZrOおよびCoOの3種が含有され、かつ含有量が本発明の範囲内である場合(実施例1〜17)、高周波領域(1MHz)において電力損失(Pcv)が良好となり、しかも高い飽和磁束密度(Bs)および比抵抗が得られる傾向にあることが確認された。これに対し、P、ZrOおよびCoOのうち、いずれか2種しか含有されていない場合(比較例1〜3、5〜7および9〜11)、あるいはP、ZrOおよびCoOの3種が含有されているが、そのうち1種の含有量が本発明の範囲外となっている場合(比較例4、8および12)には、全ての比較例において、1MHzにおける電力損失が悪化しており、さらに飽和磁束密度も低下している比較例も見られた。
また、表2より、CuOおよびZnOの含有量が本発明の範囲外となる場合(比較例13〜16)には、1MHzにおける電力損失が悪化する、あるいは飽和磁束密度が悪化する傾向が確認された。
さらに、表3より、FeおよびMnの含有量が本発明の範囲外である場合(比較例17〜21)には、1MHzにおける電力損失が悪化していることが確認された。
また、P、ZrOまたはCoOのうち、1種しか含有されていない場合(比較例22〜24)には、1MHzにおける電力損失が悪化していることが確認された。
なお、副成分として、WOを0.05wt%含有させた場合(実施例40および比較例25)には、1MHzにおける電力損失にはほとんど影響がないことが確認された。

Claims (5)

  1. 主成分として、酸化鉄をFe換算で46.0〜49.89モル%、酸化銅をCuO換算で2.3〜19.0モル%、酸化亜鉛をZnO換算で18.0〜23.5モル%を含有し、残部が酸化ニッケルで構成され、
    前記主成分100モル%に対して、副成分として、リンをP換算で2〜63ppm、酸化ジルコニウムをZrO換算で43〜5980ppm、酸化コバルトをCoO換算で0.05〜2重量%含有することを特徴とするフェライト組成物。
  2. 主成分として、酸化鉄をFe換算で46.0〜49.89モル%、酸化銅をCuO換算で2.3〜19.0モル%、酸化亜鉛をZnO換算で18.0〜23.5モル%、酸化マンガンをMn換算で0.01〜2.1モル%を含有し、残部が酸化ニッケルで構成され、
    前記主成分100モル%に対して、副成分として、リンをP換算で2〜63ppm、酸化ジルコニウムをZrO換算で43〜5980ppm、酸化コバルトをCoO換算で0.05〜2重量%含有することを特徴とするフェライト組成物。
  3. 前記酸化鉄および前記酸化マンガンの合計含有量が、Fe換算およびMn換算で、51.0モル%以下である請求項2に記載のフェライト組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のフェライト組成物から構成され、1MHz以上の周波数領域で使用されるフェライトコア。
  5. 請求項4に記載のフェライトコアを有する電子部品。
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