JP2014156383A - フェライト組成物、フェライトコアおよび電子部品 - Google Patents

フェライト組成物、フェライトコアおよび電子部品 Download PDF

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Abstract

【課題】 高いQ値を有し、温度に対してインダクタンス値(L値)の変化が少なく電子ペン用フェライトコアに好適なフェライト組成物と、該フェライト組成物で構成してあるフェライトコアと、該フェライトコアを有する電子部品とを、提供すること。
【解決手段】 主成分が、Feを47.0〜49.95モル%、CuOを1.0〜12.0モル%、ZnOを28.0〜35.0モル%、Mnを0.01〜2.4モル%含有し、残部が酸化ニッケルで構成されており、前記主成分100重量部に対して、副成分として、Pを2〜65ppm、ZrOを40〜4500ppm、CoOを50〜2500ppm含有し、さらに
Asの含有量が10ppm以下であり、FeおよびMnの合計含有量が、50.1モル%以下であることを特徴とするフェライト組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、特に電子ペン等に用いられるコイル部品の主要部(フェライト部)を構成するフェライト組成物と、該組成物から構成されるフェライトコアと、該フェライトコアの周囲に巻線がしてあるコイル部品などの電子部品に関する。
近年、携帯機器等の各種電子機器の小型化・軽量化が急速に進み、それに対応すべく、各種電子機器の電気回路に用いられる電子部品の小型化・高効率化・高周波数化への要求が急速に高まっている。
例えば、液晶バックライト用トランスなどは、ディスプレーの薄型化に伴い、より小さく、より薄い形状で、従来のものと同等以上の特性を持つことが要求されている。このようなトランスに用いられるコアに要求される特性としては、例えば、使用周波数領域および使用温度領域での電力損失が小さいこと、透磁率が高いこと、飽和磁束密度が高いこと、比抵抗が高いことが挙げられる。従来、このようなトランスに用いられるコアの材料としては、電力損失の小さいMn−Zn系フェライトが多く使用されてきた。
しかしながら、Mn−Zn系フェライトは、比抵抗が低く、直巻線ができないことから小型化・薄型化には限界があった。また、使用周波数が高周波数になるほど、渦電流損失が増加するため、高周波数領域、例えば、MHz領域における使用には適していないという問題があった。
これに対し、Ni−Zn系フェライトは、上記のMn−Zn系フェライトに比べて電力損失が大きいものの、比抵抗が高く、直巻線が可能である。このため、Ni−Zn系フェライトの低損失化を図るための種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1では、主成分として、酸化鉄をFe換算で46.0〜49.95モル%、酸化銅をCuO換算で2.3〜12.0モル%、酸化亜鉛をZnO換算で24.0〜30.0モル%、酸化マンガンをMn換算で0.01〜3.5モル%を含み、残部が酸化ニッケルで構成され、副成分として、リンをP換算で2〜63ppm、酸化タングステンをWO換算で0.001〜0.5wt%含む酸化物磁性材料が提案されている。
しかしながら、電子ペン用コアにおいては、使用周波数領域が概ね500〜700kHzであり、当該周波数領域での感度の向上が求められている。このような電子ペン用コアに要求される特性としては、例えば、使用周波数領域および使用温度領域でのQ値が高いこと、および温度に対してインダクタンス値(L値)の変化が少ないことが挙げられる。
ここで、上記の酸化物磁性材料は50kHzにおける電力損失を改善しているものの、電子ペン用コアの使用周波数領域である500〜700kHzにおいて、Q値が高いもの、および温度に対してインダクタンス値(L値)の変化が少ないものではない。
特開2003−321272号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、500〜700kHzにおいて高いQ値を有し、温度に対してL値の変化が少なく、電子ペンに用いて好適なフェライト組成物を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るフェライト組成物は、
主成分が、酸化鉄をFe換算で47.0〜49.95モル%、酸化銅をCuO換算で1.0〜12.0モル%、酸化亜鉛をZnO換算で28.0〜35.0モル%、酸化マンガンをMn換算で0.01〜2.4モル%を含有し、残部が酸化ニッケルで構成されており、前記主成分100重量部に対して、副成分として、リンをP換算で2〜65ppm、酸化ジルコニウムをZrO換算で40〜4500ppm、酸化コバルトをCoO換算で50〜2500ppm含有し、さらにAsの含有量が10ppm以下であり、
前記酸化鉄および前記酸化マンガンの合計含有量が、Fe換算およびMn換算で、50.1モル%以下であることを特徴とする。
主成分を構成する酸化物の含有量を上記の範囲とし、さらに副成分としてリン、酸化ジルコニウムおよび酸化コバルトを上記の範囲で含有させ、Asの含有量を上記の量以下に抑制することにより、本発明に係るフェライト組成物によれば、500〜700kHzの周波数領域におけるフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)を上昇させることができる。なお、フェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)とは、L値の温度に対する変化の少なさと、該フェライトを電子ペンに用いた場合の電子ペンの感度のよさを表す指標である。性能指数が大きいほど、L値の温度に対する変化が少なく、透磁率μおよびQ値が大きく、該フェライト組成物を電子ペン用フェライトコアに用いた場合に電子ペンの性能が高い。ここでΔLはフェライトの温度変化に対するL値の変化量である。
本発明の場合に、500〜700kHzの周波数領域におけるフェライトの性能指数が向上する理由は必ずしも明らかではないが、リン及び酸化ジルコニウムを所定の範囲で共存させること、酸化コバルトの含有量を所定の範囲に制御すること、Asの含有量を所定の量以下に抑制すること、酸化鉄および酸化マンガンの合計含有量を上記の範囲とすること等により得られる複合効果が大きく影響していると考えられる。
本発明に係るフェライトコアは、好ましくは上記のいずれかに記載のフェライト組成物から構成され、500〜700kHzの周波数領域で使用される。
本発明に係る電子部品は、好ましくは上記のフェライトコアを有する電子部品である。
本発明に係る電子部品としては、特に制限されないが、特に電子ペン用コイル部品が挙げられる。
特に、本発明に係るフェライトコアは、高い比抵抗ρ、高いQ値および高い透磁率μを有し、500〜700kHzにおけるフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)を所望の値以上とすることができる。このようなフェライトコアは、特に電子ペン用コアへの使用に好適である。
本発明によると、500〜700kHzにおいてQ値、透磁率、比抵抗を高く維持しつつフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)を所望の値以上とすることができるフェライト組成物を得ることができる。
このようなフェライト組成物を、電子ペン用コアのフェライト部材に適用することで、電子ペン用コイル部品の高感度化を実現し、電子ペンの高性能化を実現することができる。
図1は細長いトロイダル形状の電子ペン用コアである。 図2は細長い円柱形状のコアと、それより短い円柱形状のコアを組み合わせた電子ペン用コアである。
以下、本発明を図面に示す実施形態につき説明する。
本実施形態に係るフェライトコアとしては、図1に示した細長いトロイダル形状のフェライトコアを例示することができる。このフェライトコアの周囲に巻き線を所定巻数だけ巻回することにより所望の電子ペン用コイル部品を得る。
また、本実施形態に係る他のフェライトコアとしては、図2に示した細長い円柱形状のフェライトコアと、短い円柱形状のフェライトコアを例示することができる。細長い円柱形状のコアの周囲に巻線を所定巻数だけ巻回し、フェライトコア同士の間隔を変化可能に保持することにより所望の電子ペン用コイル部品を得る。
本実施形態に係るフェライトコアは、本実施形態に係るフェライト組成物で構成してある。
本実施形態に係るフェライト組成物は、Ni−Cu−Zn系フェライトコアであり、主成分として、酸化鉄、酸化銅、酸化亜鉛、酸化マンガンおよび酸化ニッケルを含有している。
主成分100モル%中、酸化鉄の含有量は、Fe換算で、47.0〜49.95モル%、好ましくは47.0〜49.6モル%、より好ましくは48.4〜49.4モル%である。酸化鉄の含有量が多すぎると、500〜700kHzにおけるフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)が低下する傾向にある。酸化鉄の含有量が少なすぎると、透磁率μが低下する傾向にある。
主成分100モル%中、酸化銅の含有量は、CuO換算で、1.0〜12.0モル%、好ましくは4.0〜12.0モル%である。酸化銅の含有量が多すぎても少なすぎても、500〜700kHzにおけるフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)が低下する傾向にある。
主成分100モル%中、酸化亜鉛の含有量は、ZnO換算で、28.0〜35.0モル%、好ましくは29.0〜34.0モル%、より好ましくは29.0〜32.0モル%である。酸化亜鉛の含有量が多すぎても少なすぎても、500〜700kHzにおけるフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)が低下する傾向にある。
主成分100モル%中、酸化マンガンの含有量は、Mn換算で、0.01〜2.4モル%、好ましくは0.1〜1.3モル%である。酸化マンガンの含有量が多すぎると、500〜700kHzにおけるフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)が低下する傾向にある。酸化マンガンの含有量が少なすぎると、500〜700kHzにおける透磁率μが低下する傾向にある。
また、主成分100モル%中、酸化鉄および酸化マンガンの合計含有量(Fe換算およびMn換算で、50.1モル%以下、好ましくは49.90モル%以下である。酸化鉄および酸化マンガンの合計含有量の上限を上記の範囲内とすることで、良好な特性を得ることができる。特に、酸化鉄および酸化マンガンの合計含有量(Fe+Mn)が、Fe換算で及びMn換算で、50.1モル%を超えると、比抵抗ρが低下する傾向にあり、さらに500〜700kHzにおけるフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)が低下する傾向にある。
主成分の残部は、酸化ニッケルのみから構成されていてもよい。
本実施形態に係るフェライト組成物は、上記の主成分に加え、副成分として、リン、酸化ジルコニウムおよび酸化コバルトを含有している。
リンの含有量は、主成分100重量部に対して、P換算で、2〜65ppm、好ましくは7〜30ppmである。リンの含有量が多すぎても少なすぎても、500〜700kHzにおけるフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)が低下する傾向にある。
酸化ジルコニウムの含有量は、主成分100重量%に対して、ZrO換算で、40〜4500ppm、好ましくは110〜1500ppmである。酸化ジルコニウムの含有量が多すぎても少なすぎても、500〜700kHzにおけるフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)が低下する傾向にある。
酸化コバルトの含有量は、主成分100重量%に対して、CoO換算で、50〜2500ppm、好ましくは100〜2500ppmである。酸化コバルトの含有量は、多すぎても少なすぎても、500〜700kHzにおけるフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)が低下する傾向にある。
また、本実施形態に係るフェライト組成物は、上記主成分および副成分の他に、Asの含有量が10ppm以下、好ましくは2〜5ppmである。Asの含有量が多すぎると、500〜700kHzにおけるフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)が低下する傾向にある。
この他、本実施形態に係るフェライト組成物には、原料中の不可避的不純物元素の酸化物が数ppm〜数百ppm程度、含まれ得る。
具体的には、B、C、S、Cl、Se、Br、Te、Iや、Li、Na、Mg、Al、K、Ga、Ge、Sr、In、Sn、Sb、Ba、Bi等の典型金属元素や、Sc、Ti、V、Cr、Y、Nb、Mo、Pd、Ag、Hf、Ta等の遷移金属元素が挙げられる。
本実施形態に係るフェライト組成物において、500〜700kHzの周波数領域におけるフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)を所望の値以上とすることにより、電子ペン用コアとして好適に用いることができる。
一方、500〜700kHzの周波数領域におけるフェライト組成物のQ値、ΔL/L値、透磁率μおよび比抵抗ρの個別の特性が、所定の評価基準を満足しない場合はもとより、満足する場合であっても、500〜700kHzの周波数領域におけるフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)が所望の値未満となる場合(すなわち、透磁率、Q値およびΔL/L値のバランスが悪い場合)には、電子ペン用コアに用いた場合に十分な感度が得られない等の不具合が生じる場合がある。
次に、本実施形態に係るフェライト組成物の製造方法の一例を説明する。
まず、出発原料(主成分の原料および副成分の原料)を、所定の組成比となるように秤量して混合し、原料混合物を得る。混合する方法としては、例えば、ボールミルを用いて行う湿式混合や、乾式ミキサーを用いて行う乾式混合が挙げられる。なお、平均粒径が0.1〜3μmの出発原料を用いることが好ましい。
主成分の原料としては、酸化鉄(α−Fe)、酸化銅(CuO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ニッケル(NiO)、必要に応じて酸化マンガン(Mn)、あるいは複合酸化物などを用いることができる。さらに、その他、焼成により上記した酸化物や複合酸化物となる各種化合物等を用いることができる。焼成により上記した酸化物になるものとしては、例えば、金属単体、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、ハロゲン化物、有機金属化合物等が挙げられる。
副成分の原料としては、リン(P)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化コバルト(CoO)およびAsを用いることができる。リンについては、リン酸(P)の形態で用いることが好ましい。酸化ジルコニウムおよび酸化コバルトについては、主成分の原料の場合と同様とすればよい。Asについては、主成分の原料の場合と同様としてもよく、あるいは、主成分の原料である酸化鉄、酸化亜鉛および酸化マンガン等に不純物として含まれていてもよい。この場合、Asの含有量の異なる種々の酸化鉄等の原料の使用量を調整することでAsの含有量を制御することができる。
次に、原料混合物の仮焼きを行い、仮焼き材料を得る。仮焼きは、原料の熱分解、成分の均質化、フェライトの生成、焼結による超微粉の消失と適度の粒子サイズへの粒成長を起こさせ、原料混合物を後工程に適した形態に変換するために行われる。こうした仮焼きは、好ましくは800〜1100℃の温度で、通常1〜3時間程度行う。仮焼きは、大気(空気)中で行ってもよく、大気中よりも酸素分圧が高い雰囲気や純酸素雰囲気で行っても良い。なお、主成分の原料と副成分の原料との混合は、仮焼きの前に行なってもよく、仮焼き後に行なってもよい。
次に、仮焼き材料の粉砕を行い、粉砕材料を得る。粉砕は、仮焼き材料の凝集をくずして適度の焼結性を有する粉体とするために行われる。仮焼き材料が大きい塊を形成しているときには、粗粉砕を行ってからボールミルやアトライターなどを用いて湿式粉砕を行う。湿式粉砕は、仮焼き材料の平均粒径が、好ましくは1〜2μm程度となるまで行う。
次に、粉砕材料の造粒(顆粒)を行い、造粒物を得る。造粒は、粉砕材料を適度な大きさの凝集粒子とし、成形に適した形態に変換するために行われる。こうした造粒法としては、例えば、加圧造粒法やスプレードライ法などが挙げられる。スプレードライ法は、粉砕材料に、ポリビニルアルコールなどの通常用いられる結合剤を加えた後、スプレードライヤー中で霧化し、低温乾燥する方法である。
次に、造粒物を所定形状に成形し、成形体を得る。造粒物の成形としては、例えば、乾式成形、湿式成形、押出成形などが挙げられる。乾式成形法は、造粒物を、金型に充填して圧縮加圧(プレス)することにより行う成形法である。成形体の形状は、特に限定されず、用途に応じて適宜決定すればよい。
次に、成形体の本焼成を行い、焼結体(本実施形態のフェライト組成物)を得る。本焼成は、多くの空隙を含んでいる成形体の粉体粒子間に、融点以下の温度で粉体が凝着する焼結を起こさせ、緻密な焼結体を得るために行われる。こうした本焼成は、好ましくは900〜1300℃の温度で、通常2〜5時間程度行う。本焼成は、大気(空気)中で行ってもよく、大気中よりも酸素分圧が高い雰囲気で行っても良い。
このような工程を経て、本実施形態に係るフェライト組成物は製造される。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、上述した実施形態では、トロイダル型形状もしくは円柱形状とするために、本焼成前に該形状に成形しているが、本焼成後に該形状に成形(加工)してもよい。
また、上述した実施形態では、本実施形態に係るフェライト組成物を、電子ペン用フェライトコアとして用いるが、本実施形態に係るフェライト組成物の用途は電子ペン用フェライトコアに制限されることはなく、(μ×Q)/(ΔL/L)が高いことが好ましい用途、例えばRFIDシステム用アンテナコア等のフェライト部としても好適に用いることができる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
まず、主成分の原料として、Fe、NiO、CuO,ZnO、Mnを準備した。副成分の原料として、P、ZrO、CoOおよび酸化ヒ素を準備した。なお、出発原料の平均粒径は0.1〜3μmであった。
次に、準備した主成分および副成分の原料の粉末を秤量した後、ボールミルで5時間湿式混合して原料混合物を得た。
次に、得られた原料混合物を、空気中において900℃で2時間仮焼して仮焼き材料とした後、ボールミルで20時間湿式粉砕して粉砕材料を得た。
次に、この粉砕材料を乾燥した後、該粉砕材料100重量部に、バインダーとしてのポリビニルアルコールを1.0重量部添加して造粒し、20メッシュの篩で整粒して顆粒とした。この顆粒を、100kPaの圧力で加圧成形して、トロイダル形状(寸法=外径18mm、内径10mm、高さ5mm)の成形体と、ディスク形状(寸法=外径18mm、高さ5mm)の成形体を得た。
次に、これら各成形体を、空気中において、1000〜1250℃で2時間焼成して、焼結体としてのトロイダルコアサンプルおよびディスクコアサンプルを得た。得られたサンプルについて、蛍光X線分析を行い、フェライトコアの組成を測定した。結果を表1〜4に示す。なお、リン(P)の含有量は、吸光光度法により測定した。さらにサンプルに対し以下の特性評価を行った。
比抵抗(ρ)
得られたディスクコアサンプルの両面に、In−Ga電極を塗り、直流抵抗値を測定し、比抵抗ρを求めた(単位Ωm)。測定は、IRメーター(TOA Electronics社製SUPER MEGOHMMETERMODEL SM−5E)を用いて行った。ρは10Ωm以上を良好とした。結果を表1〜4に示す。
透磁率(μ)
得られたトロイダルコアサンプルに、銅線ワイヤを10ターン巻き付け、LCRメーター(ヒューレットパッカード 4284A)を使用して、初期透過率μを測定した。測定条件としては、測定周波数500kHz、測定温度23℃、測定レベル0.4A/mとした。500kHzにおけるμは500以上を良好とした。結果を表1〜4に示す。
ΔL/L(20℃〜60℃)
得られたトロイダルコアサンプルに、銅線ワイヤを10ターン巻き付け、恒温槽とLCRメーター(ヒューレットパッカード 4284A)を使用して、20℃と60℃でのインダクタンス値(L値)を測定し、その差をΔLとした。また、Lは23℃で測定してΔL/Lを計算した。他の測定条件としては、測定周波数500kHz、測定レベル0.4A/mとした。結果を表1〜4に示す。

得られたトロイダルコアサンプルに、銅線ワイヤを3ターン巻き付け、LCRメーター(ヒューレットパッカード 4284A)を使用して、Qを測定した。測定条件としては、測定周波数500kHz、測定温度23℃、測定レベル0.4A/mとした。500kHzにおけるQは44以上を良好とした。結果を表1〜4に示す。
なお、表1〜4には、500kHzにおけるフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)も示した。(μ×Q)/(ΔL/L)は1700以上を良好とした。
なお、500〜700kHzにおけるフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)を1700以上とすることにより、電子ペン用コイル部品等の電子部品用フェライト組成物として好適に用いることができる。
Figure 2014156383
Figure 2014156383
Figure 2014156383
Figure 2014156383
表1〜4より、副成分であるP、ZrOおよびCoOが同時に含有され、またAsの含有量が本発明の範囲内にあり、かつ主成分の含有量が本発明の範囲内である場合には(実施例1〜38)、比抵抗ρが十分に高く、また500kHzにおいて高い透磁率μおよびQ値が得られ、フェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)が1700以上となることが確認できた。
これに対し、表1より、P、ZrOまたはCoOの何れかひとつ以上が含有されていない場合、あるいは、PもしくはZrOの含有量が本発明の範囲外となっている場合には(比較例1〜7)、500kHzにおけるフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)が1700以上とならないことが確認された。
また、表2より、CuOおよびZnOの含有量が本発明の範囲外となる場合(比較例8〜11)には、500kHzにおけるフェライトの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)が1700以上とならないことが確認された。
さらに、表3より、Feの含有量が本発明の範囲外である場合、Mnの含有量が本発明の範囲外である場合、あるいはFeとMnの合計量が本発明の範囲外である場合には、500kHzにおけるフェライトコアの性能指数(μ×Q)/(ΔL/L)が1700以上とならない(比較例12、14、16、17)、もしくはμが500以上とならない(比較例13、15)ことが確認された。さらに、Feが多すぎる場合、またはFeとMnの合計量が本発明の範囲外である場合には(比較例12、16、17)、特に比抵抗ρも悪化することが確認された。
さらに、表4より、CoOまたはAsが本発明の範囲外となっている場合には(比較例18〜21)、500kHzにおけるフェライトコアの性能指数が1700以上とならないことが確認された。

Claims (3)

  1. 主成分が、酸化鉄をFe換算で47.0〜49.95モル%、酸化銅をCuO換算で1.0〜12.0モル%、酸化亜鉛をZnO換算で28.0〜35.0モル%、酸化マンガンをMn換算で0.01〜2.4モル%を含有し、残部が酸化ニッケルで構成されており、前記主成分100重量部に対して、副成分として、リンをP換算で2〜65ppm、酸化ジルコニウムをZrO換算で40〜4500ppm、酸化コバルトをCoO換算で50〜2500ppm含有し、さらにAsが10ppm以下であり、
    前記酸化鉄および前記酸化マンガンの合計含有量が、Fe換算およびMn換算で、50.1モル%以下であることを特徴とするフェライト組成物。
  2. 請求項1に記載のフェライト組成物から構成され、500〜700kHzの周波数領域で使用されるフェライトコア。
  3. 請求項2に記載のフェライトコアを有する電子部品。
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