JP6314758B2 - MnZn系フェライト、及びMnZn系フェライト大型コア - Google Patents

MnZn系フェライト、及びMnZn系フェライト大型コア Download PDF

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Description

本発明はFe、Mn、Znを含むフェライト及びフェライトコア、及びこれらを用いたトランス、チョークコイルに関する。
近年、電子機器の小型化、多機能化が急速に進展するのに伴い、各種部品の高集積化、高周波化も進み、供給される電流も大電流化が進んでいる。大電流化に伴い、各種部品からの発熱は増大し、電子機器の駆動時の発熱による温度上昇も考慮して、トランス、チョークコイルといった回路部品に用いられるコア材料は、室温から120℃程度の高温まで高い飽和磁束密度Bsを確保することが求められており、各種部品の高温での安定且つ確実な駆動が求められている。
MnZn系フェライトは、一般にトランス及びチョークコイルのコア材料として使用されている。上記のような要望に応じるべく、トランスやチョークコイルに用いられるMnZn系フェライトは、動作温度において高い飽和磁束密度Bs、及び低い磁気損失Pcvを有することが求められている。
MnZn系フェライトコアの飽和磁束密度Bsは、一般的に基本成分であるFe含有量に依存しており、Fe含有量を増加させることで飽和磁束密度Bsが向上することが知られている。しかし、60mol%を超える多量のFeを含有する組成においては、単結晶では高い最大磁束密度を有するMn−Zn系フェライトが得られても、粉末冶金的な方法では十分な焼結密度が得難いため、高い飽和磁束密度Bsが得ることが困難であった。また、磁気損失Pcvの増大を招くという不具合があり、高い飽和磁束密度Bsと低い磁気損失Pcvを実現することは困難であった。
高飽和磁束密度化及び低磁気損失化を実現させる技術として、従来から種々の提案がなされている。
特開2005−272229号公報(特許文献1)では、Fe57〜68mol%の組成においてNiOを3〜12mol%含有せしめ、気孔率を少なくし、かつ気孔の大きさを小さくすることによって、100℃における高飽和磁束密度特性を維持したまま、磁気損失の低減がなされている。
また、特開2005−187232号公報(特許文献2)では、Fe63〜80mol%の組成において焼結密度を高くし、且つFe2+量を制御することによって100℃近傍における高飽和磁束密度化を図っている。
特開2005−272229号公報 特開2005−187232号公報
特許文献1では、NiOを3〜12mol%含有せしめ、気孔率を少なくし、かつ気孔の大きさを小さくすることによって、100℃における高飽和磁束密度特性を得ているが、NiOを増やした分Feが減ってしまい飽和磁束密度が低くなる傾向となり、高温の120℃で500mT以上の高い飽和磁束密度Bsを得ることが難しい。
特許文献2では、Fe63〜80mol%の組成において焼結密度を高くし、且つFe2+量を制御することによって100℃近傍における高飽和磁束密度化が為されているが、Fe、MnO、ZnOの主成分組成や全Fe量(Fe2++Fe3+)中のFe2+の割合の制御では、高温の120℃における低損失化は十分とはいえず、またNiOを主成分として含有していないことから、この組成領域で特有の高い磁気損失Pcvを低減することが難しい。
上記のように、従来技術では120℃程度の高温下において高飽和磁束密度Bsと低い磁気損失Pcvを有するMnZn系フェライトを得ることは困難であった。
本願に係る技術分野においては、部品の小型化及び大電流化の要請は依然として強く、コア材料については高温下で高い飽和磁束密度化が図れ、且つ低磁気損失化が図れ、バランスのとれた良好な特性に対する要望に際限はなくなお一層、磁気特性が改善されたMnZn系フェライトの提案が望まれている。
本発明はこのような実状のもとに創案されたものであって、その目的は高温下(120℃)において高い飽和磁束密度Bsと低い磁気損失Pcvを有するMnZn系フェライトを提案することである。
上記目的を達成するために、本発明者らが鋭意研究を行った結果、MnZn系フェライトの主成分組成を適正範囲に制御するとともに、副成分として酸化錫と酸化クロムの双方を適正範囲で含有することが重要であることを見出した。本発明は掛かる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、第1の手段に係るMnZn系フェライトは、酸化鉄がFe換算で65〜75mol%、酸化亜鉛をZnO換算で5〜20mol%、酸化ニッケルをNiO換算で0.4〜2mol%、残部が実質的にMnOの組成となる主成分からなり、副成分として酸化錫と酸化クロムの双方を含み、当該双方の総和含有量が、主成分の上記酸化物の合計質量100質量部に対し、SnO換算及びCr換算で0.1〜0.4質量部の範囲であり、且つ、酸化錫をSnO換算で0.05〜0.35質量部、酸化クロムをCr換算で0.005〜0.05質量部含有することを特徴とする。
第2の手段に係るMnZn系フェライトは、前記第1の手段に係るMnZn系フェライトにおいて、120℃における飽和磁束密度Bs(測定磁界:1194A/m)が500mT以上、且つ磁気損失Pcv(測定条件:100kHz、200mT)が2000kW/m以下であるように構成される。
第3の手段に係るMnZn系フェライトは、前記第1の手段に係るMnZn系フェライトにおいて、相対密度≧95%であることを特徴とする。
第4の手段に係るMnZn系フェライト大型コアは、酸化鉄がFe換算で65〜75mol%、酸化亜鉛をZnO換算で5〜20mol%、酸化ニッケルをNiO換算で0.4〜2mol%、残部が実質的にMnOの組成となる主成分からなり、副成分として酸化錫と酸化クロムの双方を含み、当該双方の総和含有量が、主成分の上記酸化物の合計質量100質量部に対し、SnO換算及びCr換算で0.1〜0.4質量部の範囲であり、且つ、酸化錫をSnO換算で0.05〜0.35質量部、酸化クロムをCr換算で0.005〜0.05質量部含有することを特徴とする。
第5の手段に係るMnZn系フェライト大型コアは、前記第4の手段に係るMnZn系フェライトにおいて、120℃における飽和磁束密度Bs(測定磁界:1194A/m)が500mT以上、且つ磁気損失Pcv(測定条件:100kHz、200mT)が2000kW/m以下であるように構成される。
第6の手段に係るMnZn系フェライト大型コアは、前記第4の手段に係るMnZn系フェライトにおいて、相対密度≧95%であることを特徴とする。
本発明によれば、高温下において高い飽和磁束密度Bsを有し、磁気損失Pcvが低いMnZn系フェライトが得られ、スイッチング電源等のトランス用コア、チョークコイル用コア等として用いることができる。
図1は、E字型フェライトコアを示す斜視図である。100 フェライトコア(磁心)101(中脚部)102(コイル)
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のMnZn系フェライトは、主成分として酸化鉄をFe換算で65〜75mol%、(好ましくは、65.5〜69mol%、より好ましくは、66〜68mol%)、酸化亜鉛をZnO換算で5〜20mol%(好ましくは10〜20mol%、より好ましくは、14.5〜17mol%)、酸化ニッケルをNiO換算で0.4〜2mol%、残部が酸化マンガン(MnO)を含有している。
上記の主組成において、Fe量を増やすと飽和磁束密度Bsを高める効果があるが、Fe量が75mol%を超えると磁気損失Pcvが増加するという不都合が生じる傾向にある。また、Fe量が65mol%未満になると飽和磁束密度Bsが低下するという不都合が生じる傾向にある。
上記の主成分組成において、ZnO量が20mol%を超えると飽和磁束密度Bsが低下し磁気損失Pcvが高くなるという不都合が生じる傾向にある。ZnO量が5mol%未満になると、磁気損失Pcvが高くなるという不都合が生じる傾向にある。
NiOは、フェライトの磁気異方性を下げる作用を有すると共に、適量のNiOを含有せしめることで、低磁気損失を図ることができる。上記主成分組成において、NiO量が2mol%を超えると飽和磁束密度Bsが低下するという不都合が生じる傾向にある。また、NiO量が0.4mol%未満になると磁気損失Pcvの低減効果が小さい。
上記主成分組成において、残部としているMnO量が29.6mol%を超えると飽和磁束密度Bsが低下するという不都合が生じる傾向にある。MnO量が3mol%未満になると、磁気損失Pcvが高くなるという不都合が生じる傾向にある。
本実施形態のMnZn系フェライトは上記の主成分に加えて、副成分として酸化錫と酸化クロムの双方を含有している。
副成分の一つである酸化クロムは、従来、高周波における磁気損失を低減する効果がある一方、異常粒成長を引き起こしやすく、初透磁率及び直流磁界印加の下での増分透磁率の低下を招くという問題があった。そのため、Crの含有量を極微量(フェライトのCrの含有量(Cr換算)が、主成分の酸化物の合計100質量部に対し、0.002質量部以下)に制限することにより上記透磁率の向上が図られてきた。しかしながら、本発明における主成分組成の範囲において、もう一つの副成分である酸化錫が本発明の効果を逸脱しない範囲で適量含有している場合、フェライト中に固溶したSn4+が、Crによる異常粒成長を抑制することによって、異常粒成長を伴うことなくCrによる焼結促進効果が現れ、高飽和磁束密度特性及び低磁気損失特性が同時に得られることを本発明者らは見出した。
本実施形態のMnZn系フェライトのSnの含有量(SnO換算)は、主成分の酸化物の合計100質量部に対し、0.05〜0.35質量部、より好ましくは0.1〜0.3質量部である。Snは4価の陽イオンであるSn4+としてフェライト結晶内に固溶する。固溶したSn4+はフェライト結晶粒子の高抵抗化、及び電荷補償によるFe2+生成(スピネル化)を促進するとともに、Crによる異常粒成長を抑制する効果がある。Snの含有量(SnO換算)が0.05質量部未満であると、高抵抗化、及びスピネル化の促進作用が不十分になるとともに、Crによる異常粒成長を抑制する効果が不十分となり、磁気損失Pcvが高くなる傾向がある。他方、Snの含有量(SnO換算)が0.35質量部を超えると、結晶組織の不均一性を助長する傾向があり、磁気損失Pcvが高くなるという不都合が生じる。
本実施形態のMnZn系フェライトのCrの含有量(Cr換算)は、主成分の酸化物の合計100質量部に対し、0.005〜0.05質量部、より好ましくは0.02〜0.04質量部である。Crは焼結を促進し、飽和磁束密度Bsを高める効果がある。フェライトのCrの含有量(Cr換算)が0.005質量部未満であると高飽和磁束密度化が不十分になる傾向がある。他方、Crの含有量(Cr換算)が0.05質量部を超えると、異常粒成長を助長し、磁気損失Pcvの低減が不十分になる傾向がある。
本実施形態のMnZn系フェライトにおけるSnとCrの総和含有量は、主成分の酸化物の合計質量100質量部に対し、SnO換算及びCr換算で0.1〜0.4質量部、より好ましくは0.15〜0.34質量部である。この総和量が、0.1質量部未満であると、高飽和磁束密度化及び低磁気損失化が不十分になる傾向があり、一方、この総和量が0.4質量部を超えると、焼成密度や飽和磁束密度Bsが低下するとともに、異常粒成長を助長し、磁気損失Pcvが高くなるという傾向がある。
なお、前述のように酸化錫及び酸化クロムが単独で含有されている場合では上記の効果は十分に得られない。すなわち、上記の効果は、酸化錫及び酸化クロムの双方が含有され、さらに酸化錫と酸化クロムの含有量及び双方の総和含有量が本発明の範囲内に制御された場合に初めて得られる複合的な効果である。
また、本実施形態に係るMnZn系フェライトは、本発明の作用効果を逸脱しない範囲で、上記の酸化錫、酸化クロムに加えて他の副成分を添加してもよい。他の副成分は、Li、Si、Ca、Zr、Nb、Ta、V、Bi、Mo、Co、In、Ti等の少なくとも1種以上である。これらの他の副成分は、酸化物あるいは加熱により酸化物となる化合物の粉末が用いられる。これらの副成分は、LiCO、SiO、CaCO、ZrO、Nb、Ta、V、Bi、MoO、Co、In、TiO等の形態で添加時に用いることができる。これらの中でも、SiO、CaCO、ZrO、Nbが特に好ましい。LiO0.5は、0.1mol%以上2.0mol%以下で含有してもよい。フェライト主成分の酸化物の合計100質量部に対し、SiOは、0.005質量部以上0.03質量部以下で含有してもよい。CaCOは、0.002質量部以上0.15質量部以下で含有してもよい。ZrOは、0.005質量部以上0.04質量部以下で含有してもよい。Nbは、0.01質量部以上0.1質量部以下で含有してもよい。Taは、0.005質量部以上0.04質量部以下で含有してもよい。Vは、0.005質量部以上0.04質量部以下で含有してもよい。Biは、0.005質量部以上0.04質量部以下で含有してもよい。MoOは、0.005質量部以上0.04質量部以下で含有してもよい。Coは0.005質量部以上0.04質量部以下で含有してもよい。Inは0.005質量部以上0.04質量部以下で含有してもよい。TiOは0.05質量部以上0.5質量部以下で含有してもよい。
本実施形態に係るMnZn系フェライトは、上述した成分及び成分量を適宜選択することにより、120℃における飽和磁束密度Bs(測定磁界:1194A/m)が500mT以上、且つ磁気損失Pcv(測定条件:100kHz、200mT)が2000kW/m以下という特性を得ることができる。
本実施形態に係るMnZn系フェライトは、上述した成分及び成分量を適宜選択することにより、相対密度≧95%を得ることができる。ただし、相対密度が95%未満であった場合、飽和磁束密度Bsが低下し、磁気損失Pcvが高くなる傾向がある。
本実施形態に係るMnZn系フェライトは、大型コア形状(30〜150g)においても、上述した成分及び成分量を適宜選択することによって焼成時におけるスピネル化及び焼結が促進されるため、高い飽和磁束密度Bs及び低い磁気損失Pcvを得ることが可能となる。その結果、120℃における飽和磁束密度Bs(測定磁界:1194A/m)が500mT以上、且つ磁気損失Pcv(測定条件:100kHz、200mT)が2000kW/m以下という特性を得ることができる。また、本実施形態に係るMnZn系フェライト大型コアは、上述した成分及び成分量を適宜選択することにより、相対密度≧95%を得ることができる。ただし、相対密度が95%未満であった場合、飽和磁束密度Bsが低下し、磁気損失Pcvが高くなる傾向がある。
次にMnZn系フェライトの製造方法について説明する。
はじめに、主成分をなす酸化鉄Fe、酸化マンガンMn、酸化亜鉛ZnO及び酸化ニッケルNiOを原料として用意し、これら酸化物を混合して混合物を得る。この混合工程ではボールミル等を用いて湿式混合されることが好ましいが、乾式混合を利用してもよい。湿式混合の場合はスプレー乾燥等の乾燥工程を経て混合物を得る。なお、最終的に得られる混合物中の各酸化物成分の構成比が所定の範囲内となるように上記酸化物とともに他の化合物を混合してもよい。
次いで、上記主成分の混合物を仮焼成して仮焼成物を得る(仮焼工程)。仮焼きは、ロータリキルンやトンネル炉、バッチ炉等を用いて、窒素中、アルゴン等の不活性ガス中または大気雰囲気中で行われる。仮焼温度は700℃以上1100℃以下とすることが好ましい。仮焼きの仮焼時間は10分間以上5時間以下とすることが好ましい。仮焼時間は特に上記時間に限定されるものではなく、適宜調整する。
その後、得られた仮焼成物を、例えば、平均粒径0.5〜5.0μm程度まで粉砕して粉砕粉を得る。粗粉砕は、例えば、ジョークラッシャー、ブラウンミル、スタンプミル等の粗粉砕機を用いて仮焼成物を粉砕する。微粉砕は、粉砕時間等の条件を適宜調整しながら、ジェットミル、ボールミル、振動ミル、ビーズミル、乾式または湿式アトライター等の微粉砕機を用いて粗粉砕した粉末を更に粉砕する。仮焼成物が大きい塊を形成している場合には、粗粉砕を行ってから微粉砕を行うことが好ましい。
上述の主成分原料の仮焼成物を粉砕する際、副成分であるSnO、Cr、及びその他の副成分としてLiCO、SiO、CaCO等を添加する。ただし、副成分の添加は上述の主成分の混合工程で行ってもよい。なお、最終的に得られる混合物中の各副成分の含有量が上記範囲内となるように、上記化合物の代わりに他の化合物を用いてもよい。
続いて、上記のようにして得られた粉砕粉にバインダを添加、混合し、スプレー乾燥等によって造粒する。バインダとしては、例えばポリビニルアルコール(PVA)が望ましい。造粒により得られる顆粒の粒径は80〜300μm程度とすることが望ましい。その後、得られた顆粒を金型に充填し、加圧成形してMnZn系フェライトの成形体を得る。
次に、成形体を加熱炉内において焼成する(本焼成工程)。本焼成工程においては、焼成温度と焼成雰囲気を制御する必要がある。焼成温度は1150〜1500℃の範囲から適宜選択することができるが、本発明のフェライトコアの効果を十分引き出すには、1200〜1400℃の範囲で焼成することが好ましい。焼成雰囲気は、窒素、アルゴン等の不活性ガスと酸素の混合雰囲気において、酸素分圧を適宜調整すればよい。
図1(a)は、本実施形態に係るE字型フェライトコア(磁心)を示す斜視図である。図1(a)に示すように、E字型のフェライトコア100は、E型コアなどと呼ばれ、トランスやチョークコイルなどに使用される。フェライトコア101のようなE型コアが採用されたトランス及びチョークコイルとしては、図1(b)に示すような、内部に2つのE型コアが対向配置されたものが知られている。
以下、本発明をさらに詳細な実施例に基づいて説明するが本発明は、これらの実施例に限定されない。
<実験例1>
各成分原料を最終的に表1に示した組成になるように秤量し、これに500mLのイオン交換水を溶媒として加えて、鋼鉄製ボールミルを用いて16時間湿式混合した。原材料混合物を乾燥させた後、大気雰囲気中において、900℃の温度で1時間仮焼きした。得られた仮焼き粉及び副成分(SnO、Cr、SiO、CaCO、Nb、ZrO)を秤量し、これに500mLのイオン交換水を溶媒として加えて、鋼鉄製ボールミルを用いて3時間湿式粉砕を行った。なお、SnO及びCrの含有量は表1に記載した通りであり、その他の副成分の含有量は、SiO:0.01質量部、CaCO:0.1質量部、Nb:0.04質量部、ZrO:0.03質量部とした。
得られた粉砕物スラリーを乾燥し、この粉砕粉にバインダを加えて造粒した後、得られた顆粒を外径48mm×内径30mm×高さ10mmのトロイダル形状に加圧成形した。
得られた成形体を酸素分圧制御下において、温度1300℃(温度保持時間:5時間、温度保持時の酸素分圧:1体積%)で焼成することにより、フェライトコアを得た。
フェライトコアの磁気損失Pcvを次のようにして測定した。すなわち、B−Hアナライザー(型式:SY−8217,岩通計測製)を用い、磁束密度200mT、周波数100kHzの条件で温度25〜150℃の範囲の磁気損失を測定し、120℃における磁気損失Pcvの値を求めた。
フェライトコアの飽和磁束密度Bsを次のように測定した。すなわち、直流BHトレーサー(型式SK110,メトロン技研製)を用い、磁界1194A/mの条件で温度25〜150℃の範囲の飽和磁束密度Bsを測定し、120℃における飽和磁束密度Bsの値を得た。
フェライトコアの焼結密度D(g/cm)はアルキメデス法で水を用いて測定した。理論密度D(g/cm)は下記式(1)を用いて算出し、相対密度D(%)は下記式(2)を用いて算出した。
MnZn系フェライトの主組成がFe:MnFe:ZnFe:NiFe=a:b:c:d(単位:mol%)において、
=0.0521×a+0.05×b+0.0536×c+0.0538×d …式(1)
=D/D×100 …式(2)
表1に測定結果を示す。この表1から、MnZn系フェライトの主成分の組成、及び副成分の含有量を適切に制御した試料においては、120℃における高飽和磁束密度特性(Bs≧500mT)及び低磁気損失特性(Pcv≦2000kW/m)に優れたMnZn系フェライトが得られていることがわかる。
Figure 0006314758

<実験例2>
表2及び表3に示した組成からなる顆粒を実験例1と同様の手順により作製し、得られた顆粒から大きさの異なるトロイダルコア(成形体)を作製した。外径24mm×内径15mm×高さ5mmのトロイダル形状(形状1)、外径48mm×内径30mm×高さ10mmのトロイダル形状(形状2)、外径61mm×内径37mm×高さ12mmのトロイダル形状(形状3)、外径77mm×内径48mm×高さ15mmのトロイダル形状(形状4)、外径80mm×内径50mm×高さ16mmのトロイダル形状(形状5)、外径80mm×内径50mm×高さ17.5mmのトロイダル形状(形状6)にそれぞれ加圧成形した。これらの成形体を実験例1と同様に焼成し、MnZn系フェライトコアを得た。得られた形状1〜6のMnZn系フェライトコアのコア質量は、それぞれ5、34、63,120、147、159gである。これらの測定結果を表2及び表3に示す。なお、表3における比較例22−1〜22−6は特許文献1に記載される試料No.23、比較例23−1〜23〜6は、特許文献2に記載される試料No.9の組成から作製したMnZn系フェライトコアである。
Figure 0006314758
Figure 0006314758
表2及び表3から、本発明の実施例においては小型コア(形状1)だけでなく、大型コア(形状2〜5)においても高い相対密度(相対密度≧95%)を有し、且つ飽和磁束密度Bsが500mT以上と高く、且つ磁気損失Pcvが2000kW/m以下に低減されたMnZn系フェライトコアが得られていることがわかる。
一方、比較例22−1〜22−6はNiO量が多いためにいずれのコア形状においても飽和磁束密度Bsが500mT未満と低い。比較例23−1〜23−6は磁気損失Pcvが2000kW/mを超える高い水準にあり、コアの大型化に伴う飽和磁束密度Bsの悪化が顕著である。
これらの結果から、本発明はMnZn系フェライトの主成分の組成、及び副成分の含有量を適切に制御することによって、高温下で飽和磁束密度Bsが高く、且つ磁気損失Pcvが低いMnZn系フェライト大型コアが得られていることがわかる。
以上のように、本発明に係るMnZn系フェライトは、高い飽和磁束密度Bsと低い磁気損失Pcvを有するので、トランス、チョークコイルといった部品に好適に用いることができる。また、本発明に係るMnZn系フェライトは大型コアとした場合においても高い飽和磁束密度Bsと低い磁気損失Pcvを有するので、大型のトランス、チョークコイルのような部品に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 酸化鉄がFe換算で65〜75mol%、酸化亜鉛をZnO換算で5〜20mol%、酸化ニッケルをNiO換算で0.4〜2mol%、残部が実質的にMnOの組成となる主成分からなり、副成分として酸化錫と酸化クロムの双方を含み、当該双方の総和含有量が、主成分の上記酸化物の合計質量100質量部に対し、SnO換算及びCr換算で0.1〜0.4質量部の範囲であり、且つ、酸化錫をSnO換算で0.05〜0.35質量部、酸化クロムをCr換算で0.005〜0.05質量部含有することを特徴とするMnZn系フェライト。
  2. 120℃における飽和磁束密度Bs(測定磁界:1194A/m)が500mT以上、且つ磁気損失Pcv(測定条件:100kHz、200mT)が2000kW/m以下であることを特徴とする請求項1に記載のMnZn系フェライト。
  3. 相対密度≧95%であることを特徴とする請求項1に記載のMnZn系フェライト。
  4. 酸化鉄がFe換算で65〜75mol%、酸化亜鉛をZnO換算で5〜20mol%、酸化ニッケルをNiO換算で0.4〜2mol%、残部が実質的にMnOの組成となる主成分からなり、副成分として酸化錫と酸化クロムの双方を含み、当該双方の総和含有量が、主成分の上記酸化物の合計質量100質量部に対し、SnO換算及びCr換算で0.1〜0.4質量部の範囲であり、且つ、酸化錫をSnO換算で0.05〜0.35質量部、酸化クロムをCr換算で0.005〜0.05質量部含有することを特徴とするMnZn系フェライト大型コア。
  5. 120℃における飽和磁束密度Bs(測定磁界:1194A/m)が500mT以上、且つ磁気損失Pcv(測定条件:100kHz、200mT)が2000kW/m以下であることを特徴とする請求項4に記載のMnZn系フェライト大型コア。
  6. 相対密度≧95%であることを特徴とする請求項4に記載のMnZn系フェライト大型コア。
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