JP2010066770A - 光学要素およびその製法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体(1)と光学転換層(3)との間に位置する少なくとも1つの中間層(2)を含む、および/または散乱中心(4)が光学転換層(3)および/または中間層(2)に存在する透明な支持体(1)、並びに1つの波長の光を吸収し他の波長の光を放射する物質を含む少なくとも1つの透明な光学転換層(3)からなる光学要素であって、好ましくは、中間層(2)は、ミクロ多孔性およびメソ多孔性であり、支持体(1)、中間層(2)および光学転換層(3)は可撓性であり、光学要素は可撓性のフォイルの形であり、散乱中心は、特定の平均粒子サイズを有するPbS、TiO2、SiO2、Al2O3、AlOOH、ZrO2、ZnO、SnO2、インジウム錫オキシドの混合酸化物、中空のミクロスフェアまたはエロゾル粒子である。
【選択図】図5
Description
光転換層は、また、例えば非常出口を示すために使用されるように、暗がりで自己発光の燐光の域の光スペクトルを変化するのに使用される。
特許文献4または5に例えば記載された多層系は、強い散乱のために光学的性質の非常に制限された調節のみを可能にする。特に、2つの転換色素を含む転換層の順序のみが、転換効率を高めるために使用されるに過ぎない。また、光の散乱の挙動および光のカップリングアウトは、せいぜい僅かに調節されるに過ぎない。
有機の蛍光色素の使用に加えて、殆ど透明な層の製造のための高い屈折率を有するポリマー例えばポリイミドと組み合わせた無機の蛍光体の使用は、特許文献7に記載されている。必要な透明性は、ポリマーおよび転換色素の屈折率の調節により得られる。ほとんど透明な層はこの方法で製造できるが、層中の転換色素の分散は、粒子サイズにより限定される。そのため、層は、転換色素を混ぜたミクロメートルのオーダーの層のゾーンおよび不活性な透明のポリマーの同様に大きなゾーンからなり、これらの層の非常に不均一な吸収および発光の挙動を導く。
低い屈折率を有するミクロ多孔性およびメソ多孔性の層の使用によってシャフティングによる横方向への放射の一部抑制は、特許文献9に記載されている。
好ましくは、支持体、中間層および光学転換層は可撓性であり、そのため光学要素は可撓性のフォイルの形を有する。
本発明の1つの態様では、光学要素は、支持体、第1の中間層およびその上の第1の転換層、およびその上の第2の中間層およびその上の第2の転換層からなる。
本発明のさらなる態様では、光学要素は、第1の中間層の上に直接接触している2つの転換層を含む。
光学要素は、また直接接触している2つの転換層により隔てられている第1および第2の中間層を含む。
好ましくは、散乱中心が1つ以上の光学転換層中に組み込まれている上記の光学要素では、これらの散乱中心は、それぞれ200nmと10000nmとの間の平均粒子サイズを有するPbS、TiO2、SiO2、Al2O3、AlOOH、ZrO2、ZnO、SnO2、インジウム錫オキシドの混合酸化物、中空のミクロスフェアまたはエロゲル粒子からなる群から選ばれる粒子の少なくとも1種からなる。
光学要素は、中間層または中間層および/または転換層または転換層、転換色素を含む。
光学要素には、光学要素例えばフレネルレンズ、マイクロレンズ、ポリマースフェアまたは補助層(さらに光の抽出を改善しそして放射光の配分に影響する)が、最上の転換層の上に設けられる。
それらの孔のサイズに関する多孔性の材料の分類は、ミクロ多孔性は<2nmであり、メソ多孔性は2−50nmであり、マクロ多孔性は>50nmである。孔度が特定されていない場合には、孔のサイズが知られていないか、または孔度が、ミクロ多孔性、メソ多孔性またはマクロ多孔性のすべての範囲に及ぶ。たとえもし孔度が特定されていても、これは、材料がまた特定されていない孔度を有する少量の化合物を含むことを排除するものではない。材料は、孔の体積対全体積の比が4%より低い場合では、「非多孔性」であると定義される。
WREF(λ)=1−TREF(λ)−AREF(λ) (ただし、AREF(λ)=0である)
AKF(λ)=1−TKF(λ)−RKF(λ)−WKF(λ)
(ただし、WKF(λ)=WREF(λ)である)。
図6a−6eは、図5に示される最小の単位から形成された、いくつかの転換層を有する転換フォイルの異なる態様を示す。
(b)第1の転換層(3a)上の第2の中間層(2b)およびその上の第2の転換層(3b)を有する態様。
(c)第1の転換層(3a)上の第2の転換層(3b)、その上の第2の中間層(2b)およびその上の第3の転換層(3c)を有する態様。
(d)第1の転換層(3a)の上の第2の中間層(2b)、その上の第2の転換層(3b)およびその上の第3の転換層(3c)を有する態様。
(e)第1の転換層(3a)の上の第2の中間層(2b)、その上の第2の転換層(3b)、その上の第3の中間層(2c)およびその上の第3の転換層(3c)を有する態様。
図7は、例7の転換フォイルの指向測定されたTg(λ)、散乱透過Td(λ)、全透過Ttot(λ)、指向した反射Rg(λ)、散乱反射Rd(λ)および全反射Rtot(λ)を示し、波長450nmの光について1つは組み込まれたTi02散乱中心がなく(例7−A)そして他の1つはそれを有する(例7−B)。
図15は、原子間力顕微鏡により測定されたサンプル6−Aおよび6−Bの粗さのプロフィルを示す。
図17は、前方の方向へ放射された蛍光(例4−Aから4−C)の相対強度、吸収および相対蛍光抽出効率に対する、いくつかのサンプルのミクロ多孔性およびメソ多孔性の中間層の組み込まれた散乱中心の影響を示す。
最後に、図19は、ミクロ多孔性およびメソ多孔性の中間層のない(例5−Aから5−C)そしてミクロ多孔性およびメソ多孔性の中間層のある(例5−Dから5−F)、前方の方向へ放射された蛍光の強度に対する、転換層中へ組み込まれたTiO2散乱中心の濃度の影響を示す。
光源および本発明の転換された波長のスペクトル域は、200−2000nm、好ましくは200−700nmにある。本発明による転換フォイルは、光効率を転換しそして前方の方向へ転換された光を能率的に放射するために、他の光学層とともに多層系の1つ以上の転換層を有する。転換フォイルは、優れた機械的可撓性を有しそして多量かつ大きな面積で安価なコストで本発明により製造できる。その上、それは、好適な層の組成および好適な層のアセンブリを最適化することにより、吸収、光転換および空間放射を最適化するのに優れている。
l=Rg(λ)+Rd(λ)+Tg(λ)+Td(λ)+A(λ)+W(λ)
(ただし、Rg(λ)は指向された反射であり、Rd(λ)は散乱反射であり、Tg(λ)は指向された透過であり、Td(λ)は散乱透過であり、A(λ)は吸収であり、W(λ)はフォイルの評価である)。
転換フォイルが、転換色素を含まず本質的に透明である場合、周知の現象が生ずる。転換フォイルが周囲(大気)と比べて高い反射率を有するために、フォイルは、導波体として働く。放射光は、或る条件下では、この導波体とカップリングして、その結果、放射光のその部分を側面の方向へフォイルから離す。
さらに、放射された光の空間の分布はなお影響され、そして転換効率は、例えば特許出願WO2007/011154およびWO01/41225、またはM.Guillaumee、M.Liley、R.PuginおよびR.P.Stanleyの「Scattering of light by a sub−monolayer of randomly packed dielectric microspheres giving color effect in transmission」Proceedings of SPIE 6988、698811(2008)の論文に記載されているように、光学要素例えばミクロレンズ、フレネルレンズまたはポリマー球を転換層の表面に設けることにより増大する。
本発明による転換フォイルの最小の単位から説明を始めることとし、図5は、透明な可撓性の支持体(1)、支持体へ直接適用された、少なくとも1つのミクロ多孔性およびメソ多孔性の層(2)、およびその上に直接適用された、散乱中心を本発明により導入した少なくとも1つの転換層を示す。これらの3つの層は以下に詳述される。中間層および転換層は、散乱中心を有するかまたは有することなく記述される。
(可撓性の支持体)
写真業界で使用される広範囲の可撓性の支持体が、本発明による材料に好適である。本発明による材料の製造のために、写真材料の製造に使用されるすべての支持体が使用でき、例えばセルロースエステル例えば三酢酸セルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロースまたは酢酸/酪酸セルロース、ポリエステル例えばポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリビニルアセタール、ポリエーテル、ポリ塩化ビニルおよびポリビニルスルホンが挙げられる。ポリエステルフィルム支持体、特にポリエチレンテレフタレート例えばDuPont Teijin Filmsにより製造されるCronar(商標)またはポリエチレンナフタレートがそれらの寸法安定性の点から好ましい。
すべてのこれらの可撓性の支持体は、ほとんど透明でかつ電導性の層である。適用される金属層またはインジウム錫オキシドの層を有するプラスチック支持体が好ましい。
本発明による材料のミクロ多孔性およびメソ多孔性の中間層は、低屈折率を有し、無機のナノ粒子を含み、2−60μm好ましくは5−50μmより好ましくは20−40.0μmの乾燥厚さを有する。
例えば、1.45の屈折率を有するSiO2ナノ粒子から主としてなる0.80容量%の孔度を有するミクロ多孔性およびメソ多孔性の層および1.00の屈折率を有する大気は、1.09の有効な屈折率を有する。
無機のナノ粒子(一次粒子)の平均粒径は、好ましくは5−200nmであり、特に好ましくは10−60nmのサイズ範囲である。無機のナノ粒子は、好ましくは、狭い粒子サイズの分布を有し、一次粒子の少なくとも90%は前述の平均直径の2倍より小さい直径を有し、そして上述の平均粒子直径の3倍より大きい直径を有する一次粒子は実際には存在しない。
2つの異なるタイプの特に好ましい二酸化シリシウムが使用でき、初めの1つは、湿式法でつくられた沈降二酸化シリシウムであり、第2のものは気相の反応でつくられたフューム二酸化シリシウムである。
同様に好ましいゼオライトベータは、NanoScape AG、Munich、ドイツから30nmの平均サイズのナノ粒子の形で市販されている。他のナノ結晶性ゼオライト(一次粒子の平均サイズが括弧で示されている)ZSM−5(70−100nm)、モルデナイト(500nm)、LTA(90nm)、フォージャサイト(80nm)およびLTL(50nm)も、同じ源から市販されている。
酸化/水酸化アルミニウムは、好ましくは、例えば特許DE3823895に記載されているように、酸の完全な存在下ゾル・ゲルプロセスで製造される。好ましい酸化アルミニウムはγ−酸化アルミニウムである。
二酸化シリシウムの表面変性の特に好ましい方法は、特許出願EP1655348に記載されており、二酸化シリシウムの表面は、少なくとも1つのアミノ有機シランおよび三価のアルミニウムの化合物の反応生成物により処理される。
少なくとも1つのアミノ有機シランおよび三価のアルミニウムの化合物の反応生成物による表面変性のための特に好ましいアミノ有機シランは、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、(3−トリエトキシシリルプロピル)−ジエチレントリアミン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、(3−トリエトキシシリルプロピル)−ジエチレントリアミンおよびこれらの混合物である。
無機のナノ粒子を含みかつ低屈折率を有するミクロ多孔性およびメソ多孔性の中間層は、2−60m2/g、好ましくは5−50m2/g、より好ましくは10−30.0m2/gの量で無機のナノ粒子を含む。
無機のナノ粒子を含みかつ低屈折率を有するミクロ多孔性およびメソ多孔性の層に好適な結合剤は、一般に、水溶性の親水性のポリマーである。
有機の架橋剤および硬化剤は、例えば、アルデヒド(例えばホルムアルデヒド、グリオキザールまたはグルタールアルデヒド)、N−メチロール化合物(例えばジメチロール尿素またはメチロールジメチルヒダントイン)、ジオキサン(例えば2,3−ジヒドロキシジオキサン)、反応性ビニル化合物(例えば1,3,5−トリスアクロリルヘキサヒドロ−s−トリアジンまたはビス−(ビニルスルホニル)エチルエーテル)、反応性ハロゲン化合物(例えば2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン)、エポキシド、アジリジン、カルバモイルピリジニウム化合物または上記の架橋剤の2つ以上の混合物を含む。
層は、また紫外線、電子ビーム、X線または熱の影響の下、層を架橋する反応性物質を含むことができる。
これらのポリマーは、水不溶性の天然または合成の高分子量化合物、特にアクリレート格子またはスチレンアクリレート格子を有するものとブレンドできる。
関心のある吸収および放出のバンド(200−2000nm、好ましくは200−700nm)を有する転換色素は、以下に詳述される。
この記述では、転換色素は、始めの波長の電磁気放射を吸収し、その後より高い波長の電磁気放射を放出する化合物である。
本発明で有用な関心のある転換色素の例は、ポリマーまたは油中に組み込まれる可溶性の化合物である。
これらの色素のほとんど無制限の集まりがある。それらの例は、ペリレン(例えば会社BASF、Ludwigshafen、ドイツからの商品名Lumogenの下周知の色素、Lumogen F240 Orange、Lumogen F305 Red、Lumogen F083 Yellow、Lumogen F850 Green)、会社Neelikon Food Dyes and Chemicals Ltd.Munbai、India、インドからのYellow 172、並びに色素例えばクマリン(例えばCoumarin 6,Coumarin 7、Coumarin 30、Coumarin 153、Basic Yellow 51)、ナフタルイミド(例えばSolvent Yellow 11、Solvent Yellow 116)、Fluorol 7GA、ピリジン(例えばピリジン 1)、ピロメテン(例えばPyrromethene 546、Pyrromethene 567)、ウラニン、ローダミン(例えばRhodamine 110,Rhodamine B、Rhodamine 6G、Rhodamine 3B、Rhodamine 101、Sulphorhodamine 101、Sulphorhodamine 640、Basic Violet 11、Basic Red 2)、シアニン(例えばフタロシアニン、DCM)、スチルベン(例えばBis−MSB、DPS)(多くの業者から市販されている)である。いくつかの他の色素、例えば酸性色素、塩基性色素、直接色素および分散色素は、目的とする用途について十分に高い蛍光量子収率を示す限り、使用できる。
(発光有機金属複合体)
(蛍光デントリマー)
(シクロデキストリンを有する有機色素複合体)
本発明にとり他の関心のある転換色素の例は、ポリマー中に分散された固体粒子である。
色素ドープポリマー粒子も使用され、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、アクリロニトリル、ポリメタクリレート例えばメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、エチレンとアクリル酸とのコポリマー、並びにパラフィンワックス(例えばLawter Int.ベルギーから市販されているPolysperse)の粒子、ラテックスまたはワックスがある。これらの化合物の混合物も使用され、そしてポリマー例えばポリスチレンおよびアクリレート、エチレンとアクリレートとのコポリマー、スチレンとアクリロニトリルとのコポリマーも使用される。ラテックスの粒子サイズは、20−5000nm、好ましくは40−1000nmそして最も好ましくは50−500nmの範囲にある。ポリマー例えばPMMA(ポリメチルメタクリレート)、PMA(ポリメタクリレート)、PS(ポリスチレン)または特許出願WO03/064557に記載されたような粒子も使用できる。
上記の転換色素のすべては、単一の化合物または好適な組み合わせとして使用できる。
転換層の製造の第1の態様において、転換色素は、フィルム形成ポリマー中へ組み込まれる。好適なポリマーの例は、合成、天然または変性天然のポリマー、例えば完全または一部加水分解されたポリビニルアルコールまたは酢酸ビニルと他のモノマーとのコポリマー、変性ポリビニルアルコール、(メタ)アクリレート化ポリブタジエン、(メタ)アクリルアミドのホモポリマーまたはコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセタール、ポリウレタン、並びに澱粉、セルロースまたは変性セルロース例えばヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびゼラチンまたはこれらの混合物である。
ミクロ多孔性およびメソ多孔性の層は、外側から近づくことのできる高いかつ架橋した孔体積を有するため、転換層は、また高い蒸気圧を有する溶媒中またはポリマーへ架橋できるモノマー中の転換色素の溶液により、このような層の孔を満たすことによって達成できる。これは、二次元で行われ、そしてそれは異なる転換色素により例えば同じ層、ゾーンを配置する可能性を開くものである。この方法では、パターン(例えば種々のカラーピクセル)は、周知の方法例えばインクジェット、オフセット印刷またはセリグラフを使用して生成できる。
このような転換層の製造の他の態様は、架橋できる好適なフィルム形成性ポリマー結合剤を使用して水中油型のエマルションの使用である。転換色素は、油相に溶解または分散される。それにより、また水溶液中に溶解または分散できない転換色素が使用できる。このようなエマルションの製造およびこれらのエマルションから誘導される層の製造は、カラーフィルムの製造のために写真業界で周知であり、例えば、Pierre Glafkidesの「Chimie et Physique photographiques」2巻、5版、Editions de l′usine nouvelle、Paris(1987)ISBN2−281−32025−1および写真における他の標準的な書籍に記述されている。
このような転換層の製造の他の態様は、結合剤とともに水分散性、熱可塑性、色素ドープポリマーの粒子の使用である。結合剤は、硬化できる上記の水溶性のポリマーの1つである。このような転換層は、次に粒子をシールするために加熱エンボスされる。ポリマーフィルムは、もし必要ならば、加圧下加熱処理により、層に適用後、補助段階で生ずる。加圧下のこの次の加熱処理は、例えば、乾燥段階中或る時間熱可塑性ポリマーのガラス転移温度に層が達するかまたはそれを越える場合必要ではない。
加圧下の次の加熱処理は、また所望の構造例えばミクロレンズ、フレネルレンズ、ピラミッドまたは他の幾何学的形状を刷り込むために使用できる。
ポリマーの粒子またはポリマーラテックスは、電荷のない表面を有するか、または正または負の表面の電荷を有する。
本発明の他の態様では、転換層は、さらに、散乱中心として働く化合物を含む。その目的のために、問題の波長範囲(200−2000nm、好ましくは200−700nm)の転換層の製造に使用される材料よりも高い屈折率を有する無機の化合物が使用される。低屈折率を有しかつ無機の化合物を含むミクロ多孔性およびメソ多孔性の層とは対照的に、使用されるポリマーに対する無機化合物の部分は、どんな孔も形成されないように少なく保たれる。層は、全体積に対する孔体積の比が4%より低い場合には、「非多孔性」であると定義される。
使用される粒子または凝集物のサイズおよび量は、所望の効果が達成されるやり方で選ばれる。本発明の好ましい態様では、これらの無機のナノ粒子(一次粒子)の平均粒子直径は、好ましくは、200−10000nmである。特に好ましいのは、400−3000nmのサイズ範囲である。
本発明の他の好ましい態様では、散乱中心は、転換層に使用されるポリマーより低い屈折率を有する化合物、例えば気泡、中空のミクロスフェアまたはエロゾル粒子、Cabot Corporation,Tuscola,例えば米国から商品名Nanogel(商標)の下市販されている粒子である。
ミクロ多孔性およびメソ多孔性の中間層は、固体の1つと気体の1つの2つの相互に浸透している相の三次元網状構造からなる。網状構造は、ミクロメートル以下の範囲の構造を有する。ミクロ多孔性およびメソ多孔性の中間層中の散乱は、例えば、より大きい粒子、凝集物または同じ材料の他の形態(例えば棒または小板の構造を有する)をもつ粒子により孔の構造の形態を本発明により調節することによって影響され、そのため均質な孔のサイズの分布を乱し、それゆえ散乱中心として働く。
本発明による層は、一般に、すべて必要な成分を含む水溶液または水性分散物から可撓性の支持体の上へ適用または被覆される。多くの場合、湿潤剤は、コーティング挙動および層の平坦さを改善するために、これらのコーティング溶液へ添加される。これらの表面活性化合物は、本発明では必須ではないとされているが、それにもかかわらず、それらは本発明の重要な部分を形成する。
本発明による材料は、低屈折率を有するミクロ多孔性およびメソ多孔性の層および転換層を含む少なくとも1つの多層の集合物、またはいくつかのこのような多層を有し、層の順序、層の配向、層の厳密な組成およびそれらの厚さは、これらの材料の用途に依存する。いくつかの多層集合物の場合、それらは、可撓性の支持体へ次から次に適用されるか、または同時に適用される。
本発明の好ましい態様では、すべての層は支持体へ同時に適用される。
乾燥は、好ましくは、層の温度が乾燥中100℃好ましくは60℃を越えない条件で、気体混合物好ましくは空気中で行われる。
上記のすべての多層は、1つ以上の層中に、さらなる成分例えば他の発光または光吸収化合物を含むことができる。
さらに、支持体の他の面へ抗反射層を適用できる。
ミクロ多孔性およびメソ多孔性の層は、抗反射層として、支持体へ適用でき、それは上記のミクロ多孔性およびメソ多孔性の中間層と同様な組成を有する。反射率および層の厚さの点で、このような抗反射層の最適な組成は、例えば特許EP1022587に記載されている。
補助層は、光抽出を要する最上の転換層へ適用される。光抽出層として、上記のミクロ多孔性およびメソ多孔性の中間層と同様な組成を有するミクロ多孔性およびメソ多孔性の層が用いられる。層の反射率は、無機の粒子の選択により調節できる。層の孔度を変えることにより屈折率を調節することもできる。これは、使用される結合剤の量を変えることにより達成できる。屈折率は、転換層の平均屈折率と周囲の屈折率との間にある。550nmの波長で1.1と1.5との間の屈折率が好ましい。転換層の屈折率から周囲の屈折率へ徐々に移行することを行う、屈折率の勾配を有するミクロ多孔性およびメソ多孔性の層の順序を用いることもできる。同様な光抽出層の操作の態様は、例えば特許出願US2007/0241355またはUS2006/0278883に記載されている。
構造物は、任意に、光抽出および光分布に影響する最上の転換層へ適用される。このような構造物は、インクジェット印刷、写真平板、オフセット印刷、レーザーマーキングを用いるかまたは加熱エンボスにより適用できる。転換層が一部熱可塑性ポリマーからなる場合、このような構造物は、最上の転換層中へ直接エンボスされる。これらの構造物の種々の態様およびそれらの性質は、以下の特許出願WO2007/011154またはWO01/41225に記載されている。好適な層を別につくりそしてそれを転換層へラミネートすることもできる。
支持体の上にストリッピング層が存在し、他の支持体フォイル、ガラスの上への支持体上の多層の移動を可能にする。この場合、逆の順序で層を配置するのが合理的であり、それによりそれらは新しい支持体の上に本発明による順序で存在することになる。
このやり方で、転換層を有する転換フォイルの面は、他の材料へ積層される。
本発明は、本発明の範囲を決して制限することなく、以下の実施例により詳述される。
以下において、本発明による光学要素の層の組成物および製造の7つの実施例が詳述される。測定結果は、図7−19(W,T,RおよびAは図1の記述において規定されたのと同じである)で示され、そして結果の説明でさらに論じられる。
表1にリストされた組成を有し、転換層中に色素PDP(ペリレンジカルボン酸ジイソブチルエステル)およびTiO2散乱中心を組み込んだ転換層は、以下の方法で製造された。
表2にリストされている組成(乾燥状態)を有しかつ転換層中にPDPおよびSiO2散乱中心を組み込んだ転換層を実施例1のように製造した。Grace Davision GmbH and Co.KG.Reinach、スイスから市販されているSylord C803を、SiO2の分散物の製造のために使用した。
低屈折率および表3−1にリストされた組成(乾燥状態)を有するミクロ多孔性およびメソ多孔性の層を、透明な字入りポリエステル支持体Cronar(商標)742に適用した。
表3−2にリストされている組成(乾燥状態)を有するポリマー層を、層3A、3B、3Cおよび3Dへ適用した。
実施例4−Aにおいて、転換層(PDB 0.05g/m2、TKP 5g/m2、ゼラチン 8.9g/m2)を透明なポリエステル支持体Cronar(商標)742の上にコーティングした。
表5による種々のレベルの散乱中心を有する転換層(PDB 0.04g/m2、TKP 8g/m2、ゼラチン 8g/m2)を、透明なポリエステル支持体Cronar(商標)742上に直接コーティングするか、または同じ支持体上に既にコーティングされたミクロ多孔性およびメソ多孔性の層(CAB−O−SIL M−5 5.2g/m2、Mowiol 4088 0.6g/m2)上にコーティングするかの何れかでコーティングした。薄い保護層(ゼラチン 2g/m2)を最後にすべての層の上にコーティングした。
5μmの厚さを有しかつ表6−1にリストされた組成(乾燥状態)を有するポリマー層を、字入り透明なポリエステル支持体Cronar(商標)742に適用した。
表7にリストされた組成(乾燥状態)を有する転換層を、字入り透明なポリエステル支持体Cronar(商標)742に直接適用した。
図3は、転換フォイルの全透過および全反射を測定するのに使用される測定の構成を示す。散乱部分と指向部分との区別は、指向部分が検出器へ衝突することを防ぐかどうかでなされる。
図4は、蛍光の性質を測定するのに使用される測定の構成を示す。
波長450nmの青色光発光LEDまたはレーザー光線が、励起光源として使用された。
散乱中心を本発明により組み込むことは、放射された光の空間の分布に影響しそして転換効率を増大させるかもしれないということである。散乱は、指向された透過の量を減らしそして散乱透過および反射の部分を増大させる。図7は、転換層中の導入された散乱を有するか(実施例7−B)または有しない(実施例7−A)サンプルの光(波長450nmを有する青色LED光源の)の分布を示す。
図8および9は、いかにこのバランスが散乱中心の本発明による組み込みにより影響されるかを明らかに示す。
蛍光抽出効率が散乱の増大とともに増加し、次に飽和に達することを明らかに示す。2つのシリーズの最大に達した蛍光抽出効率の差は、それほど大きいものではない。
粒子の組み込みは、2つの種類の散乱中心を生じさせる。1つには、もし粒子と周囲の層の材料との間に屈折率の差が存在するならば、そしてもし粒子が散乱されるべき光の波長より大きいならば、光は層中の粒子により直接散乱される。一方、粒子の組み込みが表面の粗さを増大させるならば、表面での光の散乱を増大させる。
もし転換層が十分に薄く作られて、それが良好な導波体では最早なくそして透明な支持体から転換層を光学的に隔離するならば、そしてもし低屈折率を有する中間層が転換層と支持体との間に存在するならば、ラフティングが弱くなりそしてフォイルに対して垂直な方向へ放射される蛍光はかなり増大する。
図17は、このような中間層を有するサンプルシリーズの挙動を示す(実施例4−Aから4−D)。
図18は、中間層中への散乱中心の組み込みが、転換された光の蛍光強度を減らすことなく、転換された光に比べて、励起光の部分を選択的に減らすことを示す。これは、励起光の強度が、転換層の前の選択性吸収フィルターの導入により減る場合には、起こらないだろう。この場合、転換された蛍光は、同じ程度に低下されるだろう。しかし、もし励起光の強度が散乱中心の組み込みにより低下されるならば(実施例4−C)、蛍光抽出効率は、同時に増大し、従って損失を相殺するだろう。
図19は、前方の方向へ放射された蛍光が、散乱または中間層のみが使用される場合に比べて、2つの手段の組み合わせにより本発明による材料において改善されることを示す。散乱およびミクロ多孔性およびメソ多孔性の中間層の使用の同時の導入は、転換フォイルの性質を最適にする可能性を生じさせ、同時に、全転換効率を増大する。2つの手段の組み合わせは、それゆえ、転換層中へ高い濃度の散乱中心を直接組み込むことが不利であるかまたは困難な場合でも、前方の方向に放射される高い強度の蛍光を得ることを可能にする。
2 中間層
2a 第1の中間層
2b 第2の中間層
2c 第3の中間層
3 転換層
3a 第1の転換層
3b 第2の転換層
3c 第3の中間層
4 散乱中心
Claims (15)
- 透明な支持体(1)、並びに1つの波長の光を吸収し他の波長の光を放射する物質を含む少なくとも1つの透明な光学転換層(3)からなる光学要素であって、支持体(1)と光学転換層(3)との間に位置する少なくとも1つの中間層(2)を含む、および/または散乱中心(4)が光学転換層(3)および/または中間層(2)に存在することを特徴とする光学要素。
- 中間層(2)がミクロ多孔性およびメソ多孔性である請求項1の光学要素。
- 支持体(1)、中間層(2)および光学転換層(3)が可撓性であり、光学要素が可撓性のフォイルの形である請求項1または2の光学要素。
- 支持体(1)の上の第1の中間層(2a)、その上の第1の転換層(3a)、その上の第2の中間層(2b)およびその上の第2の転換層(3b)が存在する請求項1−3の何れか1つの項の光学要素。
- 第2の転換層(3b)の上に第3の中間層(2c)が存在し、その上に第3の転換層(3c)が存在する請求項4の光学要素。
- 中間層(2)の上に2つの転換層(3a、3b)が直接接触して存在する請求項1−3の何れか1つの項の光学要素。
- 直接接触している2つの転換層(3a、3b)により分離されている第1および第2の中間層(2a、2b)が存在する請求項1−3の何れか1つの項の光学要素。
- 第2の転換層(3b)の上に、その間の中間層なしに、第3の転換層(3c)が存在する請求項4の光学要素。
- 散乱中心が1つの転換層または複数の転換層中へ組み込まれる場合、散乱中心が、それぞれ200−10000nmの平均粒子サイズを有するPbS、TiO2、SiO2、Al2O3、AlOOH、ZrO2、ZnO、SnO2、インジウム錫オキシドの混合酸化物、中空のミクロスフェアまたはエロゾル粒子からなる群の少なくとも1つから選択される粒子である請求項1−8の何れか1つの項の光学要素。
- 散乱中心が1つの中間層または複数の中間層中へ組み込まれる場合、散乱中心が、中間層と同じ材料であるが異なる孔サイズ分布を有する粒子からなるか、またはそれぞれ200−10000nmの平均粒子サイズを有するPbS、TiO2、SiO2、Al2O3、AlOOH、ZrO2、ZnO、SnO2、インジウム錫オキシドの混合酸化物、中空のミクロスフェアまたはエロゾル粒子からなる群の少なくとも1つから選択される粒子からなる請求項1−9の何れか1つの項の光学要素。
- 光学要素が、支持体上の抗反射層、接着層、接着層上のリリース層またはストリッピング層をさらに含む請求項1−10の何れか1つの項の光学要素。
- 中間層および/または転換層が転換色素を含む請求項1−11の何れか1つの項の光学要素。
- 最上の転換層に、フレネルレンズ、ミクロレンズ、ポリマースフェアまたは他の層の光学要素を設けて、光抽出および放射された光の分布をさらに改善する請求項1−12の何れか1つの項の光学要素。
- 1つ以上の層が、発光化合物または光吸収化合物をさらに含む請求項1−13の何れか1つの項の光学要素。
- 可撓性の支持体を用意し、コーティングにより0−100℃好ましくは15−60℃の温度ですべての必要な成分を含む中間層の水性のコロイド状分散物を適用する工程、
コーティングにより0−100℃好ましくは15−60℃の温度ですべての必要な成分を含む転換層のほぼ水性のコーティング溶液を適用する工程、
1つの層を生成する各コーティング工程後、またはいくつかまたはすべての層のコーティング後、空気、赤外線放射、マイクロウエーブまたは熱接触またはこれらの組み合わせにより、コーティングされた層を乾燥する工程
からなることを特徴とする請求項1−14の何れか1つの項の光学要素の製造方法。
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