JP2014514716A - Oled素子のための内部光学的取り出し層 - Google Patents

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Abstract

有機発光ダイオード(OLED)の発光出力を改良する発光素子には、OLEDの中で基材と透明な導電性物質層との間に位置する、少なくとも1層の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物光取り出し層が含まれる。その光取り出し層の屈折率および光散乱は、たとえば、孔径の変化、細孔密度、金属酸化物のドーピング、絶縁性、導電性もしくは半導性成分の添加、または細孔の充填などによって調整することができる。当該発光素子を形成させるための方法には、たとえば大気圧化学蒸着法(APCVD)を使用して、基材の上に多孔質な金属酸化物または半金属酸化物を含む少なくとも1層の光取り出し層を形成させる工程と、それに続く、当該光取り出し層の上に透明な導電性物質を形成させる工程とが含まれる。

Description

連邦政府資金による研究開発に関する記載
本発明は、米国エネルギー省(DOE)の政府研究機関であるBattelle Memorial Institute,Pacific Northwest National Laboratory(PNNL)との協同で開発されたものである。
本発明は、少なくとも1層の光取り出し層を有する、たとえば有機発光ダイオード(OLED)などの発光素子、およびそれらを作製する方法に関する。
発光ダイオード(LED)は公知であり、多くの用途、たとえばディスプレイや状況表示器において使用されている。LEDは、有機および/または無機物質から形成させることができる。無機LEDとしては、発光層のための無機発光物質、典型的にはヒ化ガリウムのような無機半導体物質が挙げられる。有機LED(OLED)としては典型的には、発光層および電荷輸送のための有機物質が挙げられる。無機LEDは、高輝度で耐久性のある点光源を提供することができるが、それに対してOLEDは、大表面積の発光光源を提供することができる。いずれのソリッドステート光源の形態も、従来からの白熱灯技術に比較して、使用エネルギーを顕著に節約できる。
一般的には、OLEDには、一対の電極の間に挟み込まれたポリマーまたは低分子、いずれかの有機薄層が含まれる。典型的には、電極の内の少なくとも一方は、放出光に対して透明である。しかしながら、素子からの発光は、OLEDの各種の層の中での光の内部反射のために、減少する場合がある。実際のところ、典型的なOLEDから放出される光は、光取り出し技術を全く使用しないと、全放出光の約10〜26%のオーダーとなる可能性がある。
したがって、特に可視光スペクトル全域にわたって、OLED素子の光取り出しまたは出力を改良し、エネルギー効率のより高い照明を得る必要が存在する。
本発明は、発光素子の中で2層の隣接層の間に位置する、特定の内部的な1層または複数の光取り出し層を提供する。特に、その1層または複数の光取り出し層は、発光素子の基材と、透明な導電性物質(たとえば、透明な導電性酸化物(TCO))との間に位置させてよい。多孔質な金属酸化物または半金属酸化物構造を有するこの光取り出し層が、内部全反射を低下させるが、ここで、それらの細孔が金属酸化物または半金属酸化物の屈折率を低下させて、透明な導電性酸化物(TCO)−基材界面(または、発光素子内部のその他の界面)における屈折率のミスマッチを抑制させ、所定の電圧および電流でそのOLED素子から取り出される放出光をより多くする。その1層または複数の光取り出し層が、動作電圧に悪影響を与えることなく、白色OLEDの発光出力を改良することができる。さらには、光取り出し層が光散乱を改良して、プラズモン吸収を抑制または最小化することができる(すなわち、光が消滅する前に、その素子から取り出される)。計算からは、注入された単位電荷あたりの外部的に検出されるフォトンの数として定義される、素子の外部量子効率(EQE)を、単一波長素子の場合で、約20%から70%にまで増大させることができる(約250%または3.5倍の改良)ことが示される。したがって、より高い電力効率が得られる(たとえば、現行技術では約25ルーメン/ワット(lm/W)であるのに対して、最高87 lm/W)。別な方法としては、輝度が高くなることを利用して、同じ発光出力では、必要とされる駆動電流を下げることが可能である。ひいてはこれによって、寿命が改良されて、光取り出し層アウトカップリング(outcoupling)構造を有さない素子と同じ輝度では、OLEDの寿命が480%にまで長くなる(加速係数1.4と仮定)。
発光素子の発光出力をさらに改良するために、その多孔質な金属酸化物構造の屈折率および/または光散乱を、一つまたはいくつかの異なったパラメーターを使用することによって調整してもよいが、そのようなパラメーターとしては以下のものが挙げられる(これらに限定される訳ではない):(i)孔径、細孔密度、または細孔の配向もしくは構造の変更;(ii)組成的なドーピング;(iii)絶縁性、導電性、または半導性成分の添加;(iv)たとえば低屈折率の物質を用いた細孔の充填;vi)層の厚みまたは数、光取り出し層を含めた構成層の屈折率の変更、またはそれらの組合せ。さらに、屈折率および/または光散乱は、光取り出し層のゾル−ゲル相またはエーロゲル/ガス相合成の際に、テンプレート条件および/またはアニリーング条件を適切に選択することによって調整してもよい。可視スペクトルにおけるある限定された波長または色のみで改良された発光出力を示し得る、従来技術の光取り出しの素子および技術とは異なって、本発明では、可視スペクトル全域(たとえば、約400nm〜800nm、または全白色光スペクトル)にわたって発光出力を調整することができる。さらには、光取り出し層における光散乱を改良することができ、また所望の屈折率を得ることもできる。
本発明の一態様においては、白色有機発光ダイオード(OLED)の発光出力が改良された発光素子には、たとえば、発光素子中で2層の隣接層の間に位置する、少なくとも1層の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物の光取り出し層が含まれる。例示的な実施態様においては、少なくとも1層の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物光取り出し層、たとえばメソ多孔質なチタニアが、発光素子の中で、基材と透明な導電性物質層との間に挟み込まれている。
本発明のまた別な実施態様においては、発光素子を形成させるための方法には、たとえば大気圧化学蒸着法(APCVD)を使用して、基材の上に多孔質な金属酸化物または半金属酸化物を含む少なくとも1層の光取り出し層を形成させる工程と、それに続けての、その光取り出し層の上に透明な導電性物質を形成させる工程とが含まれる。当業者に公知のその他適切な層を適用して、発光素子、たとえばOLEDを形成させてもよい。
本発明のまた別な実施態様においては、発光素子中の光取り出し層の方法には、多孔質な金属酸化物または半金属酸化物の孔径および細孔密度の少なくとも一方を変化させて、その多孔質な金属酸化物または半金属酸化物を含む少なくとも1層の光取り出し層の少なくとも一つの屈折率および光散乱を得ることが含まれるが、ここで、その光取り出し層は、基材と透明な導電性酸化物との間に位置している。
本発明は、添付の図面と関連させて読むことによって、以下の詳細な説明から理解することができるであろう。
従来技術による発光素子の図である。 本発明の一態様による光取り出し層を含む発光素子の図である。 本発明のまた別な態様による、屈折率をグラジエント的に変化させた光取り出し層を有する発光素子のための基材の図である。 OLED中の典型的な層および本発明の一態様による光取り出し層を有する図である。 それぞれが異なった孔径および細孔密度を有し、その結果として屈折率が異なる2層以上の光取り出し層を有する、発光素子のための基材の実施態様を示す図である。 (a)ガラス基材のみ;(b)ガラス基材の上に透明な導電性物質;(c)1層の内部光取り出し層;および(d)2層の内部光取り出し層の場合の2Dおよび3D画像を示す90度入射に対する正規化光散乱の例を示す図である。; それぞれ(a)350℃、(b)400℃および(c)450℃でアニールした多孔質な金属酸化物物質における、N2吸着等温線および細孔直径分布(挿入図)を示す図である。 TiO2−F127(□)、TiO2−P123(○)、およびTiO2−2×P123(△)についての(a)屈折率(Si基材上のメソ多孔質なTiO2膜)および(b)孔径(メソ多孔質なTiO2のバルク物質)を示す図である(それらの物質のアニリーング温度に対してプロットされている)。 ガラス層とドープされた酸化亜鉛(DZO)層との間に、TiO2を含む2層の光取り出し層を含む、本発明の実施態様を示す図である。 ガラス層の上にTiO2を含む2層の光取り出し層を含む、本発明のまた別な実施態様を示す図である。
本発明の態様には、発光素子において使用される多孔質な金属酸化物または半金属酸化物光取り出し層、その光取り出し層の性質を調整して所望の屈折率および/または光散乱を達成する工程、ならびにそれらの素子を作製する方法が含まれる。その発光素子には、OLED、光電池素子、またはその他の各種適切な素子が含まれていてもよいが、この光取り出し層の主たる用途は、OLED光である。
本明細書で使用するとき、「光取り出し層(light extraction layer)」すなわちLELは、一つの層(たとえば、薄膜、スキン、カバリング、またはコーティング)であって、たとえばOLEDのような発光素子から放出される光の出力を、取り出したり、増大させたりするのに役立つ。その1層または複数の光取り出し層は、光散乱を改良して(たとえば、衝突または相互作用の結果として、フォトンまたは原子スケール以下の粒子の運動の方向を変化させて)、そのOLED素子から出てくる光の角度を効果的に広げ、次いで、その素子から光を抜き出すのに必要とされる反射の数を減少させることによって、プラズモン吸収を最小化させる(たとえば、光が素子の内部で消滅するより前にその光を取り出す)ことができる。光取り出し層の厚みには、特に制限はなく、当業者にとって有用な各種適切な厚みとしてもよい。
本明細書で使用するとき、「透明な導電性物質(transparent conducting material)」(「TCM」)または「透明な導電性酸化物(transparent conducting oxide)」(「TCO」)は、発光素子における透明な電極(典型的には、アノード)であって、当業者には周知である。透明な導電性物質またはTCOは、導電性と光学的透明性(たとえば、可視光スペクトル全体で85%を超える透過率を有している)との両方を組み合わせて示す。透明な導電性物質は一般的には、層、コーティングまたは膜の形態であって、透明な導電性膜(transparet conducting film)(TCF)と言い換えることができる。透明な導電性物質は、ドープされるかまたはドープされていない金属酸化物(これらに限定される訳ではない)を含め、各種適切な物質とすることができる。その透明な導電性物質が、TCOたとえば、たとえば、ドープされた酸化亜鉛またはインジウムスズ酸化物(ITO)を含めて、ドープされた金属酸化物であれば好ましい。一実施態様においては、その透明な導電性酸化物が、光取り出し層(たとえば、下側層)の上の上側層として機能する。本明細書において透明な導電性酸化物について詳細な説明はするが、発光素子においては、たとえば透明な導電性ポリマーまたはその他の透明な導電性物質のような各種適切な電極を選択し、使用してもよいと考えられる。
本明細書で使用するとき、「多孔質(porous)」という用語は、メソ多孔質、マクロ多孔質、またはミクロ多孔質領域に主たる細孔分布を有する、各種の多孔質物質を指している。「メソ多孔質」という用語は、約2nm〜50nmの範囲に主たる細孔分布を有する多孔質物質を指すことができる。約2nm未満に主たる細孔分布を有する物質は、ミクロ多孔質、ナノ多孔質、すなわちナノ細孔を有していると考えてよい。約50nmを超える主たる細孔分布を有する物質は、マクロ多孔質と考えてよい。細孔直径、吸着細孔容積、および表面積は、当業者ならば、Quantachrome autosorb自動化ガス吸着システムを用い、−169℃におけるN2吸着等温線から、Brunauer−Emmett−Teller(BET)吸着を使用して求めることができる。
本明細書で使用するとき、「密度(density)」という用語は、所定の物質の密度か、またはその物質における細孔の密度かの、いずれにも適用できる。当業者には理解されていることであるが、ある物質の密度は、単位体積あたりの質量によって定義することができる。物質の密度は、所定の物質の屈折率に比例するとしてよい。したがって、より高いレベルの高密度化を有するかまたは、(たとえば、より高い密度に)高密度化された物質は、より高い屈折率を与える。他方では、細孔の密度は、物質、たとえばその物質の中の細孔の濃度に関連する。細孔の密度は、細孔の内容物に応じて、所定の屈折率に逆比例する。たとえば、細孔に空気を充填した場合においては、細孔の密度が高いほど、屈折率が低くなるであろう。
本発明の多孔質物質は、約1nm〜約500nmの範囲に主たる細孔分布を有していてよい。たとえば、その孔径が、約400nm未満(たとえば、約50〜400nm、これにはマクロ多孔質分布が含まれる)、約50nm未満(たとえば、約20〜50nm、これにはメソ多孔質分布が含まれる)、約20nm未満(たとえば、約5〜20nm)、または約10nm未満(たとえば、約5〜8nm)であってよい。一実施態様においては、本発明の多孔質物質が、メソ多孔質範囲(たとえば、約2nm〜約50nm)に主たる細孔分布を有していてもよい。孔径が完全にランダムであってもよいが、その多孔質構造が特定の分布、たとえばマルチモーダル(たとえば、バイモーダル)分布を有するようにすることもできる。たとえば、その多孔質構造が、ナノ細孔とメソ細孔との両方、またはナノ細孔とマクロ細孔との両方の、組織化された骨格を有していてもよい。一実施態様においては、その光取り出し層が、約2〜10nmの範囲の細孔を含んでいて、それによって、屈折率の所望の調整、および/または所望の光散乱が得られるようになっていてもよい。
本発明の多孔質構造には、連通気泡骨格と独立気泡骨格のいずれか、またはそれら両方が含まれていてよい。さらに、それらの細孔が、たとえば、球状、円筒状、スリット状など、各種適切な形状または寸法を有していてもよい。たとえば、その骨格が連通気泡の場合には、それらの細孔が、細孔を連通する、チャンネルまたは通路を形成していてもよい。その多孔質構造は、各種適切な多孔度、密度、または連通気泡および/または独立気泡を有していてよい。さらに、それらの細孔が、たとえば、ランダム、規則的、平面的など、各種適切な配置をとっていてもよい。
本明細書および特許請求項で使用するとき、「含む(comprising)」および「含む(including)」という用語は、包括的(inclusive)または開放的(open−ended)であって、引用されていない追加の要素、組成成分、または方法工程を排除するものではない。したがって、「含む(comprising)」および「含む(including)」という用語には、より限定的な用語の「から本質的になる(consisting essentially of)」および「からなる(consisting of)」も包含される。さらに、本明細書において提示されるすべての数値は、その数値までが含まれ、与えられた終点も含まれる。
本発明の実施態様との比較を目的として、従来技術による発光素子を図1に示す。その発光素子には、透明な基材102によって支持されたOLEDスタック106(少なくとも一つの発光体または有機層を含む、詳細後述)が含まれている。その素子にはさらに、電極104および108が含まれ、それらの間にOLEDスタック106が位置している。電極104は、透明であるのが望ましく(本明細書においては、透明な電極または透明な導電性酸化物104と呼ぶ)、基材102とOLEDスタック106との間に位置している。
発光素子の動作の際には、光が、OLEDスタック106(たとえば有機層を含む)から発生し、基材102の方向に向けて等方的に放出される。典型的には、基材102が第一の屈折率(n1)を有するのに対して、TCO104が、典型的にはn1とは異なった第二の屈折率(n2)を有している。たとえば、n1は典型的には約1.45〜約1.55の間であり、n2は典型的には、約1.80〜約2.00の間である。当業者には公知のように、屈折率n1とn2とが異なっている場合があるので、OLEDスタック106から放出された光の一部が、基材102の中を通過するよりは、TCO104の中に反射して戻る場合がある。
TCO104と基材102との界面によって反射されなかった光は、基材102を通り抜けて、発光素子の外に出る(図1中の、通過光および反射光を示す矢印を参照されたい)。しかしながら、図1から判るように、光の幾分かまたは大部分が、反射されて素子の中に戻る。したがって、基材の表面から放出される使用可能な光は、全放出光の約20%にしかならない場合がある。使用可能な光のロスは、たとえば次のようないくつかの因子に関連する:異なった屈折率の界面における内部全反射;表面プラズモンポラリトンによる吸収が原因の反射電極におけるロス;および基材の内部でトラップされる(導波される)光。したがって、素子によって発生された光の大部分が、その素子から脱出しない。
本発明は、少なくとも1層の光取り出し層を提供するが、これはこのトラップされた光を取り出して、その素子の総括発光出力を改良する。具体的には、内部光取り出し層が、多孔質な金属酸化物または半金属酸化物を含み、それが、素子の中の2層の隣接する層の間に備えられる(図2の中の、素子から出て行く、通過光と再集中光とを示す矢印を参照されたい)。図2に示された本発明の一態様においては、発光素子100には、基材102;透明な導電性酸化物104;および少なくとも1層の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物を含む光取り出し層103が含まれ、光取り出し層103は、基材102と透明な導電性酸化物104との間に配置されている。
多孔質な金属酸化物または半金属酸化物光取り出し層は、内部光取り出し層であるが、その理由は、それが発光素子の2層の界面の間に内部的に位置しているからである。例示的一実施態様においては、その少なくとも1層の光取り出し層が、TCOと基材界面の間に位置するか、または挟み込まれている。しかしながら、同一かまたは異なった内部光取り出し層(たとえば、同一かまたは異なった物質および/または同一かまたは異なった細孔)もまた、発光素子の中の他の界面に位置させてもよい、ということも考えられる。基材の外側表面の上に(すなわち、2層の間に位置させずに)、外部の1層または複数の光取り出し層を位置させることもまた可能である。
少なくとも1層の光取り出し層には、多孔質な金属酸化物または多孔質な半金属酸化物が含まれる。光取り出し層を構成する金属酸化物または半金属酸化物は、当業者に公知の各種適切な金属酸化物または半金属酸化物(たとえば、遷移金属酸化物)であってよい。たとえば、適切な金属酸化物または半金属酸化物としては、ゾルゲルプロセスまたはエーロゲルプロセスによって製造可能な、各種の金属酸化物または半金属酸化物が挙げられ得る。適切な金属酸化物または半金属酸化物はさらに、その基材の物質、TCOの物質、OLEDスタックおよび有機層の物質、放出光に望まれる波長範囲、素子の性能因子たとえば効率または発光出力、および/または所望のコストを基準にして選択してもよい(これらに限定される訳ではない)。たとえば、その光取り出し層が、金属または半金属、たとえば、チタン、ケイ素、スズ、ゲルマニウム、アルミニウム、ジルコニウム、亜鉛、インジウム、カドミウム、ハフニウム、タングステン、バナジウム、クロム、モリブデン、イリジウム、ニッケル、ランタン、ニオブ、カルシウム、ストロンチウム、およびタンタルの1種または複数の酸化物を含んでいてよい。2種以上の異なった金属を含む金属酸化物または半金属酸化物もまた、有用であり得る。例示的な実施態様においては、その金属酸化物または半金属酸化物が、以下のものを含む:チタニア(たとえば、TiO2)、シリカ(たとえば、SiO2)、酸化亜鉛(たとえば、ZnO)、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化スズ、酸化インジウム、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、酸化モリブデン、カルシウム/チタン酸化物、またはそれら物質の2種以上のブレンド物。また別な実施態様においては、その光取り出し層にはチタニアが含まれる。
一つまたはいくつかの異なったパラメーターを使用して、光取り出し層を調整して、屈折率および光散乱を与える様にしてもよく、そのようなパラメーターとしては以下のものが挙げられる(これらに限定される訳ではない):(i)孔径、多孔度、細孔密度、または細孔の配向もしくは構造の変更;(ii)組成的なドーピング;(iii)絶縁性、導電性、または半導性成分の添加;(iv)たとえば低屈折率または高屈折率の物質を用いた細孔の充填;vi)層の厚みまたは数の変更、またはそれらの組合せ。
たとえば、光取り出し層は、組成的なドーパントを含ませるか、および/または絶縁性、導電性、または半導性の無機もしくは有機成分を添加して化学的および物理的性質を最適化させることによって、調整してもよい。本発明の一実施態様においては、その多孔質な金属酸化物または半金属酸化物にドーパントが含まれる。金属酸化物または半金属酸化物には、当業者によって、各種適切なドーパントが選択することができる。たとえば、ドーパントとしては、Al、B、Tl、In、Ga、Ce、Co、Fe、Mn、N、Nd、Pd、Pt、S、V、W、Eu、Cr、Tb、Er、Pr、およびそれらの組合せ、などが挙げられるが、これらに限定される訳ではない。本発明のまた別な実施態様においては、その少なくとも1層の光取り出し層に、適切な半導性物質たとえばゲルマニウムまたはケイ素が含まれる。ドーパントおよび/または絶縁性、導電性、もしくは半導性成分の量は、当業者により、望むように調節することができる。
光取り出し層が、単一層であってもよいし、あるいは、1層または複数の副層(多層)から形成されているか、またはそれらの傾斜的変化から形成されていてもよい。たとえば、複数の金属酸化物もしくは半金属酸化物またはそれらの組合せから複数の副層を形成させて、少なくとも1層の光取り出し層を製造してもよい。一実施態様においては、その光取り出し層が2層(たとえば、二重層(dual layer))を含んでいる。それらの光取り出し層は、同一であっても異なっていてもよい。それらの副層は、物質、孔径、多孔度、細孔の配向、ドーピングの程度、屈折率、またはその他の変数に関して、異なり得る。したがって、その光取り出し層には、2層以上の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物層が含まれていてもよい。
図5には、2層以上の光取り出し層、すなわち2層の光取り出し層を含む発光素子の一実施態様を示しているが、ここでそれぞれの層は、異なった孔径および細孔密度を有していて、その結果、屈折率が異なっている。たとえば、その第一の光取り出し層103が、約1.8の屈折率を有している。その第二の光取り出し層103は、約1.59の屈折率を有している。したがって、その屈折率は、光取り出し層103の内で、それぞれTCO層104およびガラス基材層102に対してほぼマッチングして、たとえば光散乱も最適化させることができる。
別な方法として、それぞれの層の間の界面、および/または光取り出し層103とTCO層104および/またはガラス基材層102との間の界面で、光取り出し層103を高密度化させることによって、光散乱を最適化させてもよい。高密度化は、当業者にはよく知られているように、層の前駆体を貫入させ、次いで結晶化させるか、またはその多孔質物質を焼結させることによって起こさせることができる。多孔質層の密度は、屈折率と相関があり、密度を高くすると、屈折率も高くなる。当業者には公知のことであるが、たとえば高−低−高の配列のような、異なった屈折率の三つ以上の領域を持たせることによって、バンドパスフィルターを作ることができる。一般的には、これらのバンドパスフィルターは、可視光の特定の領域に影響を与える。異なった屈折率を有するそれらの層の厚みが、そのフィルターを通過する波長を決定する。しかしながら、この系は、可視スペクトル全体にわたって改良点を有しているという結果が得られる。光の波長のオーダーの横方向距離にわたる高−低−高の層の厚みの範囲による、バンドパスフィルターが存在することによって、可視領域全体を包含するバンドパスフィルター波長の範囲を与えられる。
本発明の一実施態様においては、少なくとも1層の光取り出し層が、他の層との界面に隣接した領域で、高密度化される。別の言い方をすれば、その光取り出し層のこの領域の密度が高くなり、そのことによって、光取り出し層のその場所で、より高い屈折率が得られる。一つの例としては、その高密度化された領域では、少なくとも1層の光取り出し層の(より低い屈折率を有する)残りの部分よりは高い屈折率が含まれる。2層の光取り出し層の界面の領域で、高密度化を起こさせてもよい。さらに、光取り出し層と基材との間の界面の領域で、高密度化を起こさせてもよい。それらの高密度化のバンドが、高/低/高の屈折率効果(たとえば、バンドパスフィルター)を与えてもよい。たとえば、2層の光取り出し層の場合においては、その第一の光取り出し層を基材に隣接したところで高密度化させ、その第二の光取り出し層を、第一の光取り出し層に隣接したところで高密度化させてもよい。このことによって、基材に隣接したところでの高い屈折率、第一の光取り出し層の残りの部分での低い屈折率、第一の光取り出し層と第二の光取り出し層との間の界面での高い屈折率、ならびに、第二の光取り出し層の残りの部分での低い屈折率が得られる。
図9には、その中に二つの光取り出し領域および高密度化領域を含む、本発明の実施態様が示されている。その2層の光取り出し層には、ガラス層とドープされた酸化亜鉛(DZO)層の間にTiO2が含まれている。TiO2(F127)は、Pluronic(登録商標)F127ブロックコポリマーテンプレート剤から得られたメソ多孔質なTiO2を表し、そしてTiO2(P123)は、Pluronic(登録商標)P123ブロックコポリマーテンプレート剤から得られたメソ多孔質なTiO2を表している。図9においては、高密度化(色の濃い領域)を、TiO2(F127)とTiO2(P123)の光取り出し層との界面に観察することができる。TiO2(P123)とガラス基材との間の界面にも、高密度化(色の濃い領域)を観察することができる。電子顕微鏡の当業者ならばよく認識するであろうが、電子顕微鏡写真では、色の濃い領域が、色の薄い領域に比較して、より高い物質密度に対応している。図9においては、密度がより高い領域が、200〜500nmの距離にわたって20nm〜50nmの厚み変動を有しているが、これは、光学的フィルターのために必要とされる厚みの変動に対応し、そしてレンズに対応した距離である。膜全体にわたって、垂直方向の線条もまた観察されたが、これがまとまってマクロレンズとして機能し得ることは、当業者のよく理解するところであろう。
図10には、ガラス層の上にTiO2を含む2層の光取り出し層を有する本発明の実施態様を示しているが、TiO2(F127)とTiO2(P123)の光取り出し層の間には、ほんのわずかな高密度化領域があり、TiO2(P123)とガラス基材との間には高密度化が全くないか、またはわずかしかない。このタイプの素子には、たとえば図3に示したようなグラジエントが含まれていてもよい。さらに、素子から光をさらに取り出すための、外部の光取り出し層が備えられていてもよい。
光取り出し層の厚みに関しては特別な制限はないが、光取り出し層の全部の厚みが、約50nm〜約1000nmの間にあるようにするのがよい。さらに、その厚みを必要に応じて変化させて、光取り出し層の性質(たとえば、屈折率)を調整してもよい。
当業者には周知のように、多孔質な金属酸化物または半金属酸化物が、各種適切な構造を有していてよい。たとえば、金属酸化物または半金属酸化物が、結晶質(たとえば、アナターゼ、ブルッカイト、またはルチル)、部分的に結晶質、または非晶質であってよい。例示的な実施態様においては、その金属酸化物または半金属酸化物が、高度に結晶質の形態にある。
多孔質な金属酸化物または半金属酸化物の中の細孔は、特別な制限はないが、所望の屈折率および/または光散乱を与えるように形成されているのが好ましい。細孔分布、孔径、多孔度、密度、細孔容積、細孔の配向などを含めた多孔質構造を、多孔質な金属酸化物または半金属酸化物の所望する性質(たとえば、屈折率および光散乱)に合わせて、調整するかまたは変化させてもよい。たとえば、同程度の厚みではあるが、細孔密度がより高い膜は、より低い屈折率を示す。
本発明の多孔質物質は、各種適切な細孔分布を有していてよい。例示的な実施態様においては、その多孔質な金属酸化物の主たる細孔分布が、約2nm〜約500nmの範囲である。
したがって、その孔径は完全にランダムであってもよい。孔径を調整して、ある種の分布(たとえば、ユニモーダル、バイモーダル、またはマルチモーダル分布)を有するようにしてもよい。例示的な実施態様においては、その多孔質構造には、ナノ細孔(たとえば直径約2nm〜約8nmのオーダー)と、メソ細孔および/またはマクロ細孔(たとえば直径約20nm〜約200nm、より詳しくは約20nm〜約50nmのオーダー)との両方を有する組織化された骨格が含まれる。本発明の多孔質構造には、連通気泡骨格と独立気泡骨格のいずれか、またはそれら両方が含まれていてよい。さらに、それらの細孔が、たとえば、球状、円筒状、スリット状など、各種適切な形状または寸法を有していてもよい。さらに、それらの細孔が、たとえば、ランダム、規則的、平面的など、各種適切な配置をとっていてもよい。
多孔質構造を調整して、単一の屈折率、または層の厚みの方向で変化する屈折率を有する、少なくとも1層の光取り出し層を形成させてもよい。たとえば、層または副層が、屈折率の段階的な指数を有するか、グラジエント的な変化を有していてもよい。図3に見られるように、光取り出し層103が、層の厚み全体でグラジエント的に変化していてもよい。たとえば、光取り出し層103がグラジエント的に変化して、その屈折率が、TCO層104に隣接するところの屈折率と同一になるかまたはほぼマッチングし、そしてさらに基材102(たとえば、ガラス)に隣接するところの屈折率と同一になるかまたはほぼマッチングするようにしてもよい。そのようにグラジエント的に変化させた屈折率を使用することによって、隣接する層の屈折率がほぼマッチングして、光の内部反射が防止され、従来からの発光構造物の界面では内側にトラップされていた光が減少するために、反射界面を減少させるかまたは無くすことが可能となる。この効果を達成するためには、たとえば、多孔質な金属酸化物または半金属酸化物には、TCO104の近傍では、より小さい細孔(たとえば、約1.8〜2.0などの、より高い屈折率)を有し、それから徐々に変化していって、基材102の近傍では、より大きい細孔(たとえば、約1.5のような、より低い屈折率)になるようにしてもよい。別な方法としてか、またはそれに加えて、細孔の密度を調節して、所望のグラジエントまたは屈折率のマッチングが得られるようにすることも可能である。好ましい実施態様においては、多孔質な金属酸化物または半金属酸化物構造のそれぞれの隣接する副層が類似の屈折率を有するようにして、屈折率における不一致が大きい、層の間の界面を回避することになるであろう。
多孔質構造を調節して、光散乱を与えるようにしてもよい。図6には、たとえば、2Dおよび3D画像を示す90度入射の場合の正規化光散乱の例についての、ゴニオメーター測定を示している。例(a)には、ガラス基材のみの場合の比較例を示している。ほとんどが黒色の領域であることからも明らかなように、最低の光散乱しかない(すなわち、光の散乱なし)。例(b)には、ガラス基材の上に透明な導電性物質(ドープされた酸化亜鉛)を有する比較例を示している。明るい中央リング(2D)および拡幅円錐(3D)は、ある程度の光散乱が存在していることを示している。同様にして、例(c)には、透明な導電性物質(ドープされた酸化亜鉛)とガラス基材との間に位置する、本発明による内部光取り出し層を示している。その中央リング(2D)および拡幅円錐(3D)はいくぶんかの光散乱を示している。例(d)には、透明な導電性物質(ドープされた酸化亜鉛)とガラス基材との間に位置する、本発明による2層内部光取り出し層を示している。大部分が明るい中央リング(2D)およびさらに広がった円錐(3D)から、大量の光散乱(すなわち、光の良好な散乱)が確認される。
それらの細孔は、部分的または全面的に、各種適切な流体または物質(たとえば低屈折率物質)を含むか、またはそれらで充填されていてもよい。たとえば、細孔には、空気、窒素、またはその他適切な流体が含まれていてもよい。その流体は、気体であっても、および/または液体であってもよい。それに代えるか、またはそれに付け加えて、それらの細孔には、(TCOの金属酸化物または半金属酸化物物質も含めて)金属もしくは半金属、またはそれらの酸化物が含まれていてもよい。500℃までの温度(これは、典型的には、化学蒸着プロセスにおいて遭遇する温度である)に耐えられるような流体または物質を用いて、それらの細孔が充填されているのが好ましい。さらに、層の厚み全体にわたってか、または層に沿ってグラジエントがかかるように、各種の物質または流体を用いて細孔を充填することによって、光取り出し層の屈折率を調整してもよい。たとえば、細孔には、層の約50%には同一のTCO物質が含まれ、細孔の残りの部分には空気が充填されていてもよい。図3には、光取り出し層103のグラジエントの変化を示しているが、これは、細孔の中に異なった物質/流体を含むようにして、実現させてもよい。
光取り出し層の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物が、所定の屈折率(n3)を有していてもよいし、あるいは(たとえば層全体で変化する)ハイブリッドな屈折率を有していてもよい。たとえば、その多孔質な金属酸化物または半金属酸化物が、第一の屈折率(n4)を有する少なくとも1種の金属酸化物または半金属酸化物と、第二の屈折率(n5)を有する細孔とを含んでいてもよい。その金属酸化物または半金属酸化物が、典型的には、より高い屈折率を有し、細孔が、典型的には、より低い屈折率を有することになるであろう。例示的な実施態様においては、金属酸化物または半金属酸化物の屈折率(n4)と細孔の屈折率(n5)との間には、ある程度の差、すなわちデルタ値(Δ)が存在する。そのデルタ値を調整して、光取り出し層の所望の性質を達成してもよい。たとえば、少なくとも1種の金属酸化物または半金属酸化物の第一の屈折率と、細孔の第二の屈折率との差が、0.5以上、1以上、1.5以上、または2以上であるのがよい。ある種の実施態様においては、そのデルタ値を可能な限り大きくしてもよい。たとえば、多孔質な金属酸化物または半金属酸化物を、極めて高い屈折率を有する物質(たとえば、相に応じて約2.4〜2.9の屈折率を有するチタニア)とし、細孔を、極めて低い屈折率を有する物質(たとえば、約1の屈折率を有する空気)を用いて充填してもよい。少なくとも1層の光取り出し層が屈折率のグラジエントを有する、本発明のいくつかの実施態様においては、より高い屈折率(たとえば、1.7〜1.8)を、透明な導電性物質に隣接させ、より低い屈折率(たとえば、1.5〜1.6)を基材に隣接させる。
例示的な実施態様においては、その発光素子には、基材;透明な導電性酸化物(TCO);および少なくとも1層の、メソ多孔質なチタニアを含むメソ多孔質な光取り出し層(MEL)が含まれるが、ここでそのMELは、基材と透明な導電性酸化物との間に蒸着される。
多孔質な金属酸化物または半金属酸化物および光取り出し層は、各種適切な方法で調製してもよい。たとえば、X.Shari Liら,「Effects of Template and Precursor Chemistry on Structure and Properties of Mesoporous TiO2 Thin Films」(Langmuir,2004,20,9095〜9102)、またはDonghai Wangら,「Synthesis and Li−Ion Insertion Properties of Highly Crystalline Mesoporous Rutile TiO2」(Chem.Mater.,2008,20,3435〜3442)に記載されている技術が、適切であろう(いずれの文献も、引用することにより、すべての目的のためにそれらのすべてを本明細書に組み入れたものとする)。たとえば、高度に結晶質な多孔質な金属酸化物または半金属酸化物(たとえば、メソ多孔質な遷移金属酸化物)は、所望の結晶質相の、調節しながらの核化を刺激することによって、形成させることができる。その合成経路は、金属塩前駆体から出発し、それを加水分解させて金属のオキシクラスター(oxycluster)としてもよい。それらのクラスターが、官能性の界面活性剤と共に自己凝結して、メソ構造となり、その金属のオキシクラスターがさらに界面活性剤官能基と共に凝縮、核化し、それが成長してナノ結晶となる。一実施態様においては、高度に結晶質なメソ多孔質な金属酸化物を合成する際に、階層的(hierarchical)メソ多孔質な金属酸化物(たとえば、チタニア)を、犠牲(sacrificial)物質(たとえば約20nm〜約200nmのオーダーの、たとえばシリカまたはポリマービーズ)を組み入れることによって、組み上げることができる。そうして得られる構造物は、たとえば、直径2nm〜5nmのナノ細孔(細孔を形成させるために使用した界面活性剤テンプレートに依存する)と、その犠牲ポロゲンからの直径20nm〜200nmのメソ細孔とを有している。
一実施態様においては、多孔質な金属酸化物は、ゾルゲル技術またはエーロゲル技術を使用して、金属アルコキシドから形成させることができる。たとえば、ゾルゲルプロセスでは、ブロックコポリマーまたはハードポリマーのテンプレートのような界面活性剤テンプレートするのがよいが、それは、アニリーングプロセスにおいて燃焼されると細孔を生成する。ある種のパラメーター、たとえばテンプレートのタイプ、テンプレートの濃度、そのテンプレートがジブロックコポリマーである場合にはそのテンプレートの中における成分の分子量比、および多孔質な金属酸化物または半金属酸化物を生成させる際のアニリーング条件などを選択することによって屈折率および光散乱を調整することが可能となる、ということが見出された。具体的には、界面活性剤テンプレートのタイプをノニオン性、イオン性、または両親媒性のブロックコポリマーから選択すると、その結果、所望の屈折率および光散乱が得られる。例示的一実施態様においては、その界面活性剤テンプレートには、たとえば両末端をポリ(エチレンオキシド)セグメントでキャップしたポリ(プロピレンオキシド)セグメントのような両親媒性のトリ−ブロックコポリマーが含まれる。両親媒性のトリ−ブロックコポリマーたとえば、Pluronic(登録商標)ポリマーには、両末端を親水性のポリエチレンオキシドのAセグメントによってキャップされた、疎水性のポリ(プロピレンオキシド)のBセグメントが含まれる(PEOxPPOyPEOx)。テンプレート界面活性剤の量の濃度によって、屈折率および光散乱を調整することが可能となる。2種の成分であるPEOおよびPPOの分子量/鎖長を選択することによっても、異なった屈折率および光散乱の結果が得られるように変性することができる。たとえば、Pluronic(登録商標)F127ブロックコポリマー(PEO100PPO65PEO100、Mn=12,600)およびPluronic(登録商標)P123ブロックコポリマー(PEO21PPO65PEO21、Mn=5,750)を、所望のメソ多孔質な金属酸化物、たとえばTiO2を得るためのテンプレート剤として使用することができる。
さらに、(たとえば、約300〜500℃に加熱するように)アニリーング条件を選択することによっても、屈折率および/または光散乱を調整することが可能となる。図8は、TiO2−F127(□)、TiO2−P123(○)、およびTiO2−2×P123(△)についての(a)屈折率(Si基材上のメソ多孔質なTiO2膜)および(b)孔径(メソ多孔質なTiO2のバルク物質)を示しているが、それらはそれぞれ、物質の350℃、400℃、および450℃のアニリーング温度に対してプロットされている。たとえば、多孔質な金属酸化物層を、同一の温度または温度を変化させて、2回以上(たとえば2回)アニリーングさせることによって、例示的な結果を見出すことができる。たとえば、アニリーングによって、屈折率(たとえば、約1.5〜1.8)を調整するためには3〜5nmの範囲に、そして光散乱を調整するためには約20〜50nmの範囲の孔径を与えることができる(図6(d)参照)。
発光素子100には、透明な導電性物質(TCM)、好ましくはTCM層104が含まれる。TCMのサブセットは、典型的には、発光素子(たとえば、OLED)の中でアノードとして機能する、透明な導電性酸化物(TCO)である。TCOは、各種適切なTCO、たとえば、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、フッ素−ドープされた酸化スズ、およびニオブ−ドープされた二酸化チタンから形成されてもよい。例示的な実施態様においては、そのTCMには、ドープされた酸化亜鉛、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、フッ素−ドープされた酸化スズ、ニオブ−ドープされた二酸化チタン、グラフェン、カーボンナノチューブ、または銀が含まれる。好ましい実施態様においては、そのTCOが、インジウムを含まないコーティング、たとえばドープされた酸化亜鉛コーティングであるが、これは米国特許第7,740,901号明細書および米国特許第7,732,012号明細書に記載されている(引用することにより、すべての目的のためにそれらのすべてを本明細書に組み入れたものとする)。
発光素子100には、基材102が含まれている。基材102は、所望の波長領域で光を透過させるための、各種適切な透明な物質(たとえば、80%を超える透過率を有するもの)から形成させることができる。基材102のための物質としては、ガラス、ポリマー基材もしくは膜、ならびに高温加工に耐えられるプラスチックスが挙げられるが、それらに限定される訳ではない。適切なガラス基材としては、たとえば、ソーダ石灰ガラス(ソーダ石灰フロートガラスおよび低鉄分ソーダ石灰ガラスを含む);ボロシリケートガラス;ならびにフラットパネルディスプレイガラスなどが挙げられる。適切なポリマー基材は、350℃よりも高いTm融点を有しているのがよく、たとえば、ポリアリールエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネートなどである。その基材は、各種適切な形態(たとえば、シート、膜、複合材料など)、および各種適切な厚み(たとえば約15ミルよりも薄い(1ミル=1インチの1000分の1))であってよい。基材は、単一層とすることもできるし、あるいは、そのものに多層が含まれていてもよい。
発光素子の層の中には、その他の成分を添加したり、組み入れたりすることもできる。たとえば、充填剤、安定剤、着色剤などを、所望の性質に基づいて、(たとえば、ポリマー基材の)層に添加したり、層に組み入れたり、あるいは(たとえば、基材の)表面に適用したりすることもできる。
当業者には容易に理解されるであろうが、発光素子には、本明細書における記載の有無には関係なく、さらなる成分を含んでいてよい。たとえば、有機発光ダイオード(OLED)には、図4に示したように、OLEDスタックおよびカソードをさらに含んでいてもよい。OLEDスタックには、発光層または有機物質を含む発光体層106c、正孔輸送層106b、正孔注入層106a、および電子輸送層106dが含まれていてもよい。発光素子100には、電極108が含まれていてもよいが、このものは、典型的には発光素子(たとえば、OLED)の中でカソードとして機能する。カソード108は、各種適切な導電性金属物質、たとえばアルミニウム、銅、銀、マグネシウム、またはカルシウム(これらに限定される訳ではない)から形成されていてよい。カソード108には、場合によっては、反射性表面(たとえば、鏡)を含んでいて、光を反射させて、素子の中に戻したり、光取り出し層を通過させてもよい。
発光体層106cに適切な電圧を印加すると、注入された正および負の電荷が発光層の中で再結合して、光を発生させる。その発光層には、青色光、赤色光および/または緑色光(これらに限定される訳ではない)を放出する有機物質が含まれている。望ましくは発光体層106cの構造および電極104、108のタイプを選択して、発光層における再結合プロセスを最大化させ、その結果、発光素子100からの発光出力を最大化させる。一般的には、発光体層106cは、各種適切な有機物質を用いて形成させることができる。たとえば、発光体層106cのための物質としては、ポリマー、低分子化合物およびオリゴマーが挙げられる(これらに限定される訳ではない)。
本明細書に記載されている特定の内部光取り出し層が、その他の光取り出し技術全般に、改良された性質を与えるということが見出された。具体的には、その少なくとも1層の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物光取り出し層が、有機発光ダイオード(OLED)において特に有用であることが見出された。具体的には、孔径、細孔の充填、ドーピング、半導性成分の添加などに基づいて、光散乱の程度とともに物質の屈折率を調整することによって、動作電圧に悪影響を与えることなく、白色OLEDの発光出力を改良することができる。したがって、本明細書に記載された光取り出し層を利用したOLEDの電力効率は、大いに改良されている。たとえば、その光取り出し層が、(限定された波長範囲にわたってではなく)約400nm〜約800nmの可視光範囲全般にわたって、OLEDの外部量子効率(EQE)(たとえば、その素子から放出される光の量)を改良し得る。したがって、白色OLEDのための外部量子効率を、広い波長領域にわたって改良することができる。
本発明のまた別な実施態様においては、発光素子を形成させるための方法には、基材の上に多孔質な金属酸化物または半金属酸化物を含む少なくとも1層の光取り出し層を形成させる工程と、その光取り出し層の上に透明な導電性物質を形成させる工程とが含まれる。
多孔質な金属酸化物または半金属酸化物は、先にさらに詳しく記述したようにして、当業者公知の各種適切な技術によって形成させることができる。さらに、光取り出し層の少なくとも一つの屈折率および光散乱を、先に論じたようにして、以下に記載の方法の少なくとも一つによって調整することができる:孔径の変更;細孔密度;組成的なドーピング;絶縁性、導電性もしくは半導性成分の添加;細孔の充填、層の厚み、テンプレートの選択(たとえば、タイプおよび濃度)、および/またはアニリーング条件など。
本発明の一実施態様においては、発光素子中の光取り出し層を得るための方法には、多孔質な金属酸化物または半金属酸化物の孔径および細孔密度の少なくとも一方を変化させて、その多孔質な金属酸化物または半金属酸化物を含む少なくとも1層の光取り出し層の少なくとも一つの屈折率および光散乱を得ることが含まれるが、ここで、その少なくとも1層の光取り出し層は、基材と透明な導電性酸化物との間に位置している。
多孔質な金属酸化物または半金属酸化物は、基材の上に蒸着させるか、または基材に適用して、光取り出し層を形成させることができる。その1層または複数の層は、基材全体の上か、または基材の一部に実質的に均質に適用してもよい。その層は、当分野で公知の各種適切な装置および技術を使用して適用することができる。たとえば、光取り出し層は、溶液加工法、大気圧化学蒸着法(APCVD)、紫外線援用化学蒸着法(UVCVD)、プラズマ援用もしくはプラズマ強化化学蒸着法(PACVDもしくはPECVD)、原子層蒸着法(ALD)、物理蒸着法(PVD)、真空加熱蒸発法、スパッタリングプロセスによるか、または、パルスレーザー蒸着(PLD)プロセスによって形成させることができる。例示的一実施態様においては、その光取り出し層を、化学蒸着(CVD)プロセスを使用して基材の上に形成させることが出来るが、そのプロセスは、大気圧および約450℃未満、いくつかの実施態様においては約400℃未満の温度で実施される。また別な実施態様においては、そのCVDプロセスを、大気圧および約300℃〜約650℃の温度で実施してもよい。いくつかの実施態様においては、プロセス温度を約400℃未満に保って、本明細書において記載された物質が、製造の際に安定であるようにするのが望ましい。各種適切な温度は、その物質および基材に対して光取り出し層を付着させるために選択される方法に基づいて、当業者が選択してもよい。
光取り出し層は、各種適切な厚みになるように形成させてもよい。たとえば、光取り出し層の厚みを合計したものを、約2nm〜約500nmの範囲とすることができる。厚い層が必要ならば、基材の上に、その所望の厚みが得られるまで、追加の層を適用することが考えられる。その追加の層は、同一であってもよいし、あるいは、たとえば異なった金属酸化物、細孔構造を含む異なった組成物であってもよい。
TCOは、光取り出し層の上に蒸着させるか、またはそれに適用してもよい。そのTCO層もまた、当分野で公知の各種適切な装置および技術を使用して適用することができる。たとえば、米国特許第7,740,901号明細書および米国特許第7,732,012号明細書において特定されているような技術および条件が特に適切である(引用することにより、すべての目的のためにそれらのすべてを本明細書に組み入れたものとする)。例示的一実施態様においては、その透明な電極もまた、先に光取り出し層について特定した例示的条件で、CVDプロセスにより形成される。たとえばこのときに、そのTCO物質が、多孔質な金属酸化物または半金属酸化物の細孔の中へ貫入してもよい。多孔質な金属酸化物または半金属酸化物の性質に依存して、TCO物質が、光取り出し層の所定の容量パーセントまたはある程度の厚みにまで貫入してもよい。さらには、たとえば細孔が閉じているか、細孔がすでに他の物質で充填されているか、またはTCOの貫入を許さないバリアが存在しているような場合には、多孔質な金属酸化物の細孔にはTCOが貫入できない。
発光素子を形成させる方法にはさらに、発光素子、たとえばOLEDの中で使用される典型的な層、非限定的に挙げれば、たとえば、発光体層もしくは有機層、正孔輸送層、正孔注入層、および電子輸送層を含む、少なくとも1層を形成させることが含まれていてよい。これらの層のそれぞれは、当産業において公知の各種適切な方法および装置を使用して形成させることができる。たとえば、TCOの上に有機層を形成させてもよい。その有機層は、各種適切なプロセス、たとえば、TCOの上に正孔注入層を蒸着させ、その正孔注入層の上に正孔輸送層を蒸着させ、その正孔輸送層の上に発光層を蒸着させ、その発光層の上に電子輸送層を蒸着させることによって、形成させてもよい。一例としては、発光体層を、真空蒸発プロセスによって形成させてもよい。次いで、そのOLEDスタックの上に電極層を形成させてもよい。たとえば、有機層の上の電子輸送層の上に、電極(カソード)を形成させる。電極もまた、各種適切なプロセス、たとえば真空蒸発プロセスによるか、またはPVDプロセスたとえばスパッタリング法によって形成させてもよい。
さらに、必要に応じ、追加の内部光取り出し層を発光素子の中に位置させてもよいと考えられる。具体的には、多孔質な金属酸化物または半金属酸化物を含む内部光取り出し層を、OLED素子の中の任意の2層の隣接する層の間に位置させてよい。光取り出し層は、本明細書に記載されているか、または当分野で公知の各種適切な技術を使用して、適用してもよい。少なくとも1層の内部光取り出し層を、透明な導電性酸化物(TCO)−基材の界面か、または次の層の中に容易に電荷注入が可能な程度の導電性がある場合、TCO−有機物の界面の少なくとも一つの間に加えるのが好ましい。
ある種の順序をつけて発光素子を組み立てる順序を記載してはいるが、形成工程または適用工程を、各種適切な順序で起こすことも、実施することもできるということも認識しておかれたい。さらに、発光素子中のそれぞれの層が、良好な耐久性および安定性を示すのが望ましい。具体的には、それらの層が、良好な密着性を示し、層間剥離を起こさないようにするのが好ましい。
特に断らない限り、すべての実験は、空気中、周囲条件下で実施した。
TiO2のゾル−ゲル合成
TiO2のゾル−ゲル合成においては、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドをベースとする、2種のタイプのテンプレート用のPluronic(登録商標)ブロックコポリマーを使用した。それぞれ一級ヒドロキシル基末端を有する2官能ブロックコポリマーである、Pluronic(登録商標)F127ブロックコポリマー(755mg、0.06mmol)またはPluronic(登録商標)P123ブロックコポリマー(690mg、0.12mmolまたは345mg、0.06mmol)を、7.41mLのn−ブタノールの中に溶解させた。Pluronic(登録商標)P123ブロックコポリマーは、いずれの濃度ででも完全に溶解したが、Pluronic(登録商標)F127ブロックコポリマーは、わずかに濁りのあるコロイド状溶液となった。別途に、1.33mL(16.1mmol濃度)のHClを、発熱反応による温度上昇を緩和するために激しく撹拌しながら、1.93mL(9.2mmol)のチタンテトラエトキシド、Ti(OEt)4に徐々に添加した。次いで室温で、それぞれのポリマー溶液をTi(OEt)4/HCl溶液の中に、撹拌しながら2〜3分かけて、ゆっくりとピペット注入した。最終的なゾル−ゲル溶液はそれぞれ、総括的なTi(OEt)4/HCl/ポリマー/n−BuOHの比が、1:1.75:0.013:8.8、および1:1.75:0.0065:8.8であった。すべてのゾル−ゲル溶液が透明であった。元々はコロイド状であったPluronic(登録商標)F127ブロックコポリマーの懸濁液も、より極性の強いTi(OEt)4/HCl水溶液と接触させると、溶解した。
ゾル−ゲル物質およびアニリーング後に生成するTiO2物質を、本明細書においては、次のように命名している:TiO2−F127(0.06mmolのPluronic(登録商標)F127ブロックコポリマーを含むゾル−ゲル溶液から調製したもの)、TiO2−P123(0.06mmolのPluronic(登録商標)P123ブロックコポリマーを含むゾル−ゲル溶液から調製したもの)、およびTiO2−2×P123(0.12mmolのPluronic(登録商標)P123ブロックコポリマーを含むゾル−ゲル溶液から調製したもの)。
BET測定のためのバルク物質は、ゾル−ゲル溶液を顕微鏡用ガラススライドの上に広げることにより調製した。その物質を、空気中、室温で48時間以上放置して、硬化させた。次いで、そのコーティングしたガラススライドをマッフル炉に移し、1℃/分の速度で所望の温度にまで加熱し、それぞれ350℃、400℃または450℃の最高温度で4時間保持した。加熱時間が終了したら、炉は開けずに、可能な限り急速に放置冷却(数時間かける)して、50℃にまで降温させた。顕微鏡用ガラススライドから固体の物質を剥がし、均質な粉体になるまで粉砕してから、XRDおよびBET分析にかけた。アニリーング温度を高くするほど、バルクのTiO2物質の色が暗褐色から薄いベージュ色にと変化するが、このことは、350℃では、(スピンコートした膜に比較して)より厚い膜では、すべての有機物質が燃焼しきった訳ではないということを示している。
薄膜の調製
Si基材(1cm×1cm;<100>)を、加熱したトリクロロエチレン、アセトン、およびイソプロパノールの順で、有機溶媒を用いて洗浄した。UVオゾン(UVO−Cleaner、Jelight Co.Inc、15mW/cm2、20分間)を用いて処理してから、基材をNH4OH溶液(30.0%NH3ベース)の中に1分間浸漬させることによって基材をヒドロキシル化し、次いで脱イオン(DI)水の中でゆすいだ。空気中で風乾させてから、基材の上に、86μLのTi(OEt)4/HCl/ポリマー/n−BuOH溶液から、TiO2ゾル−ゲル溶液の薄膜をスピンコートさせた(2400rpm、40秒)。それらのサンプルを室温に48時間以上放置して硬化させ、次いでマッフル炉の中に移した。次いで、それらのサンプルを1℃/分の速度で所望の温度にまで加熱し、それぞれ350℃、400℃または450℃の最高温度で4時間保持した。加熱時間が終了したら、炉は開けずに、可能な限り急速に放置冷却(数時間はかかる)して、50℃にまで降温させた。
分析および計測
微粉砕したバルクサンプルの粉体X線回折(XRD)検討は、Rigaku Miniflex II粉体回折計を用い、単色CuKα線(λ=1.54059Å)およびBragg−Brentano光学系で実施した。バルク粉体サンプルのBrunauer−Emmett−Teller(BET)表面積および孔径は、Quantachrome autosorb自動化ガス吸着システムを用い、−169℃における窒素吸着等温線から求めた。分析の前に、すべてのサンプルは、100℃で24時間かけて脱気した。膜の表面トポロジーを検討するために、JEOL JSM−5900顕微鏡を用い、走査型電子顕微鏡法(SEM)を実施した。原子間力顕微鏡法(AFM;DI Nanoscope IIIa Multimode)を用いて、スピンコートした膜のモルホロジーを調べた。AFM画像は、ケイ素AFMチップを用い、タッピングモードで記録した。すべてのAFM画像の実験設定値は以下の通りであった:走査速度=1Hz、走査解像度=512本、振幅設定値=1V、積分ゲイン=0.2、比例ゲイン=0.3。
TiO2−P123およびTiO2−2×P123膜の屈折率および厚みは、J.A.Woolam Co.,Inc.製のSpectoscopic Ellipsometer alpha−SEを使用する、偏光解析法により測定した(CompleteEASE(商標)Version3.65;HeNeレーザー、632.8nm;Model:Si with Transparent Film)。TiO2−F127膜の屈折率および厚みは、Rudolf Auto EL−III楕円偏光計(HeNeレーザー、632.8nm)を使用して測定した。Si基材上のTiO2膜の反射スペクトルは、UV−Vis−NIR Spectrophotometer(Varian,Cary 5)を用いて記録し、0.5nm以上の分解能で、800〜200nmの波長領域について測定した。熱重量分析(TGA)および示差走査熱量測定(DSC)は、Aelos QMS 403C MSを取り付けた、DSC STA 449 Jupiter Netzsch装置で実施した。粉体をアルミナるつぼの中に充填し、空気流(25mL/分)の下で、5℃/分の速度で室温から550℃までサンプルを加熱することによってデータを得た。
巨視的な薄膜モルホロジー
ミクロンスケールでの走査型電子顕微鏡法(SEM)および原子間力顕微鏡法(AFM)からもわかるように、すべてのTiO2薄膜は、平坦で連続な外観であった(450℃でアニールさせたTiO2−2×P123膜は除く)。AFM測定からは、350℃でアニールさせたメソ多孔質なTiO2−2×P123膜の粗面度(Rms)が0.3nmであることがわかったが、これは、解像限界ギリギリである。400℃でアニールさせたものでは、0.4nmにまで上がっている。
屈折率およびメソ細孔
屈折率(n)の測定から、メソ多孔質なTiO2薄膜の光学的性質は、最初のゾル−ゲル溶液前駆体の化学的組成を調節することによって調整することが可能であることが判る。各種のスピンコートした膜について測定した屈折率、さらにはバルクのTiO2物質の孔径、容積、および表面積に関する情報を表1に示している。これからも明らかなように、テンプレート用界面活性剤のタイプおよび界面活性剤の濃度を変化させると、細孔の形成およびその結果としてのメソ多孔質物質の屈折率が影響を受ける。
Si基材上のメソ多孔質なTiO2膜の場合では、3組のゾル−ゲル組成物のすべてのサンプルにおいて、アニリーング温度を高くすると、屈折率が低下することが検出された。約350℃未満の温度範囲では膜密度に影響する、進行中の加水分解および縮合は、より高い温度でアニールされると、屈折率に影響する主たる因子であるとは考えられない。熱重量分析(TGA)は、TiO2−F127およびTiO2−P123複合材料の重量が、350℃近傍で安定するが、TiO2−F127複合材料の場合のほうがやや高いということを示している。350℃〜400℃の間で検出可能な重量損失は、TiO2−F127では約0.61重量%、TiO2−P123では約0.46重量%であった。400℃〜450℃の間では、その損失が、それぞれ約0.29重量%および約0.08重量%に低下する。このことから、使用したアニリーング温度では、多結晶質TiO2構造が完全に生成していて、ポリマーが無機マトリックスから焼失していることが判るが、例外的に、低温の物質(350℃)ではトレース量の残分が存在する可能性がある。
したがって、所定のTiO2膜の屈折率における変化は、縮合されたTiO2マトリックスの内部におけるメソ細孔のサイズおよび密度における変動の組合せから起きている場合がある。Brunauer−Emmett−Teller(BET)の吸着細孔直径、吸着細孔容積、および表面積を、テンプレート用ポリマーとしてPluronic(登録商標)F127ブロックコポリマーまたはPluronic(登録商標)P123ブロックコポリマーを使用して合成したバルクのメソ多孔質なTiO2についてのN2吸着等温線から求めた(表1)。図7は、それぞれ(a)350℃、(b)400℃および(c)450℃でアニールしたTiO2−F127における、N2吸着等温線および細孔直径分布(挿入図)を示している。すべての吸着曲線が、ヒステリシスループを示しているが、このことは、メソ多孔質(細孔開口>2nm)またはマクロ多孔質(細孔開口>50nm)の物質であることを示唆している。
各種のTiO2のバルク物質について観察された孔径(表1)は、一般的には、アニリーング温度が高くなるにつれて、大きくなっている。物質の結晶化度が上がるにつれて、より小さいボイドがアニールされて、他の細孔と融合して、その結果、観察される総括孔径が大きくなる。同一の最高温度でアニールした各種の物質屈折率を比較すると、次の順で屈折率が高くなっている:TiO2−2×P123<TiO2−F127≦TiO2−P213。
TiO2マトリックスの加水分解および縮合による高密度化は、約350℃のところで終結に到達するが、この温度は、テンプレート用のトリ−ブロックコポリマーの有機物質のほとんどもしくは全部が、そのスピンコートされた薄膜から除去されるのとほぼ同じ温度である。350℃でアニールした物質の場合には、その孔径が、TiO2−F127<TiO2−P123<TiO2−2×P213の順になっていることが観察された(表1)。
メソ多孔質物質の中の孔径が屈折率に影響する主たるパラメーターであり得るが、細孔密度の尺度として取り上げることが可能な、物質の細孔容積は、スピンコートされたゾル−ゲル溶液から調製されたメソ多孔質なTiO2膜の光学的性質に影響を与えるまた別な因子となりうるであろう(表1)。測定された膜の厚み、球状の細孔と仮定して計算された個々の細孔容積、およびTiO2バルク物質1gあたりの細孔の数を表2にまとめた。細孔密度は、測定された1gあたりの細孔容積を、個々の細孔容積(孔径から計算)で割り算することによって計算した。
TiO2−F127およびTiO2−P123物質は、400℃でアニールしたバルク物質で、最も高い細孔密度を示している(表2)。TiO2−F127においては差がもっと顕著であるが、これは、総括細孔容積が大きくなっているためであろう(表1)。350℃でアニールした物質に比較して、これらのサンプルには、有機物質の残分は含まれていない。このことから、物質の内部にさらに小さいボイドが生じ、TiO2マトリックスの多孔度が上昇している。400〜450℃の間では、細孔が互いに合着しはじめて、個々の細孔容積、さらにはTiO2結晶質相関距離が増大するにつれて、細孔密度が小さくなり得る。したがって、TiO2−F127およびTiO2−P123物質では、400℃前後で細孔密度が最大となる。
それぞれ350℃および400℃でアニールしたTiO2−P123膜(極めて近い孔径(4.283Å対4.293Å)を有している)を考えると、より高い細孔密度(4.0×1018個の細孔/g)を有する、より薄い膜(400℃でアニールしたTiO2−P123、175nm)が、より低い細孔密度(1.9×1018個の細孔/g)を有する、より厚い膜(350℃でアニールしたTiO2−P123、185nm)と、同じ屈折率(いずれの場合も、n=1.73)を有していることが判る。もう一方では、たとえば450℃でアニールしたTiO2−P123と、350℃でアニールしたTiO2−2×P123のように、同じ孔径を有する2種の膜が、より厚い膜(350℃でアニールしたTiO2−2×P123が305nmであるのに対して、450℃でアニールしたTiO2−P123では173nm)が、より高い細孔密度(4.0×1018個の細孔/gに対して、450℃でアニールしたTiO2−P123では2.2×1018個の細孔/g)を有している場合、異なった屈折率を示す。より薄いTiO2−P123膜では、n=1.68であり、より厚いTiO2−2×P123では、n=1.61である。各種のTiO2バルク物質の中での細孔のサイズ(表1)は、一般的には、アニリーング温度が高いほど、大きくなるが、その理由は、より小さい細孔が合着してより大きい細孔となるからである。
したがって、屈折率と孔径との間の相関に加えて、屈折率は細孔密度の関数ともなりうるのである。同程度の厚みではあるが細孔密度が高い膜は、低い屈折率を示し得る。メソ多孔質物質における屈折率はさらに、測定角度の関数でもありうる。

Claims (37)

  1. 発光素子であって、
    基材;
    透明な導電性物質;および
    少なくとも1種の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物を含む少なくとも1層の光取り出し層;
    を含み、
    前記少なくとも1層の光取り出し層が、前記基材と前記透明な導電性物質との間に配置される、
    発光素子。
  2. 前記少なくとも1種の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物が、チタニア、シリカ、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ニオブ、酸化タングステン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化ストロンチウム、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化カルシウム、または2種以上のそれらの物質のブレンド物を含む、請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記少なくとも1種の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物が、メソ多孔質層である、請求項1に記載の発光素子。
  4. 前記少なくとも1層の光取り出し層が、チタニアを含む、請求項1に記載の発光素子。
  5. 前記少なくとも1種の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物が、第一の屈折率を有する少なくとも1種の金属酸化物または半金属酸化物と第二の屈折率を有する細孔とを含み、可視波長領域における、前記少なくとも1種の金属酸化物または半金属酸化物の前記第一の屈折率と前記細孔の前記第二の屈折率との差が0.5以上である、請求項1に記載の発光素子。
  6. 前記少なくとも1層の光取り出し層が、他の層との界面に隣接した領域で高密度化されている、請求項1に記載の発光素子。
  7. 前記高密度化された領域が、前記少なくとも1層の光取り出し層の残り部分よりも高い屈折率を有する、請求項6に記載の発光素子。
  8. 前記少なくとも1層の光取り出し層が、少なくとも第一の光取り出し層と第二の光取り出し層との間の界面を含み、前記少なくとも1層の光取り出し層が、前記界面に隣接する領域において高密度化されている、請求項1に記載の発光素子。
  9. 前記少なくとも1層の光取り出し層が、前記少なくとも1層の光取り出し層と前記基材との間の界面に隣接する領域で、高密度化されている、請求項1に記載の発光素子。
  10. 前記少なくとも1層の光取り出し層が、前記透明な導電性物質に隣接するより高い屈折率と前記基材に隣接するより低い屈折率とを有する、屈折率のグラジエントを有している、請求項1に記載の発光素子。
  11. 前記少なくとも1層の光取り出し層が、2層以上の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物層を含み、前記多孔質な金属酸化物または半金属酸化物層のそれぞれの層が、屈折率のグラジエントを有している、請求項1に記載の発光素子。
  12. 前記少なくとも1層の光取り出し層が、2層以上の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物層を含み、前記多孔質な金属酸化物または半金属酸化物層のそれぞれの層が、同一の物質および細孔構造からなっている、請求項1に記載の発光素子。
  13. 前記少なくとも1層の光取り出し層が、2層以上の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物層を含み、前記多孔質な金属酸化物または半金属酸化物層のそれぞれの層が、異なった物質または細孔構造からなっている、請求項1に記載の発光素子。
  14. 前記少なくとも1種の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物が、約500nm未満の細孔を含む、請求項1に記載の発光素子。
  15. 前記少なくとも1種の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物が、約20〜50nmの範囲の細孔を含む、請求項1に記載の発光素子。
  16. 前記少なくとも1種の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物が、約20nm未満の細孔を含む、請求項1に記載の発光素子。
  17. 前記少なくとも1種の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物が、約10nm未満の細孔を含む、請求項1に記載の発光素子。
  18. 前記少なくとも1層の光取り出し層が、約5〜8nmの範囲の細孔を含む、請求項1に記載の発光素子。
  19. 前記少なくとも1種の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物が、異なった屈折率の物質を用いて充填された連通気泡または独立気泡の細孔を含む、請求項1に記載の発光素子。
  20. 前記少なくとも1種の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物が、前記透明な導電性物質を用いて充填された細孔を含む、請求項1に記載の発光素子。
  21. 前記少なくとも1層の光取り出し層と前記透明な導電性物質との界面において、前記界面に隣接する前記少なくとも1層の光取り出し層の領域に、前記透明な導電性物質を用いて充填された10nm未満の細孔を含む、請求項1に記載の発光素子。
  22. 前記少なくとも1種の多孔質な金属酸化物または半金属酸化物が、金属酸化物または半金属酸化物のドーパントを含む、請求項1に記載の発光素子。
  23. 前記少なくとも1層の光取り出し層の厚みが、約50nm〜約1000nmの間である、請求項1に記載の発光素子。
  24. 前記透明な導電性物質が、ドープされた酸化亜鉛、インジウムスズ酸化物、インジウム亜鉛酸化物、フッ素−ドープされた酸化スズ、ニオブ−ドープされた二酸化チタン、グラフェン、カーボンナノチューブ、または銀膜もしくは銀ナノ構造物を含む、請求項1に記載の発光素子。
  25. 前記発光素子が、有機発光ダイオード(OLED)を含み、前記少なくとも1層の光取り出し層が、300nm〜1200nmの領域全体で、前記OLEDの外部量子効率(EQE)を改良する、請求項1に記載の発光素子。
  26. 発光素子であって、
    基材;
    透明な導電性酸化物;および
    メソ多孔質なチタニアを含む少なくとも1層のメソ多孔質光取り出し層;
    を含み、
    前記少なくとも1層のメソ多孔質光取り出し層が、前記基材と前記透明な導電性酸化物との間に配置される、
    発光素子。
  27. 発光素子を形成させるための方法であって、
    多孔質な金属酸化物または半金属酸化物を含む少なくとも1層の光取り出し層を基材の上に形成させる工程と
    前記少なくとも1層の光取り出し層の上に透明な導電性物質を形成させる工程と
    を含む、方法。
  28. 前記透明な導電性物質の上に有機層を含む少なくとも1層を形成させる工程と;
    前記少なくとも1層の上に電極層を形成させる工程と
    をさらに含む、請求項27に記載の方法。
  29. 前記少なくとも1層の光取り出し層が、溶液加工法、化学蒸着法、物理蒸着法、または真空加熱蒸発法によって形成される、請求項27に記載の方法。
  30. 前記少なくとも1層の光取り出し層の前記少なくとも一つの屈折率を、i)孔径の変更;ii)組成的なドーピング;iii)絶縁性、導電性もしくは半導性成分の添加;iv)細孔の充填;v)細孔密度の変更;vi)厚みの変更;またはそれらの組合せ、の少なくとも一つによって調整する、請求項27に記載の方法。
  31. 前記多孔質な金属酸化物または半金属酸化物が、界面活性剤テンプレートおよび/またはハードポリマーテンプレートを含むゾルゲル溶液から形成される、請求項27に記載の方法。
  32. 前記界面活性剤テンプレートが、両末端をポリ(エチレンオキシド)セグメントでキャップされたポリ(プロピレンオキシド)セグメントを含む両親媒性のトリ−ブロックコポリマーを含む、請求項31に記載の方法。
  33. OLED素子から光を取り出す方法であって、
    前記OLED素子の中の2層の隣接する層の間に多孔質な金属酸化物または半金属酸化物を含む少なくとも1層の内部光取り出し層を添加する工程を含み、
    前記少なくとも1層の内部光取り出し層を、透明な導電性酸化物(TCO)−基材の界面、またはTCO−有機物の界面の少なくとも一方の間に添加する、
    方法。
  34. 発光素子の中に光取り出し層を備えるための方法であって、
    多孔質な金属酸化物の孔径および細孔密度の内の少なくとも一つを変化させて、前記多孔質な金属酸化物を含む光取り出し層のための、少なくとも一つの屈折率および光散乱を得る工程を含み、
    前記光取り出し層が、基材と透明な導電性酸化物との間に位置している、
    方法。
  35. 前記多孔質な金属酸化物の孔径と前記細孔密度との内の少なくとも一方を、界面活性剤のテンプレート、前記界面活性剤テンプレートの濃度、および少なくとも一つのアニリーング温度の内の少なくとも一つを選択することによって変化させる、請求項34に記載の方法。
  36. 前記少なくとも一つのアニリーング温度が、300〜500℃の間である、請求項35に記載の方法。
  37. 前記多孔質な金属酸化物を、複数回のアニリーング処理にかける、請求項36に記載の方法。
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