JP2001250963A - 太陽電池 - Google Patents

太陽電池

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JP2001250963A
JP2001250963A JP2000058670A JP2000058670A JP2001250963A JP 2001250963 A JP2001250963 A JP 2001250963A JP 2000058670 A JP2000058670 A JP 2000058670A JP 2000058670 A JP2000058670 A JP 2000058670A JP 2001250963 A JP2001250963 A JP 2001250963A
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insulating layer
film
flexible substrate
photoelectric conversion
layer
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JP2000058670A
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Shinichi Tezuka
信一 手塚
Toru Kineri
透 木練
Hisao Morooka
久雄 師岡
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TDK Corp
Original Assignee
TDK Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 有機フレキシブル基板上に、プラズマCVD
法によりマスク成膜した光電変換層を有する太陽電池に
おいて、効率を向上させると共に、光電変換層形成領域
において生じる有機フレキシブル基板の盛り上がりを抑
制する。 【解決手段】 有機フレキシブル基板2の表面に、下部
電極4、光電変換層5および上部電極6をこの順で有
し、前記光電変換層がプラズマCVD法により形成され
た太陽電池であって、前記有機フレキシブル基板と前記
下部電極との間に絶縁層3が存在し、前記絶縁層が、金
属酸化物を主成分とするマトリックス中に絶縁性粒子が
分散した構成であり、前記絶縁層の厚さが0.6〜50
μmである太陽電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可撓性を有する有
機フレキシブル基板上に光電変換層を設けた構造の太陽
電池に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば太陽電池等の薄膜積層デバ
イスにおいては、有機フレキシブル基板が用いられてい
る。有機フレキシブル基板は、可撓性を有し、巻き取
り、展開が可能であるため、生産上、以下のような利点
をもつ。薄膜積層デバイスを製造する際には、多くの機
能性薄膜を真空プロセスで積層する工程、配線電極や層
間絶縁膜等をスクリーン印刷法等によりパターニングし
て前記機能性薄膜表面に形成する工程、薄膜積層デバイ
スの最表面に保護層を設ける工程等を設ける。このよう
な各工程において、長尺の有機フレキシブル基板をロー
ル・ツー・ロールで用いれば、すなわち、基板を巻回
し、これの繰り出しおよび巻き取りを行いながら基板上
に機能性薄膜や電極、絶縁膜等を形成すれば、タクトタ
イムが短縮できる、基板の搬送を行う必要がなくなる、
基板のハンドリングが容易となる、といった効果が生
じ、スループットを向上できる。また、薄膜積層デバイ
スの集積度の向上、大規模量産化を図る場合でも、同様
な効果が得られる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】太陽電池では、有機フ
レキシブル基板上に、通常、Siを主成分とする光電変
換層を設ける。この光電変換層は、プラズマCVD法に
より形成することが一般的である。プラズマCVD法で
は、高特性の薄膜を形成するために基板温度を160〜
200℃程度まで上げる必要がある。有機フレキシブル
基板と、無機膜である光電変換層とは熱膨張係数が異な
るため、成膜後の冷却過程における熱収縮率が異なる。
そのため、光電変換層をプラズマCVDで形成する際に
マスクを用いてパターニングを行うと、光電変換層形成
領域において有機フレキシブル基板が滑り変形し、パタ
ーニング部分(プラズマCVD膜形成領域)において有
機フレキシブル基板が太鼓状に盛り上がってしまう。こ
のような盛り上がりは、ガラス転移点(Tg)を有する
高分子材料を基板に用いるとより顕著になる傾向があ
る。
【0004】パターニング部分に盛り上がりが生じる
と、マスクを用いたパターニングの際に位置合わせが困
難になるので、パターニング膜を多層化することが難し
くなる。また、盛り上がりがあると、時計やリモコンに
適用する場合に、見栄えが悪いという美観上の問題もあ
る。なお、パターニングを行わずプラズマCVD膜を基
板全面に形成すれば、このような問題は避けられるが、
その場合には、不要な領域までプラズマCVD膜を形成
することになるのでコスト高を招く。また、全面に形成
した場合には、プラズマCVD膜形成後にレーザー加工
等によりパターニングを行う必要があるので、マスク成
膜によりパターニングされたプラズマCVD膜を形成す
る場合に比べ、生産性が悪く、集積加工コストが高くな
ってしまう。
【0005】ところで、太陽電池では、効率向上のため
に、光電変換層自体の変換効率の向上のほか、光電変換
層に入射する光の量を増大させる試みもなされている。
例えば特開平10−326903号公報では、透光性基
体と透明導電膜との間に微粒子塗布膜を有する光電変換
素子が記載されている。この微粒子塗布膜は光拡散効果
を示し、光電変換素子の効率を向上させる。同公報の実
施例では、ガラス製の基体を用い、その上に厚さ約0.
5μmの微粒子塗布膜を形成している。
【0006】しかし本発明者らの研究によれば、同公報
に示される厚さ0.5μmの微粒子塗布膜を有機フレキ
シブル基板上に形成した場合、微粒子塗布膜を設けない
場合と同様に、プラズマCVD膜の形成に伴って上記し
たパターニング部分の盛り上がりが生じてしまうことが
わかった。
【0007】本発明の目的は、有機フレキシブル基板上
に、プラズマCVD法によりマスク成膜した光電変換層
を有する太陽電池において、効率を向上させると共に、
光電変換層形成領域において生じる有機フレキシブル基
板の盛り上がりを抑制することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記(1)
および(2)の本発明により達成される。 (1) 有機フレキシブル基板の表面に、下部電極、光
電変換層および上部電極をこの順で有し、前記光電変換
層がプラズマCVD法により形成された太陽電池であっ
て、前記有機フレキシブル基板と前記下部電極との間に
絶縁層が存在し、前記絶縁層が、金属酸化物を主成分と
するマトリックス中に絶縁性粒子が分散した構成であ
り、前記絶縁層の厚さが0.6〜50μmである太陽電
池。 (2) 前記有機フレキシブル基板が、ポリエチレンナ
フタレート、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリ
アミドまたはポリイミドアミドから構成される上記
(1)の太陽電池。
【0009】
【作用および効果】本発明の太陽電池は、有機フレキシ
ブル基板上に絶縁層を有し、この絶縁層上にプラズマC
VD法により形成された光電変換層を有する。
【0010】有機フレキシブル基板上、好ましくはその
全面に絶縁層を形成することにより、前述したパターニ
ング部分の盛り上がりを抑制することができる。その結
果、マスクを用いたパターニングを利用する場合でもプ
ラズマCVD膜の多層化が可能となり、また、太陽電池
の見栄えが改善され、デザイン性が向上する。
【0011】本発明の効果は、有機フレキシブル基板と
プラズマCVD膜との間に絶縁層を介在させることによ
り実現する。したがって、有機フレキシブル基板の反対
面、つまり、プラズマCVD膜を形成しない面には、絶
縁層を成膜する必要はない。ただし、有機フレキシブル
基板に絶縁層を形成すると、基板のエッジ(基板の四
辺)が曲がり、カーリングが生じることがある。また、
プラズマCVD膜形成の際に加熱されることにより、有
機フレキシブル基板の露出面(前記反対面)にオリゴマ
ーが析出することがある。基板の前記反対面には型番等
を印字することが多いが、前記オリゴマーが析出すると
インキの付着力が低くなるため、好ましくない。このよ
うな現象を防止するためには、基板の前記反対面にも絶
縁層を形成することが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の太陽電池の構成例を、図
1に部分断面図として示す。同図に示す太陽電池は、有
機フレキシブル基板2上に、絶縁層3、下部電極4、光
電変換層5および上部電極6をこの順で有する。
【0013】図示する太陽電池は、それぞれ受光面を有
する複数の太陽電池セルが直列接続された構成である。
各セルの上部電極6上には、収集・配線電極11が設け
られている。図示する収集・配線電極11は、収集電極
と配線電極との接続部分である。収集電極は、各セルに
おいて発電された電力を、比抵抗の比較的高い上部電極
6表面から収集するための電極である。配線電極は、各
セルの収集電極と、隣接するセルの下部電極とを接続す
るための電極である。図示例では、収集・配線電極11
から接続導体12が、上部電極6および光電変換層5を
貫いて延び、隣接するセルの下部電極4に接続してお
り、これにより、隣接するセル同士が直列接続されてい
る。上部電極6と光電変換層5との間の一部には層間絶
縁層9が存在し、この層間絶縁層9上には、上部電極6
を挟んでセパレータ絶縁層10が存在する。図示例で
は、セパレータ絶縁層10のセパレータ部101が、上
部電極6、光電変換層5および下部電極4を貫いて延
び、隣接するセルの下部電極同士を絶縁している。セパ
レータ部101は、図中の奥行き方向にも延びる壁状体
である。
【0014】図示する太陽電池は、上部電極6を通して
光電変換層5に光を入射させる構造であるが、本発明
は、有機フレキシブル基板2を通して光電変換層5に光
を入射させる構造の太陽電池にも適用できる。
【0015】なお、図示していないが、直列接続の両末
端には、プラス側およびマイナス側の引き出し電極がそ
れぞれ設けられる。
【0016】また、図示していないが、太陽電池の機械
的ダメージ、酸化、腐食等を抑えるために、図示する太
陽電池の少なくとも上部電極6形成側表面に、封止部材
を設けることが好ましい。また、このような封止部材
は、基板2の裏面側にも設けることが好ましい。
【0017】以下、各部の構成について詳細に説明す
る。
【0018】有機フレキシブル基板 有機フレキシブル基板2は可撓性を有していればよく、
その構成材料は特に限定されないが、好ましくは、ポリ
エチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルホ
ン(PES)、ポリイミド、ポリアミドまたはポリイミ
ドアミドを用い、特にPENまたはPESを用いること
が好ましい。これらは、プラズマCVD膜形成時の耐熱
性、長期使用時の耐熱性、ヤング率(スティフネス)、
機械的特性等の面で優れた性能を有している。PENお
よびPESは、透明性にも優れている。なお、これらの
ほか、例えばポリアリレートも好ましい。
【0019】有機フレキシブル基板を通して光電変換層
に光を入射させる場合、有機フレキシブル基板は透光性
を有することが必要である。その場合、有機フレキシブ
ル基板の波長550nmにおける光透過率は、好ましくは
85%以上、より好ましくは90%以上である。
【0020】有機フレキシブル基板の融点は260℃以
上であることが好ましく、その上限は特に規制されない
が、通常、330℃程度である。また、有機フレキシブ
ル基板のガラス転移点は、70℃以上、特に100℃以
上であることが好ましく、その上限は特に規制されない
が、通常、115℃程度である。なお、ポリイミドのよ
うにガラス転移点をもたなくてもよい。また、耐熱温度
ないし連続使用温度は、130℃以上、特に160℃以
上であることが好ましく、その上限は特に規制されない
が、通常、210℃程度である。
【0021】有機フレキシブル基板の厚さは、要求され
る強度、曲げ剛性等に応じて適宜決定すればよいが、通
常、25〜100μm であることが好ましい。基板が薄
すぎると、ハンドリングが困難になり、基板の折れなど
による不良品が発生することがある。一方、基板が厚す
ぎると、基板を通して光を入射させる構成とした場合に
光透過量が少なくなって太陽電池特性が低くなってしま
う。
【0022】有機フレキシブル基板のMOR(Molecula
r Orientation Ratio)は、好ましくは1.0〜3.
0、より好ましくは1.0〜2.0、特に1.0〜1.
8が好ましい。MORは分子配向の指標となる値であ
り、MORが前記範囲内であれば、有機フレキシブル基
板が変形しにくい。なお、MORについては、例えばコ
ンパーテック1998.3「マイクロ波分子配向計を応
用したフィルム・シートの品質管理」大崎茂芳、Seikei
-Kakou Vol.7 No.11 1995 「二軸伸延に伴う分子配向挙
動」図師泰伸・丹羽貴裕・日比貞雄・永田紳一・谷知等
の文献に記載されている。MORが大きいほど異方性が
大きく、MORが1.0の場合には、配向しておらずラ
ンダムということになる。有機フレキシブル基板のMO
Rが上記範囲であれば、すなわち異方性が小さければ、
方向による伸縮量の違いが小さくなるので、基板上に形
成される薄膜の位置ずれを小さくできる。
【0023】なお、1枚の樹脂フィルム中において、位
置によりMORが異なることがある。特に二軸伸延法を
利用して製造された樹脂フィルムでは、伸延の際に把持
された端部付近において配向度が高くなる傾向がある。
そのため、一般的に分子配向度に優れた樹脂であって
も、使用する樹脂フィルムの各部位について分子配向度
を検査し、上記配向度内となっていることを確認した上
で用いることが好ましい。
【0024】MORは、例えば、試料を回転させながら
透過マイクロ波強度を測定することにより求めることが
できる。一定の周波数のマイクロ波電界と高分子物質を
構成する双極子との間の相互作用は、両者のベクトルの
内積に関係するので、マイクロ波偏波電界の中で試料を
回転させると、誘電率の異方性により透過マイクロ波強
度が変化し、結果として分子配向度を知ることができ
る。測定に用いるマイクロ波の周波数は特に限定されな
いが、通常、4GHzまたは12GHzとする。このような
原理を応用した測定器としては、例えば、新王子製紙
(株)社製の分子配向計MOA−5001A、5012
A、3001A、3012A等がある。また、MOR
は、X線回折法、赤外線二色性法、偏光蛍光法、超音波
法、光学法、NMR法などにより求めることもできる。
【0025】絶縁層 絶縁層では、金属酸化物を主成分とするマトリックス中
に絶縁性粒子が分散している。このような構造の絶縁層
3を設けることにより、光電変換層5に入射する光が散
乱されるため、光の利用効率を向上させることができ
る。
【0026】絶縁層の厚さは0.6〜50μm、好まし
くは0.7〜20μm である。絶縁層が薄すぎると、パ
ターニング部分の太鼓状の盛り上がりを抑制するという
本発明の効果が不十分となる。一方、絶縁層が厚すぎる
と、絶縁層にクラックが発生したり、絶縁層が有機フレ
キシブル基板から剥離したりしやすくなる。また、有機
フレキシブル基板を通して光が入射する構成とする場合
には、絶縁層が厚すぎると光透過量が少なくなるため、
太陽電池特性が低くなってしまう。
【0027】なお、有機フレキシブル基板を通して光を
入射させる場合、絶縁層の波長550nmにおける光透過
率は、80%以上、特に90%以上であることが好まし
い。
【0028】絶縁層は、太陽電池のセル単位に区切られ
た下部電極4間を短絡させないために絶縁性を有してい
る必要がある。絶縁層のシート抵抗は、100kΩ/□
以上、特に1MΩ/□以上であることが好ましい。
【0029】絶縁層は、少なくともプラズマCVD膜
(光電変換層5)形成領域にこれと同一パターンで設け
ればよいが、このパターンを含むものであればこのパタ
ーンよりも大きいパターンとしてもよく、有機フレキシ
ブル基板表面の全面に形成してもよい。
【0030】次に、絶縁性粒子およびマトリックスにつ
いて詳細に説明する。
【0031】絶縁性粒子 マトリックス中に分散させる絶縁性粒子は、耐熱性およ
び電気絶縁性を有するものであればよく、有機系であっ
ても無機系であってもよいが、耐熱性が高いことから無
機系粒子を用いることが好ましい。
【0032】無機系粒子としては、例えば酸化ケイ素、
酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸
化亜鉛が好ましく、これらのうちでは特に酸化ケイ素お
よび酸化チタンが好ましい。
【0033】粒子形状は特に限定されないが、絶縁層表
面に比較的均一な凹凸を形成できることから、球に近い
形状であることが好ましい。
【0034】絶縁性粒子の平均粒径は、光の利用効率が
高くなるように、マトリックスの厚さやその構成材料の
物性などに応じて適宜決定すればよい。具体的には実験
的に決定すればよいが、通常、絶縁性粒子の平均粒径は
0.015〜15μm、特に0.05〜10μmの範囲か
ら選択することが好ましい。
【0035】絶縁層中において、マトリックスに対する
粒子の体積比は、好ましくは10〜75体積%、より好
ましくは25〜65体積%である。この体積比が小さす
ぎると、本発明の効果が不十分となる。一方、この体積
比が大きすぎると、粒子の結合剤として働くマトリック
ス量が少ないので、絶縁層にクラックや剥離が生じやす
くなる。
【0036】マトリックス マトリックスは、金属酸化物を主成分とし、好ましくは
酸化ケイ素を主成分とする。
【0037】酸化ケイ素を主成分とするマトリックス
は、ポリシロキサン、すなわち、シロキサンないしその
オリゴマーの縮合物であることが好ましい。特に、下記
(A)に示されるシロキサンオリゴマーを縮合して得
た、下記(B)に示されるポリシロキサンが好ましい。
【0038】
【化1】
【0039】上記(A)および(B)のそれぞれにおい
て、Rはアルキル基またはアリール基を表す。Rの炭素
数は、好ましくは1〜10、より好ましくは1〜6であ
り、直鎖状であっても分枝を有するものであってもよ
い。Rの具体例としては、メチル基、エチル基、(n,
i)−プロピル基、(n,i,sec,tert)−ブチル
基、フェニル基等が挙げられ、中でも、メチル基、フェ
ニル基が好ましい。なお、上記(B)において、黒点は
Si原子、白丸は酸素原子である。
【0040】上記(A)に示されるシロキサンオリゴマ
ーの数平均分子量(Mn)は、好ましくは103 〜10
6である。なお、シロキサンオリゴマーの末端は、通
常、Si−OHである。
【0041】シロキサンオリゴマーからポリシロキサン
の生成させるには、ゾル−ゲル法を利用する。
【0042】ゾル−ゲル法では、まず、シロキサンオリ
ゴマーを溶媒に分散し、さらに前記絶縁性粒子を分散さ
せて塗布液とする。塗布液の調製に際して用いる溶媒に
特に制限はなく、例えば上記(A)に示されるシロキサ
ンオリゴマーを用いる場合、溶媒には水アルコール系、
アルコール系、芳香族系、エステル系等、好ましくはア
ルコール系溶媒を用いればよい。
【0043】塗布液中には、アルミニウム系、チタン
系、ジルコニウム系等のキレート錯体やトリアルキル錫
オキサイドなどの硬化剤を添加してもよい。硬化剤を添
加する場合、シロキサンオリゴマー/硬化剤(重量比)
は、90/10〜99/1とすることが好ましい。
【0044】塗布液中の固形分濃度(前記絶縁性粒子を
除いたときの濃度)は特に制限されないが、10〜30
%、特に20〜30%であることが好ましい。
【0045】塗布手段は特に限定されず、例えばロール
コート、スピンコート、デイッピング、スプレー等公知
の方法によって基板上に塗膜を形成すればよい。なお、
スピンコートの際の回転数は、好ましくは100〜20
00rpm、より好ましくは100〜1000rpmである。
【0046】塗膜形成後、熱処理を施して乾燥、硬化す
る。熱処理温度は、通常、120〜300℃とすること
が好ましい。
【0047】このようにして製造されたポリシロキサン
は、耐久性、加工性に優れる。マトリックスの分解開始
温度は、好ましくは400℃以上、より好ましくは50
0℃以上であるが、このように製造されたポリシロキサ
ンは、800℃まで加熱してもほとんど重量減少を示さ
ず、耐熱性に優れる。
【0048】なお、上記(A)に示されるシロキサンオ
リゴマーを含有する分散液は、例えば、JSR株式会社
製のセラミックコーティング材グラスカ(HPC700
3、HPC7004、HPC7516)として市販され
ており、本発明ではこれを好ましく用いることができ
る。
【0049】酸化ケイ素を主成分とするマトリックスに
は、熱膨張係数を調整するために、酸化ケイ素以外の無
機成分を含有させてもよい。このような無機成分として
は、例えば酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコ
ニウム、酸化亜鉛および酸化錫の少なくとも1種が好ま
しい。マトリックス中におけるこれらの含有量は、所望
の熱膨張率が得られるように適宜決定すればよい。これ
らの無機成分を含有させるには、Al、Ti等の添加し
たい金属元素を含む金属アルコキシドを、シロキサンオ
リゴマーに混合して用いればよい。
【0050】また、熱膨張係数の調整のため、具体的に
は熱膨張係数を増大させる必要がある場合には、酸化ケ
イ素を主成分とするマトリックスに耐熱性樹脂を含有さ
せてもよい。この場合の耐熱性樹脂としては、ポリエー
テルケトンまたはポリエーテルサルフォンが好ましい。
耐熱性樹脂は市販のものを用いることができる。例え
ば、ポリエーテルケトンとしては、ICI社:「VIC
TREX PEEK」、「ビクトレックスPEK」、A
moco社:「ケーデル」、Du Pon社:「PEE
K」、BASF社:「ウルトラペック」、Hoechs
社:「ホスタテックPEK」などを用いることができ、
ポリエーテルサルフォンとしては、住友化学工業社:
「VICTREX PES」、Amoco社:「ケーデ
ルA」、BASF社:「ウルトラソンE」などを用いる
ことができる。
【0051】マトリックス中における耐熱性樹脂の含有
量は、酸化ケイ素等の無機成分に対して好ましくは50
重量%以下、より好ましくは5〜30重量%である。
【0052】また、マトリックス中における酸化ケイ素
の含有量は、SiO2換算で55重量%以上であること
が好ましい。
【0053】下部電極 上部電極6を通して光電変換層5に光を入射させる場
合、下部電極4は、通常、金属から構成する。下部電極
を構成する金属は特に限定されず、例えば、Al、ステ
ンレス、Tiなどを用いればよいが、好ましくはAlを
用いる。Alは比抵抗が低いため、エネルギーロス、発
熱による劣化が小さい。ところで、太陽電池では、光電
変換層を通って下部電極で反射された光が再び光電変換
層に入射し、この反射光も電気エネルギーに変換され
る。そのため、下部電極は反射率が高い方が好ましい
が、光反射率の高いAlはこの点でも優れている。さら
に、Alは熱伝導度が高く、また、耐腐食性も良好であ
り、しかも、安価である。金属から構成される下部電極
の厚さは特に限定されないが、好ましくは0.01〜1
0μmである。下部電極は、スパッタ法等の気相成長法
により形成することが好ましい。
【0054】一方、有機フレキシブル基板2を通して光
電変換層5に光を入射させる場合、下部電極4を透明導
電材料から構成する。用いる透明導電材料は特に限定さ
れないが、透明性、導電性などが良好であることから、
酸化スズ、ITO(酸化インジウム錫)、ZnOが好ま
しい。この場合の下部電極の厚さは、通常、10〜10
0nmとすることが好ましい。
【0055】拡散防止層 下部電極4を金属から構成する場合、下部電極4と光電
変換層5との間には、下部電極構成成分が光電変換層に
拡散することを防ぎ、また、両者の界面を低抵抗にする
ために、ステンレス、Ti、Cr等の金属からなる拡散
防止層を設けることが好ましい。拡散防止層の厚さは、
好ましくは3〜5nmである。拡散防止層は、通常、スパ
ッタ法等の気相成長法により形成すればよい。
【0056】光電変換層 本発明では、光電変換層5を、パターニングされたプラ
ズマCVD膜から構成する。本発明では前記絶縁層を設
けるので、プラズマCVD膜形成領域における有機フレ
キシブル基板の盛り上がりは抑制される。本発明では、
プラズマCVD膜形成領域の盛り上がりを100μm以
下に抑えることが容易にでき、50μm以下に抑えるこ
ともできる。
【0057】プラズマCVD法には、通常、交流プラズ
マが用いられ、その周波数としては数ヘルツからマイク
ロ波まで使用可能である。
【0058】プラズマCVD膜形成に際しては、膜組成
に応じた原料ガスを用い、例えば基板温度は110〜2
00℃、動作圧力は1.3〜266Pa、投入電力は30
〜600mW/cm2(周波数13.56MHz)程度とすれば
よい。
【0059】プラズマCVD膜の厚さは必要に応じて適
宜決定すればよい。プラズマCVD膜は、1層だけであ
っても2層以上積層してもよいが、プラズマCVD膜形
成の際に発生する有機フレキシブル基板の盛り上がり
は、一般にプラズマCVD膜が厚いほど大きくなるの
で、本発明は、光電変換層に比較的厚いプラズマCVD
膜が少なくとも1層含まれる場合に特に有効である。比
較的厚いプラズマCVD膜としては、例えば厚さが40
0nm程度以上のものである。プラズマCVD膜の厚さの
上限は特にないが、通常、4μm程度であり、プラズマ
CVD膜がこの程度に厚い場合でも、本発明の効果は十
分に実現する。
【0060】次に、光電変換層5について具体的に説明
する。光電変換層5は、pn接合またはpin接合、好
ましくはpin接合を有する単結晶シリコン、微結晶シ
リコンまたはアモルファスシリコンから構成することが
好ましい。pn接合やpin接合は、光電変換層形成の
際に所定の不純物を添加することにより形成できる。
【0061】以下、好ましい組み合わせ例として、微結
晶シリコンから構成されるn型半導体層、アモルファス
シリコンから構成される光起電力層(i層)および微結
晶シリコンから構成されるp型半導体層を積層した光電
変換層について説明する。
【0062】p型半導体層には、不純物としてB等を含
有させる。不純物含有量は1〜2原子%であることが好
ましい。厚さは20〜30nmであることが好ましい。p
型半導体層は、原料ガスとしてSiH4、H2、B26
を用い、基板温度110〜130℃、成膜圧力133〜
266Pa、投入電力100〜300mW/cm2(周波数1
3.56MHz)程度で成膜すればよい。
【0063】i層の厚さは400〜800nmであること
が好ましい。i層は、原料ガスとしてSiH4、H2等を
用い、基板温度160〜180℃、成膜圧力66.5〜
133Pa、投入電力60〜150mW/cm2(周波数1
3.56MHz)程度で成膜すればよい。
【0064】n型半導体層には、不純物としてP等を含
有させる。不純物含有量は1〜2at%であることが好ま
しい。厚さは20〜40nmであることが好ましい。n型
半導体層は、原料ガスとしてSiH4、H2、PH3等を
用い、基板温度160〜200℃、成膜圧力66.5〜
200Pa、投入電力60〜150mW/cm2(周波数1
3.56MHz)程度で成膜すればよい。
【0065】上部電極 上部電極6の構成材料は、光透過性が要求されるかどう
かに応じて、下部電極4と同様に透明導電材料または金
属材料から適宜選択すればよい。また、上部電極6の厚
さは、下部電極4と同様に、その構成材料に応じて決定
すればよい。
【0066】層間絶縁層、セパレータ絶縁層 図示例における層間絶縁層9およびセパレータ絶縁層1
0を構成する材料は、絶縁性をもち、かつ、図示する構
造を形成可能なものであれば特に限定されないが、通
常、絶縁性樹脂を用いることが好ましい。絶縁性樹脂と
しては、例えばウレタン系樹脂、フェノキシ樹脂などが
好ましい。なお、層間絶縁層9とセパレータ絶縁層10
とは、同じ材料から構成してもよく、異種材料から構成
してもよい。
【0067】層間絶縁層9の厚さは、5〜40μmであ
ることが好ましく、セパレータ絶縁層10の平坦部の厚
さは、5〜10μmであることが好ましい。
【0068】層間絶縁層およびセパレータ絶縁層は、通
常、スクリーン印刷等の塗布法により形成すればよい。
図示例における層間絶縁層9およびセパレータ絶縁層1
0は、通常、以下の手順で形成する。まず、光電変換層
5を形成した後、層間絶縁層9をスクリーン印刷などに
より所定のパターンに形成する。次いで、層間絶縁層9
上に上部電極6を形成した後、例えばレーザー加工によ
り上部電極6、層間絶縁層9、光電変換層5および下部
電極4を貫く溝を形成する。この溝により下部電極4か
ら上部電極6までの積層体が分断されて、セル単位に分
離される。次いで、上部電極6上にセパレータ絶縁層1
0をスクリーン印刷などにより所定のパターンに形成す
る。このとき、前記溝内に絶縁材料が侵入し、セパレー
タ部101が形成される。
【0069】層間絶縁層9は、セパレータ部101形成
の際に、上部電極6と下部電極4とが短絡することを防
ぐために設けられるが、そのほか、太陽電池の耐圧を向
上させる働きももつ。例えば光電変換層5に微小な欠陥
や不均質さが存在すると、その位置において下部電極4
と上部電極6との間で短絡が発生することがあるが、層
間絶縁層9を設けることにより容量の比較的高いコンデ
ンサが形成されるので、このような絶縁破壊の発生を防
ぐことができる。
【0070】収集・配線電極、接続導体 収集・配線電極11の構成材料は特に限定されないが、
通常、Agを用いることが好ましい。収集・配線電極の
厚さは、5〜10μmであることが好ましい。
【0071】収集・配線電極は、通常、スクリーン印刷
等の塗布法により形成すればよい。図示例において、収
集・配線電極11は、通常、以下の手順で形成する。ま
ず、セパレータ絶縁層10を形成した後、収集・配線電
極11をスクリーン印刷などにより所定のパターンに形
成する。次いで、層間絶縁層9が存在しない領域におい
て、例えばレーザー加工により収集・配線電極11を穿
孔し、上部電極6および光電変換層5を貫き下部電極4
に達する孔を形成する。この穿孔の際に、収集・配線電
極11の構成材料が溶融して前記孔中に侵入し、接続導
体12が形成される。
【0072】なお、収集電極は、上部電極6を比抵抗の
比較的高い透明導電材料から構成する場合に設けられ
る。すなわち、上部電極6を通して光電変換層5に光を
入射させる場合に設けられる。上部電極6を金属から構
成する場合には、配線電極だけを設ける構造とすればよ
い。
【0073】封止部材 機械的ダメージ、酸化、腐食等を抑えるための封止部材
としては、樹脂膜が好ましい。樹脂膜は、塗布または貼
付により形成すればよい。封止部材は、少なくとも上部
電極6側表面に設けることが好ましく、より好ましくは
有機フレキシブル基板2の裏面側にも設ける。
【0074】以下、貼付により樹脂膜を形成する方法の
一例について説明する。この例では、透光性および耐熱
性を有する樹脂製の基材の少なくとも一方の面に、熱硬
化性樹脂を含有する緩衝接着層を設けた封止部材を用い
る。
【0075】樹脂製基材は、ガラス転移点Tgが65℃
以上であるか、耐熱温度(または連続使用温度)が80
℃以上であるか、これらの両者を満足し、かつ透光性を
有する樹脂フィルムが好ましい。このような樹脂フィル
ムは、太陽光等の光源に直接晒されて昇温しても、性能
劣化を生じない。
【0076】ガラス転移点Tg65℃以上および/また
は耐熱温度80℃以上で透光性を有する樹脂製の基材と
しては、ポリエチレンテレフタレートフィルム(Tg6
9℃)、ポリエチレンナフタレート耐熱フィルム(Tg
113℃);三フッ化塩化エチレン樹脂〔PCTFE:
ネオフロンCTFE(ダイキン工業社製)〕(耐熱温度
150℃)、ポリビニリデンフルオライド〔PVDF:
デンカDXフィルム(電気化学工業社製)〕(耐熱温度
150℃:Tg50℃)、ポリビニルフルオライド〔P
VF:テドラーPVFフィルム(デュポン社製)〕(耐
熱温度100℃)等のフッ化物ホモポリマーや、四フッ
化エチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体〔P
FA:ネオフロン:PFAフィルム(ダイキン工業社
製)〕(耐熱温度260℃)、四フッ化エチレン−六フ
ッ化プロピレン共重合体〔FEP:トヨフロンフィルム
FEPタイプ(東レ社製)〕(耐熱温度200℃)、四
フッ化エチレン−エチレン共重合体〔ETFE:テフゼ
ルETFEフィルム(デュポン社製)(耐熱温度150
℃)、AFLEXフィルム(旭硝子社製:Tg83
℃)〕等のフッ化物コポリマーからなるフッ素系フィル
ム;芳香族ジカルボン酸−ビスフェノール共重合芳香族
ポリエステル〔PAR:キャスティング(鐘淵化学社製
エルメック)〕(耐熱温度290℃:Tg215℃)等
のポリアクリレートフィルム;ポリサルホン〔PSF:
スミライトFS−1200(住友ベークライト社製)〕
(Tg190℃)、ポリエーテルサルホン〔PES:ス
ミライトFS−1300(住友ベークライト)〕(Tg
223℃)等の含イオウポリマーフィルム;ポリカーボ
ネートフィルム〔PC:パンライト(帝人化成社製)〕
(Tg150℃);ファンクショナルノルボルネン系樹
脂〔ARTON(JSR社製)〕(耐熱温度164℃:
Tg171℃);ポリメチルメタクリレート(PMM
A)(Tg93℃);オレフィン−マレイミド共重合体
〔TI−160(東ソー社製)〕(Tg150℃以
上)、パラアラミド〔アラミカR:旭化成社製〕(耐熱
温度200℃)、フッ化ポリイミド(耐熱温度200℃
以上)、ポリスチレン(Tg90℃)、ポリ塩化ビニル
(Tg70〜80℃)、セルローストリアセテート(T
g107℃)等が挙げられる。
【0077】これらのうちポリエチレンナフタレート耐
熱フィルム(Tg113℃)は、ポリエチレンテレフタ
レートフィルムと比較して、耐熱性(Tg)、長期使用
時の耐熱性、ヤング率(スティフネス)、破断強度、熱
収縮率、オリゴマーが少ないこと、ガスバリアー性、耐
加水分解性、水蒸気透過率、熱膨張係数、光による物性
劣化等の面で優れた性能を有し、また、他のポリマーと
比較して、破断強度、耐熱性、寸法安定性、透湿度性、
コスト等の総合バランスの点において優れているので、
好ましい。
【0078】樹脂基材のガラス転移点Tgは、好ましく
は65℃以上、より好ましくは70℃以上、さらに好ま
しくは80℃以上、特に好ましくは110℃以上であ
る。Tgの上限は特に規制されないが、通常、130℃
程度である。また、耐熱温度ないし連続使用温度は、好
ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、さ
らに好ましくは110℃以上である。耐熱温度ないし連
続使用温度は高いほど好ましく、その上限は特に規制さ
れないが、通常、250℃程度である。
【0079】樹脂基材の厚さは、太陽電池の構造、樹脂
基材に要求される強度や曲げ剛性等に応じて適宜決定す
ればよいが、通常、5〜100μmとすればよい。
【0080】なお、樹脂基材の透光性は、可視光領域の
光の70%以上、特に80%以上を透過する程度である
ことが好ましい。
【0081】緩衝接着層は、熱圧着前において、熱硬化
性樹脂成分と有機過酸化物とを含有することが好まし
い。
【0082】熱硬化性樹脂成分としては、エチレン−酢
酸ビニル共重合体〔EVA(酢酸ビニル含有率が15〜
50%程度)〕が好ましい。
【0083】有機過酸化物としては、例えば2,5−ジ
メチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド;
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)へキサン−3;ジ−t−ブチルパーオキサイド;
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキサン;ジクミルパーオキサイド;α,α’−ビ
ス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン;n
−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレ
レート;2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタ
ン;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,
5−トリメチルシクロヘキサン;t−ブチルパーオキシ
ベンズエート;ベンゾイルパーオキサイドを用いれるこ
とができる。これらは、1種だけを用いても、2種以上
を組み合わせて用いてもよく、組み合わせて用いる場合
の配合比は任意である。熱硬化性樹脂成分100重量部
に対する有機過酸化物の使用量は、好ましくは10重量
部以下、より好ましくは0.5〜6重量部である。
【0084】緩衝接着層の厚さは、太陽電池の構造や使
用環境などに応じて適宜決定すればよいが、好ましくは
3〜500μm、より好ましくは3〜50μm、さらに好
ましくは10〜40μmである。緩衝接着層が薄すぎる
と緩衝効果が不十分となる。一方、緩衝接着層が厚すぎ
ると、光透過率が低くなり、また、打ち抜き時などにバ
リが発生しやすくなる。ただし、緩衝接着層は樹脂基材
に比べてはるかに光透過性が優れているため、屋外など
の高照度下で使用する際には、10mm程度まで厚くして
も問題ないこともある。
【0085】緩衝接着層を樹脂基材に設ける手段として
は、塗布あるいは押し出しコート等の公知の手段を利用
できる。
【0086】なお、緩衝接着層に、エンボス加工を施し
てもよい。封止部材を太陽電池にラミネートする際に、
気泡の抜け道が形成されるようにエンボス加工を施せ
ば、気泡の混入が少なくなる。
【0087】次に、樹脂膜を塗布により形成する方法の
一例を説明する。塗布法により形成した樹脂膜は、貼付
により形成した上記樹脂膜に比べ、平坦性、耐候性等の
面で若干劣るものの、機器内部に組み込んで使用した
り、主に屋内用途で使用する場合には問題ない。塗布法
では、上記貼付法で必要であったラミネート工程や、そ
の後の平坦化工程を省略できるため、製造コストを低減
できる。
【0088】この場合に用いる樹脂は、透明性に優れ、
経時変化および光劣化による変色が少ないものが好まし
く、特に、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂とし
ては、例えばフッ素系樹脂、ポリウレタン、ポリエステ
ル、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂を用いることができ
る。樹脂塗膜は、スクリーン印刷法、スピンコート法な
どにより形成すればよい。
【0089】
【実施例】実施例1 シロキサンオリゴマー溶液に絶縁性粒子を分散させて塗
布液を得た。このシロキサンオリゴマー溶液は、JSR
株式会社製のセラミックコーティング材グラスカ(HP
C7003)であり、前記(A)においてRがメチル基
であるシロキサンオリゴマーを含み、アルコール系溶媒
を含み、固形分濃度が20%、粘度が10mPa・sであ
る。絶縁性粒子には、酸化ケイ素(平均粒径0.1μ
m)を用いた。
【0090】有機フレキシブル基板には、縦360mm、
横460mm、厚さ75μmのポリエチレンナフタレート
(PEN)フィルム(帝人製、商品名ネオテックス)を
用いた。この有機フレキシブル基板の融点は273℃、
ガラス転移点は113℃、波長550nmにおける光透過
率は85%であった。
【0091】次に、ロールコート法により上記塗布液を
塗布した。次いで、220℃で20分間保持して硬化
し、絶縁層を形成した。硬化後、絶縁層の厚さは2μm
であり、マトリックスの表面には絶縁性粒子の一部が露
出していた。マトリックスに対する絶縁性粒子の体積比
は、50体積%であった。また、マトリックスの分解開
始温度は400℃以上であった。また、絶縁層のシート
抵抗は1MΩ/□、絶縁層の波長550nmにおける光透
過率は85%であった。
【0092】次に、マスクを用いたプラズマCVD法に
より、絶縁層上に直径14mm、厚さ0.7μm のアモル
ファスシリコン(a−Si)膜を120個形成した。原
料ガスおよびその流量はSiH4:50sccm、H2:50
0sccmとし、基板温度は160℃、動作圧力は133P
a、投入電力は100W(13.56MHz)とした。
【0093】その結果、a−Si膜形成領域に太鼓状の
盛り上がりは認められなかった。そして、このa−Si
膜上に、マスク成膜によりパターニング膜を形成したと
ころ、マスクの位置合わせが容易にでき、パターニング
膜の積層が可能であった。
【0094】比較例1 実施例1で用いたPENからなる有機フレキシブル基板
上に、実施例1と同様にしてa−Si膜を形成した。す
なわち、絶縁層は設けなかった。その結果、a−Si膜
形成領域では、有機フレキシブル基板に高さ数百マイク
ロメートルの盛り上がりが認められた。そして、このa
−Si膜上に、マスク成膜によりパターニング膜を形成
しようとしたところ、マスクの位置合わせが不可能であ
った。
【0095】実施例2 実施例1で用いたPENからなる有機フレキシブル基板
上に、実施例1と同様にして絶縁層を形成した。
【0096】次に、ITOからなる直径14.2mm、厚
さ80nmの下部電極を、スパッタ法により120個形成
した。
【0097】次いで、下部電極上に、以下の手順で光電
変換層を形成した。まず、p型の微結晶シリコン層を2
0nmの厚さにプラズマCVD法でマスク成膜した。その
際、原料ガスおよびその流量は、 B26+H2混合ガス(B26/H2=0.2%):20
sccm、 SiH4:5sccm、 H2:950sccm とし、そのほかの条件は、 基板温度:110℃、 動作圧力:133Pa、 投入電力:200W(13.56MHz) とした。続いて、i型のアモルファスシリコン層を60
0nmの厚さにプラズマCVD法でマスク成膜した。その
際、原料ガスおよびその流量は、 SiH4:50sccm、 H2:500sccm とし、そのほかの条件は、 基板温度:160℃、 動作圧力:133Pa、 投入電力:100W(13.56MHz) とした。続いて、n型の微結晶シリコン層を20nmの厚
さにプラズマCVD法でマスク成膜した。その際、原料
ガスおよびその流量は、 PH3+H2混合ガス(PH3/H2=0.2%):30sc
cm、 SiH4:5sccm、 H2:750sccm とし、そのほかの条件は、 基板温度:160℃、 動作圧力:133Pa、 投入電力:100W(13.56MHz) とした。
【0098】次に、Tiからなる厚さ200nmの上部電
極を、Ar雰囲気中でスパッタ法により形成した。次い
で、配線電極および取り出し電極を形成して、太陽電池
とした。
【0099】この太陽電池について、ソーラーシュミレ
ーターを用い、有機フレキシブル基板を通して光を照射
し、光電流を測定した結果、太陽電池として機能するこ
とが確認できた。
【0100】比較例2 絶縁層3を設けなかったほかは実施例2と同様にして太
陽電池を製造しようとしたところ、i型アモルファスシ
リコン層形成領域において有機フレキシブル基板に高さ
数百マイクロメートルの盛り上がりが認められた。そし
て、このi型アモルファスシリコン層上に、マスク成膜
によりp型の微結晶シリコン層を形成しようとしたとこ
ろ、マスクの位置合わせが不可能であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の太陽電池の一例である太陽電池の構成
例を示す断面図である。
【符号の説明】
2 有機フレキシブル基板 3 絶縁層 4 下部電極 5 光電変換層 6 上部電極 9 層間絶縁層 10 セパレータ絶縁層 101 セパレータ部 11 収集・配線電極 12 接続導体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 師岡 久雄 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 Fターム(参考) 5F051 CA15 DA20 GA05 GA06 GA20

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機フレキシブル基板の表面に、下部電
    極、光電変換層および上部電極をこの順で有し、前記光
    電変換層がプラズマCVD法により形成された太陽電池
    であって、 前記有機フレキシブル基板と前記下部電極との間に絶縁
    層が存在し、前記絶縁層が、金属酸化物を主成分とする
    マトリックス中に絶縁性粒子が分散した構成であり、 前記絶縁層の厚さが0.6〜50μmである太陽電池。
  2. 【請求項2】 前記有機フレキシブル基板が、ポリエチ
    レンナフタレート、ポリエーテルサルホン、ポリイミ
    ド、ポリアミドまたはポリイミドアミドから構成される
    請求項1の太陽電池。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100512988B1 (ko) * 2002-09-26 2005-09-07 삼성전자주식회사 플렉서블 mems 트랜스듀서 제조방법
KR100512960B1 (ko) * 2002-09-26 2005-09-07 삼성전자주식회사 플렉서블 mems 트랜스듀서와 그 제조방법 및 이를채용한 플렉서블 mems 무선 마이크로폰
EP2164302A1 (de) * 2008-09-12 2010-03-17 Ilford Imaging Switzerland Gmbh Optisches Element und Verfahren zu seiner Herstellung

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