JP2009049236A - 炭素電極材、炭素電極材混合物および炭素電極材の製造方法、ならびに電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池およびリチウムイオンキャパシタ - Google Patents

炭素電極材、炭素電極材混合物および炭素電極材の製造方法、ならびに電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池およびリチウムイオンキャパシタ Download PDF

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Abstract

【課題】単位体積当たりの静電容量および出力密度が高い粒状炭素電極材であって、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタおよびリチウムイオンキャパシタ用として好適に使用できる粒状炭素電極材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】平均粒径が10μm以下、単粒子率が0.7以上であり、かつ、(d84%−d16%)/(2×平均粒径)(d84%、d16%はそれぞれ、レーザー回折・散乱法によって得られた頻度分布において累積頻度84%、16%を示す粒径である)で示される粒径分布の変動係数が、0.65以下である粒状炭素電極材およびその製造方法、ならびにこれを用いた電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池およびリチウムイオンキャパシタである。
【選択図】図1

Description

本発明は、炭素電極材、炭素電極材混合物および炭素電極材の製造方法に関する。また、本発明は、当該炭素電極材、炭素電極材混合物を用いた電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池およびリチウムイオンキャパシタに関する。
近年、エレクトロニクス機器、特に、パソコンや携帯用情報通信機器等の市場は、急速に発展している。これに伴い、これらの機器に用いられる蓄電源の高性能化、すなわち、高エネルギー密度化、高電圧化、高出力化、長寿命化、小型軽量化、低価格化等の要求が一層高まっている。また、環境問題への対策から、鉛蓄電池やニッケル・カドミウム電池のような有害重金属を含有する電池に対する規制も次第に強まりつつある。
このような状況下、従来の鉛蓄電池やニッケル・カドミウム電池に替わる、新たな蓄電源として、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタおよびリチウムイオンキャパシタ等が開発された。これらは従来の蓄電源と比較して、エネルギー密度、寿命、出力等においてより優れており、たとえば携帯用電気機器等の用途に応じて蓄電源として使用が進められている。
ここで、リチウムイオン電池は、通常、炭素質材料を負極に、リチウム含有化合物を正極に使用し、正極と負極との間でリチウムイオンを移動させることにより充放電を行なう。また、電気二重層キャパシタは、正極および負極に比較的比表面積の大きい炭素質材料を使用し、電解質イオンの吸脱着により充放電を行なう。
最近提案されたリチウムイオンキャパシタは、正極に通常のキャパシタと同様の比較的比表面積が大きい炭素質材料を使用し、負極には、リチウムイオン電池と同様の炭素質材料を使用する。リチウムイオンキャパシタは、リチウムイオンおよび電解質イオンの吸脱着により充放電を行なうものであり、電気二重層キャパシタのエネルギー密度を改善した新しいタイプのキャパシタとして注目されている。
これらリチウムイオン電池、電気二重層キャパシタおよびリチウムイオンキャパシタのさらなる高性能化のためには、高性能化された炭素電極材、すなわち、単位体積当たりの静電容量および出力密度が高い炭素電極材の開発が不可欠である。従来より、このような高性能化された炭素電極材を得るべく、種々の検討がなされており、単位体積当たりの充填性を向上させることや電解液との接触界面面積を向上させるために、粒子径の小さい粒状炭素材が提案されてきた。
たとえば、特許文献1には、球状フェノール樹脂を炭化、賦活することにより調製した平均粒径が1〜10μmの球状活性炭を電気二重層キャパシタ用電極に用いることが開示されている。また、粒子径が比較的小さい粒状炭素材として、特許文献2には、平均粒径が0.5〜2000μmの範囲である球状活性炭素材が開示されている。また、特許文献3には、粒径が0.1〜150ミクロンの球状一次粒子を含有する粒状ないし粉末状炭素微粒子が開示されている。
しかし、いずれにおいても、十分な空間充填性を有しているとは言い難く、したがって、より高性能化されたリチウムイオン電池等を得るためには、炭素電極材についてさらなる改善が必要であった。
特開2001−143973号公報 特開平11−1314号公報 特許第2546793号公報
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであり、その目的は、単位体積当たりの静電容量および出力密度が高い粒状炭素電極材であって、リチウムイオン電池、電気二重層キャパシタおよびリチウムイオンキャパシタ用として好適に使用できる粒状炭素電極材およびその製造方法を提供することである。また、本発明の他の目的は、かかる粒状炭素電極材を用いた電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池およびリチウムイオンキャパシタを提供することである。
本発明者らは、鋭意研究の結果、炭素電極材の単位体積当たりの静電容量および出力密度を向上させるためには、粒状炭素電極材の平均粒径を小さくするだけでなく、その粒径分布が十分に狭く、かつ1次粒子の凝集による2次凝集物の含有率が十分に低い(単粒子率が十分に高い)必要があることを見出した。また、本発明者らは、かかる特性を有する粒状炭素電極材を制御よく調製する方法を開発した。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明の粒状炭素電極材は、平均粒径が10μm以下、単粒子率が0.7以上であり、かつ、下記式[1]で示される粒径分布の変動係数が、0.65以下であることを特徴とする。
粒径分布の変動係数=(d84%−d16%)/(2×平均粒径) [1]
ここで、d84%、d16%はそれぞれ、レーザー回折・散乱法によって得られた頻度分布において累積頻度84%、16%を示す粒径である。
本発明の粒状炭素電極材においては、粒子の真球度は0.5以上であることが好ましい。また本発明は、平均粒子径が異なる2種以上の上記本発明の粒状炭素電極材を混合してなる粒状炭素電極材混合物を提供する。
また本発明により、上記粒状炭素電極材を製造するための方法であって、(1)反応液中におけるモル濃度が2.0mol/L以上である酸性触媒と、保護コロイド剤との存在下、水性媒体中でアルデヒド類とフェノール類とを反応させることにより粒状フェノール樹脂を形成する、粒状フェノール樹脂形成工程と、(2)該粒状フェノール樹脂を含有する反応液を加熱して非熱溶融性の粒状フェノール樹脂を形成する、加熱工程と、(3)該非熱溶融性の粒状フェノール樹脂を反応液から分離する、分離工程と、(4)該非熱溶融性の粒状フェノール樹脂を焼成する焼成工程と、を含む粒状炭素電極材の製造方法が提供される。
ここで、上記酸性触媒は塩酸であり、上記アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドまたはこれらの混合物であることが好ましい。また、上記アルデヒド類に対する上記フェノール類の仕込みモル比は、0.9以下であることが好ましい。上記保護コロイド剤は、水溶性多糖類誘導体であることが好ましい。さらに、上記非熱溶融性粒状フェノール樹脂の遊離フェノール含有量は、500ppm以下であることが好ましい。
さらに本発明は、上記粒状炭素電極材または粒状炭素電極材混合物を用いた電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池およびリチウムイオンキャパシタを提供する。
本発明によれば、平均粒径が10μm以下と、非常に微小な粒径を有し、粒径分布が狭小であり、かつ当該微小な1次粒子の凝集による2次凝集物をほとんど含まない、すなわち単粒子率が高い粒状炭素電極材が提供される。このような本発明の粒状炭素電極材は、単位体積当たりの静電容量および出力密度の向上が図られており、電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池およびリチウムイオンキャパシタ用電極材料として好適に用いることができる。
また、本発明は、上記のような優れた特性を具備する粒状炭素電極材を製造するのに好適な方法を提供する。本発明の粒状炭素電極材の製造方法によれば、比較的簡便な方法で優れた特性を有する粒状炭素電極材を制御よく製造することが可能である。
<粒状炭素電極材>
図1は、本発明の粒状炭素電極材の好ましい一例の走査型電子顕微鏡写真(以下、SEM写真という。)を示す。図1に示されるように、本発明の粒状炭素電極材は、粒径の微小な粒状フェノール樹脂であって、当該粒子(1次粒子)の凝集による2次凝集物が少なく、かつ狭い粒径分布を示す。なお、図1の粒状炭素電極材は、以下に定義される平均粒径が4μm、単粒子率が0.98、粒径分布の変動係数が0.51のものである。
本発明の粒状炭素電極材は、粒子(2次凝集物に対する用語として、1次粒子とも称する。)の平均粒径が10μm以下である。平均粒径を10μm以下と小さくすることにより、炭素粒子の外表面積が大きくなる。これにより、リチウムイオンや電解質イオンの炭素粒子内への侵入頻度が増加し、かつこれらのイオンの粒状炭素電極材内部における拡散距離も短くなるため、充放電の際の該イオンの出入りが速くなり、結果、出力密度を向上させることができる。また、後述するように、平均粒径がより小さい炭素電極材と、より大きい炭素電極材とを適宜の比率で組み合わせることにより、炭素電極材の充填密度を向上させることが可能であり、これにより単位体積当たりの静電容量を増加させることができる。平均粒径の下限値は特に制限されないが、あまり微小すぎると、本発明の粒状炭素電極材の原料として好ましく用いられる非熱溶融性フェノール樹脂粒子を製造する際において、固液分離が困難となる場合がある。また、平均粒径があまりに微小すぎると、該粒状炭素電極材を使用してスラリーを調製し、集電体上にこれを塗布して塗布電極を製造するに際して、該スラリーがダイラタンシー性に基づく流動性の低下を引き起こし、塗工効率の低下が見られる場合がある。したがって、このような観点からは、粒状炭素電極材の平均粒径は、0.5μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。
ここで、本明細書中において「平均粒径」とは、レーザー回折式粒度測定機を用いた測定方法、すなわちレーザー回折・散乱法(マイクロトラック法)によって得られた頻度分布の累積頻度50%値を意味する。レーザー回折式粒度測定機としては、日機装(株)製 Microtrac X100を好適に用いることができる。
また、本発明の粒状炭素電極材は、狭い粒径分布を有しており、具体的には、本発明の粒状炭素電極材を構成する粒子(1次粒子)の粒径分布の変動係数は、0.65以下である。粒径分布の変動係数は、さらに好ましくは、0.6以下である。本明細書中において「粒径分布の変動係数」とは、下記式[1]により算出される値である。
粒径分布の変動係数=(d84%−d16%)/(2×平均粒径) [1]
ここで、上記式[1]において、d84%、d16%はそれぞれ、レーザー回折・散乱法によって得られた頻度分布において累積頻度84%、16%を示す粒径であり、平均粒径とは上記で定義される平均粒径である。レーザー回折式粒度測定機としては、日機装(株)製 Microtrac X100を好適に用いることができる。上記したように、平均粒径がより小さい炭素電極材と、より大きい炭素電極材とを適宜の比率で組み合わせることにより、炭素電極材の充填密度を向上させることが可能であるが、これらの粒状炭素電極材の粒径分布が広い(変動係数が0.65を超える)と、十分に高い充填密度を得ることが困難であり、したがって、静電容量の向上が十分でない。
また、本発明の粒状炭素電極材の単粒子率は、0.7以上であり、好ましくは0.8以上である。単粒子率が0.7未満であり、2次凝集物が多く存在すると、1次粒子の間隙に、より平均粒径の小さい炭素電極材を充填させることが困難となることにより、充填密度を向上させることができないだけでなく、炭素電極材を電解液を用いてスラリー化した際の該スラリーの流動性が低下する傾向にある。ここで、本明細書中において「単粒子」とは、凝集による2次凝集物を形成していない1次粒子を意味し、「単粒子率」とは、水滴中に粒状炭素電極材を分散して光学顕微鏡観察を行ない、1次粒子を約300個含む、無作為に選択した視野において、1次粒子の総個数および単粒子の個数を数えたときの当該比、すなわち、単粒子個数/1次粒子総個数を意味する。
さらに、本発明の粒状炭素電極材の粒子形状は、真球状に近いほど好ましい。具体的には、真球度が0.5以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、0.9以上であることが特に好ましい。粒子形状が真球状に近いほど、すなわち、真球度が1.0により近いほど、粒状炭素電極材の充填密度をより向上させることができるとともに、炭素電極材を電解液を用いてスラリー化した際の該スラリーの流動性をより向上させることができる。ここで、本明細書中において「真球度」とは、光学顕微鏡観察において約300個の1次粒子を含む視野を無作為に決定し、アスペクト比(すなわち、短径/長径の比)が最も低い1次粒子を10個選択して、これら10個の1次粒子各々について、その投影断面におけるアスペクト比を測定したときの、これら10のアスペクト比の平均値を意味する。
本発明の粒状炭素電極材の窒素吸着によるBET法により測定される比表面積は、特に限定されないが、リチウムイオン電池またはリチウムイオンキャパシタの負極材として使用する場合には、1〜100m2/gであることが好ましく、1〜50m2/gであることがより好ましい。比表面積が100m2/gを超えると、充電容量に対する放電容量の比率が低下する傾向がある。また、電気二重層キャパシタ用電極材として使用する場合には、比表面積は、600〜2300m2/gであることが好ましく、800〜2000m2/gであることがより好ましい。比表面積が600m2/g未満である場合には、電解質イオンの細孔内への侵入がスムーズに行なわれない傾向があり、2300m2/gを超えると、電解質イオンの吸脱着に利用される細孔以外の大きな細孔が生成することとなり、電極材の密度が低下し十分な静電容量を確保できない傾向がある。
本発明の粒状炭素電極材の原料としては、上記した特定の特性を有する炭素電極材を得ることができる限り特に制限されるものではなく、従来公知の原料を使用することができる。かかる原料としては、たとえば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。本発明の粒状炭素電極材は、好ましくは、これら樹脂の粒状物を焼成(炭化)および/または賦活することに得られる。上記樹脂のなかでもフェノール樹脂が残炭率の点から好ましく、後述する本発明の方法に従い調製された非熱溶融性粒状フェノール樹脂を用いることが特に好ましい。
ここで、粒状炭素電極材の原料として好適に用いられる非熱溶融性粒状フェノール樹脂について説明する。当該非熱溶融性粒状フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類との反応生成物からなる、非熱溶融性のフェノール樹脂である。ここで、フェノール類とアルデヒド類との反応生成物とは、基本的にはこれらが付加反応および縮合反応することにより得られる生成物であるが、一部付加反応のみ起こした生成物も含まれる。フェノール類としては、特に限定されないが、たとえばフェノール、ナフトール、ハイドロキノン、レゾルシン、キシレノール、ピロガロールなどを挙げることができる。フェノール類は1種であってもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、最終的に得られる粒状炭素電極材の性能とコストとのバランスを考慮すると、フェノール類はフェノールであることが好ましい。また、アルデヒド類としては、特に制限されるものではないが、たとえばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グリオキサール、ベンズアルデヒドなどを挙げることができる。アルデヒド類は1種であってもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドまたはこれらの混合物であることが好ましい。
ここで、本明細書中において「非熱溶融性」とは、特定の高温加圧条件下において粒状フェノール樹脂が融着しないことを意味するものであり、具体的には、粒状フェノール樹脂試料(乾燥品)約5gを、2枚の0.2mm厚ステンレス板間に挿入し、あらかじめ100℃に加温したプレス機で、50kgの総荷重で2分間プレスしたときに、溶融および/または融着により、粒状フェノール樹脂が平板を形成したり、フェノール樹脂粒子が変形したり、またはフェノール樹脂粒子同士が互いに接着しない性質と定義される。このような性質は、粒状フェノール樹脂の製造において、フェノール類とアルデヒド類との反応によりフェノール樹脂を合成した後、該フェノール樹脂を架橋・硬化させることによって付与することができる。架橋・硬化は、たとえばフェノール類とアルデヒド類との反応を行なった反応液を加熱することによって行なうことができる。
非熱溶融性粒状フェノール樹脂の煮沸メタノール溶解度は、30%未満であることが好ましく、より好ましくは20%未満である。本明細書中において「煮沸メタノール溶解度」とは、粒状フェノール樹脂中の煮沸メタノール可溶成分の含有量を意味し、具体的には、次のような試験により算出された値と定義される。すなわち、フェノール樹脂試料(乾燥品)約10gを精秤し、実質的に無水のメタノール約500mL中で30分間還流下に加熱した後、No.3のガラスフィルターで濾過し、さらにガラスフィルター上の残渣を約100mLの無水メタノールで洗浄する。ついで、洗浄後のガラスフィルター上の残渣を40℃で5時間乾燥した後、当該残渣を精秤する。以下の式[2]により算出された値を「煮沸メタノール溶解度」とする。
煮沸メタノール溶解度(重量%)=(フェノール樹脂試料重量と乾燥後の残渣重量との差)/(フェノール樹脂試料重量)×100 [2]
「煮沸メタノール溶解度」は、該フェノール樹脂が「非熱溶融性」を有するか否かの直接的な判断基準ではないが、フェノール樹脂の熱溶融性の程度を知る上での1つの指標となり得るものである。すなわち、「煮沸メタノール溶解度」が低いほど、熱溶融性も低い傾向にある。煮沸メタノール溶解度が30%以上になると、使用の際の加熱や加圧により熱溶融性を示し、粒子が変形したり融着したりする場合がある。したがって、本発明においては、基本的には粒状炭素電極材の真球度および単粒子率は、原料となる粒状フェノール樹脂製造時における原料組成や反応条件の調整により制御できるが、煮沸メタノール溶解度が30%未満である粒状フェノール樹脂を用いることによっても、得られる粒状炭度電極材の真球度および単粒子率を向上させ得る。本発明に従う製造方法によれば、粒状フェノール樹脂の煮沸メタノール溶解度を30%未満とすることが可能である。
さらに、非熱溶融性粒状フェノール樹脂の遊離フェノール含有量は、500ppm以下であることが好ましい。当該遊離フェノール含有量は、より好ましくは300ppm以下であり、さらに好ましくは200ppm以下である。遊離フェノール含有量を500ppm以下とすることにより、焼成に伴う微小クラックの発生や残炭率の低下を抑制または回避することでき、また賦活後の細孔径分布がシャープな粒状炭素電極材を得ることができる。また、遊離フェノールは人体や環境に有害であるため、このような粒状フェノール樹脂を用いることにより、人体や環境に対し安全性の高い製造方法が提供される。ここで、本明細書中において「遊離フェノール含有量」とは、次のような試験により算出された値と定義される。すなわち、フェノール樹脂試料(乾燥品)約10gを精秤し、190mLのメタノール中で還流下30分間抽出し、ガラスフィルターで濾過する。濾液中のフェノール類濃度を液体クロマトグラフィーにより定量して、該濾液中のフェノール類重量を算出する。該フェノール類重量と試料重量との比、すなわち、フェノール類重量/フェノール樹脂試料重量を「遊離フェノール含有量」とする。
ここで、本発明の粒状炭素電極材を電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池およびリチウムイオンキャパシタ用電極材料として用いる場合、平均粒径が異なる2種以上の粒状炭素電極材を混合して用いてもよい。後述する本発明の製造方法によれば、粒状炭素電極材の平均粒径を所望の値に制御することが可能であるため、所望の平均粒径を有し、しかもその粒径分布がシャープであり、単粒子率の高い粒状炭素電極材を提供することができる。なお、「2種以上」における「種」とは平均粒径の相違を示している。平均粒径が異なる2種以上の粒状炭素電極材を混合して用いることにより、平均粒径がより大きな炭素電極材の間隙に、平均粒径がより小さな炭素電極材が入り込むことができるため、炭素電極材の充填密度を向上させることができる。平均粒径が異なる2種以上の粒状炭素電極材を混合する場合における、その最適な混合比率は、それら炭素電極材の平均粒径等に依存するため一概に定めることはできず、混合させる炭素電極材の平均粒径等に応じて、単位体積当たりの静電容量が最も高くなるよう適宜設定されることが好ましい。
平均粒径が異なる2種以上の粒状炭素電極材を混合して炭素電極材混合物を得る場合、少なくとも1つの炭素電極材成分は、本発明の炭素電極材である必要がある。充填密度および出力密度向上の効果を効果的に得るためには、すべての炭素電極材成分が本発明の炭素電極材であることが好ましい。すなわち、混合されるすべての炭素電極材成分の平均粒径を10μm以下とすることにより、炭素電極材混合物全体としての出力密度を効果的に向上させることができる。また、各炭素電極材成分の粒径分布がシャープであると、より平均粒径の大きい粒子が構成する空隙はおよそ一定の大きさを示すこととなり、該空隙を埋めることができる適切な大きさを有する、より微小な粒子を混合するという混合設計が可能となるため、炭素電極材混合物全体としての充填性を簡便に向上させることができる。一方、粒径分布がより広い電極材成分を混合する場合には、より平均粒径の大きい粒子が構成する空隙は、様々な大きさで分布することとなるが、このような様々な大きさの空隙を適切に埋めるような粒度分布を有するより微小な粒子を製造することは困難である。仮に、このような複雑な粒径分布を有する電極材成分を得ることが可能であっても、それぞれの粒径に見合った空隙に全ての粒子を収めるには、特殊な混合操作が必要である、混合に長時間を要する等の不具合が生じる。なお、充填性向上の観点から、すべての炭素電極材成分は真球状に近い(真球度0.5以上)ことが好ましい。
<粒状炭素電極材の製造方法>
以下に示す本発明の粒状炭素電極材の製造方法は、上記本発明の粒状炭素電極材を製造するための方法として好適に用いられるものである。本発明の方法によれば、保護コロイド剤の濃度の調整により、得られる粒状炭素電極材の平均粒径を制御することが可能である。また、本発明の方法によれば、中間原料となるフェノール樹脂および炭素電極材に機械的破砕を施すことなく、平均粒径が微小で、粒径分布が狭く、かつ単粒子率の高い炭素電極材を得ることができる。
本発明の粒状炭素電極材の製造方法は、次に示す工程(1)〜(4)を含む。以下、各工程について詳細に説明する。
(1)反応液中におけるモル濃度が2.0mol/L以上である酸性触媒と、保護コロイド剤との存在下、水性媒体中でアルデヒド類とフェノール類とを反応させることにより粒状フェノール樹脂を形成する、粒状フェノール樹脂形成工程、
(2)該粒状フェノール樹脂を含有する反応液を加熱して非熱溶融性の粒状フェノール樹脂を形成する、加熱工程、
(3)該非熱溶融性の粒状フェノール樹脂を反応液から分離する、分離工程、および、
(4)該非熱溶融性の粒状フェノール樹脂を焼成する焼成工程。
(1)粒状フェノール樹脂形成工程
本工程において、酸性触媒および保護コロイド剤の存在下、水性媒体中でアルデヒド類とフェノール類とを反応させることにより、粒状のフェノール樹脂を形成する。アルデヒド類としては、特に制限されるものではないが、たとえばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、グリオキサール、ベンズアルデヒドなどを挙げることができる。アルデヒド類は1種であってもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドまたはこれらの混合物であることが好ましい。なお、後述するように、本発明の方法の特徴の1つは、高濃度の酸性触媒を用いることにあるが、アルデヒド類としてホルムアルデヒドの重合物であるパラホルムアルデヒドを用いた場合、このような条件下においては、パラアルデヒドは解重合されるため、実質的に反応に寄与するのはホルムアルデヒドであると考えられる。使用するアルデヒド類の種類およびその使用量は、反応時において水性媒体中に溶解するように選択されることが好ましい。
フェノール類としては、特に限定されないが、たとえばフェノール、ナフトール、ハイドロキノン、レゾルシン、キシレノール、ピロガロールなどを挙げることができる。フェノール類は1種であってもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。なかでも、水への溶解性および得られる炭素電極材の性能とコストとのバランスを考慮すると、フェノール類はフェノールであることが好ましい。使用するフェノール類の種類およびその使用量は、反応時において水性媒体中に溶解するように選択されることが好ましい。
具体的には、たとえばフェノール類としてフェノール等を用いる場合には、フェノール類の使用量(仕込み量)は、反応液全重量に対するフェノール類の濃度(重量比)が10重量%以下となるように選択されることが好ましい。水への溶解度がより低いフェノール類(たとえばナフトール等)を用いる場合には、反応時における水性媒体中への溶解を保証し、粒状フェノール樹脂に優れた特性(微小な平均粒径および高単粒子率等)を発現させるために、さらに低い濃度を採用することが望ましい。ここで、「反応液全重量」とは、フェノール類、アルデヒド類、酸性触媒、保護コロイド剤および水性媒体の合計重量である。反応液全重量に対するフェノール類の濃度を10重量%以下とすることにより、反応開始段階から粒状フェノール樹脂形成段階に至る温度管理を容易に行なうことができる。たとえば、常温付近で反応を開始する場合においては、フェノール類の濃度を10重量%以下とすれば、特に反応初期において暴走反応等による過度の発熱を伴わないため、温度管理をほとんど行なうことなく、平均粒径が小さく、2次凝集が抑えられた粒状フェノール樹脂を形成させることができる。なお、反応液全重量に対するフェノール類の濃度(重量比)を10重量%より高くすることも可能であるが、その場合には、反応時の温度管理を適切に行なう必要があることが多い。
また、上記アルデヒド類の使用量(仕込み量)は、アルデヒド類に対するフェノール類の仕込みモル比が、0.9以下となるように選択されることが好ましい。アルデヒド類に対するフェノール類の仕込みモル比は、より好ましくは0.75以下であり、さらに好ましくは0.5以下である。アルデヒド類に対するフェノール類の仕込みモル比を0.9以下とすることにより、平均粒径が小さく、2次凝集が抑えられ、さらには真球状により近く、粒径分布が狭く、遊離フェノール含有量の少ない粒状フェノール樹脂を形成させることが可能となる。また、アルデヒド類に対するフェノール類の仕込みモル比を0.75以下とすることにより、さらに2次凝集を抑えることができる。これら粒状フェノール樹脂に係る特性をさらに良好なものとするためには、アルデヒド類に対するフェノール類の仕込みモル比を0.5以下とすることが特に好ましい。アルデヒド類に対するフェノール類の仕込みモル比の下限値については、特に制限はなく、たとえば水性媒体に溶解する範囲内でアルデヒド類を増やすことによってアルデヒド類に対するフェノール類の仕込みモル比を小さくすることができるが、反応の効率を考慮すると、アルデヒド類に対するフェノール類の仕込みモル比は0.1以上であることが好ましい。
本工程において、上記のようなアルデヒド類とフェノール類とを水性媒体中で反応させるが、本発明の製造方法の特徴の1つは、当該反応を高濃度の酸性触媒を用いて行なう点にある。当該酸性触媒は、強酸性の触媒であることが好ましい。そのようなものとしては、たとえば塩酸、リン酸、硫酸等を挙げることができる。なかでも、揮発性の酸であり乾燥操作により容易に除去できるため、残留酸成分による酸化反応が粒状フェノール樹脂の表面化学特性や強度に悪影響を与えることの少ない、塩酸であることがより好ましい。高濃度とは、具体的には、反応を常温付近で開始する場合、反応液中における酸性触媒のモル濃度が2.0mol/L以上であることを意味し、より好ましくは、3mol/L以上である。平均粒径が小さく、2次凝集が抑えられた粒状フェノール樹脂、さらにこれらに加えて真球状により近く、粒径分布が狭く、遊離フェノール含有量の少ない粒状フェノール樹脂を得るためには、反応を常温付近で開始する場合、反応液中における酸性触媒のモル濃度を2.0mol/L以上にすることが必要である。また、工業生産に適した反応速度および付帯設備の耐酸性の観点からは、酸性触媒のモル濃度は、6mol/L以下であることが好ましい。なお、反応の開始温度を常温より高くすることにより、同等の反応速度を達成するために必要な酸性触媒のモル濃度は、反応開始温度が常温付近の場合よりも若干低くなる。
本発明の製造方法のもう1つの特徴は、アルデヒド類とフェノール類との反応を保護コロイド剤の存在下に行なう点にある。ここで、保護コロイド剤は、粒状のフェノール樹脂を形成するのに寄与するものである。平均粒径が小さく、2次凝集が抑えられた粒状フェノール樹脂、さらにこれらに加えて真球状により近く、粒径分布が狭く、遊離フェノール含有量の少ない粒状フェノール樹脂を形成するためには、このような保護コロイド剤を使用することが必要である。本発明においては、保護コロイド剤として、水溶性の保護コロイド剤を使用することが好ましい。水溶性保護コロイド剤としては、たとえば水溶性の多糖類誘導体を好適に用いることができる。好適に用いることができる水溶性の多糖類誘導体の具体例を挙げれば、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩;アラビアゴム、アカシア、グアーガム、ローカストビーンガム等の水溶性多糖類誘導体を主成分とする天然糊料などである。カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩またはアンモニウム塩を使用する場合、セルロースのカルボキシメチル化度は、特に限定されるものではないが、カルボキシメチル化度75%程度のものが市販されており、これを好適に用いることができる。なお、保護コロイド剤は、乾燥粉末として入手される場合、これを直接反応液に添加、溶解してもよく、あるいは、あらかじめ保護コロイド剤の水溶液を調製し、これを反応液に添加してもよい。
上記保護コロイド剤の使用量は、固形分重量で、上記フェノール類の使用量の0.04重量%程度以上とすることが好ましい。保護コロイド剤の使用量が0.04重量%未満である場合には、粒状炭素電極材の平均粒径を10μm以下とするには不十分であり、たとえばフェノール類使用量や攪拌速度など他のパラメータによる粒度制御が必要とされる。また、保護コロイド剤の使用量の上限に特に制限はないが、好ましくは、フェノール類の使用量の3重量%以下である。3重量%より多い場合、平均粒径が10μm以下の粒状炭素電極材を得ることはできるが、3重量%を超える量の保護コロイド剤を添加しても、それに見合うだけの効果が得られない傾向にある一方、反応液の粘度上昇により、後述の分離工程等において分離速度が低下する傾向にある。ここで、特筆すべきは、粒状炭素電極材の平均粒径を保護コロイド剤の使用量を調整することによって制御可能であるという点である。
上記水性媒体としては、水または水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を挙げることができるが、本発明においては、水溶媒が好ましく用いられる。水性媒体の使用量は、酸性触媒の濃度が上記範囲内となるように選択され、好ましくは、さらにフェノール類の濃度が上記好ましい範囲内となるように選択される。
次に、上記したアルデヒド類、フェノール類、酸性触媒および保護コロイド剤を用いて反応を行なう具体的方法について述べる。反応の具体的方法としては、次の2つの方法を挙げることができる。(i)水性媒体に酸性触媒と保護コロイド剤とアルデヒド類とを混合して混合液を調製した後、該混合液を攪拌しながらフェノール類を添加する方法、(ii)水性媒体に保護コロイド剤とアルデヒド類とフェノール類とを混合して混合液を調製した後、該混合液を攪拌しながら酸性触媒を添加する方法。
ここで、上記(i)および(ii)のいずれの方法においても、上記混合液は略均一な溶液であることが好ましい。すなわち、水性媒体に混合する溶質が完全に溶解しているか、または少なくともほぼ完全に溶解していることが好ましい。混合液の調製において、混合の順序は特に制限されるものではない。また、当該混合液の反応開始時の温度は、特に制限されないが、好ましくは10〜50℃程度、さらに好ましくは20〜40℃程度である。
上記(i)の方法においては、上記混合液を攪拌しながらフェノール類を添加することにより、アルデヒド類とフェノール類との反応を行なう。フェノール類の添加は、フェノール類を直接混合液に添加することにより行なってもよく、あるいは、あらかじめフェノール類を水に溶解して、当該水溶液を混合液に添加するようにしてもよい。当該反応は、反応温度が10〜60℃程度、好ましくは20〜50℃程度となるように制御されることが好ましい。反応温度が約10℃未満である場合、反応速度が小さくなる傾向にあり、反応温度が60℃を超えると、粒径の粗大化や2次凝集物の増加を起こす虞がある。なお、上記混合液の反応開始時の温度を20〜30℃程度の常温付近とし、反応液全重量に対するフェノール類の濃度を10重量%以下とすることにより、過度の発熱を伴わないため、温度管理をほとんど行なうことなく、上記好ましい温度範囲で反応を行なわせることが可能である。
上記(ii)の方法においては、上記混合液を攪拌しながら酸性触媒を添加することにより、アルデヒド類とフェノール類との反応を行なう。酸性触媒の添加は、一度に行なってもよく、あるいは一定の時間をかけて滴下により行なってもよい。また、酸性触媒の添加は、酸性触媒を直接混合液に添加することにより行なってもよく、あるいは酸性触媒を水で希釈して、当該希釈液を混合液に添加するようにしてもよい。反応温度は、上記(i)の場合と同様に、10〜60℃程度、好ましくは20〜50℃程度となるように制御されることが好ましい。
上記(i)および(ii)の方法のいずれにおいても、反応が進行するにつれ、反応液は次第に白濁化(懸濁化)し、粒状フェノール樹脂が形成されるが、このような白濁化は、典型的にはフェノール類または酸性触媒の添加後、数十秒〜数分後に起こる。白濁化、すなわちフェノール樹脂粒子の析出に要する時間は、(ii)の方法の方が(i)の方法よりも短い傾向にある。また、白濁化の後、典型的には反応液は、淡いピンク色〜濃ピンク色を呈するが、本発明においては、このような着色が見られるまで反応を継続することが好ましい。白濁後着色を呈するまでの時間は、概して数十分〜数時間程度である。なお、たとえば特開昭57−177011号公報に記載の方法においては、粒子が集合して餅状となるのを避けるために、フェノール樹脂粒子析出後は攪拌を停止する必要があったが、保護コロイド剤を用いる本発明の製造方法によれば、フェノール樹脂粒子の析出後もそのまま継続して攪拌を行なうことができる。したがって、本発明の製造方法によれば、反応液の温度をより厳密に制御することができ、ひいてはフェノール樹脂の重合度および架橋度が均一な状態で、次の加熱工程に供することが可能となる。このことは、得られる粒状フェノール樹脂の均質性に寄与し得る。
(2)加熱工程
本工程において、上記粒状フェノール樹脂を含有する反応液を加熱することにより、該粒状フェノール樹脂を非熱溶融性とする。このような非熱溶融性は、加熱による樹脂の架橋、硬化によってもたらされるものである。本工程における反応液の加熱温度は、60℃以上であることが好ましく、より好ましくは70℃以上である。また、反応液の加熱温度は、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは90℃以下である。加熱温度が60℃未満である場合には、十分な非熱溶融性が得られない虞がある。なお、ここでいう十分な非熱溶融性とは、上記で定義した「非熱溶融性」を有することをいう。また、加熱温度が100℃を超える場合には、コンデンサを有する反応器が必要であったり、付帯設備等の耐酸性が問題となる虞がある。なお、加熱温度が60℃程度と比較的低い場合であっても、十分な保持時間を設けることにより十分な非熱溶融性を付与することが可能である。加熱温度および加熱時間を、上記好ましい範囲において調整することにより、用途に応じて所望の重合度および架橋度に調整することができる。
加熱時間は、粒状フェノール樹脂に十分な非熱溶融性を付与できる限り特に限定されるものではなく、加熱温度にもよるが、典型的には数分〜数時間程度である。また、当該加熱処理の終了後、次工程に進むにあたっては、適宜の温度まで反応液を冷却してもよく、あるいは反応液を冷却することなくそのまま次工程に進んでもよい。
(3)分離工程
本工程において、得られた非熱溶融性粒状フェノール樹脂を反応液から分離する。分離方法としては、たとえば濾過や圧搾などを好適に用いることができる。このような分離操作のための装置として、たとえば、濾過装置、遠心脱水機、ベルトプレス、フィルタープレスなどを用いることができる。減圧留去、スプレードライなどの蒸発を利用した分離方法は、反応液が高濃度の酸性触媒を含むことから機器を傷める可能性があり、好ましくない。濾過による分離操作を行なう場合、珪藻土等の各種濾過助剤や凝集剤を用いてもよい。なお、得られる非熱溶融性粒状フェノール樹脂は、概して、比重が約1.2〜1.3であり、静置により沈降することから、当該分離操作に先立ってデカンテーション等の予備操作を行なってもよい。
分離工程の後、分離した粒状フェノール樹脂を洗浄する工程を設けてもよい。洗浄の具体的方法としては、たとえば(i)上記分離操作により分離されたフェノール樹脂ケーキに洗浄液を添加する方法(たとえば、分離された濾過機上のフェノール樹脂ケーキへ洗浄液を注ぎ、洗浄液を加圧または減圧により除去する等)、(ii)洗浄液中に分離されたフェノール樹脂ケーキを分散させた後、再度分離操作を行なう方法、を挙げることができる。洗浄液としては、水を好適に用いることができる。水を用いて洗浄することによりフェノール樹脂ケーキ中の酸性成分を除去することができる。
また、洗浄操作の一部として、あるいは上記水による洗浄操作の代わりに、塩基性を呈する水溶液に接触させることにより中和反応を行なってもよい。中和反応を行なうことにより、粒状フェノール樹脂表面に付着した酸性触媒成分等を効果的に除去することができる。中和反応に用いる塩基性を呈する水溶液としては、有機または無機の弱塩基性水溶液を用いることが好ましい。強塩基性の濃厚な水溶液を用いると、フェノール樹脂粒子が変色したり、溶解する虞がある。弱塩基性水溶液としては、たとえばアンモニア水溶液を好適に用いることができる。アンモニア水溶液を用いた場合、生成する塩は水溶性であるため、水洗により当該塩を除去できる。また、微量の残留塩も加熱により昇華除去できる。
洗浄された粒状フェノール樹脂は、乾燥させることなく、含水状態のまま次工程に供されてもよいし、乾燥させてもよい。乾燥の方法としては、特に限定されないが、たとえば棚型の静置乾燥機、気流乾燥機、流動層乾燥機などを用いた方法を挙げることができる。乾燥を行なうことにより、含水率約5%以下の良好な流動性を示す非熱溶融性粒状フェノール樹脂を得ることができる。本発明の方法によれば、必要に応じて軽度の解砕を行なうことにより、高い単粒子率の粒状フェノール樹脂を得ることができるが、上記乾燥工程の際または後に、解砕機などを用いてさらに単粒子率を向上させてもよい。
以上のようにして得られる非熱溶融性粒状フェノール樹脂は、典型的には、粒径分布の変動係数が0.65以下であり、単粒子率が0.7以上である。また、平均粒径に関しても、保護コロイド剤の使用量の調整により、たとえば20μm以下の範囲で所望の値とすることができる。なお、次工程の焼成工程および/または賦活工程により、粒子の平均粒径は、幾分(典型的には3割程度)縮小するため、この点を考慮して非熱溶融性粒状フェノール樹脂の平均粒径を制御する必要がある。粒状炭素電極材の特性(平均粒径、粒径分布、単粒子率等)は、中間原料である非熱溶融性粒状フェノール樹脂の特性によって定まる。本発明の方法によれば、非熱溶融性粒状フェノール樹脂の特性を適切な範囲に制御可能であるため、電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池およびリチウムイオンキャパシタ用電極材として望ましい特性を有する粒状炭素電極材を好適に得ることができる。また、上記方法によれば、遊離フェノール含量が非常に少ない(500ppm以下)非熱溶融性粒状フェノール樹脂を製造することができる。このような非熱溶融性粒状フェノール樹脂を用いて得られる粒状炭素電極材は、シャープな細孔径分布を有する。
(4)焼成工程
非熱溶融性粒状フェノール樹脂の焼成(炭化)は、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスの非酸化性雰囲気下、500〜2500℃、好ましくは500〜1200℃、より好ましくは550〜1000℃の温度範囲で行なわれる。焼成工程の後、賦活処理を行なう場合には、焼成温度を900℃程度以下とした方が、賦活を効率的に進めることができるため好ましい。焼成を行なう装置としては、たとえば電気炉、外熱式ガス炉などの従来公知の装置を用いることができる。
焼成工程に引き続き、必要に応じて賦活処理が行なわれる。賦活処理の温度は、500〜1100℃、好ましくは800〜1000℃、さらに好ましくは850〜950℃である。賦活処理の温度が、1100℃より高い場合には、炭素電極材表面の酸化、炭素骨格の酸化による、残炭率の低下等が生じる場合がある。また、500℃より低い場合には、賦活処理による細孔形成が十分に進行しない。
賦活処理には、酸素、二酸化炭素、水蒸気もしくはこれらの2種以上の混合ガス、またはこれらのガスを含む、窒素、アルゴン、ヘリウム等の雰囲気ガス、メタン、プロパン、ブタン等の燃焼ガスなどを用いることができる。賦活処理は、賦活による炭素材の重量減少率が5〜90%となるように行なわれることが好ましい。また、メソポアと呼ばれる比較的大きな細孔を形成する場合には、ニッケル、コバルト、鉄等の金属または金属化合物を適宜添加して賦活処理を行なってもよい。さらに、水酸化カリウム、塩化亜鉛等の薬品を添加する薬品賦活を行なってもよい。
上記工程(1)〜(3)を経て得られた非熱溶融性粒状フェノール樹脂をそのまま用いて焼成および/または賦活処理を行なう場合、焼成炉内等でフェノール樹脂粒子が舞い、これが排ガスと同伴して排出されることにより、収率の低下、操業性の低下が生じる場合がある。このような場合には、焼成工程に先立ち、1次粒子を適度な強度および大きさを有する粒子に造粒してもよい。造粒においては、バインダーとして、コールタール、ピッチ、クレオソート油、液状フェノール樹脂、液状メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、澱粉、結晶性セルロース粉末、メチルセルロース等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、または2種以上組み合わせて用いてもよい。
造粒は、非熱溶融性粒状フェノール樹脂およびバインダーを、ニーダー等の混合機を用いて均一に混合した後、湿式押出造粒機、竪型造粒機、半乾式ディスクペレッター、顆粒製造機等を用いて、粒状物に成形することにより行なうことができる。成形は、通常室温で行なわれるが、ピッチ成分等が多い場合には、加熱下で実施してもよい。造粒物の形状、大きさは特に制限されないが、たとえば直径0.5〜5mm、長さ1〜10mm程度の円柱状、直径0.1〜10mm程度の球状などとすることができる。なお、混合、成形時の作業性の向上等を目的として、たとえばエチレングリコール、ポリオキシエチレン、アルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリカルボン酸アンモニウム塩等の界面活性剤、液状熱硬化性樹脂等の硬化剤、ポリビニルアルコール等の糊料、押出造粒用の可塑剤などが添加されてもよい。造粒物の強度は、焼成および/または賦活処理の間ある程度形状を保持でき、これらの処理の終了後に解砕可能な強度である。解砕は、たとえば、ボールミル、振動ミル、ローターミル、ハンマーミル、ジェットミル等の粉砕機、解砕機を用いて行なうことができる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[粒状炭素電極剤の調製]
<実施例1>
35重量%塩酸と36重量%ホルムアルデヒド水溶液とを用いて、ホルムアルデヒド濃度10重量%および塩酸濃度16重量%である混合溶液20000gを調製した後、該混合溶液にカルボキシメチルセルロースナトリウム塩の2重量%水溶液80gを添加し、攪拌して均一溶液とした。次に、該均一溶液の温度を20℃に調整した後、攪拌しながら、30℃の95重量%フェノール700gを加えた。なお、反応液全重量に対するフェノール類の濃度は3.2重量%、ホルムアルデヒドに対するフェノールの仕込みモル比は0.11、反応液中の塩酸のモル濃度は4.7mol/Lである。フェノールの添加から約120秒で反応液は白濁化した。白濁化後も攪拌速度を落として反応を継続したところ、フェノールの添加から約30分後に反応液は淡いピンク色に着色した。このとき、反応液の温度は30℃に達していた。反応液の着色後、外部加熱により反応液を80℃に加熱し、この温度で30分間保持した。ついで、この反応液を濾過し、得られたケーキを5000gの水で洗浄した後、5000gの0.5重量%アンモニア水溶液に懸濁させて、40℃で1時間中和反応を行なった。中和反応後、当該懸濁液をアスピレータを用いて吸引濾過し、5000gの水で洗浄し、50℃の乾燥機で10時間乾燥させることにより、淡黄色の粒状フェノール樹脂804gを得た。
次に、当該粒状フェノール樹脂のうちの680gを、粒状フェノール樹脂I(200g)、粒状フェノール樹脂II(200g)、粒状フェノール樹脂III(200g)および粒状フェノール樹脂IV(80g)の4つに分け、次に示す条件により、それぞれ焼成・賦活処理を行ない、炭素電極材1〜4をそれぞれ得た。
(1)炭素電極材1(収量94g):粒状フェノール樹脂Iを坩堝に入れ、該坩堝を電気炉に入れた。電気炉内を充分に窒素ガスで置換した後、引き続き窒素を流しながら、室温から100℃/時間の速度で昇温し、600℃に到達した時点で3時間熱処理した。その後、再び100℃/時間の速度で昇温し、850℃にて5時間、水蒸気を飽和した窒素気流中で賦活した。賦活程度を示す重量減少率は33%であった。
(2)炭素電極材2(収量60g):賦活処理時の温度を900℃としたこと以外は、粒状フェノール樹脂Iと同様にして粒状フェノール樹脂IIを焼成、賦活処理した。重量減少率は56%であった。
(3)炭素電極材3(収量35g):賦活処理時の温度を950℃としたこと以外は、粒状フェノール樹脂Iと同様にして粒状フェノール樹脂IIIを焼成、賦活処理した。重量減少率は75%であった。
(4)炭素電極材4(収量44g):粒状フェノール樹脂IVを坩堝に入れ、該坩堝を電気炉に入れた。電気炉内を充分に窒素ガスで置換した後、引き続き窒素を流しながら、室温から100℃/時間の速度で昇温し、950℃に到達した時点で3時間熱処理した。
<実施例2>
混合液中のホルムアルデヒド濃度を18重量%、塩酸濃度を18重量%としたこと以外は、実施例1と同様に反応を行ない、粒状フェノール樹脂を得た。反応液全重量に対するフェノール類の濃度は3.2重量%、ホルムアルデヒドに対するフェノールの仕込みモル比は0.06、反応液中の塩酸のモル濃度は5.3mol/Lである。反応液の白濁化は、フェノールの添加から約150秒後であり、器壁への樹脂の付着などの操作上の問題もなかった。次に、得られた粒状フェノール樹脂の200gを用い、実施例1の粒状フェノール樹脂Iと同様の条件にて焼成、賦活処理を行ない、賦活処理時の重量減少率が36%の炭素電極材5を90g得た。
<実施例3>
混合液中のホルムアルデヒド濃度を7重量%、塩酸濃度を20重量%としたこと以外は、実施例1と同様に反応を行ない、粒状フェノール樹脂を得た。反応液全重量に対するフェノール類の濃度は3.2重量%、ホルムアルデヒドに対するフェノールの仕込みモル比は0.15、反応液中の塩酸のモル濃度は5.9mol/Lである。反応液の白濁化は、フェノールの添加から約30秒後であり、器壁への樹脂の付着などの操作上の問題もなかった。次に、得られた粒状フェノール樹脂の200gを用い、実施例1の粒状フェノール樹脂Iと同様の条件にて焼成、賦活処理を行ない、賦活処理時の重量減少率が35%の炭素電極材6を91g得た。
<実施例4>
95重量%フェノールを520g添加したこと以外は、実施例1と同様に反応を行ない、粒状フェノール樹脂を得た。反応液全重量に対するフェノール類の濃度は2.4重量%、ホルムアルデヒドに対するフェノールの仕込みモル比は0.08、反応液中の塩酸のモル濃度は4.8mol/Lである。次に、得られた粒状フェノール樹脂の200gを用い、実施例1の粒状フェノール樹脂Iと同様の条件にて焼成、賦活処理を行ない、賦活処理時の重量減少率が35%の炭素電極材7を91g得た。
<実施例5>
95重量%フェノールを1050g添加したこと以外は、実施例1と同様に反応を行ない、粒状フェノール樹脂を得た。反応液全重量に対するフェノール類の濃度は4.7重量%、ホルムアルデヒドに対するフェノールの仕込みモル比は0.16、反応液中の塩酸のモル濃度は4.6mol/Lである。次に、得られた粒状フェノール樹脂の200gを用い、実施例1の粒状フェノール樹脂Iと同様の条件にて焼成、賦活処理を行ない、賦活処理時の重量減少率が34%の炭素電極材8を92g得た。
<実施例6>
36重量%ホルムアルデヒド水溶液1168gと、95重量%フェノール210gと、水1590gとを混合して混合溶液3468gを調製した後、該混合溶液にカルボキシメチルセルロースナトリウム塩の2重量%水溶液24gを添加し、攪拌して均一溶液とした。次に、該均一溶液の温度を20℃に調整した後、攪拌しながら、30℃の35重量%塩酸2742gを加えた。なお、反応液全重量に対するフェノール類の濃度は3.2重量%、ホルムアルデヒドに対するフェノールの仕込みモル比は0.11、反応液中の塩酸のモル濃度は4.7mol/Lであり、実施例1と同じである。塩酸の添加から約20秒で反応液は白濁化した。白濁化後も反応を継続したところ、塩酸添加から約30分後に反応液はピンク色に着色した。その後、実施例1と同様にして、加熱、分離、洗浄および乾燥を行ない、粒状フェノール樹脂を得た。次に、得られた粒状フェノール樹脂の200gを用い、実施例1の粒状フェノール樹脂Iと同様の条件にて焼成、賦活処理を行ない、賦活処理時の重量減少率が36%の炭素電極材9を90g得た。図2に、本実施例の粒状炭素電極材の光学顕微鏡写真を示す。
<実施例7>
95重量%フェノールを204g用いたこと以外は、実施例6と同様に反応、焼成および賦活処理を行ない、賦活処理時の重量減少率が34%の炭素電極材10を92g得た。なお、反応液全重量に対するフェノール類の濃度は8.8重量%、ホルムアルデヒドに対するフェノールの仕込みモル比は0.31、反応液中の塩酸のモル濃度は4.4mol/Lである。
<実施例8>
混合液の調製に36重量%ホルムアルデヒド水溶液278gと、95重量%フェノール204gと、水803gとを用いたこと以外は、実施例6と同様に反応、焼成および賦活処理を行ない、賦活処理時の重量減少率が32%の炭素電極材11を95g得た。なお、反応液全重量に対するフェノール類の濃度は8.8重量%、ホルムアルデヒドに対するフェノールの仕込みモル比は0.62、反応液中の塩酸のモル濃度は4.4mol/Lである。図3に、本実施例の粒状炭素電極材の光学顕微鏡写真を示す。
<実施例9>
36重量%ホルムアルデヒド水溶液を用いる代わりに、同じ重量濃度のパラホルムアルデヒド水溶液を用いること以外は、実施例1と同様にして反応を行ない、粒状フェノール樹脂を得た。次に、得られた粒状フェノール樹脂の200gを用い、実施例1の粒状フェノール樹脂Iと同様の条件にて焼成、賦活処理を行ない、賦活処理時の重量減少率が36%の炭素電極材12を90g得た。反応の経過は、実施例1とほとんど同じであった。
<実施例10>
混合溶液中の塩酸濃度を8重量%としたこと、および95重量%フェノール添加後、外部加熱により反応液を50℃に昇温し、反応液の着色後80℃に加熱したこと以外は、実施例1と同様にして反応を行ない、粒状フェノール樹脂を得た。反応液全重量に対するフェノール類の濃度は3.2重量%、ホルムアルデヒドに対するフェノールの仕込みモル比は0.11、反応液中の塩酸のモル濃度は2.3mol/Lである。次に、得られた粒状フェノール樹脂の200gを用い、実施例1の粒状フェノール樹脂Iと同様の条件にて焼成、賦活処理を行ない、賦活処理時の重量減少率が35%の炭素電極材13を91g得た。
<比較例1>
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩の2重量%水溶液80gの代わりに、水を80g用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行ない、粒状フェノール樹脂を得た。反応の経過は、フェノール添加後約95秒後に反応液が白濁したこと以外は、実施例1と同様であった。次に、得られた粒状フェノール樹脂の70gを用い、実施例1の粒状フェノール樹脂Iと同様の条件にて焼成、賦活処理を行ない、賦活処理時の重量減少率が30%の炭素電極材14を35g得た。図4に、本比較例で得られた粒状フェノール樹脂の光学顕微鏡写真を示す。
<比較例2>
混合溶液20000g中の塩酸濃度を5重量%としたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行ない、粒状フェノール樹脂を得た。反応液の白濁は見られず、粒状フェノール樹脂が得られなかったため、炭素電極材を調製することはできなかった。なお、反応液中の塩酸のモル濃度は1.5mol/Lである。
<比較例3>
混合液の調製に36重量%ホルムアルデヒド水溶液140gと、95重量%フェノール204gと、水940gとを用いたこと以外は、実施例6と同様に反応、焼成および賦活処理を行ない、賦活処理時の重量減少率が30%の炭素電極材15を88g得た。反応液全重量に対するフェノール類の濃度は8.8重量%、ホルムアルデヒドに対するフェノールの仕込みモル比は1.23、反応液中の塩酸のモル濃度は4.4mol/Lである。
<比較例4>
乾燥したヤシガラを坩堝に入れ、該坩堝を電気炉に入れた。電気炉内を充分に窒素ガスで置換した後、引き続き窒素を流しながら、室温から100℃/時間の速度で昇温し、600℃に到達した時点で3時間熱処理して焼成を行なった。その後、引き続き100℃/時間の速度で昇温し850℃で5時間、水蒸気を飽和した窒素気流中で賦活した。これをダイナミックミル〔MYD〕(三井鉱山株式会社製)にて、平均粒径が9μmとなるまで粉砕し粒状炭素電極材16とした。
<比較例5>
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩の2重量%水溶液80gの代わりに、水を80g用いたこと以外は、実施例1と同様にして反応を行ない、粒状フェノール樹脂を得た。反応の経過は、フェノール添加後約95秒後に反応液が白濁したこと以外は、実施例1と同様であった。次に、得られた粒状フェノール樹脂の70gを用い、実施例1の粒状フェノール樹脂IVと同様の条件にて焼成を行ない、炭素電極材17を36g得た。
上記粒状炭素電極材1〜17、および粒状炭素電極材1〜15および17の中間原料である粒状フェノール樹脂について、以下に掲げる特性を測定した。測定方法および測定条件は、次のとおりである。粒状炭素電極材1〜17についての測定結果を表1に、粒状フェノール樹脂についての測定結果を、粒状フェノール樹脂調製時の反応条件とともに、表2に示す。なお、表1および表2における比較例3の粒状炭素電極材15および粒状フェノール樹脂において、単粒子率および真球度が「−」となっているのは、不定形の粒子が多く存在しており、測定不可能であったことを意味する。
(1)平均粒径:炭素電極材または粒状フェノール樹脂を用いて水分散液を調製し、レーザー回折式粒度測定機(日機装(株)製 Microtrac X100)により計測された頻度分布において累積頻度50%値である。
(2)単粒子率:水滴中に炭素電極材または粒状フェノール樹脂を分散して光学顕微鏡により観察を行ない、1次粒子を約300個含む、無作為に選択した視野において、1次粒子の総個数および単粒子の個数を数えたときの当該比、すなわち、単粒子個数/1次粒子総個数である。
(3)粒径分布の変動係数:炭素電極材または粒状フェノール樹脂を用いて水分散液を調製し、レーザー回折式粒度測定機(日機装(株)製 Microtrac X100)により計測された頻度分布から下記式[1]により算出した。
粒径分布の変動係数=(d84%−d16%)/(2×平均粒径) [1]
ここで、上記式[1]において、d84%、d16%はそれぞれ、得られた頻度分布において累積頻度84%、16%を示す粒径である。変動係数が0.65以下である場合に狭い粒度分布を有すると判定した。
(4)真球度:光学顕微鏡による観察において約300個の1次粒子を含む視野を無作為に決定し、アスペクト比(すなわち、短径/長径の比)が最も低い1次粒子を10個選択して、これら10個の1次粒子各々について、その投影断面におけるアスペクト比を測定したときの、これら10のアスペクト比の平均値である。
(5)比表面積:炭素電極材約0.1gを正確に秤量した後、高精度全自動ガス吸着装置BELSORP−miniII(日本ベル株式会社製)の専用セルに入れ窒素吸着によるB.E.T法により求めた。
(6)非熱溶融性:粒状フェノール樹脂試料約5gを、2枚の0.2mm厚ステンレス板間に挿入し、あらかじめ100℃に加温したプレス機で、50kgの総荷重で2分間プレスしたときに、溶融および/または融着により、粒状フェノール樹脂が平板を形成したり、フェノール樹脂粒子が変形したり、またはフェノール樹脂粒子同士が互いに接着しない場合を「非熱溶融性」を有すると判定した。
(7)煮沸メタノール溶解度:粒状フェノール樹脂試料約10gを精秤し、実質的に無水のメタノール約500mL中で30分間還流下に加熱した後、No.3のガラスフィルターで濾過し、さらにガラスフィルター上の残渣を約100mLの無水メタノールで洗浄する。ついで、洗浄後のガラスフィルター上の残渣を40℃で5時間乾燥した後、当該残渣を精秤する。得られた乾燥後の残渣重量と粒状フェノール樹脂試料重量から、以下の式に基づき、煮沸メタノール溶解度を算出する。
煮沸メタノール溶解度(重量%)=(粒状フェノール樹脂試料重量と乾燥後の残渣重量との差)/(粒状フェノール樹脂試料重量)×100
(8)遊離フェノール含有量:次のような試験により算出された値と定義される。すなわち、粒状フェノール樹脂試料約10gを精秤し、190mLのメタノール中で還流下30分間抽出し、ガラスフィルターで濾過する。濾液中のフェノール類濃度を液体クロマトグラフィーにより定量して、該濾液中のフェノール類重量を算出する。該フェノール類重量と試料重量との比、すなわち、フェノール類重量/粒状フェノール樹脂試料重量を「遊離フェノール含有量」とする。
<実施例11>
保護コロイド剤であるカルボキシメチルセルロースナトリウム塩のフェノールに対する量を種々変化させたこと以外は、実施例1と同様にして粒状フェノール樹脂の調製および焼成を行なった後、850℃で5時間賦活処理を行ない、粒状炭素電極材を得、粒状炭素電極材の平均粒径を上記方法に従って測定した。図5は、保護コロイド剤の濃度(反応液全重量に対する保護コロイド剤の重量(ppm))と粒状炭素電極材の平均粒径との関係を示すグラフである。なお、保護コロイド剤濃度の測定範囲13〜約103ppmは、保護コロイド剤使用量/フェノール使用量比(重量%)に換算すると、0.04〜0.32重量%の範囲に相当する。図5に示されるように、保護コロイド剤の使用量を調整することによって得られる粒状炭素電極材の平均粒径を制御できることがわかった。すなわち、保護コロイド剤の使用量を増やすことによって、平均粒径を小さくできることがわかった。
<実施例12>
以下に示す手順に従い、図6に示される構造の簡易型電気二重層キャパシタを作製した。図6は、試作した電気二重層キャパシタを示す概略断面図である。まず、集電体602として厚さ1mm、外径18mmの円盤状の白金板を用い、この集電体602に、スペーサー604としての厚さ0.5mm、内径3mm、外径18mmの円盤状のシリコンゴムを圧着し、集電体602とスペーサー604とで形成された深さ0.5mm、内径3mmの孔内に、別途調製したスラリー状の炭素電極材601を充填し、これを分極性電極とした。このような分極性電極を2個作製した。次に、その2個の分極性電極間に厚さ25μm、外径18mmの円盤状のポリプロピレン製セパレータ603を挟んで、この2個の分極性電極を対向させた。次に、端子取り出しのためのステンレス製の端子板605を両側から集電体602に圧着した。さらに固定のためステンレス製の端子板605の上側から10kgの加重をかけることにより、電気二重層キャパシタを作製した。
上記スラリー状の炭素電極材601は次のようにして調製した。容器に、表3に示される重量比率で、実施例10の粒状炭素電極材(炭素電極材13、平均粒径9μm)と実施例6の粒状炭素電極材(炭素電極材9、平均粒径1μm)とを加えた後、電解液である30重量%硫酸水溶液を一定量加え、脱気を行なった。ついで、該混合液に、攪拌しながら、30重量%硫酸水溶液を徐々に添加し、容器内の混合物が粘土状からスラリー状に変化したところで添加を止め、スラリー状炭素電極材を得た。このような手順で表3に示される合計7種類のスラリー状炭素電極材(スラリー1〜7)を調製した。炭素電極材1gあたりに使用した電解液量(g)を「電解液/電極材比率」と称し、表3に示している。
次に、スラリー状の炭素電極材601の種類が異なる7種の電気二重層キャパシタのそれぞれについて、炭素電極材単位重量あたりの静電容量(F/g)を測定した。炭素電極材単位重量あたりの静電容量(F/g)は、電気二重層キャパシタの両極間に0.9Vの電圧を印加し、6時間定電圧充電を行なった後、100μAで定電流放電させ、電圧が0.54Vから0.45Vに降下するのに要した時間から電気二重層キャパシタの静電容量(F)を求め、この値と、一組(2個)の分極性電極の重量から算出した。結果を表3に示す。
また、炭素電極材単位重量あたりの静電容量(F/g)、用いた炭素電極材の重量および添加した電解液の重量から、下記式により、単位体積あたりの静電容量係数を求めた。結果を表3に示す。
単位体積あたりの静電容量係数=
(炭素電極材単位重量あたりの静電容量(F/g))×(炭素電極材重量)/(炭素電極材重量+電解液重量)
平均粒径、粒度分布および単粒子率を厳密に制御して作製した本発明の炭素電極材9および13を混合して使用することにより、単独で使用する場合と比較して、より少ない電解液でスラリー調整が可能なため、電気二重層キャパシタ内により多くの炭素電極材を充填でき、したがって、単位体積あたりの静電容量係数をより大きくできることがわかる。特に、炭素電極材9および13を15対85(重量比)で混合した場合(スラリー4)に、単位体積あたりの静電容量係数が最も高くなることがわかった。
なお、比較例4の粒状炭素電極材(炭素電極材16、平均粒径9μm)の「電解液/電極材比率」を測定したところ、1.49であり、実施例10の粒状炭素電極材(炭素電極材13、平均粒径9μm)の1.37(表3のスラリー7参照)と比較して高い値を示した。これは、比較例4の粒状炭素電極材は、粒径分布が広いとともに、真球度が低いため、スラリー中の炭素電極材の間隙が大きくなり、スラリー化のために、より多量の電解液を要するためであると推測できる。
<実施例13>
実施例1の粒状炭素電極材(炭素電極材1、平均粒径4μm)、比較例1の粒状炭素電極材(炭素電極材14、平均粒径15μm)を用い、それぞれについて、実施例12と同様の手順で電気二重層キャパシタを作製し、静電容量を測定した。この際、放電電流量を0.1mAから1.0mAまで変化させ、それぞれの放電電流における静電容量を測定した。結果を表4に示す。
比較例1の粒状炭素電極材を用いた電気二重層キャパシタは、放電電流の増加とともに、静電容量が大きく低下したが、実施例1の粒状炭素電極材を用いた電気二重層キャパシタでは、静電容量の低下が少ないことがわかる。これは、炭素電極材1の場合は、炭素電極材14に比して電極材の平均粒径が小さいことから、1)炭素電極材と電解質との界面における接触割合が増加していることにより、充放電による電解質イオンの炭素電極材に対する吸脱着がスムーズに進行すること、および、2)炭素電極材内部におけるイオンの拡散距離が短くなるため、充放電による電解質イオンの炭素電極材に対する吸脱着がスムーズに進行すること、によるものと考えられる、すなわち、炭素電極材の平均粒径が小さい場合には、放電電流を増加させても電解質イオンの脱着が迅速に応答するが、平均粒径が大きい場合には、電解質イオンの脱着が迅速に応答できず、放電電流の増加に伴い静電容量が低下する。
<実施例14>
本発明の粒状炭素電極材のリチウムイオン電池またはリチウムイオンキャパシタ用の負極材としての評価を次のようにして行なった。実施例1の粒状炭素電極材(炭素電極材4、平均粒径3μm)100重量部と、ポリフッ化ビニリデン粉末10重量部をN−メチルピロリドン80重量部に溶解した溶液とを充分に混合することによりスラリーとし、このスラリーを銅箔(20μm厚)に塗布し、乾燥、プレスして負極を得た。この負極を1.5cm×2.0cmサイズに切り出し、評価用負極とした。評価用負極と、対極として1.5cm×2.0cmサイズ、厚み200μmの金属リチウムと、セパレータとしての厚さ50μmのポリエチレン製不織布とを用い、評価用セルを組んだ。参照極として金属リチウムを用いた。電解液としては、プロピレンカーボネートに、1mol/Lの濃度にLiPF6を溶解した溶液を用いた。比較のため、比較例5の粒状炭素電極材(炭素電極材17、平均粒径15μm)を用い、同様の評価用セルを作製した。
上記各評価用セルについて充放電試験を行なった。初回充放電は、電位規制のもと、充電、放電ともに0.2mA/cm2で行なった。電位範囲はリチウム基準で0Vから2Vとした。次に、2回目〜7回目の充放電を、0.2mA/cm2で0Vから0.5Vの電位範囲で行ない、さらに8回目〜15回目の充放電を、1.0mA/cm2で0Vから0.5Vの電位範囲で行なった。
電流密度0.2mA/cm2で評価した第7回目における放電容量と1.0mA/cm2で評価した第15回目における放電容量の比率(容量保持率、%)は、実施例1の粒状炭素電極材4について92%、比較例5の粒状炭素電極材17について69%であった。この結果から、本発明の粒状炭素電極材を用いることよって、電流密度を高くしても放電容量の低下を抑制できることがわかった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の非熱溶融性粒状フェノール樹脂の好ましい一例のSEM写真である。 実施例6で得られた粒状炭素電極材の光学顕微鏡写真である。 実施例8で得られた粒状炭素電極材の光学顕微鏡写真である。 比較例1で得られた粒状炭素電極材の光学顕微鏡写真である。 保護コロイド剤の濃度(反応液全重量に対する保護コロイド剤の重量(ppm))と粒状炭素電極材の平均粒径との関係を示すグラフである。 実施例12において試作した電気二重層キャパシタを示す概略断面図である。

Claims (9)

  1. 平均粒径が10μm以下、単粒子率が0.7以上であり、かつ、下記式[1]で示される粒径分布の変動係数が、0.65以下であることを特徴とする粒状炭素電極材。
    粒径分布の変動係数=(d84%−d16%)/(2×平均粒径) [1]
    ここで、d84%、d16%はそれぞれ、レーザー回折・散乱法によって得られた頻度分布において累積頻度84%、16%を示す粒径である。
  2. 真球度が0.5以上であることを特徴とする、請求項1に記載の粒状炭素電極材。
  3. 請求項1または2に記載の粒状炭素電極材であって、平均粒径が異なる2種以上の粒状炭素電極材を混合してなる粒状炭素電極材混合物。
  4. 請求項1または2に記載の粒状炭素電極材を製造するための方法であって、
    (1)反応液中におけるモル濃度が2.0mol/L以上である酸性触媒と、保護コロイド剤との存在下、水性媒体中でアルデヒド類とフェノール類とを反応させることにより粒状フェノール樹脂を形成する、粒状フェノール樹脂形成工程と、
    (2)前記粒状フェノール樹脂を含有する反応液を加熱して非熱溶融性の粒状フェノール樹脂を形成する、加熱工程と、
    (3)前記非熱溶融性の粒状フェノール樹脂を反応液から分離する、分離工程と、
    (4)前記非熱溶融性の粒状フェノール樹脂を焼成する焼成工程と、を含む粒状炭素電極材の製造方法。
  5. 前記酸性触媒は塩酸であり、前記アルデヒド類は、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドまたはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項4に記載の粒状炭素電極材の製造方法。
  6. 前記アルデヒド類に対する前記フェノール類の仕込みモル比は、0.9以下であることを特徴とする、請求項4または5に記載の粒状炭素電極材の製造方法。
  7. 前記保護コロイド剤は、水溶性多糖類誘導体であることを特徴とする、請求項4〜6のいずれかに記載の粒状炭素電極材の製造方法。
  8. 前記非熱溶融性粒状フェノール樹脂の遊離フェノール含有量は、500ppm以下であることを特徴とする、請求項4〜7のいずれかに記載の粒状炭素電極材の製造方法。
  9. 請求項1〜3のいずれかに記載の粒状炭素電極材または粒状炭素電極材混合物を用いた電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池またはリチウムイオンキャパシタ。
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