JP6828551B2 - 非水系二次電池用負極材、非水系二次電池用負極及び非水系二次電池 - Google Patents

非水系二次電池用負極材、非水系二次電池用負極及び非水系二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、低温出力特性と保存特性に優れた非水系二次電池用負極材に関する。また、本発明は、この非水系二次電池用負極材を含む非水系二次電池用負極及び非水系二次電池に関する。
近年、電子機器の小型化に伴い、高容量の二次電池に対する需要が高まってきている。特に、ニッケル・カドミウム電池や、ニッケル・水素電池に比べ、よりエネルギー密度が高く、急速充放電特性に優れた非水系二次電池、とりわけリチウムイオン二次電池が注目されている。特に、リチウムイオンを吸蔵・放出できる正極及び負極、並びにLiPFやLiBF等のリチウム塩を溶解させた非水電解液からなる非水系リチウム二次電池が開発され、実用化されている。
この非水系リチウム二次電池の負極材としては種々のものが提案されているが、高容量であること、放電電位の平坦性に優れていること等の理由から、天然黒鉛やコークス等の黒鉛化で得られる人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズピッチ、黒鉛化炭素繊維等の黒鉛質の炭素材が用いられている。また、一部の電解液に対して比較的安定しているなどの理由で非晶質の炭素材も用いられている。更には、黒鉛粒子の表面に非晶質炭素を被覆あるいは付着させ、黒鉛による高容量かつ不可逆容量が小さいという特性と、非晶質炭素による電解液との安定性に優れるという特性との2つの特性を併せもたせた炭素材も用いられている。
このように、従来、負極材として種々の黒鉛系の炭素材が用いられているが、更に、黒鉛そのものの加工プロセスを改良したものとして、特許文献1には、炭素材の積算細孔容積が特定の範囲であり、かつ細孔径と体積基準平均粒子径の比(PD/d50(%))が特定の範囲であるものが低温出力特性に優れることが開示されている。
国際公開第16/006617
本発明者等の検討によれば、前記特許文献1に記載の非水系二次電池用負極材では、低温出力特性や高温保存時に悪影響を与える特定の径の微細孔に由来する表面積が高いため、低温出力特性や高温保存特性が不十分であるという問題があることを見出した。即ち、本発明の課題は、高容量であり、低温出力特性と高温保存特性を高い水準で両立する非水系二次電池用負極材、並びにこれを含む非水系二次電池用負極及び非水系二次電池を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、黒鉛を含み、窒素吸着法から求めた微細孔分布が特定の値を有する非水系二次電池用負極材により上記課題を解決し得ることを見出した。即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1]表面の少なくとも一部に非晶質炭素を有する黒鉛を含み、窒素吸着法から求められる細孔分布において、1nmから4nmの細孔に対応する表面積(SA)と4nmから
150nmの細孔に対応する表面積(SA)について下記条件(1)及び(2)を満たす非水系二次電池用負極材。
条件(1):SAが1.80m/g以下である。
条件(2):SA/SAが1.30以上である。
[2]前記細孔分布について、下記条件(3)を満たす、[1]に記載の非水系二次電池用負極材。
条件(3):SAが1.50m/g以上である。
[3]下記式で表されるラマンR値が0.20以上である、[1]又は[2」に記載の非水系二次電池用負極材。
[ラマンR値]=[ラマンスペクトル分析における1360cm−1付近のピークPの強度I]/[1580cm−1付近のピークPの強度I
[4]X線光電子分光法(XPS)より求められる表面官能基量O/C値が3mol%以下である、[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の非水系二次電池用炭素材。
[5]示差熱天秤より求められる200℃から600℃までの間の熱重量減少率が1%以下である、[1]乃至[4]のいずれか1つに記載の非水系二次電池用炭素材。
[6]フロー式粒子像分析より求められる円形度が0.88以上である、[1]乃至[5]のいずれか1つに記載の非水系二次電池用負極材。
[7]前記黒鉛として球形化黒鉛を含む、[1]乃至[6]のいずれか1つに記載の非水系二次電池用負極材。
[8]前記黒鉛に対する前記非晶質炭素の質量比率(〔[非晶質炭素の質量]/[黒鉛の質量]〕×100)が、0.1%以上30%以下である、[1]乃至[7]のいずれか1つに記載の非水系二次電池用負極材。
[9]集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備え、該活物質層が[1]乃至[8]のいずれか1つに記載の負極材を含有する、非水系二次電池用負極。
[10]正極及び負極、並びに電解質を備える非水系二次電池であって、該負極が、[9]に記載の非水系二次電池用負極である、非水系二次電池。
本発明によれば、高容量で、低温入出力特性と高温保存特性をより高い水準で両立できる非水系二次電池用負極材、並びにこれを含む非水系二次電池用負極及び非水系二次電池が提供される。
実施例及び比較例の結果を示すグラフである。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、本発明において、「〜」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
〔非水系二次電池用負極材〕
本発明の非水系二次電池用負極材(以下、単に「本発明の負極材」と称することがある。)は、表面の少なくとも一部に非晶質炭素を有する黒鉛を含み、窒素吸着法から求められる細孔分布において、1nmから4nmの細孔に対応する表面積(SA)と4nmから150nmの細孔に対応する表面積(SA)について下記条件(1)及び(2)を満たすものである。また、本発明の負極材は、この細孔分布について、特に下記条件(3)を満たすことが好ましい。
条件(1):SAが1.80m/g以下である。
条件(2):SA/SAが1.30以上である。
条件(3):SAが1.50m/g以上である。
本発明の非水系二次電池用負極材は、高容量で、低温入出力特性と高温保存特性をより高い水準で両立できるという効果を奏する。本発明の負極材がこのような効果を奏する理由は定かではないが、前記特許文献1に記載されている負極材では、1nmから4nmの細孔は電極化の際にバインダーによって埋まり、これら細孔内の負極材表面におけるLiイオンの挿入・脱離が阻害されるため低温入出力特性が悪化し、さらに、高温保存時には電解液がバインダーに膨潤してこれら細孔内の表面に接触して分解されるため保存特性が悪化していたものと考えられる。これに対し、本発明の負極材は、結晶構造が発達した黒鉛に比べてLiイオンの挿入・脱離サイトが多く、Liイオンの挿入・脱離反応性に優れる非晶質炭素を黒鉛表面の少なくとも一部に有することにより低温入出力特性が向上すると推定される。特に、1nmから4nmの細孔に対応する表面積(SA)を低減すると、高温保存時においても細孔内への電解液の侵入を防ぐため分解副反応が起こらず、低温入出力特性や高温保存特特性が向上するものと推定され、一方で、4nmから150nmの細孔はバインダーで埋まりにくく、これらの細孔内の表面ではLiイオンの挿入・脱離が阻害されにくくスムーズに進行するため、4nmから150nmの細孔に対応する表面積(SA)を増やすことにより低温入出力特性が向上するものと推定される。これらの結果、低温入出力特性と保存特性の両立が達成されるものと推定される。
[黒鉛]
本発明の負極材は表面の少なくとも一部に非晶質炭素を有する黒鉛を含む。リチウムイオン二次電池に用いる場合、この黒鉛としては、表面の少なくとも一部に非晶質炭素を有するものであれば特に制限されないが、リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能なものを用いることが好ましい。黒鉛として、具体的には、鱗片状、塊状又は板状の天然黒鉛や石油コークス、石炭ピッチコークス、石炭ニードルコークス及びメソフェーズピッチ等を2500℃以上に加熱して製造する人造黒鉛等を挙げることができる。
また、これらの黒鉛に力学的エネルギー処理を与えることが、黒鉛が球形化されるという観点から好ましく、また、黒鉛のLiイオンの挿入・脱離サイトとして働くエッジ量が増えることにより低温入出力特性が向上するため好ましい。力学的エネルギー処理は、例えば、ケーシング内部に多数のブレードを設置したローターを有する装置を用い、そのローターを高速回転することにより、その内部に導入した天然黒鉛又は人造黒鉛に対し、衝撃圧縮、摩擦及びせん断力等の機械的作用を繰り返し与えることで製造することができる。
本発明の負極材において、黒鉛として球形化黒鉛を含むことが、充填性が上がり活物質層を高密度化できることにより高容量化できるため好ましく、また、電極体にしたときの粒子間空隙の形状が整うため、電解液の移動がスムーズになり急速充放電特性が向上するため好ましい。このような球形化黒鉛は、各種の黒鉛に対して球形化処理を行うことにより得ることができる。この球形化処理の方法としては、例えば、せん断力や圧縮力を与えることによって機械的に球形に近づける方法、複数の微粒子をバインダー又は粒子自身の
有する付着力によって造粒する機械的・物理的処理方法等が挙げられる。
更に、本発明の負極材は、黒鉛として、前記の球形化黒鉛に対し、石油系や石炭系のタールやピッチ、ポリビニルアルコール、ポリアクリルニトリル、フェノール樹脂、セルロース等の樹脂を必要により溶媒等を用いて混合し、非酸化性雰囲気で500℃〜2000℃、好ましくは600℃〜1800℃、より好ましくは700〜1600℃、更に好ましくは800〜1500℃で焼成することにより、表面の少なくとも一部に非晶質炭素を有する黒鉛を得ることができる。本発明の負極材は、このような表面の少なくとも一部に非晶質炭素を有する黒鉛を用いることにより、低温入出力特性を更に向上させている。
特に、本発明の負極材において、黒鉛と非晶質炭素との質量比は(〔[非晶質炭素の質量]/[黒鉛の質量]〕×100)は、好ましくは0.1%以上、より好ましくは1%以上、更に好ましくは3%以上、特に好ましくは5%以上、最も好ましいは6%以上である。一方、好ましくは30%以下、より好ましくは20%以下、更に好ましくは15%以下である。この質量比が上記範囲であると、高容量であり、かつ、低温出力特性や高温保存時に影響を与えるSAを低減することができる傾向にあるため、低温入出力特性や高温保存特性に優れる点で好ましい。なお、上記の質量比は焼成収率から求めることができる。
[物性]
本発明の負極材は以下の特定の細孔分布を有する。また、本発明の負極材は、以下の各物性を満足していることが好ましい。
<細孔分布(窒素吸着法)>
本発明の負極材は、窒素吸着法から求められる微細孔分布が次のような特定の値のものである。
まず、本発明の負極材において、1nmから4nmの細孔に対応する表面積(SA)は、その値が大き過ぎると低温出力特性や高温保存時に悪影響を与えるため、1.80m/g以下である。この観点からSAは、好ましくは1.60m/g以下であり、より好ましくは1.40m/g以下、更に好ましくは1.30m/g以下、特に好ましくは1.20m/g以下である。一方、SAの下限については特に制限されないが、通常、0.10m/g以上であり、好ましくは0.30m/g以上である。
また、本発明の負極材において、4nmから150nmの細孔に対応する表面積(SA)は、低温入出力特性向上のために1.50m/g以上であることが好ましい。この観点からSAは、好ましくは2.00m/g以上であり、より好ましくは2.40m/g以上、更に好ましくは3.00m/g以上、特に好ましくは3.50m/g以上、最も好ましくは4.00m/g以上である。一方、SAの上限については特に制限されないが、通常、10m/g以下であり、好ましくは8m/g以下、より好ましくは7m/g以下である。
上記のSAとSAとの比(SA/SA)は低温出力特性と高温保存特性をより高い水準で両立できるため1.30以上である。この観点から、SA/SAは、好ましくは1.80以上であり、より好ましくは2.20以上であり、更に好ましくは2.50以上であり、特に好ましくは3.00以上である。一方、(SA/SA)の上限については特に制限されないが、通常10以下であり、好ましくは8以下であり、より好ましくは6以下である。
このような細孔分布は窒素吸着法により求められるが、具体的には100℃、3時間減
圧加熱処理を行ったのち、カンタクローム社製オートソーブ3Bにて、液体窒素温度下で吸着等温線(吸着ガス:窒素)を測定し、得られた吸着等温線を用いて、BJH法解析により各細孔径におけるメソ孔容積、及びメソ孔表面積を求めることができる。BJH法面積解析によるメソ孔表面積はメソ孔を円筒形と仮定し、その側面積を積算することにより算出することができる。
<ラマンR値>
本発明におけるラマンR値は、本発明の負極材についてラマン分光法により得られるラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピークPの強度Iと、1360cm−1付近のピークPの強度Iとを測定したときの強度比(I/I)として定義する。なお、「1580cm−1付近」とは1580〜1620cm−1の範囲を、「1360cm−1付近」とは1350〜1370cm−1の範囲を指す。
本発明の負極材のラマンR値は、好ましくは0.20以上、より好ましくは0.25以上、更に好ましくは0.30以上、特に好ましくは、0.35以上である。また、通常1.00以下、好ましくは0.70以下、より好ましくは0.60以下、更に好ましくは0.50以下である。このラマンR値が小さすぎることは負極材表面の結晶性が高すぎることを示しており、Liイオンが挿入・脱離しにくくなることにより低温入出力特性が低下する場合がある。一方、ラマンR値が大き過ぎると非晶質炭素の持つ不可逆容量の影響の増大、電解液との副反応の増大により、リチウムイオン二次電池の初期充放電効率の低下やガス発生量の増大を招き、電池容量が低下する傾向がある。
ラマンスペクトルはラマン分光器により測定される。具体的には、測定対象粒子を測定セル内へ自然落下させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、測定セルをこのレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行う。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定 :バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
<表面官能基量O/C値(mol%)>
本発明における表面官能基量O/C値(mol%)は、X線光電子分光法測定(XPS)としてX線光電子分光器(例えば、アルバック・ファイ社製ESCA)を用いて測定することができる。具体的には、測定対象(ここでは負極材)を表面が平坦になるように試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(280〜300eV)とO1s(525〜545eV)のスペクトルを測定する。得られたC1sのピークトップを284.3eVとして帯電補正し、C1sとO1sのスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CとOの表面原子濃度をそれぞれ算出する。得られたそのOとCの原子濃度比O/C(O原子濃度/C原子濃度)×100を負極材の表面官能基量O/C値と定義する。
XPSより求められるO/C値は、好ましくは0.01mol%以上、より好ましくは0.1mol%以上、更に好ましくは0.2mol%以上、特に好ましくは0.3mol%以上、好ましくは3mol%以下、より好ましくは2.5mol%以下、更に好ましくは2mol%以下、特に好ましくは1.5mol%以下である。この表面官能基量O/C値が上記範囲内であれば、負極表面におけるLiイオンと電解液溶媒の脱溶媒和反応性が促進され急速充放電特性が良好となり、電解液との副反応が抑制され充放電効率が良好となる傾向がある。
<熱重量減少率(%)>
本発明の負極材の熱重量減少率は、好ましくは1%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.3%以下、更に好ましくは0.2%以下、特に好ましくは0.1%以下である。熱重量減少率が上記範囲を超えると、微細孔を埋める被覆材の高温安定性が低いことを示しており、高温保存時に黒鉛微細孔へ電解液が膨潤するため、高温保存特性が低下する傾向がある。
なお、本発明における熱重量減少率は、示差熱天秤(リガク社製、TG8120)を用いて求めることができる。具体的には、白金パンに負極材粉末を5mg秤量して示差熱天秤に導入し、200mL/分の窒素気流中、昇温速度10℃/分で室温から600℃まで昇温し、熱重量減少量を測定する。そして、上記測定における200℃から600℃までの間の熱重量減少率を算出した値を、本発明における熱重量減少率(%)と定義する。
<円形度>
本発明の負極材は、フロー式粒子像分析より求められる円形度が、0.88以上であることが好ましく、0.90以上であることがより好ましく、0.92以上であることが更に好ましい。このように円形度が高い負極材であると、Liイオン拡散の屈曲度が下がって粒子間空隙中の電解液移動がスムーズになり急速充放電特性を高めることができるために好ましい。一方、この円形度は、通常1未満、好ましくは0.98以下、より好ましくは0.96以下である。円形度が高過ぎると、真球状となるため、負極材同士の接触面積が減少してサイクル特性が悪化するおそれがある。
なお、円形度はフロー式粒子像分析装置(東亜医療電子社製FPIA−2000)を使用し、円相当径による粒径分布の測定を行い、平均円形度を算出することにより求められる。円形度は以下の式で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
[円形度]=[粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長]/[粒子投影形状の実際の周囲長]
この円形度の測定においては、分散媒としてイオン交換水を使用し、界面活性剤としてポリオキシエチレン(20)モノラウレートを使用する。円相当径とは、撮影した粒子像と同じ投影面積を持つ円(相当円)の直径であり、円形度とは、相当円の周囲長を分子とし、撮影された粒子投影像の周囲長を分母とした比率である。測定した相当径が10〜40μmの範囲の粒子の円形度を平均し、円形度とする。
<体積基準平均粒子径(平均粒子径d50)>
本発明の負極材は、体積基準平均粒子径(「平均粒子径d50」とも記載する。)は好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは4μm以上、特に好ましくは5μm以上である。また、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは25μm以下、最も好ましくは20μm以下である。平均粒子径d50が小さすぎると、不可逆容量の増加、初期電池容量の損失を招く傾向があり、一方、平均粒子径d50が大きすぎるとスラリー塗布における筋引き等の工程不都合の発生、急速充放電特性の低下、低温入出力特性の低下を招く場合がある。
平均粒子径d50は、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例として、ツィーン20(登録商標)が挙げられる)の0.2質量%水溶液10mLに、複合粒子0.01gを懸濁させ、これを測定サンプルとして市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えばHORIBA製LA−920)に導入し、測定サンプルに28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、前記測定装置において体積基準のメ
ジアン径として測定したものであると定義する。
<タップ密度>
本発明の負極材のタップ密度は、タップ密度は好ましくは0.8g/cm以上、より好ましくは0.85g/cm以上、更に好ましくは0.88g/cm以上、特に好ましくは0.9g/cm以上、最も好ましくは0.93g/cm以上、好ましくは1.3g/cm以下であり、より好ましくは1.2g/cm以下であり、更に好ましくは1.1g/cm以下である。負極材のタップ密度は、上記下限値以上であると極板化作製時のスジ引き等の工程性が良好になり、負極材層の充填性が上がるため圧延性が良好で高密度の負極シートが形成し易くなり高密度化が可能になり、電極体にしたときの粒子間空隙の形状が整うため電解液の移動がスムーズになり急速充放電特性が向上するといった観点から好ましく、また、上記上限値以下であると粒子の表面や内部に適度な空間を有するため低温入出力特性や急速充放電特性に優れる観点から好ましい。
なお、このタップ密度は、粉体密度測定器タップデンサーKYT−3000(株式会社セイシン企業製)を用いて測定される。具体的には、20ccのタップセルに試料を落下させ、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行い、そのときの密度をタップ密度とする。
<比表面積(BET−SA)>
本発明の負極材は、BET法による比表面積(BET−SA)が、通常1m/g以上、好ましくは1.5m/g以上、より好ましくは2m/g以上、更に好ましくは2.5m/g以上であり、一方、通常30m/g以下、好ましくは20m/g以下、より好ましくは17m/g以下、更に好ましくは15m/g以下である。BET−SAがこの範囲を上記下限値以上であると、Liイオンが出入りする部位が確保され、リチウムイオン二次電池の急速充放電特性や低温入出力特性が良好となる傾向にあり、一方、比表面積がこの範囲を上回ると上記上限値以下であると活物質の電解液に対する活性が過剰となり過ぎず、電解液との副反応が抑えられて電池の初期充放電効率の低下やガス発生量の増大を防ぎ、電池容量が向上する傾向がある。
なお、本発明の負極材において、BET−SAはマウンテック社製マクソーブを用いて測定することができる。具体的には、試料に対して窒素流通下100℃、3時間の予備減圧乾燥を行なった後、液体窒素温度まで冷却し、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定することができる。
[製造方法]
本発明の非水系二次電池用負極材の製造方法は、前記条件(1)及び(2)を満たすものとなるように製造できる方法であれば特に制限はないが、具体例としては、d50が80μm以下となるように粒度調整とし1nmから150nmの微細孔量を調整した鱗片状天然黒鉛を、非晶質炭素となる有機化合物を含む造粒材の存在下で1nmから4nmの微細孔を埋めながら、球形化(造粒)処理する際に生成する微粉を、球形化処理した黒鉛(以降、球形化黒鉛と称すことがある。)となる母材に付着、及び/又は球形化黒鉛の粒子に内包しながら球形化処理することで、1nmから4nmの微細孔を低減させる一方で4nmから150nmの微細孔を増大させた後、さらに非晶質炭素の原料となる有機化合物で被覆することにより1nmから4nmの微細孔を低減し、SA/SAを所定の範囲に調整する方法が挙げられる。
具体的には、黒鉛に対し、少なくとも衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかの力学的エネルギーを付与して原料炭素材を造粒する造粒工程を有し、前記造粒工程を、下記
1)、2)及び3)の条件を満足する造粒剤の存在下で行うが好ましい。
1)前記原料炭素材を造粒する工程時に造粒材が液体である。
2)造粒材が非晶質炭素となる有機化合物を含む。
3)造粒剤として有機溶剤を含まないか、有機溶剤を含む場合、有機溶剤の内、少なくとも1種は引火点を有さない、又は引火点を有するときには該引火点が5℃以上であるものを用いる。
上記造粒工程を有すれば、必要に応じて別の工程を更に有していてもよい。別の工程は単独で実施してもよいし、複数工程を同時に実施してもよい。一実施形態としては、以下の第1工程乃至第5工程を含むものが挙げられる。以下、これらの工程について説明する。
(第1工程)原料炭素材の粒度を調整する工程
(第2工程)原料炭素材と造粒剤とを混合する工程
(第3工程)原料炭素材を造粒する工程
(第4工程)造粒剤を除去する工程
(第5工程)造粒炭素材に原料炭素材より結晶性が低い非晶質炭素質物を添着する工程
(第1工程)原料炭素材の粒度を調整する工程
本発明の非水系二次電池用負極材の製造に用いる原料炭素材は、前述した黒鉛が使用すされる。
原料炭素材は第1工程において次のような粒度に調整することが好ましい。即ち、得られる原料炭素材の平均粒子径(d50)は、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは3μm以上であり、一方、好ましくは80μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは35μm以下、特に好ましくは20μm以下、とりわけ好ましくは10μm以下、最も好ましくは8μm以下である。
d50が上記範囲にある場合、球形化黒鉛のLiイオンの挿入・脱離サイトとして利用できるエッジの量が増大するため低温出力特性やサイクル特性が向上する傾向にある。さらに、球形化黒鉛の円形度を高く調整することができるため、Liイオン拡散の屈曲度を下げられるため粒子間空隙中の電解液移動がスムーズになり、急速充放電特性が向上する。また、d50が上記範囲にある場合、造粒工程中に生成する微粉を、造粒された黒鉛(以降、造粒炭素材と称す。)となる母材に付着或いは母材の内部に包む込みながら造粒することが可能になる。この結果、球形化度が高く微粉が少なく、4nmから150nmの細孔が十分に大きな造粒炭素材を得ることができる。
原料炭素材のd50を上記範囲に調整する方法として、例えば(天然)黒鉛粒子を粉砕及び/又は分級する方法が挙げられる。
粉砕に用いる装置に特に制限はないが、例えば、粗粉砕機としてはせん断式ミル、ジョークラッシャー、衝撃式クラッシャー、コーンクラッシャー等が挙げられ、中間粉砕機としてはロールクラッシャー、ハンマーミル等が挙げられ、微粉砕機としては、機械式粉砕機、気流式粉砕機、旋回流式粉砕機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、振動ミル、ピンミル、攪拌ミル、ジェットミル、サイクロンミル、ターボミル等が挙げられる。特に、d50が10μm以下の黒鉛粒子を得る場合には、気流式粉砕機や旋回流式粉砕機を用いることが好ましい。
分級処理に用いる装置としては特に制限はないが、例えば、乾式篩い分けの場合は、回転式篩い、動揺式篩い、旋動式篩い、振動式篩い等を用いることができ、乾式気流式分級の場合は、重力式分級機、慣性力式分級機、遠心力式分級機(クラシファイア、サイクロ
ン等)を用いることができ、また、湿式篩い分け、機械的湿式分級機、水力分級機、沈降分級機、遠心式湿式分級機等を用いることができる。
また、第一工程で得られる、原料炭素材としては以下のような物性を満足することが好ましい。
原料炭素材のX線広角回折法による002面の面間隔(d002)及び結晶子の大きさ(Lc)は、通常、d002が3.37Å以下でLcが900Å以上であり、d002が3.36Å以下でLcが950Å以上であることが好ましい。d002及びLcは、炭素材バルクの結晶性を示す値であり、d002の値が小さいほど、またLcが大きいほど、結晶性が高い炭素材であることを示し、黒鉛層間に入るリチウムの量が理論値に近づくので容量が増加する。結晶性が低過ぎると高結晶性黒鉛を電極に用いた場合の、高容量で、かつ不可逆容量が低いという優れた電池特性が発現しにくくなる傾向にある。d002とLcは、上記範囲が組み合わされていることが特に好ましい。
X線回折は次の手法により測定する。まず、炭素粉末に総量の約15重量%のX線標準高純度シリコン粉末を加えて混合したものを材料とし、グラファイトモノクロメーターで単色化したCuKα線を線源とし、反射式ディフラクトメーター法で広角X線回折曲線を測定する。その後、学振法を用いて面間隔(d002)及び結晶子の大きさ(Lc)を求める。
原料炭素材の充填構造は、粒子の大きさ、形状、粒子間相互作用力の程度等によって左右されるが、本発明では充填構造を定量的に議論する指標の一つとしてタップ密度を適用することも可能である。本発明者らの検討では、真密度と平均粒子径がほぼ等しい黒鉛質粒子では、形状が球状で粒子表面が平滑であるほど、タップ密度が高い値を示すことが確認されている。すなわち、タップ密度を上げるためには、粒子の形状を球状に近づけ、粒子表面の平滑さを保つことが重要である。粒子形状が球状に近づき粒子表面が平滑であると、粉体の充填性も大きく向上する。原料炭素材のタップ密度は、好ましくは0.1g/cm以上であり、より好ましくは0.15g/cm以上であり、更に好ましくは0.2g/cm以上であり、特に好ましくは0.3g/cm以上である。タップ密度は実施例で後述する方法により測定する。
原料炭素材のアルゴンイオンレーザーラマンスペクトルは粒子の表面の性状を現す指標として利用されている。原料炭素材のアルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける1580cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマンR値は、好ましくは0.05以上0.9以下であり、より好ましくは0.05以上0.7以下であり、更に好ましくは0.05以上0.5以下である。R値は炭素粒子の表面近傍(粒子表面から100Å位まで)の結晶性を表す指標であり、R値が小さいほど結晶性が高い、あるいは結晶状態が乱れていないことを示す。ラマンスペクトルは以下に示す方法により測定する。具体的には、測定対象粒子をラマン分光器測定セル内へ自然落下させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射すると共に、測定セルをこのレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。なお、アルゴンイオンレーザー光の波長は514.5nmとする。
(第2工程)原料炭素材と造粒剤とを混合する工程
本発明の実施形態で用いる造粒剤は、1)前記原料炭素材を造粒する工程時に液体、2)造粒材が非晶質炭素となる有機化合物を含む、及び3)造粒剤が有機溶剤を含まないか、有機溶剤を含む場合、有機溶剤の内、少なくとも1種は引火点を有さない、又は引火点を有するときには該引火点が5℃以上、の条件を満足するものである。
上記要件を満たす造粒剤を有することで、続く第3工程における原料炭素材を造粒する工程の際に、原料炭素材間を造粒剤が液架橋することにより、原料炭素材間に液架橋内の毛管負圧と液の表面張力によって生じる引力が粒子間に液架橋付着力として働くため、原料炭素材間の液架橋付着力が増大し、原料炭素材がより強固に付着することが可能となる。
本発明においては、原料炭素材間を造粒剤が液架橋することによる原料炭素材間の液架橋付着力の強さはγcosθの値に比例する(ここで、γ:液の表面張力、θ:液と粒子の接触角)。すなわち、原料炭素材を造粒する際に、造粒剤は原料炭素材との濡れ性が高いことが好ましく、具体的にはγcosθ>0となるようにcosθ>0となる造粒剤を選択するのが好ましく、造粒剤の下記測定方法で測定した黒鉛との接触角θが90°未満であることが好ましい。
(黒鉛との接触角θの測定方法)
HOPG表面に1.2μLの造粒剤を滴下し、濡れ広がりが収束して一秒間の接触角θの変化率が3%以下となったとき(定常状態ともいう)の接触角を接触角測定装置(協和界面社製自動接触角計DM−501)にて測定する。ここで、25℃における粘度が500cP以下の造粒剤を用いる場合には25℃における値を、25℃における粘度が500cPより大きい造粒剤を用いる場合には、粘度が500cP以下となる温度まで加温した温度における接触角θの測定値とする。
さらに、原料炭素材と造粒剤の接触角θが0°に近いほど、γcosθ値が大きくなるため、黒鉛粒子間の液架橋付着力が増大し、黒鉛粒子同士がより強固に付着することが可能となる。従って、前記造粒剤の黒鉛との接触角θは85°以下であることがより好ましく、80°以下であることが更に好ましく、50°以下であることがこと更に好ましく、30°以下であることが特に好ましく、20°以下であることが最も好ましい。
表面張力(γ)が大きい造粒剤を使用することによっても、γcosθ値が大きくなり黒鉛粒子の付着力は向上するため、γは好ましくは0以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは30以上である。造粒剤の表面張力(γ)は、表面張力計(例えば、協和界面科学株式会社製DCA−700)を用いてWilhelmy法により測定することができる。
また、粒子の移動に伴う液橋の伸びに対する抵抗成分として粘性力が働き、その大きさは粘度に比例する。このため、原料炭素材を造粒する造粒工程時において液体であれば造粒剤の粘度は特段限定されないが、造粒工程時において1cP以上であることが好ましい。
造粒剤の、25℃における粘度は1cP以上100000cP以下であることが好ましく、5cP以上10000cP以下であることがより好ましく、10cP以上8000cP以下であることが更に好ましく、50cP以上6000cP以下であることが特に好ましい。粘度が上記範囲内にあると、原料炭素材を造粒する際に、ローターやケーシングとの衝突等の衝撃力による付着粒子の脱離を防ぐことが可能となる。
本発明で用いる造粒剤の粘度は、レオメーター(例えば、Rheometric Scientific社製ARES)を用い、カップに測定対象(ここでは造粒剤)を適量入れ、所定の温度に調節して測定する。せん断速度100s−1におけるせん断応力が0.1Pa以上の場合にはせん断速度100s−1で測定した値を、せん断速度100s−1におけるせん断応力が0.1Pa未満の場合には1000s−1で測定した値を、せん断速度1000s−1におけるせん断応力が0.1Pa未満の場合にはせん断応力が0.1
Pa以上となるせん断速度で測定した値を、本明細における粘度と定義する。なお、用いるスピンドルを低粘度流体に適した形状とすることでもせん断応力を0.1Pa以上とすることができる。
また造粒剤の、前記原料炭素材と造粒材を混合する際の粘度は1cP以上1000cP以下であることが好ましく、5cP以上800cP以下であることがより好ましく、10cP以上600cP以下であることが更に好ましく、20cP以上500cP以下であることが特に好ましい。粘度が上記範囲内にあると、原料炭素材に造粒材が均一に付着し、原料炭素材を造粒する際に、ローターやケーシングとの衝突等の衝撃力による付着粒子の脱離を防ぐことが可能となり、また、1nmから4nmの微細孔に造粒材が入り込み後工程で非晶質炭素となることによって本微細孔を低減でき、低温入出力特性や高温保存特性に優れた負極材を製造することが可能となるため好ましい。前記原料炭素材を造粒する工程時における粘度は、後述する有機溶剤の添加や、混合温度の制御により調整することができる。
また、本発明の実施形態で用いる造粒剤は、非晶質炭素となる有機化合物を含むものである。これにより、1nmから4nmの微細孔に造粒材が入り込み非晶質炭素となることで本微細孔を低減できるため低温入出力特性や高温保存特性に優れた負極材を製造することができる。例えば、石油系や石炭系の重質油やタールやピッチ、ポリビニルアルコール、ポリアクリルニトリル、フェノール樹脂、セルロース等の樹脂が挙げられ、必要により水系溶媒、もしくは引火点を有さない、あるいは引火点を有するときは引火点が5℃以上の有期溶剤等を用いて希釈することができる。これらの中でも、非晶質炭素として微細孔を生成しにくく、1nmから4nmの微細孔をより効率的に低減できるため、ソフトカーボンである石油系や石炭系の重質油やタールやピッチ等を含むものが好ましい。
さらに、本発明の実施形態で用いる造粒剤は、有機溶剤を含まないか、有機溶剤を含む場合、有機溶剤の内、少なくとも1種は引火点を有さない、あるいは引火点を有するときは引火点が5℃以上のものである。これにより、続く第3工程における原料炭素材を造粒する際に、衝撃や発熱に誘発される造粒剤の引火、火災、及び爆発の危険を防止することができるため、安定的に効率よく製造を実施することができる。
引火点5℃以上の有機溶剤としては、流動パラフィン等のパラフィン系オイルやオレフィン系オイルやナフテン系オイルや芳香族系オイル等の合成油、植物系油脂類や動物系脂肪族類やエステル類や高級アルコール類等の天然油;キシレン、イソプロピルベンゼン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン等のアルキルベンゼン;メチルナフタレン、エチルナフタレン、プロピルナフタレン等のアルキルナフタレン;スチレン等のアリルベンゼン、アリルナフタレン等の芳香族炭化水素類;オクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素類;メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類や、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル等のエステル類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、メトキシプロパノール、メトキシプロピル−2−アセテート、メトキシメチルブタノール、メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコール類誘導体類
;1,4−ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ピリジン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等の含窒素有機化合物;ジメチルスルホキシド等の含硫黄有機化合物;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン等の含ハロゲン有機化合物、及びそれらこれらの混合物等が挙げられ、例えばトルエンのような引火点が低い化合物は含まれない。これらの有機溶剤は単体で造粒剤としても用いることができる。なお、本明細書において、引火点は、公知の方法により測定できる。
原料炭素材と造粒剤を混合する方法として、例えば、原料炭素材と造粒剤とをミキサーやニーダーを用いて混合する方法や、有機化合物を低粘度希釈溶媒(有機溶剤)に溶解させた造粒剤と原料炭素材を混合した後に該希釈溶媒(有機溶剤)を除去する方法等が挙げられる。これらの中でも、有機化合物中の炭素質物となる成分が多いほど1nmから4nmの微細孔をより効率的に低減できるため、原料炭素材と造粒剤とをミキサーやニーダーを用いて混合する方法が好ましい。また、続く第3工程にて原料炭素材を造粒する際に、造粒装置に造粒剤と原料炭素材とを投入して、原料炭素材と造粒剤を混合する工程と造粒する工程とを同時に行う方法も挙げられる。
造粒剤の添加量は、原料炭素材100重量部に対して好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、更に好ましくは3重量部以上、より更に好ましくは6重量部以上、こと更に好ましくは10重量部以上、特に好ましくは12重量部以上、最も好ましくは15重量部以上であり、好ましくは1000重量部以下、より好ましくは100重量部以下、更に好ましくは80重量部以下、特に好ましくは50重量部以下、最も好ましくは30重量部以下である。上記範囲内にあると、粒子間付着力の低下による球形化度の低下や、装置への原料炭素材の付着による生産性の低下といった問題が生じ難くなる。
(第3工程)原料炭素材を造粒する工程(原料炭素材に対して球形化処理を行う工程)
炭素材は、原料炭素材に衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与えることにより球形化処理(以下、造粒とも称する)を施したものであることが好ましい。また、該球形化黒鉛は、複数の鱗片状又は鱗状黒鉛、及び磨砕された黒鉛微粉からなるものであることが好ましく、特に複数の鱗片状黒鉛からなるものであることが特に好ましい。
本発明は、少なくとも衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかの力学的エネルギーを付与して原料炭素材を造粒する造粒工程を有することが好ましい。この工程に用いる装置としては、例えば、衝撃力を主体に、原料炭素材の相互作用も含めた圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し与える装置を用いることができる。
具体的には、ケーシング内部に多数のブレードを設置したローターを有し、そのローターが高速回転することによって、内部に導入された原料炭素材に対して衝撃、圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与え、表面処理を行なう装置が好ましい。また、原料炭素材を循環させることによって機械的作用を繰り返し与える機構を有するものであるのが好ましい。
このような装置としては、例えば、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロン、クリプトロンオーブ(アーステクニカ社製)、CFミル(宇部興産社製)、メカノフュージョンシステム、ノビルタ、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)、COMPOSI(日本コークス工業製)等が挙げられる。これらの中で、奈良機械製作所社製のハイブリダイゼーションシステムが好ましい。
前記装置を用いて処理する場合、例えば、回転するローターの周速度は好ましくは30
m/秒以上、より好ましくは50m/秒以上、更に好ましくは60m/秒以上、特に好ましくは70m/秒以上、最も好ましくは80m/秒以上であり、好ましくは100m/秒以下である。上記範囲内であると、より効率的に球形化と同時に微粉の母材への付着や母材による内包を行うことができるため好ましい。
また、原料炭素材に機械的作用を与える処理は、単に原料炭素材を通過させるだけでも可能であるが、原料炭素材を30秒以上、装置内を循環又は滞留させて処理するのが好ましく、より好ましくは1分以上、更に好ましくは3分以上、特に好ましくは5分以上、装置内を循環又は滞留させて処理する。
また造粒剤の、前記原料炭素材を造粒する工程時における粘度は1cP以上であることが好ましく、5cP以上であることがより好ましく、10cP以上であることが更に好ましく、20cP以上であることが特に好ましく、一方、1000cP以下であることが好ましく、800cP以下であることがより好ましく、600cP以下であることが更に好ましく、500cP以下であることが特に好ましい。粘度が上記範囲内にあると、造粒材の存在下で原料炭素材を造粒する際に、ローターやケーシングとの衝突等の衝撃力による付着粒子の脱離を防ぐことが可能となり、また、1nmから4nmの微細孔に造粒材が入り込み後工程で非晶質炭素となることによって本微細孔を低減でき、低温入出力特性や高温保存特性に優れた負極材を製造することが可能となるため好ましい。前記原料炭素材を造粒する工程時における粘度は、有機溶剤の添加や、造粒処理温度の制御により調整することができる。
また原料炭素材を造粒する工程においては、原料炭素材を、その他の物質存在下で造粒してもよく、その他の物質としては、例えばリチウムと合金化可能な金属或いはその酸化物、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、磨砕された黒鉛微粉、非晶質炭素、及び生コークス等が挙げられる。原料炭素材以外の物質と併せて造粒することで様々なタイプの粒子構造の非水系二次電池用負極材を製造できる。
また、原料炭素材や造粒剤や上記その他の物質は上記装置内に一度に全量投入してもよく、分けて逐次投入してもよく、連続投入してもよい。また、原料炭素材や造粒剤や上記その他の物質は上記装置内に同時に投入してもよく、混合して投入してもよく、別々に投入してもよい。原料炭素材と造粒剤と上記その他の物質を同時に混合してもよいし、原料炭素材と造粒剤を混合したものに上記その他の物質を添加してもよいし、その他の物質と造粒剤を混合したものに原料炭素材を添加してもよい。粒子設計に併せて、別途適切なタイミングで添加・混合することができる。
炭素材の球形化処理の際には、球形化処理中に生成する微粉を母材に付着、及び/又は球形化粒子に内包しながら球形化処理することがより好ましい。球形化処理中に生成する微粉を母材に付着、及び/又は球形化粒子に内包しながら球形化処理することにより、4nmから150nmの細孔が十分に大きく、粒子内空隙構造がより緻密化された造粒炭素材を得ることができる。このため、Liイオンの挿入・脱離サイトとして利用できるエッジの量が増大し、且つ電解液が粒子内空隙へと有効且つ効率的に行き渡り、粒子内のLiイオン挿入脱離サイトを効率的に利用できるようになるため、良好な低温出力特性やサイクル特性を示す傾向がある。また、母材に付着する微粉は球形化処理中に生成したものに限らず、鱗片状黒鉛粒度調整の際に同時に微粉を含むよう調整してもよいし、別途適切なタイミングで添加・混合してもよい。
微粉を母材に付着、及び球形化粒子に内包させるために、鱗片状黒鉛粒子−鱗片状黒鉛粒子間、鱗片状黒鉛粒子−微粉粒子間、及び微粉粒子−微粉粒子間の付着力を強くすることが好ましい。粒子間の付着力として、具体的には、粒子間介在物を介さないファンデル
ワールス力や静電引力、粒子間介在物を介する物理的及び/又は化学的架橋力等が挙げられる。
ファンデルワールス力は、平均粒子径(d50)が100μmを境に小さくなるほど[自重]<[付着力]となる。このため、球形化黒鉛の原料となる鱗片状黒鉛(原料炭素材)の平均粒子径(d50)が小さいほど粒子間付着力が増し、微粉が母材に付着、及び球形化粒子に内包された状態となりやすく好ましい。鱗片状黒鉛の平均粒子径(d50)は、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは3μm以上で、好ましくは80μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは35μm以下、特に好ましくは20μm以下、とりわけ好ましくは10μm以下、最も好ましくは8μm以下である。
粒子間介在物を介する物理的及び/又は化学的架橋力としては、液体性介在物、固体性介在物、を介する物理的及び/又は化学的架橋力が挙げられる。上記化学的架橋力としては、粒子と粒子間介在物との間で化学反応、焼結、メカノケミカル効果等により、共有結合、イオン結合、水素結合等が形成された場合の架橋力が挙げられる。
(第4工程)造粒剤の一部及び有機溶剤を除去する工程
本発明においては、前記造粒剤の一部及び有機溶剤を除去する工程を有していることが好ましい。造粒剤の一部及び有機溶剤を除去する方法としては、例えば、溶剤により洗浄する方法や、熱処理により造粒剤の一部及び有機溶剤を揮発・分解除去する方法が挙げられる。
このときの熱処理温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは200℃以上、特に好ましくは300℃以上、とりわけ好ましくは400℃以上、最も好ましくは500℃であり、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1000℃以下、更に好ましくは800℃以下である。熱処理温度が上記範囲内にあると、十分に造粒剤を揮発・分解除去でき生産性を向上できる。
熱処理時間は、好ましくは0.5〜48時間、より好ましくは1〜40時間、更に好ましくは2〜30時間、特に好ましくは3〜24時間である。熱処理時間が上記範囲内にあると、十分に造粒剤を揮発・分解除去でき生産性を向上できる。
熱処理の雰囲気は、大気雰囲気等の活性雰囲気、もしくは、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気等の不活性雰囲気があげられ、200℃〜300℃で熱処理する場合には特段制限はないが、300℃以上で熱処理を行う場合には、黒鉛表面の酸化を防止する観点で、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気等の不活性雰囲気が好ましい。
(第5工程)造粒炭素材に原料炭素材より結晶性が低い炭素質物を添着する工程
本発明では、造粒炭素材に、さらに原料炭素材より結晶性が低い炭素質物を添着する工程を有する。この工程によれば、表面の少なくとも一部に非晶質炭素質物を有する黒鉛が得られるため、これを用いた非水系二次電池用負極と電解液との副反応が少なく高容量で、低温入出力特性や高温保存特性に優れた非水系二次電池用負極材を得ることができる。
造粒炭素材への非晶質炭素質物の添着(複合化)処理は非晶質炭素質物となる有機化合物と、造粒炭素材を混合し、非酸化性雰囲気下、好ましくは窒素、アルゴン、二酸化炭素等の流通下に加熱して、有機化合物を非晶質炭素化させる処理である。非晶質炭素質物となる具体的な有機化合物としては、石油系や石炭系の重質油やタールやピッチ、具体的には軟質ないし硬質の種々のコールタールピッチや石炭液化油等の炭素系重質油、原油の常圧又は減圧蒸留残渣油等の石油系重質油、ナフサ分解によるエチレン製造の副生物である
分解系重質油等種々のものを用いることができる。
また、分解系重質油を熱処理することで得られるエチレンタールピッチ、FCCデカントオイル、アシュランドピッチ等の熱処理ピッチ等を挙げることができる。さらにポリ塩化ビニル、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等のビニル系高分子と3−メチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、3,5−ジメチルフェノールホルムアルデヒド樹脂等の置換フェノール樹脂、アセナフチレン、デカシクレン、アントラセン等の芳香族炭化水素、フェナジンやアクリジン等の窒素環化合物、チオフェン等のイオウ環化合物等を挙げることができる。また、固相で炭素化を進行させる有機化合物としては、セルロース等の天然高分子、ポリ塩化ビニリデンやポリアクリロニトリル等の鎖状ビニル樹脂、ポリフェニレン等の芳香族系ポリマー;フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂;フルフリルアルコールのような熱硬化性樹脂原料等を挙げることができる。これらの中でも、非晶質炭素として微細孔を生成しにくく、1nmから4nmの微細孔をより効率的に低減できるため、ソフトカーボンである石油系や石炭系の重質油やタールやピッチが好ましい。
造粒炭素材と非晶質炭素質物となる有機化合物とを混合する方法として、例えば、原料炭素材と造粒剤とをミキサーやニーダーを用いて混合する方法や有機化合物を低粘度希釈溶媒(有機溶剤)に溶解させた造粒剤と原料炭素材を混合した後に該希釈溶媒(有機溶剤)を除去する方法等が挙げられる。これらの中でも、有機化合物中の炭素質物となる成分が多いほど1nmから4nmの微細孔をより効率的に低減できるため、原料炭素材と造粒剤とをミキサーやニーダーを用いて混合する方法が好ましい。
また、造粒炭素材と炭素質物となる有機化合物とを混合する際の、炭素質物となる有機化合物の粘度は1cP以上1000cP以下であることが好ましく、5cP以上800cP以下であることがより好ましく、10cP以上600cP以下であることが更に好ましく、20cP以上500cP以下であることが特に好ましい。粘度が上記範囲内にあると、造粒炭素材の1nmから4nmの微細孔に炭素質物となる有機化合物が入り込み、焼成により非晶質炭素となることによって本微細孔を低減でき、低温入出力特性や高温保存特性に優れた負極材を製造することが可能となるため好ましい。
造粒炭素材と炭素質物となる有機化合物とを混合する際の混合温度は、通常炭素質物となるとなる有機化合物の軟化点以上であり、好ましくは軟化点より10℃以上高い温度、より好ましくは軟化点より20℃以上高い温度、更に好ましくは30℃以上高い温度、特に好ましくは50℃以上高い温度、通常450℃以下、好ましくは250℃以下で行われる。加熱温度が低すぎると、炭素質物前駆体となる有機化合物の粘度が高くなって混合が困難となり被覆形態が不均一となる虞があり、加熱温度が高すぎると炭素質物前駆体となる有機化合物の揮発と重縮合によって混合系の粘度が高くなって混合が困難となり被覆形態が不均一となる虞がある。
加熱温度(焼成温度)は混合物の調製に用いた有機化合物により異なるが、通常は500℃以上、好ましくは600℃以上、より好ましくは700℃以上に加熱して黒鉛表面の少なくとも一部に非晶質炭素を添着させる。加熱温度の上限は有機化合物の炭化物が、混合物中の鱗片状黒鉛の結晶構造と同等の結晶構造に達しない温度であり、加熱温度の上限は通常は2000℃、好ましくは1800℃、より好ましくは1700℃、更に好ましくは1600℃である。
上述したような処理を行った後、次いで解砕、粉砕及び分級処理を適宜組み合わせて施すことにより、炭素質物複合炭素材とすることができる。また、形状は任意であるが、平均粒子径は、通常2〜50μmであり、5〜35μmが好ましく、特に8〜30μmであ
る。
〔非水系二次電池用負極〕
本発明の非水系二次電池用負極(以下、「本発明の負極」と称する場合がある。)は、集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備え、該活物質層が本発明の負極材を含有するものである。
本発明の負極材を用いて負極を作製するには、負極材に結着樹脂を配合したものを水性又は有機系媒体でスラリーとし、必要によりこれに増粘材を加えて集電体に塗布し、乾燥すればよい。
結着樹脂としては、非水電解液に対して安定で、かつ非水溶性のものを用いるのが好ましい。例えば、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム及びエチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアクリル酸、及び芳香族ポリアミド等の合成樹脂;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体やその水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン、スチレン共重合体、スチレン・イソプレン及びスチレンブロック共重合体並びにその水素化物等の熱可塑性エラストマー;シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、及びエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニデンフルオライド、ポリペンタフルオロプロピレン及びポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素化高分子等を用いることができる。有機系媒体としては、例えば、N−メチルピロリドン及びジメチルホルムアミドを用いることができる。
結着樹脂は、負極材100重量部に対して通常は0.1重量部以上、好ましくは0.2重量部以上用いるのが好ましい。結着樹脂の使用量を負極材100重量部に対して0.1重量部以上とすることで、負極材料相互間や負極材料と集電体との結着力が十分となり、負極から負極材料が剥離することによる電池容量の減少及びリサイクル特性の悪化を防ぐことができる。
また、結着樹脂の使用量は負極材100重量部に対して10重量部以下とするのが好ましく、7重量部以下とするのがより好ましい。結着樹脂の使用量を負極材100重量部に対して10重量部以下とすることにより、負極の容量の減少を防ぎ、かつリチウムイオン等のアルカリイオンの負極材料への出入が妨げられる等の問題を防ぐことができる。
スラリーに添加する増粘材としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース類、ポリビニルアルコール並びにポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの中でも好ましいのはカルボキシメチルセルロースである。増粘材は負極材料100重量部に対して、通常0.1〜10重量部、特に0.2〜7重量部となるように用いるのが好ましい。
負極集電体としては、従来からこの用途に用い得ることが知られている、例えば、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン及び炭素等を用いればよい。集電体の形状は通常はシート状であり、その表面に凹凸をつけたもの、ネット及びパンチングメタル等を用いることも好ましい。
集電体に負極材と結着樹脂のスラリーを塗布・乾燥した後は、加圧して集電体上に形成された活物質層の密度を大きくして負極活物質層の単位体積当たりの電池容量を大きくするのが好ましい。活物質層の密度は1.2〜1.8g/cmの範囲にあることが好まし
く、1.3〜1.6g/cmであることがより好ましい。活物質層の密度を上記下限値以上とすることで、電極の厚みの増大に伴う電池の容量の低下を防ぐことができる。また、活物質層の密度を上記上限値以下とすることで、電極内の粒子間空隙が減少に伴い空隙に保持される電解液量が減り、リチウムイオン等のアルカリイオンの移動性が小さくなり急速充放電性が小さくなるのを防ぐことができる。
本発明の負極材を用いて形成した負極活物質層の水銀圧入法による10nm〜100000nmの範囲の細孔容量は、0.05mL/gであることが好ましく、0.1ml/g以上であることがより好ましい。細孔容量を0.05mL/g以上とすることによりリチウムイオン等のアルカリイオンの出入りの面積が大きくなる。
〔非水系二次電池〕
本発明の非水系二次電池は、正極及び負極、並びに電解質を備える非水系二次電池であって、負極として、本発明の負極を用いたものである。特に、本発明の非水系二次電池に用いる正極及び負極は、通常、Liイオンを吸蔵、放出可能なリチウムイオン二次電池であることが好ましい。
本発明の非水系二次電池は、上記の本発明の負極を用いる以外は、常法に従って製造することができる。特に、本発明の非水系二次電池は、[負極の容量]/[正極の容量]の値を1.01〜1.5に設計することが好ましく、1.2〜1.4に設計することがより好ましい。
[正極]
本発明の非水系二次電池の正極の活物質となる正極材としては、例えば、基本組成がLiCoOで表されるリチウムコバルト複合酸化物、LiNiOで表されるリチウムニッケル複合酸化物、LiMnO及びLiMnで表されるリチウムマンガン複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物、二酸化マンガン等の遷移金属酸化物、並びにこれらの複合酸化物混合物等を用いればよい。更にはTiS、FeS、Nb、Mo、CoS、V、CrO、V、FeO、GeO及びLiNi0.33Mn0.33Co0.33、LiFePO等を用いればよい。
前記正極材に結着樹脂を配合したものを適当な溶媒でスラリー化して集電体に塗布、乾燥することにより正極を製造することができる。なお、スラリー中にはアセチレンブラック、ケッチェンブラック等の導電材を含有させることが好ましい。また、必要に応じて増粘材を含有させてもよい。なお、結着材及び増粘剤としては、この用途に周知のもの、例えば負極の製造に用いるものとして例示したものを用いることができる。
導電材の配合量は正極材100重量部に対し、0.5〜20重量部が好ましく、1〜15重量部がより好ましい。また、増粘材の配合量は正極材100重量部に対し、0.2〜10重量部が好ましく、0.5〜7重量部がより好ましい。更に、正極材100重量部に対する結着樹脂の配合量は、結着樹脂を水でスラリー化する場合には0.2〜10重量部が好ましく、0.5〜7重量部がより好ましく、一方、結着樹脂をN−メチルピロリドン等の結着樹脂を溶解する有機溶媒でスラリー化する場合には0.5〜20重量部が好ましく、1〜15重量部がより好ましい。
正極集電体としては、例えば、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ及びタンタル等並びにこれらの合金が挙げられる。これらの中でもアルミニウム、チタン及びタンタル並びにその合金が好ましく、アルミニウム及びその合金が最も好ましい。
[電解液]
電解液は、従来周知の非水溶媒に種々のリチウム塩を溶解させたものを用いることができる。
非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート及びビニレンカーボネート等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート、γ−ブチロラクトン等の環状エステル、クラウンエーテル、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメチルテトラヒドロフラン及び1,3−ジオキソラン等の環状エーテル、1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル等を用いればよい。通常はこれらの2種以上を混合して用いる。なかでも環状カーボネートと鎖状カーボネート、又はこれに更に他の溶媒を混合して用いることが好ましい。
電解液には、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、無水コハク酸、無水マレイン酸、プロパンスルトン及びジエチルスルホン等の化合物やジフルオロリン酸リチウムのようなジフルオロリン酸塩等が添加されていてもよい。更に、ジフェニルエーテル及びシクロヘキシルベンゼン等の過充電防止剤が添加されていてもよい。
非水溶媒に溶解させる電解質としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)及びLiC(CFSO等が挙げられる。電解液中の電解質の濃度は通常0.5〜2mol/Lであり、好ましくは0.6〜1.5mol/Lである。
[セパレータ]
正極と負極との間に介在させるセパレータを用いることが好ましい。このようなセパレータとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンの多孔性シートや不織布を用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味を持つものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
<電極シートの作製>
実施例又は比較例の負極材を用い、活物質層密度1.35±0.03g/cmの活物質層を有する極板を作製した。具体的には、負極材50.00±0.02gに、1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩水溶液を50.00±0.02g(固形分換算で0.500g)、及び重量平均分子量27万のスチレン・ブタジエンゴム水性ディスパージョン1.00±0.05g(固形分換算で0.5g)を、キーエンス製ハイブリッドミキサーで5分間撹拌し、30秒脱泡してスラリーを得た。
このスラリーを、集電体である厚さ10μmの銅箔上に、負極材料が6.00±0.3mg/cm付着するように、伊藤忠マシニング製小型ダイコーターを用いて幅10cmに塗布し、直径20cmのローラを用いてロールプレスして、活物質層の密度が1.35±0.03g/cmになるよう調整し電極シートを得た。
<非水系二次電池(ラミネート型電池)の作製方法>
上記方法で作製した、負極材料が6.00±0.3mg/cm付着し、活物質層の密度が1.35±0.03g/cmとなるように調整した電極シートを4cm×3cmに切り出し負極とし、NMCからなる正極を同面積で切り出し、負極と正極の間にはセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、組み合わせた。エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒(容積比=3:3:4)に、LiPFを1.2mol/Lになるように溶解させた電解液を200μl注液してラミネート型電池を作製した。
<低温出力特性>
上記非水電解液二次電池の作製法により作製したラミネート型非水電解液二次電池を用いて、下記の測定方法で低温出力特性を測定した。
充放電サイクルを経ていない非水電解液二次電池に対して、25℃で電圧範囲4.1V〜3.0V、電流値0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下同様)にて3サイクル、電圧範囲4.2V〜3.0V、電流値0.2Cにて(充電時には4.2Vにて定電圧充電をさらに2.5時間実施)2サイクル、初期充放電を行った。
さらに、SOC50%まで電流値0.2Cで充電を行った後、−30℃の低温環境下で、1/8C、1/4C、1/2C、1.5C、2Cの各電流値で2秒間定電流放電させ、各々の条件の放電における2秒後の電池電圧の降下を測定し、それらの測定値から充電上限電圧を3Vとした際に、2秒間に流すことのできる電流値Iを算出し、3×I(W)という式で計算される値をそれぞれの電池の低温出力特性とした。
<高温保存特性>
上記非水電解液二次電池の作製法により作製したラミネート型非水電解液二次電池を用いて、下記の測定方法で高温保存特性を測定した。
充放電サイクルを経ていない非水電解液二次電池に対して、25℃で電圧範囲4.1V〜3.0V、電流値0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下同様)にて3サイクル、電圧範囲4.2V〜3.0V、電流値0.2Cにて(充電時には4.2Vにて定電圧充電をさらに2.5時間実施)2サイクル、初期充放電を行った。
さらに、SOC80%まで電流値0.2Cで充電を行った後、60℃で2週間保存処理を行った。その後、電流値0.2Cにて放電を行った後、さらに電流値0.2Cにて充放電を行い(充電時には4.2Vにて定電圧充電をさらに2.5時間実施)、上記5サイクル行った後の放電容量(上記、電圧範囲4.1V〜3.0Vにて3サイクル、電圧範囲4.2V〜3.0V、電流値0.2Cにて2サイクル行った後の放電容量)に対する保存後の放電容量の比を高温保存特性として%で表した。
(実施例1)
d50=100μm、d(002)=3.36Å、(ラマンR値)=0.17である鱗片状天然黒鉛を粉砕室内部に粉砕羽及び気流式分級機構を有する乾式旋回流式粉砕機にて循環粉砕し、d50=8.9μm、d(002)=3.36Å、(ラマンR値)=0.22、(タップ密度)=0.49g/cmである天然黒鉛(A1)を得た。得られた天然黒鉛(A1)100gに造粒剤としてコールタール(軟化点≦25℃、引火点70℃)12gを添加して、コールタールの粘度が80cPになるよう加熱撹拌混合し、造粒剤が均一に添着した天然黒鉛を得た。得られた造粒剤が均一に添着した天然黒鉛(B1)を加温状態のまま奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型へ投入し、ロ
ーター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形化処理を行った。得られた球形化天然黒鉛(C1)と非晶質炭素前駆体としてコールタール(軟化点≦25℃、引火点70℃)とを混合機で、コールタールの粘度が80cPになるよう加熱混合し、不活性ガス中で1300℃で熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛と非晶質炭素とが複合化した負極材を得た。焼成収率から、得られた負極材において、黒鉛と非晶質炭素との質量比率(黒鉛:非晶質炭素)は1:0.05であることが確認された。
前記測定法にて、得られたサンプルのSA、SA、ラマンR値、O/C、熱重量減少率、円形度、d50、BET−SA、タップ密度、低温出力特性及び高温保存特性を測定した。結果を表−1に示す。
(実施例2)
黒鉛と非晶質炭素との質量比率(黒鉛:非晶質炭素)は1:0.065とした以外は実施例1と同様の方法にて、黒鉛と非晶質炭素とが複合化した負極材を得た。これを用いて実施例1と同様の測定を行った結果を表−1に示す。
(実施例3)
黒鉛と非晶質炭素との質量比率(黒鉛:非晶質炭素)は1:0.08とした以外は実施例1と同様の方法にて、黒鉛と非晶質炭素とが複合化した負極材を得た。これを用いて実施例1と同様の測定を行った結果を表−1に示す。
(実施例4)
天然黒鉛(A1)100gに造粒剤として軟化点70℃のコールタールピッチ12gを添加して、コールタールピッチの粘度が350cPになるよう加熱撹拌混合し、造粒剤が均一に添着した天然黒鉛(B2)を得た。得られた造粒剤が均一に添着した天然黒鉛(B2)を加温状態のまま奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型へ投入し、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形化処理を行った。得られた球形化天然黒鉛(C2)と非晶質炭素前駆体として軟化点70℃のコールタールピッチとを混合機で、コールタールピッチの粘度が350cPになるよう加熱混合し、不活性ガス中で1300℃で熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛と非晶質炭素とが複合化した負極材を得た。焼成収率から、得られた負極材において、黒鉛と非晶質炭素との質量比率(黒鉛:非晶質炭素)は1:0.08であることが確認された。これを用いて実施例1と同様の測定を行った結果を表−1に示す。
(比較例1)
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形化処理を行い、天然黒鉛(a1)を得た。得られた天然黒鉛(a1)には球形化黒鉛の母材に付着していない状態の鱗片黒鉛状微粉、及び球形化黒鉛に内包されていない状態の鱗片黒鉛状微粉が多く存在していることが確認された。この天然黒鉛(a1)を分級し、上記鱗片黒鉛状微粉を除去し、d50が10.8μm、タップ密度が0.88g/cmの球形化黒鉛(c1)を得た。得られた球形化黒鉛と原料黒鉛より結晶性が低い炭素質物前駆体としてコールタール(軟化点≦25℃、引火点70℃)を20分間混合機でコールタールピッチの粘度が350cPになるよう加熱混合し、不活性ガス中で1300℃で熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛と非晶質炭素質とが複合化した複層構造黒鉛を得た。焼成収率から、得られた複層構造黒鉛において、造粒黒鉛と非晶質炭素質物との質量比率(造粒黒鉛:非晶質炭素)は1:0.065であることが確認された。これを用いて実施例1と同様の測定を行った結果を表−1に示す。
(比較例2)
天然黒鉛(A1)100gに造粒剤としてパラフィン系オイル(流動パラフィン、和光純薬工業社製、一級、引火点238℃)12gを添加して撹拌混合し、造粒剤が均一に添着した天然黒鉛(b2)を得た。得られた造粒剤が均一に添着した天然黒鉛(b2)を奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型へ投入し、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形化処理を行った。得られた球形化天然黒鉛(c2)と非晶質炭素前駆体として軟化点70℃のコールタールピッチとを混合機で、コールタールピッチの粘度が60cPになるよう加熱混合し、不活性ガス中で1300℃で熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛と非晶質炭素とが複合化した炭素材を得た。焼成収率から、得られた炭素材において、黒鉛と非晶質炭素との質量比率(黒鉛:非晶質炭素)は1:0.08であることが確認された。実施例1同様の測定を行った結果を表−1に示す。
(比較例3)
前記球形化天然黒鉛(C1)を1300℃で熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛粒子と非晶質炭素とが複合化した複層構造炭素材を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表−1に示す。
Figure 0006828551
[評価結果]
表−1より明らかなように、比較例1は高温保存特性に優れるが、SA/SAの値が小さく、低温入出力特性が悪かった。また、比較例2、3は低温入出力特性に優れるが、SAの値が大きく、高温保存特性が悪かった。これらの結果に対し、本発明の負極材に該当する実施例1〜4ではいずれも、低温入出力特性及び高温保存特性の両方が良好であった。
本発明の非水電解液二次電池用負極材、並びにこれを含む非水系二次電池用負極及び非水系二次電池は、低温入出力特性を重視する車載用途やパワーツール用途、容量や高温保存特性を重視する携帯電話やパソコンといった携帯機器用途等に好適に用いることができる。

Claims (10)

  1. 表面の少なくとも一部に非晶質炭素を有する黒鉛を含み、窒素吸着法から求められる細孔分布において、1nmから4nmの細孔に対応する表面積(SA)と4nmから150nmの細孔に対応する表面積(SA)について下記条件(1)及び(2)を満たす非水系二次電池用負極材。
    条件(1):SAが1.80m/g以下である。
    条件(2):SA/SAが1.30以上である。
  2. 前記細孔分布について、下記条件(3)を満たす、請求項1に記載の非水系二次電池用負極材。
    条件(3):SAが1.50m/g以上である。
  3. 下記式で表されるラマンR値が0.20以上である、請求項1又は2に記載の非水系二次電池用負極材。
    [ラマンR値]=[ラマンスペクトル分析における1360cm−1付近のピークPの強度I]/[1580cm−1付近のピークPの強度I
  4. X線光電子分光法(XPS)より求められる表面官能基量O/C値が3mol%以下である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の非水系二次電池用炭素材。
  5. 示差熱天秤より求められる200℃から600℃までの間の熱重量減少率が1%以下である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の非水系二次電池用炭素材。
  6. フロー式粒子像分析より求められる円形度が0.88以上である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材。
  7. 前記黒鉛として球形化黒鉛を含む、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材。
  8. 前記黒鉛に対する前記非晶質炭素の質量比率(〔[非晶質炭素の質量]/[黒鉛の質量]〕×100)が、0.1%以上30%以下である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材。
  9. 集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備え、該活物質層が請求項1乃至8のいずれか1項に記載の負極材を含有する、非水系二次電池用負極。
  10. 正極及び負極、並びに電解質を備える非水系二次電池であって、該負極が、請求項9に記載の非水系二次電池用負極である、非水系二次電池。
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