JP2020047601A - 炭素材、及び、非水系二次電池 - Google Patents
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Abstract
Description
池に関するものである。
特に、ニッケル・カドミウム電池や、ニッケル・水素電池に比べ、よりエネルギー密度の
高く、大電流充放電特性に優れたリチウムイオン二次電池が注目されてきている。従来、
リチウムイオン二次電池の高容量化は広く検討されているが、近年、リチウムイオン二次
電池に対する更なる高性能化の要求が高まってきており、更なる高容量化、高入出力化、
高寿命化を達成することが求められている。
ることが知られている。中でも、黒鉛化度の大きい黒鉛は、リチウムイオン二次電池用の
負極用活物質として用いた場合、黒鉛のリチウム吸蔵の理論容量である372mAh/g
に近い容量が得られ、さらに、コスト・耐久性にも優れることから、負極用活物質として
好ましいことが知られている。一方、高容量化のために負極材料を含む活物質層を高密度
化すると、材料の破壊・変形により、初期サイクル時の充放電不可逆容量の増加、大電流
充放電特性の低下、サイクル特性の低下といった問題点があった。
ルギー処理を施すことにより造粒天然黒鉛を製造し、充填性や高速充放電特性を向上させ
る技術が開示されている。
抑制させ、充放電時の膨れを低減させる技術が開示されている。また、特許文献3では、
造粒天然黒鉛を窒素雰囲気下で500℃〜1250℃にて熱処理することにより、電解液
との過剰な反応性を抑制すると共に、高速充放電特性を向上させる技術が開示されている
。また、特許文献4では石炭系仮焼コークスとパラフィンワックスとを加熱しながら高速
撹拌して球形に造粒する方法が知られている。
造粒天然黒鉛では、原料として用いた鱗片状黒鉛に比べると、高容量で、良好な急速充放
電特性は得られるものの、黒鉛内部におけるLiイオンの挿入脱離サイトが少ないため、
まだその特性は不十分なものであり、酸素官能基量も多いため電解液との副反応が多く、
不可逆容量やガス発生が多いという課題があった。
特許文献3で開示されている窒素雰囲気下で500℃〜1250℃にて熱処理を施した
造粒天然黒鉛では、酸素官能基が低減することにより電解液との副反応を低減させること
が可能であり、また適度に表面結晶構造が乱れることにより低温充電特性が向上するもの
の、黒鉛内部におけるLiイオンの挿入脱離サイトは不足しており、その特性は不十分な
ものであった。
特許文献4の技術では、石炭系仮焼コークスを原料に球形に造粒しているため、放電容
量が低く、その特性は不十分なものであった。
た入出力特性を備えた非水系二次電池を得ることが可能な炭素材を提供し、その結果とし
て、高性能な非水系二次電池を提供することにある。
放出することが可能な非水系二次電池用炭素材であって、該炭素材は下記式1の関係を満
足する黒鉛粒子であることによって高容量、且つ優れた低温入出力特性とサイクル特性を
有する非水系二次電池負極材を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
(式1)
100Y+0.26X>α
(式中、Yは下記式2で表される酸素官能基分散度、Xは体積基準平均粒子径(d50)
(μm)、α=9.4である)
(式2)
酸素官能基分散度(Y)=元素分析法から求められる全酸素含有率(mol%)/X線光
電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)(mol%)
本発明にかかる炭素材が前記効果を奏する理由については、次の様に考えている。
粒子径(d50)(μm))がこの範囲であるということは粒子表面における酸素官能基
の偏在が抑制され、粒子内部にも酸素官能基が分散していることを示している。酸素官能
基はLiイオンの挿入脱離サイトとして機能する黒鉛結晶端面部分に存在することから、
本炭素材は粒子表面だけでなく内部にも適度なLiイオン挿入脱離サイトを有しているこ
とが示唆される。このため、粒子内部においても効率良くLiイオン挿入脱離を行うこと
が可能になり、高容量且つ良好な低温入出力特性を得ることが出来たと考えられる。
池用炭素材であって、該炭素材は下記式1の関係を満足する黒鉛粒子であることを特徴と
する非水系二次電池用炭素材に存する。
(式1)
100Y+0.26X>α
(式中、Yは下記式2で表される酸素官能基分散度、Xは体積基準平均粒子径(d50)
(μm)、α=9.4である)
(式2)
酸素官能基分散度(Y)=元素分析法から求められる全酸素含有率(mol%)/X線光
電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)(mol%)
また本発明の他の要旨は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、
電解質を備えると共に、該負極が集電体と該集電体上に形成された負極活物質層とを備え
ると共に、該負極活物質層が上記の炭素材を含有することを特徴とする非水系二次電池に
存する。
容量で、良好な低温入出力特性、及びサイクル特性を有する非水系二次電池を提供するこ
とができる。
発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨をこえない限り、これらの形
態に特定されるものではない。
本発明の非水系二次電池用炭素材は、リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な非
水系二次電池用炭素材であって、該炭素材は下記式1の関係を満足する黒鉛粒子であるこ
とを特徴とする非水系二次電池用炭素材である。
(式1)
100Y+0.26X>α
(式中、Yは下記式2で表される酸素官能基分散度、Xは体積基準平均粒子径(d50)
(μm)、α=9.4である)
(式2)
酸素官能基分散度(Y)=元素分析法から求められる全酸素含有率(mol%)/X線光
電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)(mol%)
本発明のリチウムイオンを吸蔵・放出可能な非水系二次電池用炭素材は、酸素官能基分
散度と体積基準平均粒子径(d50)(μm)が規定の関係を満足する黒鉛粒子であれば
特に限定されないが、例えば、黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛等が挙げられ、高容量
且つ高電流密度での充放電特性が良好な点から鱗片状、鱗状、及び塊状の天然黒鉛を造粒
した黒鉛であることがより好ましい。
また、黒鉛としては不純物の少ないものが好ましく、不純物の少ない黒鉛は公知である
種々の精製処理を施すことで得ることができる。
phite)、塊状黒鉛(Vein Graphite)、土壌黒鉛(Amorphousu Graphite)に分類される(「
粉粒体プロセス技術集成」((株)産業技術センター、昭和49年発行)の黒鉛の項、お
よび「HANDBOOKOF CARBON,GRAPHITE,DIAMOND AND FULLERENES」(NoyesPubLications発行
)参照)。黒鉛化度は、鱗状黒鉛や塊状黒鉛が100%で最も高く、これに次いで鱗片状
黒鉛が99.9%で高く、本発明において好適である。
であり、鱗状黒鉛の産地は、主にスリランカである。土壌黒鉛の主な産地は、朝鮮半島、
中国、メキシコ等である。
天然黒鉛の中でも、例えば、鱗状、鱗片状、又は塊状の天然黒鉛、高純度化した鱗片状
黒鉛、後述する造粒処理した天然黒鉛(以降、造粒炭素材とよぶことがある)等が挙げら
れる。中でも、炭素材の内部に好適な緻密な細孔を形成させることができ、優れた粒子の
充填性や充放電負荷特性を発揮するという観点から好ましい。
質油、芳香族炭化水素、窒素含有環状化合物、硫黄含有環状化合物、ポリフェニレン、ポ
リ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリビニルブチラール、
天然高分子、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド、フルフリルアルコ
ール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂などの有機物を焼成し、黒鉛
化したものやバルクメソフェーズを黒鉛化したものが挙げられる。
また、バルクメソフェーズ等の黒鉛化可能な骨材又は黒鉛と、黒鉛化可能な有機物とに
黒鉛化触媒を添加して混合し、焼成した後、粉砕することにより得た造粒型人造黒鉛を用
いることもできる。
焼成温度は、2500℃以上、3200℃以下の範囲とすることができ、焼成の際、珪
素含有化合物やホウ素含有化合物などを黒鉛化触媒として用いることもできる。
その他金属としては、Sn、Si、Al、BiなどのLiと合金化可能な金属が挙げられ
る。
本発明の非水系二次電池用炭素材は、酸素官能基分散度と体積基準平均粒子径(d50
)(μm)が規定の関係を満足する黒鉛粒子となるように製造すれば特に制限はないが、
達成手段の一つとしては、少なくとも衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかの力学
的エネルギーを付与して原料黒鉛を造粒し、前記造粒工程は、下記1)及び2)の条件を
満足する造粒剤の存在下で行うことにより得ることができる。
1)前記原料黒鉛を造粒する工程時に液体
2)造粒剤が有機溶剤を含む場合、有機溶剤の内、少なくとも1種は引火点を有さない
、又は引火点を有する場合には該引火点が5℃以上である。
上記造粒工程を有すれば、必要に応じて別の工程を更に有していてもよい。別の工程は
単独で実施しても良いし、複数工程を同時に実施しても良い。
上記方法にて造粒処理を施すと、規定の物性の造粒剤により黒鉛粒子間の液架橋付着力
が生じ、炭素材粒子同士がより強固に付着することが可能となるため、ラマンR値が高く
Liイオン挿入脱離サイトが多い微粉が、造粒処理した炭素材(以降、造粒炭素材と称す
。)となる母材に付着、及び/又は造粒炭素材粒子に内包された構造を取り易くなるため
、ラマンR値が高くLi挿入脱離サイトが多い造粒炭素材を製造することが可能となる。
さらに、造粒剤が潤滑材として作用することによって炭素材表面への物理的ダメージが
軽減され、また、造粒剤が酸素との接触が抑制されることによって造粒処理中の炭素材表
面の酸化も抑制されるため、炭素材の分子構造の共役系が崩れることによる不安定炭素の
生成・増大を抑制することが可能となる。
これらの結果、酸素官能基分散度と体積基準平均粒子径が規定の関係を満足する炭素材
を製造することが可能となる。
上記製造方法のより好ましい実施態様として、下記の第1工程乃至第5工程を含む製造
方法が挙げられる。
(第2工程)原料黒鉛と造粒剤とを混合する工程
(第3工程)原料黒鉛を造粒する工程
(第4工程)造粒剤を除去する工程
(第5工程)造粒炭素材を高純度化する工程
以下、これら工程について説明する。
本発明で用いる原料黒鉛は特に限定されず、上述した黒鉛を使用することが出来る。中
でも、結晶性が高く高容量であることから天然黒鉛を使用することが好ましい。
m以上、更に好ましくは3μm以上、好ましくは80μm以下、より好ましくは50μm
以下、更に好ましくは35μm以下、非常に好ましくは20μm以下、特に好ましくは1
0μm以下、最も好ましくは8μm以下である。平均粒径は後述の方法により測定するこ
とが出来る。
に付着或いは母材の内部に包む込みながら造粒することが可能になり、円形度が高く微粉
が少ない造粒黒鉛を得ることが出来る。
粉砕、及び/または分級する方法が挙げられる。
粉砕に用いる装置に特に制限はないが、例えば、粗粉砕機としてはせん断式ミル、ジョ
ークラッシャー、衝撃式クラッシャー、コーンクラッシャー等が挙げられ、中間粉砕機と
してはロールクラッシャー、ハンマーミル等が挙げられ、微粉砕機としては、機械式粉砕
機、気流式粉砕機、旋回流式粉砕機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、振動ミル
、ピンミル、攪拌ミル、ジェットミル、サイクロンミル、ターボミル等が挙げられる。特
に、10μm以下の炭素材粒子を得る場合には、気流式粉砕機や旋回流式粉砕機を用いる
ことが好ましい。
分級処理に用いる装置としては特に制限はないが、例えば、乾式篩い分けの場合は、回
転式篩い、動揺式篩い、旋動式篩い、振動式篩い等を用いることができ、乾式気流式分級
の場合は、重力式分級機、慣性力式分級機、遠心力式分級機(クラシファイア、サイクロ
ン等)を用いることができ、また、湿式篩い分け、機械的湿式分級機、水力分級機、沈降
分級機、遠心式湿式分級機等を用いることができる。
原料黒鉛に含まれる灰分は、全質量に対して、好ましくは1質量%以下、より好ましく
は0.5質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以下である。また、灰分の下限
は1ppm以上であることが好ましい。
灰分が上記範囲内であると非水系二次電池とした場合に、充放電時の負極材と電解液と
の反応による電池性能の劣化を無視できる程度に抑えることができる。また、負極材の製
造に多大な時間とエネルギーと汚染防止のための設備とを必要としないため、コストの上
昇も抑えられる。
質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以下
、特に好ましくは0.05質量%以下、最も好ましくは0.01質量%以下である。また
、水分量の下限は1ppm以上であることが好ましい。水分量は例えばJISM8811
に準拠した方法で測定することが出来る。水分量が上記範囲内であると、球形化処理の際
に粒子間の静電引力が大きくなるため粒子間付着力が増し、微粉が母材に付着、及び球形
化粒子に内包された状態となりやすく好ましい。
を実施することが出来る。処理温度は、通常60℃以上、好ましくは100℃以上、より
好ましくは200℃以上、更に好ましくは、250℃以上、特に好ましくは300℃以上
、最も好ましくは350℃であり、また通常1500℃以下、好ましくは1000℃以下
、より好ましくは800℃以下、更に好ましくは600℃以下である。低すぎると、水分
量を十分に低減できなくなる傾向があり、高すぎると、生産性の低下、コスト増大を招く
傾向がある。
は10以上、特に好ましくは15以上である。また、好ましくは1000以下、より好ま
しくは500以下、更に好ましくは100以下、特に好ましくは50以下である。アスペ
クト比は、後述する実施例の方法により測定する。アスペクト比が上記範囲内にあると、
粒径が100μm程度の大きな粒子が出来難く、一方で強固な造粒炭素材を得易くなる。
c)は、通常(d002)が3.37Å以下で(Lc)が900Å以上であり、(d00
2)が3.36Å以下で(Lc)が950Å以上であることが好ましい。面間隔(d00
2)及び結晶子の大きさ(Lc)は、負極材バルクの結晶性を示す値であり、002面の
面間隔(d002)の値が小さいほど、また結晶子の大きさ(Lc)が大きいほど、結晶
性が高い負極材であることを示し、黒鉛層間に入るリチウムの量が理論値に近づくので容
量が増加する。結晶性が低いと高結晶性炭素材を電極に用いた場合の優れた電池特性(高
容量で、且つ不可逆容量が低い)が発現されない。面間隔(d002)と結晶子サイズ(
Lc)は、上記範囲が組み合わされていることが特に好ましい。
X線回折は以下の手法により測定する。炭素粉末に総量の約15質量%のX線標準高純
度シリコン粉末を加えて混合したものを材料とし、グラファイトモノクロメーターで単色
化したCuKα線を線源とし、反射式ディフラクトメーター法で広角X線回折曲線を測定
する。その後、学振法を用いて面間隔(d002)及び結晶子の大きさ(Lc)を求める
。
されるが、本明細書では充填構造を定量的に議論する指標の一つとしてタッピング密度を
適用することも可能である。本発明者らの検討では、真密度と平均粒径がほぼ等しい鉛質
粒子では、形状が球状で粒子表面が平滑であるほど、タップ密度が高い値を示すことが確
認されている。すなわち、タップ密度を上げるためには、粒子の形状に丸みを帯びさせて
球状に近づけ、粒子表面のささくれや欠損を除き平滑さを保つことが重要である。粒子形
状が球状に近づき粒子表面が平滑であると、粉体の充填性も大きく向上する。原料黒鉛の
タッピング密度は、好ましくは0.1g/cm3以上であり、より好ましくは0.2g/
cm3以上であり、更に好ましくは0.3g/cm3以上である。タッピング密度は実施
例で後述する方法により測定する。
して利用されている。原料黒鉛のアルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける15
80cm−1付近のピーク強度に対する1360cm−1付近のピーク強度比であるラマ
ンR値は、好ましくは0.05以上0.9以下であり、より好ましくは0.05以上0.
7以下であり、更に好ましくは0.05以上0.5以下である。R値は炭素粒子の表面近
傍(粒子表面から100Å位まで)の結晶性を表す指標であり、R値が小さいほど結晶性
が高い、あるいは結晶状態が乱れていないことを示す。ラマンスペクトルは以下に示す方
法により測定する。具体的には、測定対象粒子をラマン分光器測定セル内へ自然落下させ
ることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、測定セル
をこのレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。なお、アルゴンイオンレ
ーザー光の波長は514.5nmとする。
回折法による菱面体結晶構造に基づく101面の強度3R(101)と六方晶結晶構造に
基づく101面の強度2H(101)との比3R/2Hが好ましくは0.1以上、より好
ましくは0.15以上、更に好ましくは0.2以上である。菱面体結晶構造とは、黒鉛の
網面構造の積み重なりが3層おきに繰り返される結晶形態である。また、六方晶結晶構造
とはとは黒鉛の網面構造の積み重なりが2層おきに繰り返される結晶形態である。菱面体
結晶構造3Rの比率の多い結晶形態を示す鱗片状黒鉛の場合、菱面体結晶構造3Rの比率
の少ない黒鉛に比べLiイオンの受け入れ性が高い。
より好ましくは2m2/g以上20m2/g以下、更に好ましくは5m2/g以上15m
2/g以下である。BET法による比表面積は後述する実施例の方法により測定する。原
料黒鉛の比表面積が上記範囲内にあると、Liイオンの受け入れ性が良好となり、不可逆
容量の増加による電池容量の減少を防ぐことができる。
本発明の非水系二次電池用炭素材を得るには、造粒剤を用いて原料黒鉛を造粒すること
が好ましい。造粒剤は、1)前記原料黒鉛を造粒する工程時に液体及び2)造粒剤が有機
溶剤を含む場合、有機溶剤の内、少なくとも1種は引火点を有さない、又は引火点を有す
る場合には該引火点が5℃以上、の条件を満足するものである。
上記要件を満たす造粒剤を有することで、続く第3工程における原料黒鉛を造粒する工
程の際に、原料黒鉛間を造粒剤が液架橋することにより、原料黒鉛間に液橋内の毛管負圧
と液の表面張力によって生じる引力が粒子間に液架橋付着力として働くため、原料黒鉛間
の液架橋付着力が増大し、原料黒鉛がより強固に付着することが可能となる。
着力の強さはγcosθ値に比例する(ここで、γ:液の表面張力、θ:液と粒子の接触
角)。すなわち、原料黒鉛を造粒する際に、造粒剤は原料黒鉛との濡れ性が高いことが好
ましく、具体的にはγcosθ値>0となるようにcosθ>0となる造粒剤を選択する
のが好ましく、造粒剤の下記測定方法で測定した黒鉛との接触角θが90°未満であるこ
とが好ましい。
HOPG表面に1.2μlの造粒剤を滴下し、濡れ広がりが収束して一秒間の接触角θ
の変化率が3%以下となったとき(定常状態ともいう)の接触角を接触角測定装置(協和
界面社製自動接触角計DM−501)にて測定する。ここで、25℃における粘度が50
0cP以下の造粒剤を用いる場合には25℃における値を、25℃における粘度が500
cPより大きい造粒剤を用いる場合には、粘度が500cP以下となる温度まで加温した
温度における接触角θの測定値とする。
め、黒鉛粒子間の液架橋付着力が増大し、黒鉛粒子同士がより強固に付着することが可能
となる。従って、前記造粒剤の黒鉛との接触角θは85°以下であることがより好ましく
、80°以下であることが更に好ましく、50°以下であることがこと更に好ましく、3
0°以下であることが特に好ましく、20°以下であることが最も好ましい。
材粒子の付着力は向上するため、γは好ましくは0以上、より好ましくは15以上、更に
好ましくは30以上である。
DCA−700)を用いてWilhelmy法により測定する。
は粘度に比例する。このため、原料黒鉛を造粒する造粒工程時において液体であれば造粒
剤の粘度は特段限定されないが、造粒工程時において1cP以上であることが好ましい。
また造粒剤の、25℃における粘度が1cP以上100000cP以下であることが好ま
しく、5cP以上10000cP以下であることがより好ましく、10cP以上8000
cP以下であることが更に好ましく、50cP以上6000cP以下であることが特に好
ましい。粘度が上記範囲内にあると、原料黒鉛を造粒する際に、ローターやケーシングと
の衝突などの衝撃力による付着粒子の脱離を妨ぐことが可能となる。
ientific社製ARES)を用い、カップに測定対象(ここでは造粒剤)を適量入
れ、所定の温度に調節して測定する。せん断速度100s−1におけるせん断応力が0.
1Pa以上の場合にはせん断速度100s−1で測定した値を、せん断速度100s−1
におけるせん断応力が0.1Pa未満の場合には1000s−1で測定した値を、せん断
速度1000s−1におけるせん断応力が0.1Pa未満の場合にはせん断応力が0.1
Pa以上となるせん断速度で測定した値を、本明細における粘度と定義する。なお、用い
るスピンドルを低粘度流体に適した形状とすることでもせん断応力を0.1Pa以上とす
ることが出来る。
種は引火点を有さない、あるいは引火点を有する場合は引火点が5℃以上のものである。
これにより、続く第3工程における原料炭素材を造粒する際に、衝撃や発熱に誘発される
有機化合物の引火、火災、及び爆発の危険を防止することができるため、安定的に効率良
く製造を実施することが出来る。
ンなどのパラフィン系オイルやオレフィン系オイルやナフテン系オイルや芳香族系オイル
などの合成油、植物系油脂類や動物系脂肪族類やエステル類や高級アルコール類などの天
然油、引火点5℃以上、好ましくは21℃以上の溶媒中に樹脂バインダを溶解させた樹脂
バインダ溶液などの有機化合物、水などの水系溶媒、及びそれらの混合物などが挙げられ
る。引火点5℃以上の有機溶剤としては、キシレン、イソプロピルベンゼン、エチルベン
ゼン、プロピルベンゼンなどのアルキルベンゼン、メチルナフタレン、エチルナフタレン
、プロピルナフタレンなどのアルキルナフタレン、スチレンなどのアリルベンゼン、アリ
ルナフタレンなどの芳香族炭化水素類や、オクタン、ノナン、デカンなどの脂肪族炭化水
素類や、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン
類や、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミルなどのエステル類や、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブチ
ルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ト
リエチレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類や、
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチ
レングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエ
チレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、
メトキシプロパノール、メトキシプロピル−2−アセテート、メトキシメチルブタノール
、メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレング
リコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレン
グリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチ
レングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、などのグ
リコール類誘導体類や、1,4−ジオキサンなどのエーテル類や、ジメチルホルムアミド
、ピリジン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどの含窒素化合物、ジメチ
ルスルホキシドなどの含硫黄化合物、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジク
ロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどの含ハロゲン化合物、及びそれらの
混合物などがあげられ、例えばトルエンのような引火点が低い物は含まれない。これら有
機溶剤は単体として造粒剤としても用いることが出来る。
ス、メチルセルロース、及びそれらの塩等のセルロース系の樹脂バインダ、ポリメチルア
クリレート、ポリエチルアクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリアクリル酸、及び
それらの塩等のアクリル系の樹脂バインダ、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタ
クリレート、ポリブチルメタクリレート等のメタクリル系の樹脂バインダ、フェノール樹
脂バインダ等を使用することができる。以上の中でも、コールタール、石油系重質油、流
動パラフィンなどのパラフィン系オイル、芳香族系オイルが、円形度が高く微粉が少ない
負極材を製造できるため好ましい。
が可能であり、容量や入出力特性や保存・サイクル特性などの電池特性への悪影響を与え
ることが無い性状のものが好ましい。具体的には、不活性雰囲気下700℃に加熱した時
に通常50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上、更に好ましくは
99%以上、特に好ましくは99.9%以上重量減少するものを適宜選択することが出来
る。
ーダーを用いて混合する方法や、有機化合物を低粘度希釈溶媒に溶解させた造粒剤と原料
黒鉛を混合した後に該希釈溶媒を除去する方法等が挙げられる。また、続く第3工程にて
原料黒鉛を造粒する際に、造粒装置に造粒剤と原料黒鉛とを投入して、原料黒鉛と造粒剤
を混合する工程と造粒する工程とを同時に行う方法も挙げられる。
好ましくは1重量部以上、更に好ましくは3重量部以上、より更に好ましくは6重量部以
上、こと更に好ましくは10重量部以上、特に好ましくは12重量部以上、最も好ましく
は15重量部以上であり、好ましくは1000重量部以下、より好ましくは100重量部
以下、更に好ましくは80重量部以下、特に好ましくは50重量部以下、最も好ましくは
20重量部以下である。上記範囲内にあると、粒子間付着力の低下による造粒度の低下や
、装置への原料黒鉛の付着による生産性の低下といった問題が生じ難くなる。
本発明は、少なくとも衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかの力学的エネルギー
を付与して原料炭素材を造粒する工程により製造されることが好ましい。この工程に用い
る装置としては、例えば、衝撃力を主体に、原料黒鉛の相互作用も含めた圧縮、摩擦、せ
ん断力等の機械的作用を繰り返し与える装置を用いることができる。
ーが高速回転することによって、内部に導入された原料黒鉛に対して衝撃、圧縮、摩擦、
せん断力等の機械的作用を与え、表面処理を行なう装置が好ましい。また、原料炭素材を
循環させることによって機械的作用を繰り返し与える機構を有するものであるのが好まし
い。
このような装置としては、例えば、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所
社製)、クリプトロン、クリプトロンオーブ(アーステクニカ社製)、CFミル(宇部興
産社製)、メカノフュージョンシステム、ノビルタ、ファカルティ(ホソカワミクロン社
製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)、COMPOSI(日本コークス工業製)等
が挙げられる。これらの中で、奈良機械製作所社製のハイブリダイゼーションシステムが
好ましい。
m/秒以上、より好ましくは50m/秒以上、更に好ましくは60m/秒以上、特に好ま
しくは70m/秒以上、最も好ましくは80m/秒以上であり、好ましくは100m/秒
以下である。上記範囲内であると、より効率的に造粒と同時に微粉の母材への付着や母材
による内包を行うことができるため好ましい。
また、原料黒鉛に機械的作用を与える処理は、単に原料黒鉛を通過させるだけでも可能
であるが、原料黒鉛を30秒以上、装置内を循環又は滞留させて処理するのが好ましく、
より好ましくは1分以上、更に好ましくは3分以上、特に好ましくは5分以上、装置内を
循環又は滞留させて処理する。
もよく、その他の物質としては、例えばリチウムと合金化可能な金属或いはその酸化物、
非晶質炭素、及び生コークスなどが挙げられる。原料黒鉛以外の物質と併せて造粒するこ
とで様々なタイプの粒子構造の非水系二次電池用炭素材を製造できる。
て逐次投入してもよく、連続投入してもよい。また、原料黒鉛や造粒剤や上記その他の物
質は上記装置内に同時に投入してもよく、混合して投入してもよく、別々に投入してもよ
い。原料黒鉛と造粒剤と上記その他の物質を同時に混合してもよいし、原料黒鉛と造粒剤
を混合したものに上記その他の物質を添加してもよいし、その他の物質と造粒剤を混合し
たものに原料黒鉛を添加してもよい。粒子設計に併せて、別途適切なタイミングで添加・
混合することができる。
造できる。代表的な粒子構造としては、原料黒鉛の平均粒径が大きい又は中程度である鱗
片黒鉛を折り畳んで製造する造粒炭素材、平均粒径が小さい鱗片黒鉛を造粒して製造する
造粒炭素材などが挙げられる。
このような様々なタイプの粒子構造の造粒炭素材を安定して製造できることの一例とし
て、全固形原料重量に対する造粒炭素材重量比で表される歩留まり(造粒炭素材重量/全
固形原料重量)が通常60%以上であり、80%以上であることが好ましく、95%以上
であることがより好ましい。
本発明においては、前記造粒剤を除去する工程を有していてもよい。造粒剤を除去する
方法としては、例えば、溶剤により洗浄する方法や、熱処理により造粒剤を揮発・分解除
去する方法が挙げられる。
熱処理温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは
200℃以上、より更に好ましくは300℃以上、特に好ましくは400℃以上、最も好
ましくは500℃であり、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1000℃以下、
更に好ましくは800℃以下である。上記範囲内にあると、十分に造粒剤を揮発・分解除
去でき生産性を向上できる。
しくは2〜30時間、特に好ましくは3〜24時間である。上記範囲内にあると、十分に
造粒剤を揮発・分解除去でき生産性を向上できる。
囲気などの不活性雰囲気があげられ、200℃〜300℃で熱処理する場合には特段制限
はないが、300℃以上で熱処理を行う場合には、炭素材表面の酸化を防止する観点で、
窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気が好ましい。
本発明においては、造粒炭素材を高純度化する工程を有していてもよい。造粒炭素材を
高純度化する方法としては、硝酸や塩酸を含む酸処理を行う方法が挙げられ、活性の高い
硫黄元となりうる硫酸塩を系内に導入することなく炭素材中の金属、金属化合物、無機化
合物などの不純物を除去できるため好ましい。
なお、上記酸処理は、硝酸や塩酸を含む酸を用いればよく、その他の酸、例えば、臭素
酸、フッ酸、ホウ酸あるいはヨウ素酸などの無機酸、または、クエン酸、ギ酸、酢酸、シ
ュウ酸、トリクロロ酢酸あるいはトリフルオロ酢酸などの有機酸を適宜混合した酸を用い
ることもできる。好ましくは濃フッ酸、濃硝酸、濃塩酸であり、より好ましくは濃硝酸、
濃塩酸である。なお、本発明において硫酸にて黒鉛を処理してもよいが、本発明の効果や
物性を損なわない程度の量と濃度にて用いることとする。
良く除去できるため好ましい。上記のように酸の種類を組み合わせた場合の混合酸の混合
比率は、最も少ないものが通常10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好まし
くは、25質量%以上である。上限は、全て等量混合した値である(100質量%/酸の
種類で表される)。
くは100:20以上、より好ましくは、100:30以上、更に好ましくは、100:
40以上であり、また100:1000以下、好ましくは100:500以下、より好ま
しくは100:300以下である。
、通常0.5〜48時間、好ましくは1〜40時間、より好ましくは2〜30、更に好ま
しくは、3〜24時間である。
浸漬温度は、通常25℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更
に好ましくは、60℃以上である。水系の酸を用いる場合の理論上限は水の沸点である1
00℃である。
更に水洗浄を実施することが好ましい。例えば、前記処理黒鉛のpHが、通常3以上、好
ましくは3.5以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは4.5以上であれば、水で
洗浄することは省略できるし、もし上記範囲でなければ、必要に応じて水で洗浄すること
が好ましい。洗浄する水は、イオン交換水や蒸留水を用いることが、洗浄効率の向上、不
純物混入防止の観点から好ましい。水中のイオン量の指標となる比抵抗が、通常0.1M
Ω・cm以上、好ましくは1MΩ・cm以上、より好ましくは、更に好ましくは10MΩ
・cm以上、である。25℃での理論上限は18.24MΩ・cmである。
、好ましくは1〜40時間、より好ましくは2〜30時間、更に好ましくは、3〜24時
間である。
前記処理炭素材と水との混合割合は、通常100:10以上、好ましくは100:30
以上、より好ましくは、100:50以上、更に好ましくは、100:100以上であり
、また100:1000以下、好ましくは100:700以下、より好ましくは100:
500以下、更に好ましくは100:400以下である。
に好ましくは、60℃以上である。上限は水の沸点である100℃である。また、水洗浄
処理をバッチ式にて行う場合は、純水中での攪拌−ろ過の処理工程を複数回繰り返して洗
浄行うことが不純物・酸分除去の観点から好ましい。上記処理は、上述した処理炭素材の
pHが上記範囲になるように繰り返し行ってもよい。通常、1回以上、好ましくは2回以
上、より好ましくは、3回以上である。
0ppm以下、好ましくは100ppm以下、より好ましくは50ppm以下、更に好ま
しくは30ppm以下、また通常1ppm以上、好ましくは2ppm以上、より好ましく
は3ppm以上、更に好ましくは4ppm以上となる。
本発明においては、造粒炭素材の不安定炭素量や結晶性を調整するため、熱処理する工
程を有していてもよい。上述の造粒処理を施す場合には炭素材粒子表面の不安低炭素量が
増大しすぎる場合があり、熱処理を行なうことによって、不安低炭素量を適度に少なくす
ることができる。
熱処理時の温度条件は特に制限されないが、目的とする結晶化度の程度に応じて、通常
300℃以上、好ましくは500℃、更に好ましくは700℃、特に好ましくは800℃
以上、また、通常2000℃以下、好ましくは1500℃以下、特に好ましくは1200
℃以下の範囲である。上記温度条件であると、炭素材粒子表面の結晶性を適度に高めるこ
とができる。
また、造粒炭素材として結晶性が低い炭素材を含有する場合、放電容量を大きくするこ
と目的とし、本工程において結晶性の低い炭素材を黒鉛化して結晶性を高めることが出来
る。熱処理時の温度条件は特に制限されないが、目的とする結晶化度の程度に応じて、通
常600℃以上、好ましくは900℃、更に好ましくは1600℃、特に好ましくは25
00℃以上、また、通常3200℃以下、好ましくは3100℃以下の範囲である。上記
温度条件であると、炭素材粒子表面の結晶性を高めることができる。
熱処理を行なう時に、温度条件を上記範囲に保持する保持時間は特に制限されないが、
通常10秒より長時間であり、72時間以下である。
熱処理は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下、又は、原料黒鉛から発生するガスによる
非酸化性雰囲気下で行なう。熱処理に用いる装置としては特に制限はないが、例えば、シ
ャトル炉、トンネル炉、電気炉、リードハンマー炉、ロータリーキルン、直接通電炉、ア
チソン炉、抵抗加熱炉、誘導加熱炉等を用いることができる。
本発明では、造粒炭素材に、さらに造粒炭素材より結晶性が低い炭素質物を添着する工
程を有していてもよい。この工程によれば、電解液との副反応抑制や、急速充放電性の向
上できる負極材を得ることができる。
造粒炭素材に、さらに造粒炭素材より結晶性が低い炭素質物を添着した複合炭素材を「
炭素質物複合炭素材」と呼ぶことがある)。
、非酸化性雰囲気下、好ましくは窒素、アルゴン、二酸化炭素などの流通下に加熱して、
有機化合物を炭素化又は黒鉛化させる処理である。
ッチや石炭液化油などの炭素系重質油、原油の常圧又は減圧蒸留残渣油などの石油系重質
油、ナフサ分解によるエチレン製造の副生物である分解系重質油など種々のものを用いる
ことができる。
また、分解系重質油を熱処理することで得られるエチレンタールピッチ、FCCデカン
トオイル、アシュランドピッチなどの熱処理ピッチ等を挙げることができる。さらにポリ
塩化ビニル、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等の
ビニル系高分子と3−メチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、3,5−ジメチルフェノ
ールホルムアルデヒド樹脂等の置換フェノール樹脂、アセナフチレン、デカシクレン、ア
ントラセンなどの芳香族炭化水素、フェナジンやアクリジンなどの窒素環化合物、チオフ
ェンなどのイオウ環化合物などを挙げることができる。また、固相で炭素化を進行させる
有機化合物としては、セルロースなどの天然高分子、ポリ塩化ビニリデンやポリアクリロ
ニトリルなどの鎖状ビニル樹脂、ポリフェニレン等の芳香族系ポリマー、フルフリルアル
コール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂等熱硬化性樹脂やフルフリ
ルアルコールのような熱硬化性樹脂原料などを挙げることができる。これらの中でも石油
系重質油が好ましい。
0℃以上、好ましくは900℃以上、より好ましくは950℃以上に加熱して十分に炭素
化又は黒鉛化させる。加熱温度の上限は有機化合物の炭化物が、天然黒鉛の結晶構造と同
等の結晶構造に達しない温度であり、通常は高くても3500℃である。加熱温度の上限
は3000℃、好ましくは2000℃、より好ましくは1500℃に止めるのが好ましい
。
素質物複合炭素材とすることができる。
形状は任意であるが、平均粒径は、通常2〜50μmであり、5〜35μmが好ましく
、特に8〜30μmである。上記粒径範囲となるよう、必要に応じて、解砕及び/又は粉
砕及び/又は分級を行う。
炭素質物複合炭素材中の炭素質物の含有量は、原料となる造粒黒鉛に対して、通常0.
01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3%以上、特に好ま
しくは0.7質量%以上であり、また前記含有量は、通常20質量%以下、好ましくは1
5質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、特に好ましくは7質量%以下、最も好ま
しくは5質量%以下である。
量を達成する為に十分な圧力で圧延を行った場合に、負極材にダメージが与えられて材料
破壊が起こり、初期サイクル時充放電不可逆容量の増大、初期効率の低下を招く傾向があ
る。
一方、含有量が小さすぎると、被覆による効果が得られにくくなる傾向がある。
ンプル質量より算出できる。なおこのとき、造粒炭素材の焼成前後質量変化はないものと
して計算する。
(w1を造粒炭素材の質量(kg)、w2を炭素質物複合炭素材の質量(kg)とする)
また、本発明では、極板の配向性、電解液の浸透性、導電パス等を向上させ、サイクル
特性、極版膨れ等の改善を目的とし、前記造粒炭素材とは異なる炭素材料を混合すること
ができる(以下、前記造粒炭素材に、前記造粒炭素材とは異なる炭素材料を混合して得ら
れた炭素材を「混合炭素材」と呼ぶことがある)。
前記炭素材とは異なる炭素材料としては、例えば天然黒鉛、人造黒鉛、炭素材を炭素質
物で被覆した被覆黒鉛、非晶質炭素、金属粒子や金属化合物を含有した炭素材の中から選
ばれる材料を用いることができる。これらの材料は、何れかを一種を単独で用いても良く
、二種以上を任意の組み合わせ及び組成で併用しても良い。
きる。本発明でいう高純度化とは、通常、塩酸、硫酸、硝酸、弗酸などの酸中で処理する
、若しくは複数の酸処理工程を組み合わせて行なうことにより、低純度天然黒鉛中に含ま
れる灰分や金属等を溶解除去する操作のことを意味し、通常、酸処理工程の後に水洗処理
等を行ない高純度化処理工程で用いた酸分の除去をする。また、酸処理工程の代わりに2
000℃以上の高温で処理することにより、灰分や金属等を蒸発、除去しても構わない。
また、高温熱処理時に塩素ガス等ハロゲンガス雰囲気で処理することにより灰分や金属等
を除去しても構わない。更にまた、これらの手法を任意に組み合わせて用いても良い。
くは10μm以上、特に好ましくは12μm以上また、通常60μm以下、好ましくは4
0μm以下、特に好ましくは30μm以下の範囲である。平均粒径がこの範囲であれば、
高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
天然黒鉛のBET比表面積は、通常1m2/g以上、好ましくは2m2/g以上、また
、通常30m2/g以下、好ましくは15m2/g以下の範囲である。比表面積がこの範
囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
また、天然黒鉛のタップ密度は、通常0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上が
好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好まし
い。また、通常1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下が好ましく、1.1g/c
m3以下がより好ましい。この範囲であれば高速充放電特性、工程性が良好となるため好
ましい。
粒子を粉状のまま焼成、黒鉛化した粒子や、複数の黒鉛前駆体粒子を成形し焼成、黒鉛化
し解砕した造粒粒子などを用いることができる。
人造黒鉛の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通
常60μm以下、好ましくは40μm、更に好ましくは30μm以下の範囲である。この
範囲であれば、極板膨れの抑制や工程性が良好となるため好ましい。
人造黒鉛のBET比表面積は、通常0.5m2/g以上、好ましくは1.0m2/g以
上、また、通常8m2/g以下、好ましくは6m2/g以下、更に好ましくは4m2/g
以下の範囲である。この範囲であれば、極板膨れの抑制や工程性が良好となるため好まし
い。
好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好まし
い。また、通常1.5g/cm3以下、1.4g/cm3以下が好ましく、1.3g/c
m3以下がより好ましい。この範囲であれば、極板膨れの抑制や工程性が良好となるため
好ましい。
た炭素質物の前駆体である有機化合物を被覆、焼成及び/又は黒鉛化した粒子や、天然黒
鉛や人造黒鉛に炭素質物をCVDにより被覆した粒子を用いることができる。
くは10μm以上、特に好ましくは12μm以上また、通常60μm以下、好ましくは4
0μm以下、特に好ましくは30μm以下の範囲である。平均粒径がこの範囲であれば、
高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
被覆黒鉛のBET比表面積は、通常1m2/g以上、好ましくは2m2/g以上、更に
好ましくは2.5m2/g以上、また、通常20m2/g以下、好ましくは10m2/g
以下、更に好ましくは8m2/g以下、特に好ましくは5m2/g以下の範囲である。比
表面積がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好まし
い。また、通常1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下が好ましく、1.1g/c
m3以下がより好ましい。タップ密度がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良
好となるため好ましい。
化合物を不融化処理し、焼成した粒子を用いることができる。
非晶質炭素の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは12μm以上、また、
通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。この範囲であれば、高速充放
電特性、工程性が良好となるため好ましい。
非晶質炭素のBET比表面積は、通常1m2/g以上、好ましくは2m2/g以上、更
に好ましくは2.5m2/g以上、また、通常8m2/g以下、好ましくは6m2/g以
下、更に好ましくは4m2/g以下の範囲である。比表面積がこの範囲であれば、高速充
放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
が好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好ま
しい。また、通常1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下が好ましく、1.1g/
cm3以下がより好ましい。タップ密度がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が
良好となるため好ましい。
Ni、Ag、Si、Sn、Al、Zr、Cr、P、S、V、Mn、Nb、Mo、Cu、Z
n、Ge、In、Ti等からなる群から選ばれる金属又はその化合物を黒鉛と複合化した
材料が挙げられる。用いることができる金属又はその化合物としては、2種以上の金属か
らなる合金を使用しても良く、金属粒子が、2種以上の金属元素により形成された合金粒
子であってもよい。これらの中でも、Si、Sn、As、Sb、Al、Zn及びWからな
る群から選ばれる金属又はその化合物が好ましく、中でも好ましくはSi及びSiOxで
ある。この一般式SiOxは、二酸化Si(SiO2)と金属Si(Si)とを原料とし
て得られるが、そのxの値は通常0<x<2であり、好ましくは0.2以上、1.8以下
、より好ましくは0.4以上、1.6以下、更に好ましくは0.6以上、1.4以下であ
る。この範囲であれば、高容量であると同時に、Liと酸素との結合による不可逆容量を
低減させることが可能となる。
金属粒子の体積基準平均粒径は、サイクル寿命の観点から、通常0.005μm以上、
好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上、更に好ましくは0.0
3μm以上であり、通常10μm以下、好ましくは9μm以下、より好ましくは8μm以
下である。平均粒径がこの範囲であると充放電に伴う体積膨張が低減され、充放電容量を
維持しつつ、良好なサイクル特性を得ることができる。
金属粒子のBET比表面積は、通常0.5m2/g以上120m2/g以下、1m2/
g以上100m2/g以下であることが好ましい。比表面積が前記範囲内であると、電池
の充放電効率および放電容量が高く、高速充放電においてリチウムの出し入れが速く、レ
ート特性に優れるので好ましい。
ては、特に制限はないが、例えば、回転型混合機の場合:円筒型混合機、双子円筒型混合
機、二重円錐型混合機、正立方型混合機、鍬形混合機、固定型混合機の場合:螺旋型混合
機、リボン型混合機、Muller型混合機、HelicalFlight型混合機、P
ugmill型混合機、流動化型混合機等を用いることができる。
・酸素官能基分散度と体積基準平均粒子径(d50)の関係
本発明の炭素材は、下記式(1)の関係を満足するものである。
(式1)
100Y+0.26X>α
(式中、Yは下記式2で表される酸素官能基分散度、Xは体積基準平均粒子径(d50)
(μm)、α=9.4である)
(式2)
酸素官能基分散度(Y)=元素分析法から求められる全酸素含有率(mol%)/X線光
電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)(mol%)
より好ましくは9.6、更に好ましくは9.7、特に好ましくは9.8、最も好ましくは
10.0である。
上記式(1)で表される関係が満足できない場合、粒子内部において効率良くLiイオ
ン挿入脱離を行うことが出来ずに、低温入出力特性や容量が低下する傾向がある。
本発明の炭素材の体積基準平均粒径(「d50」とも記載する)は好ましくは1μm以
上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは8μm以上、特に好ましくは10μm以
上、最も好ましくは12μm以上である。また平均粒径d50は、通常50μm以下、好
ましくは40μm以下、より好ましくは35μm以下、更に好ましくは30μm以下、特
に好ましくは25μm以下である。平均粒径d50が小さすぎると、前記炭素材を用いて
得られる非水系二次電池の不可逆容量の増加、初期電池容量の損失を招く傾向があり、一
方平均粒径d50が大きすぎるとスラリー塗布における筋引きなどの工程不都合の発生、
高電流密度充放電特性の低下、低温入出力特性の低下を招く場合がある。
ビタンモノラウレート(例として、ツィーン20(登録商標)が挙げられる)の0.2質
量%水溶液10mLに、炭素材0.01gを懸濁させ、これを測定サンプルとして市販の
レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えばHORIBA製LA−920)に導入し
、測定サンプルに28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、前記測定装置に
おいて体積基準のメジアン径として測定したものであると定義する。
X線光電子分光法測定(XPS)としてX線光電子分光器(例えば、アルバック・ファ
イ社製ESCA)を用い、測定対象(ここでは黒鉛材料)を表面が平坦になるように試料
台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(
280〜300eV)とO1s(525〜545eV)のスペクトルを測定する。得られ
たC1sのピークトップを284.3eVとして帯電補正し、C1sとO1sのスペクト
ルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CとOの表面原子濃度をそれぞれ算
出する。得られたそのOとCの原子濃度比O/C(O原子濃度/C原子濃度)×100を
炭素材料の表面官能基量O/C値と定義する。
XPSより求められるO/C値は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.1以
上、更に好ましくは0.3以上、特に好ましくは0.5以上、最も好ましくは0.7以上
、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.2以下、特に好ま
しくは1以下、最も好ましくは0.8以下である。この表面官能基量O/C値が上記範囲
内であれば、負極活物質表面におけるLiイオンと電解液溶媒の脱溶媒和反応性が促進さ
れ急速充放電特性が良好となり、電解液との反応性が抑制され充放電効率が良好となる傾
向がある。
酸素窒素水素量測定として、酸素窒素水素分析装置(LECO社製ONH分析計TCH
600)を用い、炭素材50mgをインパルス炉にて不活性ガス雰囲気下で溶融分解し、
排出されたキャリアガス中の一酸化炭素量、及び二酸化炭素量を赤外検出器で検出するこ
とにより、炭素材に含まれる全含有酸素量(mol%)を算出する。
酸素窒素水素量測定より求められる全含有酸素量(mol%)は、好ましくは0.00
1mol%以上、より好ましくは0.01mol%以上、更に好ましくは0.02mol
%以上、特に好ましくは0.03mol%以上、最も好ましくは0.04mol%以上、
好ましくは0.5mol%以下、より好ましくは0.2mol%以下、更に好ましくは0
.15mol%以下、特に好ましくは0.1mol%以下、最も好ましくは0.08mo
l%以下である。全含有酸素量(mol%)が上記範囲内であれば、負極活物質表面にお
けるLiイオンと電解液溶媒の脱溶媒和反応性が促進され急速充放電特性が良好となり、
電解液との反応性が抑制され充放電効率が良好となる傾向がある。
本発明の炭素材の酸素官能基分散度は、通常0.01以上、好ましくは0.04以上、
より好ましくは0.06以上、更に好ましくは0.07以上、通常1以下、好ましくは0
.5以下、より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.2以下である。
上記範囲内であるということは、粒子表面における酸素官能基の偏在が抑制され、酸素
官能基が粒子内部にも分散していることを示している。酸素官能基はLiイオンの挿入脱
離サイトとして機能する黒鉛結晶端面部分に存在することから、本炭素材は粒子表面だけ
でなく内部にも適度なLiイオン挿入脱離サイトを有していることが示唆される。このた
め上記範囲内であれば、粒子内部においても効率良くLiイオン挿入脱離を行うことが可
能になり、高容量且つ良好な低温入出力特性を示す傾向がある。
本発明の炭素材の下記式3で表されるラマンR値は、通常0.01以上、好ましくは0
.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.25以上、特に好ましくは0
.3以上、最も好ましくは0.35以上である。また、ラマンR値の上限に特に制限はな
いが、通常1以下、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、更に好ましくは
0.5以下である。
ラマン値R=ラマンスペクトル分析における1360cm-1付近のピークPBの強度IB
/1580cm-1付近のピークPAの強度IA
なお、本明細書において「1580cm−1付近」とは1580〜1620cm-1の範
囲を、「1360cm−1付近」とは1350〜1370cm-1の範囲を指す。
オン挿入脱離サイトが十分に存在できるため、良好な低温入出力特性と放電容量を持つ炭
素材が得られる傾向がある。
定セル内へ自然落下させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を
照射しながら、測定セルをこのレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。
測定条件は以下の通りである。
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平
均によるコンボリューション5ポイント)
本発明の炭素材のBET法により測定した比表面積(SA)は、好ましくは1m2/g
以上、より好ましくは5m2/g以上、更に好ましくは8m2/g以上、最も好ましくは
12m2/g以上、最も好ましくは13m2/g以上である。また、好ましくは30m2
/g以下、より好ましくは20m2/g以下、更に好ましくは17m2/g以下である。
比表面積が上記範囲内であると、Liが出入りする部位を十分確保することができるため
高速充放電特性出力特性に優れ、活物質の電解液に対する活性も適度抑えることができる
ため、初期不可逆容量が大きくならず、高容量電池を製造できる傾向にある。
き、ガス発生を抑えることができるため、好ましい非水系二次電池を提供することができ
る。 BET比表面積は、表面積計(例えば大倉理研社製比表面積測定装置「AMS80
00」)を用い、炭素材試料に対して窒素流通下100℃、3時間の予備減圧乾燥を行な
った後、液体窒素温度まで冷却し、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるよう
に正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET法によ
って測定した値として定義する。
本発明の炭素材の円形度は、0.88以上、好ましくは0.90以上、より好ましくは
0.91以上、更に好ましくは0.92以上である。また、円形度は好ましくは1以下、
より好ましくは0.98以下、更に好ましくは0.97以下である。円形度が上記範囲内
であると、非水系二次電池の高電流密度充放電特性の低下を抑制できる傾向にある。なお
、円形度は以下の式で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
円形度が上記範囲内であると、円形度が上記範囲内であると、Liイオン拡散の屈曲度
が下がって粒子間空隙中の電解液移動がスムーズになり、且つ適度に炭素材同士が接触す
ることが可能なため、良好な急速充放電特性、及びサイクル特性を示す傾向がある。
囲長)
ストリアル社製FPIA)を用い、試料(炭素材)約0.2gを、界面活性剤であるポリ
オキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2質量%水溶液(約50mL)
に分散させ、分散液に28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、検出範囲を
0.6〜400μmに指定し、粒径が1.5〜40μmの範囲の粒子について測定した値
を用いる。
本発明の炭素材のタップ密度は好ましくは0.7g/cm3以上、より好ましくは0.
75g/cm3以上、更に好ましくは0.80g/cm3以上、特に好ましくは0.85
g/cm3以上、好ましくは1.3g/cm3以下であり、より好ましくは1.2g/c
m3以下であり、更に好ましくは1.1g/cm3以下である。
高速充放電特性に優れる。また、粒子内炭素密度が上昇し難いため圧延性も良好で、高密
度の負極シートを形成する易くなる傾向にある。
前記タップ密度は、粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円
筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して本発明の炭素材を落下させて、セルに
満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積
と試料の質量から求めた密度として定義する。
本発明の炭素材の、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距
離)は、好ましくは0.335nm以上、0.340nm未満である。ここで、d値はよ
り好ましくは0.339nm以下、更に好ましくは0.337nm以下である。d002
値が上記範囲内にあると、黒鉛の結晶性が高いため、初期不可逆容量が増加を抑制する傾
向にある。ここで、0.335nmは黒鉛の理論値である。
は1.5nm以上、より好ましくは3.0nm以上の範囲である。上記範囲内であると、
結晶性が低過ぎない粒子となり、非水系二次電池とした場合に可逆容量が減少し難くなる
。なお、Lcの下限は黒鉛の理論値である。
本発明の非水系二次電池用負極(以下適宜「電極シート」ともいう。)は、集電体と、
集電体上に形成された負極活物質層とを備えると共に、活物質層は少なくとも本発明の炭
素材とを含有することを特徴とする。更に好ましくはバインダを含有する。
バインダとしては、分子内にオレフィン性不飽和結合を有するものを用いる。その種類
は特に制限されないが、具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン・イソプ
レン・スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・
プロピレン・ジエン共重合体などが挙げられる。このようなオレフィン性不飽和結合を有
するバインダを用いることにより、活物質層の電解液に対する膨潤性を低減することがで
きる。中でも入手の容易性から、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
て用いることにより、負極板の強度を高くすることができる。負極の強度が高いと、充放
電による負極の劣化が抑制され、サイクル寿命を長くすることができる。また、本発明に
係る負極では、活物質層と集電体との接着強度が高いので、活物質層中のバインダの含有
量を低減させても、負極を捲回して電池を製造する際に、集電体から活物質層が剥離する
という課題も起こらないと推察される。
か、或いは、不飽和結合の割合が大きいものが望ましい。具体的に、分子量が大きいバイ
ンダの場合には、その重量平均分子量が好ましくは1万以上、より好ましくは5万以上、
また、好ましくは100万以下、より好ましくは30万以下の範囲にあるものが望ましい
。また、不飽和結合の割合が大きいバインダの場合には、全バインダの1g当たりのオレ
フィン性不飽和結合のモル数が、好ましくは2.5×10−7モル以上、より好ましくは
8×10−7モル以上、また、好ましくは1×10−6モル以下、より好ましくは5×1
0−6モル以下の範囲にあるものが望ましい。バインダとしては、これらの分子量に関す
る規定と不飽和結合の割合に関する規定のうち、少なくとも何れか一方を満たしていれば
よいが、両方の規定を同時に満たすものがより好ましい。オレフィン性不飽和結合を有す
るバインダの分子量が上記範囲内であると機械的強度と可撓性に優れる。
%以上、より好ましくは20%以上、更に好ましくは40%以上、また、好ましくは90
%以下、より好ましくは80%以下である。なお、不飽和度とは、ポリマーの繰り返し単
位に対する二重結合の割合(%)を表す。
本発明においては、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダも、本発明の効果が失
われない範囲において、上述のオレフィン性不飽和結合を有するバインダと併用すること
ができる。オレフィン性不飽和結合を有するバインダに対する、オレフィン性不飽和結合
を有さないバインダの混合比率は、好ましくは150質量%以下、より好ましくは120
質量%以下の範囲である。
ことができるが、併用量が多すぎると活物質層の強度が低下する。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの例としては、メチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース、澱粉、カラギナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサ
ンタンガム)等の増粘多糖類、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリ
エーテル類、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類、ポ
リアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、或いはこれらポリマーの金属塩、ポリフッ
化ビニリデン等の含フッ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルカン系ポ
リマー及びこれらの共重合体などが挙げられる。
用いた場合、活物質層に用いるバインダの比率を従来に比べて低減することができる。具
体的に、本発明の炭素材と、バインダ(これは場合によっては、上述のように不飽和結合
を有するバインダと、不飽和結合を有さないバインダとの混合物であってもよい。)との
質量比率は、それぞれの乾燥質量比で、好ましくは90/10以上、より好ましくは95
/5以上であり、好ましくは99.9/0.1以下、より好ましくは99.5/0.5以
下の範囲である。バインダの割合が上記範囲内であると容量の減少や抵抗増大を抑制でき
、さらに極板強度にも優れる。
し、これを集電体に塗布することにより形成される。分散媒としては、アルコールなどの
有機溶媒や、水を用いることができる。このスラリーには更に、所望により導電剤を加え
てもよい。導電剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラ
ックなどのカーボンブラック、平均粒径1μm以下のCu、Ni又はこれらの合金からな
る微粉末などが挙げられる。導電剤の添加量は、本発明の炭素材に対して好ましくは10
質量%以下程度である。
は、圧延銅箔、電解銅箔、ステンレス箔等の金属薄膜が挙げられる。集電体の厚さは、好
ましくは4μm以上、より好ましくは6μm以上であり、好ましくは30μm以下、より
好ましくは20μm以下である。
スラリーを集電体上に塗布した後、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上
、また、好ましくは200℃以下、より好ましくは195℃以下の温度で、乾燥空気又は
不活性雰囲気下で乾燥し、活物性層を形成する。
ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上、また、好ましくは200μm以下
、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは75μm以下である。活物質層の厚み
が上記範囲内であると、活物質の粒径との兼ね合いから負極としての実用性に優れ、高密
度の電流値に対する十分なLiの吸蔵・放出の機能を得ることができる。
ましくは1.55g/cm3以上、より好ましくは1.6g/cm3以上、更に好ましくは
1.65g/cm3以上、特に好ましくは1.7g/cm3以上である。また、好ましくは
1.9g/cm3以下である。密度が上記範囲内であると、単位体積あたりの電池の容量
は充分確保でき、レート特性も低下し難くなる。
や他の材料の選択については、特に制限されない。また、この負極を用いてリチウムイオ
ン二次電池を作製する場合も、リチウムイオン二次電池を構成する正極、電解液等の電池
構成上必要な部材の選択については特に制限されない。以下、本発明の炭素材を用いたリ
チウムイオン二次電池用負極及びリチウムイオン二次電池の詳細を例示するが、使用し得
る材料や作製の方法等は以下の具体例に限定されるものではない。
本発明の非水系二次電池、特にリチウムイオン二次電池の基本的構成は、従来公知のリ
チウムイオン二次電池と同様であり、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び
負極、並びに電解質を備える。負極としては、上述した本発明の負極を用いる。
正極は、正極活物質及びバインダを含有する正極活物質層を、集電体上に形成したもの
である。
放出できる金属カルコゲン化合物などが挙げられる。金属カルコゲン化合物としては、バ
ナジウムの酸化物、モリブデンの酸化物、マンガンの酸化物、クロムの酸化物、チタンの
酸化物、タングステンの酸化物などの遷移金属酸化物、バナジウムの硫化物、モリブデン
の硫化物、チタンの硫化物、CuSなどの遷移金属硫化物、NiPS3、FePS3等の
遷移金属のリン−硫黄化合物、VSe2、NbSe3などの遷移金属のセレン化合物、F
e0.25V0.75S2、Na0.1CrS2などの遷移金属の複合酸化物、LiCo
S2、LiNiS2などの遷移金属の複合硫化物等が挙げられる。
MoV2O8、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、TiS2、V2S5、C
r0.25V0.75S2、Cr0.5V0.5S2などが好ましく、特に好ましいのは
LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4や、これらの遷移金属の一部を他の金属で
置換したリチウム遷移金属複合酸化物である。これらの正極活物質は、単独で用いても複
数を混合して用いてもよい。
きる。例としては、シリケート、水ガラス等の無機化合物や、テフロン(登録商標)、ポ
リフッ化ビニリデン等の不飽和結合を有さない樹脂などが挙げられる。これらの中でも好
ましいのは、不飽和結合を有さない樹脂である。正極活物質を結着する樹脂として不飽和
結合を有する樹脂を用いると酸化反応時に分解される恐れがある。これらの樹脂の重量平
均分子量は通常1万以上、好ましくは10万以上、また、通常300万以下、好ましくは
100万以下の範囲である。
導電剤としては、活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に制限はない
が、通常、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末、各種の金属の
繊維、粉末、箔などが挙げられる。
正極板は、前記したような負極の製造と同様の手法で、正極活物質やバインダを溶剤で
スラリー化し、集電体上に塗布、乾燥することにより形成する。正極の集電体としては、
アルミニウム、ニッケル、ステンレススチール(SUS)などが用いられるが、何ら限定
されない。
解液を有機高分子化合物等によりゲル状、ゴム状、固体シート状にしたものなどが用いら
れる。
非水系電解液に使用される非水系溶媒は特に制限されず、従来から非水系電解液の溶媒
として提案されている公知の非水系溶媒の中から、適宜選択して用いることができる。例
えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖
状カーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネ
ート等の環状カーボネート類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラヒ
ドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環
状エーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;γ−
ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類などが挙げられる。
も良い。混合溶媒の場合は、環状カーボネートと鎖状カーボネートを含む混合溶媒の組合
せが好ましく、環状カーボネートが、エチレンカーボネートとプロピレンカーボネートの
混合溶媒であることが、低温でも高いイオン電導度を発現でき、低温充電不可特性が向上
するという点で特に好ましい。中でもプロピレンカーボネートが非水系溶媒全体に対し、
2質量%以上80質量%以下の範囲が好ましく、5質量%以上70質量%以下の範囲がよ
り好ましく、10質量%以上60質量%以下の範囲がさらに好ましい。プロピレンカーボ
ネートの割合が上記より低いと低温でのイオン電導度が低下し、プロピレンカーボネート
の割合が上記より高いと、黒鉛系電極を用いた場合にはリチウムイオンに溶媒和したプロ
ピレンカーボネートが黒鉛相間へ共挿入することにより黒鉛系負極活物質の層間剥離劣化
がおこり、十分な容量が得られなくなる問題がある。
られている公知のリチウム塩の中から、適宜選択して用いることができる。例えば、Li
Cl、LiBrなどのハロゲン化物、LiClO4、LiBrO4、LiClO4などの
過ハロゲン酸塩、LiPF6、LiBF4、LiAsF6などの無機フッ化物塩などの無
機リチウム塩、LiCF3SO3、LiC4F9SO3などのパーフルオロアルカンスル
ホン酸塩、Liトリフルオロスルフォンイミド((CF3SO2)2NLi)などのパー
フルオロアルカンスルホン酸イミド塩などの含フッ素有機リチウム塩などが挙げられ、こ
の中でもLiClO4、LiPF6、LiBF4が好ましい。
おけるリチウム塩の濃度は、通常0.5mol/L以上、2.0mol/L以下の範囲で
ある。
また、上述の非水系電解液に有機高分子化合物を含ませ、ゲル状、ゴム状、或いは固体
シート状にして使用する場合、有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシ
ド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化
合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコ
ール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピクロルヒド
リン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカ
ーボネート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系高分子化合物;ポリ(ω−メトキシオ
リゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタク
リレート−co−メチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビ
ニリデン)等のポリマー共重合体などが挙げられる。
ては、ビニレンカーボネート、ビニルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネート
などのカーボネート化合物、エチレンサルファイド、プロピレンサルファイドなどのアル
ケンサルファイド;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンなどのスルトン
化合物;マレイン酸無水物、コハク酸無水物などの酸無水物などが挙げられる。更に、ジ
フェニルエーテル、シクロヘキシルベンゼン等の過充電防止剤が添加されていても良い。
上記添加剤を用いる場合、その含有量は通常10質量%以下、中でも8質量%以下、更に
は5質量%以下、特に2質量%以下の範囲が好ましい。上記添加剤の含有量が多過ぎると
、初期不可逆容量の増加や低温特性、レート特性の低下等、他の電池特性に悪影響を及ぼ
すおそれがある。
固体電解質を用いることもできる。高分子固体電解質としては、前述のポリエーテル系高
分子化合物にリチウムの塩を溶解させたものや、ポリエーテルの末端水酸基がアルコキシ
ドに置換されているポリマーなどが挙げられる。
正極と負極との間には通常、電極間の短絡を防止するために、多孔膜や不織布などの多
孔性のセパレータを介在させる。この場合、非水系電解液は、多孔性のセパレータに含浸
させて用いる。セパレータの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオ
レフィン、ポリエーテルスルホンなどが用いられ、好ましくはポリオレフィンである。
レータをスパイラル状にしたシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを組み合わ
せたインサイドアウト構造のシリンダータイプ、ペレット電極及びセパレータを積層した
コインタイプ等が挙げられる。また、これらの形態の電池を任意の外装ケースに収めるこ
とにより、コイン型、円筒型、角型等の任意の形状にして用いることができる。
手順で組み立てればよいが、例を挙げると、外装ケース上に負極を乗せ、その上に電解液
とセパレータを設け、更に負極と対向するように正極を乗せて、ガスケット、封口板と共
にかしめて電池にすることができる。
よって限定されるものではない。 実施例において、製造した負極材の物性は以下の方法
により測定した。また、造粒剤の粘度、接触角、表面張力、rcosθは、それぞれ明細
書中に記載の方法により測定した。
実施例又は比較例の黒鉛質粒子を用い、活物質層密度1.35±0.03g/cm3、
又は1.60±0.03g/cm3の活物質層を有する極板を作製した。具体的には、負
極材50.00±0.02gに、1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩水溶
液を50.00±0.02g(固形分換算で0.500g)、及び重量平均分子量27万
のスチレン・ブタジエンゴム水性ディスパージョン1.00±0.05g(固形分換算で
0.5g)を、キーエンス製ハイブリッドミキサーで5分間撹拌し、30秒脱泡してスラ
リーを得た。
g/cm2、又は9.0±0.3mg/cm2付着するように、伊藤忠マシニング製小型ダ
イコーターを用いて幅10cmに塗布し、直径20cmのローラを用いてロールプレスし
て、活物質層の密度が1.35±0.03g/cm3、又は1.60±0.03g/cm3
になるよう調整し電極シートを得た。
上記方法で作製した、負極材料が9.0±0.3mg/cm2付着した、活物質層の密
度が1.60±0.03g/cm3の電極シートを直径12.5mmの円盤状に打ち抜き
、リチウム金属箔を直径14mmの円板状に打ち抜き対極とした。両極の間には、エチレ
ンカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合溶媒(容積比=3:7)に、LiPF
6を1mol/Lになるように溶解させた電解液を含浸させたセパレータ(多孔性ポリエ
チレンフィルム製)を置き、2016コイン型電池をそれぞれ作製した。
上記方法で作製した、負極材料が6.0±0.3mg/cm2付着した、活物質層の密
度が1.35±0.03g/cm3の電極シートを4cm×3cmに切り出し負極とし、
NMCからなる正極を同面積で切り出し、負極と正極の間にはセパレータ(多孔性ポリエ
チレンフィルム製)を置き、組み合わせた。エチレンカーボネートとエチルメチルカーボ
ネートとジメチルカーボネートの混合溶媒(容積比=3:3:4)に、LiPF6を1.
2mol/Lになるように溶解させた電解液を200μl注液してラミネート型電池を作
製した。
上述の方法で作製した非水系二次電池(2016コイン型電池)を用いて、下記の測定
方法で電池充放電時の容量を測定した。
0.05Cの電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、さらに5mVの一定
電圧で電流密度が0.005Cになるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、0
.1Cの電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行った。引き続き同電流密
度で2回目の充放電を行い、この2サイクル目の放電容量を本材料の放電容量とした。
上記非水電解液二次電池の作製法により作製したラミネート型非水電解液二次電池を用
いて、下記の測定方法で低温出力特性を測定した。
充放電サイクルを経ていない非水電解液二次電池に対して、25℃で電圧範囲4.1V
〜3.0V、電流値0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電
流値を1Cとする、以下同様)にて3サイクル、電圧範囲4.2V〜3.0V、電流値0
.2Cにて(充電時には4.2Vにて定電圧充電をさらに2.5時間実施)2サイクル、
初期充放電を行った。
さらに、SOC50%まで電流値0.2Cで充電を行った後、−30℃の低温環境下で
、1/8C、1/4C、1/2C、1.5C、2Cの各電流値で2秒間定電流放電させ、
各々の条件の放電における2秒後の電池電圧の降下を測定し、それらの測定値から充電上
限電圧を3Vとした際に、2秒間に流すことのできる電流値Iを算出し、3×I(W)と
いう式で計算される値をそれぞれの電池の低温出力特性とした。
X線光電子分光法測定としてX線光電子分光器を用い、測定対象を表面が平坦になるよ
うに試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、
C1s(280〜300eV)とO1s(525〜545eV)のスペクトルを測定した
。
スペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CとOの表面原子濃度をそ
れぞれ算出した。得られたそのOとCの原子濃度比O/C(O原子濃度/C原子濃度)×
100を炭素材の表面含酸素率O/C値とした。
酸素窒素水素分析装置(LECO社製ONH分析計TCH600)を用い、炭素材50
mgをインパルス炉にて不活性ガス雰囲気下で溶融分解し、排出されたキャリアガス中の
一酸化炭素量、及び二酸化炭素量を赤外検出器で検出することにより、炭素材に含まれる
全含有酸素量を算出した。
表面積計(大倉理研社製比表面積測定装置「AMS8000」)を用い、炭素材0.4
gをセルに充填し、炭素材試料に対して窒素流通下350℃で15分間予備乾燥を行なっ
た後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウ
ム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET法によって測定した。
<d50>
界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例として、ツィーン
20(登録商標)が挙げられる)の0.2質量%水溶液10mLに、炭素材0.01gを
懸濁させ、これを測定サンプルとして市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例
えばHORIBA製LA−920)に導入し、測定サンプルに28kHzの超音波を出力
60Wで1分間照射した後、前記測定装置において体積基準のメジアン径として測定した
。
フロー式粒子像分析装置(東亜医療電子社製FPIA−2000)を使用し、円相当径
による粒径分布の測定および平均円形度の算出を行った。分散媒としてイオン交換水を使
用し、界面活性剤としてポリオキシエチレン(20)モノラウレートを使用した。円相当
径とは、撮影した粒子像と同じ投影面積を持つ円(相当円)の直径であり、円形度とは、
相当円の周囲長を分子とし、撮影された粒子投影像の周囲長を分母とした比率である。測
定した相当径が1.5〜40μmの範囲の粒子の円形度を平均し、平均円形度とした。
粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、
目開き300μmの篩を通して本発明の炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、
ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の質量から求
めた密度として定義した。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を乾式旋回流式粉砕機により粉砕し、d50が8
.1μm、Tapが0.39g/cm3、水分量0.08質量%の鱗片状天然黒鉛を得た
。得られた鱗片状天然黒鉛100gに造粒剤として流動パラフィン(和光純薬工業社製、
一級、25℃における物性:粘度=95cP、接触角=13.2°、表面張力=31.7
mN/m、rcosθ=30.9)を12g添加して撹拌混合した後、得られたサンプル
をハンマーミル(IKA社製MF10)で回転数3000rpmにて解砕混合し、造粒剤
が添着した鱗片状天然黒鉛を得た。得られたサンプルを、奈良機械製作所製ハイブリダイ
ゼーションシステムNHS−1型にて、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作
用による造粒処理を行った。得られたサンプルを窒素雰囲気化、500℃で熱処理を行い
、造粒剤が除去された造粒炭素材を得た。前記測定法でd50、SA、Tap、円形度、
O/C、全含有酸素量、酸素官能基分散度、放電容量、低温出力特性を測定した。結果を
表1、表2に示す。
熱処理温度を700℃とした以外は実施例1と同様の方法にてサンプルを得た。実施例
1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を粉砕ローターとライナーを有する機械式粉砕機
により粉砕し、d50が30μm、水分量0.03質量%の鱗片状天然黒鉛を得た。得ら
れた鱗片状天然黒鉛100gに造粒剤として流動パラフィン(和光純薬工業社製、一級、
25℃における物性:粘度=95cP、接触角=13.2°、表面張力=31.7mN/
m、rcosθ=30.9)を4g添加して撹拌混合した後、得られたサンプルをハンマ
ーミル(IKA社製MF10)で回転数3000rpmにて解砕混合し、造粒剤が添着し
た鱗片状天然黒鉛を得た。得られたサンプルを、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーショ
ンシステムNHS−1型にて、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による
造粒処理を行った。得られたサンプルを窒素雰囲気化、700℃で熱処理を行い、造粒剤
が除去された造粒炭素材を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
造粒剤として流動パラフィン(和光純薬工業社製、一級)を6g添加した以外は実施例
3と同様の方法にてサンプルを得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示
す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシ
ステムNHS−1型にて、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による造粒
処理を行った。得られたサンプルには母材に付着、及び造粒粒子に内包されていない状態
の鱗片黒鉛状微粉が多く存在していることが確認された。このサンプルを分級し、上記鱗
片黒鉛状微粉を除去し、d50が10.9μmの造粒炭素材を得た。実施例1同様の測定
を行った結果を表1、表2に示す。
比較例1の造粒炭素材に、窒素雰囲気化、700℃で熱処理を行った以外は実施例1と
同様の方法にてサンプルを得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシ
ステムNHS−1型にて、ローター周速度85m/秒で5分間の機械的作用による造粒処
理を行った。得られたサンプルには母材に付着、及び造粒粒子に内包されていない状態の
鱗片黒鉛状微粉が多く存在していることが確認された。このサンプルを分級により上記鱗
片黒鉛状微粉を除去して、d50が15.4μmの造粒炭素材を得た。実施例1同様の測
定を行った結果を表1、表2に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシ
ステムNHS−1型にて、ローター周速度70m/秒で3分間の機械的作用による造粒処
理を行った。得られたサンプルには母材に付着、及び造粒粒子に内包されていない状態の
鱗片黒鉛状微粉が多く存在していることが確認された。このサンプルを分級により上記鱗
片黒鉛状微粉を除去して、d50が19.5μmの造粒炭素材を得た。得られた造粒炭素
材をさらに奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、ロータ
ー周速度70m/秒で3分間の機械的作用による造粒処理を行った後、分級により母材に
付着、及び造粒粒子に内包されていない状態の鱗片黒鉛状微粉を除去して、d50が18
.2μmの造粒炭素材を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
造粒処理を行うことにより、酸素官能基分散度とd50(μm)の関係が規定範囲内とす
ることが出来たため、高容量且つ優れた低温入出力特性を示した。一方で、酸素官能基分
散度とd50(μm)の関係が規定範囲外である比較例1〜4は低温入出力特性の低下が
確認された。
量且つ、優れた入出力特性、高温保存特性、サイクル特性な非水系二次電池を提供するこ
とができる。また、当該材料の製造方法によれば、その工程数が少ない故、安定して効率
的且つ安価に製造することができる。
Claims (8)
- リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な非水系二次電池用炭素材であって、該炭
素材は下記式1の関係を満足する黒鉛粒子であることを特徴とする非水系二次電池用炭素
材。
(式1)
100Y+0.26X>α
(式中、Yは下記式2で表される酸素官能基分散度、Xは体積基準平均粒子径(d50)
(μm)、α=9.4である)
(式2)
酸素官能基分散度(Y)=元素分析法から求められる全酸素含有率(mol%)/X線光
電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)(mol%) - X線光電子分光法から求められる表面含酸素率(O/C)が2mol%以下であること
を特徴とする請求項1に記載の非水系二次電池用炭素材。 - 前記炭素材のTap密度が0.7g/cm3以上であることを特徴とする請求項1また
は2に記載の非水系二次電池用炭素材。 - 前記炭素材のフロー式粒子像分析より求められる平均円形度が0.88以上であること
を特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の非水系二次電池用炭素材。 - 前記黒鉛粒子が鱗片状、鱗状黒鉛、及び塊状黒鉛を造粒処理した球状黒鉛粒子であるこ
とを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の非水系二次電池用炭素材。 - 前記造粒処理が、少なくとも衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかの力学的エネ
ルギーを付与する処理であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の非水
系二次電池用炭素材。 - 前記造粒処理が、ケーシング内で高速回転する回転部材を備え、ケーシング内に複数の
ブレードを設置したローターを有する装置において、該ローターが高速回転することによ
って、内部に導入された黒鉛に対して衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかを与え
ることで造粒する処理であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の非水
系二次電池用炭素材。 - リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えると共に、該
負極が集電体と該集電体上に形成された負極活物質層とを備えると共に、該負極活物質層
が請求項1乃至7の何れか一項に記載の炭素材を含有することを特徴とする非水系二次電
池。
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- 2019-12-13 JP JP2019225410A patent/JP2020047601A/ja active Pending
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