JP6794614B2 - 炭素材、及び、非水系二次電池 - Google Patents
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Description
特許文献4には、黒鉛粒子と1次粒子径3nm以上500nm以下の炭素微粒子との複合粒子であって、顕微ラマンR値の小さい方から90%の値と10%の値の比(R(90/10)値)を1以上4.3以下とすることにより、低温時における入出力特性に優れた非水溶媒二次電池が得られることが開示されている。
本発明にかかる炭素材が前記効果を奏する理由については、推定であるが次の様に考えている。
また特定の荷重をかけた時の密度からタップ密度を減じた値は、炭素材に特定の荷重をかけた時に、炭素材表面の滑り性や粒子強度を反映している指標になると予測される。
すなわち、炭素材の真密度の値と、特定の荷重をかけた時の密度からタップ密度を減じた値とが特定の関係であるということは、本発明の炭素材が同程度の結晶性を有する従来の炭素材に比べ、炭素材の粒子の破壊が少なく充填されやすいことを意味し、電極をプレスする際に粒子の破壊が抑制されると考えられる。そのため、プレス時に炭素材の少なくとも一部に被覆した非晶質炭素の剥がれを抑制し、非晶質炭素由来のリチウム挿入脱離サイトや、粒子形状を維持したまま、所定密度までを充填することが可能となり、高容量且つ良好な低温入出力特性を得ることが出来たと考えられる。
式(1)
10.914>5x − y − 0.0087a
(式中、xは炭素材の真密度[g/cm3]、yは下記式(2)より求められる数値、aは炭素材の体積基準平均粒径[μm]である)
式(2)
y=(炭素材に1軸方向から100kgf/3.14cm2の荷重をかけた時の炭素材の密度[g/cm3])−(炭素材のタップ密度[g/cm3])
式(3)
10.990> 5x − y
(式中、xは炭素材の真密度[g/cm3]、yは下記式(2)より求められる数値である)
式(2)
y=(炭素材に1軸方向から100kgf/3.14cm2の荷重をかけた時の炭素材の密度[g/cm3])−(炭素材のタップ密度[g/cm3])
本発明の非水系二次電池用炭素材は、炭素材の真密度の値と、特定の荷重をかけた時の密度からタップ密度を減じた値とが特定の関係を満足することを特徴とする。
本発明のリチウムイオンを吸蔵・放出可能な非水系二次電池用炭素材は、炭素材の真密度、特定の荷重をかけた時の密度、タップ密度、更に場合によっては体積基準平均粒子径(d50)(μm)が規定の関係を満足すれば特に限定されないが、例えば、黒鉛、黒鉛化度の小さい炭素質物等の炭素材であり、中でも商業的に容易に入手可能であり、理論上372mAh/gの高い充放電容量を有し、さらには他の負極用活物質を用いた場合と比較して高電流密度での充放電特性の改善効果が大きい黒鉛であることが好ましい。さらに黒鉛としては、天然黒鉛、人造黒鉛等が挙げられ、高容量且つ高電流密度での充放電特性が良好な点から天然黒鉛であることがより好ましい。
また、黒鉛としては不純物の少ないものが好ましく、不純物の少ない黒鉛は公知である種々の精製処理を施すことで得ることができる。
天然黒鉛の中でも、例えば、鱗状、鱗片状、又は塊状の天然黒鉛、高純度化した鱗片状黒鉛、後述する球形化処理した天然黒鉛(以降、球形化天然黒鉛とよぶことがある)等が挙げられる。中でも、炭素材の内部に好適な緻密な細孔を形成させることができ、優れた粒子の充填性や充放電負荷特性を発揮するという観点から好ましい。
また、バルクメソフェーズ等の黒鉛化可能な骨材又は黒鉛と、黒鉛化可能な有機物とに黒鉛化触媒を添加して混合し、焼成した後、粉砕することにより得た造粒型人造黒鉛を用いることもできる。
焼成温度は、2500℃以上、3200℃以下の範囲とすることができ、焼成の際、珪素含有化合物やホウ素含有化合物などを黒鉛化触媒として用いることもできる。
非晶質炭素としては、例えば、バルクメソフェーズを焼成した粒子や、炭素質物前駆体を不融化処理し、焼成した粒子が挙げられる。
焼成の際、有機物に燐酸、ホウ酸、塩酸などの酸類、水酸化ナトリウム等のアルカリ類などを混合することもできる。
本発明の非水系二次電池用炭素材は、真密度、特定の荷重をかけた時の密度、タップ密度、更に場合によっては体積基準平均粒子径(d50)(μm)が規定の関係を満足する黒鉛粒子となるように製造すれば特に制限はないが、達成手段の一つとしては、少なくとも衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかの力学的エネルギーを付与して原料炭素材を造粒し、前記造粒工程は、下記1)及び2)の条件を満足する造粒剤の存在下で行うことにより得ることができる。
1)前記原料炭素材を造粒する工程時に液体
2)造粒剤が有機溶剤を含む場合、有機溶剤の内、少なくとも1種は引火点を有さない、又は引火点を有する場合には該引火点が5℃以上である。
上記造粒工程を有すれば、必要に応じて別の工程を更に有していてもよい。別の工程は単独で実施しても良いし、複数工程を同時に実施しても良い。
上記方法にて造粒処理を施すと、規定の物性の造粒剤により黒鉛粒子間の液架橋付着力が生じ、炭素材粒子同士がより強固に付着することが可能となるため、Liイオン挿入脱離サイトが多い微粉が、造粒処理した炭素材(以降、造粒炭素材と称す。)となる母材に付着、及び/又は造粒炭素材粒子に内包された構造を取り易くなるため、Li挿入脱離サイトが多い造粒炭素材を製造することが可能となる。
さらに、造粒剤が潤滑材として作用することによって炭素材表面への物理的ダメージが軽減され、また、造粒剤が酸素との接触が抑制されることによって造粒処理中の炭素材表面の酸化も抑制されるため、炭素材の分子構造の共役系が崩れることによる不安定炭素の生成・増大を抑制することが可能となる。
これらの結果、より強固に微粉が付着する為、粒子表面の凹凸が少なくなり、規定の式の範囲内の値を有する炭素材を有することが可能となる。
上記製造方法のより好ましい実施態様として、下記の第1工程乃至第5工程を含む製造方法が挙げられる。 上記造粒工程を有すれば、必要に応じて別の工程を更に有していてもよい。別の工程は単独で実施してもよいし、複数工程を同時に実施してもよい。一実施形態としては、以下の第1工程乃至第6工程を含む。
(第2工程)原料炭素材と造粒剤とを混合する工程
(第3工程)原料炭素材を造粒する工程
(第4工程)造粒剤を除去する工程
(第5工程)造粒炭素材を高純度化する工程
(第6工程)造粒炭素材に、さらに原料炭素材より結晶性が低い炭素質物を添着する工程
以下、これら工程について説明する。
本発明で用いる原料炭素材は特に限定されず、前述した人造黒鉛や天然黒鉛を使用することが出来る。中でも、結晶性が高く高容量であることから天然黒鉛を使用することが好ましい。天然黒鉛としては、例えば、鱗状、鱗片状、塊状又は板状の天然黒鉛が挙げられ、中でも、鱗片状黒鉛が好ましい。
原料炭素材の平均粒径(d50)を上記範囲に調整する方法として、例えば(天然)黒鉛粒子を粉砕、及び/または分級する方法が挙げられる。
原料炭素材に含まれる灰分は、炭素材の全質量に対して、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以下である。また、灰分の下限は1ppm以上であることが好ましい。
灰分が上記範囲内であると非水系二次電池とした場合に、充放電時の炭素材と電解液との反応による電池性能の劣化を無視できる程度に抑えることができる。また、炭素材の製造に多大な時間とエネルギーと汚染防止のための設備とを必要としないため、コストの上昇も抑えられる。
X線回折は以下の手法により測定する。炭素粉末に総量の約15質量%のX線標準高純度シリコン粉末を加えて混合したものを材料とし、グラファイトモノクロメーターで単色化したCuKα線を線源とし、反射式ディフラクトメーター法で広角X線回折曲線を測定する。その後、学振法を用いて面間隔(d002)及び結晶子の大きさ(Lc)を求める。
のタップ密度は、好ましくは0.1g/cm3以上であり、より好ましくは0.15g/cm3以上であり、更に好ましくは0.2g/cm3以上であり、特に好ましくは0.3g/cm3以上である。タップ密度は実施例で後述する方法により測定する。
、球形化処理の際に粒子間の静電引力が大きくなるため粒子間付着力が増し、微粉が母材に付着、及び球形化粒子に内包された状態となりやすく好ましい。また、疎水性造粒剤を用いる場合の濡れ性低下を防ぐことができる。
大を招く傾向がある。
熱処理の雰囲気は、大気雰囲気などの活性雰囲気、もしくは、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気があげられ、200℃〜300℃で熱処理する場合には特段制限はないが、300℃以上で熱処理を行う場合には、黒鉛表面の酸化を防止する観点で、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気が好ましい。
本発明の実施形態で用いる造粒剤は、1)前記原料炭素材を造粒する工程時に液体及び2)造粒剤が有機溶剤を含まないか、有機溶剤を含む場合、有機溶剤の内、少なくとも1種は引火点を有さない、又は引火点を有するときには該引火点が5℃以上、の条件を満足するものである。
上記要件を満たす造粒剤を有することで、続く第3工程における原料炭素材を造粒する工程の際に、原料炭素材間を造粒剤が液架橋することにより、原料炭素材間に液橋内の毛管負圧と液の表面張力によって生じる引力が粒子間に液架橋付着力として働くため、原料炭素材間の液架橋付着力が増大し、原料炭素材がより強固に付着することが可能となる。
HOPG表面に1.2μLの造粒剤を滴下し、濡れ広がりが収束して一秒間の接触角θの変化率が3%以下となったとき(定常状態ともいう)の接触角を接触角測定装置(協和界面社製自動接触角計DM−501)にて測定する。ここで、25℃における粘度が500cP以下の造粒剤を用いる場合には25℃における値を、25℃における粘度が500cPより大きい造粒剤を用いる場合には、粘度が500cP以下となる温度まで加温した温度における接触角θの測定値とする。
粒子の付着力は向上するため、γは好ましくは0以上、より好ましくは15以上、更に好ましくは30以上である。
造粒剤の表面張力γは、表面張力計(例えば、協和界面科学株式会社製DCA−700)を用いてWilhelmy法により測定する。
また造粒剤の、25℃における粘度が1cP以上100000cP以下であることが好ましく、5cP以上10000cP以下であることがより好ましく、10cP以上8000cP以下であることが更に好ましく、50cP以上6000cP以下であることが特に好ましい。粘度が上記範囲内にあると、原料炭素材を造粒する際に、ローターやケーシングとの衝突などの衝撃力による付着粒子の脱離を妨ぐことが可能となる。
メチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、などのグリコール類誘導体類や、1,4−ジオキサンなどのエーテル類や、ジメチルホルムアミド、ピリジン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどの含窒素化合物、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどの含ハロゲン化合物、及びそれらの混合物などがあげられ、例えばトルエンのような引火点が低い物は含まれない。これら有機溶剤は単体で造粒剤としても用いることが出来る。なお、本明細書において、引火点は、公知の方法により測定できる。
炭素材は、原料炭素材に衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与えることにより球形化処理(以下、造粒とも称する)を施したものであることが好ましい。また、該球形化黒鉛は、複数の鱗片状又は鱗状黒鉛、及び磨砕された黒鉛微粉からなるものであることが好ましく、特に複数の鱗片状黒鉛からなるものであることが特に好ましい。
本発明の実施形態は、少なくとも衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかの力学的エネルギーを付与して原料炭素材を造粒する造粒工程を有することが好ましい。
この工程に用いる装置としては、例えば、衝撃力を主体に、原料炭素材の相互作用も含
めた圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し与える装置を用いることができる。
このような装置としては、例えば、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロン、クリプトロンオーブ(アーステクニカ社製)、CFミル(宇部興産社製)、メカノフュージョンシステム、ノビルタ、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)、COMPOSI(日本コークス工業製)等が挙げられる。これらの中で、奈良機械製作所社製のハイブリダイゼーションシステムが好ましい。
また、原料炭素材に機械的作用を与える処理は、単に原料炭素材を通過させるだけでも可能であるが、原料炭素材を30秒以上、装置内を循環又は滞留させて処理するのが好ましく、より好ましくは1分以上、更に好ましくは3分以上、特に好ましくは5分以上、装置内を循環又は滞留させて処理する。
ワールス力や静電引力、粒子間介在物を介する物理的及び/または化学架橋力等が挙げられる。
粒子間介在物を介する物理的及び/または化学的架橋力としては、液体性介在物、固体性介在物、を介する物理的及び/または化学的架橋力が挙げられる。上記化学的架橋力としては、粒子と粒子間介在物との間で化学反応、焼結、メカノケミカル効果などにより、共有結合、イオン結合、水素結合等が形成された場合の架橋力が挙げられる。
本発明の実施形態においては、前記造粒剤を除去する工程を有していてもよい。造粒剤を除去する方法としては、例えば、溶剤により洗浄する方法や、熱処理により造粒剤を揮発・分解除去する方法が挙げられる。
熱処理温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは200℃以上、より更に好ましくは300℃以上、特に好ましくは400℃以上、最も好ましくは500℃であり、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1000℃以下、更に好ましくは800℃以下である。上記範囲内にあると、十分に造粒剤を揮発・分解除去でき生産性を向上できる。
熱処理の雰囲気は、大気雰囲気などの活性雰囲気、もしくは、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気があげられ、200℃〜300℃で熱処理する場合には特段制限はないが、300℃以上で熱処理を行う場合には、黒鉛表面の酸化を防止する観点で、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気が好ましい。
本発明においては、造粒炭素材を高純度化する工程を有していてもよい。造粒炭素材を高純度化する方法としては、硝酸や塩酸を含む酸処理を行う方法が挙げられ、活性の高い硫黄元となりうる硫酸塩を系内に導入することなく黒鉛中の金属、金属化合物、無機化合物などの不純物を除去できるため好ましい。
なお、上記酸処理は、硝酸や塩酸を含む酸を用いればよく、その他の酸、例えば、臭素酸、フッ酸、ホウ酸あるいはヨウ素酸などの無機酸、または、クエン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、トリクロロ酢酸あるいはトリフルオロ酢酸などの有機酸を適宜混合した酸を用い
ることもできる。好ましくは濃フッ酸、濃硝酸、濃塩酸であり、より好ましくは濃硝酸、濃塩酸である。なお、本発明において硫酸にて黒鉛を処理してもよいが、本発明の効果や物性を損なわない程度の量と濃度にて用いることとする。
浸漬温度は、通常25℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは、60℃以上である。水系の酸を用いる場合の理論上限は水の沸点である100℃である。この温度が低すぎると、上記不純物を十分に除去できなくなる傾向がある。
前記処理黒鉛と水との混合割合は、通常100:10以上、好ましくは100:30以上、より好ましくは、100:50以上、更に好ましくは、100:100以上であり、また100:1000以下、好ましくは100:700以下、より好ましくは100:500以下、更に好ましくは100:400以下である。多すぎると生産効率が低下する傾向があり、少なすぎると残留不純物・酸分が増大する傾向になる。
また、水洗浄処理をバッチ式にて行う場合は、純水中での攪拌−ろ過の処理工程を複数回繰り返して洗浄行うことが不純物・酸分除去の観点から好ましい。上記処理は、上述した処理黒鉛のpHが上記範囲になるように繰り返し行ってもよい。通常、1回以上、好ましくは2回以上、より好ましくは、3回以上である。
本発明の実施形態では、造粒炭素材に、さらに原料炭素材より結晶性が低い炭素質物を添着する工程を有していてもよい。すなわち、前記炭素材に炭素質物を複合化することができる。この工程によれば、電解液との副反応抑制や、急速充放電性の向上できる炭素材を得ることができる。
造粒炭素材に、さらに原料炭素材より結晶性が低い炭素質物を添着した複合黒鉛を「炭素質物複合炭素材」又は「複合炭素材」と呼ぶことがある。
また、分解系重質油を熱処理することで得られるエチレンタールピッチ、FCCデカントオイル、アシュランドピッチなどの熱処理ピッチ等を挙げることができる。さらにポリ塩化ビニル、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等のビニル系高分子と3−メチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、3,5−ジメチルフェノールホルムアルデヒド樹脂等の置換フェノール樹脂、アセナフチレン、デカシクレン、アントラセンなどの芳香族炭化水素、フェナジンやアクリジンなどの窒素環化合物、チオフェンなどのイオウ環化合物などを挙げることができる。また、固相で炭素化を進行させる有機化合物としては、セルロースなどの天然高分子、ポリ塩化ビニリデンやポリアクリロニトリルなどの鎖状ビニル樹脂、ポリフェニレン等の芳香族系ポリマー、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂等熱硬化性樹脂やフルフリルアルコールのような熱硬化性樹脂原料などを挙げることができる。これらの中でも石油系重質油が好ましい。
形状は任意であるが、平均粒径は、通常2〜50μmであり、5〜35μmが好ましく、特に8〜30μmである。上記粒径範囲となるよう、必要に応じて、解砕及び/又は粉砕及び/又は分級を行う。
なお、本実施形態の効果を損なわない限り、他の工程の追加や上述に記載のない制御条件を追加してもよい。
炭素質物複合炭素材中の炭素質物の含有量は、原料となる造粒炭素材に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3%以上、更に好ましくは0.7質量%以上、特に好ましくは1質量%以上、最も好ましくは1.5質量%以上であり、であり、また前記含有量は、通常20質量%以下、好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、特に好ましくは7質量%以下、最も好ましくは5質量%以下である。
一方、含有量が小さすぎると、被覆による効果が得られにくくなる傾向がある。
(w1を造粒炭素材の質量(kg)、w2を炭素質物複合炭素材の質量(kg)とする)
また、本発明では、極板の配向性、電解液の浸透性、導電パス等を向上させ、サイクル特性、極版膨れ等の改善を目的とし、前記造粒炭素材とは異なる炭素材料を混合することができる(以下、前記造粒炭素材に、前記造粒炭素材とは異なる炭素材料を混合して得られた炭素材を「混合炭素材」と呼ぶことがある)。
前記炭素材とは異なる炭素材料としては、例えば天然黒鉛、人造黒鉛、炭素材を炭素質物で被覆した被覆黒鉛、非晶質炭素、金属粒子や金属化合物を含有した炭素材の中から選ばれる材料を用いることができる。これらの材料は、何れかを一種を単独で用いても良く、二種以上を任意の組み合わせ及び組成で併用しても良い。
天然黒鉛のBET比表面積は、通常1m2/g以上、好ましくは2m2/g以上、また、通常30m2/g以下、好ましくは15m2/g以下の範囲である。比表面積がこの範
囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
また、天然黒鉛のタップ密度は、通常0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上が好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好ましい。また、通常1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。この範囲であれば高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
人造黒鉛の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm、更に好ましくは30μm以下の範囲である。この範囲であれば、極板膨れの抑制や工程性が良好となるため好ましい。
人造黒鉛のBET比表面積は、通常0.5m2/g以上、好ましくは1.0m2/g以上、また、通常8m2/g以下、好ましくは6m2/g以下、更に好ましくは4m2/g以下の範囲である。この範囲であれば、極板膨れの抑制や工程性が良好となるため好ましい。
被覆黒鉛のBET比表面積は、通常1m2/g以上、好ましくは2m2/g以上、更に好ましくは2.5m2/g以上、また、通常20m2/g以下、好ましくは10m2/g以下、更に好ましくは8m2/g以下、特に好ましくは5m2/g以下の範囲である。比表面積がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
非晶質炭素の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。この範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
非晶質炭素のBET比表面積は、通常1m2/g以上、好ましくは2m2/g以上、更に好ましくは2.5m2/g以上、また、通常8m2/g以下、好ましくは6m2/g以下
、更に好ましくは4m2/g以下の範囲である。比表面積がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
金属粒子のBET比表面積は、通常0.5m2/g以上120m2/g以下、1m2/g以上100m2/g以下であることが好ましい。比表面積が前記範囲内であると、電池の充放電効率および放電容量が高く、高速充放電においてリチウムの出し入れが速く、レート特性に優れるので好ましい。
Pugmill型混合機、流動化型混合機等を用いることができる。
本発明の第1の炭素材は、下記式(1)の関係を満足するものである。
式(1)
10.914>5x − y − 0.0087a
(式中、xは炭素材の真密度[g/cm3]、yは下記式(2)より求められる数値、aは炭素材の体積基準平均粒径[μm]である)
式(2)
y=(炭素材に1軸方向から100kgf/3.14cm2の荷重をかけた時の炭素材の密度[g/cm3])−(炭素材のタップ密度[g/cm3])
(式中、xは炭素材の真密度[g/cm3]、yは下記式(2)より求められる数値である)
式(2)
y=(炭素材に1軸方向から100kgf/3.14cm2の荷重をかけた時の炭素材の密度[g/cm3])−(炭素材のタップ密度[g/cm3])
本発明の炭素材の体積基準平均粒径(「d50」とも記載する)は好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは8μm以上である。また平均粒径d50は、通常50μm以下、好ましくは40μm以下、より好ましくは35μm以下、更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは25μm以下である。平均粒径d50が小さすぎると、前記炭素材を用いて得られる非水系二次電池の不可逆容量の増加、初期電池容量の損失を招く傾向があり、一方平均粒径d50が大きすぎるとスラリー塗布における筋引きなどの工程不都合の発生、高電流密度充放電特性の低下、低温入出力特性の低下を招く場合がある。
また、上記式(1)中の、aは炭素材の粒径による差異を補正する役割を担う。
本発明の炭素材の真密度は、好ましくは2.20g/cm3以上、より好ましくは2.
21/cm3以上、更に好ましくは2.22g/cm3以上、特に好ましくは2.23g/cm3以上であり、上限は2.262g/cm3である。上限は黒鉛の理論値である。
真密度は、ブタノールを使用した液相置換法(ピクノメータ法)によって測
定したもので定義する。
本発明の炭素材のタップ密度は通常0.85g/cm3以上、好ましくは0.88g/cm3以上、より好ましくは0.90g/cm3以上、更に好ましくは0.95g/cm3以上、特に好ましくは1.00g/cm3以上、通常1.50g/cm3以下、好ましくは1.40g/cm3以下である。
度の負極シートを形成する易くなる傾向にある。
前記タップ密度は、粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して本発明の炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の質量から求めた密度として定義する。
本発明の炭素材の1軸方向から100kgf/3.14cm2の荷重をかけた時の密度は、好ましくは0.7g/cm3以上、より好ましくは0.9g/cm3以上、更に好ましくは1.2g/cm3以上、特に好ましくは1.24g/cm3以上、好ましくは1.8g/cm3以下であり、より好ましくは1.7g/cm3以下であり、更に好ましくは1.6g/cm3以下である。
上記範囲内であれば、所定の荷重をかけた際の粒子破壊を抑制できるため、入出力特性に優れる。
1軸方向から100kgf/3.14cm2の荷重をかけた時の密度は、1軸で任意の圧力下での荷重とその時の厚みを測定できる装置を用いることが出来る。例えば三菱化学アナリテック社製の粉体抵抗測定システムMCP−PD51を用いて測定を行う。まず、装置の数値の補正を行う。荷重の補正は炭素材を投入する円柱型容器の底辺と上から容器内に挿入し炭素材に圧力をかける押し棒が接触していない状態での荷重が0kgf/3.14cm2であることを確認する。次に厚み計の補正を行う。油圧ポンプを用いて円柱型容器と押し棒を近づけ、荷重が20kgf/3.14cm2になったところで厚み計の数値が0.00mmになるようにゼロ点補正を行う。補正が終了したら、直径2cmの円柱型の容器に3.0gの炭素材を投入し、均一に荷重がかかるように炭素材の高さを調整する。油圧ポンプを用いて台座を上昇させ円筒型容器内に押し棒を挿入し、厚み計の数値が15.0mmになってから0.5mm間隔で荷重が1000kgf/3.14cm2を超えるまで各厚みの時の荷重を測定する。得られた厚みから粉体の密度を算出し、Microsoft社製のエクセルを用いて横軸に粉体密度、縦軸にその時の荷重をプロットしたグラフを作成する。そのグラフの近似曲線を三次式で作成し、得られた数式から100kgf/3.14cm3の荷重をかけた時の炭素材密度を算出する。測定によるばらつきを少なくするため、測定は最低2回実施し、ばらつく場合には3回実施し、値が近い2点の平均を用いる。
本発明のyの値は、通常0.10以上、より好ましくは0.12以上、更に好ましくは0.18以上、特に好ましくは0.19以上、好ましくは1以下であり、より好ましくは0.9以下であり、さらに好ましくは0.5以下である。である。
上記範囲内であれば所定の荷重をかけた際の粒子の破壊が少なく非晶質の剥がれや粒子の変形が抑制されるため入出力特性が優れる。
本発明の炭素材の下記式1で表されるラマンR値は、通常0.01以上、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.25以上、特に好ましくは0.3以上、最も好ましくは0.35以上である。また、ラマンR値の上限に特に制限はないが、通常1以下、好ましくは0.7以下、より好ましくは0.6以下、更に好ましくは0.5以下である。
なお、本明細書において「1580cm−1付近」とは1580〜1620cm-1の範
囲を、「1360cm−1付近」とは1350〜1370cm-1の範囲を指す。
ラマンR値が上記範囲内であれば、炭素材粒子表面の結晶性が適度であるため、Liイオン挿入脱離サイトが十分に存在できるため、良好な低温入出力特性と放電容量を持つ炭素材が得られる傾向がある。
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
本発明の炭素材のBET法により測定した比表面積(SA)は、好ましくは1m2/g以上、より好ましくは5m2/g以上、更に好ましくは8m2/g以上、最も好ましくは12m2/g以上、最も好ましくは13m2/g以上である。また、好ましくは30m2/g以下、より好ましくは20m2/g以下、更に好ましくは17m2/g以下である。比表面積が上記範囲内であると、Liが出入りする部位を十分確保することができるため高速充放電特性出力特性に優れ、活物質の電解液に対する活性も適度抑えることができるため、初期不可逆容量が大きくならず、高容量電池を製造できる傾向にある。
本発明の炭素材の円形度は、0.88以上、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.91以上、更に好ましくは0.92以上である。また、円形度は好ましくは1以下、より好ましくは0.98以下、更に好ましくは0.97以下である。円形度が上記範囲内であると、非水系二次電池の高電流密度充放電特性の低下を抑制できる傾向にある。なお、円形度は以下の式で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
円形度が上記範囲内であると、円形度が上記範囲内であると、Liイオン拡散の屈曲度が下がって粒子間空隙中の電解液移動がスムーズになり、且つ適度に炭素材同士が接触することが可能なため、良好な急速充放電特性、及びサイクル特性を示す傾向がある。
に分散させ、分散液に28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、検出範囲を0.6〜400μmに指定し、粒径が1.5〜40μmの範囲の粒子について測定した値を用いる。
本発明の炭素材の、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)は、好ましくは0.335nm以上、0.340nm未満である。ここで、d値はより好ましくは0.339nm以下、更に好ましくは0.337nm以下である。d002値が上記範囲内にあると、黒鉛の結晶性が高いため、初期不可逆容量が増加を抑制する傾向にある。ここで、0.335nmは黒鉛の理論値である。
本発明の非水系二次電池用負極(以下適宜「電極シート」ともいう。)は、集電体と、集電体上に形成された負極活物質層とを備えると共に、活物質層は少なくとも本発明の炭素材とを含有することを特徴とする。更に好ましくはバインダを含有する。
バインダとしては、分子内にオレフィン性不飽和結合を有するものを用いる。その種類は特に制限されないが、具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などが挙げられる。このようなオレフィン性不飽和結合を有するバインダを用いることにより、活物質層の電解液に対する膨潤性を低減することができる。中でも入手の容易性から、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
本発明においては、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダも、本発明の効果が失われない範囲において、上述のオレフィン性不飽和結合を有するバインダと併用することができる。オレフィン性不飽和結合を有するバインダに対する、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの混合比率は、好ましくは150質量%以下、より好ましくは120質量%以下の範囲である。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの例としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉、カラギナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等の増粘多糖類、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、或いはこれらポリマーの金属塩、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルカン系ポリマー及びこれらの共重合体などが挙げられる。
スラリーを集電体上に塗布した後、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上、また、好ましくは200℃以下、より好ましくは195℃以下の温度で、乾燥空気又は不活性雰囲気下で乾燥し、活物性層を形成する。
1.9g/cm3以下である。密度が上記範囲内であると、単位体積あたりの電池の容量は充分確保でき、レート特性も低下し難くなる。
本発明の非水系二次電池、特にリチウムイオン二次電池の基本的構成は、従来公知のリチウムイオン二次電池と同様であり、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える。負極としては、上述した本発明の負極を用いる。
正極は、正極活物質及びバインダを含有する正極活物質層を、集電体上に形成したものである。
正極板は、前記したような負極の製造と同様の手法で、正極活物質やバインダを溶剤でスラリー化し、集電体上に塗布、乾燥することにより形成する。正極の集電体としては、アルミニウム、ニッケル、ステンレススチール(SUS)などが用いられるが、何ら限定されない。
非水系電解液に使用される非水系溶媒は特に制限されず、従来から非水系電解液の溶媒として提案されている公知の非水系溶媒の中から、適宜選択して用いることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類などが挙げられる。
リチウム塩は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。非水系電解液中におけるリチウム塩の濃度は、通常0.5mol/L以上、2.0mol/L以下の範囲である。
ケンサルファイド;1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンなどのスルトン化合物;マレイン酸無水物、コハク酸無水物などの酸無水物などが挙げられる。更に、ジフェニルエーテル、シクロヘキシルベンゼン等の過充電防止剤が添加されていても良い。上記添加剤を用いる場合、その含有量は通常10質量%以下、中でも8質量%以下、更には5質量%以下、特に2質量%以下の範囲が好ましい。上記添加剤の含有量が多過ぎると、初期不可逆容量の増加や低温特性、レート特性の低下等、他の電池特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
正極と負極との間には通常、電極間の短絡を防止するために、多孔膜や不織布などの多孔性のセパレータを介在させる。この場合、非水系電解液は、多孔性のセパレータに含浸させて用いる。セパレータの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエーテルスルホンなどが用いられ、好ましくはポリオレフィンである。
実施例又は比較例の黒鉛質粒子を用い、活物質層密度1.35±0.03g/cm3の
活物質層を有する極板を作製した。具体的には、負極材50.00±0.02gに、1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩水溶液を50.00±0.02g(固形分換算で0.500g)、及び重量平均分子量27万のスチレン・ブタジエンゴム水性ディスパージョンを固形分換算で0.5gを、キーエンス製ハイブリッドミキサーで5分間撹拌し、30秒脱泡してスラリーを得た。
た。
上記方法で作製した、負極材料が12.0±0.3mg/cm2付着した、活物質層の
密度が1.35±0.03g/cm3の電極シートを直径12.5mmの円盤状に打ち抜
き、リチウム金属箔を直径14mmの円板状に打ち抜き対極とした。両極の間には、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合溶媒(容積比=3:7)に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させた電解液を含浸させたセパレータ(多孔性ポリ
エチレンフィルム製)を置き、2016コイン型電池をそれぞれ作製した。
上記方法で作製した、負極材料が6.0±0.3mg/cm2付着した、活物質層の密
度が1.35±0.03g/cm3の電極シートを4cm×3cmに切り出し負極とし、
NMCからなる正極を同面積で切り出し、負極と正極の間にはセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、組み合わせた。エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒(容積比=3:3:4)に、LiPF6を1.2mol/Lになるように溶解させた電解液を200μl注液してラミネート型電池を作製した。
上述の方法で作製した非水系二次電池(2016コイン型電池)を用いて、下記の測定方法で電池充放電時の容量を測定した。
0.05Cの電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、さらに5mVの一定電圧で電流密度が0.005Cになるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、0.1Cの電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行った。引き続き同電流密度で2回目の充放電を行い、この2サイクル目の放電容量を本材料の放電容量とした。
上記非水電解液二次電池の作製法により作製したラミネート型非水電解液二次電池を用いて、下記の測定方法で低温出力特性を測定した。
充放電サイクルを経ていない非水電解液二次電池に対して、25℃で電圧範囲4.1V〜3.0V、電流値0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下同様)にて3サイクル、電圧範囲4.2V〜3.0V、電流値0.2Cにて(充電時には4.2Vにて定電圧充電をさらに2.5時間実施)2サイクル、初期充放電を行った。
さらに、SOC50%まで電流値0.2Cで充電を行った後、−30℃の低温環境下で、1/8C、1/4C、1/2C、1.5C、2Cの各電流値で2秒間定電流放電させ、各々の条件の放電における2秒後の電池電圧の降下を測定し、それらの測定値から充電上限電圧を3Vとした際に、2秒間に流すことのできる電流値Iを算出し、3×I(W)という式で計算される値をそれぞれの電池の低温出力特性とした。表1中の低温出力は比較例4を100%とした時の数値を示した。
界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例として、ツィーン20(登録商標)が挙げられる)の0.2質量%水溶液10mLに、炭素材0.01gを懸濁させ、これを測定サンプルとして市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えばHORIBA製LA−920)に導入し、測定サンプルに28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、前記測定装置において体積基準のメジアン径として測定した。
真密度測定器(セイシン企業社製オート・トゥルーデンサーMAT−7000)を用い、液相置換法により炭素材試料の真密度を測定した。
1軸方向から100kgf/3.14cm2の荷重をかけた時の密度は、三菱化学アナリテック社製の粉体抵抗測定システムMCP−PD51を用いて測定を行った。まず、装置の数値の補正を行った。荷重の補正は炭素材を投入する円柱型容器の底辺と上から容器内に挿入し炭素材に圧力をかける押し棒が離れている状態での荷重が0kgf/3.14cm2であることを確認した。次に厚み計の補正を行った。油圧ポンプを用いて円柱型容器と押し棒を近づけ、荷重が20kgf/3.14cm2になったところで厚み計の数値が0.00mmになるようにゼロ点補正を行った。補正が終了したら、直径2cmの円柱型の容器に3.0gの炭素材を投入し、均一に荷重がかかるように炭素材の高さを調整した。油圧ポンプを用いて台座を上昇させ円筒型容器内に押し棒を挿入し、厚み計の数値が15.0mmになってから0.5mm間隔で荷重が1000kgf/3.14cm2を超えるまで各厚みの時の荷重を測定した。得られた厚みから粉体の密度を算出し、Microsoft社製のエクセルを用いて横軸に粉体密度、縦軸にその時の荷重をプロットしたグラフを作成する。そのグラフの近似曲線を三次式で作成し、得られた数式から100kgf/3.14cm3の荷重をかけた時の炭素材密度を算出する。測定によるばらつきを少なくするため、測定は最低2回実施し、ばらつく場合には3回実施し、値が近い2点の平均を用いた。
粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して本発明の炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の質量から求めた密度として定義した。
<y:1軸方向から100kgf/3.14cm2の荷重をかけた時の密度−タップ密度>
1軸方向から100kgf/3.14cm2の荷重をかけた時の密度からタップ密度を減じた値をyとした。
表面積計(大倉理研社製比表面積測定装置「AMS8000」)を用い、炭素材0.4gをセルに充填し、炭素材試料に対して窒素流通下350℃で15分間予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET法によって測定した。
フロー式粒子像分析装置(東亜医療電子社製FPIA−2000)を使用し、円相当径による粒径分布の測定および平均円形度の算出を行った。分散媒としてイオン交換水を使用し、界面活性剤としてポリオキシエチレン(20)モノラウレートを使用した。円相当径とは、撮影した粒子像と同じ投影面積を持つ円(相当円)の直径であり、円形度とは、相当円の周囲長を分子とし、撮影された粒子投影像の周囲長を分母とした比率である。測定した相当径が1.5〜40μmの範囲の粒子の円形度を平均し、平均円形度とした。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を乾式旋回流式粉砕機により粉砕し、d50が8.1μm、タップ密度が0.39g/cm3、水分量0.08質量%の鱗片状天然黒鉛を得た。得られた鱗片状天然黒鉛100gに造粒剤としてパラフィン系オイル(流動パラフィン、和光純薬工業社製、一級、25℃における物性:粘度=95cP、接触角=13.
2°、表面張力=31.7mN/m、rcоsθ=30.9)を12g添加して撹拌混合した後、得られたサンプルをハンマーミル(IKA社製MF10)で回転数3000rpmにて解砕混合し、造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を得た。得られた造粒剤が均
一に添着した鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、球形化処理中に生成する微粉を母材に付着、及び球形化粒子に内包させながら、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形化処理を行い、不活性ガス中で720℃熱処理を施すことで、d50が13μmの球形化黒鉛を得た。
得られた複層構造黒鉛粒子において、造粒黒鉛粒子と原料黒鉛より結晶性が低い炭素質物との質量比率(造粒黒鉛粒子:非晶質炭素)は1:0.08とした以外は実施例1と同様の方法にて複層構造黒鉛粒子を得た。実施例1と同様の測定を行った結果を表1に示す。
造粒剤を入れなかった以外は、実施例1と同様の方法で球形化天然黒鉛を作成し、気力分級により造粒されていない鱗片黒鉛状微粉を除去し、d50が11μm、Tap密度が0.88g/cm3の球形化天然黒鉛を得た。得られた球形化天然黒鉛と非晶質炭素前駆体として石油系重質油を混合し、不活性ガス中で1300℃熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛粒子と非晶質炭素とが複合化した複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.02であることが確認された。
実施例1同様の測定を行った結果を表1に示す。
石油系重質油の混合比率を比較例1から変更した以外は同様の方法で複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.04であることが確認された。
実施例1同様の測定を行った結果を表1に示す。
石油系重質油の混合比率を比較例1から変更した以外は同様の方法で複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.05であることが確認された。
実施例1同様の測定を行った結果を表1に示す。
非晶質炭素前駆体を石油系重質油からコールタールピッチに変更し、更に混合比率を変更した以外は比較例1と同様の方法で複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.07であることが確認された。
実施例1同様の測定を行った結果を表1に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を粉砕ローターとライナーを有する機械式粉砕機により粉砕し、d50が30μm、水分量0.03質量%の鱗片状天然黒鉛を得た。得られた鱗片状天然黒鉛100gに造粒剤としてパラフィン系オイル(流動パラフィン、和光純薬工業社製、一級、25℃における物性:粘度=95cP、接触角=13.2°、表面
張力=31.7mN/m、rcоsθ=30.9)を6g添加して撹拌混合した後、得られたサンプルをハンマーミル(IKA社製MF10)で回転数3000rpmにて解砕混合し、造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を得た。得られた造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、球形化処理中に生成する微粉を母材に付着、及び球形化粒子に内包させながら、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形化処理を行い、d50が20μmの球形化天然黒鉛を得た。得られた球形化天然黒鉛と非晶質炭素前駆体としてコールタールピッチを混合し、不活性ガス中で1300℃熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛粒子と非晶質炭素とが複合化した複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.03であることが確認された。実施例1と同様の測定を行った結果を表1に示す。
実施例3で得られた球形化天然黒鉛と非晶質炭素前駆体としてコールタールピッチを混合し、不活性ガス中で1300℃熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛粒子と非晶質炭素とが複合化した複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.04であることが確認された。実施例1同様の測定を行った結果を表1に示す。
実施例3で得られた球形化天然黒鉛と非晶質炭素前駆体としてコールタールピッチを混合し、不活性ガス中で1300℃熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛粒子と非晶質炭素とが複合化した複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.05であることが確認された。実施例1同様の測定を行った結果を表1に示す。
実施例1で得られた球形化天然黒鉛と非晶質炭素前駆体としてコールタールピッチを混合し、不活性ガス中で1300℃熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛粒子と非晶質炭素とが複合化した複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.10であることが確認された。実施例1同様の測定を行った結果を表1に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、ローター周速度85m/秒で3分間の機械的作用による球形化処理を行った。得られたサンプルには母材に付着、及び内包されていない状態の鱗片黒鉛や球形化処理中に生成する鱗片黒鉛状微粉が多く存在していることが確認された。このサンプルを分級により上記鱗片黒鉛状微粉を除去し、d50が19μmの球形化黒鉛を得た。得られた球形化天然黒鉛と非晶質炭素前駆体としてコールタールピッチを混合し、不活
性ガス中で1300℃熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛粒子と非晶質炭素とが複合化した複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.01であることが確認された。実施例1同様の測定を行った結果を表1に示す。
コールタールピッチの混合比率を比較例5から変更した以外は同様の方法で複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.03であることが確認された。
実施例1同様の測定を行った結果を表1に示す。
コールタールピッチの混合比率を比較例5から変更した以外は同様の方法で複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.06であることが確認された。
実施例1同様の測定を行った結果を表1に示す。
コールタールピッチの混合比率を比較例5から変更した以外は同様の方法で複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.08であることが確認された。
実施例1同様の測定を行った結果を表1に示す。
Claims (7)
- 下記式(1)を満たし、
下記の方法で測定されるタップ密度が0.85g/cm3以上であることを特徴とする非水系二次電池用炭素材。
式(1)
10.914>5x − y − 0.0087a
(式中、xは炭素材の真密度[g/cm3]、yは下記式(2)より求められる数値、aは炭素材の体積基準平均粒径[μm]である)
式(2)
y=(炭素材に1軸方向から100kgf/3.14cm2の荷重をかけた時の炭素材の密度[g/cm3])−(下記の方法で測定される炭素材のタップ密度[g/cm3])
<タップ密度>
粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して本発明の炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の質量から求めた密度として定義する。 - 下記式(3)を満たすことを特徴とする非水系二次電池用炭素材。
式(3)
10.990> 5x − y
(式中、xは炭素材の真密度[g/cm3]、yは下記式(2)より求められる数値である)
式(2)
y=(炭素材に1軸方向から100kgf/3.14cm2の荷重をかけた時の粉体の密度[g/cm3])−(下記の方法で測定される炭素材のタップ密度[g/cm3])
<タップ密度>
粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cm 3 の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して本発明の炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の質量から求めた密度として定義する。 - 真密度が2.20g/cm3以上、2.262g/cm3未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の非水系二次電池用炭素材。
- 炭素材のタップ密度が1.50g/cm3以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の非水系二次電池用炭素材。
- 炭素材の表面の少なくとも一部が非晶質炭素によって被覆されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の非水系二次電池用炭素材。
- 炭素材が球状黒鉛粒子を含有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の非水系二次電池用炭素材。
- リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えると共に、該負極が集電体と該集電体上に形成された負極活物質層とを備えると共に、該負極活物質層が請求項1乃至6の何れか一項に記載の炭素材を含有することを特徴とする非水系二次電池。
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