JP6609961B2 - 炭素材、及び、非水系二次電池 - Google Patents
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Description
一方、高容量化のために負極材料を含む活物質層を高密度化すると、電解液の流路が確保できず、初期サイクル時の充放電不可逆容量の増加、入出力特性の低下といった問題点があった。
また、本発明者らの検討によると、特許文献2に開示されている技術では、等方的に加圧された球形化天然黒鉛を使用することで、粒子が高密度化され充填性が上がることで、粒子間の電解液移動がスムーズになるため一定の急速充放電特性の改善はみられるものの、粒子内空隙がなくなることで粒子内へ電解液が侵入できなくなり粒子内のLiイオン挿入脱離サイトを効率的に利用できなくなるため低温入出力特性が不十分であった。
本発明者らの検討によると、細孔径2〜4nmの範囲の細孔容積を特定の値よりも大きくすることで、該炭素材におけるリチウムイオンの挿入脱離サイトが多くなるために、炭素材表面における充放電時のリチウム挿入脱離反応が促進され、低温出力特性が向上するものと考えられる。また、タップ密度が0.83g/cc以上だと、粒子間の電解液移動がスムーズになるため、入出力特性が向上する。
また、本発明の他の要旨は、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えると共に、該負極が集電体と該集電体上に形成された負極活物質層とを備えると共に、該負極活物質層が上記炭素材を含有することを特徴とする非水系二次電池に存する。
本発明のリチウムイオンを吸蔵・放出可能な非水系二次電池用炭素材は、窒素ガス吸着法によって求めた細孔径2〜4nmの範囲の細孔容積とタップ密度が特定の値を満足する炭素材であれば、特に限定されないが、例えば、黒鉛、非晶質炭素、黒鉛化度の小さい炭素質物(バルクメソフェーズ)等の炭素材からなることが好ましく、中でも黒鉛が商業的に容易に入手可能であり、理論上372mAh/gの高い充放電容量を有し、さらには他の負極用活物質を用いた場合と比較して、高電流密度での充放電特性の改善効果が大きいためより好ましい。黒鉛としては、不純物の少ないものが好ましく、必要に応じて、公知である種々の精製処理を施して用いることができる。
また、本発明の炭素材はこれらを単独で、又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
前記天然黒鉛としては、その性状によって、鱗片状黒(FlakeGraphite)、鱗状(Crystal Line Graphite)、塊状黒鉛(Vein Graphite)、土壌黒鉛(Amorphousu Graphite)に分類される(「粉粒体プロセス技術集成」((株)産業技術センター、昭和49年発行)の黒鉛の項、および「HANDBOOKOF CARBON,GRAPHITE,DIAMOND AND FULLERENES」(NoyesPubLications発行)参照)。黒鉛化度は、鱗状黒鉛や塊状黒鉛が100%で最も高く、これに次いで鱗片状黒鉛が99.9%で高く、本発明において好適である。なかでも不純物の少ないものが好ましく、必要に応じて、公知である種々の精製処理を施して用いることができる。
天然黒鉛の中でも、例えば、鱗状、鱗片状、又は塊状の天然黒鉛、高純度化した鱗片状黒鉛、後述する球形化処理した天然黒鉛(以降、球形化天然黒鉛と称す。)等が挙げられる。中でも、炭素材の内部に好適な緻密な細孔を形成させることができ、優れた粒子の充填性や充放電負荷特性を発揮するという観点から、球形化天然黒鉛が最も好ましい。
易黒鉛化炭素としては、コールタールピッチ、乾留液化油などの石炭系重質油;常圧残油、減圧残油などの直留系重質油;原油、ナフサなどの熱分解時に副生するエチレンタール等の分解系重質油などの石油系重質油;アセナフチレン、デカシクレン、アントラセンなどの芳香族炭化水素;フェナジンやアクリジンなどの窒素含有環状化合物;チオフェンなどの硫黄含有環状化合物;アダマンタンなどの脂肪族環状化合物;ビフェニル、テルフェニルなどのポリフェニレン;ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラールなどのポリビニルエステル類;ポリビニルアルコールなどの熱可塑性高分子などが挙げられる。
難黒鉛化炭素としては、カーボンブラック、ポリ塩化ビニリデン、砂糖、セルロース、フェノールホルムアルデヒド樹脂などが挙げられる。
更に、前記非晶質炭素は易黒鉛化炭素を原料として用いることもできる。その場合の易黒鉛化炭素を通常2500℃未満の温度で焼成したものが挙げられる。非晶質炭素の化学構造の程度に応じて、焼成温度は通常600℃以上とすることができ、好ましくは900℃以上、より好ましくは950℃以上であり、通常2500℃未満とすることができ、好ましくは2000℃以下、より好ましくは1400℃以下の範囲である。
焼成の際、有機物にリン酸、ホウ酸、塩酸などの酸類や、水酸化ナトリウム等のアルカリ類などを混合することもできる。
非水系二次電池用炭素材としては、酸化物やその他金属を含んでいてもよい。その他金属としては、Sn、Si、Al、BiなどのLiと合金化可能な金属が挙げられる。
・窒素ガス吸着法によって求めた細孔径2〜4nmの範囲の細孔容積
本発明の炭素材は、窒素ガス吸着法によって求めた細孔径2〜4nmの範囲の細孔容積が、0.0022cm3/g以上、好ましくは0.0025cm3/g以上、より好まし
くは0.0028cm3/g以上、更に好ましくは0.0032cm3/g以上、特に好ましくは0.0035cm3/g以上、一方通常1.0cm3/g以下、好ましくは0.10cm3/g以下、より好ましくは0.050cm3/g以下、更に好ましくは0.010cm3/g以下、特に好ましくは0.0050cm3/g以下である。
なお、細孔容積の測定方法は、窒素ガス吸着法により測定できる。測定装置としては、オートソーブ(カンタークローム社)を用いることができる。試料をパウダー用セルに封入し、350℃、真空下(1.3Pa以下)にて2時間前処理を実施した後、液体窒素温度下で吸着等温線(吸着ガス:窒素)を測定する。
得られた吸着等温線を用いてBJH解析により微細孔分布を求め、そこから細孔径2nm〜100nmの範囲の細孔容積を算出する。
本発明の炭素材は、タップ密度が0.83g/cc以上であり、好ましくは0.85g
/cc以上、通常2.00g/cc以下、好ましくは1.70g/cc以下であり、より
好ましくは1.50g/cc以下であり、更に好ましくは1.30g/cc以下であり、
殊更好ましくは1.20g/cc以下、特に好ましくは1.10g/cc以下である。
なお、本発明におけるタップ密度は、粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して本発明の炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の質量から求めた密度として定義する。
本発明の炭素材における窒素ガス吸着法によって求めた細孔径2〜4nmの範囲のdV/dlog(D)(V:細孔容積、D:細孔径)の最大値は、通常0.0090cm3/g以上、好ましくは0.011cm3/g以上、より好ましくは0.013cm3/g以上、一方、通常0.50cm3/g以下、好ましくは0.10cm3/g以下、より好ましくは0.050cm3/g以下、更に好ましくは0.020cm3/g以下である。
なお、dV/dlog(D)は、差分細孔容積dVを、細孔径の対数扱いの差分値d(logD)で割った値であり、上述の窒素ガス吸着法によって求めた細孔径2〜4nmの範囲の細孔容積をlog(D)が0.010〜0.050の間隔になるように測定することで算出する。
本発明の炭素材は、窒素ガス吸着法によって求めた細孔径2〜100nmの範囲の細孔容積が、通常0.025cm3/g以上、好ましくは0.030cm3/g以上、より好ましくは0.035cm3/g以上、更に好ましくは0.040cm3/g以上、一方通
常5.0cm3/g以下、好ましくは2.0cm3/g以下、より好ましくは1.0cm3/g以下、更に好ましくは0.50cm3/g以下、特に好ましくは0.10cm3/g以下である。
炭素材の細孔径2〜100nmの範囲の細孔容積が上記範囲内であれば、粒子間の電解液移動がスムーズになるため、入出力特性が向上する。
なお、窒素ガス吸着法によって求めた細孔径2〜100nmの範囲の細孔容積は上述の細孔径2〜4nmの範囲の細孔容積と同様の測定方法にて算出する。
本発明の炭素材の体積基準平均粒径(「平均粒径d50」とも記載する)は好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上、特に好ましくは8μm以上、最も好ましくは10μm以上である。また平均粒径d50は、好ましくは80μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは30μm以下、特に好ましくは25μm以下である。上記範囲内であると、不可逆容量の増加、初期電池容量の損失が抑えられる傾向がある。
本発明の炭素材のBET法により測定した比表面積(SA)は、通常1m2/g以上、好ましくは3m2/g以上、より好ましくは5m2/g以上、更に好ましくは7m2/g以上、特に好ましくは9m2/g以上である。また、好ましくは30m2/g以下、より好ましくは25m2/g以下、更に好ましくは20m2/g以下、特に好ましくは17m2/g以下である。
BET法で測定した比表面積としては、比表面積計(例えば、大倉理研製全自動表面積測定装置)を用い、測定対象(ここでは黒鉛負極材料)に対して、窒素流通下350℃で15分間、予備乾燥を行った後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3になるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET6点法によって測定した値を用いることができる。
本発明の炭素材の、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd002値(層間距離)は、好ましくは0.335nm以上、0.340nm未満である。ここで、d値はより好ましくは0.339nm以下、更に好ましくは0.337nm以下である。d002値が上記範囲内にあると、黒鉛の結晶性が高いため、初期不可逆容量が増加を抑制する傾向にある。ここで、0.335nmは黒鉛の理論値である。
上記範囲内であると、結晶性が低過ぎない粒子となり、非水系二次電池とした場合に可
逆容量が減少し難くなる。なお、Lcの下限は黒鉛の理論値である。
本発明の炭素材の円形度は、0.88以上、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.91以上である。また、円形度は好ましくは1以下、より好ましくは0.98以下、更に好ましくは0.97以下である。円形度が上記範囲内であると、非水系二次電池の高電流密度充放電特性の低下を抑制できる傾向にある。なお、円形度は以下の式で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)
本発明の炭素材のラマンR値は、その値は通常0.01以上、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.1以上、更に好ましくは0.15以上、特に好ましくは0.2以上である。また、ラマンR値は通常1以下、好ましくは0.6以下、より好ましくは0.5以下、更に好ましくは0.4以下である。
なお、本明細書において「1580cm−1付近」とは1580〜1620cm-1の範囲を、「1360cm−1付近」とは1350〜1370cm-1の範囲を指す。
測定条件は以下の通りである。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
本発明の非水系二次電池用炭素材は、窒素ガス吸着法によって求めた細孔径2〜4nmの範囲の細孔容積とタップ密度が特定の値となるように製造すれば特に制限はないが、達成手段の一つとしては、少なくとも衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかの力学的エネルギーを付与して原料炭素材を造粒し、前記造粒工程は、下記1)及び2)の条件を満足する造粒剤の存在下で行うことにより得ることができる。
2)造粒剤が有機溶剤を含む場合、有機溶剤の内、少なくとも1種は引火点を有さない、又は引火点を有する場合には該引火点が5℃以上である。
上記造粒工程を有すれば、必要に応じて別の工程を更に有していてもよい。別の工程は単独で実施しても良いし、複数工程を同時に実施しても良い。
上記製造方法のより好ましい実施態様として、下記の第1工程乃至第5工程を含む製造方法が挙げられる。
(第1工程)原料炭素材の粒度を調整する工程
(第2工程)原料炭素材と造粒剤とを混合する工程
(第3工程)原料炭素材を造粒する工程
(第4工程)造粒剤を除去する工程
(第5工程)造粒炭素材を高純度化する工程
以下、これら工程について説明する。
本発明で用いる原料炭素材は特に限定されず、上述した黒鉛、非晶質炭素、黒鉛化度の小さい炭素質物等の炭素材を使用することが出来る。中でも、結晶性が高く高容量であることから天然黒鉛を使用することが好ましい。
これら原料炭素材の平均粒径(d50)は、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは3μm以上、好ましくは80μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは35μm以下、非常に好ましくは20μm以下、特に好ましくは10μm以下、最も好ましくは8μm以下である。平均粒径は後述の方法により測定することが出来る。
原料炭素材の平均粒径(d50)を上記範囲に調整する方法として、例えば炭素材粒子を粉砕、及び/または分級する方法が挙げられる。
原料炭素材に含まれる灰分は、全質量に対して、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以下である。また、灰分の下限は1ppm以上であることが好ましい。
灰分が上記範囲内であると非水系二次電池とした場合に、充放電時の負極材と電解液との反応による電池性能の劣化を無視できる程度に抑えることができる。また、負極材の製造に多大な時間とエネルギーと汚染防止のための設備とを必要としないため、コストの上昇も抑えられる。
02)が3.36Å以下で(Lc)が950Å以上であることが好ましい。面間隔(d0
02)及び結晶子の大きさ(Lc)は、負極材バルクの結晶性を示す値であり、002面の面間隔(d002)の値が小さいほど、また結晶子の大きさ(Lc)が大きいほど、結晶性が高い負極材であることを示し、黒鉛層間に入るリチウムの量が理論値に近づくので容量が増加する。結晶性が低いと高結晶性炭素材を電極に用いた場合の優れた電池特性(高容量で、且つ不可逆容量が低い)が発現されない。面間隔(d002)と結晶子サイズ(Lc)は、上記範囲が組み合わされていることが特に好ましい。
本発明の非水系二次電池用炭素材を得るには、造粒剤を用いて原料炭素材を造粒することが好ましい。造粒剤は、1)前記原料炭素材を造粒する工程時に液体及び2)造粒剤が有機溶剤を含む場合、有機溶剤の内、少なくとも1種は引火点を有さない、又は引火点を有する場合には該引火点が5℃以上、の条件を満足するものである。
本発明においては、原料炭素材間を造粒剤が液架橋することによる原料炭素材間の液架
橋付着力の強さはγcosθ値に比例する(ここで、γ:液の表面張力、θ:液と粒子の接触角)。すなわち、原料炭素材を造粒する際に、造粒剤は原料炭素材との濡れ性が高いことが好ましく、具体的にはγcosθ値>0となるようにcosθ>0となる造粒剤を選択するのが好ましく、造粒剤の下記測定方法で測定した炭素材との接触角θが90°未満であることが好ましい。
HOPG表面に1.2μlの造粒剤を滴下し、濡れ広がりが収束して一秒間の接触角θの変化率が3%以下となったとき(定常状態ともいう)の接触角を接触角測定装置(協和界面社製自動接触角計DM−501)にて測定する。ここで、25℃における粘度が500cP以下の造粒剤を用いる場合には25℃における値を、25℃における粘度が500cPより大きい造粒剤を用いる場合には、粘度が500cP以下となる温度まで加温した温度における接触角θの測定値とする。
また、粒子の移動に伴う液橋の伸びに対する抵抗成分として粘性力が働き、その大きさは粘度に比例する。このため、原料黒鉛を造粒する造粒工程時において液体であれば造粒剤の粘度は特段限定されないが、造粒工程時において1cP以上であることが好ましい。また造粒剤の、25℃における粘度が1cP以上100000cP以下であることが好ましく、5cP以上10000cP以下であることがより好ましく、10cP以上8000cP以下であることが更に好ましく、50cP以上6000cP以下であることが特に好ましい。粘度が上記範囲内にあると、原料炭素材を造粒する際に、ローターやケーシングとの衝突などの衝撃力による付着粒子の脱離を妨ぐことが可能となる。
るため好ましい。
本発明は、少なくとも衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかの力学的エネルギーを付与して原料炭素材を造粒する工程により製造されることが好ましい。この工程に用いる装置としては、例えば、衝撃力を主体に、原料炭素材の相互作用も含めた圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し与える装置を用いることができる。
く、より好ましくは1分以上、更に好ましくは3分以上、特に好ましくは5分以上、装置内を循環又は滞留させて処理する。
また原料炭素材を造粒する工程においては、原料炭素材を、その他の物質存在下で造粒してもよく、その他の物質としては、例えばリチウムと合金化可能な金属或いはその酸化物、非晶質炭素、及び生コークスなどが挙げられる。原料炭素材以外の物質と併せて造粒することで様々なタイプの粒子構造の非水系二次電池用負極材を製造できる。
本発明においては、前記造粒剤を除去する工程を有していてもよい。造粒剤を除去する方法としては、例えば、溶剤により洗浄する方法や、熱処理により造粒剤を揮発・分解除去する方法が挙げられる。
熱処理温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは200℃以上、より更に好ましくは300℃以上、特に好ましくは400℃以上、最も好ましくは500℃であり、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1000℃以下、更に好ましくは800℃以下である。上記範囲内にあると、十分に造粒剤を揮発・分解除去でき生産性を向上できる。
熱処理の雰囲気は、大気雰囲気などの活性雰囲気、もしくは、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気があげられ、200℃〜300℃で熱処理する場合には特段制限はないが、300℃以上で熱処理を行う場合には、炭素材表面の酸化を防止する観点で、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気が好ましい。
本発明においては、造粒黒鉛を高純度化する工程を有していてもよい。造粒炭素材を高純度化する方法としては、硝酸や塩酸を含む酸処理を行う方法が挙げられ、活性の高い硫黄元となりうる硫酸塩を系内に導入することなく炭素材中の金属、金属化合物、無機化合物などの不純物を除去できるため好ましい。
種類で表される)。
酸処理は、炭素材を前記のような酸性溶液に浸漬することにより行われる。浸漬時間は、通常0.5〜48時間、好ましくは1〜40時間、より好ましくは2〜30、更に好ましくは、3〜24時間である。
酸洗浄により残った酸分を除去し、pHを弱酸性から中性域にまで上昇させる目的で、更に水洗浄を実施することが好ましい。例えば、前記処理黒鉛のpHが、通常3以上、好ましくは3.5以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは4.5以上であれば、水で洗浄することは省略できるし、もし上記範囲でなければ、必要に応じて水で洗浄することが好ましい。洗浄する水は、イオン交換水や蒸留水を用いることが、洗浄効率の向上、不純物混入防止の観点から好ましい。水中のイオン量の指標となる比抵抗が、通常0.1MΩ・cm以上、好ましくは1MΩ・cm以上、より好ましくは、更に好ましくは10MΩ・cm以上、である。25℃での理論上限は18.24MΩ・cmである。
前記処理炭素材と水との混合割合は、通常100:10以上、好ましくは100:30以上、より好ましくは、100:50以上、更に好ましくは、100:100以上であり、また100:1000以下、好ましくは100:700以下、より好ましくは100:500以下、更に好ましくは100:400以下である。
本発明においては、造粒炭素材の結晶性を高める工程を有していてもよい。造粒炭素材として結晶性が低い炭素材を含有する場合、放電容量を大きくすること目的とし、本工程において結晶性の低い炭素材を黒鉛化して結晶性を高めることが好ましい。また、炭素材粒子表面の結晶は乱れている場合があり、上述の造粒処理を施す場合には特にその乱れが顕著であるため、熱処理を行なうことによって、乱された炭素材粒子表面の結晶を修復することができる。
熱処理を行なう時に、温度条件を上記範囲に保持する保持時間は特に制限されないが、通常10秒より長時間であり、72時間以下である。
本発明では、造粒炭素材に、さらに造粒炭素材より結晶性が低い炭素質物を添着する工程を有していてもよい。この工程によれば、電解液との副反応抑制や、急速充放電性の向上できる負極材を得ることができる。
造粒炭素材への炭素質物添着処理は炭素質物となる有機化合物と、造粒炭素材を混合し、非酸化性雰囲気下、好ましくは窒素、アルゴン、二酸化炭素などの流通下に加熱して、有機化合物を炭素化又は黒鉛化させる処理である。
また、分解系重質油を熱処理することで得られるエチレンタールピッチ、FCCデカントオイル、アシュランドピッチなどの熱処理ピッチ等を挙げることができる。さらにポリ塩化ビニル、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等のビニル系高分子と3−メチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、3,5−ジメチルフェノールホルムアルデヒド樹脂等の置換フェノール樹脂、アセナフチレン、デカシクレン、アントラセンなどの芳香族炭化水素、フェナジンやアクリジンなどの窒素環化合物、チオフェンなどのイオウ環化合物などを挙げることができる。また、固相で炭素化を進行させる有機化合物としては、セルロースなどの天然高分子、ポリ塩化ビニリデンやポリアクリロニトリルなどの鎖状ビニル樹脂、ポリフェニレン等の芳香族系ポリマー、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂等熱硬化性樹脂やフルフリルアルコールのような熱硬化性樹脂原料などを挙げることができる。これらの中でも石油系重質油が好ましい。
形状は任意であるが、平均粒径は、通常2〜50μmであり、5〜35μmが好ましく
、特に8〜30μmである。上記粒径範囲となるよう、必要に応じて、解砕及び/又は粉砕及び/又は分級を行う。
一方、含有量が小さすぎると、被覆による効果が得られにくくなる傾向がある。
炭素質物の含有量(質量%)=[(w2−w1)/w1]×100
(w1を造粒炭素材の質量(kg)、w2を炭素質物複合炭素材の質量(kg)とする)
また、本発明では、極板の配向性、電解液の浸透性、導電パス等を向上させ、サイクル特性、極版膨れ等の改善を目的とし、前記造粒炭素材とは異なる炭素材料を混合することができる(以下、前記造粒炭素材に、前記造粒炭素材とは異なる炭素材料を混合して得られた炭素材を「混合炭素材」と呼ぶことがある)。
天然黒鉛としては、例えば、高純度化した炭素材や球形化した天然黒鉛を用いることができる。本発明でいう高純度化とは、通常、塩酸、硫酸、硝酸、弗酸などの酸中で処理する、若しくは複数の酸処理工程を組み合わせて行なうことにより、低純度天然黒鉛中に含まれる灰分や金属等を溶解除去する操作のことを意味し、通常、酸処理工程の後に水洗処理等を行ない高純度化処理工程で用いた酸分の除去をする。また、酸処理工程の代わりに2000℃以上の高温で処理することにより、灰分や金属等を蒸発、除去しても構わない。また、高温熱処理時に塩素ガス等ハロゲンガス雰囲気で処理することにより灰分や金属等を除去しても構わない。更にまた、これらの手法を任意に組み合わせて用いても良い。
天然黒鉛のBET比表面積は、通常1m2/g以上、好ましくは2m2/g以上、また、通常30m2/g以下、好ましくは15m2/g以下の範囲である。比表面積がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
い。また、通常1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。この範囲であれば高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
人造黒鉛の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm、更に好ましくは30μm以下の範囲である。この範囲であれば、極板膨れの抑制や工程性が良好となるため好ましい。
人造黒鉛のBET比表面積は、通常0.5m2/g以上、好ましくは1.0m2/g以上、また、通常8m2/g以下、好ましくは6m2/g以下、更に好ましくは4m2/g以下の範囲である。この範囲であれば、極板膨れの抑制や工程性が良好となるため好ましい。
被覆黒鉛の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは8μm以上、より好ましくは10μm以上、特に好ましくは12μm以上また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下の範囲である。平均粒径がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
また、被覆黒鉛のタップ密度は、通常0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上が好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好ましい。また、通常1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。タップ密度がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
非晶質炭素の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。この範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
また、非晶質炭素のタップ密度は、通常0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上
が好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好ましい。また、通常1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。タップ密度がこの範囲であれば、高速充放電特性、工程性が良好となるため好ましい。
前記造粒炭素材と前記造粒炭素材とは異なる炭素材料を混合するために用いる装置としては、特に制限はないが、例えば、回転型混合機の場合:円筒型混合機、双子円筒型混合機、二重円錐型混合機、正立方型混合機、鍬形混合機、固定型混合機の場合:螺旋型混合機、リボン型混合機、Muller型混合機、Helical Flight型混合機、
Pugmill型混合機、流動化型混合機等を用いることができる。
本発明の非水系二次電池用負極(以下適宜「電極シート」ともいう。)は、集電体と、集電体上に形成された負極活物質層とを備えると共に、活物質層は少なくとも本発明の炭素材とを含有することを特徴とする。更に好ましくはバインダを含有する。
バインダとしては、分子内にオレフィン性不飽和結合を有するものを用いる。その種類は特に制限されないが、具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などが挙げられる。このようなオレフィン性不飽和結合を有するバインダを用いることにより、活物質層の電解液に対する膨潤性を低減することができる。中でも入手の容易性から、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
という課題も起こらないと推察される。
本発明においては、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダも、本発明の効果が失われない範囲において、上述のオレフィン性不飽和結合を有するバインダと併用することができる。オレフィン性不飽和結合を有するバインダに対する、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの混合比率は、好ましくは150質量%以下、より好ましくは120質量%以下の範囲である。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの例としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉、カラギナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等の増粘多糖類、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、或いはこれらポリマーの金属塩、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルカン系ポリマー及びこれらの共重合体などが挙げられる。
スラリーを塗布する集電体としては、従来公知のものを用いることができる。具体的には、圧延銅箔、電解銅箔、ステンレス箔等の金属薄膜が挙げられる。集電体の厚さは、好ましくは4μm以上、より好ましくは6μm以上であり、好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下である。
スラリーを塗布、乾燥して得られる活物質層の厚さは、好ましくは5μm以上、より好ましくは20μm以上、更に好ましくは30μm以上、また、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは75μm以下である。活物質層の厚みが上記範囲内であると、活物質の粒径との兼ね合いから負極としての実用性に優れ、高密度の電流値に対する十分なLiの吸蔵・放出の機能を得ることができる。
本発明に係る非水系二次電池の基本的構成は、例えば、公知のリチウムイオン二次電池と同様とすることができ、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備え、前記負極は上述した本発明に係る非水系二次電池用負極である。
正極は、集電体と、集電体上に形成された活物質層とを備えることができる。活物質層は、正極用活物質の他に、好ましくはバインダを含有する。
正極用活物質としては、リチウムイオンなどのアルカリ金属カチオンを充放電時に吸蔵、放出できる金属カルコゲン化合物などが挙げられる。中でもリチウムイオンを吸蔵・放出可能な金属カルコゲン化合物が好ましい。
バナジウム硫化物、モリブデン硫化物、チタン硫化物、CuSなどの遷移金属硫化物;
NiPS3、FePS3等の遷移金属のリン−硫黄化合物;
VSe2、NbSe3などの遷移金属のセレン化合物;
Fe0.25V0.75S2、Na0.1CrS2などの遷移金属の複合酸化物;
LiCoS2、LiNiS2などの遷移金属の複合硫化物等が挙げられる。
正極用のバインダは、特に限定されず、公知のものを任意に選択して用いることができる。例としては、シリケート、水ガラス等の無機化合物や、テフロン(登録商標)、ポリフッ化ビニリデン等の不飽和結合を有さない樹脂などが挙げられる。中でも好ましいのは、酸化反応時に分解しにくいため、不飽和結合を有さない樹脂である。
正極活物質層中には、正極の導電性を向上させるために、導電助剤を含有させてもよい。導電助剤は、特に限定されず、その例として、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末、各種の金属の繊維、粉末、箔などが挙げられる。
電解質(「電解液」と称することもある。)は、特に限定されず、非水系溶媒に電解質としてリチウム塩を溶解させた非水系電解液や、該非水系電解液に有機高分子化合物等を添加することによりゲル状、ゴム状、または固体シート状にしたものなどが挙げられる。
非水系電解液に使用される非水系溶媒は、特に限定されず、公知の非水系溶媒を用いることができる。
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類;
1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;
テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類;
ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;
γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類などが挙げられる。
非水系電解液に使用されるリチウム塩も特に制限されず、公知のリチウム塩を用いることができる。例えば、LiCl、LiBrなどのハロゲン化物;
LiClO4、LiBrO4、LiClO4などの過ハロゲン酸塩;
LiPF6、LiBF4、LiAsF6などの無機フッ化物塩などの無機リチウム塩;
LiCF3SO3、LiC4F9SO3などのパーフルオロアルカンスルホン酸塩;
Liトリフルオロメタンスルフォニルイミド((CF3SO2)2NLi)などのパーフルオロアルカンスルホン酸イミド塩などの含フッ素有機リチウム塩などが使用可能である。これらの中でもLiClO4、LiPF6、LiBF4が好ましい。
上述の非水系電解液に有機高分子化合物を含ませることで、ゲル状、ゴム状、或いは固体シート状にして使用する場合、有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;
ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;
ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;
ポリエピクロルヒドリン;
ポリフォスファゼン;
ポリシロキサン;
ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系高分子化合物;
ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン)等のポリマー共重合体などが挙げられる。
被膜形成剤の具体例としては、ビニレンカーボネート、ビニルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネートなどのカーボネート化合物;
エチレンサルファイド、プロピレンサルファイドなどのアルケンサルファイド;
1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトンなどのスルトン化合物;
マレイン酸無水物、コハク酸無水物などの酸無水物などが挙げられる。
上記各種添加剤を用いる場合、初期不可逆容量の増加や低温特性、レート特性の低下等、他の電池特性に悪影響を及ぼさないようにするために、添加剤の総含有量は非水系電解液全体に対して通常10質量%以下とすることができ、中でも8質量%以下、さらには5質量%以下、特に2質量%以下の範囲が好ましい。
高分子固体電解質としては、前述のポリエーテル系高分子化合物にLi塩を溶解させたものや、ポリエーテルの末端水酸基がアルコキシドに置換されているポリマーなどが挙げられる。
正極と負極との間には、通常、電極間の短絡を防止するために、多孔膜や不織布などの多孔性のセパレータを介在させることができ、非水系電解液は、多孔性のセパレータに含浸させて用いることが便利である。セパレータの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエーテルスルホンなどが用いられ、好ましくはポリオレフィンである。
ペレット電極及びセパレータを組み合わせたインサイドアウト構造のシリンダータイプ;ペレット電極及びセパレータを積層したコインタイプ等が挙げられる。
また、これらの形態の電池を任意の外装ケースに収めることにより、コイン型、円筒型、角型等の任意の形状及び大きさにして用いることができる。
本発明の非水系二次電池用炭素材を用いることで、安定性に優れ、高出力、高容量で、不可逆容量が小さく、サイクル維持率に優れた非水系二次電池を提供することができる。
実施例又は比較例の黒鉛質粒子を用い、活物質層密度1.50±0.03g/cm3の
活物質層を有する極板を作製した。具体的には、負極材50.00±0.02gに、1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩水溶液を50.00±0.02g(固形分換算で0.500g)、及び重量平均分子量27万のスチレン・ブタジエンゴム水性ディスパージョン1.00±0.05g(固形分換算で0.5g)を、キーエンス製ハイブリッドミキサーで5分間撹拌し、30秒脱泡してスラリーを得た。
に塗布し、直径20cmのローラを用いてロールプレスして、活物質層の密度が1.35±0.03g/cm3になるよう調整し電極シートを得た。
上記方法で作製した負極材料が6.00±0.3mg/cm2付着した電極シートを4
cm×3cmに切り出し負極とし、NMCからなる正極を同面積で切り出し、負極と正極の間にはセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、組み合わせた。エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒(容積比=3:3:4)に、LiPF6を1.2mol/Lになるように溶解させた電解液を250μl注液してラミネート型電池を作製した。
上記非水電解液二次電池の作製法により作製したラミネート型非水電解液二次電池を用いて、下記の測定方法で低温出力特性を測定した。
充放電サイクルを経ていない非水電解液二次電池に対して、25℃で電圧範囲4.1V〜3.0V、電流値0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下同様)にて3サイクル、電圧範囲4.2V〜3.0V、電流値0.2Cにて(充電時には4.2Vにて定電圧充電をさらに2.5時間実施)2サイクル、初期充放電を行った。
界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例として、ツィーン20(登録商標)が挙げられる)の0.2質量%水溶液10mLに、炭素材0.01gを懸濁させ、これを測定サンプルとして市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えばHORIBA製LA−920)に導入し、測定サンプルに28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、前記測定装置において体積基準のメジアン径として測定した。
粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して本発明の炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の質量から求めた密度として定義した。
表面積計(大倉理研製全自動表面積測定装置)を用い、炭素材試料に対して窒素流通下350℃で15分間予備乾燥を行なった後、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET1点法によって測定した。
オートソーブ(カンタークローム社)を用い、試料をパウダー用セルに封入し、350℃、真空下(1.3Pa以下)にて2時間前処理を実施した後、液体窒素温度下で吸着等温線(吸着ガス:窒素)を測定した。 得られた吸着等温線を用いてBJH解析により微細孔分布を求め、そこから細孔径2〜4nmの範囲の細孔容積、細孔径2〜100nmの範囲の細孔容積及び細孔径2〜4nmの範囲のdV/dlog(D)(V:細孔容積、D:細孔径)の最大値を算出した。dV/dlog(D)はlog(D)が0.010〜0.050の間隔になるように測定した。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を粉砕ローターとライナーを有する機械式粉砕機により粉砕し、d50が8.5μmの鱗片状天然黒鉛を得た。得られた鱗片状天然黒鉛100gに造粒剤としてパラフィン系オイル(流動パラフィン、和光純薬工業社製、一級、25℃における物性:粘度=95cP、接触角=13.2°、表面張力=31.7mN/
m、rcоsθ=30.9)を12g添加して撹拌混合した後、得られたサンプルをハンマーミル(IKA社製MF10)で回転数3000rpmにて解砕混合し、造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を得た。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を粉砕ローターとライナーを有する機械式粉砕機により粉砕し、d50が30μmの鱗片状天然黒鉛を得た。得られた鱗片状天然黒鉛100gに造粒剤としてパラフィン系オイル(流動パラフィン、和光純薬工業社製、一級、25℃における物性:粘度=95cP、接触角=13.2°、表面張力=31.7mN/m
、rcоsθ=30.9)を4g添加して撹拌混合した後、得られたサンプルをハンマーミル(IKA社製MF10)で回転数3000rpmにて解砕混合し、造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を得た。得られた造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、球形化処理中に生成する微粉を母材に付着、及び球形化粒子に内包させながら、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形化処理を行い、不活性ガス中で720℃熱処理を施すことで、d50が16.3μmの球形化天然黒鉛を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を粉砕ローターとライナーを有する機械式粉砕機により粉砕し、d50が30μmの鱗片状天然黒鉛を得た。得られた鱗片状天然黒鉛100gに造粒剤としてパラフィン系オイル(流動パラフィン、和光純薬工業社製、一級、25℃における物性:粘度=95cP、接触角=13.2°、表面張力=31.7mN/m
、rcоsθ=30.9)を6g添加して撹拌混合した後、得られたサンプルをハンマーミル(IKA社製MF10)で回転数3000rpmにて解砕混合し、造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を得た。得られた造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、球形化処理中に生成する微粉を母材に付着、及び球形化粒子に内包させながら、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形化処理を行い、不活性ガス中で720℃熱処理を施すことで、d50が19.4μmの球形化天然黒鉛を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形化処理を行った。得られたサンプルには母材に付着、及び内包されていない状態の鱗片黒鉛や球形化処理中に生成する鱗片黒鉛状微粉が多く存在していることが確認された。このサンプルを分級により上記鱗片黒鉛状微粉を除去し、d50が10.9mの球形化黒鉛を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、ローター周速度85m/秒で5分間の機械的作用による球形化処理を行った。得られたサンプルには母材に付着、及び内包されていない状態の鱗片黒鉛や球形化処理中に生成する鱗片黒鉛状微粉が多く存在していることが確認された。このサンプルを、不活性ガス中で720℃熱処理を施し、分級により上記鱗片黒鉛状微粉を除去することで、d50が15.7μmの球形化黒鉛を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を粉砕ローターとライナーを有する機械式粉砕機により粉砕し、d50が9.8μmの鱗片状天然黒鉛を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1に示す。
Claims (4)
- リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な非水系二次電池用炭素材であって、窒素
ガス吸着法によって求めた該炭素材の細孔径2〜4nmの範囲の細孔容積が0.0022
cm3/g以上、窒素ガス吸着法によって求めた細孔径2〜4nmの範囲のdV/dlo
g(D)(V:細孔容積、D:細孔径)の最大値が0.0090cm 3 /g以上であり、
タップ密度が0.83g/cc以上であることを特徴とする非水系二次電池用炭素材。 - 前記炭素材の細孔径2〜100nmの範囲の細孔容積が0.025cm3/g以上であ
ることを特徴とする請求項1に記載の非水系二次電池用炭素材。 - 前記炭素材が鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、及び塊状黒鉛の少なくとも1つからなる群より選
ばれる黒鉛を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の非水系二次電池用炭素
材。 - リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えると共に、該
負極が集電体と該集電体上に形成された負極活物質層とを備えると共に、該負極活物質層
が請求項1乃至3の何れか一項に記載の炭素材を含有することを特徴とする非水系二次電
池。
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