JP6634720B2 - 炭素材、及び、非水系二次電池 - Google Patents
炭素材、及び、非水系二次電池 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6634720B2 JP6634720B2 JP2015136506A JP2015136506A JP6634720B2 JP 6634720 B2 JP6634720 B2 JP 6634720B2 JP 2015136506 A JP2015136506 A JP 2015136506A JP 2015136506 A JP2015136506 A JP 2015136506A JP 6634720 B2 JP6634720 B2 JP 6634720B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carbon material
- less
- graphite
- particles
- negative electrode
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Landscapes
- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
Description
また、特許文献3に開示されている等方的に加圧された球形化天然黒鉛では、粒子が高密度化され充填性が上がることで電極間の電解液移動がスムーズになるため一定の急速充放電特性の改善はみられるものの、粒子内空隙がなくなることで粒子内へ電解液が侵入できなくなり粒子内のLiイオン挿入脱離サイトを効率的に利用できなくなるため低温出力特性が不十分であった。
特許文献5に開示されている球形化黒鉛の製造方法も同様に、樹脂バインダを添加することによる黒鉛粒子同士の付着力は小さく、粒子内空隙が粗く緻密さに欠ける構造となるため、電池特性の改善効果は不十分であった。一方でトルエン溶媒に溶解させた樹脂バインダ溶液を添加して球形化する技術も一例として開示されているが、溶媒の引火点が低いため球形化処理中の温度上昇により引火点以上の温度となり、製造時に爆発や火災の危険を伴うため、さらなる改善が必要である。
また、特許文献6では黒鉛を球形に造粒する方法は開示されていない上、パラフィンワックスは固体であるため、粒子内空隙が粗く緻密さに欠ける構造となるため、電池特性の改善効果は不十分であった。
本発明にかかる炭素材が前記効果を奏する理由については、次の様に考えている。
<1>リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な非水系二次電池用炭素材であって、該炭素材は、細孔径0.01μm以上1μm以下の範囲の積算細孔容積が0.07mL/g以上であり、下記式(1)で表される細孔径と粒子径の比(PD/d50(%))が1.8以下であることを特徴とする非水系二次電池用炭素材。
PD/d50(%)=水銀圧入法により求められる細孔分布における0.01μm以上1μm以下の範囲のモード細孔径(PD)/体積基準平均粒子径(d50)×100 (1)
<2>リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な非水系二次電池用炭素材であって、該炭素材は加圧成型されず複数の黒鉛粒子から形成されるものであり、下記式(1)で表される細孔径と粒子径の比(PD/d50(%))が1.8以下であることを特徴とする非水系二次電池用炭素材。
PD/d50(%)=水銀圧入法により求められる細孔分布における0.01μm以上1μm以下の範囲のモード細孔径(PD)/体積基準平均粒子径(d50)×100 (1)
<3>前記炭素材が鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、及び塊状黒鉛を球形化処理した黒鉛であって、細孔分布半値半幅(log(nm))が0.45以上であることを特徴とする<1>または<2>に記載の非水系二次電池用炭素材。
(細孔分布半値半幅(log(nm))とは、非水系二次電池用炭素材の水銀圧入法(水銀ポロシメトリー)により求められる細孔分布(nm)の横軸を常用対数(log(nm))で表示したときの、0.01μm以上1μm以下の範囲に存在するピークの微細孔側の半値半幅を指す。)
<4>前記炭素材が鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、及び塊状黒鉛を球形化処理した黒鉛と炭素質物とが複合化した複合炭素材であって、細孔分布半値半幅(log(nm))が0.3以上であることを特徴とする<1>または<2>に記載の非水系二次電池用炭素材。
(細孔分布半値半幅(log(nm))とは、非水系二次電池用炭素材の水銀圧入法(水銀ポロシメトリー)により求められる細孔分布(nm)の横軸を常用対数(log(nm))で表示したときの、0.01μm以上1μm以下の範囲に存在するピークの微細孔側の半値半幅を指す。)
<5>前記炭素材のフロー式粒子像分析より求められる円形度が0.88以上であることを特徴とする請求項<1>乃至<4>の何れか1つに記載の非水系二次電池用炭素材。
<6>前記炭素材に、28kHzの超音波を出力60Wで5分間照射した後、フロー式粒子像分析装置により測定された、前記炭素材の粒子径と粒子個数頻度において、粒径3μm以下の粒子個数頻度が1以上60%以下であることを満たすことを特徴とする<1>乃至<5>の何れか1つに記載の非水系二次電池用炭素材。
<7>リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えると共に、該負極が集電体と該集電体上に形成された負極活物質層とを備えると共に、該負極活物質層が<1>乃至<6>の何れか1つに記載の炭素材を含有することを特徴とする非水系二次電池。
本発明の非水系二次電池用炭素材は、リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な非水系二次電池用炭素材であって、該炭素材は、細孔径0.01μm以上1μm以下の範囲の積算細孔容積が0.07mL/g以上であり、下記式(1)で表される細孔径と粒子径の比(PD/d50(%))が1.8以下であることを特徴とする非水系二次電池用炭素材である。
PD/d50(%)=水銀圧入法により求められる細孔分布における0.01μm以上1μm以下の範囲のモード細孔径(PD)/体積基準平均粒子径(d50)×100 (1)
PD/d50(%)=水銀圧入法により求められる細孔分布における0.01μm以上1μm以下の範囲のモード細孔径(PD)/体積基準平均粒子径(d50)×100 (1)
なお、「加圧成型されず」とは、黒鉛粒子の密度や等方性を高める程度に加圧成型を行わないことを意味する。加圧の具体例として、例えば50kgf/cm2以上の圧力であってもよく、100kgf/cm2以上の圧力であってもよく、200kgf/cm2以上の圧力であってもよい。
本発明のリチウムイオンを吸蔵・放出可能な非水系二次電池用炭素材は、細孔径0.01μm以上1μm以下の範囲の積算細孔容積が0.07mL/g以上であり、水銀圧入法により求められる細孔分布における0.01μm以上1μm以下の範囲のモード細孔径(PD)と体積基準平均粒子径(d50)の比(PD/d50(%))が1.8以下であれば特に限定されないが、例えば、黒鉛、非晶質炭素、黒鉛化度の小さい炭素質物が挙げられる。中でも、黒鉛が商業的に容易に入手可能であり、理論上372mAh/gの高い充放電容量を有し、さらには他の負極用活物質を用いた場合と比較して、高電流密度での充放電特性の改善効果が大きいため好ましい。黒鉛としては、不純物の少ないものが好ましく、必要に応じて、公知である種々の精製処理を施して用いることができる。黒鉛の種類としては、天然黒鉛、人造黒鉛等が挙げられ、高容量且つ高電流密度での充放電特性が良好な点から天然黒鉛がより好ましい。
また、これらを炭素質物、例えば非晶質炭素や黒鉛化物で被覆したものを用いてもよい。本発明ではこれらを単独で、又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
黒鉛化度の小さい炭素質物粒子としては、有機物を通常2500℃未満の温度で焼成したものが挙げられる。有機物としては、コールタールピッチ、乾留液化油などの石炭系重質油;常圧残油、減圧残油などの直留系重質油;原油、ナフサなどの熱分解時に副生するエチレンタール等の分解系重質油などの石油系重質油;アセナフチレン、デカシクレン、アントラセンなどの芳香族炭化水素;フェナジンやアクリジンなどの窒素含有環状化合物;チオフェンなどの硫黄含有環状化合物;アダマンタンなどの脂肪族環状化合物;ビフェニル、テルフェニルなどのポリフェニレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラールなどのポリビニルエステル類、ポリビニルアルコールなどの熱可塑性高分子などが挙げられる。
とすることができ、好ましくは2000℃以下、より好ましくは1400℃以下の範囲である。
焼成の際、有機物に燐酸、ホウ酸、塩酸などの酸類、水酸化ナトリウム等のアルカリ類などを混合することもできる。
焼成温度は、2500℃以上、3200℃以下の範囲とすることができ、焼成の際、珪素含有化合物やホウ素含有化合物などを黒鉛化触媒として用いることもできる。
FULLERENES」(NoyesPublications発行)参照)。黒鉛化度は、鱗状黒鉛や塊状黒鉛が100%で最も高く、これに次いで鱗片状黒鉛が99.9%で高く、黒鉛化度が高い黒鉛が本発明において好適である。なかでも不純物の少ないものが好ましく、必要に応じて、公知である種々の精製処理を施して用いることができる。
天然黒鉛の中でも、例えば、鱗状、鱗片状、又は塊状の天然黒鉛、高純度化した鱗片状黒鉛、後述する球形化処理した天然黒鉛(以降、球形化天然黒鉛と称す。)等が挙げられる。中でも、炭素材の内部に好適な緻密な細孔を形成させることができ、優れた粒子の充填性や充放電負荷特性を発揮するという観点から、球形化天然黒鉛が最も好ましい。
本発明の非水系二次電池用炭素材は、細孔径0.01μm以上1μm以下の範囲の積算細孔容積が0.07mL/g以上であり、水銀圧入法により求められる細孔分布における0.01μm以上1μm以下の範囲のモード細孔径(PD)と体積基準平均粒子径(d50)の比(PD/d50(%))が1.8以下となるとなるように製造すれば特に制限はないが、達成手段の一つとしては、d50が80μm以下となるように粒度を調整した鱗片状天然黒鉛を球形化(造粒)処理する際に生成する微粉を、球形化処理した黒鉛(以降、球形化黒鉛と称すことがある。)となる母材に付着、及び/又は球形化黒鉛の粒子に内包しながら球形化処理することにより、得ることができる。
1)前記原料炭素材を造粒する工程時に液体
2)造粒剤が有機溶剤を含まないか、有機溶剤を含む場合、有機溶剤の内、少なくとも1種は引火点を有さない、又は引火点を有するときには該引火点が5℃以上である。
上記造粒工程を有すれば、必要に応じて別の工程を更に有していてもよい。別の工程は単独で実施してもよいし、複数工程を同時に実施してもよい。一実施形態としては、以下の第1工程乃至第6工程を含む。
(第2工程)原料炭素材と造粒剤とを混合する工程
(第3工程)原料炭素材を造粒する工程
(第4工程)造粒剤を除去する工程
(第5工程)造粒炭素材を高純度化する工程
(第6工程)造粒炭素材に、さらに原料炭素材より結晶性が低い炭素質物を添着する工程
以下、これら工程について説明する。
本発明で用いる原料炭素材は特に限定されず、前述した人造黒鉛や天然黒鉛を使用することが出来る。中でも、結晶性が高く高容量であることから天然黒鉛を使用することが好ましい。天然黒鉛としては、例えば、鱗状、鱗片状、塊状又は板状の天然黒鉛が挙げられ、中でも、鱗片状黒鉛が好ましい。
また、平均粒径が上記範囲にある場合、造粒工程中に生成する微粉を、造粒された黒鉛(以降、造粒炭素材と称す。)となる母材に付着或いは母材の内部に包む込みながら造粒することが可能になり、球形化度が高く微粉が少ない造粒炭素材を得ることが出来る。
粉砕に用いる装置に特に制限はないが、例えば、粗粉砕機としてはせん断式ミル、ジョークラッシャー、衝撃式クラッシャー、コーンクラッシャー等が挙げられ、中間粉砕機としてはロールクラッシャー、ハンマーミル等が挙げられ、微粉砕機としては、機械式粉砕機、気流式粉砕機、旋回流式粉砕機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、振動ミル、ピンミル、攪拌ミル、ジェットミル、サイクロンミル、ターボミル等が挙げられる。特に、10μm以下の黒鉛粒子を得る場合には、気流式粉砕機や旋回流式粉砕機を用いることが好ましい。
分級処理に用いる装置としては特に制限はないが、例えば、乾式篩い分けの場合は、回転式篩い、動揺式篩い、旋動式篩い、振動式篩い等を用いることができ、乾式気流式分級
の場合は、重力式分級機、慣性力式分級機、遠心力式分級機(クラシファイア、サイクロン等)を用いることができ、また、湿式篩い分け、機械的湿式分級機、水力分級機、沈降分級機、遠心式湿式分級機等を用いることができる。
原料炭素材に含まれる灰分は、炭素材の全質量に対して、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以下である。また、灰分の下限は1ppm以上であることが好ましい。
灰分が上記範囲内であると非水系二次電池とした場合に、充放電時の炭素材と電解液との反応による電池性能の劣化を無視できる程度に抑えることができる。また、炭素材の製造に多大な時間とエネルギーと汚染防止のための設備とを必要としないため、コストの上昇も抑えられる。
X線回折は以下の手法により測定する。炭素粉末に総量の約15質量%のX線標準高純度シリコン粉末を加えて混合したものを材料とし、グラファイトモノクロメーターで単色化したCuKα線を線源とし、反射式ディフラクトメーター法で広角X線回折曲線を測定する。その後、学振法を用いて面間隔(d002)及び結晶子の大きさ(Lc)を求める。
〜30時間、更に好ましくは、3〜24時間である。長すぎると、生産性の低下を招き、短すぎると、熱処理効果が十分に発揮されない傾向になる。
熱処理の雰囲気は、大気雰囲気などの活性雰囲気、もしくは、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気があげられ、200℃〜300℃で熱処理する場合には特段制限はないが、300℃以上で熱処理を行う場合には、黒鉛表面の酸化を防止する観点で、窒素雰囲気やアルゴン雰囲気などの不活性雰囲気が好ましい。
本発明の実施形態で用いる造粒剤は、1)前記原料炭素材を造粒する工程時に液体及び2)造粒剤が有機溶剤を含まないか、有機溶剤を含む場合、有機溶剤の内、少なくとも1種は引火点を有さない、又は引火点を有するときには該引火点が5℃以上、の条件を満足するものである。
上記要件を満たす造粒剤を有することで、続く第3工程における原料炭素材を造粒する工程の際に、原料炭素材間を造粒剤が液架橋することにより、原料炭素材間に液橋内の毛管負圧と液の表面張力によって生じる引力が粒子間に液架橋付着力として働くため、原料炭素材間の液架橋付着力が増大し、原料炭素材がより強固に付着することが可能となる。
HOPG表面に1.2μLの造粒剤を滴下し、濡れ広がりが収束して一秒間の接触角θの変化率が3%以下となったとき(定常状態ともいう)の接触角を接触角測定装置(協和界面社製自動接触角計DM−501)にて測定する。ここで、25℃における粘度が500cP以下の造粒剤を用いる場合には25℃における値を、25℃における粘度が500cPより大きい造粒剤を用いる場合には、粘度が500cP以下となる温度まで加温した温度における接触角θの測定値とする。
造粒剤の表面張力γは、表面張力計(例えば、協和界面科学株式会社製DCA−700
)を用いてWilhelmy法により測定する。
また造粒剤の、25℃における粘度が1cP以上100000cP以下であることが好ましく、5cP以上10000cP以下であることがより好ましく、10cP以上8000cP以下であることが更に好ましく、50cP以上6000cP以下であることが特に好ましい。粘度が上記範囲内にあると、原料炭素材を造粒する際に、ローターやケーシングとの衝突などの衝撃力による付着粒子の脱離を妨ぐことが可能となる。
誘導体類や、1,4−ジオキサンなどのエーテル類や、ジメチルホルムアミド、ピリジン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどの含窒素化合物、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン、クロロベンゼンなどの含ハロゲン化合物、及びそれらの混合物などがあげられ、例えばトルエンのような引火点が低い物は含まれない。これら有機溶剤は単体で造粒剤としても用いることが出来る。なお、本明細書において、引火点は、公知の方法により測定できる。
炭素材は、原料炭素材に衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与えることにより球形化処理(以下、造粒とも称する)を施したものであることが好ましい。また、該球形化黒鉛は、複数の鱗片状又は鱗状黒鉛、及び磨砕された黒鉛微粉からなるものであることが好ましく、特に複数の鱗片状黒鉛からなるものであることが特に好ましい。
本発明の実施形態は、少なくとも衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかの力学的エネルギーを付与して原料炭素材を造粒する造粒工程を有することが好ましい。
この工程に用いる装置としては、例えば、衝撃力を主体に、原料炭素材の相互作用も含めた圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し与える装置を用いることができる。
ーが高速回転することによって、内部に導入された原料炭素材に対して衝撃、圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与え、表面処理を行なう装置が好ましい。また、原料炭素材を循環させることによって機械的作用を繰り返し与える機構を有するものであるのが好ましい。
このような装置としては、例えば、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロン、クリプトロンオーブ(アーステクニカ社製)、CFミル(宇部興産社製)、メカノフュージョンシステム、ノビルタ、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)、COMPOSI(日本コークス工業製)等が挙げられる。これらの中で、奈良機械製作所社製のハイブリダイゼーションシステムが好ましい。
また、原料炭素材に機械的作用を与える処理は、単に原料炭素材を通過させるだけでも可能であるが、原料炭素材を30秒以上、装置内を循環又は滞留させて処理するのが好ましく、より好ましくは1分以上、更に好ましくは3分以上、特に好ましくは5分以上、装置内を循環又は滞留させて処理する。
粒子間介在物を介する物理的及び/または化学的架橋力としては、液体性介在物、固体性介在物、を介する物理的及び/または化学的架橋力が挙げられる。上記化学的架橋力としては、粒子と粒子間介在物との間で化学反応、焼結、メカノケミカル効果などにより、共有結合、イオン結合、水素結合等が形成された場合の架橋力が挙げられる。
本発明の実施形態においては、前記造粒剤を除去する工程を有していてもよい。造粒剤を除去する方法としては、例えば、溶剤により洗浄する方法や、熱処理により造粒剤を揮発・分解除去する方法が挙げられる。
熱処理温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上、更に好ましくは200℃以上、より更に好ましくは300℃以上、特に好ましくは400℃以上、最も好ましくは500℃であり、好ましくは1500℃以下、より好ましくは1000℃以下、更に好ましくは800℃以下である。上記範囲内にあると、十分に造粒剤を揮発・分解除去でき生産性を向上できる。
本発明においては、造粒炭素材を高純度化する工程を有していてもよい。造粒炭素材を高純度化する方法としては、硝酸や塩酸を含む酸処理を行う方法が挙げられ、活性の高い硫黄元となりうる硫酸塩を系内に導入することなく黒鉛中の金属、金属化合物、無機化合物などの不純物を除去できるため好ましい。
なお、上記酸処理は、硝酸や塩酸を含む酸を用いればよく、その他の酸、例えば、臭素酸、フッ酸、ホウ酸あるいはヨウ素酸などの無機酸、または、クエン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、トリクロロ酢酸あるいはトリフルオロ酢酸などの有機酸を適宜混合した酸を用いることもできる。好ましくは濃フッ酸、濃硝酸、濃塩酸であり、より好ましくは濃硝酸、濃塩酸である。なお、本発明において硫酸にて黒鉛を処理してもよいが、本発明の効果や
物性を損なわない程度の量と濃度にて用いることとする。
浸漬温度は、通常25℃以上、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは、60℃以上である。水系の酸を用いる場合の理論上限は水の沸点である100℃である。この温度が低すぎると、上記不純物を十分に除去できなくなる傾向がある。
前記処理黒鉛と水との混合割合は、通常100:10以上、好ましくは100:30以上、より好ましくは、100:50以上、更に好ましくは、100:100以上であり、また100:1000以下、好ましくは100:700以下、より好ましくは100:500以下、更に好ましくは100:400以下である。多すぎると生産効率が低下する傾向があり、少なすぎると残留不純物・酸分が増大する傾向になる。
また、水洗浄処理をバッチ式にて行う場合は、純水中での攪拌−ろ過の処理工程を複数回繰り返して洗浄行うことが不純物・酸分除去の観点から好ましい。上記処理は、上述し
た処理黒鉛のpHが上記範囲になるように繰り返し行ってもよい。通常、1回以上、好ましくは2回以上、より好ましくは、3回以上である。
本発明の実施形態では、造粒炭素材に、さらに原料炭素材より結晶性が低い炭素質物を添着する工程を有していてもよい。すなわち、前記炭素材に炭素質物を複合化することができる。この工程によれば、電解液との副反応抑制や、急速充放電性の向上できる炭素材を得ることができる。
造粒炭素材に、さらに原料炭素材より結晶性が低い炭素質物を添着した複合黒鉛を「炭素質物複合炭素材」又は「複合炭素材」と呼ぶことがある。
また、分解系重質油を熱処理することで得られるエチレンタールピッチ、FCCデカントオイル、アシュランドピッチなどの熱処理ピッチ等を挙げることができる。さらにポリ塩化ビニル、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等のビニル系高分子と3−メチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、3,5−ジメチルフェノールホルムアルデヒド樹脂等の置換フェノール樹脂、アセナフチレン、デカシクレン、アントラセンなどの芳香族炭化水素、フェナジンやアクリジンなどの窒素環化合物、チオフェンなどのイオウ環化合物などを挙げることができる。また、固相で炭素化を進行させる有機化合物としては、セルロースなどの天然高分子、ポリ塩化ビニリデンやポリアクリロニトリルなどの鎖状ビニル樹脂、ポリフェニレン等の芳香族系ポリマー、フルフリルアルコール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、イミド樹脂等熱硬化性樹脂やフルフリルアルコールのような熱硬化性樹脂原料などを挙げることができる。これらの中でも石油系重質油が好ましい。
形状は任意であるが、平均粒径は、通常2〜50μmであり、5〜35μmが好ましく、特に8〜30μmである。上記粒径範囲となるよう、必要に応じて、解砕及び/又は粉
砕及び/又は分級を行う。
なお、本実施形態の効果を損なわない限り、他の工程の追加や上述に記載のない制御条件を追加してもよい。
炭素質物複合炭素材中の炭素質物の含有量は、原料となる造粒炭素材に対して、通常0.01質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3%以上、更に好ましくは0.7質量%以上、特に好ましくは1質量%以上、最も好ましくは1.5質量%以上であり、であり、また前記含有量は、通常20質量%以下、好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、特に好ましくは7質量%以下、最も好ましくは5質量%以下である。
一方、含有量が小さすぎると、被覆による効果が得られにくくなる傾向がある。
(w1を造粒炭素材の質量(kg)、w2を炭素質物複合炭素材の質量(kg)とする)
前記炭素材とは異なる炭素材料としては、例えば天然黒鉛、人造黒鉛、炭素材を炭素質物で被覆した被覆黒鉛、非晶質炭素、金属粒子や金属化合物を含有した炭素材の中から選ばれる材料を用いることができる。これらの材料は、何れかを一種を単独で用いても良く、二種以上を任意の組み合わせ及び組成で併用しても良い。
天然黒鉛のBET比表面積は、通常1m2/g以上、好ましくは2m2/g以上、また、通常30m2/g以下、好ましくは15m2/g以下の範囲である。比表面積がこの範囲であれば、高速充放電特性、生産性が良好となるため好ましい。
また、天然黒鉛のタップ密度は、通常0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上が好ましく、0.8g/cm3以上がより好ましく、0.85g/cm3以上が更に好まし
い。また、通常1.3g/cm3以下、1.2g/cm3以下が好ましく、1.1g/cm3以下がより好ましい。この範囲であれば高速充放電特性、生産性が良好となるため好ましい。
人造黒鉛の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは10μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm、更に好ましくは30μm以下の範囲である。この範囲であれば、極板膨れの抑制や生産性が良好となるため好ましい。
人造黒鉛のBET比表面積は、通常0.5m2/g以上、好ましくは1.0m2/g以上、また、通常8m2/g以下、好ましくは6m2/g以下、更に好ましくは4m2/g以下の範囲である。この範囲であれば、極板膨れの抑制や生産性が良好となるため好ましい。
被覆黒鉛のBET比表面積は、通常1m2/g以上、好ましくは2m2/g以上、更に好ましくは2.5m2/g以上、また、通常20m2/g以下、好ましくは10m2/g以下、更に好ましくは8m2/g以下、特に好ましくは5m2/g以下の範囲である。比表面積がこの範囲であれば、高速充放電特性、生産性が良好となるため好ましい。
非晶質炭素の体積基準平均粒径は、通常5μm以上、好ましくは12μm以上、また、通常60μm以下、好ましくは40μm以下の範囲である。この範囲であれば、高速充放電特性、生産性が良好となるため好ましい。
非晶質炭素のBET比表面積は、通常1m2/g以上、好ましくは2m2/g以上、更に好ましくは2.5m2/g以上、また、通常8m2/g以下、好ましくは6m2/g以下、更に好ましくは4m2/g以下の範囲である。比表面積がこの範囲であれば、高速充放電特性、生産性が良好となるため好ましい。
金属粒子のBET比表面積は、通常0.5m2/g以上120m2/g以下、1m2/g以上100m2/g以下であることが好ましい。比表面積が前記範囲内であると、電池の充放電効率および放電容量が高く、高速充放電においてリチウムの出し入れが速く、レート特性に優れるので好ましい。
以下、本発明の実施形態に係る炭素材の好ましい物性について、説明する。
・細孔径0.01μm以上1μm以下の範囲のモード細孔径(PD)
本発明の炭素材において、0.01μm以上1μm以下の範囲のモード細孔径(PD)は、水銀圧入法(水銀ポロシメトリー)を用いて測定した値であり、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.03μm以上、更に好ましくは0.05μm以上、特に好ましくは0.06μm以上であり、最も好ましくは0.07μm以上であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.65μm以下、更に好ましくは0.5μm以下、より更に好ましくは0.4μm以下、特に好ましくは0.3μm以下、より特に好ましくは0.2μm以下、最も好ましくは0.1μm以下である。
0.01μm以上1μm以下の範囲のモード細孔径(PD)が上記範囲を外れると、電解液が粒子内空隙へと効率的に行き渡ることが出来ず、粒子内のLiイオン挿入脱離サイトを効率的に利用できなくなるため、低温出力特性やサイクル特性が低下する傾向がある。
本発明の炭素材において、0.01μm以上1μm以下の範囲の細孔容積は、水銀圧入法(水銀ポロシメトリー)を用いて測定した値であり、加圧処理される場合であっても、通常0.07mL/g以上、好ましくは0.08mL/g以上、より好ましくは0.09mL/g以上であり、最も好ましくは0.10mL/g以上である。また、好ましくは0.3mL/g以下であり、より好ましくは0.25mL/g以下、更に好ましくは0.2mL/g以下、特に好ましくは0.18mL/g以下である。
炭素材の細孔分布半値半幅(log(nm))は、水銀圧入法(水銀ポロシメトリー)により求められる細孔分布(nm)の横軸を常用対数(log(nm))で表示したときの、細孔径0.01μm以上1μm以下の範囲に存在するピークの微細孔側の半値半幅を指す。
d50が13μm以上の炭素材が、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、及び塊状黒鉛を球形化処理した炭素材である場合、細孔分布半値半幅(log(nm))は、好ましくは0.45以上、より好ましくは0.5以上、更に好ましくは0.6以上、特に好ましくは0.65以上、最も好ましくは0.7以上、好ましくは10以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下、特に好ましくは1以下である。
炭素材がd50が13μm未満である場合、細孔分布半値半幅(log(nm))は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上、好ましくは0.33以下、より好ましくは0.3以下、更に好ましくは0.25以下、特に好ましくは0.23以下である。
全細孔容積は、水銀圧入法(水銀ポロシメトリー)を用いて測定した値であり、好まし
くは0.1mL/g以上、より好ましくは0.3mL/g以上、更に好ましくは0.5mL/g以上、特に好ましくは0.6mL/g以上、最も好ましくは0.7mL/g以上である。また、好ましくは10mL/g以下、より好ましくは5mL/g以下、更に好ましくは2mL/g以下、特に好ましくは1mL/g以下である。
全細孔容積が上記範囲内であると、極板化時のバインダ量を過剰にする必要がなく、極板化時に増粘剤やバインダの分散効果も得られ易くなる。
引き続き、4psia(約28kPa)に減圧して前記セルに水銀を導入し、圧力を4psia(約28kPa)から40000psia(約280MPa)までステップ状に昇圧させた後、25psia(約170kPa)まで降圧させる。
昇圧時のステップ数は80点以上とし、各ステップでは10秒の平衡時間の後、水銀圧入量を測定する。こうして得られた水銀圧入曲線からWashburnの式を用い、細孔分布を算出する。
なお、水銀の表面張力(γ)は485dyne/cm、接触角(ψ)は140°として算出する。平均細孔径は、累計細孔体積が50%となるときの細孔径として定義する。
炭素材の体積基準平均粒径(「平均粒径d50」、又は「メジアン径」とも記載する。)は好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上、殊更に好ましくは8μm以上、特に好ましくは10μm以上、最も好ましくは12μm以上である。また平均粒径d50は、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは35μm以下、殊更に好ましくは31μm以下、特に好ましくは30μm以下である。上記範囲内であれば、不可逆容量の増加を抑制でき、またスラリー塗布における筋引きなどの生産性が損なわれないといった傾向がある。
平均粒径d50が小さすぎると、前記炭素材を用いて得られる非水系二次電池の不可逆容量の増加、初期電池容量の損失を招く傾向があり、一方平均粒径d50が大きすぎるとスラリー塗布における筋引きなどの工程不都合の発生、高電流密度充放電特性の低下、低温出力特性の低下を招く場合がある。
炭素材の、細孔径0.01μm以上1μm以下の範囲のモード細孔径(PD)と体積基準平均粒子径(d50)の比(PD/d50)は下記(式1)で表され、通常1.8以下、好ましくは1.80以下、より好ましくは1.00以下、更に好ましくは0.90以下、特に好ましくは0.80以下、最も好ましくは0.70以下、通常0.01以上、好ましくは0.10以上、より好ましくは0.20以上である。
(式1)PD/d50(%)=水銀圧入法により求められる細孔分布における0.01μm以上1μm以下の範囲のモード細孔径(PD)/体積基準平均粒子径(d50)×100
細孔径0.01μm以上1μm以下の範囲のモード細孔径(PD)が上記範囲を外れると、電解液が粒子内空隙へと効率的に行き渡ることが出来ず、粒子内のLiイオン挿入脱離サイトを効率的に利用できなくなるため、低温出力特性やサイクル特性が低下する傾向がある。
本発明の炭素材の28kHzの超音波を出力60Wで5分間照射した際の粒径3μm以下の粒子個数頻度は、好ましくは1%以上、より好ましくは10%以上、好ましくは60%以下、より好ましくは55%以下、更に好ましくは50%以下、特に好ましくは40%以下、最も好ましくは30%以下である。
粒子個数頻度が上記範囲内であると、スラリー混練、電極圧延、充放電などの際に粒子崩壊や微粉剥離を生じにくくなり、低温出力特性やサイクル特性が良好となる傾向がある。
本発明の炭素材の円形度は、通常0.88以上、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.91以上である。また、円形度は好ましくは1以下、より好ましくは0.98以下、更に好ましくは0.97以下である。円形度が上記範囲内であると、当該炭素材を用いた非水系二次電池の高電流密度充放電特性の低下を抑制できる傾向にある。なお、円形度は以下の式で定義され、円形度が1のときに理論的真球となる。
また、円形度が上記範囲内であると、Liイオン拡散の屈曲度が下がって粒子間空隙中の電解液移動がスムーズになり、且つ適度に炭素材同士が接触することが可能なため、良好な急速充放電特性、及びサイクル特性を示す傾向がある。
(式)
円形度=(粒子投影形状と同じ面積を持つ相当円の周囲長)/(粒子投影形状の実際の周囲長)
本発明の炭素材のタップ密度は通常0.7g/cm3以上、好ましくは0.75g/cm3以上、より好ましくは0.8g/cm3以上、更に好ましくは0.83g/cm3以上、殊更に好ましくは0.85g/cm3以上、特に好ましくは0.88g/cm3以上、より特に好ましくは0.9g/cm3以上、最も好ましくは0.95g/cm3以上であり、好ましくは1.3g/cm3以下であり、より好ましくは1.2g/cm3以下であり、更に好ましくは1.1g/cm3以下である。
前記タップ密度は、粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して本発明の炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の質量から求めた密度として定義する。
本発明の炭素材の、学振法によるX線回折で求めた格子面(002面)のd値(層間距離)は、好ましくは0.335nm以上、0.340nm未満である。ここで、d値はより好ましくは0.339nm以下、更に好ましくは0.337nm以下、特に好ましくは0.336nm以下である。d002値が上記範囲内にあると、黒鉛の結晶性が高いため、初期不可逆容量が増加を抑制する傾向にある。ここで、0.335nmは黒鉛の理論値である。
本発明の炭素材に含まれる灰分は、炭素材の全質量に対して、好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下であり、更に好ましくは0.1質量%以下である。また、灰分の下限は1ppm以上であることが好ましい。
灰分が上記範囲内であると非水系二次電池とした場合に、充放電時の炭素材と電解液との反応による電池性能の劣化を無視できる程度に抑えることができる。また、炭素材の製造に多大な時間とエネルギーと汚染防止のための設備とを必要としないため、コストの上昇も抑えられる。
本発明の炭素材のBET法により測定した比表面積(SA)は、好ましくは1m2/g以上、より好ましくは2m2/g以上、更に好ましくは3m2/g以上、特に好ましくは4m2/g以上である。また、好ましくは30m2/g以下、より好ましくは25m2/g以下、更に好ましくは20m2/g以下、殊更に好ましくは18m2/g以下、特に好ましくは17m2/g以下、最も好ましくは15m2/g以下である。
比表面積が上記範囲内であると、Liが出入りする部位を十分確保することができるため高速充放電特性出力特性に優れ、活物質の電解液に対する活性も適度抑えることができるため、初期不可逆容量が大きくならず、高容量電池を製造できる傾向にある。
また、炭素材を使用して負極を形成した場合の、その電解液との反応性の増加を抑制でき、ガス発生を抑えることができるため、好ましい非水系二次電池を提供することができる。
X線光電子分光法測定(XPS)としてX線光電子分光器(例えば、アルバック・ファイ社製ESCA)を用い、測定対象(ここでは炭素材)を表面が平坦になるように試料台に載せ、アルミニウムのKα線をX線源とし、マルチプレックス測定により、C1s(280〜300eV)とO1s(525〜545eV)のスペクトルを測定する。得られたC1sのピークトップを284.3eVとして帯電補正し、C1sとO1sのスペクトルのピーク面積を求め、更に装置感度係数を掛けて、CとOの表面原子濃度をそれぞれ算出する。得られたそのOとCの原子濃度比O/C(O原子濃度/C原子濃度)×100を炭素材の表面官能基量O/C値と定義する。
本発明の炭素材の真密度は、好ましくは1.9g/cm3以上、より好ましくは2g/cm3以上、更に好ましくは2.1g/cm3以上、殊更に好ましくは2.2g/cm3以上であり、上限は2.26g/cm3である。上限は黒鉛の理論値である。真密度が上記範囲内であると、炭素の結晶性が低すぎず、非水系二次電池とした場合の、その初期不可逆容量の増大を抑制できる傾向にある。
本発明の炭素材の粉末状態でのアスペクト比は、理論上1以上であり、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上である。またアスペクト比は好ましくは10以下、より好ましくは8以下、更に好ましくは5以下である。
アスペクト比が上記範囲内であると、極板化時に炭素材を含むスラリー(負極形成材料)のスジ引きが起こり難く、均一な塗布面が得られ、非水系二次電池の高電流密度充放電特性の低下を回避する傾向にある。
本発明の炭素材の最大粒径dmaxは、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、更に好ましくは120μm以下、特に好ましくは100μm以下、最も好ましくは80μm以下である。dmaxが上記範囲内にあると、筋引きなどの工程不都合の発生を抑制できる傾向にある。
また、最大粒径は、平均粒径d50の測定の際に得られた粒度分布において、粒子が測定された最も大きい粒径の値として定義される。
本発明の炭素材のラマンR値は、特に限定されないが、その値は好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.1以上、殊更に好ましくは0.1
5以上、特に好ましくは0.2以上である。また、ラマンR値は通常1以下、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下、更に好ましくは0.6以下、特に好ましくは0.5以下、最も好ましくは0.4以下である。
なお、本明細書において「1580cm−1付近」とは1580〜1620cm-1の範囲を、「1360cm−1付近」とは1350〜1370cm-1の範囲を指す。
ラマンR値が上記範囲内にあると、炭素材粒子表面の結晶性は高くなり難く、高密度化した場合に負極板と平行方向に結晶が配向し難くなり、負荷特性の低下を回避する傾向にある。さらに、粒子表面の結晶も乱れ難く、負極の電解液との反応性の増大を抑制し、非水系二次電池の充放電効率の低下やガス発生の増加を回避できる傾向にある。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm−1
測定範囲 :1100cm−1〜1730cm−1 ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
本発明の炭素材のDBP(フタル酸ジブチル)吸油量は、好ましくは85mL/100g以下、より好ましくは70mL/100g以下、更に好ましくは65mL/100g以下、特に好ましくは60mL/100g以下である。また、DBP吸油量は好ましくは30mL/100g以上、より好ましくは40mL/100g以上である。
また、DBP吸油量は、JIS K6217に準拠し、測定材料(炭素材)を40g投入し、滴下速度4mL/min、回転数125rpm、設定トルク500N・mとしたときの測定値として定義される。測定には、例えばブラベンダー社製 アブソープトメーター E型を用いることができる。
本発明の炭素材の体積基準で測定した粒径の、小さい粒子側から累積10%に相当する粒径(d10)は好ましくは30μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは17μm以下、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、更に好ましくは5μm以上である。
どの工程不都合の発生、非水系二次電池における電極強度の低下や初期充放電効率の低下を回避できる。また、高電流密度充放電特性の低下、低温出力特性の低下も回避する傾向にある。
d10は、平均粒径d50の測定の際に得られた粒度分布において、粒子の頻度%が小さい粒径から積算で10%となった値として定義される。
本発明の炭素材の体積基準で測定した粒径の、小さい粒子側から累積90%に相当する粒径(d90)は好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、更に好ましくは60μm以下、より更に好ましくは50μm以下、特に好ましくは45μm以下、最も好ましくは42μm以下、好ましくは20μm以上、より好ましくは26μm以上、更に好ましくは30μm以上、特に好ましくは34μm以上である。
d90は、平均粒径d50の測定の際に得られた粒度分布において、粒子の頻度%が小さい粒径から積算で90%となった値として定義される。
本発明の実施形態に係る非水系二次電池用負極(以下適宜「電極シート」ともいう。)は、集電体と、集電体上に形成された負極活物質層とを備えると共に、活物質層は少なくとも本発明の炭素材とを含有することを特徴とする。更に好ましくはバインダを含有する。
バインダとしては特に限定されないが、分子内にオレフィン性不飽和結合を有するものを用いることが好ましい。その種類は特に制限されないが、具体例としては、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン・イソプレン・スチレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体などが挙げられる。このようなオレフィン性不飽和結合を有するバインダを用いることにより、活物質層の電解液に対する膨潤性を低減することができる。中でも入手の容易性から、スチレン−ブタジエンゴムが好ましい。
本発明においては、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダも、本発明の効果が失われない範囲において、上述のオレフィン性不飽和結合を有するバインダと併用することができる。オレフィン性不飽和結合を有するバインダに対する、オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの混合比率は、好ましくは150質量%以下、より好ましくは120質量%以下の範囲である。
オレフィン性不飽和結合を有さないバインダの例としては、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、澱粉、カラギナン、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等の増粘多糖類、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、或いはこれらポリマーの金属塩、ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのアルカン系ポリマー及びこれらの共重合体などが挙げられる。
スラリーを集電体上に塗布した後、好ましくは60℃以上、より好ましくは80℃以上、また、好ましくは200℃以下、より好ましくは195℃以下の温度で、乾燥空気又は不活性雰囲気下で乾燥し、活物質層を形成する。
度の電流値に対する十分なLiの吸蔵・放出の機能を得ることができる。
活物質層の厚さは、スラリーの塗布、乾燥後にプレスすることにより、上記範囲の厚さになるように調整してもよい。
本発明の非水系二次電池、特にリチウムイオン二次電池の基本的構成は、従来公知のリチウムイオン二次電池と同様であり、通常、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備える。負極としては、上述した本発明の炭素材を用いた負極を用いる。
正極は、正極活物質及びバインダを含有する正極活物質層を、集電体上に形成したものである。
せてもよい。
導電剤としては、活物質に適量混合して導電性を付与できるものであれば特に制限はないが、通常、アセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などの炭素粉末、各種の金属の繊維、粉末、箔などが挙げられる。
正極板は、前記したような負極の製造と同様の手法で、正極活物質やバインダを溶剤でスラリー化し、集電体上に塗布、乾燥することにより形成する。正極の集電体としては、アルミニウム、ニッケル、ステンレススチール(SUS)などが用いられるが、何ら限定されない。
非水系電解液に使用される非水系溶媒は特に制限されず、従来から非水系電解液の溶媒として提案されている公知の非水系溶媒の中から、適宜選択して用いることができる。例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテル類;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類;γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類などが挙げられる。
また、上述の非水系電解液に有機高分子化合物を含ませ、ゲル状、ゴム状、或いは固体シート状にして使用する場合、有機高分子化合物の具体例としては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物;ポリエーテル系高分子化合物の架橋体高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどのビニルアルコール系高分子化合物;ビニルアルコール系高分子化合物の不溶化物;ポリエピクロルヒドリン;ポリフォスファゼン;ポリシロキサン;ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカ
ーボネート、ポリアクリロニトリルなどのビニル系高分子化合物;ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート)、ポリ(ω−メトキシオリゴオキシエチレンメタクリレート−co−メチルメタクリレート)、ポリ(ヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン)等のポリマー共重合体などが挙げられる。
上記添加剤を用いる場合、その含有量は、上記非水系電解液の総質量に対して通常10質量%以下、好ましくは8質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、特に好ましくは2質量%以下の範囲である。上記添加剤の含有量が多過ぎると、初期不可逆容量の増加や低温特性、レート特性の低下等、他の電池特性に悪影響を及ぼすおそれがある。
正極と負極との間には通常、電極間の短絡を防止するために、多孔膜や不織布などの多孔性のセパレータを介在させる。この場合、非水系電解液は、多孔性のセパレータに含浸させて用いる。セパレータの材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエーテルスルホンなどが用いられ、好ましくはポリオレフィンである。
実施例又は比較例の黒鉛質粒子を用い、活物質層密度1.60±0.03g/cm3の活物質層を有する極板を作製した。具体的には、負極材50.00±0.02gに、1質量%カルボキシメチルセルロースナトリウム塩水溶液を50.00±0.02g(固形分換算で0.500g)、及び重量平均分子量27万のスチレン・ブタジエンゴム水性ディスパージョン1.00±0.05g(固形分換算で0.5g)を、キーエンス製ハイブリッドミキサーで5分間撹拌し、30秒脱泡してスラリーを得た。
3mg/cm2付着するように、伊藤忠マシニング製小型ダイコーターを用いて幅10cmに塗布し、直径20cmのローラを用いてロールプレスして、活物質層の密度が1.60±0.03g/cm3になるよう調整し電極シートを得た。
上記方法で作製した電極シートを直径12.5mmの円盤状に打ち抜き、リチウム金属箔を直径14mmの円板状に打ち抜き対極とした。両極の間には、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合溶媒(容積比=3:7)に、LiPF6を1mol/Lになるように溶解させた電解液を含浸させたセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、2016コイン型電池をそれぞれ作製した。
上記方法で作製した電極シートを4cm×3cmに切り出し負極とし、NMCからなる正極を同面積で切り出し、負極と正極の間にはセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、組み合わせた。エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶媒(容積比=3:3:4)に、LiPF6を1.2mol/Lになるように溶解させた電解液を250μL注液してラミネート型電池を作製した。
上述の方法で作製した非水系二次電池(2016コイン型電池)を用いて、下記の測定方法で電池充放電時の容量を測定した。
0.05Cの電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、さらに5mVの一定電圧で電流密度が0.005Cになるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、0.1Cの電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行った。引き続き同電流密度で2回目の充放電を行い、この2サイクル目の放電容量を本材料の放電容量とした。
上記非水電解液二次電池の作製法により作製したラミネート型非水電解液二次電池を用いて、下記の測定方法で低温出力特性を測定した。
充放電サイクルを経ていない非水電解液二次電池に対して、25℃で電圧範囲4.1V〜3.0V、電流値0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電流値を1Cとする、以下同様)にて3サイクル、電圧範囲4.2V〜3.0V、電流値0.2Cにて(充電時には4.2Vにて定電圧充電をさらに2.5時間実施)2サイクル、初期充放電を行った。
さらに、SOC50%まで電流値0.2Cで充電を行った後、−30℃の低温環境下で、1/8C、1/4C、1/2C、1.5C、2Cの各電流値で2秒間定電流放電させ、各々の条件の放電における2秒後の電池電圧の降下を測定し、それらの測定値から充電上限電圧を3Vとした際に、2秒間に流すことのできる電流値Iを算出し、3×I(W)という式で計算される値をそれぞれの電池の低温出力特性とした。
界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ツィーン20(登録商標))の0.2質量%水溶液10mLに、炭素材0.01gを懸濁させ、これを測定サンプルとして市販のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えばHORIBA製LA−920)に導入し、測定サンプルに28kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、前記測定装置において体積基準のメジアン径として測定した。
水銀圧入法の測定としては、水銀ポロシメータ(マイクロメリテックス社製のオートポア9520)を用いて、パウダー用セルに試料(負極材)を0.2g前後秤量封入し、室温、真空下(50μmHg以下)にて10分間の脱気前処理を実施した後、4psiaまでステップ状に減圧し水銀を導入し、4psiaから40000psiaまでステップ状に昇圧させ、更に25psiaまで降圧させた。得られた水銀圧入曲線からWashburnの式を用い、細孔分布を算出した。なお、水銀の表面張力は485dyne/cm、接触角は140°として算出した。
得られた細孔分布から、0.01μm以上1μm以下の範囲のモード細孔径(PD)、0.01μm以上1μm以下の範囲の細孔容積、全細孔容積を算出した。また、得られた細孔分布(nm)の横軸を常用対数(log(nm))で表示したときの、0.01μm以上1μm以下の範囲に存在するピークの微細孔側の半値半幅を細孔分布半値半幅(log(nm))と定義する。
フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製FPIA−2000)を使用し、円相当径による粒径分布の測定および円形度の算出を行った。分散媒としてイオン交換水を使用し、界面活性剤としてポリオキシエチレン(20)モノラウレートを使用した。円相当径とは、撮影した粒子像と同じ投影面積を持つ円(相当円)の直径であり、円形度とは、相当円の周囲長を分子とし、撮影された粒子投影像の周囲長を分母とした比率である。測定した相当径が1.5〜40μmの範囲の粒子の円形度を平均し、円形度とした。
界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(ツィーン20(登録商標))の0.2体積%水溶液50mLに炭素材料0.2gを混合し、フロー式粒子像分析装置「シスメックスインダストリアル社製FPIA−2000」を用い、28kHzの超音波を出力60Wで5分照射した後、検出範囲を0.6〜400μmに指定して、粒子個数を測定し、粒径3μm以下の粒子個数頻度を算出した。
粉体密度測定器を用い、直径1.6cm、体積容量20cm3の円筒状タップセルに、目開き300μmの篩を通して本発明の炭素材を落下させて、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行なって、その時の体積と試料の質量から求めた密度として定義した。
BET比表面積は、表面積計(例えば、島津製作所製比表面積測定装置「ジェミニ2360」)を用い、炭素材試料に対して窒素流通下100℃、3時間の予備減圧乾燥を行なった後、液体窒素温度まで冷却し、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着BET6点法によって測定した値として定義した。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を粉砕ローターとライナーを有する機械式粉砕機により粉砕し、d50が30μm、水分量0.03質量%の鱗片状天然黒鉛を得た。得られた鱗片状天然黒鉛100gに造粒剤としてパラフィン系オイル(流動パラフィン、和光純薬工業社製、一級、25℃における物性:粘度=95cP、接触角=13.2°、表面
張力=31.7mN/m、rcоsθ=30.9)を6g添加して撹拌混合した後、得られたサンプルをハンマーミル(IKA社製MF10)で回転数3000rpmにて解砕混合し、造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を得た。得られた造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、球形化処理中に生成する微粉を母材に付着、及び球形化粒子に内包させながら、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形化処理を行い、不活性ガス中で720℃熱処理を施すことで、d50が19.4μmの球形化天然黒鉛を得た。前記測定法でd50、Tap(タップ密度)、比表面積、細孔径、細孔容積、円形度、細孔分布、粒子個数頻度、放電容量、低温出力特性を測定した。結果を表1、表2に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、ローター周速度85m/秒で3分間の機械的作用による球形化処理を行った。得られたサンプルには母材に付着、及び球形化粒子に内包されていない状態の鱗片状黒鉛状微粉が多く存在していることが確認された。このサンプルを分級により上記鱗片状黒鉛状微粉を除去して、d50が19.5μmの球形化黒鉛を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
比較例1で得られたサンプルを、更に奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、ローター周速度85m/秒で3分間の機械的作用による球形化処理を行った。得られたサンプルには母材に付着、及び球形化粒子に内包されていない状態の鱗片状黒鉛状微粉が多く存在していることが確認された。このサンプルを分級により上記鱗片状黒鉛状微粉を除去して、d50が19.3μmの球形化黒鉛を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
実施例1で得られた熱処理前の球形化天然黒鉛と非晶質炭素前駆体としてコールタールピッチを混合し、不活性ガス中で1300℃熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛粒子と非晶質炭素とが複合化した複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.03であることが確認された。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.065としたこと以外は実施例2と同様の方法で黒鉛粒子と非晶質炭素とが複合化した複層構造炭素材を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
比較例2で得られた球形化天然黒鉛と非晶質炭素前駆体としてコールタールピッチを混合し、不活性ガス中で1300℃熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛粒子と非晶質炭素とが複合化した複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.03であることが確認された。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を乾式気流式粉砕機により粉砕し、d50が6μm、Tapが0.13g/cm3、水分量0.08質量%の鱗片状天然黒鉛を得た。得ら
れた鱗片状天然黒鉛100gに造粒剤としてパラフィン系オイル(流動パラフィン、和光純薬工業社製、一級、25℃における物性:粘度=95cP、接触角=13.2°、表面張力=31.7mN/m、rcоsθ=30.9)を12g添加して撹拌混合した後、得られたサンプルをハンマーミル(IKA社製MF10)で回転数3000rpmにて解砕混合し、造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を得た。得られた造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、球形化処理中に生成する微粉を母材に付着、及び球形化粒子に内包させながら、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形化処理を行い、不活性ガス中で720℃熱処理を施すことで、d50が9.2μmの球形化黒鉛を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を粉砕機により乾式旋回流式粉砕機により粉砕し、d50が6μm、Tapが0.38g/cm3、水分量0.08質量%の鱗片状天然黒鉛を得た。得られた鱗片状天然黒鉛100gに造粒剤としてパラフィン系オイル(流動パラフィン、和光純薬工業社製、一級、25℃における物性:粘度=95cP、接触角=13.2°、表面張力=31.7mN/m、rcоsθ=30.9)を12g添加して撹拌混合した後、得られたサンプルをハンマーミル(IKA社製MF10)で回転数3000rpmにて解砕混合し、造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を得た。得られた造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、球形化処理中に生成する微粉を母材に付着、及び球形化粒子に内包させながら、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形化処理を行い、不活性ガス中で720℃熱処理を施すことで、d50が9.9μmの球形化黒鉛を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形化処理を行った。得られたサンプルには母材に付着、及び球形化粒子に内包されていない状態の鱗片状黒鉛状微粉が多く存在していることが確認された。このサンプルを分級し、上記鱗片状黒鉛状微粉を除去し、d50が10.8μmの球形化黒鉛を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛に球形化処理し、次いで分級を行い、上記鱗片状黒鉛状微粉を除去した。鱗片状黒鉛を球形化して得られたこの球形化黒鉛に等方的に加圧する処理を行い、細孔径0.01μm〜1μmの積算細孔容積が0.069の球形化天然黒鉛を得た。その後、前記球形化天然黒鉛と非晶質炭素前駆体としてコールタールピッチを混合し、不活性ガス中で1300℃熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛粒子と非晶質炭素とが複合化した複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.03であることが確認された。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
d50が100μmの鱗片状天然黒鉛を粉砕機により乾式旋回流式粉砕機により粉砕し、d50が8.1μm、Tapが0.39g/cm3、水分量0.08質量%の鱗片状天然黒鉛を得た。得られた鱗片状天然黒鉛100gに造粒剤としてパラフィン系オイル(流動パラフィン、和光純薬工業社製、一級、25℃における物性:粘度=95cP、接触角=13.2°、表面張力=31.7mN/m、rcоsθ=30.9)を12g添加して
撹拌混合した後、得られたサンプルをハンマーミル(IKA社製MF10)で回転数3000rpmにて解砕混合し、造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を得た。得られた造粒剤が均一に添着した鱗片状天然黒鉛を、奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシステムNHS−1型にて、球形化処理中に生成する微粉を母材に付着、及び球形化粒子に内包させながら、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による球形化処理を行い、不活性ガス中で720℃熱処理を施すことで、d50が12.9μmの球形化黒鉛を得た。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
実施例6で得られた熱処理前の球形化天然黒鉛と非晶質炭素前駆体としてコールタールピッチを混合し、不活性ガス中で1300℃熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛粒子と非晶質炭素とが複合化した複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.065であることが確認された。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
実施例6で得られた熱処理前の球形化天然黒鉛と非晶質炭素前駆体としてコールタールピッチを混合し、不活性ガス中で1300℃熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛粒子と非晶質炭素とが複合化した複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.08であることが確認された。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
比較例4で得られた球形化天然黒鉛と非晶質炭素前駆体としてコールタールピッチを混合し、不活性ガス中で1300℃熱処理を施した後、焼成物を解砕・分級処理することにより、黒鉛粒子と非晶質炭素とが複合化した複層構造炭素材を得た。焼成収率から、得られた複層構造炭素材において、球形化黒鉛質粒子と非晶質炭素との質量比率(球形化黒鉛質粒子:非晶質炭素)は1:0.065であることが確認された。実施例1同様の測定を行った結果を表1、表2に示す。
Claims (6)
- リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な非水系二次電池負極活物質用炭素材であって、該炭素材は、細孔径0.01μm以上1μm以下の範囲の積算細孔容積が0.07mL/g以上であり、下記式(1)で表される細孔径と粒子径の比(PD/d50(%))が1.8以下であることを特徴とする非水系二次電池負極活物質用炭素材。
PD/d50(%)=水銀圧入法により求められる細孔分布における0.01μm以上1μm以下の範囲のモード細孔径(PD)/体積基準平均粒子径(d50)×100 (1) - 前記炭素材が鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、及び塊状黒鉛を球形化処理した黒鉛であって、細孔分布半値半幅(log(nm))が0.45以上であることを特徴とする請求項1に記載の非水系二次電池負極活物質用炭素材。
(細孔分布半値半幅(log(nm))とは、非水系二次電池負極活物質用炭素材の水銀圧入法(水銀ポロシメトリー)により求められる細孔分布(nm)の横軸を常用対数(log(nm))で表示したときの、0.01μm以上1μm以下の範囲に存在するピークの微細孔側の半値半幅を指す。) - 前記炭素材が鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、及び塊状黒鉛を球形化処理した黒鉛と炭素質物とが複合化した複合炭素材であって、細孔分布半値半幅(log(nm))が0.3以上であることを特徴とする請求項1に記載の非水系二次電池負極活物質用炭素材。
(細孔分布半値半幅(log(nm))とは、非水系二次電池負極活物質用炭素材の水銀圧入法(水銀ポロシメトリー)により求められる細孔分布(nm)の横軸を常用対数(log(nm))で表示したときの、0.01μm以上1μm以下の範囲に存在するピークの微細孔側の半値半幅を指す。) - 前記炭素材のフロー式粒子像分析より求められる円形度が0.88以上であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の非水系二次電池負極活物質用炭素材。
- 前記炭素材に、28kHzの超音波を出力60Wで5分間照射した後、フロー式粒子像分析装置により測定された、前記炭素材の粒子径と粒子個数頻度において、粒径3μm以
下の粒子個数頻度が1以上60%以下であることを満たすことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の非水系二次電池負極活物質用炭素材。 - リチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに、電解質を備えると共に、該負極が集電体と該集電体上に形成された負極活物質層とを備えると共に、該負極活物質層が請求項1乃至5の何れか一項に記載の炭素材を含有することを特徴とする非水系二次電池。
Applications Claiming Priority (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014139782 | 2014-07-07 | ||
JP2014139782 | 2014-07-07 | ||
JP2015064897 | 2015-03-26 | ||
JP2015064897 | 2015-03-26 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016178074A JP2016178074A (ja) | 2016-10-06 |
JP6634720B2 true JP6634720B2 (ja) | 2020-01-22 |
Family
ID=57070154
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015136506A Active JP6634720B2 (ja) | 2014-07-07 | 2015-07-07 | 炭素材、及び、非水系二次電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6634720B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6672755B2 (ja) * | 2014-12-08 | 2020-03-25 | 三菱ケミカル株式会社 | 炭素材、及び、非水系二次電池 |
JP7127275B2 (ja) * | 2016-11-22 | 2022-08-30 | 三菱ケミカル株式会社 | 非水系二次電池用負極材、非水系二次電池用負極及び非水系二次電池 |
JP6981203B2 (ja) * | 2016-11-22 | 2021-12-15 | 三菱ケミカル株式会社 | 非水系二次電池用負極材、非水系二次電池用負極及び非水系二次電池 |
JP7125891B2 (ja) * | 2018-10-30 | 2022-08-25 | 三洋電機株式会社 | 二次電池及び二次電池の製造方法 |
CA3229480A1 (en) * | 2021-08-17 | 2023-02-23 | Jfe Chemical Corporation | Carbonaceous material-coated graphite particles, negative electrode for lithium ion secondary batteries, and lithium ion secondary battery |
WO2023189342A1 (ja) * | 2022-03-31 | 2023-10-05 | 三菱ケミカル株式会社 | 炭素材組成物及びその製造方法、並びに負極及び二次電池 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2004335302A (ja) * | 2003-05-08 | 2004-11-25 | Nissan Motor Co Ltd | ポリマー電池およびポリマー電池用電極の製造方法 |
JP5671773B2 (ja) * | 2005-12-02 | 2015-02-18 | 三菱化学株式会社 | リチウムイオン二次電池 |
KR101395403B1 (ko) * | 2006-08-17 | 2014-05-14 | 미쓰비시 가가꾸 가부시키가이샤 | 리튬 이온 2차 전지용 부극 활물질 및 그 제조 방법, 및 그것을 이용한 리튬 이온 2차 전지용 부극 및 리튬 이온 2차 전지 |
-
2015
- 2015-07-07 JP JP2015136506A patent/JP6634720B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2016178074A (ja) | 2016-10-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN110078065B (zh) | 碳材料、碳材料的制造方法、以及使用了碳材料的非水系二次电池 | |
KR102500915B1 (ko) | 탄소재 및 탄소재를 사용한 비수계 2 차 전지 | |
JP6340865B2 (ja) | 非水系二次電池用負極材料及びその製造方法、非水系二次電池負極並びに非水系二次電池 | |
JP6906891B2 (ja) | 非水系二次電池用炭素材、及び、リチウムイオン二次電池 | |
JP6634720B2 (ja) | 炭素材、及び、非水系二次電池 | |
JP6864250B2 (ja) | 炭素材、及び、非水系二次電池 | |
JP6828551B2 (ja) | 非水系二次電池用負極材、非水系二次電池用負極及び非水系二次電池 | |
JP6561790B2 (ja) | 非水系二次電池用炭素材及び非水系二次電池 | |
JP6609959B2 (ja) | 非水系二次電池用複合炭素材、及び、非水系二次電池 | |
JP6981203B2 (ja) | 非水系二次電池用負極材、非水系二次電池用負極及び非水系二次電池 | |
JP2014067680A (ja) | 非水系二次電池用黒鉛粒子及び、それを用いた非水系二次電池用負極並びに非水系二次電池 | |
JP6746918B2 (ja) | 非水系二次電池用炭素材、及び、リチウムイオン二次電池 | |
JP6736845B2 (ja) | 非水系二次電池用炭素材、及び、リチウムイオン二次電池 | |
JP6808920B2 (ja) | 炭素材、及び、非水系二次電池 | |
JP6609960B2 (ja) | 炭素材、及び、非水系二次電池 | |
JP6707935B2 (ja) | 非水系二次電池用負極材の製造方法 | |
JP6801171B2 (ja) | 炭素材、及び、非水系二次電池 | |
JP6596959B2 (ja) | 非水系二次電池用複合粒子の製造方法 | |
JP6672755B2 (ja) | 炭素材、及び、非水系二次電池 | |
JP6759586B2 (ja) | 炭素材、及び、非水系二次電池 | |
JP7192932B2 (ja) | 炭素材、及び、非水系二次電池 | |
JP6808918B2 (ja) | 炭素材、及び、非水系二次電池 | |
JP6794614B2 (ja) | 炭素材、及び、非水系二次電池 | |
JP6808919B2 (ja) | 炭素材、及び、非水系二次電池 | |
JP2017010650A (ja) | 炭素材、及び、非水系二次電池 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20170424 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180425 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190412 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190416 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190612 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20191119 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20191202 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6634720 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |