JP7127275B2 - 非水系二次電池用負極材、非水系二次電池用負極及び非水系二次電池 - Google Patents

非水系二次電池用負極材、非水系二次電池用負極及び非水系二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、非水系二次電池用負極材、それを用いた非水系二次電池用負極及びこの負極を備えた非水系二次電池に関する。
近年、電子機器の小型化に伴い、高容量の二次電池に対する需要が高まってきている。特に、ニッケル・カドミウム電池や、ニッケル・水素電池に比べ、よりエネルギー密度が高く、急速充放電特性に優れた非水系二次電池、とりわけリチウムイオン二次電池が注目されている。特に、リチウムイオンを吸蔵・放出できる正極及び負極、並びにLiPFやLiBF等のリチウム塩を溶解させた非水電解液からなる非水系リチウム二次電池が開発され、実用化されている。
この非水系リチウム二次電池の負極材としては種々のものが提案されているが、高容量であること及び放電電位の平坦性に優れていることなどから、天然黒鉛やコークス等の黒鉛化で得られる人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズピッチ、黒鉛化炭素繊維等の黒鉛質の炭素質粒子が用いられている。また、一部の電解液に対して比較的安定しているなどの理由で非晶質の炭素材料も用いられている。更には、黒鉛粒子の表面に非晶質炭素を被覆あるいは付着させ、黒鉛による高容量かつ不可逆容量が小さいという特性と、非晶質炭素による電解液との安定性に優れるという特性との2つの特性を併せもたせた炭素材料も用いられている。
一方で、リチウムイオン二次電池を更に高容量化する目的から、これらの炭素材料に対し、酸化珪素材料を組み合わせて用いる検討がなされている。炭素質材料と酸化珪素材料を組み合わせて用いたものとして、特許文献1には、炭素質粒子として黒鉛粒子の表面の少なくとも一部に炭素層を備えた炭素質粒子を用いたものが記載されており、特許文献2には、炭素質粒子として球形化黒鉛と鱗片状黒鉛の混合物を用いたものが記載されている。
特開2013-200983号公報 特開2013-200984号公報
本発明者等の検討により、前記特許文献1、2の負極材では、初期効率が不十分であるという問題があることが見出された。
即ち、本発明の課題は、高容量であり、初期効率に優れた非水系二次電池用負極材、並びにこれを用いた非水系二次電池用負極及び非水系二次電池を提供することにある。
本発明者等が上記課題を解決するために鋭意検討した結果、炭素質粒子と酸化珪素粒子とを含む非水系二次電池用負極材において、炭素質粒子として細孔容積の小さい複合黒鉛粒子を用いることにより、上記課題を解決し得ることを見出した。
即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 球状黒鉛粒子と黒鉛化可能なバインダーの黒鉛化物とが複合化した複合黒鉛粒子(A)と酸化珪素粒子(B)を含み、該複合黒鉛粒子(A)は水銀ポロシメーターで測定された細孔径0.01μm以上1μm以下の範囲の積算細孔容積が0.11mL/g以下である非水系二次電池用負極材。
[2] 前記球状黒鉛粒子が、湾曲又は屈曲した複数の鱗片状又は鱗状黒鉛からなるものである、[1]に記載の非水系二次電池用負極材。
[3] 複合黒鉛粒子(A)が、黒鉛化物の粉砕品及び/又は磨砕品である、[1]又は[2]に記載の非水系二次電池用負極材。
[4] 複合黒鉛粒子(A)のフロー式粒子像分析より求められる円形度が0.88以上である、[1]乃至[3]のいずれかに記載の非水系二次電池用負極材。
[5] 酸化珪素粒子(B)における珪素原子数(MSi)に対する酸素原子数(M)の比(M/MSi)が0.5~1.6である、[1]乃至[4]のいずれかに記載の非水系二次電池用負極材。
[6] 酸化珪素粒子(B)がゼロ価の珪素原子を含む、[1]乃至[5]のいずれかに記載の非水系二次電池用負極材。
[7] 酸化珪素粒子(B)中に珪素の微結晶を含む、[1]乃至[6]のいずれかに記載の非水系二次電池用負極材
[8] 酸化珪素粒子(B)の平均粒子径(d50)が0.01μm以上20μm以下である、[1]乃至[7]のいずれかに記載の非水系二次電池用負極材。
[9] 酸化珪素粒子(B)の小粒子側から10%積算部の粒子径(d10)が0.001μm以上6μm以下である、[1]乃至[8]のいずれかに記載の非水系二次電池用負極材。
[10] 集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備える非水系二次電池用負極であって、該活物質層が[1]乃至[9]のいずれかに記載の非水系二次電池用負極材を含有する、非水系二次電池用負極。
[11] 正極及び負極、並びに電解質を備える非水系二次電池であって、該負極が[10]に記載の非水系二次電池用負極である、非水系二次電池。
本発明によれば、高容量であり、初期効率に優れた非水系二次電池用負極材、並びにこれを用いた非水系二次電池用負極及び非水系二次電池が提供される。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、本発明において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前後の値を含むものとして用いることとする。
〔非水系二次電池用負極材〕
本発明の非水系二次電池用負極材(以下において、「本発明の負極材」と称す場合がある。)は、球状黒鉛粒子と黒鉛化可能なバインダーの黒鉛化物とが複合化した複合黒鉛粒子(A)(以下において、「本発明の複合黒鉛粒子(A)」と称す場合がある。)と酸化珪素粒子(B)(以下において、「本発明の酸化珪素粒子(B)」と称す場合がある。)を含み、該複合黒鉛粒子(A)は水銀ポロシメーターで測定された細孔径0.01μm以上1μm以下の範囲の積算細孔容積が0.11mL/g以下であることを特徴とする。
[メカニズム]
<複合黒鉛粒子(A)に基づく作用効果>
本発明の複合黒鉛粒子(A)は、水銀ポロシメーターで測定された細孔径0.01μm以上1μm以下の範囲の積算細孔容積が0.11mL/g以下という、粒子内空隙の少ない緻密な複合黒鉛粒子(A)であるため、負極活物質層を高密度化した場合にも、粒子の潰れが抑制され、粒子間空隙を確保することが可能となる。
比表面積が小さく、粒子内空隙の少ない緻密な粒子である複合黒鉛粒子(A)を酸化珪素粒子(B)とブレンドすることで、複合黒鉛粒子(A)によって形成された粒子間空隙に複合黒鉛粒子(A)との接点を確保しながら酸化珪素粒子(B)充填することが可能となり、Liイオン等のアルカリイオンの吸蔵・放出に伴う酸化珪素粒子(B)の体積変化を粒子間空隙により吸収させることが可能となり、酸化珪素粒子(B)の体積変化による導電パス切れを抑制することができる。その結果、電極内の複合黒鉛粒子(A)及び酸化珪素粒子(B)の特定部位にのみ過大な電流が流れることを抑制し、高容量、且つ優れた初期効率を得ることが出来ると考えられる。
<酸化珪素粒子(B)に基づく作用効果>
高容量の酸化珪素粒子(B)を含むことによって、高容量な負極材を得ることが可能となる。
特に、酸化珪素粒子(B)における珪素原子数(MSi)に対する酸素原子数(M)の比(M/MSi)が0.5~1.6であることによって、高容量であると同時に、Liイオンの吸蔵・放出に伴う体積変化量が小さく、複合黒鉛粒子(A)の体積変化量と近くなり、複合黒鉛粒子(A)との接触が損なわれることによる性能低下を低減させることが可能となる。
また、酸化珪素粒子(B)がゼロ価の珪素原子を含むことによって、Liイオンを吸蔵・放出する電位の範囲が複合黒鉛粒子(A)と近くなり、Liイオンの吸蔵・放出に伴う体積変化が複合黒鉛粒子(A)と同時に起こるため、複合黒鉛粒子(A)と酸化珪素粒子(B)の界面のズレが生じにくくなり、複合黒鉛粒子(A)との接触が損なわれることによる性能低下を低減させることが可能となる。
[複合黒鉛粒子(A)]
<構成>
球状黒鉛粒子と黒鉛化可能なバインダーの黒鉛化物とが複合化してなる本発明の複合黒鉛粒子(A)は、例えば、球状黒鉛粒子と黒鉛化可能なバインダー(以下単に、「バインダー」ということがある)とを捏合し、捏合物の成形体を、粉砕後に黒鉛化又は黒鉛化後に粉砕又は磨砕することにより得られる。すなわち、この場合、形成された複合黒鉛粒子の構成は、炭素質粒子が焼成された黒鉛質粒子の少なくとも一部(一部又は全て)と、バインダーが焼成されたもの(これも黒鉛質である)が複合化した構造を有するものである。
本発明の複合黒鉛粒子(A)の原料である炭素質粒子としては、焼成によって黒鉛化が可能な炭素の粒子であれば特に限定はないが、天然黒鉛、人造黒鉛、球形化黒鉛、コークス粉、ニードルコークス粉、樹脂の炭化物粉等が挙げられる。これらのうち、活物質層作成時に活物質層の密度を上げ易いという点から、天然黒鉛を用いることが好ましい。中でも黒鉛を球形化処理した球形化黒鉛が特に好ましい。本発明の球状黒鉛粒子は、湾曲又は屈曲した複数の鱗片状又は鱗状黒鉛からなるものであることが好ましい。
黒鉛化可能なバインダーとしては、焼成によって黒鉛化が可能な炭素質であれば特に限定はなく、タール、軟ピッチから硬ピッチまでの石油系及び石炭系の縮合多環芳香族類が好ましく用いられる。具体的には、含浸ピッチ、コールタールピッチ、石炭液化油等の石炭系重質油、アスファルテン等の直留系重質油、エチレンヘビーエンドタール等の分解系重質油等の石油系重質油等が挙げられる。
<物性>
(細孔容積)
本発明の複合黒鉛粒子(A)は、水銀ポロシメーターで測定された細孔径0.01μm以上1μm以下の範囲の積算細孔容積が0.11mL/g以下であることを特徴とする。
本発明の複合黒鉛粒子(A)及び後述の本発明の負極材の水銀ポロシメーターによる積算細孔容積及び全細孔容積は、水銀ポロシメーター(細孔容積測定装置)「マイクロメリティックス社製オートポア9520」を用い、付属のセルに試料を封入し、減圧下(50μmHg)室温にて10分間の前処理を行なった後、水銀を4.0psia(ポンド平方インチ絶対圧力)~40000psiaまで多段階に昇圧後、25.0psiaまで降圧させる。昇圧時のステップ数は80点以上とし、各ステップでは10秒の平衡時間の後、水銀圧入量を測定する。こうして得られた水銀圧入曲線からWashburnの式を用い、細孔分布を算出する。なお、水銀の表面張力(γ)は485dyne/cm、接触角(ψ)は140°として算出する。
本発明の複合黒鉛粒子(A)の細孔径0.01μm以上1μm以下の積算細孔容積は、0.11mL/g以下であり、0.10mL/g以下であることが好ましく、0.05mL/g以下であることがより好ましい。一方、この積算細孔容積は0.001mL/g以上であることが好ましく、0.005mL/g以上であることがより好ましく、0.01mL/g以上であることが更に好ましい。細孔径0.01μm以上1μm以下の積算細孔容積が0.11mL/g以下であるような緻密な複合黒鉛粒子(A)であることで、負極活物質層を高密度化した場合にも、粒子の潰れが抑制され、粒子間空隙を確保することが可能となる。ただし、細孔径0.01μm以上1μm以下の積算細孔容積が過度に小さいと電解液と負極材の粒子との接触面積の低減による入出力特性の低下や高電流密度充電時における粒子表面への耐Li電析性に問題があることから、この積算細孔容積は上記下限以上であることが好ましい。
また、本発明の複合黒鉛粒子(A)の全細孔容積は0.1~1.0mL/g、より0.2~0.8mL/g、特に0.25~0.7mL/g、とりわけ0.3~0.6mL/gであることが好ましい。全細孔容積が上記下限以上であると電解液と負極材の粒子との接触面積を確保できるため低温入出力特性や高電流密度充電時における粒子表面への耐Li電析性が向上し、上記上限以下であると電極内での粒子の潰れが原因で生じる電解液の移動阻害を抑制し、電解液の流路となる粒子間空隙を確保することが可能となり、高容量で高電流密度充放電特性、高温保存特性、サイクル特性が向上する。
(平均粒子径(d50))
本発明の複合黒鉛粒子(A)の平均粒子径、即ち、体積基準の粒子径分布における小粒子側から50%体積積算部の粒子径(d50)は、5μm以上30μm以下であることが好ましい。複合黒鉛粒子(A)のd50が3μm以上であると、比表面積が大きくなることによる不可逆容量の増加を防ぐことができる。また、複合黒鉛粒子(A)のd50が30μm以下であると、リチウムイオン二次電池において、電解液と負極材の粒子との接触面積が減ることによる高電流密度充放電特性の低下を防ぐことができる。複合黒鉛粒子(A)のd50はより好ましくは7~25μmであり、更に好ましくは9~20μmである。
複合黒鉛粒子(A)のd50は、後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。後述の球状黒鉛粒子、酸化珪素粒子(B)及び負極材の平均粒子径(d50)や酸化珪素粒子(B)のd10についても同様である。
(円形度)
本発明の複合黒鉛粒子(A)は、後述の実施例の項に記載の方法で測定されるフロー式粒子像分析より求められる円形度が0.88以上であることが好ましい。このように円形度が高い複合黒鉛粒子(A)を用いることで、高電流密度充放電特性を高めることができる。
複合黒鉛粒子(A)の円形度を向上させる方法は、特に限定されないが、球形化処理を施して球形にしたものが、電極体にしたときの粒子間空隙の形状が整うので好ましい。球形化処理法の例としては、せん断力や圧縮力を与えることによって機械的に球形に近づける方法、複数の微粒子をバインダーもしくは粒子自身の有する付着力によって造粒する機械的・物理的処理方法等が挙げられる。
複合黒鉛粒子(A)の円形度は、好ましくは0.9以上、特に好ましくは0.92以上である。また通常1以下、好ましくは0.98以下、より好ましくは0.95以下である。円形度が小さすぎると、高電流密度充放電特性が低下する傾向がある。一方円形度が高すぎると、真球状となる為、複合黒鉛粒子(A)同士の接触面積が減少して、それを使用して得られるリチウムイオン二次電池のサイクル特性が悪化する可能性がある。
(タップ密度)
本発明の複合黒鉛粒子(A)のタップ密度は、通常0.50g/cm以上、好ましくは0.75g/cm以上、より好ましくは0.85g/cm以上、更に好ましくは、0.90g/cm以上である。また、通常1.40g/cm以下、好ましくは1.35g/cm以下、より好ましくは1.20g/cm以下、さらに好ましくは1.10g/cm以下である。
タップ密度が小さすぎると、負極として用いた場合に本発明の複合黒鉛粒子(A)の充填密度が上がり難く、高容量のリチウムイオン二次電池を得にくくなる傾向がある。また、タップ密度が大きすぎると、電極中の粒子間の空隙が少なくなり過ぎ、粒子間の導電性が確保され難くなり、好ましい電池特性が得られにくい傾向がある。
タップ密度は、後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
(比表面積)
本発明の複合黒鉛粒子(A)のBET法による比表面積は、通常0.5m/g以上、好ましくは2m/g以上、より好ましくは3m/g以上、さらに好ましくは4m/g以上、特に好ましくは5m/g以上である。また通常11m/g以下、好ましくは9m/g以下、より好ましくは8m/g以下、更に好ましくは7m/g以下、特に好ましくは6.5m/g以下である。比表面積がこの範囲を下回ると、Liが出入りする部位が少なく、リチウムイオン二次電池の高電流密度充放電特性や低温入出力特性が劣り、一方、比表面積がこの範囲を上回ると活物質の電解液に対する活性が過剰になり、電解液との副反応の増大により電池の初期充放電効率の低下やガス発生量の増大を招き、電池容量が低下する傾向がある。
BET法による比表面積は、後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
(002面の面間隔(d002)及び結晶子サイズ(Lc))
本発明の複合黒鉛粒子(A)は、その学振法によるX線広角回折で求めた格子面(002面)の面間隔d値(層間距離(d002))が、好ましくは0.338nm以下、より好ましくは0.337以下である。d002値が大きすぎるということは複合黒鉛粒子(A)の結晶性が低いことを示し、リチウムイオン二次電池の初期不可逆容量が増加する場合がある。一方、複合黒鉛粒子(A)の002面の面間隔の理論値は0.335nmであるため、通常0.335nm以上である。
また、学振法によるX線広角回折で求めた本発明の複合黒鉛粒子(A)の結晶子サイズ(Lc)は、通常1.5nm以上、好ましくは3.0nm以上の範囲である。この範囲を下回ると、結晶性が低い粒子となり、リチウムイオン二次電池の可逆容量が減少してしまう可能性がある。また、前記下限は黒鉛の理論値である。
(d002)及び(Lc)の測定方法は、以下の通りである。
<d002面間隔、Lc>
試料粉末に総量の約15重量%のX線標準高純度シリコン粉末を加えて混合したものを材料とし、グラファイトモノクロメーターで単色化したCuKα線を線源とし、反射式ディフラクトメーター法で広角X線回折曲線を測定する。学振法を用いて面間隔(d002)及び結晶子の大きさ(Lc)を求める。
(ラマンR値)
ラマンR値は、ラマン分光法で求めたラマンスペクトルにおける1580cm-1付近のピークPAの強度IAと、1360cm-1付近のピークPBの強度IBとを測定したときの、その強度比R(R=IB/IA)として定義する。なお、「1580cm-1付近」とは1580~1620cm-1の範囲を、「1360cm-1付近」とは1350~1370cm-1の範囲を指す。
本発明の複合黒鉛粒子(A)のラマンR値は0.30以下であることが好ましく、より好ましくは0.29以下、特に好ましくは0.28以下である。ラマンR値がこの上限を上回ると、初期サイクルにおける充放電不可逆容量が大きくなる場合がある。また、ラマンR値は0.10以上が好ましい。性能上は、ラマンR値は低い方が好ましいが、ラマンR値0.10未満のものを得ようとすると歩留まりが悪化し、著しく生産性が悪くなる場合がある。
ラマンスペクトルはラマン分光器で測定できる。具体的には、測定対象粒子を測定セル内へ自然落下させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射しながら、測定セルをこのレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm-1
測定範囲 :1100cm-1~1730cm-1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定:バックグラウンド処理、スムージング処理(単純平均によるコンボリューション5ポイント)
<複合黒鉛粒子(A)の製造方法>
本発明の複合黒鉛粒子(A)の以下に製造方法について説明する。
本発明の複合黒鉛粒子(A)は、原料である球状黒鉛粒子、バインダー等を混合し、必要に応じて成形、脱揮発成分焼成、黒鉛化、粉砕、分級を行うことにより製造される。前述の物性を満足する本発明の複合黒鉛粒子(A)を製造するためには、以下の工夫点を組み合わせることが重要である。ここで、本明細書において、球状黒鉛粒子の「球状」とは、楕円体等の、いわゆる球形に近い形状も含む形状を意味する。
原料についての工夫点として、例えば、球状黒鉛粒子の主成分として円形度の高い球形化黒鉛を選択することが挙げられる。
また、球状黒鉛粒子とバインダーを捏合するに際し、バインダーであるピッチ等の種類や量を最適化するといった工夫や粉砕時の強度を最適化する。
以下、本発明の複合黒鉛粒子(A)の好適な製造方法について詳細に説明する。
まず、球状黒鉛粒子及びバインダーを加熱しながら捏合する。この際、所望により黒鉛化触媒を加えてもよい。好適な炭素質粒子、バインダー及び黒鉛化触媒は次の通りである。
(i)球状黒鉛粒子
球状黒鉛粒子の主成分としては、塗工性を上げるためタップ密度の高いものを得るという観点から、球形度の高いものが好ましく、球形化天然黒鉛が特に好ましい。通常、X線広角回折法による(002)面の面間隔(d002)が0.340nm以下を示すような結晶性の高い天然黒鉛を原料とするものが例に挙げられる。具体的には天然黒鉛若しくはこれらに機械的粉砕品を加えて円形度を向上させたものが好ましい。
球状黒鉛粒子の体積基準の粒子径分布における平均粒子径d50は、特に制限はないが、通常5μm以上、好ましくは6μm以上、特に好ましくは8μm以上、また、通常40μm以下、好ましくは35μm以下、特に好ましくは30μm以下の範囲である。d50がこの下限を下回ると、コストアップとなりやすく、上限を上回ると塗工時の不良発生の原因となりやすい。球状黒鉛粒子のd50は、本発明の複合黒鉛粒子(A)のd50と同様にして測定することができる。
また、球状黒鉛粒子の平均粒子径d50は、目的とする複合黒鉛粒子(A)の0.93倍以上が好ましく、目的とする複合黒鉛粒子(A)の平均粒子径と等倍若しくはそれより大きいものを用いることが特に好ましい。
本発明の複合黒鉛粒子(A)の原料としての球状黒鉛粒子は、球形化処理を経たものが特に好ましい。球形化処理に用いる装置としては、例えば、衝撃力を主体に粒子の相互作用も含めた圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を繰り返し粒子に与える装置を用いることができる。具体的には、ケーシング内部に多数のブレードを設置したローターを有し、そのローターが高速回転することによって、内部に導入された炭素材料に対して衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与え、表面処理を行なう装置が好ましい。また、炭素材料を循環させることによって機械的作用を繰り返して与える機構を有するものであるのが好ましい。好ましい装置として、例えば、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロン(アーステクニカ社製)、CFミル(宇部興産社製)、メカノフュージョンシステム(ホソカワミクロン社製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)等が挙げられる。
これらの中で、奈良機械製作所社製のハイブリダイゼーションシステムが好ましい。この装置を用いて処理する場合は、回転するローターの周速度を30~100m/秒にするのが好ましく、40~100m/秒にするのがより好ましく、50~100m/秒にするのが更に好ましい。また、処理は、単に炭素質物を通過させるだけでも可能であるが、30秒以上装置内を循環又は滞留させて処理するのが好ましく、1分以上装置内を循環又は滞留させて処理するのがより好ましい。
球状黒鉛粒子の円形度は、通常0.85以上、好ましくは0.9以上、また、通常1.0以下、好ましくは0.96以下の範囲である。球状黒鉛粒子の円形度がこの下限を下回ると、配向度が下がりやすく、上限を上回るとコストアップとなりやすい。球状黒鉛粒子の円形度は、本発明の複合黒鉛粒子(A)の円形度と同様にして測定される。
球状黒鉛粒子のタップ密度は、通常0.8g/cm以上、好ましくは0.9g/cm以上、更に好ましくは0.95g/cm以上、また、通常1.35g/cm以下、好ましくは1.2g/cm以下の範囲である。球状黒鉛粒子のタップ密度がこの範囲を下回ると、活物質とした場合の充填密度が上がり難く、高容量の電池が得られない場合がある。一方、この範囲を上回ると、球状黒鉛粒子を歩留まりよく得るのが困難となり、コストアップにつながる場合がある。なお、タップ密度の測定方法は本発明の複合黒鉛粒子(A)と同様である。
(ii)黒鉛化可能なバインダー
「黒鉛化可能なバインダー」(以下、単に「バインダー」と記載することがある)としては、具体的には、含浸ピッチ、バインダーピッチ、コールタールピッチ、石炭液化油等の石炭系重質油、アスファルテン等の直留系重質油、エチレンヘビーエンドタール等の分解系重質油等の石油系重質油等が挙げられる。
バインダー中に含まれるキノリン不溶成分は通常0~10重量%であるが、少なければ少ないほど固さや電池にした時の容量の点で好ましい。バインダーのキノリン不溶成分の含有量が多すぎると、得られる複合黒鉛粒子(A)の強度が高くなり、集電体に塗布された活物質層をプレスしても粒子が変形せず、高密度化するのが困難となる傾向があり、また、容量も低下する場合がある。
バインダーは、炭化・黒鉛化により得られる黒鉛化処理を経た複合黒鉛粒子(A)に占めるバインダー由来のものの比率が通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上となるように用いる。その上限としては、この比率が通常60重量%以下、好ましくは40重量%以下、更に好ましくは30重量%以下となる量である。バインダー量が多すぎると、バインダー由来の非晶質部分が最終生成物中で多くなるため、電池にしたときの電池容量が低下する場合がある。また、得られる複合黒鉛粒子(A)が堅くなるため、集電体に塗布された活物質層をプレスした際、バインダー由来部分ではなく、球状黒鉛粒子由来の黒鉛質粒子そのものの破壊が起きやすくなる。一方、バインダー量が少なすぎると、得られる複合黒鉛粒子(A)が柔らかくなりすぎ、良好な充放電特性が得られない場合がある。
複合黒鉛粒子(A)中のバインダー量は、捏合以前の段階で添加するバインダーの量によってコントロールする。例えばJIS K2270記載の方法で求めたバインダーの残炭率がp%である場合には所望の量の100/p倍のバインダーを添加することとなる。
なお、ピッチ、タール等のバインダー添加の際の工夫としては、極力、低温、短時間で均一に分散させることが初期不可逆容量低減、プレス荷重低減のために好ましい。分散を低温、短時間で行うためには球状黒鉛粒子が壊れない程度に攪拌を強めればよい。
(iii)黒鉛化触媒
充放電容量の増加とプレス性の改良のために、球状黒鉛粒子とバインダーの混合に際し、黒鉛化触媒を添加してもよい。黒鉛化触媒としては、鉄、ニッケル、チタン、ケイ素、ホウ素等の金属及びこれらの炭化物、酸化物、窒化物等の化合物が挙げられる。なかでも、ケイ素、ケイ素化合物、鉄、鉄化合物が好ましく、ケイ素化合物のなかでは炭化珪素、鉄化合物のなかでは酸化鉄が特に好ましい。
黒鉛化触媒としてケイ素やケイ素化合物を用いた場合、加熱により生成する炭化ケイ素が2800℃以上の温度ですべて熱分解して結晶性の極めて良好な黒鉛を成長させ、かつケイ素が揮散する時に黒鉛結晶間に細孔が形成されるので、粒子内部のリチウムイオンの電荷移動反応と拡散とを助長し電池性能を向上させることができる。また、黒鉛化触媒として鉄又はその化合物を用いた場合、炭素の触媒への溶解、析出の機構により結晶性の良好な黒鉛を成長させ、ケイ素と同様な効果を発現することができる。
これらの黒鉛化触媒の添加量は、原料としての球状黒鉛粒子に対して通常30重量%以下、好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。黒鉛化触媒が多すぎると、黒鉛化が進みすぎ、リチウムイオン二次電池製造時の特性、特に浸液性が充分でないといった問題が生じる場合がある。同時に、得られる複合黒鉛粒子(A)内に細孔を生成させるためか、粒子の強度が低下し、その結果極板作製時のプレス工程において表面が平滑化し、イオンの移動を阻害する場合もある。
一方、黒鉛化触媒が少なすぎると、黒鉛化が不十分で非水系二次電池にした時の充放電容量の低下の問題があり、また、極板作製時のプレス工程において高圧力を必要とし高密度化するのが困難となる場合もある。更に、複合黒鉛粒子(A)内に適量の細孔が存在しないためか、粒子の強度が高くなりすぎ、集電体に塗布された活物質層を所定の嵩密度にプレス成形するときに高圧力を必要とし、負極活物質層を高密度化するのが困難となる場合がある。
(iv)捏合(混合)
球状黒鉛粒子、バインダー及び所望により添加された黒鉛化触媒等の原料は、まず、加熱下で捏合される。これにより、球状黒鉛粒子及び捏合温度では溶融しない原料に液状のバインダーが添着された状態となる。この場合、捏合機に全原料を仕込んで捏合と昇温を同時に行ってもよいし、捏合機にバインダー以外の成分を仕込んで攪拌状態で加熱し、捏合温度まで温度が上がった後に常温又は加硫溶融状態のバインダーを仕込んでもよい。
加熱温度は、バインダーの軟化点以上であり、加熱温度が低すぎると、バインダーの粘度が高くなり、混合が困難となるので、通常軟化点より10℃以上高い温度、好ましくは軟化点より20℃以上高い温度で行われる。加熱温度が高すぎるとバインダーの揮発と重縮合によって混合系の粘度が高くなりすぎるので、通常300℃以下、好ましくは250℃以下である。
捏合機は撹拌翼をもつ機種が好ましく、撹拌翼はZ型、マチスケータ型といった汎用的なものを用いることができる。捏合機に投入する原料の量は、通常混合機容積の10体積%以上、好ましくは15体積%以上で、50体積%以下、好ましくは30体積%以下である。捏合時間は5分以上必要であり、最長でも揮発分の揮散による大きな粘性の変化を来たす時間までで、通常は30~120分である。捏合機は捏合に先立ち捏合温度まで予熱しておくことが好ましい。
(v)成形
得られた捏合物は、そのまま、揮発成分(以下、「VM」と略記する)の除去と炭化を目的とする脱VM焼成工程に供してもよいが、ハンドリングしやすいように、成形してから脱VM焼成工程に供することが好ましい。
成形方法は形状を保持することが可能であれば特に制限はなく、押出成形、金型成形、静水圧成形等を採用することができる。このうち、成形体内で粒子が配向し易い押出成形や、粒子の配向はランダムに保たれるが生産性に問題がある静水圧成形より、比較的操作が容易であり、また、捏合でランダムな配向となった構造を破壊せずに成形体を得ることができる金型成形が好ましい。
成形温度は、室温(冷間)、加熱下(熱間、バインダーの軟化点以上の温度)のどちらでもよい。冷間で成形する場合は、成形性の向上と成形体の均一性を得るために、捏合後冷却された混合物を予め最大寸法が1mm以下に粗砕することが望ましい。成形体の形状、大きさは特に制限は無いが、熱間成形では、成形体が大きすぎると成形に先立つ均一な予熱を行うのに時間がかかる問題があるので、通常最大寸法で150cm程度以下の大きさとすることが好ましい。
成形圧力は、圧力が高すぎると成形体の細孔を通しての脱揮発成分除去(脱VM)が困難となり、かつ真円ではない炭素質粒子が配向し、後工程における粉砕が難しくなる場合があるので、成形圧力の上限は、通常3tf/cm(294MPa)以下、好ましくは500kgf/cm(49MPa)以下、更に好ましくは10kgf/cm(0.98MPa)以下である。下限の圧力は特に制限はないが、脱VMの工程で成形体の形状を保持できる程度に設定することが好ましい。
(vi)脱VM焼成
得られた成形体は、球状黒鉛粒子及びバインダーの揮発成分(VM)を除去して、黒鉛化時の充填物の汚染、充填物の成形体への固着を防ぐために、脱VM焼成を行う。脱VM焼成は、通常600℃以上、好ましくは650℃以上で、通常1300℃以下、好ましくは1100℃以下の温度で、通常0.1時間~10時間行う。加熱は、酸化を防止するために、通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの流通下又はブリーズ、パッキングコークス等の粒状炭素材料を間隙に充填した非酸化性雰囲気で行う。
脱VM焼成に用いる設備は、電気炉やガス炉、電極材用リードハンマー炉等、非酸化性雰囲気で焼成可能であれば特に限定されない。加熱時の昇温速度は揮発分の除去のために低速であることが望ましく、通常、低沸分の揮発が始まる200℃付近から水素の発生のみとなる700℃近傍までを、3~100℃/hrで昇温する。
(vii)黒鉛化
脱VM焼成により得られた炭化物成形体は、次いで、高温で加熱して黒鉛化する。黒鉛化時の加熱温度は、通常2600℃以上、好ましくは2800℃以上である。ただし、この加熱温度が高過ぎると、黒鉛の昇華が顕著となるので、加熱温度は3300℃以下が好ましい。加熱時間は、バインダー及び炭素質材料が黒鉛となるまで行えばよく、通常1~24時間である。
黒鉛化時の雰囲気は、酸化を防止するため、窒素、アルゴン等の不活性ガスの流通下又はブリーズ、パッキングコークス等の粒状炭素材料を間隙に充填した非酸化性雰囲気下で行う。黒鉛化に用いる設備は、電気炉やガス炉、電極材用アチソン炉等、上記の目的に添うものであれば特に限定されず、昇温速度、冷却速度、熱処理時間等は使用する設備の許容範囲で任意に設定することができる。
(viii)粉砕
このようにして得られた黒鉛化処理物は、通常はこのままでは本発明の要件を満たさないので、粉砕もしくは磨砕を行う。その工程は粗粉砕、中粉砕、微粉砕の3工程に大別される。
黒鉛化処理物の粉砕・磨砕方法は特に制限はないが、粉砕・磨砕の手段としては、機械的に摩砕する手段、例えば、ボールミル、ハンマーミル、CFミル、アトマイザーミル、パルペライザー等、風力を利用した粉砕手段、例えば、ジェットミル等が例示される。粗粉砕、中粉砕については、ジョークラッシャ、ハンマーミル、ローラミル等の衝撃力による粉砕方式を用いてもよい。ここで、粉砕のタイミングは、黒鉛化前であっても黒鉛化後であってもよい。後者の方がルツボ詰め等の作業が不要で安価に製造できるので、より好ましい。
(viii-1)粗粉砕、中粉砕
該黒鉛化処理物の粗粉砕・中粉砕において、例えば「オリエント工業社製VM-32型粉砕機」を用いる場合には、黒鉛化処理物をベルト搬送式のフィーダーにて、300kg/分のスピードで粉砕機に搬入し、粉砕羽根回転数を1000回転/分以上にて粉砕・磨砕することが好ましい。本粉砕段階で過度な粉砕・磨砕を行なうと、黒鉛化処理物の粒子表面に多くの微粉が発生し、この微粉により粉砕処理品を塗布した電極にて電池を作製した場合に初回充放電時の不可逆容量が増加する場合がある。
(viii-2)微粉砕
微粉砕においては、例えば「ターボ工業社製TB-250型粉砕機」を用いる場合には、黒鉛化処理物を定量式のスパイラルフィーダーにて、50kg/分、55kg/分又は60kg/分で搬入して粉砕する。粉砕機への黒鉛化処理物の搬入速度を高めると、粉砕羽根回転数を一定にした場合、粉砕後の黒鉛化処理物の比表面積は低下する場合がある。
微粉砕時の粉砕羽根回転数は、例えば「ターボ工業社製TB-250型粉砕機」を用いる場合は、6450回転/分、7800回転/分又は8000回転/分とすることが好ましい。微粉砕時に粉砕機の粉砕羽根回転数を高めると、黒鉛化処理物の搬入速度を一定にした場合、粉砕後の黒鉛化処理物の比表面積は増加する。
(ix)分級
得られた粉砕又は磨砕物から必要に応じ大径粒状物・小径粒状物(微紛)の除去を行ってもよい。
大径粒状物を除去することにより短絡の発生や、塗布時のむらが減少することがある。また小径粒状物(微紛)を除去することにより、初期不可逆容量が減少することがある。また、大径粒状物や微紛の除去により、体積基準の粒子径分布において、粒子径100μm以上のものが全体の3体積%以下、かつ、粒子径1μm以下のものが全体の1体積%以下となるように整粒することが望ましい。
大径粒状物・小径粒状物を除去する方法としては、種々あるが、篩分け及び分級により除去することが、機器の簡易性、操作性及びコスト面で好ましい。更に、篩分け又は分級は、複合黒鉛粒子(A)の粒度分布及び平均粒子径(d50)が、黒鉛化及び該粒状物の除去により変化するのを必要に応じ再調整できるという利点がある。
大径粒状物除去のための篩分けには、網面固定式、面内運動式、回転ふるい式等があるが、処理能力の点から、網面固定式の中のブロースルー型の篩が特に好ましい。使用する篩い目の目開きのサイズは、80μm以下、30μm以上のものであれば使用可能であり、除去する粒状物の生成状況(特に量及び粒子径)と、複合黒鉛粒子(A)の粒度分布及び平均粒子径(d50)の調整要求に合わせ適宜選択し使用する。該サイズが80μmを越えると、該粒状物の除去が不充分となり、30μm未満の場合、複合黒鉛粒子(A)を過剰に除去することにつながり、製品ロスが多く生じるとともに、粒度分布の調整も困難になる場合がある。なお、汎用のサイズとして市販されている目開きが45μm、38μmの篩い目が好ましく使用できる。
分級は、風力分級、湿式分級、比重分級等の方法で行うことができ、100μm以上の粒状物を除去するには特に限定されないが、複合黒鉛粒子(A)の性状への影響及び複合黒鉛粒子(A)の粒度分布及び平均粒子径(d50)も調整することを考慮すると、旋回流分級機等の風力分級機の使用が好ましい。この場合、風量と風速を制御することで、上記篩い目の目開きのサイズを調整するのと同様に、該粒状物の除去と複合黒鉛粒子(A)の粒度分布及び平均粒子径(d50)を調整することができる。
[酸化珪素粒子(B)]
<構成>
前述のメカニズムの項に説明したように、本発明の酸化珪素粒子(B)における珪素原子数(MSi)に対する酸素原子数(M)の比(M/MSi)は0.5~1.6であることが好ましい。また、ゼロ価の珪素原子を含むことが好ましい。また、結晶化した珪素の微結晶を含むことが好ましい。
/MSiは、より好ましくは0.7~1.3であり、特に好ましくは0.8~1.2である。M/MSiが上記範囲であると、Liイオン等のアルカリイオンの出入りのしやすい高活性な非晶質の珪素酸化物からなる粒子により、複合黒鉛粒子(A)に比べて高容量化を得ることができ、かつ非晶質構造により高サイクル維持率を達成することが可能となる。また酸化珪素粒子(B)が、複合黒鉛粒子(A)によって形成された間隙に複合黒鉛粒子(A)との接点を確保しながら充填させることによって、充放電によるLiイオン等のアルカリイオンの吸蔵・放出に伴う酸化珪素粒子(B)の体積変化を該間隙により吸収させることが可能となる。このことにより、酸化珪素粒子(B)の体積変化による導電パス切れを抑制することができる。
ゼロ価の珪素原子を含む酸化珪素粒子(B)は、固体NMR(29Si-DDMAS)測定において、通常、酸化珪素において存在する-110ppm付近を中心とし、特にピークの頂点が-100~-120ppmの範囲にあるブロードなピーク(P1)に加えて、-70ppmを中心とし、特にピークの頂点が-65~-85ppmの範囲にあるブロードなピーク(P2)が存在することが好ましい。これらのピークの面積比(P2)/(P1)は、0.1≦(P2)/(P1)≦1.0であることが好ましく、0.2≦(P2)/(P1)≦0.8の範囲であることがより好ましい。ゼロ価の珪素原子を含む酸化珪素粒子(B)が上記性状を有することによって、容量が大きく、かつ、サイクル特性の高い負極材を得ることができる。
また、ゼロ価の珪素原子を含む酸化珪素粒子(B)は、水酸化アルカリを作用させた時に水素を生成することが好ましい。この時発生する水素量から換算される酸化珪素粒子(B)中のゼロ価の珪素原子の量としては、2~45重量%が好ましく、5~36重量%程度であることがより好ましく、10~30重量%程度であることが更に好ましい。ゼロ価の珪素原子の量が、2重量%未満では、充放電容量が小さくなる場合があり、逆に45重量%を超えるとサイクル特性が劣る場合がある。
珪素の微結晶を含む酸化珪素粒子(B)は、下記性状を有していることが好ましい。
i.銅を対陰極としたX線回折(Cu-Kα)において、2θ=28.4°付近を中心としたSi(111)に帰属される回折ピークが観察され、その回折線の広がりをもとに、シェーラーの式によって求めた珪素の結晶の粒子径が好ましくは1~500nm、より好ましくは2~200nm、更に好ましくは2~20nmである。珪素の微粒子の大きさが1nmより小さいと、充放電容量が小さくなる場合があるし、逆に500nmより大きいと充放電時の膨張収縮が大きくなり、サイクル性が低下するおそれがある。なお、珪素の微粒子の大きさは透過電子顕微鏡写真により測定することができる。
ii.固体NMR(29Si-DDMAS)測定において、そのスペクトルが-110ppm付近を中心とするブロードな二酸化珪素のピークとともに-84ppm付近にSiのダイヤモンド結晶の特徴であるピークが存在する。なお、このスペクトルは、通常の酸化珪素(SiOx、x=1.0+α)とは全く異なるもので、構造そのものが明らかに異なっているものである。また、透過電子顕微鏡によって、シリコンの結晶が無定形の二酸化珪素に分散していることが確認される。
酸化珪素粒子(B)中の珪素の微結晶の量は、2~45重量%が好ましく、5~36重量%程度であることがより好ましく、10~30重量%程度であることが更に好ましいこの珪素の微結晶が2重量%未満では、充放電容量が小さくなる場合があり、逆に45重量%を超えるとサイクル性が劣る場合がある。
<物性>
(粒子径)
本発明の酸化珪素粒子(B)の平均粒子径(d50)は、0.01μm以上20μm以下であることが好ましい。酸化珪素粒子(B)のd50が上記範囲であれば、電極にした場合、複合黒鉛粒子(A)によって形成された間隙に酸化珪素粒子(B)が存在し、充放電によるLiイオン等のアルカリイオンの吸蔵・放出に伴う酸化珪素粒子(B)の体積変化を間隙が吸収して、体積変化による導電パス切れを抑制し、結果としてサイクル特性を向上させることができる。酸化珪素粒子(B)のd50はより好ましくは0.5~15μmであり、更に好ましくは1~10μm、特に好ましくは1.5~8μmである。
本発明の酸化珪素粒子(B)の体積基準の粒径分布における小粒子側から10%積算部の粒子径(d10)は0.001μm以上6μm以下であることが好ましい。酸化珪素粒子(B)のd10が上記範囲で、適切な微粉が存在することにより、複合黒鉛粒子(A)同士の間隙に存在する酸化珪素粒子(B)により、良好な導電パスを取ることができ、サイクル特性が良好となる。酸化珪素粒子(B)のd10はより好ましくは0.01~4μmであり、更に好ましくは0.01~3μmである。
(比表面積)
本発明の酸化珪素粒子(B)のBET法による比表面積は80m/g以下であることが好ましく、60m/g以下であることがより好ましい。また、0.5m/g以上であることが好ましく、1m/g以上であることがより好ましく、1.5m/g以上であることが更に好ましい。酸化珪素粒子(B)のBET法による比表面積が前記範囲内であると、リチウムイオン等のアルカリイオンの入出力の効率を良好に維持でき、酸化珪素粒子(B)が好適な大きさとなるため、複合黒鉛粒子(A)によって形成された間隙に存在させることができ、複合黒鉛粒子(A)との導電パスを確保することができる。また、酸化珪素粒子(B)が好適な大きさとなるため不可逆容量の増大を抑制し、高容量を確保することができる。
BET法による比表面積は、後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
<酸化珪素粒子(B)の製造方法>
本発明で用いる酸化珪素粒子(B)は、通常、二酸化珪素(SiO)を原料とし、金属珪素(Si)及び/又は炭素を用いてSiOを熱還元させることにより得られる、SiOxのxの値が0<x<2で表される珪素酸化物からなる粒子の総称である(ただし、後述するように、珪素及び炭素以外の他の元素をドープすることも可能であり、この場合はSiOxとは異なる組成式となるが、このようなものも本発明に用いる酸化珪素粒子(B)に含まれる。)。珪素(Si)は、黒鉛と比較して理論容量が大きく、更に非晶質珪素酸化物は、リチウムイオン等のアルカリイオンの出入りがしやすく、高容量を得ることが可能となる。本発明の酸化珪素粒子(B)としては、前述の通り珪素原子数(MSi)に対する酸素原子数(M)の比(M/MSi)が0.5~1.6の酸化珪素粒子(B)であることが好ましい。
本発明で用いる酸化珪素粒子(B)は、酸化珪素粒子を核として、この表面の少なくとも一部に非晶質炭素からなる炭素層を備えた複合型の酸化珪素粒子であってもよい。酸化珪素粒子(B)は、非晶質炭素からなる炭素層を備えていない酸化珪素粒子(B1)及び複合型の酸化珪素粒子(B2)からなる群より選ばれる1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ここで、「表面の少なくとも一部に非晶質炭素からなる炭素層を備えた」とは、炭素層が酸化珪素粒子の表面の一部又は全部を層状に覆う形態のみならず、炭素層が表面の一部又は全部に付着・添着する形態をも包含する。炭素層は、表面の全部を被覆するように備えていてもよく、一部を被覆あるいは付着・添着してもよい。
<酸化珪素粒子(B1)の製造方法>
酸化珪素粒子(B1)は、本発明の特性を満たすものであれば、製法は問わないが、例えば特許第3952118号公報に記載されたような方法によって製造された酸化珪素粒子を使用することができる。具体的には、二酸化珪素粉末と、金属珪素粉末あるいは炭素粉末とを特定の割合で混合し、この混合物を反応器に充填した後、常圧あるいは特定の圧力に減圧し、1000℃以上に昇温し、保持してSiOxガスを発生させ、冷却析出させて、一般式SiOx(xは0.5≦x≦1.6)で示される酸化珪素粒子を得ることができる。析出物は、力学的エネルギー処理を与えることで、粒子とすることができる。
力学的エネルギー処理は、例えば、ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、転動ボールミル等の装置を用いて、反応器に充填した原料と、この原料と反応しない運動体を入れて、これに振動、回転又はこれらが組み合わされた動きを与える方法によって、前記物性を満たす酸化珪素粒子(B)を形成することができる。
<複合型の酸化珪素粒子(B2)の製造方法>
酸化珪素粒子の表面の少なくとも一部に非晶質炭素からなる炭素層を備えた複合型の酸化珪素粒子(B2)を製造する方法としては特に制限はないが、酸化珪素粒子(B1)に石油系や石炭系のタールやピッチ、ポリビニルアルコール、ポリアクリルニトリル、フェノール樹脂、セルロース等の樹脂を必要により溶媒等を用いて混合した後、非酸化性雰囲気で500℃~3000℃、好ましくは700℃~2000℃、より好ましくは800~1500℃で焼成することで、酸化珪素粒子の表面の少なくとも一部に非晶質炭素からなる炭素層を備えた複合型の酸化珪素粒子(B2)を製造することができる。
<不均化処理>
本発明の酸化珪素粒子(B)は、上記のようにして製造された酸化珪素粒子(B1)や複合型の酸化珪素粒子(B2)を更に熱処理を施して不均化処理したものであってもよく、不均化処理を施すことで、アモルファスSiOx中にゼロ価の珪素原子がSi微細結晶として偏在する構造が形成され、このようなアモルファスSiOx中のSi微細結晶により、本発明の負極材のメカニズムの項に記載した通り、Liイオンを吸蔵・放出する電位の範囲が炭素質粒子と近くなり、Liイオンの吸蔵・放出に伴う体積変化が複合黒鉛粒子(A)と同時に起こるため、複合黒鉛粒子(A)と酸化珪素粒子(B)の界面における相対位置関係が維持され、炭素質粒子との接触が損なわれることによる性能低下を低減させることが可能となる。
この不均化処理は、前述の酸化珪素粒子(B1)又は複合型の酸化珪素粒子(B2)を、900~1400℃の温度域において、不活性ガス雰囲気下で加熱することにより行うことができる。
不均化処理の熱処理温度が900℃より低いと、不均化が全く進行しないかシリコンの微細なセル(珪素の微結晶)の形成に極めて長時間を要し、効率的でなく、逆に1400℃より高いと、二酸化珪素部の構造化が進み、Liイオンの往来が阻害されるので、リチウムイオン二次電池としての機能が低下するおそれがある。不均化処理の熱処理温度は好ましくは1000~1300℃、より好ましくは1100~1250℃である。なお、処理時間(不均化時間)は不均化処理温度に応じて10分~20時間、特に30分~12時間程度の範囲で適宜制御することができるが、例えば1100℃の処理温度においては5時間程度が好適である。
なお、上記不均化処理は、不活性ガス雰囲気において、加熱機構を有する反応装置を用いればよく、特に限定されず、連続法、回分法での処理が可能で、具体的には流動層反応炉、回転炉、竪型移動層反応炉、トンネル炉、バッチ炉、ロータリーキルン等をその目的に応じ適宜選択することができる。この場合、(処理)ガスとしては、Ar、He、H、N等の上記処理温度にて不活性なガス単独もしくはそれらの混合ガスを用いることができる。
<炭素コーティング/珪素微結晶分散酸化珪素粒子の製造>
本発明の酸化珪素粒子(B)は、珪素の微結晶を含む酸化珪素粒子の表面を炭素でコーティングした複合型の酸化珪素粒子であってもよい。
このような複合型の酸化珪素粒子の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば下記I~IIIの方法を好適に採用することができる。
I:一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粉末を原料として、少なくとも有機物ガス及び/又は蒸気を含む雰囲気下900~1400℃、好ましくは1000~1400℃、より好ましくは1050~1300℃、更に好ましくは1100~1200℃の温度域で熱処理することにより、原料の酸化珪素粉末を珪素と二酸化珪素の複合体に不均化すると共に、その表面を化学蒸着する方法
II:一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粉末をあらかじめ不活性ガス雰囲気下900~1400℃、好ましくは1000~1400℃、より好ましくは1100~1300℃で熱処理を施して不均化してなる珪素複合物、シリコン微粒子をゾルゲル法により二酸化珪素でコーティングした複合物、シリコン微粉末を煙霧状シリカ、沈降シリカのような微粉状シリカと水を介して凝固させたものを焼結して得られる複合物、又は珪素及びこの部分酸化物もしくは窒化物等の好ましくは0.1~50μmの粒度まで粉砕したものをあらかじめ不活性ガス気流下で800~1400℃で加熱したものを原料に、少なくとも有機物ガス及び/又は蒸気を含む雰囲気下、800~1400℃、好ましくは900~1300℃、より好ましくは1000~1200℃の温度域で熱処理して表面を化学蒸着する方法
III:一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素粉末をあらかじめ500~1200℃、好ましくは500~1000℃、より好ましくは500~900℃の温度域で有機物ガス及び/又は蒸気で化学蒸着処理したものを原料として、不活性ガス雰囲気下900~1400℃、好ましくは1000~1400℃、より好ましくは1100~1300℃の温度域で熱処理を施して不均化する方法
上記I又はIIの方法における800~1400℃(好ましくは900~1400℃、特に1000~1400℃)の温度域での化学蒸着処理(即ち、熱CVD処理)において、熱処理温度が800℃より低いと、導電性炭素皮膜と珪素複合物との融合、炭素原子の整列(結晶化)が不十分であり、逆に1400℃より高いと、二酸化珪素部の構造化が進み、リチウムイオンの往来が阻害されるので、リチウムイオン二次電池としての機能が低下するおそれがある。
一方、上記I又はIIIの方法における酸化珪素の不均化において、熱処理温度が900℃より低いと、不均化が全く進行しないかシリコンの微細なセル(珪素の微結晶)の形成に極めて長時間を要し、効率的でなく、逆に1400℃より高いと、二酸化珪素部の構造化が進み、リチウムイオンの往来が阻害されるので、リチウムイオン二次電池としての機能が低下するおそれがある。
なお、上記IIIの方法においては、CVD処理した後に酸化珪素の不均化を900~1400℃、特に1000~1400℃で行うために、化学蒸着(CVD)の処理温度としては800℃より低い温度域での処理でも最終的には炭素原子が整列(結晶化)した導電性炭素皮膜と珪素複合物とが表面で融合したものが得られるものである。
このように、好ましくは熱CVD(800℃以上での化学蒸着処理)を施すことにより炭素膜を作製するが、熱CVDの時間は、炭素量との関係で、適宜設定される。この処理において粒子が凝集する場合があるが、この凝集物をボールミル等で解砕する。また、場合によっては、再度同様に熱CVDを繰り返し行う。
なお、上記Iの方法において、原料として一般式SiOx(0.5≦x<1.6)で表される酸化珪素を用いた場合には、化学蒸着処理と同時に不均化反応を行わせ、二酸化珪素中に結晶構造を有するシリコンを微細に分散させることが重要であり、この場合、化学蒸着及び不均化を進行させるための処理温度、処理時間、有機物ガスを発生する原料の種類及び有機物ガス濃度を適宜選定する必要がある。熱処理時間((CVD/不均化)時間)は、通常0.5~12時間、好ましくは1~8時間、特に2~6時間の範囲から選ばれるが、この熱処理時間は熱処理温度((CVD/不均化)温度)とも関係し、例えば、処理温度を1000℃にて行う場合には少なくとも5時間以上の処理を行うことが好ましい。
また、上記IIの方法において、有機物ガス及び/又は蒸気を含む雰囲気下に熱処理する場合の熱処理時間(CVD処理時間)は、通常0.5~12時間、特に1~6時間の範囲とすることができる。なお、SiOxの酸化珪素をあらかじめ不均化する場合の熱処理時間(不均化時間)は、通常0.5~6時間、特に0.5~3時間とすることができる。
更に、上記IIIの方法において、SiOxをあらかじめ化学蒸着処理する場合の処理時間(CVD処理時間)は、通常0.5~12時間、特に1~6時間とすることができ、不活性ガス雰囲気下での熱処理時間(不均化時間)は、通常0.5~6時間、特に0.5~3時間とすることができる。
有機物ガスを発生する原料として用いられる有機物としては、特に非酸化性雰囲気下において、上記熱処理温度で熱分解して炭素(黒鉛)を生成し得るものが選択され、例えばメタン、エタン、エチレン、アセチレン、プロパン、ブタン、ブテン、ペンタン、イソブタン、ヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素の単独もしくは混合物、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼン、ジフェニルメタン、ナフタレン、フェノール、クレゾール、ニトロベンゼン、クロルベンゼン、インデン、クマロン、ピリジン、アントラセン、フェナントレン等の1環乃至3環の芳香族炭化水素もしくはこれらの混合物が挙げられる。また、タール蒸留工程で得られるガス軽油、クレオソート油、アントラセン油、ナフサ分解タール油も単独もしくは混合物として用いることができる。
なお、上記熱CVD(熱化学蒸着処理)及び/又は不均化処理は、非酸化性雰囲気において、加熱機構を有する反応装置を用いればよく、特に限定されず、連続法、回分法での処理が可能で、具体的には流動層反応炉、回転炉、竪型移動層反応炉、トンネル炉、バッチ炉、ロータリーキルン等をその目的に応じ適宜選択することができる。この場合、(処理)ガスとしては、上記有機物ガス単独あるいは有機物ガスとAr、He、H、N等の非酸化性ガスの混合ガスを用いることができる。
この場合、回転炉、ロータリーキルン等の炉芯管が水平方向に配設され、炉芯管が回転する構造の反応装置が好ましく、これにより酸化珪素粒子を転動させながら化学蒸着処理を施すことで、酸化珪素粒子同士に凝集を生じさせることなく、安定した製造が可能となる。炉芯管の回転速度は0.5~30rpm、特に1~10rpmとすることが好ましい。なお、この反応装置は、雰囲気を保持できる炉芯管と、炉芯管を回転させる回転機溝と、昇温・保持できる加熱機構を有しているものであれば特に限定せず、目的によって原料供給機構(例えばフィーダー)、製品回収機構(例えばホッパー)を設けることや、原料の滞留時間を制御するために、炉芯管を傾斜したり、炉芯管内に邪魔板を設けることもできる。また、炉芯管の材質についても特に限定はされず、炭化珪素、アルミナ、ムライト、窒化珪素等のセラミックスや、モリブデン、タングステンといった高融点金属、SUS、石英等を処理条件、処理目的によって適宜選定して使用することができる。
また、流動ガス線速u(m/sec)は、流動化開始速度umfとの比u/umfが1.5≦u/umf≦5となる範囲とすることで、より効率的に導電性皮膜を形成することができる。u/umfが1.5より小さいと流動化が不十分となり、導電性皮膜にバラツキを生じる場合があり、逆にu/umfが5を超えると、粒子同士の二次凝集が発生し、均一な導電性皮膜を形成することができない場合がある。なお、ここで流動化開始速度は、粒子の大きさ、処理温度、処理雰囲気等により異なり、流動化ガス(線速)を徐々に増加させ、その時の粉体圧損がW(粉体重量)/A(流動層断面積)となった時の流動化ガス線速の値と定義することができる。なお、umfは、通常0.1~30cm/sec、好ましくは0.5~10cm/sec程度の範囲で行うことができ、このumfを与える粒子径としては一般的に0.5~100μm、好ましくは5~50μmとすることができる。粒子径が0.5μmより小さいと二次凝集が起こり、個々の粒子の表面を有効に処理することができない場合がある。
<酸化珪素粒子(B)への他元素のドープ>
酸化珪素粒子(B)は、珪素、酸素以外の元素がドープされていてもよい。珪素、酸素以外の元素がドープされた酸化珪素粒子(B)は、粒子内部の化学構造が安定化することにより初期充放電効率、サイクル特性の向上が見込まれる。さらに、このような酸化珪素粒子(B)は、リチウムイオン受け入れ性が向上して炭素質粒子(A)のリチウムイオン受け入れ性に近づくので、炭素質粒子(A)と酸化珪素粒子(B)を共に含む負極材を用いることで、急速充電時にも負極電極内でリチウムイオンが極端に濃縮されることがなく、金属リチウムが析出しにくい電池を作製することができる。
ドープされる元素は通常、周期表第18族以外の元素であれば任意の元素から選ぶことができるが、珪素、酸素以外の元素がドープされた酸化珪素粒子(B)がより安定であるためには周期表第4周期までの元素が好ましい。具体的には、周期表第4周期までのアルカリ金属、アルカリ土類金属、Al、Ga、Ge、N、P、As、Se等の元素から選ぶことができる。珪素、酸素以外の元素がドープされた酸化珪素粒子(B)のリチウムイオン受け入れ性を向上させるためには、ドープされる元素は周期表第4周期までのアルカリ金属、アルカリ土類金属であることが好ましく、Mg、Ca、Liがより好ましく、Liが更に好ましい。これらは1種のみでも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
珪素、酸素以外の元素がドープされた酸化珪素粒子(B)における珪素原子数(MSi)に対するドープされた元素の原子数(M)の比、(M/MSi)としては、0.01~5が好ましく、0.05~4がより好ましく、0.1~3が更に好ましい。M/MSiがこの範囲を下回ると珪素、酸素以外の元素をドープした効果が得られず、この範囲を上回るとドープ反応で消費されなかった珪素、酸素以外の元素が酸化珪素粒子の表面に残存し、酸化珪素粒子の容量を低下させる原因となることがある。
珪素、酸素以外の元素がドープされた酸化珪素粒子(B)を製造する方法としては、例えば、酸化珪素粒子とドープされる元素の単体、もしくは、化合物の粉体を混合し、不活性ガス雰囲気下において、50~1200℃の温度で加熱する方法が挙げられる。また、例えば、二酸化珪素粉末と、金属珪素粉末あるいは炭素粉末とを特定の割合で混合し、これにドープされる元素の単体、もしくは、化合物の粉体を加え、この混合物を反応器に充填した後、常圧あるいは特定の圧力に減圧し、1000℃以上に昇温し、保持して発生するガスを冷却析出させて、珪素、酸素以外の元素がドープされた酸化珪素粒子を得る方法も挙げられる。
[負極材]
<複合黒鉛粒子(A)と酸化珪素粒子(B)の含有割合>
本発明の負極材は、前述の本発明に好適な粒度分布及び物性を備える複合黒鉛粒子(A)と酸化珪素粒子(B)とを[複合黒鉛粒子(A)の重量]:[酸化珪素粒子(B)の重量]=30:70~99:1、特に40:60~97:3、とりわけ50:50~95:5の割合で含むことが好ましく、このような割合で複合黒鉛粒子(A)と酸化珪素粒子(B)とを混合して用いることにより、複合黒鉛粒子(A)同士によって形成された間隙に、高容量かつLiイオンの吸蔵・放出に伴う体積変化が小さい酸化珪素粒子(B)が存在することで、複合黒鉛粒子(A)との接触が損なわれることによる性能低下が小さい、高容量な負極材を得ることが可能となる。
<物性>
<平均粒子径(d50)>
本発明の負極材は平均粒子径(体積基準の粒径分布における小粒子側から50%積算部の粒子径)(d50)は3μm以上30μm以下であることが好ましい。本発明の負極材の平均粒子径(d50)が3μm以上であると、比表面積が大きくなることによる不可逆容量の増加を防ぐことができる。一方、d50が30μm以下であると、電解液と負極材の粒子との接触面積が減ることによる高電流密度充放電特性の低下を防ぐことができる。負極材のd50は好ましくは5~25μm、より好ましくは7~20μmである。
(タップ密度)
本発明の負極材のタップ密度は、好ましくは0.8~1.8g/cm、より好ましくは0.9~1.7g/cm、更に好ましくは1.0~1.6g・cmである。タップ密度が上記範囲内であると、負極とした場合に、複合黒鉛粒子(A)によって形成される間隙に電解液及び酸化珪素粒子(B)を存在させることができ、高容量化、高レート特性化を実現することができる。
タップ密度は、後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
(比表面積)
本発明の負極材のBET法による比表面積は、通常0.5m/g以上、好ましくは2m/g以上、より好ましくは3m/g以上、さらに好ましくは4m/g以上、特に好ましくは5m/g以上である。また通常11m/g以下、好ましくは9m/g以下、より好ましくは8m/g以下、更に好ましくは7m/g以下、特に好ましくは6.5m/g以下である。比表面積がこの範囲を下回ると、Liが出入りする部位が少なく、リチウムイオン二次電池の高速充放電特性出力特性や低温入出力特性が劣り、一方、比表面積がこの範囲を上回ると活物質の電解液に対する活性が過剰になり、電解液との副反応の増大により電池の初期充放電効率の低下やガス発生量の増大を招き、電池容量が低下する傾向がある。
BET法による比表面積は、後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
(全細孔容積)
本発明の負極材の水銀圧入法(水銀ポロシメトリー)を用いて測定した全細孔容積は、好ましくは0.1mL/g以上、より好ましくは0.2mL/g以上、更に好ましくは0.25mL/g以上、特に好ましくは0.3mL/g以上、最も好ましくは0.35mL/g以上である。また、好ましくは10mL/g以下、より好ましくは5mL/g以下、更に好ましくは2mL/g以下、特に好ましくは1mL/g以下である。
全細孔容積が上記範囲内であると、極板化時のバインダー量を過剰にする必要がなく、極板化時に増粘剤やバインダーの分散効果も得られ易くなる。
(細孔径0.01μm以上1μm以下の範囲の積算細孔容積)
本発明の負極材の水銀ポロシメーターで測定された細孔径0.01μm以上1μm以下の範囲の積算細孔容積は、好ましくは0.001mL/g以上、より好ましくは0.005mL/g以上、更に好ましくは0.008mL/g以上、特に好ましくは0.01mL/g以上、最も好ましくは0.015mL/g以上である。また、好ましくは0.11mL/g以下、より好ましくは0.10mL/g以下、更に好ましくは0.08mL/g以下、特に好ましくは0.05mL/g以下である。積算細孔容積が上記範囲内であると電極内での粒子の潰れが原因で生じる電解液の移動阻害を抑制し、電解液の流路となる粒子間空隙を確保することが可能となり、その結果として、高容量で高電流密度充放電特性、高温保存特性、サイクル特性に優れたリチウムイオン二次電池を得ることができると考えられる。
〔非水系二次電池用負極〕
本発明の非水系二次電池用負極(以下、「本発明の負極」と称す場合がある。)は、集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備え、該活物質層が本発明の負極材を含有するものである。
本発明の負極材を用いて負極を作製するには、負極材に結着樹脂を配合したものを水性又は有機系媒体でスラリーとし、必要によりこれに増粘材を加えて集電体に塗布し、乾燥すればよい。
結着樹脂としては、非水電解液に対して安定で、かつ非水溶性のものを用いるのが好ましい。例えば、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム及びエチレン・プロピレンゴム等のゴム状高分子;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアクリル酸、及び芳香族ポリアミド等の合成樹脂;スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体やその水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン、スチレン共重合体、スチレン・イソプレン及びスチレンブロック共重合体並びにその水素化物等の熱可塑性エラストマー;シンジオタクチック-1,2-ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、及びエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体等の軟質樹脂状高分子;ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニデンフルオライド、ポリペンタフルオロプロピレン及びポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素化高分子等を用いることができる。有機系媒体としては、例えば、N-メチルピロリドン及びジメチルホルムアミドを用いることができる。
結着樹脂は、負極材100重量部に対して通常は0.1重量部以上、好ましくは0.2重量部以上用いるのが好ましい。結着樹脂の使用量を負極材100重量部に対して0.1重量部以上とすることで、負極材料相互間や負極材料と集電体との結着力が十分となり、負極から負極材料が剥離することによる電池容量の減少及びリサイクル特性の悪化を防ぐことができる。
また、結着樹脂の使用量は負極材100重量部に対して10重量部以下とするのが好ましく、7重量部以下とするのがより好ましい。結着樹脂の使用量を負極材100重量部に対して10重量部以下とすることにより、負極の容量の減少を防ぎ、かつリチウムイオン等のアルカリイオンの負極材料への出入が妨げられる等の問題を防ぐことができる。
スラリーに添加する増粘材としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース類、ポリビニルアルコール並びにポリエチレングリコール等が挙げられる。中でも好ましいのはカルボキシメチルセルロースである。増粘材は負極材料100重量部に対して、通常0.1~10重量部、特に0.2~7重量部となるように用いるのが好ましい。
負極集電体としては、従来からこの用途に用い得ることが知られている、例えば、銅、銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン及び炭素等を用いればよい。集電体の形状は通常はシート状であり、その表面に凹凸をつけたもの、ネット及びパンチングメタル等を用いることも好ましい。
集電体に負極材と結着樹脂のスラリーを塗布・乾燥した後は、加圧して集電体上に形成された活物質層の密度を大きくして負極活物質層の単位体積当たりの電池容量を大きくするのが好ましい。活物質層の密度は1.2~1.8g/cmの範囲にあることが好ましく、1.3~1.6g/cmであることがより好ましい。
活物質層の密度を1.2g/cm以上とすることで、電極の厚みの増大に伴う電池の容量の低下を防ぐことができる。また、活物質層の密度を1.8g/cm以下とすることで、電極内の粒子間空隙が減少に伴い空隙に保持される電解液量が減り、リチウムイオン等のアルカリイオンの移動性が小さくなり急速充放電性が小さくなるのを防ぐことができる。
負極活物質層は、複合黒鉛粒子(A)によって形成された間隙に酸化珪素粒子(B)が存在して構成されていることが好ましい。複合黒鉛粒子(A)によって形成された間隙に酸化珪素粒子(B)が存在することで、高容量化し、レート特性を向上させることができる。
本発明の負極材を用いて形成した負極活物質層の水銀圧入法による10nm~100000nmの範囲の細孔容量は、0.05ml/gであることが好ましく、0.1ml/g以上であることがより好ましい。細孔容量を0.05ml/g以上とすることによりリチウムイオン等のアルカリイオンの出入りの面積が大きくなる。
〔非水系二次電池〕
本発明の非水系二次電池は、正極及び負極、並びに電解質を備える非水系二次電池であって、負極として、本発明の負極を用いたものである。
本発明の非水系二次電池は、上記の本発明の負極を用いる以外は、常法に従って作成することができる。
[正極]
本発明の非水系二次電池の正極の活物質となる正極材料としては、例えば、基本組成がLiCoOで表されるリチウムコバルト複合酸化物、LiNiOで表されるリチウムニッケル複合酸化物、LiMnO及びLiMnで表されるリチウムマンガン複合酸化物等のリチウム遷移金属複合酸化物、二酸化マンガン等の遷移金属酸化物、並びにこれらの複合酸化物混合物等を用いればよい。更にはTiS、FeS、Nb、Mo、CoS、V、CrO、V、FeO、GeO及びLiNi0.33Mn0.33Co0.33、LiFePO等を用いればよい。
前記正極材料に結着樹脂を配合したものを適当な溶媒でスラリー化して集電体に塗布・乾燥することにより正極を作製できる。なおスラリー中にはアセチレンブラック及びケッチェンブラック等の導電材を含有させるのが好ましい。また所望により増粘材を含有させてもよい。
増粘材及び結着樹脂としてはこの用途に周知のもの、例えば負極の作成に用いるものとして例示したものを用いればよい。正極材料100重量部に対する配合比率は、導電材は0.5~20重量部が好ましく、特に1~15重量部が好ましい。増粘材は0.2~10重量部が好ましく、特に0.5~7重量部が好ましい。
正極材料100重量部に対する結着樹脂の配合比率は、結着樹脂を水でスラリー化するときは0.2~10重量部が好ましく、特に0.5~7重量部が好ましい。結着樹脂をN-メチルピロリドン等の結着樹脂を溶解する有機溶媒でスラリー化する場合は0.5~20重量部、特に1~15重量部が好ましい。
正極集電体としては、例えば、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニオブ及びタンタル等並びにこれらの合金が挙げられる。なかでもアルミニウム、チタン及びタンタル並びにその合金が好ましく、アルミニウム及びその合金が最も好ましい。
[電解質]
本発明の非水系二次電池に用いる電解質は、全固体電解質であっても、電解質が非水溶媒中に含まれる電解液であってもよいが、好ましくは電解質が非水溶媒中に含まれる電解液である。
電解液は、従来周知の非水溶媒に種々のリチウム塩を溶解させたものを用いることができる。非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート及びビニレンカーボネート等の環状カーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等の鎖状カーボネート、γ-ブチロラクトン等の環状エステル、クラウンエーテル、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメチルテトラヒドロフラン及び1,3-ジオキソラン等の環状エーテル、1,2-ジメトキシエタン等の鎖状エーテル等を用いればよい。通常はこれらの2種以上を混合して用いる。なかでも環状カーボネートと鎖状カーボネート、又はこれに更に他の溶媒を混合して用いるのが好ましい。
電解液には、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、無水コハク酸、無水マレイン酸、プロパンスルトン及びジエチルスルホン等の化合物やジフルオロリン酸リチウムのようなジフルオロリン酸塩等が添加されていてもよい。更に、ジフェニルエーテル及びシクロヘキシルベンゼン等の過充電防止剤が添加されていてもよい。
非水溶媒に溶解させる電解質としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)及びLiC(CFSO等が挙げられる。電解液中の電解質の濃度は通常0.5~2mol/L、好ましくは0.6~1.5mol/Lである。
[セパレータ]
正極と負極との間に介在させるセパレータとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンの多孔性シートや不織布を用いるのが好ましい。
[負極/正極容量比]
本発明の非水系二次電池は、負極/正極の容量比を1.01~1.5に設計することが好ましく、1.2~1.4に設計することがより好ましい。
本発明の非水系二次電池は、Liイオンを吸蔵・放出可能な正極及び負極、並びに電解質を備えるリチウムイオン二次電池であることが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。以下の実施例における各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値としての意味を持つものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
〔物性ないし特性の測定・評価方法〕
[複合黒鉛粒子(A)、酸化珪素粒子(B)、負極材の物性の測定]
<粒度分布>
体積基準の粒度分布は、界面活性剤であるポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートの0.2重量%水溶液(約10mL)に試料を分散させて、レーザー回折・散乱式粒度分布計LA-700(堀場製作所社製)を用いて測定した。
<タップ密度>
粉体密度測定器タップデンサーKYT-3000((株)セイシン企業社製)を用いて測定した。20ccのタップセルに試料を落下させ、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行って、そのときの密度をタップ密度とした。
<比表面積(BET法)>
マイクロメリティックス社製 トライスターII3000を用いて測定した。150℃で1時間の減圧乾燥を実施した後、窒素ガス吸着によるBET多点法(相対圧0.05~0.30の範囲において5点)により測定した。
<円形度>
フロー式粒子像分析装置(東亜医療電子社製FPIA-2000)を使用し、円相当径による粒径分布の測定および平均円形度の算出を行った。分散媒としてイオン交換水を使用し、界面活性剤としてポリオキシエチレン(20)モノラウレートを使用した。円相当径とは、撮影した粒子像と同じ投影面積を持つ円(相当円)の直径であり、円形度とは、相当円の周囲長を分子とし、撮影された粒子投影像の周囲長を分母とした比率である。測定した相当径が10~40μmの範囲の粒子の円形度を平均し、円形度とした。
<細孔容積>
水銀ポロシメーター(機種名:マイクロメリティックス社製・オートポア9520)を用い水銀圧入法により実施した。パウダー用セルに試料を0.2g前後秤量封入し、室温、真空下(50μmHg以下)にて10分間の脱気前処理を実施した後、4psiaまでステップ状に減圧し水銀を導入し、4psiaから40000psiaまでステップ状に昇圧させ、更に25psiaまで降圧させた。得られた水銀圧入曲線からWashburnの式を用い、細孔分布を算出した。なお、水銀の表面張力は485dyne/cm、接触角は140°として算出した。
[電池の評価]
<性能評価用負極の作製>
後述する複合黒鉛粒子(A)と酸化珪素粒子(B)との混合物97.5重量%と、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース(CMC)1重量%及びスチレン・ブタジエンゴム(SBR)48重量%水性ディスパージョン3.1重量%(SBR:1.5重量%)とを、ハイブリダイズミキサーにて混練し、スラリーとした。このスラリーを厚さ20μmの銅箔上にブレード法で、目付け4~5mg/cmとなるように塗布し、乾燥させた。
その後、負極活物質層の密度1.2~1.4g/cmとなるようにロールプレスして負極シートとし、この負極シートを直径12.5mmの円形状に打ち抜き、90℃で8時間、真空乾燥し、評価用の負極とした。
<非水系二次電池(コイン型電池)の作製>
上記方法で作製した評価用負極と、対極としてリチウム金属箔を直径15mmの円板状に打ち抜いたものを用いた。両極の間には、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合溶媒(容積比=3:7)に、LiPFを1mol/Lになるように溶解させた電解液を含浸させたセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、コイン型の性能評価用電池を作製した。
<充電容量、放電容量、効率>
前述の方法で作製した非水系二次電池(コイン型電池)を用いて、下記の測定方法で電池充放電時の充電容量(mAh/g)と放電容量(mAh/g)を測定した。
0.05Cの電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、さらに5mVの一定電圧で電流密度が0.005Cになるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、0.1Cの電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行った。
充電容量、放電容量は以下のように求めた。負極重量から負極と同面積に打ち抜いた銅箔の重量を差し引き、負極活物質とバインダーの組成比から求められる係数を乗ずることで負極活物質の重量を求め、この負極活物質の重量で1サイクル目の充電容量、放電容量を除して、重量当りの充電容量、放電容量を求めた。
このときの充電容量(mAh/g)を本負極材の1st充電容量(mAh/g)とし、放電容量(mAh/g)を1st放電容量(mAh/g)とした。
また、ここで得られた1サイクル目の放電容量(mAh/g)を充電容量(mAh/g)で除し、100倍した値を1st効率(%)とした。
〔複合黒鉛粒子(A)〕
<複合黒鉛粒子(A1)>
炭素材として平均粒子径(d50)12.9μmで、BET比表面積7.5m/gの球形化天然黒鉛を用い、上記球形化天然黒鉛と残炭率が50%、軟化点が80℃であるバインダーピッチとを、100:30の重量比で140℃で30分間混合した。この混合物を、130℃でモールド成形した。得られた成形体は電気炉で室温から1000℃まで昇温、その後、この焼成体を3000℃で加熱して黒鉛化し、粗砕、微粉砕処理し、複合黒鉛粒子(A1)を得た。得られた複合黒鉛粒子(A1)の粉体物性を表-1に示す。
<複合黒鉛粒子(A2)>
炭素材として平均粒子径(d50)12.9μmで、BET比表面積7.5m/gの球形化天然黒鉛を用い、上記球形化天然黒鉛とで残炭率が50%で、軟化点が80℃であるバインダーピッチとを、100:20の重量比で170℃で10分間混合した。この混合物を、冷間等方加圧(CIP)成形した。得られた成形体は電気炉で室温から1000℃まで昇温、その後、この焼成体を3000℃で加熱して黒鉛化し、粗砕、微粉砕処理し、複合黒鉛粒子(A2)を得た。得られた複合黒鉛粒子(A2)の粉体物性を表-1に示す。
〔黒鉛粒子〕
<黒鉛粒子(a1)>
黒鉛粒子として表-1に記載の粉体物性の球形化天然黒鉛を用いた。
〔酸化珪素粒子(B)〕
<酸化珪素粒子(B1)>
市販の酸化珪素粒子(SiOx、x=1)(大阪チタニウムテクノロジーズ社製)を酸化珪素粒子(B1)として用いた。酸化珪素粒子(B1)は、d50が5.6μm、BET法比表面積が3.5m/gであった。酸化珪素粒子(B1)のX線回折パターンからは、2θ=28.4°付近のSi(111)に帰属される回折線を確認することができず、酸化珪素粒子(B1)はゼロ価の珪素原子を微結晶として含まないことを確認された。
<酸化珪素粒子(B2)>
酸化珪素粒子(B1)を不活性雰囲気下において、1000℃で6時間加熱処理して酸化珪素粒子(B2)を得た。酸化珪素粒子(B2)は、d50が5.4μm、BET法比表面積が2.1m/gであった。酸化珪素粒子(B2)のX線回折パターンからは、2θ=28.4°付近のSi(111)に帰属される回折線を確認することが可能であり、酸化珪素粒子(B2)はゼロ価の珪素原子を微結晶として含むことが確認された。なお、上記の回折線の広がりをもとに、シェーラーの式によって求めた珪素の結晶の粒子径は3.2nmであった。
酸化珪素粒子(B1)~(B2)の物性を表-2にまとめて示す。
[実施例1]
黒鉛複合粒子(A1)90重量部に対して、酸化珪素粒子(B1)10重量部を乾式混合し、混合物とした。前記測定法で各項目を測定した。
[実施例2]
黒鉛複合粒子(A2)90重量部に対して、酸化珪素粒子(B1)10重量部を乾式混合し、混合物とした。実施例1と同様の測定を行った。
[実施例3]
黒鉛複合粒子(A1)90重量部に対して、酸化珪素粒子(B2)10重量部を乾式混合し、混合物とした。実施例1と同様の測定を行った。
[比較例1]
黒鉛粒子(a1)90重量部に対して、酸化珪素粒子(B1)10重量部を乾式混合し、混合物とした。実施例1と同様の測定を行った。
実施例1~3及び比較例1で得られた混合物の物性を表-3にまとめて示す。
また、実施例1~3及び比較例1で得られた混合物よりなる負極材を用いて作製した電池の評価結果を表-4にまとめて示す。
表-4より、本発明の負極材を用いた非水系二次電池は、初期効率に優れることが分かる。
Figure 0007127275000001
Figure 0007127275000002
Figure 0007127275000003
Figure 0007127275000004

Claims (11)

  1. 球状黒鉛粒子と黒鉛化可能なバインダーの黒鉛化物とが複合化した複合黒鉛粒子(A)と酸化珪素粒子(B)を含み、該複合黒鉛粒子(A)は水銀ポロシメーターで測定された細孔径0.01μm以上1μm以下の範囲の積算細孔容積が0.11mL/g以下である非水系二次電池用負極材であって、
    該非水系二次電池用負極材の水銀ポロシメーターで測定された細孔径0.01μm以上1μm以下の範囲の積算細孔容積が、0.001mL/g以上0.11mL/g以下であり、
    以下の方法で作製した性能評価用負極を用いて以下の方法で作製した非水系二次電池について、以下の方法で求めた1st効率が73.9%以上である非水系二次電池用負極材。
    <性能評価用負極の作製>
    該負極材97.5重量%と、バインダーとしてカルボキシメチルセルロース(CMC)1重量%及びスチレン・ブタジエンゴム(SBR)48重量%水性ディスパージョン3.1重量%(SBR:1.5重量%)とを、ハイブリダイズミキサーにて混練し、スラリーとした。このスラリーを厚さ20μmの銅箔上にブレード法で、目付け4~5mg/cm となるように塗布し、乾燥させる。
    その後、負極活物質層の密度1.2~1.4g/cm となるようにロールプレスして負極シートとし、この負極シートを直径12.5mmの円形状に打ち抜き、90℃で8時間、真空乾燥し、評価用の負極とする。
    <非水系二次電池(コイン型電池)の作製>
    上記方法で作製した評価用負極と、対極としてリチウム金属箔を直径15mmの円板状に打ち抜いたものを用い、両極の間に、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートの混合溶媒(容積比=3:7)に、LiPF を1mol/Lになるように溶解させた電解液を含浸させたセパレータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、コイン型の性能評価用電池を作製する。
    <1st効率の評価>
    上記方法で作製した非水系二次電池(コイン型電池)のリチウム対極に対して0.05Cの電流密度で5mVまで充電し、さらに5mVの一定電圧で電流密度が0.005Cになるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、0.1Cの電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行う。
    負極重量から負極と同面積に打ち抜いた銅箔の重量を差し引き、負極活物質とバインダーの組成比から求められる係数を乗ずることで負極活物質の重量を求め、この負極活物質の重量で1サイクル目の充電容量、放電容量を除して、重量当りの充電容量、放電容量を求める。
    このときの充電容量(mAh/g)を本負極材の1st充電容量(mAh/g)とし、放電容量(mAh/g)を1st放電容量(mAh/g)とし、1st放電容量(mAh/g)を1st充電容量(mAh/g)で除し、100倍した値を該負極材の1st効率(%)とする。
  2. 前記球状黒鉛粒子が、湾曲又は屈曲した複数の鱗片状又は鱗状黒鉛からなるものである、請求項1に記載の非水系二次電池用負極材。
  3. 複合黒鉛粒子(A)が、黒鉛化物の粉砕品及び/又は磨砕品である、請求項1又は2に記載の非水系二次電池用負極材。
  4. 複合黒鉛粒子(A)のフロー式粒子像分析より求められる円形度が0.88以上である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材。
  5. 酸化珪素粒子(B)における珪素原子数(MSi)に対する酸素原子数(MO)の比(MO/MSi)が0.5~1.6である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材。
  6. 酸化珪素粒子(B)がゼロ価の珪素原子を含む、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材。
  7. 酸化珪素粒子(B)中に珪素の結晶の粒子径が1~500nmである、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材。
  8. 酸化珪素粒子(B)の平均粒子径(d50)が0.01μm以上20μm以下である、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材。
  9. 酸化珪素粒子(B)の小粒子側から10%積算部の粒子径(d10)が0.001μm以上6μm以下である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材。
  10. 集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備える非水系二次電池用負極であって、該活物質層が請求項1乃至9のいずれか1項に記載の非水系二次電池用負極材を含有する、非水系二次電池用負極。
  11. 正極及び負極、並びに電解質を備える非水系二次電池であって、該負極が請求項10に記載の非水系二次電池用負極である、非水系二次電池。
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