JP7247701B2 - 非水系二次電池用負極材、非水系二次電池用負極及び非水系二次電池 - Google Patents

非水系二次電池用負極材、非水系二次電池用負極及び非水系二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、高容量でありかつ充放電効率、低温出力特性及び高温保存特性のバランスに
優れた非水系二次電池用負極材に関する。また、本発明は、この非水系二次電池用負極材
を含む非水系二次電池用負極及び非水系二次電池に関する。
近年、電子機器の小型化に伴い、高容量の二次電池に対する需要が高まってきている。
特に、ニッケル・カドミウム電池や、ニッケル・水素電池に比べ、よりエネルギー密度が
高く、急速充放電特性に優れた非水系二次電池、とりわけリチウムイオン二次電池が注目
されている。特に、リチウムイオンを吸蔵・放出できる正極及び負極、並びにLiPF
やLiBF等のリチウム塩を溶解させた非水電解液からなる非水系リチウム二次電池が
開発され、実用化されている。
この非水系リチウム二次電池の負極材としては種々のものが提案されているが、高容量
であること、放電電位の平坦性に優れていること等の理由から、天然黒鉛やコークス等の
黒鉛化で得られる人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズピッチ、黒鉛化炭素繊維等の黒鉛質の炭
素材が用いられている。また、一部の電解液に対して比較的安定しているなどの理由で非
晶質の炭素材も用いられている。更には、黒鉛粒子の表面に非晶質炭素を被覆あるいは付
着させ、黒鉛による高容量かつ不可逆容量が小さいという特性と、非晶質炭素による電解
液との安定性に優れるという特性との2つの特性を併せもたせた炭素材も用いられている
特許文献1には、黒鉛粒子と黒鉛化可能なバインダーの黒鉛化物とが複合化した負極材
が負極の集電体上の活物質層を高密度化した場合においても、初期サイクル時の充放電不
可逆容量が小さく、優れた充放電後負荷特性に優れることが開示されている。
また、負極材として種々の黒鉛系の炭素材が用いられているが、更に、黒鉛そのものの
加工プロセスを改良したものとして、特許文献2には、炭素材の積算細孔容積が特定の範
囲であり、かつ細孔径と体積基準平均粒子径の比(PD/d50(%))が特定の範囲で
あるものが低温出力特性に優れることが開示されている。
国際公開第08/084675 国際公開第16/006617
本発明者等の検討によれば、前記特許文献1に記載の非水系二次電池用負極材では、低
温出力特性が不十分であると言う問題があることを見出した。また、前記特許文献2に記
載の非水系二次電池用負極材では、高温保存時に悪影響を与える特定の径の微細孔に由来
する表面積が高いため、高温保存特性が不十分であるという問題があることを見出した。
即ち、本発明の課題は、高容量であり、かつ充放電効率、低温出力特性及び高温保存特性
のバランスに優れた非水系二次電池用負極材、並びにこれを含む非水系二次電池用負極及
び非水系二次電池を提供することにある。
本発明者等は上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、黒鉛質物が複合化した球形化
黒鉛であり、かつ特定の物性を有する非水系二次電池用負極材により上記課題を解決し得
ることを見出した。即ち、本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 表面の少なくとも一部に黒鉛質物が複合化した球形化黒鉛であり、かつペレット
密度と体積基準平均粒子径(d50)の関係が下記式(1)を満たす非水系二次電池用負
極材。
式(1):
[ペレット密度(g/cm)]≦0.0166×[d50(μm)]+1.42
[2] 前記ペレット密度が1.45~1.80g/cmである、請求項1に記載の非
水系二次電池用負極材。
[3] 体積基準平均粒子径(d50)が4~30μmである、[1]又は[2]に記載
の非水系二次電池用負極材。
[4] ラマンR値が0.01~0.25である、[1]乃至[3]のいずれか一つに記
載の非水系二次電池用負極材。
[5] 前記黒鉛として天然黒鉛を含む、[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の非水
系二次電池用負極材。
[6] 前記黒鉛として造粒黒鉛を含む、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の非水系
二次電池用負極材。
[7] [タップ密度(g/cm)]/[比表面積(m/g)]が0.15~1.3
である、[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の非水系二次電池用負極材。
[8] タップ密度が0.80~1.50g/cmである、[1]乃至[7]のいずれ
か一つに記載の非水系二次電池用負極材。
[9] 比表面積が1.0~12.0m/gである、[1]乃至[8]のいずれか一つ
に記載の非水系二次電池用負極材。
[10] 集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備える非水系二次電池用負極
であって、該活物質層が[1]乃至[9]のいずれか一つに記載の非水系二次電池用負極
材を含有する、非水系二次電池用負極。
[11] 正極及び負極、並びに電解質を備える非水系二次電池であって、該負極が[1
0]に記載の非水系二次電池用負極である、非水系二次電池。
本発明によれば、高容量でありかつ充放電効率、低温出力特性及び高温保存特性のバラ
ンスに優れた非水系二次電池用負極材、並びにこれを含む非水系二次電池用負極及び非水
系二次電池を提供される。
図1は、式(1)と各実施例、比較例の関係を示したグラフである。 図2は、各実施例、比較例における充放電効率と低温出力特性の関係を示したグラフである。 図3は、各実施例、比較例における高温保存特性と低温出力特性の関係を示したグラフである。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の説明に限定されるものではなく、本
発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変形して実施することができる。なお、本
発明において、「~」を用いてその前後に数値又は物性値を挟んで表現する場合、その前
後の値を含むものとして用いることとする。
〔非水系二次電池用負極材〕
本発明の非水系二次電池用負極材(以下、単に「本発明の負極材」と称することがある
。)は、表面の少なくとも一部に黒鉛質物が複合化した球形化黒鉛であり、かつペレット
密度と体積基準平均粒子径(d50)の関係が下記式(1)を満たすものである。
式(1):
[ペレット密度(g/cm)]≦0.0166×[d50(μm)]+1.42
本発明の非水系二次電池用負極材は、高容量であり、かつ充放電効率、低温入出力特性
及び高温保存特性のバランスをより高い水準で両立できるという効果を奏する。本発明の
負極材がこのような効果を奏する理由は定かではないが、前記特許文献1に記載されてい
る負極材では、黒鉛と黒鉛質物が複合化する際に黒鉛質物によって黒鉛中の細孔が埋まり
、これら細孔内の負極材表面におけるLiイオンの挿入・脱離が阻害されるため低温入出
力特性が悪化し、さらに、高温保存時には電解液がこれら細孔内の表面に接触して分解さ
れるため保存特性が悪化していたものと考えられる。これに対し、本発明の負極材は、L
iイオンの挿入・脱離サイトが多く、Liイオンの挿入・脱離反応性に優れる黒鉛の少な
くとも一部が黒鉛質物により被覆されたことにより低温入出力特性が向上すると推定され
る。特に、黒鉛と黒鉛質物が複合化した負極材において、ペレット密度が上記特定の範囲
であることはより緻密な構造を有することを意味し、その結果として、プレス時の複合炭
素粒子の破壊、及びこれに起因する過剰な電解液との反応を抑制することが可能となり、
高容量で高充放電効率を有することが可能となったものと推定される。また高温保存時に
おいても細孔内への電解液の侵入を防ぐため分解副反応が起こらず、高温保存特性が向上
するものと推定される。これらの結果、高容量であり、かつ充放電効率、低温入出力特性
及び高温保存特性の両立が達成されるものと推定される。
[黒鉛]
本発明の負極材は表面の少なくとも一部に黒鉛質物が複合化した黒鉛を含む。リチウム
イオン二次電池に用いる場合、この黒鉛としては、表面の少なくとも一部に黒鉛質物を有
するものであれば特に制限されないが、リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能なも
のを用いることが好ましい。黒鉛として、具体的には、鱗片状、塊状又は板状の天然黒鉛
や石油コークス、石炭ピッチコークス、石炭ニードルコークス及びメソフェーズピッチ等
を2500℃以上に加熱して製造する人造黒鉛等を挙げることができる。
また、これらの黒鉛に力学的エネルギー処理を与えることが、黒鉛が球形化されるとい
う観点から好ましく、また、黒鉛のLiイオンの挿入・脱離サイトとして働くエッジ量が
増えることにより低温入出力特性が向上するため好ましい。力学的エネルギー処理は、例
えば、ケーシング内部に多数のブレードを設置したローターを有する装置を用い、そのロ
ーターを高速回転することにより、その内部に導入した天然黒鉛又は人造黒鉛に対し、衝
撃圧縮、摩擦及びせん断力等の機械的作用を繰り返し与えることで製造することができる
本発明の負極材において、黒鉛として球形化黒鉛を含むことが、充填性が上がり活物質
層を高密度化できることにより高容量化できるため好ましく、また、電極体にしたときの
粒子間空隙の形状が整うため、電解液の移動がスムーズになり急速充放電特性が向上する
ため好ましい。このような球形化黒鉛は、各種の黒鉛に対して球形化処理を行うことによ
り得ることができる。この球形化処理の方法としては、例えば、せん断力や圧縮力を与え
ることによって機械的に球形に近づける方法、複数の微粒子をバインダー又は粒子自身の
有する付着力によって造粒する機械的・物理的処理方法等が挙げられる。特に、本発明の
負極材として、造粒黒鉛(黒鉛の一次粒子が結合して二次粒子を形成した黒鉛)であるこ
とが本発明の効果を得る上で好ましい。
更に、本発明の負極材は、黒鉛として、前記の球形化黒鉛に対し、石油系や石炭系のタ
ールやピッチ、ポリビニルアルコール、ポリアクリルニトリル、フェノール樹脂、セルロ
ース等の樹脂を必要により溶媒等を用いて混合し、非酸化性雰囲気で通常2500℃~3
300℃、好ましくは2600℃~3200℃、より好ましくは2700~3100℃で
焼成することにより、黒鉛質物が複合化した球形化黒鉛、好ましくは球形化黒鉛の少なく
とも一部が黒鉛質物により被覆された黒鉛を得ることができる。本発明の負極材は、この
ような黒鉛質物が複合化した球形化黒鉛を用いることにより、高温保存特性を更に向上さ
せている。
特に、本発明の負極材において、黒鉛と黒鉛質物との質量比は(〔[黒鉛質物の質量]
/[黒鉛の質量]〕×100)は、好ましくは0.1%以上、より好ましくは1%以上、
更に好ましくは3%以上、特に好ましくは5%以上、最も好ましいのは6%以上である。
一方、好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下、更に好ましくは40%以下で
ある。この質量比が上記範囲であると、低温出力特性や高温保存時に影響を与える比表面
積を低減することができる傾向にあるため、低温入出力特性や高温保存特性の両立を図る
点で好ましい。なお、上記の質量比は焼成収率から求めることができる。
[物性]
本発明の負極材はペレット密度と体積基準平均粒子径(d50)が(1)で表される特
定の関係を満足する。また、以下のペレット密度と体積基準平均粒子径(d50)はそれ
ぞれ以下の範囲が好ましい。さらに、本発明の負極材は、以下の各物性を満足しているこ
とが好ましい。
<ペレット密度>
本発明の負極材は、高温保存特性の観点から1.10g/cm以上であることが好ま
しく、低温出力特性の観点から1.80g/cm以下であることが好ましい。これらを
より良好なものとする観点から、本発明の負極材のペレット密度は、1.20g/cm
以上であることが好ましく、1.30g/cm以上であることがより好ましく、1.4
0g/cm以上であることが更に好ましく、1.46g/cm以上であることが特に
好ましく、一方、1.70g/cm以下であることがより好ましく、1.62g/cm
以下であることが更に好ましい。本発明において、負極材のペレット密度は以下の方法
により測定することができる。
内径φ10の金型に押し冶具としてφ10、長さ35mmのシャフト及び受け冶具とし
てφ10、長さ6mmのシャフトの2種類の冶具を挿入後、挟み込んだ時の荷重と高さ(
厚み)を測定可能な装置(例えば、三菱ケミカルアナリテック製粉体抵抗測定システム)
にセットし、油圧ポンプで15kgfの荷重を加え、冶具高さを測定する。次に、押し冶
具のみを取り出して複合粒子0.6gを加え、再度押し冶具を挿入する。金型を油圧ジャ
ッキ(例えばアズワン製ハイプレッシャージャッキJ-1)にセットし、圧力弁を締めて
882kgf/cmまでゆっくり加圧し、2426kgf/cmまで速やかに加圧し
た後、3秒間保持し、油圧ジャッキから手を離して60秒待ち、圧力弁を緩めて減圧する
。その後、挟み込んだ時の荷重と高さを測定可能な装置に再度セットし、油圧ポンプで1
5kgfの荷重を加え、加圧後の冶具高さを測定する。併せて加圧後の複合粒子の重量を
測定し、前述の冶具高さの差分と重量から算出される密度をペレット密度として定義する
<体積基準平均粒子径(平均粒子径d50)>
本発明の負極材は、体積基準平均粒子径(「平均粒子径d50」とも記載する。)は好
ましくは4μm以上、より好ましくは5μm以上、更に好ましくは6μm以上である。ま
た、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下、更に好ましくは20μm以
下である。不可逆容量の増加、初期電池容量の損失を防ぐために上記下限値以上であるこ
とが好ましく、一方、スラリー塗布における筋引き等の工程不都合の発生、急速充放電特
性の低下、低温入出力特性の低下を防ぐために上記上限値以下であることが好ましい。
平均粒子径d50は、界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート
(例として、ツィーン20(登録商標)が挙げられる)の0.2質量%水溶液10mLに
、複合粒子0.01gを懸濁させ、これを測定サンプルとして市販のレーザー回折/散乱
式粒度分布測定装置(例えばHORIBA製LA-920)に導入し、測定サンプルに2
8kHzの超音波を出力60Wで1分間照射した後、前記測定装置において体積基準のメ
ジアン径として測定したものであると定義する。
<ペレット密度と体積基準平均粒子径(d50)の関係>
本発明の負極材は、前記ペレット密度と体積基準平均粒子径(d50)の関係が下記式
(1)を満たすことが充放電効率、低温入出特性及び高温保存特性を両立する観点で必要
である。また、本発明の負極材は、同様の理由で式(1-1)を満たすことが好ましく、
式(1-2)を満たすことがより好ましく、式(1-3)を満たすことが更に好ましい。
式(1):
[ペレット密度(g/cm)]≦0.0166×[d50(μm)]+1.42
式(1-1):
[ペレット密度(g/cm)]≦0.0166×[d50(μm)]+1.41
式(1-2):
[ペレット密度(g/cm)]≦0.0166×[d50(μm)]+1.40
式(1-3):
[ペレット密度(g/cm)]≦0.0166×[d50(μm)]+1.39
<ラマンR値>
本発明におけるラマンR値は、本発明の負極材についてラマン分光法により得られるラ
マンスペクトルにおける1580cm-1付近のピークPの強度Iと、1360cm
-1付近のピークPの強度Iとを測定したときの強度比(I/I)として定義す
る。なお、「1580cm-1付近」とは1580~1620cm-1の範囲を、「13
60cm-1付近」とは1350~1370cm-1の範囲を指す。
本発明の負極材のラマンR値は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.02以
上、更に好ましくは0.03以上、特に好ましくは、0.05以上である。また、通常0
.25以下、好ましくは0.20以下、より好ましくは0.17以下、更に好ましくは0
.15以下である。このラマンR値が小さすぎることは負極材表面の結晶性が高すぎるこ
とを示しており、Liイオンが挿入・脱離しにくくなることにより低温入出力特性が低下
する場合がある。一方、ラマンR値が大き過ぎると不可逆容量の影響の増大、電解液との
副反応の増大により、リチウムイオン二次電池の初期充放電効率の低下やガス発生量の増
大を招き、電池容量が低下する傾向がある。
ラマンスペクトルはラマン分光器により測定される。具体的には、測定対象粒子を測定
セル内へ自然落下させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照
射しながら、測定セルをこのレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行う。
アルゴンイオンレーザー光の波長 :514.5nm
試料上のレーザーパワー :25mW
分解能 :4cm-1
測定範囲 :1100cm-1~1730cm-1
ピーク強度測定、ピーク半値幅測定 :バックグラウンド処理、スムージング処理(単純
平均によるコンボリューション5ポイント)
<タップ密度>
本発明の負極材のタップ密度は、タップ密度は、好ましくは0.8g/cm以上、よ
り好ましくは0.85g/cm以上、更に好ましくは0.88g/cm以上、特に好
ましくは0.9g/cm以上、最も好ましくは0.93g/cm以上、好ましくは1
.5g/cm以下であり、より好ましくは1.4g/cm以下であり、更に好ましく
は1.3g/cm以下である。負極材のタップ密度は、上記下限値以上であると極板化
作製時のスジ引き等の工程性が良好になり、負極材層の充填性が上がるため圧延性が良好
で高密度の負極シートが形成し易くなり高密度化が可能になり、電極体にしたときの粒子
間空隙の形状が整うため電解液の移動がスムーズになり急速充放電特性が向上するといっ
た観点から好ましく、また、上記上限値以下であると粒子の表面や内部に適度な空間を有
するため低温入出力特性や急速充放電特性に優れる観点から好ましい。
なお、このタップ密度は、粉体密度測定器タップデンサーKYT-3000(株式会社
セイシン企業製)を用いて測定される。具体的には、20cmのタップセルに試料を落
下させ、セルに満杯に充填した後、ストローク長10mmのタップを1000回行い、そ
のときの密度をタップ密度とする。
<比表面積(BET-SA)>
本発明の負極材は、BET法による比表面積(BET-SA)が、好ましくは1m
g以上、より好ましくは1.5m/g以上、更に好ましくは2m/g以上、特に好ま
しいのは2.5m/g以上であり、一方、好ましくは12m/g以下、より好ましく
は10m/g以下、更に好ましくは8m/g以下、特に好ましくは6m/g以下で
ある。BET-SAがこの範囲を上記下限値以上であると、Liイオンが出入りする部位
が確保され、リチウムイオン二次電池の急速充放電特性や低温入出力特性が良好となる傾
向にあり、一方、比表面積がこの範囲を上回ると上記上限値以下であると活物質の電解液
に対する活性が過剰となり過ぎず、電解液との副反応が抑えられて電池の初期充放電効率
の低下やガス発生量の増大を防ぎ、電池容量が向上する傾向がある。
なお、本発明の負極材において、BET-SAはマウンテック社製マクソーブを用いて
測定することができる。具体的には、試料に対して窒素流通下100℃、3時間の予備減
圧乾燥を行なった後、液体窒素温度まで冷却し、大気圧に対する窒素の相対圧の値が0.
3となるように正確に調整した窒素ヘリウム混合ガスを用い、ガス流動法による窒素吸着
BET1点法によって測定することができる。
<タップ密度と比表面積の関係>
本発明の負極材は、上記タップ密度と上記比表面積が更に次の範囲であることが充放電
効率、低温出力特性及び高温保存特性のバランスを良好にするために好ましい。
[タップ密度(g/cm)/[比表面積(m/g)]の値は、0.15以上であるこ
とが好ましく、0.18以上であることがより好ましく、0.20以上であることがより
好ましく、一方、1.3以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好まし
く、0.70以下であることが更に好ましい。
[製造方法]
本発明の非水系二次電池用負極材の製造方法は、表面の少なくとも一部に黒鉛質物が複
合化した黒鉛を含み、かつ前記ペレット密度が特定の範囲である前記式(1)の関係を満
たすものとなるように製造できる方法であれば、その製造方法は特に制限されないが、具
体例としては、次の方法が挙げられる。まず、d50が80μm以下となるように粒度調
整して1nmから150nmの微細孔量を調整した鱗片状天然黒鉛を、造粒剤の存在下で
球形化(造粒)処理する際に生成する微粉を、球形化処理した黒鉛(以降、球形化黒鉛と
称することがある。)となる母材に付着、及び/又は球形化黒鉛の粒子に内包しながら球
形化処理することで緻密な粒子構造を有する球形化黒鉛を得る。その後、黒鉛質物の原料
となる有機化合物で被覆することにより、より構造が緻密化され、式(1)の関係を満足
するように制御する方法が挙げられる。
具体的には、黒鉛に対し、少なくとも衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかの力
学的エネルギーを付与して原料炭素材を造粒する造粒工程を有し、前記造粒工程を、下記
1)、2)及び3)の条件を満足する造粒剤の存在下で行うが好ましい。
1)前記原料炭素材を造粒する工程時に造粒剤が液体である。
2)造粒剤が液状の有機化合物を含む。
3)造粒剤として有機溶剤を含まないか、有機溶剤を含む場合、有機溶剤の内、少なくと
も1種は引火点を有さない、又は引火点を有するときには該引火点が5℃以上であるもの
を用いる。
上記造粒工程を有すれば、必要に応じて別の工程を更に有していてもよい。別の工程は
単独で実施してもよいし、複数工程を同時に実施してもよい。一実施形態としては、以下
の第1工程乃至第5工程を含むものが挙げられる。以下、これらの工程について説明する

(第1工程)原料炭素材の粒度を調整する工程
(第2工程)原料炭素材と造粒剤とを混合する工程
(第3工程)原料炭素材を造粒する工程
(第4工程)造粒剤を除去する工程
(第5工程)造粒炭素材に黒鉛質物を添着する工程
(第1工程)原料炭素材の粒度を調整する工程
本発明の非水系二次電池用負極材の製造に用いる原料炭素材は、前述した黒鉛が使用さ
れる。
原料炭素材は第1工程において次のような粒度に調整することが好ましい。即ち、得ら
れる原料炭素材の平均粒子径(d50)は、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μ
m以上、更に好ましくは3μm以上であり、一方、好ましくは80μm以下、より好まし
くは50μm以下、更に好ましくは35μm以下、特に好ましくは20μm以下、とりわ
け好ましくは10μm以下、最も好ましくは8μm以下である。
d50が上記範囲にある場合、球形化黒鉛のLiイオンの挿入・脱離サイトとして利用
できるエッジの量が増大するため低温出力特性やサイクル特性が向上する傾向にある。さ
らに、球形化黒鉛の円形度を高く調整することができるため、Liイオン拡散の屈曲度を
下げられるため粒子間空隙中の電解液移動がスムーズになり、急速充放電特性が向上する
。また、d50が上記範囲にある場合、造粒工程中に生成する微粉を、造粒された黒鉛(
以降、造粒炭素材と称す。)となる母材に付着或いは母材の内部に包む込みながら造粒す
ることが可能になる。この結果、球形化度が高く微粉が少なく、4nmから150nmの
細孔が十分に大きな造粒炭素材を得ることができる。
原料炭素材のd50を上記範囲に調整する方法として、例えば(天然)黒鉛粒子を粉砕
及び/又は分級する方法が挙げられる。
粉砕に用いる装置に特に制限はないが、例えば、粗粉砕機としてはせん断式ミル、ジョ
ークラッシャー、衝撃式クラッシャー、コーンクラッシャー等が挙げられ、中間粉砕機と
してはロールクラッシャー、ハンマーミル等が挙げられ、微粉砕機としては、機械式粉砕
機、気流式粉砕機、旋回流式粉砕機等が挙げられる。具体的には、ボールミル、振動ミル
、ピンミル、攪拌ミル、ジェットミル、サイクロンミル、ターボミル等が挙げられる。特
に、d50が10μm以下の黒鉛粒子を得る場合には、気流式粉砕機や旋回流式粉砕機を
用いることが好ましい。
分級処理に用いる装置としては特に制限はないが、例えば、乾式篩い分けの場合は、回
転式篩い、動揺式篩い、旋動式篩い、振動式篩い等を用いることができ、乾式気流式分級
の場合は、重力式分級機、慣性力式分級機、遠心力式分級機(クラシファイア、サイクロ
ン等)を用いることができ、また、湿式篩い分け、機械的湿式分級機、水力分級機、沈降
分級機、遠心式湿式分級機等を用いることができる。
また、第一工程で得られる、原料炭素材としては以下のような物性を満足することが好
ましい。
原料炭素材のX線広角回折法による002面の面間隔(d002)及び結晶子の大きさ
(Lc)は、通常、d002が3.37Å以下でLcが900Å以上であり、d002が
3.36Å以下でLcが950Å以上であることが好ましい。d002及びLcは、炭素
材バルクの結晶性を示す値であり、d002の値が小さいほど、またLcが大きいほど、
結晶性が高い炭素材であることを示し、黒鉛層間に入るリチウムの量が理論値に近づくの
で容量が増加する。結晶性が低過ぎると高結晶性黒鉛を電極に用いた場合の、高容量で、
かつ不可逆容量が低いという優れた電池特性が発現しにくくなる傾向にある。d002と
Lcは、上記範囲が組み合わされていることが特に好ましい。
X線回折は次の手法により測定する。まず、炭素粉末に総量の約15重量%のX線標準
高純度シリコン粉末を加えて混合したものを材料とし、グラファイトモノクロメーターで
単色化したCuKα線を線源とし、反射式ディフラクトメーター法で広角X線回折曲線を
測定する。その後、学振法を用いて面間隔(d002)及び結晶子の大きさ(Lc)を求
める。
原料炭素材の充填構造は、粒子の大きさ、形状、粒子間相互作用力の程度等によって左
右されるが、本発明では充填構造を定量的に議論する指標の一つとしてタップ密度を適用
することも可能である。本発明者らの検討では、真密度と平均粒子径がほぼ等しい黒鉛質
粒子では、形状が球状で粒子表面が平滑であるほど、タップ密度が高い値を示すことが確
認されている。すなわち、タップ密度を上げるためには、粒子の形状を球状に近づけ、粒
子表面の平滑さを保つことが重要である。粒子形状が球状に近づき粒子表面が平滑である
と、粉体の充填性も大きく向上する。原料炭素材のタップ密度は、好ましくは0.1g/
cm以上であり、より好ましくは0.15g/cm以上であり、更に好ましくは0.
2g/cm以上であり、特に好ましくは0.3g/cm以上である。タップ密度は実
施例で後述する方法により測定する。
原料炭素材のアルゴンイオンレーザーラマンスペクトルは粒子の表面の性状を現す指標
として利用されている。原料炭素材のアルゴンイオンレーザーラマンスペクトルにおける
1580cm-1付近のピーク強度に対する1360cm-1付近のピーク強度比である
ラマンR値は、好ましくは0.05以上0.9以下であり、より好ましくは0.05以上
0.7以下であり、更に好ましくは0.05以上0.5以下である。R値は炭素粒子の表
面近傍(粒子表面から100Å位まで)の結晶性を表す指標であり、R値が小さいほど結
晶性が高い、あるいは結晶状態が乱れていないことを示す。ラマンスペクトルは以下に示
す方法により測定する。具体的には、測定対象粒子をラマン分光器測定セル内へ自然落下
させることで試料充填し、測定セル内にアルゴンイオンレーザー光を照射すると共に、測
定セルをこのレーザー光と垂直な面内で回転させながら測定を行なう。なお、アルゴンイ
オンレーザー光の波長は514.5nmとする。
(第2工程)原料炭素材と造粒剤とを混合する工程
本発明の実施形態で用いる造粒剤は、1)前記原料炭素材を造粒する工程時に液体、2
)造粒剤が液状の有機化合物を含む、及び3)造粒剤が有機溶剤を含まないか、有機溶剤
を含む場合、有機溶剤の内、少なくとも1種は引火点を有さない、又は引火点を有すると
きには該引火点が5℃以上、の条件を満足するものであることが好ましい。
上記要件を満たす造粒剤を有することで、続く第3工程における原料炭素材を造粒する
工程の際に、原料炭素材間を造粒剤が液架橋することにより、原料炭素材間に液架橋内の
毛管負圧と液の表面張力によって生じる引力が粒子間に液架橋付着力として働くため、原
料炭素材間の液架橋付着力が増大し、原料炭素材がより強固に付着することが可能となる
本発明においては、原料炭素材間を造粒剤が液架橋することによる原料炭素材間の液架
橋付着力の強さはγcosθの値に比例する(ここで、γ:液の表面張力、θ:液と粒子
の接触角)。すなわち、原料炭素材を造粒する際に、造粒剤は原料炭素材との濡れ性が高
いことが好ましく、具体的にはγcosθ>0となるようにcosθ>0となる造粒剤を
選択するのが好ましく、造粒剤の下記測定方法で測定した黒鉛との接触角θが90°未満
であることが好ましい。
(黒鉛との接触角θの測定方法)
HOPG表面に1.2μLの造粒剤を滴下し、濡れ広がりが収束して一秒間の接触角θ
の変化率が3%以下となったとき(定常状態ともいう)の接触角を接触角測定装置(協和
界面社製自動接触角計DM-501)にて測定する。ここで、25℃における粘度が50
0cP以下の造粒剤を用いる場合には25℃における値を、25℃における粘度が500
cPより大きい造粒剤を用いる場合には、粘度が500cP以下となる温度まで加温した
温度における接触角θの測定値とする。
さらに、原料炭素材と造粒剤の接触角θが0°に近いほど、γcosθ値が大きくなる
ため、黒鉛粒子間の液架橋付着力が増大し、黒鉛粒子同士がより強固に付着することが可
能となる。従って、前記造粒剤の黒鉛との接触角θは85°以下であることがより好まし
く、80°以下であることが更に好ましく、50°以下であることがこと更に好ましく、
30°以下であることが特に好ましく、20°以下であることが最も好ましい。
表面張力(γ)が大きい造粒剤を使用することによっても、γcosθ値が大きくなり
黒鉛粒子の付着力は向上するため、γは好ましくは0以上、より好ましくは15以上、更
に好ましくは30以上である。造粒剤の表面張力(γ)は、表面張力計(例えば、協和界
面科学株式会社製DCA-700)を用いてWilhelmy法により測定することがで
きる。
また、粒子の移動に伴う液橋の伸びに対する抵抗成分として粘性力が働き、その大きさ
は粘度に比例する。このため、原料炭素材を造粒する造粒工程時において液体であれば造
粒剤の粘度は特段限定されないが、造粒工程時において1cP以上であることが好ましい
造粒剤の、25℃における粘度は1cP以上100000cP以下であることが好まし
く、5cP以上10000cP以下であることがより好ましく、10cP以上8000c
P以下であることが更に好ましく、50cP以上6000cP以下であることが特に好ま
しい。粘度が上記範囲内にあると、原料炭素材を造粒する際に、ローターやケーシングと
の衝突等の衝撃力による付着粒子の脱離を防ぐことが可能となる。
本発明で用いる造粒剤の粘度は、レオメーター(例えば、Rheometric Sc
ientific社製ARES)を用い、カップに測定対象(ここでは造粒剤)を適量入
れ、所定の温度に調節して測定する。せん断速度100s-1におけるせん断応力が0.
1Pa以上の場合にはせん断速度100s-1で測定した値を、せん断速度100s-1
におけるせん断応力が0.1Pa未満の場合には1000s-1で測定した値を、せん断
速度1000s-1におけるせん断応力が0.1Pa未満の場合にはせん断応力が0.1
Pa以上となるせん断速度で測定した値を、本明細における粘度と定義する。なお、用い
るスピンドルを低粘度流体に適した形状とすることでもせん断応力を0.1Pa以上とす
ることができる。
また造粒剤の、前記原料炭素材と造粒材を混合する際の粘度は1cP以上1000cP
以下であることが好ましく、5cP以上800cP以下であることがより好ましく、10
cP以上600cP以下であることが更に好ましく、20cP以上500cP以下である
ことが特に好ましい。粘度が上記範囲内にあると、原料炭素材に造粒材が均一に付着し、
原料炭素材を造粒する際に、ローターやケーシングとの衝突等の衝撃力による付着粒子の
脱離を防ぐことが可能となり、低温入出力特性や高温保存特性に優れた負極材を製造する
ことが可能となるため好ましい。前記原料炭素材を造粒する工程時における粘度は、後述
する有機溶剤の添加や、混合温度の制御により調整することができる。
また、本発明の実施形態で用いる造粒剤は、液状の有機化合物を含むものである。これ
により、微細孔を低減でき、ペレット密度の値がより低くなる傾向にあるため、低温入出
力特性及び高温保存特性に優れた負極材を製造することができる。例えば、石油系や石炭
系の重質油やタールやピッチ、ポリビニルアルコール、ポリアクリルニトリル、フェノー
ル樹脂、セルロース等の樹脂が挙げられ、必要により水系溶媒、もしくは引火点を有さな
い、あるいは引火点を有するときは引火点が5℃以上の有期溶剤等を用いて希釈すること
ができる。
さらに、本発明の実施形態で用いる造粒剤は、有機溶剤を含まないか、有機溶剤を含む
場合、有機溶剤の内、少なくとも1種は引火点を有さない、あるいは引火点を有するとき
は引火点が5℃以上のものである。これにより、続く第3工程における原料炭素材を造粒
する際に、衝撃や発熱に誘発される造粒剤の引火、火災、及び爆発の危険を防止すること
ができるため、安定的に効率よく製造を実施することができる。
引火点5℃以上の有機溶剤としては、流動パラフィン等のパラフィン系オイルやオレフ
ィン系オイルやナフテン系オイルや芳香族系オイル等の合成油、植物系油脂類や動物系脂
肪族類やエステル類や高級アルコール類等の天然油;キシレン、イソプロピルベンゼン、
エチルベンゼン、プロピルベンゼン等のアルキルベンゼン;メチルナフタレン、エチルナ
フタレン、プロピルナフタレン等のアルキルナフタレン;スチレン等のアリルベンゼン、
アリルナフタレン等の芳香族炭化水素類;オクタン、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素
類;メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類や、
酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル等のエステル類;メタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコー
ル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレン
グリコール、テトラエチレングリコール、グリセリン等のアルコール類;エチレングリコ
ールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール
モノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコー
ルモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、メトキシプロパ
ノール、メトキシプロピル-2-アセテート、メトキシメチルブタノール、メトキシブチ
ルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメ
チルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコール
ジメチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル等のグリコール類誘導体類
;1,4-ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、ピリジン、2-ピロリド
ン、N-メチル-2-ピロリドン等の含窒素有機化合物;ジメチルスルホキシド等の含硫
黄有機化合物;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロ
ロエタン、クロロベンゼン等の含ハロゲン有機化合物、及びそれらこれらの混合物等が挙
げられ、例えばトルエンのような引火点が低い化合物は含まれない。これらの有機溶剤は
単体で造粒剤としても用いることができる。なお、本明細書において、引火点は、公知の
方法により測定できる。
原料炭素材と造粒剤を混合する方法として、例えば、原料炭素材と造粒剤とをミキサー
やニーダーを用いて混合する方法や、有機化合物を低粘度希釈溶媒(有機溶剤)に溶解さ
せた造粒剤と原料炭素材を混合した後に該希釈溶媒(有機溶剤)を除去する方法等が挙げ
られる。これらの中でも、球形化黒鉛の構造を緻密化することができるため、原料炭素材
と造粒剤とをミキサーやニーダーを用いて混合する方法が好ましい。また、続く第3工程
にて原料炭素材を造粒する際に、造粒装置に造粒剤と原料炭素材とを投入して、原料炭素
材と造粒剤を混合する工程と造粒する工程とを同時に行う方法も挙げられる。
造粒剤の添加量は、原料炭素材100重量部に対して好ましくは0.1重量部以上、よ
り好ましくは1重量部以上、更に好ましくは3重量部以上、より更に好ましくは6重量部
以上、こと更に好ましくは10重量部以上、特に好ましくは12重量部以上、最も好まし
くは15重量部以上であり、好ましくは1000重量部以下、より好ましくは100重量
部以下、更に好ましくは80重量部以下、特に好ましくは50重量部以下、最も好ましく
は30重量部以下である。上記範囲内にあると、粒子間付着力の低下による球形化度の低
下や、装置への原料炭素材の付着による生産性の低下といった問題が生じ難くなる。
(第3工程)原料炭素材を造粒する工程(原料炭素材に対して球形化処理を行う工程)
炭素材は、原料炭素材に衝撃圧縮、摩擦、せん断力等の機械的作用を与えることにより
球形化処理(以下、造粒とも称する)を施したものであることが好ましい。また、該球形
化黒鉛は、複数の鱗片状又は鱗状黒鉛、及び磨砕された黒鉛微粉からなるものであること
が好ましく、特に複数の鱗片状黒鉛からなるものであることが特に好ましい。
本発明は、少なくとも衝撃、圧縮、摩擦、及びせん断力のいずれかの力学的エネルギー
を付与して原料炭素材を造粒する造粒工程を有することが好ましい。この工程に用いる装
置としては、例えば、衝撃力を主体に、原料炭素材の相互作用も含めた圧縮、摩擦、せん
断力等の機械的作用を繰り返し与える装置を用いることができる。
具体的には、ケーシング内部に多数のブレードを設置したローターを有し、そのロータ
ーが高速回転することによって、内部に導入された原料炭素材に対して衝撃、圧縮、摩擦
、せん断力等の機械的作用を与え、表面処理を行なう装置が好ましい。また、原料炭素材
を循環させることによって機械的作用を繰り返し与える機構を有するものであるのが好ま
しい。
このような装置としては、例えば、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所
社製)、クリプトロン、クリプトロンオーブ(アーステクニカ社製)、CFミル(宇部興
産社製)、メカノフュージョンシステム、ノビルタ、ファカルティ(ホソカワミクロン社
製)、シータコンポーザ(徳寿工作所社製)、COMPOSI(日本コークス工業製)等
が挙げられる。これらの中で、奈良機械製作所社製のハイブリダイゼーションシステムが
好ましい。
前記装置を用いて処理する場合、例えば、回転するローターの周速度は好ましくは30
m/秒以上、より好ましくは50m/秒以上、更に好ましくは60m/秒以上、特に好ま
しくは70m/秒以上、最も好ましくは80m/秒以上であり、好ましくは100m/秒
以下である。上記範囲内であると、より効率的に球形化と同時に微粉の母材への付着や母
材による内包を行うことができるため好ましい。
また、原料炭素材に機械的作用を与える処理は、単に原料炭素材を通過させるだけでも
可能であるが、原料炭素材を30秒以上、装置内を循環又は滞留させて処理するのが好ま
しく、より好ましくは1分以上、更に好ましくは3分以上、特に好ましくは5分以上、装
置内を循環又は滞留させて処理する。
また造粒剤の、前記原料炭素材を造粒する工程時における粘度は1cP以上であること
が好ましく、5cP以上であることがより好ましく、10cP以上であることが更に好ま
しく、20cP以上であることが特に好ましく、一方、1000cP以下であることが好
ましく、800cP以下であることがより好ましく、600cP以下であることが更に好
ましく、500cP以下であることが特に好ましい。粘度が上記範囲内にあると、造粒剤
の存在下で原料炭素材を造粒する際に、ローターやケーシングとの衝突等の衝撃力による
付着粒子の脱離を防ぐことが可能となり、また、球形化黒鉛の構造が緻密化され、最終的
に得られる負極材のペレット密度の値が小さくなる傾向にあり、低温入出力特性及び高温
保存特性に優れた負極材を製造することが可能となるため好ましい。前記原料炭素材を造
粒する工程時における粘度は、有機溶剤の添加や、造粒処理温度の制御により調整するこ
とができる。
また原料炭素材を造粒する工程においては、原料炭素材を、その他の物質存在下で造粒
してもよく、その他の物質としては、例えばリチウムと合金化可能な金属或いはその酸化
物、鱗片状黒鉛、鱗状黒鉛、磨砕された黒鉛微粉、非晶質炭素、及び生コークス等が挙げ
られる。原料炭素材以外の物質と併せて造粒することで様々なタイプの粒子構造の非水系
二次電池用負極材を製造できる。
また、原料炭素材や造粒剤や上記その他の物質は上記装置内に一度に全量投入してもよ
く、分けて逐次投入してもよく、連続投入してもよい。また、原料炭素材や造粒剤や上記
その他の物質は上記装置内に同時に投入してもよく、混合して投入してもよく、別々に投
入してもよい。原料炭素材と造粒剤と上記その他の物質を同時に混合してもよいし、原料
炭素材と造粒剤を混合したものに上記その他の物質を添加してもよいし、その他の物質と
造粒剤を混合したものに原料炭素材を添加してもよい。粒子設計に併せて、別途適切なタ
イミングで添加・混合することができる。
炭素材の球形化処理の際には、球形化処理中に生成する微粉を母材に付着、及び/又は
球形化粒子に内包しながら球形化処理することがより好ましい。球形化処理中に生成する
微粉を母材に付着、及び/又は球形化粒子に内包しながら球形化処理することにより、4
nmから150nmの細孔が十分に大きく、粒子内空隙構造がより緻密化された造粒炭素
材を得ることができる。このため、Liイオンの挿入・脱離サイトとして利用できるエッ
ジの量が増大し、且つ電解液が粒子内空隙へと有効且つ効率的に行き渡り、粒子内のLi
イオン挿入脱離サイトを効率的に利用できるようになるため、良好な低温出力特性やサイ
クル特性を示す傾向がある。また、母材に付着する微粉は球形化処理中に生成したものに
限らず、鱗片状黒鉛粒度調整の際に同時に微粉を含むよう調整してもよいし、別途適切な
タイミングで添加・混合してもよい。
微粉を母材に付着、及び球形化粒子に内包させるために、鱗片状黒鉛粒子-鱗片状黒鉛
粒子間、鱗片状黒鉛粒子-微粉粒子間、及び微粉粒子-微粉粒子間の付着力を強くするこ
とが好ましい。粒子間の付着力として、具体的には、粒子間介在物を介さないファンデル
ワールス力や静電引力、粒子間介在物を介する物理的及び/又は化学的架橋力等が挙げら
れる。
ファンデルワールス力は、平均粒子径(d50)が100μmを境に小さくなるほど[
自重]<[付着力]となる。このため、球形化黒鉛の原料となる鱗片状黒鉛(原料炭素材
)の平均粒子径(d50)が小さいほど粒子間付着力が増し、微粉が母材に付着、及び球
形化粒子に内包された状態となりやすく好ましい。鱗片状黒鉛の平均粒子径(d50)は
、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、更に好ましくは3μm以上で、好
ましくは80μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは35μm以下、特
に好ましくは20μm以下、とりわけ好ましくは10μm以下、最も好ましくは8μm以
下である。
粒子間介在物を介する物理的及び/又は化学的架橋力としては、液体性介在物、固体性
介在物、を介する物理的及び/又は化学的架橋力が挙げられる。上記化学的架橋力として
は、粒子と粒子間介在物との間で化学反応、焼結、メカノケミカル効果等により、共有結
合、イオン結合、水素結合等が形成された場合の架橋力が挙げられる。
(第4工程)造粒剤の一部及び有機溶剤を除去する工程
本発明においては、前記造粒剤の一部及び有機溶剤を除去する工程を有していることが
好ましい。造粒剤の一部及び有機溶剤を除去する方法としては、例えば、溶剤により洗浄
する方法や、熱処理により造粒剤の一部及び有機溶剤を揮発・分解除去する方法が挙げら
れる。
このときの熱処理温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは100℃以上、更に
好ましくは200℃以上、特に好ましくは300℃以上、とりわけ好ましくは400℃以
上、最も好ましくは500℃であり、好ましくは1500℃以下、より好ましくは100
0℃以下、更に好ましくは800℃以下である。熱処理温度が上記範囲内にあると、十分
に造粒剤を揮発・分解除去でき生産性を向上できる。
熱処理時間は、好ましくは0.5~48時間、より好ましくは1~40時間、更に好ま
しくは2~30時間、特に好ましくは3~24時間である。熱処理時間が上記範囲内にあ
ると、十分に造粒剤を揮発・分解除去でき生産性を向上できる。
熱処理の雰囲気は、大気雰囲気等の活性雰囲気、もしくは、窒素雰囲気やアルゴン雰囲
気等の不活性雰囲気があげられ、200℃~300℃で熱処理する場合には特段制限はな
いが、300℃以上で熱処理を行う場合には、黒鉛表面の酸化を防止する観点で、窒素雰
囲気やアルゴン雰囲気等の不活性雰囲気が好ましい。
(第5工程)造粒炭素材に黒鉛質物を添着する工程
本発明では、造粒炭素材に、黒鉛質物を添着する工程を有する。この工程によれば、表
面の少なくとも一部に黒鉛質物を有する黒鉛が得られるため、これを用いた非水系二次電
池用負極と電解液との副反応が少なく高容量で高温保存特性に優れた非水系二次電池用負
極材を得ることができる。
造粒炭素材への黒鉛質物の添着(複合化)処理は黒鉛質物となる有機化合物と、造粒炭
素材を混合し、非酸化性雰囲気下、好ましくは窒素、アルゴン、二酸化炭素等の流通下に
加熱して、有機化合物を黒鉛質物化させる処理である。黒鉛質物となる具体的な有機化合
物としては、石油系や石炭系の重質油やタールやピッチ、具体的には軟質ないし硬質の種
々のコールタールピッチや石炭液化油等の炭素系重質油、原油の常圧又は減圧蒸留残渣油
等の石油系重質油、ナフサ分解によるエチレン製造の副生物である分解系重質油等種々の
ものを用いることができる。
また、分解系重質油を熱処理することで得られるエチレンタールピッチ、FCCデカン
トオイル、アシュランドピッチ等の熱処理ピッチ等を挙げることができる。さらにポリ塩
化ビニル、ポリビニルアセテート、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等のビ
ニル系高分子と3-メチルフェノールホルムアルデヒド樹脂、3,5-ジメチルフェノー
ルホルムアルデヒド樹脂等の置換フェノール樹脂、アセナフチレン、デカシクレン、アン
トラセン等の芳香族炭化水素、フェナジンやアクリジン等の窒素環化合物、チオフェン等
のイオウ環化合物等を挙げることができる。また、固相で炭素化を進行させる有機化合物
としては、セルロース等の天然高分子、ポリ塩化ビニリデンやポリアクリロニトリル等の
鎖状ビニル樹脂、ポリフェニレン等の芳香族系ポリマー;フルフリルアルコール樹脂、フ
ェノール-ホルムアルデヒド樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂;フルフリルアルコ
ールのような熱硬化性樹脂原料等を挙げることができる。これらの中でも、ソフトカーボ
ンである石油系や石炭系の重質油やタールやピッチが好ましい。
造粒炭素材と黒鉛質物となる有機化合物とを混合する方法として、例えば、原料炭素材
と造粒剤とをミキサーやニーダーを用いて混合する方法や有機化合物を低粘度希釈溶媒(
有機溶剤)に溶解させた造粒剤と原料炭素材を混合した後に該希釈溶媒(有機溶剤)を除
去する方法等が挙げられる。これらの中でも、有機化合物中の黒鉛質物となる成分が多い
ほど微細孔をより効率的に低減できるため、原料炭素材と造粒剤とをミキサーやニーダー
を用いて混合する方法が好ましい。
また、造粒炭素材と黒鉛質物となる有機化合物とを混合する際の、黒鉛質物となる有機
化合物の粘度は1cP以上1000cP以下であることが好ましく、5cP以上800c
P以下であることがより好ましく、10cP以上600cP以下であることが更に好まし
く、20cP以上500cP以下であることが特に好ましい。粘度が上記範囲内にあると
、造粒炭素材の微細孔に黒鉛質物となる有機化合物が入り込み、焼成・黒鉛化により黒鉛
質物となることによって本微細孔を低減でき、高容量で高温保存特性に優れた負極材を製
造することが可能となるため好ましい。
造粒炭素材と黒鉛質物となる有機化合物とを混合する際の混合温度は、通常有機化合物
の軟化点以上であり、好ましくは軟化点より10℃以上高い温度、より好ましくは軟化点
より20℃以上高い温度、更に好ましくは30℃以上高い温度、特に好ましくは50℃以
上高い温度、通常450℃以下、好ましくは250℃以下で行われる。加熱温度が低すぎ
ると、黒鉛質物前駆体となる有機化合物の粘度が高くなって混合が困難となり被覆形態が
不均一となる虞があり、加熱温度が高すぎると黒鉛質物前駆体となる有機化合物の揮発と
重縮合によって混合系の粘度が高くなって被覆形態が不均一となる恐れがある。
加熱温度(焼成温度)は混合物の調製に用いた有機化合物により異なるが、通常は25
00℃以上、好ましくは2600℃以上、より好ましくは2700℃以上に加熱して黒鉛
表面の少なくとも一部に黒鉛質物を添着させる。加熱温度の上限は有機化合物の炭化物が
、混合物中の鱗片状黒鉛の結晶構造と同等の結晶構造に達しない温度であり、加熱温度の
上限は通常は33000℃、好ましくは3200℃、より好ましくは3100℃である。
上述したような処理を行った後、次いで解砕、粉砕及び分級処理を適宜組み合わせて施
すことにより、炭素質物複合炭素材とすることができる。また、形状は任意であるが、平
均粒子径は、通常2~50μmであり、5~35μmが好ましく、特に8~30μmであ
る。
〔非水系二次電池用負極〕
本発明の非水系二次電池用負極(以下、「本発明の負極」と称する場合がある。)は、
集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備え、該活物質層が本発明の負極材を含
有するものである。
本発明の負極材を用いて負極を作製するには、負極材に結着樹脂を配合したものを水性
又は有機系媒体でスラリーとし、必要によりこれに増粘材を加えて集電体に塗布し、乾燥
すればよい。
結着樹脂としては、非水電解液に対して安定で、かつ非水溶性のものを用いるのが好ま
しい。例えば、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム及びエチレン・プロピレンゴ
ム等のゴム状高分子;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リイミド、ポリアクリル酸、及び芳香族ポリアミド等の合成樹脂;スチレン・ブタジエン
・スチレンブロック共重合体やその水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン、スチ
レン共重合体、スチレン・イソプレン及びスチレンブロック共重合体並びにその水素化物
等の熱可塑性エラストマー;シンジオタクチック-1,2-ポリブタジエン、エチレン・
酢酸ビニル共重合体、及びエチレンと炭素数3~12のα-オレフィンとの共重合体等の
軟質樹脂状高分子;ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリビニデンフル
オライド、ポリペンタフルオロプロピレン及びポリヘキサフルオロプロピレン等のフッ素
化高分子等を用いることができる。有機系媒体としては、例えば、N-メチルピロリドン
及びジメチルホルムアミドを用いることができる。
結着樹脂は、負極材100重量部に対して通常は0.1重量部以上、好ましくは0.2
重量部以上用いるのが好ましい。結着樹脂の使用量を負極材100重量部に対して0.1
重量部以上とすることで、負極材料相互間や負極材料と集電体との結着力が十分となり、
負極から負極材料が剥離することによる電池容量の減少及びリサイクル特性の悪化を防ぐ
ことができる。
また、結着樹脂の使用量は負極材100重量部に対して10重量部以下とするのが好ま
しく、7重量部以下とするのがより好ましい。結着樹脂の使用量を負極材100重量部に
対して10重量部以下とすることにより、負極の容量の減少を防ぎ、かつリチウムイオン
等のアルカリイオンの負極材料への出入が妨げられる等の問題を防ぐことができる。
スラリーに添加する増粘材としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セ
ルロース類、ポリビニルアルコール並びにポリエチレングリコール等が挙げられる。これ
らの中でも好ましいのはカルボキシメチルセルロースである。増粘材は負極材料100重
量部に対して、通常0.1~10重量部、特に0.2~7重量部となるように用いるのが
好ましい。
負極集電体としては、従来からこの用途に用い得ることが知られている、例えば、銅、
銅合金、ステンレス鋼、ニッケル、チタン及び炭素等を用いればよい。集電体の形状は通
常はシート状であり、その表面に凹凸をつけたもの、ネット及びパンチングメタル等を用
いることも好ましい。
集電体に負極材と結着樹脂のスラリーを塗布・乾燥した後は、加圧して集電体上に形成
された活物質層の密度を大きくして負極活物質層の単位体積当たりの電池容量を大きくす
るのが好ましい。活物質層の密度は1.2~1.8g/cmの範囲にあることが好まし
く、1.3~1.6g/cmであることがより好ましい。活物質層の密度を上記下限値
以上とすることで、電極の厚みの増大に伴う電池の容量の低下を防ぐことができる。また
、活物質層の密度を上記上限値以下とすることで、電極内の粒子間空隙が減少に伴い空隙
に保持される電解液量が減り、リチウムイオン等のアルカリイオンの移動性が小さくなり
急速充放電性が小さくなるのを防ぐことができる。
本発明の負極材を用いて形成した負極活物質層の水銀圧入法による10nm~1000
00nmの範囲の細孔容量は、0.05mL/gであることが好ましく、0.1ml/g
以上であることがより好ましい。細孔容量を0.05mL/g以上とすることによりリチ
ウムイオン等のアルカリイオンの出入りの面積が大きくなる。
〔非水系二次電池〕
本発明の非水系二次電池は、正極及び負極、並びに電解質を備える非水系二次電池であ
って、負極として、本発明の負極を用いたものである。特に、本発明の非水系二次電池に
用いる正極及び負極は、通常、Liイオンを吸蔵、放出可能なリチウムイオン二次電池で
あることが好ましい。
本発明の非水系二次電池は、上記の本発明の負極を用いる以外は、常法に従って製造す
ることができる。特に、本発明の非水系二次電池は、[負極の容量]/[正極の容量]の
値を1.01~1.5に設計することが好ましく、1.2~1.4に設計することがより
好ましい。
[正極]
本発明の非水系二次電池の正極の活物質となる正極材としては、例えば、基本組成がL
iCoOで表されるリチウムコバルト複合酸化物、LiNiOで表されるリチウムニ
ッケル複合酸化物、LiMnO及びLiMnで表されるリチウムマンガン複合酸
化物等のリチウム遷移金属複合酸化物、二酸化マンガン等の遷移金属酸化物、並びにこれ
らの複合酸化物混合物等を用いればよい。更にはTiS、FeS、Nb、Mo
、CoS、V、CrO、V、FeO、GeO及びLiNi
.33Mn0.33Co0.33、LiFePO等を用いればよい。
前記正極材に結着樹脂を配合したものを適当な溶媒でスラリー化して集電体に塗布、乾
燥することにより正極を製造することができる。なお、スラリー中にはアセチレンブラッ
ク、ケッチェンブラック等の導電材を含有させることが好ましい。また、必要に応じて増
粘材を含有させてもよい。なお、結着材及び増粘剤としては、この用途に周知のもの、例
えば負極の製造に用いるものとして例示したものを用いることができる。
導電材の配合量は正極材100重量部に対し、0.5~20重量部が好ましく、1~1
5重量部がより好ましい。また、増粘材の配合量は正極材100重量部に対し、0.2~
10重量部が好ましく、0.5~7重量部がより好ましい。更に、正極材100重量部に
対する結着樹脂の配合量は、結着樹脂を水でスラリー化する場合には0.2~10重量部
が好ましく、0.5~7重量部がより好ましく、一方、結着樹脂をN-メチルピロリドン
等の結着樹脂を溶解する有機溶媒でスラリー化する場合には0.5~20重量部が好まし
く、1~15重量部がより好ましい。
正極集電体としては、例えば、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、ニ
オブ及びタンタル等並びにこれらの合金が挙げられる。これらの中でもアルミニウム、チ
タン及びタンタル並びにその合金が好ましく、アルミニウム及びその合金が最も好ましい
[電解液]
電解液は、従来周知の非水溶媒に種々のリチウム塩を溶解させたものを用いることがで
きる。
非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、フルオロエチレンカーボネート、
プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート及びビニレンカーボネート等の環状カー
ボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート及びジエチルカーボネート
等の鎖状カーボネート、γ-ブチロラクトン等の環状エステル、クラウンエーテル、2-
メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、1,2-ジメチルテトラヒドロフラン
及び1,3-ジオキソラン等の環状エーテル、1,2-ジメトキシエタン等の鎖状エーテ
ル等を用いればよい。通常はこれらの2種以上を混合して用いる。なかでも環状カーボネ
ートと鎖状カーボネート、又はこれに更に他の溶媒を混合して用いることが好ましい。
電解液には、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、無水コハク酸、無
水マレイン酸、プロパンスルトン及びジエチルスルホン等の化合物やジフルオロリン酸リ
チウムのようなジフルオロリン酸塩等が添加されていてもよい。更に、ジフェニルエーテ
ル及びシクロヘキシルベンゼン等の過充電防止剤が添加されていてもよい。
非水溶媒に溶解させる電解質としては、例えば、LiClO、LiPF、LiBF
、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO
LiN(CFSO)(CSO)及びLiC(CFSO等が挙げられ
る。電解液中の電解質の濃度は通常0.5~2mol/Lであり、好ましくは0.6~1
.5mol/Lである。
[セパレータ]
正極と負極との間に介在させるセパレータを用いることが好ましい。このようなセパレ
ータとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンの多孔性シートや不織
布を用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明の内容を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超え
ない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における
各種の製造条件や評価結果の値は、本発明の実施態様における上限又は下限の好ましい値
としての意味を持つものであり、好ましい範囲は前記した上限又は下限の値と、下記実施
例の値又は実施例同士の値との組み合わせで規定される範囲であってもよい。
<電極シートの作製>
実施例又は比較例の負極材を用い、活物質層密度1.50±0.03g/cmの活物
質層を有する極板を作製した。具体的には、負極材50.00±0.02gに、1質量%
カルボキシメチルセルロースナトリウム塩水溶液を50.00±0.02g(固形分換算
で0.500g)、及び重量平均分子量27万のスチレン・ブタジエンゴム水性ディスパ
ージョン1.00±0.05g(固形分換算で0.5g)を、キーエンス製ハイブリッド
ミキサーで5分間撹拌し、30秒脱泡してスラリーを得た。
このスラリーを、集電体である厚さ10μmの銅箔上に、負極材料が9.00±0.3
mg/cm付着するように、伊藤忠マシニング製小型ダイコーターを用いて幅10cm
に塗布し、直径20cmのローラを用いてロールプレスして、活物質層の密度が1.50
±0.03g/cmになるよう調整し電極シートを得た。
<非水系二次電池(ラミネート型電池)の作製方法>
上記方法で作製した、負極材料が9.00±0.3mg/cm付着し、活物質層の密
度が1.50±0.03g/cmとなるように調整した電極シートを4cm×3cmに
切り出し負極とし、NMCからなる正極を同面積で切り出し、負極と正極の間にはセパレ
ータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、組み合わせた。エチレンカーボネートと
エチルメチルカーボネートの混合溶媒(体積比=3:7)に、LiPFを1.2mol
/L、ビニレンカーボネートを2重量%になるように溶解させた電解液を200μL注液
してラミネート型電池を作製した。
<低温出力特性>
上記非水電解液二次電池の作製法により作製したラミネート型非水電解液二次電池を用
いて、下記の測定方法で低温出力特性を測定した。
充放電サイクルを経ていない非水電解液二次電池に対して、25℃で電圧範囲4.1V
~3.0V、電流値0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電
流値を1Cとした。以下、同様に実施した。)にて3サイクル、電圧範囲4.2V~3.
0V、電流値0.2Cにて(充電時には4.2Vにて定電圧充電をさらに2.5時間実施
)2サイクル、初期充放電を行った。
さらに、SOC50%まで電流値0.2Cで充電を行った後、-30℃の低温環境下で
、1/8C、1/4C、1/2C、1.5C、2Cの各電流値で2秒間定電流放電させ、
各々の条件の放電における2秒後の電池電圧の降下を測定し、それらの測定値から充電上
限電圧を3Vとした際に、2秒間に流すことのできる電流値Iを算出し、3×I(W)と
いう式で計算される値をそれぞれの電池の低温出力特性とした。
<高温保存特性>
上記非水電解液二次電池の作製法により作製されるラミネート型非水電解液二次電池を
用いて、下記の測定方法で高温保存特性を測定した。
充放電サイクルを経ていない非水電解液二次電池に対して、25℃で電圧範囲4.1V
~3.0V、電流値0.2C(1時間率の放電容量による定格容量を1時間で放電する電
流値を1Cとする、以下同様)にて3サイクル、電圧範囲4.2V~3.0V、電流値0
.2Cにて(充電時には4.2Vにて定電圧充電をさらに2.5時間実施)2サイクル、
初期充放電を行った。
さらに、SOC80%まで電流値0.2Cで充電を行った後、60℃で2週間保存処理
を行った。その後、電流値0.2Cにて放電を行った後、さらに電流値0.2Cにて充放
電を行い(充電時には4.2Vにて定電圧充電をさらに2.5時間実施)、上記5サイク
ル行った後の放電容量(上記、電圧範囲4.1V~3.0Vにて3サイクル、電圧範囲4
.2V~3.0V、電流値0.2Cにて2サイクル行った後の放電容量)に対する保存後
の放電容量の比を高温保存特性として%で表した。
<非水系二次電池(2016コイン型電池)の作製>
上記方法で作製した電極シートを直径12.5mmの円盤状に打ち抜き、リチウム金属
箔を直径14mmの円板状に打ち抜き対極とした。両極の間には、エチレンカーボネート
とエチルメチルカーボネートの混合溶媒(容積比=3:7)に、LiPFを1mol/
L、ビニレンカーボネートを2重量%になるように溶解させた電解液を含浸させたセパレ
ータ(多孔性ポリエチレンフィルム製)を置き、2016コイン型電池をそれぞれ作製し
た。
<放電容量、充放電効率の測定方法>
上述の方法で作製した非水系二次電池(2016コイン型電池)を用いて、下記の測定
方法で電池充放電時の容量を測定した。
0.05Cの電流密度でリチウム対極に対して5mVまで充電し、さらに5mVの一定
電圧で電流密度が0.005Cになるまで充電し、負極中にリチウムをドープした後、0
.1Cの電流密度でリチウム対極に対して1.5Vまで放電を行った。このときの充電容
量、放電容量を本材料の充電容量、放電容量としてmAh/gで表し、充電容量と放電容
量の差を不可逆容量として算出した。また、[本材料の放電容量]/[本材量の充電容量
(=[本材料の放電容量]+[不可逆容量)]を充放電効率として%で表した。
(実施例1)
d50=100μm、d(002)=3.36Å、(ラマンR値)=0.17である鱗
片状天然黒鉛を粉砕室内部に粉砕羽及び気流式分級機構を有する乾式旋回流式粉砕機にて
循環粉砕し、d50=8.7μm、d(002)=3.36Å、(ラマンR値)=0.2
2、(タップ密度)=0.49g/cmである天然黒鉛を得た。得られた天然黒鉛10
0gを造粒剤12gの存在下で、撹拌混合し、造粒剤が均一に添着した天然黒鉛を得た。
得られた造粒剤が均一に添着した天然黒鉛を奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシ
ステムNHS-1型へ投入し、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による
造粒処理を行い、d50=12.1μm、d(002)=3.36Å、(ラマンR値)=
0.38、(タップ密度)=0.97g/cmである球形化天然黒鉛を得た。得られた
造粒剤が添着した球形化天然黒鉛を電気炉にて不活性ガス中、室温から500℃まで昇温
し揮発成分の除去行い、造粒剤を除去した球形化天然黒鉛(造粒黒鉛)を得た。得られた
球形化天然黒鉛と黒鉛質物前駆体として軟化点250℃のバインダーピッチを100:3
0の重量比で撹拌混合し、電気炉にて不活性ガス中、室温から1000℃まで昇温し揮発
成分の除去を行った後、アチソン炉にて3000℃で黒鉛化し、解砕・分級処理すること
により、黒鉛と表面の少なくとも一部に黒鉛質物とが複合化した複合黒鉛粒子を得た。得
られた複合黒鉛粒子(A1)の粉体物性及び電池評価の結果を表-1に示す。
(実施例2)
d50=100μm、d(002)=3.36Å、(ラマンR値)=0.17である鱗
片状天然黒鉛を粉砕室内部に粉砕羽及び気流式分級機構を有する乾式旋回流式粉砕機にて
循環粉砕し、d50=8.7μm、d(002)=3.36Å、(ラマンR値)=0.2
2、(タップ密度)=0.49g/cmである天然黒鉛を得た。得られた天然黒鉛10
0gを造粒剤12gの存在下で、撹拌混合し、造粒剤が均一に添着した天然黒鉛を得た。
得られた造粒剤が均一に添着した天然黒鉛を奈良機械製作所製ハイブリダイゼーションシ
ステムNHS-1型へ投入し、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用による
造粒処理を行い、d50=12.1μm、d(002)=3.36Å、(ラマンR値)=
0.38、(タップ密度)=0.97g/cmである球形化天然黒鉛を得た。得られた
造粒剤が添着した球形化天然黒鉛を電気炉にて不活性ガス中、室温から500℃まで昇温
し揮発成分の除去を行い、造粒剤を除去した球形化天然黒鉛(造粒黒鉛)を得た。得られ
た球形化天然黒鉛と黒鉛質物前駆体として軟化点250℃のバインダーピッチを100:
15の重量比で撹拌混合し、電気炉にて不活性ガス中、室温から1000℃まで昇温し揮
発成分の除去を行った後、アチソン炉にて3000℃で黒鉛化し、解砕・分級処理するこ
とにより、黒鉛と表面の少なくとも一部に黒鉛質物とが複合化した複合黒鉛粒子を得た。
得られた複合黒鉛粒子(A2)の粉体物性及び電池評価の結果を表-1に示す。
(実施例3)
d50=100μm、d(002)=3.36Å、(ラマンR値)=0.17である鱗
片状天然黒鉛を粉砕室内部に粉砕羽及び気流式分級機構を有する乾式旋回流式粉砕機にて
循環粉砕し、d50=10.8μm、d(002)=3.36Å、(ラマンR値)=0.
22、(タップ密度)=0.52g/cmである天然黒鉛を得た。得られた天然黒鉛1
00gを造粒剤12gの存在下で、撹拌混合し、造粒剤が均一に添着した天然黒鉛を得た
。得られた造粒剤が均一に添着した天然黒鉛を奈良機械製作所製ハイブリダイゼーション
システムNHS-1型へ投入し、ローター周速度85m/秒で10分間の機械的作用によ
る造粒処理を行い、d50=16.1μm、d(002)=3.36Å、(ラマンR値)
=0.38、(タップ密度)=1.01g/cmである球形化天然黒鉛を得た。得られ
た造粒剤が添着した球形化天然黒鉛を電気炉にて不活性ガス中、室温から500℃まで昇
温し揮発成分の除去を行い、造粒剤を除去した球形化天然黒鉛(造粒黒鉛)を得た。得ら
れた球形化天然黒鉛と黒鉛質物前駆体として軟化点250℃のバインダーピッチを100
:15の重量比で撹拌混合し、電気炉にて不活性ガス中、室温から1000℃まで昇温し
揮発成分の除去を行った後、アチソン炉にて3000℃で黒鉛化し、解砕・分級処理する
ことにより、黒鉛と表面の少なくとも一部に黒鉛質物とが複合化した複合黒鉛粒子を得た
。得られた複合黒鉛粒子(A3)の粉体物性及び電池評価の結果を表-1に示す。
(比較例1)
d50=12.8μm、d(002)=3.36Å、(ラマンR値)=0.22、(タ
ップ密度)=0.96g/cmである球形化天然黒鉛を用い、上記球形化天然黒鉛と黒
鉛質物前駆体として軟化点80℃のバインダーピッチとを、100:30の質量比で混合
し、ニーダーに投入して20分間捏合した。この捏合物を、モールドプレス成型機を用い
て異方的加圧処理を行った。次いで、電気炉で室温から1000℃まで昇温し揮発成分の
除去を行った。その後、この焼成体を3000℃で加熱して黒鉛化処理をした。得られた
成形体を粗砕、微粉砕処理し、球形化天然黒鉛粒子の表面に黒鉛質物が被覆された複合黒
鉛粒子を得た。得られた複合黒鉛粒子(B1)の粉体物性及び電池評価の結果を表-1に
示す。
(比較例2)
d50=17.0μm、d(002)=3.36Å、(ラマンR値)=0.22、(タ
ップ密度)=1.04g/cmである球形化天然黒鉛を用い、上記球形化天然黒鉛と黒
鉛質物前駆体として軟化点80℃のバインダーピッチとを、100:30の質量比で混合
し、ニーダーに投入して20分間捏合した。この捏合物を、モールドプレス成型機を用い
て異方的加圧処理を行った。次いで、電気炉で室温から1000℃まで昇温し揮発成分の
除去を行った。その後、この焼成体を3000℃で加熱して黒鉛化処理をした。得られた
成形体を粗砕、微粉砕処理し、球形化天然黒鉛粒子の表面に黒鉛質物が被覆された複合黒
鉛粒子を得た。得られた複合黒鉛粒子(B2)の粉体物性及び電池評価の結果を表-1に
示す。
(比較例3)
d50=12.8μm、d(002)=3.36Å、(ラマンR値)=0.22、(タ
ップ密度)=0.96g/cmである球形化天然黒鉛を用い、上記球形化天然黒鉛と黒
鉛質物前駆体として軟化点80℃のバインダーピッチとを、100:20の質量比で混合
し、ニーダーに投入して20分間捏合した。この捏合物を、等方的加圧処理を行った。次
いで、電気炉で室温から1000℃まで昇温し、さらに1000℃で保持することにより
揮発成分の除去を行った。その後、この焼成体を3000℃で加熱して黒鉛化処理をした
。得られた成形体を粗砕、微粉砕処理し、球形化天然黒鉛粒子の表面に黒鉛質物が被覆さ
れた複合黒鉛粒子を得た。得られた複合黒鉛粒子(B3)の粉体物性及び電池評価の結果
を表-1に示す。
Figure 0007247701000001
表-1の結果及び図1~3より以下のことがわかる。図1より、実施例1~3が式(1
)を満足し、比較例1~3が式(1)を満足していないことがわかる。また、図2におい
て、実施例1~3がより右上側の領域の値となっていることから、実施例1~3が比較例
1~3よりも充放電効率と低温出力特性のバランスに優れることが理解される。更に、図
3において、実施例1~3がより右上側の領域の値となっていることから、実施例1~3
が比較例1~3よりも高温保存特性と低温出力特性のバランスに優れることが理解される
。よって、黒鉛の少なくとも一部が黒鉛質物により被覆されており、かつ前記式(1)を
満足する実施例1~3は、式(1)を満足しない比較例1~3と比較して充放電効率、低
温出力特性及び高温保存特性のバランスに優れた性能を示すことがわかる。
本発明の非水電解液二次電池用負極材、並びにこれを含む非水系二次電池用負極及び非
水系二次電池は、低温出力特性及び高温保存特性に優れるため、車載用途;パワーツール
用途;携帯電話、パソコン等の携帯機器用途等に好適に用いることができる。

Claims (11)

  1. 表面の少なくとも一部に黒鉛質物が複合化した黒鉛を含み、以下に定義されるペレット密度が1.70g/cm 以下であり、かつペレット密度と体積基準平均粒子径(d50)の関係が下記式(1)を満たす非水系二次電池用負極材。
    式(1):
    [ペレット密度(g/cm)]≦0.0166×[d50(μm)]+1.42
    [ペレット密度の定義]
    内径φ10の金型に押し冶具としてφ10、長さ35mmのシャフト及び受け冶具としてφ10、長さ6mmのシャフトの2種類の冶具を挿入後、挟み込んだ時の荷重と高さ(厚み)を測定可能な装置にセットし、油圧ポンプで15kgfの荷重を加え、冶具高さを測定する。
    次に、押し冶具のみを取り出して負極材0.6gを加え、再度押し冶具を挿入する。
    金型を油圧ジャッキにセットし、圧力弁を締めて882kgf/cm までゆっくり加圧し、2426kgf/cm まで速やかに加圧した後、3秒間保持し、油圧ジャッキから手を離して60秒待ち、圧力弁を緩めて減圧する。
    その後、挟み込んだ時の荷重と高さを測定可能な装置に再度セットし、油圧ポンプで15kgfの荷重を加え、加圧後の冶具高さを測定する。
    併せて加圧後の負極材の重量を測定し、前述の冶具高さの差分と重量から算出される密度をペレット密度として定義する。
  2. 前記ペレット密度が1.45~1.70g/cm ある、請求項1に記載の非水系二次電池用負極材。
  3. 体積基準平均粒子径(d50)が4~30μmである、請求項1又は2に記載の非水系二次電池用負極材。
  4. ラマンR値が0.01~0.25である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の非水系二次電池用負極材。
  5. 前記黒鉛として天然黒鉛を含む、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の非水系二次電池用負極材。
  6. 前記黒鉛として造粒黒鉛を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の非水系二次電池用負極材。
  7. [タップ密度(g/cm)]/[比表面積(m/g)]が0.15~1.3である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の非水系二次電池用負極材。
  8. タップ密度が0.80~1.50g/cmである、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の非水系二次電池用負極材。
  9. 比表面積が1.0~12.0m/gである、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の非水系二次電池用負極材。
  10. 集電体と、該集電体上に形成された活物質層とを備える非水系二次電池用負極であって、該活物質層が請求項1乃至9のいずれか一項に記載の非水系二次電池用負極材を含有する、非水系二次電池用負極。
  11. 正極及び負極、並びに電解質を備える非水系二次電池であって、該負極が請求項10に記載の非水系二次電池用負極である、非水系二次電池。
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