JP2009001459A - 塩化水素の製造方法および塩素の製造方法 - Google Patents

塩化水素の製造方法および塩素の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大気圧下における沸点が−50〜120℃である有機物を含有する塩化水素から、塩酸酸化プロセスの原料塩化水素ガスとして十分使用可能な、有機物が除去された高純度の塩化水素を製造する方法を提供する。
【解決手段】大気圧下での沸点が−50〜120℃である有機物を含有する、塩化水素濃度が25〜37質量%の塩酸水を蒸留するか、または不活性ガスを用いて放散させることにより、有機物、塩化水素および水を含有する第一留出ガスを得るとともに、残渣として第一塩酸水を得る工程と、第一塩酸水を蒸留して、塩化水素を主に含有する第二留出ガスを得るとともに、残渣として第二塩酸水を得る工程と、第二塩酸水を、第一留出ガスとともに蒸留して、有機物および水を含有する第三留出ガスを得るとともに、第二塩酸水よりも高い塩化水素濃度の第三塩酸水を得る工程とを備える塩化水素の製造方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、塩化水素の製造方法に関し、より詳しくは、有機物を含有する塩化水素から、該有機物を含まない高純度の塩化水素を製造する方法に関する。また本発明は、当該高純度の塩化水素を原料とする塩素の製造方法に関する。
触媒の存在下、塩化水素を酸素により酸化して塩素を得る塩酸酸化プロセスでは、原料の塩化水素ガスとして、各種有機化合物の合成プロセスから副生する塩化水素が主に用いられる。当該原料塩化水素ガスは、有機化合物合成プロセスに応じて、微量ではあるが、種々の有機不純物を含有する。これら有機不純物は、塩酸酸化プロセスに用いられる触媒の活性を阻害したり、あるいは該触媒により酸化されて、多塩素化化合物などの他の不純物を生成させるおそれがあるため、できる限り除去されることが好ましい。
たとえば、原料塩化水素ガスとしては、アミンとホスゲンとの反応によりイソシアネートを得るプロセスにおいて副生する塩化水素ガスを用いることができる。当該イソシアネートプロセスで副生する塩化水素ガスは、主にクロロベンゼン(bp=131℃)、ジクロロベンゼン(bp=180℃)等の、比較的沸点の高い有機不純物を含むが、これらの不純物は、活性炭吸着により除去することができる(特許文献1)。
また、原料塩化水素ガスとして、塩化ビニルモノマー合成プロセスにおいて副生する塩化水素ガスを挙げることができる。塩化ビニルモノマー合成プロセスで副生する塩化水素ガスは、主にエチレン(bp=−103℃)、エタン(bp=−88℃)等の、比較的沸点の低い有機不純物を含むが、原料塩化水素ガスを一旦水に吸収させてこれらの不純物を廃ガスとして除去し、ついで該吸収液を放散させることにより、これら低沸点不純物が除去された塩化水素ガスを得ることができる(特許文献2)。
さらに、原料塩化水素ガスとしては、以下に示される反応によりプロピレンおよび塩素ガスからアリルクロライドを製造する際に副生する塩化水素ガスを使用し得るが、この場合にも、該副生塩化水素に含まれる有機不純物を除去する必要がある。当該アリルクロライドプロセスから副生される塩化水素ガスは、2−クロロプロパン(2CP、bp=36℃)、アリルクロライド(bp=23℃)、イソプロピルアルコール(bp=82℃)等の、比較的沸点が中程度の有機不純物を含む。また、イソシアネートプロセスや塩化ビニルモノマー合成プロセスにおいても、副生する塩化水素ガス中に、比較的沸点が中程度の有機不純物が含まれる場合がある。かかる有機不純物としては、たとえば、四塩化炭素(bp=77℃)、ジクロロメタン(bp=40℃)、クロロメタン(bp=−24℃)、ジクロロエタン(bp=57℃)、塩化ビニルモノマー(bp=−14℃)などを挙げることができる。
36 + Cl2 → C35Cl +HCl
特開2003−112907号公報 特許第3606051号公報
しかしながら、有機不純物が中程度の沸点を有する場合、活性炭には十分に吸着しないため、活性炭吸着法では高純度の塩化水素を得ることができない。また、中程度の沸点を有する有機不純物は塩酸水に溶解することが多いため、上記吸収・放散による方法によっても除去は困難である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、大気圧下における沸点が中程度、具体的には−50〜120℃である有機物を含有する塩化水素から、塩酸酸化プロセスの原料塩化水素ガスとして十分使用可能な、有機物が除去された高純度の塩化水素を製造する方法を提供することである。
すなわち本発明は、大気圧下での沸点が−50〜120℃である有機物を含有する、塩化水素濃度が25〜37質量%の塩酸水を蒸留するか、または不活性ガスを用いて放散させることにより、前記有機物、塩化水素および水を含有する第一留出ガスを得るとともに、残渣として第一塩酸水を得る第一工程と、上記第一塩酸水を蒸留して、塩化水素を主に含有する第二留出ガスを得るとともに、残渣として第二塩酸水を得る第二工程と、上記第二塩酸水を、上記第一留出ガスとともに蒸留して、上記有機物および水を含有する第三留出ガスを得るとともに、上記第二塩酸水よりも高い塩化水素濃度の第三塩酸水を得る第三工程と、を備える塩化水素の製造方法を提供する。
本発明の塩化水素の製造方法は、大気圧下での沸点が−50〜120℃である有機物を含有する塩化水素ガスと、上記第三塩酸水とを接触させて、上記塩化水素濃度が25〜37質量%の塩酸水を調製する工程をさらに備えることが好ましい。
上記有機物は、2−クロロプロパン、イソプロピルアルコールおよびアリルクロライドから選択されるいずれか1種以上であることが好ましい。
また本発明は、上記いずれかの方法により得られた上記第二留出ガスを、酸化ルテニウム触媒の存在下に酸素と反応させる塩素の製造方法を提供する。
本発明の塩化水素の製造方法によれば、たとえばアリルクロライドプロセスから副生される塩化水素ガスのように、原料塩化水素ガスが沸点0〜100℃の有機不純物を含有する場合であっても、当該有機不純物を効果的に除去することができ、かかる有機不純物が除去された高純度の塩化水素を得ることができる。
得られた高純度の塩化水素ガスは、塩酸酸化プロセスの原料として好適に用いることができる。すなわち、当該高純度塩化水素ガスは、有機不純物が十分に除去されているため、塩酸酸化プロセスにおける触媒活性の阻害や、有機不純物の酸化による新たな不純物の副生などの問題を回避することができる。
さらに、本発明の塩化水素の製造方法によれば、高純度塩化水素ガスを取り出す過程で得られる留出ガスおよび塩酸水から、比較的高塩化水素濃度で、有機不純物含量の少ない塩酸水を得ることができる。この塩酸水は、好適に再利用されるものであり、したがって本発明の塩化水素の製造方法によれば、有機不純物を含有する原料塩化水素ガス中の塩化水素の再利用率を極めて高くすることができる。
<塩化水素の製造方法>
図1は、本発明の塩化水素の製造方法の好ましい一例を模式的に示すフロー図である。以下、図1を参照して、本発明の塩化水素の製造方法の各工程について詳細に説明する。
(1)第一工程
本発明における第一工程は、大気圧下での沸点が−50〜120℃である有機物を含有する濃塩酸水を蒸留するか、または不活性ガスを用いて放散させることにより、上記有機物、塩化水素および水を含有する第一留出ガスを得るとともに、残渣として第一塩酸水を得る工程である。上記有機物含有濃塩酸水は、塩酸吸収塔101内において、大気圧下での沸点が−50〜120℃である有機物を含有する原料塩化水素ガスを、水または塩酸水に吸収させることによって調製することができる。原料塩化水素ガスとしては、アリルクロライドプロセスから副生する塩化水素ガスを好適に用いることができるが、これに限定されるものではない。水または塩酸水および、有機物を含有する原料塩化水素ガスはそれぞれ、たとえば配管102および103から塩酸吸収塔101内に導入される。
アリルクロライドプロセスから副生する塩化水素ガスは、有機不純物として、主に2−クロロプロパン(2CP、bp=36℃)、アリルクロライド(bp=23℃)、イソプロピルアルコール(bp=82℃)等の、比較的沸点が中程度の有機不純物を含んでいるが、本発明の方法によれば、これらの有機物を効果的に除去することができ、高純度の塩化水素を得ることができる。特に、本発明の塩化水素の製造方法は、2−クロロプロパン、アリルクロライド、イソプロピルアルコールなどの塩酸水に可溶な有機物であっても効果的に除去することができる点で有利である。また、イソシアネートプロセスや塩化ビニルモノマー合成プロセスにおいて副生する塩化水素ガスを使用する場合、該塩化水素ガス中には、たとえば、四塩化炭素(bp=77℃)、ジクロロメタン(bp=40℃)、クロロメタン(bp=−24℃)、ジクロロエタン(bp=57℃)、塩化ビニルモノマー(bp=−14℃)などの比較的沸点が中程度の有機不純物が含まれる場合があるが、本発明の方法によれば、これらの有機物をも効果的に除去することが可能である。
また、吸収させる塩酸水として、本発明の第三工程で得られた比較的高濃度の塩酸水(第三塩酸水)を利用してもよい。これにより、原料塩化水素ガス中の塩化水素の再利用率を向上させることができる。第三塩酸水は、配管104を通して塩酸吸収塔101に導入される。
有機物を含有する原料塩化水素ガスを水、希塩酸水または第三塩酸水に吸収させることにより、一部の低沸点不純物は、塩酸吸収塔101の塔頂から排出され、缶出液として、塩化水素濃度が25〜37質量%の有機物含有濃塩酸水を得る。当該濃塩酸水中における、沸点−50〜120℃の有機物の含有量は、特に制限されないが、濃塩酸水に対して、たとえば1〜3000質量ppm程度であり、好ましくは1〜2000質量ppm程度である。本発明によれば、有機物の含有量が3000質量ppm程度と高い場合であっても効果的に除去することができる。
本工程においては、上記のようにして調製された有機物含有濃塩酸水を、第一分離塔105に供給し、蒸留するか、または不活性ガスを用いて放散させることにより、塔頂から有機物、塩化水素および水を含有する第一留出ガスを留出させるとともに、缶出液として第一塩酸水を得る。蒸留圧力は、特に制限されないが、大気圧(0MPaG、ゲージ圧)程度とすることができる。有機物を選択的に塔頂側に分配するために、蒸留温度は低めに設定することが好ましく、有機物含有濃塩酸水に含まれる有機物の沸点等にもよるが、塔頂温度は、蒸留圧力が大気圧の場合、10〜90℃程度とすることが好ましい。塔内温度は、上記好ましい塔頂温度となるように適宜設定され、蒸留圧力が大気圧の場合、30〜100℃程度とされる。
不活性ガスを用いた放散を行なう場合、放散時の圧力は、通常、大気圧程度とされる。また、放散時の塔内温度は、通常20〜50℃程度である。不活性ガスを用いた放散の具体的手法としては、有機物含有濃塩酸水のシャワーに対し、下から不活性ガスを吹き込む方法を挙げることができる。不活性ガスとしては、特に限定されず、たとえば窒素ガス、空気、ヘリウムガス、アルゴンガス等を挙げることができる。不活性ガスの供給量(kg)は、第一分離塔105内に供給される有機物含有濃塩酸水(kg)に対して、0.1〜0.5程度とすることが好ましい。
蒸留、放散のいずれの方法によっても、有機物は選択的に塔頂側に分配されるが、より効率的に有機物を分離するためには、加熱条件下で蒸留を行なうことが好ましい。第一分離塔105における蒸留または放散により、塔頂には有機物の大部分、濃塩酸水に含まれる塩化水素の一部および水が分配され、第一留出ガスとして、配管106から排出される。排出された第一留出ガスは、第三塩酸水の調製のために再利用される。一方、缶出液として、有機物のほとんどが除去された第一塩酸水を得る。第一塩酸水の塩化水素濃度は、通常23〜35質量%程度である。第一塩酸水は、第一分離塔105の塔底から排出されて第二分離塔107に供給され、第二工程に供される。
(2)第二工程
本発明の第二工程は、第二分離塔107にて第一塩酸水の蒸留を行ない、塔頂から第二留出ガスを得るとともに、缶出液として第二塩酸水を得る工程である。当該第二留出ガスが有機物が除去された高純度の塩化水素ガスであり、塩酸酸化プロセスの原料として好適に用いることができる。
本工程における蒸留圧力は、特に制限されるものではないが、塔頂から出た第二留出ガスをそのまま塩酸酸化プロセスに導入する場合には、塩酸酸化プロセスは、通常0.1〜1MPaG(ゲージ圧)程度で運転されることから、同じく0.1〜1MPaG程度とすることが好ましい。より好ましくは、0.1〜0.7MPaG程度である。塔内温度は、蒸留圧力に対応する温度となり、通常100〜180℃程度である。塔頂にて還流を行なうことにより、さらに高純度の塩化水素ガス(第二留出ガス)を得ることができる。
上記第二分離塔107における蒸留により得られる第二留出ガスの、水分を除く塩化水素濃度は、典型的には99体積%以上である。また、第二留出ガスの有機物含有量は、第二留出ガス中の塩化水素に対して、通常3体積ppm以下、典型的には1体積ppm以下である。このように、第二留出ガスは、有機物の除去された、極めて高純度の塩化水素ガスであり、塩酸酸化プロセスの原料として好適に用いることができる。一方、缶出液(第二塩酸水)は、蒸留圧力における水−塩化水素の共沸組成付近の塩化水素濃度を有する塩酸水である。たとえば、蒸留圧力が0.4MPaGの場合、第二塩酸水の塩化水素濃度は、塔頂から回収される塩化水素ガスの量にもよるが、16〜18質量%程度である。
(3)第三工程
本発明の第三工程は、配管108を通して導入された第二塩酸水と、配管106を通して導入された第一留出ガスとを、第三分離塔109にて蒸留し、第三留出ガスと第三塩酸水とを得る工程である。第三工程における蒸留は、第二工程での蒸留圧力より低い圧力下で行なうことが好ましい。さらに好ましくは、第三工程における蒸留圧力は、0〜0.1MPaG程度ある。減圧下で蒸留を行なうことも可能である。第二工程での蒸留圧力より低い圧力下で蒸留を行なうことにより、第二塩酸水よりも高い塩化水素濃度の塩酸水(第三塩酸水)を得ることができるとともに、第三分離塔109の塔頂から、塩化水素ガスをほとんど含まないもしくは実質的にゼロである有機物含有留出ガス(第三留出ガス)を得ることができる。これは、水−塩化水素の共沸組成が圧力に依存する現象を利用したものである。
塔頂から留出した第三留出ガスは、原料塩化水素ガスに含まれていた有機物のほとんどを含有するものであり、排水・排ガスとして処理される。この際、第三留出ガスは、塩化水素含有量が少ないため、排水・排ガス処理は容易に行なうことができる。また、第三塩酸水は、好ましくは、第二塩酸水よりも高い塩化水素濃度を有する塩酸水であって、上記第一工程における濃塩酸調製時の塩酸水として好適に用いることができる。第三塩酸水は、第三分離塔109に供給される塩化水素のほとんどを含有しているので、第三塩酸水の再利用により、有機物を含有する原料塩化水素ガス中の塩化水素の再利用率を極めて高くすることができる。
なお、上記第三工程は、必ずしも上記第一工程で用いられる分離塔と異なる分離塔で行なわれる必要はない。たとえば、図4に示されるように、第二分離塔407における蒸留で得られた缶出液(第二塩酸水)を、配管402を通して第一分離塔405に戻して蒸留を行ない、第一分離塔405の塔頂より第三留出ガスを得るとともに、第三塩酸水を得るようにしてもよい。この際、第三塩酸水は、濃塩酸の調製のため、配管403を通して塩酸吸収塔401に供給することができる。
<塩素の製造方法>
図2は、本発明の塩素の製造方法の好ましい一例を模式的に示すフロー図である。本発明の塩素の製造方法は、原料の塩化水素ガスとして、上述の第二留出ガスを用いるものである。好ましくは、本発明の塩素の製造方法は、(1)第二留出ガスを酸素で酸化することにより塩素を含むガスを得る酸化工程、(2)酸化工程で得られた塩素を含むガスを水または塩酸水と接触させ、塩化水素および水を主成分とする溶液として未反応塩化水素を回収するとともに、塩素および酸素を主成分とするガスを得る吸収工程、(3)吸収工程で得られたガスを乾燥する乾燥工程、および(4)乾燥工程で得られたガスを塩素を主成分とする液体またはガスと、未反応酸素を主成分とするガスとに分離する精製工程を含む。以下、各工程について説明する。
(1)酸化工程
酸化工程は、第二留出ガスである、有機物の除去された塩化水素ガスを酸素で酸化することにより、塩素を含むガスを得る工程である。ここで、原料の塩化水素として、後述する放散工程で得られた塩化水素を主成分とするガスを併用してもよい。また、他の方法で得られた塩化水素ガスを併用してもよい。
酸化工程における塩化水素ガスの酸化には、酸素を含むガスが用いられるが、この酸素を含むガスとしては酸素または空気が使用される。酸素を含むガスにおける酸素の濃度は、好ましくは80体積%以上、より好ましくは90体積%以上のものが用いられる。酸素濃度が80体積%以上の酸素を含むガスは、空気の圧力スイング法や深冷分離などの通常の工業的な方法によって得ることができる。酸素を含むガス中の塩化水素以外の成分としては、窒素(N2)、アルゴン(Ar)などが挙げられる。
塩化水素の酸化に際し、塩化水素1モルに対する酸素の理論モル量は0.25モルであるが、酸素を塩化水素に対し量論比より過剰に加えた方が反応が効率的に進行することが知られており、理論量以上供給することが好ましく、塩化水素1モルに対し酸素0.25〜2モルがさらに好ましい。酸素の量が過少であると、塩化水素の転化率が低くなる場合があり、一方酸素の量が過多であると生成した塩素と未反応酸素の分離が困難となる場合がある。
酸化工程においては、第二留出ガスおよび/または放散工程で得られた塩化水素を主成分とするガスを、そのまま酸素で酸化して塩素を製造することもできるが、これらのガスを冷却し、ガス中の水および塩化水素の一部を凝縮させてガス中の水の濃度を低減した後、未凝縮ガスを酸素で酸化して塩素を製造することもできる。また、第二留出ガスおよび/または放散工程で得られたガス、または当該ガスを冷却した未凝縮ガスをさらに濃硫酸などと接触させて水分を除去させた後、酸素で酸化して塩素を製造することもできる。
酸化工程における酸化反応の触媒としては、塩化銅と塩化カリウムに第三成分として種々の化合物を添加した触媒、酸化クロムを主成分とする触媒、酸化ルテニウムを主成分とする触媒などの従来公知の触媒を挙げることができるが、なかでも、金属酸化物担体上に酸化ルテニウムが担持された触媒を用いることが好ましい。金属酸化物担体上に酸化ルテニウムが担持された触媒を固定床反応器に充填して用いることで、触媒毒の影響を少なくすることができる。また、酸化ルテニウムを用いることで、触媒成分の揮発や飛散による配管などの閉塞トラブルを伴わず、かつ揮発や飛散した触媒成分の処理工程を必要とせず、また平衡的に有利な温度で塩素を製造できるために、未反応塩化水素と水を回収する工程、塩素と未反応酸素を分離する工程および未反応酸素を反応工程に供給する工程を簡略化し、よって設備コストおよび運転コストを低く抑制でき得る。
触媒中の酸化ルテニウムの含有量は、0.1〜20質量%が好ましい。触媒中の酸化ルテニウムの含有量が0.1質量%未満であると、触媒活性が低く塩化水素の転化率が低くなる傾向にあるためであり、また、触媒中の酸化ルテニウムの含有量が20質量%を超えると、触媒価格が高くなる傾向にあるためである。
酸化ルテニウムの粒径は、特に制限されるものではないが、1〜10nmの範囲内であるのが好ましい。なお、酸化ルテニウムの粒径は、たとえば、電子顕微鏡による観察により測定された値を指す。触媒中の金属酸化物担体としては、たとえば、γ−アルミナ、α−アルミナ、ルチル型チタニア、アナターゼ型チタニア、シリカ、ジルコニアなどの金属酸化物で形成された担体が挙げられる。なかでも、反応活性が高く、また低下しにくいことから、アルミナ、チタニアで形成された金属酸化物担体を用いることが好ましい。酸化工程に特に好適な触媒として、具体的には、特開平10−338502号公報に記載された、酸化ルテニウムの含有量が1〜20質量%であり、酸化ルテニウムの中心径が1.0〜10.0nmである担持酸化ルテニウム触媒または酸化ルテニウム複合酸化物型触媒を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
触媒の形状は、球形形状、円柱状ペレット状、押出形状、リング形状、ハニカム状または成型後に粉砕分級した程度の大きさの顆粒状などで用いられる。この際、触媒直径としては5mm以下が好ましい。触媒直径が5mmを超えると、活性が低下する場合があるためである。触媒直径の下限は特に制限はないが、過度に小さくなると、触媒充填層での圧力損失が大きくなるため、通常は0.5mm以上のものが用いられる。なお、ここでいう触媒直径とは、球形形状では球の直径、円柱形ペレット状では断面の直径、その他の形状では断面の最大直径を意味する。
反応方式としては、固定床反応器を用いた固定床気相流通方式が適用される。固定床式反応器には、たとえば特開2000−272907号公報に記載の方法によって、反応域のうち少なくとも二の反応域の温度制御を熱交換方式で行なうものを用いることができる。
また、固定床式反応器としては、単一または直列に連結された複数の固定床反応管で、反応管の外側にジャケット部を有するものが挙げられる。反応管内の温度は、ジャケット部の熱媒体によって制御される。反応で生成した反応熱は、熱媒体を通じて、スチームを発生させて回収することができる。熱媒体としては、溶融塩、有機熱媒体および溶融金属などを挙げることができるが、熱安定性や取り扱いの容易さなどの点から溶融塩が好ましい。溶融塩の組成としては、硝酸カリウム50質量%と亜硝酸ナトリウム50質量%の混合物、硝酸カリウム53質量%と亜硝酸ナトリウム40質量%と硝酸ナトリウム7質量%の混合物を挙げることができる。反応管に使用される材質としては、金属、ガラス、セラミックなどが挙げられる。金属材料としては、Ni、SUS316L、SUS310、SUS304、ハステロイB、ハステロイCおよびインコネルなどが挙げられるが、なかでもNiが好ましく、炭素含有量が0.02質量%以下のNiが特に好ましい。
酸化工程における酸化反応の反応温度は、塩化水素の酸化反応において通常選択される温度範囲内であれば特に制限されるものではないが、100〜500℃の範囲内であることが好ましく、200〜400℃の範囲内であることがより好ましい。反応温度が100℃未満である場合には、必要な反応速度が得られず、反応率が非常に低くなる虞があり、また、反応温度が500℃を超える場合には、触媒のシンタリングおよび揮発により活性が低下しやすくなる傾向にあるためである。また、反応速度が適度であり、また設備コストが過大になり過ぎないように、酸化反応の反応圧力は0.1〜1MPaGの範囲内であることが好ましく、0.1〜0.7MPaGがより好ましい。
(2)吸収工程
吸収工程は、酸化工程で得られた塩素を含むガスから、未反応塩化水素を回収するとともに、塩素および酸素を主成分とするガスを得る工程である。酸化工程で得られた塩素を含むガスは、塩素以外に、水、未反応塩化水素、未反応酸素、二酸化炭素、窒素およびアルゴン等を含む。吸収工程では、この塩素を含むガスを、水または塩酸水と接触させ、場合によってはさらに冷却することにより、未反応塩化水素を水または塩酸に吸収させて塩化水素および水を主成分とする溶液とし、塩素および酸素を主成分とするガスを分離する。吸収工程で得られた塩化水素および水を主成分とする溶液は、後述する放散工程に供することができる。
吸収工程において、塩素を含むガスと水または塩酸とを接触させる際の温度は、特に制限されるものではないが、塩化水素の水への吸収性を損なわず、かつ、塩酸水溶液へのガス成分の溶存を極力避ける観点から、好ましくは0〜100℃である。また、前記接触の際の圧力は、塩化水素の水への吸収性を損なわず、かつ、塩酸水溶液へのガス成分の溶存を極力避ける観点から、0.05〜1.0MPaGである。なお、吸収工程では、塩素水和物析出防止のために、特開2003−261306号公報に記載の方法を採用するのが好ましい。
(3)乾燥工程
乾燥工程は、吸収工程で得られた塩素および未反応の酸素を主成分とするガス中の水分を除去することにより、乾燥したガスを得る工程である。乾燥工程後のガス中の水分は0.5mg/l以下、好ましくは0.1mg/l以下である。ガス中の水分を除去する化合物としては、硫酸、塩化カルシウム、過塩素酸マグネシウム、ゼオライトなどが挙げられるが、なかでも使用後の排出が容易であることから、硫酸が好ましい。ガス中の水分を除去する方法としては、吸収工程で得られた塩素と未反応の酸素を主成分とするガスを硫酸と接触させる方法が挙げられる。
乾燥工程において用いられる硫酸の濃度は、90質量%以上が好ましい。硫酸濃度が90質量%よりも小さいと、ガス中の水分が十分に除去されないことがある。接触温度は0〜80℃、圧力は0.05〜1MPaGで行なわれる。乾燥剤として硫酸を使用した場合は、乾燥工程の直後で硫酸ミストを除去するのが好ましい。たとえば、ブリンクエリミネーターや特開2003−181235号公報記載の方法を適用することができる。
(4)精製工程
精製工程は、上述した乾燥工程で得られた乾燥したガスを、塩素を主成分とする液体またはガスと未反応酸素を主成分とするガスとに分離することにより塩素を得る工程である。塩素を主成分とする液体またはガスと未反応酸素を主成分とするガスとに分離する方法としては、圧縮および/または冷却する方法、および/または公知の方法(特開平3−262514号公報、特表平11−500954号公報)が挙げられる。たとえば、乾燥工程で得たガスを圧縮および/または冷却することによって、塩素を主成分とする液体が未反応酸素を主成分とするガスと分離される。塩素の液化は、圧力と温度で規定される塩素が液体状態で存在し得る範囲で実施される。その範囲で低温にすればするほど、圧縮圧力が低くなるために圧縮動力は小さくできるが、工業的には設備などの問題から、圧縮圧力と冷却温度はこの範囲内の最適な経済条件を考慮して決められる。通常の運転においては、塩素液化の圧縮圧力は0.5〜5MPaG、冷却温度は−70〜40℃で行なわれる。
得られた塩素を主成分とする液体は、そのまま、あるいは一部または全部を気化させた後、塩化ビニル、ホスゲンなどの原料として用いることができる。一部または全部を気化させた後に用いる場合は、乾燥工程で得られるガスの熱交換を行なうことにより、気化に必要な熱の一部を得ると同時に、乾燥工程で得られるガス中の塩素の液化に必要な外部冷媒による冷却負荷を削減することが可能である。同様に、液体フロンの予備冷却や、塩素蒸留塔などの還流液の冷却に用いることもできる。
本発明の塩素の製造方法は、上記各工程以外に、(5)放散工程、(6)循環工程、(7)除害工程など、塩素の製造方法において通常含まれる公知の適宜の工程を任意に含んでいてもよい。以下、これらの各工程について説明する。
(5)放散工程
放散工程は、吸収工程で得られた塩化水素および水を含む溶液を放散させて塩化水素を主成分とするガスを得る工程であり、必要に応じて適用される。放散工程で放散される塩化水素および水を含む溶液は、通常、当該放散工程の際の圧力下での塩化水素と水の共沸組成よりも多い塩化水素を含有する。このような塩化水素および水を含む溶液の組成は、通常、塩化水素25〜40質量%、水60〜75質量%である。
放散工程の際の圧力(放散塔の塔頂における圧力)は、当該放散工程に続いて後述する脱水工程を行なう場合には、脱水工程の際の圧力より高い圧力を選択するのが好ましく、通常、0.05〜1.0MPaGである。また、放散工程における温度(放散塔の塔底における温度)は、上記圧力と放散工程での放散に供する塩化水素および水を含む溶液の組成により決まるが、通常、100〜180℃である。
放散工程において、放散塔の塔頂からは高濃度の塩化水素を主成分とするガスが得られる。このようにして得られた塩化水素を主成分とするガスは、上述したように、第二留出ガスと混合され、酸化工程に供することができる。なお、放散工程で得られた塩化水素を主成分とするガスは、若干の水を含んでいるが、これを冷却し、凝縮した塩化水素水溶液を放散塔に戻す分縮操作を加えることで、ガス中に含まれる水分を低減させることができる。塩化水素を主成分とするガスを分離後の塩酸水は、脱水工程に供し、塩酸と廃水とに分離し、回収された塩酸を吸収工程にリサイクルすることが好ましい。
脱水工程では、放散工程で用いた放散塔とはまた別個の放散塔を用い、放散工程よりも低い圧力下で、放散工程で得られた塩酸水を放散させる。当該塩酸水は、脱水工程における圧力での塩化水素と水の共沸組成よりも多く水を含む。この脱水工程では、上記塩酸水を放散し、放散塔の塔頂から水を回収し、放散塔の塔底から水と分離された塩酸を回収する。
脱水工程の際の圧力は、上述した放散工程の際の圧力よりも低く設定すればよく、特に制限されるものではないが、−0.090〜0.05MPaGであるのが好ましい。また、脱水工程の際の温度は、上記圧力と放散に供する塩酸水の組成により適宜決定されるが、通常50〜90℃である。この温度は、硫酸などの強電解質を第三成分として添加する場合の脱水工程の温度より低いため、使用する加熱源をより広い範囲から選択することができ、また機器の装置材料についても選択範囲が広くグラスライニングやグラスファイバー含有樹脂など、比較的安価なものが使用できる。
吸収工程および放散工程を含むことにより、分離回収が困難である酸化工程後の塩化水素水溶液を、第三成分を添加することなく、効率的に塩化水素と水とに分離回収することができ、こうして得られた塩化水素を主成分とするガスを再び酸化工程に供することで、結果としてさらに効率的に塩素を製造することが可能となる。
(6)循環工程
循環工程は、精製工程で得られた未反応酸素を主成分とするガスの一部または全部を酸化工程へ供給する工程である。本発明の製造方法においては、未反応酸素を主成分とするガスを反応工程に循環させるに際し、このガスを水で洗浄するなどして硫酸ミストを除去する。このような操作により、反応器の入口部における硫黄成分濃度は、1000体積ppb以下とされることが好ましい。
(7)除害工程
除害工程とは、精製工程で得られた未反応酸素を主成分とするガス、または上述した循環工程で酸化工程へ供給されなかったガスを該ガス中に含まれる塩素を除去した後、系外に排出する工程である。塩素を除害する方法としては、ガスをアルカリ金属水酸化物の水溶液、またはアルカリ金属チオ硫酸塩の水溶液、またはアルカリ金属亜硫酸塩とアルカリ金属炭酸塩を溶解させた水溶液、またはアルカリ金属亜硫酸塩とアルカリ金属炭酸塩を溶解させた水溶液、またはアルカリ金属水酸化物とアルカリ金属亜硫酸塩を溶解させた水溶液と接触させて除害する方法、ガス中の塩素を分離回収する公知の方法(特開平3−262514号公報、特開平10−25102号公報、特表平11−500954号公報)が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
図3は、本発明に従い、2−クロロプロパン(2CP)を含有する原料塩化水素ガスから、高純度塩化水素ガスを得るプロセスの一例を模式的に示すフロー図である。図3には、蒸留等の条件ならびに、塩化水素および2CPの物質収支を示している。以下、図3を参照して、本実施例を説明する。
(1)濃塩酸水の調製
2CPを含有する原料塩化水素ガス(塩化水素ガス流量:1000kg/h、2CP流量:1.42kg/h)、水(流量:12.0kg/h)、および第三分離塔209で回収される第三塩酸水(流量:4730kg/h、塩化水素濃度:19.6質量%、塩酸水に対する2CP濃度:0質量ppm)を塩酸吸収塔201に導入し、循環を行ないながら(循環流量:71.7t/h)、水および塩酸水に塩化水素ガスを吸収させる。吸収時の圧力は0MPaGであり、吸収液の塔底出口温度は48℃である。循環液(有機物含有濃塩酸水)の一部は、第一分離塔205に導入され、次の工程に供される。有機物含有濃塩酸水の第一分離塔205への供給流量は5743kg/hであり、その塩化水素濃度は33.6質量%、塩化水素に対する2CP濃度は247質量ppmである。
(2)有機物の除去
第一分離塔205に導入された有機物含有濃塩酸水は、蒸留され、有機物が除かれる。蒸留圧力は、0MPaGであり、蒸留時における塔頂温度は62℃、塔内温度は77℃である。塔頂から留出する第一留出ガスの流量は93.8kg/hであり、その塩化水素濃度は95.9質量%、塩化水素に対する2CP濃度は1.51質量%である。第一留出ガスは第三分離塔に導入される。また、缶出液(第一塩酸水)は、第二分離塔207に導入され、次の工程に供される。第一塩酸水の第二分離塔207への供給流量は5649kg/hであり、その塩化水素濃度は32.5質量%、塩化水素に対する2CP濃度は0.2質量ppmである。
(3)高純度塩化水素ガスの回収
第二分離塔207に導入された第一塩酸水は、蒸留され、第二留出ガスとして高純度の塩化水素ガスを得る。蒸留圧力は、0.42MPaGであり、蒸留時における塔頂温度は97℃、塔内温度は157℃である。塔頂から留出する第二留出ガスの流量は997.5kg/hであり、その塩化水素濃度は99.8体積%、塩化水素に対する2CP濃度は0.6体積ppmである。また、缶出液(第二塩酸水)は、第三分離塔209に、90℃で導入され、次の工程に供される。第二塩酸水の第三分離塔209への供給流量は4651kg/hであり、その塩化水素濃度は18.0質量%、塩酸水に対する2CP濃度は0質量ppmである。
(4)第一留出ガスおよび第二塩酸水からの塩化水素の回収
第三分離塔209に導入された第一留出ガスおよび第二塩酸水を蒸留し、塩化水素ガスをほとんど含まない排ガス成分と、第二塩酸水より塩化水素濃度が高い第三塩酸水とを得る。蒸留圧力は、第二分離塔207での蒸留圧力よりも低い0MPaGであり、蒸留時における塔頂温度は108℃、塔内温度は109℃である。塔頂から留出する排ガスの全流量は15.0kg/hであり、排ガス中の塩化水素の流量は2.13kg/h、2CPの流量は1.41kg/hである。缶出液(第三塩酸水)は、塩酸吸収塔201に導入され、原料塩化水素ガスの吸収液として再利用される。第三塩酸水の塩酸吸収塔201への供給流量は4730kg/hであり、その塩化水素濃度は19.6質量%、塩酸水に対する2CP濃度は0質量ppmである。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の塩化水素の製造方法の好ましい一例を模式的に示すフロー図である。 本発明の塩素の製造方法の好ましい一例を模式的に示すフロー図である。 本発明に従い、2−クロロプロパン(2CP)を含有する原料塩化水素ガスから、高純度塩化水素ガスを得るプロセスの一例を模式的に示すフロー図である。 本発明の塩化水素の製造方法の別の好ましい一例を模式的に示すフロー図である。
符号の説明
101,201,401 塩酸吸収塔、102,103,104,106,108,402 配管、105,205,405 第一分離塔、107,207,407 第二分離塔、109,209 第三分離塔。

Claims (4)

  1. 大気圧下での沸点が−50〜120℃である有機物を含有する、塩化水素濃度が25〜37質量%の塩酸水を蒸留するか、または不活性ガスを用いて放散させることにより、前記有機物、塩化水素および水を含有する第一留出ガスを得るとともに、残渣として第一塩酸水を得る第一工程と、
    前記第一塩酸水を蒸留して、塩化水素を主に含有する第二留出ガスを得るとともに、残渣として第二塩酸水を得る第二工程と、
    前記第二塩酸水を、前記第一留出ガスとともに蒸留して、前記有機物および水を含有する第三留出ガスを得るとともに、前記第二塩酸水よりも高い塩化水素濃度の第三塩酸水を得る第三工程と、
    を備える塩化水素の製造方法。
  2. 大気圧下での沸点が−50〜120℃である有機物を含有する塩化水素ガスと、前記第三塩酸水とを接触させて、前記塩化水素濃度が25〜37質量%の塩酸水を調製する工程をさらに備える請求項1に記載の塩化水素の製造方法。
  3. 前記有機物は、2−クロロプロパン、イソプロピルアルコールおよびアリルクロライドから選択されるいずれか1種以上である請求項1または2に記載の塩化水素の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により得られた前記第二留出ガスを、酸化ルテニウム触媒の存在下に酸素と反応させる塩素の製造方法。
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