JP5315578B2 - 塩素の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、塩素の製造方法に関する。
塩素は、塩化ビニル、ホスゲンなどの原料として有用であり、塩化水素の酸化によって得られることもよく知られている。たとえば、塩化水素を触媒を用いて分子状酸素で接触酸化し、塩素を製造する方法としては、従来からDeacon触媒と呼ばれる銅系の触媒が従来優れた活性を有するとされ、塩化銅と塩化カリウムに第三成分として種々の化合物を添加した触媒が多数提案されている。また、Deacon触媒以外にも、酸化クロムまたはこの化合物を触媒として用いる方法、酸化ルテニウムまたはこの化合物を触媒として用いる方法も提案されている。
しかしながら、塩化水素の酸化反応は生成する塩素1molあたり14kcalの発熱を伴う発熱反応であるために、酸化反応器内での急激な発熱を抑制することが重要である。このような発熱を抑えた塩素の製造方法において、酸化クロムを触媒とした純塩化水素と純酸素との反応では、固定床反応形式でのホットスポットの除去が困難であり、実装置では流動床反応器の採用が必要であることが知られている(たとえば、非特許文献1参照)。
また、塩素の製造方法においては、塩化水素を酸化して得られた塩素を含むガスを水または塩酸水と接触させ、未反応の塩化水素を除去して、塩素および酸素を主成分とするガスを得、当該ガスを乾燥、精製に供する。この際、未反応の塩化水素を、再び塩素製造のための原料として用いることができる。この場合、未反応の塩化水素は、塩化水素および水を主成分とするガス(または塩化水素水溶液)として回収され、酸化のための反応器に供される。
一般に、塩化水素水溶液は、共沸混合物を形成するため、単純な蒸留のみではその構成成分である塩化水素と水とに分離回収することが困難である。かかる塩化水素水溶液から塩化水素と水とを分離回収する方法としては、塩化水素水溶液に硫酸、塩化カルシウムなどの強電解質を第三成分として添加し、共沸状態を変化させて蒸留する方法が知られている。具体的な手順としては、第一段階として強電解質を添加することにより溶液中の水の活量を低下させた状態で溶液を蒸留し塩化水素を主成分とするガスを放散させ回収する。その後、第二段階として第一段階で残った強電解質水溶液を蒸留し水を蒸留する。第二段階で濃縮された強電解質水溶液は、第一段階での添加剤として再利用できる。
しかしながら、この方法では、第三成分を添加・使用しなければならないこと、ならびに、装置材料として高価なものが必要になるといった問題がある。たとえば第三成分として硫酸を添加する場合、第一段階で添加する硫酸の濃度は共沸状態を変化させる十分な効果を得、かつ第二段階で濃縮した硫酸を第一段階に戻す前にその流量が過大とならないようにする点からも少なくとも80重量%以上にすることが望ましいが、このような濃度の硫酸を添加すると第一段階における蒸留は塩化水素と水と硫酸とが共存する状態となり、液の沸点も上昇するため、塩化水素水溶液の蒸留によく用いられる樹脂含浸カーボンのような安価な材料の使用は困難である。
また第二段階での脱水は、大気圧下では操作温度が200℃以上の高温になるため、一般に減圧下で行われるが、一方、操作圧力を下げすぎると蒸発した水を凝縮させることが困難になるため、脱水工程の操作温度を下げることには限界がある。このようなことから脱水のための装置には通常はタンタルなどの高価な耐食性材料の使用が必要になる。また、第三成分として塩化カルシウムを添加する場合には、第二段階の脱水の際に、固体の析出によるスケーリングが生じる場合がある。
国際公開第04/037718号パンフレット
特開2000−34105号公報
特開2001−19405号公報
清浦忠光、外2名、「塩化水素からの塩素回収」、触媒、触媒学会、1991年、第33巻、第1号、p.15
一方、酸化反応器内の発熱を抑制するように原料ガス中における水分量を所望の範囲に維持するためには、たとえば、原料ガス中の水分量を維持するための設備を別個に設ける必要がある。このように別個の設備をもうける場合は、装置構成の複雑化や、水分量の調整のための装置運転上の煩雑化が避けられないことがある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、塩化水素を酸化して塩素を製造する方法において、酸化反応後の未反応の塩化水素を効率的に回収し、かつ酸化反応器を安定して運転するために必要な原料中の水分量を効率的に調整することができる、塩素の製造方法を提供することである。
本発明は、塩化水素および不純物を含む原料ガス中の塩化水素を酸素で酸化して塩素を製造する方法であって、〔1〕原料ガス中の塩化水素を酸素を含むガスで酸化することにより塩素、水、未反応塩化水素および未反応酸素を含むガスを得る酸化工程と、〔2〕酸化工程で得られた塩素、水、未反応塩化水素および未反応酸素を含むガスを、水または塩酸水からなる吸収液と接触させ、または冷却することにより、塩化水素および水を主成分とする溶液として未反応塩化水素を回収するとともに、塩素および未反応酸素を主成分とするガスを得る吸収工程と、〔3〕吸収工程で得られた溶液を、蒸留して塩化水素を主成分とするガスを得る放散工程とを含み、放散工程で得られた塩化水素を主成分とするガスであって、5〜50体積%の水を含むガスを回収し、原料ガスに混合することを特徴とする。
本発明の塩素の製造方法によれば、上記吸収工程において回収した酸化反応で未反応の塩化水素に対して第3成分を添加することなく、効率的に塩化水素と水とに分離することができる。そして得られた塩化水素を再度酸化工程に供することで、高収率で塩素を製造することができる。また、分離により得られる塩化水素を主成分とするガスに、酸化反応器を安定して運転するために必要な量の水分を同伴させることで、別個に水分の供給装置をもうけることなく、効率的に酸化工程へ水分を供給することができる。
本発明の塩素の製造方法は、吸収工程および放散工程を含むことにより、原料ガス中に含まれる不純物を効率的に除去でき、これによって酸化工程で用いる触媒の安定した活性を維持することができ、結果として塩素を安定して高収率で得ることができる。また、吸収工程および放散工程を含むことにより、生成塩素および未反応酸素と原料ガス中の多くの種類の不純物の複雑な分離を簡略化または省略することができ、よって触媒コスト、設備コストおよび運転コストの観点から極めて容易に塩素を製造することができる。
また、本発明の塩素の製造方法によれば、特定量の水を原料ガスとして用いるガスに含ませることによって、酸化反応器内の温度分布を平滑化させることができ、その結果、酸化反応器を有効に活用でき、かつ触媒の安定した活性を維持することによって、触媒コスト、運転の安定性および容易性の観点から特に優れた製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の塩素の製造方法の好ましい一例を模式的に示すフロー図である。本発明は、塩化水素および不純物を含む原料ガス中の塩化水素を酸素を含むガスで酸化して塩素を製造する方法を前提とする。
ここで、本発明における原料ガスとしては、塩素化合物の熱分解反応や燃焼反応、有機化合物のホスゲン化反応または塩素化反応、焼却炉の燃焼などにおいて発生した塩化水素を含むいかなるものを使用することができる。
本発明における原料ガスとしては、原料ガス中の塩化水素の濃度が10体積%以上、好ましくは50体積%以上、さらに好ましくは80体積%以上のものが用いられる。原料ガス中の塩化水素の濃度が10体積%よりも小さい場合には、後述する吸収工程で不純物とともに除去される塩化水素が多くなってしまい、塩化水素のロスを少量に抑えることが困難になってしまう傾向にある。また、原料ガス中の塩化水素の濃度が10体積%よりも小さい場合には、後述する精製工程で得られる未反応酸素を主成分とするガス中の酸素の濃度が低くなり、後述する循環工程で反応工程へ供給する該ガスの量を少なくしなければならないことがあるという虞もある。
原料ガス中に含まれる塩化水素以外の不純物としては、オルトジクロロベンゼン、モノクロロベンゼンなどの塩素化芳香族炭化水素、トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素、塩化メチル、塩化エチルなどの塩素化炭化水素、メタン、アセチレン、エチレン、プロピレンなどの炭化水素、窒素、アルゴン、二酸化炭素、一酸化炭素、ホスゲン、水素、硫化カルボニル、硫化水素、二酸化硫黄などの無機ガスが挙げられる。
本発明の塩素の製造方法は、〔1〕酸化工程、〔2〕吸収工程、および〔3〕放散工程を少なくとも含むことを特徴とする。以下、本発明における各工程について詳細に説明する。
〔1〕酸化工程
本発明における酸化工程は、原料ガス中の塩化水素を酸素を含むガスで酸化することにより塩素、水、未反応塩化水素および未反応酸素を含むガスを得る工程である。ここで、酸化工程に供される原料ガスには、後述する放散工程で得られた塩化水素を主成分とするガスであって、特定の水分含量を有するガスと混合して調製される。なお、本発明において水とは、化学式H2Oで示されるものであって、水蒸気など、いかなる相状態のものも含む。
本発明における酸化工程は、原料ガス中の塩化水素を酸素を含むガスで酸化することにより塩素、水、未反応塩化水素および未反応酸素を含むガスを得る工程である。ここで、酸化工程に供される原料ガスには、後述する放散工程で得られた塩化水素を主成分とするガスであって、特定の水分含量を有するガスと混合して調製される。なお、本発明において水とは、化学式H2Oで示されるものであって、水蒸気など、いかなる相状態のものも含む。
酸化工程における塩化水素の酸化には、酸素を含むガスが用いられるが、この酸素を含むガスとしては酸素または空気が使用される。酸素を含むガスにおける酸素の濃度は、好ましくは80体積%以上、より好ましくは90体積%以上のものが用いられる。前記酸素の濃度が80体積%よりも小さい場合には、後述する精製工程で得られる未反応酸素を主成分とするガス中の酸素濃度が低くなり、後述する循環工程で酸化工程へ供する該ガスの量を少なくしなければならない虞がある。酸素濃度が80体積%以上の酸素を含むガスは、空気の圧力スイング法や深冷分離などの通常の工業的な方法によって得ることができる。酸素を含むガス中の塩化水素以外の成分としては、窒素(N2)、アルゴン(Ar)などが挙げられる。
塩化水素の酸化に際し、塩化水素1モルに対する酸素の理論モル量は0.25モルであるが、酸素を塩化水素に対し量論比より過剰に加えた方が反応が効率的に進行することが知られており、理論量以上供給することが好ましく、塩化水素1モルに対し酸素0.25モル〜2モルがさらに好ましい。酸素の量が過少であると、塩化水素の転化率が低くなる場合があり、一方酸素の量が過多であると生成した塩素と未反応酸素の分離が困難となる場合がある。
酸化工程における酸化反応の触媒としては、塩化水素を酸化して塩素を製造する触媒として知られる公知の触媒を用いることができる。このような触媒の一例として、塩化銅と塩化カリウムに第三成分として種々の化合物を添加した触媒、酸化クロムを主成分とする触媒、金属ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどのルテニウム化合物を主成分とする触媒などを挙げることができる。これらの触媒は単一で用いてもよく、複数をあわせて用いてもよい。
本発明では、上記触媒の中でも、金属酸化物担体上に金属ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどのルテニウム化合物が担持された触媒を用いることが好ましい。金属酸化物担体上に金属ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどのルテニウム化合物が担持された触媒を固定床反応器に充填して用いることで、触媒毒の影響を少なくすることができる。また、金属ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどのルテニウム化合物を用いることで、触媒成分の揮発や飛散による配管などの閉塞トラブルを伴わず、かつ揮発や飛散した触媒成分の処理工程を必要とせず、また平衡的に有利な温度で塩素を製造できるために、未反応塩化水素と水を回収する工程、塩素と未反応酸素を分離する工程および未反応酸素を反応工程に供給する工程を簡略化し、よって設備コストおよび運転コストを低く抑制でき得る。
触媒中の金属ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどのルテニウム化合物の含有量は、0.1〜20重量%が好ましい。触媒中の金属ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどのルテニウム化合物の含有量が0.1重量%未満であると、触媒活性が低く塩化水素の転化率が低くなる傾向にあるためであり、また、触媒中の金属ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどのルテニウム化合物の含有量が20重量%を超えると、触媒価格が高くなる傾向にあるためである。
金属ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどのルテニウム化合物の粒径は、特に制限されるものではないが、1nm〜10nmの範囲内であるのが好ましい。なお、上記粒径は、たとえば、電子顕微鏡による観察により測定された値を指す。
触媒中の金属酸化物担体としては、たとえば、γ−アルミナ、α−アルミナ、ルチル型チタニア、アナターゼ型チタニア、シリカ、ジルコニアなどの金属酸化物で形成された担体が挙げられる。中でも、反応活性が高く、また低下しにくいことから、γ−アルミナ、α−アルミナ、ルチル型チタニア、アナターゼ型チタニアで形成された金属酸化物担体を用いることが好ましい。
本発明における酸化工程に特に好適な触媒として、具体的には、特開平10−338502号公報に記載された、酸化ルテニウムの含有量が1重量%〜20重量%であり、酸化ルテニウムの中心径が1.0nm〜10.0nmである担持酸化ルテニウム触媒または酸化ルテニウム複合酸化物型触媒を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
酸化工程における反応方式としては、固定床反応器を用いた固定床気相流通方式が適用される。本発明における固定床式反応器には、たとえば特開2000−272907号公報に記載の方法によって、反応域のうち少なくとも二の反応域の温度制御を熱交換方式で行うものを用いてもよい。このような反応領域を2つ以上に分けた反応器では、第1段目の反応域を2つ準備し、2段目以降が被毒される前に、第1段目を交互に切り替えて使用すれば実質的に問題を回避できる。しかし、高価な反応器を2基準備することはコストの観点から不利であるという面もある。
固定床式反応器としては、単一または直列に連結された複数の固定床反応管で、反応管の外側にジャケット部を有するものが挙げられる。反応管内の温度は、ジャケット部の熱媒体によって制御される。反応で生成した反応熱は、熱媒体を通じて、スチームを発生させて回収することができる。熱媒体としては、溶融塩、有機熱媒体および溶融金属などを挙げることができるが、熱安定性や取り扱いの容易さなどの点から溶融塩が好ましい。溶融塩の組成としては、硝酸カリウム50重量%と亜硝酸ナトリウム50重量%の混合物、硝酸カリウム53重量%と亜硝酸ナトリウム40重量%と硝酸ナトリウム7重量%の混合物を挙げることができる。反応管に使用される材質としては、金属、ガラス、セラミックなどが挙げられる。金属材料としては、Ni、SUS316L、SUS310、SUS304、ハステロイB、ハステロイCおよびインコネルなどが挙げられるが、中でもNiが好ましく、炭素含有量が0.02重量%以下のNiが特に好ましい。
酸化工程における酸化反応の反応温度は、塩化水素の酸化反応において通常選択される温度範囲内であれば特に制限されるものではないが、100℃〜500℃の範囲内であることが好ましく、200℃〜400℃の範囲内であることがより好ましい。反応温度が100℃未満である場合には、必要な反応速度が得られず、反応率が非常に低くなる虞があり、また、反応温度が500℃を超える場合には、触媒のシンタリングおよび揮発により活性が低下しやすくなる傾向にあるためである。また、反応速度が適度であり、また設備コストが過大になり過ぎないように、酸化反応の反応圧力は0.1MPa〜5MPaの範囲内であることが好ましい。
酸化工程後、未反応の酸素は、塩素と分離後、反応にリサイクルすることができる。
〔2〕吸収工程
本発明における吸収工程は、上記酸化工程で得られた塩素、水、未反応塩化水素および未反応酸素を含むガスを、水または塩酸水からなる吸収液と接触させ、または冷却することにより、塩化水素および水を主成分とする溶液として未反応塩化水素を回収するとともに、塩素および酸素を主成分とするガスを得る工程である。酸化工程で得られたガスは、上記のガス以外に、二酸化炭素、窒素およびアルゴン等を含む。吸収工程では、酸化工程で得られたガスを、水または塩酸水と接触させ、場合によっては冷却することにより、未反応塩化水素を水または塩酸に吸収させて塩化水素および水を主成分とする溶液とし、塩素および酸素を主成分とするガスを分離する。吸収工程で得られた塩化水素および水を主成分とする溶液は、後述する放散工程に供される。
〔2〕吸収工程
本発明における吸収工程は、上記酸化工程で得られた塩素、水、未反応塩化水素および未反応酸素を含むガスを、水または塩酸水からなる吸収液と接触させ、または冷却することにより、塩化水素および水を主成分とする溶液として未反応塩化水素を回収するとともに、塩素および酸素を主成分とするガスを得る工程である。酸化工程で得られたガスは、上記のガス以外に、二酸化炭素、窒素およびアルゴン等を含む。吸収工程では、酸化工程で得られたガスを、水または塩酸水と接触させ、場合によっては冷却することにより、未反応塩化水素を水または塩酸に吸収させて塩化水素および水を主成分とする溶液とし、塩素および酸素を主成分とするガスを分離する。吸収工程で得られた塩化水素および水を主成分とする溶液は、後述する放散工程に供される。
吸収工程において、塩素を含むガスと水または塩酸とを接触させる際の温度は、特に制限されるものではないが、塩化水素の水への吸収性を損なわず、かつ、塩酸水溶液へのガス成分の溶存を極力避ける観点から、好ましくは0℃〜100℃である。また、前記接触の際の圧力は、塩化水素の水への吸収性を損なわず、かつ、塩酸水溶液へのガス成分の溶存を極力避ける観点から、0.05MPa〜1.0MPaである。なお、吸収工程では、塩素水和物析出防止のために、特開2003−261306号公報に記載のような2段以上の段を有する向流気液接触装置内で、ガスを装置の最上段から供給する流下水と接触させて冷却するとともに、このガス中の塩化水素を流下水に溶解させて塩酸として塔底から抜き出し、塩化水素が除去された塩素ガスを塔頂から抜き出す際に、装置内の圧力が0.1MPa〜1MPaの条件下で、中段の底部から流下水の一部を排出し、この排出水を中段の上部から配管を通じて装置内に供給する方法を採用するのが好ましい。
〔3〕放散工程
本発明における放散工程は、吸収工程で得られた塩化水素および水を含む溶液を、蒸留して塩化水素を主成分とするガスを得る工程である。放散工程で放散される塩化水素および水を含む溶液は、通常、当該放散工程の際の圧力下での塩化水素と水の共沸組成よりも多い塩化水素を含有する。このような塩化水素および水を含む溶液の組成は、通常、塩化水素25〜40重量%、水60〜75重量%である。
本発明における放散工程は、吸収工程で得られた塩化水素および水を含む溶液を、蒸留して塩化水素を主成分とするガスを得る工程である。放散工程で放散される塩化水素および水を含む溶液は、通常、当該放散工程の際の圧力下での塩化水素と水の共沸組成よりも多い塩化水素を含有する。このような塩化水素および水を含む溶液の組成は、通常、塩化水素25〜40重量%、水60〜75重量%である。
ここで、放散工程の際の圧力(放散塔の塔頂における圧力、Pdif)は、当該放散工程に続いて後述する脱水工程を行なう場合には、脱水工程の際の圧力Pdeより高い圧力を選択するのが好ましく、通常、0.03〜1.0MPaである。
また、放散工程における温度(放散塔の塔底における温度)は、上記圧力と放散工程での放散に供する塩化水素および水を含む溶液の組成により決まるが、通常、100〜180℃である。放散塔における加熱源としては、スチームが好ましく用いられる。
放散工程において用いられる放散塔の構造としては、充填塔、棚段塔を例示することができる。また、再沸器などの付帯機器を備えていてもよく、この場合、放散塔および付帯機器の装置材料は操作条件下での塩化水素および水を含む溶液に対し耐食性を有する材料(たとえば、樹脂含浸カーボン、フッ化エチレン系樹脂、フッ化エチレン系樹脂で内部をライニングあるいはコーティングした金属、タンタルまたはタンタル合金、タンタルまたはタンタル合金で内部をライニングあるいはコーティングした金属など)を好適に用いることができる。
放散工程において、放散塔の塔頂からは高濃度の塩化水素を主成分とするガスが得られる。このようにして得られた塩化水素を主成分とするガスは、上述したように、原料と混合され、酸化工程に供される。
本発明において、上記塔頂から得られる塩化水素を主成分とするガスであって、5体積%〜50体積%の水を含むガスを回収して、原料ガスに混合することで、酸化工程に用いる触媒などの劣化を抑制することができるので、結果としてさらに効率的に塩素を製造することが可能となる。塔頂から得られる塩化水素を主成分とするガス(以下、回収塩化水素ガスということがある)に含まれる水分濃度は、図2に示すような放散工程における塔頂温度および塔頂圧力と回収塩化水素ガス中の水分濃度との関係について予め検量線を求めることにより、所望の水分濃度となるように放散条件により調整することができる。なお、放散塔の規模や原料ガスの供給量などにより、操作圧力は変動するものであるから、塔頂温度と塔頂圧力とをモニタリングし、適宜図2に示すような塔頂温度および塔頂圧力と回収塩化水素ガス中の水分濃度との関係を求めて、水分濃度を調整すればよい。また、水分濃度の調整は、放散工程における放散条件を調整して行なうことができるが、放散工程とは別に図1中のBに示す位置において、たとえば蒸留塔などを設けた蒸留操作などにより、上記放散工程とあわせて、水分濃度を調整するようにする工程を付加的に含んでもよい。なお、放散工程で得られた塩化水素を主成分とするガスを冷却し、凝縮した塩化水素水溶液を放散塔に戻す分縮操作を加えることで、ガス中に含まれる水分を低減させることもできる。
上記原料ガスに混合する特定の水分濃度を有する塩化水素を主成分とするガスは、原料ガスに含まれる塩化水素の量をAとし、回収塩化水素ガスに含まれる塩化水素の量をBとする場合、これらの体積比B/Aが0.05〜2を満たすように調整することが好ましく、体積比B/Aが0.1〜1を満たすことがより好ましい。このような体積比で特定の水分濃度を有する回収塩化水素ガスを原料ガスに混合することによって、酸化工程に用いる触媒の水分による劣化を防止し、触媒の活性を維持することができる。
また、本発明においては酸化工程に供する原料ガス全体に含まれる水分濃度について、0体積%〜10体積%としておくことが好ましく、0体積%〜5体積%としておくことがより好ましい。このような酸化工程に供するガスの水分量の調整は、上述のように放散工程における塔頂温度と塔頂圧力とにより調整することができるが、図1中のAに示す位置において付加的に水分量の調整してもよいし、また同様に、図1中のCに示す位置において付加的に水分量を調整してもよい。
なお、放散工程において、放散塔の塔底から回収される塩酸水は、その一部または全部を、後述する脱水工程を経た後に吸収工程の吸収液としてリサイクルすることが可能である。
本発明の塩素の製造方法は、上記〔1〕〜〔3〕の各工程を含むことによって、酸化反応後の未反応の塩化水素を効率的に回収し、原料ガスに必要な水分を効率的に供給することができる。
すなわち、吸収工程および放散工程を含むことにより、原料ガス中に含まれる不純物を効率的に除去でき、これによって酸化工程で用いる触媒の安定した活性を維持することができ、結果として塩素を安定して高収率で得ることができる。また、吸収工程および放散工程を含むことにより、生成塩素および未反応酸素と原料ガス中の多くの種類の不純物の複雑な分離を簡略化または省略することができ、よって触媒コスト、設備コストおよび運転コストの観点から極めて容易に塩素を製造することができる。
また本発明の塩素の製造方法は、放散工程で得られた塩化水素を主成分とするガスであって、特定量の水を含むガスを回収し、原料ガスに混合することで、酸化工程に用いる触媒などの劣化を抑制することができるので、結果としてさらに効率的に塩素を製造することが可能となる。
〔4〕脱水工程
本発明の塩素の製造方法では、放散工程で塩化水素を主成分とするガスを分離後の塩化水素水溶液の一部または全部を、〔4〕脱水工程に供し、塩酸と廃水とに分離し、回収された塩酸を吸収工程にリサイクルすることが好ましい。
本発明の塩素の製造方法では、放散工程で塩化水素を主成分とするガスを分離後の塩化水素水溶液の一部または全部を、〔4〕脱水工程に供し、塩酸と廃水とに分離し、回収された塩酸を吸収工程にリサイクルすることが好ましい。
脱水工程では、放散工程で用いた放散塔とはまた別個の放散塔(蒸留塔)を用い、放散工程における圧力(放散塔の塔頂における圧力)をPdifとし、脱水工程における圧力(蒸留塔の塔頂における圧力)をPdeとすると、Pdif>Pdeを満たす条件とする。このように放散工程における圧力よりも低い圧力下で、放散工程で得られた放散塔の塔底の塩化水素水溶液を放散(蒸留)させる。当該塩化水素水溶液は、脱水工程における圧力での塩化水素と水の共沸組成よりも多く水を含む。この脱水工程では、上記塩化水素水溶液を蒸留(放散)し、蒸留塔の塔頂から水を回収し、蒸留塔の塔底から水と分離された塩酸を回収する。
脱水工程の際の圧力Pdeは、上述した放散工程の際の圧力Pdifよりも低く設定すればよく、特に制限されるものではないが、0.005MPa〜0.05MPaであるのが好ましい。また、脱水工程の際の温度は、上記圧力と放散に供する塩化水素水溶液の組成により適宜決定されるが、通常50℃〜90℃である。この温度は、硫酸などの強電解質を第三成分として添加する場合の脱水工程の温度より低いため、使用する加熱源をより広い範囲から選択することができ、また機器の装置材料についても選択範囲が広くグラスライニングやグラスファイバー含有樹脂など、比較的安価なものが使用できる。また加熱源としては、スチームが好ましく用いられる。
脱水工程に用いられる蒸留塔の形式については、特に制限はなく、充填塔、棚段塔などを例示できるが、塔頂側に水を効率的に濃縮できるよう、原料供給段より上方に濃縮部を設け、塔頂からのガスを全量凝縮させて凝縮液の一部を塔頂に戻す方式が望ましい。
脱水工程に付される塩化水素水溶液の組成は、上記放散工程における放散条件により脱水工程での圧力Pdeにおける塩化水素と水の共沸組成よりも水に富む組成とすることができ、通常、塩化水素15〜21重量%、水79〜85重量%とする。一般に、塩化水素と水の共沸組成よりも水の濃度が大きい側では、水の塩化水素に対する比揮発度が大きいため、塔頂から容易に高濃度の水を分離回収することができる。
また、上述のように脱水工程において脱水した後の蒸留塔の底部の塩化水素溶液の一部または全部を吸収工程の吸収液として供給する供給工程を含む態様をとることができる。このような供給工程を含むことにより、効率的に塩素を製造することが可能となる。
本発明の塩素の製造方法において、脱水工程を含む場合は、一般に、上記放散工程に供される吸収工程で得られた溶液と、脱水工程における蒸留塔の底部の塩化水素溶液との溶液温度が前者が後者よりも低温でることから、このような温度差を利用して熱交換による熱回収機構を備えることができる。該熱回収機構を設ける場合は、製造工程における運転コストを低減することができる。
本発明の塩素の製造方法は、上記〔1〕〜〔3〕の各工程、および〔4〕脱水工程以外に、〔5〕乾燥工程、〔6〕精製工程、〔7〕循環工程、〔8〕除害工程など、塩素の製造方法において通常含まれる公知の適宜の工程を任意に含んでいても勿論よい。以下、これらの各工程について説明する。
〔5〕乾燥工程
乾燥工程は、吸収工程で得られた塩素および未反応酸素を主成分とするガス中の水分を除去することにより、乾燥したガスを得る工程である。乾燥工程後のガス中の水分は0.5mg/l以下、好ましくは0.1mg/l以下である。ガス中の水分を除去する化合物としては、硫酸、塩化カルシウム、過塩素酸マグネシウム、ゼオライトなどが挙げられるが、中でも使用後の排出が容易であることから、硫酸が好ましい。ガス中の水分を除去する方法としては、吸収工程で得られた塩素と未反応酸素を主成分とするガスを硫酸と接触させる方法が挙げられる。
乾燥工程は、吸収工程で得られた塩素および未反応酸素を主成分とするガス中の水分を除去することにより、乾燥したガスを得る工程である。乾燥工程後のガス中の水分は0.5mg/l以下、好ましくは0.1mg/l以下である。ガス中の水分を除去する化合物としては、硫酸、塩化カルシウム、過塩素酸マグネシウム、ゼオライトなどが挙げられるが、中でも使用後の排出が容易であることから、硫酸が好ましい。ガス中の水分を除去する方法としては、吸収工程で得られた塩素と未反応酸素を主成分とするガスを硫酸と接触させる方法が挙げられる。
乾燥工程において用いられる硫酸の濃度は、90重量%以上が好ましい。硫酸濃度が90重量%よりも小さいと、ガス中の水分が十分に除去されないことがある。接触温度は0〜80℃、圧力は0.05〜1MPaで行われる。乾燥剤として硫酸を使用した場合は、乾燥工程の直後で硫酸ミストを除去するのが好ましい。たとえば、ブリンクエリミネーターや特開2003−181235号公報記載のような硫酸ミストを含む乾燥ガスを、硫酸と反応して塩を形成しうる基材と接触させて塩を形成させたのち、形成された硫酸塩をフィルターで捕集する方法を適用することができる。
〔6〕精製工程
精製工程は、上述した乾燥工程で得られた乾燥したガスを、塩素を主成分とする液体またはガスと未反応酸素を主成分とするガスとに分離することにより塩素を得る工程である。塩素を主成分とする液体またはガスと未反応酸素を主成分とするガスとに分離する方法としては、圧縮および/または冷却する方法、および/または公知の方法(特開平3−262514号公報、特表平11−500954号公報)が挙げられる。たとえば、乾燥工程で得たガスを圧縮および/または冷却することによって、塩素を主成分とする液体が未反応酸素を主成分とするガスと分離される。塩素の液化は、圧力と温度で規定される塩素が液体状態で存在し得る範囲で実施される。その範囲で低温にすればするほど、圧縮圧力が低くなるために圧縮動力は小さくできるが、工業的には設備などの問題から、圧縮圧力と冷却温度はこの範囲内の最適な経済条件を考慮して決められる。通常の運転においては、塩素液化の圧縮圧力は0.5MPa〜5MPa、冷却温度は−70℃〜40℃で行われる。
精製工程は、上述した乾燥工程で得られた乾燥したガスを、塩素を主成分とする液体またはガスと未反応酸素を主成分とするガスとに分離することにより塩素を得る工程である。塩素を主成分とする液体またはガスと未反応酸素を主成分とするガスとに分離する方法としては、圧縮および/または冷却する方法、および/または公知の方法(特開平3−262514号公報、特表平11−500954号公報)が挙げられる。たとえば、乾燥工程で得たガスを圧縮および/または冷却することによって、塩素を主成分とする液体が未反応酸素を主成分とするガスと分離される。塩素の液化は、圧力と温度で規定される塩素が液体状態で存在し得る範囲で実施される。その範囲で低温にすればするほど、圧縮圧力が低くなるために圧縮動力は小さくできるが、工業的には設備などの問題から、圧縮圧力と冷却温度はこの範囲内の最適な経済条件を考慮して決められる。通常の運転においては、塩素液化の圧縮圧力は0.5MPa〜5MPa、冷却温度は−70℃〜40℃で行われる。
得られた塩素を主成分とする液体は、そのまま、あるいは一部または全部を気化させた後、塩化ビニル、ホスゲンなどの原料として用いることができる。一部または全部を気化させた後に用いる場合は、乾燥工程で得られるガスの熱交換を行なうことにより、気化に必要な熱の一部を得ると同時に、乾燥工程で得られるガス中の塩素の液化に必要な外部冷媒による冷却負荷を削減することが可能である。同様に、液体フロンの予備冷却や、塩素蒸留塔などの還流液の冷却に用いることもできる。
〔7〕循環工程
循環工程は、上述した精製工程で得られた未反応酸素を主成分とするガスの一部または全部を酸化工程へ供給する工程である。本発明の製造方法においては、未反応酸素を主成分とするガスを反応工程に循環させるに際し、このガスを水で洗浄するなどして硫酸ミストを除去する。このような操作により、反応器の入口部における硫黄成分濃度は、1000volppb以下とされることが好ましい。
循環工程は、上述した精製工程で得られた未反応酸素を主成分とするガスの一部または全部を酸化工程へ供給する工程である。本発明の製造方法においては、未反応酸素を主成分とするガスを反応工程に循環させるに際し、このガスを水で洗浄するなどして硫酸ミストを除去する。このような操作により、反応器の入口部における硫黄成分濃度は、1000volppb以下とされることが好ましい。
〔8〕除害工程
除害工程とは、上述した精製工程で得られた未反応酸素を主成分とするガス、または上述した循環工程で酸化工程へ供給されなかったガスを該ガス中に含まれる塩素を除去した後、系外に排出する工程である。塩素を除害する方法としては、ガスをアルカリ金属水酸化物の水溶液、またはアルカリ金属チオ硫酸塩の水溶液、またはアルカリ金属亜硫酸塩とアルカリ金属炭酸塩を溶解させた水溶液、またはアルカリ金属亜硫酸塩とアルカリ金属炭酸塩を溶解させた水溶液、またはアルカリ金属水酸化物とアルカリ金属亜硫酸塩を溶解させた水溶液と接触させて除害する方法、ガス中の塩素を分離回収する公知の方法(特開平3−262514号公報、特開平10−25102号公報、特表平11−500954号公報)が挙げられる。
除害工程とは、上述した精製工程で得られた未反応酸素を主成分とするガス、または上述した循環工程で酸化工程へ供給されなかったガスを該ガス中に含まれる塩素を除去した後、系外に排出する工程である。塩素を除害する方法としては、ガスをアルカリ金属水酸化物の水溶液、またはアルカリ金属チオ硫酸塩の水溶液、またはアルカリ金属亜硫酸塩とアルカリ金属炭酸塩を溶解させた水溶液、またはアルカリ金属亜硫酸塩とアルカリ金属炭酸塩を溶解させた水溶液、またはアルカリ金属水酸化物とアルカリ金属亜硫酸塩を溶解させた水溶液と接触させて除害する方法、ガス中の塩素を分離回収する公知の方法(特開平3−262514号公報、特開平10−25102号公報、特表平11−500954号公報)が挙げられる。
本発明の塩素の製造方法は、好ましくは上述した全ての工程を有することによって、触媒成分の揮発や飛散による配管などの閉塞トラブルを伴わず、かつ処理工程を必要とせず、また活性の高い触媒を使用することによって、平衡的に有利な温度で塩素を製造できるために、未反応塩化水素と水を回収する工程、塩素と未反応酸素を分離する工程および未反応酸素を酸化反応に供給する工程を簡略化し、よって設備コストおよび運転コストの観点から特に優れた塩素の製造方法を実現できる。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
Claims (6)
- 塩化水素および不純物を含む原料ガス中の塩化水素を酸素を含むガスで酸化して塩素を製造する方法であって、
原料ガス中の塩化水素を酸素を含むガスで酸化することにより塩素、水、未反応塩化水素および未反応酸素を含むガスを得る酸化工程と、
前記酸化工程で得られた塩素、水、未反応塩化水素および未反応酸素を含むガスを、水または塩酸水からなる吸収液と接触させ、または冷却することにより、塩化水素および水を主成分とする溶液として未反応塩化水素を回収するとともに、塩素および未反応酸素を主成分とするガスを得る吸収工程と、
前記吸収工程で得られた溶液を、蒸留して塩化水素を主成分とするガスを得る放散工程とを含み、
前記放散工程で得られた塩化水素を主成分とするガスであって、5〜50体積%の水を含むガスを回収し、前記原料ガスに混合することを特徴とする、塩素の製造方法。 - 前記放散工程は放散塔を用いて行ない、放散後の該放散塔の底部の塩化水素溶液の一部または全部を脱水する脱水工程をさらに含み、
前記放散工程における圧力をPdifとし、前記脱水工程における圧力をPdeとすると、Pdif>Pdeを満たす条件である請求項1に記載の塩素の製造方法。 - 前記脱水工程は、蒸留塔を用いて、該蒸留塔の搭頂部から水を回収することにより脱水する工程であり、
前記脱水工程に供される前記塩化水素溶液は、前記圧力Pdeにおける塩化水素と水の共沸組成よりも水に富む組成であり、
脱水した後の前記蒸留塔の底部の塩化水素溶液の一部または全部を前記吸収工程の吸収液として供給する供給工程を含む、請求項2に記載の塩素の製造方法。 - 前記放散工程に供される前記吸収工程で得られた溶液と、前記脱水工程における前記蒸留塔の底部の塩化水素溶液の熱交換による熱回収機構を含む、請求項1から3のいずれかに記載の塩素の製造方法。
- 前記酸化工程は、金属ルテニウムまたはルテニウム化合物を含む触媒を用いて行なわれる請求項1から4のいずれかに記載の塩素の製造方法。
- 前記金属ルテニウムまたはルテニウム化合物は、金属酸化物担体に坦持されている請求項5に記載の塩素の製造方法。
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