JP2008521037A - 乾燥トナー、それを製造するためのプロセス、およびその使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、1種の微小板タイプの金属効果顔料もしくは複数の微小板タイプの金属効果顔料と、少なくとも1種の樹脂成分とを含む乾燥トナーに関し、ここでその1種の金属効果顔料もしくは複数の金属効果顔料は、好ましくは機械的安定性を改善するのに適したコーティングをさらに具備し、そのコーティングが少なくとも1種の有機層を用いてさらに修飾されており、その有機層が有機官能性シラン、有機官能性チタネート、有機官能性ジルコネート、ホスホン酸、およびホスホネートからなる群より選択される。本発明はさらに、その乾燥トナーを製造するためのプロセスおよびその使用に関する。さらに、本発明はトナーカートリッジおよび印刷物にも関する。

Description

本発明は、乾燥トナー、その乾燥トナーを製造するためのプロセス、その乾燥トナーの使用、トナーカートリッジ、および印刷物に関する。
近年において、特にデジタル静電画像を現像するための、フルカラープリンターまたはカラーコピー機に対する関心が一段と高まり、その開発が進んでいる。
フルカラー電子写真の原理によるフルカラー画像の作成は一般に、イエロー、マゼンタおよびシアンの三原色の着色トナーを用いるか、あるいはそれらにブラックトナーをさらに加えた四色着色トナーを用いて、色を再現することにより達成される。
電子写真には一般に、光導電性物質を使用して光受容体の上に静電潜像を形成させ、トナーを用いてその潜像を現像し、そしてそのトナー画像を紙などに転写させてから、熱、圧力または溶媒蒸発を利用してトナー画像を定着させることが含まれる。
電子写真を利用したカラーコピーは、カラーフィルターを通して原画を多重に露光させ、それぞれの静電潜像を適切なカラートナー、すなわち一般的にはイエロー、マゼンタおよびシアンのカラートナーを用いて現像して、複数のトナー画像を重ね合わせることからなるカラー画像を作成することによって行われる。
今までは、光沢のあるカラー印象を表すためには、上述の基本色すなわちイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックを有するトナーに頼る必要があったが、このような場合、色調、明度および輝度、さらには金属表面の高光沢の角度依存性の印象は、このような色の組合せを用いたのでは表すことが不可能、あるいは可能であるが不十分である、という問題がつきまとった。
このような欠陥を打ち消せるような、カラートナーを製造しようとする試みがこれまでなされなかったという訳ではない。
特開昭63−100468号公報、特開昭62−127754号公報および特開昭62−127753号公報には、微小板タイプのプリン誘導体や魚鱗などの微小板タイプの基材の上の暗色酸化チタン層を使用することにより金属効果を装うとされた、トナー組成物が開示されている。
特開昭62−100770号公報および特開昭62−100771号公報には、酸化チタンおよび/または酸化鉄を用いてコーティングされた無機支持体をベースとする電子写真のための銀色または金色の着色トナーが記載されている。
しかしながら、上に引用した特許出願に記載されているトナーは残念ながら、カラー印象および隠蔽力の点において、金属効果顔料の特性に充分近づいたものとは言えない。
米国特許第6,376,147号明細書においては、その中に金属効果顔料を使用した、液状トナー組成物が記載されている。トナー組成物の中に溶媒を使用するのは、環境への優しさや、労働安全性の観点からは、特に望ましくない。他の欠点は、液状トナー処方を使用することが可能なプリンターの数が極めて限られているという事実である。それらのプリンターではさらに、トナー組成物中に溶媒が使用されているために、爆発の危険性に対する安全対策を取らねばならない。
国際公開第2005/076086号パンフレットには、有機コーティングを有する金属顔料を含むメタリックカラートナーが開示されている。使用される有機コーティングは、脂肪族酸、酸アミド、酸の塩、オレフィン系物質、天然ワックス、合成ワックス、ポリマー、またはそれらの組合せである。場合によっては、さらにシリケート、チタネート、またはアルミネートの層をその金属顔料に設けてもよい。一つの重大な欠陥は、ステアリン酸すなわち脂肪族酸を使用した場合に、そのトナー材料が可塑化を受けるという事実である。また別な欠陥は、このメタリックトナーを用いても、高光沢で高輝度のメタリック外観を有する印刷物を得ることが不可能である、ということである。
上述したようなトナーの欠点を考慮すれば、実質的に乾燥している、すなわち溶媒が少なく、そして電子写真の印刷プロセスに使用したときに、輝度が高く、高い色強度の角度依存性のある反射印刷が得られるようなトナー組成物が必要とされている。
本発明の目的は、1種の微小板タイプ(platelet−type)の金属効果顔料もしくは複数の微小板タイプの金属効果顔料と、少なくとも1種の樹脂成分とを含む乾燥トナーを調製することにより達成される。前記1種の金属効果顔料または複数の金属効果顔料にはさらに好ましくは機械的安定性を改善するコーティングが与えられているが、前記コーティングは少なくとも1種の有機層を用いてさらに修飾されており、前記有機層は、有機官能性シラン、有機官能性チタネート、有機官能性ジルコネート、ホスホン酸、およびホスホネートからなる群より選択される。
本発明のトナーは、本明細書においては乾燥トナーと呼ぶこととする。本発明のトナーには、ある程度の残存湿分(液状ではない)が含まれていてもよく、実質的に個々の微粒子からなるコンシステンシーを有している。
驚くべきことには、本発明者らは、微小板タイプの金属顔料を使用した非液状のトナーを調製することが可能であることを見出した。このことは、本発明により、粉体状で、低溶媒、好ましくは無溶媒の微小板タイプの金属顔料を含むトナーが調製され、それを用いることにより、高輝度で、メタリック光沢の、フルカラーまたはマルチカラー画像を作ることが可能となった、ということを意味している。
その乾燥トナーの好適な展開法については、従属請求項2〜14に定義されている。
好ましくはその乾燥トナーの残存湿分含量は、トナーの全重量を基準にして10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。また別な好ましい実施態様においては、その残存湿分含量が2重量%未満、より好ましくは0.5重量%未満である。乾燥トナーは、実質的に残存湿分を有していない、すなわち実質的に無溶媒であるのが最も好ましい。また別な好適な展開においては、その乾燥トナーは無溶媒である。
したがって、本発明は、低溶媒、好ましくは無溶媒の乾燥トナーを提供し、その金属効果顔料のために、高輝度で、メタリック光沢があり、高い光学的品質を有する、印刷画像を得ることができる。
それが低溶媒または無溶媒組成物であるために、本発明の乾燥トナーは、慣用されるプリンターおよびフォトコピー機において、特別な防爆対策を施すことなく、使用することができる。
その(1種または複数の)金属効果顔料は、アルミニウム、銅、亜鉛、銀、金、鉄、チタン、黄銅、および青銅顔料、さらには合金顔料ならびにそれらの顔料の混合物からなる群より選択されるのが好ましい。
本発明の目的においては、合金顔料とは、その微小板タイプの金属コアが、アルミニウム、銅、亜鉛、銀、金、鉄、チタン、黄銅、および/または金青銅の合金である顔料のことである。
その(1種または複数の)金属効果顔料が、0.5〜35μm、好ましくは1〜17μm、より好ましくは2〜10μmの平均粒子径を有しているのが、好ましい。
乾燥トナー中におけるその1種の金属効果顔料または複数の金属効果顔料の含量は、いずれの場合も乾燥トナーの全重量を基準にして、好ましくは0.5〜50重量%、好ましくは5〜25重量%、より好ましくは10〜15重量%である。
本発明においては、その1種の金属効果顔料または複数の金属効果顔料は、コーティング、好ましくはその機械的および熱的安定性を改善するコーティングを備えている。
この追加のコーティングは、金属効果顔料の周りを包み込んでいるのが好ましい。そのコーティングは、たとえば耐食効果を有していて、画像が印刷された後においても、腐食が起きることなく、そのため金属効果顔料が灰色化することがない。そのコーティングはさらに、たとえばプリンター中での印刷/定着プロセスの間に起きるであろう温度の影響からくる酸化からも、顔料を保護する。したがって、長期間にわたって輝度を保持する印刷物を作成することが可能である。好ましくは、そのコーティングが改善された機械的安定性を金属顔料に付与して、トナーの製造、その貯蔵および輸送、および/または印刷プロセスの間に金属顔料が損傷を受けて、印刷された画像の品質が損なわれることが無いようにするのがよい。
その1種の金属効果顔料または複数の金属効果顔料のコーティングが、1種または複数の金属酸化物を含むか、それらからなっているのが好ましい。そのような(1種または複数の)金属酸化物は、好ましくは、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ホウ素、セリウム、クロム、およびそれらの混合物からなる群の元素の酸化物から選択される。
たとえば、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化ホウ素、酸化セリウム、および/または酸化クロムのコーティングは、顔料の機械的および熱的両方の安定性、さらには電気的な性質、特に顔料の帯電性を改善するというメリットを有している。
本発明においては、1種の金属効果顔料または複数の金属効果顔料に設けられるコーティングは、少なくとも1種の有機層を用いてさらに修飾される。
その有機層は、有機官能性シラン、有機官能性チタネート、有機官能性ジルコネート、ホスホン酸、ホスホネート、およびそれらの混合物からなる群より選択される、1種または複数のリーフィング促進剤を使用することによって設けられる。上述の促進剤はそれぞれ、少なくとも3個の炭素を含み、フッ素化されていてもよい、アリールラジカルおよび/またはアルキルラジカルを含んでいるのが好ましい。それらのアリールラジカルおよび/またはアルキルラジカルには、好ましくは3〜24個の炭素、より好ましくは6〜18個の炭素が含まれる。アルキルラジカルは分枝状であっても、直鎖状であってもよい。アルキルラジカルは直鎖状であるのが好ましい。
そのような化合物の例としては、シランたとえば、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、もしくはその他の有機官能性シランたとえば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ポリエーテルプロピルトリメトキシシラン、さらにはそれらの部分加水分解物、ならびにホスホン酸たとえば、オクタンホスホン酸もしくはオクタデカンホスホン酸などが挙げられる。
このような追加としての有機表面修飾は、応用されるトナーの光学的性質の面において、メリットを有していることが見出された。好適な修飾剤を用いてその表面を修飾された金属効果顔料は、印刷プロセス、すなわち定着の際に、トナー樹脂(この時には溶融状態にある)の表面に移行しやすく、そのため、極めて強い色彩で輝度の高い印刷物が得られる。上に名前を挙げた促進剤の中でも、特に、少なくとも3個の炭素から好ましくは24個の炭素まで、好ましくは6〜18個の炭素を有するアルキルラジカルを含むリーフィング促進剤が、特に好適であることが判った。本明細書においては、「リーフィング」という用語は、印刷プロセスの際に、金属効果顔料がその印刷された画像の表面の上または表面の近傍において自発的に配列することを意味する。本発明のトナーの金属効果顔料が、印刷プロセスの後には、その印刷された画像の表面の上、すなわち見る人に面する側の塗布膜上で自発的に配列するために、その金属効果顔料の金属効果、すなわち高光沢で高輝度の金属的な性質が、ほとんど完全に、好ましくは完全に発揮される。
上述のリーフィング促進剤は、脂肪族酸、特に脂肪酸に比較して大きなメリットを有しているが、その理由は、脂肪族酸はトナー樹脂とある程度の非相溶性を示すが、一方では本発明のトナーの金属効果顔料が定着プロセスの間に溶融されたトナーの境界表面へ移行し、他方ではリーフィング促進剤が強固に、好ましくは共有結合的に顔料の表面に結合されているからである。国際公開第2005/076086号パンフレットに記載されているような、トナー樹脂の可塑化がまったく起こりえないことも有利な点である。
本発明を応用するのに特に好適な金属顔料の例としては、コーティングされたSTANDART金−青銅もしくは銅粉体のL900、G900、E900、7600、8700、またはRotoflex、さらには“Dorolan”または“Resist”と呼ばれる、コーティングされた青銅もしくは銅顔料、さらにはそれらの顔料をベースとしてさらに表面修飾されたタイプのものなどが挙げられる。アルミニウムをベースとした好適な顔料は、たとえば、PCRまたはSilluxタイプの顔料である(すべて、独国フュルトのEckart GmbH & Co.KGから入手可能)。
さらに、少なくとも1種の樹脂成分が、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含むか、それらからなっているのが好ましい。
その熱可塑性樹脂は、飽和または不飽和のポリエステル、ポリビニル化合物、エチレン酢酸ビニル、スチレンコポリマー、スチレンアクリレート、アクリレート、メタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレン/ブタジエン、エポキシド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、およびそれらの混合物からなる群より選択されるのが好ましい。
その少なくとも1種の樹脂成分の含量は、トナーの全重量を基準にして、20〜99.5重量%であるのが好ましい。
その乾燥トナーにはさらに、好ましくは着色顔料(coloring pigment)、有色顔料(colored pigment)、染料、およびそれらの混合物からなる群より選択される1種または複数の着色剤が含まれていても好ましい。
金属効果顔料に加えて、他の着色剤、たとえばカーボンブラック、モノ/ビス−アゾ顔料、磁性粉、アクリドン顔料、トリフェニルメタン顔料、ペリレンおよび/またはアゾ顔料などが使用されていてもよい。慣用される有色顔料または染料、たとえばシアン、マゼンタ、イエローおよび/またはブラックの基本色を有するようなものを存在させることもできる。さらに、レッド、ブルー、グリーン、バイオレット、ホワイト、オレンジ色の顔料および/または染料および/または蛍光染料が、本発明の乾燥トナーの中に存在していてもよい。
追加の着色剤の含量は、いずれの場合も乾燥トナーの全重量を基準にして、20重量%もしくはそれ以上まで、より好ましくは約1重量%〜15重量%の範囲である。
本発明におけるトナー中の電荷調節剤として、正または負に帯電させることができるトナーのため、あるいは電荷を安定化させるためのいずれかに好適な物質、たとえば、トリフェニルメタン化合物、アンモニウム塩、Al−アゾ錯体、Cr−アゾ錯体、無機もしくは有機ポリマー化合物などが、純物質としてもしくは修飾された形態で存在していてもよい。そのような物質は、たとえばClariantから、商品名“Copy”または“Hostacopy”として市販されている。乾燥トナーには、電荷調節剤として、たとえばケイ酸または一般には金属塩が含まれていてもよい。
電荷調節剤の含量は通常、いずれの場合も乾燥トナーの全重量を基準にして、5重量%未満、好ましくは約1〜3重量%である。
一般的に、添加物は、たとえば、極性、電気的性質および/または流動性に影響を及ぼすか、それらを調節するために役立つ。
さらに、本発明によるトナーには、たとえば球状または不規則形状のフェライトのようなキャリヤーが含まれていてもよい。そのようなキャリヤーは摩擦帯電、すなわち静的帯電を起こすことが可能であり、そのためトナー粒子の光電層への移動を改善することができる。
したがって、本発明は、すべてのタイプの電子写真に好適な、乾燥した、好ましくは低溶媒、より好ましくは無溶媒のトナーを提供するが、前記乾燥トナーには、1種の微小板タイプの金属効果顔料または複数の微小板タイプの金属効果顔料、さらには1種または複数の樹脂成分が含まれる。本発明の乾燥トナーを使用すれば、メタリック光沢のある、高輝度で、色強度の高い画像を再現させることが可能である。同時に、そのトナーの特徴としては、基材に対して現像された画像を良好に転写することによる静電潜像の現像性と、その基材の上へのトナーの良好な定着性の面で、優れた性質を有していることが挙げられる。
本発明の目的は、乾燥トナーを製造するための第一のプロセスによってもさらに達成されるが、それには以下の工程が含まれる:
(a)1種の金属顔料または複数の金属顔料であって、好ましくは機械的安定性を改善するのに適したコーティングをさらに具備し、前記コーティングが少なくとも1種の有機層を用いてさらに修飾されており、前記有機層が有機官能性シラン、有機官能性チタネート、有機官能性ジルコネート、ホスホン酸、およびホスホネートからなる群より選択される、1種の金属顔料または複数の金属顔料を、トナー樹脂および場合によっては添加物、たとえば着色剤、電荷調節剤および/またはその他の添加物と混合する工程、
(b)工程(a)で得られた混合物を押出成形する工程、および
(c)工程(b)で得られた押出成形物を粉砕して乾燥トナーを得る工程。
工程(b)における押出成形は、好ましくは30℃〜200℃、より好ましくは50℃〜100℃の温度で実施する。工程(c)においては、押出成形物の粉砕は、摩砕によって実施するのが好ましい。乾燥トナーの所望の粒子径は、使用する摩砕プロセスによって調節することができる。
本発明のトナーは、たとえば第一に、トナー樹脂、金属効果顔料、場合によっては着色顔料もしくは顔料組成物、場合によっては適切な電荷調節剤、またはその他の添加物を、15〜150℃の温度で混合し、次いで、たとえば二軸スクリュー押出機を用いて押出成形して、トナー樹脂の中にすべての顔料と添加物を均質に分散させたものを得ることにより製造することができる。得られた押出成形物は、次いで適切なミル、たとえばハンマーミル中で粗粉砕し、それに続けてたとえばジェットミルにより細かく摩砕させることが可能である。乾燥気流分級機を使用することにより、所望の粒子径を得る。そのようなトナーは、表面が比較的不均一で粗く、粒子径分布が比較的に広い特徴を有している。
本発明の目的は、乾燥トナーを製造するための第二のプロセスによってもさらに達成されるが、それには以下の工程が含まれる:
a)1種の金属顔料または複数の金属顔料であって、好ましくは機械的安定性を改善するのに適したコーティングをさらに具備し、前記コーティングが少なくとも1種の有機層を用いてさらに修飾されており、前記有機層が有機官能性シラン、有機官能性チタネート、有機官能性ジルコネート、ホスホン酸、およびホスホネートからなる群より選択される、1種の金属顔料または複数の金属顔料を、界面活性剤を添加した液相中に分散させる工程、
b)工程a)で得られた分散体に、1種の重合性モノマーまたは複数の重合性モノマーを含むエマルジョンを添加する工程、
c)その1種の重合性モノマーまたは複数の重合性モノマーの重合を開始させる工程、および
d)ポリマー封入された金属顔料を単離する工程。
その1種の金属顔料または複数の金属顔料は、水性または水系(aqueous or watery)相の中に分散させるのが好ましい。所望により、水を唯一の液相として使用することも可能である。界面活性剤は、臨界ミセル形成濃度(CMC)を超える程度に添加するのが好ましい。
次いで、好ましくは水の中に、1種または複数の重合性疎水性モノマーを含むエマルジョンを、その金属顔料の界面活性剤含有分散体に添加する。
1種または複数の重合性疎水性モノマーを含むエマルジョンの添加は、激しく混ぜ合わせて、均質な分散体/エマルジョンが得られるように実施するのが好ましい。次いで、その(1種または複数の)重合性モノマーの重合を、好ましくは均質化された分散体/エマルジョン中で開始させるが、重合開始は、フリーラジカル開始剤を添加することにより実施するのが好ましい。言うまでもないことではあるが、重合は他の方法、たとえばエネルギーを加えることによっても開始させることができる。重合させることにより、生成するポリマーによって金属顔料が包み込まれる。完全なポリマーシェルが形成されるのが好ましいが、それはポリマーカプセルと呼んでもよい。次いでそのポリマー封入された金属顔料を、たとえば篩別により単離し、所望により分級する。
使用する界面活性剤は、アニオン性界面活性剤たとえば、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、もしくは脂肪酸のアルカリ塩、ノニオン性界面活性剤たとえば、アルキルフェノールエトキシレート、脂肪族アルコールエトキシレート、EO/PO系ブロックコポリマー、またはカチオン性界面活性剤たとえば、四級化脂肪族アミン、などであるのが好ましい。
好適なモノマーは、好ましくは、スチレンもしくはスチレン誘導体、アクリル酸エステルもしくはメタクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリル、ビニルエーテル、ジエン、ならびにそれらの誘導体である。
第二のプロセスを用いることによって、金属効果顔料を含むいわゆるケミカルトナーを得ることができ、そのものは、粒子の表面がより滑らかで、粒子径分布が比較的に狭いという特徴を有している。そのようなケミカルトナーからは、改善された解像度を有する印刷物が得られる。
第二の製造プロセスにおいては、所望により、トナー樹脂、金属効果顔料、存在させうる添加物、場合によっては他の着色剤もしくは着色剤組成物、ならびに適切な界面活性剤を、溶媒、好ましくは水の中に、必要に応じて昇温下で、分散させることが可能である。次いで、たとえばTurraxブレンダーを用いて、その分散体に高剪断応力を加える。これにより、微小板タイプの顔料粒子の周りに、他の添加剤および着色剤を含む、極めて微小なポリマーの液滴が生じることとなる。したがって、その微小板タイプの顔料粒子はほとんど、ポリマー性または樹脂性の物質によって包み込まれるかカプセル化される。室温にまで冷却してから、そのポリマー封入された金属効果顔料を単離し、乾燥トナーとして直接使用する。第二のプロセスにおいては、好都合なことには、球状の粒子構造と均一な粒子径を有するトナー粒子が製造される。この第二のプロセスにより製造された乾燥トナーは、高い解像度が重要とされる用途には特に適している。
第一のプロセスにおいては、より粗い金属効果顔料が用いられ、その後の摩砕プロセスにおいてさらに微粉砕しなければならなかったが、第二のプロセスで製造されるトナー粒子の粒子径は、金属効果顔料の大きさで決まってくる。第二のプロセスにおいては、10μm以下の直径を有する顔料を使用するのが好ましい。
一般的に乾燥トナーの粒子径は、好ましくは0.5〜15μm、より好ましくは2〜10μm、さらにより好ましくは4〜6μmの範囲である。乾燥トナーの粒子系が細かいほど、印刷画像の解像度が向上する。印刷物において高解像度が必要とされないような場合には、トナー粒子は、さらに大きな粒子直径、たとえば20μm、25μm、またはそれ以上を有していてもよい。
本発明のプロセスの好適な展開は、従属請求項17〜29において定義されている。本発明の乾燥トナーに関する記述は、相応に適用可能である。
本発明の目的はさらに、本発明の乾燥トナーを、レーザープリンター、LEDプリンター、コピー機、およびデジタルプリンターにおいて使用することによっても達成される。
本発明の目的はさらに、本発明の乾燥トナーを含むトナーカートリッジによっても達成される。
最後になるが、本発明の目的はさらに、本発明のトナーを使用して印刷または刻印された(printed or imprinted)印刷物によっても達成される。その印刷物は、たとえば紙、フィルムまたは織物材料のようなシート状材料に刻印されたものでもよい。しかしながら、その印刷物は、たとえば包装体、ビン、カン、あるいはハウジングのような三次元物体であってもよい。
本発明を、以下の非限定的な実施例によってさらに明らかにする。
実施例1:
溶融押出加工による、金−金属光沢を示す印刷物を製造するためのトナー粉体(パーセントは重量基準)
12%のDorolan 08 Reichgold STANDART金−青銅粉体(Eckart製)
1%のCopy Charge N4P(電荷調節剤、Clariant製)
12%のHostacopy HG−Y101(イエロー顔料調合物、Clariant製)
75%のFine−Tone 382(ポリエステル樹脂、Reichhold製)。
それらの原料をミキサーで予備混合し、次いで、約120℃で、二軸スクリュー押出機を用いて押出成形する。押出成形物を冷却してから、ハンマーミルで粉砕して、粒子径を数ミリメートルとし、次いでエアジェット粉砕機中で微粉砕する。
適用した後では、金色の光沢のある金属効果が観察された。
実施例2:
エマルジョン重合による、金−金属光沢を有する印刷物を製造するためのトナー粉体
顔料分散体を得る目的で、3.6gのドデシル硫酸ナトリウムを200mlの完全脱イオン(FD)水に溶解させ、10gのDorolan 08 Bleichgoldをその溶液に、撹拌しながら分散させる。
別な、攪拌機、熱センサー、および還流コンデンサー付きの1リットルフラスコ中に、窒素雰囲気下で、250mlの脱気FD水、1.2gのドデシル硫酸ナトリウム、25gのスチレン、75gのアクリル酸n−ブチル、1.5gのメタクリル酸、および0.2gのドデシルメルカプタンを入れ、その混合物を、Ultra−Turraxによって細かく乳化させる。顔料分散体を添加してから、その混合物を70℃に加熱し、撹拌を続けながら、その間に、50mlの脱気FD水に溶解させた1.0gの過硫酸カリウムの溶液を添加する。得られた混合物を5時間かけて重合させてから、冷却して室温とする。そこで、ポリマー封入された顔料粒子を取り出して、真空中で乾燥させる。

Claims (32)

  1. 1種の微小板タイプの金属効果顔料または複数の微小板タイプの金属効果顔料と少なくとも1種の樹脂成分とを含む、乾燥トナーであって、
    前記1種の金属効果顔料または前記複数の金属効果顔料が、好ましくは機械的安定性を改善するのに適した、コーティングをさらに具備すること、ならびに前記コーティングが少なくとも1種の有機層を用いてさらに修飾されており、前記有機層が、有機官能性シラン、有機官能性チタネート、有機官能性ジルコネート、ホスホン酸、およびホスホネートからなる群より選択されることを特徴とする、乾燥トナー。
  2. 前記乾燥トナーが、それぞれの場合で乾燥トナーの全重量を基準にして、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下の残存湿分含量を有していることを特徴とする、請求項1に定義される乾燥トナー。
  3. 前記1種の金属効果顔料または複数の金属効果顔料が、アルミニウム、銅、亜鉛、銀、金、鉄、チタン、黄銅、および青銅顔料、ならびにさらに合金顔料、ならびにそれらの顔料の混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項1または請求項2に定義される乾燥トナー。
  4. 前記1種の金属効果顔料または複数の金属効果顔料が、0.5μm〜35μm、好ましくは1μm〜17μm、より好ましくは2μm〜10μmの平均粒子径を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に定義される乾燥トナー。
  5. 前記乾燥トナー中における前記1種の金属効果顔料または複数の金属効果顔料の含量が、それぞれの場合で乾燥トナーの全重量を基準にして、0.5〜50重量%、好ましくは5〜25重量%、より好ましくは10〜15重量%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に定義される乾燥トナー。
  6. 前記微小板タイプの金属効果顔料の、好ましくはその機械的安定性を改善するのに適した前記コーティングが、1種または複数の金属酸化物を含むか、またはそれらからなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に定義される乾燥トナー。
  7. 前記1種の金属酸化物または複数の金属酸化物が、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ホウ素、セリウム、クロム、およびそれらの混合物からなる群の元素の酸化物から選択されることを特徴とする、請求項6に定義される乾燥トナー。
  8. 前記有機層が、3〜24個の炭素を含むアリールラジカルまたはアルキルラジカルおよびそれらの混合物を好ましくは含む1種または複数のリーフィング促進剤を含むか、またはそれらからなることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に定義される乾燥トナー。
  9. 前記少なくとも1種の樹脂成分が、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含むか、またはそれらからなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に定義される乾燥トナー。
  10. 前記熱可塑性樹脂が、飽和または不飽和のポリエステル、ポリビニル化合物、エチレン酢酸ビニル、スチレンコポリマー、スチレンアクリレート、アクリレート、メタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、エポキシド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、およびそれらの混合物、からなる群より選択されることを特徴とする、請求項9に定義される乾燥トナー。
  11. 前記少なくとも1種の樹脂成分の含量が、前記トナーの全重量を基準にして、20〜99.5重量%であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に定義される乾燥トナー。
  12. 前記乾燥トナーが、1種または複数の着色剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に定義される乾燥トナー。
  13. 前記(1種または複数の)着色剤が、着色顔料、有色顔料、染料、またはそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項12に定義される乾燥トナー。
  14. 前記乾燥トナーが、1種または複数の電荷調節剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に定義される乾燥トナー。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に定義される乾燥トナーを製造するためのプロセスであって、
    (a)1種の金属顔料または複数の金属顔料であって、好ましくは機械的安定性を改善するのに適したコーティングをさらに具備し、前記コーティングが少なくとも1種の有機層を用いてさらに修飾されており、前記有機層が有機官能性シラン、有機官能性チタネート、有機官能性ジルコネート、ホスホン酸、およびホスホネートからなる群より選択される、1種の金属顔料または複数の金属顔料を、トナー樹脂および場合によっては添加物、たとえば着色剤、電荷調節剤、および/またはその他の添加物と混合する工程、
    (b)工程(a)で得られた混合物を押出成形する工程、および
    (c)工程(b)で得られた押出成形物を粉砕して乾燥トナーを得る工程、
    を含むプロセス。
  16. 請求項1〜14のいずれか1項に定義される乾燥トナーを製造するためのプロセスであって、
    a)1種の金属顔料または複数の金属顔料であって、好ましくは機械的安定性を改善するのに適したコーティングをさらに具備し、前記コーティングが少なくとも1種の有機層を用いてさらに修飾されており、前記有機層が有機官能性シラン、有機官能性チタネート、有機官能性ジルコネート、ホスホン酸、およびホスホネートからなる群より選択される、1種の金属顔料または複数の金属顔料を、界面活性剤を添加した液相中に分散させる工程、
    b)工程a)で得られた分散体に、1種の重合性モノマーまたは複数の重合性モノマーを含むエマルジョンを添加する工程、
    c)前記1種の重合性モノマーまたは前記複数の重合性モノマーの重合を開始させる工程、および
    d)ポリマー封入された金属顔料を単離する工程、
    を含むプロセス。
  17. 得られた前記乾燥トナーが、それぞれの場合で乾燥トナーの全重量を基準にして、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下の残存湿分含量を有していることを特徴とする、請求項15または請求項16に定義されるプロセス。
  18. 前記1種の金属効果顔料または複数の金属効果顔料が、アルミニウム、銅、亜鉛、銀、金、鉄、チタン、黄銅、および青銅顔料、ならびにさらに合金顔料、ならびにそれらの顔料の混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項15〜17のいずれか1項に定義されるプロセス。
  19. 前記1種の金属効果顔料または複数の金属効果顔料が、0.5μm〜35μm、好ましくは1μm〜17μm、より好ましくは2μm〜10μmの平均粒子径を有することを特徴とする、請求項15〜18のいずれか1項に定義されるプロセス。
  20. 前記1種の金属効果顔料または複数の金属効果顔料の含量が、いずれも前記乾燥トナーの全重量を基準にして、0.5〜50重量%、好ましくは5〜25重量%、より好ましくは10〜15重量%であることを特徴とする、請求項15〜19のいずれか1項に定義されるプロセス。
  21. 前記1種の金属効果顔料または複数の金属効果顔料の前記コーティングが、1種または複数の金属酸化物を含むか、またはそれらからなることを特徴とする、請求項15〜20のいずれか1項に定義されるプロセス。
  22. 前記1種の金属酸化物または複数の金属酸化物が、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ホウ素、セリウム、クロム、およびそれらの混合物からなる群の元素の酸化物から選択されることを特徴とする、請求項21に定義されるプロセス。
  23. 前記有機層が、3個の炭素〜24個の炭素を含むアリールまたはアルキルラジカルおよびそれらの混合物を好ましくは含む1種または複数のリーフィング促進剤を含むか、またはそれらからなることを特徴とする、請求項15〜22のいずれか1項に定義されるプロセス。
  24. 前記少なくとも1種の樹脂成分が、少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含むか、またはそれらからなることを特徴とする、請求項15〜23のいずれか1項に定義されるプロセス。
  25. 前記熱可塑性樹脂が、飽和または不飽和のポリエステル、ポリビニル化合物、エチレン酢酸ビニル、スチレンコポリマー、スチレンアクリレート、アクリレート、メタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、エポキシド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリウレタン、およびそれらの混合物、からなる群より選択されることを特徴とする、請求項24に定義されるプロセス。
  26. 前記少なくとも1種の樹脂成分の含量が、前記トナーの全重量を基準にして、20〜99.5重量%であることを特徴とする、請求項15〜25のいずれか1項に定義されるプロセス。
  27. 前記乾燥トナーが、1種または複数の着色剤をさらに含むことを特徴とする、請求項15〜26のいずれか1項に定義されるプロセス。
  28. 前記(1種または複数の)着色剤が、着色顔料、有色顔料、染料、またはそれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項27に定義されるプロセス。
  29. 前記乾燥トナーが、1種または複数の電荷調節剤をさらに含むことを特徴とする、請求項15〜28のいずれか1項に定義されるプロセス。
  30. レーザープリンター、LEDプリンター、コピー機、またはデジタル印刷機における、請求項1〜14のいずれか1項に定義される乾燥トナーの使用。
  31. トナーカートリッジであって、
    前記トナーカートリッジが、請求項1〜14のいずれか1項に定義される乾燥トナーを含むことを特徴とする、トナーカートリッジ。
  32. 印刷物であって、
    前記印刷物が、請求項1〜14のいずれか1項に定義される乾燥トナーを使用して製造されたものであること特徴とする、印刷物。
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