JP2014038131A - 光輝性トナー、現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリカ、アルミナ及びチタニアからなる群より選択された少なくとも一種の金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料を含み、誘電損失率が10×10−3以上60×10−3以下である光輝性トナー。
【選択図】なし
Description
即ち、請求項1に係る発明は、
シリカ、アルミナ及びチタニアからなる群より選択された少なくとも一種の金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料を含み、誘電損失率が10×10−3以上60×10−3以下である光輝性トナーである。
トナー厚さ方向のトナー断面を観察したときに、前記光輝性金属顔料の長軸方向の頂点からトナー表面までの最短距離の平均値が0.1μm以上1.0μm以下の範囲にある請求項1に記載の光輝性トナーである。
請求項1又は請求項2に記載の光輝性トナーを少なくとも含む現像剤である。
請求項1又は請求項2に記載の光輝性トナーを収容するトナーカートリッジである。
請求項1又は請求項2に記載の光輝性トナーを収容すると共に、前記光輝性トナーを保持して搬送するトナー保持体を備えるプロセスカートリッジである。
像保持体と、
前記像保持体表面を帯電する帯電装置と、
前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
前記静電潜像を請求項1又は請求項2に記載の光輝性トナーによりトナー像として現像する現像装置と、
前記像保持体表面に形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、
を有する画像形成装置である。
本実施形態の光輝性トナー(以下、本実施形態のトナーと称することがある)は、シリカ、アルミナ及びチタニアからなる群より選択された少なくとも一種の金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料を含み、誘電損失率が10×10−3以上60×10−3以下としたトナーである。
なお、従来から用いられているカラートナーや黒トナーの誘電損失率は、約10×10−3以上60×10−3以下の範囲であり、本実施形態のトナーの誘電損失率は、光輝性金属顔料を含むにも関わらず従来から用いられているカラートナーや黒トナーの誘電損失率と同等としたものである。
金属は導電性を示すことから、光輝性金属顔料を着色剤として用いた光輝性トナーの表面に光輝性金属顔料が露出すると、トナーの帯電性に影響を与え、誘電損失率が従来から用いられているカラートナーや黒トナーの誘電損失率に比較して高くなる場合がある。本実施形態においては、着色剤として特定の金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料が用いられる。特定の金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料は特定の金属酸化物が導電性を示す金属粒子を均一に被覆し、また、金属酸化物表面は微小な凹凸を有し、その表面に結着樹脂が付着しやすいため、光輝性金属顔料のトナー表面への露出が抑制される。特に、扁平状の光輝性金属顔料のエッジ部の被覆性が改善される。その結果、誘電損失率が10×10−3以上60×10−3以下の範囲になるものと推察される。誘電損失率を10×10−3以上60×10−3以下の範囲とすることで、ACバイアスの高電圧下におけるトナーへの電荷注入が防止され、転写効率の低下、光輝性の低下が防止されるものと推察される。
測定は、電極直径が38mmの固体用電極(安藤電気社製、SE−71形)にセットし誘電体測定システム ソーラトロン社製126096W型を用い、1000Hz、5.0Vの条件で測定した。
前記光輝性金属顔料の長軸方向の頂点からトナー表面までの最短距離の平均値は、0.2μm以上0.7μm以下の範囲にあることが更に望ましく、0.3μm以上0.6μm以下の範囲にあることが特に望ましい。
本実施形態における光輝性金属顔料の長軸方向の頂点からトナー表面までの距離を、図面に基づき説明する。図1は、本実施形態のトナーの厚さ方向への断面図である。図1に示すトナー2は、厚さLよりも円相当径が長い扁平状のトナーであり、鱗片状の顔料粒子4(光輝性金属顔料に相当)を含有している。
図1においては、顔料粒子4の長軸方向の頂点aからトナー2の表面までの距離Aが、本実施形態における光輝性金属顔料の長軸方向の頂点からトナー表面までの距離に相当する。距離Aの最小値(即ち、光輝性金属顔料の長軸方向の頂点からトナー表面までの最短距離)を各トナーについて測定し、1000個のトナーについての距離Aの最小値の平均値が0.1μm以上1.0μm以下の範囲にあることが望ましい。
なお、図1はトナー2中に一個の顔料粒子4が観察される態様を示すが、トナー2中に複数の顔料粒子4が存在していてもよい。トナー2中に複数の顔料粒子4が観察される場合の距離Aの最小値は、各顔料粒子4の長軸方向の頂点aからトナー2の表面までの距離Aのうちの最小値を意味する。
トナーをビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬化剤を用いて包埋したのち、切削用サンプルを作製する。次にダイヤモンドナイフを用いた切削機(本実施形態においては、LEICAウルトラミクロトーム(日立テクノロジーズ社製)を使用)を用いて−100℃の下、切削サンプルを切削し、観察用サンプルを作製する。この観察用サンプルについて透過型電子顕微鏡(TEM)により倍率5000倍前後でトナー厚さ方向のトナー断面を観察する。観察された1000個のトナーについて、光輝性金属顔料粒子の長軸方向の頂点からトナー表面までの最短距離を画像解析ソフトを用いて測定し、その平均値を計算する。
一方、比(A/B)が100を超えると、反射光を視認し得る視野角が狭くなり過ぎ、正反射光成分が大きいために見る角度によって黒っぽく見えてしまう場合がある。また、比(A/B)が100を超えるトナーは、製造も困難である。
ここで、まず入射角および受光角について説明する。本実施形態において変角光度計による測定の際には、入射角を−45°とするが、これは光沢度の広い範囲の画像に対して測定感度が高いためである。
また、受光角を−30°および+30°とするのは、光輝感のある画像と光輝感のない画像を評価するのに最も測定感度が高いためである。
本実施形態においては、比(A/B)を測定するに際し、まず「ベタ画像」を以下の方法により形成する。試料となる現像剤を、富士ゼロックス(株)社製DocuCentre−III C7600の現像器に充填し、記録紙(OKトップコート+紙、王子製紙(株)社製)上に、定着温度190℃、定着圧力4.0kg/cm2にて、トナー載り量が4.5g/cm2のベタ画像を形成する。尚、前記「ベタ画像」とは印字率100%の画像を指す。
形成したベタ画像の画像部に対し、変角光度計として日本電色工業社製の分光式変角色差計GC5000Lを用いて、ベタ画像への入射角−45°の入射光を入射し、受光角+30°における反射率Aと受光角−30°における反射率Bを測定する。尚、反射率Aおよび反射率Bは、400nmから700nmの範囲の波長の光について20nm間隔で測定を行い、各波長における反射率の平均値とした。これらの測定結果から比(A/B)が算出される。
本実施形態のトナーは、前述の比(A/B)を満たす観点から下記(1)乃至(2)の要件を満たすことが望ましい。
(1)トナーの平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長い
(2)トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、トナーの該断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の数が、観察される全顔料粒子のうち60%以上である
そのため、このトナー中に含有される鱗片状の顔料粒子のうち上記(2)に示される「トナーの該断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲にある」との要件を満たす顔料粒子は、面積が最大となる面側が記録媒体表面と相対するよう並ぶと考えられる。こうして形成された画像に対し光を照射した場合には、入射光に対して乱反射する顔料粒子の割合が抑制されるため、前述の比(A/B)の範囲が達成されるものと考えられる。また、入射光に対して乱反射する顔料粒子の割合が抑制されると、見る角度により反射光強度が大きく変化するため、より理想的な光輝性が得られる。
本実施形態においては、着色剤として光輝性金属顔料が用いられる。本実施形態に用いられる光輝性金属顔料は、シリカ、アルミナ及びチタニアからなる群より選択された少なくとも一種の金属酸化物により表面の被覆された顔料である。
金属酸化物を被覆される前の顔料としては、例えば、アルミニウム、黄銅、青銅、ニッケル、ステンレス、亜鉛などの金属粉末や、銅、銀、金、白金等が挙げられる。
本実施形態に用いられる結着樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のエチレン系樹脂;ポリスチレン、α−ポリメチルスチレン等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリアミド樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリエーテル樹脂およびこれらの共重合樹脂等が挙げられる。これらの中でも、定着画像の表面の平滑性が高く、さらなる光輝性が実現されるポリエステル樹脂を用いることが望ましい。
以下においては、特に望ましく用いられるポリエステル樹脂について説明する。
前記多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられ、これらの多価カルボン酸が1種または2種以上用いられる。
これら多価カルボン酸の中でも、芳香族カルボン酸を用いることが望ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが望ましい。
これら多価アルコールの中でも、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が望ましく、このうち芳香族ジオールがより望ましい。また、より良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造される。例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、モノマーの種類によって使い分けて製造する。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、高分子量化するためには通常1/1程度が望ましい。
本実施形態において用いられる離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂;ロジン類;ライスワックス;カルナバワックス;等が挙げられる。これらの離型剤の融解温度は、50℃以上100℃以下が望ましく、60℃以上95℃以下がより望ましい。
トナー中の離型剤の含有量は、0.5質量%以上15質量%以下が望ましく、1.0質量%以上12質量%以下がより望ましい。
本実施形態においては、上記した成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を用いてもよい。
・平均最大厚さCおよび平均円相当径D
前記(1)に示すとおり、本実施形態のトナーは、その平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長いことが望ましい。尚、平均最大厚さCと平均円相当径Dの比(C/D)が0.001以上0.500以下の範囲にあることがより望ましく、0.010以上0.200以下の範囲が更に望ましく、0.050以上0.100以下の範囲が特に望ましい。
比(C/D)が0.001以上であることにより、トナーの強度が確保され、画像形成の際における応力による破断が抑制され、顔料が露出することによる帯電の低下、その結果発生するカブリが抑制される。一方0.500以下であることにより、優れた光輝性が得られる。
トナーを平滑面にのせ、振動を掛けてムラのないように分散する。1000個のトナーについて、カラーレーザ顕微鏡「VK−9700」(キーエンス社製)により1000倍に拡大して最大の厚さCと上から見た面の円相当径Dを測定し、それらの算術平均値を求めることにより算出する。
前記(2)に示すとおり、トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、トナーの該断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の数が、観察される全顔料粒子のうち60%以上であることが望ましい。更には、上記数が70%以上95%以上であることがより望ましく、80%以上90%以下であることが特に望ましい。
上記の数が60%以上であることにより優れた光輝性が得られる。
トナーをビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬化剤を用いて包埋したのち、切削用サンプルを作製する。次にダイヤモンドナイフを用いた切削機(本実施形態においては、LEICAウルトラミクロトーム(日立テクノロジーズ社製)を使用)を用いて−100℃の下、切削サンプルを切削し、観察用サンプルを作製する。この観察サンプルを透過型電子顕微鏡(TEM)により倍率5000倍前後でトナー粒子の断面を観察する。観察された1000個のトナーについて、トナーの断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の数を、画像解析ソフトを用いて数えその割合を計算する。
本実施形態のトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して外添剤を添加することで作製してもよい。
トナー粒子の製造方法は特に限定されず、公知である混練・粉砕製法等の乾式法や、乳化凝集法、懸濁重合法、溶解懸濁法等の湿式法等によって作製される。
混練・粉砕製法は、着色剤を始めとする各材料を混合した後、ニーダー、押し出し機などを用いて上記材料を溶融混練して、得られた溶融混錬物を粗粉砕した後、ジェットミル等で粉砕し、風力分級機により、目的とする粒子径のトナー粒子を得る方法である。
これらの方法の中でも、トナー粒子の形状やトナー粒子の粒子径を制御しやすく、コアシェル構造などトナー粒子構造の制御範囲も広い乳化凝集法が望ましい。また、トナー粒子の形状やトナー粒子の粒子径を制御しやすく、顔料にトナー樹脂を均一に被覆できる観点から乳化凝集法が望ましい。
以下、乳化凝集法によるトナー粒子の製造方法について詳しく説明する。
樹脂粒子分散液の作製は一般的な重合法による樹脂粒子分散液作製、例えば乳化重合法や懸濁重合法、分散重合法などを用いる他にも、水系媒体と結着樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより乳化して行ってもよい。その際、加熱して樹脂成分の粘性を下げて粒子を形成してもよい。また分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用してもよい。さらに、樹脂が油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、該樹脂をそれらの溶剤に解かして水中に分散剤や高分子電解質と共に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液が作製される。
また、乳化工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
体積平均粒子径が100nm以上では、使用される結着樹脂の特性にも影響されるが、一般的に離型剤成分がトナー中に取り込まれやすくなる。また、500nm以下の場合には、トナー中の離型剤の分散状態が良好となる。
また、光輝性金属顔料と結着樹脂とを溶剤に分散・溶解して混合し、転相乳化やせん断乳化により水中へ分散することにより、結着樹脂で被覆された光輝性金属顔料の分散液を調製してもよい。
凝集工程においては、樹脂粒子の分散液、着色剤分散液、離型剤分散液等を混合して混合液とし、樹脂粒子のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成する。凝集粒子の形成は、攪拌下、混合液のpHを酸性にすることによってなされる場合が多い。前記撹拌条件により比(C/D)を好ましい範囲に調整される。より具体的には凝集粒子を形成する段階で撹拌を高速に、かつ加熱することによって比(C/D)を小さくすることができ、撹拌をより低速に、かつより低温で加熱することによって比(C/D)を大きくすることができる。なおpHとしては、2以上7以下の範囲が望ましく、この際、凝集剤を使用することも有効である。
また、凝集工程において、離型剤分散液は、樹脂粒子分散液等の各種分散液とともに一度に添加・混合してもよいし、複数回に分割して添加しても良い。
本実施形態においては、アルミニウムを含む4価の無機金属塩の重合体を用いることが、狭い粒度分布を得るためには望ましい。
融合工程においては、前記凝集工程に準じた攪拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを3以上9以下の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、前記樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。また、前記樹脂で被覆した場合には、該樹脂も融合しコア凝集粒子を被覆する。前記加熱の時間としては、融合がされる程度行えばよく、0.5時間以上10時間以下程度行えばよい。
融合工程において、より低温(例えば60℃以上80℃以下)で凝集粒子を融合させることで、材料の再配置に伴う移動を小さくし、顔料の配向性が保たれ、前記(2)の要件を満たすトナー粒子が得られる。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナー粒子とされる。
更に必要に応じ、超音波篩分機、振動篩分機、風力篩分機などを使って、トナーの粗大粒子を外添後取り除いてもよい。
滑剤としては、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩等が挙げられる。
研磨剤としては、例えば、前述のシリカ、アルミナ、酸化セリウムなどが挙げられる。
溶解懸濁法は、結着樹脂、着色剤、及び、必要に応じて用いられる離型剤等のその他の成分を含む材料を、前記結着樹脂が溶解可能な溶媒中に溶解又は分散させた液を、無機分散剤を含有する水媒体中で造粒した後、前記溶媒を除去することでトナー粒子を得る方法である。
溶解懸濁法に用いられるその他の成分としては、離型剤の他、内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分が挙げられる。
剪断機構を備えた装置としては各種の分散機があり、なかでもホモジナイザーが好ましい。ホモジナイザーを用いることで、互いには相溶しない物質(本実施形態では無機分散剤を含有する水媒体とトナー母液)をケーシングと回転するロータとの間隙を通過させることで、ある液体中にその液体とは相溶しない物質を粒子状に分散させられる。係るホモジナイザーとしてはTKホモミキサー、ラインフローホモミキサー、オートホモミキサー(以上、特殊機化工業株式会社製)、シルバーソンホモジナイザー(シルバーソン社製)、ポリトロンホモジナイザー(キネマチカ(KINEMATICA)AG社製)などがある。
溶解懸濁法により得られたトナー粒子には、乳化凝集法の場合と同様、帯電調整、流動性付与、電荷交換性付与等を目的として、シリカ、チタニア、酸化アルミに代表される無機酸化物等が外添剤として添加付着される。また、上述した無機酸化物等以外にも、帯電制御剤、有機粒体、滑剤、研磨剤などのその他の成分(粒子)を外添剤として添加させてもよい。
本実施形態のトナーは、そのまま一成分現像剤として用いてもよく、またキャリアと混合して二成分現像剤として用いてもよい。
図2は、本実施形態のトナーが適用された現像装置を含む画像形成装置の実施の形態を示す概略構成図である。
同図において、本実施形態の画像形成装置は、定められた方向に回転する像保持体としての感光体ドラム20を有し、この感光体ドラム20の周囲には、感光体ドラム20を帯電する帯電装置21と、この感光体ドラム20上に静電潜像Zを形成する潜像形成装置としての例えば露光装置22と、感光体ドラム20上に形成された静電潜像Zを可視像化する現像装置30と、感光体ドラム20上で可視像化されたトナー像を被転写体である記録紙28に転写する転写装置24と、感光体ドラム20上の残留トナーを清掃するクリーニング装置25とを順次配設したものである。
ここで、電荷注入ロール34の回転方向については選定して差し支えないが、トナーの供給性および電荷注入特性を考慮すると、電荷注入ロール34としては、現像ロール33との対向部にて同方向で且つ周速差(例えば1.5倍以上)をもって回転し、電荷注入ロール34と現像ロール33とに挟まれる領域にトナー40を挟み、摺擦しながら電荷を注入する態様が望ましい。
作像プロセスが開始されると、先ず、感光体ドラム20表面が帯電装置21により帯電され、露光装置22が帯電された感光体ドラム20上に静電潜像Zを書き込み、現像装置30が前記静電潜像Zをトナー像として可視像化する。しかる後、感光体ドラム20上のトナー像は転写部位へと搬送され、転写装置24が被転写体である記録紙28に感光体ドラム20上のトナー像を静電的に転写する。尚、感光体ドラム20上の残留トナーはクリーニング装置25にて清掃される。この後、不図示の定着装置によって記録紙28上のトナー像が定着され、画像が得られる。
図3は、本実施形態のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。本実施形態のプロセスカートリッジは、前述の本実施形態のトナーを収容すると共に、該トナーを保持して搬送するトナー保持体を備えることを特徴としている。
<結着樹脂の合成>
・アジピン酸ジメチル:74部
・テレフタル酸ジメチル:192部
・ビスフェノールAエチレンオキシド付加物:216部
・エチレングリコール:38部
・テトラブトキシチタネート(触媒):0.037部、
上記成分を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち攪拌しながら昇温した後、160℃で7時間共縮重合反応させ、その後、10Torrまで徐々に減圧しながら220℃まで昇温し4時間保持した。一旦常圧に戻し、無水トリメリット酸9部を加え、再度10Torrまで徐々に減圧し220℃で1時間保持することにより結着樹脂を合成した。
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、ASTMD3418−8に準拠して、示差走査熱量計(島津社製:DSC−50)を用い、室温(25℃)から150℃まで昇温速度10℃/分の条件下で測定することにより求めた。なお、ガラス転移温度は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とした。結着樹脂のガラス転移温度は63.5℃であった。
・結着樹脂:160部
・酢酸エチル:233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1部
上記成分を1000mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに90rpmで撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより樹脂粒子分散液(固形分濃度:30%)を得た。
・カルナウバワックス(東亜化成(株)製、RC−160 ):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1.0部
・イオン交換水:200部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で360分間の分散処理をして、離型剤粒子を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。
メタノール500部にアルミニウム顔料(昭和アルミニウム(株)品番2173、固形分65%)を154部(アルミ分として100部)を加え、60℃で1.5時間撹拌した。その後、スラリーにアンモニアを加えスラリーのpH値を8.0に調整した。次に、pH調整したスラリーにテトラエトキシシラン50部を加え、さらに60℃で5時間撹拌した。その後、スラリーをろ過し、得られた被覆されたアルミニウム顔料を含むスラリーを110℃で3時間乾燥し、シリカで被覆されたアルミニウム顔料を得た。
・シリカで被覆されたアルミニウム顔料:100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) :1.5部
・イオン交換水 :900部
以上を混合し、乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間分散して、光輝性顔料(アルミニウム顔料)を分散させてなる光輝性顔料分散液(固形分濃度:10%)を調製した。
・光輝性金属顔料分散液:400部
・樹脂粒子分散液:375部
・離型剤分散液:50部
上記成分を2Lの円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラララックスT50)により4000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
次に、樹脂粒子分散液:125部を追添加し、前記凝集粒子の表面に結着樹脂の樹脂粒子を付着させた。さらに56℃に昇温し、光学顕微鏡及びマルチサイザーIIで粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるためにpHを8.0に上げた後、67.5℃まで昇温させた。光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、67℃で保持したままpHを6.0まで下げ、1時間後に加熱を止め、1.0℃/分の降温速度で冷却した。その後40μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥してトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は12.2μmであった。
さらに、「比(A/B)」、「トナーの平均最大厚さCと平均円相当径Dの比(C/D)」、及び、「トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、観察される全顔料粒子のうち、トナーの該断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の数(以下単に「±30°範囲の顔料粒子の数」と称する)」を、前述の方法により測定した。結果を下記表1に示す。
・フェライト粒子(体積平均粒子径:35μm):100部
・トルエン:14部
・パーフルオロアクリレート共重合体(臨界表面張力:24dyn/cm):1.6部
・カーボンブラック(商品名:VXC-72、キャボット社製、体積抵抗率:100Ωcm以下):0.12部
・架橋メラミン樹脂粒子(平均粒子径:0.3μm、トルエン不溶):0.3部
前記トナー:36部と前記キャリア:414部とを、2リットルのVブレンダーに入れ、20分間撹拌し、その後212μmで篩分して現像剤を作製した。
以下の方法により評価画像を形成した。
試料となる現像剤を、富士ゼロックス(株)社製Docu Centre Color 400の現像器に充填し、気温40℃、湿度70%の環境にて24時間放置した。その後、記録紙(OKトップコート+紙、王子製紙(株)社製)上に、1cm×10cmのベタ画像(トナー載り量4.5g/m2)を作製し、定着温度190℃、定着圧力4.0kg/cm2、プロセススピード308mm/sにて、画像を連続10000枚形成した。
得られた10000枚目の画像の光輝性について下記基準に基づき目視で確認した。評価結果を表1に示す。
G3:僅かに光輝性が劣る。または僅かに黒ずみが確認できる。
G2:光輝性が劣る。または黒ずみが確認できるが、許容範囲である。
G1:光輝性が劣り、または黒ずみがあり、許容できない。
実施例1に記載のトナーの製造方法において、光輝性金属顔料分散液を200部、樹脂粒子分散液を425部、追添加する樹脂粒子分散液を141.7部に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1に記載のトナーの製造方法において、光輝性金属顔料分散液を800部、樹脂粒子分散液を275部、追添加する樹脂粒子分散液を91.7部に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1に記載のトナーの製造方法において、凝集粒子を成長させるときの攪拌回転数を700rpmにした以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1に記載のトナーの製造方法において、凝集粒子を成長させるときの攪拌回転数を1300rpmにした以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1に記載のトナーの製造方法において、凝集粒子を成長させるときの攪拌回転数を500rpmにした以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1に記載のトナーの製造方法において、凝集粒子を成長させるときの攪拌回転数を1700rpmにした以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
・結着樹脂:150部
・シリカで被覆されたアルミニウム顔料:40部
・カルナウバワックス(東亜化成(株)製、RC−160):10部
・酢酸エチル:200部
上記成分をボールミルで48時間分散した(この液をA液とした。)。一方炭酸カルシウム(平均粒径80nm)120部、水80部をボールミルで48時間分散後、炭酸カルシウム分散液14部とカルボキシメチルセルロース(商品名「セロゲンBS−H」:第一工業製薬社製)の2%水溶液200部を攪拌した(この液をB液とした)。次に乳化機(商品名「オートホモミキサー」:特殊機化工業社製)でB液100部を攪拌し、その中にA液400部をゆっくり投入して混合液を懸濁した。その後減圧下で攪拌回転数を1000rpmにして溶媒を除去し、次いで6N塩酸を200部加えて炭酸カルシウムを除去し、さらに水洗し、乾燥及び分級してトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は12.5μmであった。
このトナー粒子を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を得た。得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1に記載のトナーの製造方法において、光輝性金属顔料分散液を100部、樹脂粒子分散液を450部、追添加する樹脂粒子分散液を150部に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1に記載のトナーの製造方法において、光輝性金属顔料分散液を1600部、樹脂粒子分散液を75部、追添加する樹脂粒子分散液を25部に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
実施例1に記載のトナーの製造方法において、光輝性金属顔料分散液の調製におけるシリカで被覆されたアルミニウム顔料の代わりに樹脂で被覆されたアルミニウム顔料(昭和アルミニウム(株)品番2173EA)を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
比較例4においては、混練粉砕法によってトナーを作製した。
・結着樹脂:600部
・シリカで被覆されたアルミニウム顔料:240部
・カルナウバワックス(東亜化成(株)製、RC−160):60部
以上を計量した後、ボールミルなどの粉体混合機で均一に混合した。得られた混合物をスクリュー押出機(エクストルーダ)、ロールミル、ニーダなどで加熱溶融させ、さらに混練した。混練の完了後、得られた混練物を冷却し、固化させた。固化した混練物を先ず最初にハンマーミル、カッターミルなどの粗粉砕機で粗粉砕し、さらに続けて、ジェットミルなどの微粉砕機で微粉砕した。微粉砕の完了後、微小粒子及び粗大粒子を除去するため、エルボージェットなどにより得られた微粉砕粒子を分級した。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は13.2μmであった。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
4 顔料粒子
20 感光体ドラム
21 帯電装置
22 露光装置
24 転写装置
25 クリーニング装置
28 記録紙
30 現像装置
31 現像ハウジング
32 現像用開口
33 現像ロール
34 電荷注入ロール
40 トナー
107 感光体(像保持体)
108 帯電ローラ
111 現像装置(現像手段)
112 転写装置
113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
115 定着装置(定着手段)
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(被転写体)
Claims (6)
- シリカ、アルミナ及びチタニアからなる群より選択された少なくとも一種の金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料を含み、誘電損失率が10×10−3以上60×10−3以下である光輝性トナー。
- トナー厚さ方向のトナー断面を観察したときに、前記光輝性金属顔料の長軸方向の頂点からトナー表面までの最短距離の平均値が0.1μm以上1.0μm以下の範囲にある請求項1に記載の光輝性トナー。
- 請求項1又は請求項2に記載の光輝性トナーを少なくとも含む現像剤。
- 請求項1又は請求項2に記載の光輝性トナーを収容するトナーカートリッジ。
- 請求項1又は請求項2に記載の光輝性トナーを収容すると共に、前記光輝性トナーを保持して搬送するトナー保持体を備えるプロセスカートリッジ。
- 像保持体と、
前記像保持体表面を帯電する帯電装置と、
前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
前記静電潜像を請求項1又は請求項2に記載の光輝性トナーによりトナー像として現像する現像装置と、
前記像保持体表面に形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、
を有する画像形成装置。
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