JP2014038131A - 光輝性トナー、現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置 - Google Patents

光輝性トナー、現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた光輝性を有する画像を形成し得る光輝性トナーの提供。
【解決手段】シリカ、アルミナ及びチタニアからなる群より選択された少なくとも一種の金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料を含み、誘電損失率が10×10−3以上60×10−3以下である光輝性トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、光輝性トナー、現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、及び、画像形成装置に関する。
金属光沢のごとき輝きを有する画像を形成する目的から、光輝性のトナーが用いられている。
上記光輝性のトナーの例としては、例えば、体積抵抗が1010Ω・cm以上であり、金属光沢を持つトナー粒子よりなることを特徴とする再コピー不能文書作成用トナーが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、優れた光輝性を有する画像を形成し得るトナーを提供するため、ベタ画像を形成した場合に、該画像に対し変角光度計により入射角−45°の入射光を照射した際に測定される受光角+30°での反射率Aと受光角−30°での反射率Bとの比(A/B)が2以上100以下であるトナーが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平4−204853号公報 特開2012−32765号公報
本発明は、優れた光輝性を有する画像を形成し得る光輝性トナーを提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
即ち、請求項1に係る発明は、
シリカ、アルミナ及びチタニアからなる群より選択された少なくとも一種の金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料を含み、誘電損失率が10×10−3以上60×10−3以下である光輝性トナーである。
請求項2に係る発明は、
トナー厚さ方向のトナー断面を観察したときに、前記光輝性金属顔料の長軸方向の頂点からトナー表面までの最短距離の平均値が0.1μm以上1.0μm以下の範囲にある請求項1に記載の光輝性トナーである。
請求項3に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載の光輝性トナーを少なくとも含む現像剤である。
請求項4に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載の光輝性トナーを収容するトナーカートリッジである。
請求項5に係る発明は、
請求項1又は請求項2に記載の光輝性トナーを収容すると共に、前記光輝性トナーを保持して搬送するトナー保持体を備えるプロセスカートリッジである。
請求項6に係る発明は、
像保持体と、
前記像保持体表面を帯電する帯電装置と、
前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
前記静電潜像を請求項1又は請求項2に記載の光輝性トナーによりトナー像として現像する現像装置と、
前記像保持体表面に形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、
を有する画像形成装置である。
請求項1に係る発明によれば、特定の金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料を含まないか、又は、誘電損失率が10×10−3以上60×10−3以下の範囲外である場合に比較して、優れた光輝性を有する画像を形成し得る光輝性トナーが提供される。
請求項2に係る発明によれば、トナー厚さ方向のトナー断面を観察したときに、前記光輝性金属顔料の長軸方向の頂点からトナー表面までの最短距離の平均値が0.1μm以上1.0μm以下の範囲外である場合に比較して、優れた光輝性を有する画像を形成し得る光輝性トナーが提供される。
請求項3に係る発明によれば、特定の金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料を含まないか、又は、誘電損失率が10×10−3以上60×10−3以下の範囲外である場合に比較して、優れた光輝性を有する画像を形成し得る現像剤が提供される。
請求項4に係る発明によれば、特定の金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料を含まないか、又は、誘電損失率が10×10−3以上60×10−3以下の範囲外である場合に比較して、優れた光輝性を有する画像を形成し得る光輝性トナーを収容したトナーカートリッジが提供される。
請求項5に係る発明によれば、特定の金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料を含まないか、又は、誘電損失率が10×10−3以上60×10−3以下の範囲外である場合に比較して、優れた光輝性を有する画像を形成し得るプロセスカートリッジが提供される。
請求項6に係る発明によれば、特定の金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料を含まないか、又は、誘電損失率が10×10−3以上60×10−3以下の範囲外である場合に比較して、優れた光輝性を有する画像を形成し得る画像形成装置が提供される。
本実施形態のトナーの厚さ方向への断面図である。 本実施形態が適用された画像形成装置を示す概略構成図である。 本実施形態のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
以下、本発明の光輝性トナー、現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジおよび画像形成装置の実施形態について説明する。
<光輝性トナー>
本実施形態の光輝性トナー(以下、本実施形態のトナーと称することがある)は、シリカ、アルミナ及びチタニアからなる群より選択された少なくとも一種の金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料を含み、誘電損失率が10×10−3以上60×10−3以下としたトナーである。
なお、従来から用いられているカラートナーや黒トナーの誘電損失率は、約10×10−3以上60×10−3以下の範囲であり、本実施形態のトナーの誘電損失率は、光輝性金属顔料を含むにも関わらず従来から用いられているカラートナーや黒トナーの誘電損失率と同等としたものである。
本実施形態において「光輝性」とは、本実施形態のトナーによって形成された画像を視認した際に金属光沢のごとき輝きを有することを表す。
カラーの光輝性画像を出力する場合のように、金属の光輝性顔料を用いたシルバートナーの上にカラートナーを重ねる場合、多重のトナー層を一括転写するために高電圧下での転写が必要な場合がある。従来の金属性の光輝性顔料を含むトナーでは誘電損失率が高いため、ACバイアスの高電圧下においては電荷注入によりトナーの帯電量が低下し、その結果、転写効率の低下、光輝性の低下が問題となっていた。
本実施形態のトナーは、光輝性金属顔料を含むにも関わらず誘電損失率が10×10−3以上60×10−3以下の範囲とされる。その理由は明確ではないが、以下のように推察される。
金属は導電性を示すことから、光輝性金属顔料を着色剤として用いた光輝性トナーの表面に光輝性金属顔料が露出すると、トナーの帯電性に影響を与え、誘電損失率が従来から用いられているカラートナーや黒トナーの誘電損失率に比較して高くなる場合がある。本実施形態においては、着色剤として特定の金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料が用いられる。特定の金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料は特定の金属酸化物が導電性を示す金属粒子を均一に被覆し、また、金属酸化物表面は微小な凹凸を有し、その表面に結着樹脂が付着しやすいため、光輝性金属顔料のトナー表面への露出が抑制される。特に、扁平状の光輝性金属顔料のエッジ部の被覆性が改善される。その結果、誘電損失率が10×10−3以上60×10−3以下の範囲になるものと推察される。誘電損失率を10×10−3以上60×10−3以下の範囲とすることで、ACバイアスの高電圧下におけるトナーへの電荷注入が防止され、転写効率の低下、光輝性の低下が防止されるものと推察される。
本実施形態において、誘電損失率の測定は、トナーを直径50mm厚み3mmのディスク状となるように、98067KPa(1000Kgf/cm)で2分間加圧成形し、これを30℃相対湿度90%の雰囲気中に24時間放置し、その環境で誘電損失を測定した値である。
測定は、電極直径が38mmの固体用電極(安藤電気社製、SE−71形)にセットし誘電体測定システム ソーラトロン社製126096W型を用い、1000Hz、5.0Vの条件で測定した。
本実施形態のトナーは、トナー厚さ方向のトナー断面を観察したときに、前記光輝性金属顔料の長軸方向の頂点からトナー表面までの最短距離の平均値が0.1μm以上1.0μm以下の範囲にあることが望ましい。平均値が0.1μm以上1.0μm以下の範囲であれば光輝性金属顔料とトナー表面との間の距離が保たれることで電荷注入が生じにくく、誘電損失率が10×10−3以上60×10−3以下となりやすい。その結果、本実施形態のトナーを用いた場合に優れた光輝性を有する画像が形成されるものと推察される。
前記光輝性金属顔料の長軸方向の頂点からトナー表面までの最短距離の平均値は、0.2μm以上0.7μm以下の範囲にあることが更に望ましく、0.3μm以上0.6μm以下の範囲にあることが特に望ましい。
本実施形態における光輝性金属顔料の長軸方向の頂点からトナー表面までの距離を、図面に基づき説明する。図1は、本実施形態のトナーの厚さ方向への断面図である。図1に示すトナー2は、厚さLよりも円相当径が長い扁平状のトナーであり、鱗片状の顔料粒子4(光輝性金属顔料に相当)を含有している。
図1においては、顔料粒子4の長軸方向の頂点aからトナー2の表面までの距離Aが、本実施形態における光輝性金属顔料の長軸方向の頂点からトナー表面までの距離に相当する。距離Aの最小値(即ち、光輝性金属顔料の長軸方向の頂点からトナー表面までの最短距離)を各トナーについて測定し、1000個のトナーについての距離Aの最小値の平均値が0.1μm以上1.0μm以下の範囲にあることが望ましい。
なお、図1はトナー2中に一個の顔料粒子4が観察される態様を示すが、トナー2中に複数の顔料粒子4が存在していてもよい。トナー2中に複数の顔料粒子4が観察される場合の距離Aの最小値は、各顔料粒子4の長軸方向の頂点aからトナー2の表面までの距離Aのうちの最小値を意味する。
光輝性金属顔料の長軸方向の頂点からトナー表面までの距離は、具体的には、下記方法により測定される。
トナーをビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬化剤を用いて包埋したのち、切削用サンプルを作製する。次にダイヤモンドナイフを用いた切削機(本実施形態においては、LEICAウルトラミクロトーム(日立テクノロジーズ社製)を使用)を用いて−100℃の下、切削サンプルを切削し、観察用サンプルを作製する。この観察用サンプルについて透過型電子顕微鏡(TEM)により倍率5000倍前後でトナー厚さ方向のトナー断面を観察する。観察された1000個のトナーについて、光輝性金属顔料粒子の長軸方向の頂点からトナー表面までの最短距離を画像解析ソフトを用いて測定し、その平均値を計算する。
本実施形態のトナーは、ベタ画像を形成した場合に、該画像に対し変角光度計により入射角−45°の入射光を照射した際に測定される受光角+30°での反射率Aと受光角−30°での反射率Bとの比(A/B)が2以上100以下であることが望ましい。
比(A/B)が2以上であることは、入射光が入射する側(角度−側)への反射よりも入射する側とは反対側(角度+側)への反射が多いことを表し、即ち入射した光の乱反射が抑制されていることを表す。入射した光が様々な方向へ反射する乱反射が生じた場合、その反射光を目視にて確認すると色がくすんで見える。そのため、比(A/B)が2未満である場合、その反射光を視認しても光沢が確認できず光輝性に劣る場合がある。
一方、比(A/B)が100を超えると、反射光を視認し得る視野角が狭くなり過ぎ、正反射光成分が大きいために見る角度によって黒っぽく見えてしまう場合がある。また、比(A/B)が100を超えるトナーは、製造も困難である。
尚、上記比(A/B)は、50以上100以下であることがより望ましく、60以上90以下であることが更に望ましく、70以上80以下であることが特に望ましい。
・変角光度計による比(A/B)の測定
ここで、まず入射角および受光角について説明する。本実施形態において変角光度計による測定の際には、入射角を−45°とするが、これは光沢度の広い範囲の画像に対して測定感度が高いためである。
また、受光角を−30°および+30°とするのは、光輝感のある画像と光輝感のない画像を評価するのに最も測定感度が高いためである。
次いで、比(A/B)の測定方法について説明する。
本実施形態においては、比(A/B)を測定するに際し、まず「ベタ画像」を以下の方法により形成する。試料となる現像剤を、富士ゼロックス(株)社製DocuCentre−III C7600の現像器に充填し、記録紙(OKトップコート+紙、王子製紙(株)社製)上に、定着温度190℃、定着圧力4.0kg/cmにて、トナー載り量が4.5g/cmのベタ画像を形成する。尚、前記「ベタ画像」とは印字率100%の画像を指す。
形成したベタ画像の画像部に対し、変角光度計として日本電色工業社製の分光式変角色差計GC5000Lを用いて、ベタ画像への入射角−45°の入射光を入射し、受光角+30°における反射率Aと受光角−30°における反射率Bを測定する。尚、反射率Aおよび反射率Bは、400nmから700nmの範囲の波長の光について20nm間隔で測定を行い、各波長における反射率の平均値とした。これらの測定結果から比(A/B)が算出される。
<トナーの構成>
本実施形態のトナーは、前述の比(A/B)を満たす観点から下記(1)乃至(2)の要件を満たすことが望ましい。
(1)トナーの平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長い
(2)トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、トナーの該断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の数が、観察される全顔料粒子のうち60%以上である
上記(1)乃至(2)の要件を満たすトナーとしては、例えば、図1に示すトナー2が挙げられる。
図1に示すごとく、トナー2が厚さLよりも円相当径が長い扁平状であると、画像形成の現像工程や転写工程において、トナーが像保持体や中間転写体、記録媒体等に移動する際、このトナーの電荷を最大限打ち消すように移動する傾向にあるため、付着する面積が最大となるようトナーが並ぶと考えられる。即ち、最終的にトナーが転写される記録媒体上において、扁平状のトナーはその扁平な面側が記録媒体表面と相対するよう並ぶと考えられる。また画像形成の定着工程においても、定着する際の圧力によって、扁平状のトナーはその扁平な面側が記録媒体表面と相対するよう並ぶと考えられる。
そのため、このトナー中に含有される鱗片状の顔料粒子のうち上記(2)に示される「トナーの該断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲にある」との要件を満たす顔料粒子は、面積が最大となる面側が記録媒体表面と相対するよう並ぶと考えられる。こうして形成された画像に対し光を照射した場合には、入射光に対して乱反射する顔料粒子の割合が抑制されるため、前述の比(A/B)の範囲が達成されるものと考えられる。また、入射光に対して乱反射する顔料粒子の割合が抑制されると、見る角度により反射光強度が大きく変化するため、より理想的な光輝性が得られる。
次いで、本実施形態のトナーを構成する成分について説明する。
−光輝性金属顔料−
本実施形態においては、着色剤として光輝性金属顔料が用いられる。本実施形態に用いられる光輝性金属顔料は、シリカ、アルミナ及びチタニアからなる群より選択された少なくとも一種の金属酸化物により表面の被覆された顔料である。
金属酸化物を被覆される前の顔料としては、例えば、アルミニウム、黄銅、青銅、ニッケル、ステンレス、亜鉛などの金属粉末や、銅、銀、金、白金等が挙げられる。
金属酸化物による表面の被覆方法としては、例えば、ゾルゲル法により光輝性金属顔料の表面に金属酸化物の被覆層を形成する方法、金属水酸化物を光輝性金属顔料の表面に析出させ、低温で結晶化させて金属酸化物の被覆層を形成する方法等が挙げられる。
本実施形態のトナーにおける、前記光輝性金属顔料の含有量としては、後述の結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上70質量部以下が望ましく、5質量部以上50質量部以下がより望ましい。
−結着樹脂−
本実施形態に用いられる結着樹脂としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のエチレン系樹脂;ポリスチレン、α−ポリメチルスチレン等のスチレン系樹脂;ポリメチルメタアクリレート、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル系樹脂;ポリアミド樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリエーテル樹脂およびこれらの共重合樹脂等が挙げられる。これらの中でも、定着画像の表面の平滑性が高く、さらなる光輝性が実現されるポリエステル樹脂を用いることが望ましい。
以下においては、特に望ましく用いられるポリエステル樹脂について説明する。
本実施形態のポリエステル樹脂とは、例えば、主として多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるものである。
前記多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマール酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類が挙げられ、これらの多価カルボン酸が1種または2種以上用いられる。
これら多価カルボン酸の中でも、芳香族カルボン酸を用いることが望ましく、また良好なる定着性を確保するために架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが望ましい。
前記多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールの1種または2種以上が用いられる。
これら多価アルコールの中でも、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が望ましく、このうち芳香族ジオールがより望ましい。また、より良好なる定着性を確保するため、架橋構造あるいは分岐構造をとるためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
(ポリエステル樹脂の製造方法)
ポリエステル樹脂の製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造される。例えば、直接重縮合、エステル交換法等を、モノマーの種類によって使い分けて製造する。前記酸成分とアルコール成分とを反応させる際のモル比(酸成分/アルコール成分)としては、反応条件等によっても異なるため、一概には言えないが、高分子量化するためには通常1/1程度が望ましい。
ポリエステル樹脂の製造の際に使用し得る触媒としては、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属化合物;マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属化合物;亜鉛、マンガン、アンチモン、チタン、スズ、ジルコニウム、ゲルマニウム等の金属化合物;亜リン酸化合物;リン酸化合物;およびアミン化合物等が挙げられる。
−離型剤−
本実施形態において用いられる離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂;ロジン類;ライスワックス;カルナバワックス;等が挙げられる。これらの離型剤の融解温度は、50℃以上100℃以下が望ましく、60℃以上95℃以下がより望ましい。
トナー中の離型剤の含有量は、0.5質量%以上15質量%以下が望ましく、1.0質量%以上12質量%以下がより望ましい。
−その他の添加剤−
本実施形態においては、上記した成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を用いてもよい。
帯電制御剤としては、例えば4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミ、鉄、クロムなどの錯体を含む染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
無機粒子としては、例えば、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、あるいはこれらの表面を疎水化処理した物等、公知の無機粒子を単独または2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中でも、屈折率が前記結着樹脂よりも小さいシリカ粒子が望ましく用いられる。また、シリカ粒子は種々の表面処理を施されてもよく、例えばシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したものが望ましく用いられる。
−トナーの特性−
・平均最大厚さCおよび平均円相当径D
前記(1)に示すとおり、本実施形態のトナーは、その平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長いことが望ましい。尚、平均最大厚さCと平均円相当径Dの比(C/D)が0.001以上0.500以下の範囲にあることがより望ましく、0.010以上0.200以下の範囲が更に望ましく、0.050以上0.100以下の範囲が特に望ましい。
比(C/D)が0.001以上であることにより、トナーの強度が確保され、画像形成の際における応力による破断が抑制され、顔料が露出することによる帯電の低下、その結果発生するカブリが抑制される。一方0.500以下であることにより、優れた光輝性が得られる。
上記平均最大厚さCおよび平均円相当径Dは、以下の方法により測定される。
トナーを平滑面にのせ、振動を掛けてムラのないように分散する。1000個のトナーについて、カラーレーザ顕微鏡「VK−9700」(キーエンス社製)により1000倍に拡大して最大の厚さCと上から見た面の円相当径Dを測定し、それらの算術平均値を求めることにより算出する。
・トナーの断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度
前記(2)に示すとおり、トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、トナーの該断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の数が、観察される全顔料粒子のうち60%以上であることが望ましい。更には、上記数が70%以上95%以上であることがより望ましく、80%以上90%以下であることが特に望ましい。
上記の数が60%以上であることにより優れた光輝性が得られる。
ここで、トナー断面の観察方法について説明する。
トナーをビスフェノールA型液状エポキシ樹脂と硬化剤を用いて包埋したのち、切削用サンプルを作製する。次にダイヤモンドナイフを用いた切削機(本実施形態においては、LEICAウルトラミクロトーム(日立テクノロジーズ社製)を使用)を用いて−100℃の下、切削サンプルを切削し、観察用サンプルを作製する。この観察サンプルを透過型電子顕微鏡(TEM)により倍率5000倍前後でトナー粒子の断面を観察する。観察された1000個のトナーについて、トナーの断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の数を、画像解析ソフトを用いて数えその割合を計算する。
尚、「トナーの断面における長軸方向」とは、前述の平均最大厚さCよりも平均円相当径Dが長いトナーにおける厚さ方向と直行する方向を表し、また「顔料粒子の長軸方向」とは、顔料粒子における長さ方向を表す。
また、本実施形態のトナーの体積平均粒子径は1μm以上30μm以下であることが望ましく、より望ましくは3μm以上20μm以下であり、さらに望ましくは5μm以上10μm以下である。
なお、上記体積平均粒子径D50vは、マルチサイザーII(コールター社製)等の測定器で測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒子径を体積D16v、数D16p、累積50%となる粒子径を体積D50v、数D50p、累積84%となる粒子径を体積D84v、数D84pと定義する。これらを用いて、体積平均粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v1/2として算出される。
<トナーの製造方法>
本実施形態のトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して外添剤を添加することで作製してもよい。
トナー粒子の製造方法は特に限定されず、公知である混練・粉砕製法等の乾式法や、乳化凝集法、懸濁重合法、溶解懸濁法等の湿式法等によって作製される。
混練・粉砕製法は、着色剤を始めとする各材料を混合した後、ニーダー、押し出し機などを用いて上記材料を溶融混練して、得られた溶融混錬物を粗粉砕した後、ジェットミル等で粉砕し、風力分級機により、目的とする粒子径のトナー粒子を得る方法である。
これらの方法の中でも、トナー粒子の形状やトナー粒子の粒子径を制御しやすく、コアシェル構造などトナー粒子構造の制御範囲も広い乳化凝集法が望ましい。また、トナー粒子の形状やトナー粒子の粒子径を制御しやすく、顔料にトナー樹脂を均一に被覆できる観点から乳化凝集法が望ましい。
以下、乳化凝集法によるトナー粒子の製造方法について詳しく説明する。
本実施形態の乳化凝集法はトナー粒子を構成する原料を乳化して樹脂粒子(乳化粒子)等を形成する乳化工程と、該樹脂粒子の凝集体を形成する凝集工程と、凝集体を融合させる融合工程とを有する。
(乳化工程)
樹脂粒子分散液の作製は一般的な重合法による樹脂粒子分散液作製、例えば乳化重合法や懸濁重合法、分散重合法などを用いる他にも、水系媒体と結着樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより乳化して行ってもよい。その際、加熱して樹脂成分の粘性を下げて粒子を形成してもよい。また分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用してもよい。さらに、樹脂が油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、該樹脂をそれらの溶剤に解かして水中に分散剤や高分子電解質と共に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液が作製される。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類;などが挙げられるが、水であることが望ましい。
また、乳化工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
前記乳化液の作製に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。樹脂粒子の大きさとしては、その平均粒子径(体積平均粒子径)は1.0μm以下が望ましく、60nm以上300nm以下の範囲であることがより望ましく、さらに望ましくは150nm以上250nm以下の範囲である。60nm以上では、樹脂粒子が分散液中で不安定な粒子となりやすいため、該樹脂粒子の凝集が容易となる場合がある。また1.0μm以下であると、トナーの粒子径分布が狭くなる場合がある。
離型剤分散液の調製に際しては、離型剤を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と共に分散した後、離型剤の融解温度以上の温度に加熱すると共に、強いせん断力が付与されるホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて分散処理する。このような処理を経ることにより、離型剤分散液が得られる。分散処理の際、ポリ塩化アルミニウム等の無機化合物を分散液に添加してもよい。望ましい無機化合物としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、高塩基性ポリ塩化アルミニウム(BAC)、ポリ水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等が望ましい。上記離型剤分散液は乳化凝集法に用いられるが、トナーを懸濁重合法により製造する際にも上記離型剤分散液を用いてもよい。
分散処理により、体積平均粒子径が1μm以下の離型剤粒子を含む離型剤分散液が得られる。なお、より望ましい離型剤粒子の体積平均粒子径は、100nm以上500nm以下である。
体積平均粒子径が100nm以上では、使用される結着樹脂の特性にも影響されるが、一般的に離型剤成分がトナー中に取り込まれやすくなる。また、500nm以下の場合には、トナー中の離型剤の分散状態が良好となる。
着色剤(光輝性金属顔料)分散液の調製は、公知の分散方法が利用でき、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル、アルティマイザーなどの一般的な分散手段を採用することができ、なんら制限されるものではない。着色剤は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と共に分散される。分散させた着色剤粒子の体積平均粒子径は20μm以下であればよいが、3μm以上16μm以下の範囲であれば、凝集性を損なうことなく且つトナー中の着色剤の分散が良好で望ましい。
また、光輝性金属顔料と結着樹脂とを溶剤に分散・溶解して混合し、転相乳化やせん断乳化により水中へ分散することにより、結着樹脂で被覆された光輝性金属顔料の分散液を調製してもよい。
(凝集工程)
凝集工程においては、樹脂粒子の分散液、着色剤分散液、離型剤分散液等を混合して混合液とし、樹脂粒子のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成する。凝集粒子の形成は、攪拌下、混合液のpHを酸性にすることによってなされる場合が多い。前記撹拌条件により比(C/D)を好ましい範囲に調整される。より具体的には凝集粒子を形成する段階で撹拌を高速に、かつ加熱することによって比(C/D)を小さくすることができ、撹拌をより低速に、かつより低温で加熱することによって比(C/D)を大きくすることができる。なおpHとしては、2以上7以下の範囲が望ましく、この際、凝集剤を使用することも有効である。
また、凝集工程において、離型剤分散液は、樹脂粒子分散液等の各種分散液とともに一度に添加・混合してもよいし、複数回に分割して添加しても良い。
凝集工程において、例えば2枚パドルを有した層流を形成する攪拌翼を使用し、攪拌速度を高速度にして(例えば500rpm以上1500rpm以下)攪拌することで、光輝性金属顔料が凝集粒子中で長軸方向の向きを揃え、且つ、凝集粒子も長軸方向に向かって凝集し、トナーの厚さが小さくなる(即ち前記(1)の要件を満たす)。
凝集剤としては、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体が好適に用いられる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に望ましい。
前記無機金属塩としては、特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。より狭い粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
本実施形態においては、アルミニウムを含む4価の無機金属塩の重合体を用いることが、狭い粒度分布を得るためには望ましい。
また、前記凝集粒子が所望の粒子径になったところで樹脂粒子分散液を追添加することで(被覆工程)、コア凝集粒子の表面を樹脂で被覆した構成のトナーを作製しても良い。この場合、離型剤や着色剤がトナー表面に露出しにくくなるため、帯電性や現像性の観点で望ましい構成である。追添加する場合、追添加前に凝集剤を添加したり、pH調整を行ってもよい。
(融合工程)
融合工程においては、前記凝集工程に準じた攪拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを3以上9以下の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、前記樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。また、前記樹脂で被覆した場合には、該樹脂も融合しコア凝集粒子を被覆する。前記加熱の時間としては、融合がされる程度行えばよく、0.5時間以上10時間以下程度行えばよい。
融合工程において、より低温(例えば60℃以上80℃以下)で凝集粒子を融合させることで、材料の再配置に伴う移動を小さくし、顔料の配向性が保たれ、前記(2)の要件を満たすトナー粒子が得られる。
融合後に冷却し、融合粒子を得る。また冷却の工程で、樹脂のガラス転移温度近傍(ガラス転移温度±10℃の範囲)で冷却速度を落とす、いわゆる徐冷をすることで結晶化を促進してもよい。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナー粒子とされる。
得られたトナー粒子には、帯電調整、流動性付与、電荷交換性付与等を目的として、シリカ、チタニア、酸化アルミに代表される無機酸化物等が外添剤として添加付着される。これらは、例えばV型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等によって行うことができ、段階を分けて付着させてもよい。外添剤の添加量は、トナー粒子100部に対して、0.1部以上5部以下の範囲が望ましく、0.3部以上2部以下の範囲がより望ましい。
更に必要に応じ、超音波篩分機、振動篩分機、風力篩分機などを使って、トナーの粗大粒子を外添後取り除いてもよい。
また、上述した無機酸化物等以外にも、帯電制御剤、有機粒体、滑剤、研磨剤などのその他の成分(粒子)を外添剤として添加させてもよい。
帯電制御剤としては、特に制限はないが、無色または淡色のものが望ましく使用される。例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
有機粒体としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される粒子が挙げられる。なお、これらの無機粒体や有機粒体は、流動性助剤、クリーニング助剤等として使用される。
滑剤としては、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩等が挙げられる。
研磨剤としては、例えば、前述のシリカ、アルミナ、酸化セリウムなどが挙げられる。
次いで、溶解懸濁法によるトナー粒子の製造方法について詳しく説明する。
溶解懸濁法は、結着樹脂、着色剤、及び、必要に応じて用いられる離型剤等のその他の成分を含む材料を、前記結着樹脂が溶解可能な溶媒中に溶解又は分散させた液を、無機分散剤を含有する水媒体中で造粒した後、前記溶媒を除去することでトナー粒子を得る方法である。
溶解懸濁法に用いられるその他の成分としては、離型剤の他、内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分が挙げられる。
本実施形態において、これらの結着樹脂、着色剤、及び、必要に応じて用いられるその他の成分は、結着樹脂が溶解可能な溶媒中に溶解または分散される。結着樹脂が溶解可能か否かは、結着樹脂の構成成分、分子鎖長、三次元化の度合いなどに依存するので一概に言い切れないが、一般的にはトルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、ジクロロエチレン等のハロゲン化炭化水素、エタノール、ブタノール、ベンジルアルコールエチルエーテル、ベンジルアルコールイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等のアルコールまたはエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル等のエステル、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、ジメチルオキシド、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等のケトンまたはアセタールなどが使用される。
これらの溶媒は結着樹脂を溶解するものであり、着色剤及びその他の成分を溶解する必要はない。着色剤及びその他の成分は結着樹脂溶液中に分散できればよい。溶媒の使用量には制限がないが、水媒体中に造粒できる粘度であればよい。結着樹脂、着色剤及びその他の成分を含む材料(前者)と溶媒(後者)との比で、10/90乃至50/50(前者/後者の質量比)が造粒し易さ及び最終的なトナー粒子の収率の点で好ましい。
溶媒中に溶解または分散された結着樹脂、着色剤及びその他の成分の液(トナー母液)は無機分散剤を含有する水媒体中で予め定められた粒径になるように造粒される。水媒体は、主に水が用いられる。水媒体とトナー母液の混合比は、水媒体/母液=90/10乃至50/50(質量比)が好ましい。無機分散剤としてはリン酸三カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、酸化チタン及びシリカ粉末から選択されるものが好ましい。無機分散剤の使用量は造粒される粒子の粒子径に応じて決定されるが、一般的にはトナー母液に対して0.1質量%以上15質量%以下の範囲で用いられるのが好ましい。0.1質量%未満では造粒が良好に行われにくいことがあり、15質量%を超えて使用すると不必要な微細粒子が発生して目的の粒子が高収率で得られにくいことがある。
無機分散剤を含有する水媒体中でトナー母液を良好に造粒するために、水媒体中に助剤を加えてもよい。かかる助剤としては公知の陽イオンタイプ、陰イオンタイプ及びノニオンタイプの界面活性剤があり、特に陰イオンタイプのものが好ましい。例えば、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、α−オレフィンスルフォン酸ナトリウム、アルキルスルフォン酸ナトリウム等があり、これらはトナー母液に対して1×10-4質量%以上0.1質量%以下の範囲で用いられるのが好ましい。
無機分散剤を含有する水媒体中でのトナー母液の造粒は剪断下で行われるのが好ましい。水媒体中に分散されるトナー母液は望ましくは平均粒子径が20μm以下に造粒される。特に3μm以上15μm以下が好ましい。
剪断機構を備えた装置としては各種の分散機があり、なかでもホモジナイザーが好ましい。ホモジナイザーを用いることで、互いには相溶しない物質(本実施形態では無機分散剤を含有する水媒体とトナー母液)をケーシングと回転するロータとの間隙を通過させることで、ある液体中にその液体とは相溶しない物質を粒子状に分散させられる。係るホモジナイザーとしてはTKホモミキサー、ラインフローホモミキサー、オートホモミキサー(以上、特殊機化工業株式会社製)、シルバーソンホモジナイザー(シルバーソン社製)、ポリトロンホモジナイザー(キネマチカ(KINEMATICA)AG社製)などがある。
ホモジナイザーを用いた撹拌条件は、ロータの羽根の周速で2m/秒以上が好ましい。これ未満では粒子化が不十分となる傾向にある。本実施形態では無機分散剤を含有する水媒体中でトナー母液を造粒した後に溶媒を取り除く。溶媒の除去は常温(25℃)、常圧で行ってもよいが、除去までに長い時間を要するため、溶媒の沸点より低く、かつ沸点との差が80℃以下の範囲の温度条件で行うのが好ましい。圧力は常圧でも減圧でもよいが、減圧する際は20mmHg以上150mmHg以下で行うのが好ましい。
本実施形態のトナーは溶媒除去後に、塩酸等で洗浄するのが好ましい。これによりトナー粒子表面に残存する無機分散剤を除去して、トナー粒子本来の組成にして特性を向上させることができる。ついで、脱水、乾燥すれば粉体のトナー粒子を得ることができる。
溶解懸濁法により得られたトナー粒子には、乳化凝集法の場合と同様、帯電調整、流動性付与、電荷交換性付与等を目的として、シリカ、チタニア、酸化アルミに代表される無機酸化物等が外添剤として添加付着される。また、上述した無機酸化物等以外にも、帯電制御剤、有機粒体、滑剤、研磨剤などのその他の成分(粒子)を外添剤として添加させてもよい。
<現像剤>
本実施形態のトナーは、そのまま一成分現像剤として用いてもよく、またキャリアと混合して二成分現像剤として用いてもよい。
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが用いられる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等が挙げられる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合からなるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
導電材料としては、金、銀、銅といった金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが望ましい。キャリアの芯材の体積平均粒子径としては、一般的には10μm以上500μm以下の範囲にあり、望ましくは30μm以上100μm以下の範囲にある。
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
前記二成分現像剤における本実施形態のトナーと上記キャリアとの混合比(質量比)としては、トナー:キャリア=1:100以上30:100以下の範囲が望ましく、3:100以上20:100以下の範囲がより望ましい。
<画像形成装置>
図2は、本実施形態のトナーが適用された現像装置を含む画像形成装置の実施の形態を示す概略構成図である。
同図において、本実施形態の画像形成装置は、定められた方向に回転する像保持体としての感光体ドラム20を有し、この感光体ドラム20の周囲には、感光体ドラム20を帯電する帯電装置21と、この感光体ドラム20上に静電潜像Zを形成する潜像形成装置としての例えば露光装置22と、感光体ドラム20上に形成された静電潜像Zを可視像化する現像装置30と、感光体ドラム20上で可視像化されたトナー像を被転写体である記録紙28に転写する転写装置24と、感光体ドラム20上の残留トナーを清掃するクリーニング装置25とを順次配設したものである。
本実施形態において、現像装置30は、図2に示すように、トナー40を含む現像剤Gが収容される現像ハウジング31を有し、この現像ハウジング31には感光体ドラム20に対向して現像用開口32を開設すると共に、この現像用開口32に面してトナー保持体としての現像ロール(現像電極)33を配設し、この現像ロール33に定められた現像バイアスを印加することで、感光体ドラム20と現像ロール33とに挟まれる領域(現像領域)に現像電界を形成する。更に、現像ハウジング31内には前記現像ロール33と対向して電荷注入部材としての電荷注入ロール(注入電極)34を設けたものである。特に、本実施の形態では、電荷注入ロール34は現像ロール33にトナー40を供給するためのトナー供給ロールをも兼用したものになっている。
ここで、電荷注入ロール34の回転方向については選定して差し支えないが、トナーの供給性および電荷注入特性を考慮すると、電荷注入ロール34としては、現像ロール33との対向部にて同方向で且つ周速差(例えば1.5倍以上)をもって回転し、電荷注入ロール34と現像ロール33とに挟まれる領域にトナー40を挟み、摺擦しながら電荷を注入する態様が望ましい。
次に、実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
作像プロセスが開始されると、先ず、感光体ドラム20表面が帯電装置21により帯電され、露光装置22が帯電された感光体ドラム20上に静電潜像Zを書き込み、現像装置30が前記静電潜像Zをトナー像として可視像化する。しかる後、感光体ドラム20上のトナー像は転写部位へと搬送され、転写装置24が被転写体である記録紙28に感光体ドラム20上のトナー像を静電的に転写する。尚、感光体ドラム20上の残留トナーはクリーニング装置25にて清掃される。この後、不図示の定着装置によって記録紙28上のトナー像が定着され、画像が得られる。
<プロセスカートリッジ、トナーカートリッジ>
図3は、本実施形態のプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。本実施形態のプロセスカートリッジは、前述の本実施形態のトナーを収容すると共に、該トナーを保持して搬送するトナー保持体を備えることを特徴としている。
図3に示すプロセスカートリッジ200は、像保持体としての感光体107とともに、帯電ローラ108、前述の本実施形態のトナーを収容する現像装置111、感光体クリーニング装置113、露光のための開口部118、および除電露光のための開口部117を取り付けレール116を用いて組み合わせ一体化したものである。このプロセスカートリッジ200は、転写装置112と、定着装置115と、図示しない他の構成部分とから構成される画像形成装置本体に対して着脱自在としたものであり、画像形成装置本体とともに画像形成装置を構成するものである。なお、図3において符号300は被転写体を示す。
図3で示すプロセスカートリッジ200では、感光体107、帯電装置108、現像装置111、クリーニング装置113、露光のための開口部118、および、除電露光のための開口部117を備えているが、これら装置は選択的に組み合わせてもよい。本実施形態のプロセスカートリッジでは、現像装置111のほかには、感光体107、帯電装置108、クリーニング装置(クリーニング手段)113、露光のための開口部118、および、除電露光のための開口部117から構成される群から選択される少なくとも1種を備える。
次に、本実施形態のトナーカートリッジについて説明する。本実施形態のトナーカートリッジは、画像形成装置に着脱自在に装着され、少なくとも、前記画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するためのトナーを収めるトナーカートリッジにおいて、前記トナーが既述した本実施形態のトナーであることを特徴とする。なお、本実施形態のトナーカートリッジには少なくともトナーが収容されればよく、画像形成装置の機構によっては、例えば現像剤が収められてもよい。
なお、図2に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ(図示せず)の着脱が自在な構成を有する画像形成装置であり、現像装置30はトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジを交換してもよい。
以下、実施例および比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」および「%」は質量基準である。
[実施例1]
<結着樹脂の合成>
・アジピン酸ジメチル:74部
・テレフタル酸ジメチル:192部
・ビスフェノールAエチレンオキシド付加物:216部
・エチレングリコール:38部
・テトラブトキシチタネート(触媒):0.037部、
上記成分を加熱乾燥した二口フラスコに入れ、容器内に窒素ガスを導入して不活性雰囲気に保ち攪拌しながら昇温した後、160℃で7時間共縮重合反応させ、その後、10Torrまで徐々に減圧しながら220℃まで昇温し4時間保持した。一旦常圧に戻し、無水トリメリット酸9部を加え、再度10Torrまで徐々に減圧し220℃で1時間保持することにより結着樹脂を合成した。
結着樹脂のガラス転移温度(Tg)は、ASTMD3418−8に準拠して、示差走査熱量計(島津社製:DSC−50)を用い、室温(25℃)から150℃まで昇温速度10℃/分の条件下で測定することにより求めた。なお、ガラス転移温度は吸熱部におけるベースラインと立ち上がりラインとの延長線の交点の温度とした。結着樹脂のガラス転移温度は63.5℃であった。
<樹脂粒子分散液の調製>
・結着樹脂:160部
・酢酸エチル:233部
・水酸化ナトリウム水溶液(0.3N):0.1部
上記成分を1000mlのセパラブルフラスコに入れ、70℃で加熱し、スリーワンモーター(新東科学(株)製)により撹拌して樹脂混合液を調製した。この樹脂混合液をさらに90rpmで撹拌しながら、徐々にイオン交換水373部を加え、転相乳化させ、脱溶剤することにより樹脂粒子分散液(固形分濃度:30%)を得た。
<離型剤分散液の調製>
・カルナウバワックス(東亜化成(株)製、RC−160 ):50部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1.0部
・イオン交換水:200部
以上を混合して95℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザ(ゴーリン社)で360分間の分散処理をして、離型剤粒子を分散させてなる離型剤分散液(固形分濃度:20%)を調製した。
<金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料(シリカで被覆されたアルミニウム顔料)の作製>
メタノール500部にアルミニウム顔料(昭和アルミニウム(株)品番2173、固形分65%)を154部(アルミ分として100部)を加え、60℃で1.5時間撹拌した。その後、スラリーにアンモニアを加えスラリーのpH値を8.0に調整した。次に、pH調整したスラリーにテトラエトキシシラン50部を加え、さらに60℃で5時間撹拌した。その後、スラリーをろ過し、得られた被覆されたアルミニウム顔料を含むスラリーを110℃で3時間乾燥し、シリカで被覆されたアルミニウム顔料を得た。
<光輝性金属顔料分散液の調製>
・シリカで被覆されたアルミニウム顔料:100部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) :1.5部
・イオン交換水 :900部
以上を混合し、乳化分散機キャビトロン(太平洋機工(株)製、CR1010)を用いて1時間分散して、光輝性顔料(アルミニウム顔料)を分散させてなる光輝性顔料分散液(固形分濃度:10%)を調製した。
<トナーの作製>
・光輝性金属顔料分散液:400部
・樹脂粒子分散液:375部
・離型剤分散液:50部
上記成分を2Lの円筒ステンレス容器に入れ、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラララックスT50)により4000rpmでせん断力を加えながら10分間分散して混合した。次いで、凝集剤としてポリ塩化アルミニウムの10%硝酸水溶液1.75部を徐々に滴下して、ホモジナイザーの回転数を5000rpmにして15分間分散して混合し、原料分散液とした。
その後、層流を形成するための2枚パドルの攪拌翼を用いた攪拌装置、および温度計を備えた重合釜に原料分散液を移し、攪拌回転数を1000rpmにしてマントルヒーターにて加熱し始め、54℃にて凝集粒子の成長を促進させた。またこの際、0.3Nの硝酸や1Nの水酸化ナトリウム水溶液で原料分散液のpHを2.2乃至3.5の範囲に制御した。上記pH範囲で2時間ほど保持し、凝集粒子を形成した。この際、マルチサイザーII(アパーチャー径:50μm、コールター社製)を用いて測定した凝集粒子の体積平均粒子径は10.4μmであった。
次に、樹脂粒子分散液:125部を追添加し、前記凝集粒子の表面に結着樹脂の樹脂粒子を付着させた。さらに56℃に昇温し、光学顕微鏡及びマルチサイザーIIで粒子の大きさ及び形態を確認しながら凝集粒子を整えた。その後、凝集粒子を融合させるためにpHを8.0に上げた後、67.5℃まで昇温させた。光学顕微鏡で凝集粒子が融合したのを確認した後、67℃で保持したままpHを6.0まで下げ、1時間後に加熱を止め、1.0℃/分の降温速度で冷却した。その後40μmメッシュで篩分し、水洗を繰り返した後、真空乾燥機で乾燥してトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は12.2μmであった。
トナー粒子100部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)を1.5部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル社製、T805)を1.0部とを、サンプルミルを用いて10000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナーを作製した。
トナーの体積平均粒子径は12.2μmであった。トナーの誘電損失率は29×10−3であった。また、トナー厚さ方向のトナー断面を観察したときにおける、光輝性金属顔料(シリカで被覆されたアルミニウム顔料)の長軸方向の頂点からトナー表面までの最短距離の平均値(最短距離の平均値)は0.42μmであった。
さらに、「比(A/B)」、「トナーの平均最大厚さCと平均円相当径Dの比(C/D)」、及び、「トナーの厚さ方向への断面を観察した場合に、観察される全顔料粒子のうち、トナーの該断面における長軸方向と顔料粒子の長軸方向との角度が−30°乃至+30°の範囲となる顔料粒子の数(以下単に「±30°範囲の顔料粒子の数」と称する)」を、前述の方法により測定した。結果を下記表1に示す。
<キャリアの作製>
・フェライト粒子(体積平均粒子径:35μm):100部
・トルエン:14部
・パーフルオロアクリレート共重合体(臨界表面張力:24dyn/cm):1.6部
・カーボンブラック(商品名:VXC-72、キャボット社製、体積抵抗率:100Ωcm以下):0.12部
・架橋メラミン樹脂粒子(平均粒子径:0.3μm、トルエン不溶):0.3部
まず、パーフルオロアクリレート共重合体に、カーボンブラックをトルエンに希釈して加えサンドミルで分散した。次いで、これにフェライト粒子以外の上記各成分を10分間スターラーで分散し、被覆層形成用溶液を調合した。次いでこの被覆層形成用溶液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れ、温度60℃において30分間攪拌した後、減圧してトルエンを留去して、樹脂被覆層を形成してキャリアを得た。
<現像剤の作製>
前記トナー:36部と前記キャリア:414部とを、2リットルのVブレンダーに入れ、20分間撹拌し、その後212μmで篩分して現像剤を作製した。
〔評価試験〕
以下の方法により評価画像を形成した。
試料となる現像剤を、富士ゼロックス(株)社製Docu Centre Color 400の現像器に充填し、気温40℃、湿度70%の環境にて24時間放置した。その後、記録紙(OKトップコート+紙、王子製紙(株)社製)上に、1cm×10cmのベタ画像(トナー載り量4.5g/m)を作製し、定着温度190℃、定着圧力4.0kg/cm、プロセススピード308mm/sにて、画像を連続10000枚形成した。
得られた10000枚目の画像の光輝性について下記基準に基づき目視で確認した。評価結果を表1に示す。
G4:光輝性に問題は確認されない。
G3:僅かに光輝性が劣る。または僅かに黒ずみが確認できる。
G2:光輝性が劣る。または黒ずみが確認できるが、許容範囲である。
G1:光輝性が劣り、または黒ずみがあり、許容できない。
[実施例2]
実施例1に記載のトナーの製造方法において、光輝性金属顔料分散液を200部、樹脂粒子分散液を425部、追添加する樹脂粒子分散液を141.7部に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1に記載のトナーの製造方法において、光輝性金属顔料分散液を800部、樹脂粒子分散液を275部、追添加する樹脂粒子分散液を91.7部に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1に記載のトナーの製造方法において、凝集粒子を成長させるときの攪拌回転数を700rpmにした以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1に記載のトナーの製造方法において、凝集粒子を成長させるときの攪拌回転数を1300rpmにした以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1に記載のトナーの製造方法において、凝集粒子を成長させるときの攪拌回転数を500rpmにした以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例1に記載のトナーの製造方法において、凝集粒子を成長させるときの攪拌回転数を1700rpmにした以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
[実施例8]
・結着樹脂:150部
・シリカで被覆されたアルミニウム顔料:40部
・カルナウバワックス(東亜化成(株)製、RC−160):10部
・酢酸エチル:200部
上記成分をボールミルで48時間分散した(この液をA液とした。)。一方炭酸カルシウム(平均粒径80nm)120部、水80部をボールミルで48時間分散後、炭酸カルシウム分散液14部とカルボキシメチルセルロース(商品名「セロゲンBS−H」:第一工業製薬社製)の2%水溶液200部を攪拌した(この液をB液とした)。次に乳化機(商品名「オートホモミキサー」:特殊機化工業社製)でB液100部を攪拌し、その中にA液400部をゆっくり投入して混合液を懸濁した。その後減圧下で攪拌回転数を1000rpmにして溶媒を除去し、次いで6N塩酸を200部加えて炭酸カルシウムを除去し、さらに水洗し、乾燥及び分級してトナー粒子を得た。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は12.5μmであった。
このトナー粒子を用いた以外は実施例1と同様にしてトナー及び現像剤を得た。得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1に記載のトナーの製造方法において、光輝性金属顔料分散液を100部、樹脂粒子分散液を450部、追添加する樹脂粒子分散液を150部に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1に記載のトナーの製造方法において、光輝性金属顔料分散液を1600部、樹脂粒子分散液を75部、追添加する樹脂粒子分散液を25部に変更した以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1に記載のトナーの製造方法において、光輝性金属顔料分散液の調製におけるシリカで被覆されたアルミニウム顔料の代わりに樹脂で被覆されたアルミニウム顔料(昭和アルミニウム(株)品番2173EA)を用いた以外は、実施例1に記載の方法によりトナーを製造した。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
[比較例4]
比較例4においては、混練粉砕法によってトナーを作製した。
・結着樹脂:600部
・シリカで被覆されたアルミニウム顔料:240部
・カルナウバワックス(東亜化成(株)製、RC−160):60部
以上を計量した後、ボールミルなどの粉体混合機で均一に混合した。得られた混合物をスクリュー押出機(エクストルーダ)、ロールミル、ニーダなどで加熱溶融させ、さらに混練した。混練の完了後、得られた混練物を冷却し、固化させた。固化した混練物を先ず最初にハンマーミル、カッターミルなどの粗粉砕機で粗粉砕し、さらに続けて、ジェットミルなどの微粉砕機で微粉砕した。微粉砕の完了後、微小粒子及び粗大粒子を除去するため、エルボージェットなどにより得られた微粉砕粒子を分級した。得られたトナー粒子の体積平均粒子径は13.2μmであった。
得られたトナー及び現像剤を用いて実施例1と同様に評価した。評価結果を表1に示す。
2 トナー
4 顔料粒子
20 感光体ドラム
21 帯電装置
22 露光装置
24 転写装置
25 クリーニング装置
28 記録紙
30 現像装置
31 現像ハウジング
32 現像用開口
33 現像ロール
34 電荷注入ロール
40 トナー
107 感光体(像保持体)
108 帯電ローラ
111 現像装置(現像手段)
112 転写装置
113 感光体クリーニング装置(クリーニング手段)
115 定着装置(定着手段)
116 取り付けレール
117 除電露光のための開口部
118 露光のための開口部
200 プロセスカートリッジ
300 記録紙(被転写体)

Claims (6)

  1. シリカ、アルミナ及びチタニアからなる群より選択された少なくとも一種の金属酸化物により表面を被覆された光輝性金属顔料を含み、誘電損失率が10×10−3以上60×10−3以下である光輝性トナー。
  2. トナー厚さ方向のトナー断面を観察したときに、前記光輝性金属顔料の長軸方向の頂点からトナー表面までの最短距離の平均値が0.1μm以上1.0μm以下の範囲にある請求項1に記載の光輝性トナー。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の光輝性トナーを少なくとも含む現像剤。
  4. 請求項1又は請求項2に記載の光輝性トナーを収容するトナーカートリッジ。
  5. 請求項1又は請求項2に記載の光輝性トナーを収容すると共に、前記光輝性トナーを保持して搬送するトナー保持体を備えるプロセスカートリッジ。
  6. 像保持体と、
    前記像保持体表面を帯電する帯電装置と、
    前記像保持体表面に静電潜像を形成する潜像形成装置と、
    前記静電潜像を請求項1又は請求項2に記載の光輝性トナーによりトナー像として現像する現像装置と、
    前記像保持体表面に形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、
    を有する画像形成装置。
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