JP4068236B2 - 静電潜像現像用黒色トナー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、および静電印刷法等において静電潜像を現像するのに使用される黒色トナーに関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法においては、通常、感光体上に形成された静電潜像にトナーを付着させて現像する工程と、これを転写材である紙やプラスチックフィルム上に転写する工程と、その後、転写したトナー画像を加熱等により転写材に定着する工程を経て画像を形成する。電子写真法に用いられる現像剤としては、トナーとキャリアとからなる2成分現像剤と、トナーのみからなる非磁性1成分現像剤および磁性1成分現像剤とがある。2成分現像剤は、磁性粒子からなるキャリアがトナーへの帯電付与や、トナーの搬送の機能を分担しているため、制御性が良い等の特徴を有し、現在広く用いられている。
【0003】
一方、電子写真法を用いたプリンターや複写機では、ここ数年、カラー化が進んだことや、装置の解像度が向上したことから、静電潜像の細密化が行われている。これに伴い、細密化された静電潜像を忠実に現像し、より高画質な画像を形成し得るトナーとして、小粒径トナーが近年注目されている。特にデジタル潜像を有彩色トナーにより現像・転写・定着するフルカラー複写機においては、7〜8μmの小粒径トナーを採用して、ある程度の高画質を達成しているが、今後のさらなる高解像度化(細線再現性の向上や、階調再現性の向上等)の要求に応えるためには、トナーをさらに小径化するとともに、トナーの粒度分布を適性な範囲とすることが必要となる。
【0004】
しかし、トナーの粒子径をさらに小さくしようとすると、ファンデルワールス力に代表される非静電気的付着力が大きくなり、トナー粒子同士の凝集力が大きくなる。そのため、トナーの粉体流動性が悪化したり、キャリア表面や感光体表面に対するトナーの付着力が大きくなる傾向があり、その結果、トナーの現像性および転写性が悪化し、ひいては、画像濃度が低下したり、感光体表面に残留するトナーのクリーニング性が大きく低下する。従って、現在までには、6μm以下の小粒径トナーを用いることによる画像の高画質化は、達成されていないのが実状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、小粒径トナーを用いると、細線再現性および階調再現性が改善されることによって画質が向上するとともに、画像領域のトナー重量を低減できる点でも画質の向上に寄与し得る。従来は、画像領域のトナー層が厚くなり(特にカラー画像において顕著であった。)、定着ローラ等によって画像を定着する際に、画像部と非画像部等に光沢むらが発生し、実質的に画質を低下させていた。トナーを小粒径化できれば、画像領域のトナー層を薄層化でき、画像に光沢むらが発生するのを抑制することができる。
【0006】
一方、トナーを小粒径化することによって、画像領域のトナー重量を低減しても、トナーの単位重量当たりの発色濃度が従来のトナーと同様であると、結果として、画像濃度が低下することになる。画像濃度の低下を防止する方法として、トナー中に含有される顔料の濃度を高める方法がある。しかし、黒色トナーの顔料として主に用いられているカーボンブラックの含有濃度を高めると、トナーの帯電性に影響を及ぼすこととなる。その結果、トナーの帯電不良が生じたり、現像時にトナーに電荷が注入され、画像にカブリが生じることがある。
【0007】
トナーを製造する方法として、カーボンブラック以外の3種の顔料、シアン、マゼンタ、およびイエロー顔料を混合して黒色を発色させる方法がある。この方法によれば、トナーの帯電性に影響を与えるカーボンブラックを使用しないので、トナー中の顔料の含有濃度を高めても、トナーの帯電不良等に伴う画像のカブリ現象は防止できる。しかし、これら3種の顔料を混合して黒色を発色させる場合、この黒色は照射光の波長によって色目が変化して見える、いわゆる演色性があり、太陽光の下と、室内の蛍光灯等の光の下とでは、色目が変化するという問題がある。また、トナー中の顔料の濃度を増加させると、トナーの溶融粘度等の物性が変化し、定着工程における画質低下の要因となることもある。
さらに、従来のトナーでは、カーボンブラック等の着色剤の添加量を増加させても、ハイライト部の粒状性(ハイライト部での見た目のざらつき)が悪化するため、かえって画質が低下するとういう課題がある。
【0008】
本発明は、前記問題点に鑑みなされたものであって、画像形成に適する帯電性や物性を有するとともに、高い黒色濃度を有し、且つ演色性を示さない黒色トナーを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記問題点を解決するため鋭意検討を重ねた結果、トナー中にカーボンブラックとともに、シアン顔料、マゼンタ顔料、およびイエロー顔料を含有させると、高い黒色濃度を有するとともに、演色性を示さず、画像形成時に画像カブリを生じない黒色トナーが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は、少なくとも、結着樹脂、カーボンブラック、シアン顔料、マゼンタ顔料、およびイエロー顔料を含有する着色粒子と、外添剤とからなり、着色粒子中のカーボンブラックの含有濃度(CCB重量%)、シアン顔料の含有濃度(CC 重量%)、マゼンタ顔料の含有濃度(CM 重量%)、およびイエロー顔料の含有濃度(CY 重量%)は、下記関係式(1)を満たしていることを特徴とする静電潜像現像用黒色トナーである。
CCB ≧ CM ≧ Cc ≧ CY (1)
【0011】
着色粒子中のカーボンブラックの含有濃度は、2重量%以上10重量%以下であるのが好ましい。また、マゼンタ顔料、シアン顔料、およびイエロー顔料が着色粒子中に分散粒子として含有され、該分散粒子の平均分散粒子径が円相当径で0.3μm以下であるのが好ましい。
【0012】
着色粒子の体積平均粒径が1.0〜5.0μmであり、1.0μm以下の着色粒子が20個数%以下であり、5.0μmを超える着色粒子が10個数%以下であると、細線再現性および階調再現性等が向上し、画質が向上するので好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のトナーは、着色粒子と外添剤とからなり、着色粒子中に、カーボンブラックとともに、シアン顔料、マゼンタ顔料、およびイエロー顔料を含有することを特徴とする。以下、各々の構成要素について説明する。
1.着色粒子
1.1 カーボンブラック
本発明に用いられるカーボンブラックとしては、特に限定されず、従来から使用されているカーボンブラックから選択することができる。カーボンブラックの粒子径が小粒径であると、カーボンブラックのトナー中における分散性が向上するので好ましい。具体的には、10〜50nmの平均粒子径を有するカーボンブラックを使用するのが好ましい。
【0014】
また、本発明に用いられるカーボンブラックの色相としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック等の色相が好ましいが、特にこれに限定されるものではない。
【0015】
1.2 顔料
本発明に用いられるシアン、マゼンタ、およびイエロー顔料(以下、各々、「C顔料」、「M顔料」、「Y顔料」という場合がある。)としては、従来公知の顔料から選択することができる。C顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、15:2、15:3等が好適に用いられる。M顔料としては、C.I.ピグメントレッド 48:1、48:2.48:3、53:1、51:1、112、122、123、144、149、166、177、178、221等が好ましく用いられる。Y顔料としては、C.I.ピグメントイエロー 12、14、17、97、180、188等が好ましく用いられる。
【0016】
着色粒子の透明性や、着色剤の着色力は、C、M、およびY顔料の着色粒子中における分散状態によって決定される。前記顔料の分散粒子径が大きすぎると、着色力や透明性は低下する。具体的には、結着樹脂中に、顔料粒子の着色力が最大となるように、分散粒子平均粒径が円相当径0.3μm以下の状態で顔料粒子が分散しているのが好ましい。
尚、前記円相当径とは、顔料粒子の一部を取り出し、樹脂で包埋後、着色粒子中の顔料粒子の分散状態を観察できるように観察用薄片を切り出し、透過型電子顕微鏡で倍率15,000倍の拡大写真を撮影し、画像解析装置にて顔料粒子の面積を測定し、該面積に相当する円の直径を計算した値をいう。
【0017】
結着樹脂中に、顔料粒子を分散させる方法としては、例えば、本発明者等が提案したメルトフラッシング法(特開平4−242752号)を好適に用いることができる。ここでいうメルトフラッシング法とは、顔料粒子を結着樹脂中に分散する方法の一つであり、顔料製造工程において生じた顔料含水ケーキについて、このケーキ中に含まれる水分を、溶融した結着樹脂で置換する方法である。この方法によれば、顔料粒子の結着樹脂中の分散粒子平均粒径を円相当径で0.3μm以下にすることができる。また、メルトフラッシング法によると、顔料の着色力が向上するので、トナー中におけるC、M、およびY顔料の含有濃度を低下することができるので好ましい。
【0018】
1.3 カーボンブラックおよびC、M、Y顔料の含有濃度
着色粒子中のカーボンブラックの含有濃度(CCB重量%)、C顔料の含有濃度(CC 重量%)、M顔料の含有濃度(CM 重量%)、およびY顔料の含有濃度(CY 重量%)が、下記関係式(1)満たしていると、演色性を抑制しつつ、より効果的にトナーの黒色濃度を高めることができる。
CCB ≧ CM ≧ Cc ≧ CY (1)
【0019】
着色粒子中のカーボンブラックの濃度が高くなると、トナーの帯電性が低下し、その結果、画像カブリが生じる傾向がある。カーボンブラックの含有濃度は、10重量%以下であると、トナーの帯電性の変動をより効果的に抑制できるので好ましく、8重量%以下であると特に好ましい。一方、C、M、Y顔料の添加量が多くなると、トナーの溶融粘度が上昇することがあり、定着工程等をおいて定着性を低下させる要因となる場合がある。また、カーボンブラックの量が少ないと、C、M、Y顔料を多量に使用する必要があるが、顔料の含有濃度が高くなると、これらの顔料による演色性が現れてくるため、使用するカーボンブラックの量は、2重量%以上であるのが好ましく、より好ましくは3重量%以上である。従って、カーボンブラックの量が前記範囲であるとともに、C、M、およびY顔料の含有濃度が前記(1)式を満たしていると、トナーの溶融粘度が上昇することによって生じる定着性の低下を防止することができ、また演色性を抑えることができる。
【0020】
1.4 結着樹脂
着色粒子に含有される結着樹脂は、ガラス転移点が50〜80℃であることが好ましく、より好ましくは55〜75℃である。ガラス転移点が50℃未満であると熱保存性が低下し、80℃を超えると低温定着性が低下するため、それぞれ好ましくない。
【0021】
また、結着樹脂の軟化点としては80〜150℃であることが好ましく、より好ましくは90〜150℃、さらに好ましくは100〜140℃である。軟化点が80℃未満であると熱保存性が低下し、150℃を超えると低温定着性が低下するため、それぞれ好ましくない。
さらに結着樹脂の数平均分子量としては1.0×103 〜5.0×104 、重量平均分子量としては7.0×103 〜5.0×105 の範囲がそれぞれ好ましい。
【0022】
結着樹脂としては、トナーの結着樹脂として従来より用いられているものが特に制限なく用いることができるが、スチレン系ポリマー、(メタ)アクリル酸エステル系ポリマー、およびスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーとしては、下記のスチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、この他のアクリル系またはメタクリル系モノマー、ビニルエーテルモノマー、ビニルケトンモノマー、N−ビニル化合物モノマー等から適宜選ばれる1種または2種以上のモノマーを重合させて得られるポリマーが好適に用いられる。
【0023】
スチレン系モノマーとしては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、ブチルスチレン、などのスチレン誘導体、などのスチレン誘導体が挙げられる。
【0024】
また(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、などの(メタ)アクリル酸エステル類、などが挙げられる。
【0025】
他のアクリル系またはメタクリル系モノマーとしては、例えばアクリロニトリル、メタアクリルアミド、グリシジルメタアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどが挙げられる。
【0026】
またビニルエーテルモノマーとしては、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類が挙げられる。
【0027】
また、ビニルケトンモノマーとしては、例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類が挙げられる。
【0028】
また、N−ビニル化合物モノマーとしては、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドールなどのN−ビニル化合物などが挙げられる。
【0029】
本発明においては、定着性の観点からポリエステルが結着樹脂として好適に用いられる。かかるポリエステルとしては、多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合によって合成されるものが使用できる。
【0030】
多価のアルコールモノマーとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなど脂肪族アルコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールなどの脂環式アルコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等のビスフェノール−誘導体、多価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸などの芳香族カルボン酸およびその酸無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデセニルコハク酸等の飽和および不飽和カルボン酸およびその酸無水物が使用できる。
【0031】
1.5 着色粒子の粒子径および粒度分布
着色粒子の粒子径が小さく、粒度分布幅が狭いと、顔料濃度を上げても、細線再現性および階調再現性が向上するので好ましい。また、着色粒子の粒子径が小さいと、顔料濃度を上げて静電潜像の現像に必要なトナー量(DMA:mg/cm2 )を低下することができるので、画像領域におけるトナー層を薄層化することができ、画像中に光沢むらのない、均一なソリッド画像を形成することができる。一方、着色粒子の粒子径が大きいと、着色粒子中の顔料濃度が増加するにつれて、画像のハイライト部の粒状性を低下させる傾向がある。
【0032】
このような観点から、着色粒子は、その体積平均粒径が1.0〜5.0μmの範囲であるのが好ましく、さらに2.0〜5.0μmの範囲、さらに2.0〜4.5μmの範囲、さらに2.0〜4.0μmの範囲であるのが順により好ましい。着色粒子の体積平均粒径が5.0μm以下であると粗大粒子の比率が小さいので、定着工程を経て得られる画像の細線や微小ドットの再現性、および階調性が向上する。一方、着色粒子の体積平均粒径が、1.0μm未満となると、そのような着色粒子からなるトナーの粉体流動性、現像性、あるいは転写性が悪化し、静電潜像担持体表面に残留するトナーのクリーニング性が低下する等、粉体特性低下に伴う他の工程における種々の不具合が生じることがあるので、前記範囲が好ましい。
尚、本発明でいう「細線の再現性」とは、主として30〜60μm、好ましくは30〜40μmの幅の細線を忠実に再現可能か否かを意味し、さらに同程度の径のドットを再現し得るかについても考慮に入れたものである。
【0033】
さらに、着色粒子は、1.0μm以下の着色粒子が20個数%以下であり、かつ、5μm以上の着色粒子が10個数%以下の粒度分布を示すのが好ましい。全着色粒子中、1.0μm以下の着色粒子が20個数%を超えると、非画像部のカブリが発生し易くなり、感光体のクリーニング不良も生じ易くなる。また、1μmの着色粒子が20個数%を超えると、トナーの非静電的付着力が大きくなるため、トナーがキャリア表面に固着し、キャリアによるトナーへの帯電付与能が低下したり、抵抗が上昇してしまう傾向があり、その結果、得られる画像の画質が低下することがある。高画質の達成、および高画質の維持等の観点からは、1.0μm〜2.5μmの着色粒子が5〜50個数%となる粒度分布を示すのがより好ましく、10〜45個数%ととなるのがさらに好ましい。
【0034】
また、着色粒子の粒度分布の大粒径側を規定するパラメーターとして、5.0μmを超える着色粒子の個数%を用いたが、基準とする粒子径を他の数値で規定することもできる。具体的には4.0μmを基準の粒子径とした場合、全着色粒子中、4.0μm以下の着色粒子が75個数%以上であることが好ましい。
【0035】
このような粒度分布の着色粒子は、従来公知の製造方法により製造できる。例えば、粉砕法で得る場合には粉砕および分級の条件を、重合法(懸濁重合法、乳化重合法等)で得る場合には重合時の造粒条件を、それぞれ適宜設定すればよい。粉砕法とは、結着樹脂と着色剤、必要に応じてその他添加剤等を予備混合した後、混練機にて溶融混練し、冷却後粉砕、分級を行い規定粒度分布に揃えるものである。
【0036】
従来、粉砕法では、着色粒子を小粒径化すると、粉砕性の低下によるコスト上昇や、粉体特性の悪化による分級性の低下等の問題が生じることがあった。本発明に使用される着色粒子を粉砕法で製造する場合は、粉砕時に粉砕の条件を適宜選択して設定すれば、過粉砕による粒度分布のブロード化を伴うことなく、前記好ましい粒度分布範囲に近い粒度分布を示す着色粒子を製造することができる。従って、その後、分級機を使用して粒度分布を調整する必要が殆どないか、あるいは、粒度分布の調整の必要性があるとしても、除去する着色粒子の量が非常に少ないため、製造コストを低コスト化することができる。
【0037】
着色粒子の粒度分布は種々の方法で測定できるが、前記好ましい粒度分布は、コールターカウンターTA2型(コールター社製)を用い、アパーチャー径を50μmとして測定を行い、1μm以下の着色粒子の個数分布を測定する時のみアパーチャー径を30μmとして測定した粒度分布である。具体的には、粒度分布の測定は、塩化ナトリウム水溶液(10g/リットル)中に分散液(界面活性剤:トリトンX100)2〜3滴と測定試料(着色粒子)を加え、超音波分散機で1分間分散処理を行った後、上記装置を用いて行う。
【0038】
1.6 その他の添加剤
着色粒子中には、黒色トナーの色再現性等に影響を与えない範囲において、必要に応じて帯電制御剤、 離型剤などを含有させてもよい。帯電制御剤としてはクロム系アゾ染料、 鉄系アゾ染料、 アルミニウムアゾ染料、 サリチル酸金属錯体、有機ホウ素化合物などを挙げることができる。離型剤としては、低分子量プロピレン、低分子量ポリエチレンなどのポリオレフィンやパラフィンワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス、モンタンワックス等の天然ワックスおよびその誘導体などを挙げることができる。
【0039】
2.外添剤
本発明に用いられる外添剤としては、無機微粉末を好適に使用することができる。このような無機微粉末としては、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化鉄、酸化ケイ素などの金属酸化物、窒化チタンなどの窒化物、チタン化合物などが挙げられる。外添剤の添加量としては、着色粒子100重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量部であり、より好ましくは0.1〜8重量部である。
尚、トナーに上記無機微粉末を添加する方法としては、例えば、ヘンシェルミキサーに無機微粉末と着色粒子とを入れ、混合するという従来公知の方法を採用することができる。
【0040】
トナーの粉体流動性や粉体付着性等の粉体特性を改善する観点から、外添剤として、少なくとも30nm以上200nm以下の一次粒子平均粒径を有する超微粒子の1種以上と、5nm以上30nm未満の一次粒子平均粒径を有する極超微粒子の1種以上とを用いることが好ましい。
【0041】
超微粒子は、着色粒子同士、あるいは、着色粒子と感光体またはキャリアとの付着力を低減させ、現像性、転写性、あるいはクリーニング性の低下を防止する働きがある。超微粒子の平均一次粒子径は、30nm以上200nm以下、より好ましくは35nm以上150nm以下、さらに好ましくは35nm以上100nm以下である。200nmを超えるとトナーから脱離しやすくなり、付着力低減効果が発揮できなくなる。一方、30nm未満では、後述の極超微粒子の働きをするものとなってしまう。
【0042】
極超微粒子は、着色粒子の流動性を向上させ、凝集度を低下させるとともに、着色粒子が熱凝集するのを抑制する効果等を有し、環境安定性の向上に寄与する。極超微粒子の平均一次粒子径は、5nm以上30nm未満、より好ましくは5nm以上29nm未満、さらに好ましくは10nm以上29nm以下である。5nm未満であるとトナーが受けるストレスにより着色粒子表面に埋没しやすい。一方、30nm以上では、前述の超微粒子の働きをするものとなってしまう。尚、本明細書において「一次粒子径」とは球相当の一次粒子径をいう。
【0043】
超微粒子としては、疎水化された酸化ケイ素、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化鉄などの金属酸化物、窒化チタンなどの窒化物、チタン化合物からなる微粒子が挙げられ、疎水化された酸化ケイ素からなる微粒子であることが好ましい。疎水化は、疎水化処理剤により処理することにより為され、疎水化処理剤としてはクロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、シリル化イソシアネートのいずれも使用可能である。具体的にはメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ter−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
【0044】
極超微粒子としては、疎水性のチタン化合物、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化鉄などの金属酸化物、窒化チタンなどの窒化物からなる微粒子が挙げられ、なかでも、チタン化合物微粒子であることが好ましい。
【0045】
また、チタン化合物微粒子としては、高度に疎水性であり、焼成処理がないため凝集体を発生しにくく、外添時に分散性が良好であるメタチタン酸とシラン化合物との反応生成物であることが好ましい。また、その際のシラン化合物としては、トナーの帯電制御が良好であり、キャリアや感光体への付着性を低減できるアルキルアルコキシシラン化合物および/またはフルオロアルキルアルコキシシラン化合物が好ましく用いられる。
【0046】
メタチタン酸とアルキルアルコキシシラン化合物および/またはフルオロアルキルアルコキシシラン化合物との反応生成物であるメタチタン酸化合物としては、硫酸加水分解反応により合成されたメタチタン酸を解膠処理した後、ベースのメタチタン酸をアルキルアルコキシシラン化合物および/またはフルオロアルキルアルコキシシラン化合物とを反応させたものが好適に使用できる。メタチタン酸と反応させるアルキルアルコキシシランとしては、例えばメチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン等が、また、フルオロアルキルアルコキシシラン化合物としては例えばトリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン等が使用可能である。超微粒子と極超微粒子との2種類の外添剤を使用することにより、両者の添加による効果を併せ持つものとなる。
【0047】
しかし、外添剤の添加量が全体として多過ぎると、遊離の(着色粒子に付着していない)外添剤が発生し、感光体やキャリア表面が外添剤で汚染されやすくなる。また、超微粒子と極超微粒子とはともにある程度の添加量が無ければ、両者を添加することによる効果が得られない。さらに、超微粒子の量が多過ぎると粉体流動性向上効果が得られず、極超微粒子の量が多過ぎると粉体付着性向上効果が得られない。従って、外添剤の添加量を適切にコントロールしてやる必要がある。
【0048】
上記、外添剤を添加することによる効果の出現や、各種粉体特性の変動は、添加する外添剤の絶対量に依存するものではなく、着色粒子表面に対する被覆率に依存するものである。ここで、外添剤の着色粒子表面に対する被覆率について説明する。
【0049】
外添剤を一定の大きさ(直径d)の真球と見立て、かつ凝集のない一次粒子が着色粒子表面上に単層で付着していると仮定した場合、着色粒子表面上に付着した外添剤の最密パッキング(最も密に並んだ状態)としては、図1に示すように1つの外添剤22に6つの外添剤22a〜22fが隣接する六方最密パッキングである(図1は着色粒子表面の一部のみを拡大して示した平面図である)。
【0050】
このように図1に示すような状態が理想状態としての被覆率100%であるとした場合に、実際の外添剤の重量が、実際の着色粒子の重量に対してどの程度であるかを%で表したものを、本発明にいう被覆率とする。
【0051】
即ち、実際の状態における、着色粒子の体積平均粒径をD(μm)、着色粒子の真比重をρt 、外添剤の一次粒子平均粒径をd(μm)、外添剤の真比重をρa 、および、外添剤の重量x(g)と着色粒子の重量y(g)との比(x/y)をCとした場合に、被覆率F(%)は、
F=C/{2π・d・ρa /(√3・D・ρt )}×100
となり、これを整理すると下式(2)の通りになる。
【0052】
F=√3・D・ρt ・(2π・d・ρa )-1・C×100 ・・・(2)
(上記式中、Fは被覆率(%)、Dは着色粒子の体積平均粒径(μm)、ρt は着色粒子の真比重、dは外添剤の一次粒子平均粒径(μm)、ρa は外添剤の真比重、およびCは外添剤の重量x(g)と着色粒子の重量y(g)との比(x/y)をそれぞれ表す。)
【0053】
以上の式(2)で求められる着色粒子表面に対する外添剤の被覆率は、超微粒子Fa および極超微粒子Fb の双方について20%以上であることが好ましく、全外添剤の被覆率の合計が100%以下であることが好ましい。なお、「全外添剤の被覆率の合計」とは、添加される各外添剤についての被覆率を個々に計算し、得られた各外添剤の被覆率を合計したものを指す。
【0054】
超微粒子の被覆率Fa が20%未満であると、超微粒子を添加する効果が得られない場合がある。超微粒子の被覆率Fa は、好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30〜60%である。
【0055】
極超微粒子の被覆率Fb が20%未満であると、極超微粒子を添加する効果が得られなくなる場合がある。極超微粒子の被覆率Fbは、好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30〜60%である。
【0056】
全外添剤の被覆率の合計が100%を超えると、遊離の外添剤が多く発生するため、感光体やキャリア表面が外添剤で汚染されやすくなる。全外添剤の被覆率の合計は、好ましくは40〜100%、さらに好ましくは50〜90%である。
【0057】
超微粒子の被覆率Fa (%)と、極超微粒子の被覆率Fb (%)との関係としては、下式(3)を満たすことがより好ましい。
0.5≦Fb /Fa ≦4.0 ・・・(3)
この範囲を外れると、超微粒子または極超微粒子を添加する効果が得られにくくなるため好ましくない。また、超微粒子または極超微粒子を添加する効果を最適なものとするためには、下式(3’)を満たすことがさらに好ましい。
0.5≦Fb /Fa ≦2.5 ・・・(3’)
【0058】
トナーに上記超微粒子および極超微粒子を添加する方法としては、例えば、ヘンシェルミキサーに超微粒子、極超微粒子および着色粒子を入れ、混合するという従来公知の方法を採用することができる。
【0059】
本発明の黒色トナーは、キャリアとともに混合され、静電潜像用現像剤として好適に使用できる。
キャリアとしては、特に限定されず、鉄粉、フェライト、酸化鉄粉、ニッケル等の磁性体粒子、磁性体粒子を芯材として、その表面をスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチル系樹脂、ロジン系樹脂、ポリエステル系樹脂、メチル系樹脂などの公知の樹脂やステアリン酸等のワックスで被覆し、樹脂被覆層を形成させてなる被覆樹脂型キャリア粒子、或いは結着樹脂中に磁性体微粒子を分散させてなる磁性体分散型キャリア粒子等を挙げることができる。
【0060】
中でも、樹脂被覆層を有する被覆樹脂型キャリアは、トナーの帯電性やキャリア全体の抵抗を樹脂被覆層の構成により制御可能となるため、特に好ましい。
樹脂被膜層の材料としては、当業界で従来よりキャリアの樹脂被膜層の材料として使用されているあらゆる樹脂から選択することができる。また樹脂の種類は単独でも2種以上でもよい。
【0061】
キャリアの粒径としては、体積平均粒子径として45μm以下であることが好ましく、より好ましくは10〜40μmである。キャリアの体積平均粒子径を45μm以下とすることにより、トナー(着色粒子)の小粒径化による帯電の立ち上がりや帯電分布の悪化および帯電量の低下に由来する地汚れや濃度ムラを改善することができる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げてより詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<実施例1>
1)マゼンタフラッシング顔料の作製
ポリエステル樹脂(ビスフェノールA型ポリエステル:ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物−シクロヘキサンジメタノール−テレフタル酸、重量平均分子量:11,000、数平均分子量:3,500、Tg:65℃)70重量部とマゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド57:1)含水ペースト(顔料分40重量%)75重量部をニーダー型混練機に入れ混合し、徐々に加熱した。120℃で混練を継続して、水相と樹脂相が分離した後、水を除去し、さらに樹脂相を混練して水を取り除き、脱水してマゼンタフラッシング顔料を得た。マゼンタフラッシング顔料は円相当径0.3μmの平均分散粒子径で分散していた。
【0063】
2)シアンフラッシング顔料
マゼンタ顔料含水ペーストをシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)含水ペースト(顔料分40重量%)に代えた他はマゼンタフラッシング顔料と同様にしてシアンフラッシング顔料を作製した。シアンフラッシング顔料は円相当径0.3μmの平均分散粒子径で分散していた。
【0064】
3)イエローフラッシング顔料
マゼンタ顔料含水ペーストをイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー17)含水ペースト(顔料分40重量%)に代えた他はマゼンタフラッシング顔料と同様にしてイエローフラッシング顔料を作製した。イエローフラッシング顔料は円相当径0.3μmの平均分散粒子径で分散していた。
【0065】
4)着色粒子(黒色)の作製
・ポリエステル樹脂(ビスフェノールA型ポリエステル:ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物−シクロヘキサンジメタノール−テレフタル酸、重量平均分子量:11000、数平均分子量:3500、Tg:65℃) 64重量部
・カーボンブラック(平均粒径10nm) 6重量部
・前記シアンフラッシング顔料(顔料分30重量%) 10重量部
・前記マゼンタフラッシング顔料(顔料分30重量%) 10重量部
・前記イエローフラッシング顔料(顔料分30重量%) 10重量部
上記成分をバンバリーミキサーにより溶融混錬し、冷却後ジェットミルによる微粉砕と風力分級機による分級を行い、黒色粒子を得た。
【0066】
5)黒色トナーの作製
前記黒色粒子に、ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」と略す場合がある)で表面疎水化処理した一次粒子平均粒径40nmのシリカ(SiO2 )微粒子(超微粒子)と、メタチタン酸とイソブチルトリメトキシシランの反応生成物である一次粒子平均粒径20nmのメタチタン酸化合物微粒子(極超微粒子)とを、それぞれの黒色粒子の表面に対する被覆率が40%となるように添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、黒色トナーを作製した。
尚、ここでいう黒色粒子の表面に対する被覆率とは、前述の式(2)により求められる値F(%)をいう。
【0067】
6)キャリアの作製
体積平均粒子径40μmのCu−Znフェライト微粒子100重量部にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1重量部を含有するメタノール溶液を添加し、ニーダーで被覆した後、メタノールを留去し、さらに120℃で2時間加熱して上記シラン化合物を完全に硬化させた。この粒子に、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクレート共重合体(共重合比40:60)をトルエンに溶解させたものを添加し、真空減圧型ニーダーを使用してパーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクレート共重合体のコーティング量が0.5重量%となるように樹脂被覆型キャリアを製造した。
【0068】
7)黒色現像剤の作製
得られた黒色トナー4重量部を、得られた樹脂被覆型キャリア100重量部に混合して、黒色の静電潜像現像剤を作製した。
【0069】
<実施例2>
・前記ポリエステル樹脂 75.62重量部
・カーボンブラック(平均粒径10nm) 6重量部
・前記シアンフラッシング顔料(顔料分30重量%) 6.7重量部
・前記マゼンタフラッシング顔料(顔料分30重量%) 6.7重量部
・前記イエローフラッシング顔料(顔料分30重量%) 5重量部
上記成分をバンバリーミキサーにより溶融混錬し、冷却後ジェットミルによる微粉砕と風力分級機による分級を行い、黒色粒子を得た。その後、実施例1で用いた外添剤およびキャリアを使用して、実施例1と同様に黒色の静電潜像現像剤を作製した。
【0070】
<実施例3>
・前記ポリエステル樹脂 76.5重量部
・カーボンブラック(平均粒径10nm) 6重量部
・前記シアンフラッシング顔料(顔料分30重量%) 6.7重量部
・前記マゼンタフラッシング顔料(顔料分30重量%) 8.3重量部
・前記イエローフラッシング顔料(顔料分30重量%) 5重量部
上記成分をバンバリーミキサーにより溶融混錬し、冷却後ジェットミルによる微粉砕と風力分級機による分級を行い、黒色粒子を得た。その後、実施例1で用いた外添剤およびキャリアを使用して、実施例1と同様に黒色の静電潜像現像剤を作製した。
【0071】
<実施例4>
・前記ポリエステル樹脂 49重量部
・カーボンブラック(平均粒径40nm) 6重量部
・前記シアンフラッシング顔料(顔料分30重量%) 15重量部
・前記マゼンタフラッシング顔料(顔料分30重量%) 15重量部
・前記イエローフラッシング顔料(顔料分30重量%) 15重量部
上記成分をバンバリーミキサーにより溶融混錬し、冷却後ジェットミルによる微粉砕と風力分級機による分級を行い、黒色粒子を得た。その後、実施例1で用いた外添剤およびキャリアを使用して、実施例1と同様に黒色の静電潜像現像剤を作製した。
【0072】
<比較例1>
・前記ポリエステル樹脂 88重量部
・カーボンブラック(平均粒径10nm) 12重量部
上記成分をバンバリーミキサーにより溶融混錬し、冷却後ジェットミルによる微粉砕と風力分級機による分級を行い、黒色粒子を得た。その後、実施例1で用いた外添剤およびキャリアを使用して、実施例1と同様に黒色の静電潜像現像剤を作製した。
【0073】
<比較例2>
・前記ポリエステル樹脂 88重量部
・カーボンブラック(平均粒径40nm) 12重量部
上記成分をバンバリーミキサーにより溶融混錬し、冷却後ジェットミルによる微粉砕と風力分級機による分級を行い、黒色粒子を得た。その後、実施例1で用いた外添剤およびキャリアを使用して、実施例1と同様に黒色の静電潜像現像剤を作製した。
【0074】
<比較例3>
・前記ポリエステル樹脂 55重量部
・前記シアンフラッシング顔料(顔料分30重量%) 15重量部
・前記マゼンタフラッシング顔料(顔料分30重量%) 15重量部
・前記イエローフラッシング顔料(顔料分30重量%) 15重量部
上記成分をバンバリーミキサーにより溶融混錬し、冷却後ジェットミルによる微粉砕と風力分級機による分級を行い、黒色粒子を得た。その後、実施例1で用いた外添剤およびキャリアを使用して、実施例1と同様に黒色の静電潜像現像剤を作製した。
【0075】
<比較例4>
・前記ポリエステル樹脂 82重量部
・カーボンブラック(平均粒径10nm) 8重量部
・前記シアンフラッシング顔料(顔料分30重量%) 10重量部
上記成分をバンバリーミキサーにより溶融混錬し、冷却後ジェットミルによる微粉砕と風力分級機による分級を行い、黒色粒子を得た。その後、実施例1で用いた外添剤およびキャリアを使用して、実施例1と同様に黒色の静電潜像現像剤を作製した。
【0076】
表1に、実施例1〜実施例4および比較例1〜比較例4の各々の黒色粒子の諸特性等を示す。
【0077】
【表1】
【0078】
得られた黒色静電潜像用現像剤を用いて、コピー機(「A color935」、富士ゼロックス社製の改造機)により、コート紙(「FX J」、富士ゼロックス社製)上に画像を形成し、以下の評価を各々行った。評価結果を表2に示す。また、各々の黒色粒子によって形成した黒色のベタ画像の色目を目視にて評価した結果も合せて表2に示す。
【0079】
<TMAの測定>
面積率100%の黒色のベタ画像をコート紙上に転写し、当該画像部分の単位面積当たりのトナーの重量(TMA:mg/cm2 )を測定した。具体的な測定方法としては、10cm2 の面積の未定着ベタ画像をコート紙上に形成し、これを秤量し、次いでエアブローによりコート紙上のトナーを除去した後、コート紙のみの重量を測定し、トナー除去前後の重量差からTMAを算出した。
【0080】
<画像濃度>
面積率100%の黒色のベタ画像を作成し、X−Rite404(X−Rite社製)を用いて、当該画像部分の画像濃度を測定した。
【0081】
<画像カブリ>
画像カブリの発生の有無を目視にて観察し、以下の基準で評価した。○を許容範囲とした。
○ : 画像カブリは生じなかったか、あるいは実用上問題のない程度の発生であった。
× : 画像カブリが、目視でバックグラウンドの汚れが認識できる程度に発生した。
【0082】
<細線再現性評価試験>
感光体上に線幅50μmになるように細線の画像を形成し、それを転写材に転写および定着した。転写材上の定着像の細線の画像をVH−6200マイクロハイスコープ(キーエンス社製)を用いて倍率175倍で観察した。具体的な評価基準は以下の通りである。○を許容範囲とした。
○ : 細線のエッジ部乱れがほとんど観察されなかった。
△ : 細線のエッジ部の乱れが認識できる程度に発生した。
× : 細線のエッジ部が大きく乱れていた。
【0083】
<階調再現性評価試験>
画像面積率5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、および100%の各水準の階調画像を作成し、X−Rite404(X−Rite社製)により画像濃度を測定し、階調性を判断した。また、VH−6200マイクロスコープ(キーエンス社製)を用いて、倍率175倍で、画像面積率が5%および10%の上記画像を観察し、低画像面積率での階調再現性について、以下のように175線印刷物を基準とする相対的評価を行った。○を許容範囲とした。
○ : 175線印刷物と同等の階調再現性であった。
△ : 175線印刷物にやや劣る階調再現性であった。
× : 175線印刷物より大きく劣る階調再現性であった。
【0084】
<ハイライト部粒状性>
階調画像の画像面積率5%および10%の水準の階調画像を作成し、得られた画像を目視にて観察し、ハイライト部粒状性について、以下のように175線印刷物を基準とする相対的評価を行った。○を許容範囲とした。
○ : 175線印刷物と同等のハイライト部粒状性であった。
△ : 175線印刷物にやや劣るハイライト部粒状性であった。
× : 175線印刷物より大きく劣るハイライト部粒状性であった。
【0085】
<ソリッド画像の画像光沢均一性評価>
得られた画像について、画像部と非画像部(コート紙)との光沢差を目視にて観察し、以下のように175線印刷物を基準とする相対的評価を行った。○を許容範囲とした。
○ : 175線印刷物と同等に光沢性は均一であった。
△ : 175線印刷物よりやや光沢性が不均一であった。
× : 175線印刷物より光沢性が著しく不均一であった。
【0086】
<演色性の評価>
分光光度計(「カラーパックシステム」、島津製作所製)を用いて、380nm〜700nmの光を標準光とし、得られた黒色のソリッド画像の太陽光(C光源)の下での色特性、およびに白熱電灯(A光源)の下での色特性を測定した(色特性の測定は、色座標(L* 、a* 、b* )に基づいて行った。)。各々の光源の下でのa* およびb* から、XおよびYを求め、以下の基準で演色性を評価した。
X = |a* (A光源)− a* (C光源)|
Y = |b* (A光源)− b* (C光源)|
X≦1.8で、かつY≦0.5であると、光源の波長による色目の変化はほとんど観察されず、グレーバランスも良好であった。表2中、○は、XおよびYが前記範囲である場合を示す。
【0087】
【表2】
【0088】
表2の結果から、着色剤としてカーボンブラックのみを使用して黒色トナーを製造した比較例1および比較例2の場合、実施例1〜実施例4と同程度のTMA量で、同等な画像濃度を有する画像を形成するためには、カーボブラックの含有量を増加させる必要があり、その結果、トナーの帯電不良等による画像カブリが生じた。一方、着色剤としてC、M、Y顔料のみを用いて黒色トナーを作製した比較例3の場合は、黒色画像が演色性を示した。また、比較例4では、カーボンブラック以外に、シアン顔料を含有しているが、青みの強い黒色を呈していた。
【0089】
【発明の効果】
本発明によれば、画像形成に適する帯電性や物性を有するとともに、高い黒色濃度を有し、且つ演色性を示さない黒色トナーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 着色粒子表面の一部を拡大して示した平面図である。
Claims (3)
- 少なくとも、結着樹脂、カーボンブラック、シアン顔料、マゼンタ顔料、およびイエロー顔料を含有する着色粒子と、外添剤とからなり、
前記着色粒子中のカーボンブラックの含有濃度(C CB 重量%)、シアン顔料の含有濃度(C C 重量%)、マゼンタ顔料の含有濃度(C M 重量%)、およびイエロー顔料の含有濃度(C Y 重量%)が、下記関係式(1)を満たしていることを特徴とする静電潜像現像用黒色トナー。
C CB ≧ C M ≧ C c ≧ C Y (1) - 着色粒子中のカーボンブラックの含有濃度が2重量%以上10重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用黒色トナー。
- 着色粒子の体積平均粒径が1.0〜5.0μmであり、1.0μm以下の着色粒子が20個数%以下であり、5.0μmを超える着色粒子が10個数%以下であることを特徴とする請求項1から請求項2までのいずれか1項に記載の静電潜像現像用黒色トナー。
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