JP3745135B2 - 静電潜像現像用カラートナー、静電潜像現像剤およびフルカラー画像形成方法 - Google Patents
静電潜像現像用カラートナー、静電潜像現像剤およびフルカラー画像形成方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法などに用いられる静電潜像現像用カラートナー、静電潜像現像剤およびフルカラー画像形成方法に関し、特にデジタル静電潜像を現像するための静電潜像現像用カラートナー、静電潜像現像剤およびそれを用いるフルカラー画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真法においては、感光体上に形成された静電潜像に現像剤中のトナーを付着させ転写材である紙やプラスチックフィルム上に転写後、加熱等により定着して画像を形成する。ここで用いる現像剤は、トナーおよびキャリアからなる二成分現像剤と、磁性トナー等のような一成分現像剤とがあるが、二成分現像剤はキャリアが現像剤の攪拌・搬送・帯電等の機能を分担するため、制御性が良い等の特徴を有しているため、現在広く用いられている。
【0003】
一方、電子写真法を用いたプリンターや複写機ではここ数年でカラー化が進み、また装置の解像度の向上から静電潜像が細密化してきている。これに伴い、静電潜像に対し忠実に現像を行い、より高画質画像を得るために、近年、トナーの小径化が進んでいる。特にデジタル潜像を有彩色トナーにより現像・転写・定着するフルカラー複写機においては、7〜8μmの小粒径トナーを採用して、ある程度の高画質を達成している。
【0004】
しかしながら、今後のさらなる高解像度化(細線再現性向上、階調性向上等)の要求を実現するためには、トナーのさらなる小粒径化と適正な粒度分布とが必要となる。
また、転写紙等の転写材上に形成される画像の厚み(以下、単に「画像厚み」という)は、オフセット印刷では最大でも数μm以内であるが、電子写真方式では、トナーの粒子径を7〜8μm程度の小粒径としても、フルカラートナーで形成されるプロセスブラックの場合、トナー層が最低3層重なることになり、十数μmから20μm程度にまで達してしまう。そして、このように画像厚みの大きい画像は、視覚的に違和感を与えるものとなり、オフセット印刷並みの高画質を達成するためには、オフセット印刷との画像構造の違いを改善する、即ち、画像厚みを小さくする必要がある。画像厚みを小さくするためには、トナー中の顔料濃度を高くして、転写材上の単位面積当たりのトナー重量を低減する方法があるが、従来のトナーの粒径あるいは粒度分布の範囲では、単に顔料濃度を高くするだけでは、細線あるいはドットの再現性が悪くなってしまうため、十分な画質を得ることができない。また、このように転写材上にトナーが多量に載った画像は、その凹凸が大きいために損傷を受けやすく、形成された画像の耐性が低いものとなる。かかる観点からもトナーのさらなる小粒径化が切望されている。
【0005】
トナーの小粒径化には、一般的に以下に示すような種々の技術的障害がある。
▲1▼製造効率(粉砕効率)低下に伴うコストの上昇
▲2▼粉体流動性の悪化
▲3▼粉体付着力の増加に伴うキャリアや感光体の汚染、現像性・転写性の低下、およびクリーニング性の低下
▲4▼帯電制御性の低下による非画像部のカブリ
▲5▼環境安定性の低下
▲6▼帯電量の色間差の拡大
以上種々の解決すべき大きな課題があり、小粒径トナーによる高画質化は実現されていないのが実状である。
【0006】
フルカラー画像を形成するためのトナーの小径化に対しては、以下のような提案がある。
1)特開平5−107809号公報では、トナー粒子の重量平均粒径が4〜10μmであり、4μm以下の粒子径のトナーの含有量が15〜60個数%、4〜8μmの粒子径のトナーの含有量が10〜60個数%、16μmの粒子径のトナーの含有量が2体積%以下含まれるトナーと、粒径10〜60μmの磁性体分散型キャリアとからなる二成分現像剤の提案がある。
2)特開平6−75430号公報、特開平7−77825号公報では、高画像濃度でハイライト再現および細線再現等に優れた画像を得るために、トナー粒子の重量平均粒径が3〜7μmであり、5.04μm以下の粒子径のトナーの含有量が40個数%より多く含有され、4μm以下の粒子径のトナーが20〜70個数%、8μm以上の粒子径のトナーが2〜20体積%以下、10.08μm以上の粒子径のトナーが6体積%以下含まれるトナーを使用する提案がされている。
【0007】
3)特開平7−146589号公報では、高画像濃度でハイライト再現および細線再現等に優れた画像を得るために、トナー粒子の重量平均粒径が3.5〜7.5μmであり、5.04μm以下の粒子径のトナーが35個数%より多く含有され、4μm以下の粒子径のトナーが15個数%より多く含有され、8μm以上の粒子径のトナーが2〜20体積%以下、10.08μm以上の粒子径のトナーが6体積%以下含まれるトナーを使用する提案がされている。
4)特開平10−48928号公報では、体積平均粒径が4〜10μmであり、5μm以下の粒子径のトナーの含有量が15〜40個数%、12.7〜16μmの粒子径のトナーが0.1〜5.0体積%、10μmを超える粒子径のトナーが1.0体積%以下含まれ、かつ、比表面積の異なる2種類の外添剤を特定の範囲で添加したトナーを使用する提案がされている。
【0008】
上記1)〜4)に挙げられた文献において検討されている小粒径トナーは、トナー粒子の重量平均粒子径または体積平均粒子径が3〜10μmではあるが、5μm以下の粒子径のトナーの割合が必ずしも大きくなく、このようなトナーを使用しても、細線再現性や階調性等に関する画質向上には限界がある。さらに、1μm以下の粒子径のトナーの含有量とトナー諸特性との関連については全く検討されていない。
【0009】
5)特開平8−227171号公報には、転写性、クリーニング性に優れ、外添剤劣化によるトナー特性の悪化を改善するために、形状係数を規定した重量平均粒径1〜9μmのトナーに10〜90nmの無機粉末と30〜120nmの疎水化されたケイ素化合物微粉末を添加する提案がある。
【0010】
しかし、5)に挙げられた文献において検討されているトナーでは、トナー粒子の粒度分布に関する思想が明示されていないので、重量平均粒径5μmよりも小さな粒子径のトナーとした場合に、小粒径トナーによる画質向上は達成することができない。実際、本文献において実施例に挙げられているトナー粒子の重量平均粒径は、最低でも6μmとなっている。
【0011】
一方、以上のような乾式電子写真法による画像の質感を改善するために、湿式電子写真法が実用化されている。湿式電子写真法は、平均粒子径1から2μm程度の微粒子のトナーを高沸点石油系溶剤などのキャリア液体に分散した液体現像剤により現像をして画像を得るものであり、当該方法によれば、細線の再現性や、転写材上の画像の乱れが改善され、また画像厚みが低減され画質が向上する。
【0012】
しかしながら、湿式電子写真法は、感光体上への画像形成時に、キャリア液体により感光体上のトナー画像が乱される像流れが発生するため、画質が低下してしまう欠点を有している。さらに、高沸点石油系有機溶剤などの機外排出を防止すべく、発生した有機溶剤の回収装置を設置する必要があるため、装置が大型化し、一般のオフィスへや家庭での使用には適さない。さらに、環境汚染の観点からも好ましくない。従って、乾式電子写真法であって、細線再現性や環境安定性の高い静電潜像現像用カラートナーの開発が望まれていた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、細線再現性、階調(再現)性およびハイライト部位粒状性が良好で、高画質な画像(特にフルカラー画像)を形成し得るとともに、クリーニング性にも優れた静電潜像現像用カラートナー、静電潜像現像剤、およびそれを使用するフルカラー画像形成方法を提供することにあり、特にデシタル潜像を現像するための静電潜像現像用カラートナー、静電潜像現像剤およびフルカラー画像形成方法を提供することにある。
【0014】
本発明の目的はさらに、オフセット印刷によって形成されるフルカラー画像と同等またはそれ以上の画質を達成することが可能な、静電潜像現像用カラートナー、静電潜像現像剤およびフルカラー画像形成方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
(a)着色粒子の粒径および粒度分布
本発明者らは、上記目的を達成するために要求される着色粒子(トナー中における外添剤を除く部分、即ち一般的にトナー粒子と呼ばれるものをいう)の粒度分布について検討した。その結果、着色粒子の体積平均粒径が2.0〜4.5μm、1.0μm以下の着色粒子が10個数%以下、5.0μmを超える着色粒子が5個数%以下、4.0μm以下の着色粒子が75個数%以上、1.0〜2.5μmの着色粒子が5〜50個数%の範囲とすることが、得られる画像の細線再現性、階調性およびハイライト部位粒状性の向上を達成する上で極めて有効であるとの知見を得た。
【0016】
着色粒子の体積平均粒径を4.5μm以下に抑えることにより、細線再現性、階調性およびハイライト部位粒状性が良好であるとともに、着色粒子中の顔料濃度を高くしても細線再現性、階調性、およびハイライト部位粒状性の低下が起こらず、着色粒子中の顔料濃度を高くして、転写材上に形成される画像の単位面積当たりのトナー重量を低減することができ、転写材上に形成されるトナー画像の厚みを小さく抑えられるため、視覚的に違和感を与えることのない、オフセット印刷並み、あるいはそれ以上の高画質な画像を得ることができる。
【0017】
しかし、高画質を達成するためには、単に着色粒子の体積平均粒径を規定しただけでは不十分である。即ち、小粒径の着色粒子が一定量以上存在すると、クリーニング不良の原因ともなる。逆に大粒径の着色粒子が一定量以上存在すると、細線再現性が不十分となる。本発明では、これらカブリや細線再現性といった画質上の問題やクリーニング不良の問題を解決するために、体積平均粒径の下限値を2.0μmとし、1.0μm以下の着色粒子を10個数%以下に、5.0μmを超える着色粒子を5個数%以下に、それぞれ抑えることとしている。
【0018】
従って、本発明によれば、極めて細線再現性および階調性が良好で、視覚的に違和感を与えることのない、オフセット印刷並み、あるいはそれ以上の高画質な画像を得ることができるとともに、クリーニング性をも良好なものとすることができる。
【0019】
一方、本発明の静電潜像現像用カラートナー(以下、単に「トナー」という場合がある)を用いて画像を形成しようとする場合、オフセット印刷と同等の質感の画像を得るべく、転写材上に形成される画像の単位面積当たりのトナーの重量を低減させることができる。画像の単位面積当たりのトナーの重量を低減させても、十分な画像濃度が達成でき、画像の耐水性、耐光性、あるいは耐溶剤性を確保するために、着色粒子に含まれる着色剤としては、着色力が高く、耐水性、耐光性、あるいは耐溶剤性に優れた顔料粒子を用いることが必須となる。
【0020】
本発明において、着色粒子の粒度分布は、さらに1.0〜2.5μmの着色粒子を5〜50個数%の範囲とすることであり、4.0μm以下の着色粒子を75個数%以上とする。特に、1.0〜2.5μmの着色粒子を5〜50個数%の範囲としているため、得られる画像の極ハイライト部の再現に要求される微小ドットを忠実に再現することができる。
(b)着色粒子
本発明において、着色粒子は、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有し、着色粒子中における顔料粒子の分散粒子平均粒径は、円相当径で0.3μm以下である。かかる分散粒子平均粒径は、円相当径で0.3μm以下とすることで、カ ラートナーの着色力、透明性を改善することができる。
【0021】
また、本発明において、着色粒子中における顔料粒子の顔料濃度をC(重量%)、着色粒子の真比重をa(g/cm3)、着色粒子の体積平均粒径をD(μm)とした場合に、下式(1)の関係を満たす。
25≦a・D・C≦90 ・・・(1)
上記式(1)の関係を満たすことで、少量のトナーでも十分な着色力を確保でき、非画像部へのトナーの飛び散りによる地汚れや、顔料の補強効果により着色粒子の溶融粘度が上昇し定着性が悪化するといった問題が解消される。
【0022】
特に顔料の色特有の発色性の相違や分子構造の相違等の観点より、各色毎に以下の各式(1−1)〜(1−4)の関係を満たすことが好ましい。
シアン顔料では、25≦a・D・C≦60 ・・・(1−1)
マゼンタ顔料では、25≦a・D・C≦60 ・・・(1−2)
イエロー顔料では、30≦a・D・C≦90 ・・・(1−3)
ブラック顔料では、25≦a・D・C≦60 ・・・(1−4)
【0023】
上記本発明の静電潜像現像用カラートナーは、少なくともキャリアとトナーとからなるいわゆる二成分系静電潜像現像剤のトナーとして用いることが好ましく、このときキャリアとしては、体積平均粒径が45μm以下であることが好ましく、また、表面に樹脂被覆層を有することが好ましい。
【0024】
そして、少なくとも、潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、潜像担持体に対向して配置された現像剤担持体の表面にトナーの層を形成せしめるトナー層形成工程と、該トナー層により潜像担持体上の静電潜像を現像する現像工程と、現像されたトナー画像を転写材上に転写する転写工程と、を有する画像形成方法において、上記本発明の静電潜像現像用カラートナーを用いれば、転写材上に得られる画像は極めて高画質となる。
【0025】
また、転写材上に、少なくともシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色のトナー画像を積層させて、フルカラー画像を形成するフルカラー画像形成方法において、使用するシアン、マゼンタおよびイエローのトナーを上記本発明の静電潜像現像用カラートナーとすれば、細線の再現性や、転写材上の画像の乱れが改善され、また画像厚みが低減され、極めて高画質の画像を形成することができる。
【0026】
この時、形成する各色のトナー画像において、トナーの重量がそれぞれ1cm2当たり0.40mg以下となるようにすれば、転写材上における画像の厚みが小さくなり、極めて高画質な画像を得ることができるため好ましい。特に画像面積率100%のベタ画像における各色のトナーの重量を1cm2当たり0.10〜0.40mgとなるようにすることが好ましい。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明は、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有する着色粒子からなる静電潜像現像用カラートナーであって、
(a)着色粒子の体積平均粒径が2.0〜4.5μmであり、1.0μm以下の着色粒子が10個数%以下であり、5.0μmを超える着色粒子が5個数%以下であり、4.0μm以下の着色粒子が75個数%以上であり、1.0〜2.5μmの着色粒子が5〜50個数%の範囲であり、
(b)着色剤が顔料粒子であり、該顔料粒子の分散粒子平均粒径が、円相当径で0.3μm以下であり、着色粒子中における顔料粒子の顔料濃度をC(重量%)、着色粒子の真比重をa(g/cm3)、着色粒子の体積平均粒径をD(μm)とした場合に、下式(1)の関係を満たすあることを特徴とする静電潜像現像用カラートナーである。
【0028】
(a)着色粒子の粒径および粒度分布
既述の如く、細線の再現性や階調性の向上を達成する上で、着色粒子の体積平均粒径としては少なくとも4.5μm以下であることが必須となる。4.5μmを超えると、粗大粒子の比率が大きくなり細線再現性や階調性が低下する。なお、本発明でいう「細線の再現性」とは、主として30〜60μm、好ましくは30〜40μmの幅の細線を忠実に再現可能か否かを意味し、さらに同程度の径のドットを再現し得るかについても考慮に入れたものである。
【0029】
一方、着色粒子の体積平均粒径の下限値としては、2.0μm以上とすることが必須となる。2.0μm未満であると、トナーとしての粉体流動性、現像性、あるいは転写性が悪化し、感光体表面に残留するトナーのクリーニング性が低下する等、粉体特性低下に伴う種々の不具合が生じてくる可能性がある。
【0030】
以上を考慮して、着色粒子の体積平均粒径の範囲としては2.0〜4.5μmであり、好ましくは2.0〜4.0μm、さらに好ましく2.0〜3.5μmである。
【0031】
本発明においては、さらに着色粒子の粒度分布を規定する。具体的には、全着色粒子中、1.0μm以下の着色粒子が10個数%以下であり、5.0μmを超える着色粒子が5個数%以下であり、4.0μm以下の着色粒子が75個数%以上であり、1.0〜2.5μmの着色粒子が5〜50個数%の範囲であるような粒度分布とすることが必須となる。
【0032】
全着色粒子中1.0μm以下の着色粒子が10個数%を超えると、着色粒子の非静電気的付着力が大きくなるため、クリーニング不良が生じ易くなる。なお、全着色粒子中1.0μm以下の着色粒子の個数を上記範囲とすることで、カブリも改善される。
【0033】
一方、全着色粒子中5.0μmを超える着色粒子が5個数%を超えると、本発明の目的とするところの細線再現性の向上が達成できなくなってしまう。
【0034】
また、着色粒子の粒度分布の大粒径側を規定するパラメーターとして、本発明においては5.0μmを超える着色粒子の個数%の他、さらに4.0μmを基準の粒径として、全着色粒子中、4.0μm以下の着色粒子が75個数%以上であることが必須となる。なお、本発明における着色粒子の体積平均粒径や粒度分布の状況から見て、全着色粒子中4.0μm以下の着色粒子が75個数%以上である場合には、5.0μmを超える着色粒子は、一般に10個数%以下となる。
【0035】
本発明の静電潜像現像用カラートナー中の着色粒子の粒度分布としては、得られる画像の極ハイライト部の再現に要求される微小ドットを忠実に再現すべく、さらに全着色粒子中、1.0〜2.5μmの着色粒子が5〜50個数%であることが必須であり、好ましくは10〜45個数%である。1.0〜2.5μmの着色粒子が50個数%を超えると現像時に、より大径側の着色粒子が選択的に消費される選択現像が生じやすく、1.0〜2.5μmの比較的小径の着色粒子が消費されにくくなり、多数枚複写時のカブリやクリーニング不良といった不具合を起こしやすくなる。一方、1.0〜2.5μmの着色粒子が5個数%未満であると微小ドットの再現性が低下しやすい。
【0036】
このような粒度分布の着色粒子を得るためには、粉砕法で得る場合には粉砕および分級の条件を、重合法で得る場合には重合条件を、それぞれ適宜設定すればよい。通常の粉砕法で出来る限り粒径を小さくしようとすると、過粉砕が生じにくくなり、本発明における着色粒子の粒度分布に近い粉砕物が得られ、分級機を使用して粒度分布を調整する必要がほとんどなく、また、粒度分布調整の必要があるとしても、除去する粉砕物の量が少なく、粉砕法によることが製造のコストを低く抑えられるため、好ましい。
【0037】
なお、着色粒子の粒度分布は種々の方法で測定できるが、本発明においてはコールターカウンターTA2型(コールター社製)を用い、アパーチャー径を50μmとして測定を行い、1μm以下のトナー粒子の個数分布を測定する時のみアパーチャー径を30μmとして測定を行った。
【0038】
具体的には、塩化ナトリウム水溶液(10g/リットル)中に分散液(界面活性剤:トリトンX100)2〜3滴と測定試料を加え、超音波分散機で1分間分散処理を行った後、上記装置を用いて測定を実施した。
【0039】
(b)着色粒子
本発明において、着色粒子は、少なくとも結着樹脂および着色剤を含有する。着色粒子に含有される結着樹脂は、ガラス転移点が50〜80℃であることが好ましく、より好ましくは55〜75℃である。ガラス転移点が50℃未満であると熱保存性が低下し、80℃を超えると低温定着性が低下するため、それぞれ好ましくない。
【0040】
また、結着樹脂の軟化点としては80〜150℃であることが好ましく、より好ましくは90〜150℃、さらに好ましくは100〜140℃である。軟化点が80℃未満であると熱保存性が低下し、150℃を超えると低温定着性が低下するため、それぞれ好ましくない。
さらに結着樹脂の数平均分子量としては1000〜50000、重量平均分子量としては7000〜500000の範囲がそれぞれ好ましい。
【0041】
結着樹脂としては、トナーの結着樹脂として従来より用いられているものが特に制限なく用いられるが、スチレン系ポリマー、(メタ)アクリル酸エステル系ポリマー、およびスチレン−(メタ)アクリル酸エステル系ポリマーとしては、下記のスチレン系モノマー、(メタ)アクリル酸エステルモノマー、この他のアクリル系またはメタクリル系モノマー、ビニルエーテルモノマー、ビニルケトンモノマー、N−ビニル化合物モノマー等から適宜選ばれる1種または2種以上のモノマーを重合させて得られるポリマーが好適に用いられる。
【0042】
スチレン系モノマーとしては、例えばスチレン、o−メチルスチレン、エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、ブチルスチレン、などのスチレン誘導体、などのスチレン誘導体が挙げられる。
【0043】
また(メタ)アクリル酸エステルモノマーとしては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、などの(メタ)アクリル酸エステル類、などが挙げられる。
【0044】
他のアクリル系またはメタクリル系モノマーとしては、例えばアクリロニトリル、メタアクリルアミド、グリシジルメタアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどが挙げられる。
【0045】
またビニルエーテルモノマーとしては、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類が挙げられる。
【0046】
また、ビニルケトンモノマーとしては、例えばビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類が挙げられる。
【0047】
また、N−ビニル化合物モノマーとしては、例えばN−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドールなどのN−ビニル化合物などが挙げられる。
【0048】
本発明においては、定着性の観点からポリエステルが結着樹脂として好適に用いられる。かかるポリエステルとしては、多価カルボン酸と多価アルコールの重縮合によって合成されるものが使用できる。
【0049】
多価のアルコールモノマーとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなど脂肪族アルコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールなどの脂環式アルコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等のビスフェノール−誘導体、多価のカルボン酸としてはフタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸などの芳香族カルボン酸およびその酸無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデセニルコハク酸等の飽和および不飽和カルボン酸およびその酸無水物が使用できる。
【0050】
着色粒子に含有される着色剤としては顔料粒子を用いる。本発明においては、画像の単位面積当たりのトナーの重量を低減させても、十分な画像濃度が達成でき、画像の耐水性、耐光性、あるいは耐溶剤性を確保するために、着色粒子に含まれる着色剤としては、着色力が高く、耐水性、耐光性、あるいは耐溶剤性に優れた顔料粒子を用いることが必須となる。
【0051】
使用可能な顔料の種類としてはカーボンブラック、ニグロシン、黒鉛、C.I.ピグメントレッド48:1、48:2、48:3、53:1、57:1、112、122、123、5、139、144、149、166、177、178、222、C.I.ピグンメトイエロー12、14、17、97、180、188、93、94、138、174、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントブルー15:3、15、15:2、60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられ、このなかでも特に、カーボンブラック、C.I.ピグメントレッド48:1、48:2、48:3、53:1、57:1、112、122、123、C.I.ピグンメトイエロー12、14、17、97、180、188、C.I.ピグメントブルー15:3が好ましい。これら顔料は単独で使用可能な他、2種以上組み合せて使用してもよい。
【0052】
本発明者らは既に、カラートナーの着色力、透明性を改善するために、メルトフラッシング法によりトナーの着色剤である顔料微粒子の結着樹脂中の分散粒子平均粒径を円相当径で0.3μm以下にして使用する方法を提案したが(特開平4−242752号)、この手法は、着色粒子中の着色剤濃度を高くする必要のある本発明の静電潜像現像用カラートナーに極めて有効である。即ち、顔料粒子を結着樹脂中に分散する手段としてのメルトフラッシング法とは、顔料製造工程の顔料含水ケーキ中の水分を溶融した結着樹脂で置換する方法であり、この方法によれば、顔料微粒子の結着樹脂中の分散粒子平均粒径を円相当径で0.3μm以下にすることが容易であり、トナーの透明性を確保でき、良好な色再現が可能となるため好ましい。
【0053】
なお、本発明において顔料微粒子の結着樹脂中の分散粒子平均粒径の円相当径とは、着色粒子の一部を取り出し、樹脂で包埋後、着色粒子中の顔料粒子の分散状態を観察できるように観察用薄片を切り出し、透過型電子顕微鏡で倍率15,000倍の拡大写真を撮影し、画像解析装置にて顔料粒子の面積を測定し、該面積に相当する円の直径を計算した値をいう。
【0054】
本発明の静電潜像現像用カラートナーにおいて、着色粒子は体積平均粒径が4.5μm以下であり、着色粒子一個あたりの着色力を高くする必要がある。特に、着色粒子を転写材上で重ねあわせて発色させるフルカラー画像の場合、着色粒子の透明性が良好でないと赤、緑等の二次色やプロセスブラックの様な三次色を表現する際、上層の着色粒子により下層の発色が疎外され、良好な色再現が為されないことがあるが、結着樹脂中の分散粒子平均粒径を円相当径で0.3μm以下にして使用することでこの問題を解決することが可能となる。
【0055】
既述の如く本発明の静電潜像現像用カラートナーは小粒径であり、従来の、より粒径の大きいトナーと同様の顔料濃度では、十分な画像濃度が得られにくい。また、本発明の静電潜像現像用カラートナーは小粒径であると一口に言っても、その体積平均粒径には2.0μmから4.5μmまでと幅があり、ベタ画像における単位面積当たりのトナーの重量(TMA)にも大きな差が出てくる。従って、必要な顔料濃度は、TMAに応じて設定することが望ましい。
【0056】
TMAは着色粒子の体積平均粒径D(μm)および真比重aで決定するものであり、本発明において、着色粒子中の顔料濃度C(%)は、以下の関係式(1)を満たすものとする。
25≦a・D・C≦90 ・・・(1)
【0057】
a・D・C(以下、略して「aDC」という場合がある)の値が25未満であると、着色力が十分でなく所望の画像濃度を得にくく、所望の画像濃度を得るために現像時形成するトナーの量を多くすると、折角着色粒子を小径化したにも拘らず、画像光沢差が生じ、画像の厚みが増し、細線の再現性も低下し、また転写性も低下する。
【0058】
一方、aDCの値が90を超えると、十分な画像濃度は得られるものの、少量の非画像部へのトナーの飛び散りによる地汚れが生じやすくなる、顔料の補強効果により着色粒子の溶融粘度が上昇し定着性が悪化する、等の不具合を生ずる可能性がある。
【0059】
また、色の違いにより着色力にも相違があり、各色毎に以下の関係式(1−1)〜(1−4)を満たすものとすることが、より好ましい。
シアン: 25≦a・D・C≦90 ・・・(1−1)
マゼンタ: 25≦a・D・C≦60 ・・・(1−2)
イエロー: 30≦a・D・C≦90 ・・・(1−3)
ブラック: 25≦a・D・C≦60 ・・・(1−4)
【0060】
勿論、同一色の顔料であっても化学構造式等の違いにより、着色力は異なってくるため、顔料濃度は用いる顔料の種類に応じて、好ましくは上記範囲内で適宜設定すればよい。
【0061】
着色粒子は、粉砕法あるいは懸濁重合や乳化重合による重合法等、従来より公知の如何なる方法によっても製造することができる。ここで、粉砕法とは、結着樹脂と着色剤、必要に応じてその他添加剤等を予備混合した後、混練機にて溶融混練し、冷却後粉砕、分級を行い規定粒度分布に揃えるものである。
【0062】
〔その他の添加剤〕
本発明においては、帯電制御を目的とした外添剤を添加することが好ましい。外添剤として使用可能な無機微粉末の材料としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化鉄などの金属酸化物、窒化チタンなどの窒化物、チタン化合物などが挙げられる。外添剤の添加量としては、着色粒子100重量部に対して、好ましくは0.05〜10重量部であり、より好ましくは0.1〜8重量部である。
【0063】
トナーに上記無機微粉末を添加する方法としては、例えば、ヘンシェルミキサーに無機微粉末と着色粒子とを入れ、混合するという従来公知の方法を採用することができる。
【0064】
さらに本発明においては、粉体流動性や粉体付着性等の粉体特性を良好なものとし、転写効率および帯電性の低下を防止し、環境依存性を緩和するために、外添剤として、少なくとも30nm以上200nm以下の一次粒子平均粒径を有する超微粒子の1種以上と、5nm以上30nm未満の一次粒子平均粒径を有する極超微粒子の1種以上とを用いることが好ましい。
【0065】
超微粒子は、着色粒子同士、あるいは、着色粒子と感光体またはキャリアとの付着力を低減させ、現像性、転写性、あるいはクリーニング性の低下を防止する働きがある。超微粒子の平均一次粒子径は、30nm以上200nm以下、より好ましくは35nm以上150nm以下、さらに好ましくは35nm以上100nm以下である。200nmを超えるとトナーから脱離しやすくなり、付着力低減効果が発揮できなくなる。一方、30nm未満では、後述の極超微粒子の働きをするものとなってしまう。
【0066】
極超微粒子は、トナー(着色粒子)の流動性を向上させ、凝集度を低下させるとともに、熱凝集の抑制等の効果より環境安定性の向上に寄与する。極超微粒子の平均一次粒子径は、5nm以上30nm未満、より好ましくは5nm以上29nm未満、さらに好ましくは10nm以上29nm以下である。5nm未満であるとトナーが受けるストレスにより着色粒子表面に埋没しやすい。一方、30nm以上では、前述の超微粒子の働きをするものとなってしまう。なお、本明細書において「一次粒子径」とは球相当の一次粒子径をいう。
【0067】
超微粒子としては、疎水化された酸化ケイ素、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化鉄などの金属酸化物、窒化チタンなどの窒化物、チタン化合物からなる微粒子が挙げられ、疎水化された酸化ケイ素からなる微粒子であることが好ましい。疎水化は、疎水化処理剤により処理することにより為され、疎水化処理剤としてはクロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、シリル化イソシアネートのいずれも使用可能である。具体的にはメチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
【0068】
極超微粒子としては、疎水性のチタン化合物、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化スズ、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化鉄などの金属酸化物、窒化チタンなどの窒化物からなる微粒子が挙げられ、なかでも、チタン化合物微粒子であることが好ましい。
【0069】
また、チタン化合物微粒子としては、高度に疎水性であり、焼成処理がないため凝集体を発生しにくく、外添時に分散性が良好であるメタチタン酸とシラン化合物との反応生成物であることが好ましい。また、その際のシラン化合物としては、トナーの帯電制御が良好であり、キャリアや感光体への付着性を低減できるアルキルアルコキシシラン化合物および/またはフルオロアルキルアルコキシシラン化合物が好ましく用いられる。
【0070】
メタチタン酸とアルキルアルコキシシラン化合物および/またはフルオロアルキルアルコキシシラン化合物との反応生成物であるメタチタン酸化合物としては、硫酸加水分解反応により合成されたメタチタン酸を解膠処理した後、ベースのメタチタン酸をアルキルアルコキシシラン化合物および/またはフルオロアルキルアルコキシシラン化合物とを反応させたものが好適に使用できる。メタチタン酸と反応させるアルキルアルコキシシランとしては、例えばメチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン等が、また、フルオロアルキルアルコキシシラン化合物としては例えばトリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルメチルジメトキシシラン、(トリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン、3−(ヘプタフルオロイソプロポキシ)プロピルトリエトキシシラン等が使用可能である。
【0071】
超微粒子と極超微粒子との2種類の外添剤を使用することにより、両者の添加による効果を併せ持つものとなる。
【0072】
しかし、外添剤の添加量が全体として多過ぎると、遊離の(着色粒子に付着していない)外添剤が発生し、感光体やキャリア表面が外添剤で汚染されやすくなる。また、超微粒子と極超微粒子とはともにある程度の添加量が無ければ、両者を添加することによる効果が得られない。さらに、超微粒子の量が多過ぎると粉体流動性向上効果が得られず、極超微粒子の量が多過ぎると粉体付着性向上効果が得られない。従って、外添剤の添加量を適切にコントロールしてやる必要がある。
【0073】
上記、外添剤を添加することによる効果の出現や、各種粉体特性の変動は、添加する外添剤の絶対量に依存するものではなく、着色粒子表面に対する被覆率に依存するものである。ここで、外添剤の着色粒子表面に対する被覆率とは、着色粒子表面に同径の外添剤が単層で最密充填された状態を理想状態としての被覆率100%であるとした場合に、実際の外添剤が、実際の着色粒子の表面に対してどの程度被覆しているかを%で表したものをいう。これを式で表すと、下式(2)の通りになる。
【0074】
F=√3・D・ρt・(2π・d・ρa)−1・C×100 ・・・(2)
(上記式中、Fは被覆率(%)、Dは着色粒子の体積平均粒径(μm)、ρtは着色粒子の真比重、dは外添剤の一次粒子平均粒径(μm)、ρaは外添剤の真比重、およびCは外添剤の重量x(g)と着色粒子の重量y(g)との比(x/y)をそれぞれ表す。)
【0075】
本発明においては、以上の式(2)で求められる着色粒子表面に対する外添剤の被覆率が、超微粒子Faおよび極超微粒子Fbの双方について20%以上であり、全外添剤の被覆率の合計が100%以下であることが好ましい。なお、「全外添剤の被覆率の合計」とは、添加される各外添剤についての被覆率を個々に計算し、得られた各外添剤の被覆率を合計したものを指す。
【0076】
超微粒子の被覆率Faが20%未満であると、超微粒子を添加する効果が得られなくなる。超微粒子の被覆率Faは、好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30〜60%である。
【0077】
極超微粒子の被覆率Fbが20%未満であると、極超微粒子を添加する効果が得られなくなる。極超微粒子の被覆率Fbは、好ましくは20〜80%、さらに好ましくは30〜60%である。
【0078】
全外添剤の被覆率の合計が100%を超えると、遊離の外添剤が多く発生するため、感光体やキャリア表面が外添剤で汚染されやすくなる。全外添剤の被覆率の合計は、好ましくは40〜100%、さらに好ましくは50〜90%である。
【0079】
超微粒子の被覆率Fa(%)と、極超微粒子の被覆率Fb(%)との関係としては、下式(3)を満たすことがより好ましい。
0.5≦Fb/Fa≦4.0 ・・・(3)
この範囲を外れると、超微粒子または極超微粒子を添加する効果が得られにくくなるため好ましくない。また、超微粒子または極超微粒子を添加する効果を最適なものとするためには、下式(3’)を満たすことがさらに好ましい。
0.5≦Fb/Fa≦2.5 ・・・(3’)
【0080】
トナーに上記超微粒子および極超微粒子を添加する方法としては、例えば、ヘンシェルミキサーに超微粒子、極超微粒子および着色粒子を入れ、混合するという従来公知の方法を採用することができる。
【0081】
本発明の静電潜像現像用カラートナーには色再現性、透明性に影響を与えない範囲において、必要に応じて帯電制御剤、離型剤などを添加してもよい。帯電制御剤としてはクロム系アゾ染料、鉄系アゾ染料、アルミニウムアゾ染料、サリチル酸金属錯体、有機ホウ素化合物などを挙げることができる。離型剤としては、低分子量プロピレン、低分子量ポリエチレンなどのポリオレフィンやパラフィンワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス、モンタンワックス等の天然ワックスおよびその誘導体などを挙げることができる。
【0082】
〔静電潜像現像剤〕
上記本発明の静電潜像現像用カラートナーは、キャリアとともに混合され、二成分系の静電潜像現像剤として使用される。
【0083】
本発明の静電潜像現像用カラートナーとともに好ましく用いられるキャリアとしては特に限定されるものではなく、鉄粉、フェライト、酸化鉄粉、ニッケル等の磁性体粒子、磁性体粒子を芯材として、その表面をスチレン系樹脂、ビニル系樹脂、エチル系樹脂、ロジン系樹脂、ポリエステル系樹脂、メチル系樹脂などの公知の樹脂で被覆し、樹脂被覆層を形成させてなる被覆樹脂型キャリア粒子、或いは結着樹脂中に磁性体微粒子を分散させてなる磁性体分散型キャリア粒子等を挙げることができる。
【0084】
なかでも、樹脂被覆層を有する被覆樹脂型キャリアは、トナーの帯電性やキャリア全体の抵抗を樹脂被覆層の構成により制御可能となるため、特に好ましい。
樹脂被膜層の材料としては、当業界で従来よりキャリアの樹脂被膜層の材料として使用されているあらゆる樹脂から選択することができる。また樹脂の種類は単独でも2種以上でもよい。
【0085】
キャリアの粒径としては、体積平均粒子径として45μm以下であることが好ましく、より好ましくは10〜40μm、さらに好ましくは15〜35μmである。キャリアの体積平均粒子径を45μm以下とすることにより、トナー(着色粒子)の小粒径化による帯電の立ち上がりや帯電分布の悪化および帯電量の低下に由来する地汚れや濃度ムラを改善することができる。
【0086】
静電潜像現像用カラートナーとキャリアとの混合比としては、重量比で1:100〜20:100の範囲が好ましく、より好ましくは2:100〜15:100の範囲、さらに好ましくは3:100〜10:100の範囲である。
【0087】
〔画像形成方法〕
本発明の静電潜像現像用カラートナーは、少なくとも、潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、潜像担持体に対向して配置された現像剤担持体の表面にトナーの層を形成せしめるトナー層形成工程と、該トナー層により潜像担持体上の静電潜像を現像する現像工程と、現像されたトナー画像を転写材上に転写する転写工程と、を有する画像形成方法において、好適に使用される。
【0088】
本発明の静電潜像現像用カラートナーを使用することで、得られる画像は、細線再現性、階調性が良好でカブリのないものとなる。細線再現性が良好なことから、特にデシタル潜像を現像するのに極めて好適である。
【0089】
さらに、転写材上に、少なくともシアン、マゼンタおよびイエローの3色、またはさらにブラックの4色のトナー画像を積層させて、フルカラー画像を形成する画像形成方法において、これら3色または4色のトナーとして本発明の静電潜像現像用カラートナーを使用すれば、得られる画像は、細線再現性、階調性が良好でカブリのないものであるとともに、トナーの粒径が小さいため、細線再現性、階調性およびハイライト部位粒状性が良好であるとともに、着色粒子中の顔料濃度を高くしても細線再現性、階調性、およびハイライト部位粒状性の低下が起こらず、着色粒子中の顔料濃度を高くして、転写材上に形成される画像の単位面積当たりのトナー重量を低減することができ、転写材上に形成されるトナー画像の厚みを小さく抑えられるため、視覚的に違和感を与えることのない、オフセット印刷並み、あるいはそれ以上の高画質を達成するすることができる。また、転写材上のトナー画像の厚みが小さいことで、その凹凸が小さく外力からの損傷を受けにくいため、形成された画像は耐性の高いものとなる。
【0090】
この時、形成する各色のトナー画像において、1cm2当たりのトナーの重量(TMA)がそれぞれ0.40mg以下となるようにすることが好ましく、より好ましくは0.35mg以下、さらに好ましくは0.30mg以下である。このようにTMAを低く抑えることにより、転写材上のトナー画像の厚みを小さくすることができ、視覚的に違和感のない、オフセット印刷並みの高画質を達成するすることができる。また、転写材上のトナー画像の厚みが小さいことで、その凹凸が小さく外力からの損傷を受けにくいため、形成された画像は耐性の高いものとなる。
【0091】
特に転写材上に、シアン、マゼンタおよびイエローの3色の各トナーによりトナー画像を積層させてなるプロセスブラックは、通常のトナーではトナー画像の厚みが大きくなりがちであり、画像の質感が低下し易かったが、各色のTMAを低く抑えることにより、転写材上のトナー画像の厚みを十分に小さくすることができるため高画質を達成することができる。なお、プロセスブラックの鮮明な発色を期する上で、画像面積率100%の領域においてプロセスブラックを形成する場合の各色のTMAとしては0.10mg以上とすることが好ましく、より好ましくは0.12mg以上、さらに好ましくは0.15mg以上である。
【0092】
勿論、ブラックトナーのみで画像面積率100%のブラックのベタ画像を得ようとする場合や、その他単色のトナーで画像面積率100%のベタ画像を得ようとする場合にも、従来のトナーではかなりの厚みになり、質感が損なわれていたが、TMAを低く抑えることにより、転写材上のトナー画像の厚みを十分に小さくすることができるため高画質を達成することができる。従って、ブラックのトナーにより画像面積率100%のベタ画像を得ようとする場合のTMAとしては0.10mg以上とすることが好ましく、より好ましくは0.12mg以上、さらに好ましくは0.15mg以上であり、他の単色のトナーによる画像面積率100%のベタ画像の場合も同様である。
【0093】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0094】
▲1▼トナーの作製
1)フラッシング顔料の作製
<マゼンタフラッシング顔料>
ポリエステル樹脂(ビスフェノールA型ポリエステル:ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物−シクロヘキサンジメタノール−テレフタル酸、重量平均分子量:11,000、数平均分子量:3,500、Tg:65℃)70重量部とマゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド57:1)含水ペースト(顔料分40重量%)75重量部をニーダー型混練機に入れ混合し、徐々に加熱した。120℃で混練を継続して、水相と樹脂相が分離した後、水を除去し、さらに樹脂相を混練して水を取り除き、脱水してマゼンタフラッシング顔料を得た。
【0095】
<シアンフラッシング顔料>
マゼンタ顔料含水ペーストをシアン顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)含水ペースト(顔料分40重量%)に代えた他はマゼンタフラッシング顔料と同様にしてシアンフラッシング顔料を得た。
【0096】
<イエローフラッシング顔料>
マゼンタ顔料含水ペーストをイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー17)含水ペースト(顔料分40重量%)に代えた他はマゼンタフラッシング顔料と同様にしてイエローフラッシング顔料を得た。
【0097】
2)着色粒子の作製
<着色粒子の作製例1>
・ポリエステル樹脂(ビスフェノールA型ポリエステル:ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物−シクロヘキサンジメタノール−テレフタル酸、重量平均分子量:11000、数平均分子量:3500、Tg:65℃): 66.7重量部
・上記マゼンタフラッシング顔料(顔料分30重量%): 33.3重量部
上記成分をバンバリーミキサーにより溶融混錬し、冷却後ジェットミルによる微粉砕と風力分級機による分級を行い、粉砕および分級の条件を変えて表1に示す各粒度分布の着色粒子A、B、J、T、Uを得た。
【0098】
なお、粒子の粒径および粒度分布の測定は、コールターカウンター社製コールターカウンターTA−II型を用いて測定した。このとき、トナー(着色粒子)の平均粒子径が5μmを超える場合は100μmのアパーチャーチューブを使用し、5μm以下のものはアパーチャー径を50μmとして測定を行い、1μm以下の粒子の個数分布を測定する時には、アパーチャー径を30μmとして測定を行った(以降、粒子の粒径および粒度分布の測定について、同様)。
【0099】
<着色粒子の作製例2>
マゼンタフラッシング顔料をシアンフラッシング顔料に代えた他は、着色粒子の作製例1と同様にして表1に示す着色粒子Dを得た。なお、粉砕および分級の条件は、表1に示す粒度分布となるように調整した。
【0100】
<着色粒子の作製例3>
ポリエステル樹脂を50重量部とし、マゼンタフラッシング顔料25重量部をイエローフラッシング顔料50重量部に代えた他は、着色粒子の作製例1と同様にして、表1に示す着色粒子Eを得た。なお、粉砕および分級の条件は、表1に示す粒度分布となるように調整した。
【0101】
<着色粒子の作製例4>
ポリエステル樹脂を90重量部とし、マゼンタフラッシング顔料25重量部をカーボンブラック(一次粒子平均径40nm)10重量部に代えた他は、着色粒子の作製例1と同様にして、表1に示す着色粒子Cを得た。なお、粉砕および分級の条件は、表1に示す粒度分布となるように調整した。
【0102】
<着色粒子の作製例5>
ポリエステル樹脂を73.3重量部とし、マゼンタフラッシング顔料を26.7重量部とした他は、着色粒子の作製例1と同様にして、表1に示す着色粒子Fを得た。なお、粉砕および分級の条件は、表1に示す粒度分布となるように調整した。
【0103】
<着色粒子の作製例6>
ポリエステル樹脂を80重量部とし、マゼンタフラッシング顔料を20重量部とした他は、着色粒子の作製例1と同様にして、表1に示す着色粒子Lを得た。なお、粉砕および分級の条件は、表1に示す粒度分布となるように調整した。
【0104】
<着色粒子の作製例7>
ポリエステル樹脂を86.7重量部とし、マゼンタフラッシング顔料を13.3重量部とした他は、着色粒子の作製例1と同様にして、表1に示す着色粒子Pを得た。なお、粉砕および分級の条件は、表1に示す粒度分布となるように調整した。
【0105】
<着色粒子の作製例8>
ポリエステル樹脂を73.3重量部とし、シアンフラッシング顔料を26.7重量部とした他は、着色粒子の作製例2と同様にして、表1に示す着色粒子Hを得た。なお、粉砕および分級の条件は、表1に示す粒度分布となるように調整した。
【0106】
<着色粒子の作製例9>
ポリエステル樹脂を80重量部とし、シアンフラッシング顔料を20重量部とした他は、着色粒子の作製例2と同様にして、表1に示す着色粒子Nを得た。なお、粉砕および分級の条件は、表1に示す粒度分布となるように調整した。
【0107】
<着色粒子の作製例10>
ポリエステル樹脂を86.7重量部とし、シアンフラッシング顔料を13.3重量部とした他は、着色粒子の作製例2と同様にして、表1に示す着色粒子Rを得た。なお、粉砕および分級の条件は、表1に示す粒度分布となるように調整した。
【0108】
<着色粒子の作製例11>
ポリエステル樹脂を60重量部とし、イエローフラッシング顔料を40重量部とした他は、着色粒子の作製例3と同様にして、表1に示す着色粒子Iを得た。なお、粉砕および分級の条件は、表1に示す粒度分布となるように調整した。
【0109】
<着色粒子の作製例12>
ポリエステル樹脂を73.3重量部とし、イエローフラッシング顔料を26.7重量部とした他は、着色粒子の作製例3と同様にして、表1に示す着色粒子Oを得た。なお、粉砕および分級の条件は、表1に示す粒度分布となるように調整した。
【0110】
<着色粒子の作製例13>
ポリエステル樹脂を83.3重量部とし、イエローフラッシング顔料を16.7重量部とした他は、着色粒子の作製例3と同様にして、表1に示す着色粒子Sを得た。なお、粉砕および分級の条件は、表1に示す粒度分布となるように調整した。
【0111】
<着色粒子の作製例14>
ポリエステル樹脂を93重量部とし、カーボンブラックを7重量部とした他は、着色粒子の作製例4と同様にして、表1に示す着色粒子Gを得た。なお、粉砕および分級の条件は、表1に示す粒度分布となるように調整した。
【0112】
<着色粒子の作製例15>
ポリエステル樹脂を96重量部とし、カーボンブラックを4重量部とした他は、着色粒子の作製例4と同様にして、表1に示す着色粒子Mを得た。なお、粉砕および分級の条件は、表1に示す粒度分布となるように調整した。
【0113】
<着色粒子の作製例16>
ポリエステル樹脂を97重量部とし、カーボンブラックを3重量部とした他は、着色粒子の作製例4と同様にして、表1に示す着色粒子Qを得た。なお、粉砕および分級の条件は、表1に示す粒度分布となるように調整した。
【0114】
下記表1には、以上で得られた着色粒子A〜Uの粒度に関する記載の他、各着色粒子中の顔料濃度C(%)、各着色粒子の真比重a、これらの値と体積平均粒径D(μm)とから計算されるaDC、および、顔料微粒子の結着樹脂中の分散粒子平均粒径(円相当径:μm)も併せて記載した。
【0115】
【表1】
【0116】
3)静電潜像現像用カラートナーの作製
前記A〜Uの各着色粒子に、ヘキサメチルジシラザン(以下、「HMDS」と略す場合がある)で表面疎水化処理した一次粒子平均粒径40nmのシリカ(SiO2)微粒子と、メタチタン酸とイソブチルトリメトキシシランの反応生成物である一次粒子平均粒径20nmのメタチタン酸化合物微粒子とを、それぞれの着色粒子の表面に対する被覆率が40%となるように添加し、ヘンシェルミキサーで混合し、静電潜像現像用カラートナーA〜Uを作製した(得られた各静電潜像現像用カラートナーに付されたA〜Uの記号は、用いた着色粒子の各符号A〜Uに対応する)。
なお、ここでいう着色粒子の表面に対する被覆率とは、前述の式(2)により求められる値F(%)をいう。
【0117】
▲2▼キャリア製造例
体積平均粒子径40μmのCu−Znフェライト微粒子100重量部にγ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.1重量部を含有するメタノール溶液を添加し、ニーダーで被覆した後、メタノールを留去し、さらに120℃で2時間加熱して上記シラン化合物を完全に硬化させた。この粒子に、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクレート共重合体(共重合比40:60)をトルエンに溶解させたものを添加し、真空減圧型ニーダーを使用してパーフルオロオクチルエチルメタクリレート−メチルメタクレート共重合体のコーティング量が0.5重量%となるように樹脂被覆し、以下の実施例および比較例で用いる樹脂被覆型キャリアを製造した。
【0118】
〔実施例1〕
樹脂被覆型キャリア;100重量部に対して、トナーA;4重量部をV型混合機により混合し、実施例1の二成分現像剤を得た。
【0119】
〔実施例2〕
トナーA;4重量部をトナーB;4重量部に代えた他は、実施例1と同様にして実施例2の二成分現像剤を得た。
【0120】
〔実施例3〕
トナーA;4重量部をトナーC;4重量部に代えた他は、実施例1と同様にして実施例3の二成分現像剤を得た。
【0121】
〔実施例4〕
トナーA;4重量部をトナーD;4重量部に代えた他は、実施例1と同様にして実施例4の二成分現像剤を得た。
【0122】
〔実施例5〕
トナーA;4重量部をトナーE;4重量部に代えた他は、実施例1と同様にして実施例5の二成分現像剤を得た。
【0123】
〔実施例6〕
トナーA;4重量部をトナーF;5重量部に代えた他は、実施例1と同様にして実施例6の二成分現像剤を得た。
【0124】
〔実施例7〕
トナーA;4重量部をトナーG;5重量部に代えた他は、実施例1と同様にして実施例7の二成分現像剤を得た。
【0125】
〔実施例8〕
トナーA;4重量部をトナーH;5重量部に代えた他は、実施例1と同様にして実施例8の二成分現像剤を得た。
【0126】
〔実施例9〕
トナーA;4重量部をトナーI;5重量部に代えた他は、実施例1と同様にして実施例9の二成分現像剤を得た。
【0128】
〔比較例1〕
トナーA;4重量部をトナーL;5重量部に代えた他は、実施例1と同様にして比較例1の二成分現像剤を得た。
【0129】
〔比較例2〕
トナーA;4重量部をトナーM;5重量部に代えた他は、実施例1と同様にして比較例2の二成分現像剤を得た。
【0130】
〔比較例3〕
トナーA;4重量部をトナーN;5重量部に代えた他は、実施例1と同様にして比較例3の二成分現像剤を得た。
【0131】
〔比較例4〕
トナーA;4重量部をトナーO;5重量部に代えた他は、実施例1と同様にして比較例4の二成分現像剤を得た。
【0132】
〔比較例5〕
トナーA;4重量部をトナーP;6重量部に代えた他は、実施例1と同様にして比較例5の二成分現像剤を得た。
【0133】
〔比較例6〕
トナーA;4重量部をトナーQ;6重量部に代えた他は、実施例1と同様にして比較例6の二成分現像剤を得た。
【0134】
〔比較例7〕
トナーA;4重量部をトナーR;6重量部に代えた他は、実施例1と同様にして比較例7の二成分現像剤を得た。
【0135】
〔比較例8〕
トナーA;4重量部をトナーS;6重量部に代えた他は、実施例1と同様にして比較例8の二成分現像剤を得た。
【0136】
〔比較例9〕
トナーA;4重量部をトナーT;4重量部に代えた他は、実施例1と同様にして比較例9の二成分現像剤を得た。
〔比較例10〕
トナーA;4重量部をトナーJ;5重量部に代えた他は、実施例1と同様にして比較例10の二成分現像剤を得た。
【0137】
[各種評価試験方法]
実施例1〜9および比較例1〜10において得られた、各二成分現像剤を使用して、以下に示すトナーの各種評価試験を行った。
【0138】
なお、下記各種評価試験においては、転写材として富士ゼロックス社製Jコート紙を使用し、画像形成装置として富士ゼロックス社製Acolor935改造機(外部電源により、現像時に電圧を調整できるように改造したもの(以下、単に「Acolor935改造機」という))を用い、全て温度22℃、湿度55%の環境条件にて行った。また、画像形成は、画像濃度1.6〜2.0の範囲内になるように適宜調整しつつ行った。
【0139】
<TMA>
面積率100%のベタ画像を作成し、当該画像部分の単位面積当たりのトナーの重量(TMA:mg/cm2)を測定した。具体的な測定方法としては、10cm2の面積の未定着ベタ画像を転写材上に作成し、これを秤量し、次いでエアブローにより転写材上の未定着トナーを除去した後、転写材のみの重量を測定し、未定着トナー除去前後の重量差からTMAを算出した。
【0140】
<画像濃度>
面積率100%のベタ画像を作成し、X−Rite404(X−Rite社製)を用いて、当該画像部分の画像濃度を測定した。
【0141】
<細線再現性評価試験>
感光体上に線幅50μmになるように細線の画像を形成し、それを転写材に転写および定着した。転写材上の定着像の細線の画像をVH−6200マイクロハイスコープ(キーエンス社製)を用いて倍率175倍で観察した。具体的な評価基準は以下の通りである。なお、◎および○を許容範囲とした。
◎:細線がトナーにより均一に埋まり、エッジ部での乱れもない。
○:細線がトナーにより均一に埋まっているが、エッジ部で僅かなぎざつきが見られる。
△:細線がトナーによりほぼ均一に埋まっているが、エッジ部でぎざつきが目立つ。
×:細線がトナーにより均一に埋まっていない。エッジ部でぎざつきが非常に目立つ。
【0142】
<階調再現性評価試験>
画像面積率10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、および100%の各水準の階調画像を作成し、X−Rite404(X−Rite社製)により画像濃度を測定し、階調性を判断した。具体的な評価基準は以下の通りである。なお、◎および○を許容範囲とした。
◎:低画像面積率部から高画像面積率部まで、全ての階調画像について階調性が非常に良好である。
○:低画像面積率部から高画像面積率部まで、全ての階調画像について階調性が良好である。
△:低画像面積率部での階調再現領域がやや狭く、階調性がやや不安定である。
×:高/低画像面積率部で階調再現領域が狭く、階調性が不安定である。
【0143】
<ハイライト部位粒状性>
画像面積率5%および10%の水準の階調画像を作成し、得られた画像を目視にて観察し、ハイライト部位粒状性を評価した。具体的な評価基準は以下の通りである。なお、◎および○を許容範囲とした。
◎:5%、10%ともに粒状性が非常に良好である。
○:5%での粒状性がやや悪いものの、総じて粒状性が良好である。
△:5%での粒状性が悪い。
×:5%、10%ともに粒状性が悪い。
【0144】
<クリーニング性評価試験>
3,000枚複写後にクリーニング不良が発生していないものを○、発生しているものを×とした。
【0145】
実施例1〜9および比較例1〜10の各現像剤(トナー)の評価結果を下記表2にまとめる。
【0146】
【表2】
【0147】
〔実施例1〜9および比較例1〜10の結果の考察〕
以上の結果より、本発明の静電潜像現像用カラートナーによれば、細線再現性、階調再現性およびハイライト部位粒状性の良好な画像形成が可能であるとともに、クリーニング性にも優れたものであることがわかる。
【0148】
これに対し、着色粒子の体積平均粒径の大きな比較例1〜8では、クリーニング性については問題ないものの、本発明が目的とするところの細線再現性、階調再現性およびハイライト部位粒状性が低く、満足のいく画質を得ることができない。また、比較例9では、細線再現性、階調再現性およびハイライト部位粒状性は良好なものの、クリーニング性が著しく悪化している。これは、着色粒子の体積平均粒径が小さいため、得られる画像自体は良好なものとすることができるが、1.0μm以下の着色粒子の割合が多いためと考えられ、結局実用に供することはできない。また、着色粒子の体積平均粒径がやや大きめの比較例10では、実施例に比べて、細線再現性、階調再現性およびハイライト部位粒状性が若干低下する。
【0149】
〔実施例10〕
実施例2、4、5および3で作製したマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各現像剤を使用して4色フルカラーのコピーテストを行った。コピーテストは、画像形成装置としてAcolor935改造機を用い、温度22℃、湿度55%の環境下で行った。なお、画像均一性は、写真画像を出力することにより行った。
評価項目としては、以下に示す通りである。また、結果は下記表3にまとめて示す。
【0150】
<TMA>
使用するマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各トナー単色における画像面積率100%の各ベタ画像、および、マゼンタ、シアンおよびイエローの3色からなる画像面積率100%のプロセスブラックのベタ画像をそれぞれ作成し、当該画像部分の単位面積当たりのトナーの重量(TMA:mg/cm2)を測定した。具体的な測定方法としては、実施例1〜9と同様である。
【0151】
<画像濃度>
使用するマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各トナー単色における画像面積率100%の各ベタ画像、および、マゼンタ、シアンおよびイエローの3色からなる画像面積率100%のプロセスブラックのベタ画像をそれぞれ作成し、X−Rite404(X−Rite社製)を用いて、当該画像部分の画像濃度を測定した。
【0152】
<ハイライト部位粒状性>
画像面積率5%および10%の水準の階調画像を作成し、得られた画像を目視にて観察し、ハイライト部位粒状性を評価した。具体的な評価基準は以下の通りである。なお、◎および○を許容範囲とした。
◎:5%、10%ともに粒状性が非常に良好である。
○:5%での粒状性がやや悪いものの、総じて粒状性が良好である。
△:5%での粒状性が悪い。
×:5%、10%ともに粒状性が悪い。
【0153】
<画像均一性>
得られた写真画像について、画像部と非画像部相互間や、高濃度部と低濃度部相互間における画像の凹凸の差による画像均一性の程度を目視により評価した。具体的な評価基準は以下の通りである。なお、○を許容範囲とした。
○:オフセット印刷と同等以上の画像均一性を有する。
△:オフセット印刷と比較して、若干画像均一性が落ちる。
×:オフセット印刷と比較して、明らかに画像均一性が落ちる。
【0154】
〔実施例11〕
実施例6、8、9および7で作製したマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各現像剤を使用して、実施例10と同様にして4色フルカラーのコピーテストを行った。結果は下記表3にまとめて示す。
【0155】
〔比較例11〕
比較例1、3、4および2で作製したマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各現像剤を使用して、実施例10と同様にして4色フルカラーのコピーテストを行った。結果は下記表3にまとめて示す。
【0156】
〔比較例12〕
比較例5、7、8および6で作製したマゼンタ、シアン、イエローおよびブラックの各現像剤を使用して、実施例10と同様にして4色フルカラーのコピーテストを行った。結果は下記表3にまとめて示す。
【0157】
【表3】
【0158】
〔実施例10〜11および比較例11〜12の結果の考察〕
以上の結果より、本発明の静電潜像現像用カラートナーを用いてフルカラーの画像を得た場合の実施例10および11では、3色重ね合わせた場合でもTMAを低く抑えることができ、ハイライト部位粒状性に優れ、また画像厚みによる違和感のない(画質均一性の高い)、良好なフルカラー画像が得られる。なお、実施例11においては、顔料濃度がやや低く、画像濃度を十分にすべくTMAがやや高めの値となっている関係上、画像厚みもやや大きくなり、実施例10に比べ、ハイライト部位粒状性および画質均一性の双方が低下している。しかし、許容範囲内であり、従来のトナーを用いた場合に比べれば十分に良好なものであるといえる。
【0159】
これに対し、着色粒子の体積平均粒径の大きな比較例11および12では、環境安定性、粉体流動性およびカブリについてはほぼ問題ないものの、細線再現性、階調再現性および画像均一性が低く、満足のいく画質を得ることができない。
【0160】
【発明の効果】
本発明によれば、細線再現性、階調再現性およびハイライト部位粒状性が良好で、高画質な画像(特にフルカラー画像)を形成し得るとともに、クリーニング性にも優れた静電潜像現像用カラートナー、静電潜像現像剤、およびそれを使用するフルカラー画像形成方法を提供することができ、これらは、特にデシタル潜像を現像するのに適している。
【0161】
さらに本発明によれば、オフセット印刷によって形成されるフルカラー画像と同等またはそれ以上の画質を達成することが可能な、静電潜像現像用カラートナー、静電潜像現像剤およびフルカラー画像形成方法を提供することができる。
Claims (5)
- 少なくとも結着樹脂および着色剤を含有する着色粒子からなる静電潜像現像用カラートナーであって、
(a)着色粒子の体積平均粒径が2.0〜4.5μmであり、1.0μm以下の着色粒子が10個数%以下であり、5.0μmを超える着色粒子が5個数%以下であり、4.0μm以下の着色粒子が75個数%以上であり、1.0〜2.5μmの着色粒子が5〜50個数%の範囲であり、
(b)着色剤が顔料粒子であり、該顔料粒子の分散粒子平均粒径が、円相当径で0.3μm以下であり、着色粒子中における顔料粒子の顔料濃度をC(重量%)、着色粒子の真比重をa(g/cm3)、着色粒子の体積平均粒径をD(μm)とした場合に、下式(1)の関係を満たすことを特徴とする静電潜像現像用カラートナー。
25≦a・D・C≦90 ・・・(1) - 少なくともキャリアとトナーとからなる静電潜像現像剤において、該トナーが請求項1に記載の静電潜像現像用カラートナーであることを特徴とする静電潜像現像剤。
- 前記キャリアの体積平均粒径が、45μm以下であることを特徴とする請求項2に記載の静電潜像現像剤。
- 少なくとも、潜像担持体に静電潜像を形成する潜像形成工程と、潜像担持体に対向して配置された現像剤担持体の表面にトナーの層を形成せしめるトナー層形成工程と、該トナー層により潜像担持体上の静電潜像を現像する現像工程と、現像されたトナー画像を転写材上に転写する転写工程とを有し、転写材上に、少なくとも、シアン、マゼンタおよびイエローの3色のトナー画像を積層させて、フルカラー画像を形成する画像形成方法において、使用する3色のトナーが、それぞれ請求項1に記載の静電潜像現像用カラートナーであることを特徴とするフルカラー画像形成方法。
- 形成する各色のトナー画像のトナー重量が、それぞれ1cm2当たり0.40mg以下であることを特徴とする請求項4に記載のフルカラー画像形成方法。
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