以下に本発明のパチンコ遊技機について図面を参照して説明する。パチンコ遊技機は、図1に示すように矩形状の外枠1の前面に遊技盤4を備えた中枠2がヒンジ機構3を介して水平方向へ片開き自在に蝶着され、その前面に遊技盤4が視認できる前面扉5が正面左側を枢支して開閉自在に設けられている。前面扉5の下部には遊技媒体としての遊技球が貯留される供給皿を備えた上受皿7が開閉自在に設けられ、その上受皿7の下部には上受皿7の余剰球が貯留される貯留皿と灰皿を備えた下受皿9が設けられている。また、下受皿9の右側方には遊技球の打力を調整する発射ハンドル10が設けられている。
前面扉5は、全体がパチンコ遊技機の上半分程度の大きさで方形状に形成され、遊技盤4の前面に位置して遊技領域4aが視認できる開口窓39を有している。また、前面扉5は、図2及び図3に示すように遊技者に視認される飾り枠となる表枠体50と、図柄意匠を描いた意匠シート51と、第一透明板52を備えた裏枠体53とで大略構成されており、意匠シート51を交換自在としてパチンコ遊技機の前面を装飾する装飾部材としての役割を成している。そして、前面扉5にはパチンコ遊技機を電気的に装飾する光源を備えた発光手段としてのLED54及び遊技状態に応じて効果音を出力する音出力手段としてのスピーカ55が設けられている。
ここで使用されるスピーカ55は、いわゆる圧電素子の圧電効果を利用した圧電スピーカであり、薄手の圧電素子と金属板を貼り合わせた振動部と平板状の振動板とで構成され、圧電素子に電圧を加えることにより発生する振動が振動板に伝達され、振動板が空気を振動させることで音が出力される。このように、薄型化されたスピーカ55を使用することでスピーカ55の設置位置も限定されず限られたスペースを有効に利用することができると共に、スピーカ55を複数設けても重量も嵩張らず迫力ある演出ができる。また、スピーカ55及びLED54は音声・ランプ制御基板によって制御され、本実施例ではスピーカ55及びLED54は同期して、スピーカ55により遊技動作に応じた効果音を発生すると共に遊技機を電気的に装飾するLED54が遊技状態の変化に応じて点滅し遊技機の装飾性を高めると共に、そのLED54の表示状態に応じて遊技者にゲームの進行状態を知らせたりするようになっている。音声ランプ制御基板は、主制御基板からの指示に従い音声やランプ表示の制御を司るCPUや、その他ROM、RWM(RAM)、各種ポート等を備えている。なお、実施例において音声・ランプ制御基板を1枚の基板としたが、音声及びランプの制御基板をそれぞれ別個に設けるようにしてもよい。なお、意匠シート51に直接振動部を貼着して意匠シート51を振動板としてもよい。さらに、表枠体50に振動部を貼着して音響効果を高めるようにしてもよい。
表枠体50は、具体的に透光性を有する合成樹脂材(ポリカーボネート,アクリル,ポリエチレン等)により方形状に形成され、図2及び図3に示すようにほぼ中央に所定の奥行きを有する短筒状の開口窓39を形成すると共に開口窓39の上部に膨出部50cが形成されている。また、図3に示すように表枠体50には、スピーカ55に対応する複数箇所に透音孔56が穿設されている。そして、透音孔56の後面に該透音孔56から針金等の不正具の侵入を防ぐ不正防止手段としての障害片57が設けられている。
意匠シート51は透光性を有する樹脂シートの表面に、表枠体50を介して視認できるパチンコ遊技機の名称や遊技盤4面の図柄・模様と関連する図柄・模様が描かれており、前面扉5を含む中枠2の全体がマッチングするように描かれた図柄意匠が前面扉5の表側に表示され、図柄・模様をLED54により浮かび上がらせるようにしている。また、意匠シート51にはスピーカ55に対応位置して小孔58が穿設されている。
裏枠体53は、ポリカーボネートやアクリル,ポリエチレン等の透明な合成樹脂材で形成され、図2及び図3に示すように表枠体50より一回り小さい方形状の板部53aに開口窓39より開口が大径であり所定の奥行きを有する方形箱枠53bを形成すると共に遊技盤4との間に遊技領域4aを形成する第一透明板52及びガイドレール6を一体に設けている。なお、第一透明板52の遊技盤4側の側面にシリコン樹脂等のコーティングにより耐磨耗処理を施して、遊技球の接触により表面に傷が付かないようにしている。箱枠53b内には、奥部に位置する第一透明板52から所定間隔を隔ててガラス等の透視性を有する第二透明板59の位置決め手段となる段部60が形成されている。
上記構成の前面扉5は、表枠体50の裏面に意匠シート51を配設すると共に裏枠体53の位置決め段部60に第二透明板59を位置させ、表枠体50と裏枠体53とで挟持して、ビス等の取付け具又は係止爪等の係止手段を係合させることにより組立てられる。このとき、裏枠体53の裏面に不正防止及び補強を兼ねた薄い鉄板を配設するようにしてもよい。なお、第二透明板59の装着手段は、表枠体50と裏枠体53の挟着に限定されるものではなく、裏枠体53又は表枠体50に上又は左右方向の差込溝を形成して第二透明板59を差込溝に装着するようにしてもよい。
遊技盤4は、所定の厚みを有する方形状に形成され、ガイドレール6により略円形の遊技領域4aが形成されている。遊技領域4aの中央には入賞装置としての可変入賞口15を1段3個を入賞群として3段、合計9個の可変入賞口15を設けて入賞群領域Zを形成している。そして、入賞群領域Zの上方に本発明の主要な構成となる入賞装置13が設けられると共にその近傍に障碍手段として可動風車を設けている。また、入賞装置には後述するが入賞することにより入賞群領域Zの可変入賞口15を全開させる特定入賞口45を備えている。また、最下段の入賞群の可変入賞口15間に可変入賞口15を全閉させるリセット口46を2個設けている。他の遊技領域4aには一般入賞口17及び遊技球の流下経路を変える風車18,障碍釘19等が設けられ、遊技領域4aの最下方には入賞口に入賞しなかった遊技球が流入するアウト球口20が穿設されている。なお、この実施例において、遊技盤4面に描かれるデザイン画や入賞口・風車のデザインはすべてクラッシックカーをイメージしたデザインとして統一している。
入賞装置13は、図4及び図5に示すように遊技盤4に取付ける基板67に庇状の鍔部68が設けられると共にその両側下方に遊技球が入球可能な受入口69を設け、受入口69に連通して所定の奥行きを有する入賞領域を備え、入賞領域には所謂クルーンといわれる複数の入賞口を有する振分装置70が設けられている。振分装置70は、遊技球が円周方向に転動可能な皿状の転動面に、特別遊技への移行に係る特定入賞口45と、賞球のみ払出される通常入賞口71とが転動面の略中央であり正面視前後に位置して開設され、実施例では磁石等による不正が行われ難いように奥側を特定入賞口45とし、手前側を通常入賞口71としている。この実施例において、特定入賞口45の内径は通常入賞71口の内径より小さく設定され、僅かながら通常入賞口71へ入賞するより入賞し難くしている。特定入賞口45に入賞した遊技球は誘導路47に導かれ、通常入賞口71に入賞した遊技球は通路部21に導かれようになっている。なお、特定入賞口45及び通常入賞口71の設置数は特に限定されるものではなく、遊技内容や入賞確率により設定変更すればよい。
また、可動風車14は、図6及び図7に示すように遊技球が接触する風車本体72を支軸73に回転自在に装着し、この風車本体72を電気的駆動源としてのモータ74を駆動させることにより、遊技盤4面に平行な面内で可動させるようにしている。風車本体72と入賞装置13の受入口69との間隔は、少なくとも遊技球が通過し得る間隔をもって移動するようにしている。可動風車14の具体的な構成として、図6及び図7に示すようにモータ軸74aに取付けられ該モータ軸74aと偏心した位置にロッド75を突設した円盤76と、円盤76のロッド75が遊挿されるガイド長孔77とこのガイド長孔77を跨ぐように風車本体72を回転自在に設ける支軸73を軸支する支持部78とガイド長孔77を挟んだ位置にコロ79を設けたカム板80とを、モータ74を取付ける略方形枠状の取付枠体81内に設け、カム板80のガイド長孔77と直交する長孔82を形成した固定板83により閉塞している。取付枠体81には、ガイド長孔77と直交するようにコロ79が摺動するガイド孔84が形成され、コロ79によりカム板80がスムーズに摺動するようにしている。また、この実施例において風車本体72の前面にクラッシクカーのタイヤを模したデザインを施しており、遊技球が衝突して風車本体72が回転することにより恰もタイヤが回転しているようにみえる。なお、モータ74をステッピングモータとすることで、回転速度・停止位置等を容易に設定変更することができる。また、この実施例の障碍手段はモータ74を用いて移動するようにしているが、電気的駆動源をロータリーソレノイド・プランジャ型ソレノイドとしてもよく、例えばプランジャ型ソレノイドとした場合には、ラックと歯車を用いて障碍手段を移動させることも可能である。また、リミットスイッチを設けることにより、カム板80がリミットスイッチに接触すると作動してモータ74を停止させるようにしてもよい。こうした構造により、モータ74の正逆回転に応じて可動風車14を、リミットスイッチ間で、長孔82に沿って上下に移動させることができる。
次に、上記構成の可動風車14の作用について説明する。所定条件によりモータ74が駆動するとモータ軸74aに固着された円盤76が回転し、円盤76に固着されたロッド75がカム板80の長孔82の側面を押すことにより、カム板80を移動(実施例において上下方向)させながら長孔82内を左右に移動する。そして、カム板80は支軸73がガイド長77孔により移動規制されているために上下方向に移動する。このとき、カム板80はコロ79が取付枠体81に形成されたガイド孔84を転動することでスムーズに移動し、風車本体72はカム板80と一体的な動きをする。すなわち、モータ74の1回転で風車本体72が上下に1往復し、この動作を周期的に繰り返すこととなる。なお、本実施例では、風車本体72を遊技盤4の面方向に対して平行であり上下方向に移動可能としたが、移動態様は限定されるものではなく、風車本体72を左右方向や斜め方向等にスライド移動させたり揺動又は回転運動させたりして風車本体72を移動させることも可能である。本実施例では、モータ74を常時駆動することで、風車本体72を常に上下動させるようにしたが、例えば入賞口への入球等の所定条件に応じて適時モータ74を駆動するようにしてもよい。
可変入賞口15は、図8及び図9に示すように遊技球の受入開口23を備えた球受部材38の前面に掛け止めされる飾り板16にはクラシックカーの正面図が表示され、ヘッドライトに位置する部位に表示手段として多色発光可能なLED41を設けている。LED41の配線は可変入賞口15の球受部材38の前面に飾り板16の掛止片を掛け止めすることにより、予め球受部材38の側面及び係止片に施した実線又はプリント配線と接続され点灯可能となる。さらに、ウィンカーに模したLEDを設けるようにして装飾効果を高めるようにしてもよい。また、球受部材38の上部に遊技球が通過可能な所定間隔をもって略矩形状の障碍部材85が設けられている。
また、受入開口23を開閉するクラシックカーのボンネットを模した開閉部材25を可動自在に設けると共に、開閉部材25を可動させる変動手段を設けている。変動手段は、開閉部材25を遊技球の入球を制限する第1状態から遊技球の入球を制限しない第2状態に変動させる往動手段と開閉部材25を第2状態から第1状態に変動させる復動手段を備えている。開閉部材25は、枢軸26により受入開口23を閉鎖する第1位置と受入開口23を開放する第2位置とに揺動自在に設けられ、枢軸部26を介して受入開口23を閉塞する遮蔽部27と往動手段としての作動部28とを枢軸部26を折曲部分として所定角度(実施例では約30度)屈曲させ側面視略逆へ字状に形成し、作動部28に開閉部材25を一括して開放及び閉鎖する変動手段が接触連係する作動片44を延設している。そして、下方に誘導路29に臨み受入開口23から入球した遊技球が接触する復動手段としての作用片30が設けられ、遮蔽部27が起立時に収まる開口凹部31を遮蔽部27の傾倒時に閉鎖する閉鎖板32をほぼ支軸位置に垂設している。遮蔽部27上面は、正面視山形状に形成し受入開口23を閉鎖する第1状態で上面に遊技球が留まらないようにしている。なお、復動手段として、直接遊技球で開閉部材25を回動させるようにしたが、別途受入開口23から入球した遊技球により揺動するシーソー部材等を設け、このシーソー部材により開閉部材25を揺動させるようにしてもよい。
さらに、可変入賞口15は、開閉部材25の揺動により重心位置が変位する重心移動手段33を備えており、この実施例では開閉部材25に重心の移動部として中空部34を枢軸26の軸線方向とほぼ直交する方向に形成すると共に中空部34に重心移動体として流体物35を移動自在に封入している。そして、開閉部材25が揺動すると流体物35が中空部34を下傾した方向に移動することにより重心位置が変位し、開閉部材25が第1位置と第2位置とに安定した状態で静止するようにしている。ここで、中空部34内を流動可能な流体物35として、実施例では鉛等の金属又は樹脂製の粒体として説明するが、流体物35としては他に液体,粉体を用いてもよく、さらに球・円柱等の塊を転動させるようにしてもよい。また、開閉部材25は遊技球1個分の荷重で作用するように設定すると共に、中空部34の端部が第1位置と第2位置において最下端となるように開閉部材25を傾動位置させ、流体物35が最下端側に流動しやすくするのが好ましい。これにより、開閉部材25の重心移動を確実に行うことができ、開閉部材25を第1位置及び第2位置に安定した状態に静止させることができる。
なお、この実施例では開閉部材25に直接重心移動手段33を設けるようにしたが、重心移動手段33としての揺動部材を別途設け、開閉部材25と連動させるようにしてもよい。また、重心移動体としての流体物35を移動部としての中空部34を移動自在としたが、図10に示すように重心移動体として重錘等の塊体36を移動部として枢軸26の軸線方向とほぼ直交する方向に設けた移動軸37に移動自在に設け、揺動部材25Aが揺動することにより塊体36が移動軸37に沿って傾動した下方向に移動するようにしてもよい。また、塊体36を摺動溝等の移動部に摺動自在に設けるようにしてもよい。
また、可変入賞口15を開放する往動手段として、図11に示すように遊技盤4裏面側に特定入賞口45に入賞した遊技球を入賞群領域Zの下方に導く誘導路47を設けると共に、1段3個の可変入賞口15を相互に機械的に開動作させる作動杆42を第1〜第3入賞群に対応して設けて、特定入賞口45に入賞した遊技球によって第1〜第3入賞群の可変入賞口15が順次開放するようにしている。この作動杆42は、全体形状を針金等の線条により各入賞群両端の可変入賞口15を跨ぐように略コ字状に形成し、誘導路47に貫通して臨ませる作動弁48を設けて、腕部の開放側を軸支して揺動自在に設けており、腕部の端部に重錘49を設けて常態で閉塞側が上動状態となるように付勢している。そして、作動杆42が揺動することにより開閉部材25の作動片44に接触作用して各入賞群の可変入賞口15を開放させる。なお、重錘49は作動弁48に遊技球1個の荷重がかかることにより閉塞側が下動するように設定されている。
可変入賞口15を閉鎖する復動手段は、個別に閉鎖する作用片30の他に、図11に示すように1段3個の可変入賞口15を相互に機械的に閉動作させるリセット作動杆43とリセット口46に入賞した遊技球によって作動するシーソー部材61と、シ−ソー部材61と連係しリセット作動杆43を作用させる作用杆62とで構成するリセット手段を備えており、シーソー部材61と作用杆62はそれぞれのリセット口46に対応して設けている。リセット作動杆43は、第1〜第3入賞群に対応して設けられ、各入賞群両端の可変入賞口15に跨るように全体形状を針金等の線条により略コ字状に形成し、腕部の開放側を揺動自在に軸支している。なお、リセット作動杆43は、常態で閉塞側が下動状態となるように閉塞側に重心を位置させると共に、誘導路47及び通路部21を回避するように屈曲させている。シーソー部材61はリセット口46の通路部21に臨む操作部63が常に上動位置に付勢されるように軸支され、他端に作用杆62の下端に連係する支持片66を設けている。作用杆62は、棒状体に各リセット作動杆43の腕部下方に臨む操作片64を設けて、ガイド部65によって上下スライド可能に設けられている。常態では自重により下動位置にあり下端はシーソー部材61の支持片66に支持されている。そして、リセット作動杆43及びシ−ソー部材61,作用杆62はリセット口46に入賞する遊技球1個分の荷重により作用するように設定されており、リセット口46に遊技球が入賞すると、遊技球の荷重によりシーソー部材61を揺動させると共に作用杆62を上動させ、リセット作動杆43を作用して開閉部材25を閉動作させる。
なお、シーソー部材61と作用杆62とを接触支持して連係させるようにしたが、ガイド溝,長孔等を介して連係させるようにしてもよい。また、この実施例で、作用杆62と作動杆43とを離間可能な状態に設けることで、リセット口46に入球した遊技球によりいずれかの作用杆62を作用させるようにしたが、作用杆62と作動杆43とを連結して設け、リセット口46に入球した遊技球により両作用杆62を連動させるようにしてもよい。さらに、実施例では作動杆を略コ字状に形成し、線条部で開閉部材25の作動片44を作用させるようにしたが、この形状に限定されるものではなく、例えば各作動片44に対応する部位に作用部を設けるようにしてもよい。
また、遊技盤4の裏面に位置する開閉部材25の変動手段は遊技盤4の裏面を覆うカバー部材22に設けた支持片等に組み付けてユニット化するのが好ましく、さらに誘導路47及び通路部21をカバー部材22に設けてユニット化することにより、組立ての作業性が向上する。また、カバー部材25の可変入賞口15と対応する位置に係止部を設けた取付ボスを突設すると共に、可変入賞口15の球受部材38の後面に係止片を突設し、カバー部材22を遊技盤4裏面の所定位置に取付けて、可変入賞口15の係止片の係止爪を取付ボスの係止部に係止することで可変入賞口15を所定位置に固着することができる。このとき、カバー部材22に位置決め突起を設けてこの突起を遊技盤4に形成した凹部に圧入して、カバー部材22を所定位置に取着するのが好ましい。
次に、上記構成のパチンコ遊技機の作用について説明する。操作ハンドル10の操作によって遊技領域4aに打出された遊技球が、タイミングよく受入口69から入賞装置13に入賞すると振り分け装置70に導かれる。そして、重力落下に基づく回転運動により特定入賞口45又は通常入賞口71のいずれかに振り分けられる。このとき、受入口69の近傍で可動風車14が常時上下方向に直線往復運動を行うことにより、可動風車14に衝突した遊技球を上方向に持ち打ち上げることも可能であるため、一旦、受入口69の下側まで落下した遊技球を、受入口69まで持ち上げ入賞させることができる。このようにすることにより、遊技者が、入賞を諦めかけていた遊技球の行方に再び期待感を抱かせることができる。
そして、振分け装置70により遊技球が振り分けられて特定入賞口45に入賞すると、図12に示すように誘導路47を流下しながら各入賞群に対応する作動弁48に接触して、図13に示すように順次作動杆42を作動させ、作動杆42が開閉部材25を後回動することによって第1〜第3入賞群の可変入賞口15が順次開放し、全ての可変入賞口15を開状態にする。このとき、開閉部材25の回動を検知する検知スイッチ(図示せず)の検知信号により、可変入賞口15前面の飾り板16のLED41を例えば白く点灯させ、遊技者に開状態を報知する。また、図9(イ)に示すように閉鎖部27側の中空部34内の流動体35が開閉部材25の回動に伴い傾動した作動部28側に移動して、図9(ロ)に示す開閉部材25の第2位置を安定的に静止させ、可変入賞口15の遊技球の入球を制限しない第2状態を保持する。そして、開放された可変入賞口15の受入開口23に遊技球が入賞すると、図9(ロ)鎖線に示すように誘導路29に臨んだ作用片30に遊技球が接触して開閉部材25を前回動させ、閉鎖部28が受入開口23を閉塞する第1状態に復動する。このとき作動部28側の中空部34内の流動体35が開閉部材25の回動による傾動に伴い閉鎖部27側に移動することにより、重心が作動部28側に移動し、開閉部材25を図9(イ)の第1状態に静止させ、可変入賞口15の第1状態を安定的に確実に維持する。このとき、図9(ロ)に示すように作動杆42は作動片44を作動部28が水平位置より下傾した状態まで押し下げると、遮蔽部27側に位置していた中空部34の流体物35が作動部28側に流動し始め、重心位置が作動部28側に移動するため、その惰性により開閉部材25は回動して第2位置に安定した状態で静止し開状態を維持する。このように、重心移動手段33を設けることで、開閉部材25を所定角度揺動させるだけで回動方向に重心が移動するため、開閉部材25を容易に回動させることができる。なお、振分け装置70により遊技球が振り分けられて通常入賞口71に入賞すると、通路部21に導かれて入賞球として処理され所定の賞球が払い出される。
そして、遊技領域4aに打ち込まれた遊技球が開放した可変入賞口15に入賞すると、図9(ロ)鎖線に示すように遊技球が誘導路29を流下して作用片30を後退させ、開閉部材25を前回転して受入開口23を閉塞する。このように、各可変入賞口15に入賞することにより開閉部材25が個々に傾動して閉鎖状態に変位する。また、遊技球がリセット口46のいずれかに入賞すると、図15に示すように遊技球は通路部21を流下して通路部21に臨むシーソー部材61の操作部63に接触し、荷重によりシーソー部材61を傾動して作用杆62を上動させ、操作片64によりリセット作動杆43を上動して開閉部材25を前回転させ全可変入賞口15を閉鎖状態とする。また、同時に検知スイッチ46aの検知信号により、可変入賞口15前面のLED41を消灯する。このとき、図14鎖線に示すようにリセット作動杆43は作動片44を作動部28が遮蔽部27側に下傾した状態まで押し上げると、作動部28側に位置していた中空部34の流体物35が遮蔽部27側に流動し始め、重心位置が遮蔽部27側に移動するため、その惰性により開閉部材25は回動して第1位置に安定した状態で静止し、確実に閉状態を維持する。
また、LED41を、例えば開閉部材25の開状態を白色点灯したり、閉状態を赤色点灯したりすることにより、遊技者は可変入賞口15の状態を一見して把握することができる。さらに、可変入賞口15のそれぞれに入賞球を検知するセンサを設けることにより、特定入賞口45に入賞して全開した可変入賞口15に入賞してセンサに検知されると、個々のLED41の点灯表示を「白」から「赤」に変化させることができ、遊技者はその色彩によって可変入賞口15をいちいち覗き込まなくてもどの可変入賞口15が開放しているかを認識することができる。このため、遊技者は無駄球を打つことなく開放している可変入賞口15を狙い打つことができる。
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、例えば実施例において可変入賞口15を開閉する開閉部材25を遊技盤4面に平行な枢軸26により前後方向に揺動するようにしたが、枢軸26を遊技盤4に対して直交させて正面視左右方向に開閉部材25を回動させるようにしてもよい。このとき、開閉部材25を2部材に分割し、ギア等により噛合して一方の開閉部材25に重心移動手段を備えて回動させることで他方の開閉部材25が同期して回動するようにするのが好ましい。さらに、開閉部材25を前後方向にスライドさせるようにして受入開口23を開閉するようにしてもよく、このとき、重心移動手段にギアを設け、開閉部材25にギアに噛合するラックを設けることにより、重心移動手段の回動にともない開閉部材25をスライド移動させ、可変入賞口を開閉させることができる。
また、作動杆42,43を作用させる手段を遊技球の荷重を利用して行うようにしたが、入賞球を検知する検知スイッチを設けると共に作動杆42,43を作動させるソレノイド等の駆動源を設け、この検知スイッチの検知信号により駆動源を稼動させ作動杆42,43を作動させるようにしてもよい。
なお、実施例において特定入賞口45を1個,リセット口46を2個としたが、これらの個数は特に限定されるものではなく、ゲーム性にあわせてそれぞれを1個としても特定入賞口45を2個,リセット口46を1個としてもよい。また、リセット口46を可変入賞口15と同様に開閉部材25により開閉自在に設け、特定入賞口45に入賞することにより可変入賞口15及びリセット口46を開放するようにしてもよい。
また、実施例において可変入賞口15を3列3段の9個として入賞群領域Zを方形状としたが、可変入賞口15の個数及び入賞群領域Zの形状は限定されるものではなく、入賞群の可変入賞口15の数を下段に行くに従い多くしてピラミッド型に設けるようにしてもよく、また逆三角形,円形状,放射状に設けるようにしてもよい。
さらに、実施例において可変入賞口15を受入開口23が遊技球1個分のものとして説明したが、受入開口23が複数の遊技球を受け入れ得る大きさを有する可変大入賞口にも適用でき、受入開口を開閉する開閉扉と連動するように重心移動手段を設けることにより、開閉扉を第1状態と第2状態とに安定的に静止できるため、ソレノイド等の電気的駆動源への通電時間を短縮することができたり、力の弱い駆動源を使用できるためコストの低減化を図ることができる。
さらに、遊技領域4aに設けた風車18を可動風車14としてもよく、それぞれの電気的駆動源の駆動速度や駆動方向をランダムに設定することで遊技内容が変化し、遊技者の興趣を高めることができる。特に、入賞装置13の両側の可動風車14近傍に位置する風車18を可動風車14とすることで、入賞装置13近傍の遊技球の動きが複雑となり、受入口69に入賞するタイミングが微妙に変化するため、遊技者を飽きさせることはない。また、入賞装置13の基板67に可動風車72を受入口69と所定の間隔をもって設けるようにしてもよく、基板67を例えばクラッシクカーを模した形状にすると共にタイヤに模した可動風車72を一体に設けることで、遊技者にクラシックカーとしてのイメージを明確に抱かせることができる。また、当然のことながら入賞装置13及び可動風車14が一体に設けられているので取付作業が容易となる。