本発明に係る遊技機の実施の形態について、図面を用いて具体的に説明する。なお、本明細書では、本発明に係る遊技機の例としてパチンコ遊技機(以下、単に遊技機と言う。)を用いて説明するが、本発明はパチンコ遊技機以外の遊技機にも使用することができる。また、本明細書においては、遊技機及び遊技機を構成する各部材の「前側」、「後側」、「上側」、「下側」、「左側」及び「右側」は、遊技機を正面から見た場合における表面側(前面側)、背面側(後面側)、「上側」、「下側」、「左側」及び「右側」を示すものとする。また、本明細書においては、遊技球が各種入賞口に流入することを「入賞」と言い、遊技球が入賞することによって遊技者に払い出される遊技球のことを「賞球」と言う。
図1に示すように、遊技機1は、機体の外郭を構成する縦長方形の外枠2を備えている。この外枠2の開口前面側には、縦長方形の中枠3が着脱自在に組み付けられている。中枠3は、全体的に合成樹脂材料を用いて形成されており、内部に遊技盤11等を取付固定することができるように構成されている。前枠4は、中枠3の前面側に、該前枠4の左側に設けられたヒンジを中心に中枠3に対して横開きをすることができるように開閉自在に組み付けられている。前枠4は、ガラス板5を備えており、遊技者が遊技盤11を視認することができ、かつ遊技盤11を保護することができるように構成されている。また、前枠4は、遊技に使用する遊技球を一時的に貯留する上受け皿6と、上受け皿6から溢れ出て流下した遊技球を貯留する下受け皿7とをガラス板5の下方に備えている。
遊技機1は、遊技盤11に向けて遊技機1を弾発するための発射装置を備えており、この発射装置の弾発強さを操作ハンドル8の回動量によって調節することができるように構成されている。また、上受け皿6には、遊技球を貯留する貯留スペースの前側に、遊技者が遊技中に押圧操作する各種ボタン9a,9b,9cが配置されている。また、遊技機1の上部には、音声を出力するためのスピーカ10が設けられている。
遊技盤11は、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂材料で略正方形に形成された平板状の部材である。この遊技盤11の背面側には、裏ユニット(図示せず)がビス等によって取付固定されている。遊技盤11には、センター役物としての演出装置12の装飾枠13を取り付けるための開口部が略中央部に開口形成されている。また、遊技盤11の表面には、発射装置で弾発された遊技球を遊技盤11の上部へ案内する案内レール15が設けられている。また、遊技盤11には、案内レール15により遊技盤11の上部に案内された遊技球が遊技盤11の下部に向けて流下する遊技領域16が形成されている。
遊技領域16には、演出装置12を視認可能にするとともに装飾枠13を取り付けるための開口部が略中央部に開口形成されている。また、遊技領域16には、第1始動入賞装置ユニット21、大入賞装置22、通過入賞装置23及び第2始動入賞装置ユニット24等の各種入賞装置ユニット等が設けられている。また、遊技領域16には、多数の誘導釘25が打たれている。遊技領域16を流下する遊技球は、誘導釘25に当たって流下方向を変化させながら、遊技領域16の上部から下部に向かって流下する。遊技領域16を流下する遊技球の一部は、各種入賞装置に設けられている各種入賞口(図示せず)に入賞する。また、遊技領域16を流下する遊技球のうち、各種入賞口に入賞しなかった遊技球は、遊技領域16の最下部に設けられた第1アウト口26又は第1始動入賞装置ユニット21に形成されている後述する第2アウト口29に流入する。
第1始動入賞装置ユニット21は、遊技盤11において演出装置12の下方であって該遊技盤11の左右方向中央よりも左側の案内レール15寄りにネジ止め等の方法で取付固定されている。第1始動入賞装置ユニット21は、第1始動入賞口(図示せず)が形成され第1始動入賞装置27、第1普通入賞口(図示せず)を有する第1普通入賞装置28及び第2アウト口29が第1始動入賞装置用ベース部材30に設けられて構成されている。これら第1始動入賞口、第1普通入賞口及び第2アウト口29は、いずれも遊技球が入賞可能な大きさに開口形成されている。遊技機1では、第1普通入賞口に遊技球が入賞すると、遊技機1において遊技者に不利な通常遊技状態から遊技者に有利な特別遊技状態に移行するか否かを抽選する大当り抽選を行う。また、第2アウト口29には、第1始動入賞装置ユニット21に向けて流下してきて、第1普通入賞口及び第1始動入賞口のいずれにも入賞しなかった遊技球が流入する。
大入賞装置22は、遊技盤11において演出装置12の下方であって該遊技盤11の左右方向中央よりも右側にネジ止め等の方法で取付固定されている。大入賞装置22は、大入賞装置用ベース部材31に大入賞口(図示せず)が開口形成されると共に、この大入賞口を開閉する扉部材32が大入賞装置用ベース部材31に開閉自在に取り付けられている。遊技機1では、上記した大当り抽選に当選して通常遊技状態から特別遊技状態へ移行した場合に、所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するか、又は所定時間(例えば30秒)が経過するまでの間、扉部材32が開いて大入賞口に遊技球が入賞し、その入賞した遊技球の数に対応した数の賞球を払い出す。
通過入賞装置23は、遊技盤11の上下方向の略中央であって、該遊技盤11の左右方向中央よりも右側にネジ止め等の方法で取付固定されている。通過入賞装置23は、遊技球が通過可能な大きさに形成された通過入賞口(図示せず)を有している。遊技球が通過入賞口を通過すると、予め定められた確率の下で抽選を行う。抽選の結果は、遊技盤11の下部に設けられている普通図柄表示装置33に表示される。
第2始動入賞装置ユニット24は、遊技盤11において通過入賞装置23と大入賞装置22との間の高さ位置であって、遊技盤11の左右方向中央よりも右側にネジ止め等の方法で取付固定されている。第2始動入賞装置ユニット24は、第2始動入賞口(図示せず)が形成されるとともに、該第2始動入賞口を開閉するための開閉扉34が設けられた第2始動入賞装置35、第2普通入賞口(図示せず)を有する第2普通入賞装置36、第3普通入賞口(図示せず)を有する第3普通入賞装置37が第2始動入賞装置用ベース部材38に設けられて構成されている。これら第2始動入賞口、第2普通入賞口及び第3普通入賞口は、いずれも遊技球が入賞可能な大きさに開口形成されている。遊技機1では、第2始動入賞口に遊技球が入賞すると、通常遊技状態から特別遊技状態へ移行するか否かを抽選する大当り抽選を行う。大当り抽選の結果は、普通図柄表示装置33とともに遊技盤11の下部に設けられている特別図柄表示装置39で表示する。
演出装置12は、遊技機1の裏ユニットに取付固定されている。演出装置12は演出体41を備えている。この演出体41は、本実施の形態ではピエロの形状を有しているが、演出体41の形状はこれに限定されるものではない。演出体41は、第1発光演出部42、第2発光演出部43及び表示演出部44を備えている。第1発光演出部42及び第2発光演出部43は、LED等のような従来から公知の発光部材を用いて、遊技の進捗に応じた発光態様で発光させるように構成されている。これら第1発光演出部42及び第2発光演出部43は、演出体41の所定位置に設けられており、具体的には、本実施の形態では、ピエロの形状をした演出体41の左目部分に第1発光演出部42が設けられ、右目部分に第2発光演出部43が設けられている。
表示演出部44は、演出装置12において、演出体41の所定箇所に設けられている。具体的には、本実施の形態では、ピエロの形状をした演出体41の下顎部分に設けられている。図2及び図3に示すように、ベース部材45、固定表示手段としての固定表示装置46、駆動手段としての駆動モータ47、第1可動体48、第2可動体49、識別表示手段としての可動表示装置50及び付勢手段としてのバネ部材51及びカバー部材52を備えている。
ベース部材45は、表示演出部44のベースとなる部材である。図4及び図5に示すように、ベース部材45は、駆動モータ用孔部61、固定表示装置取付部62、第1長孔部63及び第2長孔部64を有している。駆動モータ用孔部61は、後述するカバー部材52に取付固定される駆動モータ47が、ベース部材45を該カバー部材52に取り付けた時に該ベース部材45と干渉しないようにするためのもので、駆動モータ47が挿通可能な大きさに開口形成されている。また、固定表示装置取付部62は、ベース部材45の左右方向略中央部に形成されており、固定表示装置46が取付固定されるようになっている。本実施の形態では、この固定表示装置取付部62には、固定表示装置46がネジ止め等の方法で取付固定することができるように形成されているが、取付固定する方法は他の方法であってもよい。
第1長孔部63は、上下方向に延びる長孔状に形成された一対の孔部であり、固定表示装置取付部62を挟むように該固定表示装置取付部62の左右に形成されている。この第1長孔部63は、ベース部材45の表面側に設けられる可動表示装置50と後述する第1可動体48とを連結する第1連結部材67が該第1長孔部63内を上下方向に移動できるように形成されている。
第2長孔部64は、上下方向に延びる長孔状に形成された一対の孔部であり、固定表示装置取付部62及び第1長孔部63を挟むように該第1長孔部63の左右に形成されている。この第2長孔部64は、ベース部材45の表面側に設けられる後述する可動装飾体68と、ベース部材45の裏面側に配置される第2可動体49とを連結する第2連結部材69が該第2長孔部64内を上下方向に移動することができるように形成されている。これら第1長孔部63及び第2長孔部64は、上下方向に延びる長手方向の長さが同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、ベース部材45には、裏側に、後述するバネ部材51の一端部を引っ掛けるための第1引っ掛け部65が裏側に形成されている。
固定表示装置46は、ベース部材45の固定表示装置取付部62に取付固定されている。また、固定表示装置46は、前側に固定表示部66を有している。固定表示部66は、遊技の進行に対応して予め定められた識別情報を表示するためのもので、3個の7セグメント表示器を左右方向に並べて構成されている。なお、本実施の形態では、固定表示部66に7セグメント表示器を使用している例を用いているが、固定表示部66には7セグメント表示器以外の従来から公知の各種表示器を任意に選択して用いてよい。
駆動モータ47は、外部からの電力の供給を受けて所定の駆動力を第1可動体48に付与するためのものであり、カバー部材52の表面側に取付固定されている。このとき、駆動モータ47は、カバー部材52の挿通孔82に駆動軸47aを挿通させ、駆動軸47aの先端に設けられた駆動ギヤ85はカバー部材52の裏側に位置させた状態で該カバー部材52に取付固定されている。
第1可動体48は、ベース部材45の裏側に配置されている部材であり、左右方向の中央部が該左右方向両端部よりも後側に位置するように形成されている。また、中央部には、左右方向に延びる長孔形状をした伝達受け部89が形成されている。伝達受け部89は、第2従動ギヤ87の伝達部88が内部に配置可能な大きさに形成されており、第2従動ギヤ87の回転に伴って、伝達受け部89内における伝達部88の左右方向への動きを許容することができる長さに形成されている。両端部には、第1連結部材67と連結するための第1連結受け部91が形成されている。また、第1可動体48の下面には、第1当接部92が形成されている。この第1当接部92は、第2可動体49の後述する第2当接部と当接することができるように形成されたものである。この第1当接部92と第2当接部とは、互いに面接触するように形成することが好ましい。
この第1可動体48は、第2従動ギヤ87から伝達される駆動力を受けて、通常位置と駆動位置との間で移動することが可能に形成されている。ここで、「通常位置」とは、遊技機1の稼働時において通常時にある位置を意味し、可動表示装置50が固定表示装置46の固定表示部66の前に位置するように、第1可動体48が位置しているその位置のことを意味する。また、「駆動位置」とは、可動表示装置50の可動表示部及び固定表示装置46の固定表示部66のいずれをも視認することができるように可動表示装置50を位置させているその位置のことを意味する。
第2可動体49は、ベース部材45の裏側であって、該ベース部材45と第1可動体48との間に位置するように配置されている。この第2可動体49は、第2連結部材69が取付固定される第2連結受け部93が形成されており、第2連結部材69を介して可動表示装置50を閉塞位置と露出位置との間で移動させることができるように構成されている。ここで、「閉塞位置」とは、固定表示装置46の固定表示部66の前に可動表示装置50が存在する位置を意味し、「露出位置」とは、可動表示装置50が固定表示部66よりも下方向に移動し、固定表示部66が露出される位置を意味する。また、第2可動体49には、第1当接部92と当接させるための第2当接部95が下部に形成され、さらにバネ部材51の他端が取り付けられる第2バネ取付部78が表面側の下部に形成されている。
可動表示装置50は、ベース部材45の前側に配置されている。この可動表示装置50は、第2連結部材69を介してベース部材45の裏側に配置されている第2可動体49と連結固定されている。第2連結部材69は第2長孔部64内を挿通するように配置されており、ベース部材45の前側に配置されている可動表示装置50とベース部材45の裏側に配置されている第2可動体49とを連結している。可動表示装置50は、表示装置本体71と可動基台72とを備えており、可動基台72の前側に表示装置本体71が取付固定されている。表示装置本体71は、遊技の進行に対応して予め定められた識別情報を表示する識別表示部73を有している。この識別表示部73は、表示装置本体71の前側に設けられており、遊技機1に取付固定された時に、遊技者が視認することができる向きに配置されている。この識別表示部73は、本実施の形態では、多数のドットを任意に点灯させることで識別情報を表示するドットマトリクス表示器が用いられている。なお、識別表示部73に用いられる表示器としては、上記したドットマトリクス表示器に限定されるものではない。遊技機の演出を多様化して遊技の興趣を向上させるような演出を行う観点から、識別表示部73に用いられる表示器は、固定表示部66に用いられる表示器とは異なる表示器を用いることが好ましい。可動基台72は、可動表示装置50におけるベースとなる部材であり、表示装置本体71を取付固定する取付部78と、取付部78から後方に延出するように形成されて第2連結部材69が取り付けられる第2連結固定部79が形成されている。また、可動表示装置50には、下部から下方へ延出する方向へ所定の装飾を有する装飾部材70が取付固定されている。
可動装飾体68は、可動装飾部74と、可動装飾部74を取付固定する可動ベース部材75とを備えている。可動装飾部74は、遊技機1のコンセプトに応じた種々の装飾を施したもので、本実施の形態では、ピエロの下唇を模した装飾が施されている。この可動装飾部74は、可動ベース部材75の表側に取付固定されており、遊技者が視認できる位置に設けられている。可動ベース部材75は、可動装飾体68の基体となるもので、可動装飾部74が取り付けられる取付固定部76と、第1連結固定部77とを有している。第1連結固定部77は、取付固定部76から後方に延出するように形成されており、第1連結部材67を取り付けることができるように構成されている。
このように構成された可動装飾体68は、ベース部材45及び可動表示装置50の前側に位置するように設けられている。この可動装飾体68は、第1連結部材67を介して、ベース部材45の裏側に設けられている第1可動体48と連結している。第1連結部材67は、第1長孔部63を挿通するように配置されており、ベース部材45の前側に配置されている可動装飾体68とベース部材45の裏側に配置されている第1可動体48とを連結している。
バネ部材51は、第2可動体49が露出位置に位置している時に、該第2可動体49及びこの第2可動体49と連結している可動表示装置50が閉塞位置に向けて移動する方向への付勢力を生じさせるためのものである。このバネ部材51は、一端部がベース部材45の第1引っ掛け部65に引っ掛けられ、他端部が第2可動体49の第2引っ掛け部94に引っ掛けれて、これらベース部材45及び第2可動体49の間に取り付けられている。
カバー部材52は、ベース部材45の裏側にネジ止め等の方法によって取付固定することができるように構成されている。このカバー部材52には、駆動モータ47を取付固定する駆動モータ取付部81と、駆動モータ47の駆動軸47aが挿通可能に貫通形成された挿通孔82と、後述する第1従動ギヤ86を回転自在に取り付ける第1従動ギヤ取付部83と、後述する第2従動ギヤ87を回転自在に取り付ける第2従動ギヤ取付部84とを有している。これら挿通孔82、第1従動ギヤ取付部83及び第2従動ギヤ取付部84は、駆動ギヤ85が第1従動ギヤ86と噛み合い、第1従動ギヤ86が駆動ギヤ85及び第2従動ギヤ87と噛み合うことができる位置に形成されている。
第1従動ギヤ86は、カバー部材52の第1従動ギヤ取付部83に軸部材(図示せず)を介して回転自在に取付固定されている。この第1従動ギヤ86は、駆動ギヤ85及び第2従動ギヤ87と噛み合っており、駆動モータ47の回転駆動による回転力を受けて、回転し、その回転力を第2従動ギヤ87に伝達するように構成されている。
第2従動ギヤ87は、カバー部材52の第2従動ギヤ取付部84に軸部材(図示せず)を介して回転自在に取付固定されている。この第2従動ギヤ87は、第1従動ギヤ86と噛み合うように構成されている。また、第2従動ギヤ87には、表面側に突起状の伝達部88が形成されている。この伝達部88は、第1可動体48に形成されている伝達受け部89の中に配置することができる大きさに形成されている。このように形成された第2従動ギヤ87は、第1従動ギヤ86から回転力が付与されるとそれに伴って回転し、伝達部88においてその回転力を第1可動体48に付与するように構成されている。
次に、本実施の形態に係る作用効果について説明する。本実施の形態に係る遊技機1は、通常は表示演出部44を図1及び図2(a)に示す状態を維持している。即ち、遊技機1は、表示演出部44における第1可動体48を通常位置に位置させるとともに第2可動体49を閉塞位置に位置させて、可動表示装置50が固定表示装置46の前側に位置している。したがって、この時は、固定表示装置46の固定表示部66は、可動表示装置50によって閉塞されており、遊技者は、可動表示装置50の識別表示部73のみを視認することができる。遊技機1では、通常遊技状態で遊技を行っている時は、このように、遊技者に対して識別表示部73のみが視認させて、該識別表示部73において表示される各種図柄等に基いて各種演出を行う。
次に、例えば遊技機1において所定の条件が成立した場合、例えば、大当り抽選に当選し、その結果を遊技者に知らせる場合などには、遊技機1は、駆動モータ47を駆動させる。駆動モータ47が駆動を開始すると、駆動軸47aの先端に取付固定されている駆動ギヤ85が回転し、駆動ギヤ85と噛み合っている第1従動ギヤ86が回転を開始する。そして、第1従動ギヤ86と噛み合っている第2従動ギヤ87も回転を開始する。第2従動ギヤ87は、伝達部88が伝達受け部89内に位置するように配置されているので、第2従動ギヤの回転に伴って伝達部88が下方向及び左右方向へ移動すると、それに伴って伝達受け部89が形成されている第1可動体48が下方向に移動を開始する。即ち、第1可動体48は、通常位置から駆動位置に向けての移動を開始する。この時、第1可動体は、第1連結部材67を介して可動装飾体68と連結しているので、第1可動体48が下方向に移動を開始すると、それに伴って可動装飾体68も下方向に移動を開始する。
また、第1可動体48が下方向に移動を開始すると、該第1可動体48に形成されている第1当接部92が第2可動体49の第2当接部95と当接する。そして、第1可動体48の下方向への移動に伴い、第2可動体49も、第1当接部92と第2当接部95とが当接しているために、下方向への移動を開始する。即ち、第2可動体49は、第1可動体48の移動に伴って閉塞位置から露出位置へ向けて下方向に移動を開始する。この時、第1可動体48には、第2引っ掛け部94においてバネ部材51の他端部が引っ掛けられているため、第1可動体48が下方向へ移動を開始すると、バネ部材51が伸びる方向に変形し、この変形に伴う付勢力が第1可動体48には作用する。この付勢力は、バネ部材51が元の形状に戻ろうとする方向、即ち、第1可動体48を上方向に引張る方向の力となる。第1可動体48が下方向へ移動をする時の力の大きさは、このバネ部材51による付勢力の大きさよりも大きくなる。
このように、第1可動体48及び第2可動体49が下方向へ移動を開始すると、第1可動体48と連結している可動装飾体68及び第2可動体49と連結している可動表示装置50も共に下方向への移動を開始する。可動装飾体68及び可動表示装置50が下方向へ移動を開始すると、表示演出部44では、徐々に固定表示装置46が露出し、併せて固定表示部66も視認することができる状態になる。図6に、可動装飾体68及び可動表示装置50が下方向へ移動している途中の状態を表す。
そして、第2従動ギヤ87の回転に伴って伝達部88の位置が最下端に位置するまで、第1可動体48及び第2可動体49はさらに下方向へ移動し、伝達部88の位置が最下端に位置した時に、第1可動体48が駆動位置に位置し、第2可動体49が露出位置に到達する。この時、第1可動体48が駆動位置に到達し、第2可動体49が露出位置に到達したことに伴って、第1可動体48と連結している可動装飾体68及び第2可動体49と連結している可動表示装置50も最下端位置に到達する。これら可動装飾体68及び可動表示装置50が最下端位置に位置した時は、図7に示すように、固定表示装置46の固定表示部66を視認することができる。
このように、本実施の形態に係る遊技機によれば、可動装飾体68及び可動表示装置50が最下位置に位置している場合には、遊技者は、可動表示装置50の識別表示部73において表示される各種図柄等を視認することができるのみならず、固定表示装置46の固定表示部66において表示される各種図柄等も同時に視認することができる。特に、本実施の形態に係る遊技機1の場合は、固定表示部66及び識別表示部73に用いる表示器にそれぞれ異なる表示器を使用しているので、これら固定表示部66及び識別表示部73における表示態様に大きな変化を持たせることができる。したがって、遊技者の興趣をさらに大幅に向上させるような演出を行うことが可能になる。なお、本発明に係る遊技機においては、このように、固定表示部66及び識別表示部73のいずれもが視認できる状態に所定条件が成立するまで維持してもよいし、このように固定表示部63及び識別表示部73のいずれもが視認できる状態となった後、連続的に駆動モータ47を駆動させて、識別表示部73のみを視認できる状態にしてもよい。本実施の形態では、例えば特別遊技状態から通常遊技状態へ移行するというような所定の条件が成立するまでは、固定表示部63及び識別表示部73のいずれもが視認できる状態を維持するものとして説明する。
上記した通り、固定表示部63及び識別表示部73のいずれもが視認できる状態が維持されている時に所定の条件が成立すると、遊技機1は、更に駆動モータ47の駆動を開始する。駆動モータ47が駆動を開始すると、駆動ギヤ85及び第1従動ギヤ86を介して第2従動ギヤ87が回転を開始する。この場合、第2従動ギヤ87の回転に伴って伝達部88の位置が変化するが、この時、伝達部88は上方向に向けて移動する。
伝達部88が上方向に向けて移動を開始すると、それに伴って伝達受け部89が上方向への力を受ける。そして、伝達受け部89において受けた力によって、該伝達受け部89が形成されている第1可動体48は駆動位置から通常位置に向けて移動を開始する。第1可動体48が移動を開始すると、それまで第2可動体49に対して付与していた力の大きさよりもバネ部材51によって第2可動体49に対して作用していた付勢力の大きさの方が大きくなる。そのため、第1可動体48が駆動位置から通常位置に向けて移動を開始すると、それに伴って、第2可動体49も付勢力によって露出位置から閉塞位置に向けての移動を開始する。この時、第1可動体48及び第2可動体49は、一体的に移動してもよいし、別体的に移動してもよい。
そして、伝達部88の位置が第2従動ギヤ87の回転に伴って位置する際の最上端位置に到達すると、第1可動体48は通常位置に到達し、第2可動体49は閉塞位置に到達する。また、これに伴って、可動表示装置50は、図1及び図2(a)に示すように、固定表示装置46の前側に位置するようになる。そのため、遊技者は、固定表示装置46の識別表示部73のみを視認することができるようになり、この場合には識別表示部73における各種図柄等の表示によって各種の演出を行う。
このように、本発明に係る遊技機によれば、第2可動体が通常位置から駆動位置へ移動する第1可動体と当接しながら閉塞位置から露出位置まで移動し、露出位置から閉塞位置まで移動するときは、バネ部材の付勢力を受けながら移動することになる。したがって、一つの駆動モータで第1可動体及び第2可動体のいずれをも移動させることができ、駆動モータの数を減少させることができる。さらに、このように駆動モータの数を減少させることに伴って、演出装置の部品点数も大幅に減少させることができ、演出装置を全体的に小型化することが可能になる。
また、演出装置を小型化することに伴って、演出装置を遊技盤等に取り付けた場合に、遊技盤等におけるスペース効率を向上させることも可能になる。さらに、本発明に係る遊技機によれば、第2可動体を閉塞位置と露出位置との間で移動させることで、固定表示装置の固定表示部を視認できるようにしたり、視認できなくなるようにすることができる。したがって、本発明に係る遊技機によれば、遊技の進行に応じた演出をより多様化することができ、遊技の興趣を大幅に向上させる演出を行うことが可能になる。
以上、本発明に係る遊技機の実施の形態について詳細に説明したが、本明細書に記載した遊技機の構成及び効果は、本発明に係る遊技機に関する一つの例を示したに過ぎず、これに限定されるものではない。また、本発明に係る遊技機においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜その構成を変更してもよい。