本発明に係る遊技機の実施の形態について、図面を用いて具体的に説明する。なお、本明細書では、本発明に係る遊技機の例としてパチンコ遊技機を用いて説明するが、本発明ではパチンコ遊技機以外の遊技機にも適用することが可能である。また、本明細書においては、パチンコ遊技機(以下、単に「遊技機」と言う。)及び遊技機を構成する各部材の「前側」、「後側」は、遊技機を正面から見た場合における表面側(前面側)、背面側(後面側)を示すものとし、遊技機及び遊技機を構成する各部材に関して「上側」、「下側」、「左側」及び「右側」は、図1に示すように、遊技機を正面から見た場合における上側、下側、左側及び右側を示すものとする。また、本明細書においては、遊技球が各種入賞口に流入することを「入賞」と言い、遊技球が入賞することによって遊技者に払い出される遊技球のことを「賞球」と言う。
[遊技機1の外観構成]
図1に示すように、遊技機1は、機体の外郭を構成する縦長方形の外枠2を備えている。この外枠2の開口前面側には、縦長方形の中枠3が着脱自在に組み付けられている。中枠3は、全体的に合成樹脂材料を用いて成形されており、内部に遊技盤12等を取付固定することができるように構成されている。前枠4は、中枠3の前面側に、該前枠4の左側に設けられたヒンジを中心に中枠3に対して横開きをすることができるように開閉自在に組み付けられている。前枠4は、ガラス板5を備えており、遊技者が遊技盤12を視認することができ、かつ遊技盤12を保護することができるように構成されている。また、前枠4は、遊技に使用する遊技球を一時的に貯留する上受け皿6と、上受け皿6から溢れ出て流下した遊技球を貯留する下受け皿7とをガラス板5の下方に備えている。
遊技機1は、遊技盤12に向けて遊技球を弾発するための発射装置を内部に備えており、この発射装置の弾発強さを操作ハンドル8の回動量によって調節することができるように構成されている。また、上受け皿6には、遊技球を貯留する貯留スペースの前側に、遊技者が遊技中に押圧操作する各種ボタン9a,9b,9cが配置されている。また、遊技機1の上部には、音声を出力するためのスピーカ10が設けられている。
遊技盤12は、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂材料で成形された略正方形の平板状の部材である。この遊技盤12の背面側には、裏ユニット13(図2参照)がビス等によって取付固定されている。遊技盤12には、センター役物31の装飾枠32を取り付けるための開口部14が略中央部に開口形成されている。また、遊技盤12の表面には、発射装置で弾発された遊技球を遊技盤12の上部へ案内する案内レール15が設けられている。また、遊技盤12には、案内レール15により遊技盤12の上部に案内された遊技球が該遊技盤12の下部に向けて流下する遊技領域16が形成されている。
遊技領域16には、装飾枠32を取り付けるための開口部14が該遊技領域16の略中央部に開口形成されている。また、遊技領域16には、普通入賞装置17、始動入賞装置18、大入賞装置19等の各種入賞装置が設けられている。また、遊技領域16には、多数の誘導釘20が打たれている。遊技領域16を流下する遊技球は、誘導釘20に当たって流下方向を変化させながら、遊技領域16の上部から下部に向かって流下する。遊技領域16を流下する遊技球の一部は、各種入賞装置に設けられている各種入賞口(図示せず)に入賞する。また、遊技領域16を流下する遊技球のうち、各種入賞口に入賞しなかった遊技球は、遊技領域16の最下部に設けられたアウト口21に流入する。
普通入賞装置17は、遊技領域16に複数個(本実施の形態では3個)設けられている。これら普通入賞装置17は、普通入賞口(図示せず)を有しており、遊技球が普通入賞口に入賞すると、所定数(例えば10個)の賞球を払い出すように構成されている。
始動入賞装置18は、装飾枠32の下方に配置されている。始動入賞装置18は、始動入賞口(図示せず)を有しており、遊技球が始動入賞口に入賞すると遊技者に不利な通常遊技状態から遊技者に有利な大当り遊技状態で遊技を行うか否か、大当り遊技状態で遊技を行う場合には、上限ラウンド回数が設定されている第1の大当り遊技状態又は、第1の大当り遊技状態よりも上限ラウンド数を多く設定した第2の大当り遊技状態、のいずれの遊技状態で遊技を行うかを抽選するための大当り抽選が行われるように構成されている。
大入賞装置19は、始動入賞装置18の下方に配置された第1大入賞装置22と、装飾枠32の下方であって、遊技領域16の左右方向中央よりも右方に配置された第2大入賞装置23とを備えている。これら第1大入賞装置22及び第2大入賞装置23は、大入賞口(図示せず)を備えている。第1大入賞装置22及び第2大入賞装置23は、通常遊技状態では遊技球が入賞することはなく、大当り抽選に当選して、遊技状態が通常遊技状態から大当り遊技状態へ移行した時に遊技球が入賞できるように構成されている。これら第1大入賞装置22及び第2大入賞装置23は、大当り遊技状態では、所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞するか、又は所定時間(例えば30秒)が経過するまでの間、遊技球が入賞するように構成されている。遊技機1は、大入賞口に遊技球が入賞すると、入賞した遊技球の数に対応した数の賞球を遊技者に払い出す。なお、本実施の形態では、大入賞装置19を複数個有する遊技機1を用いて説明したが、大入賞装置19の数はこれに限定されるものではない。
なお、大当り遊技状態を構成する第1の大当り遊技状態及び第2の大当り遊技状態においては、それぞれ上限ラウンド回数が設定されている。本実施の形態に係る遊技機では、大当り遊技状態での遊技において、大入賞口に所定個数の遊技球が入賞するか、又は大入賞口の開いた状態が所定時間経過するか、いずれかの条件を満たすまでの遊技を1ラウンドとする。即ち、大入賞口の開いた状態が30秒経過する前に大入賞口に所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞した場合にはその時点で1ラウンドの遊技が終了することになり、又は大入賞口に所定個数(例えば10個)の遊技球が入賞する前に、大入賞口の開いた状態が30秒経過した場合にも、その時点で1ラウンドの遊技が終了することになる。
本実施の形態では、第1の大当り遊技状態は、規定のラウンド数が「2回」に設定されており、各ラウンドにおいて後述する大入賞口に入賞可能な遊技球数、即ち1回のラウンドにおける大入賞口への遊技球の入賞上限個数(カウント数)が「10」に設定されている大当り遊技状態である。また、第2の大当り遊技状態では、第1の大当り遊技状態よりも上限ラウンド数を多く設定しており、既定のラウンド数が「15回」に設定されている。また、第2の大当り遊技状態では、各ラウンドにおいて大入賞口に入賞可能な遊技球数が「10」に設定されている大当り遊技状態である。なお、本実施の形態では、ラウンド数を変えることによって、第1の大当り遊技状態と第2の大当り遊技状態において遊技者が得られる利益が異なるように設定しているが、第1の大当り遊技状態及び第2の大当り遊技状態の態様はこれに限定されるものではない。例えば、第1の大当り遊技状態及び第2の大当り遊技状態のラウンド数を同一にしておき、第1の大当り遊技状態及び第2の大当り遊技状態で大入賞口の開放時間を異ならせることによって遊技者が得られる利益を異なるように設定してもよいし、また第1の大当り遊技状態及び第2の大当り遊技状態で確率変動を付与するか否かを予め設定しておくことで、遊技者が得られる利益を異なるように設定してもよい。また、これら以外の方法により、遊技者が得られる利益が異なるように設定してもよい。
センター役物31は、装飾枠32を備えている。装飾枠32は、各種の装飾が施されている枠状の部材であり、遊技盤12の開口部14に対して、遊技盤12の前側から挿入して取付固定されている。
図2に示すように、裏ユニット13には、図柄表示手段としての液晶表示装置33及び演出用役物34が取付固定されている。液晶表示装置33は、遊技中に所定の図柄等を変動表示及び停止表示するというように、遊技の状態や遊技の進行に応じて種々の演出表示を行うためのものである。この液晶表示装置33で表示される図柄等としては、例えば、数字等から構成される種々の図柄やアニメーション等、各種画像等が挙げられるが、これに限定されるものではない。図2に示すように、液晶表示装置33は、裏ユニット13に取付固定されている。遊技盤12は、該遊技盤12に形成された開口部14が裏ユニット13に取付固定された液晶表示装置33の表示画面と同じ位置に位置するように裏ユニット13に取付固定されており、液晶表示装置33で表示される図柄等は、遊技盤12に形成されている開口部14を介して遊技者が視認することができるように構成されている。なお、本実施の形態では、図柄表示手段の例として液晶表示装置33を用いて説明したが、上記した演出表示を行うことができるものであれば、液晶表示装置33以外のものを任意に選択して用いてもよい。なお、図1及び図2における符号33aは、液晶表示装置33に形成されている表示領域である。
演出用役物34は、遊技機1における遊技の進行及び液晶表示装置33における演出表示の進行に関連して作動するように構成されている。この演出用役物34は、図2に示すように、裏ユニット13において、液晶表示装置33の前方に位置するように配置されると共に、表示領域33aの周囲、即ち表示領域33aの上方及び下方に位置するように配置されている。この演出用役物34は、裏ユニット13に遊技盤12を取付固定した場合には、遊技領域16内に位置するところに配置されている。
[演出用役物34の構成]
図2に示すように、演出用役物34は、第1可動体41、第2可動体42、係合手段43及び検知手段としての検知センサ44を備えている。第1可動体41及び第2可動体42は裏ユニット13に取付固定されている。第1可動体41は、遊技盤12の上部、即ち遊技領域16の上部に配置される位置と対応する位置に設けられ、第2可動体42は、遊技盤12の下部、即ち遊技領域16の下部に配置される位置と対応する位置に設けられている。第1可動体41は、後述する第1装飾体47を備えており、この第1装飾体47を液晶表示装置33が視認可能な退避位置と液晶表示装置33の前側において該液晶表示装置33の少なくとも一部を覆う進出位置との間で進退可能となるように構成されている。また、第2可動体42は、後述する第2装飾体93を備えており、この第2装飾体93を液晶表示装置33が視認可能な退避位置と液晶表示装置33の前側において該液晶表示装置33の少なくとも一部を覆う進出位置との間で進退可能となるように構成されている。これら第1可動体41及び第2可動体42は、該第1可動体41及び第2可動体42が進出位置に位置する時は係合手段43によって係合し、該第1可動体41及び第2可動体42が合体することができるように構成されている。これら第1可動体41及び第2可動体42が進出位置に位置している時に合体したか否かは検知センサ44で検知することができるように構成されている。また、第1可動体41及び第2可動体42が合体している時に後述する第2可動部92に駆動力が付与されると、第1可動部46と第2可動部92とが一体的に移動するように構成されている。
(第1可動体41の構成)
図3及び図4に示すように、第1可動体41は、第1絵柄45、第1可動部としての第1可動部材46を有する第1装飾体47を備えている。また、第1可動体41は、第1移動部材48、第2移動部材49、第1アーム部材50、第1移動支持部材51、第1基体52、第1駆動モータ53、第1駆動部54、第1カバー体55を備えている。
第1絵柄45は、少なくとも一部に所定の絵柄が形成されているもので、本実施の形態では「天下」の文字を装飾的に描いた絵柄が描かれている。なお、この第1絵柄45に描くものとしては、文字のみならず、種々のイラスト等を描いてもよい。また、イラストや文字等だけではなく、第1絵柄45を描く対象物の表面に所定の模様等を形成してもよい。
第1可動部材46は、第1絵柄45の前側に位置するように設けられており、第1絵柄45を覆う閉じ位置とこの第1絵柄45を視認可能にする開き位置との間で移動可能となるように構成されている。図3及び図4に示すように、第1可動部材46は、第1左可動部材56及び第1右可動部材57を備えており、第1可動部材46が閉じ位置に位置する時はこれら第1左可動部材56及び第1右可動部材57が当接する位置にあり、第1可動部材46が開き位置に位置する時は第1左可動部材56が左方向へ移動し、第1右可動部材57が右方向へ移動することによってこれら第1左可動部材56及び第1右可動部材57が分離するように構成されている。なお、本実施の形態では、この第1可動部材46の表面にも絵柄等が描かれているが、この絵柄は描いてもよいし、描かなくてもよい。また、絵柄を描く場合には、任意に選択した種々の絵柄を描いてよい。
第1移動部材48は、第1絵柄45及び第1可動部材46を取り付けるためのベースとなる部材であり、第1移動支持部材51を介して第2移動部材49に対してスライド移動することができるように連結されている。この第1移動部材48は、左右方向中央部に第1絵柄45を取り付けるための取付空間58が形成されている。また、この取付空間58の左側には、第1左可動部材56が左右方向にスライド移動する際のガイドとなる第1左長孔部59が形成され、取付空間58の右側には、第1右可動部材57が左右方向にスライド移動する際のガイドとなる第1右長孔部60が形成されている。本実施の形態では、これら第1左長孔部59及び第1右長孔部60は上下に2つずつ形成されているが、この長孔の数はこれに限定されるものではない。
また、図4に示すように、第1移動部材48には、その後面側に第1移動支持部材51を構成する第1ガイド部71の一端部が取付固定される固定部48aが形成されている。
第2移動部材49は、第1移動支持部材51を介して第1移動部材48と連結し、かつ第1アーム部材50と連結して上下方向に移動することができるように構成されている。図3に示すように、第2移動部材49は、左右方向中央部分に所定の装飾が描かれており、その装飾に対して左右方向両側に延出する延出部49aが形成されている。また、この延出部49aには、左右方向に延びる第2左長孔部61と第2右長孔部62とが形成されている。これら第2左長孔部61及び第2右長孔部62は、第1アーム部材50が連結することができるように形成されており、第1アーム部材50が回動すると、それに伴ってこの第2移動部材49が移動するように構成されている。また、図4に示すように、第2移動部材49には、その裏側に第1移動支持部材51を構成する第1ガイド支持部72を取り付けることができるように構成されている。第2移動部材49は、第1ガイド支持部72に第1ガイド部71の他端部が連結されることで、第1ガイド部71の一端部が連結されている第1移動部材48と連結されるように構成されている。
第1アーム部材50は、第2移動部材49を移動させるためのもので、第1左アーム部材63と第1右アーム部材64とから構成されている。第1左アーム部材63には、ピン部材63aと第3左長孔部65とが形成されており、このピン部材63aが第2移動部材49の第2左長孔部61の内部に配置されて連結されている。また、第3左長孔部65は、第1移動部材48の後側に形成されている突起部48bが配置可能に形成されており、この突起部48bが第3左長孔部65内に配置されることで、第1左アーム部材63と第1移動部材48とが連結されている。第1左アーム部材63には、第1軸孔66が形成されている。この第1軸孔66は、図4に示す第1従動ギヤ67を取付固定するためのものである。この第1従動ギヤ67は第1駆動部54を構成する後述する第1ラック部材77と噛み合うように設けられており、この第1ラック部材77の移動に伴って、第1従動ギヤ67が回転し、この第1従動ギヤ67の回転に伴って、該第1従動ギヤ67の回転軸を中心として、第1左アーム部材63が回動するように構成されている。
第1右アーム部材64には、ピン部材64aと第3右長孔部68とが形成されており、このピン部材64aが第2移動部材49の第2右長孔部62の内部に配置されて連結されている。また、第3右長孔部68は、第1移動部材48の後側に形成されている突起部48cが配置可能に形成されており、この突起部48cが第3右長孔部68内に配置されることで、第1右アーム部材64と第1移動部材48とが連結されている。第1右アーム部材64には、第2軸孔69が形成されている。この第2軸孔69は、図4に示す第2従動ギヤ70を取付固定するためのものである。この第2従動ギヤ70は第1駆動部54を構成する後述する第2ラック部材78と噛み合うように設けられており、この第2ラック部材78の移動に伴って第2従動ギヤ70が回転し、この第2従動ギヤ70の回転に伴って第2従動ギヤ70の回転軸を中心として、第1右アーム部材64が回動するように構成されている。
第1移動支持部材51は、第1ガイド部71、第1ガイド支持部72及び第1ガイドカバー体73を備えている。第1ガイド部71は、第2移動部材49に対する第1移動部材48の移動をガイドするためのものであり、一端部が第1移動部材48と連結し、他端部が第1ガイド支持部72を介して第2移動部材49に連結するように構成されている。この第1ガイド部71は、2本の棒状の部材で形成されているが、第2移動部材49に対する第1移動部材48の移動をガイドすることができれば、他の構成であってもよい。第1ガイド支持部72は、第1ガイド部71が移動する際に、該第1ガイド部71のスライド移動を許容しつつ該第1ガイド部71を支持するためのものである。図4に示すように、この第1ガイド部71は、第2移動部材49の裏側に取付固定されており、第1ガイド部71の他端部がスライド可能な状態で連結されている。第1ガイドカバー体73は、第1ガイド支持部72の裏側に取り付けられるもので、第1ガイド支持部72において第1ガイド部71がスライド移動する際に、該第1ガイド部71が第1ガイド支持部72から外れたり、分離するのを防止するためのものである。なお、この第1移動支持部材51は、第2移動部材49に対して第1移動部材48を移動させることができるものであれば、他の構成であってもよい。
第1基体52は、第1可動体41において第1移動部材48及び第2移動部材49等を移動可能に取付固定するベースとなる部材である。また、第1基体52には、その前側には第1駆動モータ53が取付固定され、その後側には第1駆動部54及び第1カバー体55が取付固定されている。図3及び図4に示すように、第1基体52は、横長の略長方形状に形成されており、第1従動ギヤ67が配置される第1従動ギヤ配置部74と、第2従動ギヤ70が配置される第2従動ギヤは一部75とが前側に形成されている。この第1基体52は、裏ユニット13に取付固定されるように構成されている。
第1駆動モータ53は、第1駆動部54を介して第1移動部材48及び第2移動部材49を移動させるための駆動力を付与するためのものである。この第1駆動モータ53は、従来から公知のものを任意に選択して用いてもよい。また、この第1駆動モータ53には、駆動軸に第1駆動ギヤ76が設けられている。この第1駆動ギヤ76は、第1駆動部54を構成する後述する第1ラック部材77と噛み合うように設けられており、第1駆動モータ53の駆動力が第1駆動ギヤ76を介して第1ラック部材77に伝達されるように構成されている。また、この時、第1駆動モータ53の回転運動が第1ラック部材77によって左右方向の直線運動に変換される。
第1駆動部54は、第1駆動モータ53から付与される駆動力を第1左アーム部材63及び第1右アーム部材64に伝達するためのもので、第1ラック部材77と、第2ラック部材78と、これら第1ラック部材77及び第2ラック部材78とを連結するための第1連結ギヤ79とから構成されている。これら第1ラック部材77、第2ラック部材78及び第1連結ギヤ79は、第1基体52の後側において、第1ラック部材77及び第2ラック部材78は左右方向にスライド移動することができ、第1連結ギヤ79は回転することができるように配置されている。
第1ラック部材77は、第1駆動モータ53から付与される駆動力を第1従動ギヤ67及び第1連結ギヤ79に伝達するためのものである。この第1ラック部材77には、第1駆動ギヤ76と噛み合うことができるように形成され、第1駆動ギヤ76を介して第1駆動モータ53の駆動力が伝達される第1伝達部80と、第1従動ギヤ67と噛み合うように形成され、伝達された駆動力を第1従動ギヤ67に伝達するための第2伝達部81と、第1連結ギヤ79と噛み合うように形成され、伝達された駆動力を第1連結ギヤ79に伝達するための第3伝達部82とが形成されている。これら第1伝達部80、第2伝達部81及び第3伝達部82は、ラック状に形成されており、第1駆動モータ53の回転運動を左右方向の直線運動に変換することができるように構成されている。また、第1ラック部材77には、左右方向に延びる第1スライド用長孔83が形成されている。この第1スライド用長孔83は、該第1スライド用長孔83の内部に第1基体52の後側に形成されたピン状部材(図示せず)が配置されるように形成されており、第1ラック部材77が左右方向にスライド移動する際、このピン状部材により案内されるようにするためのものである。また、第1ラック部材77には、突片84が形成されている。この突片84は、位置センサ85が第1ラック部材77の位置を検知することができるように形成されたものである。
第2ラック部材78は、第1連結ギヤ79を介して第1ラック部材77から伝達される駆動力を第2従動ギヤ70に伝達するためのものである。この第2ラック部材78は、第1連結ギヤ79と噛み合うことができるように形成されており、この第1連結ギヤ79を介して第1ラック部材77から伝達される駆動力、即ち第1駆動モータ53により付与される駆動力が伝達される。第2ラック部材78には、第1連結ギヤ79と噛み合うように形成され、第1連結ギヤ79を介して第1駆動モータ53の駆動力が伝達される第4伝達部86と、第2従動ギヤ70と噛み合うように形成され、伝達された駆動力を第2従動ギヤ70に伝達するための第5伝達部87とが形成されている。また、第2ラック部材78には、左右方向に延びる第2スライド用長孔88が形成されている。この第2スライド用長孔88は、該第2スライド用長孔88の内部に、第1基体52の後側に形成されたピン状部材(図示せず)が配置されるように形成されており、第2ラック部材78が左右方向にスライド移動する際、このピン状部材により案内されるようにするためのものである。
第1連結ギヤ79は、第1ラック部材77と第2ラック部材78とを連結して、第1ラック部材77から伝達された駆動力を第2ラック部材78に対して伝達するためのものである。この第1連結ギヤ79は、第1ラック部材77に形成された第3伝達部82及び第2ラック部材78に形成された第4伝達部86と噛み合うように形成されており、第1ラック部材77から駆動力が伝達されると回転し、第2ラック部材78へその駆動力を伝達するように構成されている。
第1カバー体55は、第1基体52の後側であって、かつ第1駆動部54の後側に位置するもので、第1基体52の後側においてスライド移動可能に設けられた第1駆動部54の第1ラック部材77、第2ラック部材78及び第1連結ギヤ79を後側から覆うように第1基体52に取付固定されている。
(第2可動体42の構成)
図5及び図6に示すように、第2可動体42は、第2絵柄91、第2可動部としての第2可動部材92を有する第2装飾体93を備えている。また、第2可動体42は、結合用基板94、可動部材駆動部95、駆動手段としての可動部材用駆動モータ96、第2アーム部材97、第2駆動モータ98、第2駆動部99及び第2カバー体100を備えている。
第2絵柄91は、少なくとも一部に所定の絵柄が形成されているもので、本実施の形態では「布武」の文字を装飾的に描いた絵柄が描かれている。なお、この第2絵柄91に描くものとしては、文字のみならず、種々のイラスト等を描いてもよい。また、イラストや文字等だけではなく、第2絵柄91を描く対象物の表面に所定の模様等を形成してもよい。
第2可動部材92は、第2絵柄91の前側に位置するように設けられており、第2絵柄91を覆う閉じ位置とこの第2絵柄91を視認可能にする開き位置との間で移動可能となるように構成されている。図5及び図6に示すように、第2可動部材92は、第2左可動部材101及び第2右可動部材102を備えており、第2可動部材92が閉じ位置に位置する時はこれら第2左可動部材101及び第2右可動部材102が当接する位置にあり、第2可動部材92が開き位置に位置する時は第2左可動部材101が左方向へ移動し、第2右可動部材102が右方向へ移動することによってこれら第2左可動部材101及び第2右可動部材102が分離するように構成されている。なお、本実施の形態では、この第2可動部材92の表面にも絵柄等が描かれているが、この絵柄は描いてもよいし、描かなくてもよい。また、絵柄を描く場合には、任意に選択した種々の絵柄を描いてよい。
結合用基板94は、第2絵柄91及び第2可動部材92を取り付けると共に可動部材駆動部95及び可動部材用駆動モータ96を取り付けるためのベースとなる部材である。また、結合用基板94は、第2アーム部材97とも連結し、第2アーム部材97の移動に伴って、第2装飾体93を進出位置と退避位置との間で移動することができるように構成されている。
可動部材駆動部95は、第2左可動部材101及び第2右可動部材102を開き位置と閉じ位置との間で移動させるための駆動力を伝達するためのものである。この可動部材駆動部95は、第3ラック部材103と、第4ラック部材104と、これら第3ラック部材103及び第4ラック部材104とを連結するための第2連結ギヤ105とから構成されている。これら第3ラック部材103、第4ラック部材104は、結合用基板94の後側において左右方向にスライド移動することができ、第2連結ギヤ105は、結合用基板94の後側において回転することができるように配置されている。
第3ラック部材103は、可動部材用駆動モータ96から付与される駆動力を第2連結ギヤ105及び第2右可動部材102に伝達するためのものである。この第3ラック部材103には、可動部材用駆動モータ96に取り付けられた第2駆動ギヤ106を介して可動部材用駆動モータ96の駆動力が伝達される第6伝達部107と、第2連結ギヤ105と噛み合うように形成され、伝達された駆動力を第2連結ギヤ105に伝達するための第7伝達部108とが形成されている。これら第6伝達部107及び第7伝達部108はラック状に形成されており、可動部材用駆動モータ96の回転運動を左右方向の直線運動に変換することができるように構成されている。また、第3ラック部材103には、左右方向に延びる第3スライド用長孔109が形成されている。この第3スライド用長孔109は、該第3スライド用長孔109の内部に結合用基板94の後面に形成されたピン状部材(図示せず)が配置されるように形成されており、第3ラック部材103が左右方向にスライド移動する際、このピン状部材により案内される。
第4ラック部材104は、第2連結ギヤ105を介して第3ラック部材103から伝達される駆動力を第2左可動部材101に伝達するためのものである。この第4ラック部材104は、第2連結ギヤ105と噛み合うことができるように形成されており、この第2連結ギヤ105を介して第3ラック部材103から伝達される駆動力、即ち可動部材用駆動モータ96により付与される駆動力が伝達される。第4ラック部材104には、第2連結ギヤ105と噛み合うように形成され、第2連結ギヤ105を介して可動部材用駆動モータ96の駆動力が伝達される第8伝達部110が形成されている。また、第2ラック部材78には、左右方向に延びる第4スライド用長孔111が形成されている。この第4スライド用長孔111は、該第4スライド用長孔111の内部に、結合用基板94の後側に形成されたピン状部材(図示せず)が配置されるように形成されており、第4ラック部材104が左右方向にスライド移動する際、このピン状部材により案内されるようにするためのものである。
第2連結ギヤ105は、第3ラック部材103と第4ラック部材104とを連結して、第3ラック部材103から伝達された駆動力を第4ラック部材104に対して伝達するためのものである。この第2連結ギヤ105は、第3ラック部材103に形成された第7伝達部108及び第4ラック部材104に形成された第8伝達部110と噛み合うように形成されており、第3ラック部材103から駆動力が伝達されると回転し、第4ラック部材104へ駆動力を伝達するように構成されている。
可動部材用駆動モータ96は、第3ラック部材103及び第4ラック部材104に駆動力を付与するためのものである。この可動部材用駆動モータ96は、従来から公知の物を任意に選択して用いてもよい。また、この可動部材用駆動モータ96には、駆動軸に第2駆動ギヤ106が設けられている。この第2駆動ギヤ106は、第3ラック部材103の第6伝達部107と噛み合うように形成されており、可動部材用駆動モータ96の駆動力が第2駆動ギヤ106を介して第3ラック部材103に伝達されるように構成されている。また、この時、可動部材用駆動モータ96の回転運動が第3ラック部材103によって左右方向の直線運動に変換される。
第2アーム部材97は、第2駆動モータ98から伝達される駆動力を受けて、液晶表示装置33の表示画面が視認可能な退避位置と、液晶表示装置33の前側に位置しこの液晶表示装置33の表示画面の少なくとも一部を覆う進出位置と、の間において第2装飾体93を進退させるためのものである。この第2アーム部材97は、駆動力を受けて回動する際の回動中心となる回動軸部121と、この回動軸部121よりも長手方向に所定距離離れたところに位置する伝達用長孔部122と、この伝達用長孔部122よりも更に長手方向に所定距離離れ、かつ回動軸部121とは遠くなる方向に向かう方向に、連結用長孔部123が形成されている。伝達用長孔部122は、第2可動部材92を構成する第3従動ギヤ124に形成された伝達用突起124bが内部に配置される大きさに形成されており、第2アーム部材97の長手方向に沿う方向に向かって延びるように形成されている。連結用長孔部123は、結合用基板94と連結するためのもので、この連結用長孔部123も、第2アーム部材97の長手方向に沿う方向に向かって延びるように形成されている。
また、第2アーム部材97には、ロック手段としてのロック部125が形成されている。ロック部125は、本実施の形態では伝達用長孔部122に形成されている。図9に示すように、ロック部125は、伝達用長孔部122の一端側端部に、該伝達用長孔部122が延びる方向とは異なる方向に向けて形成されている。即ち、ロック部125は、伝達用長孔部122が延びる方向に対して、角度θだけ異なる方向に延びるように形成されている。この角度θは、第2アーム部材97が移動して第2装飾体93を進出位置に位置させた時に、第3従動ギヤ124に形成されている伝達用突起124bが回転する方向と一致するように形成されている。
第2駆動モータ98は、第2駆動部99及び第2アーム部材97を介して第2装飾体93を退避位置と進出位置との間で移動させるための駆動力を付与するためのものである。この第2駆動モータ98は、従来から公知の物を任意に選択して用いてもよい。また、この第2駆動モータ98には、駆動軸に第3駆動ギヤ126が設けられている。この第3駆動ギヤ126は、第2駆動部99を構成する第3従動ギヤ124と噛み合うように形成されており、第2駆動モータ98の駆動力が第3従動ギヤ124を介して第2アーム部材97に伝達されるように構成されている。
第2駆動部99は、第2駆動モータ98から付与される駆動力を受けて駆動し、さらにその駆動力を他の部材へ伝達するためのものである。第2駆動部99は、第3駆動ギヤ126と第3従動ギヤ124とを備えており、第3駆動ギヤ126は第2駆動モータ98の駆動軸に取付固定されている。また、第3従動ギヤ124は、第2アーム部材97の後側に位置しており、ギヤ本体124aと、このギヤ本体124aの中心から半径方向外側に向けて突出するとともに、ギヤ本体124aの表面から前側に突出する伝達用突起124bが形成されている。また、第2駆動部99には、レール127が設けられている。このレール127は、第2装飾体93が進出位置と退避位置との間で移動する際に、第2装飾体93の動きをガイドするためのものである。
第2カバー体100は、第2可動体42の後側に設けられており、レール127や第2駆動部99等が取付固定されるように形成されている。
[係合手段43の構成]
係合手段43は、第1可動体41及び第2可動体42が進出位置に位置する時に、これら第1可動体41及び第2可動体42を係合させ、該第1可動体41及び第2可動体42を合体させるためのものである。本実施の形態では、係合手段43は、係合部131及び係合受け部132から構成されている。係合部131は、突起状に形成された部材であり、係合受け部132は、係合部131と係合可能に形成されている。本実施の形態では、係合受け部132は、係合部131と係合可能な凹部として形成されている。図8に示すように、本実施の形態では、係合部131は、第2可動体42の第2左可動部材101及び第2右可動部材102において第1可動体41の第1左可動部材56及び第1右可動部材57と対向する面からこの面よりも上向きに突出する突起状に形成されており、係合受け部132は、第1可動体41の第1左可動部材56及び第1右可動部材57において、第2可動体42の第2左可動部材101及び第2右可動部材102と対向する面に凹状に形成されている。これら係合部131と係合受け部132とが係合することにより、第1可動体41及び第2可動体42が進出位置に位置する時に、これら第1可動体41及び第2可動体42が確実に合体し、また合体後にこれら第1可動体41及び第2可動体42が外れることを防止することもできるように構成されている。なお、本実施の形態では、第1可動体41に係合受け部132を設け、第2可動体42に係合部131を設けるように構成しているが、これに限定されるものではない。例えば、第1可動体41に係合部131を設け、第2可動体42に係合受け部132を設けてもよい。また、係合手段43は、第1可動体41及び第2可動体42を合体させることができるものであれば、上記した以外の構成以外のものであってもよい。
[検知センサ44の構成]
検知センサ44は、第1可動体41及び第2可動体42が進出位置に位置する時に、これら第1可動体41及び第2可動体42が合体しているか否かを検知するためのものである。本実施の形態では、検知センサ44は、係合手段43に設けられている。図9に示すように、検知センサ44は、例えば第1可動体41における係合受け部132に設けられており、第1可動体41及び第2可動体42が進出位置に位置する時に、係合受け部132内における係合部131の有無を検知することができるように構成されている。第1可動体41及び第2可動体42が進出位置に位置する時に、検知センサ44が係合部131の存在を検知した場合には、検知センサ44は係合部131の存在を検知した旨の検知信号を後述する演出制御手段に送信する。一方、検知センサ44が係合部131の存在を検知しなかった場合には、検知センサ44は検知信号を出力しない。
[演出制御部141の構成]
次に、本実施の形態に係る遊技機1における演出制御手段としての演出制御部141について説明する。演出制御部141は、遊技の進行に応じて、その遊技に対応する動画やアニメーション等を液晶表示装置33に表示するよう制御したり、又は演出用役物34による演出の制御、即ち演出用役物34の動作を制御するためのものである。
この演出制御部141は、例えば、遊技中において遊技球が始動入賞口に入賞した場合に、この入賞を契機として液晶表示装置33に所定の絵柄等を表示させるように制御する。また、演出制御部141は、この時の演出において、始動入賞口に遊技球が入賞することで行われる大当り抽選に当選したか否かによって異なる演出を行うように制御する。本実施の形態では、演出制御部141は、大当り抽選に当選し、その当選した大当りが第1の大当り遊技状態に移行するものである場合には、第1可動体41及び第2可動体42を合体させる第1演出を行うように制御する。また、演出制御手段は、大当り抽選に当選し、その当選した大当りが第2の大当り遊技状態に移行するものである場合には、第1可動体41及び第2可動体42を合体させ、その後に第1左可動部材56及び第2左可動部材101、並びに第1右可動部材57及び第2右可動部材102のそれぞれを一体的に閉じ位置から開き位置へ移動させ、第1図柄及び第2図柄のいずれをも視認可能にするようにする第2演出を行うように制御する。この時、演出制御部141には、検知センサ44からの検知信号の入力を受けている。検知センサ44は、第1可動体41及び第2可動体42が係合部131及び係合受け部132において係合したか否か、即ち、これら第1可動体41及び第2可動体42が係合手段43によって係合されたか否かを検知するように構成されている。演出制御部141は、大当り抽選の結果がこの第2の大当り遊技状態に移行するものであって、かつセンサ部材からの検知信号、即ち、第1可動体41及び第2可動体42が確実に係合した旨の検知信号の入力を受けた場合に、第2演出を行うように制御する。一方、演出制御部141は、大当り抽選の結果が、第2の大当り遊技状態に移行するものであっても、検知センサ44からの検知信号の入力がなかった場合には、第1可動体41及び第2可動体42が退避位置から進出位置へ移動したものの、これら第1可動体41及び第2可動体42が正常に合体しなかったものと判断して、第1演出を行うように制御する。
[演出用役物34の作用効果]
次に、演出用役物34の作用効果について説明する。本実施の形態に係る遊技機1では、大当り遊技状態として第1の大当り遊技状態と第2の大当り遊技状態とが設定されている。演出制御部141では、第1の大当り遊技状態に移行する場合には第1の演出を行い、第2の大当り遊技状態に移行する場合には、第2の演出を行うように制御する。また、演出制御部141は、第2の大当り遊技状態に移行する場合であっても、第1可動体41と第2可動体42とが正常に合体しなかった場合には、第1の演出を行うように制御する。以下においては、第1の演出の作用効果について説明した後に第2の演出について説明し、その後さらに第2の大当り遊技状態に移行する場合であって、第1可動体41及び第2可動体42が正常に合体しなかった場合の作用効果について説明する。
(第1の演出の作用効果)
図1に示すように、通常は演出用役物34を構成する第1可動体41及び第2可動体42は退避位置に位置している。この状態の時の演出用役物34の状態を図7及び図8に示す。図7に示すように、第1可動体41及び第2可動体42が退避位置にある場合には、これら第1可動体41及び第2可動体42は互いに離間した状態を維持している。図1に示すように、これら退避位置に位置する第1可動体41及び第2可動体42の間には、液晶表示装置33の表示領域33aがある。即ち、第1可動体41及び第2可動体42が退避位置にある時は、液晶表示装置33の表示領域33aを遊技者が視認しやすくなっている状態であるとも言える。
この時の演出用役物34を後面側から見ると、図8に示すようになっている。図8に示すように、第1可動体41の第1ラック部材77と第1従動ギヤ67との関係及び第2ラック部材78と第2従動ギヤ70との関係は、それぞれ第1従動ギヤ67及び第2従動ギヤ70が第1ラック部材77及び第2ラック部材78の互いに対向する内側の端部に近接する位置に位置している。また、第2可動体42も第2アーム部材97が最も下方に位置する状態になっている。
第1可動体41及び第2可動体42が退避位置に位置した状態で遊技者が遊技を行い、大当り抽選に当選し、第1大当り遊技状態又は第2大当り遊技状態へ移行することになると、第1可動体41の第1駆動モータ53がA方向に回転を開始し、第2可動体42の第2駆動モータ98もB方向に回転を開始する。まず、第1駆動モータ53がA方向に回転すると、第1駆動モータ53の駆動軸に取付固定されている第1駆動ギヤ76もA方向に回転する。そして、第1駆動ギヤ76のA方向への回転に伴って、第1伝達部80において該第1駆動ギヤ76と噛み合っている第1ラック部材77は、C方向への直線運動を開始する。この時、第1ラック部材77の第2伝達部81においては、第1従動ギヤ67が噛み合っており、第3伝達部82においては、第1連結ギヤ79が噛み合っている。したがって、第1ラック部材77がC方向に移動を開始すると、第1従動ギヤ67がD方向へ回転を開始するとともに、第1連結ギヤ79もD方向への回転を開始する。第1連結ギヤ79がD方向への回転を開始すると、第1連結ギヤ79は第2ラック部材78の第4伝達部86と噛み合っているので、第2ラック部材78はE方向へ直線運動を行う。第2ラック部材78がE方向へ直線運動を開始すると、第5伝達部87において噛み合っている第2従動ギヤ70は、F方向へ回転を開始する。
この時、第1従動ギヤ67は第1ラック部材77の駆動力を受けてD方向へ回転し、第2従動ギヤ70は第2ラック部材78からの駆動力を受けてF方向へ回転する。また、この時、第1ラック部材77はC方向へ直線的に移動し、第2ラック部材78はE方向へ直線的に移動する。すなわち、この時の第1ラック部材77及び第2ラック部材78は、互いに近接する方向に向けて直線的に移動することになる。第1従動ギヤ67がD方向へ回転し、第2従動ギヤ70がF方向へ回転することから、第1左アーム部材63はD方向へ回動し、第1右アーム部材64はF方向に回動する。そして、これら第1左アーム部材63及び第1右アーム部材64がこのように回動すると、第1左アーム部材63及び第1右アーム部材64と連結している第1移動部材48及び第2移動部材49は、G方向へ直線的に移動する。
次に、第2可動体42の第2駆動モータ98がB方向へ回転した時の作用について説明する。図8において、第2駆動モータ98がB方向へ回転すると第3従動ギヤ124も同じくB方向へ回転を開始する。この時、第3従動ギヤ124には伝達用突起124aが形成されており、この伝達用突起124aが第2アーム部材97の伝達用長孔部122の孔内に配置されるようにして構成されているので、第3従動ギヤ124がB方向へ回転を開始すると、その回転に伴って第3従動ギヤ124の伝達用突起124aが伝達用長孔部122においてその側面と当接すると共に、第2アーム部材97も回動軸部121を回動軸としてB方向への回動を開始する。この時、第2可動体42は連結用長孔部123において第2アーム部材97と連結しているので、第2アーム部材97が回動軸部121を回動中心として回動すると、第2可動体42はH方向へ直線的に移動する。
このようにして第1可動体41が退避位置からG方向へ直線的に移動し、第2可動体42が退避位置からH方向へ直線的に移動して、これら第1可動体41及び第2可動体42が進出位置に位置している状態を図9及び図10に示す。これら図9及び図10に示すように、第1可動体41及び第2可動体42が進出位置に位置した時には、第2可動体42に形成されている係合部が第1可動体41に形成されている係合受け部と係合し、第1可動体41及び第2可動体42が合体する。図9に示すように、第1可動体41及び第2可動体42が進出位置に位置している場合には、第2可動体42の第3従動ギヤ124に形成されている伝達用突起124aが第2アーム部材97のロック部125に位置する。したがって、第2可動体42が進出位置に位置した状態を維持することができ、第2可動体42が、自重や他の原因等によって不意に進出位置から退避位置へ移動してしまうことを確実に防止することが可能になる。特に、本実施の形態に係る遊技機1の場合には、第2可動体42が進出位置にある時は、遊技者の興趣が向上している場合が多いため、一端進出位置に位置したらその状態を維持することが必要になる。そのため、本実施の形態に係る遊技機1では、第2可動体42が進出位置に位置することをロック部125に伝達用突起124aを位置させることで行わせることができるので、遊技者の興趣を損なわず、遊技者の興趣をより向上させるような演出を行うことが可能になる。
(第2の演出の作用効果)
第2の演出は、第1可動体41及び第2可動体42が合体し、その後、第1絵柄45及び第2絵柄91を視認することができるまでの演出を行う。なお、第2の演出のうち、第1可動体41及び第2可動体42が合体するところまでの作用効果は先に説明した第1の演出の場合と同じであるから、ここでは第1可動体41及び第2可動体42が合体するまでの作用効果についての説明は省略する。
図9及び図10に示すように、第1可動体41及び第2可動体42が進出位置に位置している時は、これら第1可動体41及び第2可動体42が合体した状態となる。この場合、遊技者は、図11に示すような状態のものを視認することができる。図11は、遊技盤において、第1可動体41及び第2可動体42が進出位置に位置する場合を表した図である。このように、本実施の形態に係る演出用役物34は、第1可動体41及び第2可動体42が進出位置に位置している場合には、該演出用役物34の後方に位置する液晶表示装置33の少なくとも一部を覆うように配置される。したがって、このように演出用役物34を配置することで、液晶表示装置33において図柄等を表示させることによる演出と、演出用役物34を用いることによる演出を同時に行うことができ、遊技機1において遊技者の興趣をより向上させることが可能になる。
次に、第2の演出において第1絵柄45及び第2絵柄91を視認することができる状態にまで移行する際の作用効果について説明する。演出制御部141は、図9及び図10に示すように第1可動体41及び第2可動体42を合体させ、さらに検知センサ44から係合部131及び係合受け部132の係合が正常に行われていることの検知信号の入力を受けた場合には、可動部材用駆動モータ96をI方向に回転駆動する。可動部材用駆動モータ96がI方向に回転駆動すると、それに伴って第2駆動ギヤ106もI方向に回転をする。第2駆動ギヤ106は、第3ラック部材103の第6伝達部107と噛み合っているので、第2駆動ギヤ106がI方向に回転すると、それに伴って第3ラック部材103がJ方向に移動する。そして、第3ラック部材103は、第7伝達部108において第2連結ギヤ105と噛み合っているので、第3ラック部材103がJ方向に移動すると、それに伴って第2連結ギヤ105がK方向に回転する。また、第2連結ギヤ105は第4ラック部材104の第8伝達部110と噛み合っているので、第2連結ギヤ105がK方向に回転すると、それに伴って第4ラック部材104がL方向に移動する。したがって、演出制御部141が可動部材用駆動モータ96を回転駆動させると、第2可動体42における第2可動部材の第2左可動部材101はL方向に移動し、第2右可動部材102はJ方向に移動することになる。
この時、第1可動体41及び第2可動体42が合体しており、これら第1可動体41及び第2可動体42は、係合手段によって係合している。具体的には、第2左可動部材101に形成された係合部131は第1左可動部材56に形成された係合受け部132と係合し、第2右可動部材102に形成された係合部131は第1右可動部材57に形成された係合受け部132と係合している。そのため、第2左可動部材101がL方向に移動すると、第1左可動部材56も、第2左可動部材101と一体的にL方向へ移動する。また、第2右可動部材102がJ方向に移動すると、第1右可動部材57も、第2右可動部材102と一体的にJ方向へ移動する。
したがって、本実施の形態に係る演出用役物34は、一つの駆動手段としての可動部材用駆動モータ96により、第1可動体41の第1左可動部材56及び第1右可動部材57、並びに第2可動部材の第2左可動部材101及び第2右可動部材102を閉じ位置と開き位置との間で移動させることができる。そのため、本実施の形態に係る演出用役物34は、第1可動体41を構成する部品の点数を大幅に減少させることが可能になる。特に第1可動体41に駆動モータ等の駆動手段や、この駆動手段を設置するに際して必要な部品を減少させることができ、構造の簡略化及び製造コストの低減を大きく図ることが可能になる。また、このように第1可動体41の構造を簡略化し、部品点数を減少させることができるので、第1可動体41を軽量化することも可能になる。
第1左可動部材56及び第2左可動部材101がL方向へ移動し、第1右可動部材57及び第2右可動部材102がJ方向へ移動した時の演出用役物34の状態を図12〜図14に示す。図12及び図14に示すように、上記したように第1左可動部材、第2左可動部材、第1右可動部材及び第2右可動部材が閉じ位置から開き位置へと移動すると、第1絵柄45及び第2絵柄91が視認可能な状態になる。即ち、第1絵柄45に描かれている「天下」という文字と、第2絵柄91に描かれている「布武」という文字が視認可能となる。このように、第1絵柄45及び第2絵柄91が視認可能な状態になった場合は、図14に示すように液晶表示装置33における表示領域33aのほとんど全体を演出用役物34が覆う状態になり、このような状態になると遊技者に対して大当り抽選に当選し、第2大当り遊技状態に移行することを知らせ、遊技者の興趣をさらにより向上させることが可能になる。また、この場合においても、液晶表示装置33に図柄等を表示させることによる演出、第1可動体41及び第2可動体42を合体させることによる演出に加えて、第1絵柄45及び第2絵柄91を視認させるに至るまでの動作やこれら第1絵柄45及び第2絵柄91を視認させることによる演出と言うように、各種の演出を組み合わせて一つの演出を行うことができる。したがって、さらにより遊技者の興趣を向上させる演出を行うことが可能になる。
(第1可動体41及び第2可動体42が正常に合体しなかった場合の作用効果)
第1可動体41及び第2可動体42は、進出位置に位置している時は、係合部131及び係合受け部132が係合し、これら第1可動体41及び第2可動体42が正常に合体するように構成されているものの、退避位置から進出位置へ移動している間に、第1可動体41及び第2可動体42の間に位置ずれが生じ、正常に合体しない場合がある。本実施の形態の演出用役物34は、これら第1可動体41及び第2可動体42が進出位置に位置している時に、係合部131及び係合受け部132が係合しているか否かを検知センサ44で検知している。
演出制御部141は、図9及び図10に示すように、第1可動体41及び第2可動体42を合体させたものの、検知センサ44から係合部131及び係合受け部132の係合が正常に行われていることの検知信号の入力を受けなかった場合には、第1可動体41及び第2可動体42の合体が正常に行われなかったものと判断する。この場合、演出制御部141は、大当り抽選に当選し、遊技状態を通常遊技状態から第2の大当り遊技状態へ移行する場合であっても、上記したような第2の演出を行わず、第1の演出を行うように制御する。
このように制御をすることで、第1可動体41及び第2可動体42が正常に合体していない場合に可動部材用駆動モータ96を駆動して第2左可動部材101及び第2右可動部材102を閉じ位置から開き位置へ移動させることで、これら第2左可動部材101及び第2右可動部材102のみが移動し、本来これらと一体的に移動するはずのものである第1左可動部材56及び第1右可動部材57が閉じ位置から開き位置へ移動せず、遊技者の興趣を却って減退させてしまう状態を未然に防止することができる。
以上、本発明の具体的な内容について説明したが、本発明は本実施の形態の態様の構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。