以下、図面を参照して、本発明の実施の形態における遊技機(パチンコ機)について説明する。なお、以下の実施形態の説明において記す前後左右とは、遊技者から見た、つまり遊技盤に向かって見た方向を指すものとする。
まず、図1を参照して、遊技機の遊技盤1の全体構成について説明する。図1は遊技盤1の正面図である。
遊技盤1は、合板やプラスチック等からなる矩形状の遊技盤本体2の表面に、区画部材としてのガイドレール10を設けることで略円形状の遊技領域11を区画形成している。
遊技機は、遊技者の操作に基づいて発射装置(図示省略)から遊技球を発射させ、遊技領域11内に流下させることにより遊技を行うものである。遊技者は、遊技盤1を覆うカバーガラス(図示省略)を通じて遊技領域11を視認することができる。
遊技領域11には、開口部21aを有するセンターケース(包囲枠体)21が配設される。遊技盤1にはセンターケース21の外周に沿った形状の開口が形成され、センターケース21は、その開口に遊技盤1の前方から嵌装される。
遊技盤1の裏面には、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な表示部22aを有する変動表示装置22が後述する制御ベース34(図3参照)を介して配設される。変動表示装置22は、表示部22aがセンターケース21の開口部21aに臨んで配設される。
変動表示装置22は、表示部22aに複数の変動表示領域(例えば、左側、中央、右側の3つの可変表示領域)を設定して各表示領域の各々で独立して画像表示がなされる表示装置である。本実施形態では、例えば、任意の画像を表示可能な液晶表示器等で表示画面部分が構成され、その表示画面上の各変動表示領域には複数の識別情報(特別図柄)や変動表示ゲームを演出するキャラクタ等、遊技の進行に基づく画像が表示される。
遊技領域11におけるセンターケース21の下方でかつ遊技領域11の略中央には、遊技球の入賞に基づき特別図柄(特図)変動表示ゲームの始動条件を付与可能な始動入賞口24が配設される。
始動入賞口24は、遊技球が入賞した場合に特図第1変動表示ゲームが行われる第1始動入賞口24aと、普通変動入賞装置(普通電動役物)23を有するチューリップタイプであり、遊技球が入賞した場合に特図第2変動表示ゲームが行われる第2始動入賞口24bとを備える。
第2始動入賞口24bの下方には、変動表示装置22の作動結果によって遊技球を受け入れない状態と受け入れ易い状態とに変換可能な特別変動入賞装置(大入賞口)25が配設される。
遊技領域11におけるセンターケース21の左側方には、遊技球が通過した場合に普通図柄(普図)変動表示ゲームが行われる普図始動ゲート26が配設される。
遊技領域11における始動入賞口24の左右両側方には、遊技球が入賞した場合に賞球を払い出す条件だけが成立する一般入賞口27が配設される。
遊技領域11には、この他に遊技球の落下方向を変える風車や釘等の方向変換部材(図示省略)、入賞せずに流下した遊技球を回収するアウト口30が配設される。
遊技盤1の右下部には、特図変動表示ゲームの特図の変動表示、特図入賞記憶数(始動記憶数)、普図変動表示ゲームの普図の変動表示、普図入賞記憶数、及び大当たりの決定ラウンド数を表示する状態表示器32が配設される。
発射装置によって打ち出された遊技球は、ガイドレール10の左側部に沿って区画され遊技球を案内する発射球案内通路31から遊技領域11に発射され、遊技領域11内の各所に配置された方向変換部材によって落下方向を変えながら遊技領域11を流下し、始動入賞口24、一般入賞口27、又は特別変動入賞装置25に入賞するか、遊技領域11の最下部に設けられたアウト口30から排出される。
始動入賞口24、一般入賞口27、又は特別変動入賞装置25に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が払出装置(図示省略)から排出される。
具体的には、始動入賞口24に遊技球が入賞すると、変動表示装置22では、前述した数字等で構成される識別情報が順に変動表示する特図変動表示ゲームが開始され、特図変動表示ゲームに関する画像が表示される。
始動入賞口24への遊技球の入賞が所定のタイミングでなされたときには大当たり状態となり、三つの表示図柄が揃った状態(大当たり図柄)で停止する。このとき、特別変動入賞装置25は、大入賞口SOL(大入賞口ソレノイド)128(図2参照)への通電によって、大入賞口が所定の時間だけ、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)に変換される。すなわち、大入賞口が所定の時間だけ大きく開くので、この間遊技者には、多くの遊技球を獲得することができるという遊技価値が付与される。
また、普図始動ゲート26を遊技球が通過すると、状態表示器32で普図変動表示ゲームが開始される。普図始動ゲート26への遊技球の通過が所定のタイミングでなされたときには普通図柄に関する当たり状態となり、状態表示器32に表示される普通図柄が当たり状態で停止する。このとき、第2始動入賞口24bに設けられた普通変動入賞装置23は、普通電動役物SOL(普通電動役物ソレノイド)127(図2参照)への通電によって、第2始動入賞口24bへの入口が所定の時間だけ拡開するように変換され、第2始動入賞口24bへの遊技球の入賞可能性が高められる。
次に、図2を参照して、遊技機の遊技制御装置100について説明する。図2は遊技制御装置100を中心とする制御系を示すブロック構成図である。
遊技制御装置100は、遊技を統括的に制御する主制御装置である。演出制御装置140は、遊技制御装置100からの指示に基づいて、演出を制御する従属制御装置である。
遊技制御装置100は、遊技用マイコン(遊技用演算処理装置)101、入力I/F(Interface)105、出力I/F106、及び外部通信端子107を備える。遊技用マイコン101、入力I/F105、及び出力I/F106は、内部バスによって相互に接続される。
遊技用マイコン101は、遊技制御装置100全体の制御を行う。遊技用マイコン101には、CPU102、ROM103、及びRAM104を備える。
CPU102は、遊技を統括的に制御する主制御部であって遊技制御を司る。
ROM103は、遊技制御のための不変の情報(プログラム、データ等)を記憶している。
RAM104は、遊技制御に必要な情報を一時的に記憶するワークエリアとして利用される。
外部通信端子107は、遊技用マイコン101に接続され、遊技制御装置100の設定情報等を検査する検査装置等の外部機器を接続するためのインターフェースである。
CPU102は、入力I/F105を介して、各種入力装置(特図第1始動入賞口SW110、特図第2始動入賞口SW111、一般入賞口SW1121〜112n、ゲートSW113、カウントSW114、ガラス枠開放SW115、前面枠開放SW116、及び球切れSW117)からの検出信号を受けて、大当り抽選等の種々の処理を行う。
特図第1始動入賞口SW110は、第1始動入賞口24aに遊技球が入賞したことを検出するスイッチである。
特図第2始動入賞口SW111は、第2始動入賞口24bに遊技球が入賞したことを検出するスイッチである。
一般入賞口SW1121〜112nは、一般入賞口27に遊技球が入賞したことを検出するスイッチである。
ゲートSW113は、普図始動ゲート26を遊技球が通過したことを検出するスイッチである。
カウントSW114は、特別変動入賞装置25の大入賞口に遊技球が入賞したことを検出するスイッチである。
ガラス枠開放SW115は、遊技機のガラス枠(図示省略)が開放されたことを検出するスイッチである。
前面枠開放SW116は、遊技機の前面枠(図示省略)が開放されたことを検出するスイッチである。
球切れSW117は、遊技機の内部に貯留され、払い出しに用いられる遊技球の数が所定数以下になったことを検出するスイッチである。
また、CPU102は、出力I/F106を介して、特図第1表示器120、特図第1記憶表示器121、特図第2表示器122、特図第2記憶表示器123、普図表示器124、普図記憶表示器125、遊技状態表示器126、普通電動役物SOL127、大入賞口SOL128、及び排出制御装置129に指令信号を送信して、遊技を統括的に制御する。
特図第1表示器120及び特図第2表示器122は、特図第1変動表示ゲーム及び特図第2変動表示ゲームの識別情報(特別図柄)の変動表示を行う。特図第1記憶表示器121及び特図第2記憶表示器123は、特図第1変動表示ゲーム及び特図第2変動表示ゲームの特図始動記憶数(保留記憶数)の表示を行う。
普図表示器124は、普図変動表示ゲームの識別情報(普通図柄)の変動表示を行う。普図記憶表示器125は、普図変動表示ゲームの普図始動記憶数の表示を行う。
遊技状態表示器126は、異常等が検出された場合に信号を受信し、異常などの遊技状態を報知する。
普通電動役物SOL127は、第2始動入賞口24bの普通変動入賞装置23を所定時間拡開するように動作させる。
大入賞口SOL128は、特別変動入賞装置25の大入賞口が所定の時間だけ、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)にする。
排出制御装置129は、遊技制御装置100からの賞球指令信号に基づいて払出ユニット(図示省略)の動作を制御し賞球を排出させ、またカードユニット(図示省略)からの貸球要求信号に基づいて払出ユニットの動作を制御して貸球を排出させる。
遊技制御装置100は、変動表示ゲームの回転停止を示す図柄確定信号、及び特別遊技状態(大当り)の発生を示す特賞信号等の遊技機データを、外部情報端子130を介して、図示しない情報収集端末装置に出力する。
さらに、遊技制御装置100は、変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等を演出制御指令信号として、出力I/F106を介して、演出制御装置140に送信する。
演出制御装置140は、遊技制御装置100から送信された演出制御指令信号に基づいて、遊技を演出する各装置を制御する。各装置による遊技の演出には、役物駆動用モータ1511〜151nや役物駆動用SOL(役物駆動用ソレノイド)1521〜152nよる役物の演出動作、表示装置153の表示、各種LED基板154による装飾光の発光、及びスピーカ155による効果音の出力などが含まれる。また、異常を検知した場合、例えば前面枠やガラス枠が開放された場合に、演出制御装置140によってスピーカ155から報知音が出力される。
演出制御装置140は、CPU141、ROM142、RAM143、通信I/F144、入出力I/F145、VDP146、画像ROM147、音LSI148、及び音ROM149を備える。
CPU141は、遊技制御装置100からの指令に基づいて各種演出を制御する。
ROM142は、遊技制御のための不変の情報(プログラム、データ等)を記憶している。
RAM143は、遊技における演出制御に必要な情報を一時的に記憶するワークエリアとして利用される。
通信I/F144は、演出制御装置140と遊技制御装置100とを接続するためのインターフェースである。
入出力I/F145は、演出制御装置140と各装置とを接続するためのインターフェースである。また、入出力I/F145は、演出制御装置140と遊技者によって操作される演出ボタン150とを接続する。
VDP146は、CPU141からの要求に応じて、識別情報やキャラクタ等の画像を表示装置153に出力する。VDP146には、画像データ等が記憶された画像ROM(演出データ記憶手段)147が接続される。画像ROM147には、機種毎に共通の画像情報と、当該機種のシリーズに対応する画像情報とが記憶される。
音LSI148は、CPU141からの要求に応じて、効果音や報知音等の音声をスピーカ155に出力する。音LSI148には、効果音や報知音等が記憶された音ROM149が接続される。
次に、図3を参照して、制御ベース34及びそれに取り付けられる装飾ユニット35について説明する。図3は制御ベース34、装飾ユニット35、及びセンターケース21の分解斜視図である。
制御ベース34は、内部に装飾ユニット35を収容する収容空間を有する箱状の部材であり、制御ベース34の裏面には変動表示装置22が取り付けられる。変動表示装置22は、表示部22aが制御ベース34に形成された表示用開口部34aに臨むようにして制御ベース34に取り付けられる。
装飾ユニット35は、左右方向に延在する底部装飾部材36と、底部装飾部材36の両端部から上方へと立設する左側可動装飾装置37及び右側可動装飾装置400とからなる略U字状の装飾である。左側可動装飾装置37及び右側可動装飾装置400は、遊技状態に応じて演出動作可能に構成される。なお、右側可動装飾装置400の詳細については、図50〜図60を参照して後述する。
装飾ユニット35は、底部装飾部材36、左側可動装飾装置37、及び右側可動装飾装置400が表示用開口部34aの縁部に沿うようにして制御ベース34の収容空間内に収容される。つまり、装飾ユニット35は、変動表示装置22の表示部22aの外縁に沿って配設されることになる。
制御ベース34は、収容空間内に装飾ユニット35が収容される共に、裏面に変動表示装置22が取り付けられた状態で、遊技盤1の裏面に取り付けられる。このように、制御ベース34は、センターケース21との間で遊技盤1を挟むようにして、遊技盤1の裏面に取り付けられる。
次に、図4〜図6を参照して、センターケース21及びセンターケース21と一体に配設される可動装飾ユニット50について説明する。図4はセンターケース21及び可動装飾ユニット50の斜視図である。図5は前面側から見た時のセンターケース21及び可動装飾ユニット50の分解斜視図であり、図6は裏面側から見た時のセンターケース21及び可動装飾ユニット50の分解斜視図である。
センターケース21は、変動表示装置22の表示部22aが臨む開口部21aを有する異形リング状の部材であり、遊技盤1に形成された開口に遊技盤1の前方から嵌装されて遊技盤1に対して固定される。センターケース21は合成樹脂にて形成される。
センターケース21は、遊技盤1に形成された開口に嵌装される嵌装部40aと、嵌装部40aに対して鍔状に形成された鍔部40bとからなる本体ベース40を備え、鍔部40bを介して遊技盤1に固定される。つまり、鍔部40bよりも前方側が遊技領域11内に配設されることになる。
本体ベース40の鍔部40bの前面には、前方に立設し遊技領域11を流下する遊技球を案内するガイド41が形成される。ガイド41は、センターケース21の全周に亘って形成される。発射球案内通路31から遊技領域11内に発射された遊技球は、ガイドレール10とガイド41との間の領域を流下する。
可動装飾ユニット50は、遊技の進行に伴い所定の演出動作を行うものであり、センターケース21の裏面上部に配設される上部可動装飾ユニット51と、センターケース21の裏面右側部に配設される側部可動装飾ユニット200と、センターケース21の右下部に形成された略円形の開口部21b内に収容されるように配設される下部可動装飾ユニット300とからなる。上部可動装飾ユニット51は変動表示装置22の表示部22aの上縁に沿って配設され、側部可動装飾ユニット200は表示部22aの右側縁に沿って配設される。
なお、上部可動装飾ユニット51の詳細については図7〜図24を参照して後述し、下部可動装飾ユニット300の詳細については図25〜図36を参照して後述し、側部可動装飾ユニット200の詳細については図37〜図49を参照して後述する。
センターケース21の開口部21bの前面には、開口部21bの周囲を装飾する装飾板52が配設される。
また、センターケース21の内側底部には、遊技球が転動可能であって、転動する遊技球を始動入賞口24が配設された遊技領域11へと排出するステージ54が配設される。ステージ54の前面には、センターケース21の下部を装飾する下部装飾部500が形成される。下部装飾部500の詳細については、図61〜図73を参照して後述する。
センターケース21の左側部には、遊技領域11を流下する遊技球をセンターケース21内に導くためのワープ通路56が配設される。ワープ通路56は、ワープ形成部材57によって形成される。ワープ形成部材57は有色透明な合成樹脂にて形成される。
ワープ通路56は、遊技領域11に向けて開口し遊技領域11を流下する遊技球を受け入れる流入口56aと、流入口56aから流入した遊技球が通過する流路56bと、ステージ54に向けて開口し流路56bを通過した遊技球をステージ54に排出する排出口56cとを備える。
流入口56aは、遊技領域11におけるセンターケース21の左側方を流下する遊技球を受け入れるため、左斜め上方に向けて開口している。流路56bは、通過する遊技球の転動の勢いを弱めるために、蛇行して形成される。排出口56cは、ステージ54の左端部に連接して配設された階段状の連絡路55に連通して形成される。したがって、排出口56cから排出された遊技球は、連絡路55を通じてステージ54へと流入する。
センターケース21が遊技盤1の前面に取り付けられると共に、制御ベース34が遊技盤1の裏面に取り付けられた状態では、略U字状の装飾ユニット35は、センターケース21の後方で、かつ開口部21aの内周縁に沿うようにして配設される。
センターケース21には、開口部21aを塞ぐようにして透明な樹脂製のカバー58が配設される。カバー58によってステージ54と装飾ユニット35とは仕切られるため、ワープ通路56を通じてステージ54に導かれた遊技球が装飾ユニット35に当たることはなく、装飾ユニット35の破損を防止することができる。
図4に示すように、ステージ54は、センターケース21の内側底部に左右方向に延設され、かつ中央部が始動入賞口24の直上方となるように配設される。ステージ54は、左右両端部と中央部とが高い波状に形成される。ステージ54は有色透明な合成樹脂にて形成される。
ステージ54の中央部には、後方に向かって下り傾斜した第1球案内部54aが形成される。第1球案内部54aの両側方の谷部には、遊技領域11に向かって下り傾斜した第2球案内部54bが形成される。
カバー58における第1球案内部54aに対応する位置には開口部58aが形成され、この開口部58aを介して誘導部材555がセンターケース21の裏面に配設される。ステージ54の第1球案内部54aは、誘導部材555を介して、ステージ54の下方において遊技領域11に向けて開口するように形成された球流出口59に連通する。したがって、第1球案内部54aから誘導部材555に流入した遊技球は、ステージ54の下方に誘導されて、球流出口59から遊技領域11に排出される。
上記のように、ワープ通路56からステージ54に導かれた遊技球は、第1球案内部54aから誘導部材555を介してステージ54の下方に誘導されて球流出口59から遊技領域11に排出されるか、又は第2球案内部54bから遊技領域11へと排出される。球流出口59は、始動入賞口24の上方に横長に開口して形成されるのに対して、第2球案内部54bは、始動入賞口24の直上方から左右側にずれて配設される。そのため、球流出口59から排出される遊技球の方が、第2球案内部54bから排出される遊技球と比較して、始動入賞口24へ誘導される確率が高くなる。
<上部可動装飾ユニット51について>
まず、図7〜図12を参照して、上部可動装飾ユニット51の概略構成について説明する。
図7は上部可動装飾ユニット51の正面図であり、図8は上部可動装飾ユニット51の裏面図である。図9は、上部可動装飾ユニット51の裏面図でモータ66を取り除いた状態の図である。図10は、上部可動装飾ユニット51の分解斜視図である。図11は、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の正面側の分解斜視図である。図12は、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の裏面側の分解斜視図である。
上部可動装飾ユニット51は、前面に文字装飾63を有する第1可動演出部材61と、文字装飾63の背後から放射状に延びる放射状装飾64を有し、第1可動演出部材61の後方に配設される第2可動演出部材62とを備え、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が表示部22aに表示される表示内容に関連して所定の演出動作を行うものである。
図10に示すように、上部可動装飾ユニット51は、センターケース21の裏面上部に固定され第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62を移動可能に支持するベース部材65と、ベース部材65に支持された駆動源としてのモータ66(図8参照)と、ベース部材65に支持されモータ66の駆動力を第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62に伝達する伝達機構67とを備える。
ベース部材65は、前面部が透明なレンズにて形成され、かつ前面部には装飾が施されている。ベース部材65の裏面には、取付ベース68を介してLED基板69が配設される。LED基板69には複数のLEDが装着され、LEDが発する光はベース部材65を透過することによって外部へと拡散する。
図11に示すように、第1可動演出部材61は、ベース板70と、ベース板70の前面に取り付けられ、文字の部分が透明なレンズにて形成された文字装飾63とを備える。
図12に示すように、ベース板70の裏面には、複数のLEDが装着されたLED基板71が配設され、LEDが発する光が文字装飾63のレンズを透過することによって、文字から光が漏れて文字が強調される。
ベース板70の裏面には、伝達機構67の構成部材の1つである第1駆動軸72及び第2駆動軸73が結合される。第1駆動軸72及び第2駆動軸73は、LED基板71を挿通して後方へと延在し、左右方向に所定間隔を空けて配設される。
図11及び図12に示すように、第2可動演出部材62は、円板部75と、円板部75から放射状に延びる放射状装飾64とを備える。円板部75の中心には、第1駆動軸72が挿通する穴75aが形成される。穴75aは、第1駆動軸72の外径よりも僅かに大きい程度の径に形成される。また、放射状装飾64には、第2駆動軸73が挿通する長穴64aが形成される。長穴64aは、第2駆動軸73が長穴64a内を移動することができるように、鉛直方向に延在して形成される。
このように、第1可動演出部材61に結合された第1駆動軸72及び第2駆動軸73は、第2可動演出部材62を挿通する。そして、第1駆動軸72及び第2駆動軸73は、それぞれベース部材65に貫通して形成された第1開口部65a及び第2開口部65b(図10参照)も挿通する。第1開口部65a及び第2開口部65bは円弧状に延在して形成される。
ベース部材65の第1開口部65a及び第2開口部65bを挿通した第1駆動軸72及び第2駆動軸73は、モータ66の回転力を第1駆動軸72及び第2駆動軸73の移動に変換する変換機構80の作用によって移動する。
変換機構80は、モータ66が一方向に回転した場合には第2駆動軸73のみを移動させる一方、モータ66が他方向に回転した場合には第1駆動軸72及び第2駆動軸73の双方を移動させる。これにより、モータ66が一方向に回転した場合には、第2駆動軸73のみが第2可動演出部材62の長穴64a内を移動することによって、第1可動演出部材61は第1駆動軸72を中心軸として第2可動演出部材62に対して相対的に揺動する。また、モータ66が他方向に回転した場合には、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62は第1駆動軸72及び第2駆動軸73を介して一体に移動する。
以下では、主に図8〜図10及び図13〜図16を参照して、伝達機構67の変換機構80について説明する。
図13は揺動カム81を示す図であり、(a)は正面図、(b)は斜視図である。図14は第1リンク部材82を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面側の斜視図、(c)は裏面側の斜視図である。図15(a)及び(b)は蓋部材89の斜視図である。図16は第2リンク部材83を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面側の斜視図、(c)は裏面側の斜視図である。
図9及び図10に示すように、変換機構80は、モータ66の出力軸に連結されモータ66の回転に伴って揺動する揺動カム81と、揺動カム81の揺動に伴って回動可能であり、第1駆動軸72を移動させる第1リンク部材82と、揺動カム81の揺動に伴って回動可能であり、第2駆動軸73を移動させる第2リンク部材83とを備える。第1リンク部材82及び第2リンク部材83には、それぞれ揺動カム81からの揺動力を受けるカムフォロア86、87が配設される。なお、揺動カム81、第1リンク部材82、及び第2リンク部材83は合成樹脂にて形成される。
モータ66は、図8に示すように、ベース部材65の裏面に締結された支持板92を介してベース部材65に支持される。
図13に示すように、揺動カム81は、外周面がカム面として形成された平板状部材であり、中心にモータ66の出力軸が相対回転不能に連結される連結穴81aが形成される。揺動カム81のカム面は、第1リンク部材82のカムフォロア86に当接して、揺動カム81の揺動力を第1リンク部材82に作用させる第1作用面84と、第2リンク部材83のカムフォロア87に当接して、揺動カム81の揺動力を第2リンク部材83に作用させる第2作用面85とを備える。
第1作用面84は、円弧形状の山部84aと略直線状のベース部84bとからなる。第2作用面85は、波形状の波状部85aと略直線状のベース部85bとからなる。第1作用面84の山部84aと第2作用面85の波状部85aとは、連結穴81aを中心に対向して形成される。また、第1作用面84のベース部84bと第2作用面85のベース部85bとは、連結穴81aを中心に対向しかつ略平行に形成される。
図10及び図14に示すように、第1リンク部材82は、周壁82aにて包囲され裏面側が開口する収納空間82bを有する部材である。第1リンク部材82の一端には、ベース部材65に回転自在に支持される回転軸88(図10参照)が嵌入されるスリーブ82cが配設される。第1リンク部材82の他端である自由端側には、第1駆動軸72(図12参照)が挿通して連結されるスリーブ82dが配設される。スリーブ82dを挿通する第1駆動軸72の先端には、抜け止め用のリング(図示省略)が嵌装される。また、周壁82aの外周面におけるスリーブ82cの近傍には、カムフォロア86(図10参照)を支持するための軸82eが配設される。このように、軸82eは回転軸88の近傍に配設される。なお、第1駆動軸72、回転軸88、及び軸82eは、全て前後方向に平行に形成される。
カムフォロア86は、弾性を有する円筒部材であり、軸82eに相対回転不能に嵌装される。カムフォロア86の外周面には、揺動カム81の第1作用面84(図13参照)が当接し、カムフォロア86は、揺動カム81の揺動に伴って回転軸88を中心として旋回する。このカムフォロア86の旋回に伴って、第1リンク部材82の自由端側は回転軸88を中心として回動する。そして、第1リンク部材82の回動に伴って、第1リンク部材82の自由端側に連結された第1駆動軸72が移動する。このように、第1リンク部材82は、揺動カム81の揺動に伴って回動して第1駆動軸72を移動させる。
第1リンク部材82の収納空間82b内には、第1可動演出部材61に配設されたLED基板71と演出制御装置140(図2参照)とを電気的につなぐ配線94(図21〜図24参照)が収納される。収納空間82b内に配線94が収納された状態で、収納空間82bの開口部は、図15に示す蓋部材89にて閉塞される。蓋部材89は、内部の配線94が視認可能なように透明な合成樹脂にて形成される。配線94については、後に詳しく説明する。
図10及び図16に示すように、第2リンク部材83は、一端が円形で他端に向かって細く形成されたレバー状の部材である。第2リンク部材83の一端には、円錐形状の基端部83aを介してスリーブ83bが配設される。スリーブ83bには、ベース部材65に回転自在に支持される回転軸90(図10参照)が嵌入される。第2リンク部材83の他端である自由端側他端には、第2駆動軸73(図12参照)が挿通して連結される長穴状の開口部83cが形成される。開口部83cを挿通する第2駆動軸73の先端には、抜け止め用のリング(図示省略)が嵌装される。また、基端部83aの外周面には、カムフォロア87(図10参照)を支持するための軸83dが配設される。このように、軸83dは回転軸90の近傍に配設される。なお、第2駆動軸73、回転軸90、及び軸83dは、全て前後方向に平行に形成される。
カムフォロア87は、弾性を有する円筒部材であり、軸83dに相対回転不能に嵌装される。カムフォロア87の外周面には、揺動カム81の第2作用面85(図13参照)が当接し、カムフォロア87は、揺動カム81の揺動に伴って回転軸90を中心として旋回する。このカムフォロア87の旋回に伴って、第2リンク部材83の自由端側は回転軸90を中心として回動する。そして、第2リンク部材83の回動に伴って、第2リンク部材83の自由端側に連結された第2駆動軸73が移動する。このように、第2リンク部材83は、揺動カム81の揺動に伴って回動して第2駆動軸73を移動させる。
ここで、図9に示すように、第1リンク部材82の回転軸88と第2リンク部材83の回転軸90とは、揺動カム81の揺動軸を中心として対称位置に配設される。また、第1リンク部材82のカムフォロア86と第2リンク部材83のカムフォロア87とは、揺動カム81の揺動軸を中心として対称位置に配設される。回転軸88、90とカムフォロア86、87をこのように配置することによって、揺動カム81の揺動力が第1リンク部材82及び第2リンク部材83にスムーズに伝達される。
変換機構80は以上のように構成され、モータ66の回転に基づく揺動カム81の揺動に伴って、第1リンク部材82及び第2リンク部材83が回動することによって、第1駆動軸72及び第2駆動軸73が移動する。そして、これら第1駆動軸72及び第2駆動軸73の移動に伴って、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が動作する。
図9及び図10に示すように、ベース部材65には、揺動カム81の初期位置を検出するためのコの字形状の光電センサ76が配設される。揺動カム81には、揺動カム81が初期位置である場合に、光電センサ76の凹部に挿入され光電センサ76の発射光を遮光する遮光部81bが形成される。このように、光電センサ76と揺動カム81の遮光部81bとによって、揺動カム81の初期位置、つまり第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の初期状態が検出される。
次に、図17〜図20を参照して、上部可動装飾ユニット51の第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の動作について説明する。
図17は初期状態の上部可動装飾ユニット51を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。図18は第1可動演出部材61が揺動動作し下限位置に到達した状態の上部可動装飾ユニット51を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。図19は、図18と同じ状態における部分拡大斜視図である。図20は第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が一体動作し下限位置に到達した状態の上部可動装飾ユニット51を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。
第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の演出動作は、遊技機に搭載される演出制御装置140(図2参照)によって行われる。
図17(b)に示すように、初期状態では、変換機構80の揺動カム81は、遮光部81bにて光電センサ76の発射光を遮光した初期位置に位置する。このとき、揺動カム81は、第1作用面84のベース部84bと第2作用面85のベース部85bとが略水平となる向きである。また、第1リンク部材82は、カムフォロア86に揺動カム81の山部84aが当接し、略水平状態である。第1リンク部材82の自由端側に連結された第1駆動軸72は、ベース部材65の第1開口部65aの上端部を挿通する。また、第2リンク部材83は、カムフォロア87に揺動カム81の波状部85aの山部85cが当接し、略水平状態である。第2リンク部材83の自由端側に連結された第2駆動軸73は、第2可動演出部材62の長穴64a(図11参照)の上端部を挿通すると共に、ベース部材65の第2開口部65bの上端部を挿通する。なお、初期状態では、第1駆動軸72と第2駆動軸73とは略同じ高さとなる。
このように、揺動カム81が初期位置に位置する場合には、第1駆動軸72及び第2駆動軸73は、それぞれベース部材65の第1開口部65a及び第2開口部65bの上端部を挿通する。この状態では、図17(a)に示すように、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62は、ベース部材65の略中央部に位置する。また、第1駆動軸72と第2駆動軸73とは略同じ高さであるため、第1可動演出部材61は、文字装飾63が略水平に延在した状態となる。これが、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の初期状態である。
特図変動表示ゲームが進行し、所定の遊技状態になった場合には、以下の演出が行われる。
図17に示す初期状態からモータ66が正転方向に回転することによって、揺動カム81は、図18(b)に示すように、反時計回りに揺動する。揺動カム81が反時計回りに揺動することによって、揺動カム81に対する第1リンク部材82のカムフォロア86の接触位置は、山部84aを上るように変化する。これにより、第1リンク部材82には回転軸88を中心として時計回りに回動する力が作用する。しかし、第1リンク部材82の自由端側の外周面が取付ベース68に形成されたストッパ部68aに当接することによって、第1リンク部材82の回動が規制される。したがって、第1駆動軸72は移動しない。
一方、揺動カム81の波状部85aは、反時計回りに揺動した場合に、第2リンク部材83のカムフォロア87が入り込むことが可能な谷部85dを備える。そのため、揺動カム81が反時計回りに揺動することによって、第2リンク部材83のカムフォロア87は谷部85dに入り込むため、第2リンク部材83には揺動カム81からの揺動力が作用しなくなる。第2リンク部材83の自由端側には、第2駆動軸73を介して第1可動演出部材61の重量が作用しているため、第2リンク部材83は回転軸90を中心として反時計回りに回動する。このように、第2リンク部材83は、本来は、揺動カム81の反時計回りの揺動に伴って回転軸90を中心として時計回りに回動するはずであるが、揺動カム81の谷部85dによって、本来とは逆方向である反時計回り、つまり揺動カム81と同方向に回動する。これにより、第2駆動軸73は、第2可動演出部材62の長穴64a(図11参照)内とベース部材65の第2開口部65b内とを下方に移動する。このように、揺動カム81が反時計回りに揺動すると、第2駆動軸73のみが下方に移動する。
第2駆動軸73のみが下方に移動するため、第1駆動軸72及び第2駆動軸73が連結された第1可動演出部材61は、図18(a)に示すように、第1駆動軸72を中心として傾く。これに対して、第2駆動軸73は第2可動演出部材62の長穴64a内を移動するため、第2駆動軸73が長穴64a内を移動している間は、第2駆動軸73の駆動力は第2可動演出部材62に伝達されず、第2可動演出部材62は移動しない。このように、第1可動演出部材61は第2可動演出部材62に対して相対的に揺動し、文字装飾63のみが傾く演出が行われる。
第2駆動軸73が長穴64a内を下方に移動し、長穴64aの下端部64b(図12参照)に当接した場合には、第2駆動軸73の駆動力が第2可動演出部材62に伝達され、第2可動演出部材62も第1可動演出部材61と一緒に揺動しようとする。しかし、図19に示すように、ベース部材65の前面には、第2可動演出部材62の放射状装飾64に形成された突起64cに当接し、第2可動演出部材62の揺動を規制する規制部65cが配設される。これにより、第1可動演出部材61の揺動力は第2可動演出部材62に伝達されず、かつ第1可動演出部材61の揺動も停止する。このように、第1可動演出部材61は、第2駆動軸73が長穴64a内を移動する範囲で揺動する。換言すれば、長穴64aの上下方向の寸法によって、第1可動演出部材61の揺動量が規定される。
モータ66は予め定められた所定時間だけ正転方向に回転した後、回転方向が逆転方向に切り換えられる。これにより、揺動カム81は時計回りに揺動、つまり初期位置に向かって揺動する。揺動カム81が初期位置に向かって揺動することによって、揺動カム81に対する第1リンク部材82のカムフォロア86の接触位置は、山部84aを下るように変化する。これにより、第1リンク部材82には揺動カム81からの力が作用せず、第1リンク部材82は回動しない。一方、揺動カム81が初期位置に向かって揺動することによって、第2リンク部材83のカムフォロア87は、波状部85aの谷部85dから山部85cに乗り上がるため、第2リンク部材83は回転軸90を中心として時計回りに回動する。そして、揺動カム81が初期位置に復帰することによって、第2リンク部材83も初期位置に復帰する。これにより、第1可動演出部材61は、第2可動演出部材62に対して相対的に揺動して初期状態(図17に示す状態)に戻る。
なお、モータ66は、予め定められた所定時間だけ逆転方向に回転して停止し、揺動カム81は初期位置に復帰する。
以上のように、モータ66を正転回転、逆転回転の順番で繰り返し駆動することによって、第2可動演出部材62に対する第1可動演出部材61の相対的な揺動を繰り返し行うことができる。このように、第1可動演出部材61を第2可動演出部材62から分離して単独で動作させることができるため、第1可動演出部材61を高速で動作させることが可能となる。
特図変動表示ゲームが進行し、前記所定の遊技状態よりも遊技者にとって期待度が高い遊技状態となった場合、例えば変動表示装置22の表示部22aの表示図柄がリーチ状態を形成した場合には、以下の演出が行われる。
リーチ状態とは、例えば最後に停止する図柄以外の図柄が同一の内容で停止して、最後に停止する図柄のみが変動している状態をいう。より具体的には、3つの図柄のうち左右の図柄が揃って停止したものの、中の図柄がまだ変動中であるために、大当たりに至る可能性を残しているような状態である。
図17に示す初期状態からモータ66が逆転方向に揺動することによって、揺動カム81は、図20(b)に示すように、時計回りに揺動する。揺動カム81が時計回りに揺動することによって、揺動カム81に対する第1リンク部材82のカムフォロア86の接触位置は、山部84aからベース部84bに変化する。これにより、第1リンク部材82は回転軸88を中心として反時計回りに回動する。したがって、第1駆動軸72は、ベース部材65の第1開口部65a内を下方に移動する。第1駆動軸72は、第2可動演出部材62の穴75a(図12参照)を挿通しているため、第1駆動軸72の駆動力は第2可動演出部材62に伝達される。このように、第1駆動軸72の駆動力は、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62に伝達される。
一方、揺動カム81が時計回りに揺動することによって、揺動カム81に対する第2リンク部材83のカムフォロア87の接触位置は、波状部85aからベース部85bに変化する。これにより、第2リンク部材83も回転軸90を中心として反時計回りに回動する。したがって、第2駆動軸73は、ベース部材65の第2開口部65b内を下方に移動する。
このように、揺動カム81が時計回りに揺動すると、第1駆動軸72及び第2駆動軸73の双方が下方に移動する。したがって、図20(a)に示すように、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62は、一体となって斜め下方へと移動し、ベース部材65の中央部から下部へと、その位置を変化させる。揺動カム81が時計回りに揺動することによって、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が一体となって、遊技者の目線に近づく演出が行われる。
モータ66は予め定められた所定時間だけ逆転方向に回転することによって、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62は下限位置に到達する(図20参照)。その後、モータ66の回転方向は正転方向へと切り換えられる。これにより、揺動カム81は反時計回りに揺動、つまり初期位置に向かって揺動する。揺動カム81が初期位置に向かって揺動することによって、第1リンク部材82は回転軸88を中心として時計回りに回動すると共に、第2リンク部材83も回転軸90を中心として時計回りに回動する。そして、揺動カム81が初期位置に復帰することによって、第1リンク部材82及び第2リンク部材83も初期位置に復帰する。これにより、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62は、一体となって斜め上方へと移動して初期状態に戻る(図17参照)。モータ66は、予め定められた所定時間だけ正転方向に回転して停止し、揺動カム81は初期位置に復帰する。
以上のように、モータ66を逆転回転、正転回転の順番で繰り返し駆動することによって、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の上下動を繰り返し行うことができる。
以上にて説明したように、揺動カム81が反時計回りに揺動すると、第2駆動軸73のみが下方へと移動し、揺動カム81が時計回りに揺動すると、第1駆動軸72及び第2駆動軸73の双方が下方に移動する。したがって、揺動カム81の揺動方向を切り換えることによって、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の動作を異なったものとすることができる。
また、揺動カム81は、反時計回りに揺動した場合に第2リンク部材83のカムフォロア87が入り込むことが可能な谷部85dを備えるため、揺動カム81が反時計回りに揺動した場合(図17から図18への変化)には、谷部85dの作用によって、第2リンク部材83も揺動カム81の揺動方向と同方向の反時計回りに回動する。一方、揺動カム81が時計回りに揺動した場合(図17から図20への変化)も、第2リンク部材83は反時計回りに回動する。このように、第2リンク部材83は、揺動カム81の揺動方向に関係なく、同方向(反時計回り)に回動するため、第2駆動軸73も揺動カム81の揺動方向に関係なく、同方向(下方)に移動することになる。
次に、主に図21及び図22を参照して、第1可動演出部材61に配設されたLED基板71と演出制御装置140(図2参照)とを電気的につなぐ配線94について説明する。
図21(a)及び(b)は、それぞれ第1リンク部材82の平面図及び斜視図である。図21は上部可動装飾ユニット51を示す背面図であり、(a)は初期状態、(b)は第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が一体動作し下限位置に到達した状態の図である。
配線94は、一端が第1可動演出部材61に配設されたLED基板71(図12参照)に接続され、LED基板71から第2可動演出部材62の円板部75に形成された開口部75b(図12参照)及びベース部材65の第1開口部65a(図10参照)を挿通して、ベース部材65の裏面側へと導かれる。
第1リンク部材82には、第1駆動軸72が挿通して連結されるスリーブ82dの近傍に配線挿通用の貫通孔82fが形成される。貫通孔82fは、スリーブ82dの外周に沿って形成され、円弧状の内周面を有する。
ベース部材65の裏面側へと導かれた配線94は、貫通孔82f内の円弧状の内周面に沿って貫通孔82fを挿通して、第1リンク部材82の収納空間82b内に収納される。そして、回転軸88を支持するスリーブ82cの外周に沿って第1リンク部材82の外部へと導かれる。第1リンク部材82の収納空間82bは、内部に配線94が収納された状態で、蓋部材89(図15参照)にて閉塞される。このように、配線94は、収納空間82b内に収納され、かつその収納空間82bは蓋部材89にて閉塞されるため、第1リンク部材82にて保持されることになる。
第1リンク部材82の外部へと導かれた配線94は、ベース部材65の裏面に配設された取付ベース68の爪部68bに係止され、取付ベース68に配設されたLED基板69に他端が接続される。LED基板69は、演出制御装置140(図2参照)と図示しない配線によって電気的に接続される。このように、第1可動演出部材61に配設されたLED基板71と演出制御装置140とは、LED基板69を中継基板として接続される。
上記のように第1可動演出部材61に配設されたLED基板71と演出制御装置140とを電気的につなぐ配線94は、第1リンク部材82に保持されて、第1リンク部材82のスリーブ82cの外周に沿って導かれる。したがって、図22(a)及び図22(b)に示すように、第1リンク部材82の回転に伴い第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が一体に移動する場合には、配線94も第1リンク部材82と一緒に移動する。そのため、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の移動によって、配線94が他の部材に絡まることがない。また、図22(b)に示すように、配線94はスリーブ82cの外周に沿って案内されるため、配線94にかかるストレスが低減され、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が繰り返し上下動を行っても、配線94が断線することがない。
配線94は、収納空間82b内に収納されて第1リンク部材82に保持されるため、配線94が複数の場合には、それら複数の配線94を収納空間82bにて束ねることができ、また配線94の絡まりも防止することができる。
ここで、図21に示すように、第1リンク部材82のスリーブ82cの外周には、コイル状のスプリング77が収装される。スプリング77の一端77aは蓋部材89の爪片89aに係止され、他端77bはモータ66を支持する支持板92の係止部92a(図8参照)に係止される。スプリング77は第1リンク部材82と支持板92とに亘って係止されるため、第1リンク部材82の回転に伴って両者の間で圧縮され、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が下限位置に到達することによって最圧縮状態となる。したがって、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が初期位置に向かって移動する際に、スプリング77は、第1リンク部材82を初期位置に戻す方向に付勢し、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の初期位置への復帰動作を補助する。
次に、図23及び図24を参照して、図21及び図22にて示した第1リンク部材82の他の形態について説明する。
図23(a)及び(b)は、それぞれ第1リンク部材82の平面図及び斜視図である。図24は上部可動装飾ユニット51を示す背面図であり、(a)は初期状態、(b)は第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が一体動作し下限位置に到達した状態の図である。
以下では、図21及び図22にて示した第1リンク部材82と相違する点について説明し、図21及び図22にて示した第1リンク部材82と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図23(a)及び(b)に示すように、第1リンク部材82は、第1駆動軸72を支持するスリーブ82dが第1リンク部材82の本体から突出して形成される。第1リンク部材82の貫通孔82fを挿通した配線94は、スリーブ82dの外周に沿って収納空間82b内へと導かれ、スリーブ82cの外周に沿って第1リンク部材82の外部へと導かれる。このように、配線94は、スリーブ82dとスリーブ82cとの間に亘って導かれ、かつその間は収納空間82b内に収納される。
具体的には、貫通孔82fを挿通した配線94は、LED基板69まで湾曲して導かれ、図23(a)及び(b)に示すように、スリーブ82dの外周には配線94の内周側が沿うのに対して、スリーブ82cの外周には配線94の外周側が沿って導かれる。したがって、図24(a)から(b)に示す変化のように、第1リンク部材82の回転に伴い第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が一体に移動する場合には、配線94は、第1リンク部材82と一緒に移動すると共に、スリーブ82dの外周及びスリーブ82cの外周に沿って案内される。このように、配線94は、スリーブ82d及びスリーブ82cの2つの軸受部の外周に沿って案内されるため、配線94にかかるストレスがより低減される。
上記した上部可動装飾ユニット51によれば、以下に示す効果を奏する。
モータ66が正転回転した場合には、第1可動演出部材61は第2可動演出部材62に対して相対的に揺動する一方、モータ66が逆転回転した場合には、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62は一体となって下方へと移動する。このように、1つの駆動源(モータ66)の回転方向に応じて、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62は異なった動作をするため、コストを抑えつつ、可動演出部材61、62に複雑な可動をさせることが可能となる。
モータ66が正転回転し、第1可動演出部材61が第2可動演出部材62に対して相対的に揺動する過程で第1可動演出部材61の揺動力が第2可動演出部材62に伝達された際には、第2可動演出部材62の移動がベース部材65に配設された規制部65cによって規制される。このように、第1可動演出部材61を第2可動演出部材62から分離して単独で動作させることができる。したがって、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が大型の演出部材を構成するとしても、動作する演出部材の重量を軽減させることができるため、第1可動演出部材61を高速で動作させることが可能となり、遊技の興趣を高めることが可能となる。
また、LED基板71と演出制御装置140とを電気的につなぐ配線94は、LED基板71からベース部材65を挿通して、第1リンク部材82のスリーブ82cに沿って演出制御装置140へと導かれる。そのため、第1リンク部材82が回転して第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が動作した場合には、配線94はスリーブ82cの外周に沿って案内される。したがって、配線94にかかるストレスが低減されるため、断線が防止され、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が継続して動作可能となる。これにより、断線防止のために高価なフレキシブルケーブルを使用する必要がなく、通常の配線を用いることが可能となるため、コストを低減することができる。
配線94をスリーブ82cの外周と共にスリーブ82dの外周に沿うように構成すれば、配線94にかかるストレスをより低減させることができる。
<下部可動装飾ユニット300について>
まず、図25を参照して、下部可動装飾ユニット300の概略構成について説明する。図25は、下部可動装飾ユニット300の分解斜視図である。
下部可動装飾ユニット300は、遊技の進行に伴い所定の演出動作を行う演出装置である。下部可動装飾ユニット300は、センターケース21の開口部21b(図4参照)に係合する円形ベース部材310と、円形ベース部材310の前面に固定される装飾部材320と、円形ベース部材310及び装飾部材320に対して相対的に回動する可動演出部材330と、可動演出部材330の裏面に設けられるLED基板331と、円形ベース部材310の裏面に配設され、可動演出部材330を駆動する駆動機構370を支持する支持部材360とを備える。
図26〜図30を参照して、可動演出部材330の構成について説明する。
図26は、可動演出部材330の分解斜視図である。図27は、主動演出部材340の装飾ベース343の正面図である。図28は主動演出部材340の固定装飾部341を示し、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は斜視図である。図29は主動演出部材340のリフレクタ342を示し、(a)は前面側からの斜視図、(b)は裏面側からの斜視図である。図30は従動演出部材350を示し、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は斜視図である。
図26に示すように、可動演出部材330は、駆動機構370(図32参照)の駆動力に基づいて回転駆動される主動演出部材340と、主動演出部材340が回動することによって駆動される従動演出部材350とを備える。
主動演出部材340は、装飾ベース343と、装飾ベース343の前面に固定される固定装飾部341と、装飾ベース343の裏面に固定されるリフレクタ342とから構成される。
図26及び図27に示すように、装飾ベース343は略矩形状の枠部材であって、装飾ベース343の前面は透過した光を拡散するレンズ部343Aとして形成される。装飾ベース343の略中心には、レンズ部343Aの裏面から後方に突出する駆動軸343Bが相対回転不能に固定される。駆動軸343Bは、後述する駆動機構370(図32参照)によって回転駆動される。
図26及び図28(a)〜図28(c)に示すように、固定装飾部341は、文字の形状を模した装飾部材である。固定装飾部341の前面は、透過した光を拡散するレンズ部341Aとして形成される。固定装飾部341の裏面には、後方に突出する円筒状の2つの突起部341Bが形成される。固定装飾部341は、2つの突起部341Bを介して装飾ベース343に固定される。また、固定装飾部341の右側部には、主動演出部材340が初期位置にある時(図33参照)に、従動演出部材350の一部と当接する主動側当接面341Cが形成される。
図26、図29(a)、及び図29(b)に示すように、リフレクタ342は略矩形状の板状部材である。リフレクタ342の裏面には、複数のLEDを有するLED基板331(図25参照)が取り付けられる。リフレクタ342は、LED基板331のLEDに対応して設けられLED光を通過させる複数の通過孔342Aと、装飾ベース343の駆動軸343Bが挿通する挿通孔342Bとを備える。リフレクタ342の表面は、光を反射する反射面として形成される。
また、リフレクタ342の裏面には、後方に向かって軸部342Cが突出形成される。この軸部342Cは、後述する円形ベース部材310の溝部311(図31参照)に挿通する。このように軸部342Cを溝部311に挿通することで、主動演出部材340の回動範囲が規制される。
上記のように構成される主動演出部材340では、駆動機構370(図32参照)を介して駆動軸343Bが回転駆動すると、固定装飾部341、装飾ベース343、及びリフレクタ342が一体的に回動する。
一方、図26及び図30(a)〜図30(c)に示すように、従動演出部材350は、主動演出部材340の装飾ベース343の前面に配設される。従動演出部材350は、文字の形状を模した装飾部材であり、主動演出部材340の固定装飾部341と一体となることによって所定の観念を想起できるように構成されている。
従動演出部材350の前面は、透過した光を拡散するレンズ部351として形成される。
従動演出部材350の左下端部にはスリーブ353が形成され、このスリーブ353には後方に突出する回転軸354が相対回転不能に固定される。従動演出部材350は、回転軸354を介して、装飾ベース343に対して相対回転可能に配設される。回転軸354が挿通される装飾ベース343の軸受穴343Dは、固定装飾部341の直下(下方近傍)に設けられる。
従動演出部材350の左側部(固定端側部)には、主動演出部材340が初期位置にある時(図33参照)に、固定装飾部341の主動側当接面341Cに当接する従動側当接面352が形成される。
従動演出部材350の裏面の略中央には、従動演出部材350を回転軸354を中心として回動させるための第1突起355が突出形成される。第1突起355は、主動演出部材340の装飾ベース343に形成された長穴状の溝部343C(図27参照)を挿通する。装飾ベース343の溝部343Cは、回転軸354が挿通される軸受穴343Dを中心に円弧状に形成される。
従動演出部材350の右側部(自由端側部)には、後方に向かって延設される第2突起356が形成される。第2突起356とスリーブ353は、第1突起355を鉛直方向に通る線に対して略線対称となるように配置される。第2突起356は、後述する円形ベース部材310のガイド部312(図31参照)の上面に載置される。
上記のように構成される従動演出部材350は、主動演出部材340が回動することによって、主動演出部材340とは異なる演出動作を行う。
次に、図25及び図31を参照して、下部可動装飾ユニット300の円形ベース部材310の構成について説明する。図31(a)は円形ベース部材310の正面図であり、図31(b)は円形ベース部材310の斜視図である。
円形ベース部材310は、センターケース21の開口部21b(図4参照)に臨むように配設される。円形ベース部材310は、側壁313が円形部314から前方に突出するように形成されており、可動演出部材330を収容する収容部(収容空間)315を備える。
円形ベース部材310の円形部314の略中心には、前後方向に延設する円筒状のスリーブ316が設けられる。スリーブ316には、主動演出部材340の駆動軸343B(図26参照)が挿通される。スリーブ316は、一対のブッシュ344(図26及び図32参照)を介して、駆動軸343Bを回転可能に支持する。
スリーブ316の下方の円形部314には、主動演出部材340のリフレクタ342の軸部342C(図29(b)参照)が挿通される溝部311が形成される。溝部311は、スリーブ316を中心に円弧状に形成される。
また、スリーブ316の右側方の円形部314には、従動演出部材350の第2突起356(図30参照)をガイドする板状のガイド部312が突出形成される。ガイド部312は、スリーブ316から円形部314の径方向に離れるほど、上り傾斜となるように設けられる。
さらに、スリーブ316の右上方の円形部314には、可動演出部材330の裏面に配設されるLED基板331からの配線を通すための開口部317が形成される。開口部317は、スリーブ316を中心に円弧状に形成される。
上記のように構成される円形ベース部材310の前面には、装飾部材320が配設される(図25参照)。装飾部材320は、円形ベース部材310の前面を装飾する部材であって、円形装飾部321と、円形装飾部321から放射状に延設される放射状装飾部322とを備える。円形装飾部321には、円形ベース部材310の溝部311、スリーブ316、及び開口部317と対応する位置に、それぞれ開口部323が形成される。
このように円形ベース部材310は、装飾部材320が設置された状態で、収容部315内に可動演出部材330を収容する。収容部315に収容された可動演出部材330は、円形ベース部材310の裏面に配設された支持部材360に支持される駆動機構370によって駆動される。
図25及び図32を参照して、支持部材360及び駆動機構370の構成について説明する。図32は、支持部材360に支持される駆動機構370の分解斜視図である。
支持部材360は、駆動機構370を支持する部材である。支持部材360は、円形ベース部材310の開口部317と対応する位置に設けられLED基板331からの配線を引き出すための開口部361と、円形ベース部材310のスリーブ316を通過させるための開口部362とを備える。
支持部材360の下部には、可動演出部材330を駆動させる駆動機構370のソレノイド371が固定される。
駆動機構370は、駆動源としてのソレノイド371と、ソレノイド371と連結する略L字状のリンク部372と、リンク部372と連結する軸状のアーム部373と、備える。
ソレノイド371は、電圧印加状態に応じて往復動するプランジャ371Aを備える。プランジャ371Aの先端は、リンク部372の一端に固定される。リンク部372の他端には鉛直方向に形成された長穴状の係合溝372Aが設けられ、係合溝372Aにはアーム部373の下端に形成された軸部373Aが挿通される。アーム部373の上端には、円形ベース部材310のスリーブ316(図25参照)に支持された駆動軸343B(図26参照)が相対回転不能に連結される。
上記した駆動機構370は、ソレノイド371のプランジャ371Aの直線運動をリンク部372及びアーム部373(変換機構)を介して回転運動に変換し、アーム部373に連結された駆動軸343Bを回転駆動する。
次に、図33〜図36を参照して、下部可動装飾ユニット300での演出動作について説明する。下部可動装飾ユニット300での演出動作は、遊技機に搭載される演出制御装置140(図2参照)によって制御される。
図33は下部可動装飾ユニット300の初期状態を示す図であり、(a)は下部可動装飾ユニット300の正面図、(b)は下部可動装飾ユニット300の背面図、(c)は支持部材360を除いた時の下部可動装飾ユニット300の背面図、(d)はリフレクタ342を除いた時の装飾ベース343の背面図である。図34及び図35は主動演出部材340が最大回動位置に到達するまでの過渡状態を示す図であり、(a)〜(d)は図33と同部材を説明する図である。図36は主動演出部材340が最大回動位置に到達した状態を示す図であり、(a)〜(d)は図33と同部材を説明する図である。
図33(b)に示すように、下部可動装飾ユニット300が初期状態にある場合、ソレノイド371のプランジャ371Aは最突出状態で停止している。このとき、主動演出部材340のリフレクタ342に設けられる軸部342Cは、図33(c)に示すように円形ベース部材310の溝部311の下端に当接しており、従動演出部材350の第1突起355は、図33(d)に示すように装飾ベース343の溝部343Cの上端に当接している。
下部可動装飾ユニット300の初期状態では、従動演出部材350は、図33(a)に示すように、回転軸354及び円形ベース部材310のガイド部312によって自重が支えられた状態にあり、主動演出部材340の固定装飾部341の主動側当接面341Cと従動演出部材350の従動側当接面352とが当接するように(主動演出部材340と従動演出部材が一体となるように)、第2突起356がガイド部312の一端に支持されている。
上記のように主動演出部材340及び従動演出部材350が初期位置にある場合には、主動演出部材340と従動演出部材350とは一体となって停止しており一つのまとまりある視覚的効果を発揮している。
そして、特図変動表示ゲーム等が進行して所定の遊技状態になった場合には、プランジャ371Aがソレノイド371の本体内部に引き込まれ、プランジャ371Aが最突出状態から最引込状態まで移動する。
図34(b)に示すように、プランジャ371Aがソレノイド371の本体内部に引き込まれ始める(プランジャ371Aが図中右方向から左方向に移動し始める)と、プランジャ371Aの直線運動がリンク部372及びアーム部373を介して回転運動に変換され、駆動軸343Bは正転方向に回転駆動される。これにより主動演出部材340の軸部342Cは、図34(c)に示すように円形ベース部材310の溝部311に沿って上端に向かって移動するので、主動演出部材340は、図34(a)に示すように駆動軸343Bを回転中心として反時計回りに回動する。
主動演出部材340が回動し始めても、図34(d)に示すように、従動演出部材350の第1突起355が装飾ベース343の溝部343Cの下端側に相対移動するため、従動演出部材350は回動しない。このとき、従動演出部材350は、図34(a)に示すように回転軸354及びガイド部312によって自重を支えられた状態にある。
この状態で主動演出部材340が反時計回りに回動すると、従動演出部材350を回転自在に支持する回転軸354が駆動軸343Bを回転中心として反時計回りに旋回する。回転軸354が旋回すると、従動演出部材350の第2突起356はガイド部312の上面を摺動するので、従動演出部材350は斜め上方に向かってスライド移動する。
このようにソレノイド371のプランジャ371Aの引き込み直後においては、主動演出部材340は駆動軸343Bを中心に回動し、従動演出部材350はガイド部312に沿ってスライド移動する。主動演出部材340が従動演出部材350に対して回転軸354を中心に相対的に回動するので、初期状態において一体となっていた主動演出部材340の固定装飾部341と従動演出部材350とが分離し、固定装飾部341と従動演出部材350との隙間からは主動演出部材340の装飾ベース343の一部が出現する。
図35(a)〜図35(c)に示すように、プランジャ371Aが図34(b)の状態よりも左方向に移動して、駆動軸343Bが正転方向にさらに回転駆動されると、主動演出部材340の軸部342Cが溝部311の上端に近づき、主動演出部材340が図34(a)の状態よりも反時計回りに回動する。主動演出部材340の回動に伴って回転軸354が旋回すると、従動演出部材350の第2突起356がガイド部312の上端まで移動するので、従動演出部材350は、図34(a)の状態よりもさらに斜め上方にスライド移動する。
ここで、図35(c)及び図35(d)に示すように、装飾ベース343の溝部343Cは、主動演出部材340の軸部342Cが溝部311の上端に達するまでの間に従動演出部材350の第1突起355が装飾ベース343の溝部343Cの下端に当接するように構成されている。そのため、主動演出部材340が回動している最中に、装飾ベース343の溝部343Cの下端が従動演出部材350の第1突起355に衝突し、回動途中の主動演出部材340の回動力が衝突時における衝突力として従動演出部材350に作用して、従動演出部材350が重力に抗して回動し始める。つまり、従動演出部材350は、主動演出部材340を追従するように、回転軸354を回転中心として反時計方向に回動する。従動演出部材350が回動し始めると、従動演出部材350の第2突起356は円形ベース部材310のガイド部312から離間する。
上記のように本実施形態では、従動演出部材350の第1突起355及び第2突起356、円形ベース部材310のガイド部312、及び装飾ベース343の溝部343Cが、主動演出部材340の回動を介して、従動演出部材350をスライド移動させた後に回動させる回動機構を構成している。
図36(a)〜(c)に示すように、ソレノイド371のプランジャ371Aが最引込状態まで引き込まれると、主動演出部材340の軸部342Cは円形ベース部材310の溝部311の上端に当接するので、主動演出部材340は最大回動位置で停止する。
このとき、従動演出部材350は前述した衝突力によって回転軸354を回転中心として反時計方向に回動しているので、図36(d)に示すように、従動演出部材350の第1突起355は装飾ベース343の溝部343Cの上端まで移動する。これにより、最大回動位置で停止している主動演出部材340の固定装飾部341の主動側当接面341Cに従動演出部材350の従動側当接面352が当接し、従動演出部材350は一旦停止する(図36(a)参照)。なお、本実施形態では、最大回動位置において固定装飾部341に従動演出部材350が当接するように衝突力が調整されている。衝突力は、主動演出部材340の回動速度(プランジャ371の引き込み速度)に基づいて設定することができる。
従動演出部材350が主動演出部材340に当接した後には、従動演出部材350の自重によって、従動演出部材350の第1突起355が装飾ベース343の溝部343Cの下端に向かって移動するので(図36(d)参照)、従動演出部材350は図36(a)の状態から時計周りに回動する。そして、第1突起355が溝部343Cの下端で停止した時に、従動演出部材350の回動も停止する。
図33〜図36において説明したように、ソレノイド371のプランジャ371Aが最突出状態から最引込状態まで移動すると、主動演出部材340は初期位置から最大回動位置まで回動する演出動作を行う。従動演出部材350は、主動演出部材340の回動に基づいてスライド移動した後に主動演出部材340を追従するように回動し、最大回動位置で停止している主動演出部材340に当接して一体となった後に、再び主動演出部材340から分離するように回動する演出動作を行う。
プランジャ371Aが最引込状態となってから所定時間経過すると、プランジャ371Aは最引込状態から最突出状態まで移動する。この場合には、図35(a)に示すように、主動演出部材340と従動演出部材350とが分離した状態で時計周りに同時に回動する。そして、従動演出部材350の第2突起356が円形ベース部材310のガイド部312に当接すると、図34(a)及び図33(a)に示すように、従動演出部材350は斜め下方にスライド移動して初期位置に戻り、主動演出部材340は時計回りに回動して初期位置に戻る。
なお、下部可動装飾ユニット300では、図33〜図36に示した演出動作を行うほか、遊技の進行状態に応じてLED基板331(図25参照)からのLED光を利用した発光演出も行う。LED基板331からのLED光は、装飾ベース343、固定装飾部341、及び従動演出部材350の各レンズ部343A、341A、351で拡散され、遊技者に視認される。
上記した下部可動装飾ユニット300によれば、以下の効果を得ることができる。
ソレノイド371のプランジャ371Aが最突出状態から最引込状態まで駆動されると、主動演出部材340は、駆動軸343Bを中心に初期位置から最大回動位置まで回動する。従動演出部材350は、主動演出部材340の回動始めには第2突起356がガイド部312に沿って移動するので、主動演出部材340から分離するように斜め上方に向かってスライド移動して、その後主動演出部材340の回動中に装飾ベース343の溝部343Cの下端が第1突起に衝突するので、衝突力(回動途中の主動演出部材340の回動力)によって主動演出部材340を追従するように回転軸354を中心に回動する。このように下部可動装飾ユニット300では、主動演出部材340と従動演出部材350とによって複雑な演出動作を行うことができ、遊技の興趣を高めることができる。また、1つのソレノイド371によって、主動演出部材340及び従動演出部材350を駆動するため、コストを抑えることができる。
また、下部可動装飾ユニット300では、衝突力によって回動する従動演出部材350が最大回動位置で停止している主動演出部材340の固定装飾部341に当接するので、初期状態において一体であって主動演出部材340と従動演出部材350とが分離した後に、再び一体となる演出動作を行うことができる。したがって、主動演出部材340及び従動演出部材350の演出動作がさらに複雑なものとなり、遊技の興趣を高めることが可能となる。
さらに、下部可動装飾ユニット300では、従動演出部材350が最大回動位置で停止している主動演出部材340の固定装飾部341に当接した後、従動演出部材350の自重によって、従動演出部材350の第1突起355が装飾ベース343の溝部343Cの他端から一端まで移動する。これにより、従動演出部材350は衝突力によって回動した方向とは逆方向に回動する。したがって、主動演出部材340及び従動演出部材350の演出動作がさらに複雑なものとなり、遊技の興趣を高めることが可能となる。
<側部可動装飾ユニット200について>
まず、図37を参照して、側部可動装飾ユニット200の概略構成について説明する。図37は、側部可動装飾ユニット200の分解斜視図である。
側部可動装飾ユニット200は、遊技の進行に伴い所定の演出動作を行う演出装置であって、センターケース21(図4参照)の右側部に配設される。
側部可動装飾ユニット200は、センターケース21に固定される略矩形状の板ベース部材210と、板ベース部材210に対してスライド可能に配設される上部可動演出部材220と、上部可動演出部材220の直下において板ベース部材210に対して回転可能に配設される下部可動演出部材230と、板ベース部材210の裏面に配設され、上部可動演出部材220を駆動する駆動装置240とを備える。
図38〜図40を参照して、上部可動演出部材220の構成について説明する。
図38は、上部可動演出部材220の分解斜視図である。図39は上部装飾ベース222を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は斜視図である。図40は上部固定装飾部221を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は斜視図である。
図38に示すように、上部可動演出部材220は、上部装飾ベース222と、上部装飾ベース222の前面に配設される上部固定装飾部221と、上部装飾ベース222の裏面に配設されるリフレクタ223と、リフレクタ223の裏面に配設されるLED基板224とを備える。
図38及び図39(a)〜(c)に示すように、上部装飾ベース222は略矩形状の枠部材であって、上部装飾ベース222の前面は透過した光を拡散するレンズ部222Aとして形成される。
上部装飾ベース222は、前後方向に延設する円筒状の第1軸受部222B及び第2軸受部222Cを備える。
第1軸受部222Bは、上部装飾ベース222の上側部に設けられる。この第1軸受部222Bには、前後方向に延設する第1駆動軸225が相対回転不能に固定される。
第2軸受部222Cは、第1軸受部222Bの鉛直下方であって、上部装飾ベース222の下端部に設けられる。第2軸受部222Cは、第1軸受部222Bに対して平行に配置される。第2軸受部222Cは、後述する下部可動演出部材230(図41参照)の一部が係合可能な係合突起として形成される。この第2軸受部222Cには、前後方向に延設する第2駆動軸226が相対回転不能に固定される。
図38及び図40(a)〜(c)に示すように、上部固定装飾部221は、文字の形状を模した装飾部材である。上部固定装飾部221の前面は、透過した光を拡散するレンズ部221Aとして形成される。上部固定装飾部221の裏面には、後方に突出する円筒状の2つの突起部221Bが形成される。上部固定装飾部221が上部装飾ベース222の前面に配設された状態では、これら突起部221Bは上部装飾ベース222に形成された貫通孔222D(図39参照)及びリフレクタ223に形成された貫通孔223A(図38参照)を挿通する。
図38に示すように、リフレクタ223は、略矩形状の板状部材であって、上部固定装飾部221の突起部221Bを介して上部装飾ベース222内に配設される。リフレクタ223の裏面には、複数のLEDを有するLED基板224が配設される。LED基板224は、ネジ227が上部固定装飾部221の突起部221Bの先端部に螺合することで、リフレクタ223の裏面に固定される。
リフレクタ223は、LED基板224のLEDと対応する位置に、LED光を通過させる通過孔223Bを有する。また、リフレクタ223の表面は、光を反射する反射面として形成される。
上記のように構成される上部可動演出部材220は、第1駆動軸225及び第2駆動軸226を介して、板ベース部材210の前面にスライド移動可能に配設される。
次に、図41〜図43を参照して、下部可動演出部材230の構成について説明する。
図41は、下部可動演出部材230の分解斜視図である。図42は下部装飾ベース232を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は斜視図である。図43は下部固定装飾部231を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は斜視図である。
図41に示すように、下部可動演出部材230は、下部装飾ベース232と、下部装飾ベース232の前面に配設される下部固定装飾部231と、下部装飾ベース232の裏面に配設されるリフレクタ233と、リフレクタ233の裏面に配設されるLED基板234とを備える。
図41及び図42(a)〜(c)に示すように、下部装飾ベース232は略矩形状の枠部材であって、下部装飾ベース232の前面は透過した光を拡散するレンズ部232Aとして形成される。
下部装飾ベース232の下端部には、前後方向に延設する円筒状の軸受部232Bが形成される。この軸受部232Bには、前後方向に延設する回転軸235が相対回転不能に固定される。
下部装飾ベース232の上端部には、下方に向かって窪む凹部232Cが形成される。この凹部232Cには、図41に示すように、上部可動演出部材220の上部装飾ベース222の第2軸受部222C(図37参照)に係合する係合受部236が設けられる。係合受部236は、耐摩耗性の高い樹脂等によって形成されており、ネジ237を介して後方から下部装飾ベース232に固定される。係合受部236は、上部装飾ベース222の第2軸受部222C(図37参照)の外周に対して摺動可能なように、係合部分が略U字状に形成される。
なお、本実施形態では、下部装飾ベース232と係合受部236とを別部材としたが、係合受部236を下部装飾ベース232に一体形成してもよい。
図41及び図43(a)〜(c)に示すように、下部固定装飾部231は、文字の形状を模した装飾部材であり、上部可動演出部材220の上部固定装飾部221と一体となることによって所定の観念を想起できるように構成されている。
下部固定装飾部231の前面は、透過した光を拡散するレンズ部231Aとして形成される。下部固定装飾部231の裏面には、後方に突出する円筒状の2つの突起部231Bが形成される。下部固定装飾部231が下部装飾ベース232の前面に配設された状態では、これら突起部231Bは下部装飾ベース232に形成された貫通孔232D(図42参照)及びリフレクタ233に形成された貫通孔233A(図41参照)を挿通する。
図41に示すように、リフレクタ233は、略矩形状の板状部材であって、下部固定装飾部231の突起部231Bを介して下部装飾ベース232内に配設される。リフレクタ233の裏面には、複数のLEDを有するLED基板234が配設される。LED基板234は、ネジ238が下部固定装飾部231の突起部231Bの先端部に螺合することで、リフレクタ233の裏面に固定される。
リフレクタ233は、LED基板234のLEDと対応する位置に、LED光を通過させる通過孔233Bを有する。また、リフレクタ223の表面は、光を反射する反射面として形成される。
上記のように構成される下部可動演出部材230は、回転軸235を介して、板ベース部材210の前面に回転可能に配設される。
次に、図37を参照して、側部可動装飾ユニット200の板ベース部材210の構成について説明する。
板ベース部材210は、表面が装飾された装飾部材であって、センターケース21(図4参照)の裏面の右側部に固定される。
板ベース部材210の上部及び中央部には、上部可動演出部材220の第1駆動軸225及び第2駆動軸226がそれぞれ挿通される第1ガイド溝211及び第2ガイド溝212が形成される。第1ガイド溝211及び第2ガイド溝212は、左右方向に亘って円弧状に形成されるとともに、所定間隔をあけて平行に配置される。上部可動演出部材220は、第1駆動軸225及び第2駆動軸226を第1ガイド溝211及び第2ガイド溝212に挿通した状態で、板ベース部材210の前面に配設される。後述する駆動装置240によって第1駆動軸225及び第2駆動軸226が駆動されると、上部可動演出部材220は、初期位置と最大スライド位置との間で左右方向にスライド移動する(図45及び図46参照)。
第1ガイド溝211の上部の板ベース部材210には、上部可動演出部材220のLED基板224と演出制御装置140(図2参照)とを電気的に接続する配線を通過させるための第1開口部213が形成される。
また、板ベース部材210の下部には、下部可動演出部材230の下部装飾ベース232に固定される回転軸235を回転自在に支持する軸受部214が形成される。下部可動演出部材230は、回転軸235が軸受部214に支持された状態で、板ベース部材210の前面に配設される。このとき、下部可動演出部材230は上部可動演出部材220の直下に位置し、下部装飾ベース232の係合受部236が上部装飾ベース222の第2軸受部222Cに係合する。下部可動演出部材230は、係合受部236を介して伝達される上部可動演出部材220からの駆動力に基づいて、上部可動演出部材220のスライド移動と同期して、初期位置と最大回動位置との間で板ベース部材210に対して回動する(図45及び図46参照)。
軸受部214の上方の板ベース部材210には、下部可動演出部材230のLED基板234と演出制御装置140(図2参照)とを電気的に接続する配線を通過させるための第2開口部215が形成される。
上記した板ベース部材210の裏面には、上部可動演出部材220を駆動する駆動装置240が配設される。
図37及び図44を参照して、駆動装置240の構成について説明する。図44は、駆動装置240の分解斜視図である。
駆動装置240は、駆動源としてのソレノイド241と、ソレノイド241のプランジャ241Aと連結する第1アーム242と、第1アーム242と連結する上部リンク243と、第2アーム244を介して上部リンク243と連結する下部リンク245とを備える。
ソレノイド241は、板ベース部材210の裏面に形成された位置決め枠部216に、ネジを介して固定される。位置決め枠部216が設けられる位置における板ベース部材210の前面はセンターケース21の装飾部材によって覆うようにするので(図1参照)、板ベース部材210を透明な樹脂によって形成しても、ソレノイド241等が遊技者によって視認されることがない。
ソレノイド241は電圧印加状態に応じて往復動するプランジャ241Aを有し、プランジャ241Aの先端には第1アーム242の一端が連結する。第1アームの他端には長穴形状の穴部(図示省略)が形成されており、この穴部に上部リンク243の裏面から突出する軸243Aが挿通する。
上部リンク243は略三角形状の部材であって、前面の各角部には回転軸243B、軸受部243C、及び移動軸243Dが突出形成される。回転軸243Bは、板ベース部材210の裏面に形成された上部軸受穴217に回転可能に支持される。軸受部243Cは、上部可動演出部材220の第1駆動軸225を回転可能に支持する。移動軸243Dは、板ベース部材210の裏面に形成された上部ガイド溝247を挿通し、上部リンク243が回転軸243Bを回転中心として回動した時に上部ガイド溝247に沿って移動する。なお、上部ガイド溝247は、上下方向に亘って設けられ、上部軸受穴217を中心に円弧状に形成される。
下部リンク245は略矩形状の部材であって、一方側の上角部には上部可動演出部材220の第2駆動軸226を回転可能に支持する軸受部245Bが突出形成される。また、下部リンク245の一方側の下角部には板ベース部材210の裏面に設けられた下部軸受穴218に回転可能に支持される回転軸245Aが突出形成され、他方側の下角部にはバネ246の一端が連結されている。バネ246は、下部リンク245と板ベース部材210との間に伸長状態で配置されており、下部リンク245が回転軸245Aを回転中心として下方に向かって回動するように下部リンク245を付勢する。
バネ246の一端が連結する位置と回転軸245Aが設けられる位置との間の下部リンク245には、板ベース部材210の裏面に形成された下部ガイド溝248を挿通する移動軸245Cが突出形成される。移動軸245Cは、下部リンク245が回動した時に下部ガイド溝248に沿って移動する。なお、下部ガイド溝248は、上下方向に亘って設けられ、下部軸受穴218を中心に円弧状に形成される。
上部リンク243及び下部リンク245は、第2アーム244を介して連結される。上部リンク243の移動軸243Dが第2アーム244の一端の挿通孔244Aを挿通し、下部リンク245の移動軸245Cが第2アーム244の他端の挿通孔244Bを挿通する。
上記した駆動装置240は、ソレノイド241のプランジャ241Aの直線運動を第1アーム242、上部リンク243、下部リンク245、及び第2アーム244を介して回転運動に変換し、上部リンク243及び下部リンク245を同期して回動させることで、上部可動演出部材220を板ベース部材210に対してスライド移動させる。なお、第1アーム242、上部リンク243、下部リンク245、及び第2アーム244が直線運動を回転運動に変換する変換機構を構成している。
次に、図45〜図47を参照して、側部可動装飾ユニット200での演出動作について説明する。側部可動装飾ユニット200での演出動作は、遊技機に搭載される演出制御装置140(図2参照)によって制御される。
図45は側部可動装飾ユニット200の初期状態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。図46は上部可動演出部材220が最大スライド位置にある時の側部可動装飾ユニット200を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。図47(a)は初期位置にある時の上部可動演出部材220及び下部可動演出部材230を示す図であり、図47(b)は最大スライド位置にある時の上部可動演出部材220及び最大回動位置にある時の下部可動演出部材230を示す図である。
図45(b)に示すように、側部可動装飾ユニット200が初期状態にある場合、ソレノイド241のプランジャ241Aは最突出状態で停止しており、上部可動演出部材220の第1駆動軸225及び第2駆動軸226はそれぞれ第1ガイド溝211の一端及び第2ガイド溝212の一端に当接している。このとき、上部可動演出部材220及び下部可動演出部材230は図45(a)に示すように初期位置にあり、上部可動演出部材220と下部可動演出部材230とは一体となって停止しており一つのまとまりある視覚的効果を発揮している。
そして、特図変動表示ゲーム等が進行して所定の遊技状態になった場合には、プランジャ241Aがソレノイド241の本体内部に引き込まれ、プランジャ241Aが図45(b)の最突出状態から図46(b)の最引込状態まで移動する。
このようにプランジャ241Aが移動すると、図46(b)に示すように、第1アーム242が上方に引き上げられ、第1アーム242に連結する上部リンク243が回転軸243Bを回転中心として時計回りに回動する。上部リンク243の回動によって、上部可動演出部材220の第1駆動軸225は第1ガイド溝211の一端から他端まで移動する。
このとき、上部リンク243の移動軸243D(図37参照)が板ベース部材210の上部ガイド溝247(図44参照)を下端から上端まで移動するので、第2アーム244が上方に引き上げられる。このように第2アーム244が移動すると、下部リンク245の移動軸245C(図37参照)が板ベース部材210の下部ガイド溝248(図44参照)を下端から上端まで移動する。これにより、下部リンク245は、バネ246の付勢力に抗して、回転軸245Aを回転中心として時計回りに回動する。下部リンク245は上部リンク243と同期して回動するので、上部可動演出部材220の第2駆動軸226は、第1駆動軸225の移動と同期して、第2ガイド溝212の一端から他端まで移動する。
このように上部可動演出部材220の第1駆動軸225及び第2駆動軸226が第1ガイド溝211及び第2ガイド溝212を同期して移動すると、上部可動演出部材220は、図46(a)に示すように、初期位置からセンターケース21(図4参照)の中央寄りの最大スライド位置まで、姿勢を維持したまま(傾くことなく)スライド移動する。図47(a)及び図47(b)に示すように、上部可動演出部材220が初期位置から最大スライド位置までスライド移動すると、下部可動演出部材230の回転軸235を鉛直方向に通る線と、上部可動演出部材220の上部装飾ベース222の端部との距離は短くなってD1からD2に変化する。
図47(a)及び図47(b)に示すように、下部可動演出部材230の下部装飾ベース232の係合受部236は、上部可動演出部材220の上部装飾ベース222の第2軸受部222Cに係合している。上部可動演出部材220が初期位置から最大スライド位置まで移動すると、上部可動演出部材220のスライド移動に基づく駆動力の作用によって係合受部236がスライド方向と同方向に移動するので、下部可動演出部材230は回転軸235を回転中心として初期位置からセンターケース21(図4参照)の中央寄りの最大回動位置まで回動する。このように下部可動演出部材230が初期位置から最大回動位置までスライド移動すると、下部可動演出部材230の回転軸235を水平方向に通る線と、下部可動演出部材230の下部装飾ベース232の端部とのなす角度は小さくなってR1からR2に変化する。
上記のように上部可動演出部材220が最大スライド位置まで移動し、下部可動演出部材230が最大回動位置まで移動すると、初期状態では一体であった上部可動演出部材220及び下部可動演出部材230を分離させることができ、上部可動演出部材220と下部可動演出部材230とによって複雑な演出動作を行うことが可能となる。
プランジャ241Aが最引込状態となってから所定時間経過すると、プランジャ241Aは最引込状態から最突出状態まで移動するので、上部可動演出部材220は図46(a)の最大スライド位置から図45(a)の初期位置に戻り、下部可動演出部材230は図46(a)の最大回動位置から図45(a)の初期位置に戻る。このとき、バネ246は、上部リンク243及び下部リンク245を初期位置に戻す方向に付勢し、上部可動演出部材220及び下部可動演出部材230の初期位置への復帰動作を補助する。このように上部可動演出部材220及び下部可動演出部材230が初期位置に戻ると、上部可動演出部材220と下部可動演出部材230とは一体となって停止するので、一つのまとまりある視覚的効果を再び発揮する。
なお、側部可動装飾ユニット200では、図45〜図47に示した演出動作を行うほか、遊技の進行状態に応じてLED基板224、234(図37参照)からのLED光を利用した発光演出も行う。上部可動演出部材220のLED基板224からのLED光は、上部装飾ベース222及び上部固定装飾部221の各レンズ部222A、221Aで拡散され、遊技者に視認される。また、下部可動演出部材230のLED基板234からのLED光は、下部装飾ベース232及び下部固定装飾部231の各レンズ部232A、231Aで拡散され、遊技者に視認される。
ところで、上部可動演出部材220及び下部可動演出部材230を有する側部可動装飾ユニット200においては、各種基板や各種装置等と演出制御装置140(図2参照)とを電気的につなぐ配線が駆動装置240の可動部分等に絡まるのを防止する必要がある。以下では、図37、図44、図48、及び図49を参照して、配線271、272を誘導する第1誘導通路250及び第2誘導通路260について説明する。
図48は、側部可動装飾ユニット200を示す背面図であり、(a)は初期状態、(b)は上部可動演出部材220が最大スライド位置に移動し、下部可動演出部材230が最大回動位置に移動した状態の図である。図49は、側部可動装飾ユニット200の左側面図である。
図48(a)及び図48(b)に示すように、配線271は、一端が板ベース部材210の裏面上部に配設された演出用電子機器としての中継基板273に接続され、他端が演出制御装置140(図2参照)に接続される。なお、配線271は、ソレノイドやLED基板等の演出用電子機器と演出制御装置140とをつなぐ配線であってもよい。また、配線272は、一端が上部可動演出部材220のLED基板224に接続され、他端が演出制御装置140(図2参照)に接続される。
まず、配線271を誘導する第1誘導通路250について説明する。
図37及び図44に示すように、第1誘導通路250は、配線271を上下方向に誘導する部材であって、略コ字状断面を有する。第1誘導通路250は、板ベース部材210の裏面に突出形成された3つの脚部219を介して板ベース部材210に固定される。第1誘導通路250は、図49に示すように駆動装置240の後方において上下方向に亘って延設されるとともに、図48(a)に示すように板ベース部材210の外縁に沿って(センターケース21の外縁に沿って)延設される。
配線271は、第1誘導通路250に沿って誘導され、駆動装置240の後方に迂回しつつ板ベース部材210の上部から下部に導かれる。そのため図48(a)及び図48(b)に示すように、駆動装置240が駆動されても、配線271は駆動装置240の上部リンク243や下部リンク245等の可動部分に絡まることがない。
また、第1誘導通路250はセンターケース21(図4参照)の外縁に沿って延設されるので、側部可動装飾ユニット200の後方のスペースが狭くなるのを抑制することができ、後述する右側可動装飾装置400を収容するためのスペースを確保することが可能となる。
次に、図48(a)及び図48(b)を参照して、配線272を誘導する第2誘導通路260について説明する。
第2誘導通路260は、配線272を上下方向に誘導する部材であって、板ベース部材210の裏面と、板ベース部材210の裏面に突出形成される一対の壁部261とによって区画された通路である。第2誘導通路260は、配線272がはみ出さないように、蓋部材262によって覆われる。
第2誘導通路260はLED基板224からの配線272を通路内に導き入れる入口部263及び配線272を通路内から導き出す出口部264を有している。第2誘導通路260の一方の壁部261は、出口部264から入口部263に向かって通路幅が広くなるように、円弧状に形成されている。第2誘導通路260の出口部264は、下部可動演出部材230の回転軸235を支持する円筒状の軸受部214の近傍に配置される。
図48(a)に示すように、上部可動演出部材220及び下部可動演出部材230が初期位置にある場合には、LED基板224からの配線272は、第2誘導通路260の円弧状の壁部261に沿って下方に誘導されて出口部264から導き出され、軸受部214の外周に沿って導かれて、演出制御装置140(図2参照)に接続する。
図48(b)に示すように、ソレノイド241が駆動されて上部可動演出部材220が最大スライド位置まで移動すると、配線272は円弧状の壁部261から離間するように軸受部214を中心として回動する。第2誘導通路260は出口部264から入口部263に向かって通路幅が広くなるように形成されているので、配線272が回動しても配線272が入口部263で引掛かることがない。
また、配線272は軸受部214の外周に沿って案内されるため、配線回動時に配線272にかかるストレスを低減できる。そのため、上部可動演出部材220を繰り返し移動させても、配線272の断線が防止される。
なお、配線271及び配線272は、演出制御装置140に直接接続されるのみに限らず、中継基板を介して演出制御装置140に接続されるようにしてもよい。
上記した側部可動装飾ユニット200によれば、以下の効果を得ることができる。
プランジャ241Aが最突出状態から最引込状態まで駆動すると、上部可動演出部材220の第1駆動軸225及び第2駆動軸226が同期して同方向に移動するので上記可動演出部材220は初期位置から最大スライド位置までスライド移動し、下部可動演出部材230は上部可動演出部材220からの駆動力を受けて初期位置から最大回動位置まで回動する。これにより、初期位置において一体であった上部可動演出部材220及び下部可動演出部材230を分離するように移動させることができる。したがって、上部可動演出部材220と下部可動演出部材230とによって複雑な演出動作を行うことができ、遊技の興趣を高めることができる。また、1つのソレノイド241によって、上部可動演出部材220及び下部可動演出部材230を駆動するため、コストを抑えることができる。
中継基板273と演出制御装置140とをつなぐ配線271は、第1誘導通路250に沿って誘導され、駆動装置240の後方に迂回しつつ板ベース部材210の上部から下部に導かれる。そのため、駆動装置240が駆動されても、配線271は駆動装置240の可動部分に絡まることがなく、配線271の断線が防止される。したがって、断線防止のために高価なフレキシブルケーブルを使用する必要がなく、通常の配線を用いることが可能となるため、コストを低減することが可能となる。また、第1誘導通路250はセンターケース21の外縁に沿って延設されるので、側部可動装飾ユニット200の後方のスペースが狭くなるのを抑制することができ、他の演出部材等を収容するためのスペースを確保することが可能となる。
LED基板224と演出制御装置140とをつなぐ配線272は、出口部264から入口部263に向かって通路幅が広くなる第2誘導通路260によって誘導されるので、上部可動演出部材220のスライド移動に伴って配線272が移動しても、配線272が入口部263で引掛かることがなく、配線272の断線が防止される。したがって、断線防止のために高価なフレキシブルケーブルを使用する必要がなく、通常の配線を用いることが可能となるため、コストを低減することが可能となる。また、第2誘導通路260から導き出された配線272は、下部可動演出部材230の回転軸235を支持する軸受部214の外周に沿って案内されるため、配線移動時において配線272にかかるストレスを低減できる。
<右側可動装飾装置400について>
まず、図50を参照して、右側可動装飾装置400の概略構成について説明する。図50は、右側可動装飾装置400の分解斜視図である。
右側可動装飾装置400は、遊技の進行に伴い所定の演出動作を行う演出装置であって、制御ベース34(図3参照)の右側部に配設される。制御ベース34を遊技盤1に取り付けた状態では、右側可動装飾装置400はセンターケース21の各種可動装飾ユニット51、200、300よりも後方に位置する。
右側可動装飾装置400は、制御ベース34(図3参照)に固定される略矩形状の固定ベース部材410と、固定ベース部材410の前面に回転可能に配設される上部可動装飾部材420及び下部可動装飾部材440と、上部可動装飾部材420及び下部可動装飾部材440をそれぞれ駆動する上部駆動装置460及び下部駆動装置470とを備える。
図50及び図51を参照して、上部可動装飾部材420の構成について説明する。図51(a)は上部可動装飾部材420の前方からの分解斜視図であり、図51(b)は上部可動装飾部材420の後方からの分解斜視図である。
上部可動装飾部材420は、固定ベース部材410に対して回転可能に配設される上部ベース430と、上部ベース430の前面を装飾する上部装飾421と、上部ベース430の前面に取り付けられるLED基板422と、上部装飾421の裏面に取り付けられるLED基板423とを備える。
上部ベース430は、略矩形状の枠部材である上部枠体431と、上部枠体431の一端に一体形成される略円盤状の円盤部432とから構成されている。
上部枠体431の前面には、犬の頭部の上半分(上顎部)の形状を模した上部装飾421が取り付けられる。後述する下部可動装飾部材440と演出動作中に対向する上部枠体431の側壁は、透過した光を拡散するレンズ部433として形成される。この上部枠体431には、レンズ部433に向かって発光するLEDを複数有するLED基板422が配設される。
また、上部装飾421の犬の眼に相当する位置には透過した光を拡散するレンズ部424が取り付けられており、上部装飾421にはレンズ部424に向かって発光するLEDを有するLED基板423が配設される。
上部ベース430の基端側の円盤部432の略中心位置には、前後方向に延設する円筒状の支持軸434が形成される。支持軸434には、前後方向に貫通する貫通孔434Aが形成される。また、円盤部432の裏面には、支持軸434からずれた位置に上部駆動軸435が突出形成される。
図50に示すように、固定ベース部材410の前面から突出する軸部411は、上部可動装飾部材420の支持軸434の貫通孔434Aを挿通し、支持軸434を回転自在に支持する。これにより、上部可動装飾部材420は、固定ベース部材410の前面に回転可能に配設される。上部可動装飾部材420が固定ベース部材410に設置された状態では、上部可動装飾部材420の上部駆動軸435(図51(b)参照)は、固定ベース部材410の上下方向に亘って形成された第1ガイド溝412を挿通する。第1ガイド溝412は、軸部411を中心として円弧状に形成されている。
次に、図50及び図52を参照して、下部可動装飾部材440の構成について説明する。図52(a)は下部可動装飾部材440の前方からの分解斜視図であり、図52(b)は下部可動装飾部材440の後方からの分解斜視図である。
下部可動装飾部材440は、固定ベース部材410に対して回転可能に配設される下部ベース450と、下部ベース450の前面を装飾する下部装飾441と、下部ベース450の前面に取り付けられるLED基板442とを備える。
下部ベース450は、略矩形状の枠部材である下部枠体451と、下部枠体451の一端に一体形成される略円盤状の円盤部452とから構成されている。
下部枠体451の前面には、犬の頭部の下半分(下顎部)の形状を模した下部装飾441が取り付けられる。上部可動装飾部材420のレンズ部433と演出動作中に対向する位置における下部枠体451の側壁は、透過した光を拡散するレンズ部453として形成される。この下部枠体451には、レンズ部453に向かって発光するLEDを複数有するLED基板442が配設される。
下部ベース450の基端側の円盤部452の略中心位置には、上部ベース430の支持軸434を挿通させる円筒状の挿通部454が形成される。また、円盤部452の裏面には、挿通部454からずれた位置に下部駆動軸455が突出形成される。
図50に示すように、下部可動装飾部材440の円盤部452の挿通部454は、一対のブッシュ456を介して、上部可動装飾部材420の支持軸434に回転自在に支持される。これにより、下部可動装飾部材440は、固定ベース部材410の前面に回転可能に配設されるとともに、上部可動装飾部材420に対して相対回転可能に配設される。また、下部可動装飾部材440の円盤部452の前面には、円形状の円形装飾部457が配設される。円形装飾部457は、上部可動装飾部材420の支持軸434を挿通する固定ベース部材410の軸部411の先端に固定される。
下部可動装飾部材440が固定ベース部材410に回転可能に配設された状態では、下部可動装飾部材440の下部駆動軸455は、上部可動装飾部材420の円盤部432の側方を通過し、固定ベース部材410の上下方向に亘って形成された第2ガイド溝413を挿通する。第2ガイド溝413は、軸部411を中心として円弧状に形成される。第2ガイド溝413と第1ガイド溝412は、軸部411を中心として対称に設けられる。
上記した上部可動装飾部材420及び下部可動装飾部材440は、固定ベース部材410に配設された上部駆動装置460及び下部駆動装置470によってそれぞれ回転駆動される。
図50及び図53を参照して、上部駆動装置460及び下部駆動装置470の構成について説明する。図53は、上部駆動装置460及び下部駆動装置470の分解斜視図である。
上部駆動装置460は、駆動源としてのモータ461と、モータ461の出力軸461Aに固定される円盤状の回転部462と、回転部462と上部可動装飾部材420の上部駆動軸435(図51(b)参照)を連結するリンク463とを備える。
モータ461は、固定ベース部材410の裏面上部に固定される。モータ461は固定ベース部材410の貫通孔414を介して固定ベース部材410の前方に突出し、モータ461の出力軸461Aは固定ベース部材410の後方に突出する。モータ461の出力軸461Aには、円盤状の回転部462が固定される。回転部462の裏面には、回転中心からずれた位置に軸部462Aが突出形成される。
リンク463は、回転部462と上部可動装飾部材420の上部駆動軸435(図51(b)参照)を連結する棒状部材である。リンク463の一端(上端)には回転部462の軸部462Aが回転自在に連結され、リンク463の他端(下端)には第1ガイド溝412を挿通して固定ベース部材410の後方に突出する上部駆動軸435(図51(b)参照)が回転自在に連結される。
上記した上部駆動装置460は、モータ461の出力軸461Aの回転力に基づいて、リンク機構としての回転部462及びリンク463を介し、上部駆動軸435を第1ガイド溝412に沿って移動させ、上部可動装飾部材420を回動させる。
なお、貫通孔414よりも上方の固定ベース部材410には、上部可動装飾部材420の初期位置を検出するため、コ字形状の光電センサ464が配設される。回転部462の外縁には、上部可動装飾部材420が初期位置にある場合に光電センサ464の凹部に挿入され、光電センサ464の発射光を遮光する遮光部462Bが一体形成されている。このように、光電センサ464と回転部462の遮光部462Bとによって、上部可動装飾部材420の初期位置が検出される。
一方、下部駆動装置470は、図50及び図53に示すように、駆動源としてのモータ471と、モータ471の出力軸471Aに固定される円盤状の回転部472と、回転部472と下部可動装飾部材440の下部駆動軸455を連結するリンク473とを備える。
モータ471は、固定ベース部材410の裏面下部に固定される。モータ471は固定ベース部材410の貫通孔415を介して固定ベース部材410の前方に突出し、モータ471の出力軸471Aは固定ベース部材410の後方に突出する。モータ471の出力軸471Aには、円盤状の回転部472が固定される。回転部472の裏面には、回転中心からずれた位置に軸部472Aが突出形成される。
リンク473は、回転部472と下部可動装飾部材440の下部駆動軸455とを連結する棒状部材である。リンク473の一端(下端)には回転部472の軸部472Aが回転自在に連結され、リンク473の他端(上端)には第2ガイド溝413を挿通して固定ベース部材410の後方に突出する下部駆動軸455が回転自在に連結される。
上記した下部駆動装置470は、モータ471の出力軸471Aの回転力に基づいて、リンク機構としての回転部472及びリンク473を介し、下部駆動軸455を第2ガイド溝413に沿って移動させ、下部可動装飾部材440を回動させる。
なお、貫通孔415よりも上方の固定ベース部材410には、下部可動装飾部材440の初期位置を検出するため、コ字形状の光電センサ474が配設される。回転部472の外縁には、下部可動装飾部材440が初期位置にある場合に光電センサ474の凹部に挿入され、光電センサ474の発射光を遮光する遮光部472Bが一体形成されている。このように、光電センサ474と回転部472の遮光部472Bとによって、下部可動装飾部材440の初期位置が検出される。
次に、図54〜図60を参照して、右側可動装飾装置400での演出動作について説明する。右側可動装飾装置400での演出動作は、遊技機に搭載される演出制御装置140(図2参照)によって制御される。
図54は右側可動装飾装置400の初期状態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。図55は右側可動装飾装置400の第1演出状態を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。図56及び図57は、それぞれ右側可動装飾装置400の第2演出状態を示す図である。図58(a)及び図58(b)は、右側可動装飾装置400の第3演出状態を示す図である。図59(a)は初期状態における右側可動装飾装置400の平面図であり、図59(b)は第1演出状態における右側可動装飾装置400の平面図である。図60(a)は初期状態における右側可動装飾装置400の左側面図であり、図60(b)は初期状態における右側可動装飾装置400の右側面図である。
図54(a)及び図54(b)に示すように、右側可動装飾装置400が初期状態にある場合、上部可動装飾部材420の上部駆動軸435が第1ガイド溝412の上端に当接する状態で上部駆動装置460のモータ461は停止しており、下部可動装飾部材440の下部駆動軸455が第2ガイド溝413の上端に当接する状態で下部駆動装置470のモータ471は停止している。このとき上部可動装飾部材420と下部可動装飾部材440は、初期位置にあり、分離した状態で停止している。
図60(a)及び図60(b)に示すように、初期位置においては上部可動装飾部材420及び下部可動装飾部材440は、センターケース21(図4参照)に配設された側部可動装飾ユニット200、下部可動装飾ユニット300、及び上部可動装飾ユニット51(図4参照)の後方に位置し、遊技者が視認できないようになっている。このように側部可動装飾ユニット200、下部可動装飾ユニット300及び上部可動装飾ユニット51は、初期位置の上部可動装飾部材420及び下部可動装飾部材440を隠蔽する隠蔽部材として機能する。なお、隠蔽部材は、初期位置の上部可動装飾部材420及び下部可動装飾部材440の全部を隠蔽するのではなく、一部を隠蔽するように構成してもよい。
初期位置では、上部可動装飾部材420のレンズ部433及び下部可動装飾部材440のレンズ部453は遊技領域中央側に臨んでおり、レンズ部433、453を介してLED光を照射することによって遊技状態に応じた発光演出が行われる。
遊技が進行して特図変動表示ゲームがリーチ状態になった場合には、右側可動装飾装置400は、初期状態から図55に示す第1演出状態となる。ここで、リーチ状態とは、例えば特図変動表示ゲームにおいて、最後に停止する特別図柄以外の図柄(例えば、左図柄と中図柄)が同一の内容となる組み合わせで仮停止し、かつ最後に停止する図柄(例えば、右図柄)のみが変動している状態をいう。
図55(a)及び図55(b)に示すように、右側可動装飾装置400の第1演出では、上部駆動装置460のモータ461の出力軸461Aが所定時間だけ反時計回りに回転(逆転)し、下部駆動装置470のモータ471の出力軸471Aが所定時間だけ時計回りに回転(正転)する。上部駆動装置460のモータ461の出力軸461Aが反時計回りに回転すると、回転部462が反時計回りに回転して、リンク463を下方に押し下げる。これによりリンク463に連結する上部可動装飾部材420の上部駆動軸435は、固定ベース部材410の第1ガイド溝412に沿って下方に移動し、第1ガイド溝412の途中で停止する。上部可動装飾部材420は、初期位置から遊技盤中央に向かって回動し、略水平状態で停止する。
下部駆動装置470のモータ471の出力軸471Aが時計回りに回転すると、回転部472が時計回りに回転して、リンク473を下方に引き下げる。これによりリンク473に連結する下部可動装飾部材440の下部駆動軸455は、固定ベース部材410の第2ガイド溝413に沿って下方に移動し、第2ガイド溝413の途中で停止する。下部可動装飾部材440は、初期位置から遊技盤中央に向かって回動し、略水平状態で停止する。
右側可動装飾装置400の第1演出状態では、上部可動装飾部材420と下部可動装飾部材440とが近接するように回動し、互いに水平状態で停止して一体となり、遊技盤1中央に犬の頭部が出現する。このように、初期位置において視認不能であった上部可動装飾部材420と下部可動装飾部材440が、視認可能な位置に突然出現するとともに一つのまとまりある装飾部材を形成するので、遊技に意外性を持たせることができる。
右側可動装飾装置400は、上記した第1演出を行った後に図56及び図57に示す第2演出を実行する。
右側可動装飾装置400の第2演出では、図56(b)に示すように、上部駆動装置460のモータ461の出力軸461Aを所定時間だけ第1演出時とは逆に時計回りに回転(正転)させ、下部駆動装置470のモータ471の出力軸471Aを所定時間だけ第1演出時からさらに時計回りに回転(正転)させる。これにより、上部可動装飾部材420の上部駆動軸435は、第1ガイド溝412に沿って上方に移動して第1ガイド溝412の途中で停止し、下部可動装飾部材440の下部駆動軸455は、第2ガイド溝413の下端に当接して停止する。したがって、図56(a)に示すように、上部可動装飾部材420及び下部可動装飾部材440は、一体となった状態で、第1演出時よりも上方に回動する。
その後、図57(b)に示すように、上部駆動装置460のモータ461の出力軸461Aは図56(b)の状態から所定時間だけ反時計回りに回転(逆転)し、下部駆動装置470のモータ471の出力軸471Aは図56(b)の状態から所定時間だけ反時計回りに回転(逆転)する。これにより、上部可動装飾部材420の上部駆動軸435は第1ガイド溝412の下端に当接して停止し、下部可動装飾部材440の下部駆動軸455は第2ガイド溝413に沿って上方に移動して第2ガイド溝413の途中で停止する。したがって、図57(a)に示すように、上部可動装飾部材420及び下部可動装飾部材440は、一体となった状態で、第1演出時よりも下方に回動する。
第2演出では、一体となった上部可動装飾部材420及び下部可動装飾部材440を同期して同方向に回動させ、図56及び図57に示した上下回動を繰り返し行うことで、犬が首を振る視覚的効果が発揮され、遊技の意外性を高めることができる。
特図変動表示ゲームがリーチ状態になった場合には、右側可動装飾装置400は第1演出及び第2演出を行った後に初期状態に復帰し、上部可動装飾部材420及び下部可動装飾部材440は遊技者から視認不能な初期位置まで戻る(図54(a)参照)。
一方、特図変動表示ゲームがスペシャルリーチ状態になると、右側可動装飾装置400は、第1演出及び第2演出を行った後に、図58に示す第3演出を実施する。ここで、スペシャルリーチ状態とは、特図変動表示ゲームにおいて、キャラクタ等を登場させたりするリーチ状態であって、通常のリーチ状態に比べて大当りの確率が高い(期待度の高い)ものである。
右側可動装飾装置400の第3演出では、図58(a)に示すように、上部駆動装置460は上部可動装飾部材420を遊技者に視認可能な範囲で初期位置から上方に回動させ、下部駆動装置470は下部可動装飾部材440を遊技者に視認可能な範囲で初期位置から下方に回動させる。このとき、右側可動装飾装置400の後方に配置される変動表示装置22の表示部22aにおいては、上部可動装飾部材420と下部可動装飾部材440の隙間からキャラクタ22bが表示部22aの中央に飛び出すような演出表示がなされる。このように右側可動装飾装置400の演出動作に関連して変動表示装置22の表示部22aにおいて演出表示を行うことで、遊技の意外性を高めることができる。
また、第3演出では、上部可動装飾部材420のLED基板423(図51(b)参照)のLEDを発光させて、上部可動装飾部材420のレンズ部424を介した発光演出も行われる。
なお、図58(b)に示すように、図58(a)の演出終了後に、上部可動装飾部材420及び下部可動装飾部材440を第1演出位置に戻し、変動表示装置22の表示部22aに表示されたキャラクタ22bによる演出を継続してもよい。
特図変動表示ゲームがスペシャルリーチ状態になった場合には、右側可動装飾装置400は第1演出、第2演出、及び第3演出を行った後に初期状態に復帰し、上部可動装飾部材420及び下部可動装飾部材440は遊技者から視認不能な初期位置まで戻る(図54(a)参照)。
ところで、図59(a)及び図59(b)に示すように、右側可動装飾装置400の上部可動装飾部材420の前方には、側部可動装飾ユニット200が配設されている。隠蔽部材としての側部可動装飾ユニット200は上部可動演出部材220を駆動する駆動装置240を板ベース部材210の裏面外側に備えており(図44参照)、右側可動装飾装置400の上部駆動装置460の一部が側部可動装飾ユニット200の駆動装置240のソレノイド241等と干渉するおそれがある。そこで、本実施形態では、水平方向外側ほど(遊技盤中央から離れるほど)側部可動装飾ユニット200と右側可動装飾装置400との間隔が広くなるように、側部可動装飾ユニット200を傾斜して配置する。これにより、右側可動装飾装置400の前方の空間を広げ、右側可動装飾装置400の上部駆動装置460の一部と側部可動装飾ユニット200の駆動装置240のソレノイド241等が干渉するのを回避する。
一方、図60(a)及び図60(b)に示すように、右側可動装飾装置400が初期状態にある場合に、下部可動装飾部材440の先端部の前方には下部可動装飾ユニット300の駆動機構370のソレノイド371が配設されている。本実施形態では、初期位置にある下部可動装飾部材440の先端部と下部可動装飾ユニット300のソレノイド371とが干渉しないように、下部可動装飾部材440は先端部に近づくほど部材厚さが薄くなるように構成されている。同様に、初期位置にある上部可動装飾部材420の先端部の前方には上部可動装飾ユニット51が配設されているので(図6参照)、上部可動装飾部材420の先端部と上部可動装飾ユニット51の一部とが干渉しないように、上部可動装飾部材420は先端部に近づくほど部材厚さが薄くなるように構成されている。
上記した右側可動装飾装置400によれば、以下の効果を得ることができる。
初期位置にある上部可動装飾部材420と下部可動装飾部材440は、各種可動装飾ユニット51、200、300によって隠蔽されている。そして、所定の遊技状態になった時に、上部可動装飾部材420と下部可動装飾部材440は、近接方向に回動し、互いに水平状態で停止して一体となる。このように、初期位置において視認不能であった上部可動装飾部材420と下部可動装飾部材440が、視認可能な位置に突然出現するとともに一つのまとまりある装飾部材を形成するので、遊技に意外性を持たせることができる。したがって、遊技の興趣を向上させることが可能となる。
初期位置では、上部可動装飾部材420のレンズ部433及び下部可動装飾部材440のレンズ部453は遊技盤1の中央に臨んでおり、レンズ部433、453を介してLED光を照射することによって発光演出を行うので、遊技の興趣をさらに向上させることが可能となる。
第1演出位置において一体となった上部可動装飾部材420と下部可動装飾部材440は、同期して、第1演出位置よりも上方向に回動した後に第1演出位置よりも下方向に回動するので、上部可動装飾部材420及び下部可動装飾部材440の演出動作が一様になるのを抑制することができる。したがって、遊技に意外性を持たせることができ、遊技の興趣を向上させることが可能となる。
また、一体となった上部可動装飾部材420と下部可動装飾部材440は所定の遊技状態になった時に離間方向に回動するとともに、変動表示装置22は上部可動装飾部材420と下部可動装飾部材440の隙間からキャラクタ22bが表示部22aの中央に飛び出すような演出表示を行う。このように右側可動装飾装置400の演出動作に関連して変動表示装置22の表示部22aにおいて演出表示を行うので、遊技の意外性を高めることができ、遊技の興趣を向上させることが可能となる。
<下部装飾部500について>
以下では、図61〜図71を参照し、センターケース21の下部装飾部500について説明する。
図61〜図64に示すように、下部装飾部500は、ステージ54の前面を覆うように形成され、センターケース21内に装飾を形成するものである。下部装飾部500は、遊技領域11(図1参照)に臨んで開口する開口孔530を有するベース部521と、ベース部521の背面から開口孔530を挿通する突起部541を有する装飾部材540とを備える。
ベース部521は、センターケース21の一部を構成し、透明樹脂等の材料で透明に形成される。ベース部521は、ステージ54の下方に配設され遊技領域11(図1参照)に臨んで開口する球流出口59と、前面に開口して形成される複数の開口孔530とを備える。ベース部521の前面は、前方へ突起する凸部の無い平坦面として形成される(図62参照)。
ベース部521の球流出口59は、遊技球を遊技領域11に排出可能に形成される。球流出口59には、ステージ54の背面に配設される誘導部材555を介して、ステージ54上を転動する遊技球の一部が案内される。この誘導部材555の詳細については、後述する。
ベース部521の開口孔530は、ステージ54から流下する遊技球の流下経路に配設される装飾用の孔である。開口孔530は、球流出口59の左右両側において上下に二つずつ並んで配設された長孔であって、球流出口59を中心として放射状に形成される。開口孔530は、長孔形状でなくてもよく、必要に応じて所望の形状に形成すればよい。
図62〜図64に示すように、ベース部521の後方には、ステージ部材554が配設される。ステージ部材554の上面は、遊技球が転動可能なステージ54として形成される。ステージ部材554は、ステージ前端部554gがベース部521の背面に当接することで前後の位置が規制される(図62参照)。また、ステージ部材554は、左右両端に設けられた二つの孔554f(図66参照)を挿通するビスによって、ベース部521に固定される。
図65及び図66に示すように、ステージ部材554のステージ54は、センターケース21(図4参照)の内側底部に配設され、遊技球を後方に転動させるように傾斜する第1球案内部54aと、遊技球を前方に転動させるように傾斜する第2球案内部54bとを備える。第1球案内部54aはステージ54の長手方向中央に形成され、第2球案内部54bは第1球案内部54aの左右に間隔を開けて形成される。なお、ベース部521の開口孔530は、ステージ部材554の第2球案内部54bの下方に位置するように設けられる。
ステージ部材554には、遊技球が後方に流下するのを抑制するための縁部554cが形成される。縁部554cが形成されることにより、ステージ部材554の後方に位置するカバー58(図4参照)に遊技球が接触することが抑制される。縁部554cは第1球案内部54aには設けられないので、ステージ54上を転動する遊技球は、第1球案内部54aからのみ後方に導かれ、それ以外は前方に流下することとなる。
図67に示すように、ステージ部材554は、ステージ54から下方に延設される前方壁554a及び後方壁554bを備える。前方壁554aは、ステージ前端部554gよりも後方に形成されるため、ステージ前端部554gとの距離の分だけ前方壁554aとベース部521との間には隙間が形成される。この隙間には、図62に示すように装飾部材540が配設される。
図65及び図66に示すように、ステージ部材554の前方壁554aには、ステージ54の中央に対して左右対称な位置に二つずつ、装飾部材540の位置決め用の孔554dが形成される。また、図64に示すように、ステージ部材554の後方壁554bには、ステージ54の中央に対して左右対称な位置に一つずつ、誘導部材555の位置決め用の孔554eが形成される。
図63、図64、及び図68に示すように、誘導部材555は、その上部開口555aに第1球案内部54aを転動する遊技球が案内されるようにステージ部材554の裏面に設けられ、ステージ54上の遊技球を球流出口59へと誘導する。誘導部材555は、孔555b(図68参照)を挿通するビスによってベース部521に固定される。誘導部材555がベース部521にビス止めされることによって、これらの間に挟持されるステージ部材554はベース部521に固定される。誘導部材555は、ステージ部材554に形成される孔554eに嵌入される位置決め用の突起555c(図68参照)を備える。
図62に示すように、装飾部材540は、透明に形成されるベース部521の背面に配設され、かつステージ部材554の前方壁554aの前面に配設される。装飾部材540には、ベース部521を透過して遊技者から視認される後方装飾部543が形成される。
図69〜図71に示すように、装飾部材540は、立体的に形成された板状部材であって、後方装飾部543から突出する複数の突起部541を備える。装飾部材540は、後方装飾部543の一部がベース部521に背面から当接し、ベース部521の開口孔530に突起部541が挿通する(図62参照)。突起部541が開口孔530に嵌め込まれることによって、装飾部材540は上下左右方向に位置決めされる。
なお、後方装飾部543は、ベース部521の背面に当接せずに、ベース部521の背面よりも後方に位置するようにしてもよい。
装飾部材540の背面は、ステージ部材554の前方壁554aに当接して固定される。つまり、装飾部材540は、ベース部521とステージ部材554との間に挟持され、前後方向に位置決めされる。装飾部材540の突起部541は、ベース部521の開口孔530の内周形状に対応する形状に形成される。したがって、突起部541が開口孔530に嵌め込まれた状態では、突起部541と開口孔530との間に隙間は形成されない。
ここで、突起部541と開口孔530との間に隙間が形成される場合には、ステージ54の第2球案内部54bから流下する遊技球が、突起部541に接触して流下経路に影響を及ぼされるおそれがある。これに対して、本実施形態では、突起部541と開口孔530との間に隙間が形成されないため、遊技球の流下経路に影響を及ぼすことを抑制できる。
図62に示すように、突起部541の先端部542は、突起部541が開口孔530に嵌め込まれた状態で、ベース部521の前面と面一になるように形成される。つまり、ベース部521と突起部541との間には段差は形成されない。
ここで、突起部541と開口孔530との間に段差がある場合には、ステージ54の第2球案内部54bから流下する遊技球が、突起部541に接触して流下経路に影響を及ぼされるおそれがある。これに対して、本実施形態では、突起部541と開口孔530との間に段差が無いため、遊技球の流下経路に影響を及ぼすことを抑制できる。
その一方で、装飾部材540の後方装飾部543は、ベース部521の背面側に配置されており、遊技球に接触して流下経路に影響を及ぼすことがないので、自由な形状に形成することができる。遊技者からは、透明に形成されるベース部521を透過して後方装飾部543が見えるため、後方装飾部543から突起部541が浮き上るように立体的に見える。したがって、立体感のある装飾が形成され、装飾性を向上することができる。また、装飾部材540のように後方装飾部543もまた立体的な形状に形成すれば、更に立体感を増すことが可能である。
このとき、突起部541の先端部542は遊技者から直接視認されるが、後方装飾部543は透明なベース部521を透過して視認される。この違いによって装飾部材540の立体感が強調される。
装飾部材540の最大厚さは、ステージ部材554の前方壁554aの前面とベース部521の前面との間の距離と等しくなる。しかしながら、ステージ部材554に前方壁554aを設けなければ、装飾部材540の最大厚さは、後方壁554bの前面とベース部521の前面との間の距離と等しくなる。したがって、前方壁554aを設けない場合には、装飾部材540を更に立体的に形成して装飾性を高めることが可能である。
図64に示すように、各装飾部材540の背面には、それぞれ二つずつ位置決め用の突起540aが形成される。また、図65に示すように、各装飾部材540の突起540aは、ステージ部材554の前方壁554aに形成される孔554dに嵌入される。
上記した下部装飾部500によれば、以下の効果を得ることができる。
センターケース21に形成される下部装飾部500は、透明に形成されて開口孔530を有するベース部521と、ベース部521の開口孔530に背面から挿通する突起部541を有する装飾部材540とを備える。ベース部521は透明材料で形成されるため、装飾部材540の後方装飾部543はベース部521を透過して遊技者に視認される。したがって、装飾部材540は、後方装飾部543から突起部541が前方に突出するように立体的に遊技者に視認される。また、装飾部材540の突起部541はベース部521の開口孔530に背面から挿通するようにしたので、ベース部521の厚さ分だけベース部521から突起部541が突出しにくくなり、ベース部521から突出する突起部541の突出量が抑制される。
したがって、突起部541が立体的に視認されることによって下部装飾部500の装飾性を向上可能であり、かつベース部521からの突起部541の突出量が抑制されることによって遊技球が下部装飾部500に接触して流下経路に影響を及ぼされることを抑制できる。
また、ベース部521の後方に位置する装飾部材540の後方装飾部543を自由な形状に形成することができるため、装飾性を向上させることができる。
さらに、装飾部材540の突起部541は、ステージ54の第2球案内部54bから流下する遊技球の通り道上に配置されるが、突起部541と開口孔530との間に隙間や段差が形成されないため、ステージ54の第2球案内部54bから流下する遊技球が突起部541に接触して流下経路に影響を及ぼされることを抑制できる。
次に図72及び図73を参照して、上記した下部装飾部500とは異なる態様の下部装飾部580について説明する。なお、以下に示す実施形態では前述した実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
下部装飾部580は、装飾部材581の突起部582の装飾がより複雑に形成される点で、上記した下部装飾部500と相違する。
図72に示すように、センターケース583の一部を構成するベース部584は、透明に形成され、「玉」という文字の形状に形成された二つの開口孔585を備える。
図72、図73(a)、及び図73(b)に示すように、装飾部材581の突起部582は、開口孔585に対応する形状に形成される。装飾部材581の突起部582がベース部584の開口孔585に嵌め込まれた状態では、突起部582の先端部はベース部584と面一になるように形成される。したがって、突起部582と開口孔585との間には隙間や段差は形成されないので、ステージ54の第2球案内部54bから流下する遊技球の流下経路に影響を及ぼすことを抑制できる。
下部装飾部580では、装飾部材581の突起部582がベース部584の開口孔585に対応する形状に形成され、かつ突起部582が開口孔585に嵌め込まれた状態で、突起部582の先端部586がベース部584と面一になるように形成される。これにより、突起部582を複雑な形状に形成すること、即ち下部装飾部580を複雑な形状に形成することが可能になり、下部装飾部580の装飾性を向上することが可能である。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。