以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る遊技機(パチンコ機)について説明する。なお、以下の実施の形態の説明において記す前後左右とは、遊技者から見た、つまり遊技盤に向かって見た方向を指すものとする。
まず、図1を参照して、遊技機の遊技盤1の全体構成について説明する。図1は遊技盤1の正面図である。
遊技盤1は、合板やプラスチック等からなる矩形状の遊技盤本体2の表面に、区画部材としてのガイドレール10を設けることで略円形状の遊技領域11を区画形成している。
遊技機は、遊技者の操作に基づいて発射装置(図示省略)から遊技球を発射させ、遊技領域11内に流下させることにより遊技を行うものである。遊技者は、遊技盤1を覆うカバーガラス(図示省略)を通じて遊技領域11を視認することができる。
遊技領域11には、開口部21aを有するセンターケース21が配設される。遊技盤1にはセンターケース21の外周に沿った形状の開口が形成され、センターケース21は、その開口に遊技盤1の前方から嵌装される。
遊技盤1の裏面側には、複数の識別情報を変動表示する変動表示ゲームを表示可能な表示部22aを有する変動表示装置22が後述する制御ベース34(図3参照)を介して配設される。変動表示装置22は、表示部22aがセンターケース21の開口部21aに臨んで配設される。
変動表示装置22は、表示部22aに複数の変動表示領域(例えば、左側、中央、右側の3つの可変表示領域等)を設定して各表示領域の各々で独立して画像表示がなされる表示装置である。本実施の形態では、例えば、任意の画像を表示可能な液晶表示器等で表示画面部分が構成され、その表示画面上の各変動表示領域には複数の識別情報(特別図柄)や変動表示ゲームを演出するキャラクタ等、遊技の進行に基づく画像が表示される。
遊技領域11におけるセンターケース21の下方でかつ遊技領域11の略中央には、遊技球の入賞に基づき特別図柄(特図)変動表示ゲームの始動条件を付与可能な始動入賞口24が配設される。始動入賞口24は、遊技球が入賞した場合に特図第1変動表示ゲームが行われる第1始動入賞口24aと、普通変動入賞装置(普通電動役物)23を有するチューリップタイプであり、遊技球が入賞した場合に特図第2変動表示ゲームが行われる第2始動入賞口24bとを備える。
第2始動入賞口24bの下方には、変動表示装置22の作動結果によって遊技球を受け入れない状態と受け入れ易い状態とに変換可能な特別変動入賞装置(大入賞口)25が配設される。
遊技領域11におけるセンターケース21の左側方には、遊技球が通過した場合に普通図柄(普図)変動表示ゲームが行われる普図始動ゲート26が配設される。
遊技領域11における始動入賞口24の左右両側方には、遊技球が入賞した場合に賞球を払い出す条件だけが成立する一般入賞口27が配設される。
遊技領域11には、この他に、遊技球の落下方向を変える風車や釘(図示省略)等の方向変換部材、入賞せずに流下した遊技球を回収するアウト口30が配設される。
遊技盤1の右下部には、特図変動表示ゲームの特図の変動表示、特図入賞記憶数(始動記憶数)、普図変動表示ゲームの普図の変動表示、普図入賞記憶数、及び大当たりの決定ラウンド数を表示する状態表示器32が配設される。
発射装置によって打ち出された遊技球は、ガイドレール10の左側部に沿って区画され遊技球を案内する発射球案内通路31から遊技領域11に発射され、遊技領域11内の各所に配置された方向変換部材によって落下方向を変えながら遊技領域11を流下し、始動入賞口24、一般入賞口27、又は特別変動入賞装置25に入賞するか、遊技領域11の最下部に設けられたアウト口30から排出される。
始動入賞口24、一般入賞口27、特別変動入賞装置25に遊技球が入賞すると、入賞した入賞口の種類に応じた数の賞球が払出装置(図示省略)から排出される。
具体的には、始動入賞口24に遊技球が入賞すると、変動表示装置22では、前述した数字等で構成される識別情報が順に変動表示する特図変動表示ゲームが開始され、特図変動表示ゲームに関する画像が表示される。
始動入賞口24への遊技球の入賞が所定のタイミングでなされたときには大当たり状態となり、三つの表示図柄が揃った状態(大当たり図柄)で停止する。このとき、特別変動入賞装置25は、大入賞口ソレノイド318(図2参照)への通電によって、大入賞口が所定の時間だけ、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)に変換される。すなわち、大入賞口が所定の時間だけ大きく開くので、この間遊技者には、多くの遊技球を獲得することができるという遊技価値が付与される。
また、普図始動ゲート26を遊技球が通過すると、状態表示器32で普図変動表示ゲームが開始される。普図始動ゲート26への遊技球の通過が所定のタイミングでなされたときには普通図柄に関する当たり状態となり、状態表示器32に表示される普通図柄が当たり状態で停止する。このとき、第2始動入賞口24bに設けられた普通変動入賞装置23は、普通電動役物ソレノイド317(図2参照)への通電によって、第2始動入賞口24bへの入口が所定の時間だけ拡開するように変換され、第2始動入賞口24bへの遊技球の入賞可能性が高められる。
次に、図2を参照して、遊技機の遊技制御装置500について説明する。図2は遊技制御装置500を中心とする制御系を示すブロック構成図である。
遊技制御装置500は、遊技を統括的に制御する主制御装置である。演出制御装置550は、遊技制御装置500からの指示に基づいて、演出を制御する従属制御装置である。
遊技制御装置500は、遊技用マイコン501、入力I/F(Interface)505、出力I/F506、及び外部通信端子507を備える。遊技用マイコン501、入力I/F505、及び出力I/F506は、内部バスによって相互に接続される。
遊技用マイコン501は、遊技制御装置500全体の制御を行う。遊技用マイコン501には、CPU502、ROM(Read Only Memory)503、及びRAM(Random Access Memory)504を備える。
CPU502は、遊技を統括的に制御する主制御装置であって、遊技制御を司る。ROM503は、遊技制御のための不変の情報(プログラム、データ等)を記憶している。RAM504は、遊技制御に必要な情報を一時的に記憶するワークエリアとして利用される。
外部通信端子507は、遊技用マイコン(遊技用演算処理装置)501に接続され、遊技制御装置500の設定情報等を検査する検査装置等の外部機器を接続するためのインターフェースである。
CPU502は、入力I/F505を介して、各種入力装置(特図第1始動入賞口SW300、特図第2始動入賞口SW301、一般入賞口SW3021〜302n、ゲートSW303、カウントSW304、ガラス枠開放SW305、前面枠開放SW306、及び球切れSW307)からの検出信号を受けて、大当り抽選等、種々の処理を行う。
特図第1始動入賞口SW300は、第1始動入賞口24aに遊技球が入賞したことを検出するスイッチである。特図第2始動入賞口SW301は、第2始動入賞口24bに遊技球が入賞したことを検出するスイッチである。
一般入賞口SW3021〜302nは、一般入賞口27に遊技球が入賞したことを検出するスイッチである。ゲートSW303は、普図始動ゲート26を遊技球が通過したことを検出するスイッチである。
カウントSW304は、特別変動入賞装置25の大入賞口に遊技球が入賞したことを検出するスイッチである。
ガラス枠開放SW305は、遊技機のガラス枠が開放されたことを検出するスイッチである。前面枠開放SW306は、遊技機の前面枠が開放されたことを検出するスイッチである。
球切れSW307は、遊技機の内部に貯留され、払い出しに用いられる遊技球の数が所定数以下になったことを検出するスイッチである。
また、CPU502は、出力I/F506を介して、特図第1表示器310、特図第1記憶表示器311、特図第2表示器312、特図第2記憶表示器313、普図表示器314、普図記憶表示器315、遊技状態表示器316、普通電動役物ソレノイド(SOL)317、大入賞口ソレノイド(SOL)318、及び排出制御装置319に指令信号を送信して、遊技を統括的に制御する。
特図第1表示器310及び特図第2表示器312は、特図第1変動表示ゲーム及び特図第2変動表示ゲームの識別情報(特別図柄)の変動表示を行う。特図第1記憶表示器311及び特図第2記憶表示器313は、特図第1変動表示ゲーム及び特図第2変動表示ゲームの特図始動記憶数(保留記憶数)の表示を行う。
普図表示器314は、普図変動表示ゲームの識別情報(普通図柄)の変動表示を行う。普図記憶表示器315は、普図変動表示ゲームの普図始動記憶数の表示を行う。
遊技状態表示器316は、異常等が検出された場合に信号を受信し、異常などの遊技状態を報知する。
普通電動役物ソレノイド317は、第2始動入賞口24bの普通変動入賞装置23を所定時間拡開するように動作させる。
大入賞口ソレノイド318は、特別変動入賞装置25の大入賞口が所定の時間だけ、遊技球を受け入れない閉状態(遊技者に不利な状態)から遊技球を受け入れやすい開状態(遊技者に有利な状態)にする。
排出制御装置319は、遊技制御装置500からの賞球指令信号に基づいて、図示しない払出ユニットの動作を制御し賞球を排出させる。また、図示しないカードユニットからの貸球要求信号に基づいて、払出ユニットの動作を制御し貸球を排出させる。
また、遊技制御装置500は、遊技機データ(例えば、変動表示ゲームの回転停止を示す図柄確定信号、及び特別遊技状態(大当り)の発生を示す特賞信号等)を、外部情報端子320を介して、図示しない情報収集端末装置に出力する。
さらに、遊技制御装置500は、変動開始コマンド、客待ちデモコマンド、ファンファーレコマンド、確率情報コマンド、及びエラー指定コマンド等を、演出制御指令信号として、出力I/F506を介して、演出制御装置550に送信する。
演出制御装置550は、遊技制御装置500から送信された演出制御指令信号に基づいて、遊技を演出する各装置を制御する。各装置による遊技の演出には、役物駆動用モータ3311〜331nによる役物の演出動作、表示装置332の表示、各種LED基板333による装飾光の発光、及びスピーカ334による効果音の出力などが含まれる。また、異常を検知した場合、例えば、前面枠やガラス枠が開放された場合などにも、演出制御装置550によってスピーカ334から報知音が出力される。
演出制御装置550は、CPU551、ROM552、RAM553、通信I/F554、入出力I/F555、VDP556、画像ROM557、音LSI558、及び音ROM559を備える。
CPU551は、遊技制御装置500からの指令に基づいて、各種演出を制御する。ROM552は、遊技制御のための不変の情報(プログラム、データ等)を記憶している。RAM553は、遊技における演出制御に必要な情報を一時的に記憶するワークエリアとして利用される。
通信I/F554は、演出制御装置550と遊技制御装置500とを接続するためのインターフェースである。入出力I/F555は、演出制御装置550と各装置とを接続するためのインターフェースである。また、入出力I/F555は、演出制御装置550と遊技者によって操作される演出ボタン330とを接続する。
VDP556は、CPU551からの要求に応じて、識別情報やキャラクタなどの画像を表示装置332に出力する。VDP556には、画像データなどが記憶された画像ROM557(演出データ記憶手段)が接続される。画像ROM557には、機種毎に共通の画像情報と、当該機種のシリーズに対応する画像情報が記憶される。
音LSI558は、CPU551からの要求に応じて、効果音及び報知音などの音声をスピーカ334に出力する。音LSI558には、効果音及び報知音などが記憶された音ROM559が接続される。
次に、図3を参照して、制御ベース34及びそれに取り付けられる装飾ユニット35について説明する。図3は制御ベース34、装飾ユニット35、及びセンターケース21の分解斜視図である。
制御ベース34は、内部に装飾ユニット35を収容する収容空間を有する箱状の部材であり、制御ベース34の裏面には変動表示装置22が取り付けられる。変動表示装置22は、表示部22aが制御ベース34に形成された表示用開口部34aに臨むようにして制御ベース34に取り付けられる。
装飾ユニット35は、左右方向に延在する底部装飾部材36と、底部装飾部材36の両端部から上方へと立設する左側装飾部材37及び右側装飾部材38とからなる略U字状の装飾である。左側装飾部材37及び右側装飾部材38は、遊技状態に応じて演出動作可能に構成される。
装飾ユニット35は、各装飾部材36,37,38が表示用開口部34aの縁部に沿うようにして制御ベース34の収容空間内に収容される。つまり、装飾ユニット35は、変動表示装置22の表示部22aの外縁に沿って配設されることになる。
制御ベース34は、収容空間内に装飾ユニット35が収容される共に、裏面に変動表示装置22が取り付けられた状態で、遊技盤1の裏面に取り付けられる。このように、制御ベース34は、センターケース21との間で遊技盤1を挟むようにして、遊技盤1の裏面に取り付けられる。
次に、図4及び図5を参照して、センターケース21及びセンターケース21と一体に配設された可動装飾ユニット50について説明する。図4はセンターケース21及び可動装飾ユニット50の斜視図であり、図5はセンターケース21及び可動装飾ユニット50の背面側の分解斜視図である。
センターケース21は、変動表示装置22の表示部22aが臨む開口部21aを有する異形リング状の部材であり、遊技盤1に形成された開口に遊技盤1の前方から嵌装されて遊技盤1に対して固定される。センターケース21は合成樹脂にて形成される。
センターケース21は、遊技盤1に形成された開口に嵌装される嵌装部40aと、嵌装部40aに対して鍔状に形成された鍔部40bとからなる本体ベース40を備え、鍔部40bを介して遊技盤1に固定される。つまり、鍔部40bよりも前方側が遊技領域11内に配設されることになる。
本体ベース40の鍔部40bの前面には、前方に立設し遊技領域11を流下する遊技球を案内するガイド41が形成される。ガイド41は、センターケース21の全周に亘って形成される。発射球案内通路31から遊技領域11内に発射された遊技球は、ガイドレール10とガイド41との間の領域を流下する。
可動装飾ユニット50は、遊技の進行に伴い所定の演出動作を行うものであり、センターケース21の裏面上部に固定して配設された上部可動装飾ユニット51と、センターケース21の裏面右側部に固定して配設された側部可動装飾ユニット52とからなる。上部可動装飾ユニット51は、変動表示装置22の表示部22aの上縁に沿って配設され、側部可動装飾ユニット52は、表示部22aの右側縁に沿って配設される。上部可動装飾ユニット51については、後に詳しく説明する。
側部可動装飾ユニット52は、可動部がセンターケース21の右下部に配設された開口部21b内に収容された状態で、センターケース21に固定される。
センターケース21の内側底部には、遊技球が転動可能であって、転動する遊技球を始動入賞口24が配設された遊技領域11へと排出するステージ54が配設される。
センターケース21の左側部には、遊技領域11を流下する遊技球をセンターケース21内に導くためのワープ通路56が配設される。ワープ通路56は、ワープ形成部材57によって形成される。ワープ形成部材57は有色透明な合成樹脂にて形成される。
ワープ通路56は、遊技領域11に向けて開口し遊技領域11を流下する遊技球を受け入れる流入口56aと、流入口56aから流入した遊技球が通過する流路56bと、ステージ54に向けて開口し流路56bを通過した遊技球をステージ54に排出する排出口56cとを備える。
流入口56aは、遊技領域11におけるセンターケース21の左側方を流下する遊技球を受け入れるため、左斜め上方に向けて開口している。流路56bは、通過する遊技球の転動の勢いを弱めるために、蛇行して形成される。排出口56cは、ステージ54の左端部に連接して配設された階段状の連絡路55に連通して形成される。したがって、排出口56cから排出された遊技球は、連絡路55を通じてステージ54へと流入する。
センターケース21が遊技盤1の前面に取り付けられると共に、制御ベース34が遊技盤1の裏面に取り付けられた状態では、略U字状の装飾ユニット35は、センターケース21の後方で、かつ開口部21aの内周縁に沿うようにして配設される。
センターケース21には、開口部21aを塞ぐようにして透明な樹脂製のカバー58が配設される。カバー58によってステージ54と装飾ユニット35とは仕切られるため、ワープ通路56を通じてステージ54に導かれた遊技球が装飾ユニット35に当たることはなく、装飾ユニット35の破損を防止することができる。
図4に示すように、ステージ54は、センターケース21の内側底部に左右方向に延設され、かつ中央部が始動入賞口24の直上方となるように配設される。ステージ54は、左右両端部と中央部とが高い波状に形成される。ステージ54は有色透明な合成樹脂にて形成される。
ステージ54の中央部には、後方に向かって下り傾斜した第1球案内部54aが形成され、第1球案内部54aの両側方の谷部には、遊技領域11に向かって下り傾斜した第2球案内部54bが形成される。
カバー58における第1球案内部54aに対応する位置には開口部58aが形成され、開口部58aは装飾ユニット35の底部装飾部材36に開口して形成された誘導口36a(図3参照)に連通している。このように、ステージ54の第1球案内部54aは、カバー58の開口部58aを介して底部装飾部材36の誘導口36aに連通している。
誘導口36aから底部装飾部材36内に流入した遊技球は、ステージ54の下方に誘導されて、ステージ54の前面に遊技領域11に向けて開口して形成された球流出口59から遊技領域11に排出される。
このように、ワープ通路56からステージ54に導かれた遊技球は、第1球案内部54aからステージ54の下方に誘導されて球流出口59から遊技領域11に排出されるか、又は第2球案内部54bから遊技領域11へと排出される。球流出口59は、始動入賞口24の上方に横長に開口して形成されるのに対して、第2球案内部54bは、始動入賞口24の直上方から左右側にずれて配設される。そのため、球流出口59から排出される遊技球の方が、第2球案内部54bから排出される遊技球と比較して、始動入賞口24へ誘導される確率が高い。
次に、図6〜図11を参照して、上部可動装飾ユニット51について説明する。図6は上部可動装飾ユニット51の正面図であり、図7は上部可動装飾ユニット51の裏面図であり、図8は上部可動装飾ユニット51の裏面図でモータ66を取り除いた状態の図であり、図9は上部可動装飾ユニット51の分解斜視図であり、図10は第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の正面側の分解斜視図であり、図11は第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の裏面側の分解斜視図である。
上部可動装飾ユニット51(演出動作装置)は、前面に文字装飾63を有する第1可動演出部材61と、文字装飾63の背後から放射状に延びる放射状装飾64を有し、第1可動演出部材61の後方に配設された第2可動演出部材62とを備え、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が表示部22aに表示される表示内容に関連して所定の演出動作を行うものである。
図9に示すように、上部可動装飾ユニット51は、センターケース21の裏面上部に固定され第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62を移動可能に支持するベース部材65と、ベース部材65に支持された駆動源としてのモータ66(図7参照)と、ベース部材65に支持されモータ66の駆動力を第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62に伝達する伝達機構67とを備える。
ベース部材65は、前面部が透明なレンズにて形成され、かつ前面部には装飾が施されている。ベース部材65の裏面には、取付ベース68を介してLED基板69が配設される。LED基板69には複数のLEDが装着され、LEDが発する光は、ベース部材65を透過することによって外部へと拡散する。
図10及び図11に示すように、第1可動演出部材61は、ベース板70と、ベース板70の前面に取り付けられ、文字の部分が透明なレンズにて形成された文字装飾63とを備える。ベース板70の背面には、複数のLEDが装着されたLED基板71(図11参照)が配設され、LEDが発する光が文字装飾63のレンズを透過することによって、文字から光が漏れて文字が強調される。
図11に示すように、ベース板70の背面には、伝達機構67の構成部材の1つである第1駆動軸72及び第2駆動軸73が結合される。第1駆動軸72及び第2駆動軸73は、LED基板71を挿通して後方へと延在し、左右方向に所定間隔を空けて配設される。
図10及び図11に示すように、第2可動演出部材62は、円板部75と、円板部75から放射状に延びる放射状装飾64とを備える。円板部75の中心には、第1駆動軸72が挿通する穴75aが形成される。穴75aは、第1駆動軸72の外径よりも僅かに大きい程度の径に形成される。また、放射状装飾64には、第2駆動軸73が挿通する長穴64aが形成される。長穴64aは、第2駆動軸73が長穴64a内を移動することができるように、鉛直方向に延在して形成される。
このように、第1可動演出部材61に結合された第1駆動軸72及び第2駆動軸73は、第2可動演出部材62を挿通する。そして、第1駆動軸72及び第2駆動軸73は、それぞれベース部材65に貫通して形成された第1開口部65a及び第2開口部65b(図9参照)も挿通する。第1開口部65a及び第2開口部65bは円弧状に延在して形成される。
ベース部材65の第1開口部65a及び第2開口部65bを挿通した第1駆動軸72及び第2駆動軸73は、モータ66の回転力を第1駆動軸72及び第2駆動軸73の移動に変換する変換機構80の作用によって移動する。
変換機構80は、モータ66が一方向に回転した場合には、第2駆動軸73のみを移動させる一方、モータ66が他方向に回転した場合には、第1駆動軸72及び第2駆動軸73の双方を移動させる。これにより、モータ66が一方向に回転した場合には、第2駆動軸73のみが第2可動演出部材62の長穴64a内を移動することによって、第1可動演出部材61は第1駆動軸72を中心軸として第2可動演出部材62に対して相対的に揺動する。また、モータ66が他方向に回転した場合には、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62は、第1駆動軸72及び第2駆動軸73を介して一体に移動する。
以下では、主に図7〜図9及び図12〜図15を参照して、変換機構80について説明する。図12は揺動カム81を示す図であり、(a)は正面図、(b)は斜視図である。図13は第1リンク部材82を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面側の斜視図、(c)は裏面側の斜視図である。図14(a)及び(b)は蓋部材89の斜視図である。図15は第2リンク部材83を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面側の斜視図、(c)は裏面側の斜視図である。
図8及び図9に示すように、変換機構80は、モータ66の出力軸に連結されモータ66の回転に伴って揺動する揺動カム81と、揺動カム81の揺動に伴って回動可能であり、第1駆動軸72を移動させる第1リンク部材82と、揺動カム81の揺動に伴って回動可能であり、第2駆動軸73を移動させる第2リンク部材83とを備える。第1リンク部材82及び第2リンク部材83には、それぞれ揺動カム81からの揺動力を受けるカムフォロア86,87(図9参照)が配設される。なお、揺動カム81、第1リンク部材82、及び第2リンク部材83は合成樹脂にて形成される。
モータ66は、図7に示すように、ベース部材65の裏面に締結された支持板92を介してベース部材65に支持される。
図12に示すように、揺動カム81は、外周面がカム面として形成された平板状部材であり、中心にモータ66の出力軸が相対回転不能に連結される連結穴81aが形成される。揺動カム81のカム面は、第1リンク部材82のカムフォロア86に当接して、揺動カム81の揺動力を第1リンク部材82に作用させる第1作用面84と、第2リンク部材83のカムフォロア87に当接して、揺動カム81の揺動力を第2リンク部材83に作用させる第2作用面85とを備える。
第1作用面84は、円弧形状の山部84aと略直線状のベース部84bとからなる。第2作用面85は、波形状の波状部85aと略直線状のベース部85bとからなる。第1作用面84の山部84aと第2作用面85の波状部85aとは、連結穴81aを中心に対向して形成される。また、第1作用面84のベース部84bと第2作用面85のベース部85bとは、連結穴81aを中心に対向しかつ略平行に形成される。
図9及び図13に示すように、第1リンク部材82は、周壁82aにて包囲され裏面側が開口する収納空間82bを有する部材である。第1リンク部材82の一端には、ベース部材65に回転自在に支持される回転軸88(図9参照)が嵌入されるスリーブ82cが配設される。第1リンク部材82の他端である自由端側には、第1駆動軸72(図11参照)が挿通して連結されるスリーブ82dが配設される。スリーブ82dを挿通する第1駆動軸72の先端には、抜け止め用のリング(図示省略)が嵌装される。また、周壁82aの外周面におけるスリーブ82cの近傍には、カムフォロア86(図9参照)を支持するための軸82eが配設される。このように、軸82eは回転軸88の近傍に配設される。なお、第1駆動軸72、回転軸88、及び軸82eは、全て前後方向に平行に形成される。
カムフォロア86は、弾性を有する円筒部材であり、軸82eに相対回転不能に嵌装される。カムフォロア86の外周面には、揺動カム81の第1作用面84が当接し、カムフォロア86は、揺動カム81の揺動に伴って回転軸88を中心として旋回する。このカムフォロア86の旋回に伴って、第1リンク部材82の自由端側は回転軸88を中心として回動する。そして、第1リンク部材82の回動に伴って、第1リンク部材82の自由端側に連結された第1駆動軸72が移動する。このように、第1リンク部材82は、揺動カム81の揺動に伴って回動して第1駆動軸72を移動させる。
第1リンク部材82の収納空間82b内には、第1可動演出部材61に配設されたLED基板71と演出制御装置550(図2参照)とを電気的につなぐ配線94(図20〜図23参照)が収納される。収納空間82b内に配線94が収納された状態で、収納空間82bの開口部は、図14に示す蓋部材89にて閉塞される。蓋部材89は、内部の配線94が視認可能なように透明な合成樹脂にて形成される。配線94については、後に詳しく説明する。
図9及び図15に示すように、第2リンク部材83は、一端が円形で他端に向かって細く形成されたレバー状の部材である。第2リンク部材83の一端には、円錐形状の基端部83aを介してスリーブ83bが配設され、スリーブ83bには、ベース部材65に回転自在に支持される回転軸90(図9参照)が嵌入される。第2リンク部材83の他端である自由端側他端には、第2駆動軸73(図11参照)が挿通して連結される長穴状の開口部83cが形成される。開口部83cは長穴状に形成される。開口部83cを挿通する第2駆動軸73の先端には、抜け止め用のリング(図示省略)が嵌装される。また、基端部83aの外周面には、カムフォロア87(図9参照)を支持するための軸83dが配設される。このように、軸83dは回転軸90の近傍に配設される。なお、第2駆動軸73、回転軸90、及び軸83dは、全て前後方向に平行に形成される。
カムフォロア87は、弾性を有する円筒部材であり、軸83dに相対回転不能に嵌装される。カムフォロア87の外周面には、揺動カム81の第2作用面85が当接し、カムフォロア87は、揺動カム81の揺動に伴って回転軸90を中心として旋回する。このカムフォロア87の旋回に伴って、第2リンク部材83の自由端側は回転軸90を中心として回動する。そして、第2リンク部材83の回動に伴って、第2リンク部材83の自由端側に連結された第2駆動軸73が移動する。このように、第2リンク部材83は、揺動カム81の揺動に伴って回動して第2駆動軸73を移動させる。
ここで、図8に示すように、第1リンク部材82の回転軸88と第2リンク部材83の回転軸90とは、揺動カム81の揺動軸を中心として対称位置に配設される。また、第1リンク部材82のカムフォロア86と第2リンク部材83のカムフォロア87とは、揺動カム81の揺動軸を中心として対称位置に配設される。回転軸88,90とカムフォロア86,87をこのように配置することによって、揺動カム81の揺動力が第1リンク部材82及び第2リンク部材83にスムーズに伝達される。
変換機構80は以上のように構成され、モータ66の回転に基づく揺動カム81の揺動に伴って、第1リンク部材82及び第2リンク部材83が回動することによって、第1駆動軸72及び第2駆動軸73が移動する。この第1駆動軸72及び第2駆動軸73の移動に伴って、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が動作する。
図8及び図9に示すように、ベース部材65には、揺動カム81の初期位置を検出するためのコの字形状の光電センサ76(初期位置検出手段)が配設される。揺動カム81には、揺動カム81が初期位置である場合に、光電センサ76の凹部に挿入され光電センサ76の発射光を遮光する遮光部81bが形成される。このように、光電センサ76と揺動カム81の遮光部81bとによって、揺動カム81の初期位置、つまり第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の初期状態が検出される。
次に、主に図16〜図19を参照して、上部可動装飾ユニット51の第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の動作について説明する。図16は初期状態の上部可動装飾ユニット51を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。図17は第1可動演出部材61が揺動動作し下限位置に到達した状態の上部可動装飾ユニット51を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。図18は図17と同じ状態における部分拡大斜視図である。図19は第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が一体動作し下限位置に到達した状態の上部可動装飾ユニット51を示す図であり、(a)は正面図、(b)は背面図である。
以下に示す第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の動作の演出動作は、遊技機に搭載される演出制御装置550(図2参照)によって行われる。
図16(b)に示すように、初期状態では、変換機構80の揺動カム81は、遮光部81bにて光電センサ76の発射光を遮光した初期位置に位置する。このとき、揺動カム81は、第1作用面84のベース部84bと第2作用面85のベース部85bとが略水平となる向きである。また、第1リンク部材82は、カムフォロア86に揺動カム81の山部84aが当接し、略水平状態である。第1リンク部材82の自由端側に連結された第1駆動軸72は、ベース部材65の第1開口部65aの上端部を挿通する。また、第2リンク部材83は、カムフォロア87に揺動カム81の波状部85aの山部85cが当接し、略水平状態である。第2リンク部材83の自由端側に連結された第2駆動軸73は、第2可動演出部材62の長穴64a(図10参照)の上端部を挿通すると共に、ベース部材65の第2開口部65bの上端部を挿通する。なお、初期状態では、第1駆動軸72と第2駆動軸73とは略同じ高さとなる。
このように、揺動カム81が初期位置に位置する場合には、第1駆動軸72及び第2駆動軸73は、それぞれベース部材65の第1開口部65a及び第2開口部65bの上端部を挿通する。この状態では、図16(a)に示すように、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62は、ベース部材65の略中央部に位置する。また、第1駆動軸72と第2駆動軸73とは略同じ高さであるため、第1可動演出部材61は、文字装飾63が略水平に延在した状態となる。これが、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の初期状態である。
特図変動表示ゲームが進行し、所定の遊技状態になった場合には、以下の演出が行われる。図16に示す初期状態からモータ66が正転方向に回転することによって、揺動カム81は、図17(b)に示すように、反時計回りに揺動する。揺動カム81が反時計回りに揺動することによって、揺動カム81に対する第1リンク部材82のカムフォロア86の接触位置は、山部84aを上るように変化する。これにより、第1リンク部材82には回転軸88を中心として時計回りに回動する力が作用する。しかし、第1リンク部材82の自由端側の外周面が取付ベース68に形成されたストッパ部68aに当接することによって、第1リンク部材82の回動が規制される。したがって、第1駆動軸72は移動しない。
一方、揺動カム81の波状部85aは、反時計回りに揺動した場合に、第2リンク部材83のカムフォロア87が入り込むことが可能な谷部85dを備える。そのため、揺動カム81が反時計回りに揺動することによって、第2リンク部材83のカムフォロア87は谷部85dに入り込むため、第2リンク部材83には揺動カム81からの揺動力が作用しなくなる。第2リンク部材83の自由端側には、第2駆動軸73を介して第1可動演出部材61の重量が作用しているため、第2リンク部材83は回転軸90を中心として反時計回りに回動する。このように、第2リンク部材83は、本来は、揺動カム81の反時計回りの揺動に伴って回転軸90を中心として時計回りに回動するはずであるが、揺動カム81の谷部85dによって、本来とは逆方向である反時計回り、つまり揺動カム81と同方向に回動する。これにより、第2駆動軸73は、第2可動演出部材62の長穴64a(図11参照)内とベース部材65の第2開口部65b内とを下方に移動する。このように、揺動カム81が反時計回りに揺動すると、第2駆動軸73のみが下方に移動する。
第2駆動軸73のみが下方に移動するため、第1駆動軸72及び第2駆動軸73が連結された第1可動演出部材61は、図17(a)に示すように、第1駆動軸72を中心として傾く。これに対して、第2駆動軸73は第2可動演出部材62の長穴64a内を移動するため、第2駆動軸73が長穴64a内を移動している間は、第2駆動軸73の駆動力は第2可動演出部材62に伝達されず、第2可動演出部材62は移動しない。このように、第1可動演出部材61は第2可動演出部材62に対して相対的に揺動し、文字装飾63のみが傾く演出が行われる。
第2駆動軸73が長穴64a内を下方に移動し、長穴64aの下端部64b(図11参照)に当接した場合には、第2駆動軸73の駆動力が第2可動演出部材62に伝達され、第2可動演出部材62も第1可動演出部材61と一緒に揺動しようとする。しかし、図18に示すように、ベース部材65の前面には、第2可動演出部材62の放射状装飾64に形成された突起64cに当接し、第2可動演出部材62の揺動を規制する規制部65cが配設される。これにより、第1可動演出部材61の揺動力は第2可動演出部材62に伝達されず、かつ第1可動演出部材61の揺動も停止する。このように、第1可動演出部材61は、第2駆動軸73が長穴64a内を移動する範囲で揺動する。換言すれば、長穴64aの上下方向の寸法によって、第1可動演出部材61の揺動量が規定される。
モータ66は予め定められた所定時間だけ正転方向に回転した後、回転方向が逆転方向に切り換えられる。これにより、揺動カム81は時計回りに揺動、つまり初期位置に向かって揺動する。揺動カム81が初期位置に向かって揺動することによって、揺動カム81に対する第1リンク部材82のカムフォロア86の接触位置は、山部84aを下るように変化する。これにより、第1リンク部材82には揺動カム81からの力が作用せず、第1リンク部材82は回動しない。一方、揺動カム81が初期位置に向かって揺動することによって、第2リンク部材83のカムフォロア87は、波状部85aの谷部85dから山部85cに乗り上がるため、第2リンク部材83は回転軸90を中心として時計回りに回動する。そして、揺動カム81が初期位置に復帰することによって、第2リンク部材83も初期位置に復帰する。これにより、第1可動演出部材61は、第2可動演出部材62に対して相対的に揺動して初期状態(図16に示す状態)に戻る。なお、モータ66は、予め定められた所定時間だけ逆転方向に回転して停止し、揺動カム81は初期位置に復帰する。
以上のように、モータ66を正転回転、逆転回転の順番で繰り返し駆動することによって、第2可動演出部材62に対する第1可動演出部材61の相対的な揺動を繰り返し行うことができる。このように、第1可動演出部材61を第2可動演出部材62から分離して単独で動作させることができるため、第1可動演出部材61を高速で動作させることが可能となる。
特図変動表示ゲームが進行し、前記所定の遊技状態よりも遊技者にとって期待度が高い遊技状態となった場合、例えば、変動表示装置22の表示部22aの表示図柄がリーチ状態を形成した場合には、以下の演出が行われる。ここで、リーチ状態とは、例えば、最後に停止する図柄以外の図柄が同一の内容で停止して、最後に停止する図柄のみが変動している状態のこと。具体的には、3つの図柄のうち左右の図柄が揃って停止したものの、中の図柄がまだ変動中であるために、大当たりに至る可能性を残しているような状態である。
図16に示す初期状態からモータ66が逆転方向に回転することによって、揺動カム81は、図19(b)に示すように、時計回りに揺動する。揺動カム81が時計回りに揺動することによって、揺動カム81に対する第1リンク部材82のカムフォロア86の接触位置は、山部84aからベース部84bに変化する。これにより、第1リンク部材82は回転軸88を中心として反時計回りに回動する。したがって、第1駆動軸72は、ベース部材65の第1開口部65a内を下方に移動する。第1駆動軸72は、第2可動演出部材62の穴75a(図11参照)を挿通しているため、第1駆動軸72の駆動力は第2可動演出部材62に伝達される。このように、第1駆動軸72の駆動力は、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62に伝達される。
一方、揺動カム81が時計回りに揺動することによって、揺動カム81に対する第2リンク部材83のカムフォロア87の接触位置は、波状部85aからベース部85bに変化する。これにより、第2リンク部材83も回転軸90を中心として反時計回りに回動する。したがって、第2駆動軸73は、ベース部材65の第2開口部65b内を下方に移動する。
このように、揺動カム81が時計回りに揺動すると、第1駆動軸72及び第2駆動軸73の双方が下方に移動する。したがって、図19(a)に示すように、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62は、一体となって斜め下方へと移動し、ベース部材65の中央部から下部へと、その位置を変化させる。このように、揺動カム81が時計回りに揺動することによって、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が一体となって、遊技者の目線に近づく演出が行われる。
モータ66は予め定められた所定時間だけ逆転方向に回転することによって、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62は下限位置に到達する(図19に示す状態)。その後、モータ66の回転方向は正転方向へと切り換えられる。これにより、揺動カム81は反時計回りに揺動、つまり初期位置に向かって揺動する。揺動カム81が初期位置に向かって揺動することによって、第1リンク部材82は回転軸88を中心として時計回りに回動すると共に、第2リンク部材83も回転軸90を中心として時計回りに回動する。そして、揺動カム81が初期位置に復帰することによって、第1リンク部材82及び第2リンク部材83も初期位置に復帰する。これにより、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62は、一体となって斜め上方へと移動して初期状態(図16に示す状態)に戻る。モータ66は、予め定められた所定時間だけ正転方向に回転して停止し、揺動カム81は初期位置に復帰する。
以上のように、モータ66を逆転回転、正転回転の順番で繰り返し駆動することによって、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の上下動を繰り返し行うことができる。
以上にて説明したように、揺動カム81が反時計回りに揺動すると、第2駆動軸73のみが下方へと移動し、揺動カム81が時計回りに揺動すると、第1駆動軸72及び第2駆動軸73の双方が下方に移動する。したがって、揺動カム81の揺動方向を切り換えることによって、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の動作を異なったものとすることができる。
また、揺動カム81は、反時計回りに揺動した場合に第2リンク部材83のカムフォロア87が入り込むことが可能な谷部85dを備えるため、揺動カム81が反時計回りに揺動した場合(図16から図17への変化)には、谷部85dの作用によって、第2リンク部材83も揺動カム81の揺動方向と同方向の反時計回りに回動する。一方、揺動カム81が時計回りに揺動した場合(図16から図19への変化)も、第2リンク部材83は反時計回りに回動する。このように、第2リンク部材83は、揺動カム81の揺動方向に関係なく、同方向(反時計回り)に回動するため、第2駆動軸73も揺動カム81の揺動方向に関係なく、同方向(下方)に移動することになる。
次に、主に図20及び図21を参照して、第1可動演出部材61に配設されたLED基板71(発光部材)と演出制御装置550(図2参照)とを電気的につなぐ配線94について説明する。図20(a)及び(b)はそれぞれ第1リンク部材82の平面図及び斜視図であり、図21は上部可動装飾ユニット51を示す背面図であり、(a)は初期状態、(b)は第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が一体動作し下限位置に到達した状態の図である。
配線94は、一端が第1可動演出部材61に配設されたLED基板71(図11参照)に接続され、LED基板71から第2可動演出部材62の円板部75に形成された開口部75b(図11参照)及びベース部材65の第1開口部65aを挿通して、ベース部材65の裏面側へと導かれる。
第1リンク部材82には、第1駆動軸72が挿通して連結されるスリーブ82dの近傍に配線挿通用の貫通孔82fが形成される。貫通孔82fは、スリーブ82dの外周に沿って形成され、円弧状の内周面を有する。
ベース部材65の裏面側へと導かれた配線94は、貫通孔82f内の円弧状の内周面に沿って貫通孔82fを挿通して、第1リンク部材82の収納空間82b内に収納される。そして、回転軸88を支持するスリーブ82c(第1軸受部)の外周に沿って第1リンク部材82の外部へと導かれる。第1リンク部材82の収納空間82bは、内部に配線94が収納された状態で、蓋部材89(図14参照)にて閉塞される。このように、配線94は、収納空間82b内に収納され、かつその収納空間82bは蓋部材89にて閉塞されるため、第1リンク部材82にて保持されることになる。
第1リンク部材82の外部へと導かれた配線94は、ベース部材65の裏面に配設された取付ベース68の爪部68bに係止され、取付ベース68に配設されたLED基板69に他端が接続される。LED基板69は、演出制御装置550と図示しない配線によって電気的に接続される。このように、第1可動演出部材61に配設されたLED基板71と演出制御装置550(図2参照)とは、LED基板69を中継基板として接続される。
以上のように、第1可動演出部材61に配設されたLED基板71と演出制御装置550とを電気的につなぐ配線94は、第1リンク部材82に保持されて、第1リンク部材82のスリーブ82cの外周に沿って導かれる。したがって、図21(a)から(b)に示す変化のように、第1リンク部材82の回転に伴い第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が一体に移動する場合には、配線94も第1リンク部材82と一緒に移動する。そのため、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の移動によって、配線94が他の部材に絡まることがない。また、図21(b)に示すように、配線94は、スリーブ82cの外周に沿って案内される。そのため、配線94にかかるストレスが低減されるため、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が繰り返し上下動を行っても、配線94が断線することがない。
また、配線94は、収納空間82b内に収納されて第1リンク部材82に保持されるため、配線94が複数の場合には、それら複数の配線94を収納空間82bにて束ねることができ、また、配線94の絡まりも防止することができる。
ここで、第1リンク部材82のスリーブ82cの外周には、コイル状のスプリング77が収装される。スプリング77の一端77aは蓋部材89の爪片89aに係止され、他端77bはモータ66を支持する支持板92の係止部92a(図7参照)に係止される。このように、スプリング77は、第1リンク部材82と支持板92とに亘って係止されるため、第1リンク部材82の回転に伴って両者の間で圧縮され、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が下限位置に到達することによって最圧縮状態となる。したがって、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が初期位置に向かって移動する際には、スプリング77は、第1リンク部材82を初期位置に戻す方向に付勢し、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62の初期位置への復帰動作を補助する。
次に、図22及び図23を参照して、図20及び図21にて示した第1リンク部材82の他の形態について説明する。図22(a)及び(b)はそれぞれ第1リンク部材82の平面図及び斜視図であり、図23は上部可動装飾ユニット51を示す背面図であり、(a)は初期状態、(b)は第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が一体動作し下限位置に到達した状態の図である。
以下では、図20及び図21にて示した第1リンク部材82と相違する点について説明し、図20及び図21にて示した第1リンク部材82と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
図22に示すように、第1リンク部材82は、第1駆動軸72を支持するスリーブ82d(第2軸受部)が第1リンク部材82の本体から突出して形成される。第1リンク部材82の貫通孔82fを挿通した配線94は、スリーブ82dの外周に沿って収納空間82b内へと導かれ、スリーブ82cの外周に沿って第1リンク部材82の外部へと導かれる。このように、配線94は、スリーブ82dとスリーブ82cとの間に亘って導かれ、かつその間は収納空間82b内に収納される。
具体的には、貫通孔82fを挿通した配線94は、LED基板69まで湾曲して導かれ、図23に示すように、スリーブ82dの外周には配線94の内周側が沿うのに対して、スリーブ82cの外周には配線94の外周側が沿って導かれる。したがって、図23(a)から(b)に示す変化のように、第1リンク部材82の回転に伴い第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が一体に移動する場合には、配線94は、第1リンク部材82と一緒に移動すると共に、スリーブ82dの外周及びスリーブ82cの外周に沿って案内される。このように、配線94は、スリーブ82d及びスリーブ82cの2つの軸受部の外周に沿って案内されるため、配線94にかかるストレスがより低減される。
以上の実施の形態によれば、以下に示す効果を奏する。
モータ66が正転回転した場合には、第1可動演出部材61は第2可動演出部材62に対して相対的に揺動する一方、モータ66が逆転回転した場合には、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62は一体となって下方へと移動する。このように、1つの駆動源(モータ66)の回転方向に応じて、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62は異なった動作をするため、コストを抑えつつ、可動演出部材61,62に複雑な可動をさせることが可能となる。
また、モータ66が正転回転し、第1可動演出部材61が第2可動演出部材62に対して相対的に揺動する過程で第1可動演出部材61の揺動力が第2可動演出部材62に伝達された際には、第2可動演出部材62の移動がベース部材65に配設された規制部65cによって規制される。このように、第1可動演出部材61を第2可動演出部材62から分離して単独で動作させることができる。したがって、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が大型の演出部材を構成するとしても、動作する演出部材の重量を軽減させることができるため、第1可動演出部材61を高速で動作させることが可能となり、遊技者の興趣を高めることが可能となる。
また、LED基板71と演出制御装置550とを電気的につなぐ配線94は、LED基板71からベース部材65を挿通して、第1リンク部材82のスリーブ82cに沿って演出制御装置550へと導かれる。そのため、第1リンク部材82が回転して第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が動作した場合には、配線94はスリーブ82cの外周に沿って案内される。したがって、配線94にかかるストレスが低減されるため、断線が防止され、第1可動演出部材61及び第2可動演出部材62が継続して動作可能となる。これにより、断線防止のために高価なフレキシブルケーブルを使用する必要がなく、通常の配線を用いることが可能となるため、コストを低減することができる。さらに、配線94をスリーブ82cの外周と共にスリーブ82dの外周に沿うように構成すれば、配線94にかかるストレスをより低減させることができる。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。