JP2008274525A - 低目付セルロース不織布 - Google Patents

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Abstract

【課題】低目付、低通気抵抗、及び高引張り強度を有する多孔質シート材料、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】目付が3g/m以上12g/m以下、かつ通気抵抗度が10s/100ml以上600s/100ml以下の範囲にあり、さらに引張り強度が3N/15mm以上20N/15mm以下の範囲にあることを特徴とするセルロース不織布とその製造方法。
【選択図】図3

Description

本発明は、各種キャパシターや電池等の蓄電デバイス用のセパレータ、機能性フィルター、あるいは医療用分離フィルター等として適用可能な低目付のセルロース不織布に関する。
貫通孔を有する多孔質シート材料には種々のニーズがある。例えば、蓄電デバイス用のセパレータ、ヘパフィルターやウルトラヘパフィルターのような防塵用の機能性フィルター、ウィルス除去膜のような医療用分離フィルター等である。
いずれの場合にも、既存の多孔質シート材料に対して、一定の機能を保持したまま膜の厚みを薄くする、あるいは単位面積あたりの膜の重量である目付を小さくすることできれば利点が大きいケースがあるのは明らかである。例えば、膜厚や目付を低減できれば、デバイスやアセンブリ等の最終製品の軽量化に繋がり、当然材料のコストも低減化できるため、製品コストにも反映される。
また、例えば特許文献1に記載されているように、蓄電デバイス用のセパレータでは、膜厚の低減がデバイスの内部抵抗の低減化に寄与するため、直接的に最終製品の性能に寄与する。
多孔質シート材料には微多孔膜と不織布の2通りが存在する。微多孔膜はフィルムを多孔質となるように製膜し、一定確率で微細な貫通孔を設けたシート状材料である。これに対し、不織布は繊維を積層させて繊維の交絡によるネットワーク構造を形成させ、交絡点を化学的あるいは物理的な接着力で固定したシート状材料である。各々の特徴に関して言えば、微多孔膜は元々孔のないフィルムとして製膜されるものに孔を開ける技術であるため、どちらかといえば孔径の小さいもの(平均孔径が1μm以下)が作り易く、かつクローズドポアを含むので空孔のすべてが貫通孔として機能しないのに対し、不織布はいわゆるオープンポアから成るためすべての空孔が貫通孔として機能する一方で、孔径としては通常は微多孔膜よりもはるかに大きくなることが多い(平均孔径は通常、約10μm相当以上)。
上述した低目付の多孔質シート材料のニーズに対応するために、高い確率で空孔が貫通孔として機能する不織布系のシート材料に着目すると、不織布用の原料として使用する繊維の繊維径が通常は数μm以上のものであることから、繊維を積層化させて平面方向の構造上あるいは物性上の均一性を確保できる目付範囲は限定される。
例えば、低目付不織布と銘打っている特許文献2や目付の低い紙(不織布)を扱っている特許文献3でも、10g/mよりも低い目付の不織布に関する具体例の記載はない。また、特許文献4には、ポリケトン繊維から成る不織布を蓄電デバイス用セパレータとして活用する技術について開示がなされているが、10g/mより低い目付では、強度が不足し、しかも薄過ぎて短絡し易くなるため該不織布としては適当ではないと記載されている。
これらの先行技術に対し、本発明者らは、極めて細いセルロース繊維を用いた不織布系シート材料を作る条件を見い出した(特許文献5参照)。特許文献1と特許文献5においては、1μmを超える平均繊維径を有する繊維を使用して作る通常の不織布に対し、主に200nm以下の数平均繊維径を有するセルロース繊維を用いることにより、極めて微細なネットワークから成る不織布を作ることができ、これによって例えば低目付としても短絡しない蓄電デバイス用セパレータを提供することができる。一方で、例えば上述した多孔質シート材料の用途分野で性能を追及するために低目付に不織布を設計した場合、当然、強度低下を伴う。例えば12g/m以下のような、低い目付で高い通気性を有するように設計すると、強度が不足するため、不織布製品として取り扱い困難なケースもあった。すなわち、低目付の多孔質シート材料として、より性能バランスに優れた製品の提供が望まれているものの、実際には該製品を創り出す技術は存在しないのが現状であった。
特開2006−49797号公報 特開2005−330643号公報 特開平10−140493号公報 特開2005−203305号公報 国際公開2006/004012号パンフレット
本発明は、低目付、低通気抵抗、及び高引張り強度を有する多孔質シート材料、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、極めて微細なセルロース繊維からなる抄紙を行う際に、原料やその微細化条件を制御してセルロース繊維径を特定の範囲のものに調製すると同時に、例えば、抄紙用分散液にイオン性化合物を添加して繊維の分散状態をコントロールした上で、製膜することにより、物性バランスに優れた低目付のセルロース不織布を提供でき、上記課題が解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下に記載のセルロース不織布、該セルロース不織布の製造方法、並びに該セルロース不織布からなる蓄電デバイス用セパレータ、機能性フィルター、及び医療用分離フィルターである。
[1]目付が3g/m以上12g/m以下、かつ通気抵抗度が10s/100ml以上600s/100ml以下の範囲にあり、さらに引張り強度が3N/15mm以上20N/15mm以下の範囲にあることを特徴とするセルロース不織布。
[2]目付が3g/m以上10g/m以下の範囲にあることを特徴とする[1]に記載のセルロース不織布。
[3]目付が5g/m以上9g/m以下、かつ通気抵抗度が20s/100ml以上300s/100ml以下の範囲にあり、さらに引張り強度が4N/15mm以上15N/15mm以下の範囲にあることを特徴とする[2]に記載のセルロース不織布。
[4]膜厚が3μm以上70μm以下、かつ空孔率が30%以上93%以下であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のセルロース不織布。
[5]膜厚が3μm以上60μm以下である[4]に記載のセルロース不織布。
[6]膜厚が3μm以上20μm以下、かつ空孔率が40%以上85%以下である[5]に記載のセルロース不織布。
[7]目付x(g/m)における引張り強度をy(N/15mm)としたとき、xとyとの間に、
y ≧ 0.938x−0.752
の関係が成立していることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載のセルロース不織布。
[8]少なくとも片方の面の表面層の10000倍以上30000倍以下の拡大倍率の走査型電子顕微鏡写真において、100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率が0.70以上であることを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載のセルロース不織布。
[9]少なくとも片方の面の表面層の10000倍以上30000倍以下の拡大倍率の走査型電子顕微鏡写真において、100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率が0.90以上であることを特徴とする[8]に記載のセルロース不織布。
[10]少なくとも片方の面の表面層を構成する繊維の数平均繊維径が2nm以上150nm以下の範囲にある微細セルロース繊維であることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかに記載のセルロース不織布。
[11]少なくとも片方の面の表面層を構成する繊維が、麻由来パルプ,バガス由来パルプ,ケナフ由来パルプ,及び竹由来パルプからなる群から選択された少なくとも一種を微細化することにより得られた微細セルロース繊維であることを特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載のセルロース不織布。
[12]少なくとも片方の面の表面層を構成する繊維が、コットン由来パルプを微細化することにより得られた微細セルロース繊維であることを特徴とする[1]〜[10]のいずれかに記載のセルロース不織布。
[13]表面層と裏面層の各々の表面の繊維交絡構造が同一であることを特徴とする対称型構造を有する[1]〜[12]のいずれかに記載のセルロース不織布。
[14]表面層と裏面層の各々の表面の繊維交絡構造が異なることを特徴とする非対称型多層構造を有する[1]〜[12]のいずれかに記載のセルロース不織布。
[15][1]〜[14]のいずれかに記載のセルロース不織布をロール状に10m以上の長さに巻き取った長尺状のセルロース不織布。
[16]イオン性化合物が溶解した水溶液またはイオン性化合物が溶解した水と有機溶媒との混合溶液のいずれかである溶液中に、100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率が0.7以上である微細セルロース繊維が0.05重量%以上0.5重量%以下の濃度となるように分散させた分散液を原料として抄紙法により湿紙を製膜する抄紙工程、湿紙の固形分率を6重量%以上30重量%以下の範囲に調製する脱水工程、該溶液を有機溶媒または水と有機溶媒との混合溶媒のいずれかである溶媒と置換する置換工程、湿紙を乾燥させる乾燥工程からなることを特徴とする[1]〜[13]および[15]のいずれかに記載のセルロース不織布の製造方法。
[17]イオン性化合物が溶解した水溶液またはイオン性化合物が溶解した水と有機溶媒の混合溶液のいずれかである溶液中に、100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率が0.7以上である微細セルロース繊維が0.05重量%以上0.5重量%以下の濃度となるように分散させた分散液を原料として、目付が2g/m以上7g/m以下の乾燥不織布または乾燥時の目付が2g/m以上7g/m以下に該当する湿紙上で抄紙法により多層構造の湿紙を製膜する抄紙工程、湿紙の固形分率を6重量%以上30重量%以下の範囲に調製する脱水工程、該溶液を有機溶媒または水と有機溶媒との混合溶媒のいずれかである溶媒に置換する置換工程、湿紙を乾燥させる乾燥工程からなることを特徴とする[1]〜[15]のいずれかに記載のセルロース不織布の製造方法。
[18]微細セルロース繊維の数平均繊維径が2nm以上150nm以下の範囲であることを特徴とする[16]〜[17]のいずれかに記載のセルロース不織布の製造方法。
[19]抄紙工程の前に、原料セルロース繊維を水または水と有機溶媒の混合溶媒に分散させた後、叩解処理を行う叩解工程を有する、または、該叩解工程、及び高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、グラインダー型微細化装置の中の少なくとも一つを用いて叩解処理後のセルロース繊維をさらに微細化させる微細化工程を有することを特徴とする[16]〜[18]のいずれかに記載のセルロース不織布の製造方法。
[20]叩解工程で使用する原料となるセルロース繊維が麻由来パルプ、バガス由来パルプ、ケナフ由来パルプ、及び竹由来パルプからなる群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする[19]に記載のセルロース不織布の製造方法。
[21]叩解工程で使用する原料となるセルロース繊維がコットン由来パルプであることを特徴とする[19]に記載のセルロース不織布の製造方法。
[22]抄紙工程で使用する目付が2g/m以上7g/m以下の乾燥不織布または乾燥時の目付が2g/m以上7g/m以下に該当する湿紙が叩解された微細セルロース繊維からなることを特徴とする[17]〜[21]のいずれかに記載のセルロース不織布の製造方法。
[23]抄紙工程で使用する分散液が、イオン性化合物濃度が0.0001重量%以上2重量%以下の範囲であることを特徴とする[16]〜[22]のいずれかに記載のセルロース不織布の製造方法。
[24]置換工程で使用する有機溶媒がアルコール,ケトン,エーテル,芳香族化合物,炭化水素,環状炭化水素,及び環状炭化水素誘導体からなる群から選ばれる少なくともいずれか一つであることを特徴とする[16]〜[23]のいずれかに記載のセルロース不織布の製造方法。
[25]乾燥工程の後に、乾燥後に得られたセルロース不織布にカレンダー装置によって平滑化処理を施す平滑化工程を有することを特徴とする[16]〜[24]のいずれかに記載のセルロース不織布の製造方法。
[26][1]〜[15]のいずれかに記載のセルロース不織布からなる蓄電デバイス用セパレータ。
[27]蓄電デバイスがアルミ電解コンデンサ、電気2重層キャパシタ、リチウム系大容量キャパシタ、及びリチウムイオン2次電池からなる群から選択されるいずれかである[26]に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
[28][1]〜[15]のいずれかに記載のセルロース不織布からなる機能性フィルター。
[29][1]〜[15]のいずれかに記載のセルロース不織布からなる医療用分離フィルター。
本発明により、低目付、低通気抵抗度、及び高引張り強度を有するセルロース不織布からなる多孔質シート材料を提供することができる。
本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、セルロース不織布に関する。ここで、本発明では、「繊維を織ったり編んだりすることなく、繊維どうしを化学的方法、機械的方法または、それらの組み合わせにより、結合や組み合わせを行った構造物」という不織布の一般的定義に従い、本発明の構造体を湿式不織布の範疇と見なしてセルロース不織布と呼ぶ。敢えて紙と呼ばないのは、本発明の不織布を構成する主要なセルロース繊維が、従来の紙の原料としてのセルロース繊維よりも約2桁のオーダー細いセルロース繊維である点で大きく異なる材料であり、用途としてもいわゆる紙の用途ではなく、不織布が使われている用途分野で、より好適にその機能を発現するためである。
さらに、本発明におけるセルロース不織布とは、不織布を構成する繊維の50重量%以上がセルロース繊維であることを意味する。不織布を構成する繊維のうち好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、最も好ましくは100重量%がセルロース繊維であると好適に本発明のセルロース不織布を得ることができる。不織布を構成する繊維に占めるセルロース繊維の割合が50重量%よりも低い場合には、実質的に本発明で規定する特徴をもつ不織布は得られない。後述するように、一つの不織布層の中にセルロース繊維と他の化学種の繊維とが混在していても構わないし、セルロース以外の化学種の繊維から成る不織布層が本発明の多層構造の不織布のうちの一層として存在していても構わない。
より具体的には、本発明は、目付が3g/m以上12g/m以下のセルロース不織布に関する。さらに、通気抵抗度が10s/100ml以上600s/100ml以下の範囲にあり、かつ15mm幅相当の引張り強度が3N/15mm以上20N/15mm以下の範囲にある。本発明のセルロース不織布は、好ましくは、目付が3g/m以上10g/m以下、かつ通気抵抗度が10s/100ml以上600s/100ml以下の範囲にあり、さらに引張り強度が3N/15mm以上20N/15mm以下の範囲にあり、さらに好ましくは、目付が5g/m以上9g/m以下、かつ通気抵抗度が20s/100ml以上300s/100ml以下の範囲にあり、さらに引張り強度が4N/15mm以上15N/15mm以下の範囲にあると、性能バランスに優れた低目付の多孔質シート状材料として提供できる。
目付が3g/mよりも小さいと引張り強度が3N/15mmよりも大きな不織布を得ることは困難なため好ましくなく、目付が12g/mよりも大きいと、通気抵抗度が600s/100mlよりも小さな不織布を得ることは困難なため、やはり本発明の不織布を提供することができない。通気抵抗度は10s/100mlよりも小さい不織布では、本発明で主張する、不織布の高いフィルター性能を発揮できないため好ましくなく、また、600s/100mlよりも大きいと、通気性に乏しく、やはり本発明の不織布が展開可能な各種用途での性能に支障をきたすため好ましくない。引張り強度は3N/15mmよりも小さいと低強度過ぎて不織布としての取り扱いが困難となるため好ましくなく、また、20N/15mmよりも強度の大きな不織布は、本発明の規定する目付と通気抵抗度の範囲では、技術的に得ることが困難であるため現実的ではない。
不織布の通気抵抗度の測定には、ガーレー式デンソメータ((株)東洋精機製、型式G−B2C)を用いて100mlの空気の透過時間(単位;s/100ml)の測定を室温で行う。一つの不織布サンプルに対して種々の異なる位置について5点の測定を行い、その平均値を通気抵抗度とした。
引張り強度の測定は、JIS P 8113にて定義される方法に則り、熊谷理機工業(株)の卓上型横型引張試験機(No.2000)を用い、幅15mmのサンプル10点について測定し、その平均値を引張り強度とした。また、バッチ式製膜に対し、不織布の縦横に強度の異方性が現れ易い連続製膜により作られたサンプルの場合は、本発明における引張り強度とは、走行方向(MD)に関する引張り強度を意味するものとする。
本発明で規定する目付と通気抵抗度と引張り強度をいずれも満足する不織布を製造するためには、3g/m以上12g/m以下の低目付の範囲にありながらも不織布材料としての十分な均一性が達成されている必要がある。そのためには、不織布を構成する繊維材料の繊維径が微小であることが必要となり、微小な繊維径の繊維を容易に製造することが可能な材料としてセルロースであることが好ましい。すなわち、本発明はセルロース不織布に関する。
次に、本発明の不織布は、膜厚が3μm以上70μm以下、かつ空孔率が30%以上93%以下であることが好ましく、より好ましくは、膜厚が3μm以上60μm以下、かつ空孔率が30%以上93%以下、さらに好ましくは、膜厚が3μm以上20μm以下、かつ空孔率が40%以上85%以下である。薄膜化が目的の場合には、膜厚が4μm以上15μm以下、かつ空孔率が40%以上50%以下とすることも容易に可能である。ここで、膜厚が3μmよりも小さくなると、膜面における均一性が確保できなくなり、面内での物性(例えば、強度や通気抵抗度)にばらつきが大きくなるため好ましくなく、また70μmよりも膜厚の大きな不織布は、本発明で規定する目付の範囲では製膜するのが困難であるため、現実的ではない。空孔率が30%よりも小さいと本発明で規定する十分な通気性を発現できなくなるため好ましくなく、また空孔率が93%よりも大きくなると、本発明で規定する引張り強度を確保できなくなるため、やはり好ましくない。
ここで、膜厚(d)は、一つの不織布サンプルについて室温で膜厚計により測定された5点以上の測定値の平均値を意味する。ここで、膜厚計は、空孔率の高い本発明の不織布サンプルを潰さずに評価できる観点から、面接触型のタイプ(例えば、Mitutoyo(株)製面接触型膜厚計(Code No.547−401))を使用する。空孔率Pr(%)は、不織布サンプルの目付x(g/m)と膜厚y(μm)から、以下の式を用いて算出したものである。
Pr={1−0.94x/(dy)}×100 (%)
ここで、dはセルロースの固体密度(g/cm)であり、本発明では、d=1.50(g/cm)とする。
本発明の不織布は、例えば抄紙法により製膜を実施した場合、使用するワイヤーメッシュや濾布の孔のサイズに対して繊維長が小さいケースが多いため、抄造時の減圧吸引(サクション)により膜断面に凹凸ができ易い。この場合、膜厚としては実際の膜厚と凹凸を加味した見かけの膜厚とが定義できるが、本発明では、上述したように両者のうちの膜厚計によって測定される見かけの膜厚を「膜厚」と定義する。従って、空孔率についても見かけの空孔率を意味することとなる。
さらに、本発明の不織布は、目付x(g/m)における引張り強度をy(N/15mm)としたとき、xとyとの間に、
y ≧ 0.938x−0.752
の関係が成立していることがより好ましい。その理由は、一般に同系列の不織布では、強度は目付に依存し、目付が大きくなると強度は増大する。該不等式は、或る目付を想定したときに、より好ましい本発明の不織布の強度範囲を規定するものである。該不等式は、本発明の不織布の種々な条件で作製した試作品で得られた、強度/目付の相関性プロットから、実用性を想定した際に、より理想的な強度を規定したものと言える。
次に、本発明のセルロース不織布においては、少なくとも片方の面の表面層の10000倍以上30000倍以下の拡大倍率の走査型電子顕微鏡写真(以下「SEM画像」ともいう。)において、100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率が0.70以上であることが好ましい。ここで、100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率とは、以下のようにして評価する。まず、上記のSEM画像を、10000倍以上30000倍以下の範囲で表面の異なる部分につき、構成する繊維の繊維径がはっきりと判別できる程度の同じ倍率の画像として少なくとも2枚撮影する。次に、撮影した各々の画像の全体に対し、まず縦横方向に直交に交差する2本の直線を無作為に定め、2本の直線に交差する繊維の交差点における繊維径をすべて測定したとき、交差している繊維の数nのうち繊維径が100nm以下である繊維の数n’の割合、n’/nを算出する。同一サンプルの異なる場所について撮影したSEM画像のうち2枚について算出したn’/nの平均値を、100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率と定義する。
100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率の測定例を図1および図2に示した。図1は、後述する実施例1で得られた不織布サンプルS1、図2は、後述する実施例3で得られた不織布サンプルS3の表面を、それぞれ10000倍の倍率で観察したSEM画像である。ここで、図1に示すS1サンプルにおける100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率は0.92、図2のS3サンプルにおける100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率は0.87であり、共に本発明のセルロース不織布に該当していた。
100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率は、より好ましくは0.80以上、さらに 好ましくは0.85以上、最も好ましくは0.90以上である。少なくとも片方の面の100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率が0.70よりも小さいと本発明で規定する強度よりも弱い強度のセルロース不織布となるため好ましくない。また該数分率が最大値である1.00の場合にも、当然好適に本発明のセルロース不織布となる。
さらに本発明のセルロース不織布では、少なくとも片方の面の表面層を構成する繊維の数平均繊維径が2nm以上150nm以下の範囲にある微細セルロース繊維であることが好ましい。より好ましくは数平均繊維径が3nm以上100nm以下、さらに好ましくは5nm以上65nm以下である。少なくとも片方の面の表面層を構成する繊維の数平均繊維径が2nmよりも小さいセルロースミクロフィブリルの報告は文献上存在せず現実的に作ることは困難と考えられる。また、数平均繊維径が150nmよりも大きな場合には本発明で主張する低目付で高強度性を発現する原動力となる微細セルロース繊維間の交絡点密度が不足するため、引張り強度が規定の範囲とならず、やはり適切ではない。
ここで、該微細セルロース繊維の表面は化学修飾されていても構わない。例えば、微細セルロース繊維の表面に存在する一部あるいは大部分の水酸基が酢酸エステル化を含むエステル化されたもの、メチルエーテル、カルボキシエチルエーテル、シアノエチルエーテルを含むエーテル化されたもの、6位の水酸基が酸化され、カルボキシル基(酸型、塩型を含む)となったもの等を挙げることができるが、これに限定されない。
セルロース繊維の数平均繊維径は以下のようにして定義される。すなわち、上述した、
100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率の評価と同様、セルロース不織布の表面に関して、無作為に少なくとも2箇所、走査型電子顕微鏡写真(SEM画像)による観察を10000倍相当以上30000倍以下の範囲で、繊維径がはっきりと認識できる倍率で行う。得られたSEM画像(例えば、図1と図2)に対し、画面に対し水平方向と垂直方向にラインを引き(例えば図1と図2の白線)、ラインに交差する各々の繊維の繊維径を拡大画像から実測し、交差する繊維の個数と各繊維の繊維径を数える。こうして2つのラインに交差するすべての繊維について繊維径の測定結果を用いて数平均繊維径を算出する。さらに同じサンプルについて観察した別の同じ倍率のSEM画像についても同じように数平均繊維径を算出し、合計2画像分の結果の平均値を対象とする試料の数平均繊維径とする。ここで、図1、図2に示すサンプルの数平均繊維径はそれぞれ、44.1nm、61.9nmであり、本発明のセルロース不織布に該当していた。
本発明の不織布は上述したように極めて微細な繊維径の繊維から構成されるため、大きな表面積を有する。窒素吸着によるBET法での比表面積として、好ましくは80m/g以上、より好ましくは100m/g以上、さらに好適な場合には140m/g以上の値を保有している。
特に本発明における、少なくとも片方の面の表面層を構成する繊維は、麻由来パルプ,
バガス由来パルプ,ケナフ由来パルプ,竹由来パルプのうちの少なくとも一種を微細化することにより得られた微細セルロース繊維であることが特に好ましい。麻由来パルプ,バガス由来パルプ,ケナフ由来パルプ,及び竹由来パルプは、各々、麻系の一種であるアバカ(例えばエクアドル産またはフィリピン産のものが多い)またはザイサル、バガス、ケナフ、及び竹から蒸解処理による脱リグニン等の精製工程を経て得られる精製パルプを意味する。これらは、いずれも100nm以下の繊維径のミクロフィブリルを有すると同時に、ミクロフィブリル間に介在する水素結合やヘミセルロースの状態が、水含浸下で極めて分散され易い状態として存在していると考えられ、そのことに起因して、後述する叩解や高圧ホモジナイザー処理のような微細化処理により比較的容易に上述した条件を満たす微細セルロース繊維となり易いため、原料としての使用が極めて有効である。
また、コットンリントまたはコットンリンターから蒸解処理による脱リグニン等の精製工程を経て得られる精製パルプ(コットン由来パルプ)も原料として使用することが可能であるが、上述の麻由来パルプ等に比較して微細化されにくいため、後述する叩解や高圧ホモジナイザー処理のような微細化処理を、より厳しい条件で行うことが必要となる。
言うまでもなく、上述した精製パルプ以外でも本発明で規定する微細セルロース繊維を産する原料であれば好適に使用することができる。さらに、セルロース不織布の少なくとも片方の面の表面層を構成する繊維において、複数種のセルロース繊維(例えば、微細化程度の異なる、あるいは原料の異なる)が混在していても構わない。
次に、本発明のセルロース不織布の構造としては、少なくとも片方の面の表面層が前述した(8)〜(12)のうちの少なくとも一つを満たしていることが好ましい。そのうえで、該表面層と裏面層(該表面層の反対側の面の表面層を意味する。)の各々の表面の繊維交絡構造が同一であることを特徴とする対称型構造を有する場合と、表面層と裏面層の各々の表面の繊維交絡構造が異なることを特徴とする非対称型多層構造を有する場合の2種類の構造をとり得る。
対称型構造を有する場合は、最も単純には、本発明の不織布は、上述した(8)〜(12)のうちの少なくとも一つを満たしている単一層Xから成る不織布であるが、表面層と裏面層が上述した(8)〜(12)のうちの少なくとも一つを満たしている層Xであり、中間層として異なる構造の層Yを含むX/Y/X等の3層以上の対称型多層構造であっても構わない。
非対称型多層構造を有する場合は、最も単純には、片方の面の表面層が上述した(8)〜(12)のうちの少なくとも一つを満たしている層Xであり、裏面層が、別の構造の(8)〜(12)のうちの少なくとも一つを満たしている層X’であるか、あるいは、(8)〜(12)を満たしていない層Yである2層構造X/X’またはX/Yからなる不織布であるが、さらに中間層として異なる構造の層を含む3層以上の多層構造であっても構わない。
さらに、本発明のセルロース不織布は、上述した(1)〜(14)の少なくとも一つを満足するセルロース不織布を枚葉品として提供することは当然可能だが、ロール状に10m以上の長さに巻き取った長尺状のセルロース不織布として提供することがさらに好ましい。
長尺状のセルロース不織布として提供することは、すなわち該セルロース不織布が連続的に製膜されたものであることを意味し、好ましくは100m以上、さらに好ましくは200m以上であると工業上の種々のニーズに対応できる製品形態であり、好適に本発明のセルロース不織布としてより広い用途に適用することが可能となる。長尺状不織布としての提供の場合には、10mよりも長さが短いと、本発明のセルロース不織布が使用される用途において、長尺製品としての長所を活かすことができなくなるため好ましくない。また、長尺状のセルロース不織布の幅に関しては、特に限定しないが、製品としての取り扱いのし易さの観点から、3mm以上2000mm以下の範囲にあることが好ましい。不織布の幅は、いったん広い幅の不織布をロール状に巻き取ってからスリット加工することにより所定の幅としてもよい。上述した連続製膜を可能とするための製造法上の要件については後述する。
上述した特徴を有するセルロース不織布は、低目付で低通気抵抗度を有するものであり、後述するように、置換溶媒である有機溶媒の組成やカレンダー処理の条件を選ぶことにより、広範囲(好ましくは3μm以上70μm以下)の厚みに設計することが可能である。また、不織布が極めて微細な繊維から構成されているため、極めて大きな比表面積を有する。しかも12g/m以下の低目付でありながら、膜質の均一性や種々の用途で取り扱い可能な強度を保有しているため、後述するように様々な分野での適用が期待される。
次に本発明のセルロース不織布の製造方法について説明する。
本発明のセルロース不織布は、100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率が0.7以上である微細セルロース繊維を、イオン性化合物が溶解した水溶液またはイオン性化合物が溶解した水と有機溶媒の混合溶液のいずれかである溶液中に、微細セルロース繊維が0.05重量%以上0.5重量%以下の濃度となるように分散させた分散液を使用し、抄紙法にて製膜することが好ましい。
該分散液を用いてキャスト法により製膜することも本質的には可能であるが、本発明で規定する低目付で通気性のある不織布をキャスト法で製膜するためには該分散液の溶媒中に疎水性の有機溶媒を含有させる必要があり、その組成割合が大き過ぎると溶媒が乾燥する際に形成される繊維間の接触点(交絡点)の強度が低くなり、結果として本発明で規定する強度の不織布が得られ難くなるため、製膜条件を絞り込むことが難しい。
ここで、分散液中の繊維が100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率が0.70以上の繊維であるかどうかは、前述した方法によって、製膜して得た不織布の表面のSEM画像の解析から確認することができる。このような極めて微細なセルロース繊維を抄紙法で製膜する場合には、抄紙に使用するワイヤーメッシュや濾布の目のサイズがある程度細かいものである必要があるが、それだけでは分散液を抄紙しようとすると、繊維が目を通過して流れてしまうか、あるいは目に詰まって、濾水時間が長くなり、著しく生産性を低下させてしまうことになり、製膜が極めて困難であることが判明した。
そこで、本発明者らが検討した結果、抄紙工程で使用する分散液中にイオン性化合物を添加することがより好ましいことを見出した。イオン性化合物は、その添加量に応じて、セルロース繊維を凝集させる能力を有する。本発明では、元来抄紙法ではワイヤーメッシュや濾布を通過、または詰まってしまい製膜できない微細なセルロース繊維をイオン性化合物の添加により適度な状態に凝集させて、高い生産性でかつほぼ歩留まり100%で抄紙できる条件を見出した。条件の詳細については後述する。
次に該分散液中における微細セルロース繊維の濃度は0.05重量%以上0.5重量%以下、好ましくは、0.1重量%以上0.4重量%以下、さらに好ましくは0.15重量%以上0.35重量%以下の範囲にあると地合い(膜質均一性)に優れたセルロース不織布を製膜することができるので好ましい。分散液中の微細セルロース繊維の濃度が0.05重量%よりも低いと微細セルロース繊維自身が有する分散安定効果が発現せず、地合いに優れた不織布が得られ難いため適当ではなく、また、該濃度が0.5重量%よりも高いと分散液の粘度が著しく高くなり、製膜の際の分散液の均一なフィード(送り出し)が困難となって、膜厚の均一性に優れた不織布が得られ難くなるため、やはり好ましくない。
抄紙方法は、バッチ式の抄紙機は勿論、工業的に利用可能なすべての連続抄紙機を用いて実施することができる。特に、傾斜ワイヤー型抄紙機、長網式抄紙機、丸網式抄紙機によって好適に本発明の不織布を製造することができる。特に、後述する多層化抄紙の場合には、複数の異なる抄紙機を組み合わせるのも有効(例えば、下地層抄紙は傾斜ワイヤー型抄紙機、上地層抄紙では丸網式抄紙機を用いる等)である。抄紙の際の好ましい詳細な条件については後述する。
また、抄紙の後、得られた湿紙は固形分率が6重量%以上30重量%以下の範囲に調整した後に、有機溶媒または水と有機溶媒との混合溶媒と置換し、乾燥させることにより本発明のセルロース不織布を好適に得ることができる。ここで好ましくは、湿紙の固形分率が10重量%以上25重量%以下であると生産性と物性(特に通気抵抗度の制御)のバランスの面でより好適に本発明のセルロース不織布を製造することができる。湿紙の固形分率が6重量%よりも低いと湿紙としての自立性がなく、工程上問題が生じ易くなるし、次の溶剤への置換工程でも置換に多大な時間を要することになるため好ましくない。また、湿紙の固形分率が30重量%を超えると置換工程を経ても通気抵抗度が600s/100ml以下の不織布を得ることが困難となるため、相応しくない。
次に、多層構造を有する本発明のセルロース不織布を製造する方法を説明する。
本発明のセルロース不織布を上述した条件による抄紙法によって製造する際に、目付が2g/m以上7g/m以下の乾燥不織布または乾燥時の目付が2g/m以上7g/m以下に該当する湿紙上で抄紙を行い、得られた多層構造の湿紙の固形分率を10重量%以上30重量%以下の範囲に調製した後に有機溶媒または水と有機溶媒との混合溶媒に置換し、乾燥させることによって好適に本発明のセルロース不織布を提供できる。すなわち、下地層としての別の低目付の不織布または湿紙を準備あるいは製造し、その上から上述した抄紙法により微細セルロース繊維の抄紙を行う。これによって多層構造のセルロース不織布が得られることになるが、当然のことながら、得られるセルロース不織布の目付は3g/m以上12g/m以下でなければならない。
目付が2g/m以上7g/m以下の乾燥不織布を下地層として用い、その上から抄紙を行う場合には、乾燥不織布はセルロース不織布以外のものであっても構わない。例えば、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン−6,6繊維、ナイロン−6繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリウレタン繊維、ポリアクリロニトリル繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリフッ化ビニル繊維、アラミド繊維等から成る不織布を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
下地層としてセルロース不織布以外の不織布を使用する場合には、該不織布は熱融着や溶剤膨潤による融着等により交絡点の接着補強処理がなされているものが好ましく、また、目付の条件により5μm以下の微細な繊維径の繊維から成る不織布であることが好ましい。また、乾燥不織布の下地層としてセルロース不織布を用いる場合には、目付の条件により、5μm以下の微細な繊維径をもつセルロース繊維からなる不織布であることが好ましいが、より好ましくは構成するセルロース繊維の繊維径は1μm以下である。さらに、セルロース繊維と上述したセルロース以外の繊維との混合不織布であっても構わない。このような場合には、熱融着や溶剤膨潤下融着等による交絡点の接着補強処理がなされていてもよいし、特に乾燥不織布に占めるセルロース繊維の重量分率が50%以上である場合には、熱融着や溶剤膨潤下融着等による交絡点の接着補強処理がなされていなくても構わない。
また、乾燥時の目付が2g/m以上7g/m以下に該当する湿紙上で抄紙を行う場合には、セルロース繊維以外の繊維であっても構わないものの、下地層抄紙用分散液中の繊維に占めるセルロース繊維の重量分率は好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上である。乾燥不織布を下地層に用いる場合と同様、目付の条件により、5μm以下の微細な繊維径をもつセルロース繊維からなる不織布であることが好ましいが、より好ましくは構成するセルロース繊維の繊維径は1μm以下である。該セルロース繊維は、例えば木材由来パルプ、綿由来パルプ、精製リンター、麻由来パルプ,バガス由来パルプ,ケナフ由来パルプ,竹由来パルプ、わら由来パルプ等の汎用の精製セルロース繊維を高度に叩解処理し、フィブリル化させた繊維や、さらに該叩解処理繊維の水分散液に対し高圧ホモジナイザー処理を行うことによりナノファイバーレベルにまで微細化した繊維を好適に使用することができる。下地層の抄紙においては、上述したようなセルロース繊維以外の繊維を混抄しても構わない。
当然のことながら、下地層の湿紙の原料は、上述したセルロース以外の繊維であっても構わないが、該繊維の繊維径は目付の条件により、好ましくは5μm以下、より好ましくは1μm以下である。セルロース以外の繊維から成る湿紙を下地層として使用し、本発明の多層化セルロース不織布を得る場合には、乾燥時、または乾燥後に熱融着処理により下地層の不織布層の接触点補強を行っても好適な本発明のセルロース不織布を提供することができる。さらには、2層構造のセルロース不織布をさらに上述した本発明の多層構造のセルロース不織布の製造工程における下地層として使用してもよい(この場合には3層以上の多層構造の不織布となる)。いずれにしても、当然のことながら、得られるセルロース不織布の目付は12g/m以下でなければならない。
上述した多層構造を有する本発明のセルロース不織布の製膜は、強度向上の目的で、狙い目付に対し、目付が半分の同一原料、同一目付の不織布を2系統で製膜し、これを湿紙の段階で張り合わせることにより単一層の不織布として製造しても好適な本発明のセルロース不織布を提供することができる。
次に、本発明のセルロース不織布の製造の各工程についてより詳細な条件について説明する。
まず、抄紙工程の前にオプションとして実施することが可能な、叩解工程及び微細化工程について説明する。
本発明では、100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率が0.7以上である微細セルロース繊維を使用するのが好ましいが、該微細セルロース繊維は、原料繊維を水または水と有機溶媒の混合溶媒に分散させた後、叩解処理を行って得られたものであるか、叩解処理を行った後に、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、グラインダー型微細化装置の中の少なくとも一つを用いてさらに微細化させることにより得られたものであること、あるいはこうして得られた2種類以上の微細セルロース繊維の混合物であることが好ましい。
より具体的に説明すると、叩解工程においては、原料繊維を0.5重量%以上4重量%
以下、好ましくは0.8重量%以上3重量%以下、さらに好ましくは1.0重量%以上2.5重量%以下の固形分濃度となるように水または水と有機溶剤の混合溶液に分散させ、まずビーターやディスクリファイナー(ダブルディスクリファイナー)のような叩解装置でフィブリル化を促進させる。使用する分散溶媒は、安全性の観点から水であることがより好ましいがエチレングリコールやグリセリンのようなセルロースへの親和性の高い多価アルコール系の有機溶媒か場合によってはより疎水的な水に可溶な有機溶媒(例えば、エタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、n−ブタノール、エチルセロソルブ、アセトン、シクロヘキサノン等)を用いても構わない。叩解処理によりフィブリル化が進行すると同時に、均一なスラリーとなり、以下に記載する微細化工程において詰まりを発生しない状態となる。
ここで、叩解の程度として、一般的に用いられる指標として、JIS P 8121で定義されるパルプのカナダ標準ろ水度試験方法(以下、CSF法)のCSF値(単位:ml)がある。一般的には、CSF値は数100mlのオーダーから、叩解処理を進めるに従い小さくなっていくことが知られている(一般的な製紙における叩解過程は、CSF値が数100mlからゼロ付近にまで低減していく過程の範囲であることが多い)。しかしながら、本発明で微細化工程の前処理としての叩解工程では、例えば、ディスクリファイナーのディスク間のクリアランスを極めて小さく(0.1mm以下)保って処理を進めていくと、CSF値は小さくなって一旦ゼロ近くまで低下した後に増大していく傾向があることを見出している。本発明では繊維分散体の叩解を進め、CSF値が降下していく過程のCSF値を***↓ml、さらに叩解を進めゼロ付近を通り、CSF値が増大する過程のCSF値を***↑mlというように区別して表記する。本発明では少なくともCSF値が100↓mlよりも叩解を進める、好ましくは0mlよりも叩解を進める、さらに好ましくは50↑mlよりも叩解を進めると、その後の微細化処理がし易く、微細化処理条件との組み合わせによって好適な微細セルロース繊維のスラリーを得ることができる。
さらに、上記叩解工程により得られたスラリーをそのまま微細化工程で微細化処理することにより、より好適な本発明で使用する微細化セルロース繊維のスラリーを得ることができる。ここで、微細化処理用の装置として有効なものには、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、グラインダー型微細化装置を挙げることができる。高圧ホモジナイザーとしては、例えば、ニロ・ソアビ社(伊)のNS型高圧ホモジナイザー、(株)エスエムテーのラニエタイプ(Rモデル)圧力式ホモジナイザー、三和機械(株)の高圧式ホモゲナイザーなどを挙げることができ、これらの装置とほぼ同様の機構で微細化を実施する装置であれば、これら以外の装置であっても構わない。
超高圧ホモジナイザーとしては、みづほ工業(株)のマイクロフルイダイザー、吉田機械興業(株)ナノマイザー、(株)スギノマシーンのアルティマイザーなどの高圧衝突型の微細化処理機を意味し、これらの装置とほぼ同様の機構で微細化を実施する装置であれば、これら以外の装置であっても構わない。グラインダー型微細化装置としては、(株)栗田機械製作所のピュアファインミル、増幸産業(株)のスーパーマスコロイダーに代表される石臼式摩砕型を挙げることができるが、これらの装置とほぼ同様の機構で微細化を実施する装置であれば、これら以外の装置であっても構わない。いずれの場合でもスラリーを複数回数パスさせた条件で処理するのが好ましい。また、上述した微細化装置による微細化処理は複数の異なる装置での処理を組み合わせても構わない。
上述した微細化工程においては、原料セルロース繊維は天然系セルロース繊維、再生セルロース繊維のいずれかを用いるが、天然系セルロース繊維を用いた方が容易に微細化が進行する点で好ましい。天然系セルロース繊維は、セルロースを含む天然原料を蒸解等の精製工程により処理して得られる精製セルロースを意味し、パルプシートとして加工されたものが使い易さの点で好ましい。
天然系セルロース繊維としては、木材(針葉樹及び広葉樹)由来の精製パルプの他に、非木材系セルロース繊維として、麻由来パルプ,バガス由来パルプ,ケナフ由来パルプ,竹由来パルプ、コットンリンターやコットンリントなどのコットン由来のセルロース、バロニアやシオグサなどの海草由来のセルロース、ホヤに含有されるセルロース、バクテリアの産生するセルロース等を挙げることができる。これらの中で、特に、麻由来パルプ、バガス由来パルプ、ケナフ由来パルプ、竹由来パルプのうちの少なくとも一種を選ぶと、極めて微細化が進行し易く、好適に本発明の微細セルロース繊維を生産することができる。麻由来パルプ,バガス由来パルプ,ケナフ由来パルプ,竹由来パルプのうちの少なくとも一種を原料として極めて高度に叩解処理を行った場合には、上述した微細化処理を施さなくとも本発明で使用する微細セルロース繊維として使用できる場合もある。
次に、抄紙工程について説明する。
上記叩解工程または叩解工程と微細化工程により得られた微細セルロース繊維のスラリーを微細セルロース繊維が0.05重量%以上0.5重量%以下の濃度となるように、水または水と有機溶媒との混合物で希釈し、分散させて抄紙用の分散液を調製する。この際の分散機としては、種々のタイプの攪拌羽根を装着したアジテータ、ディスパー型のミキサー、ディスクレファイナー(ダブルディスクレファイナーを含む)やビーター等の叩解装置等種々の装置を選択できるが、通常、乳化に使用する巻き込み型のホモミキサー(例として、特殊機化(株)のM型攪拌部を装着したT.K.ホモミキサー等)類のように微細繊維を撚糸してしまう効果のあるものは好ましくない。先に得た微細セルロース繊維のスラリー濃度が高いほど、分散の完全性を高めるために、より強固な分散条件(大きな回転数や長い処理時間)を設定する必要がある。
前述したように、本発明では、抄紙工程で使用する分散液中にはイオン性化合物が溶解していると、濾水性を高めることができるため特に生産性の観点から好ましい。その理由は以下のように推定している。
元々セルロース固体の表面は水中でマイナスに帯電していることが知られており、特に微細セルロース繊維を使用する本発明においては、その分散液中ではセルロースは極めて大きな表面積を有する状態で分散している。分散液中の微細セルロース繊維の表面には電気2重層が形成されていて、その静電的反発力により分散液は安定化している。分散溶媒中にセルロース表面の電気2重層と静電的な相互作用をもつイオンが供給され、その量が電気2重層の表面電荷を中和する量以上となると、微細繊維は反発力を失い、凝集を起こすようになる。すなわち、イオン濃度を徐々に高めていくと、あるしきい濃度以上で凝集が進行するようになり、以降、イオン濃度の増大に伴い凝集の程度は大きくなり、初期には緩やかな会合体が形成(軟凝集)されるが、次第に強い凝集になり凝集体は締まった硬いもの(硬い凝集)となる。
本発明ではイオン性化合物は、抄紙工程で使用する微細セルロース繊維の分散液中での微細セルロース繊維の適度な凝集を誘起し、抄紙時の濾水性を向上させるために投入する。本発明で使用する微細セルロース繊維は極めて微細な繊維であるため、イオン性化合物を添加しないと抄紙時の濾水時間が極めて長くなるかあるいはワイヤーメッシュや濾布への目詰まりや繊維の抜けを起こし、抄紙が不可能となることがある。
より具体的に、本発明で使用できるイオン性化合物を挙げると、水溶性の無機塩類、水溶性の有機系イオン性化合物、イオン性界面活性剤の3つのグループに分けることができる。
無機塩類としては、水中で解離し、イオン強度を有する化合物であれば何を用いても構わない。例として、塩酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化アンモニウム、塩化銅(I)、塩化銅(II)、塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、及び二酸化塩素のような塩素系化合物、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、及び水酸化ストロンチウムのような水酸化化合物、炭酸水、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸アンモニウム、及び炭酸水素アンモニウムのような炭酸塩類、硫酸、硫酸ナトリウム、硫酸リチウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸ストロンチウム、硫酸アルミニウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸銅、硫酸鉄(II)、硫酸鉄(III)、及び硫酸アンモニウムのような硫酸塩類、硝酸、硝酸ナトリウム、硝酸リチウム、硝酸カリウム、硝酸銅(II)、硝酸銅(III)、及び硝酸アンモニウムのような硝酸塩類、リン酸、無水リン酸、ポリリン酸カリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、かんすい、リン酸三カルシウム、リン酸一水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸三マグネシウム、及びリン酸アンモニウムのようなリン酸塩類、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム(ホウ砂)、ホウ酸リチウム、及びホウ酸アンモニウムのようなホウ酸塩類、チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、及びチオシアン酸アンモニウムのようなチオシアン酸塩類、生石灰、並びにアンモニア等を挙げることができる。
有機系イオン性化合物としては、低分子化合物と高分子化合物の2種類に分類することができる。低分子の有機系イオン化合物としては、有機酸およびその塩類あるいは有機塩基およびその誘導体類を挙げることができるが、より具体的には、酢酸および酢酸ナトリウムのような酢酸塩類、プロピオン酸およびプロピオン酸ナトリウムのようなプロピオン酸塩類、その他、酪酸、クエン酸、乳酸、シュウ酸、リンゴ酸、フマル酸のような各種有機酸とそれらの塩類、メチルアミン、ジメチルアミン、及びトリメチルアミンのようなメチルアミン誘導体、エチルアミン、ジエチルアミン、及びトリエチルアミンのようなエチルアミン誘導体、n−プロピルアミンおよびその誘導体、iso−プロピルアミンおよびその誘導体、sec−ブチルアミンおよびその誘導体、tert−ブチルアミンおよびその誘導体、アリルアミンおよびその誘導体、テトラメチルエチレンジアミンのような有機塩基およびその誘導体類を挙げることができる。
また、高分子の有機系イオン性化合物としては、アクリル酸モノマー単位およびアクリル酸塩モノマー単位、メタクリル酸モノマー単位およびメタクリル酸塩モノマー単位のようなアニオン性のモノマー単位が分子鎖骨格中に含まれるアニオン系水溶性高分子、アクリル酸の有機アミノ誘導体エステル、メタクリル酸の有機アミノ誘導体エステル、エチレンイミン誘導体のようなカチオン性のモノマー単位が分子鎖骨格中に含まれるカチオン系水溶性高分子、あるいはアニオン性のモノマー単位とカチオン性のモノマー単位が両方、分子鎖骨格中に含まれる両性水溶性高分子を挙げることができる。ここで、上述したアニオン性のモノマー単位あるいはカチオン性のモノマー単位は、その構造中に水中で解離し、イオンとなる性質をもつ置換基を含んでいればよく、また、高分子鎖におけるイオン性のモノマー単位以外のモノマー単位は、水溶性に寄与する構造であれば何であってもよい。
このような条件を満たす高分子は組み合わせ等により多種多様のものが存在するため、具体例として限定することは困難であるが、代表的なものとして例示すれば、以下のような高分子を挙げることができる。
カルボキシメチルセルロース(酸型、塩型の双方を含む)、ポリアクリル酸(酸型、塩型の双方を含む)、ポリメタクリル酸(酸型、塩型の双方を含む)、アルギン酸(酸型、塩型の双方を含む)、アクリルアミド・アクリル酸ソーダ共重合物(ダイヤニトリックス社のアクリパーズP−NS等)、ポリメタクリル酸ジメチルアミノエチル(ダイヤニトリックス社のダイヤフロックKP201等)、アクリルアミド・アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合物(ダイヤニトリックス社のダイヤフロックAP825等)、アクリルアミド・アクリル酸ジメチルアミノエチル・アクリル酸3元共重合体(ダイヤニトリックス社のダイヤフロックKA205等)、ポリビニルアミン(ダイヤニトリックス社のPVAM等)、N−ビニルホルムアミド・アクリロニトリル共重合体変性物(ダイヤニトリックス社のダイヤフロックKP700等)、アミノ変性シリコーン(東レ・ダウコーニング社のSM8704等)、メチルハイドロジェンポリシロキサン(東レ・ダウコーニング社のSM8707EX等)、部分ケン化ポバール、アクリルエステル・マレイン酸共重合物、スチレン・メタクリル酸共重合物、スチレン・マレイン酸共重合物、カチオン化でんぷん、カゼイン、イオン性基を有する天然多糖類(グアガム等)、ポリアミドポリアミン/エピクロロヒドリン組成物(荒川化学工業社のアラフィックスAF−100)等。
イオン性界面活性剤として具体的には、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩などのアニオン界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウムなどのカチオン界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
イオン性化合物は上述した条件で製造した分散液中に溶解させるが、添加のタイミングは、少なくとも、ワイヤーメッシュや濾布上で濾水が起こる直前までに分散液中に溶解、混合されなければならない。より具体的には、原料セルロース繊維を叩解する直前または叩解処理の最中、叩解後微細化処理を行う直前または微細化処理の最中、希釈・分散し抄紙用分散液を調製する直前またはその最中、あるいは抄紙用分散液がワイヤーメッシュあるいは濾布上に投入される直前または送液の途中で添加する。添加するイオン性化合物の性状は粉末状であっても、予め水溶液として調製したものを添加しても構わない。
分散液中へ添加するイオン性化合物の添加量は、上述したイオン性化合物の作用機構により、微細セルロース繊維の微細性と分散液中の繊維濃度(すなわち繊維の表面積の大きさ)に依存するため系によって異なるが、混合後の分散液中のイオン性化合物の濃度範囲として、0.0001重量%以上2重量%以下、好ましくは0.0002重量%以上1.5重量%以下、さらに好ましくは0.0003重量%以上1.0重量%以下である。
分散液中のイオン性化合物の濃度が、0.0001重量%よりも低いとイオン性化合物が、微細セルロース繊維を十分なレベルにまで軟凝集させることができないため、濾水性の改善がなされず、抄紙時間が著しく長くなるかあるいは繊維が抜けてしまい著しく歩留まりが悪くなるため適当ではない。また、イオン性化合物の濃度が2重量%よりも高いと、硬い凝集が進行してしまい、抄紙はできるものの、製膜後に得られるセルロース不織布の地合いは著しく低下し、かつ各凝集体の堆積してできた界面の存在する不織布となり、強度の高いものとならないため、やはり適当ではない。
ただし、本発明のセルロース不織布中に微量(ppmまたはppbのオーダー)のイオン性化合物の存在も許されない場合には、イオン性化合物を溶解させない分散液から本発明のセルロース不織布を製膜することもできる。この場合には、通常、イオン性化合物を添加した系と比較して濾水時間は長くなり、生産性の観点では不利となるが、条件によっては(例えば、高圧ホモジナイザーによるパス回数の低減)、本発明のセルロース不織布を製膜することは可能である。
次に、上述した分散液を用いて抄紙を行うが、抄紙はワイヤーメッシュまたは濾布を用いて分散液中に分散している微細セルロース繊維の軟凝集体を濾過する工程であるため、ワイヤーメッシュあるいは濾布の目のサイズが重要である。本発明においては、本質的には、上述した条件により調製した分散液を、該分散液中に含まれる繊維の歩留まり割合が70%以上、好ましくは、85%以上、さらに好ましくは95%以上で抄紙することのできるようなワイヤーメッシュあるいは濾布であればどんなものでも使用できる。ただし、微細セルロース繊維の歩留まり割合が70%以上であっても濾水性が高くないと抄紙に時間がかかり、著しく生産効率が悪くなるため、大気圧下25℃でのワイヤーメッシュまたは濾布の水透過量が、好ましくは0.005ml/cm・s以上、さらに好ましくは0.01ml/cm・s以上であると、生産性の観点からも好適な抄紙が可能となる。
ここで、大気圧下25℃でのワイヤーメッシュまたは濾布の水透過量は次のようにして評価するものとする。バッチ式抄紙機(例えば、熊谷理機工業社製の自動角型シートマシーン)に評価対象となるワイヤーメッシュまたは濾布を設置するにおいて、ワイヤーメッシュの場合はそのまま、濾布の場合は、80〜120メッシュの金属メッシュ(濾水抵抗がほとんど無いものとして)上に濾布を設置し、抄紙面積がxcmの抄紙機内に十分な量(ymlとする)の水を注入し、大気圧下で濾水時間を測定する。濾水時間がzs(秒)であった場合の水透過量を、 y/(xz) (ml/cm・s) と定義する。
特に叩解後に微細化処理を実施して得られる微細セルロース繊維では、上記の条件を満たすワイヤーメッシュや濾布は限定されるが、極めて微細なセルロース繊維に対しても使用できるワイヤーメッシュとして、SEFAR社(スイス)製のTETEXMONODLW07−8435−SK010(PET製)、濾布として敷島カンバス社製NT20(PET/ナイロン混紡)を挙げることができるがこれらに限定されない。
これに対し、叩解処理を行った繊維でまず上記のワイヤーメッシュよりも目の粗いワイヤーメッシュ上で下地層の抄紙を行うことにより、下地層としての湿紙がフィルターの役割を果たし、叩解後に微細化処理を実施して得られる微細セルロースを用いても歩留まり割合が70%以上で抄紙を実施することができる。この場合にも、下地層として使用する高度に叩解した繊維は一般の繊維よりは微細な繊維径、繊維長を有するものであるため、その目のサイズは細かなものが望ましい。具体的には150メッシュ以上、さらに好ましくは200メッシュ以上であると好適に2層以上の多層抄紙を実施することができる。
さらに、乾燥した低目付の不織布上で抄紙を行う場合には、下地層として用いる該不織布そのものがフィルターの役割を果たすので、該不織布を乗せるワイヤーメッシュの目のサイズは該不織布の孔径サイズに応じて選定すればよい。すなわち、該不織布が目の粗いもので、微細セルロース繊維を濾別する能力を持たない場合には、その下に使用するワイヤーメッシュには、単層で本発明で使用する微細セルロース繊維を歩留まり70%以上で抄紙できる濾別性を有する上述したワイヤーメッシュあるいは濾布が必要となるが、本発明で使用する微細セルロース繊維を歩留まり70%以上で抄紙できる濾別性を下地層として使用する該不織布が有している場合には、当然ながらワイヤーメッシュは目の粗いもの(150メッシュ以下のもの)であって構わない。
次に、脱水工程について説明する。
抄紙工程によって得られた湿紙の固形分率が6重量%以上30重量%以下の範囲に制御するには、例えば湿紙を脱水するために行うウェットサクションやドライサクション等のサクション圧力を適度にコントロールし、さらに抄紙後の湿紙に対し、プレスロール処理(プレス圧力で絞りの程度をコントロール)を行えばよい。
次に置換工程について説明する。6重量%以上30重量%以下の固形分率範囲に調製した湿紙を有機溶媒または水と有機溶媒との混合溶媒に置換し、乾燥させることにより本発明のセルロース不織布を得ることができる。ここで、有機溶媒あるいは水と有機溶媒の混合溶媒に置換する際の条件について記載する。該有機溶媒としては、アルコール,ケトン,エーテル,芳香族化合物,炭化水素,環状炭化水素,環状炭化水素誘導体から選ばれる少なくともいずれか一つであることが好ましい。乾燥工程では、湿紙中で形成されている極めて微細なネットワーク構造から乾燥により水または水を含む媒体が蒸発し、排除されていくが、この際にセルロース表面上で表面張力の低い水または水を含む媒体では、水が蒸発する際に、水が満たされている微細セルロースで囲まれた領域で水は一体化されて周囲の繊維全体を引っ張りながら蒸発していく。その結果、繊維間距離が縮まることになり、仮に平面方向に膜サイズを保ちつつ乾燥(定長乾燥)としても乾燥後の膜は膜厚方向に収縮し、結果的に通気抵抗度が600s/mlを超える通気性の低い(通気抵抗度の高い)不織布しか得られない。
これに対し、湿紙を有機溶剤または水と有機溶剤の混合溶液で置換するとネットワークを形成する繊維の近傍は水よりも表面張力の大きな溶媒で満たされることとなる。この場合には、溶媒含有率の高い状態ではネットワーク内部に溶媒が満たされているが、溶媒の蒸発と共に、比較的早期に、溶媒のセルロース表面上での表面張力が高いために周囲の繊維の一部にばらばらに局在するようになり、以降、繊維表面に局在した溶媒が蒸発して排除されていく。この過程では、ネットワークを形成する微細繊維を収縮させる力は働かないため、元の湿紙中で形成されていたネットワークをそのままかあるいはそれに近い形に維持されて、乾燥が進行することになり、得られる不織布は空孔率の高い、通気性の高い(通気抵抗度の小さい)不織布となる。
より具体的に使用できる置換溶媒として使用できる有機溶媒の例を示すと、アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、ベンジルアルコール、フェノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル、エチレングリコールtert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の1,2−アルキルジオール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン及びその誘導体類等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
エーテルとしては、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、アニソール等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。芳香族化合物としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。鎖状炭化水素としては、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。環状炭化水素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。環状炭化水素誘導体としては、シクロペンタノール、シクロペンタノン、シクロペンチルメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロヘキサノンジメチルアセタール等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
上述した有機溶媒を水との混合溶媒として使用する場合には、混合溶媒中に占める有機溶媒の割合は、好ましくは40重量%以上、より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上であると好適に本発明の不織布を製造することができる。置換溶媒として水と有機溶媒の混合溶液を用いる場合に、混合溶液に占める有機溶媒の割合が40重量%よりも低くなると、乾燥後に得られるセルロース不織布の通気抵抗度が600s/100ml以下となり難くなるため好ましくない。また、混合溶液における有機溶媒は2種以上のものを使用しても構わない。さらに、該有機溶媒は水に溶解していることが好ましいものの、場合によっては、完全に溶解しない有機溶媒を乳化させてエマルジョンとして使用しても構わない。
湿紙を有機溶媒あるいは水と有機溶媒の混合溶媒(以下「置換溶媒」ともいう。)で置換する置換工程に関しては、上述した溶剤置換法の基礎原理を損なわない方法であればどのような方法であっても構わない。
例えば、抄紙工程、脱水工程を経て製膜した湿紙を置換溶媒を充填したディップ浴に浸漬し、一定時間、浴中に浸した後に引き上げて、場合によってはプレスロール等により溶剤含有率をコントロールした後に乾燥工程に渡してもよい。また、ワイヤーメッシュ上で抄紙し、プレス処理で固形分率をコントロールした後に、やはりワイヤーメッシュ上で有機溶媒あるいは水と有機溶媒の混合溶媒を上部からシャワー状に均一に供給し、置換溶媒を湿紙内部に上から下へ透過させて置換させた後に乾燥工程へ渡すプロセスも有効である。あるいは、丸網式抄紙機を溶剤置換槽として利用するのも有効である。この場合には、溜め槽の内部に置換する溶媒を充填し、丸網ドラムのワイヤー上に湿紙を乗せて槽内部の置換溶媒へ浸漬し、ドラム内部への溶媒の物質移動により置換を行う。当然これらの置換方法に限定される訳ではない。
次に乾燥工程について説明する。
上記により得た置換溶媒を含む湿紙を乾燥させることにより本発明のセルロース不織布を得ることができる。乾燥は、ドラムドライヤーや乾燥室での大気圧下での乾燥を通常行うが、場合によっては加圧下あるいは真空下での乾燥を実施しても構わない。この際、物性の均一性を確保し、規定値範囲の通気抵抗度を実現させる目的により、湿紙状態の不織布は定長で乾燥させることがより好ましい。こうした置換工程を経ないで分散媒体が水の状態の湿紙を直接乾燥して得られる不織布は極めて通気抵抗度の高い膜となる。
次に乾燥工程の後にオプションとして実施することの可能な、平滑化工程について説明する。
ここで、乾燥後の本発明のセルロース不織布に対し、さらにカレンダー装置による平滑化処理を施す工程を含むことにより、上述した薄膜化が可能となり、広範囲の、膜厚/空孔率/通気度/強度の組み合わせの本発明のセルロース不織布を提供することが可能となる。カレンダー装置としては単一プレスロールによる通常のカレンダー装置の他に、これらが多段式に設置された構造をもつスーパーカレンダー装置を用いてもよい。これらの装置、およびカレンダー処理時におけるロール両側それぞれの材質(材質硬度)や線圧を目的に応じて選定することにより多種の物性バランスをもつ本発明のセルロース不織布を得ることができる。
置換、乾燥後のセルロース不織布に対するカレンダー処理の作用原理には2通りが考えられる。まず、本発明のセルロース不織布の製造工程では、抄紙用原料として使用する微細セルロース繊維の繊維長に対し、製造時に使用するワイヤーメッシュや濾布の表面凹凸のピッチが大幅に長いため、得られる不織布の表面はワイヤーメッシュや濾布の凹凸が転写され易い。第一点としては、カレンダー処理は、この凹凸を平坦化させる効果を有する。第二点目として、一定空孔率を有する不織布のネットワーク構造そのものを押し潰す効果である。二番目の効果により不織布の空孔率は低減し、平均孔径も小さくなることになり、結果的に、通気抵抗度は増大し、引張り強度や突刺し強度が増大する。実際には、設定したカレンダー処理条件に応じて、上記一番目の効果と二番目の効果が混在し(種々の貢献率となって)、得られるセルロース不織布の構造や物性が決まる。また、エンボス加工を表面に施したカレンダー処理用金属ロールを使用して、任意の表面パターンにより凹凸を加えたセルロース不織布も本発明のセルロース不織布として好適に使用することができる。
特に本発明のセルロース不織布を連続的に製膜するためには、上述したような抄紙工程、脱水工程、置換工程、乾燥工程、場合によってはカレンダー処理による平滑化工程を連続的に実施する必要がある。この際、使用するワイヤーメッシュ(以下、単に「ワイヤー」ともいう。)はエンドレス仕様のものを用いて全工程を一つのワイヤーで行うかあるいは途中で次工程のエンドレスワイヤーまたはエンドレスのフェルト布にピックアップして渡すあるいは転写させて渡すかあるいは、連続製膜の全工程または一部の工程を濾布を使用するロールtoロールの工程とするかいずれかをとり得る。
本発明のセルロース不織布の連続製膜のプロセスの一例を図3に示した。図3では、傾斜ワイヤー抄紙機で抄紙してワイヤー上で運ばれてくる湿紙を、プレス部1において次のワイヤー(ワイヤー2)上へプレス転写してさらに排気下である防爆エリア内へ運びプレス部2右でプレス処理を施し湿紙の固形分濃度を高める(脱水工程)。その後に、ワイヤー上に乗った湿紙の上部から湿紙の性状を壊さない程度に有機溶媒をシャワーで散布し、ワイヤー2の下部で若干の減圧で吸引することにより、湿紙中へ有機溶媒を透過させつつ(置換工程)、水分を含んだ有機溶媒を回収系へ運ぶ。同時に、プレス部2左でプレス処理を行うことにより、有機溶媒含浸湿紙の固形分率を高めた後、ワイヤー上から有機溶媒含浸湿紙を剥がし、ドラムドライヤーによる定長乾燥工程へ送り出し、乾燥後、ロール状にセルロース不織布を巻き取るというものである。当然のことながら、製膜プロセスはこの内容に限定されるものではない。
次に、本発明のセルロース不織布は、低目付で薄膜化可能な多孔質シート材料として、
蓄電デバイス用セパレータとして好適に使用することができる。その理由として、1)内部抵抗の低減化に寄与、2)電解液の高度な含浸性を有する、3)耐熱性、耐久性に優れる の3点を挙げることができる。
まず1)の理由について説明する。多くの蓄電デバイス(電池、コンデンサ、大容量キャパシタ)において、内部抵抗を低減化し、より高電流が流れるようにすることは、蓄電デバイスとして問われる性能であるだけでなく、高出力性という観点からも望まれる。元来、蓄電デバイスは正極と負極の間の物質(電解質等)の移動と電極反応、電極吸着等の現象を介して蓄電特性を発現するものであり、その効率を高めるためには、正負極間の距離は通電(ショート)しない範囲で限りなく近いのが理想である。しかし、実際には電極間距離を利用上意味のあるレベルにまで近づけようとすると隔膜を使わずしてショートを防ぐことが困難であるため、隔膜としてのセパレータが使われる。すなわち、セパレータには、できる限り薄く、しかも高空孔率で正負極間の物質のやりとりを妨げない構造が問われる。耐ショート性の要求からセパレータの材料には絶縁体であるポリマー材料が用いられるが、ポリマー材料そのものが高抵抗成分となるため、できるだけ空孔率を高め、空孔を電解液に置換することで、セパレータの占める空間を低抵抗に抑える必要がある。しかも多数の貫通孔の存在により、物質が自由に移動できることが問われる。
しかし、一方で従来のセパレータを薄く設計するには、薄膜化そのものに技術的限界がある場合もあり、また、一部の蓄電デバイスでは電極として導電性の微粒子を使用するため、より高い耐ショート性が問われるため、孔径との兼ね合いによって、薄くするのに限界があった。すなわち、耐ショート性の観点からはできる限り小孔径の薄い膜を、抵抗を低減する目的では、膜を通した物質移動を妨げることなく高空孔率の膜が必要とされていた。膜を物質の移動性の尺度としては、本発明で定義している通気抵抗度を想定することができる。本発明は低目付で空孔率の高い、しかも通気抵抗度の比較的低く、かつ微細な繊維によるネットワーク構造を有する不織布を提供するものであるため、膜厚が薄く、しかも空孔率が高く、通気性が高く(通気抵抗度が低い)、かつ微細な孔径の不織布を提供できるので、極めて理に近い蓄電デバイス用セパレータとして使用することができるのである。
次に2)について説明する。蓄電デバイスでは使用されるセパレータの貫通孔は上記理由により電解液で満たされていなければならない。通常、上記セパレータには微多孔膜と不織布の2つの系統がある。微多孔膜は製造上の工夫によりフィルムを多孔質とし、多数の貫通孔を設けた膜構造をしている。製造上の理由により、通常は数nm〜100nm程度の孔径の膜が作り易い。また、通常、貫通孔以外にも行き止まりの孔、すなわちクローズドポアも多数存在する。つまり、空孔のすべてが物質移動に貢献する貫通孔として寄与しないという特徴をもつ。さらに、通常は微多孔膜として使用されるのはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミドのような本発明のセルロースに比べ、疎水性が高く、表面上で電解液(通常は極性溶媒を使用)が高い表面張力を示すような材料が選ばれる。
この結果、微多孔膜系セパレータの使用に当たっては、電解液を含浸性を高めるために、含浸工程において真空含浸を実施するか、あるいはセパレータの表面親水化処理を行う必要が生じる。これらの処置を施してもなお、クローズドポアの空気が抜けきっているかは保障の限りではない。これに対し、不織布は繊維が絡み合ってできるネットワークから成るため、どの空孔も貫通孔に通じている。すなわち、オープンポアのみから成る。加えて、セルロースは両親媒的な表面特性をもつ材料として知られており、この点でも、電解液の含浸という観点で、本発明のセルロース不織布は微多孔膜系セパレータに対し、圧倒的に優位である。唯一ネットワークの微細性により、通常の不織布に比べ、電解液の含浸性が著しく劣るとの懸念もあったが、本発明の実施例でも示すように、トルエンのような極めて疎水性の高い溶媒においても本発明のセルロース不織布中へは瞬時に含浸されることが確認され、2)の点でも本発明のセルロース不織布が優れた性能をもっていることが証明された。
さらに3)について説明する。本発明の不織布を構成する主成分であるセルロースはポリマー材料の中でも、耐熱性に優れる(分解温度はおよそ240℃)。セルロースが耐久性が極めて高い材料であることは、天然の構造材料として植物系で数10年、数100年の寿命をも保ち得る点で実証されるものである。これは、天然セルロース固体中で形成されているセルロース分子鎖の分子内および分子間水素結合を介したセルロースI型結晶構造の高い熱力学的安定性に基づく。該構造の安定性は、各種溶媒中でも発揮され、酸水溶液およびアルカリ水溶液のような一部の溶媒系を除けば、多くの溶媒系で安定であり、言い直せば耐久性に優れる。このことは、セルロースを溶解する単純な有機溶媒が殆どないことからも示唆される。この点は、特に上述したように汎用の合成ポリマーが素材として用いられる微多孔膜セパレータに対し、優位性となる。特に、電気2重層キャパシタやリチウムイオン2次電池のような一部デバイスにおいては、デバイスの製造工程や使用過程において高温耐性が問われるものもあり、大きな優位性となり得る。
既に本発明者らによって、特開2006−49797号公報にて開示されているように、ナノファイバーによって構成される不織布が従来の不織布に比べ大幅な薄膜化を達成でき、蓄電デバイス用セパレータとして上述したような有効な機能を発現され得ることを指摘していた。しかしながら、目付の低い設計においては、蓄電デバイスの製造工程でセパレータにかかる張力に耐えるだけの引張り強度を保有しているセルロース不織布を具体的に製造できる方法については、上記文献には開示がなかった。従って、本発明によって初めて、上述した性能バランスに優れた蓄電デバイス用セパレータの提供が工業的に可能となったと言える。
本発明の蓄電デバイス用セパレータは、本質的にすべての一次電池と二次電池(例えば各種乾電池、鉛蓄電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン2次電池)、電解コンデンサー(アルミ電解コンデンサー)、電気2重層キャパシター、リチウム系大容量キャパシタ(例えば特開2006−286218号公報にて開示されているような活性炭を電極の一部に使用し、リチウムイオン系電解質を使用しているデバイス)あるいはその他のセパレータを構成部材として必要とする新規な蓄電デバイス類に適用でき、蓄電デバイスの電極様式においても捲回型、コイン型、積層型等、汎用的に使われているほとんどすべての様式にて適用することができる。特に、本発明の蓄電デバイス用セパレータは、アルミ電解コンデンサ(電解液型、固体電解質型の双方を含む)、電気2重層キャパシター、リチウム系大容量キャパシタ、リチウムイオン2次電池(民生用と共に車載用も)において上述した理由により、好適にその性能が発揮される。特に、捲回型デバイスのようにデバイス作製工程でセパレータに一定の張力がかかる場合に、低目付であって薄膜化が可能でありながら、比較的高い強度を保持している本発明のセルロース不織布の使用により、従来よりも低内部抵抗のデバイス作製が可能となる。
次に本発明のセルロース不織布は、低目付で薄膜化可能な多孔質シート材料として、機能性フィルターとして好適に使用することができる。ここで、機能性フィルターには、例えばヘパフィルターやウルトラヘパフィルターのような気体中の粒子状物質を捕捉し、短時間〜長時間に亘って使用できる乾式系フィルターと濾過流体中の粒子状物質とゲル状物質を効果的に捕捉し、やはり短時間〜長期間に亘って使用することができる、湿式系フィルターとがある。特に湿式系フィルターでは、マイクロ濾過とウルトラ濾過とナノ濾過のうちの少なくとも一つの濾過作用に適したフィルター層として提供することができる。
機能性フィルターとして本発明のセルロース不織布が極めて有効に機能する理由を以下に述べる。まず、本発明のセルロース不織布が、上述したように本質的にオープンポアのみから成るネットワーク構造を有しており、微多孔膜系と比較すると開孔率が著しく高いことが挙げられる。当然のことながら、他の不織布材料と比べるとより微細なネットワークから成るため、相対的には著しく小さな孔径を有する。しかも一定強度を保持して薄く設計できるため、高い通気量(低い通気抵抗)あるいは高い通液量(低い通液抵抗)で目的物質の捕捉が可能となり、効率的な気相あるいは液相での濾過(目的物質の捕捉)が可能となる。
第二に、本発明のセルロース不織布がセルロースという他物質との相互作用性に富んだ表面を有し、かつ極めて高い表面積を有している点を指摘することができる。セルロースは親水的物質への親和性は言うまでもなく、油滴粒子のような疎水的な物質に対しても親和性をもつ両親媒的な表面特性を有しており、セルロース表面のこのような化学的性質が物質の捕捉を優位に進行させる。さらに、本発明で提供されるセルロース不織布は、製造条件によるが、BET吸着法により得られる比表面積として、80m/g以上、より好適な条件下では100m/g以上、さらに好適な場合には、140m/g以上もの値を示す。比較として汎用紙の同比表面積は通常1m/g以下である。
こうした非常に大きな表面積を有していることにより、極めて小さな物質を効率良く捕捉することが可能となり、しかも容量的にも表面積が大きいことによって長時間の使用にも適用できる設計が可能となる。特に、液相でフィルターとして使用する場合には、セルロースがマイナスの電荷を有する性質も有効に活用できる。すなわち、電気的な相互作用性によって、相手物質の捕捉性を制御することも可能となる。また、セルロース表面に存在する多数の水酸基を化学修飾により化学置換して目的の機能を発現させても好適な本発明の機能性フィルターとなり得る。
本発明のセルロース不織布を機能性フィルターとして使用する場合には、他のフィルター機能を有する材料(例えばメルトブロー法等で製膜される汎用の不織布材料等)と積層化させて使用するのが現実的ではあるが、これに限定されるものではない。
さらに、本発明のセルロース不織布は、低目付で薄膜化可能な多孔質シート材料として、上記液相系のフィルターの範疇ではあるが、医療用分離フィルターとして使用すると好適に機能を発現させることが可能である。上述したセルロース表面の活性と表面積の大きさを考え併せると、本発明のセルロース表面そのものあるいは特定の置換基への表面の化学修飾による、あるいは抗原抗体反応等の生体反応に対応させるための特定のリガンドを表面に化学的に結合させることによって発現する表面のアフィニティー効果により特定の生体系物質を捕捉するアフィニティー分離フィルターを具体例として挙げることができる。
また、本発明のセルロース不織布は通常の不織布に比べ、微細な孔径サイズによる分画効果により、特定のウィルスを除去する分画性の分離フィルターとして利用することも可能である。分画性の分離フィルターに上述したアフィニティー性を組み合わせた医療用分離フィルターの設計も有効である。
本発明のセルロース不織布は、上述した用途以外にも機能紙、生活製品用高機能紙(料
理用シートや吸臭性シート等)として使用することができる。また、エポキシ樹脂等の各種の樹脂と複合化させることにより、半導体デバイスや配線基板用の基板、低線膨張率材料の基材等、これらの特性を活かせるあらゆる技術分野に適用できる。
以下、本発明の実施例及び比較例によって、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1,2)
セルロース原料としてアバカA’パルプ(東邦特殊パルプ(株))を使用し、該パルプを固形分1.5重量%の水分散体(400L)とし、ディスクリファイナー装置として相川鉄工(株)製SDR14型ラボリファイナー(加圧型DISK式)を用い、ディスク間のクリアランスを1mmとして400Lのスラリーに対して、10分間叩解処理を進めた後、引き続いてクリアランスをほとんどゼロに近いレベルにまで低減させた条件下で叩解処理を続け、経時的にサンプリングを行い、サンプリングスラリーに対して、JIS P 8121で定義されるパルプのカナダ標準ろ水度試験方法(以下、CSF法)のCSF値を評価したところ、CSF値は経時的に減少していき、一旦、ゼロ近くとなった後、さらに叩解処理を続けると、増大していく傾向が確認された。クリアランスをゼロ近くとしてから100分間、上記条件で叩解処理を続け、CSF値で555↑mlの叩解スラリーを得た。得られた叩解スラリーを、そのまま高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社(伊)製NS3015H)を用いて操作圧力100MPa下で10回の微細化処理を実施し、微細セルロース繊維の水分散体(固形分濃度:1.5重量%)、M1を得た。
次にこのM1を、セルロース濃度が0.1重量%となるように水(イオン交換水)で希釈して500mlとし、さらにこの中にセルロースに対して1.0重量%相当量の炭酸アンモニウムを溶解させ、家庭用ミキサーで5分間分散して抄紙用の分散液を得た。該抄紙用分散液に対し微細セルロースを大気圧下25℃における濾過で99%以上濾別する能力を有するPET/ナイロン混紡製の平織物(敷島カンバス社製、NT20、大気下25℃での水透過量:0.03ml/cm・s)を、以下で使用する角型金属製ワイヤーのサイズ(25cm×25cm)に揃えて裁断したものを濾布として、バッチ式抄紙機(熊谷理機工業社製、自動角型シートマシーン)を用いて抄紙を行った。同抄紙機に組み込まれている角形金属製ワイヤー(25cm×25cm,80メッシュ)上に上述したPET製織物を設置し、その上から抄紙用分散液500gを抄紙機へ注入し、サクション(減圧装置)大気圧に対する減圧度を4KPaとして抄紙を実施した。
得られた濾布上に乗った湿潤状態の湿紙上にさらに同じ濾布をかぶせたものを、熊谷理機工業社製角型シートマシンプレスを用いて0.5MPaの圧力で1分間プレス処理し、湿紙の固形分を15重量%とした。次に、濾布/湿紙/濾布の3層の状態のままバット内に1Kgのイソブチルアルコールが混入された置換浴中に15分間浸漬(置換処理)し、一旦、上述のシートマシーンプレスで0.5MPaの圧力で1分間プレス処理を行った。
さらにもう一度、新たにイソブチルアルコール1Kgをバット内に混入した置換浴中に浸漬させ、15分間静置した。次に、置換浴から取り出した濾布/湿紙/濾布の3層体をシートマシンプレスで0.5MPaの圧力で1分間プレス処理した後、3層体をそのまま表面温度が105℃に設定された熊谷理機工業社製ドラムドライヤーに貼り付けて約120秒間乾燥させた。得られた3層体からセルロース不織布を剥離させて、白色の地合い良好なセルロース不織布S1を得た。S1の目付は8.0g/m、膜厚は51μm、空孔率は90%であり、通気抵抗度は160s/100ml、引張り強度は、6.5N/15mmであり、S1は本発明のセルロース不織布であることが確認された。S1の表面の10000倍のSEM画像を図1に示した。図1を含めたS1の表面に関する2枚のSEM画像の写真の解析により、S1の表面における100nm以下の繊維の占める数分率は、0.92であり、数平均繊維径は44.1nmであった(実施例1)。
次に、S1に対して、カレンダー処理(由利ロール社製ロールプレス装置を使用)を施し、薄膜化を試みた。上部ロールを金属ロールとし、下部ロールをアラミド(I29)ロールとして線圧0.5トンで2m/minの走行速度でカレンダー処理を施し、光沢のある白色のセルロース不織布S2を得た。S2の目付は8.0g/m、膜厚は13μm、空孔率は61%であり、通気抵抗度は276s/100ml、引張り強度は、7.0N/15mmであり、S2は本発明のセルロース不織布であることが確認された(実施例2)。
(実施例3)
実施例1において、ディスクリファイナー装置を用いて高度に叩解して得たCSF値が555↑のフィブリル化繊維のスラリーとM1とを繊維重量比で1:1、総固形分濃度で0.5重量%となるように混合し、さらにイオン交換水と、セルロースの総量に対して、1重量%相当のポリエチレンイミン系のイオン性高分子凝集剤K409(ダイヤニトリクス社製)を混入した後に、家庭用ミキサーを用いて5分間分散処理をまず行った。
次に得られた分散液をさらにイオン交換水で希釈し固形分0.1重量%とし、アズワン(株)製のラボラトリーハイパワーミキサーPM−203を用いて室温、200rpmで10分間分散して抄紙用分散液を調製した。該抄紙用分散液500mlを用い、実施例1と全く同じ要領で抄紙、溶媒置換、乾燥を実施し、白色で地合いがやや悪いセルロース不織布S3を得た。S3の目付は8.0g/m、膜厚は39μm、空孔率は87%、通気抵抗度は78s/100ml、引張り強度は、3.3N/15mmであり、本発明のセルロース不織布であることが確認された。表面のSEM画像の写真の解析により、R2の表面における100nm以下の繊維の占める数分率は、0.87であり、数平均繊維径は61.9nmであった。
(実施例4,5)
セルロース原料として実施例1と同様、アバカA’パルプ(東邦特殊パルプ(株))を使用し、該パルプを固形分1.5重量%の水分散体(400L)とし、ディスクリファイナー装置として相川鉄工(株)製SDR14型ラボリファイナー(加圧型DISK式)を用い、ディスク間のクリアランスを1mmとして400Lのスラリーに対して、10分間叩解処理を進めた後、引き続いてクリアランスをほとんどゼロに近いレベルにまで低減させた条件下で50分間、叩解処理を続け、CSF値で78↑mlの叩解スラリーを得た。得られた叩解スラリーを、そのまま高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社(伊)製NS3015H)を用いて操作圧力100MPa下で5回の微細化処理を実施し、微細セルロース繊維の水分散体(固形分濃度:1.5重量%)、M2を得た。
次にこのM2に対し、セルロース濃度が0.5重量%となるようにイオン交換水で希釈し、ポリビニルアミン系のイオン性高分子凝集剤であるPVAM−0595B(ダイアニトリックス社)をセルロースの総量に対して1.0重量%となるように添加し全体を200Lとし、SDR14型ラボリファイナー(加圧型DISK式)を用いてディスク間のクリアランスを0.5mmとして30分間分散処理を行い、微細セルロース繊維の水分散体を得た。さらに該水分散体をイオン交換水で希釈し、セルロース濃度が0.25重量%とし、攪拌タンク内で30分間、分散させた水分散体210Lを抄紙用の分散液として用いた。
該抄紙用分散体を用い、傾斜角5°に設定された幅0.65mの傾斜ワイヤー型連続抄紙装置(斉藤鉄工所(株)作製)を用いて、ポリマー製の200メッシュのワイヤー(日本フィルコン社製)上に、実施例1にて使用したのと同様のPET/ナイロン製の平織物(NT−20,幅0.76m×長さ100mの巻取り)を濾布として抄紙分散液投入部の手前から連続的に設置し、上記で得た抄紙用分散液を6.24L/minの供給速度で連続的に供給し、抄紙走行速度を3.0m/minとし、でウェットサクション(傾斜部)及びドライサクションを作動させて、連続式抄紙を実施した。抄紙直後に金属ロールによる脱水工程を設け、この工程を経た直後の湿紙のセルロース濃度は12重量%であった。
そのまま湿紙/濾布の2層の状態で大過剰のイソブチルアルコールで満たされた置換槽中に連続的に浸液させ、浸液時間が5分となるように調整し、置換槽から出てきた後に不織布の上部にも濾布を連続的に当てて濾布/不織布/濾布の3層構造とし、しかる後に表面温度が100℃に設定されたドラムドライヤーで乾燥し、乾燥直後に上下の濾布から不織布を剥離させることによりセルロースの連続不織布S4(約100m長)を得た。
S4の目付は8.0g/m、膜厚は32μm、空孔率は84%、通気抵抗度は132
s/100ml、引張り強度は、7.8N/15mmであり、本発明のセルロース不織布であることが確認された。表面のSEM画像の写真の解析により、S4の表面における100nm以下の繊維の占める数分率は、0.91であり、数平均繊維径は46.4nmであった(実施例4)。
次に、S4に対して、実施例2と同様にカレンダー処理を施した。本実施例では上部ロールをコットンロール(D75)とし、下部ロールを樹脂製ロール(D72)として線圧0.5トンで2m/minの走行速度でカレンダー処理を施し、光沢のある白色のセルロース不織布S5を得た。S5の目付は8.0g/m、膜厚は16μm、空孔率は69%であり、通気抵抗度は140s/100ml、引張り強度は、8.9N/15mmであり、S5は本発明のセルロース不織布であることが確認された(実施例5)
(実施例6〜8)
実施例4において、抄紙用分散液を3つの速度、すなわち、3.12L/min、4.68L/min、7.80L/minとする以外は全く同様の条件として3つの連続抄紙を実施し、セルロースの連続不織布S6、S7、S8を得た。
S6の目付は3.9g/m、膜厚は24μm、空孔率は90%、通気抵抗度は58
s/100ml、引張り強度は、3.4N/15mmであり、本発明のセルロース不織布であることが確認された。表面のSEM画像の写真の解析により、S6の表面における100nm以下の繊維の占める数分率は、0.90であり、数平均繊維径は46.8nmであった。
S7の目付は6.0g/m、膜厚は31μm、空孔率は88%、通気抵抗度は100s/100ml、引張り強度は、4.1N/15mmであり、本発明のセルロース不織布であることが確認された。
S8の目付は10.0g/m、膜厚は43μm、空孔率は85%、通気抵抗度は145s/100ml、引張り強度は、8.7N/15mmであり、本発明のセルロース不織布であることが確認された。
(実施例9)
図4として概要を記載した装置によって、以下のように2種類のセルロース繊維による2層化不織布の抄紙を行った。
下地層用原料として、叩解コットンパルプ(東邦特殊パルプ(株))を使用し、該パルプを固形分1.5重量%の水分散体(200L)とし、SDR14型ラボリファイナー(加圧型DISK式)を用い、ディスク間のクリアランスを1mmとして400Lのスラリーに対して、10分間叩解処理を進めた後、引き続いてクリアランスをほとんどゼロに近いレベルにまで低減させた条件下で100分間、叩解処理を続け、CSF値で750↑mlの叩解スラリーを得た。得られた叩解スラリーをイオン交換水で希釈し、固形分0.15重量%の220Lの分散液とし、同じくSDR14型ラボリファイナー(加圧型DISK式)を用い、ディスク間のクリアランスを0.5mmとして30分間処理を行い、下地用抄紙用分散液としてフィード用攪拌タンク内に注入した。一方、上地抄紙用原料として実施例4で得たM2を用いた。
まずM2に対し、セルロース濃度が0.5重量%となるようにイオン交換水で希釈し、
ポリビニルアミン系のイオン性高分子凝集剤であるPVAM−0595B(ダイアニトリックス社)をセルロースの総量に対して1.0重量%となるように添加し全体を200Lとし、SDR14型ラボリファイナー(加圧型DISK式)を用いてディスク間のクリアランスを0.5mmとして30分間分散処理を行い、微細セルロース繊維の水分散体を得た。さらに該水分散体をフィード用攪拌タンク内に移送してイオン交換水で希釈し、セルロース濃度が0.15重量、130Lとし、30分間、分散させた水分散体を上地抄紙用の分散液として用いた。
2層化抄紙は、傾斜角5°に設定され、ポリマー製の200メッシュのワイヤー(日本フィルコン社製)を装着した幅0.65mの傾斜ワイヤー型連続抄紙装置(斉藤鉄工所(株)作製)を用いて行った。図4に示したように、1.8m長のウェットサクションラインの途中に第2層目用の抄紙用分散液のフィードラインを設け、第1層用の分散液のフィードは通常のフィード方法により抄紙を実施した。下地抄紙用(第1層用)分散液を3.90L/min、上地抄紙用(第2層用)分散液を6.50L/minの供給速度でそれぞれ連続的に供給し、抄紙走行速度を3.0m/minとし、でウェットサクション(傾斜部)及びドライサクションを作動させて、連続式抄紙を実施した。ドライサクションの直後に、多孔質ウレタンロールによるプレス処理により、その直前にフィードした実施例1にて使用したのと同様のPET/ナイロン製の平織物(NT−20,幅0.76m×長さ100mの巻取り)を濾布上に湿紙を転写させ、そのまま濾布上で連続的に大過剰のイソブチルアルコールによる溶媒置換処理(浸漬時間:5分)を行った後に置換された湿紙を濾布から剥がして、ドラムドライヤーによる100℃での乾燥を行い、巻き取ることにより、白色のセルロース不織布のロール品(約100m長)S9を得た。
S9の目付は7.9g/m(フィード流量と走行速度から計算される狙い目付は8.0g/m)であり、上記で使用した200メッシュの抄紙用ワイヤーを用いても該ワイヤーで抄紙可能な程度の下地層の存在により、微細セルロース繊維の抄紙が殆ど収率100%近い歩留まりで達成できることが確認された。また、膜厚は36μm、空孔率は86%、通気抵抗度は85s/100ml、引張り強度は、5.6N/15mmであり、本発明のセルロース不織布であった。上地層面のSEM画像の写真の解析により、S9の表面における100nm以下の繊維の占める数分率は、0.91であり、数平均繊維径は46.1nmであった。
(実施例10)
コットンリンター原綿に対し、6%NaOH水溶液中での蒸煮処理(170℃,90分間)及び塩素漂白処理(30℃)を施した後水洗、脱水して得た精製コットンリンターM3(固形分50重量%,重合度;900)を5重量%となるように水に浸液させてオートクレーブ内で130℃,4時間の熱処理を行った。処理後、若干黄色に着色した処理液を除去し、水洗、脱水を2度繰り返し、精製コットンリンター(固形分50重量%,重合度;900)を得た。精製コットンリンターを水(イオン交換水)中に分散させて1.0重量%とし、ビーター(熊谷理機工業株式会社製、23L用装置)による処理を2時間施し、得られた分散体をさらに高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社(伊)製NS3015H)を用いて操作圧力100MPa下で30回の微細化処理を実施した。
次に、このセルロース濃度1.0重量%の分散液をさらに水(イオン交換水)で固形分が0.15重量%となるように希釈し、イオン性化合物未添加で家庭用ミキサーにて10分間の分散処理を行い、得られた分散液500mlを抄紙用分散液として使用した。濾布としてPET製の織物(繊維太さ:約40μm,460メッシュ)を用いること以外は実施例1と同様に抄紙、溶媒置換、乾燥を実施し、白色の地合いの良好なセルロース不織布S10を得た。
S10の目付は11.9g/m、膜厚は46μm、空孔率は87%、通気抵抗度は120s/100mlであり、引張り強度は、7.1N/15mmであり、本発明のセルロース不織布であった。表面のSEM画像の写真の解析により、S10の表面における100nm以下の繊維の占める数分率は、0.91であり、数平均繊維径は87.3nmであった(実施例10)。
(実施例11)
実施例1における分散液M1の調製において、高圧ホモジナイザー処理のパス回数を3回とし、抄紙用の分散液中に炭酸アンモニウムを添加しない以外は抄紙方法、溶剤置換、乾燥の条件も含め、すべて実施例1にならい、白色の地合い良好なセルロース不織布S11を得た。抄紙時の濾水時間は実施例1の場合と比べ、約1.5倍ほど要したものの良好な抄紙を実施することができた。S11の目付は8.0g/m、膜厚は48μm、空孔率は90%、通気抵抗度は128s/100ml、引張り強度は、6.9N/15mmであり、S11は本発明のセルロース不織布であることが確認された。S11の表面の10000倍のSEM画像の写真の解析により、S11の表面における100nm以下の繊維の占める数分率は、0.91であり、数平均繊維径は49.5nmであった(実施例11)。
(比較例1)
実施例1で作製したM1を、セルロース濃度が0.1重量%となるように水(イオン交換水)で希釈して500mlとし、イオン性化合物未添加で家庭用ミキサーを用い、5分間分散して抄紙用分散液を得た。該抄紙用分散液に対しやはり実施例1で使用したPET/ナイロン混紡製の平織物(敷島カンバス社製、NT20)を、以下で使用する角型金属製ワイヤーのサイズ(25cm×25cm)に揃えて裁断したものを濾布として、バッチ式抄紙機を用いて抄紙を行った。同抄紙機に組み込まれている角形金属製ワイヤー上に上述したPET製織物を設置し、その上から抄紙用分散液500gを抄紙機へ注入し、サクション(減圧装置)を作動し、大気圧に対する減圧度を4KPaとして抄紙を実施したところ、10分以上経っても分散液は全く濾過されず、抄紙できないことが明らかとなった。微細セルロース繊維が濾布の目を塞ぎ、抄紙できなくなったものと推定された。
(比較例2)
酢酸菌を培養しバクテリアセルロース(BC)を得た。培養は標準的な条件である、Hestrin−Schramm培地(「セルロース辞典」セルロース学会編集、朝倉書店、2000年発行、p44)を用い、果糖を炭素源としてPH6、温度28℃で8日間、内径10cmのシャーレ内での静置培養を行った。得られた厚みが約2mmの半透明ゲル状物を、オートクレーブ装置を用い、2重量%の水酸化ナトリウム水溶液に浸液させた状態で、120℃で1時間の溶菌処理を行った。
さらに得られたウェット状のゲルを水洗した後、再度、先と同じ条件でオートクレーブによる溶菌処理を行い、ウェット状のゲル状シートを得た。このゲルを十分な量の4℃の冷水中に浸液させ2時間静置した後、ゲルを濾紙に挟んで圧搾した。冷水浸液及び圧搾の工程を同じ条件でさらに4度繰り返し、圧搾したゲル状の静置培養BC膜を得た。該静置培養BC膜を裁断して、水を加え、固形分0.1重量%とし、イオン性化合物未添加で家庭用ミキサーで10分間、分散させ、白色半透明の抄紙用分散液を調製した。該抄紙用分散液500mlを用い、実施例1と全く同じ要領で抄紙、溶媒置換、乾燥を実施し、白色で地合いがやや悪いセルロース不織布R2を得た。R2の目付は7.9g/m、膜厚は42μm、空孔率は88%、通気抵抗度は78s/100mlであるが、引張り強度は、1.9N/15mmであり、本発明のセルロース不織布と比較して低強度のものであった。表面のSEM画像の写真の解析により、R2の表面における100nm以下の繊維の占める数分率は、0.94であり、数平均繊維径は67.2nmであった。
(比較例3)
実施例10で得た精製コットンリンターM3を水(イオン交換水)中に分散させて1.0重量%とし、ビーター(熊谷理機工業株式会社製、23L用装置)による処理を2時間施し、得られた分散体をさらに高圧ホモジナイザー(ニロ・ソアビ社(伊)製NS3015H)を用いて操作圧力100MPa下で20回の微細化処理を実施した。
次に、このセルロース濃度1.0重量%の分散液をさらに水(イオン交換水)で固形分が0.10重量%となるように希釈し、イオン性化合物未添加で家庭用ミキサーにて10分間の分散処理を行い、得られた分散液500mlを抄紙用分散液として使用した。濾布としてPET製の織物(繊維太さ:約40μm,460メッシュ)を用いること以外は実施例1と同様に抄紙、溶媒置換、乾燥を実施し、白色の地合いの良好なセルロース不織布R3を得た。
R3の目付は8.0g/m、膜厚は38μm、空孔率は87%、通気抵抗度は88s
/100mlであるが、引張り強度は、2.1N/15mmであり、本発明のセルロース不織布とは言えない低強度のものであった。表面のSEM画像の写真の解析により、R3の表面における100nm以下の繊維の占める数分率は、0.84であり、数平均繊維径は95.3nmであった。
(実施例12,13)
実施例1および実施例2でそれぞれ得たS1およびS2のバブルポイント法による最大孔径D(μm)を、バブルポイント法(H. Bechbhold, Z.Physik., Chem.,64, 328 (1908
))に基づき、湿潤液体として住友スリーエム(株)製のパーフルオロカーボンクーラント,FX−3250(表面張力γ=12mN/m)を使用して、湿潤曲線について印可圧力及び空気透過量の測定を昇圧モードで行い、得られた湿潤曲線における最初のバブルが発生した圧力P(Pa)から、次式により求めた。
D=2860×γ/P
その結果、S1の最大孔径は、0.13μm、S2の最大孔径は0.085μmであり、不織布としては極めて小さな最大孔径を有する材料であり、蓄電デバイス用セパレータとして使用する場合には、高い耐ショート性が期待されることが示された(実施例12)。
一方で、蓄電デバイス用のセパレータとして使用する際に、こうした小さな孔径を有するにも関わらず、電解液の含浸性に優れるか否かを調べるために、S1およびS2を各々、1cm×5cmの長方形に切り取り、電気2重層キャパシターの電解液溶媒として使われることの多い、プロピレンカーボネート50mlの入った透明ガラスサンプル管中へ浸漬させた。その結果、S1,S2共に、浸漬後、瞬時(ほぼ3秒以内)に透明化し、これらのサンプルが、極めて媒体の含浸性に優れた材料であることが示された。さらに、媒体の含浸量を、3分間媒体中に浸液させた後に不織布を取り出して、セルロース製不織布ワイパーで両面を挟んだうえ、軽く押さえつけて余分な媒体を除去し、含浸前のサンプル重量に対する含浸不織布の重量増分率(重量%)として評価したところ、S1が425重量%、S2が390重量%であり、不織布内部にかなりの量の媒体が含浸されており、共に含浸性に優れた材料であることが示された(実施例13)。
本発明によって提供される低目付のセルロース不織布は、各種キャパシターや電池等の蓄電デバイス用のセパレータ、機能性フィルター、あるいは医療用分離フィルター等として用いることができる。また、これらに限定されず、生活製品用高機能紙さらには各種樹脂と複合化させることにより低線膨張性の光学材料や電子材料基板として利用することもできる。
実施例1にてアバカA’パルプから得た微細セルロース繊維により作製した不織布サンプル(S1)の表面のSEM画像(倍率:10000倍,右下目盛の1目盛が0.5μmに相当)。 実施例3にてアバカA’パルプから得た2種類の微細度の異なるセルロース繊維の混合物から作製した不織布サンプル(S3)の表面のSEM画像(倍率:10000倍,右下目盛の1目盛が0.5μmに相当)。 本発明のセルロース不織布を連続的に製膜する製膜工程の一例としての説明図。 実施例9で実施した2層化セルロース不織布を連続的に製膜する製造工程の説明図。

Claims (29)

  1. 目付が3g/m以上12g/m以下、かつ通気抵抗度が10s/100ml以上600s/100ml以下の範囲にあり、さらに引張り強度が3N/15mm以上20N/15mm以下の範囲にあることを特徴とするセルロース不織布。
  2. 目付が3g/m以上10g/m以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載のセルロース不織布。
  3. 目付が5g/m以上9g/m以下、かつ通気抵抗度が20s/100ml以上300s/100ml以下の範囲にあり、さらに引張り強度が4N/15mm以上15N/15mm以下の範囲にあることを特徴とする請求項2に記載のセルロース不織布。
  4. 膜厚が3μm以上70μm以下、かつ空孔率が30%以上93%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセルロース不織布。
  5. 膜厚が3μm以上60μm以下である請求項4に記載のセルロース不織布。
  6. 膜厚が3μm以上20μm以下、かつ空孔率が40%以上85%以下である請求項5に記載のセルロース不織布。
  7. 目付x(g/m)における引張り強度をy(N/15mm)としたとき、xとyとの間に、
    y ≧ 0.938x−0.752
    の関係が成立していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のセルロース不織布。
  8. 少なくとも片方の面の表面層の10000倍以上30000倍以下の拡大倍率の走査型電子顕微鏡写真において、100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率が0.70以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のセルロース不織布。
  9. 少なくとも片方の面の表面層の10000倍以上30000倍以下の拡大倍率の走査型電子顕微鏡写真において、100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率が0.90以上であることを特徴とする請求項8に記載のセルロース不織布。
  10. 少なくとも片方の面の表面層を構成する繊維の数平均繊維径が2nm以上150nm以下の範囲にある微細セルロース繊維であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のセルロース不織布。
  11. 少なくとも片方の面の表面層を構成する繊維が、麻由来パルプ,バガス由来パルプ,ケナフ由来パルプ,及び竹由来パルプからなる群から選択された少なくとも一種を微細化することにより得られた微細セルロース繊維であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のセルロース不織布。
  12. 少なくとも片方の面の表面層を構成する繊維が、コットン由来パルプを微細化することにより得られた微細セルロース繊維であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のセルロース不織布。
  13. 表面層と裏面層の各々の表面の繊維交絡構造が同一であることを特徴とする対称型構造を有する請求項1〜12のいずれか1項に記載のセルロース不織布。
  14. 表面層と裏面層の各々の表面の繊維交絡構造が異なることを特徴とする非対称型多層構造を有する請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載のセルロース不織布。
  15. 請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載のセルロース不織布をロール状に10m以上の長さに巻き取った長尺状のセルロース不織布。
  16. イオン性化合物が溶解した水溶液またはイオン性化合物が溶解した水と有機溶媒との混合溶液のいずれかである溶液中に、100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率が0.7以上である微細セルロース繊維が0.05重量%以上0.5重量%以下の濃度となるように分散させた分散液を原料として抄紙法により湿紙を製膜する抄紙工程、湿紙の固形分率を6重量%以上30重量%以下の範囲に調製する脱水工程、該溶液を有機溶媒または水と有機溶媒との混合溶媒のいずれかである溶媒と置換する置換工程、湿紙を乾燥させる乾燥工程からなることを特徴とする請求項1〜13および請求項15のいずれか1項に記載のセルロース不織布の製造方法。
  17. イオン性化合物が溶解した水溶液またはイオン性化合物が溶解した水と有機溶媒の混合溶液のいずれかである溶液中に、100nm以下の繊維径の繊維の占める数分率が0.7以上である微細セルロース繊維が0.05重量%以上0.5重量%以下の濃度となるように分散させた分散液を原料として、目付が2g/m以上7g/m以下の乾燥不織布または乾燥時の目付が2g/m以上7g/m以下に該当する湿紙上で抄紙法により多層構造の湿紙を製膜する抄紙工程、湿紙の固形分率を6重量%以上30重量%以下の範囲に調製する脱水工程、該溶液を有機溶媒または水と有機溶媒との混合溶媒のいずれかである溶媒に置換する置換工程、湿紙を乾燥させる乾燥工程からなることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のセルロース不織布の製造方法。
  18. 微細セルロース繊維の数平均繊維径が2nm以上150nm以下の範囲であることを特徴とする請求項16〜17のいずれか1項に記載のセルロース不織布の製造方法。
  19. 抄紙工程の前に、原料セルロース繊維を水または水と有機溶媒の混合溶媒に分散させた後、叩解処理を行う叩解工程を有する、または、該叩解工程、及び高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、グラインダー型微細化装置の中の少なくとも一つを用いて叩解処理後のセルロース繊維をさらに微細化させる微細化工程を有することを特徴とする請求項16〜18のいずれか1項に記載のセルロース不織布の製造方法。
  20. 叩解工程で使用する原料となるセルロース繊維が麻由来パルプ、バガス由来パルプ、ケナフ由来パルプ、及び竹由来パルプからなる群から選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項19に記載のセルロース不織布の製造方法。
  21. 叩解工程で使用する原料となるセルロース繊維がコットン由来パルプであることを特徴とする請求項19に記載のセルロース不織布の製造方法。
  22. 抄紙工程で使用する目付が2g/m以上7g/m以下の乾燥不織布または乾燥時の目付が2g/m以上7g/m以下に該当する湿紙が叩解された微細セルロース繊維からなることを特徴とする請求項17〜21のいずれか1項に記載のセルロース不織布の製造方法。
  23. 抄紙工程で使用する分散液が、イオン性化合物濃度が0.0001重量%以上2重量%以下の範囲であることを特徴とする請求項16〜22のいずれか1項に記載のセルロース不織布の製造方法。
  24. 置換工程で使用する有機溶媒がアルコール,ケトン,エーテル,芳香族化合物,炭化水素,環状炭化水素,及び環状炭化水素誘導体からなる群から選ばれる少なくともいずれか一つであることを特徴とする請求項16〜23のいずれか1項に記載のセルロース不織布の製造方法。
  25. 乾燥工程の後に、乾燥後に得られたセルロース不織布にカレンダー装置によって平滑化処理を施す平滑化工程を有することを特徴とする請求項16〜24のいずれか1項に記載のセルロース不織布の製造方法。
  26. 請求項1〜15のいずれか1項に記載のセルロース不織布からなる蓄電デバイス用セパレータ。
  27. 蓄電デバイスがアルミ電解コンデンサ、電気2重層キャパシタ、リチウム系大容量キャパシタ、及びリチウムイオン2次電池からなる群から選択されるいずれかである請求項26に記載の蓄電デバイス用セパレータ。
  28. 請求項1〜15のいずれか1項に記載のセルロース不織布からなる機能性フィルター。
  29. 請求項1〜15のいずれか1項に記載のセルロース不織布からなる医療用分離フィルター。
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