JP6481330B2 - アルカリ水電気分解隔膜用基材 - Google Patents

アルカリ水電気分解隔膜用基材 Download PDF

Info

Publication number
JP6481330B2
JP6481330B2 JP2014222038A JP2014222038A JP6481330B2 JP 6481330 B2 JP6481330 B2 JP 6481330B2 JP 2014222038 A JP2014222038 A JP 2014222038A JP 2014222038 A JP2014222038 A JP 2014222038A JP 6481330 B2 JP6481330 B2 JP 6481330B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
polyphenylene sulfide
base material
nonwoven fabric
alkaline water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014222038A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016089197A (ja
Inventor
木村 孝
孝 木村
弘至 土倉
弘至 土倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP2014222038A priority Critical patent/JP6481330B2/ja
Publication of JP2016089197A publication Critical patent/JP2016089197A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6481330B2 publication Critical patent/JP6481330B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Artificial Filaments (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Description

本発明は、アルカリ水電気分解隔膜用基材に関する。
水素は、石油精製、化学合成材料、金属精製等、工業的に広く利用されている。また、近年は、家庭用コージェネレーションシステムや燃料電池自動車用としての高純度の水素に注目が集まっている。
水素の工業的な製造方法の一つとして水の電気分解があり、これは化石燃料を改質する水素の製造方法に比べて、高純度の水素が得られる利点がある。水を電気分解する場合には、一般的に電解液の導電性を高めるために、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等を電解質として水に添加して、直流電流を両極間に印加することにより行われている。
電気分解を行うための電解槽は、隔膜を介して陽極室と陰極室に仕切られ、陽極室では酸素が生成され、陰極室では水素が生成される。隔膜には、この酸素ガスと水素ガスを遮断して混合しないように、ガス遮断性が求められる。また、水の電気分解において電子を運ぶ媒体はイオンであり、電気分解を効率よく行うためには、隔膜に高いイオン透過性も求められる。
このようなガス遮断性とイオン透過性を備えた隔膜として、有機材料からなる多孔質構造を有する隔膜が提案されている。例えば、特許文献1には、ポリプロピレンのメッシュと、ポリスルホン樹脂の多孔質膜を積層した、アルカリ水電解用隔膜が開示されている。
また、特許文献2には、ポリフェニレンサルファイド繊維からなる多孔性支持体と、有機高分子樹脂の微多孔膜とを備えた、アルカリ水電解用隔膜が開示されている。
特開2011−117056号公報 特開2014−129563号公報
しかし、特許文献1、2に記載のものでは、必ずしもガス遮断性とイオン透過性が十分とはいえなかった。
本発明は、このような従来のアルカリ水電気分解用隔膜の有する課題に鑑みてなされたものであって、ガス遮断性と高いイオン透過性を備えたアルカリ水電気分解隔膜用基材を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するために、次のような手段を採用する。
(1)平均単繊維繊度が0.1〜10dtexであって、捲縮数が2〜10山/25mmの熱可塑性繊維で構成されるアルカリ水電気分解隔膜用基材。
(2)前記熱可塑性繊維で構成される基材が、目付が15〜100g/mであって、通気度が5〜200cc/cm/秒の不織布を含む(1)に記載のアルカリ水電気分解隔膜用基材。
(3)前記熱可塑性繊維がポリフェニレンサルファイド繊維(PPS)を含むものである(1)または(2)に記載のアルカリ水電気分解隔膜用基材。
(4)前記ポリフェニレンサルファイド繊維が、10〜90重量%の未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維を含んでいる(3)に記載のアルカリ水電気分解隔膜用基材。
(5)前記未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維と、当該未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維に接する延伸ポリフェニレンサルファイド繊維とが融着している(4)に記載のアルカリ水電気分解隔膜用基材。
(6)少なくともその表面が親水性処理された湿式不織布である(2)ないし(5)のいずれかに記載のアルカリ水電気分解隔膜用基材。
(7)湿式不織布を構成するポリフェニレンサルファイド繊維の表面に酸素含有基または成分を有し、該酸素含有量が、ESCAで測定して求められるO1s/C1sの原子数比(炭素原子1モルに対する酸素原子のモル比)が0.03以上である(6)に記載のアルカリ水電気分解隔膜用基材。
本発明のアルカリ水電気分解隔膜用基材は、上記の構成を備えることにより、ガス遮断性と高いイオン透過性を備えている。
本発明者は、常用使用温度が90℃以上の温度に耐えるとともに耐アルカリ性を備えており、平均単繊維繊度が0.1〜10dtexであって、捲縮数が2〜10山/25mmの熱可塑性繊維からなるアルカリ水電気分解隔膜用基材を備えることにより、上記課題を解決できることを見出したのである。
《熱可塑性繊維》
本発明で用いる熱可塑性繊維としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル系ポリマー、ポリアセタール、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリエステル、ポリアミド、ポリケトン等の熱可塑性樹脂で構成される繊維を挙げることができる。これらは単独で使用しても、2種類以上を同時に使用してもよい。なかでも耐薬品性能の点から好ましい熱可塑性繊維は、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド等で構成される繊維であり、なかでもアルカリ水に対する耐性が優れる素材で構成される繊維が好ましく、特にポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンスルフィドスルホン、ポリフェニレンスルフィドケトン等フェニレンスルフィド単位を有する重合体で構成される繊維が好ましい。繊維がフェニレンサルファイド単位を有する樹脂で構成される場合、高温、高濃度のアルカリ溶液に対しても優れた耐性を示すことで装置の高効率化が可能であり、水の電気分解時に陽極から発生する活性酸素についても化学的な安定性を示す。かかる観点で最も好ましいのはポリフェニレンサルファイド繊維である。
本発明において平均単繊維繊度が0.1dtex未満の熱可塑性繊維は繊維が細いためシートの強度が得られず、装置への組み付け工程の問題がある。一方、平均単繊維繊度が10dtexを超える繊維はシートに粗大孔が発生しガス遮断性が悪化することや、高分子樹脂層を形成した際に樹脂の噛み込み性が悪く、耐久性が問題となる。そこで、熱可塑性繊維の平均単繊維繊度は0.1〜10dtexであることが好ましい。より好ましくは0.5〜8dtexである。
また、捲縮数が2山/25mm未満の熱可塑性繊維は繊維間の接触面積が大きくなるため、疑似接着を起こし、分散性不良を起こしやすく、シートに粗大孔が発生する。また、捲縮数が10山/25mmを超えると、繊維間が絡合しやすく、抄紙工程において分散性不良を起こす。捲縮数の好ましい範囲は2〜10山/25mmであり、より好ましくは4〜8山/25mmである。
《ポリフェニレンサルファイド繊維》
本発明で用いられるポリフェニレンサルファイド繊維を構成するポリフェニレンサルファイドは、ポリマー構成単位として、−(C−S)−を主な単位とする重合体であり、p−フェニレン単位の他、フェニレンスルフィドスルホン単位、フェニレンスルフィドケトン単位を含んでいてもよく、これらのランダム共重合体、ブロック共重合体及びそれらの混合物であってよい。ポリフェニレンサルファイドとしては、p−フェニレン単位を、90モル%以上含有することが好ましい。
《基材》
本発明の基材は、上記繊度及び捲縮数を有する熱可塑性繊維で構成されるものであるが、その形態としては、例えば、織布、不織布、ネット、メッシュ等のシート状物が挙げられる。ガス遮断性とイオン透過性を両立するためには、シート状物が緻密かつ均一な空隙形状を有することが好ましい。この観点から本発明の基材としては不織布が特に適している。
また、シート状物には本発明の効果を損なわない限り、上記繊度及び捲縮数を有する熱可塑性繊維以外にその他の繊維を含んでいてもよい。その他の繊維としては、無機繊維、再生繊維、半合成繊維等の非熱可塑性繊維、繊度及び捲縮数のいずれか、あるいはいずれもが上記範囲を外れる熱可塑性繊維(以下、その他の繊維という)等が挙げられる。上記非熱可塑性繊維としては、ガラス繊維、ロックウール、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維、銅アンモニアレーヨン、ビスコースレーヨン、木材セルロース、アセテート、トリアセテートが挙げられ、なかでも木材セルロースか好ましく挙げられる。このような非熱可塑性繊維の繊度は、平均単繊維繊度が0.1〜10dtexであることが好ましく、0.5〜8dtexであることがより好ましい。また、非熱可塑性繊維は捲縮糸であってもよく、その場合の捲縮数は2〜10山/25mmであることが好ましく、4〜8山/25mmであることが好ましい。
熱可塑性繊維及びその他の繊維の繊維長としても特に制限はないが、2〜38mmであることが好ましく、4〜25mmであることがより好ましい。
これらその他の繊維の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、シート状物を構成する原料繊維中の量で50重量%以下であることが好ましく、より好ましくは30重量%以下であり、さらには10重量%以下であることが好ましい。
上記本発明で好ましく用いられる不織布は、目付が15〜100g/m、通気度が5〜200cc/cm/秒であることが好ましい。目付が低いほど通気度は高く、目付が高いほど通気度は低くなるが、同じ目付であっても不織布の加熱・加圧工程により通気度は大きく変化し、不織布の性質が大きく異なるため、目付及び通気度のどちらも上記範囲であることが好ましい。
目付が15g/m以上の不織布は単位面積当たりの繊維量が十分であり、粗大孔の発生が抑制されるためガス遮断性に特に優れ、有機高分子樹脂層を形成する場合に樹脂抜けの問題発生も抑制される。一方、目付が100g/m以下である不織布はイオン透過性にも優れる。そこで、不織布の目付は15〜100g/mであることがより好ましい。
通気度が5cc/cm/秒以上の不織布はイオン透過性に優れ、一方、通気度が200cc/cm/秒以下の不織布は粗大孔の発生が十分抑制されるためガス遮断性に優れ、有機高分子樹脂層を形成する場合に樹脂抜けの問題発生も抑制される。さらに好ましくは、不織布の通気度は20〜150cc/cm/秒である。
本発明で好ましく用いられる不織布としては、サーマルボンド、ニードルパンチ、抄紙法等の短繊維不織布が挙げられる。繊維の分散性の点から抄紙法による湿式不織布が好ましい。湿式不織布とする場合、用いる繊維の繊維長は、2〜38mmの範囲にあることが好ましい。繊維長が2〜38mmの範囲であると、抄紙用の原液に均一に分散させやすく、抄紙直後の濡れた状態(湿紙)で乾燥工程を通過させるのに必要な引張強力を有するとともに、厚みの均一性に優れることで高分子樹脂層を均一に形成しやすく、隔膜としての性能安定性に優れる。より好ましくは、湿式不織布の繊維長は、4〜25mmである。なお繊維長が短い場合に、捲縮数が少ないと、用いる短繊維に捲縮が入りにくくなるので、繊維長(mm)は下記式(1)を満たすことが好ましく、下記式(2)を満たすことがより好ましい。
繊維長≧13/捲縮数(山/25mm) 式(1)
繊維長≧25/捲縮数(山/25mm) 式(2)
本発明において、熱可塑性繊維で構成される基材は、バインダー成分を含むことが好ましい。融点の異なる熱可塑性繊維を用いる場合、融点の低い側の繊維がバインダー成分としての機能を果たす。また、同じ熱可塑性繊維であっても延伸部分と未延伸部分を有する場合、未延伸部分がバインダー成分としての機能を果たす。このとき融点の高い側の繊維と、同じ熱可塑性繊維である場合の延伸糸部分は、基材において骨材の機能を果たす。
本発明で用いられる熱可塑性繊維の製造方法は、上記の熱可塑性樹脂をその融点以上の温度で溶融し、紡糸口金から紡出することにより、繊維状とする方法が好ましい。紡出された繊維をそのまま巻取ることで、大部分が非晶構造の未延伸繊維が得られる。未延伸繊維は、熱を加えることで繊維同士を接着させるバインダーとして機能する。一方、このような未延伸の繊維は熱による寸法安定性が乏しいので、紡出に続いて熱延伸して配向させ、繊維の強力と熱寸法安定性を向上させた延伸繊維とする。本発明においては延伸糸と未延伸糸を併用し、延伸繊維に未延伸繊維を融着させることで強度を向上させることができる。
また、融点の異なる繊維を組み合わせ、融点の低い繊維をその繊維の融点以上に加熱することにより、融点の低い繊維を、融点の高い繊維を融着するバインダーとして機能させることもできる。
本発明で用いる熱可塑性繊維としては、耐熱性と耐アルカリ性の点からポリフェニレンサルファイド繊維が特に好ましく、紡出されたポリフェニレンサルファイド繊維をそのまま巻取ることで得られる未延伸のポリフェニレンサルファイド繊維と、紡出に続いて熱延伸して配向させることで得られる延伸糸を併用することが特に好ましい。
ポリフェニレンサルファイド繊維の一部に未延伸のポリフェニレンサルファイド繊維を含み、未延伸のポリフェニレンサルファイド繊維と延伸ポリフェニレンサルファイド繊維とが融着して不織布を構成することがポリフェニレンサルファイドの耐熱性および耐アルカリ性を最大限に活用できるため好ましい。ポリフェニレンサルファイド繊維の一部に未延伸のポリフェニレンサルファイド繊維を用いて加熱することで、不織布を構成する未延伸のポリフェニレンサルファイド繊維と延伸ポリフェニレンサルファイド繊維とを強固に接着させることが可能となり、不織布の引張破断強度を向上できるので好ましい。
さらにまた、融着部分は一般的には2本の平滑ロールによって不織布を加熱・加圧させることにより形成される。本発明のように、未延伸のポリフェニレンサルファイド繊維等の熱可塑性繊維が融着して不織布を構成している場合、ポリフェニレンサルファイド繊維等の熱可塑性繊維の一部が隣接する繊維に融着するが、構成する繊維が適度な捲縮数を有しているため、適度な通気性を付与することができる。通気性の程度は、溶融の程度や融着時の圧力を大きくして、未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維等の未延伸熱可塑性繊維の面積(圧力をかける方向からみた投影面積)を大きくすることで通気度を下げることができる。また、未延伸熱可塑性繊維の面積(圧力をかける方向からみた投影面積)を比較的小さくすることで、通気度を上げることができる。このように、加熱・加圧条件を調整することによっても、基材の通気度をある程度制御することが可能である。基材が適度な通気性を有すれば、基材に高分子樹脂層を形成する場合、当該高分子樹脂が繊維間に適度に噛み込むことができ、それにより隔膜の強度をより好ましい範囲にすることが可能となる。
本発明の基材におけるバインダー成分(例えば、基材を構成する繊維がポリフェニレンサルファイド繊維である場合は未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維)は全繊維中(例えば、基材を構成する繊維がポリフェニレンサルファイド繊維である場合はポリフェニレンサルファイド繊維中)に10〜90重量%であることが好ましい。バインダー成分が10重量%以上であることで、十分な強度を得ることができる。その点で、バインダー成分は30重量%以上であることがより好ましい。一方、バインダー成分が90重量%以下であることで、抄紙時に収縮しすぎることもなく、良好な品位の不織布が得られる点で好ましい。その点で、バインダー成分が60重量%以下であることがより好ましい。
本発明で好ましく用いられる、基材を構成するシート状物の厚みは、特に限定するものではないが、25〜200μmであることが好ましい。基材の厚みが25μm以上であれば、芯材として十分な強度を発揮することができ、200μm以下であれば、電解槽に設置する際、ガスケットでアルカリ水電解用隔膜を好適に挟み込むことができ、アルカリ水電解用隔膜の厚み方向部分からの液漏れを防ぐことができる。より好ましくは、基材を構成するシート状物の厚みは50〜150mmの範囲である。
本発明で好ましく用いられる湿式不織布は以下のようにして製造することが可能である。原料となる繊維を水に分散し、必要に応じて分散液や消泡剤等を加えた抄紙原液を調製する。その後に、抄紙原液を抄紙機に通じて漉き上げて抄紙とする。抄紙機は、一般的な構造のものであれば採用することができる。抄紙機としては、円網、長網および短網のいずれでもよい。各方式で得られた湿紙をベルト上に転写し、水を絞りつつ抄紙機とそれに付属するドライヤーパートを用いることができる。ドライヤーパートにおいては、ベルト上に転写した湿紙を2つのベルト間に挟んで水を絞り、回転ドラムにて乾燥する工程や多筒式ドライヤーにて乾燥する工程を用いることができる。乾燥温度は、90〜120℃とすることが好ましい。なぜなら、この温度範囲であると、水分を効率よく除去でき、かつ未延伸のポリフェニレンサルファイド繊維に含まれる非晶成分が軟化せずに残留し、後に続くカレンダー装置での加熱・加圧によって融着が十分に発生するからである。
本発明においては上記のように水分を乾燥除去した後にカレンダー装置で加熱・加圧処理を行なう。加圧・加熱条件を適正化して融着部分の状態を制御することで不織布強度およびガス遮断性を高くすることが出来る。一方で繊維間の空隙を適度に残すことによってイオンの透過性が良好となり、また有機高分子樹脂層を形成する場合に樹脂が噛み込み易くなる。
カレンダー装置でのロール間の圧力については100〜8000N/cmの線圧範囲が好ましく採用できる。100〜8000N/cmの線圧を採用することで、未延伸のポリフェニレンサルファイド繊維が十分に融着して不織布の強力を発現することが可能となる。
本発明の基材にポリフェニレンサルファイド繊維を用いる場合、基材を構成するポリフェニレンサルファイド繊維の表面に酸素含有基または成分を有することが好ましい。その 酸素含有量をESCAで測定して求められるO1s/C1sの原子数比(炭素原子1モルに対する酸素原子のモル比)が0.03以上であることにより、電気分解時に発生したガスが気泡として不織布の表面に付着しにくく、イオン透過を阻害しないとともに、有機高分子樹脂層を形成させた場合には樹脂との接合性を高め、耐久性や組み付け時の安定性を向上することができる。より好ましくは、上記O1s/C1sの原子数比は0.05〜0.30である。特に、目付が100g/m以上の場合は、気密性が高くイオン透過性が下がる傾向にあるため、後記の方法により親水性処理を施すことで、ガスが気泡として不織布の表面に付着しにくくなり、イオン透過性が向上するため好ましい。
基材の表面に上記の酸素含有基または成分を有するようにするには、親水性処理をすることが好ましい。親水性処理の方法としては、親水性樹脂を付着させる方法、コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を行う方法がある。
付着させる親水性樹脂としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などの界面活性剤、親水化ポリプロピレン、ポリビニルアルコールなどの樹脂があげられる。コロナ処理、プラズマ処理などの表面処理を行って表面に−CO、−C=O、−COOH、−SOxといった適切な酸素含有基を導入することで親水性を付与することができる。プラズマ処理は、処理ガスの選択により、ポリマー表面に導入される官能基の種類とその量を制御することができる点から、コロナ処理よりも好適である。プラズマ処理で選択できるガスの一例として、酸素ガス、酸素化合物ガス、アルゴンガス、アンモニアガス、ニトロ化合物ガス、またこれらの混合ガスなどが挙げられ、適宜選択して用いることができる。
かかるプラズマ処理の真空度は、0.01〜0.2kPaの範囲が好ましい。0.01kPaより低いと処理物が着色したり、また、0.2kPaを超えると活性化粒子の平均自由行程距離が長くなり反応性が低下したりする傾向があり好ましくない。プラズマ処理の放電電力は、4〜17W/cm(放電電極面積)が好ましい。すなわち、4W/cmより放電電力が小さいと反応に長時間を要し、また17W/cmを超えると処理物が着色したり、分解反応が起こったりする傾向があるので好ましくない。
また、プラズマ処理装置としては、真空容器内に電極を設置する内部電極方式、電極を真空容器の外側に設置する外部電極方式があるが、どちらの方式でも本発明に使用することができる。内部電極方式の場合においては、電極の形状は、平板状、棒状、さらにはこれを目的に応じて組み合わせたりして使用することができるが、いずれにしても放電電極として金属棒の表面にガラス、ゴム、セラミックのごとき誘電体を0.1〜5mmの厚さで被覆したものを使用するのが好ましい。またアース電極としては、金属、例えばステンレス製の板あるいはドラム状のものを使用することが放電の均一性、処理効率の点で好ましい。電極間の距離は好ましくは0.5〜10cm、さらに好ましくは2〜6cmとするのが、放電に斑がなく均一に処理できるのでよい。電極は必要に応じて水などで冷却するのが好ましい。また、かかるプラズマ処理の時間は、好ましくは数秒から数分の範囲で行う。
《有機高分子樹脂》
本発明において、上記アルカリ水電気分解隔膜用基材はさらに、有機高分子樹脂層を備えることが好ましい。
有機高分子樹脂としては、例えば、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリビニリデンフロライド、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等を挙げることができる。これらは単独で使用しても、2種類以上を同時に使用してもよい。
有機高分子樹脂層は、基材の両面に形成してもよいし、基材のいずれか一方の面に配置してもよいが、ガス遮断性をより高めるためには、基材の両面に有機高分子樹脂層を形成するのが好ましい。いずれか一方の有機高分子樹脂層が損傷した場合においても、片方の有機高分子樹脂層でガス遮断性を確保することができるからである。
有機高分子樹脂としては、上記のなかでもポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホンが好ましく、ポリフェニルスルホンがより好ましい。ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホンであれば、構造内に分解されやすいエステルやアミドなどを有していないため、化学的な安定性を発揮し、高温、高濃度のアルカリ溶液に対しても優れた耐性を示す。
このようなポリスルホンとしては、例えば、BASF社の「Ultrason S PSU(登録商標)」、ソルベイアドバンストポリマーズ株式会社の「ユーデル(登録商標)」等が挙げられ、ポリエーテルスルホンとしては、例えば、BASF社の「Ultrason E PES(登録商標)」、ソルベイアドバンストポリマーズ株式会社の「レーデル A(登録商標)」等が挙げられ、ポリフェニルスルホンとしては、例えば、BASF社の「Ultrason P PPSU(登録商標)」、ソルベイアドバンストポリマーズ株式会社の「レーデル R(登録商標)」等が挙げられる。
基材層と合わせた有機高分子樹脂層の厚みは、特に限定するものではないが、50〜500μmが好ましく、100〜300μmがより好ましい。基材層と合わせた有機高分子樹脂層の厚みが、50μm以上であれば、十分なガス遮断性が得られ、また、多少の衝撃で有機高分子樹脂層が破れ、不織布が露出することがない。基材層と合わせた有機高分子樹脂層の厚みが500μm以下であれば、有機高分子樹脂の孔内に含まれる溶液の抵抗によりイオンの透過性を阻害することがなく、良好なイオン透過性を有する。
本実施形態における高分子樹脂層の形成方法は、下記の(1)〜(4)の工程をこの順で備える。
(1)有機高分子樹脂と、有機高分子樹脂の溶媒とを含有する溶液を調製する工程
(2)上記溶液を基材に塗工し、基材上に塗膜を形成する工程
(3)上記塗膜の基材とは反対側の表面を、水分を含む気体に晒し、水分を塗膜の厚み方向の中間の位置まで浸透させる工程
(4)基材の塗膜を、有機高分子樹脂の非溶媒を含む凝固浴に浸漬させ、微多孔膜を形成する工程
有機高分子樹脂の溶媒は、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N、N−ジメチルアセトアミド、N、N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキシド等が用いられる。これらの溶媒を単独、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。
有機高分子樹脂の非溶媒は、有機高分子樹脂を実質的に溶解しない溶媒であり、例えば、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール等から選ばれる。
有機高分子樹脂、必要に応じて添加される添加剤およびそれらの溶媒を含有する溶液中における有機高分子樹脂の濃度は、10重量%〜50重量%が好ましい。有機高分子樹脂の含有率が10重量%未満であると、有機高分子樹脂膜の強度が不十分となる。有機高分子樹脂の含有率が50重量%を超えると、溶液の粘度が高くなり過ぎ、均一な厚みに制御することが困難になる。
有機高分子樹脂と該溶媒、また必要あれば添加剤を含む溶液を調製する方法としては、特に限定されず公知の方法により行うことができる。有機高分子樹脂、添加剤、及びそれらの溶媒を含有する溶液を基材に塗工する方法は、特に限定するものではないが、例えば、基材上に溶液を供給した後、コーターを用いて、目的とした塗工量以外の部分を掻き取る方法、溶液に基材を浸漬させた後、目的とした塗工量以外の部分をロールで絞り取る方法、溶液に基材を浸漬させた後、目的とした塗工量以外の部分をコーターで掻き取る方法などが挙げられる。上記した高分子樹脂層の形成方法における、基材の塗膜を、有機高分子樹脂の非溶媒を含む凝固浴に浸漬させ、微多孔膜を形成する工程において、凝固浴は非溶媒以外に、有機高分子樹脂の溶媒を加えることにより、相分離速度を制御して、微多孔膜における平均孔径を全体的に制御することができる。有機高分子樹脂の膜は製膜後に熱処理することが好ましく、熱処理を行うと、有機高分子樹脂の高分子鎖を結晶化または固定化し、有機高分子樹脂膜の構造を安定化することができる。熱処理の方法としては、有機高分子樹脂膜を湯浴に浸漬させる方法、高温の金属板で有機高分子樹脂膜を挟み、プレスする方法などが挙げられる。
(電解装置)
本発明におけるアルカリ水電解装置は、アルカリ水電解用隔膜、陽極及び陰極を備えたものである。アルカリ水電解装置の内部は、アルカリ水電解用隔膜を介して、陽極が備えられている陽極室と、陰極が備えられている陰極室に仕切られ、それぞれの電極で発生した酸素ガスと水素ガスがアルカリ水電解用隔膜に遮断されて混合しないよう構成されている。
(電解方法)
アルカリ水電解装置を使用して行うアルカリ水電解の方法は、アルカリ水電解装置の内部をアルカリ溶液で満たし、陽極と陰極の間に直流電流を印加して行うものとする。アルカリ溶液としては、例えば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムの水溶液が用いられる。アルカリ溶液の濃度は、特に限定されるものではないが、15〜40重量%が好ましく、20〜35重量%がより好ましい。15〜40重量%の範囲であれば、溶液のイオン伝導性が十分発現され、溶液による電気抵抗を軽減することができる。
また、電解を行うときの温度は、特に限定されるものではないが、60℃〜150℃が好ましく、80℃〜120℃の範囲であれば、溶液のイオン伝導性が十分発現され、電気分解を効率的に行うことができるので、より好ましい。
本発明の基材に対し、高分子樹脂層を形成させた隔膜のガス遮断性としては、5kPa以上の圧力で、通気しない気密性を備えていることが好ましい。5kPa以上の圧力で通気しなければ、ガス遮断性に特に優れ、電気分解で得られる水素および酸素純度が特に高く好ましい。また、通気しない圧力の上限は200kPa以下であると、イオン透過性に特に優れ、電気抵抗も低く、生産時のエネルギー消耗が少ない点で好ましい。より好ましくは、隔膜のガス遮断性としては、10〜200kPaの圧力で、通気しないことである。さらに好ましくは、隔膜のガス遮断性としては、50〜200kPaの圧力で通気しないことである。ここで通気しないとは後述する方法で気密性を測定したときにフィルタディスク面から連続した気泡の出現が認められないことをいう。
本発明の基材に対し、高分子樹脂層を形成させた隔膜のイオン透過性は、電気抵抗が9Ω・cm以下であることが隔膜として使用できるレベルであり、8Ω・cm以下であることが電気分解の効率がよく、エネルギー消費が減るため好ましい。より好ましくは5Ω・cm以下である。下限としては低い方が好ましいが、限りなく低くするのは現実には困難なので、現実には0.01Ω・cm以上程度あればよい。
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において、様々な変形や修正が可能である。なお、本実施例で用いる各種特性の測定方法は、以下のとおりである。
[単繊維繊度と繊維長]
単繊維繊度は、JIS L 1015(2010年)8.5A法に準じて測定する。また繊維長はJIS L 1015(2010年)8.4.1C法(直接法)に準じて測定する。なお、試料の繊維長が前記JIS L 1015(2010年)8.4.1C法(直接法)に規定される長さに満たない場合、繊維を伸長せずにまっすぐに伸ばして暫定長にカットし、長さ(mm)×本数=9000±900となる本数を一組とし、その質量と一組分の総長から見掛け繊度を求める。
[捲縮数の測定方法]
JIS L 1015(2010年)8.12.1に示される方法を基に捲縮数(個/25mm)を測定した。試料原綿を、紙片上に、捲縮試験機のつかみ間の距離(空間距離)に対して25±5%の緩みをもたせて両端を接着剤で貼り付けて固着させた。この試料を1本ずつ、捲縮試験機のつかみに取り付け、紙片を切断した後、試料に初荷重1.8mg×繊度(dtex)をかけたときの、つかみ間の距離(空間距離)(mm)を読み、そのときの捲縮数を数え、25mm間当たりの捲縮数を求め20回の平均値を算出した。基材を構成する繊維を測定する際は、破断しないよう繊維を基材から抜き、同様に測定する。なお、繊維長が上記JIS L 1015(2010年)8.12.1に規定する範囲に満たない場合、1本の繊維中に少なくとも捲縮一つ分(例えば一つの山頂から隣の山頂まで)、または、捲縮1/2分(すなわち一つの山頂から隣の谷底まで)を含む繊維を測定に供するものとし、25mmあたりの捲縮数に換算するものとする。測定数は前者(1本の繊維中に少なくとも捲縮一つ分を含む繊維)の場合、20回とし、後者(1本の繊維中に捲縮1/2分を含む繊維)の場合、40回とした。
[目付]
JIS L 1913(2010年)6.2に準じて、25cm×25cmの試験片を3枚採取し、標準状態(20℃、65%相対湿度) におけるそれぞれの質量(g)を量り、1 m当たりの質量(g/m)で表した。
[通気度]
JIS L 1096(1990年)6.27.1A法に規定されるフラジール法に基づいて測定した。25cm×25cmの試験片を3枚採取し、標準状態(20℃、65%相対湿度) に調湿後、それぞれ不織布の長手方向3箇所とそれぞれの幅方向3箇所の計9点選んで測定した平均で表した。不織布の長手方向とは、不織布製造時の流れ方向をいい、幅方向とは、長手方向に直交する方向をいう。試験圧力は125Pa、口径は76mmとした。
[基材中の融着有無]
日立ハイテクノロジーズ社製の走査型電子顕微鏡S−3500Nを用いて、試験片を倍率300倍で観察したとき、1画面中に表示できる試験片の面積に相当する0.14mm2内に存在する繊維のうち、隣り合う繊維との境界線が消えて不明確である部分があれば「融着有」、なければ「融着無」とした。なお、観察したのは加熱加圧処理で金属ロールに接触していた面とする。
[炭素原子1モルに対する酸素原子のモル比]
装置:ESCALAB220iXL
励起X線:monochromatic AlKα1、2線(1486.6eV)
X線径:1mm
光電子脱出角度:90°(試料表面に対する検出器の傾き)
横軸補正:C1sメインピークを284.6eVに合わせた。
[気密性]
JIS K 3832(1990年)に規定されるバブルポイント試験方法に準じて測定した。20kPa/minで昇圧し、フィルタディスク面から連続した気泡の出現が認められたときの圧力を読みとった。この圧力以下においては通気しないので、3点の圧力(kPa)の平均を気密性として、下記の表3に示す。
[電気抵抗]
旧JIS C 2313(1995年)に準じて測定した。電解液は、濃度30重量%の水酸化カリウム水溶液を用いた。電極としては、Ni電極を用いた。測定時の液温は25℃に設定した。測定は、電解用隔膜を電解液に10分間浸漬させた後に行った。
[隔膜としての評価]
気密性と電気抵抗の結果より、隔膜を以下の表1に示す基準により総合判定した。
[実施例1]
延伸ポリフェニレンサルファイド繊維として、メルトフローレート値が165g/10分の粉粒体状のペレットを溶融紡糸して巻き取り、未延伸糸を得た後、この未延伸糸を温度95℃の温水浴中を通過させて延伸し、捲縮を施して単繊維繊度1.0dtex(直径10μm)、カット長6mm、捲縮数6山/25mmの原綿を得た。また、紡糸、巻き取り後、温水浴を通過させて延伸する工程は行わず、捲縮を施した未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維として、単繊維繊度3.0dtex(直径17μm)、カット長6mm、捲縮数6山/25mmのものを得た。
延伸ポリフェニレンサルファイド繊維と未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維とを、重量比で、延伸ポリフェニレンサルファイド繊維対未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維=60対40となるように水に分散させて抄紙分散液とし、底に140メッシュの手漉き抄紙網を設置した大きさ25cm×25cm、高さ40cmの小型抄紙機(熊谷理機工業社製)に仕上がりの目付が40g/mとなるように投入し、さらに水を追加して抄紙分散液の総量を20リットルとし、攪拌器で十分に攪拌した。次に、小型抄紙機の水を抜き、抄紙網に残った湿紙を濾紙に転写した。上記湿紙を濾紙ごとロータリー式乾燥機(熊谷理機工業製ROTARY DRYER DR―200)に投入し、温度100℃、工程通過速度0.5m/min、工程長1.25m(処理時間2.5min)にて乾燥する処理を1回行って、ポリフェニレンサルファイド繊維湿式不織布を得た。
スチールロールとペーパーロールとからなる油圧式3本ロールカレンダー加工機(由利ロール製、型式IH式H3RCM)を使用して、スチールロール温度200℃、線圧490N/cm、ロール回転速度5m/分で上記ポリフェニレンサルファイド繊維湿式不織布を加熱・加圧し、片面圧着不織布を得た後、裏返して加熱・加圧し、両面圧着不織布を得た。この両面圧着不織布の通気度は51cc/cm/秒であった。
次に、両面圧着不織布の両面にプラズマ処理を行った。処理条件は大気ガス減圧下で、真空度は0.1kPa、処理強度が150KW・s/mとした。
また、両面圧着不織布の表面の酸素含有量を、ESCAで測定して求められるO1s/C1sの原子数比(炭素原子1モルに対する酸素原子のモル比)は0.21であり、十分に大きく、良好な親水性を有していることが分かった。
このようにして得られた基材に対し、高分子樹脂層を以下の方法で形成した。
ポリフェニルスルホン(ソルベイアドバンストポリマーズ株式会社の商品名“レーデル”)25重量%、ポリエチレンオキサイド(Mw(重量平均分子量)100000(SIGMA−ALDRICH社製)10重量%、N−メチル−2−ピロリドン(和光純薬工業株式会社製)65重量%をそれぞれ用い、十分攪拌し塗工液として得た。
この塗工液中に高分子樹脂層を形成した基材を通し、厚さ300μmとなるよう塗工した。塗工後、純水とN−メチル−2−ピロリドンを50対50の比率で含む50℃の凝固浴中に基材を塗膜とともに30分間浸漬し、ポリフェニルスルホンを凝固させた後、純水で十分洗浄することにより、微多孔膜を得た。作製された隔膜の気密性を測定した結果、100kPaであり、電気抵抗を確認した結果、3.5Ω・cmであり、隔膜として非常に良好な性能を示した。
[実施例2]
延伸ポリフェニレンサルファイド繊維と未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維とを、重量比で、延伸ポリフェニレンサルファイド繊維対未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維=60対40となるように水に分散させ抄紙分散液とし、底に140メッシュの手漉き抄紙網を設置した大きさ25cm×25cm、高さ40cmの小型抄紙機(熊谷理機工業社製)に仕上がりの目付が100g/mとなるように投入した以外は実施例1と同様の方法で加工し、実施例1と同様の方法でプラズマ処理を実施して、実施例2の両面圧着不織布を得た。
実施例2の両面圧着不織布の通気度は5cc/cm/秒であった。また、両面圧着不織布の表面の酸素含有量を、ESCAで測定して求められるO1s/C1sの原子数比(炭素原子1モルに対する酸素原子のモル比)は0.20であり、十分に大きく、良好な親水性を有していることが分かった。
このようにして得られた基材に対し、高分子樹脂層を実施例1と同様の方法で形成し、作製された隔膜の気密性を測定した結果、200kPaであり、電気抵抗を測定した結果、6.5Ω・cmであり、隔膜として良好な性能を示した。
[実施例3]
延伸ポリフェニレンサルファイド繊維と未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維とを、重量比で、延伸ポリフェニレンサルファイド繊維対未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維=60対40となるように水に分散させ抄紙分散液とし、底に140メッシュの手漉き抄紙網を設置した大きさ25cm×25cm、高さ40cmの小型抄紙機(熊谷理機工業社製)に仕上がりの目付が110g/mとなるように投入した以外は実施例1と同様の方法で加工し、実施例1と同様の方法でプラズマ処理を実施して、実施例3の両面圧着不織布を得た。
実施例3の両面圧着不織布の通気度は3cc/cm/秒であった。また、両面圧着不織布の表面の酸素含有量を、ESCAで測定して求められるO1s/C1sの原子数比(炭素原子1モルに対する酸素原子のモル比)は0.20であり、十分に大きく、良好な親水性を有していることが分かった。
このようにして得られた基材に対し、高分子樹脂層を実施例1と同様の方法で形成し、作製された隔膜の気密性を測定した結果、220kPaであり、電気抵抗を確認した結果、7.0Ω・cmであり、隔膜として良好な性能を示した。
[実施例4]
延伸ポリフェニレンサルファイド繊維の単繊維繊度を0.1dtexとした以外は実施例1と同様の方法で加工し、実施例1と同様の方法でプラズマ処理を実施して、実施例4の両面圧着不織布を得た。
実施例4の両面圧着不織布の通気度は5cc/cm/秒であった。また、両面圧着不織布の表面の酸素含有量を、ESCAで測定して求められるO1s/C1sの原子数比(炭素原子1モルに対する酸素原子のモル比)は0.20であり、十分に大きく、良好な親水性を有していることが分かった。
このようにして得られた基材に対し、高分子樹脂層を実施例1と同様の方法で形成し、作製された隔膜の気密性を測定した結果、200kPaであり、電気抵抗を確認した結果、4.0Ω・cmであり、隔膜として非常に良好な性能を示した。
[実施例5]
延伸ポリフェニレンサルファイド繊維の単繊維繊度10dtexとした以外は実施例1と同様の方法で加工し、実施例1と同様の方法でプラズマ処理を実施して、実施例5の両面圧着不織布を得た。
実施例5の両面圧着不織布の通気度は115cc/cm/秒であった。また、両面圧着不織布の表面の酸素含有量を、ESCAで測定して求められるO1s/C1sの原子数比(炭素原子1モルに対する酸素原子のモル比)は0.20であり、十分に大きく、良好な親水性を有していることが分かった。
このようにして得られた基材に対し、高分子樹脂層を実施例1と同様の方法で形成し、作製された隔膜の気密性を測定した結果、20kPaであり、電気抵抗を確認した結果、7.5Ω・cmであり、隔膜として良好な性能を示した。
[実施例6]
延伸ポリフェニレンサルファイド繊維および未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維の捲縮数をそれぞれ2山/25mmとした以外は実施例1と同様の方法で加工し、実施例1と同様の方法でプラズマ処理を実施して、実施例6の両面圧着不織布を得た。
実施例6の両面圧着不織布の通気度は73cc/cm/秒であった。また、両面圧着不織布の表面の酸素含有量を、ESCAで測定して求められるO1s/C1sの原子数比(炭素原子1モルに対する酸素原子のモル比)は0.21であり、十分に大きく、良好な親水性を有していることが分かった。
このようにして得られた基材に対し、高分子樹脂層を実施例1と同様の方法で形成し、作製された隔膜の気密性を測定した結果、40kPaであり、電気抵抗を確認した結果、3.5Ω・cmであり、隔膜として良好な性能を示した。
[実施例7]
延伸ポリフェニレンサルファイド繊維および未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維の捲縮数をそれぞれ10山/25mmとした以外は実施例1と同様の方法で加工し、実施例1と同様の方法でプラズマ処理を実施して、実施例7の両面圧着不織布を得た。
実施例7の両面圧着不織布の通気度は77cc/cm/秒であった。また、両面圧着不織布の表面の酸素含有量を、ESCAで測定して求められるO1s/C1sの原子数比(炭素原子1モルに対する酸素原子のモル比)は0.23であり、十分に大きく、良好な親水性を有していることが分かった。
このようにして得られた基材に対し、高分子樹脂層を実施例1と同様の方法で形成し、作製された隔膜の気密性を測定した結果、40kPaであり、電気抵抗を確認した結果、3.5Ω・cmであり、隔膜として良好な性能を示した。
[実施例8]
プラズマ処理を行わないこと以外は実施例1と同様の方法で加工して、実施例8の両面圧着不織布を得た。
実施例8の両面圧着不織布の通気度は52cc/cm/秒であった。また、両面圧着不織布の表面の酸素含有量を、ESCAで測定して求められるO1s/C1sの原子数比(炭素原子1モルに対する酸素原子のモル比)は0.06であり、良好な親水性を有していることが分かった。
このようにして得られた基材に対し、高分子樹脂層を実施例1と同様の方法で形成し、作製された隔膜の気密性を測定した結果、90kPaであり、電気抵抗を確認した結果、5.5Ω・cmであり、隔膜として良好な性能を示した。
[実施例9]
プラズマ処理を行わないこと以外は実施例2と同様の方法で加工して、実施例9の両面圧着不織布を得た。
実施例9の両面圧着不織布の通気度は5cc/cm/秒であった。また、両面圧着不織布の表面の酸素含有量を、ESCAで測定して求められるO1s/C1sの原子数比(炭素原子1モルに対する酸素原子のモル比)は0.05であり、良好な親水性を有していることが分かった。
このようにして得られた基材に対し、高分子樹脂層を実施例1と同様の方法で形成し、作製された隔膜の気密性を測定した結果、230kPaであり、電気抵抗を確認した結果、8.5Ω・cmであり、気密性がやや高く、電気抵抗もやや高いが、隔膜として使用できる性能を示した。
[比較例1]
延伸ポリフェニレンサルファイド繊維として、単繊維繊度1.0dtex(直径10μm)、カット長6mmのストレート繊維を用いること、未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維として、単繊維繊度3.0dtex(直径17μm)、カット長6mmのストレート繊維を用いた以外は実施例1と同様の方法で加工し、実施例1と同様の方法でプラズマ処理を実施して、比較例1の両面圧着不織布を得た。
比較例1の両面圧着不織布の通気度は143cc/cm/秒であった。また、両面圧着不織布の表面の酸素含有量を、ESCAで測定して求められるO1s/C1sの原子数比(炭素原子1モルに対する酸素原子のモル比)は0.20であり、十分に大きく、良好な親水性を有していることが分かった。
このようにして得られた基材に対し、高分子樹脂層を実施例1と同様の方法で形成し、作製された隔膜の気密性を測定した結果、9kPaであり、電気抵抗を確認した結果、4.2Ω・cmであった。このように、気密性が9kPaと低く、発生ガスの純度が低くなったため、隔膜として使用できるものではなかった。
[比較例2]
延伸ポリフェニレンサルファイド繊維として、単繊維繊度1.0dtex(直径10μm)、カット長6mm、捲縮数12山/25mm、未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維として、単繊維繊度3.0dtex(直径17μm)、カット長6mm、捲縮数12山/25mmを用いること以外は実施例1と同様の方法で加工し、実施例1と同様の方法でプラズマ処理を実施して、比較例2の両面圧着不織布を得た。
比較例2の両面圧着不織布の通気度は120cc/cm/秒であった。また、両面圧着不織布の表面の酸素含有量を、ESCAで測定して求められるO1s/C1sの原子数比(炭素原子1モルに対する酸素原子のモル比)は0.20であり、十分に大きく、良好な親水性を有していることが分かった。
このようにして得られた基材に対し、高分子樹脂層を実施例1と同様の方法で形成し、作製された隔膜の気密性を測定した結果、8kPaであり、電気抵抗を確認した結果、2.8Ω・cmであった。このように、気密性が8kPaと低く、発生ガスの純度が低くなったため隔膜として使用できるものではなかった。
[比較例3]
延伸ポリフェニレンサルファイド繊維の単繊維繊度を0.01dtex、未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維の単繊維繊度を0.03dtexとした以外は実施例1と同様の方法で加工し、実施例1と同様の方法でプラズマ処理を実施して、比較例3の両面圧着不織布を得たが、短繊維同士が分散せず、基材にムラがみられた。
比較例3の両面圧着不織布の通気度は50cc/cm/秒であった。また、両面圧着不織布の表面の酸素含有量を、ESCAで測定して求められるO1s/C1sの原子数比(炭素原子1モルに対する酸素原子のモル比)は0.22であり、十分に大きく、良好な親水性を有していることが分かった。
このようにして得られた基材に対し、高分子樹脂層を実施例1と同様の方法で形成したところ、樹脂抜けが見られ、作製された隔膜の気密性を測定した結果、0.1kPaであり、発生ガスの純度が低くなったため隔膜として使用できなかった。
[比較例4]
延伸ポリフェニレンサルファイド繊維の単繊維繊度を12dtex、未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維の単繊維繊度を36dtexとした以外は実施例1と同様の方法で加工しようとしたところ、抄紙時の脱水フェルトに転写されないため抄紙ができなかった。
以上の実施例1ないし9及び比較例1ないし4の構成と、特性値を、それぞれ以下の表2と表3に示す。
本発明によれば、ガス遮断性と高いイオン透過性を備えたアルカリ水電気分解隔膜用基材を提供することが可能となる。

Claims (6)

  1. 平均単繊維繊度が0.1〜10dtexであって、捲縮数が2〜10山/25mmの熱可塑性繊維で構成されるアルカリ水電気分解隔膜用基材において、前記熱可塑性繊維で構成される基材が、目付が15〜100g/m であって、通気度が5〜200cc/cm /秒の不織布を含むものであるアルカリ水電気分解隔膜用基材
  2. 前記熱可塑性繊維がポリフェニレンサルファイド繊維を含むものである請求項に記載のアルカリ水電気分解隔膜用基材。
  3. ポリフェニレンサルファイド繊維が、10〜90重量%の未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維を含んでいる請求項に記載のアルカリ水電気分解隔膜用基材。
  4. 未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維と、当該未延伸ポリフェニレンサルファイド繊維に接する延伸ポリフェニレンサルファイド繊維とが融着している請求項に記載のアルカリ水電気分解隔膜用基材。
  5. 少なくともその表面が親水性処理された湿式不織布である請求項1〜4のいずれかに記載のアルカリ水電気分解隔膜用基材。
  6. 湿式不織布を構成するポリフェニレンサルファイド繊維の表面に酸素含有基または成分を有し、該酸素含有量が、ESCAで測定して求められるO1s/C1sの原子数比(炭素原子1モルに対する酸素原子のモル比)が0.03以上である請求項に記載のアルカリ水電気分解隔膜用基材。
JP2014222038A 2014-10-30 2014-10-30 アルカリ水電気分解隔膜用基材 Active JP6481330B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014222038A JP6481330B2 (ja) 2014-10-30 2014-10-30 アルカリ水電気分解隔膜用基材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014222038A JP6481330B2 (ja) 2014-10-30 2014-10-30 アルカリ水電気分解隔膜用基材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016089197A JP2016089197A (ja) 2016-05-23
JP6481330B2 true JP6481330B2 (ja) 2019-03-13

Family

ID=56018919

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014222038A Active JP6481330B2 (ja) 2014-10-30 2014-10-30 アルカリ水電気分解隔膜用基材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6481330B2 (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6794816B2 (ja) * 2016-12-20 2020-12-02 東洋紡株式会社 セパレーター
JP7009146B2 (ja) * 2017-09-29 2022-01-25 旭化成株式会社 アルカリ水電解用隔膜及びその製造方法、複極式電解槽
JP7327341B2 (ja) * 2019-10-15 2023-08-16 株式会社豊田中央研究所 反応セル用セパレーター、およびそれを用いた反応セル
JP7110316B2 (ja) 2020-12-22 2022-08-01 三菱製紙株式会社 アルカリ水電解隔膜用基材及びアルカリ水電解隔膜
JP7524118B2 (ja) 2021-03-18 2024-07-29 株式会社東芝 二酸化炭素電解装置
CN114457379A (zh) * 2022-01-24 2022-05-10 天津市大陆制氢设备有限公司 用于碱性电解槽的凝胶填充膜及其制备方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
IT1205166B (it) * 1987-06-22 1989-03-15 Testori Spa Flli Elemento separatore poroso completamente costituito da polifenilensolfuro,per l'elettrolisi dell'acqua
JPH0967786A (ja) * 1995-08-25 1997-03-11 Toray Ind Inc 耐熱性湿式不織布
JP6030952B2 (ja) * 2012-12-28 2016-11-24 旭化成株式会社 アルカリ水電解用隔膜及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016089197A (ja) 2016-05-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6481330B2 (ja) アルカリ水電気分解隔膜用基材
JP6411631B2 (ja) アルカリ水電解用隔膜、アルカリ水電解装置、水素の製造方法及びアルカリ水電解用隔膜の製造方法
KR101989901B1 (ko) 필터여재, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 필터모듈
WO2018139610A1 (ja) 複極式電解槽、アルカリ水電解用複極式電解槽、及び水素製造方法
TWI468449B (zh) Polyketone porous membrane
JP5855093B2 (ja) ポリイミド多孔性ウェブ、その製造方法、及びそれを含む電解質膜
CN109219475B (zh) 过滤器集合体、其制造方法及包括其的过滤器模块
JP5981751B2 (ja) アルカリ水電解用隔膜及びその製造方法
JP6030952B2 (ja) アルカリ水電解用隔膜及びその製造方法
KR101572660B1 (ko) 나노섬유웹층을 포함하는 역삼투막 및 그 제조방법
KR20130114187A (ko) Pem 적용을 위한 양자 전도성 멤브레인을 보강하기 위한 다공성 나노-섬유 매트
JP5876696B2 (ja) ポリケトン多孔膜
TW201712934A (zh) 氣體擴散電極
WO2018186386A1 (ja) 複合高分子電解質膜
KR20120077266A (ko) 여과용 멤브레인 및 그의 제조방법
JP2008186718A (ja) 燃料電池用ガス拡散層、燃料電池、燃料電池搭載装置
KR101513076B1 (ko) 연료전지용 고분자 전해질막 및 이를 포함하는 연료전지
WO2014142381A1 (ko) 내오염성 나노섬유 분리막 제조방법 및 이에 의해 제조된 내오염성 나노섬유 분리막
WO2022138100A1 (ja) アルカリ水電解隔膜用基材及びアルカリ水電解隔膜
JP7273650B2 (ja) アルカリ水電解用隔膜ならびに該隔膜の製造方法
KR102584346B1 (ko) 인터락킹 바이폴라막
Zhu et al. Rigid-flexible coupling poly (phenylene sulfide) fiber membrane: a highly stable chemical and thermal material for energy and environmental applications
JP2020126768A (ja) 高分子電解質膜
CN115064838B (zh) 一种耐热针刺芳纶涂覆隔膜及其制备方法和电池
KR101491993B1 (ko) 연료전지용 강화복합막 및 이를 포함하는 연료전지용 막-전극 어셈블리

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170925

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180620

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180724

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180912

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190128

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6481330

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151