JP2015098526A - 脱エステル化合物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】リン酸由来のエステルおよび/またはカルボン酸由来のエステルを有する化合物を脱エステル化する方法であって、高温を必要とせず、短時間で加水分解反応を行うことができる方法を提供すること。
【解決手段】塩基性を示す窒素含有化合物の存在下において、リン酸由来のエステルおよび/またはカルボン酸由来のエステルを有する化合物を加熱する工程を含む、脱エステル化合物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、リン酸由来のエステルおよび/またはカルボン酸由来のエステルを有する化合物を加熱する工程を含む脱エステル化合物の製造方法、並びに前記方法で製造した脱エステル化合物を用いたシートの製造方法に関する。
エステル化合物は、アルコールやフェノールなどのヒドロキシル基とオキソ酸との縮合反応で得られる。この縮合反応は平衡反応であり、エステル化合物は水の存在下で加熱すると、加水分解され、アルコールとオキソ酸に戻る。一般的に、エステル化合物の加水分解、特にカルボン酸エステルの加水分解においては、酸や塩基が触媒として用いられる。しかし、リン酸エステルの加水分解では、酸や塩基は触媒として作用せず、むしろ反応を阻害する。そのため、リン酸エステルの加水分解は、中性領域で行われ、高温で長時間加熱する必要であった(非特許文献1)。
一方、近年、石油資源の代替および環境意識の高まりから、再生産可能な天然繊維を利用した材料が着目されている。天然繊維の中でも、繊維径が10〜50μmのセルロース繊維、とりわけ木材由来のセルロース繊維(パルプ)は主に紙製品としてこれまでにも幅広く使用されてきた。また、セルロース繊維としては、繊維径が1μm以下の微細セルロース繊維も知られており、その微細セルロース繊維を含有するシートは機械的強度が高いなどの利点を有し、様々な用途への適用が検討されている(特許文献1)。例えば、微細セルロース繊維を抄紙して不織布とし、高強度のシートとして利用することが知られている。
微細繊維の製造方法としては、繊維原料を微細化(解繊)しやくするために、静電的および/または立体的な官能性を持つ置換基を繊維原料に導入する方法はよく用いられている(例えば特許文献2、特許文献3)。特許文献2、3では、セルロース表面に親水性のカルボキシル基を導入することにより、繊維間の反発を強め、比較的小さなエネルギーの機械処理で微細化(解繊)することを開示している。しかし、前記置換基を導入した微細繊維は経時的にあるいは加熱した際に黄色や茶色、ひどい場合は、濃褐色あるいは黒色に変色(以下、まとめて「黄変」という。)するという問題があった。また、前記置換基を導入した微細繊維をスラリーに調整し、抄紙法または塗工法によりシートを製造する際に、濾水性が悪く、脱水に時間がかかり、生産性が著しく低下する問題があった。
リン酸エステル加水分解:高純度ジアルキルホスフェートの工業的製造法、モノアルキルホスフェートの選択的加水分解性の応用、黒崎富裕ら 油化学 39巻 5号 1990年
特開2008−24788号公報 特開2010−254726号公報 特開2008−308802号公報
本発明は、リン酸由来のエステルおよび/またはカルボン酸由来のエステルを有する化合物を脱エステル化する方法であって、高温を必要とせず、短時間で加水分解反応を行うことができる方法を提供することを解決すべき課題とする。更に本発明は、上記した脱エステル化合物の製造方法により得られる脱エステル化合物を用いたシートの製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、塩基性を示す窒素含有化合物の存在下においてリン酸由来のエステルおよび/またはカルボン酸由来のエステルを有する化合物を加熱することによって、高温を必要とせず、短時間で脱エステル化合物を製造できることを見出した。本発明はこの知見に基づいて完成したものである。
本発明によれば以下の態様が提供される。
(1)塩基性を示す窒素含有化合物の存在下において、リン酸由来のエステルおよび/またはカルボン酸由来のエステルを有する化合物を加熱する工程を含む、脱エステル化合物の製造方法。
(2)塩基性を示す窒素含有化合物が、アミノ基を有する化合物である、(1)に記載の脱エステル化合物の製造方法。
(3)塩基性を示す窒素含有化合物が、尿素である、(1)又は(2)に記載の脱エステル化合物の製造方法
(4)リン酸由来のエステルおよび/またはカルボン酸由来のエステルを有する化合物が繊維である、(1)から(3)の何れかに記載の脱エステル化合物の製造方法。
(5)繊維の平均幅が2〜1000nmである、(4)に記載の脱エステル化合物の製造方法。
(6)繊維がセルロース繊維である、(5)に記載の脱エステル化合物の製造方法。
(7)(1)から(6)の何れかに記載の方法により得られる脱エステル化合物を含むスラリーを調製する工程、及び前記スラリーを用いて抄紙法または塗工法によりシートを製造する工程を含む、シートの製造方法。
本発明による脱エステル化合物の製造方法によれば、高温を必要とせず、短時間で脱エステル化合物を製造することが可能である。
本発明の実施の形態について以下に具体的に説明する。なお、本明細書に記載される材料、方法及び数値範囲などの説明は、当該材料、方法及び数値範囲などに限定することを意図したものではなく、また、それ以外の材料、方法及び数値範囲などの使用を除外するものでもない。
本発明の脱エステル化合物の製造方法は、塩基性を示す窒素含有化合物の存在下において、リン酸由来のエステルおよび/またはカルボン酸由来のエステルを有する化合物を加熱することを特徴とする。前記「塩基性」の定義は、フェノールフタレイン指示薬の存在下で水溶液が桃〜赤色を呈する場合、または/および水溶液のpHが7より大きい場合である。
本発明で用いる塩基性を示す窒素含有化合物は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、アミノ基を有する化合物が好ましい。例えば、尿素、メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられるが、特に限定されない。この中でも低コストで扱いやすい尿素が好ましい。
リン酸由来のエステルおよび/またはカルボン酸由来のエステルを有する化合物に対する塩基性を示す窒素含有化合物の添加量は、2質量%〜20質量%であることが好ましいが、特に限定されない。
リン酸由来のエステルおよび/またはカルボン酸由来のエステルを有する化合物を加熱する際の加熱温度は、加水分解により脱エステル化合物が生成する限り特に限定されないが、好ましくは50℃以上が好ましく、90℃以上がより好ましい。リン酸由来のエステルおよび/またはカルボン酸由来のエステルを有する化合物が繊維である場合には、加熱温度は繊維原料の分解が抑えられる温度を選択することが好ましい。例えば繊維原料としてセルロースを用いた場合は250℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。
加熱時間は、十分量の脱エステル化合物が生成する限り特に限定されないが、一般的には0.5時間〜24時間、好ましくは0.5時間〜12時間、より好ましくは1時間〜6時間である。
リン酸由来のエステルおよび/またはカルボン酸由来のエステルを有する化合物の種類は特に限定されない。
リン酸由来のエステルを有する化合物は特に限定されないが、リン酸、ポリリン酸、亜リン酸、ホスホン酸又はポリホスホン酸あるいはこれらの塩を用いてエステル化された化合物が挙げられる。
エステル化に使用できる化合物としては特に限定されないが、リン酸、リン酸のリチウム塩、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、及びリン酸のアンモニウム塩などが挙げられる。リン酸のリチウム塩としてはリン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウム、ピロリン酸リチウム、ポリリン酸リチウムなどが挙げられる。リン酸のナトリウム塩としてはリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムなどが挙げられる。リン酸のカリウム塩としてはリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、ポリリン酸カリウムなどが挙げられる。リン酸のアンモニウム塩としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。リン酸基導入の効率が高く、工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましく、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムがより好ましいが、特に限定されない。
カルボン酸由来のエステルを有する化合物は特に限定されないが、カルボキシル基を有する化合物、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物およびそれらの誘導体から選ばれる少なくとも1種を用いてエステル化された化合物を挙げることができる。
カルボキシル基を有する化合物としては特に限定されないが、マレイン酸、コハク酸、フタル酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、イタコン酸等のジカルボン酸化合物やクエン酸、アコニット酸などトリカルボン酸化合物が挙げられる。
カルボキシル基を有する化合物の酸無水物としては特に限定されないが、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸化合物の酸無水物が挙げられる。
カルボキシル基を有する化合物の誘導体としては特に限定されないが、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物のイミド化物、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の誘導体が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の酸無水物のイミド化物としては特に限定されないが、マレイミド、コハク酸イミド、フタル酸イミド等のジカルボン酸化合物のイミド化物が挙げられる。
カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の誘導体としては特に限定されない。例えば、ジメチルマレイン酸無水物、ジエチルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物等の、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の少なくとも一部の水素原子が置換基(例えば、アルキル基、フェニル基等)で置換されたものが挙げられる。
上記カルボン酸由来の基を有する化合物のうち、工業的に適用しやすく、ガス化しやすいことから、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸が好ましいが、特に限定されない。
リン酸由来のエステルおよび/またはカルボン酸由来のエステルを有する化合物は、好ましくは繊維である。リン酸由来のエステルおよび/またはカルボン酸由来のエステルを有する繊維について以下に説明する。
リン酸由来のエステルおよび/またはカルボン酸由来のエステルを有する繊維は、繊維原料に、リン酸基および/またはカルボン酸基を導入することにより製造することができる。リン酸基および/またはカルボン酸基を導入する工程は特に限定されないが、乾燥状態あるいは湿潤状態の繊維原料に、該繊維原料と反応するような化合物を混合することにより、繊維原料にリン酸基および/またはカルボン酸基を導入することが可能である。導入時の反応を促進するため、加熱する方法が特に有効である。リン酸基および/またはカルボン酸基の導入における加熱処理温度は特に限定されないが、該繊維原料の熱分解や加水分解等が起こりにくい温度帯であることが好ましい。例えば、繊維原料としてセルロースを含む繊維原料を選択した場合は熱分解温度の観点から、250℃以下であることが好ましく、セルロースの加水分解を抑える観点から、100〜170℃で加熱処理することが好ましい。
繊維原料としては特に限定されないが、例えば、無機繊維、有機繊維、合成繊維等、半合成繊維、再生繊維が挙げられる。無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、岩石繊維、金属繊維等が挙げられるがこれらに限定されない。有機繊維としては、例えば、セルロース、炭素繊維、パルプ、キチン、キトサン等の天然物由来の繊維等が挙げられるがこれらに限定されない。合成繊維としては、例えば、ナイロン、ビニロン、ビニリデン、ポリエステル、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン、アクリル、ポリ塩化ビニル、アラミド等が挙げられるがこれらに限定されない。半合成繊維としては、アセテート、トリアセテート、プロミックス等が挙げられるがこれらに限定されない。再生繊維としては、例えば、レーヨン、キュプラ、ポリノジックレーヨン、リヨセル、テンセル等が挙げられるがこれらに限定されない。
また、本発明で用いる繊維原料は特に限定されないが、エステルを形成するためのヒドロキシル基を含むことが望ましい。
繊維原料としては特に限定されないが、入手しやすく安価である点から、パルプを用いることが好ましい。パルプとしては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプから選ばれる。木材パルプとしては例えば、化学パルプ、半化学パルプ、及び機械パルプなどが挙げられるが、特に限定されない。化学パルプとしては、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等が挙げられる。半化学パルプとしては、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等が挙げられる。機械パルプとしては、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等が挙げられる。非木材パルプとしてはコットンリンターやコットンリントなどの綿系パルプ、麻、麦わら、バガスなどの非木材系パルプ、ホヤや海草などから単離されるセルロース、キチン、キトサンなどが挙げられるが、特に限定されない。脱墨パルプとしては古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。本発明のパルプは上記1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。上記パルプの中で、入手のしやすさという点で、セルロースを含む木材パルプ、脱墨パルプが好ましい。木材パルプの中でも、化学パルプはセルロース比率が大きいため、繊維微細化(解繊)時の微細セルロース繊維の収率が高く、また、パルプ中のセルロースの分解が小さく、軸比の大きい長繊維の微細セルロース繊維が得られる点で好ましいが、特に限定されない。中でもクラフトパルプ、サルファイトパルプが最も好ましく選択されるが、特に限定されない。この軸比の大きい長繊維の微細セルロース繊維を含有するシートは高強度が得られる。
繊維原料と反応する化合物としては特に限定されないが、例えば、リン酸由来の基を有する化合物、カルボン酸由来の基を有する化合物などが挙げられる。取扱いの容易さ、微細繊維との反応性からリン酸由来の基および/またはカルボン酸由来の基を有する化合物が好ましく、これらの化合物が微細繊維とエステルを形成することがより好ましいが、特に限定されない。
リン酸基および/またはカルボン酸基を導入した繊維におけるリン酸基および/またはカルボン酸基の導入量は特に限定されないが、繊維1g(質量)あたり0.005α〜0.11αが好ましく、0.01α〜0.08αがより好ましい。リン酸基および/またはカルボン酸基の導入量が0.005α未満では、繊維原料の微細化(解繊)が困難である。リン酸基および/またはカルボン酸基の導入量が0.11αを超えると、繊維が溶解するおそれがある。ただし、αは繊維材料と反応する化合物が反応しうる官能基、例えばヒドロキシル基が繊維材料1gあたりに含まれる量(単位:mmol/g)である。
上記で得られたリン酸基および/またはカルボン酸基を導入した繊維を、解繊処理装置を用いて微細化(解繊)処理して、リン酸基および/またはカルボン酸基を導入した微細繊維を得ることができる。
解繊処理装置としては特に限定されない。高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、クレアミックス、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、ビーターなど、湿式粉砕する装置等を適宜使用することができる。
解繊処理の際には、リン酸基および/またはカルボン酸基を導入した繊維を、水と有機溶媒を単独または組み合わせて希釈してスラリー状にすることが好ましいが、特に限定されない。希釈後の繊維の固形分濃度は特に限定されないが、0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。希釈後の繊維の固形分濃度が前記下限値以上であれば、解繊処理の効率が向上し、前記上限値以下であれば、解繊処理装置内での閉塞を防止できる。分散媒としては特に限定されないが、水の他に、極性有機溶剤を使用することができる。好ましい極性有機溶剤としては特に限定されないが、アルコール類、ケトン類、エーテル類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF),ジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、tブチルアルコール等が挙げられる。ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等が挙げられる。エーテル類としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。これらは1種であってもよいし、2種以上でもよい。また、微細繊維含有スラリーの分散安定性を妨げない範囲であれば、上記の水および極性有機溶剤に加えて非極性有機溶媒を使用しても構わない。
微細化(解繊)処理後の微細繊維含有スラリーにおける微細繊維の含有量は特に限定されないが、0.02〜10質量%であることが好ましく、0.1〜5質量%であることがより好ましい。微細繊維の含有量が前記下限値以上であれば、後述のシートを製造する際の製造効率に優れ、前記上限値以下であれば、スラリーの分散安定性に優れる。
本発明においては、微細化(解繊)により得られるリン酸基および/またはカルボン酸基を導入した微細繊維の繊維幅は特に限定されないが、2〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは2〜500nm、さらに好ましくは3〜100nmである。微細繊維の繊維幅が2nm未満であると、分子が水に溶解しているため、微細繊維としての物性(強度や剛性、寸法安定性)が発現しなくなる。一方、1000nmを超えると微細繊維とは言えず、微細繊維としての物性(強度や剛性、寸法安定性)が得られない。
微細繊維に透明性が求められる用途においては、繊維幅が30nmを超えると、可視光の波長の1/10に近づき、マトリックス材料と複合した場合には界面で可視光の屈折及び散乱が生じ易く、透明性が低下する傾向にある。従って、繊維幅は特に限定されないが、2nm〜30nmが好ましく、より好ましくは2〜20nmである。前記のような微細繊維から得られる複合体は、一般的に緻密な構造体となるために強度が高く、可視光の散乱が少ないため高い透明性も得られる。
微細繊維の繊維幅の測定は以下のようにして行う。濃度0.05〜0.1質量%の微細繊維含有スラリーを調製し、該スラリーを親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。幅広の繊維を含む場合には、ガラス上にキャストした表面のSEM像を観察してもよい。構成する繊維の幅に応じて1000倍、5000倍、10000倍、20000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。但し、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を目視で読み取る。こうして少なくとも重なっていない表面部分の画像を3組以上観察し、各々の画像に対して、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を読み取る。このように少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。本発明における繊維幅はこのように読み取った繊維幅の平均値である。
微細繊維の繊維長は特に限定されないが、0.1μm以上が好ましい。繊維長が0.1μm未満では、微細繊維を樹脂に複合した際の強度向上効果を得ることが難しくなる。繊維長は、TEMやSEM、AFMの画像解析より求めることができる。上記繊維長は、微細繊維の30質量%以上を占める繊維長である。
微細繊維の軸比(繊維長/繊維幅)は特に限定されないが、20〜10000の範囲であることが好ましい。軸比が20未満であると微細繊維含有シートを形成し難くなるおそれがある。軸比が10000を超えるとスラリー粘度が高くなり、好ましくない。
本発明の方法により脱エステル化した後の微細繊維におけるリン酸基および/またはカルボン酸基の含有量は特に限定されないが、導入時の70%以下、好ましくは50%以下、さらに好ましくは30%以下である。リン酸基および/またはカルボン酸基の含有量が少ない方が微細繊維含有シートを得る際の濾水時間が短く、当該シートを加熱した際の黄変等を抑制できる。
本発明においては、特に限定されないが、繊維を脱エステル化した後に、その他の処理工程として、脱塩工程を有すると微細繊維の純度が高まる点で好ましい。脱塩工程としては特に限定されず、濾過方式による洗浄、透析、イオン交換などが挙げられるが、処理が簡便であるイオン交換処理が好ましく、強酸性イオン交換樹脂と強塩基性イオン交換樹脂を交互にまたは併用するのがより好ましい。
本発明においては、上記の工程以外に、必要に応じて、洗浄工程や他の処理工程を適宜設けてもよい。例えば、繊維を機械処理する工程より前に異物除去工程、繊維を機械処理する工程より後に遠心分離等による精製工程を採用しても良いが、特に限定されない。
前記方法により、脱エステル化した微細繊維の溶液中における分散性は、リン酸基および/またはカルボン酸基を導入する前の微細繊維と比較すると向上している。ここで凝集が起こる場合は、脱エステル化後に微細繊維を再分散させるための再分散工程を追加しても良いが、特に限定されない。微細繊維を再分散させるための方法としては、例えば、微細繊維を含む分散媒(水溶液や有機溶媒)に界面活性剤、有機溶剤等の成分を添加する等の方法が挙げられるが、微細繊維の分散性を向上させるための方法であれば特に限定なく用いることができる。再分散工程では、微細繊維を含む分散媒を攪拌することもでき、攪拌条件は、微細繊維の分散性を良好にする方法であれば特に限定されない。
<シートの製造>
本発明によれば、上記した本発明の方法により得られる脱エステル化合物を含むスラリーを調製する工程、及び前記スラリーを用いて抄紙法または塗工法によりシートを製造する工程を含む、シートの製造方法が提供される。
シートの製造方法としては、特に限定するものではないが、抄紙法、塗工法等が好ましく使用できる。得られたシートに樹脂を含浸して微細繊維含有複合体とすることができる。
本発明におけるシートは、特に限定されないが、前記微細繊維と前記微細繊維以外の繊維(以下、「追加繊維」という)を少なくとも1種以上混合して用いることもできる。追加繊維としては、例えば、無機繊維、有機繊維、合成繊維等、半合成繊維、再生繊維が挙げられるが、特に限定されない。無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、岩石繊維、金属繊維等が挙げられるがこれらに限定されない。有機繊維としては、例えば、セルロース、炭素繊維、パルプ、キチン、キトサン等の天然物由来の繊維等が挙げられるがこれらに限定されない。合成繊維としては、例えば、ナイロン、ビニロン、ビニリデン、ポリエステル、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリウレタン、アクリル、ポリ塩化ビニル、アラミド等が挙げられるがこれらに限定されない。半合成繊維としては、アセテート、トリアセテート、プロミックス等が挙げられるがこれらに限定されない。再生繊維としては、例えば、レーヨン、キュプラ、ポリノジックレーヨン、リヨセル、テンセル等が挙げられるがこれらに限定されない。前記追加繊維は、必要に応じて化学的処理、解繊処理等の処理を施すことができる。追加繊維に化学的処理、解繊処理等の処理を施す場合、微細繊維と混合してから化学的処理、解繊処理等の処理を施すこともできるし、追加繊維に化学的処理、解繊処理等の処理を施してから微細繊維と混合することもできる。追加繊維を混合する場合、微細繊維と追加繊維の合計量における追加繊維の添加量は特に限定されないが、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下である。特に好ましくは20質量%以下である。
[抄紙法]
脱エステル化後の微細繊維含有スラリーを通常の抄紙で用いられる長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、これらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機、又は手抄き等公知の抄紙方法で抄紙され、一般の紙と同様の方法でシート化することが可能である。つまり、微細繊維含有スラリーをワイヤー上で濾過、脱水して湿紙状態のシートを得た後、プレス、乾燥することでシートを得ることが可能である。スラリーの濃度は特に限定されないが、0.05〜5質量%が好ましく、濃度が低すぎると濾過に膨大な時間がかかり、逆に濃度が高すぎると均一なシートが得られないため好ましくない。スラリーを濾過、脱水する場合、濾過時の濾布としては特に限定されないが、微細繊維は通過せず、かつ濾過速度が遅くなりすぎないことが重要である。このような濾布としては特に限定されないが、有機ポリマーからなるシート、織物、多孔膜が好ましい。有機ポリマーとしては特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のような非セルロース系の有機ポリマーが好ましい。具体的には孔径0.1〜20μm、例えば1μmのポリテトラフルオロエチレンの多孔膜、孔径0.1〜20μm、例えば1μmのポリエチレンテレフタレートやポリエチレンの織物等が挙げられるが、特に限定されない。
微細繊維を含むスラリーからシートを製造する方法としては、特に限定されない。例えばWO2011/013567に記載の製造装置を用いる方法等が挙げられる。この製造装置は、微細セルロース繊維を含むスラリーを無端ベルトの上面に吐出し、吐出された前記スラリーから分散媒を搾水してウェブを生成する搾水セクションと、前記ウェブを乾燥させて繊維シートを生成する乾燥セクションとを備えている。前記搾水セクションから前記乾燥セクションにかけて前記無端ベルトが配設され、前記搾水セクションで生成された前記ウェブが前記無端ベルトに載置されたまま前記乾燥セクションに搬送される。
本発明において使用できる脱水方法としては特に限定されないが、紙の製造で通常に使用している脱水方法が挙げられ、長網、円網、傾斜ワイヤーなどで脱水した後、ロールプレスで脱水する方法が好ましい。また、乾燥方法としては特に限定されないが、紙の製造で用いられている方法が挙げられ、例えば、シリンダードライヤー、ヤンキードライヤー、熱風乾燥、近赤外線ヒーター、赤外線ヒーターなどの方法が好ましい。
微細繊維含有シートはその製造方法により、様々な空隙率を保持せしめることができる。空隙率の大きなシートを得る方法としては特に限定されないが、濾過による製膜工程において、シート中の水を最後にアルコール等の有機溶媒に置換する方法を挙げることができる。これは、濾過により水を除去し、微細繊維の含有量が5〜99質量%になったところでアルコール等の有機溶媒を加えるものである。あるいは、微細繊維含有スラリーを濾過装置に投入した後、アルコール等の有機溶媒をスラリーの上部に投入することによっても置換することができる。微細繊維含有シートに高分子を含浸させて複合体を得る場合には、空隙率が小さいと高分子が含浸されにくくなるため、特に限定されないが、例えば10体積%以上、好ましくは20体積%以上の空隙率があることが好ましい。アルコール等の有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、グリコールエーテル類、グライム類、2価アルコール類、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。グリコールエーテル類としては、ジプロビレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどが挙げられる。グライム類としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルなどが挙げられる。2価アルコール類としては、1,2−ブタンジオール 、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられる。これらの有機溶媒は2種以上を併用してもかまわない。前記有機溶媒として非水溶性有機溶媒を用いる場合は、水溶性有機溶媒との混合溶媒にするか水溶性有機溶媒で置換した後、非水溶性有機溶媒で置換することが好ましい。
[塗工法]
塗工法は、脱エステル化後の微細繊維含有スラリーを基材上に塗工し、これを乾燥して形成された微細繊維含有層を基材から剥離することにより、シートを得る方法である。塗工装置と長尺の基材を用いることで、シートを連続的に生産することができる。基材の質は、特に限定されないが、微細繊維含有スラリーに対する濡れ性が高いものの方が乾燥時のシートの収縮等を抑制することができて良いが、乾燥後に形成されたシートが容易に剥離できるものを選択することが好ましい。中でも樹脂板または金属板が好ましいが、特に限定されない。その中で、適当なものを単独、または積層して使用するのが好適である。例えばアクリル板、ポリエチレンテレフタレート板、塩化ビニル板、ポリスチレン板、ポリ塩化ビニリデン板等の樹脂板や、アルミ板、亜鉛版、銅版、鉄板等の金属板および、それらの表面を酸化処理したもの、ステンレス板、真ちゅう板等を用いることができる。微細繊維含有スラリーを基材上に塗工するには、上記基材に所定のスラリー量を塗工することが可能な各種コーターを使用すれば良い。特に限定されないが、例えば、ロールコーター、グラビアコーター、ダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、エアドクターコーター等が使用できる。中でもダイコーター、カーテンコーター、スプレーコーター、エアドクターコーター等の塗工方式によるものが均一な塗工には有効である。また、乾燥には、特に限定されないが、熱風乾燥や赤外線乾燥、真空乾燥等が有効である。基材に長尺の巻き取り状のものを使用してコーター塗工、乾燥してシートを形成することにより、連続的にシート製造が可能となる。基材上で形成したシートは基材と共に巻き取り、使用の際に基材から剥離して使用しても良いし、基材の巻取り前にシートを剥離し、基材とシートそれぞれを巻き取りとしても良い。
微細繊維含有シートの厚みには特に限定されないが、好ましくは1μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。又、通常1000μm以下、好ましくは5〜250μmである。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、例中の部、及び%は特に断らない限り、それぞれ質量部及び質量%を示す。
(実施例1)
<リン酸化試薬の調整>
尿素100gとリン酸二水素ナトリウム二水和物55.3g、リン酸水素二ナトリウム41.3gを109gの水に溶解させてリン酸化試薬を調整した。
<微細セルロース繊維の製造>
乾燥した針葉樹晒クラフトパルプの抄上げシートをカッターミル、およびピンミルで処理し、綿状の繊維にした。この綿状の繊維を絶乾重量で100g取り、リン酸化試薬をスプレーでまんべんなく吹きかけた後、手で練り合わせ、薬液含浸パルプを得た。
得られた薬液含浸パルプを140℃に加熱したダンパー付きの送風乾燥機にて、80分間加熱処理し、リン酸化パルプを得た。
得られたリン酸化パルプをパルプ質量で100g分取し、10Lのイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水して、脱水シートを得る工程を2回繰り返した。次いで、得られた脱水シートを10Lのイオン交換水で希釈し、攪拌しながら、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加し、pHが12〜13のパルプスラリーを得た。その後、このパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、10Lのイオン交換水を注ぎ、攪拌して均一に分散させた後、濾過脱水して、脱水シートを得る工程を2回繰り返した。
脱水洗浄後に得られたセルロース繊維にイオン交換水を添加し、0.5質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、解繊処理装置(エムテクニック社製、クレアミックス−11S)を用いて、6900回転/分の条件で180分間解繊処理した。その後、イオン交換水を添加してスラリー固形分濃度0.25質量%に調整し、冷却高速遠心分離機(コクサン社、H−2000B、RNローター、CKN1コレクタ)を用いて連続遠心を行った。この時、解繊液を送液ポンプにて100ml/分で送液し、18000G条件で遠心分離を行った。得られた上澄み液を回収し、微細セルロース繊維含有スラリーを得た。
得られた微細セルロース繊維含有スラリーにイオン交換水を添加し、0.215質量%のスラリーを調製した。調整したスラリー1.5Lに尿素を150g溶解させ、全量をパルプエアーバス式研究用マルチダイジェスター(マタリスチール社製、FIN-01450)の付属SUS製容器に分取し、100℃で1時間の加水分解処理を行った。加熱後のスラリーを一定量分取し、冷却高速遠心分離機(コクサン社、H−2000B)を用いて、15000G×10分の条件で遠心分離し、上澄みを除き、得られた沈殿に元の体積と等しくなるようイオン交換水を加え、分散させた。遠心分離、沈殿のイオン交換水への分散操作をもう一度時繰り返し、残留している尿素を取り除いた。
下記に記載([イオン交換樹脂を用いた微細セルロース繊維含有スラリーの処理])の方法によって脱塩を行い、置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーを得た。
[イオン交換樹脂を用いた微細セルロース繊維含有スラリーの処理]
イオン交換樹脂を用いた微細セルロース繊維含有スラリーの処理においては、微細セルロース繊維含有スラリーに体積で1/10のイオン交換樹脂を加え、1時間振とう処理を行った。その後、目開き90μmのメッシュ上に注ぎ、樹脂とスラリーを分離する処理を計3回行った。1回目はコンディショニング済みの強酸性イオン交換樹脂(例えば、アンバージェット1024;オルガノ株式会社)を用いて行った。2回目はコンディショニング済みの強塩基性イオン交換樹脂(例えば、アンバージェット4400;オルガノ株式会社)を用いて行った。3回目は1回目と同様に処理を行った。
(実施例2)
エアーバス式研究用マルチダイジェスターでの加熱時間を2時間とした以外は実施例1と同様にして、置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーを得た。
(実施例3)
エアーバス式研究用マルチダイジェスターでの加熱時間を4時間とした以外は実施例1と同様にして、置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーを得た。
(比較例1)
パルプエアーバス式研究用マルチダイジェスターに投入する前のスラリーに尿素を加えなかった以外は実施例1と同様にして、置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーを得た。
(比較例2)
エアーバス式研究用マルチダイジェスターでの加熱時間を2時間とした以外は比較例1と同様にして、置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーを得た。
(比較例3)
エアーバス式研究用マルチダイジェスターでの加熱時間を4時間とした以外は比較例1と同様にして、置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーを得た。
(比較例4)
エアーバス式研究用マルチダイジェスターでの反応温度を120℃とした以外は比較例1と同様にして、置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーを得た。
(比較例5)
エアーバス式研究用マルチダイジェスターでの加熱時間を2時間とした以外は比較例4と同様にして、置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーを得た。
(比較例6)
エアーバス式研究用マルチダイジェスターでの加熱時間を4時間とした以外は比較例4と同様にして、置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーを得た。
<評価>
上記の実施例1〜3および比較例1〜6の置換基脱離微細セルロース繊維含有スラリーについて、置換基量を以下に記載の方法([セルロース表面の置換基量測定])により測定した。測定結果を表1に示す。
[セルロース表面の置換基量測定]
絶乾質量で0.04g程度の固形分を含む微細セルロース繊維含有スラリーを分取し、イオン交換水を用いて50g程度に希釈した。この溶液のマグネチックスターラーを用いて撹拌しながら、0.01Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えていったときの電気伝導度の値の変化を測定し、その値が極小となる時の0.01N水酸化ナトリウム水溶液の滴下量を滴定終点における滴下量とした。
この時、セルロース表面の置換基量XはX(mmol/g)=0.01(mol/l)×V(ml)/W(g)で表される。ここで、V:0.01N水酸化ナトリウム水溶液の滴下量(ml)、W:微細セルロース繊維含有スラリーが含む固形分(g)である。
Figure 2015098526
尿素を共存させ、加熱加水分解処理を行った実施例1〜3では、尿素添加していない比較例1〜6に比べて、低温、短時間で置換基を離脱することができた。

Claims (7)

  1. 塩基性を示す窒素含有化合物の存在下において、リン酸由来のエステルおよび/またはカルボン酸由来のエステルを有する化合物を加熱する工程を含む、脱エステル化合物の製造方法。
  2. 塩基性を示す窒素含有化合物が、アミノ基を有する化合物である、請求項1に記載の脱エステル化合物の製造方法。
  3. 塩基性を示す窒素含有化合物が、尿素である、請求項1又は2に記載の脱エステル化合物の製造方法。
  4. リン酸由来のエステルおよび/またはカルボン酸由来のエステルを有する化合物が繊維である、請求項1から3の何れか1項に記載の脱エステル化合物の製造方法。
  5. 繊維の平均幅が2〜1000nmである、請求項4に記載の脱エステル化合物の製造方法。
  6. 繊維がセルロース繊維である、請求項5に記載の脱エステル化合物の製造方法。
  7. 請求項1から6の何れか1項に記載の方法により得られる脱エステル化合物を含むスラリーを調製する工程、及び前記スラリーを用いて抄紙法または塗工法によりシートを製造する工程を含む、シートの製造方法。
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