JP2008226547A - 電磁継電器 - Google Patents

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Eiji Nakagawa
栄治 中川
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Abstract

【課題】接点部に流れる電流の向きにかかわらず充分なアーク消弧機能を有する、小型の電磁継電器を提供すること。
【解決手段】通電により磁力を発生するコイルと、磁力によって開閉する接点部3と、該接点部3の側方に配され該接点部3に生じるアーク8を引き伸ばして消弧するための消弧用磁石体4とを有する電磁継電器1。接点部3の開閉方向及び消弧用磁石体4の磁極方向に直交する方向における消弧用磁石体4の両脇に、該消弧用磁石体4の磁束に基づくローレンツ力によってアーク8を引き伸ばすための消弧空間5を配置してなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、一対の接点同士の接触、非接触を切り替え、電流の通電、遮断を切り替える電磁継電器に関する。
従来より、電気自動車やハイブリッド車等の走行回路のリレーとして用いられ、電流の通電、遮断を切り替えるための電磁継電器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
該電磁継電器9は、図12、図13に示すごとく、図示しないコイルの磁力によって開閉する可動接点931と固定接点932とからなる接点部93とを有する。そして、一対の上記固定接点932は、図12、図13に示すごとく、固定ホルダ934に保持されており、一対の上記可動接点931は、互いに短絡するように可動ホルダ933に保持されている。
上記従来の電磁継電器9において、コイルへの通電時には、図13に示すごとく、コイルにより発生する磁力によって接点部93が閉じ、導通状態が形成される。
また、コイルへの非通電時には、コイルによる磁束が消滅する。これにより、図14に示すごとく、接点部93が開いて遮断状態が形成される。
上記導通状態から上記遮断状態へと移行する際には、図14に示すごとく、接点部93にアーク8が発生する場合がある。かかるアーク8を消弧させるために、従来の電磁継電器9には、図12、図13に示すごとく、接点部93を挟むように接点部93の側方に、消弧用磁石体94が配設されている。
すなわち、図12に示すごとく、接点部93の開閉方向から見て一対の接点部93の中心同士を結ぶ直線に略直交する方向における接点部93の両側に消弧用磁石体94が配設されている。そして、一対の上記消弧用磁石体94は対向する面が互いに異極となるよう配されており、図12における一対の消弧用磁石94の間に示される矢印の向きに磁束φが形成される。また、接点部93の中心同士を結ぶ直線の延長上にアーク8を消弧させるための消弧空間95が設けられている。
ここで、図15に示すごとく、接点部93にアーク8が発生した場合、上記一対の消弧用磁石体94によって形成される磁束φにより、アーク8には磁束φとアーク電流8とに直交する方向にローレンツ力が作用する。そして、同図に示すごとく、アーク8を上記消弧空間95側へと引き伸ばして消弧させる。
なお、図15、図16における符号φは、紙面の表側から裏側に向かって形成されている磁束を示しているものとする。
ところで、上記従来の電磁継電器9は、例えば、図示しないバッテリーと回転電機との間に設けられ、両者間の電流の通電、遮断を切り替える。それゆえ、電磁継電器9は、バッテリーから回転電機へ供給される力行方向の電流81が流れるだけでなく、回転電機からバッテリーへ回収される回生方向の電流82が流れる場合もある。
ところが、上記従来の電磁継電器9においては、力行方向の電流81が流れる場合には、図15に示すごとく、アーク8は消弧空間95側へ引き伸ばされるが、回生方向の電流82が流れる場合には、図16に示すごとく、アーク8が互いに接点部93と接点部93との間に引き伸ばされて短絡してしまうおそれがある。
これに対して、アーク8同士が短絡しないように一対の接点部93同士を離隔して配置することが考えられるが、この場合には電磁継電器9が大型化することとなる。
また、遮断状態における可動接点931と固定接点932との距離である接点部93のギャップが充分に確保されるよう構成することによりアーク電圧を上昇させることも考えられるが、この場合も電磁継電器9の大型化を招くおそれがある。
特開平7−235248号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、接点部に流れる電流の向きにかかわらず充分なアーク消弧機能を有する、小型の電磁継電器を提供しようとするものである。
本発明は、通電により磁力を発生するコイルと、上記磁力によって開閉する接点部と、該接点部の側方に配され該接点部に生じるアークを引き伸ばして消弧するための消弧用磁石体とを有する電磁継電器であって、
上記接点部の開閉方向及び上記消弧用磁石体の磁極方向に直交する方向における上記消弧用磁石体の両脇に、該消弧用磁石体の磁束に基づくローレンツ力によってアークを引き伸ばすための消弧空間を配置してなることを特徴とする電磁継電器にある(請求項1)。
次に、本発明の作用効果につき説明する。
本発明の電磁継電器は、上記消弧用磁石体の両脇に、上記消弧空間を配置してなる。これにより、接点部に流れる電流の向きにかかわらず充分なアーク消弧機能を有する、小型の電磁継電器を得ることができる。すなわち、上記接点部に生じるアークに対して上記消弧用磁石体の磁束に基づくローレンツ力は、消弧用磁石体の磁束及びアーク電流に直交するように作用する。
そのため、上記アークは、上記接点部の開閉方向及び消弧用磁石体の磁極方向に直交する方向における消弧用磁石体の両脇のいずれかへ引き伸ばされる。それゆえ、この部分、すなわち、上記接点部の開閉方向及び消弧用磁石体の磁極方向に直交する方向における消弧用磁石体の両脇のいずれかに消弧空間を設けておくことにより、アークを充分に引き伸ばして消弧することができる。
また、接点部に流れる電流の向きが逆になれば、ローレンツ力の向きも逆向きに作用する。すなわち、消弧用磁石体の両脇のいずれに向かってアークが引き伸ばされるかは、接点部に流れる電流の向きによって決まる。そのため、消弧用磁石体の両脇のいずれにも消弧空間を設けることにより、アーク電流の向きに、すなわち、接点部を流れる電流の向きにかかわらず、アークの消弧を充分に行うことができる。
また、かかる一対の消弧空間によりアークを充分に消弧することができるため、電磁継電器のコンパクト化を図ることができる。すなわち、遮断時における接点部のギャップを大きく設けなくても、上記一対の消弧空間によりアークを充分に消弧させることができる。また、例えば接点部が二つ形成されている場合などにおいても、アークを消弧させるための空間を設けるために接点部同士を比較的離隔して配置しなくても、アークを消弧空間へと引き伸ばすことができる。
その結果、接点部に流れる電流の向きにかかわらず充分なアーク消弧機能を有する、小型の電磁継電器を得ることができる。
以上のごとく、本発明によれば、接点部に流れる電流の向きにかかわらず充分なアーク消弧機能を有する、小型の電磁継電器を提供することができる。
本発明(請求項1)の電磁継電器は、例えば、電気自動車やハイブリッド車等の走行用高電圧回路のリレーとして用いられる。
また、上記電磁継電器は、本体に固定された一対の固定接点を保持する固定ホルダと、上記一対の固定接点に対向配置される一対の可動接点を短絡させた状態で保持する可動ホルダとを有し、上記接点部は、上記固定接点と上記可動接点とによって構成されていることが好ましい(請求項2)。
この場合には、接点部が二つ形成されるため、アークも二つ形成されることがある。そして、その二つのアークを消弧しようとする際、二つのアークを互いに近付く方向に引き伸ばすと、短絡故障の原因となる場合がある。それゆえ、かかる構成において、消弧空間を各接点部に対応する各消弧用磁石体の両脇に配置して、そこにアークを引き伸ばすようにすることにより、アーク電流の方向にかかわらず、二つのアーク同士が短絡することを効果的に防ぐことができる。
また、上記電磁継電器は、本体に固定された上記コイルにより発生する磁力によって軸方向に進退する可動コアと、該可動コアを上記可動ホルダ側へ押圧するコア付勢手段とを有し、上記コイルへの通電時には、該コイルに発生する磁力によって上記可動コアが上記コイル側へ吸引されることにより上記可動ホルダが上記固定ホルダ側へ移動して、上記一対の可動接点と上記一対の固定接点とが接触した導通状態が形成され、上記コイルへの非通電時には、上記可動コアが上記コア付勢手段によって上記可動ホルダ側へ押圧され、上記可動ホルダを上記固定ホルダから離れる方向に押圧して、上記可動接点と上記固定接点とが当接していない遮断状態が形成されることが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記導通状態と上記遮断状態とを円滑に切り替えることができる電磁継電器を得ることができる。そして、かかる構成を有する電磁継電器においても、接点部に流れる電流の向きにかかわらずアーク消弧機能を充分に確保することができるとともに、電磁継電器の小型化を図ることができる。
また、上記接点部の開閉方向からみたとき、一対の上記接点部の中心を結ぶ直線上に上記消弧用磁石体が配されていることが好ましい(請求項4)。
この場合には、接点部が導通状態にある際に、接点部が開く方向へローレンツ力が働くことを防ぐことができる。すなわち、仮に接点部に対して、一対の接点部の中心を結ぶ直線に直交する方向の位置に消弧用磁石体を配置した場合、電流に直交する方向に通過する磁束が比較的多くなる(図12参照)。それゆえ、可動ホルダを流れる電流の向きによっては可動ホルダを固定接点から遠ざける方向にローレンツ力(図15の符号f参照)が作用する場合がある。その結果、導通状態を安定して維持することが困難となるおそれがあるため、導通状態を安定させるべく接点部における接点圧を大きくする必要がある。
これに対して、上記直線状に消弧用磁石体を配置すれば、電流に直交する方向を通過する磁束をほとんどなくすことができる(図2参照)。それゆえ、上記のような方向へローレンツ力が作用することがなく安定した導通状態を確保することができるため、接点部における接点圧を大きくする必要がない。
また、アーク電流の向きにかかわらず、一対のアークの引き伸ばし方向を互いに離れる方向とすることができる。その結果、電磁継電器の一層の小型化が可能となる。
また、上記一対の消弧空間には、上記直線上に上記消弧用磁石体の磁束発生面の中心位置が配されていることが好ましい(請求項5)。
この場合には、より一層安定した導通状態を確保することができるとともに、より一層の小型化を図ることができる。
また、上記接点部の接触面を含む平面上に上記消弧用磁石体が配されていることが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記接点部の接触面において、上記消弧用磁石体による磁束密度を大きくすることができる。そのため、上記消弧用磁石体によって接点部に生じるアークを充分に消弧空間へ引き伸ばすことができ、効果的にアークを消弧することができる。
また、上記平面上に上記消弧用磁石体の磁束発生面の中心位置が配されていることが好ましい(請求項7)。
この場合には、上記接点部の接触面において、上記消弧用磁石体による磁束密度を充分に大きくすることができるため、より一層効果的にアークを消弧することができる。
また、上記接点部が配されるとともに上記消弧空間を含む継電空間と上記コイルが配される電磁空間とを上記電磁継電部の内部に有し、上記継電空間と上記電磁空間とは、互いに空気導通路によって連結されていることが好ましい(請求項8)。
この場合には、電磁継電器のより一層の小型化を図ることができる。すなわち、アークが発生すると、該アークの熱により継電空間の内圧が上昇する。そして、仮に上記とは異なり空気導通路が形成されていない場合において継電空間を小さくすると、継電空間の内圧上昇により接点部の開閉動作が鈍り、動作不良の原因となるおそれがある。
これに対して、上記のごとく空気導通路を形成して継電空間を電磁空間と連結することにより、継電空間を小さくしても継電空間の内圧上昇を抑制することができる。それゆえ、接点部の円滑な開閉動作を確保することができる。
その結果、電磁継電器のより一層の小型化を図ることができる。
本発明の実施例に係る電磁継電器につき、図1〜図10を用いて説明する。
本例の電磁継電器1は、図1〜図5、図8、図9示すごとく、通電により磁力を発生するコイル2と、上記磁力によって開閉する接点部3と、該接点部3の側方に配され該接点部3に生じるアーク8を引き伸ばして消弧するための消弧用磁石体4とを有する。
また、電磁継電器1は、図1、図2に示すごとく、上記接点部3の開閉方向及び上記消弧用磁石体4の磁極方向に直交する方向における上記消弧用磁石体4の両脇に、該消弧用磁石体4の磁束φに基づくローレンツ力によってアーク8を引き伸ばすための消弧空間5を配置してなる。
以下、詳細に説明する。
本例の電磁継電器1は、電気自動車やハイブリッド車等の走行用高電圧回路に組み込まれるリレーとして用いられる。
本例の電磁継電部1は、図8、図9に示すごとく、本体10に固定されたコイル2により発生する磁力によって軸方向に進退する可動コア11と、本体10に固定された一対の固定接点320を保持する固定ホルダ32と、一対の固定接点320に対向配置される一対の可動接点310を短絡させた状態で保持する可動ホルダ31と、可動コア11を可動ホルダ31側へ押圧するコア付勢手段12とを有する。
接点部3は、可動接点310と固定接点320とによって構成されている。
一対の可動接点310は、図1、図4、図5、図8〜図10に示すごとく、該可動接点310同士が短絡するよう金属プレートからなる可動ホルダ31に加締め又は溶接等により固定されている。
一対の固定接点320は、図8〜図10に示すごとく、金属プレートからなる固定ホルダ32に加締め又は溶接等によって固定されている。
また、固定ホルダ32は、図8〜図10に示すごとく、樹脂からなるポール13に固定されているとともに、図1、図2に示すごとく、その一端を外部端子321として外部に露出させている。
また、ポール13には、インサート成形、圧入等によって消弧用磁石体4が埋設されている。
消弧用磁石体4は、図4、図5、図8に示すごとく、磁束発生面40の中心位置402を接点部3の接触面30を含む平面P上に配している。
また、図1に示すごとく、接点部3の開閉方向からみたとき、一対の接点部3の中心を結ぶ直線L上に消弧用磁石体4の磁束発生面40の中心位置401が配されている。
すなわち、本例では消弧用磁石体4が略直方体形状に形成されているため、上記平面P上及び上記直線L上には消弧用磁石体4の重心が配されることとなる。
消弧空間5は、図1、図2、図8、図9に示すごとく、ポール13を介して消弧用磁石体4の両脇に配されている。
また、一対の消弧用磁石体4は、図1〜図5に示すごとく、対向する磁束発生面40が互いに異極となるように配置されている。すなわち、一方の消弧用磁石体4はS極4sを接点部31に対向させ、他方の消弧用磁石体4はN極4nを接点部31に対向させている。
可動コア11は、図8、図9に示すごとく、コイル2の内周孔20内を軸方向に進退するプランジャ111と、該プランジャ111に挿通保持されたシャフト112と、プランジャ111よりも可動ホルダ31側に配設されるとともに樹脂等の絶縁材料により形成された絶縁碍子113とからなる。プランジャ111とシャフト112と絶縁碍子113とは軸方向に一体的に進退することができるよう構成されている。
また、可動コア11は、図8、図9に示すごとく、該可動コア11を可動ホルダ31側へ押圧するコア付勢手段12によって付勢されている。
そして、該コア付勢手段12は、コア部15とプランジャ111との間に挟持された状態で配設されている。
コイル2の内周孔20を覆うよう配設されたボビン14の内側面140内には、図8、図9に示すごとく、磁性材料からなるコア部15が配設されている。
また、コイル2の周辺には、同図に示すごとく、磁性材料からなるヨーク16及びプレート17が設けられており、コイル2への通電により発生する磁束の経路を、コア部15とプランジャ111とプレート17とヨーク16とによって構成している。
また、電磁継電器1は、図10に示すごとく、その内部に、接点部が配されるとともに消弧空間5を含む継電空間300とコイル2が配される電磁空間200とを有する。そして、継電空間300と電磁空間200とは互いに空気導通路100によって連結されている。本例では、ヨーク16とポール13との間に空気導通路100が形成されている。
次に、本例の電磁継電器の動作につき詳細に説明する。
コイル2への通電時には、図8に示すごとく、一対の可動接点310と一対の固定接点320とが接触した導通状態が形成される。
すなわち、コイル2への通電により、コイル2の周囲に磁束が発生する。ここで、コイル2への通電によって発生する磁力はコア付勢手段12に付された付勢力よりも大きい。そのため、可動コア11は、図8に示すごとく、上記磁力によりコア部15に近付く方向に吸引される。一方、同図に示すごとく、コア付勢手段12はプランジャ111によってコイル2側へ押圧されて縮むこととなる。
また、可動ホルダ31は、図8に示すごとく、ホルダ付勢手段18によっても固定ホルダ32側へ押圧されている。そして、可動ホルダ31は、可動コア11に付随して固定ホルダ32側へと移動し、一対の可動接点310と一対の固定接点320とが接触する位置まで一体的に移動することとなる。
そして、可動接点310と固定接点320とが当接した後も、可動コア11はそのままコイル2側へと吸引されるため、このときに可動ホルダ31と可動コア11とが分離する。その後、可動コア11は、図8に示すごとく、シャフト112の先端部がコア部15内に設けられた底部150と接触する位置まで移動し、その位置で停止する。このとき、可動ホルダ31はホルダ付勢手段18によってコイル2側へ押圧され、可動接点310と固定接点320とは当接した状態を保つ。そして、可動接点310と固定接点320とが充分な接点圧をもって当接した状態を維持し、導通状態が形成される。
該導通状態においては、図5に示すごとく、固定ホルダ32の一端から流れてきた電流81が固定接点320へと達し、該固定接点320と接触している可動接点310へと流れる。次いで、その可動接点310から可動ホルダ31へと電流81が流れ、もう一方の可動接点310に達する。その後、その可動接点310から該可動接点310と接触している固定接点320へと電流81が流れ、固定ホルダ32の他端へと電流81は流れていく。
一方、コイル2への非通電時には、図9に示すごとく、可動接点310と固定接点320とが当接していない遮断状態が形成される。
該遮断状態では、コイル2への通電によって発生していた磁力が消滅するため、図8、図9に示すごとく、上記導通状態とは逆に、可動コア11がコア付勢手段12によって可動ホルダ31側へと押圧される。
すなわち、上記ホルダ付勢手段18の付勢力よりも上記コア付勢手段12の付勢力の方が大きいため、可動ホルダ31が可動コア11に押圧されて該可動コア11とともにコイル2から遠ざかる方向に移動していく。そして、一対の可動接点310と一対の固定接点320とが離れる方向に可動ホルダ31が移動して、可動接点310と固定接点320とが当接していない遮断状態が形成される。
ここで、導通状態から遮断状態へと移行する際には、可動接点310と固定接点320との間にアーク8が発生する場合がある。仮に本例とは異なり消弧用磁石体4がない場合には、可動接点310と固定接点320との間の最短距離を通過してアーク8が流れる(図14参照)。これにより、遮断状態においても電流81が流れて短絡状態を引き起こし、最悪の場合には、電磁継電器を破壊してしまうおそれがある。
これに対して、本例のように消弧用磁石体4を設けた場合において電流81が流れたとき、図6に示すごとくアーク8を引き伸ばして消弧空間5へと運び、消弧させることができる。ところで、電磁継電器1は、例えば、図示しないバッテリーと回転電機との間に設けられ、両者間の電流の通電、遮断を切り替える。それゆえ、電磁継電器1は、バッテリーから回転電機へ供給される力行方向の電流81が流れるだけでなく、回転電機からバッテリーへ回収される回生方向の電流82が流れる場合もある。
すなわち、例えば、力行方向に電流81が流れた場合には、図2、図5、図6に示すごとく、一対の消弧空間5のうち力行時消弧空間51へとアーク8は引き伸ばされる。一方、回生方向に電流82が流れた場合には、図3、図7に示すごとく、一対の消弧空間5のうち回生時消弧空間52とへアーク8は引き伸ばされる。これにより、電流の向きにかかわらずアーク8を消弧させることができる。なお、図1における破線の矢印で示されたアーク8は、回生方向の電流82が流れた場合のアークを示すものとする。
また、本例では、図1に示すごとく、二つの力行時消弧空間51同士あるいは二つの回生時消弧空間52同士が互いに対向しない位置に配設されている。
一方、図11に示すごとく、一対の消弧用磁石体4の対向する磁束発生面40が互いに同極となるように配置することもできる。かかる場合には、力行時消弧空間51同士及び回生時消弧空間52同士が対向する位置に配置されることとなる。
次に、本例の作用効果につき説明する。
本例の電磁継電器1は、図1、図2に示すごとく、消弧用磁石体4の両脇に、上記消弧空間5を配置してなる。これにより、接点部3に流れる電流の向きにかかわらず充分なアーク消弧機能を有する小型の電磁継電器1を得ることができる。すなわち、接点部3に生じるアーク8に対して消弧用磁石体4の磁束φに基づくローレンツ力は、消弧用磁石体4の磁束φ及びアーク電流8に直交する方向に作用する。
そのため、アーク8は、接点部3の開閉方向及び消弧用磁石体4の磁極方向に直交する方向における消弧用磁石体4の両脇のいずれかへ引き伸ばされる。それゆえ、この部分、すなわち、可動接点31の移動方向及び消弧用磁石体4の磁極方向に直交する方向における消弧用磁石体4の両脇のいずれかに消弧空間5を設けておくことにより、アーク8を充分に引き伸ばして消弧することができる。
また、接点部3に流れる電流の向きが逆になれば、図2、図3、図6、図7に示すごとく、ローレンツ力の向きも逆向きに作用する。すなわち、消弧用磁石体4の両脇のいずれに向かってアーク8が引き伸ばされるかは、接点部3に流れる電流の向きによって決まる。そのため、消弧用磁石体4の両脇のいずれにも消弧空間5を設けることにより、アーク電流8の向きに、すなわち、接点部3を流れる電流の向きにかかわらず、アーク8の消弧を充分に行うことができる。
また、かかる一対の消弧空間5によりアーク8を充分に消弧することができるため、電磁継電器1のコンパクト化を図ることができる。すなわち、遮断時における可動接点31と固定接点32との間のギャップを大きく設けなくても、上記一対の消弧空間5によりアーク8を充分に消弧させることができる。また、例えば接点部3が二つ形成されている場合などにおいても、アーク8を消弧させるための空間を設けるために接点部3同士を比較的離隔して配置しなくても、アーク8を消弧空間5へと引き伸ばすことができる。
その結果、接点部3に流れる電流の向きにかかわらず充分なアーク消弧機能を有する、小型の電磁継電器1を得ることができる。
また、図1、図2に示すごとく、上記接点部3の開閉方向からみたとき、一対の上記接点部の中心を結ぶ直線L上に上記消弧用磁石体4の磁束発生面40の中心位置401が配されている。これにより、接点部3が導通状態にある際に、接点部3が開く方向へローレンツ力が働くことを防ぐことができる。すなわち、仮に接点部3に対して、一対の接点部3の中心を結ぶ直線Lに直交する方向の位置に消弧用磁石体4を配置した場合、電流81に直交する方向に通過する磁束φが比較的多くなる(図12参照)。それゆえ、可動ホルダ31を流れる電流の向きによっては可動ホルダ31を固定接点320から遠ざける方向にローレンツ力(図15の符号f参照)が作用する場合がある。その結果、導通状態を安定して維持することが困難となるおそれがあり(図12、図15参照)、この問題を解決するためには、付勢手段18が可動ホルダ31に与える接点圧を大きくする必要がある。
これに対して、上記直線状に消弧用磁石体4を配置すれば、電流81に直交する方向を通過する磁束φがほとんどなくすことができる(図2、図3、図5参照)。それゆえ、上記のような方向へローレンツ力が作用することはなく、より一層安定した導通状態を確保することができる。つまり、付勢手段18が可動ホルダ31に与える接点圧を低減することができる。
また、アーク電流8の向きにかかわらず、一対のアーク8の引き伸ばし方向を互いに離れる方向とすることができる。これらの結果、電磁継電器1のより一層の小型化が可能となる。
また、図4、図5、図8、図9に示すごとく、平面P上に消弧用磁石体4の磁束発生面40の中心位置402が配されているため、接点部3の接触面30において、消弧用磁石体4による磁束密度を大きくすることができる。そのため、消弧用磁石体4によって接点部3に生じるアーク8を充分に消弧空間5へ引き伸ばすことができ、効果的にアーク8を消弧することができる。
また、図10に示すごとく、継電空間300と電磁空間200とを電磁継電部1の内部に有し、継電空間300と電磁空間200とは、互いに空気導通路100によって連結されている。これにより、電磁継電器1のより一層の小型化を図ることができる。すなわち、アーク8が発生すると、該アーク8の熱により継電空間300の内圧が上昇する。そして、仮に上記とは異なり空気導通路100が形成されていない場合において継電空間300を小さくすると、継電空間300の内圧上昇により接点部3の開閉動作が鈍り、動作不良の原因となるおそれがある。
これに対して、上記のごとく空気導通路100を形成して継電空間300を電磁空間200と連結することにより、継電空間300を小さくしても継電空間300の内圧上昇を抑制することができる。それゆえ、接点部3の円滑な開閉動作を確保することができる。
その結果、電磁継電器1のより一層の小型化を図ることができる。
以上のごとく、本例によれば、接点部に流れる電流の向きにかかわらず充分なアーク消弧機能を有する、小型の電磁継電器を提供することができる。
実施例における、電磁継電器の横断面説明図。 実施例における、消弧用磁石体の磁力の向きとアークの移動方向との関係を示す説明図。 実施例における、回生方向に電流が流れた場合のアークの移動方向を示す説明図。 実施例における、導通状態における接点部と消弧用磁石体との位置状態を示す説明図。 実施例における、導通状態における電流の向きと消弧用磁石体による磁束の向きとを示す説明図。 図5におけるA−A線断面説明図。 実施例における、回生方向に電流が流れた場合のA−A線断面説明図。 実施例における、導通状態における電磁継電器の縦断面説明図。 実施例における、遮断状態における電磁継電器の縦断面説明図。 実施例における、電磁空間と継電空間との関係を示す縦断面説明図。 実施例における、消弧用磁石体の磁極の向きを変更した場合の電磁継電器の横断面説明図。 従来例における、電磁継電器の横断面説明図。 従来例における、導通状態における接点部と消弧用磁石体との位置状態を示す説明図。 従来例における、消弧用磁石体がない場合のアークを示す説明図。 従来例における、遮断状態におけるアークと電流の向きと消弧用磁石体による磁束の向きとを示す説明図。 従来例における、電流の向きが逆になった場合のアークと電流の向きと消弧用磁石体による磁束の向きとを示す説明図。
符号の説明
1 電磁継電器
2 コイル
3 接点部
4 消弧用磁石体
5 消弧空間
8 アーク
φ 磁束

Claims (8)

  1. 通電により磁力を発生するコイルと、上記磁力によって開閉する接点部と、該接点部の側方に配され該接点部に生じるアークを引き伸ばして消弧するための消弧用磁石体とを有する電磁継電器であって、
    上記接点部の開閉方向及び上記消弧用磁石体の磁極方向に直交する方向における上記消弧用磁石体の両脇に、該消弧用磁石体の磁束に基づくローレンツ力によってアークを引き伸ばすための消弧空間を配置してなることを特徴とする電磁継電器。
  2. 請求項1において、上記電磁継電器は、本体に固定された一対の固定接点を保持する固定ホルダと、上記一対の固定接点に対向配置される一対の可動接点を短絡させた状態で保持する可動ホルダとを有し、上記接点部は、上記固定接点と上記可動接点とによって構成されていることを特徴とする電磁継電器。
  3. 請求項2において、上記電磁継電器は、本体に固定された上記コイルにより発生する磁力によって軸方向に進退する可動コアと、該可動コアを上記可動ホルダ側へ押圧するコア付勢手段とを有し、上記コイルへの通電時には、該コイルに発生する磁力によって上記可動コアが上記コイル側へ吸引されることにより上記可動ホルダが上記固定ホルダ側へ移動して、上記一対の可動接点と上記一対の固定接点とが接触した導通状態が形成され、上記コイルへの非通電時には、上記可動コアが上記コア付勢手段によって上記可動ホルダ側へ押圧され、上記可動ホルダを上記固定ホルダから離れる方向に押圧して、上記可動接点と上記固定接点とが当接していない遮断状態が形成されることを特徴とする電磁継電器。
  4. 請求項2又は3において、上記接点部の開閉方向からみたとき、一対の上記接点部の中心同士を結ぶ直線上に上記消弧用磁石体が配されていることを特徴とする電磁継電器。
  5. 請求項4において、上記直線上に上記消弧用磁石体の磁束発生面の中心位置が配されていることを特徴とする電磁継電器。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項において、上記接点部の接触面を含む平面上に上記消弧用磁石体が配されていることを特徴とする電磁継電器。
  7. 請求項6において、上記平面上に上記消弧用磁石体の磁束発生面の中心位置が配されていることを特徴とする電磁継電器。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項において、上記接点部が配されるとともに上記消弧空間を含む継電空間と上記コイルが配される電磁空間とを上記電磁継電器の内部に有し、上記継電空間と上記電磁空間とは、互いに空気導通路によって連結されていることを特徴とする電磁継電器。
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