JP2008202930A - 減圧乾燥装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】減圧乾燥処理と加熱処理とを迅速に行うとともに全体として装置の占有面積を低減させ、かつ、非加熱時の基板に対する熱的影響が少ない減圧乾燥装置を提供する。
【解決手段】減圧乾燥装置1は、チャンバ10の内部を減圧する機能を備えるとともに、チャンバ10内の基板を加熱するための加熱部30を備えている。このため、減圧乾燥装置1は、基板に対して減圧乾燥処理を行った後、基板を搬送することなく加熱することができる。したがって、減圧乾燥処理および加熱処理を迅速に行うことができる。また、加熱処理のために別個の装置を設置する必要がないので、全体として装置の占有面積を低減することができる。また、加熱部30は、基板9を上方側から加熱するため、非加熱時の余熱が基板9に影響を与える恐れも少ない。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、PDP(プラズマ・ディスプレイ・パネル)用ガラス基板、光ディスク用基板等の基板に対して減圧乾燥処理を行う減圧乾燥装置に関する。
従来より、基板の製造工程においては、フォトレジスト等の薄膜が塗布された基板に対して減圧乾燥処理を行う減圧乾燥装置が知られている。減圧乾燥装置は、所定のチャンバ内に基板を搬入した後、排気ポンプによってチャンバ内のガスを吸引排気し、チャンバの内部を減圧する。これにより、基板上の薄膜の中の溶媒成分が気化し、薄膜が乾燥する。従来の減圧乾燥装置の構成は、例えば特許文献1に開示されている。
また、従来の基板の製造工程では、このような減圧乾燥装置において減圧乾燥処理がされた基板を、その後、他の加熱装置や冷却装置に順次に搬送し、これらの装置において基板に対して加熱処理および冷却処理を順次に行っていた。これにより、基板上の薄膜の乾燥を更に促進させ、薄膜を硬化させていた。
特開2006−105524号公報
しかしながら、従来の装置構成では、加熱装置における加熱時に基板上の薄膜中の溶媒成分が突沸することを防止するためには、減圧乾燥装置において十分に時間を掛けて減圧乾燥処理を行う必要があった。特に、近年では、処理対象となる基板のサイズが大型化しているため、減圧乾燥処理に要する時間は更に増大している。
また、従来では、上記のように減圧乾燥装置と加熱装置とが別体の装置として構成されていた。このため、減圧乾燥処理と加熱処理との間に、減圧乾燥装置から加熱装置に基板を搬送する必要があった。したがって、減圧乾燥処理と加熱処理とを迅速に行うことが困難であり、また、全体として装置の占有面積が大きくなっていた。
一方、減圧乾燥装置のチャンバ内に加熱機構を設置しようとすると、非加熱時にも加熱機構の余熱が基板に熱的影響を与えてしまう恐れがあった。このような余熱による熱的影響は、薄膜の突沸や乾燥ムラの原因となる場合があるため、望ましくなかった。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、減圧乾燥処理と加熱処理とを迅速に行うとともに全体として装置の占有面積を低減させ、かつ、非加熱時の基板に対する熱的影響が少ない減圧乾燥装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、基板の主面に形成された薄膜を減圧乾燥する減圧乾燥装置において、基板の周囲を覆うチャンバと、前記チャンバの内部において、主面を上方に向けた状態で基板を支持する支持手段と、前記チャンバの内部を減圧する減圧手段と、前記支持手段に支持された基板を上方側から加熱する加熱手段と、を備え、前記加熱手段は、前記減圧手段による減圧が開始され、所定時間が経過した後に基板に熱を与えることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の減圧乾燥装置において、前記加熱手段は、光を照射することで熱を発生させるランプヒータと、前記ランプヒータから発生する熱を拡散する拡散板とを有することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に記載の減圧乾燥装置において、前記加熱手段と基板との間の距離を調節する第1の距離調節手段を更に備えることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の減圧乾燥装置において、前記第1の距離調節手段は、前記加熱手段による加熱時に、前記加熱手段と基板とを徐々に接近させることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の減圧乾燥装置において、前記減圧手段は、前記加熱手段による加熱時に前記チャンバ内を復圧させることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の減圧乾燥装置において、前記加熱手段に対して気体を供給する加熱部パージ手段を更に備えることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項6までのいずれかに記載の減圧乾燥装置において、基板が前記支持手段に支持されるときの前記チャンバ内における基板位置の温度は、40℃以下であることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項1から請求項7までのいずれかに記載の減圧乾燥装置において、前記チャンバの内部において、基板を下方側から冷却する冷却手段を更に備えることを特徴とする。
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の減圧乾燥装置において、前記冷却手段と基板との間の距離を調節する第2の距離調節手段を更に備えることを特徴とする。
請求項10に係る発明は、請求項8または請求項9に記載の減圧乾燥装置において、前記支持手段に支持された基板に対して気体を供給する基板パージ手段を更に備えることを特徴とする。
請求項11に係る発明は、請求項10に記載の減圧乾燥装置において、前記基板パージ手段は、前記冷却手段による冷却が開始され、所定時間が経過した後に気体の供給を開始することを特徴とする。
請求項1〜8に記載の発明によれば、減圧乾燥装置は、基板の周囲を覆うチャンバと、チャンバの内部において主面を上方に向けた状態で基板を支持する支持手段と、支持手段を昇降させる昇降手段と、チャンバの内部を減圧する減圧手段と、支持手段に支持された基板を上方側から加熱する加熱手段と、を備える。このため、減圧乾燥装置は、基板に対して減圧乾燥処理を行った後、基板を搬送することなく加熱することができる。このため、減圧乾燥処理と加熱処理とを迅速に行うことができ、全体として装置の占有面積も低減される。また、加熱手段は基板を上方側から加熱するため、非加熱時には基板に対する熱的影響が少ない。また、加熱手段は、減圧手段による減圧が開始され、所定時間が経過した後に基板に熱を与える。このため、加熱手段が基板に熱を与えるときには既に減圧乾燥処理がある程度進行しており、薄膜の突沸や加熱ムラを防止しつつ、基板を加熱することができる。
特に、請求項2に記載の発明によれば、加熱手段は、光を照射することで熱を発生させるランプヒータと、ランプヒータから発生する熱を拡散する拡散板とを有する。このため、ランプヒータから照射された光および熱を拡散板を介して基板の表面に到達させ、基板の上面を均一に加熱することができる。また、ランプヒータは非加熱時の余熱が極めて小さいため、非加熱時に基板に熱的影響を与える恐れが小さい。
特に、請求項3に記載の発明によれば、減圧乾燥装置は、加熱手段と基板との間の距離を調節する第1の距離調節手段を更に備える。このため、基板に対する加熱の強さを調節することができる。
特に、請求項4に記載の発明によれば、第1の距離調節手段は、加熱手段による加熱時に、加熱手段と基板とを徐々に接近させる。このため、薄膜の突沸や加熱ムラを防止しつつ、基板に対する加熱効率を向上させることができる。
特に、請求項5に記載の発明によれば、減圧手段は、加熱手段による加熱時にチャンバ内を復圧させる。このため、加熱手段から基板への熱の伝搬効率を向上させて基板の上面を効率よく加熱することができる。
特に、請求項6に記載の発明によれば、減圧乾燥装置は、加熱手段に対して気体を供給する加熱部パージ手段を更に備える。このため、加熱手段の余熱を低減させることができる。
特に、請求項7に記載の発明によれば、基板が支持手段に支持されるときのチャンバ内における基板位置の温度は、40℃以下である。このため、基板が支持手段に支持されたときに、未乾燥の薄膜に対して突沸などのムラの原因となる悪影響が発生することを防止することができる。
特に、請求項8に記載の発明によれば、減圧乾燥装置は、チャンバの内部において基板を下方側から冷却する冷却手段を更に備える。このため、減圧乾燥装置は、基板に対して減圧乾燥処理および加熱処理を行った後、基板を搬送することなく冷却することができる。このため、減圧乾燥処理、加熱処理、および冷却処理を迅速に行うことができ、全体として装置の占有面積も低減する。また、冷却手段は基板を下方側から冷却するため、非冷却時には基板に対する熱的影響が少ない。
特に、請求項9に記載の発明によれば、減圧乾燥装置は、冷却手段と基板との間の距離を調節する第2の距離調節手段を更に備える。このため、基板に対する冷却の強さを調節することができる。
特に、請求項10に記載の発明によれば、減圧乾燥装置は、支持手段に支持された基板に対して気体を供給する基板パージ手段を更に備える。このため、基板の上面側をより迅速かつ均一に冷却することができる。
特に、請求項11に記載の発明によれば、基板パージ手段は、冷却手段による冷却が開始され、所定時間が経過した後に気体の供給を開始する。このため、基板をより緩やかに冷却することができ、冷却ムラの発生をより低減させることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
<1.減圧乾燥装置の全体構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る減圧乾燥装置1の構成を示した縦断面図である。図1には、減圧乾燥装置1に接続される吸排気系や駆動系の構成も概念的に示されている。この減圧乾燥装置1は、液晶表示装置用の角形ガラス基板(以下、単に「基板」という)9の表面を選択的にエッチングするフォトリソグラフィ工程において、レジスト塗布後の基板9に対して減圧乾燥処理およびそれに続く加熱・冷却処理を行うための装置である。図1に示したように、減圧乾燥装置1は、チャンバ10と、基板保持部20と、加熱部30と、冷却部40と、給気部50と、排気部60とを備えている。
チャンバ10は、基板に対して減圧乾燥処理、加熱処理、および冷却処理を行うための処理空間を内部に有する耐圧容器である。チャンバ10は、互いに分離可能なベース部11と蓋部12とを有している。ベース部11は、装置フレーム(図示省略)上に固定設置されている。また、蓋部12には、図1において概念的に示した昇降機構12aが接続されており、昇降機構12aを動作させると、ベース部11に対して蓋部12が上下に昇降移動する。蓋部12を下降させたときには、ベース部11と蓋部12とが当接して一体となり、その内部に基板9の処理空間が形成される。一方、蓋部12を上昇させたときには、チャンバ10が開放され、チャンバ10の内部と外部との間で基板9を搬送できる状態となる。
ベース部11の上面の周縁部には、シリコンゴムなどで構成されたOリング13が設けられている。蓋部12が下降したときには、ベース部11の上面と蓋部12の下面との間がOリング13によって密閉され、チャンバ10内部の処理空間は気密状態となる。
基板保持部20は、チャンバ10の内部において基板9を保持するための機構である。基板保持部20は、複数の基板保持ピン21を有しており、各基板保持ピン21の頭部を基板9の下面に当接させることにより、基板9を水平姿勢に支持する。複数の基板保持ピン21は、チャンバ10の外部に配置された1つの支持部材22上に立設されており、それぞれベース部11および後述する冷却プレート41を貫通してチャンバ10の内部に突き出している。
また、支持部材22には、図1において概念的に示した昇降機構23が接続されている。このため、昇降機構23を動作させると、支持部材22および複数の基板保持ピン21が一体として上下に昇降移動する。減圧乾燥装置1は、複数の基板保持ピン21上に基板9を保持しつつ、昇降機構23を動作させることにより、チャンバ10内における基板9の高さ位置を調節することができる。
加熱部30は、チャンバ10内において、基板保持部20に保持された基板9の上面を加熱するための機構である。加熱部30は、加熱源となる複数本の棒状ランプヒータ31と、ランプヒータ31から照射される光および熱を拡散させる拡散板32とを有している。複数のランプヒータ31は、チャンバ10の蓋部12の下面側に所定の治具(図示省略)を介して取り付けられており、水平(図1の紙面に直交する方向)かつ全体として基板9の上方を覆うように配列されている。ランプヒータ31は、オンオフ性能に優れており、照射時には基板9に対して大きな熱量を与えるものの、停止した後の余熱は極めて小さい。また、ランプヒータ31は、基板9よりも上方側に配置されている。このため、ランプヒータ31を停止させた後の僅かな余熱が基板9に影響を与える恐れも少ない。
拡散板32は、チャンバ10の蓋部12の下面側に所定の治具(図示省略)を介して取り付けられており、複数のランプヒータ31と基板9との間に水平に配置されている。拡散板32は、例えば石英ガラスにより構成されている。ランプヒータ31を動作させると、ランプヒータ31から照射された光および熱は拡散板32を介して均一化されつつ基板9の表面に到達し、基板9の上面を加熱する。また、複数の基板保持ピン21上に基板9を保持し、上記の昇降機構23を動作させると、基板9と拡散板32との間の距離が変化する。減圧乾燥装置1は、このように基板9と拡散板32との間の距離を変化させることにより、基板9に対する加熱の強さを調節することができる。
冷却部40は、チャンバ10内において、基板保持部20に保持された基板9を冷却するための機構である。冷却部40は、チャンバ10のベース部11に固定的に取り付けられた冷却プレート41を有しており、冷却プレート41の内部には冷却水を通すための冷却水路42が形成されている。冷却水路42の上流側の端部は、配管43aおよび開閉弁43bを介して冷却水供給源43cに接続されている。また、冷却水路42の下流側の端部は、配管43dを介して排液ラインに接続されている。このため、開閉弁43bを開放すると、冷却水供給源43cから冷却水路42に冷却水が供給され、冷却プレート41が冷却される。そして、冷却水によって低温化された冷却プレート41が基板9から放射される熱を吸収することにより、基板9が冷却される。
複数の基板保持ピン21上に基板9を保持し、上記の昇降機構23を動作させると、基板9と冷却プレート41との間の距離が変化する。減圧乾燥装置1は、このように基板9と冷却プレート41との間の距離を変化させることにより、基板9に対する冷却の強さを調節することができる。また、冷却プレート41は、基板9よりも下方側に配置されている。このため、非冷却時には、冷却プレート41が基板9に熱的影響を与える恐れは少ない。
給気部50は、チャンバ10内に窒素ガスを供給するための配管系である。給気部50は、チャンバ10の蓋部12に形成された吐出部51a,51b,51cと、これらの吐出部51a,51b,51cに窒素ガスを送給するための配管部52とを有している。配管部52は、複数の配管52a,52b,52c,52dと、複数の開閉弁52e,52f,52gと、窒素ガス供給源52hを組み合わせて構成されている。
吐出部51a,51b,51cには、それぞれ配管52a,52b,52cが接続されており、各配管52a,52b,52cの経路途中には開閉弁52e,52f,52gが介挿されている。また、配管52a,52b,52cの上流側の端部は1つの配管52dに接続されており、配管52dの更に上流側の端部には窒素ガス供給源52hが接続されている。このため、開閉弁52e,52f,52gを開放すると、窒素ガス供給源52hから吐出部51a,51b,51cにそれぞれ窒素ガスが送給され、各吐出部51a,51b,51cからチャンバ10の内部に向けて窒素ガスが吐出される。
吐出部51a,51b,51cのうち、吐出部51aおよび51cは、ランプヒータ31の上方側に吐出口が設けられている。このため、吐出部51a,51cから吐出された窒素ガスは、ランプヒータ31および拡散板32に対して吹き付けられ、ランプヒータ31および拡散板32を冷却する効果を有する。また、吐出部51bは、拡散板32を貫通して拡散板32の下面側まで延設されており、拡散板32の下方側に吐出口が設けられている。このため、吐出部51bから吐出された窒素ガスは、基板9の上面に対して吹き付けられ、基板9を冷却する効果を有する。吐出部51bは、基板9の中心位置に向けて窒素ガスを吹き付ける。このため、吐出部51bから吐出された窒素ガスは、基板9の上面に沿って中心位置から外周側へ拡散し、基板9の全体を効率よく冷却する。
排気部60は、チャンバ10内のガスを吸引排気するための配管系である。排気部60は、チャンバ10のベース部11に形成された排気口61a,61bと、これらの排気口61a,61bから吸引したガスを排気ラインへ送給するための配管部62とを有している。配管部62は、複数の配管62a,62b,62cと、開閉弁62dと、排気ポンプ62eとを組み合わせて構成されている。
排気口61a,61bには、それぞれ配管62a,62bが接続されており、配管62a,62bの下流側の端部は合流して1つの配管62cとなる。また、配管62cの経路途中には、開閉弁62dと排気ポンプ62eとが介挿されており、配管62cの更に下流側の端部は排気ラインに接続されている。このため、開閉弁62dを開放するとともに排気ポンプ62eを動作させると、チャンバ10内のガスが排気口61a,61bに吸引され、配管部62を経由して排気ラインへ排気される。
排気ポンプ62eは、その排気力を調節することができる。排気ポンプ62eの排気力を調節すると、チャンバ10内のガスを強力に吸引してチャンバ10内を減圧する状態と、チャンバ10内を大きく減圧することなく排気する状態とを切り替えることができる。
また、減圧乾燥装置1は、上記各部の動作を制御するための制御部70を備えている。図2は、減圧乾燥装置1の上記各部と制御部70との接続構成を示したブロック図である。図2に示したように、制御部70は、上記の昇降機構12a,23、ランプヒータ31、開閉弁43b,52e,52f,52g,62d、および排気ポンプ62eと電気的に接続されており、これらの動作を制御する。制御部70は、例えば、CPUやメモリを有するコンピュータによって構成され、コンピュータにインストールされたプログラムに従ってコンピュータが動作することにより、上記各部の制御を行う。
<2.減圧乾燥装置の動作>
続いて、上記構成を有する減圧乾燥装置1の動作について、図3のフローチャートおよび図4〜図8の動作状態図を参照しつつ説明する。なお、以下に説明する動作は、制御部70が、上記の昇降機構12a,23、ランプヒータ31、開閉弁43b,52e,52f,52g,62d、排気ポンプ62e等の動作を制御することにより進行する。
この減圧乾燥装置1において基板9を処理するときには、まず、上面にフォトレジストが塗布された基板9をチャンバ10内に搬入する(ステップS1,図4の状態)。具体的には、まず、減圧乾燥装置1は、昇降機構12aによりチャンバ10の蓋部12を上昇させる。そして、所定の搬送ロボット80により基板9をチャンバ10の内部に搬入し、複数の基板保持ピン21上に基板9を載置する。基板9の搬入が完了すると、搬送ロボット80はチャンバ10の外部へ退避し、減圧乾燥装置1は、チャンバ10の蓋部12を下降させてチャンバ10の内部を密閉する。
ここで、基板9を搬入したときのチャンバ10内の温度(より正確には、チャンバ10内において基板9を載置する位置の温度)が高すぎると、基板9の上面の未乾燥のフォトレジストが加熱されて突沸を起こし、基板9の上面に処理ムラが発生してしまう。このため、基板9を搬入するときには、チャンバ10内の温度をある程度低くしておくことが望ましい。表1は、本実施形態の減圧乾燥装置1において、基板9の搬入時におけるチャンバ10内の温度と、処理後の基板9の表面状態との関係を調べた結果を示している。表1において、「○」は、処理後の基板9の表面に処理ムラが確認されなかったことを示し、「△」は、処理後の基板9の表面に部分的に処理ムラが確認されたことを示し、「×」は、基板9の表面に全体的に処理ムラが確認されたことを示している。表1の結果から、基板9を基板保持ピン21上に載置するときには、チャンバ10内の温度を40℃以下としておくことが望ましく、35℃以下としておけばより望ましいことが分かる。
Figure 2008202930
次に、減圧乾燥装置は、チャンバ10内の減圧を開始する(ステップS2,図5の状態)。具体的には、減圧乾燥装置1は、排気部60の開閉弁62dを開放するとともに排気ポンプ62eを動作させ、チャンバ10の内部のガスを排気口61a,61bから強制排気することにより、チャンバ10の内部を減圧する。チャンバ10の内部が減圧されると、基板9の表面に塗布されたフォトレジストに含まれる溶媒成分が気化する。これにより、基板9上のフォトレジストが乾燥する。
図9は、チャンバ10内の圧力の変化を示した図である。減圧乾燥装置1は、減圧開始直後の一定時間の間は、排気ポンプ62eの排気力を比較的弱めに設定する。これにより、図9中のT1のように、チャンバ10の内部を緩やかに減圧する。そして、減圧開始から一定時間が経過した後、減圧乾燥装置1は、排気ポンプ62eの排気力を上昇させ、図9中のT2のように、チャンバ10の内部を強力に減圧する。このように、減圧乾燥装置1は、チャンバ10の内部を2段階に分けて減圧する。これにより、チャンバ10内の急激な圧力変化を防止し、基板9上のフォトレジストに含まれる溶媒成分が突沸することを回避する。
減圧開始から所定時間が経過すると、減圧乾燥装置1は、チャンバ10の内部の減圧を継続しつつ基板9の加熱を開始する(ステップS3,図6の状態)。具体的には、減圧乾燥装置1は、ランプヒータ31を動作させ、拡散板32を介して基板9の上面を均一に加熱する。これにより、基板9上のフォトレジストに含まれる溶媒成分を昇温させ、溶媒成分の気化を更に促進させる。このように、減圧乾燥装置1は、処理空間の減圧と、基板9に対する加熱とを併用し、フォトレジストの乾燥効率を向上させる。
その後、減圧乾燥装置1は、排気ポンプ62eの排気力を低下させるとともに給気部の開閉弁52e,52f,52gを開放することによりチャンバ10内に窒素ガスを供給する。これにより、図9中のT3に示したように、チャンバ10の内部を常圧Poよりもやや低い圧力(例えば、1×104〜1×105Pa)まで復圧させる。そして、減圧乾燥装置1は、チャンバ10内の圧力を上昇させた状態で、ランプヒータ31による加熱を継続する。
チャンバ10内の圧力が上昇すると、ランプヒータ31から基板9への熱の伝搬効率が向上する。このため、基板9の上面は効率よく加熱され、フォトレジスト中の溶媒成分の気化が更に進行する。また、ここでは、チャンバ10からの排気が継続されているため、フォトレジストから気化した溶媒成分は、速やかにチャンバ10の外部に排出される。したがって、チャンバ10の内部が溶媒成分により汚染される恐れは少ない。また、この時点では、フォトレジストの乾燥がある程度進行している。このため、基板9の上面を強力に加熱しても、フォトレジスト中の溶媒成分が突沸する恐れはない。
また、基板9を加熱するときには、基板保持部20の昇降機構23を断続的あるいは連続的に動作させ、基板9を徐々に上昇させる。これにより、基板9に対する加熱の強さ(基板9に与えられる熱量)を徐々に上昇させ、溶媒成分の突沸や加熱ムラを防止しつつ、加熱効率を向上させる。ランプヒータ31と基板9との間には拡散板32が配置されているため、フォトレジストから気化した溶媒成分がランプヒータ31に付着してランプヒータ31の表面を汚染させる恐れはない。
所定時間の加熱が終了すると、減圧乾燥装置1は、ランプヒータ31を停止させて基板9の加熱を終了する。ランプヒータ31は、オンオフ性能に優れており、かつ、チャンバ10内において基板9よりも上方側に配置されている。このため、ランプヒータ31を停止させた後の余熱が基板9に熱的影響を与える恐れは少ない。特に、次回の基板搬入時に、ランプヒータ31の余熱が熱対流によって基板9に伝わり、基板9を加熱してしまう恐れは少ない。
続いて、減圧乾燥装置1は、冷却部40による基板9の冷却を開始する(ステップS4,図7の状態)。具体的には、減圧乾燥装置1は、開閉弁43bを開放することにより冷却プレート41内の冷却水路42に冷却水を供給し、冷却プレート41を冷却する。そして、冷却された冷却プレート41が基板9から放射される熱を吸収することにより、基板9が冷却される。
冷却処理時においても、減圧乾燥装置1は、吐出部51a,51b,51cからの窒素ガスの吐出を継続している。吐出部51bから吐出された窒素ガスは、基板9の上面に吹き付けられ、基板9の冷却を促進させる。このため、基板9の上面側は、より迅速かつ均一に冷却される。また、吐出部51aおよび51cから吐出された窒素ガスは、ランプヒータ31および拡散板32に対して吹き付けられ、ランプヒータ31や拡散板32の冷却を促進させる。このため、ランプヒータ31および拡散板32の余熱が更に低減され、基板9はより均一に冷却される。
また、基板9を冷却するときには、基板保持部20の昇降機構23を断続的あるいは連続的に動作させ、基板9を徐々に降下させる。これにより、基板9に対する冷却の強さ(基板9から吸収する熱量)を徐々に上昇させ、冷却ムラを防止しつつ冷却効率を向上させる。やがて、基板保持ピン21の頭部が冷却プレート41の上面よりも下方まで降下すると、基板9は基板保持ピン21上から冷却プレート41上に移載され、基板9は、冷却プレート41上に接触保持された状態で直接的に冷却される。
その後、減圧乾燥装置1は、冷却後の基板9をチャンバ10から搬出する(ステップS5,図8の状態)。具体的には、減圧乾燥装置1は、排気ポンプ62eを停止させることによってチャンバ10の内部を常圧まで復圧させる。そして、減圧乾燥装置1は、複数の基板保持ピン21を上昇させることにより、冷却プレートから基板9を離間させる。その後、減圧乾燥装置1は、昇降機構12aによりチャンバ10の蓋部12を上昇させ、チャンバ10の内部に搬送ロボット80を挿入するとともに、基板保持ピン21上の基板9を搬送ロボット80が受け取ってチャンバ10の外部へ搬出する。以上をもって、1枚の基板9に対する減圧乾燥処理、加熱処理、および冷却処理が終了する。
以上のように、この減圧乾燥装置1は、チャンバ10の内部を減圧する機能を備えるとともに、チャンバ10内の基板を加熱するための加熱部30と、チャンバ10内の基板を冷却するための冷却部40とを備えている。このため、減圧乾燥装置1は、基板に対して減圧乾燥処理を行った後、基板を搬送することなく加熱・冷却することができる。したがって、減圧乾燥処理、加熱処理、および冷却処理を全体として迅速に行うことができる。また、加熱処理および冷却処理のために、それぞれ別個の装置を設置する必要がないので、全体として装置の占有面積を低減することができる。
また、この減圧乾燥装置1の加熱部30は、基板9を上方側から加熱する。このため、非加熱時の余熱が基板9に影響を与える恐れは少ない。また、この減圧乾燥装置1の冷却部40は、基板9の下方側に配置されている。このため、非冷却時に冷却プレート41が基板9に熱的影響を与える恐れは少ない。したがって、加熱ムラや冷却ムラを発生させることなく、基板9を加熱および冷却することができる。
また、加熱部30は、チャンバ10内の減圧が開始され、所定時間が経過した後に基板9に熱を与える。このため、加熱部30が基板に熱を与えるときには、既にフォトレジストの減圧乾燥処理がある程度進行している。したがって、フォトレジストの突沸や、急激な乾燥によって加熱が不均一となることなどを防止しつつ、基板9を加熱することができる。
<3.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の例に限定されるものではない。例えば、上記の例では、ステップS4の冷却処理において吐出部51a,51b,51cからの窒素ガスの吐出を行っていたが、冷却処理の初期段階では窒素ガスの吐出を行わず、冷却処理の途中から窒素ガスの吐出を行うようにしてもよい。このようにすれば、基板9をより緩やかに冷却することができるため、冷却ムラの発生をより低減させることができる。
また、上記の例では、減圧乾燥処理(ステップS2)の途中から基板9の加熱(ステップS3)を開始していたが、他のタイミングで加熱を開始してもよい。例えば、減圧乾燥処理が完了し、チャンバ10の内部を復圧させた後に基板9の加熱を開始してもよい。また、減圧乾燥処理の初期段階(例えば、図9中のT1の間)に基板9の加熱を開始してもよい。なお、加熱部30は、ステップS3よりも前において必ずしも停止させておく必要はない。例えば、ステップS3よりも前において、基板9に熱を与えない程度にランプヒータ31を予熱しておき、ステップS3において、ランプヒータ31の出力を上げて基板9に熱を与えるようにしてもよい。
また、上記の例では、基板保持ピン21を昇降移動させることにより、加熱部30に対して基板9を接近および離間させていたが、基板9の高さ位置を固定し、基板9に対して加熱部30を接近および離間させる構成であってもよい。例えば、ランプヒータ31および拡散板32を1つの支持部材に接続し、所定の昇降機構によって支持部材を昇降させることにより、ランプヒータ31および拡散板32を一体的に昇降移動させる構成としてもよい。また、同様に、冷却プレート41を昇降移動させる構成としてもよい。
また、上記の例では、加熱部30にランプヒータ31を使用していたが、ランプヒータ31の代わりにニクロム線などの他の加熱源を使用してもよい。ただし、ランプヒータ31は非加熱時の余熱が極めて小さく、必要なときにだけ基板9に熱量を与えることができるという利点を有する。
また、上記の例では、石英ガラスにより構成された拡散板32を使用していたが、アルミニウム(Al)等の金属により構成された拡散板32を使用してもよい。ただし、石英ガラスにより構成された拡散板32は、蓄熱量が極めて小さく、必要なときにだけ基板9に熱量を伝達できるという利点を有する。
また、上記の減圧乾燥装置は、液晶表示装置用の角形ガラス基板を処理するものであったが、本発明の減圧乾燥装置は、半導体ウエハ、PDP用ガラス基板、光ディスク用基板等の他の基板に対して処理を行うものであってもよい。
本発明の一実施形態に係る減圧乾燥装置の縦断面図である。 制御部と各部との接続構成を示したブロック図である。 減圧乾燥装置による処理の流れを示したフローチャートである。 減圧乾燥装置の動作状態図である。 減圧乾燥装置の動作状態図である。 減圧乾燥装置の動作状態図である。 減圧乾燥装置の動作状態図である。 減圧乾燥装置の動作状態図である。 チャンバ内の圧力の変化を示した図である。
符号の説明
1 減圧乾燥装置
9 基板
10 チャンバ
20 基板保持部
21 基板保持ピン
23 昇降機構
30 加熱部
31 ランプヒータ
32 拡散板
40 冷却部
41 冷却プレート
50 給気部
51a,51b,51c 吐出部
52e,52f,52g 開閉弁
60 排気部
62e 排気ポンプ
70 制御部

Claims (11)

  1. 基板の主面に形成された薄膜を減圧乾燥する減圧乾燥装置において、
    基板の周囲を覆うチャンバと、
    前記チャンバの内部において、主面を上方に向けた状態で基板を支持する支持手段と、
    前記チャンバの内部を減圧する減圧手段と、
    前記支持手段に支持された基板を上方側から加熱する加熱手段と、
    を備え、
    前記加熱手段は、前記減圧手段による減圧が開始され、所定時間が経過した後に基板に熱を与えることを特徴とする減圧乾燥装置。
  2. 請求項1に記載の減圧乾燥装置において、
    前記加熱手段は、
    光を照射することで熱を発生させるランプヒータと、
    前記ランプヒータから発生する熱を拡散する拡散板と
    を有することを特徴とする減圧乾燥装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の減圧乾燥装置において、
    前記加熱手段と基板との間の距離を調節する第1の距離調節手段を更に備えることを特徴とする減圧乾燥装置。
  4. 請求項3に記載の減圧乾燥装置において、
    前記第1の距離調節手段は、前記加熱手段による加熱時に、前記加熱手段と基板とを徐々に接近させることを特徴とする減圧乾燥装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれかに記載の減圧乾燥装置において、
    前記減圧手段は、前記加熱手段による加熱時に前記チャンバ内を復圧させることを特徴とする減圧乾燥装置。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれかに記載の減圧乾燥装置において、
    前記加熱手段に対して気体を供給する加熱部パージ手段を更に備えることを特徴とする減圧乾燥装置。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれかに記載の減圧乾燥装置において、
    基板が前記支持手段に支持されるときの前記チャンバ内における基板位置の温度は、40℃以下であることを特徴とする減圧乾燥装置。
  8. 請求項1から請求項7までのいずれかに記載の減圧乾燥装置において、
    前記チャンバの内部において、基板を下方側から冷却する冷却手段を更に備えることを特徴とする減圧乾燥装置。
  9. 請求項8に記載の減圧乾燥装置において、
    前記冷却手段と基板との間の距離を調節する第2の距離調節手段を更に備えることを特徴とする減圧乾燥装置。
  10. 請求項8または請求項9に記載の減圧乾燥装置において、
    前記支持手段に支持された基板に対して気体を供給する基板パージ手段を更に備えることを特徴とする減圧乾燥装置。
  11. 請求項10に記載の減圧乾燥装置において、
    前記基板パージ手段は、前記冷却手段による冷却が開始され、所定時間が経過した後に気体の供給を開始することを特徴とする減圧乾燥装置。
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