JP2008153159A - 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、有機EL層のパターニングが容易であり、有機EL層による電極層のダメージを低減することが可能であり、発光特性に優れる有機EL素子の製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、基板、第1電極層、濡れ性変化層、有機EL層および第2電極層が順次積層されており、上記濡れ性変化層が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化し、上記エネルギーに対して不活性であり、表面に、オルガノポリシロキサンを含有する親液性領域およびフッ素を含むオルガノポリシロキサンを含有する撥液性領域からなる濡れ性変化パターンを有することを特徴とする有機EL素子を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する層を用いて、有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELと略す場合がある。)層のパターニングを行う有機EL素子の製造方法、およびそれにより得られる有機EL素子に関するものである。
EL素子は、対向する2つの電極から注入された正孔および電子が発光層内で結合し、そのエネルギーで発光層中の蛍光物質を励起し、蛍光物質に応じた色の発光を行うものであり、自発光の面状表示素子として注目されている。その中でも、有機物質を発光材料として用いた有機ELディスプレイは、印加電圧が10V弱であっても高輝度な発光が実現するなど発光効率が高く、単純な素子構造で発光が可能で、特定のパターンを発光表示させる広告その他低価格の簡易表示ディスプレイへの応用が期待されている。
一般に、EL素子を用いたディスプレイの製造にあっては、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層等を含む有機EL層のパターニングがなされている。発光層のパターニング方法としては、発光材料をシャドウマスクを介して蒸着する方法、インクジェットによる塗り分け方法、紫外線照射により特定の発光色素を破壊する方法、スクリーン印刷法等の種々のパターニング方法が提案されている。また、インクジェットによる塗り分け方法では、高精細な微細パターンを得るために、パターン状の隔壁(バンク)を形成して、隔壁表面を撥インク処理することが提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。さらに、発光層のパターニング方法として、高精細なパターンの形成を可能とする光触媒を用いる方法も提案されている(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。
この光触媒を用いる有機EL層のパターニング方法は、光触媒を含有する層がエネルギー照射されると、それに伴う光触媒の作用から、光触媒を含有する層の濡れ性が変化することを利用したものである。すなわち、この濡れ性の違いによるパターンを利用することにより、有機EL層をパターン状に形成するのである。このように光触媒を用いる有機EL層のパターニング方法は、エネルギーの照射のみで濡れ性の違いによるパターンを形成することができることから、有機EL層のパターニングに要する手間を大幅に省略することができる点で有用な方法である。
しかしながら、このような光触媒を用いて有機EL層をパターニングする方法においては、通常、酸化チタン等の光触媒が粒状等であることから、光触媒を含有する層の表面状態が荒れることがある。このため、発光層等の有機EL層と光触媒を含有する層との界面での障壁が大きくなり、電荷の移動が妨げられ、発光特性が低下するという問題がある。また、光触媒を含有する層の表面状態の荒れによって、比較的厚みの薄い発光層に膜厚むらが生じたり、電極間で短絡が生じたりするという問題もある。
このような問題を解決するために、光触媒を含有する層が形成された基板を用いて、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する層と光触媒を含有する層とを対向させてエネルギーを照射し、層表面の濡れ性を変化させ、濡れ性の違いによるパターンを形成する方法が開示されている(例えば、特許文献5および特許文献6参照)。
特許文献5には、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する電荷注入輸送層を用いた、有機EL層のパターニング方法が開示されている。この電荷注入輸送層は、オルガノポリシロキサン等のバインダと光触媒とを含有する、あるいは、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)等の一般的に電荷注入輸送層に用いられる材料を含有するものである。前者の場合、電荷注入輸送層が光触媒を含んでいるため、表面状態の荒れをさらに改善することが望まれる。また、後者の場合、電荷注入輸送層に、一般的に電荷注入輸送層に用いられる材料が使用されるため、良好な濡れ性の変化が得られない場合がある。
また、特許文献6には、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層を用いた、有機EL層のパターニング方法が開示されている。この濡れ性変化層は、正孔等を通過させることを可能とするために、導電性材料が含有されていることが好ましいとされている。しかしながら、特許文献6には、パターン形成体の製造方法について詳しく記載されているものの、有機EL素子の構成やその製造方法については詳細に記載されていない。
さらに、特許文献5には、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層を用いた、有機EL層のパターニング方法も開示されている。この方法は、分解除去層がエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去されて、分解除去層の下地層が露出している領域と、エネルギーが照射されず、分解除去層が形成されている領域とで、濡れ性が異なることを利用して、有機EL層をパターニングするというものである。この場合、分解除去層の下地層、例えば電極層が露出している領域の上に、有機EL層が形成される。
特許第3601716号公報 特許第3646510号公報 特開2001−257073号公報 特開2002−231446号公報 特開2004−71286号公報 特開2005−300926号公報
ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)のような、酸がドーピングされた材料には、酸性または中性を示すものがある。上記のエネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解除去される分解除去層を用いた、有機EL層のパターニング方法において、例えば、ITO膜等の電極層が露出している領域上に正孔注入層を形成する場合、正孔注入層に酸性を示すPEDOT/PSSを用いると、このPEDOT/PSSの酸性によって電極層が溶解する等のダメージを受けるおそれがある。正孔注入層には、PEDOT/PSSのような、酸がドーピングされた材料を用いることが多く、酸がドーピングされた材料として酸性を示すものを用いる場合には、正孔注入層に含まれる酸の影響による電極層のダメージを低減することが望まれる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、有機EL層のパターニングが容易であり、有機EL層による電極層のダメージを低減することが可能であり、発光特性に優れる有機EL素子の製造方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、基板と、上記基板上にパターン状に形成された第1電極層と、上記第1電極層上に形成され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化し、上記エネルギーに対して不活性であり、表面に、上記第1電極層のパターン上に配置され、オルガノポリシロキサンを含有する親液性領域、および、上記第1電極層のパターンの開口部上に配置され、フッ素を含むオルガノポリシロキサンを含有する撥液性領域からなる濡れ性変化パターンを有する濡れ性変化層と、上記濡れ性変化層の親液性領域上に形成され、少なくとも発光層を含む有機EL層と、上記有機EL層上に形成された第2電極層とを有することを特徴とする有機EL素子を提供する。
ここで、フッ素は極めて低い表面エネルギーを有するものである。本発明においては、濡れ性変化層表面の親液性領域がオルガノポリシロキサンを含有し、撥液性領域がフッ素を含むオルガノポリシロキサンを含有しているので、親液性領域および撥液性領域を比べると、親液性領域の方が臨界表面張力が大きくなるといえる。本発明によれば、この撥液性領域および親液性領域の濡れ性の違いを利用して、親液性領域上にのみ有機EL層を形成することができ、有機EL層を容易にパターニングすることが可能な有機EL素子とすることができる。
また、本発明における濡れ性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化するが、エネルギーに対して不活性であるので、光触媒を実質的に含有していない。したがって、濡れ性変化層の平滑性は良好であり、濡れ性変化層と有機EL層との界面における障壁を低減することができ、発光特性を向上させることが可能である。
さらに、本発明によれば、第1電極層と有機EL層との間に濡れ性変化層が形成されているので、有機EL層が第1電極層に直接接触することがない。このため、例えば濡れ性変化層上に酸性を示す材料を用いた正孔注入輸送層が形成されている場合には、濡れ性変化層によって第1電極層が保護され、正孔注入輸送層に含まれる酸の影響による第1電極層のダメージを低減することができる。
上記発明においては、上記有機EL層が正孔注入輸送層を含み、上記正孔注入輸送層が上記濡れ性変化層および上記発光層の間に形成されていることが好ましい。上述したように、正孔注入輸送層に酸性を示す材料を用いた場合には、正孔注入輸送層に含まれる酸の影響による第1電極層のダメージを低減することができる。そのため、本発明は、上記の構成である場合に特に有用である。
また本発明においては、上記濡れ性変化層の膜厚が20nm以下であることが好ましい。濡れ性変化層の膜厚が上記範囲であれば、外部電界により電荷がトンネル注入されるためである。
さらに本発明においては、上記基板上の上記第1電極層のパターンの開口部に、絶縁層が形成されていてもよい。この場合には、第1電極層および絶縁層の上に濡れ性変化層が形成され、親液性領域が第1電極層上に配置され、撥液性領域が絶縁層上に配置されるので、絶縁層を隔壁として利用することができ、有機EL層を精度良くパターニングすることができるからである。
また、本発明は、電極層が形成された基板上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層を形成する濡れ性変化層形成工程と、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記濡れ性変化層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記濡れ性変化層表面に親液性領域および撥液性領域からなる濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、上記親液性領域上に、少なくとも発光層を含む有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを有することを特徴とする有機EL素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、光触媒処理層を介して濡れ性変化層にエネルギー照射することにより、濡れ性変化パターンを形成し、この濡れ性変化パターンの濡れ性の違いを利用することにより、有機EL層を容易にパターニングすることが可能である。また、光触媒は光触媒処理層に含まれており、この光触媒処理層を有する光触媒処理層基板は濡れ性変化パターン形成工程後に濡れ性変化層から取り外されるため、濡れ性変化層には光触媒が含まれておらず、濡れ性変化層と有機EL層との界面での障壁を低減して、発光特性を向上させることができる。
さらに、本発明によれば、電極層上に濡れ性変化層を形成し、この濡れ性変化層上に有機EL層を形成するので、電極層上に直接有機EL層を形成することがない。このため、濡れ性変化層上に酸性を示す材料を用いて正孔注入輸送層を形成した場合には、濡れ性変化層によって電極層が保護され、正孔注入輸送層に含まれる酸の影響による電極層のダメージを低減することができる。
上記発明においては、上記光触媒処理層基板にて、上記基体上に上記光触媒処理層がパターン状に形成されていてもよい。この場合、エネルギー照射の際には、光触媒処理層に面する濡れ性変化層表面のみ、濡れ性が変化するので、フォトマスクやレーザ光を用いる必要がなく、全面にエネルギーを照射することができる。したがって、濡れ性変化パターンの形成に有利である。
また、上記光触媒処理層基板にて、上記基体上に遮光部がパターン状に形成されていてもよい。この場合、エネルギー照射に際して、フォトマスクを用いたり、レーザ光による描画照射を行ったりする必要がない。したがって、上記の場合と同様に、濡れ性変化パターンの形成に有利である。
さらに本発明においては、上記有機EL層形成工程が、上記親液性領域上に正孔注入輸送層を形成する正孔注入輸送層工程と、上記正孔注入輸送層上に上記発光層を形成する発光層形成工程とを有することが好ましい。上述したように、酸性を示す材料を用いて正孔注入輸送層を形成した場合には、正孔注入輸送層に含まれる酸の影響による電極層のダメージを低減することができるからである。
また本発明においては、上記濡れ性変化層が、YSiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示されるケイ素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物または共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンを含有することが好ましい。濡れ性変化層に用いられる材料としては、光触媒の作用により濡れ性が変化するものであり、かつ、光触媒の作用により分解されない程度の結合エネルギーが必要であることから、上記のようなオルガノポリシロキサンが好ましいのである。
さらに本発明においては、上記濡れ性変化層形成工程前に、上記電極層がパターン状に形成された基板上の上記電極層のパターンの開口部に、上記濡れ性変化パターン形成工程にて照射されるエネルギーを反射または吸収する絶縁層を形成する絶縁層形成工程を行ってもよい。このような絶縁層が形成されている場合は、濡れ性変化パターン形成工程にて、基板側から全面にエネルギーを照射することができ、フォトマスクやレーザ光を用いる必要がないからである。
本発明においては、第1電極層と有機EL層との間に濡れ性変化層が形成されているので、例えば第1電極層上に酸性を示す材料を用いた正孔注入輸送層が形成されている場合には、正孔注入輸送層に含まれる酸の影響による第1電極層のダメージを低減することができるという効果を奏する。また、濡れ性変化層は実質的に光触媒を含有していないので、濡れ性変化層の平滑性を向上させることができ、良好な発光特性を得ることができるという効果を奏する。
以下、本発明の有機EL素子およびその製造方法について詳細に説明する。
A.有機EL素子
本発明の有機EL素子は、基板と、上記基板上にパターン状に形成された第1電極層と、上記第1電極層上に形成され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化し、上記エネルギーに対して不活性であり、表面に、上記第1電極層のパターン上に配置され、オルガノポリシロキサンを含有する親液性領域、および、上記第1電極層のパターンの開口部上に配置され、フッ素を含むオルガノポリシロキサンを含有する撥液性領域からなる濡れ性変化パターンを有する濡れ性変化層と、上記濡れ性変化層の親液性領域上に形成され、少なくとも発光層を含む有機EL層と、上記有機EL層上に形成された第2電極層とを有することを特徴とするものである。
本発明の有機EL素子について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。図1に例示する有機EL素子1においては、基板2上に、第1電極層3がパターン状に形成され、この第1電極層3のパターンの開口部に絶縁層4が形成され、第1電極層3および絶縁層4の上に濡れ性変化層5が形成され、濡れ性変化層5の表面に親液性領域11および撥液性領域12からなる濡れ性変化パターンが形成され、親液性領域11上に正孔注入層6および発光層7が順に積層された有機EL層8が形成され、発光層7上に第2電極層9が形成されている。濡れ性変化層5表面の親液性領域11は、オルガノポリシロキサンを含有しており、第1電極層3のパターン上に配置されている。また、濡れ性変化層5表面の撥液性領域12は、フッ素を含むオルガノポリシロキサンを含有しており、第1電極層3のパターンの開口部上、すなわち絶縁層4上に配置されている。
ここで、フッ素は極めて低い表面エネルギーを有するものである。このため、フッ素を多く含有する物質の表面は、臨界表面張力がより小さくなる。すなわち、フッ素の含有量が多い部分の表面の臨界表面張力に比較して、フッ素の含有量が少ない部分の臨界表面張力は大きくなる。
本発明においては、濡れ性変化層表面の親液性領域はオルガノポリシロキサンを含有し、濡れ性変化層表面の撥液性領域はフッ素を含むオルガノポリシロキサンを含有しているので、撥液性領域のフッ素含有量は、親液性領域のフッ素含有量に比べて多いということができる。したがって、撥液性領域の臨界表面張力に比較して、親液性領域の臨界表面張力は大きくなるということができる。
このように、撥液性領域と親液性領域とでは臨界表面張力が異なり、すなわち濡れ性が異なるので、この撥液性領域および親液性領域の濡れ性の違いを利用して、親液性領域上にのみ有機EL層を形成することができる。したがって、複雑なパターニング工程や、高価な真空設備を要することなく、有機EL層を容易にパターニングすることが可能な有機EL素子とすることができる。
本発明における濡れ性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化するものである。例えば、濡れ性変化層と光触媒を含有する層とを所定の間隙をおいて対向させ、光触媒を含有する層に紫外線等を照射したとする。紫外線等が光触媒に照射されると、スーパーオキサイドラジカル(・O )やヒドロキシラジカル(・OH)などの活性酸素種が発生する。この活性酸素種の強力な酸化・還元力により、濡れ性変化層に含まれる有機物が分解される。これにより、濡れ性変化層の濡れ性が変化する。
図2は、本発明の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図2(a)に示すように、基板2上に第1電極層3をパターン状に形成し、この第1電極層3のパターンの開口部に絶縁層4を形成し、第1電極層3および絶縁層4の上に濡れ性変化層5を形成する。次に、図2(b)に示すように、基体22と、この基体22上にパターン状に形成された遮光部23と、遮光部23を覆うように基体22上に形成され、光触媒を含有する光触媒処理層24とを有する光触媒処理層基板21を準備する。次いで、光触媒処理層基板21の光触媒処理層24と、濡れ性変化層5とが向かい合うように配置し、紫外線27を照射する。紫外線27の照射により、図2(c)に示すように、光触媒処理層24に含有される光触媒の作用から、濡れ性変化層5の紫外線照射部分では、フッ素を含有するオルガノポリシロキサンのフッ素を含む側鎖が分解されてフッ素含有量が低下し、液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する。このフッ素含有量が低下した領域が親液性領域11となる。一方、紫外線未照射部分では、フッ素を含有するオルガノポリシロキサンがそのまま残るので、フッ素含有量が変化せず、濡れ性が変化しない。このフッ素含有量が変化しない領域が撥液性領域12となる。そして、光触媒処理層基板21を、濡れ性変化層5から取り外す。次に、図2(d)に示すように、親液性領域11および撥液性領域12の濡れ性の違いを利用して、親液性領域11上にのみ正孔注入層6および発光層7を形成し、有機EL層8とする。次に、図2(e)に示すように、有機EL層8上に第2電極層9を形成する。
濡れ性変化層自体が光触媒を含有していなくても、光触媒を含有する光触媒処理層を介して濡れ性変化層にエネルギーを照射することにより、光触媒の作用によって濡れ性変化層表面の濡れ性を変化させることができるのである。
また、本発明における濡れ性変化層は、エネルギーに対して不活性である。ここで、エネルギーとは、光触媒を作用させる際に照射されるエネルギーをいい、具体的には紫外線等が挙げられる。また、濡れ性変化層がエネルギーに対して不活性であるとは、紫外線等が濡れ性変化層に照射された際に、濡れ性変化層の構成材料が何ら反応しないことをいう。
上述したように、本発明における濡れ性変化層は、光触媒の作用によって反応し得るものであり、光触媒の存在がなければ、エネルギーを照射されても反応しない。すなわち、濡れ性変化層がエネルギーに対して不活性であるとは、具体的には、濡れ性変化層が実質的に光触媒を含有しないことをいう。
なお、濡れ性変化層が実質的に光触媒を含有しないとは、濡れ性変化層中の光触媒の含有量が1重量%以下であることをいう。
このように、本発明における濡れ性変化層は実質的に光触媒を含有しないので、平滑性が良好であり、濡れ性変化層と有機EL層との界面における障壁を低減することができる。これにより、駆動電圧を低減させ、輝度や発光効率を高めるなど、発光特性を向上させることが可能である。また、電極間の短絡を防止することも可能である。
さらに、本発明においては、図1に例示するように、第1電極層3と有機EL層8との間に濡れ性変化層5が形成されているので、有機EL層8が第1電極層3に直接接触することがない。また、濡れ性変化層表面の親液性領域はオルガノポリシロキサンを含有し、撥液性領域はフッ素を含むオルガノポリシロキサン含有しており、濡れ性変化層はオルガノポリシロキサンから構成されている。このオルガノポリシロキサンは、シロキサン結合(−Si−O−)を主骨格としており、緻密な膜を形成することができる。すなわち、濡れ性変化層は緻密な膜であるということができる。
このため、例えば、正孔注入層6に酸性を示す材料を用いた場合には、正孔注入層が第1電極層に直接接触することがなく、緻密な膜である濡れ性変化層によって第1電極層が正孔注入層から保護されるので、正孔注入層に含まれる酸の影響による第1電極層のダメージを低減することができる。これにより、酸の影響によって、第1電極層が溶解して、第1電極層の正孔注入機能が低下したり、第1電極層の構成材料が正孔注入層中に溶出して、正孔注入層の正孔注入機能が低下したりするのを抑制することができる。その結果、寿命特性の向上を図ることができる。
以下、本発明の有機EL素子の各構成について説明する。
1.濡れ性変化層
本発明における濡れ性変化層は、第1電極層上に形成されるものであり、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化し、エネルギーに対して不活性である。また、濡れ性変化層は、表面に、第1電極層のパターン上に配置され、オルガノポリシロキサンを含有する親液性領域と、第1電極層のパターンの開口部上に配置され、フッ素を含むオルガノポリシロキサンを含有する撥液性領域とからなる濡れ性変化パターンを有している。
ここで、親液性領域とは、撥液性領域よりも液体との接触角が小さい領域をいい、有機EL層形成用塗工液に対する濡れ性の良好な領域である。また、撥液性領域とは、親液性領域よりも液体との接触角が大きい領域をいい、有機EL層形成用塗工液に対する濡れ性が悪い領域である。なお、隣接する領域の液体との接触角より、液体との接触角が1°以上低い場合には親液性領域、隣接する領域の液体との接触角より、液体との接触角が1°以上高い場合には撥液性領域とする。
撥液性領域においては、有機EL層形成用塗工液が有する表面張力と同等の表面張力の液体に対する接触角が21°超であることが好ましく、より好ましくは30°以上、さらに好ましくは40°以上である。撥液性領域は撥液性が要求される部分であるため、上記液体との接触角が小さすぎると、撥液性が十分でなく、撥液性領域にも有機EL層形成用塗工液が付着する可能性があるからである。
また、親液性領域においては、有機EL層形成用塗工液が有する表面張力と同等の表面張力の液体に対する接触角が20°以下であることが好ましく、より好ましくは15°以下、さらに好ましくは10°以下である。上記液体との接触角が高すぎると、有機EL層形成用塗工液が濡れ広がりにくくなる可能性があり、有機EL層が欠ける等の可能性があるからである。
なお、液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製 CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして求めることができる。この測定に際しては、種々の表面張力を有する液体として、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いることとする。
撥液性領域はフッ素を含むオルガノポリシロキサンを含有するものであり、親液性領域はオルガノポリシロキサンを含有するものである。上述したように、フッ素は極めて低い表面エネルギーを有するものであるので、フッ素を多く含有する物質の表面は、臨界表面張力がより小さくなる。したがって、撥液性領域のフッ素含有量は、親液性領域のフッ素含有量に比べて多く、撥液性領域の臨界表面張力に比較して、親液性領域の臨界表面張力は大きくなるといえる。濡れ性変化層は、表面に、このような撥液性領域および親液性領域からなる濡れ性変化パターンを有するので、濡れ性変化層上に有機EL層を形成する際には、撥液性領域および親液性領域の濡れ性の違いを利用して、親液性領域上のみに有機EL層を形成することができるのである。
親液性領域中のフッ素含有量としては、撥液性領域中のフッ素含有量を100とした場合に、50以下であることが好ましく、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下である。なお、この比率は重量を基準としたものである。フッ素含有量の比率を上記範囲とすることにより、撥液性領域および親液性領域の濡れ性に大きな違いを生じさせることができる。したがって、上述したように、濡れ性変化層上に有機EL層を形成する際には、フッ素含有量が少ない親液性領域のみに正確に有機EL層を形成することができ、高精細な有機EL層のパターンを得ることができる。
なお、フッ素含有量の測定は、一般的に行われている種々の方法を用いることができ、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy, ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも称される。)、蛍光X線分析法、質量分析法等の定量的に表面のフッ素の量を測定できる方法を用いることができる。
撥液性領域を構成する、フッ素を含有するオルガノポリシロキサンとしては、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水牲や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。このようなフッ素を含有するオルガノポリシロキサンは、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する材料であり、かつ、光触媒の作用により劣化、分解しにくい主鎖を有するものであるため、撥液性領域に好適に用いることができるのである。
上記(1)の場合、フッ素を含有するオルガノポリシロキサンとしては、一般式:
SiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Yがフルオロアルキル基である場合、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示し、Yがアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基である場合、Xはフッ素を示す。nは0〜3までの整数である。)
で示されるケイ素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物または共加水分解縮合物であることが好ましい。Yで示される基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましい。また、Xで示されるアルコキシル基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。上記式で示されるケイ素化合物としては、具体的には、特開2000−249821号公報に記載されているもの等を用いることができる。
特に、フッ素を含有するオルガノポリシロキサンは、フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンであることが好ましい。フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンとしては、具体的には、特開2000−249821号公報に記載されているフルオロアルキルシランの1種または2種以上の加水分解縮合物または共加水分解縮合物が挙げられ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られたものを使用することができる。
フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンを用いた場合には、撥液性領域の撥液性が大きく向上するので、撥液性領域への有機EL層の成膜を妨げることでき、親液性領域のみに有機EL層を成膜することが可能となる。
なお、撥液性領域中にフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンが含有されていることは、X線光電子分光法、ラザフォード後方散乱分光法、核磁気共鳴分光法、または質量分析法を用いて確認することができる。
また、上記の(2)の場合、フッ素を含有するオルガノポリシロキサンに用いられる反応性シリコーンとしては、下記化学式1で表される骨格をもつ化合物を挙げることができる。
Figure 2008153159
ここで、nは2以上の整数であり、R、Rはそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基またはシアノアルキル基であり、モル比で全体の40%以下がフッ化フェニルである。また、R、Rがメチル基であるものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
さらに、撥液性領域は、上記のフッ素を含有するオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコーン化合物を含有していてもよい。
親液性領域は、撥液性領域よりもフッ素含有量が少ない領域である。例えば図2(b)および(c)に示すように、濡れ性変化層5に光触媒を含有する光触媒処理層24を介して紫外線27等のエネルギーを照射した際、光触媒処理層24に含まれる光触媒の作用により、濡れ性変化層5の紫外線照射部分では、フッ素を含有するオルガノポリシロキサンのフッ素を含む側鎖が分解されて、フッ素含有量が低下し、液体との接触角が低下するように濡れ性が変化する。このように、親液性領域を構成するオルガノポリシロキサンとしては、上記のフッ素を含有するオルガノポリシロキサンのフッ素を含む側鎖が、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により分解されたものを例示することができる。
また、親液性領域は、撥液性領域と同様に、オルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコーン化合物を含有していてもよい。
さらに、撥液性領域および親液性領域は、上述したフッ素を含有するオルガノポリシロキサンやオルガノポリシロキサン以外に、例えば特開2000−249821号公報に記載されているものと同様の界面活性剤や、添加剤等を含有していてもよい。
撥液性領域および親液性領域の形成位置としては、撥液性領域が第1電極層のパターンの開口部上に配置され、親液性領域が第1電極層のパターン上に配置されていればよい。
また、撥液性領域および親液性領域のパターン形状としては、第1電極層のパターン形状に応じて適宜選択される。例えば、第1電極層がストライプ状に形成されている場合、この第1電極層のストライプパターンに対応して、親液性領域もストライプ状に形成される。また例えば、画素に対応して、第1電極層がモザイク状に形成されている場合、親液性領域はストライプ状に形成されていてもよくモザイク状に形成されていてもよい。いずれも場合においても、濡れ性変化層表面において、親液性領域以外の領域は、撥液性領域となる。
濡れ性変化層は、表面に、上述した撥液性領域および親液性領域からなる濡れ性変化パターンを有するものであればよい。通常、濡れ性変化層においては、表面の親液性領域以外の部分は、表面の撥液性領域と同様の構成になっている。すなわち、濡れ性変化層においては、表面の親液性領域以外の部分は、フッ素を含むオルガノポリシロキサンを含有するものとなる。
濡れ性変化層の膜厚としては、濡れ性変化パターンの形成が可能であり、かつ、正孔または電子の輸送を阻害しないような膜厚であれば特に限定されるものではない。具体的には、濡れ性変化層の膜厚は、20nm以下であることが好ましく、特に1nm〜15nmの範囲内であることが好ましい。濡れ性変化層の膜厚が上記範囲であれば、外部電界により電荷がトンネル注入されるためである。
なお、濡れ性変化層の形成方法については、後述する「B.有機EL素子の製造方法」の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
2.有機EL層
本発明に用いられる有機EL層は、濡れ性変化層の親液性領域上に形成され、少なくとも発光層を含むものである。
有機EL層は、少なくとも発光層を含む1層もしくは複数層の有機層から構成されるものである。すなわち、有機EL層とは、少なくとも発光層を含む層であり、その層構成が有機層1層以上の層をいう。通常、塗布による湿式法で有機EL層を形成する場合は、溶媒との関係で多数の層を積層することが困難であることから、1層もしくは2層の有機層で構成される場合が多いが、溶媒への溶解性が異なるように有機材料を工夫したり、真空蒸着法を組み合わせたりすることにより、さらに多数層とすることも可能である。
発光層以外の有機EL層を構成する有機層としては、正孔注入輸送層や電子注入輸送層といった電荷注入輸送層を挙げることができる。また、有機層としては、キャリアブロック層のような正孔もしくは電子の突き抜けを防止し、さらに励起子の拡散を防止して発光層内に励起子を閉じ込めることにより、再結合効率を高めるための層等を挙げることができる。
以下、有機EL層の各構成について説明する。
(1)発光層
本発明における発光層は、電子と正孔との再結合の場を提供して発光する機能を有するものである。
発光層に用いられる発光材料としては、蛍光または燐光を発するものであれば特に限定されるものではない。また、発光材料は、正孔輸送性や電子輸送性を有していていもよい。発光材料としては、色素系材料、金属錯体系材料、および高分子系材料を挙げることができる。
色素系材料としては、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾ−ル誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等を挙げることができる。
金属錯体系材料としては、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体、あるいは、中心金属に、Al、Zn、Be等またはTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子に、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体などを挙げることができる。
高分子系の材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体等、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記の色素系材料や金属錯体系材料を高分子化したもの等を挙げることができる。
上記の中でも、親液性領域および撥液性領域の濡れ性の違いを利用して発光層を精度良く形成することができるという利点を活かすという観点から、発光材料としては、上記高分子系材料を用いることが好ましい。
また、発光効率の向上、発光波長を変化させる等の目的で、発光材料にドーパントを添加してもよい。ドーパントとしては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィレン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン等を挙げることができる。
(2)電荷注入輸送層
本発明における電荷注入輸送層は、電極層から発光層に電荷を安定に輸送する機能を有するものである。電荷注入輸送層としては、正孔を発光層内へ安定に注入し輸送する正孔注入輸送層と、電子を発光層内へ安定に注入し輸送する電子注入輸送層とがある。以下、正孔注入輸送層および電子注入輸送層に分けて説明する。
(i)正孔注入輸送層
本発明における正孔注入輸送層は、陽極から注入された正孔を安定に発光層内へ注入する正孔注入機能を有する正孔注入層であってもよく、陽極から注入された正孔を発光層内へ輸送する正孔輸送機能を有する正孔輸送層であってもよく、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものであってもよく、正孔注入機能および正孔輸送機能の両方を有する単一の層であってもよい。
本発明においては、有機EL層が、少なくとも発光層および正孔注入輸送層を含み、濡れ性変化層、正孔注入輸送層および発光層の順に形成されていることが好ましい。この場合、正孔注入輸送層が正孔注入層であることが好ましい。上述したように、正孔注入層に酸性を示す材料を用いた場合には、正孔注入層が第1電極層に直接接触することがなく、濡れ性変化層によって第1電極層が正孔注入層から保護されるので、正孔注入層に含まれる酸の影響による第1電極層のダメージを低減することができるからである。また、濡れ性変化層と発光層との間に正孔注入輸送層が形成されていることにより、発光層への正孔の注入が安定化し、発光効率を高めることができるからである。さらに、一般的に、有機EL素子を製造する際には、陽極側から積層する方が安定して有機EL素子を作製することができることから、第1電極層が陽極であり、陽極、正孔注入輸送層および発光層の順に積層することが好ましいからである。
正孔注入輸送層の形成材料としては、陽極から注入された正孔を安定に発光層内へ輸送することができる材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、上記発光層の発光材料に例示する化合物の他、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、フェニルアミン類、スターバースト型アミン類、フタロシアニン類、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン誘導体等を用いることができる。ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン誘導体等の導電性高分子は、酸によりドーピングされていてもよい。具体的には、4,4´−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(α−NPD)、4,4´,4´´−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(TDATA)、4,4´,4´´−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(MTDATA)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
また、正孔注入輸送層の形成材料は、酸性を示すものであることが好ましく、具体的にはpH7未満であることが好ましい。上述したように、正孔注入輸送層に酸性を示す材料を用いた場合には、正孔注入輸送層に含まれる酸の影響による第1電極層のダメージを低減することができるので、本発明が有用である。酸性を示す材料としては、酸が過剰にドーピングされた導電性高分子を挙げることができ、具体的には、PSSが過剰にドーピングされたPEDOTが好ましく用いられる。
さらに、正孔注入輸送層の形成材料は、抵抗が比較的高いことが好ましい。抵抗が低すぎると、クロストークが起こるおそれがあるからである。高抵抗の材料としては、上記の中でも、PEDOT/PSS等が好ましく用いられる。高抵抗のPEDOT/PSSの水分散体の市販品としては、スタルク社製 Baytron P CH-8000が挙げられる。
正孔注入輸送層の膜厚としては、その機能が十分に発揮される膜厚であれば特に限定されるものではないが、具体的には5nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10nm〜100nmの範囲内である。
(ii)電子注入輸送層
本発明における電子注入輸送層は、陰極から注入された電子を安定に発光層内へ注入する電子注入機能を有する電子注入層であってもよく、陰極から注入された電子を発光層内へ輸送する電子輸送機能を有する電子輸送層であってもよく、電子注入層および電子輸送層が積層されたものであってもよく、電子注入機能および電子輸送機能の両方を有する単一の層であってもよい。
電子注入層の形成材料としては、発光層内への電子の注入を安定化させることができる材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、Ba、Ca、Li、Cs、Mg、Sr等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の単体、アルミリチウム合金等のアルカリ金属の合金、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のフッ化物、ポリメチルメタクリレートポリスチレンスルホン酸ナトリウム等のアルカリ金属の有機錯体などを挙げることができる。また、Ca/LiFのように、これらを積層して用いることも可能である。
上記の中でも、アルカリ土類金属のフッ化物が好ましい。アルカリ土類金属のフッ化物は、融点が高く耐熱性を向上させることができるからである。
また、電子輸送層の形成材料としては、陰極または電子注入層から注入された電子を発光層内へ輸送することが可能な材料であれば特に限定されるものではなく、例えば、バソキュプロイン(BCP)、バソフェナントロリン(Bpehn)等のフェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリス(8−キノリノール)アルミニウム錯体(Alq)等のアルミキノリノール錯体などを挙げることができる。一般に、発光層に高分子系材料を用いた場合には、電子輸送層に低分子系材料を用いると、正孔ブロック性が向上することがある。
さらに、電子注入機能および電子輸送機能の両方を有する単一の層の形成材料としては、Li、Cs、Ba、Sr等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属がドープされた電子輸送性材料を挙げることができる。電子輸送性材料としては、バソキュプロイン(BCP)、バソフェナントロリン(Bpehn)等のフェナントロリン誘導体が挙げられる。また、電子輸送性材料とドープされる金属とのモル比率は、1:1〜1:3の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1:1〜1:2の範囲内である。アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属がドープされた電子輸送性材料は、電子移動度が比較的大きく、金属単体に比べて透過率が高い。
また、電子注入輸送層の形成材料は、抵抗が比較的高いものであることが好ましい。抵抗が低すぎると、クロストークが起こるおそれがあるからである。
電子注入層の膜厚としては、その機能が十分に発揮される膜厚であれば特に限定されるものではないが、具体的には0.1nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5nm〜100nmの範囲内である。
また、電子輸送層の膜厚としては、その機能が十分に発揮される膜厚であれば特に限定されるものではないが、具体的には1nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは1nm〜50nmの範囲内である。
さらに、電子注入機能および電子輸送機能の両方を有する単一の層の膜厚としては、その機能が十分に発揮される膜厚であれば特に限定されるものではないが、具体的には0.1nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.1nm〜50nmの範囲内である。
3.第1電極層
本発明に用いられる第1電極層は、基板上にパターン状に形成されるものである。
第1電極層は、陽極であってもよく陰極であってもよい。一般に、有機EL素子を製造する際には、陽極側から積層する方が安定して有機EL素子を作製することができることから、第1電極層が陽極であることが好ましい。
第1電極層を形成する材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではない。例えば、図1に示す有機EL素子においてボトムエミッション型とする場合や、有機EL素子の製造過程において濡れ性変化パターンを形成する際に基板側からエネルギーを照射する場合には、第1電極層は透明性を有することが好ましい。導電性および透明性を有する材料としては、In−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、ZnO−Al、Zn−Sn−O等を好ましいものとして例示することができる。また例えば、図1に示す有機EL素子においてトップエミッション型とする場合には、第1極層に透明性は要求されない。この場合、導電性を有する材料として、金属を用いることができ、具体的には、Au、Ta、W、Pt、Ni、Pd、Cr、あるいは、Al合金、Ni合金、Cr合金等を挙げることができる。
第1電極層の成膜方法としては、一般的な電極の成膜方法を用いることができ、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法等を挙げることができる。また、第1電極層のパターニング方法としては、フォトリソグラフィー法を挙げることができる。
4.第2電極層
本発明に用いられる第2電極層は、第1電極層と反対の電荷をもつものである。第2電極層は、陽極であってもよく陰極であってもよい。一般に、有機EL素子を製造する際には、陽極側から積層する方が安定して有機EL素子を作製することができることから、第2電極層が陰極であることが好ましい。
第2電極層を形成する材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではない。例えば、図1に示す有機EL素子においてトップエミッション型とする場合には、第2電極層は透明性を有することが好ましい。また例えば、図1に示す有機EL素子においてボトムエミッション型とする場合には、第2極層に透明性は要求されない。なお、導電性を有する材料については、上記第1電極層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、第2電極層の成膜方法については、上記第1電極層の成膜方法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
5.基板
本発明における基板は、第1電極層、濡れ性変化層、有機EL層および第2電極層等を支持するものである。例えば、図1に示す有機EL素子においてボトムエミッション型とする場合や、有機EL素子の製造過程において濡れ性変化パターンを形成する際に基板側からエネルギーを照射する場合には、基板は透明であることが好ましい。透明な基板としては、例えば、石英、ガラス等を挙げることができる。また例えば、図1に示すEL素子においてトップエミッション型とする場合には、基板に透明性は要求されない。この場合、基板には、上記材料の他にも、アルミニウムおよびその合金等の金属、プラスチック、織物、不織布等を用いることができる。
6.絶縁層
本発明においては、基板上の第1電極層のパターンの開口部に、絶縁層が形成されていてもよい。絶縁層は、隣接する第1電極層のパターン間での導通や、第1電極層および第2電極層間での導通を防ぐために設けられるものである。この絶縁層が形成された部分は、非発光領域となる。
絶縁層は、基板上であって、第1電極層のパターンの開口部に形成されるものであり、通常は第1電極層のパターンの端部を覆うように形成される。
この絶縁層の形成材料としては、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではない。中でも、絶縁層の形成材料は、有機EL素子の製造過程にて濡れ性変化パターンを形成する際に照射されるエネルギーを反射または吸収するものであることが好ましい。この場合、濡れ性変化パターンを形成する際に、基板側からエネルギーを全面に照射することにより、パターン照射が可能となるからである。このため、エネルギー照射に際して、フォトマスクを用いたり、レーザ光による描画照射を行ったりする必要がなくなる。このような絶縁層の形成材料としては、例えば、感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂等の光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、無機材料等を用いることができる。
また、絶縁層の形成方法としては、フォトリソグラフィー法、印刷法等の一般的な方法を用いることができる。
B.有機EL素子の製造方法
本発明の有機EL素子の製造方法は、電極層が形成された基板上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層を形成する濡れ性変化層形成工程と、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記濡れ性変化層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記濡れ性変化層表面に親液性領域および撥液性領域からなる濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、上記親液性領域上に、少なくとも発光層を含む有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを有することを特徴とするものである。
本発明の有機EL素子の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図2は、本発明の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。まず、基板2上に電極層3をパターン状に形成し、この電極層3のパターンの開口部に絶縁層4を形成し、電極層3および絶縁層4の上に濡れ性変化層5を形成する(図2(a)、濡れ性変化層形成工程)。
次に、図2(b)に示すように、基体22と、この基体22上にパターン状に形成された遮光部23と、遮光部23を覆うように基体22上に形成された光触媒処理層24とを有する光触媒処理層基板21を準備する。次いで、光触媒処理層基板21の光触媒処理層24と、濡れ性変化層5とが向かい合うように配置し、紫外線27を照射する。紫外線27の照射により、図2(c)に示すように、光触媒処理層24に含有される光触媒の作用から、濡れ性変化層5の紫外線照射部分では、濡れ性が液体との接触角が低下するように変化する。この液体との接触角が低下するように濡れ性が変化した領域を親液性領域11とする。紫外線未照射部分では、濡れ性が変化しない。この濡れ性が変化しない領域を撥液性領域12とする。そして、光触媒処理層基板21を、濡れ性変化層5から取り外す。これにより、濡れ性変化層5表面に、親液性領域11と撥液性領域12とからなる濡れ性変化パターンが形成される。図2(b)、(c)は濡れ性変化パターン形成工程である。
濡れ性変化層5は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化するものであり、紫外線照射部分である親液性領域11と、紫外線未照射部分である撥液性領域12とでは、濡れ性に違いがある。
次に、この濡れ性の違いを利用して、親液性領域11と撥液性領域12とからなる濡れ性変化パターン上に、正孔注入層形成用塗工液を塗布して、親液性領域11上にのみ正孔注入層6を形成する。次いで、正孔注入層6表面と撥液性領域12の濡れ性の違いを利用して、正孔注入層6上に発光層形成用塗工液を塗布して、正孔注入層6上に発光層7を形成する(図2(d)、有機EL層形成工程)。これにより、有機EL層8が得られる。
次いで、有機EL層8上に対向電極層9を形成する(図2(e))。
この際、例えば、対向電極層9を透明電極とした場合には、トップエミッション型の有機EL素子が得られ、電極層3を透明電極とした場合には、ボトムエミッション型の有機EL素子が得られる。
本発明においては、濡れ性変化層に、光触媒を含有する光触媒処理層を介してエネルギーを照射することにより、濡れ性変化層表面に親液性領域および撥液性領域からなる濡れ性変化パターンを形成する。そして、この濡れ性変化層表面に形成された濡れ性変化パターンを利用して有機EL層のパターニングを行う。したがって、複雑なパターニング工程や、高価な真空設備を要することなく、有機EL層を容易にパターニングすることが可能である。
また、本発明においては、光触媒を含有する光触媒処理層を介して濡れ性変化層にエネルギーをパターン照射することにより、光触媒を含有していない濡れ性変化層に対して、光触媒の作用により濡れ性を変化させることができる。さらに、濡れ性変化層表面に濡れ性変化パターンを形成した後は、光触媒処理層を有する光触媒処理層基板を濡れ性変化層から取り外すため、有機EL素子自体に光触媒が含まれることがない。すなわち、光触媒は、光触媒処理層に含まれており、濡れ性変化層には含まれていない。したがって、濡れ性変化層の平滑性を向上させることができ、濡れ性変化層と有機EL層との界面における障壁を低減することができる。これにより、駆動電圧を低減させ、輝度や発光効率を高めるなど、発光特性を向上させることが可能である。また、電極間の短絡を防止することも可能である。
さらに、本発明においては、電極層上に濡れ性変化層を形成し、この濡れ性変化層上に有機EL層を形成するので、電極層上に直接有機EL層を形成することがない。このため、例えば図2において、酸性を示す材料を用いて正孔注入層を形成した場合には、電極層上に直接正孔注入層を形成することがないので、濡れ性変化層によって電極層が正孔注入層から保護され、正孔注入層に含まれる酸の影響による電極層のダメージを低減することができる。
以下、有機EL素子の製造方法における各工程ついて説明する。
1.濡れ性変化層形成工程
本発明における濡れ性変化層形成工程は、電極層が形成された基板上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層を形成する工程である。
本発明に用いられる濡れ性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化するものであれば特に限定されるものではない。濡れ性変化層に用いられる材料としては、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する材料で、かつ光触媒の作用により劣化、分解しにくい主鎖を有するものであれば、特に限定されるものではない。このような濡れ性変化層に用いられる材料としては、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水牲や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等のオルガノポリシロキサンを挙げることができる。
上記の(1)の場合、一般式:
YnSiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示されるケイ素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物または共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンが好ましく用いられる。Yで示される基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましく、Xで示されるアルコキシル基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。上記式で示されるケイ素化合物としては、具体的には、特開2000−249821号公報に記載されているもの等を用いることができる。
特に、フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンを好ましく用いることができる。フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンとしては、具体的には、特開2000−249821号公報に記載されているフルオロアルキルシランの1種または2種以上の加水分解縮合物または共加水分解縮合物が挙げられ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られたものを使用することができる。
フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンを用いることにより、濡れ性変化層の撥液性が大きく向上するので、濡れ性が変化しない撥液性領域への有機EL層の成膜を妨げることでき、液体との接触角が低下するように濡れ性が変化した親液性領域のみに有機EL層を成膜することが可能となる。
なお、濡れ性変化層中にフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンが含有されていることは、X線光電子分光法、ラザフォード後方散乱分光法、核磁気共鳴分光法、または質量分析法を用いて確認することができる。
また、上記の(2)の反応性シリコーンとしては、下記化学式1で表される骨格をもつ化合物を挙げることができる。
Figure 2008153159
ただし、nは2以上の整数であり、R,Rはそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基またはシアノアルキル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R,Rがメチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
また、上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコーン化合物を混合してもよい。
このように、オルガノポリシロキサン等の種々の材料を濡れ性変化層に用いることができるが、中でも、濡れ性変化層がフッ素を含有していることが好ましい。この場合、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、この濡れ性変化層表面のフッ素含有量が、エネルギー照射前に比較して少なくなることが好ましい。
フッ素は極めて低い表面エネルギーを有するものであるので、フッ素を多く含有する物質の表面は、臨界表面張力がより小さくなる。このため、フッ素の含有量が多い部分の表面の臨界表面張力に比較して、フッ素の含有量が少ない部分の臨界表面張力は大きくなる。
上記のような濡れ性変化層であれば、エネルギーをパターン照射することにより、エネルギー照射部分であるフッ素含有量の少ない部分(親液性領域)と、エネルギー未照射部分であるフッ素含有量の多い部分(撥液性領域)とからなる濡れ性変化パターンを形成することができるからである。このように、濡れ性変化層がフッ素を含有する場合には、濡れ性変化パターンの形成に有利となる。
また、濡れ性変化層には、上述した材料以外に、例えば特開2000−249821号公報に記載されているものと同様の界面活性剤や、添加剤等を含有させてもよい。
このような濡れ性変化層は、上述した材料を必要に応じて他の添加剤とともに溶剤に溶解もしくは分散させて濡れ性変化層形成用塗工液を調製し、この濡れ性変化層形成用塗工液を電極層上に塗布することにより形成することができる。
この際、濡れ性変化層形成用塗工液に使用することができる溶剤としては、上述した材料等と混合するものであり、白濁その他の現象によるパターニング特性に影響を及ぼさないものであれば特に限定されない。このような溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、アセトニトリル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチルグリコールモノメチルエーテル、ジエチルグリコールモノエチルエーテル、ジエチルグリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、乳酸メチル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、エチレングリコール、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ピリジン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリジノン等が挙げられる。これらの溶剤は2種以上を混合して使用してもよい。
また、濡れ性変化層形成用塗工液の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、インクジェット法、キャスト法、LB法、ディスペンサー法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
上記濡れ性変化層形成用塗工液の塗布後、塗膜を乾燥させてもよい。乾燥方法としては、均一な濡れ性変化層を形成することが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えばホットプレート、赤外線ヒーター、オーブン等を用いることができる。
なお、濡れ性変化層のその他の点については、上記「A.有機EL素子」の濡れ性変化層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
2.濡れ性変化パターン形成工程
本発明における濡れ性変化パターン形成工程は、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記濡れ性変化層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記濡れ性変化層表面に親液性領域および撥液性領域からなる濡れ性変化パターンを形成する工程である。
以下、光触媒処理層基板、光触媒処理層基板および濡れ性変化層の配置、エネルギー照射、ならびに濡れ性変化パターンについて説明する。
(1)光触媒処理層基板
本発明においては、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層表面に濡れ性変化パターンを形成する際、濡れ性変化層に光触媒の作用を及ぼすために、光触媒を含有する光触媒処理層を有する光触媒処理層基板を用いる。この光触媒処理層基板を濡れ性変化層に対して所定の間隙をおいて配置し、エネルギーをパターン状に照射することにより、濡れ性変化層表面に濡れ性変化パターンを形成することができる。
本発明に用いられる光触媒処理層基板は、基体と、この基体上に形成された光触媒処理層とを有するものである。また、この光触媒処理層基板には、遮光部がパターン状に形成されていてもよい。以下、光触媒処理層、基体および遮光部について説明する。
(i)光触媒処理層
本発明に用いられる光触媒処理層は、光触媒を含有するものである。光触媒処理層としては、光触媒処理層中の光触媒が濡れ性変化層表面の濡れ性を変化させるような構成であれば特に限定されるものではない。光触媒処理層は、例えば、光触媒とバインダとから構成されるものであってもよく、光触媒単体で構成されるものであってもよい。光触媒のみからなる光触媒処理層の場合は、濡れ性変化層表面の濡れ性の変化に対する効率が向上し、処理時間の短縮化等のコスト面で有利である。また、光触媒とバインダとからなる光触媒処理層の場合は、光触媒処理層の形成が容易であるという利点を有する。
本発明に用いられる光触媒としては、光半導体として知られる例えば二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)を挙げることができる。これらの光触媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明においては、二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり、いずれも使用することができる。中でも、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
アナターゼ型二酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製 STS−02(平均粒径:7nm)、石原産業(株)製 ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製 TA−15(平均粒径:12nm))等を挙げることができる。
粒径が小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので、光触媒の粒径は小さい方が好ましい。具体的には、光触媒の平均粒径は50nm以下であることが好ましく、20nm以下が特に好ましい。
光触媒処理層における、上記二酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、必ずしも明確なものではないが、エネルギーの照射によって光触媒が酸化還元反応を引き起こし、スーパーオキサイドラジカル(・O )やヒドロキシラジカル(・OH)などの活性酸素種を発生し、この発生した活性酸素種が有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。本発明においては、この活性酸素種が、光触媒処理層近傍に配置される濡れ性変化層中の有機物に作用を及ぼしていると思料される。
また、光触媒処理層が光触媒とバインダとからなるものである場合、用いられるバインダとしては、主骨格が上記光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものが好ましい。このようなバインダとしては、例えばオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
さらに、バインダとして無定形シリカ前駆体を用いることができる。この無定形シリカ前駆体としては、一般式SiXで表され、Xがハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物、それらの加水分解物であるシラノール、あるいは平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。具体的には、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
光触媒処理層が光触媒とバインダとからなるものである場合、光触媒処理層中の光触媒の含有量は、5重量%〜60重量%の範囲内で設定することができ、好ましくは20重量%〜50重量%の範囲内である。
また、光触媒処理層は、上記の光触媒およびバインダの他に、界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることができる。また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
さらに、光触媒処理層は、上記界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有していてもよい。
光触媒処理層の厚みは、0.05μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。
また、光触媒処理層表面の濡れ性は、親液性であっても撥液性であってもよい。
光触媒のみからなる光触媒処理層の形成方法としては、例えば、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法等の真空成膜法を挙げることができる。真空成膜法であれば、均一な膜で、かつ光触媒のみを含有する光触媒処理層を形成することができる。これにより、濡れ性変化層表面の濡れ性を均一に変化させることが可能となる。また、光触媒処理層が光触媒のみからなることから、バインダを用いる場合と比較して、効率的に濡れ性変化層表面の濡れ性を変化させることができる。
また、光触媒のみからなる光触媒処理層の形成方法としては、例えば光触媒が二酸化チタンの場合は、基体上に無定形チタニアを成膜し、次いで焼成により無定形チタニアを結晶性チタニアに相変化させる方法等が挙げられる。
無定形チタニアは、例えば、四塩化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩を加水分解および脱水縮合する、あるいは、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合物を酸存在下において加水分解および脱水縮合することによって得ることができる。次いで、無定形チタニアを、400℃〜500℃で焼成することによってアナターゼ型チタニアに変性させ、600℃〜700℃で焼成することによってルチル型チタニアに変性させることができる。
光触媒とバインダとからなる光触媒処理層の形成方法としては、バインダとしてオルガノポリシロキサンを用いた場合には、光触媒とバインダであるオルガノポリシロキサンとを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散させて光触媒処理層形成用塗工液を調製し、この光触媒処理層形成用塗工液を基体上に塗布する方法を用いることができる。また、バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合には、塗布後に、紫外線を照射して硬化処理を行ってもよい。
この際に使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布方法としては、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の一般的な方法を用いることができる。
また、光触媒とバインダとからなる光触媒処理層の形成方法としては、バインダとして無定形シリカ前駆体を用いた場合には、光触媒の粒子と無定形シリカ前駆体とを非水性溶媒中に均一に分散させて光触媒処理層形成用塗工液を調製し、この光触媒処理層形成用塗工液を基体上に塗布し、無定形シリカ前駆体を、空気中の水分により加水分解させてシラノールを形成させ、常温で脱水縮重合させる方法を用いることができる。シラノールの脱水縮重合を100℃以上で行えば、シラノールの重合度が増し、膜表面の強度を向上させることができる。
光触媒処理層の形成位置としては、例えば図3(a)に示すように、基体22上の全面に光触媒処理層24が形成されていてもよく、例えば図3(b)に示すように、基体22上に光触媒処理層24がパターン状に形成されていてもよい。
光触媒処理層がパターン状に形成されている場合には、光触媒処理層を濡れ性変化層に対して所定の間隙をおいて配置し、エネルギーを照射する際に、フォトマスク等を用いてパターン照射する必要がなく、全面に照射することにより、濡れ性変化層表面の濡れ性を変化させることができる。また、実際に光触媒処理層に面する濡れ性変化層表面のみ、濡れ性が変化するので、エネルギーの照射方向としては、光触媒処理層と濡れ性変化層とが面する部分にエネルギーが照射されれば、いかなる方向であってもよい。さらには、照射されるエネルギーも、平行光等の平行なものに限定されない。
この光触媒処理層のパターニング方法としては、特に限定されるものではなく、例えばフォトリソグラフィー法等が挙げられる。
(ii)基体
光触媒処理層基板に用いられる基体は、後述するエネルギーの照射方向や、得られる有機EL素子の光の取り出し方向により透明性が適宜選択される。
例えば、図2(e)に示す有機EL素子がトップエミッション型であり、かつ有機EL素子における基板または電極層が不透明である場合は、エネルギー照射方向は必然的に光触媒処理層基板側からとなる。また例えば、図2(b)に示すように光触媒処理層基板21に遮光部23がパターン状に形成されており、この遮光部23を用いてパターン状にエネルギー照射する場合も、光触媒処理層基板側からエネルギーを照射する必要がある。そのため、これらの場合には、基体は透明性を有する必要がある。
一方、例えば図2(e)に示す有機EL素子がボトムエミッション型である場合には、有機EL素子における基板側からエネルギーを照射することが可能である。そのため、この場合には、基体に透明性は要求されない。
また、基体は、可撓性を有するもの、例えば樹脂製フィルム等であってもよいし、可撓性を有さないもの、例えばガラス基板等であってもよい。
基体としては、特に限定されるものではないが、光触媒処理層基板は繰り返し用いられるものであることから、所定の強度を有し、かつその表面が光触媒処理層との密着性が良好であるものが好適に用いられる。具体的には、基体を構成する材料としては、ガラス、セラミック、金属、プラスチック等を挙げることができる。
また、基体表面と光触媒処理層との密着性を向上させるために、基体上にアンカー層が形成されていてもよい。アンカー層の形成材料としては、例えば、シラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。
(iii)遮光部
本発明に用いられる光触媒処理層基板には、遮光部がパターン状に形成されていてもよい。パターン状の遮光部を有する光触媒処理層基板を用いた場合には、エネルギー照射に際して、フォトマスクを用いたり、レーザ光による描画照射を行ったりする必要がない。したがって、この場合には、光触媒処理層基板とフォトマスクとの位置合わせが不要であることから、簡便な工程とすることができ、また描画照射に必要な高価な装置も不要であることから、コスト的に有利となる。
遮光部の形成位置としては、例えば図2(b)に示すように、基体22上に遮光部23がパターン状に形成され、この遮光部23上に光触媒処理層24が形成されていてもよい。また、例えば図4に示すように、基体22上に光触媒処理層24が形成され、この光触媒処理層24上に遮光部23がパターン状に形成されていてもよい。さらに、図示しないが、基体の光触媒処理層が形成されていない側の表面に遮光部がパターン状に形成されていてもよい。
上記の基体上に遮光部が形成されている場合、および、光触媒処理層上に遮光部が形成されている場合は、フォトマスクを用いる場合と比較すると、光触媒処理層と濡れ性変化層とが間隙をおいて配置される部分の近傍に、遮光部が配置されることになるので、基体内等におけるエネルギーの散乱の影響を少なくすることができる。このため、エネルギーのパターン照射を極めて正確に行うことが可能となる。
さらに、光触媒処理層上に遮光部が形成されている場合は、光触媒処理層と濡れ性変化層とを所定の間隙をおいて配置する際に、この遮光部の膜厚をこの間隙の距離と一致させておくことにより、間隙を一定のものとするためのスペーサとして、遮光部を用いることができる。すなわち、光触媒処理層と濡れ性変化層とを所定の間隙をおいて配置する際に、遮光部と濡れ性変化層とを密着させた状態で配置することにより、所定の間隙を保つことができる。そして、この状態で光触媒処理層基板からエネルギーを照射することにより、濡れ性変化層表面に濡れ性変化パターンを精度良く形成することができる。
また、基体の光触媒処理層が形成されていない側の表面に遮光部が形成されている場合は、例えばフォトマスクを遮光部の表面に着脱可能な程度に密着させることができるので、有機EL素子の製造を小ロットで変更するような場合に好適である。
遮光部の形成方法としては、特に限定されるものではなく、遮光部の形成面の特性や、必要とするエネルギーに対する遮蔽性等に応じて適宜選択される。
例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により、厚み1000Å〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより、遮光部を形成することができる。このパターニング方法としては、一般的なパターニング方法を用いることができる。
また例えば、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層をパターニングすることにより、遮光部を形成することもできる。樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。また、樹脂バインダとしては、感光性樹脂、あるいは、O/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。パターニング方法としては、フォトリソ法、印刷法等、一般的なパターニング方法を用いることができる。
樹脂バインダを用いた遮光部の厚みとしては、0.5μm〜10μmの範囲内で設定することができる。
(iv)プライマー層
本発明において、上述したように基体上に遮光部がパターン状に形成され、その遮光部上に光触媒処理層が形成されている場合には、例えば図5に示すように、遮光部23と光触媒処理層24との間にプライマー層25が形成されていることが好ましい。
このプライマー層の作用・機能は必ずしも明確なものではないが、プライマー層は、光触媒の作用による濡れ性変化層の濡れ性変化を阻害する要因となる遮光部および遮光部間に存在する開口部からの不純物、特に、遮光部をパターニングする際に生じる残渣や、金属、金属イオン等の不純物の拡散を防止する機能を有していると考えられる。したがって、遮光部と光触媒処理層との間にプライマー層を形成することにより、高感度で濡れ性変化の処理が進行し、その結果、高解像度の濡れ性変化パターンを得ることができる。
プライマー層は、遮光部のみならず遮光部間の開口部に存在する不純物が光触媒の作用に影響を及ぼすのを防止すると考えられるので、パターン状の遮光部および遮光部間の開口部を覆うように全面に形成されていることが好ましい。また、プライマー層は、光触媒処理層と遮光部とが物理的に接触しないように配置されていればよい。
このプライマー層を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、光触媒の作用により分解されにくい無機材料が好ましい。無機材料としては、例えば無定形シリカを挙げることができる。この無定形シリカの前駆体としては、一般式SiXで示され、Xがハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物、それらの加水分解物であるシラノール、あるいは、平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましく用いられる。
また、プライマー層の膜厚は、0.001μm〜1μmの範囲内であることが好ましく、特に0.001μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。
(2)光触媒処理層基板および濡れ性変化層の配置
本発明においては、光触媒処理層基板を、濡れ性変化層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置する。通常は、光触媒処理層基板の光触媒処理層と、濡れ性変化層とを、濡れ性変化層にエネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置する。
なお、間隙とは、光触媒処理層および濡れ性変化層が接触している状態も含むものとする。
光触媒処理層と濡れ性変化層との間隔は、具体的には、200μm以下であることが好ましい。光触媒処理層と濡れ性変化層とを所定の間隔をおいて配置することにより、酸素、水および光触媒作用により生じた活性酸素種が脱着しやすくなる。光触媒処理層と濡れ性変化層との間隔が上記範囲より広い場合には、光触媒作用により生じた活性酸素種が濡れ性変化層に届き難くなり、濡れ性の変化速度を遅くしてしまう可能性がある。逆に、光触媒処理層と濡れ性変化層との間隔を狭くしすぎると、酸素、水および光触媒作用により生じた活性酸素種が脱着しにくくなり、結果的に濡れ性の変化速度を遅くしてしまう可能性がある。
上記間隔は、パターン精度が極めて良好であり、光触媒の感度も高く、濡れ性変化の効率が良好である点を考慮すると、0.2μm〜20μmの範囲内であることがより好ましく、さらに好ましくは1μm〜10μmの範囲内である。
一方、例えば300mm×300mmといった大面積の有機EL素子を製造する場合には、上述したような微細な間隙を光触媒処理層基板と濡れ性変化層との間に設けることは極めて困難である。したがって、比較的大面積の有機EL素子を製造する場合は、上記間隙は、5μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは10μm〜75μmの範囲内である。上記間隙を上記範囲とすることにより、パターンがぼやける等のパターン精度の低下を抑制することができ、また光触媒の感度が悪化して濡れ性変化の効率が悪化するのを抑制することができるからである。
また、上記のような比較的大面積に対してエネルギー照射する際には、エネルギー照射装置内の光触媒処理層基板と濡れ性変化層との位置決め装置における間隙の設定を、10μm〜200μmの範囲内、特に25μm〜75μmの範囲内に設定することが好ましい。上記間隙の設定値を上記範囲とすることにより、パターン精度の大幅な低下や光触媒の感度の大幅な悪化を招くことなく、かつ光触媒処理層基板と濡れ性変化層とを接触させずに配置することができるからである。
本発明においては、このような間隙をおいた配置状態は、少なくともエネルギー照射の間だけ維持されればよい。
このような極めて狭い間隙を均一に設けて光触媒処理層と濡れ性変化層とを配置する方法としては、例えばスペーサを用いる方法を挙げることができる。スペーサを用いる方法では、均一な間隙を設けることができると共に、このスペーサが接触する部分は、光触媒の作用が濡れ性変化層表面に及ばないことから、このスペーサを上述した濡れ性変化パターンと同様のパターンを有するものとすることにより、濡れ性変化層表面に所定の濡れ性変化パターンを形成することが可能となる。
本発明においては、スペーサを一つの部材として形成してもよいが、工程の簡略化等のため、光触媒処理層基板の光触媒処理層上にスペーサが形成されていることが好ましい。この場合、上記遮光部の項に記載したような利点を有する。
スペーサは、濡れ性変化層表面に光触媒の作用が及ばないように、濡れ性変化層表面を保護する作用を有していればよい。このため、スペーサは、照射されるエネルギーに対して遮蔽性を有していなくてもよい。
(3)エネルギー照射
本発明においては、光触媒処理層と濡れ性変化層とを所定の間隙をおいて配置した後、所定の方向からエネルギーをパターン照射することにより、濡れ性変化層表面に濡れ性変化パターンを形成する。
エネルギー照射に用いる光の波長は、通常、450nm以下の範囲で設定され、好ましくは380nm以下の範囲で設定される。これは、上述したように、光触媒処理層に用いられる好ましい光触媒が二酸化チタンであり、この二酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上記の波長の光が好ましいからである。
エネルギー照射に用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。
また、パターン状にエネルギーを照射する方法としては、これらの光源を用い、フォトマスクを介してパターン照射する方法の他、エキシマ、YAG等のレーザを用いてパターン状に描画照射する方法を用いることもできる。
エネルギー照射に際してのエネルギーの照射量は、光触媒処理層中の光触媒の作用により濡れ性変化層表面の濡れ性が変化するのに必要な照射量とする。
この際、光触媒処理層を加熱しながらエネルギー照射することが好ましい。感度を上昇させことができ、効率的に濡れ性を変化させることができるからである。具体的には、30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
エネルギー照射方向は、光触媒処理層基板に遮光部が形成されているか否か、あるいは、有機EL素子の光の取り出し方向等により決定される。
例えば、光触媒処理層基板に遮光部が形成されており、光触媒処理層基板の基体が透明である場合は、光触媒処理層基板側からエネルギー照射が行なわれる。また、この場合、光触媒処理層上に遮光部が形成されており、この遮光部がスペーサとして機能する場合には、エネルギー照射方向は光触媒処理層基板側からであってもよく基板側からであってもよい。
また例えば、光触媒処理層がパターン状に形成されている場合には、エネルギー照射方向は、上述したように、光触媒処理層と濡れ性変化層とが面する部分にエネルギーが照射されれば、いかなる方向であってもよい。
同様に、上述したスペーサを用いる場合も、光触媒処理層と濡れ性変化層とが面する部分にエネルギーが照射されれば、エネルギー照射方向はいかなる方向であっってもよい。
さらに例えば、フォトマスクを用いる場合は、フォトマスクが配置された側からエネルギーが照射される。この場合、フォトマスクが配置された側が透明である必要がある。
エネルギー照射後は、光触媒処理層基板は、濡れ性変化層から取り外される。
(4)濡れ性変化パターン
本発明における濡れ性変化パターンは、濡れ性変化層表面に形成されるものであり、親液性領域および撥液性領域からなるものである。
なお、親液性領域および撥液性領域における液体との接触角については、上記「A.有機EL素子」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
3.有機EL層形成工程
本発明における有機EL層形成工程は、上記親液性領域上に、少なくとも発光層を含む有機EL層を形成する工程である。
有機EL層形成工程は、親液性領域上に正孔注入輸送層を形成する正孔注入輸送層形成工程と、この正孔注入輸送層上に発光層を形成する発光層形成工程とを有することが好ましい。この場合、正孔注入輸送層が正孔注入層であることが好ましい。上述したように、酸性を示す材料を用いて正孔注入層を形成した場合には、電極層上に直接正孔注入層を形成することがなく、濡れ性変化層によって電極層が正孔注入層から保護されるので、正孔注入層に含まれる酸の影響による電極層のダメージを低減することができるからである。
有機EL層形成工程が、正孔注入輸送層形成工程と発光層形成工程とを有する場合には、まず、濡れ性変化層表面に形成された濡れ性変化パターンを利用して、親液性領域上にのみ正孔注入輸送層を形成する。正孔注入輸送層表面は親液性であり、正孔注入輸送層が形成されていない領域は撥液性領域であるので、この濡れ性の違いにより、発光層も親液性領域上にのみ形成することができる。
有機EL層の形成方法としては、濡れ性変化パターンを構成する親液性領域および撥液性領域の濡れ性の差を利用して、有機EL層をパターン状に形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。例えば、濡れ性変化パターン上に有機EL層形成用塗工液を塗布することにより、親液性領域上にのみ有機EL層を形成することができる。
発光層形成用塗工液は、上記「A.有機EL素子」の発光層の項に記載した発光材料を溶剤に分散もしくは溶解させることにより調製することができる。赤色、緑色および青色の三原色の発光層を形成する場合は、赤色、緑色および青色の各色発光層形成用塗工液が用いられる。
また、正孔注入輸送層形成用塗工液や電子注入輸送層形成用塗工液は、上記「A.有機EL素子」の電荷注入輸送層の項に記載した各材料を溶剤に分散もしくは溶解させることにより調製することができる。
発光層形成用塗工液、正孔注入輸送層形成用塗工液、電子注入輸送層形成用塗工液に用いられる溶剤としては、各材料を溶解もしくは分散させることができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。
また、発光層形成用塗工液、正孔注入輸送層形成用塗工液、電子注入輸送層形成用塗工液には、各材料および溶剤に加えて、種々の添加剤を添加することができる。例えば、インクジェット法により発光層を形成する場合には、吐出性を向上させる目的で、界面活性剤等を添加してもよい。
有機EL層形成用塗工液の塗布方法としては、例えば、スピンコート法、キャスト法、ディップコート法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、あるいは、ディスペンサーやインクジェットを用いる吐出法などが挙げられる。中でも、赤色、緑色および青色の三原色の発光層を形成する場合には、吐出法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法が好ましく用いられる。特に吐出法が好ましく、さらにはインクジェット法が好ましい。この方法では、濡れ性変化パターンを利用して、高精細なパターンを形成することができるからである。
4.絶縁層形成工程
本発明においては、上記濡れ性変化層形成工程前に、上記電極層がパターン状に形成された基板上の上記電極層のパターンの開口部に絶縁層を形成する絶縁層形成工程を行ってもよい。
なお、絶縁層については、上記「A.有機EL素子」の絶縁層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
5.対向電極層形成工程
本発明においては、通常、上記有機EL層形成工程後、有機EL層上に対向電極層を形成する対向電極層形成工程が行われる。
対向電極層の成膜方法としては、一般的な電極の成膜方法を用いることができ、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法等を挙げることができる。
例えば、アクティブ型の有機EL素子を作製する場合であって、対向電極層を基板上の全面に形成する場合には、濡れ性変化層表面の撥液性領域を親液化処理して、有機EL層および濡れ性変化層の表面をすべて親液性とした後に、対向電極層を形成することが好ましい。この際には、対向電極層の成膜方法として、印刷法も用いることができる。
なお、対向電極層のその他の点については、上記「A.有機EL素子」の第2電極層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
6.その他の工程
本発明においては、発光層等の有機EL層を酸素および水蒸気の影響から保護するバリア層や、光取り出し効率を向上させる低屈折率層を、対向電極層上に形成する工程を行ってもよい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実験例1]
(濡れ性変化層の形成)
まず、ガラス基板上に第1電極層としてITO膜が線幅2mmでストライプ状にパターニングされた基板を準備した。
次に、下記組成の濡れ性変化層形成用塗工液を調製した。この濡れ性変化層形成用塗工液を、スピンコート法により上記基板上に塗布し、150℃、10分間の加熱・乾燥処理を施し、加水分解・重縮合反応を進行させて硬化させ、膜厚10nmの濡れ性変化層を形成した。
<濡れ性変化層形成用塗工液の組成>
・オルガノアルコキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113) 0.4質量部
・フルオロアルキルシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8233) 0.3質量部
・イソプロピルアルコール 480質量部
(光触媒処理層基板の調製)
次に、合成石英基板上に下記組成の光触媒処理層形成用塗工液をスピンコータにより塗布し、150℃、10分間の加熱・乾燥処理を施し、加水分解・重縮合反応を進行させて硬化させ、光触媒がオルガノシロキサン中に強固に固定された、膜厚2000Åの透明な光触媒処理層を形成した。
<光触媒処理層形成用塗工液の組成>
・二酸化チタン(石原産業(株)製、ST-K01) 2質量部
・オルガノアルコキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113) 0.4質量部
・イソプロピルアルコール 3質量部
(濡れ性変化パターンの形成)
次に、光触媒処理層を介して、光触媒処理層基板と濡れ性変化層と間の距離が20μmとなるように調整した後、光源として高圧水銀灯をもつ紫外線露光装置により、光触媒処理層基板の裏面側から253nmの光の露光量が200mJ/cmとなるように露光した。この際、濡れ性変化層の全面に露光した。
濡れ性変化層の露光前後の液体との接触角を接触角計(協和界面科学社製)により測定した。露光前の濡れ性変化層表面の液体との接触角は60°であったのに対し、露光後の濡れ性変化層表面の液体との接触角は10°未満となった。
また、濡れ性変化層の露光前後のXPSスペクトルを図6(a),(b)にそれぞれ示す。図6(a)より、露光前ではF1sに帰属されるシグナルが観察されるが、図6(b)より、露光後ではF1sに帰属されるシグナルが消失していることから、紫外線照射に伴う光触媒の作用により、フルオロアルキルシランのフッ素を含む側鎖が分解されたと考えられる。また、図6(a),(b)より、露光前後にて、O1sおよびSi2pにそれぞれ帰属されるシグナルが観察されることから、オルガノアルコキシシランおよびフルオロアルキルシランの主骨格であるシロキサン結合(−Si−O−)は分解されずに残存していることが確認された。
(有機EL層の形成)
次に、露光後の濡れ性変化層上に、ポリ(3,4−アルケンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との塩(PEDOT/PSS)の水分散体(Baytron P CH-8000、スタルク社製)をスピンコート法により乾燥後の膜厚が80nmとなるように塗布し、大気中で150℃、10分間乾燥させ、正孔注入層を形成した。このとき、PEDOT/PSSの水分散体が濡れ性変化層上に良好に濡れ広がったのを確認した。
次に、下記組成の発光層形成用塗工液を調製した。この発光層形成用塗工液を、スピンコート法にて上記正孔注入層上に塗布し、窒素中で80℃、1時間乾燥させ、膜厚100nmの発光層を形成した。
<発光層形成用塗工液の組成>
・発光色素(American dye source社製、ADS132GE) 1重量部
・トルエン 99重量部
(第2電極層の形成)
次に、発光層までが形成された基板上に、発光領域が2mm×2mmとなるように、Ca膜を10nm、Al膜を250nm、マスク蒸着により成膜した。この際、ITO膜のストライプ状パターンと直交するように、Ca膜およびAl膜をストライプ状に形成した。
このようにして、有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子の第1電極層を正極、第2電極層を負極に接続し、ソースメーターにより直流電流を印加し、発光状態を調査したところ、発光状態は良好であった。
[実験例2]
濡れ性変化層を形成せず、光触媒処理層基板を用いた露光を行わなかった以外は、実験例1と同様にして有機EL素子を作製した。
ITO膜表面の液体との接触角を接触角計(協和界面科学社製)により測定したところ、10°未満であった。
また、得られた有機EL素子の第1電極層を正極、第2電極層を負極に接続し、ソースメーターにより直流電流を印加し、発光状態を調査したところ、発光状態は良好であった。
[実験例1,2の評価]
実験例1,2の輝度−電圧特性を図7に示す。図7より、濡れ性変化層の有無にかかわらず、実験例1,2は、ほぼ同じ輝度−電圧特性を示した。
また、実験例1,2の寿命について測定した。このとき、初期輝度を100cd/mとして、初期輝度が半減するまでの時間を寿命とした。その結果、寿命は、実験例1では50000時間、実験例2では30000時間であった。これは、実験例1では、ITO膜上に濡れ性変化層が形成されており、紫外線照射に伴う光触媒の作用によっても、濡れ性変化層を構成するオルガノアルコキシシランおよびフルオロアルキルシランの主鎖は分解されずに残っているので、酸性を示すPEDOT/PSSの水分散体を塗布した際に、濡れ性変化層によってITO膜が保護され、PEDOT/PSSによるITO膜のダメージが低減されたためであると考えられる。
[実施例1]
(絶縁層の形成)
まず、ガラス基板上に、第1電極層としてITO膜が、線幅80μm、スペース幅20μm、ピッチ100μmでパターニングされた基板を準備した。
次に、ポジ型感光性材料(OFPR-800、東京応化社製)を基板全面にスピンコート法により膜厚が1.5μmとなるように塗布し、絶縁膜を形成した。次に、ITO膜のパターンに合わせて、遮光部の開口部が横幅70μm、縦幅70μmの矩形になるように設計されたフォトマスクを用いて、露光を行い、アルカリ現像液(NMD-3、東京応化社製)により現像を行った。次に、250℃、30分間の加熱硬化処理を行い、絶縁層とした。
(濡れ性変化層の形成)
次に、下記組成の濡れ性変化層形成用塗工液を調製した。この濡れ性変化層形成用塗工液を、スピンコート法により上記基板上に塗布し、150℃、10分間の加熱・乾燥処理を施し、加水分解・重縮合反応を進行させて硬化させ、膜厚10nmの濡れ性変化層を形成した。
<濡れ性変化層形成用塗工液の組成>
・オルガノアルコキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113) 0.4質量部
・フルオロアルキルシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8233) 0.3質量部
・イソプロピルアルコール 480質量部
(光触媒処理層基板の調製)
次に、ITO膜のパターンに合わせて、遮光部の開口部が横幅85μm、縦幅85μmの矩形となるように設計されたフォトマスクを準備した。このフォトマスク上に下記組成の光触媒処理層形成用塗工液をスピンコータにより塗布し、150℃、10分間の加熱・乾燥処理を施し、加水分解・重縮合反応を進行させて硬化させ、光触媒がオルガノシロキサン中に強固に固定された、膜厚2000Åの透明な光触媒処理層を形成した。
<光触媒処理層形成用塗工液の組成>
・二酸化チタン(石原産業(株)製、ST-K01) 2質量部
・オルガノアルコキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113) 0.4質量部
・イソプロピルアルコール 3質量部
(濡れ性変化パターンの形成)
次に、光源として高圧水銀灯をもち、光触媒処理層基板および上記基板の位置調整機構をもつ紫外線露光装置により、光触媒処理層基板の遮光部の開口部と、上記基板のITO膜のパターンとが対向するように、光触媒処理層基板および上記基板の位置を調整し、光触媒処理層と濡れ性変化層との間の距離が20μmとなるように調整した後、光触媒処理層基板の裏面側から253nmの光の露光量が200mJ/cmとなるように露光した。
濡れ性変化層の露光部分および未露光部分の液体との接触角を接触角計(協和界面科学社製)により測定した。結果を下記表1に示す。
(有機EL層の形成)
次に、ポリ(3,4−アルケンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との塩(PEDOT/PSS)の水分散体(Baytron P CH-8000、スタルク社製)をイソプロピルアルコールで希釈し、正孔注入層形成用塗工液を調製した。この正孔注入層形成用塗工液の粘度および表面張力を測定したところ、粘度が7mPa・s、表面張力が37dyn/cmであった。濡れ性変化層の露光部分である親液性領域上に、正孔注入層形成用塗工液をインクジェット法により乾燥後の膜厚が80nmとなるように塗布し、大気中で150℃、10分間乾燥させ、正孔注入層を形成した。その後、断面のSEM観察を行い、正孔注入層形成用塗工液が所望の領域に良好に濡れ広がったことを確認した。
次に、下記組成の各色発光層形成用塗工液を調製した。この各色発光層形成用塗工液の粘度および表面張力を測定したところ、粘度が12mPa・s、表面張力が35dyn/cmであった。各色発光層形成用塗工液をそれぞれ用いて、正孔注入層上の所定の領域にインクジェット法により塗布し、窒素中で130℃、1時間乾燥させ、各色発光層を形成した。その後、蛍光顕微鏡により、各色発光層の観察を行った。
<赤色発光層形成用塗工液>
・ポリビニルカルバゾール 7重量部
・赤色発光色素 0.1重量部
・オキサジアゾール化合物 3重量部
・テトラリン 990重量部
<緑色発光層形成用塗工液>
・ポリビニルカルバゾール 7重量部
・緑色発光色素 0.1重量部
・オキサジアゾール化合物 3重量部
・テトラリン 990重量部
<青色発光層形成用塗工液>
・ポリビニルカルバゾール 7重量部
・青色発光色素 0.1重量部
・オキサジアゾール化合物 3重量部
・テトラリン 990重量部
(第2電極層の形成)
次に、発光層上に、真空蒸着装置により、Ca膜を1000Å、Al膜を2000Å成膜した。このようにして有機EL素子を作製した。
得られた有機EL素子の第1電極層を正極、第2電極層を負極に接続し、ソースメーターにより直流電流を印加し、発光状態を調査した。結果を下記表1に示す。
[実施例2]
光触媒処理層基板の調製、および、濡れ性変化パターンの形成の下記のようにして行った以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
(光触媒処理層基板の調製)
合成石英基板全面にポジ型感光性材料(OFPR-800、東京応化社製)をスピンコート法により塗布し、膜厚1.5μmの感光性材層を形成した。次に、ITO膜のパターンに合わせて、遮光部の開口部が横幅85μm、縦幅85μmの矩形となるように設計されたフォトマスクを用いて、露光を行い、アルカリ現像液(NMD-3、東京応化社製)により現像を行った。次に、感光性材層がパターニングされた合成石英基板上に酸化チタンをスパッタリング法により成膜した。この際、感光性材層のパターンの開口部に酸化チタンを成膜した。次いで、基板全面に紫外線を照射し、アルカリ現像液(NMD-3、東京応化社製)により、感光性材層を除去した。これにより、パターン状の膜厚2000Åの透明な光触媒処理層が得られた。
<光触媒処理層形成用塗工液の組成>
・二酸化チタン(石原産業(株)製、ST-K01) 2質量部
・オルガノアルコキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113) 0.4質量部
・イソプロピルアルコール 3質量部
(濡れ性変化パターンの形成)
次に、光源として高圧水銀灯をもち、光触媒処理層基板および上記基板の位置調整機構をもつ紫外線露光装置により、光触媒処理層基板の光触媒処理層のパターンと、上記基板のITO膜のパターンとが対向するように、光触媒処理層基板および上記基板の位置を調整し、光触媒処理層と濡れ性変化層との間の距離が20μmとなるように調整した後、光触媒処理層基板の裏面側から253nmの光の露光量が4000mJ/cmとなるように露光した。
濡れ性変化層の光触媒処理層に面している部分および光触媒処理層に面していない部分の液体との接触角を接触角計(協和界面科学社製)により測定した。結果を下記表1に示す。
得られた有機EL素子の第1電極層を正極、第2電極層を負極に接続し、ソースメーターにより直流電流を印加し、発光状態を調査した。結果を下記表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、光触媒処理層基板のかわりに、遮光部の開口部が横幅85μm、縦幅85μmの矩形となるように設計されたフォトマスクを用いた以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
[比較例2]
実施例2において、光触媒処理層基板のかわりに、遮光部の開口部が横幅85μm、縦幅高85μmの矩形となるように設計されたフォトマスクを用いた以外は、実施例2と同様にして、有機EL素子を作製した。
[実施例1,2および比較例1,2の評価]
実施例1,2および比較例1,2における濡れ性の評価、発光層の観察結果、発光状態を表1に示す。
Figure 2008153159
[実施例3]
濡れ性変化層の形成を下記のようにして行った以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
(濡れ性変化層の形成)
下記組成の濡れ性変化層形成用塗工液を調製した。この濡れ性変化層形成用塗工液を、スピンコート法により基板上に塗布し、150℃、10分間の加熱・乾燥処理を施し、加水分解・重縮合反応を進行させて硬化させ、膜厚80nmの濡れ性変化層を形成した。
<濡れ性変化層形成用塗工液の組成>
・オルガノアルコキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113) 0.4質量部
・フルオロアルキルシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8233) 0.3質量部
・イソプロピルアルコール 60質量部
[実施例4]
濡れ性変化層の形成を下記のようにして行った以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
(濡れ性変化層の形成)
下記組成の濡れ性変化層形成用塗工液を調製した。この濡れ性変化層形成用塗工液を、スピンコート法により基板上に塗布し、150℃、10分間の加熱・乾燥処理を施し、加水分解・重縮合反応を進行させて硬化させ、膜厚40nmの濡れ性変化層を形成した。
<濡れ性変化層形成用塗工液の組成>
・オルガノアルコキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8113) 0.4質量部
・フルオロアルキルシラン(GE東芝シリコーン(株)製、TSL8233) 0.3質量部
・イソプロピルアルコール 120質量部
[実施例1,3,4の評価]
実施例1,3,4の輝度−電圧特性を図8に示す。濡れ性変化層の膜厚が薄いほど、曲線が低電圧側にシフトしており、発光開始電圧が低くなることがわかった。また、実施例1では、濡れ性変化層の膜厚が10nmと比較的薄いので、実施例3,4に比較して、発光開始電圧が低くなるとともに、最大輝度が高くなった。
本発明の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。 本発明の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明に用いられる光触媒処理層基板の一例を示す概略断面図である。 本発明に用いられる光触媒処理層基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明に用いられる光触媒処理層基板の他の例を示す概略断面図である。 実験例1における濡れ性変化層の露光前後のXPSスペクトルである。 実験例1,2における有機EL素子の輝度−電圧特性を示すグラフである。 実施例1,3,4における有機EL素子の輝度−電圧特性を示すグラフである。
符号の説明
1 … 有機EL素子
2 … 基板
3 … 第1電極層(電極層)
4 … 絶縁層
5 … 濡れ性変化層
6 … 正孔注入層
7 … 発光層
8 … 有機EL層
9 … 第2電極層(対向電極層)
11 … 親液性領域
12 … 撥液性領域
21 … 光触媒処理層基板
22 … 基体
23 … 遮光部
24 … 光触媒処理層

Claims (10)

  1. 基板と、前記基板上にパターン状に形成された第1電極層と、前記第1電極層上に形成され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化し、前記エネルギーに対して不活性であり、表面に、前記第1電極層のパターン上に配置され、オルガノポリシロキサンを含有する親液性領域、および、前記第1電極層のパターンの開口部上に配置され、フッ素を含むオルガノポリシロキサンを含有する撥液性領域からなる濡れ性変化パターンを有する濡れ性変化層と、前記濡れ性変化層の親液性領域上に形成され、少なくとも発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層と、前記有機エレクトロルミネッセンス層上に形成された第2電極層とを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  2. 前記有機エレクトロルミネッセンス層が正孔注入輸送層を含み、前記正孔注入輸送層が前記濡れ性変化層および前記発光層の間に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記濡れ性変化層の膜厚が20nm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 前記基板上の前記第1電極層のパターンの開口部に、絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 電極層が形成された基板上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層を形成する濡れ性変化層形成工程と、
    基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、前記濡れ性変化層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、前記濡れ性変化層表面に親液性領域および撥液性領域からなる濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、
    前記親液性領域上に、少なくとも発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層を形成する有機エレクトロルミネッセンス層形成工程と
    を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 前記光触媒処理層基板にて、前記基体上に前記光触媒処理層がパターン状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 前記光触媒処理層基板にて、前記基体上に遮光部がパターン状に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  8. 前記有機エレクトロルミネッセンス層形成工程が、前記親液性領域上に正孔注入輸送層を形成する正孔注入輸送層工程と、前記正孔注入輸送層上に前記発光層を形成する発光層形成工程とを有することを特徴とする請求項5から請求項7までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  9. 前記濡れ性変化層が、YSiX(4−n)
    (ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
    で示されるケイ素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物または共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンを含有することを特徴とする請求項5から請求項8までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  10. 前記濡れ性変化層形成工程前に、前記電極層がパターン状に形成された基板上の前記電極層のパターンの開口部に、前記濡れ性変化パターン形成工程にて照射されるエネルギーを反射または吸収する絶縁層を形成する絶縁層形成工程を行うことを特徴とする請求項5から請求項9までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
JP2006342620A 2006-12-20 2006-12-20 有機エレクトロルミネッセンス素子およびその製造方法 Pending JP2008153159A (ja)

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