JP2004071473A - パターンの形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板の表面にパターンを形成する際に、予定した区画内に均一かつムラ無く、しかもはみ出すことを防止して、塗液を適用でき、適用された種々の物質に基づき、製品の物理的機能が十分に発揮されることを可能にする。
【解決手段】基板2上にエネルギーの付与により濡れ性が変化する濡れ性変化性層3を積層し、パターン露光等により、濡れ性の高い部分3Aを生成させ、極性が高い溶媒で調製した塗液10の乾燥塗膜10’を形成することにより、課題を解決することができた。さらに塗膜10’と親和性を有する溶媒を用いて調製した塗液を用いて、塗膜10’上に別の塗膜を形成することもできる。
【選択図】 図4
【解決手段】基板2上にエネルギーの付与により濡れ性が変化する濡れ性変化性層3を積層し、パターン露光等により、濡れ性の高い部分3Aを生成させ、極性が高い溶媒で調製した塗液10の乾燥塗膜10’を形成することにより、課題を解決することができた。さらに塗膜10’と親和性を有する溶媒を用いて調製した塗液を用いて、塗膜10’上に別の塗膜を形成することもできる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パターンの形成方法に関するもので、エネルギーの付与により、濡れ性が変化する層で被覆された表面に、エネルギーをパターン状に付与して、相対的に濡れ性の高い区域からなるパターンを形成し、そのパターンを利用して、塗液を選択的に付着させるパターンの形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
所定のパターンを対象物の表面に施すには、通常、印刷法が利用される。印刷法において、インキを対象物にパターン状に施すための方策は、専ら印刷版側で行なわれ、例えば、版の表面の凹凸差や、表面の親水性および/または親油性等の性質の差を利用し、インキを印刷版の表面に選択的に、即ちパターン状に付着させ、その後、紙等の対象物に転移させている。こうして得られる印刷物は、読んだり眺めたりするためのものであるので、印刷物全体のインキの付着ムラがあることは好ましくないが、細部、例えば、個々の網点内におけるインキの付着ムラは、問題にならないことが多い。
【0003】
しかしながら、印刷法を利用して、電気回路や、高抵抗のインキ塗膜からなる発熱体等が形成されるようになると、インキの付着ムラは、印刷された各部分の抵抗値等の性質の差違を生じるため、より一層の厳密な印刷が望まれるようになってきている。
【0004】
さらに、有機トランジスタ、有機太陽電池、もしくは有機EL素子等の、有機物を用いた有機デバイスが作られるようになり、種々の機能を持つ複数の層を同一対象物に印刷、もしくはそれ以外の方法により設けるようになることも行なわれるようになってきている。例えば、液晶ディスプレイ用のカラーフィルターや有機EL素子の製造の際には、種々の有機物が、ドライプロセスやウェットプロセスによって成膜され、ウェットプロセスとしては、スピンコート法や、インクジェット法、印刷法、もしくはディスペンサー法などが利用されている。
【0005】
ところで、有機デバイスの製造時には、液晶ディスプレイ用のカラーフィルターにおける異なる色相の材料の塗り分けのように、異なる素材からなる細かいパターンどうしを密集させて形成する必要があるが、ウェットプロセスを利用する際には、インキや塗液が隣接するパターン部分に流出する恐れがあるため、凸状の仕切部材をパターンの境界に設けることが行なわれ、この仕切部材全体、もしくはその表面を、フッ素系化合物等の撥液性の素材で構成し、インキや塗液をはじく性質を与え、塗液が仕切部材で区画された領域内にのみ適用されるようにしている。
【0006】
しかし、仕切部材の表面が撥液性を有しているため、凸状の仕切部材の側面に適用されたインキや塗液がはじかれ、仕切部材で区画された領域の周辺部に、インキや塗液が十分に付着しない部分が生じる場合がある。従って、液晶ディスプレイ用のカラーフィルターの場合であれば、カラーフィルターの機能が不十分になり、画像の鮮明度やコントラストが低下する。
【0007】
あるいは、有機EL素子の場合、仕切部材で区画された領域内の周辺部に、蛍光体が十分に付着しない部分が生じると、蛍光体をはさんで設けられた電極間に電圧を印加した際に、電極どうしの短絡が起こり、発光しないことがある。
【0008】
例示したように有機デバイスにおいては、仕切部材が撥液性であると、仕切部材の側面でインキや塗液がはじかれるため、仕切部材で区画された領域内に、適用されるべき物質が不均一に、ムラを有して付着し、結果として、得られる有機デバイスが発揮すべき機能が十分発揮されないという問題が生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明においては、対象物の表面に種々の物質をごく接近させて適用する際に、予定した区画内に均一かつムラ無く適用することが可能で、しかも、予定した区画外に適用されることを防止し、適用された種々の物質に基づく、製品の物理的機能が十分に発揮されることを可能にするパターンの形成方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決する手段】
発明者の検討の結果、対象物の表面に、エネルギーの付与により、表面の濡れ性が変化し得る素材からなる濡れ性変化性層を積層し、この濡れ性変化性層にパターン状にエネルギーを付与して、濡れ性の高い部分を生成させ、その部分に極性が高い溶媒で溶解もしくは分散した物質の塗膜を形成するか、または、形成された塗膜上に、さらに、その塗膜を構成する物質との親和性を有する溶媒を含む塗液を用いて塗膜を形成することにより、意図した領域内部に、物質をムラなく適用することが可能であることが判明し、次のような本発明に到達することができた。
【0011】
第1の発明は、基板上に、エネルギーの付与により、表面の濡れ性が変化し得る素材からなる濡れ性変化性層を積層して濡れ性変化性基板を作成し、前記濡れ性変化性基板の前記濡れ性変化性層に、パターン状にエネルギーを付与して、エネルギーが付与された部分に、エネルギーが付与されなかった部分にくらべて濡れ性の高いパターン状の部分を生成させ、生成した前記濡れ性の高いパターン状の部分に、極性が相対的に高い溶媒Aを少なくとも1種類含む溶媒と前記溶媒に溶解もしくは分散する溶質Aとを含有する塗液Aを塗布し、塗布後、乾燥させて、前記濡れ性の高いパターン状の部分上に前記溶質Aの層を形成することを特徴とするパターンの形成方法に関するものである。
【0012】
第2の発明は、基板上に、エネルギーの付与により、表面の濡れ性が変化し得る素材からなる濡れ性変化性層を積層して濡れ性変化性基板を作成し、前記濡れ性変化性基板の前記濡れ性変化性層に、パターン状にエネルギーを付与して、エネルギーが付与された部分に、エネルギーが付与されなかった部分にくらべて濡れ性の高いパターン状の部分を生成させ、生成した前記濡れ性の高いパターン状の部分に、極性が相対的に高い溶媒Aを少なくとも1種類含む溶媒と前記溶媒に溶解もしくは分散する溶質Aとを含有する塗液Aを塗布し、塗布後、乾燥させて、前記濡れ性の高いパターン状の部分上に前記溶質Aの層を形成させ、その後、前記溶質Aとの親和性を有する溶媒Bに溶質Bを溶解もしくは分散した塗液Bを塗布し、乾燥させることにより、前記溶質Aの層上に、前記溶質Bの層を形成することを特徴とするパターンの形成方法に関するものである。
【0013】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記濡れ性変化性層に、パターン状にエネルギーを付与する際のエネルギー付与手段が、光照射、プラズマ処理、もしくは光照射による光触媒反応のいずれかであることを特徴とするパターンの形成方法に関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1〜図7は、いずれも、本発明のパターンの形成方法の各工程の概略を示す図であり、図1〜図3は、基板上に濡れ性の高いパターン状の部分を生成する過程の代表的な三つの態様を示す図であり、図4および図5は、濡れ性の高い部分を利用してパターンを形成する過程の代表的な二つの態様を示す図であり、図6および図7はパターンを形成する際の異なる態様を示す図である。
【0015】
図1(a)に示すように、第1の基板2の表面にシリコーン等からなる濡れ性変化性層3が積層された濡れ性変化性基板1を準備する。また、この態様においては、図1(b)に示すように、別の第2の基板5に二酸化チタン等からなる光触媒層6が積層された光触媒基板4を準備する。
【0016】
図1(c)に示すように、濡れ性変化性基板1と光触媒基板4とは、各々の濡れ性変化性層3と光触媒層6とが向かい合うようにして重ね、光触媒基板4の濡れ性変化性基板1と向かい合う側とは反対側に、マスク7を配置してマスク7を介して光、代表的には紫外線を照射することにより、パターン状露光を行い、図4(a)に示すように、濡れ性変化性層3の露光部において、相対的に濡れ性の高い領域3Aを、また、未露光部において濡れ性が変化しなかった、濡れ性の低い領域3Bとを区分させる。即ち、エネルギーが付与された部分に、エネルギーが付与されなかった部分にくらべて濡れ性の高いパターン状の部分を生成させる。なお、光触媒層6を構成する光触媒は、少なくとも、濡れ性変化性層3への光照射の際に存在すべきものであるので、予め、濡れ性変化性層3中に含有させておけば、光触媒基板4を用いなくても済む。また、マスク7は、例えば、マスク基板8上にマスクパターン9が積層されたものである。
【0017】
次に図4(b)に示すように、濡れ性変化性層3に、極性の高い溶媒Aで溶質Aを、好ましくは溶解した塗液Aを塗布し、濡れ性の高い領域3Aに塗液A(符号;10)を選択的に付着させ、その後、乾燥させることにより、図4(c)に示すように、濡れ性の高いパターン状の部分3A上に塗膜A’(符号;10’)、言い換えれば溶質Aの層を形成して、濡れ性の高いパターン状の部分3A上に溶質Aの層からなるパターンを形成する。
【0018】
以上の方法によれば、濡れ性の高いパターン状の部分上に、極性の高い溶媒Aに好ましくは溶解し得る溶質Aの層からなるパターンの形成ができるが、形成されるパターンを構成する素材としては、溶解性の観点から、極性の高いものが適しており、極性が極端に低い素材を用いると、濡れ性の高いパターン状の部分上への選択的なパターンの形成がむずかしいことがある。
【0019】
そこで、濡れ性の高いパターン状の部分上に形成するパターンを構成する素材として使用し得るものの範囲を拡大するためには、一旦、上記のようにして、濡れ性の高いパターン状の部分上に溶質Aの層(符号;10’)からなるパターンを形成し(図5(a)に示す。図4(c)と同じである。)、その後、溶質Aの層との親和性のある、好ましくは、溶質Aの層からなるパターンが形成されていない部分との親和性の低い溶媒Bを用いて溶質Bを溶解した塗液Bを塗布し、濡れ性の高い領域3A上の溶質Aの層(符号;10’)上に塗液B(符号;11)を選択的に付着させ(図5(b))、その後、乾燥させることにより、図5(c)に示すように、濡れ性の高いパターン状の部分3A上に、塗膜A’(符号;10’)を介して塗膜B’(符号;11’)、言い換えれば溶質Bの層からなるパターンを形成する。
【0020】
このように、一旦形成した、溶質Aの層(符号;10’)を利用することにより、工程が付加されて、工程数が増加するものの、塗液Bとしては、溶質Aの層からなるパターンが形成されていない部分との親和性よりも、溶質Aの層(符号;10’)との親和性のある溶媒Bを含むものを用いればよいので、先の溶質Aにおいて、極性の高い溶媒Aに好ましくは溶解し得るものを用いたのにくらべれば、溶媒Bの選択範囲が広がる利点がある。
【0021】
基板上に濡れ性の高いパターン状の部分を生成する過程としては、上記した例以外にも次のような過程を選択することもできる。
【0022】
シリコーン等からなる濡れ性変化性層3が積層された濡れ性変化性基板1は、図1を引用して説明したように光触媒基板4を使用するのではなく、図2に示すように、濡れ性変化性基板1単独に対し、紫外線を照射することによっても、濡れ性変化性層3に濡れ性の高いパターン状の部分を生成することができる。この場合において、パターン化は、光触媒基板4を使用するときと同様、マスク7を介して行なうことができる。
【0023】
あるいは、濡れ性変化性基板1は、図3に示すように、プラズマ雰囲気に曝すことによっても、濡れ性変化性層3に濡れ性の高いパターン状の部分を生成することができる。この場合において、パターン化は、濡れ性変化性層3上に、プラズマ耐性のある素材により、マスクパターン9を直接に設けた後、プラズマ雰囲気に曝すことにより、行なうことができる。あるいは、濡れ性変化性層3上を金属製等のマスクで被覆して行なってもよい。
【0024】
基板1は板状、もしくはフィルム状のものであり、それらを構成する素材としては、ガラス、石英等の無機材料、または樹脂板もしくは樹脂フィルム等を挙げることができる。ここでは、「基板」の用語は、フィルム状の物も含む意味で使うので、基材と言い換えてもよい。基板1が樹脂フィルムであれば、得られる製品を、丸めたり曲げたりすることが可能なフレキシブルなものとすることができる。
【0025】
樹脂板もしくは樹脂フィルムを構成する樹脂としては、特に限定されないが、耐溶媒性、耐熱性の比較的高いものであることが好ましい。また、用途にもよるが、水蒸気、もしくは酸素等のガスを遮断するガスバリアー性を有する素材であることが好ましい。さらに、濡れ性変化性層3へのエネルギーの付与を、基板1を通しての光照射により行なわれるときは、基板1は、樹脂製であるかどうかにかかわらず、光照射に用いる光に対して透明であるものを用いることが好ましい。具体的には、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、アクリロニトリル−スチレン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、非晶質ポリオレフィン等が挙げられるが、この他でも条件を満たす高分子材料であれば使用可能であり、また上記した樹脂の出発原料であるモノマーを2種類以上用いて共重合させて得られる共重合体であっても良い。
【0026】
なお、基板1は、本発明のパターンの形成方法により得られる製品が種々の機能を果たすものである場合には、基板1単独ではなく、基板1上の、この次に説明する濡れ性変化性層3との間に、種々の層が積層されたものであり得る。
【0027】
基板1は、本発明におけるパターンの形成の対象物である。後述するように、本発明のパターンの形成方法は、有機EL素子の蛍光層のパターンの形成に適用すると非常に好ましいが、蛍光層のパターンの形成の際の対象物は、例えば、ガラス基板に透明電極層単独、もしくは更にその他の層を伴なったものである。
【0028】
濡れ性変化性層3は、エネルギーの付与により、表面の濡れ性が変化し得る素材からなるもので、具体的には、オルガノポリシロキサン等のケイ素化合物であって、濡れ性の高いパターン状の部分を生成する際のエネルギーの付与により、分解されない高い結合エネルギーを有するものがよい。例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して得られる大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、あるいは(2)撥水性や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
【0029】
前記(1)の場合、一般式YnSiX4−n(Yの添え字nおよびXの添え字4−nにおけるnは1〜3の整数である。)で表されるケイ素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物、もしくは共加水分解化合物が主体である。また、一般式YnSiX4−nにおいて、Yは、例えばアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基またはエポキシ基であり、Xは、例えばハロゲン、メトキシル基、エトキシル基、またはアセチル基である。
【0030】
一般式YnSiX4−nに該当するものとしては、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン、n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン、n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソプロポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラン、n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン、n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン、フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン、テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、トリクロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、もしくはβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、または、以上のものの各々の部分加水分解物を挙げることができ、あるいはこれらの任意の組合せによる混合物を挙げることができる。
【0031】
また、フッ素を有するケイ素化合物は、塗液を調製して塗布する際の塗布適性が優れ、自身は撥液性でありながら、濡れ性変化性層を構成してエネルギーを付与した際に、濡れ性の変化が大きいので、好ましいものであり、特に、フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンを用いることが好ましい。フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンとしては、具体的には、次段落に示すフルオロアルキルシランの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられ、また、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られているものを使用してもよい。
【0032】
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)3CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)5CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)7CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)9CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH2CH3)3;および
CF3(CF2)7SO2N(C2H5)C2H4CH2Si(OCH3)3。
【0033】
また、前記(2)の撥水性や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサンは、一般式−(Si(R1)(R2)O)n−で表される骨格を有する化合物から得ることができる。この一般式−(Si(R1)(R2)O)n−において、( )の外の添え字nは、2以上の整数であり、R1およびR2は、それぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基である。好ましくは全体の40モル%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R1および/またはR2がメチル基であるものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、また、メチル基が60モル%以上であることが好ましく、鎖末端または側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基などの反応性基を有する。
【0034】
また、前記のオルガノポリシロキサンとともにジメチルポリシロキサンのような架橋反応を起こさない安定なオルガノシリコン化合物をバインダーに混合してもよい。
【0035】
上記のケイ素化合物は、必要に応じて、界面活性剤もしくはその他の添加剤と共に水もしくは溶剤を用いて溶解ないし分散させ、基板1上に公知の方法によって塗布し、加熱等により乾燥させることにより、濡れ性変化性層3を形成して、濡れ性変化性基板1を得ることができる。塗布の方法としては、スピンコート法、インクジェット法、キャスト法、LB法、ディスペンサー法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、フレキソ印刷、オフセット印刷、もしくはスクリーン印刷のいずれの方法によってもよい。濡れ性変化性層3の厚みは、0.001μm〜1μmであり、より好ましくは、0.001μm〜0.01μmである。
【0036】
図1を引用して説明した、濡れ性の高いパターン状の部分を生成する過程においては、濡れ性変化性基板1とは別に光触媒基板4を用いる。光触媒基板4は、濡れ性変化性基板1の基板2とは別の基板5上に光触媒層6が積層されて形成されたものである。基板5は、原則的に、濡れ性変化性基板1の基板2と同様の素材を用いて構成することができるが、光触媒基板4側から露光する場合には、基板5が露光光に対して透明性を有するものであることが好ましい。また、光触媒層6形成の際に焼成を伴なうときは、基板5は、無機材料で構成されていることが好ましい。
【0037】
光触媒層6は、濡れ性変化性層3と接触した状態、もしくは極く接近した作用距離にある状態で光照射を受けることにより、濡れ性変化性層3の濡れ性の変化をもたらす、いわゆる光触媒反応を起こす光触媒を含有するものである。光触媒反応の機構は必ずしも明らかではないが、光の照射によって光触媒に生成したキャリアが、ケイ素化合物の化学構造を直接変化させ、あるいは酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって前記ケイ素化合物の化学構造を変化させるものと考えられ、フルオロアルキル基を有する等のフッ素を有するケイ素化合物においては、フッ素化合物が脱離し、水酸基に置換するものと考えられる。
【0038】
光触媒は、光照射の際に、上述した濡れ性変化性層3の表面の濡れ性を変化させ得るものであればどのようなものでもよいが、光半導体として知られる、例えば二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、および酸化鉄(Fe2O3)のような金属酸化物を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0039】
光触媒としては、特に二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本発明ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
【0040】
このようなアナターゼ型二酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、もしくは石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
【0041】
基板5上に光触媒層6を形成するには、二酸化チタンの場合であれば、四塩化チタン等のチタンの無機塩、もしくはテトラエトキシチタン等の有機チタン化合物を基板5上で加水分解および脱水縮合し、次いで、焼成することによって得ることができ、あるいは、濡れ性変化性層3を形成し得るものとして挙げたオルガノポリシロキサンをバインダとして用いて、光触媒およびバインダの分散液を調製して、塗布し、加水分解および脱水縮合することにより、行なうことができ、バインダとしては、無定形シリカを用いることもできる。いずれも、塗布の際には、濡れ性変化性層3を形成する際の塗布の方法を利用することができる。
【0042】
図1(c)を引用して説明したように、濡れ性変化性基板1と光触媒基板4とは、各々の濡れ性変化性層3と光触媒層6とが向かい合うようにして重ね、マスク7を介して光を照射することにより、パターン状露光を行う。マスク7は、光触媒基板4側もしくは濡れ性変化性基板1側に配置することができる。
【0043】
露光に使用する光は、光触媒を励起することができるものであれば、限定されることはなく、紫外線、可視光線、赤外線、またはこれらの光線よりもさらに短波長もしくは長波長の電磁波、放射線であり得る。光触媒として、アナターゼ型チタニアを用いる場合は、励起波長が先に述べたように380nm以下にあるので、光触媒の励起は紫外線により行うことができ、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマレーザー、もしくはその他の紫外線光源を使用することができる。
【0044】
なお、以上の説明では、マスク7として、濡れ性変化性基板1および光触媒基板4とは別のものを使用したが、マスク7のマスクパターン9を、濡れ性変化性基板1もしくは光触媒基板4の基板2(もしくは5)の露出面側に設け、マスクパターン9側から光照射することによっても、パターン状露光を行うことができる。
【0045】
濡れ性変化性層3の濡れ性を変化させて濡れ性の高いパターン状の部分を生成させるためのエネルギー付与の手段としては、上記の光触媒を用いた光照射以外にも、光触媒を用いない光照射、もしくはプラズマ処理があり得る。
【0046】
光触媒を用いない光照射は、図2に示すように、濡れ性変化性基板1の濡れ性変化性層3側からマスク7を介して行なうことができ、使用するマスク7および光は、光触媒を用いた光照射の際と同じである。なお、光照射は、濡れ性変化性基板1の基板2側に配置したマスク7を介して行なうこともできるし、基板2の濡れ性変化性層3を有しない側にマスクパターン9を直接設け、そのマスクパターン9を介して行なうこともできる。
【0047】
プラズマ処理は、ガスプラズマを用いたドライエッチング装置を用いて行なうことができる。使用ガスは、フッ素化合物を除去できるものであれば、特に限定されることはないが、O2、CH4、もしくはCF4が好ましい。また、使用ガスは、2種類以上を混合したものであってもよい。
【0048】
プラズマ処理により、濡れ性の高いパターン状の部分を生成させるためには、濡れ性変化性層3の表面に、適宜な素材によるマスクパターンを設けることにより、マスクで覆われていない露出部分をプラズマ処理させればよく、パターン化する際に便利なことから、適宜な感光性樹脂、例えば、レジスト形成用の感光性樹脂を用いて形成するとよい。あるいは、濡れ性変化性層3上を金属製等のマスクで被覆して行なってもよい。
【0049】
光触媒を用いた光照射、光触媒を用いない光照射、もしくはプラズマ処理のいずれのエネルギーの付与の手段によるにせよ、濡れ性変化性基板1の濡れ性変化性層3の表面には、エネルギーが付与された部分に、エネルギーが付与されなかった部分にくらべて濡れ性の高いパターン状の部分が生成するので、濡れ性の高いパターン状の部分にパターンの形成を行なうことが可能になる。このようなパターンの形成に用いるのに適した塗液は、好ましくは、極性が相対的に高い溶媒Aに、溶媒Aに溶解もしくは分散する溶質Aを溶解した溶液Aである。
【0050】
ここで、極性が相対的に高い溶媒Aとは、25℃における誘電率(ε)が20以上であるものが好ましく、そのような溶媒Aの具体例としては、極性の高い溶媒である、水(誘電率;78.3、この段落における以降の( )内の数値は誘電率を示す。)、メタノール(32.6)、エタノール(24.6)、N,N−ジメチルホルムアミド(37.0)、N,N−ジメチルアセトアミド(37.8)、ジメチルスルホキシド(46.6)、N−メチルピロリドン、もしくはヘキサメチルホスホルアミド(34.0)などを挙げることができる。中でも、極性が非常に高い、水、メタノール、もしくはエタノールを用いることがより好ましい。
【0051】
以上の溶媒Aの中から、溶質Aの溶解性もしくは分散性、塗液の粘度、固形分濃度、表面張力、沸点、融点、基板1の表面との接触角、および乾燥性を考慮して選択し、使用することができる。なお、溶媒Aとしては、上記のうちから2種類以上を選択して、混合して用いることもできる。
【0052】
また、溶質Aとしては、上記の極性の高い溶媒Aに溶解し得るポリビニルアルコール、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体、ポリスチレンスルホネート、ポリエチレングリコール、もしくはポリプロピレングリコール等の樹脂を用いることができる。
【0053】
溶質Aは、上記の極性の高い溶媒Aに対する溶解度が必ずしも高くはないが、上記の極性の高い溶媒Aに分散し得るものであってもよく、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルエーテル、フタロシアニン誘導体、もしくは金属錯体を挙げることができる。
【0054】
上記のような溶媒Aに溶解もしくは分散する溶質Aを用いて塗液Aを調製する。溶媒Aおよび溶質Aの素材にもよるが、塗液A中の溶質Aの割合は、0.1〜20%(質量基準)程度である。濡れ性変化性層3の表面の、濡れ性の高いパターン状の部分に塗布し、塗布後、乾燥させることによって、濡れ性の高いパターン状の部分に上記の溶質Aの層を形成することができる。なお、塗液Aを調整する際の溶媒Aは、先に述べたように、1種類のみからではなく、2種類以上からなっていてもよい。さらに、溶媒Aは、極性が相対的に高くはない溶媒、もしくは極性が低い溶媒と併用することもできる。
【0055】
やや特殊ではあるが、有機EL素子を構成するための正孔注入バッファー形成用組成物、例えばポリ(3、4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(略称PEDOT/PSS、バイエル社製、商品名;BaytronP AI 4083、水溶液として市販。)も、極性が高い溶媒である水と、水に溶解する溶質とを含有する塗液として使用することができる。
【0056】
塗液Aを、濡れ性変化性層3の表面の、濡れ性の高いパターン状の部分に塗布するには、種々の方法があり、既に述べた、基板1上に濡れ性変化性層3を形成す際の塗布の方法として挙げた方法を利用することができる。挙げられたうち、印刷法以外の、いわゆる通常の一様な塗布方法によると、濡れ性の高いパターン状の部分を含めた濡れ性変化性層3の全面に塗液Aを塗布することになるため、その後、濡れ性が低い部分から塗液がはじかれたとしても、若干の塗液Aが、濡れ性の高いパターン状の部分以外に残留し、そのまま、乾燥して残ることがあり得る。従って、ここでの塗布の方法としては、濡れ性の高いパターン状の部分のみに選択的な塗布が可能な方法を利用することが好ましく、例えば、フレキソ印刷、オフセット印刷、もしくはスクリーン印刷等の印刷法を利用することができる。
【0057】
濡れ性の高いパターン状の部分のみに選択的な塗布を行なう、より好ましい方法としては、インクジェット法や、加圧された塗液溜め(タンク)および電磁弁等と組み合わされて、塗液の吐出を制御されたシリンジ(注射筒)を用いるシリンジ法(もしくはディスペンサ法)等があり、これらの方法によると、濡れ性の高いパターン状の部分の、個々の領域のほぼ中心に適量の塗液Aを適用すれば、領域内の濡れ性が高いために、塗液Aがひろがって、濡れ性の高いパターン状の部分を塗液で覆うことができ、塗液Aが極端に過剰に適用されない限り、濡れ性の高いパターン状の部分の外まで塗液Aがひろがることが無いので、意図した通り、濡れ性の高いパターン状の部分のみに塗液Aを適用することができる。なお塗液の圧送を、チューブポンプを用いて行なうこともできる。
【0058】
適用された塗液Aは、適宜な手段、すなわち、自然放置、加熱を伴なわない風乾、加熱を伴なう風乾、もしくは赤外線ランプ等による赤外線照射により乾燥させ、濡れ性変化性層3の濡れ性の高いパターン状の部分に、溶質Aの層が良好に形成される。
【0059】
ここで形成される溶質Aの層は、溶質Aが、極性が相対的に高い溶媒Aに溶解もしくは分散する性質を持つものである必要があるので、上記の方法のみでは、濡れ性の高いパターン状の部分に、良好に層の形成ができない素材もあり得る。このような場合でも、濡れ性の高いパターン状の部分に形成した溶質Aの層を利用して、必ずしも、極性が相対的に高い溶媒Aに溶解もしくは分散する性質を持たない溶質Bの層を形成するためには、そのような溶質Bを、好ましくは、溶質Aとの親和性を有する溶媒Bを用いて溶解もしくは分散した塗液Bを、溶質Aの層上に塗布することにより、濡れ性の高いパターン状の部分に溶質Aの層を介して、溶質Bの層を形成することができる。
【0060】
溶質Aと親和性を有する溶媒Bとしては、極性が相対的に高い溶媒Aの具体例として挙げたもの以外の、これら溶媒Aにくらべて極性の低い溶媒を用いることができ、以下に挙げるような溶媒の中から、溶質Bの溶解性もしくは分散性、塗液の粘度、固形分濃度、表面張力、沸点、融点、溶質Aの層の表面との接触角、および乾燥性を考慮して選択し、使用することができる。ここで、溶質Aと親和性のある溶媒Bとして、先に挙げた溶媒Aよりも極性の低い溶媒を選ぶのは、塗液Bの塗布時に溶質Aに影響を与えないためと、溶質Aを構成する素材の分子中に溶媒Bとの親和性を有する、例えば炭素鎖部分等が存在するからである。
【0061】
溶媒Bの具体例としては、アルコール(メタノール、エタノールを除く。)、ベンゼン、トルエン、キシレンの各異性体、トリメチルベンゼンの各異性体、テトラメチルベンゼン、テトラリン、p−シメン、クメン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼンの各異性体、ブチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンの各異性体、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、1,2−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、ジペンジルエーテル、ジグライム等をはじめとするエーテル系溶媒、ジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1−クロロナフタレン等のクロル系溶媒、シクロヘキサノン等が挙げられる。溶媒Bとしては、上記以外の溶媒でも、前段落に記載した条件を満たす溶媒であれば使用可能であり、2種類以上の混合溶媒であっても良い。なお、溶媒Aとして挙げた溶媒のリスト中からも、実際に使用した溶媒Aとの兼ね合いで、溶媒Bとして使用できるものもあり得る。例えば、上記の溶媒Bの例で除外したメタノール、エタノール等は、溶媒Aが水であれば使用し得る。
【0062】
溶質Bとしては、溶媒Bが極性の高いものでなくてもよいので、一般的な溶媒に可溶な樹脂が使用でき、実際に使用した溶媒Aにもよるが、水溶性や水分散性以外の樹脂を選択することが好ましい。また、樹脂に加えて、染料もしくは顔料等の着色剤を配合して、着色層を形成することもできる。
【0063】
溶質Bとしては、樹脂以外であってもよく、溶媒Bに溶解もしくは分散し得る様々なものを使用することができる。前段落で挙げた染料もしくは顔料等の着色剤を、樹脂を併用することなく使用することができる。溶質Bの具体例は以降に挙げるが、溶媒Bと溶質Bを用いて塗液Bを調製し、塗液Aを塗布したのと同様な方法により、濡れ性の高いパターン状の部分上の溶質Aの層上に塗布し、塗布後、乾燥させることによって、溶質Bの層を形成することができる。
【0064】
溶質Bの好ましい例は、有機デバイス、例えば、有機EL素子の各層を構成するための素材、とりわけ、有機EL素子のEL層を構成する素材、中でも発光層を構成する素材である。そこで、有機EL素子について説明すると、有機EL素子は、原理的には、基板、第1電極、EL層、および第2電極とから構成されている。基板1と第1電極との間には他の層が介在してもよい。
【0065】
EL層は、有機EL素子のタイプにもよるが、発光層単独、もしくは設けることが可能な他の任意の層と発光層との組合せにより構成される。任意の層としては、発光層に正孔を輸送する正孔輸送層、および発光層に電子を輸送する電子輸送層(これらはまとめて、電荷輸送層と呼ぶことがある)、ならびに、発光層または正孔輸送層に正孔を注入する正孔注入層、および発光層または電子輸送層に電子を注入する電子注入層(これらはまとめて、電荷注入層と呼ぶことがある)がある。また、これらの各層のほか、絶縁層、隔壁層、および第2電極層上の封止材等がある。
【0066】
有機EL素子における基板は、本発明のパターンの形成方法における基板1と同じ素材で構成することができる。基板は透明であってもよいが不透明であってもよい。また、封止材は、基板1と同様な素材で構成するか、もしくはガスバリア性樹脂等の樹脂を用いて構成された塗料の塗膜であってよい。
【0067】
第1電極および第2電極は、基板上に積層する方を第1電極、EL層上に積層する方を第2電極と呼ぶ。第1電極および第2電極は、基板に対して全面に形成されていても、もしくはパターン状に形成されていてもよい。第1電極および第2電極は、いずれかが陽極、他方が陰極であることが好ましく、また、いずれか一方が、透明または半透明であり、陽極としては、正孔が注入し易いように仕事関数の大きい導電性材料で構成されていることが好ましく、陰極としては、電子が注入し易いように仕事関数の小さい導電性材料で構成されていることが好ましい。いずれの電極も、抵抗はできるだけ小さいものが好ましく、一般には、金属材料が用いられるが、有機物あるいは無機化合物を用いてもよい。
【0068】
第1電極および第2電極を構成し得る具体的な陽極材料としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、金、もしくはポリアニリン等を、また、具体的な陰極材料としては、マグネシウム合金(MgAg他)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg他)、もしくは金属カルシウムを挙げることができる。陽極材料および陰極材料とも、複数の材料の混合されたものであってもよい。させてもよい。
【0069】
発光層を構成する素材としては、大別して、色素系、金属錯体系、もしくは高分子系のものがある。
【0070】
色素系としては、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマーがある。
【0071】
金属錯体系としては、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、もしくはユーロピウム錯体等の、中心金属にAl、Zn、もしくはBe等または、Tb、Eu、もしくはDy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体がある。
【0072】
高分子系としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール等、もしくはポリフルオレン誘導体がある。
【0073】
発光層を構成する素材には、ドーピング材料を配合してもよく、ドーピング材料としては、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、もしくはフェノキサゾンがある。
【0074】
正孔注入層(もしくは陽極バッファー材料)を構成する素材としては、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、もしくはポリチオフェン誘導体がある。
【0075】
電子注入層(もしくは陰極バッファー材料)を構成する素材としては、アルミリチウム合金、フッ化リチウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム、カルシウム、ポリメチルメタクリレート、もしくはポリスチレンスルホン酸ナトリウムがある。
【0076】
絶縁層は、絶縁層が設けられた部分において、電極からEL層への電荷の供給を止め、EL層を発光させないために設けられるもので、絶縁層を構成する素材としては、感光性ポリイミド樹脂、もしくはアクリル系樹脂のほか、光硬化型樹脂、もしくは熱硬化型樹脂等の硬化型樹脂、または無機材料などが挙げられる。
【0077】
異なる色を発光するEL層どうしを組み合わせる際には、それらのEL層どうしの間に隔壁を設けることもできる。隔壁を構成する素材としては、感光性ポリイミド樹脂、もしくはアクリル系樹脂のほか、光硬化型樹脂、もしくは熱硬化型樹脂等の硬化型樹脂、または撥液性樹脂などが挙げられる。
【0078】
以上のような有機EL素子は、本発明のパターンの形成方法を用い、例えば、次のようにして製造される。
【0079】
まず、ITOからなるパターン状の電極をガラス等の基板上に形成して第1電極とする。次に、第1電極が形成された上の全面に、フッ素を含有するポリシロキサンを塗布し、加水分解、重縮合反応を起こさせて、薄膜層を形成する。
【0080】
次に、薄膜層の表面を、パターンマスクを用いて露光し、露光部の濡れ性を高めて親水化させ、親水化した部分に水溶性樹脂の水溶液(例えば、正孔注入バッファー形成用組成物であり得る。)をシリンジ法により塗布し、乾燥させて、水溶性樹脂のパターンを形成する。ここまでの工程により、親水化した部分の上に、水溶性樹脂の層からなるパターンが形成される。
【0081】
次に、発光層を構成するための素材を、極性の比較的低い溶剤で溶解したものを、やはりシリンジ法により、水溶性樹脂の層のパターンのパターン部分に塗布し、乾燥させて、水溶性樹脂の層上に、発光層のパターンを形成する。
【0082】
発光層のパターンが形成された後、発光層上の表示すべき領域上を覆って金属電極を形成し、続いて、金属電極上を含む全面に防湿のためのガスバリア性樹脂からなる封止材塗料を塗布して、有機EL素子とする。
【0083】
有機EL素子の製造に際しては、基板2上に断面形状が凸状の絶縁層3が形成された間に、上記した発光層を形成することがある。このような場合には、凸状の絶縁層3が形成された基板2上に、濡れ性変化性層3を形成するので、濡れ性変化性層3の表面に、下層の絶縁層3の有無に従った凹凸が生じている。発光層の形成は、絶縁層3が無い部分、即ち、凹部の底に行なうのであるが、濡れ性変化性層3へのエネルギーの付与を、絶縁層3の立ち上がり部分に相当する箇所にも行ない、図6中に示すように、凹部の底に加えて、凹部の両側の壁面(図中の壁面の上部も含む。)も含めて濡れ性の高い領域3Aを形成することにより、EL層を形成する塗膜A’(符号;10’)が、所定の区域内に付着する確実性が増す。
【0084】
なお、本発明において、先に形成した溶質Aの層上に溶質Bの層を形成する際には、各層が単純に積層するように説明し、また、図5においても同じ大きさの層が二層積層されたかのように描いたが、基板2の性質や、塗膜A’(符号;10’)の厚み、性質、塗液Bの性状等によって、例えば、図7(a)もしくは図7(b)に示すように、塗液B(符号;11)が塗膜A’の左右および上を覆い、塗液Bと基板2との濡れ性の関係により、臨界角の異なる形状となる。
【0085】
本発明のパターンの形成方法においては、パターンを形成する対象物側のパターンを受け入れるべき場所を、従来におけるように、必ずしも、全表面が撥液性の凸状の仕切部材で囲んで形成することによるのではなく、表面の濡れ性の差違のみによって形成しているので、仕切部材の側面でインキや塗液がはじかれ、仕切部材で区画された領域内の周辺部に、インキや塗液が十分に付着しない部分が生じるという欠点がなく、また、濡れ性変化性層の形成やパターン状にエネルギーを付与することが可能である限り、必ずしも平面でない基板1に対しても、パターンの形成が可能であり、立体物の表面へのパターンの形成方法としても利用価値が高い。また、本発明のパターンの形成方法においては、極性が相対的に高い溶媒を用いた塗液のみにより、パターンを形成するのに加えて、さらに、先に形成したパターンとの親和性を有する、実質的には極性の高くない溶媒を用いた塗液を用いれば、塗液中の溶質の選択範囲が広くなるので、単なる意匠的な外観をもつパターンの形成は勿論、溶質の持つ性質により、対象物に機能を有するパターンを形成することが可能になる利点も有する。
【0086】
【実施例】
(実施例1)
酸化インジウム錫の透明電極パターンが積層されたガラス基板を準備し、透明電極パターンが積層された側に、テトラメトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製、品名;TSL8114)5g、フルオロアルキルシラン(GE東芝シリコーン(株)製、品名;TSL8223)1.5g、および0.005NのHCl(水溶液)2.36gからなる溶液を20℃の温度で24時間攪拌して得られた溶液を、イソプロピルアルコールで100倍(質量基準、比較例においても同様)に希釈した希釈液をスピンコート法により塗布し、150℃の温度で10分間加熱して乾燥させた後、加水分解、重縮合反応を進行させて透明な薄膜層を形成した。
【0087】
薄膜層上に、TiO2からなる触媒層を表面に有するパターンマスクを、触媒層が薄膜層側になるようにして重ね、パターンマスクの背面側より紫外線を照射した。この紫外線の照射により、露光部の薄膜層中のフッ素が脱離し、水酸基に置換され、露光部が親液性となり、未露光部はフッ素を有することによる撥液性が保持されて、親液性区域と撥液性区域とからなるパターンが形成された。
【0088】
形成された親液性区域と撥液性区域とからなるパターン上に、有機EL用正孔注入バッファー形成用組成物である、ポリ(3、4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(バイエル社製、商品名;Baytron P
AI 4083、水溶液として市販。)をマイクロシリンジを用いたシリンジ法にて塗布したところ、親液性区域にのみ、有機EL用正孔注入バッファー形成用組成物の5mm×5mmの正方形状の塗膜が形成された。
【0089】
有機EL用正孔注入バッファー形成用組成物の塗布後、加熱して、塗膜を乾燥させた後、クマリン誘導体およびポリビニルカルバゾールをキシレンに、固形分が1%(質量基準)になるよう溶解した発光層形成用組成物をマイクロシリンジを用いたシリンジ法により塗布したところ、親液性区域上の有機EL用正孔注入バッファー形成用組成物の塗膜の輪郭内いっぱいに発光層形成用組成物が広がり、5mm×5mmの正方形状のパターン通りに、塗布ムラが無い均一な発光層が成膜された。
【0090】
(比較例)
有機EL用正孔注入バッファー形成用組成物の塗布を行わず、親液性区域と撥液性区域とからなるパターン上に直接、発光層形成用組成物を塗布した以外は、実施例におけるのと同様に行ったが、発光層形成用組成物の塗布ムラが生じ、均一な発光層が得られなかった。
【0091】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、表面に生成した濡れ性の高いパターン状の部分に、極性が相対的に高い溶媒とその溶媒に溶解もしくは分散する溶質とを含有する塗液を塗布して、溶質のパターンを形成するので、予定した区画外に塗膜が適用されることが無く、しかも、予定した区画内に均一かつムラ無く塗膜が適用されるパターンの形成方法を提供することができる。
【0092】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の方法により形成された溶質の塗膜上に、その溶質と親和性を有する溶媒を含む塗液により塗膜を形成するので、後に形成される方の塗膜の溶質としては、極性が相対的に高いものに溶解もしくは分散する有するものに限定されず、使用できる溶質の範囲の広いパターンの形成方法を提供することができる。
【0093】
請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2の発明の効果に加え、より具体化されたエネルギー付与手段により、濡れ性の高いパターン状の部分を効率的に形成することが可能なパターンの形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】濡れ性変化性基板を光触媒基板を伴なって光照射する様子を示す図である。
【図2】濡れ性変化性基板を光照射する様子を示す図である。
【図3】濡れ性変化性基板をプラズマ処理する様子を示す図である。
【図4】塗膜Aを形成する過程を示す図である。
【図5】塗膜Bを塗膜A上に形成する過程を示す図である。
【図6】基板が絶縁層を伴なう場合に、塗膜Aを形成する過程を示す図である。
【図7】塗膜Bを塗膜A上に形成する際の塗液Bの状態を示す図である。
【符号の説明】
1 濡れ性変化性基板
2 第1の基板
3 濡れ性変化性層
4 光触媒基板
5 第2の基板
6 光触媒層
7 マスク(8;マスク基板、9;マスクパターン)
10 塗液A(10’;塗膜A’)
11 塗液B(11’;塗膜B’)
12 絶縁層
【発明の属する技術分野】
本発明は、パターンの形成方法に関するもので、エネルギーの付与により、濡れ性が変化する層で被覆された表面に、エネルギーをパターン状に付与して、相対的に濡れ性の高い区域からなるパターンを形成し、そのパターンを利用して、塗液を選択的に付着させるパターンの形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
所定のパターンを対象物の表面に施すには、通常、印刷法が利用される。印刷法において、インキを対象物にパターン状に施すための方策は、専ら印刷版側で行なわれ、例えば、版の表面の凹凸差や、表面の親水性および/または親油性等の性質の差を利用し、インキを印刷版の表面に選択的に、即ちパターン状に付着させ、その後、紙等の対象物に転移させている。こうして得られる印刷物は、読んだり眺めたりするためのものであるので、印刷物全体のインキの付着ムラがあることは好ましくないが、細部、例えば、個々の網点内におけるインキの付着ムラは、問題にならないことが多い。
【0003】
しかしながら、印刷法を利用して、電気回路や、高抵抗のインキ塗膜からなる発熱体等が形成されるようになると、インキの付着ムラは、印刷された各部分の抵抗値等の性質の差違を生じるため、より一層の厳密な印刷が望まれるようになってきている。
【0004】
さらに、有機トランジスタ、有機太陽電池、もしくは有機EL素子等の、有機物を用いた有機デバイスが作られるようになり、種々の機能を持つ複数の層を同一対象物に印刷、もしくはそれ以外の方法により設けるようになることも行なわれるようになってきている。例えば、液晶ディスプレイ用のカラーフィルターや有機EL素子の製造の際には、種々の有機物が、ドライプロセスやウェットプロセスによって成膜され、ウェットプロセスとしては、スピンコート法や、インクジェット法、印刷法、もしくはディスペンサー法などが利用されている。
【0005】
ところで、有機デバイスの製造時には、液晶ディスプレイ用のカラーフィルターにおける異なる色相の材料の塗り分けのように、異なる素材からなる細かいパターンどうしを密集させて形成する必要があるが、ウェットプロセスを利用する際には、インキや塗液が隣接するパターン部分に流出する恐れがあるため、凸状の仕切部材をパターンの境界に設けることが行なわれ、この仕切部材全体、もしくはその表面を、フッ素系化合物等の撥液性の素材で構成し、インキや塗液をはじく性質を与え、塗液が仕切部材で区画された領域内にのみ適用されるようにしている。
【0006】
しかし、仕切部材の表面が撥液性を有しているため、凸状の仕切部材の側面に適用されたインキや塗液がはじかれ、仕切部材で区画された領域の周辺部に、インキや塗液が十分に付着しない部分が生じる場合がある。従って、液晶ディスプレイ用のカラーフィルターの場合であれば、カラーフィルターの機能が不十分になり、画像の鮮明度やコントラストが低下する。
【0007】
あるいは、有機EL素子の場合、仕切部材で区画された領域内の周辺部に、蛍光体が十分に付着しない部分が生じると、蛍光体をはさんで設けられた電極間に電圧を印加した際に、電極どうしの短絡が起こり、発光しないことがある。
【0008】
例示したように有機デバイスにおいては、仕切部材が撥液性であると、仕切部材の側面でインキや塗液がはじかれるため、仕切部材で区画された領域内に、適用されるべき物質が不均一に、ムラを有して付着し、結果として、得られる有機デバイスが発揮すべき機能が十分発揮されないという問題が生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明においては、対象物の表面に種々の物質をごく接近させて適用する際に、予定した区画内に均一かつムラ無く適用することが可能で、しかも、予定した区画外に適用されることを防止し、適用された種々の物質に基づく、製品の物理的機能が十分に発揮されることを可能にするパターンの形成方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決する手段】
発明者の検討の結果、対象物の表面に、エネルギーの付与により、表面の濡れ性が変化し得る素材からなる濡れ性変化性層を積層し、この濡れ性変化性層にパターン状にエネルギーを付与して、濡れ性の高い部分を生成させ、その部分に極性が高い溶媒で溶解もしくは分散した物質の塗膜を形成するか、または、形成された塗膜上に、さらに、その塗膜を構成する物質との親和性を有する溶媒を含む塗液を用いて塗膜を形成することにより、意図した領域内部に、物質をムラなく適用することが可能であることが判明し、次のような本発明に到達することができた。
【0011】
第1の発明は、基板上に、エネルギーの付与により、表面の濡れ性が変化し得る素材からなる濡れ性変化性層を積層して濡れ性変化性基板を作成し、前記濡れ性変化性基板の前記濡れ性変化性層に、パターン状にエネルギーを付与して、エネルギーが付与された部分に、エネルギーが付与されなかった部分にくらべて濡れ性の高いパターン状の部分を生成させ、生成した前記濡れ性の高いパターン状の部分に、極性が相対的に高い溶媒Aを少なくとも1種類含む溶媒と前記溶媒に溶解もしくは分散する溶質Aとを含有する塗液Aを塗布し、塗布後、乾燥させて、前記濡れ性の高いパターン状の部分上に前記溶質Aの層を形成することを特徴とするパターンの形成方法に関するものである。
【0012】
第2の発明は、基板上に、エネルギーの付与により、表面の濡れ性が変化し得る素材からなる濡れ性変化性層を積層して濡れ性変化性基板を作成し、前記濡れ性変化性基板の前記濡れ性変化性層に、パターン状にエネルギーを付与して、エネルギーが付与された部分に、エネルギーが付与されなかった部分にくらべて濡れ性の高いパターン状の部分を生成させ、生成した前記濡れ性の高いパターン状の部分に、極性が相対的に高い溶媒Aを少なくとも1種類含む溶媒と前記溶媒に溶解もしくは分散する溶質Aとを含有する塗液Aを塗布し、塗布後、乾燥させて、前記濡れ性の高いパターン状の部分上に前記溶質Aの層を形成させ、その後、前記溶質Aとの親和性を有する溶媒Bに溶質Bを溶解もしくは分散した塗液Bを塗布し、乾燥させることにより、前記溶質Aの層上に、前記溶質Bの層を形成することを特徴とするパターンの形成方法に関するものである。
【0013】
第3の発明は、第1または第2の発明において、前記濡れ性変化性層に、パターン状にエネルギーを付与する際のエネルギー付与手段が、光照射、プラズマ処理、もしくは光照射による光触媒反応のいずれかであることを特徴とするパターンの形成方法に関するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1〜図7は、いずれも、本発明のパターンの形成方法の各工程の概略を示す図であり、図1〜図3は、基板上に濡れ性の高いパターン状の部分を生成する過程の代表的な三つの態様を示す図であり、図4および図5は、濡れ性の高い部分を利用してパターンを形成する過程の代表的な二つの態様を示す図であり、図6および図7はパターンを形成する際の異なる態様を示す図である。
【0015】
図1(a)に示すように、第1の基板2の表面にシリコーン等からなる濡れ性変化性層3が積層された濡れ性変化性基板1を準備する。また、この態様においては、図1(b)に示すように、別の第2の基板5に二酸化チタン等からなる光触媒層6が積層された光触媒基板4を準備する。
【0016】
図1(c)に示すように、濡れ性変化性基板1と光触媒基板4とは、各々の濡れ性変化性層3と光触媒層6とが向かい合うようにして重ね、光触媒基板4の濡れ性変化性基板1と向かい合う側とは反対側に、マスク7を配置してマスク7を介して光、代表的には紫外線を照射することにより、パターン状露光を行い、図4(a)に示すように、濡れ性変化性層3の露光部において、相対的に濡れ性の高い領域3Aを、また、未露光部において濡れ性が変化しなかった、濡れ性の低い領域3Bとを区分させる。即ち、エネルギーが付与された部分に、エネルギーが付与されなかった部分にくらべて濡れ性の高いパターン状の部分を生成させる。なお、光触媒層6を構成する光触媒は、少なくとも、濡れ性変化性層3への光照射の際に存在すべきものであるので、予め、濡れ性変化性層3中に含有させておけば、光触媒基板4を用いなくても済む。また、マスク7は、例えば、マスク基板8上にマスクパターン9が積層されたものである。
【0017】
次に図4(b)に示すように、濡れ性変化性層3に、極性の高い溶媒Aで溶質Aを、好ましくは溶解した塗液Aを塗布し、濡れ性の高い領域3Aに塗液A(符号;10)を選択的に付着させ、その後、乾燥させることにより、図4(c)に示すように、濡れ性の高いパターン状の部分3A上に塗膜A’(符号;10’)、言い換えれば溶質Aの層を形成して、濡れ性の高いパターン状の部分3A上に溶質Aの層からなるパターンを形成する。
【0018】
以上の方法によれば、濡れ性の高いパターン状の部分上に、極性の高い溶媒Aに好ましくは溶解し得る溶質Aの層からなるパターンの形成ができるが、形成されるパターンを構成する素材としては、溶解性の観点から、極性の高いものが適しており、極性が極端に低い素材を用いると、濡れ性の高いパターン状の部分上への選択的なパターンの形成がむずかしいことがある。
【0019】
そこで、濡れ性の高いパターン状の部分上に形成するパターンを構成する素材として使用し得るものの範囲を拡大するためには、一旦、上記のようにして、濡れ性の高いパターン状の部分上に溶質Aの層(符号;10’)からなるパターンを形成し(図5(a)に示す。図4(c)と同じである。)、その後、溶質Aの層との親和性のある、好ましくは、溶質Aの層からなるパターンが形成されていない部分との親和性の低い溶媒Bを用いて溶質Bを溶解した塗液Bを塗布し、濡れ性の高い領域3A上の溶質Aの層(符号;10’)上に塗液B(符号;11)を選択的に付着させ(図5(b))、その後、乾燥させることにより、図5(c)に示すように、濡れ性の高いパターン状の部分3A上に、塗膜A’(符号;10’)を介して塗膜B’(符号;11’)、言い換えれば溶質Bの層からなるパターンを形成する。
【0020】
このように、一旦形成した、溶質Aの層(符号;10’)を利用することにより、工程が付加されて、工程数が増加するものの、塗液Bとしては、溶質Aの層からなるパターンが形成されていない部分との親和性よりも、溶質Aの層(符号;10’)との親和性のある溶媒Bを含むものを用いればよいので、先の溶質Aにおいて、極性の高い溶媒Aに好ましくは溶解し得るものを用いたのにくらべれば、溶媒Bの選択範囲が広がる利点がある。
【0021】
基板上に濡れ性の高いパターン状の部分を生成する過程としては、上記した例以外にも次のような過程を選択することもできる。
【0022】
シリコーン等からなる濡れ性変化性層3が積層された濡れ性変化性基板1は、図1を引用して説明したように光触媒基板4を使用するのではなく、図2に示すように、濡れ性変化性基板1単独に対し、紫外線を照射することによっても、濡れ性変化性層3に濡れ性の高いパターン状の部分を生成することができる。この場合において、パターン化は、光触媒基板4を使用するときと同様、マスク7を介して行なうことができる。
【0023】
あるいは、濡れ性変化性基板1は、図3に示すように、プラズマ雰囲気に曝すことによっても、濡れ性変化性層3に濡れ性の高いパターン状の部分を生成することができる。この場合において、パターン化は、濡れ性変化性層3上に、プラズマ耐性のある素材により、マスクパターン9を直接に設けた後、プラズマ雰囲気に曝すことにより、行なうことができる。あるいは、濡れ性変化性層3上を金属製等のマスクで被覆して行なってもよい。
【0024】
基板1は板状、もしくはフィルム状のものであり、それらを構成する素材としては、ガラス、石英等の無機材料、または樹脂板もしくは樹脂フィルム等を挙げることができる。ここでは、「基板」の用語は、フィルム状の物も含む意味で使うので、基材と言い換えてもよい。基板1が樹脂フィルムであれば、得られる製品を、丸めたり曲げたりすることが可能なフレキシブルなものとすることができる。
【0025】
樹脂板もしくは樹脂フィルムを構成する樹脂としては、特に限定されないが、耐溶媒性、耐熱性の比較的高いものであることが好ましい。また、用途にもよるが、水蒸気、もしくは酸素等のガスを遮断するガスバリアー性を有する素材であることが好ましい。さらに、濡れ性変化性層3へのエネルギーの付与を、基板1を通しての光照射により行なわれるときは、基板1は、樹脂製であるかどうかにかかわらず、光照射に用いる光に対して透明であるものを用いることが好ましい。具体的には、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、アクリロニトリル−スチレン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、非晶質ポリオレフィン等が挙げられるが、この他でも条件を満たす高分子材料であれば使用可能であり、また上記した樹脂の出発原料であるモノマーを2種類以上用いて共重合させて得られる共重合体であっても良い。
【0026】
なお、基板1は、本発明のパターンの形成方法により得られる製品が種々の機能を果たすものである場合には、基板1単独ではなく、基板1上の、この次に説明する濡れ性変化性層3との間に、種々の層が積層されたものであり得る。
【0027】
基板1は、本発明におけるパターンの形成の対象物である。後述するように、本発明のパターンの形成方法は、有機EL素子の蛍光層のパターンの形成に適用すると非常に好ましいが、蛍光層のパターンの形成の際の対象物は、例えば、ガラス基板に透明電極層単独、もしくは更にその他の層を伴なったものである。
【0028】
濡れ性変化性層3は、エネルギーの付与により、表面の濡れ性が変化し得る素材からなるもので、具体的には、オルガノポリシロキサン等のケイ素化合物であって、濡れ性の高いパターン状の部分を生成する際のエネルギーの付与により、分解されない高い結合エネルギーを有するものがよい。例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して得られる大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、あるいは(2)撥水性や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
【0029】
前記(1)の場合、一般式YnSiX4−n(Yの添え字nおよびXの添え字4−nにおけるnは1〜3の整数である。)で表されるケイ素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物、もしくは共加水分解化合物が主体である。また、一般式YnSiX4−nにおいて、Yは、例えばアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基またはエポキシ基であり、Xは、例えばハロゲン、メトキシル基、エトキシル基、またはアセチル基である。
【0030】
一般式YnSiX4−nに該当するものとしては、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン、エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン、n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン、n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソプロポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラン、n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン、n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン、フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン、テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、トリクロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、もしくはβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、または、以上のものの各々の部分加水分解物を挙げることができ、あるいはこれらの任意の組合せによる混合物を挙げることができる。
【0031】
また、フッ素を有するケイ素化合物は、塗液を調製して塗布する際の塗布適性が優れ、自身は撥液性でありながら、濡れ性変化性層を構成してエネルギーを付与した際に、濡れ性の変化が大きいので、好ましいものであり、特に、フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンを用いることが好ましい。フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンとしては、具体的には、次段落に示すフルオロアルキルシランの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられ、また、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られているものを使用してもよい。
【0032】
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)3CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)5CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)7CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)9CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)4CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)6CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH2CH3)3;および
CF3(CF2)7SO2N(C2H5)C2H4CH2Si(OCH3)3。
【0033】
また、前記(2)の撥水性や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサンは、一般式−(Si(R1)(R2)O)n−で表される骨格を有する化合物から得ることができる。この一般式−(Si(R1)(R2)O)n−において、( )の外の添え字nは、2以上の整数であり、R1およびR2は、それぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基である。好ましくは全体の40モル%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R1および/またはR2がメチル基であるものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、また、メチル基が60モル%以上であることが好ましく、鎖末端または側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基などの反応性基を有する。
【0034】
また、前記のオルガノポリシロキサンとともにジメチルポリシロキサンのような架橋反応を起こさない安定なオルガノシリコン化合物をバインダーに混合してもよい。
【0035】
上記のケイ素化合物は、必要に応じて、界面活性剤もしくはその他の添加剤と共に水もしくは溶剤を用いて溶解ないし分散させ、基板1上に公知の方法によって塗布し、加熱等により乾燥させることにより、濡れ性変化性層3を形成して、濡れ性変化性基板1を得ることができる。塗布の方法としては、スピンコート法、インクジェット法、キャスト法、LB法、ディスペンサー法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、フレキソ印刷、オフセット印刷、もしくはスクリーン印刷のいずれの方法によってもよい。濡れ性変化性層3の厚みは、0.001μm〜1μmであり、より好ましくは、0.001μm〜0.01μmである。
【0036】
図1を引用して説明した、濡れ性の高いパターン状の部分を生成する過程においては、濡れ性変化性基板1とは別に光触媒基板4を用いる。光触媒基板4は、濡れ性変化性基板1の基板2とは別の基板5上に光触媒層6が積層されて形成されたものである。基板5は、原則的に、濡れ性変化性基板1の基板2と同様の素材を用いて構成することができるが、光触媒基板4側から露光する場合には、基板5が露光光に対して透明性を有するものであることが好ましい。また、光触媒層6形成の際に焼成を伴なうときは、基板5は、無機材料で構成されていることが好ましい。
【0037】
光触媒層6は、濡れ性変化性層3と接触した状態、もしくは極く接近した作用距離にある状態で光照射を受けることにより、濡れ性変化性層3の濡れ性の変化をもたらす、いわゆる光触媒反応を起こす光触媒を含有するものである。光触媒反応の機構は必ずしも明らかではないが、光の照射によって光触媒に生成したキャリアが、ケイ素化合物の化学構造を直接変化させ、あるいは酸素、水の存在下で生じた活性酸素種によって前記ケイ素化合物の化学構造を変化させるものと考えられ、フルオロアルキル基を有する等のフッ素を有するケイ素化合物においては、フッ素化合物が脱離し、水酸基に置換するものと考えられる。
【0038】
光触媒は、光照射の際に、上述した濡れ性変化性層3の表面の濡れ性を変化させ得るものであればどのようなものでもよいが、光半導体として知られる、例えば二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、および酸化鉄(Fe2O3)のような金属酸化物を挙げることができ、これらから選択して1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0039】
光触媒としては、特に二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり本発明ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
【0040】
このようなアナターゼ型二酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、もしくは石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
【0041】
基板5上に光触媒層6を形成するには、二酸化チタンの場合であれば、四塩化チタン等のチタンの無機塩、もしくはテトラエトキシチタン等の有機チタン化合物を基板5上で加水分解および脱水縮合し、次いで、焼成することによって得ることができ、あるいは、濡れ性変化性層3を形成し得るものとして挙げたオルガノポリシロキサンをバインダとして用いて、光触媒およびバインダの分散液を調製して、塗布し、加水分解および脱水縮合することにより、行なうことができ、バインダとしては、無定形シリカを用いることもできる。いずれも、塗布の際には、濡れ性変化性層3を形成する際の塗布の方法を利用することができる。
【0042】
図1(c)を引用して説明したように、濡れ性変化性基板1と光触媒基板4とは、各々の濡れ性変化性層3と光触媒層6とが向かい合うようにして重ね、マスク7を介して光を照射することにより、パターン状露光を行う。マスク7は、光触媒基板4側もしくは濡れ性変化性基板1側に配置することができる。
【0043】
露光に使用する光は、光触媒を励起することができるものであれば、限定されることはなく、紫外線、可視光線、赤外線、またはこれらの光線よりもさらに短波長もしくは長波長の電磁波、放射線であり得る。光触媒として、アナターゼ型チタニアを用いる場合は、励起波長が先に述べたように380nm以下にあるので、光触媒の励起は紫外線により行うことができ、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマレーザー、もしくはその他の紫外線光源を使用することができる。
【0044】
なお、以上の説明では、マスク7として、濡れ性変化性基板1および光触媒基板4とは別のものを使用したが、マスク7のマスクパターン9を、濡れ性変化性基板1もしくは光触媒基板4の基板2(もしくは5)の露出面側に設け、マスクパターン9側から光照射することによっても、パターン状露光を行うことができる。
【0045】
濡れ性変化性層3の濡れ性を変化させて濡れ性の高いパターン状の部分を生成させるためのエネルギー付与の手段としては、上記の光触媒を用いた光照射以外にも、光触媒を用いない光照射、もしくはプラズマ処理があり得る。
【0046】
光触媒を用いない光照射は、図2に示すように、濡れ性変化性基板1の濡れ性変化性層3側からマスク7を介して行なうことができ、使用するマスク7および光は、光触媒を用いた光照射の際と同じである。なお、光照射は、濡れ性変化性基板1の基板2側に配置したマスク7を介して行なうこともできるし、基板2の濡れ性変化性層3を有しない側にマスクパターン9を直接設け、そのマスクパターン9を介して行なうこともできる。
【0047】
プラズマ処理は、ガスプラズマを用いたドライエッチング装置を用いて行なうことができる。使用ガスは、フッ素化合物を除去できるものであれば、特に限定されることはないが、O2、CH4、もしくはCF4が好ましい。また、使用ガスは、2種類以上を混合したものであってもよい。
【0048】
プラズマ処理により、濡れ性の高いパターン状の部分を生成させるためには、濡れ性変化性層3の表面に、適宜な素材によるマスクパターンを設けることにより、マスクで覆われていない露出部分をプラズマ処理させればよく、パターン化する際に便利なことから、適宜な感光性樹脂、例えば、レジスト形成用の感光性樹脂を用いて形成するとよい。あるいは、濡れ性変化性層3上を金属製等のマスクで被覆して行なってもよい。
【0049】
光触媒を用いた光照射、光触媒を用いない光照射、もしくはプラズマ処理のいずれのエネルギーの付与の手段によるにせよ、濡れ性変化性基板1の濡れ性変化性層3の表面には、エネルギーが付与された部分に、エネルギーが付与されなかった部分にくらべて濡れ性の高いパターン状の部分が生成するので、濡れ性の高いパターン状の部分にパターンの形成を行なうことが可能になる。このようなパターンの形成に用いるのに適した塗液は、好ましくは、極性が相対的に高い溶媒Aに、溶媒Aに溶解もしくは分散する溶質Aを溶解した溶液Aである。
【0050】
ここで、極性が相対的に高い溶媒Aとは、25℃における誘電率(ε)が20以上であるものが好ましく、そのような溶媒Aの具体例としては、極性の高い溶媒である、水(誘電率;78.3、この段落における以降の( )内の数値は誘電率を示す。)、メタノール(32.6)、エタノール(24.6)、N,N−ジメチルホルムアミド(37.0)、N,N−ジメチルアセトアミド(37.8)、ジメチルスルホキシド(46.6)、N−メチルピロリドン、もしくはヘキサメチルホスホルアミド(34.0)などを挙げることができる。中でも、極性が非常に高い、水、メタノール、もしくはエタノールを用いることがより好ましい。
【0051】
以上の溶媒Aの中から、溶質Aの溶解性もしくは分散性、塗液の粘度、固形分濃度、表面張力、沸点、融点、基板1の表面との接触角、および乾燥性を考慮して選択し、使用することができる。なお、溶媒Aとしては、上記のうちから2種類以上を選択して、混合して用いることもできる。
【0052】
また、溶質Aとしては、上記の極性の高い溶媒Aに溶解し得るポリビニルアルコール、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体、ポリスチレンスルホネート、ポリエチレングリコール、もしくはポリプロピレングリコール等の樹脂を用いることができる。
【0053】
溶質Aは、上記の極性の高い溶媒Aに対する溶解度が必ずしも高くはないが、上記の極性の高い溶媒Aに分散し得るものであってもよく、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルエーテル、フタロシアニン誘導体、もしくは金属錯体を挙げることができる。
【0054】
上記のような溶媒Aに溶解もしくは分散する溶質Aを用いて塗液Aを調製する。溶媒Aおよび溶質Aの素材にもよるが、塗液A中の溶質Aの割合は、0.1〜20%(質量基準)程度である。濡れ性変化性層3の表面の、濡れ性の高いパターン状の部分に塗布し、塗布後、乾燥させることによって、濡れ性の高いパターン状の部分に上記の溶質Aの層を形成することができる。なお、塗液Aを調整する際の溶媒Aは、先に述べたように、1種類のみからではなく、2種類以上からなっていてもよい。さらに、溶媒Aは、極性が相対的に高くはない溶媒、もしくは極性が低い溶媒と併用することもできる。
【0055】
やや特殊ではあるが、有機EL素子を構成するための正孔注入バッファー形成用組成物、例えばポリ(3、4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(略称PEDOT/PSS、バイエル社製、商品名;BaytronP AI 4083、水溶液として市販。)も、極性が高い溶媒である水と、水に溶解する溶質とを含有する塗液として使用することができる。
【0056】
塗液Aを、濡れ性変化性層3の表面の、濡れ性の高いパターン状の部分に塗布するには、種々の方法があり、既に述べた、基板1上に濡れ性変化性層3を形成す際の塗布の方法として挙げた方法を利用することができる。挙げられたうち、印刷法以外の、いわゆる通常の一様な塗布方法によると、濡れ性の高いパターン状の部分を含めた濡れ性変化性層3の全面に塗液Aを塗布することになるため、その後、濡れ性が低い部分から塗液がはじかれたとしても、若干の塗液Aが、濡れ性の高いパターン状の部分以外に残留し、そのまま、乾燥して残ることがあり得る。従って、ここでの塗布の方法としては、濡れ性の高いパターン状の部分のみに選択的な塗布が可能な方法を利用することが好ましく、例えば、フレキソ印刷、オフセット印刷、もしくはスクリーン印刷等の印刷法を利用することができる。
【0057】
濡れ性の高いパターン状の部分のみに選択的な塗布を行なう、より好ましい方法としては、インクジェット法や、加圧された塗液溜め(タンク)および電磁弁等と組み合わされて、塗液の吐出を制御されたシリンジ(注射筒)を用いるシリンジ法(もしくはディスペンサ法)等があり、これらの方法によると、濡れ性の高いパターン状の部分の、個々の領域のほぼ中心に適量の塗液Aを適用すれば、領域内の濡れ性が高いために、塗液Aがひろがって、濡れ性の高いパターン状の部分を塗液で覆うことができ、塗液Aが極端に過剰に適用されない限り、濡れ性の高いパターン状の部分の外まで塗液Aがひろがることが無いので、意図した通り、濡れ性の高いパターン状の部分のみに塗液Aを適用することができる。なお塗液の圧送を、チューブポンプを用いて行なうこともできる。
【0058】
適用された塗液Aは、適宜な手段、すなわち、自然放置、加熱を伴なわない風乾、加熱を伴なう風乾、もしくは赤外線ランプ等による赤外線照射により乾燥させ、濡れ性変化性層3の濡れ性の高いパターン状の部分に、溶質Aの層が良好に形成される。
【0059】
ここで形成される溶質Aの層は、溶質Aが、極性が相対的に高い溶媒Aに溶解もしくは分散する性質を持つものである必要があるので、上記の方法のみでは、濡れ性の高いパターン状の部分に、良好に層の形成ができない素材もあり得る。このような場合でも、濡れ性の高いパターン状の部分に形成した溶質Aの層を利用して、必ずしも、極性が相対的に高い溶媒Aに溶解もしくは分散する性質を持たない溶質Bの層を形成するためには、そのような溶質Bを、好ましくは、溶質Aとの親和性を有する溶媒Bを用いて溶解もしくは分散した塗液Bを、溶質Aの層上に塗布することにより、濡れ性の高いパターン状の部分に溶質Aの層を介して、溶質Bの層を形成することができる。
【0060】
溶質Aと親和性を有する溶媒Bとしては、極性が相対的に高い溶媒Aの具体例として挙げたもの以外の、これら溶媒Aにくらべて極性の低い溶媒を用いることができ、以下に挙げるような溶媒の中から、溶質Bの溶解性もしくは分散性、塗液の粘度、固形分濃度、表面張力、沸点、融点、溶質Aの層の表面との接触角、および乾燥性を考慮して選択し、使用することができる。ここで、溶質Aと親和性のある溶媒Bとして、先に挙げた溶媒Aよりも極性の低い溶媒を選ぶのは、塗液Bの塗布時に溶質Aに影響を与えないためと、溶質Aを構成する素材の分子中に溶媒Bとの親和性を有する、例えば炭素鎖部分等が存在するからである。
【0061】
溶媒Bの具体例としては、アルコール(メタノール、エタノールを除く。)、ベンゼン、トルエン、キシレンの各異性体、トリメチルベンゼンの各異性体、テトラメチルベンゼン、テトラリン、p−シメン、クメン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼンの各異性体、ブチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンの各異性体、アニソール、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、2−ブタノン、1,2−ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジフェニルエーテル、ジペンジルエーテル、ジグライム等をはじめとするエーテル系溶媒、ジクロロメタン、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1−クロロナフタレン等のクロル系溶媒、シクロヘキサノン等が挙げられる。溶媒Bとしては、上記以外の溶媒でも、前段落に記載した条件を満たす溶媒であれば使用可能であり、2種類以上の混合溶媒であっても良い。なお、溶媒Aとして挙げた溶媒のリスト中からも、実際に使用した溶媒Aとの兼ね合いで、溶媒Bとして使用できるものもあり得る。例えば、上記の溶媒Bの例で除外したメタノール、エタノール等は、溶媒Aが水であれば使用し得る。
【0062】
溶質Bとしては、溶媒Bが極性の高いものでなくてもよいので、一般的な溶媒に可溶な樹脂が使用でき、実際に使用した溶媒Aにもよるが、水溶性や水分散性以外の樹脂を選択することが好ましい。また、樹脂に加えて、染料もしくは顔料等の着色剤を配合して、着色層を形成することもできる。
【0063】
溶質Bとしては、樹脂以外であってもよく、溶媒Bに溶解もしくは分散し得る様々なものを使用することができる。前段落で挙げた染料もしくは顔料等の着色剤を、樹脂を併用することなく使用することができる。溶質Bの具体例は以降に挙げるが、溶媒Bと溶質Bを用いて塗液Bを調製し、塗液Aを塗布したのと同様な方法により、濡れ性の高いパターン状の部分上の溶質Aの層上に塗布し、塗布後、乾燥させることによって、溶質Bの層を形成することができる。
【0064】
溶質Bの好ましい例は、有機デバイス、例えば、有機EL素子の各層を構成するための素材、とりわけ、有機EL素子のEL層を構成する素材、中でも発光層を構成する素材である。そこで、有機EL素子について説明すると、有機EL素子は、原理的には、基板、第1電極、EL層、および第2電極とから構成されている。基板1と第1電極との間には他の層が介在してもよい。
【0065】
EL層は、有機EL素子のタイプにもよるが、発光層単独、もしくは設けることが可能な他の任意の層と発光層との組合せにより構成される。任意の層としては、発光層に正孔を輸送する正孔輸送層、および発光層に電子を輸送する電子輸送層(これらはまとめて、電荷輸送層と呼ぶことがある)、ならびに、発光層または正孔輸送層に正孔を注入する正孔注入層、および発光層または電子輸送層に電子を注入する電子注入層(これらはまとめて、電荷注入層と呼ぶことがある)がある。また、これらの各層のほか、絶縁層、隔壁層、および第2電極層上の封止材等がある。
【0066】
有機EL素子における基板は、本発明のパターンの形成方法における基板1と同じ素材で構成することができる。基板は透明であってもよいが不透明であってもよい。また、封止材は、基板1と同様な素材で構成するか、もしくはガスバリア性樹脂等の樹脂を用いて構成された塗料の塗膜であってよい。
【0067】
第1電極および第2電極は、基板上に積層する方を第1電極、EL層上に積層する方を第2電極と呼ぶ。第1電極および第2電極は、基板に対して全面に形成されていても、もしくはパターン状に形成されていてもよい。第1電極および第2電極は、いずれかが陽極、他方が陰極であることが好ましく、また、いずれか一方が、透明または半透明であり、陽極としては、正孔が注入し易いように仕事関数の大きい導電性材料で構成されていることが好ましく、陰極としては、電子が注入し易いように仕事関数の小さい導電性材料で構成されていることが好ましい。いずれの電極も、抵抗はできるだけ小さいものが好ましく、一般には、金属材料が用いられるが、有機物あるいは無機化合物を用いてもよい。
【0068】
第1電極および第2電極を構成し得る具体的な陽極材料としては、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、金、もしくはポリアニリン等を、また、具体的な陰極材料としては、マグネシウム合金(MgAg他)、アルミニウム合金(AlLi、AlCa、AlMg他)、もしくは金属カルシウムを挙げることができる。陽極材料および陰極材料とも、複数の材料の混合されたものであってもよい。させてもよい。
【0069】
発光層を構成する素材としては、大別して、色素系、金属錯体系、もしくは高分子系のものがある。
【0070】
色素系としては、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマーがある。
【0071】
金属錯体系としては、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、もしくはユーロピウム錯体等の、中心金属にAl、Zn、もしくはBe等または、Tb、Eu、もしくはDy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体がある。
【0072】
高分子系としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール等、もしくはポリフルオレン誘導体がある。
【0073】
発光層を構成する素材には、ドーピング材料を配合してもよく、ドーピング材料としては、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、もしくはフェノキサゾンがある。
【0074】
正孔注入層(もしくは陽極バッファー材料)を構成する素材としては、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、もしくはポリチオフェン誘導体がある。
【0075】
電子注入層(もしくは陰極バッファー材料)を構成する素材としては、アルミリチウム合金、フッ化リチウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム、カルシウム、ポリメチルメタクリレート、もしくはポリスチレンスルホン酸ナトリウムがある。
【0076】
絶縁層は、絶縁層が設けられた部分において、電極からEL層への電荷の供給を止め、EL層を発光させないために設けられるもので、絶縁層を構成する素材としては、感光性ポリイミド樹脂、もしくはアクリル系樹脂のほか、光硬化型樹脂、もしくは熱硬化型樹脂等の硬化型樹脂、または無機材料などが挙げられる。
【0077】
異なる色を発光するEL層どうしを組み合わせる際には、それらのEL層どうしの間に隔壁を設けることもできる。隔壁を構成する素材としては、感光性ポリイミド樹脂、もしくはアクリル系樹脂のほか、光硬化型樹脂、もしくは熱硬化型樹脂等の硬化型樹脂、または撥液性樹脂などが挙げられる。
【0078】
以上のような有機EL素子は、本発明のパターンの形成方法を用い、例えば、次のようにして製造される。
【0079】
まず、ITOからなるパターン状の電極をガラス等の基板上に形成して第1電極とする。次に、第1電極が形成された上の全面に、フッ素を含有するポリシロキサンを塗布し、加水分解、重縮合反応を起こさせて、薄膜層を形成する。
【0080】
次に、薄膜層の表面を、パターンマスクを用いて露光し、露光部の濡れ性を高めて親水化させ、親水化した部分に水溶性樹脂の水溶液(例えば、正孔注入バッファー形成用組成物であり得る。)をシリンジ法により塗布し、乾燥させて、水溶性樹脂のパターンを形成する。ここまでの工程により、親水化した部分の上に、水溶性樹脂の層からなるパターンが形成される。
【0081】
次に、発光層を構成するための素材を、極性の比較的低い溶剤で溶解したものを、やはりシリンジ法により、水溶性樹脂の層のパターンのパターン部分に塗布し、乾燥させて、水溶性樹脂の層上に、発光層のパターンを形成する。
【0082】
発光層のパターンが形成された後、発光層上の表示すべき領域上を覆って金属電極を形成し、続いて、金属電極上を含む全面に防湿のためのガスバリア性樹脂からなる封止材塗料を塗布して、有機EL素子とする。
【0083】
有機EL素子の製造に際しては、基板2上に断面形状が凸状の絶縁層3が形成された間に、上記した発光層を形成することがある。このような場合には、凸状の絶縁層3が形成された基板2上に、濡れ性変化性層3を形成するので、濡れ性変化性層3の表面に、下層の絶縁層3の有無に従った凹凸が生じている。発光層の形成は、絶縁層3が無い部分、即ち、凹部の底に行なうのであるが、濡れ性変化性層3へのエネルギーの付与を、絶縁層3の立ち上がり部分に相当する箇所にも行ない、図6中に示すように、凹部の底に加えて、凹部の両側の壁面(図中の壁面の上部も含む。)も含めて濡れ性の高い領域3Aを形成することにより、EL層を形成する塗膜A’(符号;10’)が、所定の区域内に付着する確実性が増す。
【0084】
なお、本発明において、先に形成した溶質Aの層上に溶質Bの層を形成する際には、各層が単純に積層するように説明し、また、図5においても同じ大きさの層が二層積層されたかのように描いたが、基板2の性質や、塗膜A’(符号;10’)の厚み、性質、塗液Bの性状等によって、例えば、図7(a)もしくは図7(b)に示すように、塗液B(符号;11)が塗膜A’の左右および上を覆い、塗液Bと基板2との濡れ性の関係により、臨界角の異なる形状となる。
【0085】
本発明のパターンの形成方法においては、パターンを形成する対象物側のパターンを受け入れるべき場所を、従来におけるように、必ずしも、全表面が撥液性の凸状の仕切部材で囲んで形成することによるのではなく、表面の濡れ性の差違のみによって形成しているので、仕切部材の側面でインキや塗液がはじかれ、仕切部材で区画された領域内の周辺部に、インキや塗液が十分に付着しない部分が生じるという欠点がなく、また、濡れ性変化性層の形成やパターン状にエネルギーを付与することが可能である限り、必ずしも平面でない基板1に対しても、パターンの形成が可能であり、立体物の表面へのパターンの形成方法としても利用価値が高い。また、本発明のパターンの形成方法においては、極性が相対的に高い溶媒を用いた塗液のみにより、パターンを形成するのに加えて、さらに、先に形成したパターンとの親和性を有する、実質的には極性の高くない溶媒を用いた塗液を用いれば、塗液中の溶質の選択範囲が広くなるので、単なる意匠的な外観をもつパターンの形成は勿論、溶質の持つ性質により、対象物に機能を有するパターンを形成することが可能になる利点も有する。
【0086】
【実施例】
(実施例1)
酸化インジウム錫の透明電極パターンが積層されたガラス基板を準備し、透明電極パターンが積層された側に、テトラメトキシシラン(GE東芝シリコーン(株)製、品名;TSL8114)5g、フルオロアルキルシラン(GE東芝シリコーン(株)製、品名;TSL8223)1.5g、および0.005NのHCl(水溶液)2.36gからなる溶液を20℃の温度で24時間攪拌して得られた溶液を、イソプロピルアルコールで100倍(質量基準、比較例においても同様)に希釈した希釈液をスピンコート法により塗布し、150℃の温度で10分間加熱して乾燥させた後、加水分解、重縮合反応を進行させて透明な薄膜層を形成した。
【0087】
薄膜層上に、TiO2からなる触媒層を表面に有するパターンマスクを、触媒層が薄膜層側になるようにして重ね、パターンマスクの背面側より紫外線を照射した。この紫外線の照射により、露光部の薄膜層中のフッ素が脱離し、水酸基に置換され、露光部が親液性となり、未露光部はフッ素を有することによる撥液性が保持されて、親液性区域と撥液性区域とからなるパターンが形成された。
【0088】
形成された親液性区域と撥液性区域とからなるパターン上に、有機EL用正孔注入バッファー形成用組成物である、ポリ(3、4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(バイエル社製、商品名;Baytron P
AI 4083、水溶液として市販。)をマイクロシリンジを用いたシリンジ法にて塗布したところ、親液性区域にのみ、有機EL用正孔注入バッファー形成用組成物の5mm×5mmの正方形状の塗膜が形成された。
【0089】
有機EL用正孔注入バッファー形成用組成物の塗布後、加熱して、塗膜を乾燥させた後、クマリン誘導体およびポリビニルカルバゾールをキシレンに、固形分が1%(質量基準)になるよう溶解した発光層形成用組成物をマイクロシリンジを用いたシリンジ法により塗布したところ、親液性区域上の有機EL用正孔注入バッファー形成用組成物の塗膜の輪郭内いっぱいに発光層形成用組成物が広がり、5mm×5mmの正方形状のパターン通りに、塗布ムラが無い均一な発光層が成膜された。
【0090】
(比較例)
有機EL用正孔注入バッファー形成用組成物の塗布を行わず、親液性区域と撥液性区域とからなるパターン上に直接、発光層形成用組成物を塗布した以外は、実施例におけるのと同様に行ったが、発光層形成用組成物の塗布ムラが生じ、均一な発光層が得られなかった。
【0091】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、表面に生成した濡れ性の高いパターン状の部分に、極性が相対的に高い溶媒とその溶媒に溶解もしくは分散する溶質とを含有する塗液を塗布して、溶質のパターンを形成するので、予定した区画外に塗膜が適用されることが無く、しかも、予定した区画内に均一かつムラ無く塗膜が適用されるパターンの形成方法を提供することができる。
【0092】
請求項2の発明によれば、請求項1の発明の方法により形成された溶質の塗膜上に、その溶質と親和性を有する溶媒を含む塗液により塗膜を形成するので、後に形成される方の塗膜の溶質としては、極性が相対的に高いものに溶解もしくは分散する有するものに限定されず、使用できる溶質の範囲の広いパターンの形成方法を提供することができる。
【0093】
請求項3の発明によれば、請求項1または請求項2の発明の効果に加え、より具体化されたエネルギー付与手段により、濡れ性の高いパターン状の部分を効率的に形成することが可能なパターンの形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】濡れ性変化性基板を光触媒基板を伴なって光照射する様子を示す図である。
【図2】濡れ性変化性基板を光照射する様子を示す図である。
【図3】濡れ性変化性基板をプラズマ処理する様子を示す図である。
【図4】塗膜Aを形成する過程を示す図である。
【図5】塗膜Bを塗膜A上に形成する過程を示す図である。
【図6】基板が絶縁層を伴なう場合に、塗膜Aを形成する過程を示す図である。
【図7】塗膜Bを塗膜A上に形成する際の塗液Bの状態を示す図である。
【符号の説明】
1 濡れ性変化性基板
2 第1の基板
3 濡れ性変化性層
4 光触媒基板
5 第2の基板
6 光触媒層
7 マスク(8;マスク基板、9;マスクパターン)
10 塗液A(10’;塗膜A’)
11 塗液B(11’;塗膜B’)
12 絶縁層
Claims (3)
- 基板上に、エネルギーの付与により、表面の濡れ性が変化し得る素材からなる濡れ性変化性層を積層して濡れ性変化性基板を作成し、前記濡れ性変化性基板の前記濡れ性変化性層に、パターン状にエネルギーを付与して、エネルギーが付与された部分に、エネルギーが付与されなかった部分にくらべて濡れ性の高いパターン状の部分を生成させ、生成した前記濡れ性の高いパターン状の部分に、極性が相対的に高い溶媒Aを少なくとも1種類含む溶媒と前記溶媒に溶解もしくは分散する溶質Aとを含有する塗液Aを塗布し、塗布後、乾燥させて、前記濡れ性の高いパターン状の部分上に前記溶質Aの層を形成することを特徴とするパターンの形成方法。
- 基板上に、エネルギーの付与により、表面の濡れ性が変化し得る素材からなる濡れ性変化性層を積層して濡れ性変化性基板を作成し、前記濡れ性変化性基板の前記濡れ性変化性層に、パターン状にエネルギーを付与して、エネルギーが付与された部分に、エネルギーが付与されなかった部分にくらべて濡れ性の高いパターン状の部分を生成させ、生成した前記濡れ性の高いパターン状の部分に、極性が相対的に高い溶媒Aを少なくとも1種類含む溶媒と前記溶媒に溶解もしくは分散する溶質Aとを含有する塗液Aを塗布し、塗布後、乾燥させて、前記濡れ性の高いパターン状の部分上に前記溶質Aの層を形成させ、その後、前記溶質Aとの親和性を有する溶媒Bに溶質Bを溶解もしくは分散した塗液Bを塗布し、乾燥させることにより、前記溶質Aの層上に、前記溶質Bの層を形成することを特徴とするパターンの形成方法。
- 前記濡れ性変化性層に、パターン状にエネルギーを付与する際のエネルギー付与手段が、光照射、プラズマ処理、もしくは光照射による光触媒反応のいずれかであることを特徴とする請求項1または請求項2記載のパターンの形成方法。
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