JP2007287623A - 有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、有機EL層のパターニングが容易であり、良好な濡れ性の変化が得られ、発光特性に優れる有機EL素子の製造方法を提供することを主目的とする。
【解決手段】本発明は、電極層が形成された基板上に、撥液性官能基を有する材料を含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、電荷注入輸送層に対して、所定の間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを有することを特徴とする有機EL素子の製造方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する層を用いて、有機エレクトロルミネッセンス(以下、ELと略す場合がある。)層のパターニングを行うEL素子の製造方法に関するものである。
EL素子は、対向する2つの電極から注入された正孔および電子が発光層内で結合し、そのエネルギーで発光層中の蛍光物質を励起し、蛍光物質に応じた色の発光を行うものであり、自発光の面状表示素子として注目されている。その中でも、有機物質を発光材料として用いた有機ELディスプレイは、印加電圧が10V弱であっても高輝度な発光が実現するなど発光効率が高く、単純な素子構造で発光が可能で、特定のパターンを発光表示させる広告その他低価格の簡易表示ディスプレイへの応用が期待されている。
一般に、EL素子を用いたディスプレイの製造にあっては、有機EL層等のパターニングがなされている。有機EL層のパターニング方法としては、発光材料をシャドウマスクを介して蒸着する方法、インクジェットによる塗り分け方法、紫外線照射により特定の発光色素を破壊する方法、スクリーン印刷法等の種々のパターニング方法が提案されている。また、インクジェットによる塗り分け方法では、高精細な微細パターンを得るために、パターン状の隔壁(バンク)を形成して、隔壁表面を撥インク処理することが提案されている(例えば特許文献1および特許文献2参照)。さらに、有機EL層のパターニング方法として、高精細なパターンの形成を可能とする光触媒を用いる方法も提案されている(例えば特許文献3および特許文献4参照)。
この光触媒を用いる有機EL層のパターニング方法は、光触媒を含有する層がエネルギー照射されると、それに伴う光触媒の作用から、光触媒を含有する層の濡れ性が変化することを利用したものである。すなわち、この濡れ性の違いによるパターンを利用することにより、有機EL層をパターン状に形成するのである。このように光触媒を用いる有機EL層のパターニング方法は、エネルギーの照射のみで濡れ性の違いによるパターンを形成することができることから、有機EL層のパターニングに要する手間を大幅に省略することができる点で有用な方法である。
しかしながら、このような光触媒を用いて有機EL層をパターニングする方法においては、通常、酸化チタン等の光触媒が粒状等であることから、光触媒を含有する層の表面状態が荒れることがある。このため、発光層等と光触媒を含有する層との界面での障壁が大きくなり、電荷の移動が妨げられ、発光特性が低下するという問題がある。また、光触媒を含有する層の表面状態の荒れによって、比較的厚みの薄い発光層に膜厚むらが生じたり、電極間で短絡が生じたりするという問題もある。
このような問題を解決するために、光触媒を含有する層が形成された基板を用いて、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する層と光触媒を含有する層とを対向させてエネルギーを照射し、層表面の濡れ性を変化させ、濡れ性の違いによるパターンを形成する方法が開示されている(例えば特許文献5参照)。この特許文献5には、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する電荷注入輸送層を用いた、有機EL層のパターニング方法も開示されている。
上記電荷注入輸送層は、オルガノポリシロキサン等のバインダと光触媒とを含有する、あるいは、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート(PEDOT/PSS)等の一般的に電荷注入輸送層として用いられている材料を含有するものである。前者の場合、上記電荷注入輸送層が光触媒を含んでいるため、表面状態の荒れをさらに改善することが望まれる。また、後者の場合、上記電荷注入輸送層に、一般的に電荷注入輸送層として用いられている材料が使用されるため、良好な濡れ性の変化が得られない場合がある。
特許第3601716号公報 特許第3646510号公報 特開2001−257073公報 特開2002−231446公報 特開2004−71286公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、有機EL層のパターニングが容易であり、良好な濡れ性の変化が得られ、発光特性に優れる有機EL素子の製造方法を提供することを主目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、電極層が形成された基板上に、撥液性官能基を有する材料を含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、上記濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを有することを特徴とする有機EL素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、電荷注入輸送層が、撥液性官能基を有する材料を含有するので、光触媒の作用によって、この撥液性官能基およびその他の有機基が酸化または分解されることで、エネルギーの照射部分と未照射部分とで濡れ性に大きな差を生じさせることができる。また、光触媒は光触媒処理層に含まれており、この光触媒処理層を有する光触媒処理層基板は濡れ性変化パターン形成工程後に電荷注入輸送層から取り外されるため、電荷注入輸送層には光触媒が含まれておらず、電荷注入輸送層と有機EL層との界面での障壁を低減して発光特性を向上させるとともに、電極間の短絡を防ぐことができる。さらに、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する電荷注入輸送層に、光触媒処理層を介してエネルギーを照射することにより、濡れ性変化パターンを形成し、この濡れ性変化パターンの濡れ性の違いを利用することにより、容易に有機EL層をパターン状に形成することができる。
上記発明においては、上記撥液性官能基を有する材料が撥液性材料であり、上記電荷注入輸送層が、さらに電荷注入輸送性を有する電荷注入輸送性材料を含有していてもよい。また、上記撥液性官能基を有する材料が、電荷注入輸送性を有する部位と、撥液性官能基を有する部位とを有する単一の材料であってもよい。
さらに本発明においては、上記撥液性官能基がフッ素を含有することが好ましい。フッ素は極めて低い表面エネルギーを有するので、電荷注入輸送層の撥液性を向上させることができるからである。
また本発明は、電極層が形成された基板上に、電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、上記電荷注入輸送層表面を撥液性とする撥液処理工程と、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記撥液処理が施された電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、上記濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを有することを特徴とする有機EL素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、濡れ性変化パターン形成工程前に、電荷注入輸送層表面を撥液性とする撥液処理工程を行うため、エネルギーの照射部分と未照射部分とで濡れ性に大きな差を生じさせることができる。また、上述したように、光触媒を含有する光触媒処理層を有する光触媒処理層基板は濡れ性変化パターン形成工程後に電荷注入輸送層から取り外されるため、光触媒による層の表面状態の荒れによって、発光特性が低下したり、電極間で短絡が生じたりするのを回避することができる。さらに、光触媒処理層を介してエネルギー照射することにより、電荷注入輸送層表面に濡れ性変化パターンを形成し、この濡れ性変化パターンを利用して、容易に有機EL層をパターン状に形成することができる。
上記発明においては、上記撥液処理工程が、上記電荷注入輸送層に、フッ素化合物を導入ガスとして用いてプラズマを照射する工程であってもよい。フッ素化合物を導入ガスとして用いてプラズマを照射することにより、電荷注入輸送層中の有機物にフッ素を導入することができ、電荷注入輸送層に撥液性を付与することができる。また、光触媒処理層を介してエネルギー照射することにより、光触媒の作用によって、電荷注入輸送層中の有機物に導入されたフッ素を除去することができる。これにより、エネルギーの照射部分と未照射部分とで濡れ性に差を生じさせることができる。
また本発明においては、上記電荷注入輸送層が正孔注入輸送層であることが好ましい。一般に、有機EL素子の製造過程では、陽極側から積層する方が安定して各層を積層することができるからである。
さらに本発明においては、上記電荷注入輸送層形成工程前に、上記電極層がパターン状に形成された基板上の上記電極層のパターン間に、上記濡れ性変化パターン形成工程にて照射されるエネルギー線を反射または吸収する絶縁層を形成する絶縁層形成工程を行ってもよい。このような絶縁層が形成されている場合は、濡れ性変化パターン形成工程にて、基板側から全面にエネルギーを照射することができ、フォトマスクやレーザ光を用いる必要がない。
本発明においては、電荷注入輸送層に撥液性官能基を有する材料を用いる、あるいは、電荷注入輸送層に撥液処理を施すことにより、良好な濡れ性の変化を得ることができるという効果を奏する。また、光触媒は、濡れ性変化パターン形成工程後に取り外される光触媒処理層基板の光触媒処理層に含まれており、電荷注入輸送層には含まれていないので、電荷注入輸送層の平滑性を向上させることができ、良好な発光特性を得ることができるという効果を奏する。
以下、本発明の有機EL素子の製造方法について詳細に説明する。
本発明の有機EL素子の製造方法は、2つの実施態様に分けることができる。第1実施態様は、電荷注入輸送層に含まれる材料がエネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化するものである。第2実施態様は、電荷注入輸送層に撥液処理を施して撥液性を付与し、さらにエネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性を変化させるものである。
以下、各実施態様について説明する。
I.第1実施態様
本発明の有機EL素子の製造方法の第1実施態様は、電極層が形成された基板上に、撥液性官能基を有する材料を含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、上記濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを有することを特徴とするものである。
本実施態様の有機EL素子の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施態様の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。まず、基板2上に電極層3をパターン状に形成し、この電極層3のパターン間に絶縁層4を形成し、電極層3および絶縁層4の上に電荷注入輸送層5を形成する(図1(a)、電荷注入輸送層形成工程)。
次に、図1(b)に示すように、基体12と、この基体12上にパターン状に形成された遮光部13と、遮光部13を覆うように基体12上に形成された光触媒処理層14とを有する光触媒処理層基板11を準備する。次いで、光触媒処理層基板11の光触媒処理層14と、電荷注入輸送層5とが向かい合うように配置し、紫外線17を照射する。紫外線17の照射により、図1(c)に示すように、光触媒処理層14に含有される光触媒の作用から、電荷注入輸送層5のうち、紫外線照射部分では、濡れ性が液体との接触角が低下するように変化する。この液体との接触角が低下するように濡れ性が変化した領域を親液性領域21とする。紫外線未照射部分では、濡れ性が変化しない。この濡れ性が変化しない領域を撥液性領域22とする。そして、光触媒処理層基板11を、電荷注入輸送層5から取り外す。これにより、電荷注入輸送層5表面に、親液性領域21と撥液性領域22とからなる濡れ性変化パターンが形成される。図1(b)、(c)は濡れ性変化パターン形成工程である。
電荷注入輸送層5は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化するものであり、紫外線照射部分である親液性領域21と、紫外線未照射部分である撥液性領域22とでは、濡れ性に違いがある。
次に、この濡れ性の違いを利用して、親液性領域21と撥液性領域22とからなる濡れ性変化パターン上に、有機EL層形成用塗工液を塗布して、親液性領域21上にのみ有機EL層6を形成する(図1(d)、有機EL層形成工程)。
次いで、有機EL層6上に対向電極層7を形成する(図1(e))。この際、例えば、対向電極層7を透明電極とした場合には、トップエミッション型の有機EL素子が得られ、電極層3を透明電極とした場合には、ボトムエミッション型の有機EL素子が得られる。
本実施態様においては、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する電荷注入輸送層に、光触媒を含有する光触媒処理層を介してエネルギーを照射することにより、電荷注入輸送層表面に濡れ性の違いによる濡れ性変化パターンを形成する。そして、この電荷注入輸送層表面に形成された濡れ性の違いによる濡れ性変化パターンを利用して有機EL層のパターニングを行う。したがって、複雑なパターニング工程や、高価な真空設備を要することなく、有機EL層を容易にパターニングすることが可能である。
また、本実施態様においては、光触媒を含有する光触媒処理層を介して電荷注入輸送層にエネルギーをパターン照射することにより、光触媒を含有していない電荷注入輸送層に対して、光触媒の作用により濡れ性を変化させることができる。さらに、電荷注入輸送層表面に濡れ性変化パターンを形成した後は、光触媒処理層を有する光触媒処理層基板を電荷注入輸送層から取り外すため、有機EL素子自体に光触媒が含まれることがない。すなわち、光触媒は、光触媒処理層に含まれており、電荷注入輸送層には含まれていない。したがって、電荷注入輸送層の平滑性を向上させることができ、電荷注入輸送層と有機EL層との界面における障壁を低減することができる。これにより、駆動電圧を低減させ、発光強度や発光効率を高めるなど、発光特性を向上させることが可能である。また、電極間の短絡を防止することも可能である。
さらに、本実施態様においては、電荷注入輸送層が撥液性官能基を有する材料を含有するので、光触媒処理層中の光触媒の作用によって、この撥液性官能基およびその他の有機基が酸化または分解されることで、エネルギー照射部分の濡れ性を変化させて、エネルギー未照射部分との濡れ性に大きな差を生じさせることができる。このため、有機EL層形成用塗工液がエネルギー未照射部分である撥液性領域に付着するのを防ぎ、エネルギー照射部分である親液性領域上にのみ有機EL層形成用塗工液を付着させて、高精細な有機EL層のパターンを形成することができる。
また、電荷注入輸送層にエネルギーを照射することにより、電荷注入輸送層の電荷注入輸送機能が向上する場合がある。このため、本実施態様は、有機EL層のパターニングに特に有用である。
以下、有機EL素子の製造方法における各工程ついて説明する。
1.電荷注入輸送層形成工程
本実施態様における電荷注入輸送層形成工程は、電極層が形成された基板上に、撥液性官能基を有する材料を含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する電荷注入輸送層を形成する工程である。
以下、電荷注入輸送層、電極層および基板について説明する。
(1)電荷注入輸送層
本実施態様における電荷注入輸送層は、撥液性官能基を有する材料を含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化するものである。
本発明において、電荷注入輸送層とは、電極層から有機EL層に電荷を安定に輸送する機能を有するものである。電荷注入輸送層を、少なくとも発光層を含む有機EL層と電極層との間に設けることにより、発光層への電荷の注入が安定化し、発光効率を高めることができる。
電荷注入輸送層としては、正孔を発光層内へ安定に注入し輸送する正孔注入輸送層と、電子を発光層内へ安定に注入し輸送する電子注入輸送層とがある。一般に、有機EL素子を製造する際には、陽極側から積層する方が安定して有機EL素子を作製することができることから、電極層が陽極であり、電荷注入輸送層が正孔注入輸送層であることが好ましい。
以下、正孔注入輸送層および電子注入輸送層に分けて説明する。
(i)正孔注入輸送層
本実施態様における正孔注入輸送層は、陽極から注入された正孔を安定に発光層内へ注入する正孔注入機能を有する正孔注入層であってもよく、陽極から注入された正孔を発光層内へ輸送する正孔輸送機能を有する正孔輸送層であってもよく、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものであってもよく、正孔注入機能および正孔輸送機能の両方を有する単一の層であってもよい。
正孔注入輸送層は、撥液性官能基を有する材料を含有するものである。正孔注入輸送層が、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものである場合は、正孔注入層および正孔輸送層の順に積層されるので、正孔輸送層が、撥液性官能基を有する材料を含有していればよい。
この正孔注入輸送層としては、好ましい2つの態様がある。正孔注入輸送層の第1の態様は、正孔注入輸送性を有する正孔注入輸送性材料と、撥液性官能基を有する撥液性材料とを含有するものである。正孔注入輸送層の第2の態様は、正孔注入輸送性を有する部位と、撥液性官能基を有する部位とを有する単一の材料を含有するものである。以下、各態様について説明する。
(第1の態様)
第1の態様の正孔注入輸送層には、正孔注入輸送性を有する正孔注入輸送性材料と、撥液性官能基を有する撥液性材料とが用いられる。
正孔注入輸送性材料としては、陽極から注入された正孔を安定に発光層へ輸送する材料であれば特に限定されるものではなく、上述した正孔注入輸送層の種類により適宜選択される。正孔注入輸送性材料は、正孔注入性を有する正孔注入性材料であってもよく、正孔輸送性を有する正孔輸送性材料であってもよく、正孔注入性および正孔輸送性の両方を有する材料であってもよい。
正孔注入輸送性材料としては、例えば、後述する発光層の発光材料に例示する化合物の他、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、あるいは、フェニルアミン類、スターバースト型アミン類、フタロシアニン類、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン誘導体等を用いることができる。ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン誘導体等の導電性高分子は、酸によりドーピングされていてもよい。具体的には、4,4´−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]−ビフェニル(α−NPD)、4,4´,4´´−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン(TDATA)、4,4´,4´´−トリス[N−(3−メチルフェニル)−N−フェニル−アミノ]−トリフェニルアミン(MTDATA)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)、ポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)等が挙げられる。
特に、正孔注入輸送性材料は、抵抗が比較的高いことが好ましい。抵抗が低すぎると、クロストークが起こるおそれがあるからである。高抵抗の正孔注入輸送性材料としては、上記の中でも、ポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)等が好ましく用いられる。高抵抗のPEDOT/PSSの水溶液の市販品としては、スタルク社製 Baytron P CH-8000が挙げられる。
また、撥液性材料としては、撥液性官能基を有するものであればよいが、エネルギー照射に伴う光触媒処理層中の光触媒の作用により濡れ性が変化する材料であり、かつ光触媒の作用により劣化、分解しにくい主鎖を有するものであることが好ましい。
撥液性官能基としては、例えば、フッ素を含有する基、長鎖アルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基、エポキシ基、アルコキシル基、アセチル基等を挙げることができる。中でも、撥液性官能基が、フッ素を含有する基または長鎖アルキル基であることが好ましい。この長鎖アルキル基の炭素数は9〜20の範囲内であることが好ましい。特に好ましい長鎖アルキル基は、オクタデシル基である。
また、光触媒の作用により劣化、分解しにくい主鎖を有するものとしては、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水牲や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等のオルガノポリシロキサンを挙げることができる。
上記(1)の場合、撥液性材料としては、一般式:
SiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示されるケイ素化合物の1種もしくは2種以上の加水分解縮合物または共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。Yで示される基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましい。また、Xで示されるアルコキシル基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。上記式で示されるケイ素化合物としては、具体的には、特開2000−249821公報に記載されているもの等を用いることができる。
特に、撥液性材料は、フルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。フルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンとしては、具体的には、特開2000−249821号公報に記載されているフルオロアルキルシランの1種もしくは2種以上の加水分解縮合物または共加水分解縮合物が挙げられ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られたものを使用することができる。
撥液性材料として、上記のようなフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンを用いることにより、正孔注入輸送層表面のエネルギー未照射部分の撥液性が大きく向上するので、このエネルギー未照射部分である撥液性領域への有機EL層の成膜を妨げることでき、エネルギー照射部分である親液性領域のみに有機EL層を成膜することが可能となる。
なお、正孔注入輸送層中にフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンが含有されていることは、X線光電子分光法、ラザフォード後方散乱分光法、核磁気共鳴分光法、または質量分析法を用いて確認することができる。
また、上記の(2)の場合、撥液性材料に用いられる反応性シリコーンとしては、下記化学式1で表される骨格をもつ化合物を挙げることができる。
Figure 2007287623
ここで、nは2以上の整数であり、R、Rはそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基またはシアノアルキル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R、Rがメチル基であるものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
さらに、撥液性材料としては、上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコーン化合物が混合されていてもよい。
本態様においては、このようにオルガノポリシロキサン等の種々の撥液性材料を正孔注入輸送層に用いることができるが、上述したように、撥液性材料における撥液性官能基がフッ素を含有する基または長鎖アルキル基であることが好ましい。すなわち、正孔注入輸送層がフッ素または長鎖アルキル基を含有していることが好ましい。
フッ素は極めて低い表面エネルギーを有するものであるので、フッ素を多く含有する物質の表面は、臨界表面張力がより小さくなる。このため、フッ素の含有量が多い部分の表面の臨界表面張力に比較して、フッ素の含有量が少ない部分の臨界表面張力は大きくなる。すなわち、フッ素含有量の少ない部分は、フッ素含有量の多い部分に対して、親液性領域となる。
正孔注入輸送層がフッ素を含有する場合には、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、この正孔注入輸送層表面のフッ素含有量が、エネルギー照射前に比較して少なくなることが好ましい。このような正孔注入輸送層であれば、エネルギーをパターン照射することにより、エネルギー照射部分であるフッ素含有量の少ない部分(親液性領域)と、エネルギー未照射部分であるフッ素含有量の多い部分(撥液性領域)とからなる濡れ性変化パターンを形成することができるからである。このように、正孔注入輸送層がフッ素を含有する場合には、濡れ性変化パターンの形成に有利となる。
正孔注入輸送層がフッ素を含有する場合、エネルギー未照射部分であるフッ素含有量の多い撥液性領域におけるフッ素含有量を100とすると、エネルギー照射部分であるフッ素含有量の少ない親液性領域におけるフッ素含有量が50以下であることが好ましく、より好ましくは20以下、さらに好ましくは10以下である。上記範囲とすることにより、エネルギー照射部分と未照射部分との濡れ性に大きな違いを生じさせることができる。なお、上記の値は重量を基準としたものである。
なお、フッ素含有量の測定には、一般的な方法を用いることができ、例えばX線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy, ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも称される。)、蛍光X線分析法、質量分析法等の定量的に表面のフッ素の量を測定できる方法を用いることができる。
正孔注入輸送層中の撥液性材料の含有量としては、正孔注入輸送層に撥液性を付与することができ、正孔の輸送を阻害しない程度の量であれば特に限定されるものではない。具体的には、正孔注入輸送層中の撥液性材料の含有量は、0.1重量%〜50重量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1重量%〜20重量%の範囲内である。撥液性材料の含有量が上記範囲より少ないと、十分な撥液性が得られない場合があり、また撥液性材料の含有量が上記範囲より多いと、正孔の輸送が阻害されるおそれがあるからである。
また、正孔注入輸送層は、塗布される有機EL層形成用塗工液が有する表面張力と同等の表面張力の液体に対する接触角が20°以上であることが好ましく、より好ましくは30°以上、さらに好ましくは40°以上である。エネルギー未照射部分は、撥液性が要求される部分であるため、正孔注入輸送層の上記液体との接触角が小さすぎると、撥液性が十分でなく、撥液性領域にも有機EL層形成用塗工液が付着する可能性があるからである。
なお、液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製 CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして求めることができる。この測定に際しては、種々の表面張力を有する液体として、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いることとする。
正孔注入輸送層の膜厚としては、その機能が十分に発揮され、かつ濡れ性変化パターンの形成が可能である膜厚であれば特に限定されるものではない。具体的には、正孔注入輸送層の膜厚は、5nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、特に10nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。正孔注入輸送層の膜厚が薄すぎると、濡れ性の違いが明確に発現しなくなり、濡れ性変化パターンの形成が困難になる場合があるからである。また、正孔注入輸送層の膜厚が厚すぎると、正孔の輸送が阻害されるおそれがあるからである。
正孔注入輸送層は、上述した正孔注入輸送性材料および撥液性材料を必要に応じて他の添加剤とともに溶剤に分散して、正孔注入輸送層形成用塗工液を調製し、この正孔注入輸送層形成用塗工液を基板上に塗布することにより形成することができる。
この正孔注入輸送層形成用塗工液に用いられる溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。
また、正孔注入輸送層形成用塗工液の塗布方法としては、スピンコート法、スプレーコート法、ディップコート法、ロールコート法、ビードコート法、印刷法等の一般的な方法を用いることができる。
(第2の態様)
第2の態様の正孔注入輸送層には、正孔注入輸送性を有する部位と、撥液性官能基を有する部位とを有する単一の材料が用いられる。
正孔注入輸送性を有する部位としては、陽極から注入された正孔を安定に発光層へ輸送するものであり、かつ光触媒の作用により劣化、分解しにくいものであれば特に限定されるものではない。この正孔注入輸送性を有する部位としては、正孔注入性を有するものであってもよく、正孔輸送性を有するものであってもよく、正孔注入性および正孔輸送性の両方を有するものであってもよく、上述した正孔注入輸送層の種類により適宜選択される。
正孔注入輸送性を有する部位をもつものとしては、例えば、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセチレン等の導電性高分子を挙げることができる。これらの導電性高分子は、酸によりドーピングされていてもよい。具体的には、ポリ(3,4エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)等が挙げられる。この場合、導電性高分子であるPEDOTに撥液性官能基が導入されていてもよく、酸であるPSSに撥液性官能基が導入されていてもよい。
なお、撥液性官能基については、上記第1の態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
一分子中に含まれる撥液性官能基の量としては、正孔注入輸送層に撥液性を付与することができ、正孔の輸送を阻害しない程度の量であれば特に限定されるものではない。具体的には、一分子中に含まれる撥液性官能基の量は、モル比で0.1%〜50%の範囲内であることが好ましい。撥液性官能基の量が上記範囲より少ないと、十分な撥液性が得られない場合があり、また撥液性官能基の量が上記範囲より多いと、正孔の輸送が阻害されるおそれがあるからである。
このような正孔注入輸送性を有する部位と、撥液性官能基を有する部位とを有する単一の材料としては、下記化学式2で表されるポリチオフェンに、PSS等の酸がドーピングされているものを例示できる。なお、このような酸によりドーピングされたポリチオフェンについては、特開2005−206839公報を参照することができる。
Figure 2007287623
また、正孔注入輸送性を有する部位と、撥液性官能基を有する部位とを有する単一の材料としては、下記化学式3で表されるパーフルオロスルホン酸を含有するナフィオン分散液(シグマ アルドリッチ ジャパン(株)製)、あるいは、このナフィオン分散液のパーフルオロスルホン酸によりドーピングされているPEDOT等の導電性高分子を例示できる。
Figure 2007287623
特に、正孔注入輸送性を有する部位と、撥液性官能基を有する部位とを有する単一の材料は、抵抗が比較的高いことが好ましい。抵抗が低すぎると、クロストークが起こるおそれがあるからである。例えば、酸によりドーピングされている導電性高分子であれば、導電性高分子および酸の混合比を変えることにより、抵抗を調整することができる。
なお、正孔注入輸送層の液体との接触角、膜厚および形成方法については、上記第1の態様に記載したものと同様である。
(ii)電子注入輸送層
本実施態様における電子注入輸送層は、陰極から注入された電子を安定に発光層内へ注入する電子注入機能を有する電子注入層であってもよく、陰極から注入された電子を発光層内へ輸送する電子輸送機能を有する電子輸送層であってもよく、電子注入層および電子輸送層が積層されたものであってもよく、電子注入機能および電子輸送機能の両方を有する単一の層であってもよい。
電子注入輸送層は、撥液性官能基を有する材料を含有するものである。電子注入輸送層が、正電子注入層および電子輸送層が積層されたものである場合は、電子注入層および電子輸送層の順に積層されるので、電子輸送層が、撥液性官能基を有する材料を含有していればよい。
この電子注入輸送層としては、好ましい2つの態様がある。電子注入輸送層の第1の態様は、電子注入輸送性を有する電子注入輸送性材料と、撥液性官能基を有する撥液性材料とを含有するものである。電子注入輸送層の第2の態様は、電子注入輸送性を有する部位と、撥液性官能基を有する部位とを有する単一の材料を含有するものである。以下、各態様について説明する。
(第1の態様)
第1の態様の電子注入輸送層には、電子注入輸送性を有する電子注入輸送性材料と、撥液性官能基を有する撥液性材料とが用いられる。
電子注入輸送性材料としては、陰極から注入された電子を安定に発光層へ輸送する材料であれば特に限定されるものではなく、上述した電子注入輸送層の種類により適宜選択される。電子注入輸送性材料は、電子注入性を有する電子注入性材料であってもよく、電子輸送性を有する電子輸送性材料であってもよく、電子注入性および電子輸送性の両方を有する材料であってもよい。
電子注入性材料としては、例えば、Ba、Ca、Li、Cs、Mg、Sr等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の単体、アルミリチウム合金等のアルカリ金属の合金、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化バリウム、フッ化リチウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のフッ化物、ポリメチルメタクリレートポリスチレンスルホン酸ナトリウム等のアルカリ金属の有機錯体などを挙げることができる。また、Ca/LiFのように、これらを積層して用いることも可能である。
上記の中でも、アルカリ土類金属のフッ化物が好ましい。アルカリ土類金属のフッ化物は、融点が高く耐熱性を向上させることができるからである。
また、電子輸送性材料としては、例えば、バソキュプロイン(BCP)、バソフェナントロリン(Bpehn)等のフェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、トリス(8−キノリノール)アルミニウム錯体(Alq)等のアルミキノリノール錯体などを挙げることができる。一般に、発光層に高分子系材料を用いた場合には、電子輸送層に低分子系材料を用いると、正孔ブロック性が向上することがある。
さらに、電子注入性および電子輸送性の両方を有する材料としては、Li、Cs、Ba、Sr等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属がドープされた電子輸送性材料を挙げることができる。電子輸送性材料としては、バソキュプロイン(BCP)、バソフェナントロリン(Bpehn)等のフェナントロリン誘導体が挙げられる。また、電子輸送性材料とドープされる金属とのモル比率は、1:1〜1:3の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1:1〜1:2の範囲内である。アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属がドープされた電子輸送性材料は、電子移動度が比較的大きく、金属単体に比べて透過率が高い。
特に、電子注入輸送性材料は、抵抗が比較的高いものであることが好ましい。抵抗が低すぎると、クロストークが起こるおそれがあるからである。
なお、撥液性材料については、上記正孔注入輸送層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
電子注入輸送層中の撥液性材料の含有量としては、電子注入輸送層に撥液性を付与することができ、電子の輸送を阻害しない程度の量であれば特に限定されるものではない。具体的には、上記電子注入性材料を用いた場合、電子注入輸送層(電子注入層)中の撥液性材料の含有量は、0.1重量%〜50重量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1重量%〜20重量%の範囲内である。また、上記電子輸送性材料を用いた場合、電子注入輸送層(電子輸送層)中の撥液性材料の含有量は、0.1重量%〜50重量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1重量%〜30重量%の範囲内である。さらに、上記の電子注入性および電子輸送性の両方を有する材料を用いた場合、電子注入輸送層中の撥液性材料の含有量は、0.1重量%〜50重量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1重量%〜20重量%の範囲内である。撥液性材料の含有量が上記範囲より少ないと、十分な撥液性が得られない場合があり、また撥液性材料の含有量が上記範囲より多いと、電子の輸送が阻害されるおそれがあるからである。
電子注入輸送層の膜厚としては、その機能が十分に発揮され、かつ濡れ性変化パターンの形成が可能である膜厚であれば特に限定されるものではない。具体的には、上記電子注入性材料を用いた場合、電子注入輸送層(電子注入層)の膜厚は、0.1nm〜200nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.5nm〜100nmの範囲内である。また、上記電子輸送性材料を用いた場合、電子注入輸送層(電子輸送層)の膜厚は、1nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは1nm〜50nmの範囲内である。さらに、上記の電子注入性および電子輸送性の両方を有する材料を用いた場合、電子注入輸送層の膜厚は、0.1nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは1nm〜50nmの範囲内である。電子注入輸送層の膜厚が薄すぎると、濡れ性の違いが明確に発現しなくなり、濡れ性変化パターンの形成が困難になる場合があるからである。また、電子注入輸送層の膜厚が厚すぎると、電子の輸送が阻害されるおそれがあるからである。
なお、電子注入輸送層の液体との接触角および形成方法については、上記正孔注入輸送層のものと同様である。
(第2の態様)
第2の態様の電子注入輸送層には、電子注入輸送性を有する部位と、撥液性官能基を有する部位とを有する単一の材料が用いられる。
電子注入輸送性を有する部位としては、陰極から注入された電子を安定に発光層へ輸送するものであり、かつ光触媒の作用により劣化、分解しにくいものであれば特に限定されるものではない。この電子注入輸送性を有する部位としては、電子注入性を有するものであってもよく、電子輸送性を有するものであってもよく、電子注入性および電子輸送性の両方を有するものであってもよく、上述した電子注入輸送層の種類により適宜選択される。
電子注入輸送性を有する部位をもつものとしては、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、アルミキノリノール錯体等を挙げることができる。
なお、撥液性官能基については、上記正孔注入輸送層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
特に、電子注入輸送性を有する部位と、撥液性官能基を有する部位とを有する単一の材料は、抵抗が比較的高いものであることが好ましい。抵抗が低すぎると、クロストークが起こるおそれがあるからである。
なお、電子注入輸送層の膜厚については、上記第1の態様と同様であり、電子注入輸送層の液体との接触角および形成方法については、上記正孔注入輸送層のものと同様である。
(2)電極層
本実施態様における電極層は、陽極であってもよく陰極であってもよい。一般に、有機EL素子を製造する際には、陽極側から積層する方が安定して有機EL素子を作製することができることから、電極層が陽極であることが好ましい。
電極層を形成する材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではない。
例えば、図1(e)に示す有機EL素子においてボトムエミッション型とする場合や、後述する濡れ性変化パターン形成工程にてエネルギーを基板側から照射する場合には、電極層は透明性を有することが好ましい。導電性および透明性を有する材料としては、In−Zn−O(IZO)、In−Sn−O(ITO)、ZnO−Al、Zn−Sn−O等を好ましいものとして例示することができる。
また例えば、図1(e)に示す有機EL素子においてトップエミッション型とする場合には、電極層に透明性は要求されない。この場合、導電性を有する材料として、金属を用いることができ、具体的にはAu、Ta、W、Pt、Ni、Pd、Cr、あるいは、Al合金、Ni合金、Cr合金等を挙げることができる。
電極層の成膜方法としては、一般的な電極の成膜方法を用いることができ、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法等を挙げることができる。また、電極層のパターニング方法としては、フォトリソグラフィー法を挙げることができる。
(3)基板
本実施態様における基板は、電極層および電荷注入輸送層等を支持するものである。
例えば、図1(e)に示す有機EL素子においてボトムエミッション型とする場合や、後述する濡れ性変化パターン形成工程にてエネルギーを基板側から照射する場合には、基板は透明であることが好ましい。透明な基板としては、例えば、石英、ガラス等を挙げることができる。
また例えば、図1(e)に示すEL素子においてトップエミッション型とする場合には、基板に透明性は要求されない。この場合、基板には、上記材料の他にも、アルミニウムおよびその合金等の金属、プラスチック、織物、不織布等を用いることができる。
2.濡れ性変化パターン形成工程
本実施態様における濡れ性変化パターン形成工程は、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する工程である。
以下、光触媒処理層基板、光触媒処理層基板および電荷注入輸送層の配置、エネルギー照射、ならびに濡れ性変化パターンについて説明する。
(1)光触媒処理層基板
本発明においては、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する電荷注入輸送層表面に濡れ性変化パターンを形成する際、電荷注入輸送層に光触媒の作用を及ぼすために、光触媒を含有する光触媒処理層を有する光触媒処理層基板を用いる。この光触媒処理層基板を電荷注入輸送層に対して所定の間隙をおいて配置し、エネルギーをパターン状に照射することにより、電荷注入輸送層表面に濡れ性変化パターンを形成することができる。
本発明に用いられる光触媒処理層基板は、基体と、この基体上に形成された光触媒処理層と有するものである。また、この光触媒処理層基板には、遮光部がパターン状に形成されていてもよい。以下、光触媒処理層、基体および遮光部について説明する。
(i)光触媒処理層
本発明に用いられる光触媒処理層は、光触媒を含有するものである。光触媒処理層としては、光触媒処理層中の光触媒が電荷注入輸送層表面の濡れ性を変化させるような構成であれば特に限定されるものではない。光触媒処理層は、例えば、光触媒とバインダとから構成されるものであってもよく、光触媒単体で構成されるものであってもよい。光触媒のみからなる光触媒処理層の場合は、電荷注入輸送層表面の濡れ性の変化に対する効率が向上し、処理時間の短縮化等のコスト面で有利である。また、光触媒とバインダとからなる光触媒処理層の場合は、光触媒処理層の形成が容易であるという利点を有する。
本発明に用いられる光触媒としては、光半導体として知られる例えば二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、および酸化鉄(Fe)を挙げることができる。これらの光触媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明においては、二酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用される。二酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり、いずれも使用することができる。中でも、アナターゼ型の二酸化チタンが好ましい。アナターゼ型二酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。
アナターゼ型二酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製 STS−02(平均粒径:7nm)、石原産業(株)製 ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製 TA−15(平均粒径:12nm))等を挙げることができる。
粒径が小さいほど光触媒反応が効果的に起こるので、光触媒の粒径は小さい方が好ましい。具体的には、光触媒の平均粒径は50nm以下であることが好ましく、20nm以下が特に好ましい。
光触媒処理層における、上記二酸化チタンに代表される光触媒の作用機構は、必ずしも明確なものではないが、エネルギーの照射によって光触媒が酸化還元反応を引き起こし、スーパーオキサイドラジカル(・O )やヒドロキシラジカル(・OH)などの活性酸素種を発生し、この発生した活性酸素種が有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。本発明においては、この活性酸素種が、光触媒処理層近傍に配置される電荷注入輸送層中の有機物に作用を及ぼしていると思料される。
また、光触媒処理層が光触媒とバインダとからなるものである場合、用いられるバインダとしては、主骨格が上記光触媒の光励起により分解されないような高い結合エネルギーを有するものが好ましい。このようなバインダとしては、例えばオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
さらに、バインダとして無定形シリカ前駆体を用いることができる。この無定形シリカ前駆体としては、一般式SiXで表され、Xがハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物、それらの加水分解物であるシラノール、あるいは平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましい。具体的には、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン等が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
光触媒処理層が光触媒とバインダとからなるものである場合、光触媒処理層中の光触媒の含有量は、5〜60重量%の範囲内で設定することができ、好ましくは20〜50重量%の範囲内である。
また、光触媒処理層は、上記の光触媒およびバインダの他に、界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることができる。また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
さらに、光触媒処理層は、上記界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有していてもよい。
光触媒処理層の厚みは、0.05〜10μmの範囲内であることが好ましい。
また、光触媒処理層表面の濡れ性は、親液性であっても撥液性であってもよい。
光触媒のみからなる光触媒処理層の形成方法としては、例えば、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法等の真空成膜法を挙げることができる。真空成膜法であれば、均一な膜で、かつ光触媒のみを含有する光触媒処理層を形成することができる。これにより、電荷注入輸送層表面の濡れ性を均一に変化させることが可能となる。また、光触媒処理層が光触媒のみからなることから、バインダを用いる場合と比較して、効率的に電荷注入輸送層表面の濡れ性を変化させることができる。
また、光触媒のみからなる光触媒処理層の形成方法としては、例えば光触媒が二酸化チタンの場合は、基体上に無定形チタニアを成膜し、次いで焼成により無定形チタニアを結晶性チタニアに相変化させる方法等が挙げられる。
無定形チタニアは、例えば、四塩化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩を加水分解および脱水縮合する、あるいは、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合物を酸存在下において加水分解および脱水縮合することによって得ることができる。次いで、無定形チタニアを、400℃〜500℃で焼成することによってアナターゼ型チタニアに変性させ、600℃〜700℃で焼成することによってルチル型チタニアに変性させることができる。
光触媒とバインダとからなる光触媒処理層の形成方法としては、バインダとしてオルガノポリシロキサンを用いた場合には、光触媒とバインダであるオルガノポリシロキサンとを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散させて光触媒処理層形成用塗工液を調製し、この光触媒処理層形成用塗工液を基体上に塗布する方法を用いることができる。また、バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合には、塗布後に、紫外線を照射して硬化処理を行ってもよい。
この際に使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布方法としては、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の一般的な方法を用いることができる。
また、光触媒とバインダとからなる光触媒処理層の形成方法としては、バインダとして無定形シリカ前駆体を用いた場合には、光触媒の粒子と無定形シリカ前駆体とを非水性溶媒中に均一に分散させて光触媒処理層形成用塗工液を調製し、この光触媒処理層形成用塗工液を基体上に塗布し、無定形シリカ前駆体を、空気中の水分により加水分解させてシラノールを形成させ、常温で脱水縮重合させる方法を用いることができる。シラノールの脱水縮重合を100℃以上で行えば、シラノールの重合度が増し、膜表面の強度を向上させることができる。
光触媒処理層の形成位置としては、例えば図2(a)に示すように、基体12上の全面に光触媒処理層14が形成されていてもよく、例えば図2(b)に示すように、基体12上に光触媒処理層14がパターン状に形成されていてもよい。
光触媒処理層がパターン状に形成されている場合には、光触媒処理層を電荷注入輸送層に対して所定の間隙をおいて配置し、エネルギーを照射する際に、フォトマスク等を用いてパターン照射する必要がなく、全面に照射することにより、電荷注入輸送層表面の濡れ性を変化させることができる。また、実際に光触媒処理層に面する電荷注入輸送層表面のみ、濡れ性が変化するので、エネルギーの照射方向としては、光触媒処理層と電荷注入輸送層とが面する部分にエネルギーが照射されれば、いかなる方向であってもよい。さらには、照射されるエネルギーも、平行光等の平行なものに限定されない。
この光触媒処理層のパターニング方法としては、特に限定されるものではなく、例えばフォトリソグラフィー法等が挙げられる。
(ii)基体
光触媒処理層基板に用いられる基体は、後述するエネルギーの照射方向や、得られる有機EL素子の光の取り出し方向により透明性が適宜選択される。
例えば、図1(e)に示す有機EL素子がトップエミッション型であり、かつ有機EL素子における基板または電極層が不透明である場合は、エネルギー照射方向は必然的に光触媒処理層基板側からとなる。また例えば、図1(b)に示すように光触媒処理層基板11に遮光部13がパターン状に形成されており、この遮光部13を用いてパターン状にエネルギー照射する場合も、光触媒処理層基板側からエネルギーを照射する必要がある。そのため、これらの場合には、基体は透明性を有する必要がある。
一方、例えば図1(e)に示す有機EL素子がボトムエミッション型である場合には、有機EL素子における基板側からエネルギーを照射することが可能である。そのため、この場合には、基体に透明性は要求されない。
また、基体は、可撓性を有するもの、例えば樹脂製フィルム等であってもよいし、可撓性を有さないもの、例えばガラス基板等であってもよい。
基体としては、特に限定されるものではないが、光触媒処理層基板は繰り返し用いられるものであることから、所定の強度を有し、かつその表面が光触媒処理層との密着性が良好であるものが好適に用いられる。具体的には、基体を構成する材料としては、ガラス、セラミック、金属、プラスチック等を挙げることができる。
また、基体表面と光触媒処理層との密着性を向上させるために、基体上にアンカー層が形成されていてもよい。アンカー層の形成材料としては、例えば、シラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。
(iii)遮光部
本発明に用いられる光触媒処理層基板には、遮光部がパターン状に形成されていてもよい。パターン状の遮光部を有する光触媒処理層基板を用いた場合には、エネルギー照射に際して、フォトマスクを用いたり、レーザ光による描画照射を行ったりする必要がない。したがって、この場合には、威光触媒処理層基板とフォトマスクとの位置合わせが不要であることから、簡便な工程とすることができ、また描画照射に必要な高価な装置も不要であることから、コスト的に有利となる。
遮光部の形成位置としては、例えば図1(b)に示すように、基体12上に遮光部13がパターン状に形成され、この遮光部13上に光触媒処理層14が形成されていてもよい。また、例えば図3に示すように、基体12上に光触媒処理層14が形成され、この光触媒処理層14上に遮光部13がパターン状に形成されていてもよい。さらに、図示しないが、基体の光触媒処理層が形成されていない側の表面に遮光部がパターン状に形成されていてもよい。
上記の基体上に遮光部が形成されている場合、および、光触媒処理層上に遮光部が形成されている場合は、フォトマスクを用いる場合と比較すると、光触媒処理層と電荷注入輸送層とが間隙をおいて配置される部分の近傍に、遮光部が配置されることになるので、基体内等におけるエネルギーの散乱の影響を少なくすることができる。このため、エネルギーのパターン照射を極めて正確に行うことが可能となる。
さらに、光触媒処理層上に遮光部が形成されている場合は、光触媒処理層と電荷注入輸送層とを所定の間隙をおいて配置する際に、この遮光部の膜厚をこの間隙の距離と一致させておくことにより、間隙を一定のものとするためのスペーサとして、遮光部を用いることができる。すなわち、光触媒処理層と電荷注入輸送層とを所定の間隙をおいて配置する際に、遮光部と電荷注入輸送層とを密着させた状態で配置することにより、所定の間隙を保つことができる。そして、この状態で光触媒処理層基板からエネルギーを照射することにより、電荷注入輸送層表面に濡れ性変化パターンを精度良く形成することができる。
また、基体の光触媒処理層が形成されていない側の表面に遮光部が形成されている場合は、例えばフォトマスクを遮光部の表面に着脱可能な程度に密着させることができるので、有機EL素子の製造を小ロットで変更するような場合に好適である。
遮光部の形成方法としては、特に限定されるものではなく、遮光部の形成面の特性や、必要とするエネルギーに対する遮蔽性等に応じて適宜選択される。
例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により、厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより、遮光部を形成することができる。このパターニング方法としては、一般的なパターニング方法を用いることができる。
また例えば、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層をパターニングすることにより、遮光部を形成することもできる。樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等が挙げられる。これらの樹脂は、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。また、樹脂バインダとしては、感光性樹脂、あるいは、O/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。パターニング方法としては、フォトリソ法、印刷法等、一般的なパターニング方法を用いることができる。
樹脂バインダを用いた遮光部の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。
(iv)プライマー層
本発明において、上述したように基体上に遮光部がパターン状に形成され、その遮光部上に光触媒処理層が形成されている場合には、例えば図4に示すように、遮光部13と光触媒処理層14との間にプライマー層15が形成されていることが好ましい。
このプライマー層の作用・機能は必ずしも明確なものではないが、プライマー層は、光触媒の作用による電荷注入輸送層の濡れ性変化を阻害する要因となる遮光部および遮光部間に存在する開口部からの不純物、特に、遮光部をパターニングする際に生じる残渣や、金属、金属イオン等の不純物の拡散を防止する機能を有していると考えられる。したがって、遮光部と光触媒処理層との間にプライマー層を形成することにより、高感度で濡れ性変化の処理が進行し、その結果、高解像度の濡れ性変化パターンを得ることができる。
プライマー層は、遮光部のみならず遮光部間の開口部に存在する不純物が光触媒の作用に影響を及ぼすのを防止すると考えられるので、パターン状の遮光部および遮光部間の開口部を覆うように全面に形成されていることが好ましい。また、プライマー層は、光触媒処理層と遮光部とが物理的に接触しないように配置されていればよい。
このプライマー層を構成する材料としては、特に限定されるものではないが、光触媒の作用により分解されにくい無機材料が好ましい。無機材料としては、例えば無定形シリカを挙げることができる。この無定形シリカの前駆体としては、一般式SiXで示され、Xがハロゲン、メトキシ基、エトキシ基、またはアセチル基等であるケイ素化合物、それらの加水分解物であるシラノール、あるいは、平均分子量3000以下のポリシロキサンが好ましく用いられる。
また、プライマー層の膜厚は、0.001μm〜1μmの範囲内であることが好ましく、特に0.001μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。
(2)光触媒処理層基板および電荷注入輸送層の配置
本実施態様においては、光触媒処理層基板を、電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置する。通常は、光触媒処理層基板の光触媒処理層と、電荷注入輸送層とを、電荷注入輸送層にエネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置する。
なお、間隙とは、光触媒処理層および電荷注入輸送層が接触している状態も含むものとする。
光触媒処理層と電荷注入輸送層との間隔は、具体的には、200μm以下であることが好ましい。光触媒処理層と電荷注入輸送層とを所定の間隔をおいて配置することにより、酸素、水および光触媒作用により生じた活性酸素種が脱着しやすくなる。光触媒処理層と電荷注入輸送層との間隔が上記範囲より広い場合には、光触媒作用により生じた活性酸素種が電荷注入輸送層に届き難くなり、濡れ性の変化速度を遅くしてしまう可能性がある。逆に、光触媒処理層と電荷注入輸送層との間隔を狭くしすぎると、酸素、水および光触媒作用により生じた活性酸素種が脱着しにくくなり、結果的に濡れ性の変化速度を遅くしてしまう可能性がある。
上記間隔は、パターン精度が極めて良好であり、光触媒の感度も高く、濡れ性変化の効率が良好である点を考慮すると、0.2μm〜20μmの範囲内であることがより好ましく、さらに好ましくは1μm〜10μmの範囲内である。
一方、例えば300mm×300mmといった大面積の有機EL素子を製造する場合には、上述したような微細な間隙を光触媒処理層基板と電荷注入輸送層との間に設けることは極めて困難である。したがって、比較的大面積の有機EL素子を製造する場合は、上記間隙は、5μm〜100μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは10μm〜75μmの範囲内である。上記間隙を上記範囲とすることにより、パターンがぼやける等のパターン精度の低下を抑制することができ、また光触媒の感度が悪化して濡れ性変化の効率が悪化するのを抑制することができるからである。
また、上記のような比較的大面積に対してエネルギー照射する際には、エネルギー照射装置内の光触媒処理層基板と電荷注入輸送層との位置決め装置における間隙の設定を、10μm〜200μmの範囲内、特に25μm〜75μmの範囲内に設定することが好ましい。上記間隙の設定値を上記範囲とすることにより、パターン精度の大幅な低下や光触媒の感度の大幅な悪化を招くことなく、かつ光触媒処理層基板と電荷注入輸送層とを接触させずに配置することができるからである。
本発明においては、このような間隙をおいた配置状態は、少なくともエネルギー照射の間だけ維持されればよい。
このような極めて狭い間隙を均一に設けて光触媒処理層と電荷注入輸送層とを配置する方法としては、例えばスペーサを用いる方法を挙げることができる。スペーサを用いる方法では、均一な間隙を設けることができると共に、このスペーサが接触する部分は、光触媒の作用が電荷注入輸送層表面に及ばないことから、このスペーサを上述した濡れ性変化パターンと同様のパターンを有するものとすることにより、電荷注入輸送層表面に所定の濡れ性変化パターンを形成することが可能となる。
本発明においては、スペーサを一つの部材として形成してもよいが、工程の簡略化等のため、光触媒処理層基板の光触媒処理層上にスペーサが形成されていることが好ましい。この場合、上記遮光部の項に記載したような利点を有する。
スペーサは、電荷注入輸送層表面に光触媒の作用が及ばないように、電荷注入輸送層表面を保護する作用を有していればよい。このため、スペーサは、照射されるエネルギーに対して遮蔽性を有していなくてもよい。
(3)エネルギー照射
本実施態様においては、光触媒処理層と電荷注入輸送層とを所定の間隙をおいて配置した後、所定の方向からエネルギーをパターン照射することにより、電荷注入輸送層表面に濡れ性変化パターンを形成する。
エネルギー照射に用いる光の波長は、通常、450nm以下の範囲で設定され、好ましくは380nm以下の範囲で設定される。これは、上述したように、光触媒処理層に用いられる好ましい光触媒が二酸化チタンであり、この二酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上記の波長の光が好ましいからである。
エネルギー照射に用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。
また、パターン状にエネルギーを照射する方法としては、これらの光源を用い、フォトマスクを介してパターン照射する方法の他、エキシマ、YAG等のレーザを用いてパターン状に描画照射する方法を用いることもできる。
エネルギー照射に際してのエネルギーの照射量は、光触媒処理層中の光触媒の作用により電荷注入輸送層表面の濡れ性が変化するのに必要な照射量とする。
この際、光触媒処理層を加熱しながらエネルギー照射することが好ましい。感度を上昇させことができ、効率的に濡れ性を変化させることができるからである。具体的には、30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
エネルギー照射方向は、光触媒処理層基板に遮光部が形成されているか否か、あるいは、有機EL素子の光の取り出し方向等により決定される。
例えば、光触媒処理層基板に遮光部が形成されており、光触媒処理層基板の基体が透明である場合は、光触媒処理層基板側からエネルギー照射が行なわれる。また、この場合、光触媒処理層上に遮光部が形成されており、この遮光部がスペーサとして機能する場合には、エネルギー照射方向は光触媒処理層基板側からであってもよく基板側からであってもよい。
また例えば、光触媒処理層がパターン状に形成されている場合には、エネルギー照射方向は、上述したように、光触媒処理層と電荷注入輸送層とが面する部分にエネルギーが照射されれば、いかなる方向であってもよい。
同様に、上述したスペーサを用いる場合も、光触媒処理層と電荷注入輸送層とが面する部分にエネルギーが照射されれば、エネルギー照射方向はいかなる方向であっってもよい。
さらに例えば、フォトマスクを用いる場合は、フォトマスクが配置された側からエネルギーが照射される。この場合、フォトマスクが配置された側が透明である必要がある。
エネルギー照射後は、光触媒処理層基板は、電荷注入輸送層から取り外される。
(4)濡れ性変化パターン
本実施態様における濡れ性変化パターンは、電荷注入輸送層表面に形成されるものであり、エネルギー照射部分である親液性領域と、エネルギー未照射部分である撥液性領域とからなるものである。
本発明において、親液性領域とは、エネルギー照射部分であり、エネルギー照射により液体との接触角が低下する方向に変化した領域である。また、撥液性領域とは、エネルギー未照射部分であり、親液性領域よりも、液体に対する接触角が大きい領域をいう。
エネルギー照射部分である親液性領域においては、塗布される有機EL層形成用塗工液が有する表面張力と同等の表面張力の液体に対する接触角が20°以下であることが好ましく、より好ましくは15°以下、さらに好ましくは10°以下である。親液性領域における液体との接触角が高すぎると、有機EL層形成用塗工液が濡れ広がりにくくなる可能性があり、有機EL層が欠ける等の可能性があるからである。
なお、液体との接触角の測定方法については、上記電荷注入輸送層の項に記載したものと同様である。
3.有機EL層形成工程
本実施態様における有機EL層形成工程は、上記濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機EL層を形成する工程である。
本発明に用いられる有機EL層は、少なくとも発光層を含む1層もしくは複数層の有機層から構成されるものである。すなわち、有機EL層とは、少なくとも発光層を含む層であり、その層構成が有機層1層以上の層をいう。通常、塗布による湿式法で有機EL層を形成する場合は、溶媒との関係で多数の層を積層することが困難であることから、1層もしくは2層の有機層で形成される場合が多いが、溶媒への溶解性が異なるように有機材料を工夫したり、真空蒸着法を組み合わせたりすることにより、さらに多数層とすることも可能である。
発光層以外の有機EL層を構成する有機層としては、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層を挙げることができる。また、有機層としては、キャリアブロック層のような正孔もしくは電子の突き抜けを防止し、さらに励起子の拡散を防止して発光層内に励起子を閉じ込めることにより、再結合効率を高めるための層等を挙げることができる。
本実施態様においては、電荷注入輸送層上に有機EL層が形成されることから、有機EL層として発光層を形成することが好ましい。すなわち、電荷注入輸送層表面に形成された濡れ性変化パターンを利用して、発光層をパターン状に形成することが好ましい。
また、本実施態様においては、電荷注入輸送層上に均一な発光層を形成するために、電荷注入輸送層と発光層との間に中間層を形成してもよい。この場合、電荷注入輸送層表面に形成された濡れ性変化パターンを利用して、親液性領域上にのみ中間層をパターン状に形成する。中間層表面は親液性であり、中間層が形成されていない領域は撥液性領域であるので、この濡れ性の違いにより、発光層もパターン状に形成することができる。
有機EL層の形成方法としては、濡れ性変化パターンを構成する親液性領域と撥液性領域との濡れ性の差を利用して、有機EL層をパターン状に形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。例えば、濡れ性変化パターン上に有機EL層形成用塗工液を塗布することにより、親液性領域上にのみ有機EL層を形成することができる。
有機EL層形成用塗工液の塗布方法としては、例えば、スピンコーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バーコート法、ブレードコート法、ロールコート法、グラビアコート法、スプレーコート法、印刷法等の全面に塗布する方法、あるいは、ディスペンサーやインクジェットを用いる吐出法などが挙げられる。中でも、吐出法が好ましく、特にインクジェット法が好ましい。この方法では、濡れ性変化パターンを利用して、高精細なパターンを形成することができるからである。
以下、有機EL層に必須の構成である発光層について説明する。
(1)発光層
本実施態様においては、電荷注入輸送層表面に形成された濡れ性変化パターン上に発光層形成用塗工液を塗布することにより、親液性領域上にのみ発光層を形成することができる。この発光層形成用塗工液は、発光材料を溶剤に分散もしくは溶解させることにより調製することができる。赤色、緑色および青色の三原色の発光層を形成する場合は、赤色、緑色および青色の各色発光層形成用塗工液が用いられる。
発光材料としては、蛍光を発する材料を含み、発光するものであれば特に限定されるものではない。この発光材料は、正孔輸送性や電子輸送性を有していていもよい。発光材料としては、色素系材料、金属錯体系材料、および高分子系材料を挙げることができる。
色素系材料としては、シクロペンダミン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾ−ル誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等を挙げることができる。
金属錯体系材料としては、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体、あるいは、中心金属に、Al、Zn、Be等またはTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子に、オキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体などを挙げることができる。
高分子系の材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体等、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、上記色素体、金属錯体系発光材料を高分子化したもの等を挙げることができる。
本発明においては、濡れ性変化パターンの濡れ性の差を利用して発光層を精度よく形成することができるという利点を活かすという観点から、発光材料として、上記高分子系材料を用いることが好ましい。
また、発光効率の向上、発光波長を変化させる等の目的で、発光材料にドーパントを添加してもよい。ドーパントとしては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィレン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン等を挙げることができる。
また、発光層形成用塗工液に用いられる溶剤としては、上述した発光材料を溶解もしくは分散させ、かつ所定の粘度および固形分濃度が得られるものであれば特に限定されるものではない。溶剤としては、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、テトラリン、テトラメチルベンゼン等を挙げることができる。
発光層形成用塗工液には、上述した発光材料および溶剤に加えて、種々の添加剤を添加することができる。例えば、インクジェット法により発光層を形成する場合には、吐出性を向上させる目的で、界面活性剤等を添加してもよい。
(2)中間層
本実施態様においては、電荷注入輸送層上に均一な発光層を形成するために、上記発光層を形成する前に、電荷注入輸送層上に中間層を形成してもよい。
中間層を形成する材料としては、発光層の成膜性を良好に保ち、かつ発光層の光学特性を劣化させないものであれば特に限定されるものではない。
中間層を形成する材料は、正孔輸送性または電子輸送性を有していてもよい。中間層が正孔輸送性または電子輸送性を有する場合は、電荷注入輸送層から発光層へ正孔もしくは電荷を円滑に輸送することができ、発光効率を向上させることができる。この場合、一般に、有機EL素子を製造する際には、陽極側から積層されることから、電極層が陽極であり、電荷注入輸送層が正孔注入輸送層であり、中間層が正孔輸送機能を有することが好ましい。
中間層に用いられる正孔輸送性を有する材料としては、電荷注入輸送層から発光層へ正孔を輸送することが可能な材料であれば特に限定されるものではないが、正孔移動度の高い材料であることが好ましい。さらには、陰極から移動してきた電子の突き抜けを防止することが可能な材料であることが好ましい。これにより、発光層内での正孔および電子の再結合効率を高めることができるからである。
このような正孔輸送性を有する材料としては、例えばアリールアミン類、カルバゾール類、フルオレンおよびその誘導体等が挙げられる。アリールアミン類の具体的としては、ビス(N−(1−ナフチル−N−フェニル)−ベンジジン(α−NPD)、N,N´−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N´−ビス−(フェニル)−ベンジジン(TPD)、コポリ[3,3´−ヒドロキシ−テトラフェニルベンジジン/ジエチレングリコール]カーボネート(PC−TPD−DEG)等を挙げることができる。カルバゾール類の具体例としては、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等を挙げることができる。フルオレン誘導体の具体例としては、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレニル−2,7−ジイル)−co−(4,4´−(N−(4−sec−ブチルフェニル))ジフェニルアミン)](TFB)等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、中間層に用いられる電子輸送性を有する材料としては、電荷注入輸送層から発光層へ電子を輸送することが可能な材料であれば特に限定されるものではないが、電子移動度の高い材料であることが好ましい。さらには、陽極から移動してきた正孔の突き抜けを防止することが可能な材料であることが好ましい。これにより、発光層内での正孔および電子の再結合効率を高めることができるからである。
このような電子輸送性を有する材料としては、例えばオキサジアゾール類、トリアゾール類、フェナントロリン類、アルミキノリノール錯体等が挙げられる。フェナントロリン類の具体例としては、バソキュプロイン、バソフェナントロリン等が挙げられ、アルミキノリノール錯体の具体例としては、トリス(8−キノリノール)アルミニウム錯体(Alq)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
また、中間層を形成する材料は、絶縁性を有していてもよい。中間層に用いられる絶縁性を有する材料としては、例えばポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアクリレート等の樹脂が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
さらに、中間層を形成する材料は、正孔輸送性または電子輸送性を有する材料と絶縁性を有する材料とが混合されたものであってもよい。
中間層の膜厚としては、5nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。中間層の膜厚が上記範囲未満であると、均一な膜が得られない場合があり、また中間層の膜厚が上記範囲より厚いと、中間層の体積抵抗が大きくなりすぎて駆動電圧が高くなる可能性があるからである。中間層が、正孔輸送性または電子輸送性を有さず、絶縁性を有する場合には、膜厚は、5nm〜15nmの範囲内であることがより好ましく、特に好ましくは5nm〜10nmの範囲内である。
中間層は、電荷注入輸送層表面に形成された濡れ性変化パターン上に、上述した材料を溶剤に溶解もしくは分散させた中間層形成用塗工液を塗布することにより形成することができる。
中間層形成用塗工液に用いられる溶剤としては、上述した材料を溶解もしくは分散させることができるものであれば特に限定されるものではなく、これらの材料の種類に応じて適宜選択される。具体例としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。
また、中間層形成用塗工液の塗布方法としては、中間層を均一に形成することが可能な方法であることが好ましく、例えばディップコート法、ロールコート法、ブレードコート法、スピンコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。
4.絶縁層形成工程
本実施態様においては、上記電荷注入輸送層形成工程前に、上記電極層がパターン状に形成された基板上の上記電極層のパターン間に絶縁層を形成する絶縁層形成工程を行ってもよい。
絶縁層は、電極層のパターン間での導通や、電極層および対向電極層間での導通を防ぐために設けられるものである。この絶縁層が形成された部分は、非発光領域となる。
絶縁層は、基板上であって、電極層のパターン間に形成されるものであり、一般的には電極層のパターンの端部を覆うように形成される。
この絶縁層を形成する材料としては、絶縁性を有するものであれば特に限定されるものではない。中でも、絶縁層を形成する材料は、上記濡れ性変化パターン形成工程にて照射されるエネルギー線を反射または吸収するものであることが好ましい。この場合、濡れ性変化パターン形成工程にて、基板側からエネルギーを全面に照射することにより、パターン照射が可能となるからである。このため、エネルギー照射に際して、フォトマスクを用いたり、レーザ光による描画照射を行ったりする必要がない。このような絶縁層を形成する材料としては、例えば、感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂等の光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、無機材料等を用いることができる。
また、絶縁層の形成方法としては、フォトリソグラフィー法、印刷法等の一般的な方法を用いることができる。
5.対向電極層形成工程
本実施態様においては、通常、上記有機EL層形成工程後、有機EL層上に対向電極層を形成する対向電極層形成工程が行われる。
対向電極層は、電極層と反対の電荷をもつ電極であり、陽極であってもよく陰極であってもよい。一般に、有機EL素子を製造する際には、陽極側から積層する方が安定して有機EL素子を作製することができることから、対向電極層が陰極であることが好ましい。
対向電極層を形成する材料としては、導電性を有する材料であれば特に限定されるものではない。例えば、図1(e)に示す有機EL素子においてトップエミッション型とする場合には、対向電極層は透明性を有することが好ましい。また例えば、図1(e)に示す有機EL素子においてボトムエミッション型とする場合には、対向電極層には透明性は要求されない。
なお、対向電極層を形成する材料および対向電極層の形成方法については、上記電荷注入輸送層形成工程の項に記載した電極層のものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
6.その他の工程
本実施態様においては、発光層等の有機EL層を酸素および水蒸気の影響から保護するバリア層や、光取り出し効率を向上させる低屈折率層を、対向電極層上に形成する工程を行ってもよい。
II.第2実施態様
本発明の有機EL素子の製造方法の第2実施態様は、電極層が形成された基板上に、電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、上記電荷注入輸送層表面を撥液性とする撥液処理工程と、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記撥液処理が施された電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、上記濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを有することを特徴とするものである。
本実施態様の有機EL素子の製造方法は、撥液処理工程により、2つの態様に分けることができる。以下、各態様について説明する。
1.第1態様
本実施態様の有機EL素子の製造方法の第1態様は、電極層が形成された基板上に、電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、上記電荷注入輸送層に、フッ素化合物を導入ガスとして用いてプラズマを照射し、上記電荷注入輸送層表面を撥液性とする撥液処理工程と、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記撥液処理が施された電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、上記濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを有することを特徴とするものである。
本態様の有機EL素子の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図5は、本態様の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。まず、基板2上に電極層3をパターン状に形成し、この電極層3のパターン間に絶縁層4を形成し、電極層3および絶縁層4の上に電荷注入輸送層5を形成する(図5(a)、電荷注入輸送層形成工程)。
次いで、電極層3、絶縁層4および電荷注入輸送層5が形成された基板2を反応室内に配置し、導入ガスとしてフッ素化合物31を反応室に流し、一方の電極32を基板2と接続し、他方の電極33を基板2と対向させ、電源34から電界を印加する(図5(b)、撥液処理工程)。このようにして、電荷注入輸送層に、フッ素化合物を導入ガスとしてプラズマを照射する。これにより、電荷注入輸送層中の有機物にフッ素が導入され、電荷注入輸送層の表面が撥液性となる。
次に、図5(c)に示すように、基体12と、この基体12上にパターン状に形成された遮光部13と、遮光部13を覆うように基体12上に形成された光触媒処理層14とを有する光触媒処理層基板11を準備する。次いで、光触媒処理層基板11の光触媒処理層14と、電荷注入輸送層5とが向かい合うように配置し、紫外線17を照射する。紫外線17の照射により、図5(d)に示すように、光触媒処理層14に含有される光触媒の作用から、電荷注入輸送層5のうち、紫外線照射部分では、電荷注入輸送層5中の有機物に導入されたフッ素が除去され、濡れ性が液体との接触角が低下するように変化する。これにより、紫外線照射部分が親液性領域21となり、紫外線未照射部分が撥液性領域22となる。そして、光触媒処理層基板11を、電荷注入輸送層5から取り外す。これにより、電荷注入輸送層5表面に、親液性領域21と撥液性領域22とからなる濡れ性変化パターンが形成される。図5(c)、(d)は濡れ性変化パターン形成工程である。
次に、濡れ性の違いを利用して、親液性領域21と撥液性領域22とからなる濡れ性変化パターン上に、有機EL層形成用塗工液を塗布して、親液性領域21上に有機EL層6を形成する(図5(e)、有機EL層形成工程)。
次いで、有機EL層6上に対向電極層7を形成する(図5(f))。この際、例えば、対向電極層7を透明電極とした場合には、トップエミッション型の有機EL素子が得られ、電極層3を透明電極とした場合には、ボトムエミッション型の有機EL素子が得られる。
フッ素化合物を導入ガスとして用いてプラズマを照射した場合、有機物にフッ素を導入することができ、有機物が含まれる層表面を撥液性とすることができる。本態様においては、撥液処理工程にてプラズマ照射を行うことにより、電荷注入輸送層表面を撥液性とすることができる。さらに、この電荷注入輸送層に、光触媒を含有する光触媒処理層を介してエネルギーを照射することにより、光触媒の作用によって、電荷注入輸送層中の有機物に導入されたフッ素を除去することができる。これにより、エネルギー照射部分を親液性領域、エネルギー未照射部分を撥液性領域とすることができ、電荷注入輸送層表面に濡れ性の違いによる濡れ性変化パターンを形成することができる。そして、この電荷注入輸送層表面に形成された濡れ性の違いによる濡れ性変化パターンを利用して、有機EL層のパターニングを行うことができる。
このように、本態様においては、撥液処理工程にて電荷注入輸送層中に導入されたフッ素を、濡れ性変化パターン形成工程にて除去することにより、エネルギー照射部分の濡れ性を変化させて、エネルギー未照射部分との濡れ性に大きな差を生じさせることができる。このため、有機EL層形成用塗工液がエネルギー未照射部分である撥液性領域に付着するのを防ぎ、エネルギー照射部分である親液性領域上にのみ有機EL層形成用塗工液を付着させて、高精細な有機EL層のパターンを形成することができる。
また、電荷注入輸送層表面に形成された濡れ性変化パターンを利用して有機EL層のパターニングを行うので、複雑なパターニング工程や、高価な真空設備を要することなく、有機EL層を容易にパターニングすることが可能である。
さらに、本態様においては、光触媒を含有する光触媒処理層を介して電荷注入輸送層にエネルギーをパターン照射することにより、光触媒を含有していない電荷注入輸送層に対して、光触媒の作用により濡れ性を変化させることができる。また、電荷注入輸送層表面に濡れ性変化パターンを形成した後は、光触媒処理層を有する光触媒処理層基板を電荷注入輸送層から取り外すため、電荷注入輸送層に光触媒が含まれることがない。したがって、電荷注入輸送層の平滑性を向上させることができ、電荷注入輸送層と有機EL層との界面における障壁を低減することができる。これにより、発光特性を向上させ、電極間の短絡を防止することが可能である。
また、電荷注入輸送層にエネルギーを照射することにより、電荷注入輸送層の電荷注入輸送機能が向上する場合がある。このため、本態様は、有機EL層のパターニングに特に有用である。
なお、濡れ性変化パターン形成工程、有機EL層形成工程、絶縁層形成工程および対向電極層形成工程等については、上記第1実施態様の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。以下、電荷注入輸送層形成工程および撥液処理工程について説明する。
(1)電荷注入輸送層形成工程
本態様における電荷注入輸送層形成工程は、電極層が形成された基板上に、電荷注入輸送層を形成する工程である。
なお、電極層および基板については、上記第1実施態様の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。以下、電荷注入輸送層について説明する。
(i)電荷注入輸送層
本態様における電荷注入輸送層としては、正孔を発光層内へ安定に注入し輸送する正孔注入輸送層と、電子を発光層内へ安定に注入し輸送する電子注入輸送層とがある。一般的に、電極層が陽極となる場合が多く、この場合には電荷注入輸送層は正孔注入輸送層となる。
以下、正孔注入輸送層および電子注入輸送層に分けて説明する。
(正孔注入輸送層)
本態様における正孔注入輸送層は、陽極から注入された正孔を安定に発光層内へ注入する正孔注入機能を有する正孔注入層であってもよく、陽極から注入された正孔を発光層内へ輸送する正孔輸送機能を有する正孔輸送層であってもよく、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものであってもよく、正孔注入機能および正孔輸送機能の両方を有する単一の層であってもよい。
なお、正孔注入輸送層に用いられる材料については、上記第1実施態様の正孔注入輸送層の項に記載した正孔注入輸送性材料と同様であり、正孔注入輸送層の形成方法については、上記第1実施態様の正孔注入輸送層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
正孔注入輸送層の膜厚としては、その機能が十分に発揮され、撥液処理工程にてフッ素が導入されて撥液性を発現することが可能な膜厚であれば特に限定されるものではない。具体的には、正孔注入輸送層の膜厚は、5nm〜300nmの範囲内であることが好ましく、特に5nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。
なお、正孔注入輸送層の形成方法については、上記第1実施態様の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(電子注入輸送層)
本態様における電子注入輸送層は、陰極から注入された電子を安定に発光層内へ注入する電子注入機能を有する電子注入層であってもよく、陰極から注入された電子を発光層内へ輸送する電子輸送機能を有する電子輸送層であってもよく、電子注入層および電子輸送層が積層されたものであってもよく、電子注入機能および電子輸送機能の両方を有する単一の層であってもよい。
なお、電子注入層に用いられる材料については、上記第1実施態様の電子注入輸送層の項に記載した電子注入性材料と同様であり、電子輸送層に用いられる材料については、上記第1実施態様の電子注入輸送層の項に記載した電子輸送性材料と同様であり、電子注入機能および電子輸送機能の両方を有する単一の層に用いられる材料については、上記第1実施態様の電子注入輸送層の項に記載した電子注入性および電子輸送性の両方を有する材料と同様であるので、ここでの説明は省略する。
電子注入輸送層の膜厚としては、その機能が十分に発揮され、撥液処理工程にてフッ素が導入されて撥液性を発現することが可能な膜厚であれば特に限定されるものではない。具体的には、電子注入層の膜厚は、0.2nm〜50nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは0.2nm〜20nmの範囲内、さらに好ましくは0.2nm〜10nmの範囲内である。また、電子輸送層の膜厚としては、5nm〜100nmの範囲内であることが好ましい。さらに、電子注入機能および電子輸送機能の両方を有する単一の層の膜厚としては、5nm〜1000nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは10nm〜100nmの範囲内である。
なお、電子注入輸送層の形成方法については、上記第1実施態様の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(2)撥液処理工程
本態様における撥液処理工程は、電荷注入輸送層に、フッ素化合物を導入ガスとして用いてプラズマを照射し、電荷注入輸送層表面を撥液性とする工程である。
プラズマの照射方法としては、フッ素化合物を導入ガスとして用いてプラズマを照射し、電荷注入輸送層表面を撥液性とすることができる方法であれば、特に限定されるものではなく、減圧下でプラズマ照射してもよく、大気圧下でプラズマ照射してもよい。
プラズマ照射の際、導入ガスとして用いられるフッ素化合物としては、例えばフッ化炭素(CF)、窒化フッ素(NF)、フッ化硫黄(SF)、CHF、C、C、C等が挙げられる。
また、プラズマの照射条件としては、照射装置等により適宜選択される。
本態様においては、プラズマ照射が大気圧中でのプラズマ照射であることが好ましい。この場合、減圧用の装置等を要することなく、コストや製造効率等の面で有利だからである。大気圧プラズマの照射条件としては、下記のものが例示される。例えば、電源出力としては、一般的なプラズマの照射装置を用いることができる。また、この際、照射されるプラズマの電極と、電荷注入輸送層との距離は、0.2mm〜20mm程度、中でも1mm〜5mm程度であることが好ましい。さらに、導入ガスとして用いられるフッ素化合物の流量は、1L/min〜20L/min程度であることが好ましく、フッ素化合物と同時に流す窒素ガスの流量は、1L/min〜50L/min程度であることが好ましい。この際の基板搬送速度としては、0.5m/min〜2m/min程度とすることが好ましい。
電荷注入輸送層に導入されたフッ素の存在は、X線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy, ESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)とも称される。)に用いられるX線光電子分光分析装置(XPS:ESCALAB 220i-XL)による分析において、電荷注入輸送層の表面より検出される全元素中のフッ素元素の割合を測定することにより確認することができる。この際、電荷注入輸送層に導入されるフッ素の割合としては、電荷注入輸送層の表面より検出される全元素のうち10%以上であることが好ましい。
また、電荷注入輸送層は、有機EL層形成工程にて塗布される有機EL層形成用塗工液が有する表面張力と同等の表面張力の液体に対する接触角が、撥液処理工程前の電荷注入輸送層の上記液体との接触角より1°以上高くなるようにプラズマ照射されることが好ましい。特に、電荷注入輸送層は、上記液体との接触角が30°以上、中でも40°以上、さらには50°以上となるようにプラズマ照射されることが好ましい。撥液処理工程後の電荷注入輸送層の上記液体との接触角が小さい場合は、撥液性が十分でなく、有機EL層形成工程にて、有機EL層形成用塗工液が撥液性領域にも付着する可能性があるからである。
なお、液体との接触角の測定方法については、上記第1実施態様の項に記載したものと同様である。
(3)濡れ性変化パターン形成工程
本態様における濡れ性変化パターン形成工程は、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記撥液処理が施された電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する工程である。
本態様においては、上記撥液処理工程にて電荷注入輸送層中に導入されたフッ素を、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により除去することで、エネルギー照射部分を親液性とし、エネルギー未照射部分を撥液性とすることができる。
エネルギー照射部分である親液性領域においては、電荷注入輸送層中に導入されたフッ素が除去されて、塗布される有機EL層形成用塗工液が有する表面張力と同等の表面張力の液体に対する接触角が30°以下となることが好ましく、より好ましくは20°以下、さらに好ましくは10°以下である。エネルギー照射部分である親液性領域における液体との接触角が高すぎると、有機EL層形成用塗工液が濡れ広がりにくくなる可能性があり、有機EL層が欠ける等の可能性があるからである。
なお、液体との接触角の測定方法については、上記第1実施態様の項に記載したものと同様である。
また、光触媒処理層基板、エネルギー照射、ならびに、光触媒処理層基板および電荷注入輸送層の配置等については、上記第1実施態様の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
2.第2態様
本実施態様の有機EL素子の製造方法の第2態様は、電極層が形成された基板上に、電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、上記電荷注入輸送層上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層を形成し、上記電荷注入輸送層表面を撥液性とする撥液処理工程と、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記撥液処理が施された電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、上記濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機EL層を形成する有機EL層形成工程とを有することを特徴とするものである。
本態様の有機EL素子の製造方法について図面を参照しながら説明する。
図6は、本態様の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。まず、基板2上に電極層3をパターン状に形成し、この電極層3のパターン間に絶縁層4を形成し、電極層3および絶縁層4の上に電荷注入輸送層5を形成する(図6(a)、電荷注入輸送層形成工程)。次いで、電荷注入輸送層5上に濡れ性変化層8を形成する(図6(b)、撥液処理工程)。これにより、電荷注入輸送層5表面が撥液性となる。
次に、図6(c)に示すように、基体12と、この基体12上にパターン状に形成された遮光部13と、遮光部13を覆うように基体12上に形成された光触媒処理層14とを有する光触媒処理層基板11を準備する。次いで、光触媒処理層基板11の光触媒処理層14と、濡れ性変化層8とが向かい合うように配置し、紫外線17を照射する。紫外線17の照射により、図6(d)に示すように、光触媒処理層14に含有される光触媒の作用から、濡れ性変化層8のうち、紫外線照射部分では、濡れ性が液体との接触角が低下するように変化する。この液体との接触角が低下するように濡れ性が変化した領域を親液性領域21とする。紫外線未照射部分では、濡れ性が変化しない。この濡れ性が変化しない領域を撥液性領域22とする。そして、光触媒処理層基板11を、濡れ性変化層8から取り外す。これにより、濡れ性変化層8表面に、親液性領域21と撥液性領域22とからなる濡れ性変化パターンが形成される。図6(c)、(d)は濡れ性変化パターン形成工程である。
濡れ性変化層8は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化するものであり、紫外線照射部分である親液性領域21と、紫外線未照射部分である撥液性領域22とでは、濡れ性に違いがある。
次に、この濡れ性の違いを利用して、親液性領域21と撥液性領域22とからなる濡れ性変化パターン上に、有機EL層形成用塗工液を塗布して、親液性領域21上にのみ有機EL層6を形成する(図6(e)、有機EL層形成工程)。
次いで、有機EL層6上に対向電極層7を形成する(図6(f))。この際、例えば、対向電極層7を透明電極とした場合には、トップエミッション型の有機EL素子が得られ、電極層3を透明電極とした場合には、ボトムエミッション型の有機EL素子が得られる。
本態様においては、撥液処理工程にて濡れ性変化層を形成することにより、電荷注入輸送層表面を撥液性とする。この濡れ性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化するものであり、濡れ性変化層に、光触媒を含有する光触媒処理層を介してエネルギーを照射することにより、濡れ性変化層表面、すなわち電荷注入輸送層表面に濡れ性の違いによる濡れ性変化パターンを形成する。そして、この濡れ性変化パターンを利用して有機EL層のパターニングを行う。したがって、複雑なパターニング工程や、高価な真空設備を要することなく、有機EL層を容易にパターニングすることが可能である。
また、本態様においては、光触媒を含有する光触媒処理層を介して濡れ性変化層にエネルギーをパターン照射することにより、光触媒を含有していない濡れ性変化層に対して、光触媒の作用により濡れ性を変化させることができる。また、濡れ性変化層表面に濡れ性変化パターンを形成した後は、光触媒処理層を有する光触媒処理層基板を濡れ性変化層から取り外すため、濡れ性変化層に光触媒が含まれることがない。したがって、濡れ性変化層の平滑性を向上させることができ、電荷注入輸送層と濡れ性変化層との界面、および濡れ性変化層と有機EL層との界面における障壁を低減することができる。これにより、発光特性を向上させるとともに、電極間の短絡を防止することが可能である。
なお、電荷注入輸送層形成工程については、上記第1態様に記載したものと同様であり、有機EL層形成工程、絶縁層形成工程および対向電極層形成工程については、上記第1実施態様の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。以下、撥液処理工程および濡れ性変化パターン形成工程について説明する。
(1)撥液処理工程
本態様における撥液処理工程は、電荷注入輸送層上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層を形成し、電荷注入輸送層表面を撥液性とする工程である。
本態様に用いられる濡れ性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化するものである。
濡れ性変化層としては、光触媒の作用により濡れ性が変化する材料を含有するものであれば特に限定されない。なお、光触媒の作用により濡れ性が変化する材料については、上記第1実施態様の電荷注入輸送層の項に記載した撥液性材料と同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、濡れ性変化層は、上記第1実施態様の光触媒処理層の項に記載されている、界面活性剤、オリゴマーやポリマーを含有していてもよい。
濡れ性変化層の膜厚は、濡れ性変化パターンの形成が可能であり、かつ正孔または電子の輸送を阻害しないような膜厚であれば特に限定されるものではない。具体的には、濡れ性変化層の膜厚は、20nm以下であることが好ましく、特に1nm〜15nmの範囲内であることが好ましい。濡れ性変化層の膜厚が上記範囲であれば、外部電界により電荷がトンネル注入されるためである。
濡れ性変化層の形成方法としては、電荷注入輸送層上に濡れ性変化層形成用塗工液を塗布する方法を用いることができる。
この濡れ性変化層形成用塗工液は、光触媒の作用により濡れ性が変化する材料等を、溶剤に溶解もしくは分散させることにより調製することができる。
この際に使用することができる溶剤としては、上記光触媒の作用により濡れ性が変化する材料等と混合するものであり、白濁その他の現象によるパターニング特性に影響を及ぼさないものであれば特に限定されない。このような溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、アセトニトリル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチルグリコールモノメチルエーテル、ジエチルグリコールモノエチルエーテル、ジエチルグリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、乳酸メチル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、エチレングリコール、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ピリジン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリジノン等が挙げられる。これらの溶剤は2種以上を混合して使用してもよい。
また、濡れ性変化層形成用塗工液の塗布方法としては、例えばスピンコート法、インクジェット法、キャスト法、LB法、ディスペンサー法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
上記濡れ性変化層形成用塗工液の塗布後、塗膜を乾燥させてもよい。乾燥方法としては、均一な濡れ性変化層を形成することが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えばホットプレート、赤外線ヒーター、オーブン等を用いることができる。
(2)濡れ性変化パターン形成工程
本態様における濡れ性変化パターン形成工程は、基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、上記撥液処理が施された電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、上記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する工程である。
本態様においては、上記撥液処理工程にて電荷注入輸送層上に濡れ性変化層が形成される。このため、本態様において、光触媒処理層基板を電荷注入輸送層に対して所定の間隙をおいて配置するとは、光触媒処理層基板を濡れ性変化層に対して所定の間隙をおいて配置することを意味する。すなわち、通常は、光触媒処理層基板の光触媒処理層と濡れ性変化層とを、濡れ性変化層にエネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置する。
なお、光触媒処理層基板および濡れ性変化層の配置については、上記第1実施態様の項に記載の光触媒処理層基板および電荷注入輸送層の配置と同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、光触媒処理層基板、エネルギー照射、および濡れ性変化パターンについては、上記第1実施態様の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
(電極層および絶縁層の形成)
まず、ガラス基板上に、電極層として、ITO膜が、線幅80μm、スペース幅20μm、ピッチ100μmでパターン状に形成された基板を準備した。
次いで、上記基板上の全面に、ポジ型感光性材料(OFPR−800、東京応化社製)をスピンコーティング法により膜厚が1.5μmとなるように塗布し、絶縁膜を成膜した。次に、横幅70μm、縦幅70μmの矩形の開口部を有するフォトマスクを用いて、露光を行い、アルカリ現像液(NMD−3、東京応化社製)により現像を行った。次に、250℃で30分間の加熱硬化処理を行い、電極層の開口部に絶縁層を形成した。
(正孔注入層の形成)
次に、ポリ(3,4−アルケンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との塩(PEDOT/PSS)の水溶液(Baytron P CH-8000、スタルク社製)に、撥液性材料として、末端にフッ素を有するトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(TSL8257、GE東芝シリコーン社製)をイソプロピルアルコールで希釈したものを混合して、正孔注入層形成用塗工液を調製した。この正孔注入層形成用塗工液をスピンコート法により上記基板上に乾燥後の膜厚が80nmとなるように塗布し、正孔注入層を形成した。
(光触媒処理層基板の調製)
次に、基体上に遮光部がパターン状に形成され、横幅85μm、縦幅85μmの矩形の開口部を有するフォトマスクを準備した。このフォトマスク上に、下記組成の光触媒処理層形成用塗工液をスピンコータにより塗布し、150℃で10分間の加熱乾燥処理を施し、加水分解・重縮合反応を進行させて硬化させ、光触媒がオルガノシロキサン中に強固に固定された、膜厚2000Åの透明な光触媒処理層を形成した。
<光触媒処理層形成用塗工液>
・二酸化チタン(石原産業(株)製、ST-K01) 2質量部
・オルガノアルコキシシラン(東芝シリコーン(株)製、TSL8113) 0.4質量部
・フルオロアルキルシラン(トーケムプロダクツ(株)製、MF-160E) 0.3質量部
・イソプロピルアルコール 3質量部
(濡れ性変化パターンの形成)
次に、高圧水銀灯と、光触媒処理層基板および基板の位置調整機構とを備える紫外線露光装置を用い、光触媒処理層基板の開口部と上記基板の電極層のパターンとの位置を調整した。そして、光触媒処理層基板の光触媒処理層と正孔注入層との間の距離が20μmとなるように調整した後、光触媒処理層基板の裏面側から、253nmの光の露光量が200mJ/cmとなるように露光した。
正孔注入層表面の露光部分と未露光部分との、液体との接触角を接触角計(協和界面科学社製)により測定した。
(有機EL層の形成)
次に、下記組成の各色発光層形成用塗工液を調製した。
<赤色発光層形成用塗工液>
・ポリビニルカルバゾール 7重量部
・ナイルレッド 0.1重量部
・オキサジアゾール化合物 3重量部
・テトラリン 990重量部
<緑色発光層形成用塗工液>
・ポリビニルカルバゾール 7重量部
・クマリン6 0.1重量部
・オキサジアゾール化合物 3重量部
・テトラリン 990重量部
<青色発光層形成用塗工液>
・ポリビニルカルバゾール 7重量部
・ペリレン 0.1重量部
・オキサジアゾール化合物 3重量部
・テトラリン 990重量部
上記各色発光層形成用塗工液の粘度は12mPa・s、表面張力は35dyn/cmであった。これらの発光層形成用塗工液をそれぞれ用いて、インクジェット法により親液性領域に塗布し、窒素中で130℃、1時間乾燥させて、R・G・Bの発光層をパターン状に形成した。その後、蛍光顕微鏡により、発光層の観察を行った。
(有機EL素子の作製)
発光層が形成された基板上に、対向電極層として、真空蒸着装置により、Caを1000Å、Alを2000Å成膜した。
電極層側を正極、対向電極層側を負極に接続し、ソースメーターにより直流電流を印加し、発光状態を調査した。
[実施例2]
実施例1において、光触媒処理層基板の調製および濡れ性変化パターンの形成を下記のようにして行った以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
(光触媒処理層基板の調製)
石英基板上に、実施例1と同様の光触媒層形成用塗工液をスピンコータにより塗布し、150℃で10分間の加熱乾燥処理を施し、加水分解・重縮合反応を進行させて硬化させ、光触媒がオルガノシロキサン中に強固に固定された、膜厚2000Åの透明な光触媒処理層を形成した。
(濡れ性変化パターンの形成)
次に、光触媒処理層基板の光触媒処理層と正孔注入層との間の距離が20μmとなるように調整した後、基板の裏面側から高圧水銀灯を用いて、253nmの光の露光量が300mJ/cmとなるように露光した。
正孔注入層表面の露光部分と未露光部分との、液体との接触角を接触角計(協和界面科学社製)により測定した。
[実施例3]
実施例1において、正孔注入層の形成、濡れ性変化層の形成および濡れ性変化パターンの形成を下記のようにして行った以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
(正孔注入層の形成)
ポリ(3,4−アルケンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との塩(PEDOT/PSS)の水溶液(Baytron P CH-8000、スタルク社製)に、グリシド基(−CHOCH)を有するγ−グリシドキシトリメトキシシラン(TSL8350、東芝シリコーン社製)を混合し、正孔注入層形成用塗工液を調製した。この際、γ−グリシドキシトリメトキシシランを、PEDOT/PSSの水溶液の固形分に対して、10%の割合で添加した。
次に、絶縁層が形成された基板上に正孔注入層形成用塗工液をスピンコート法により乾燥後の膜厚が80nmとなるように塗布し、150℃で15分間の加熱乾燥処理を行い、正孔注入層を形成した。
(濡れ性変化層の形成)
末端にフッ素を有するトリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(TSL8257、GE東芝シリコーン社製)をイソプロピルアルコールで希釈し、濡れ性変化層形成用塗工液を調製した。この濡れ性変化層形成用塗工液を、スピンコート法により上記正孔注入層上に乾燥後の膜厚が10nmとなるように塗布し、乾燥させ、濡れ性変化層を形成した。
(濡れ性変化パターンの形成)
光触媒処理層基板の光触媒処理層と濡れ性変化層との間の距離が20μmとなるように調整した後、基板の裏面側から高圧水銀灯を用いて、253nmの光の露光量が300mJ/cmとなるように露光した。
濡れ性変化層表面の露光部分と未露光部分との、液体との接触角を接触角計(協和界面科学社製)により測定した。
[比較例1]
光触媒処理層基板のかわりに、基体上に遮光部がパターン状に形成され、横幅85μm、縦幅85μmの矩形の開口部を有するフォトマスクを用いた以外は、実施例1と同様にして、有機EL素子を作製した。
[比較例2]
光触媒処理層基板のかわりに、基体上に遮光部がパターン状に形成され、横幅85μm、縦幅85μmの矩形の開口部を有するフォトマスクを用いた以外は、実施例2と同様にして、有機EL素子を作製した。
[比較例3]
光触媒処理層基板のかわりに、基体上に遮光部がパターン状に形成され、横幅85μm、縦幅85μmの矩形の開口部を有するフォトマスクを用いた以外は、実施例3と同様にして、有機EL素子を作製した。
[実施例4]
実施例1において、濡れ性変化パターン形成の前に、下記のようにして正孔注入層の撥液処理を行った以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
(正孔注入層の撥液処理)
正孔注入層表面を、フッ化炭素(CF)を導入ガスとしてプラズマ処理をすることで撥液性とした。この際、CFを用いて、ガス流量:90〜900SCCM、パワー:0.1W/cm〜1.0W/cm、圧力:1Torr以下の条件で、60秒〜3600秒、プラズマ処理を行った。これにより、正孔注入層の表面エネルギーを低下させた。
[評価]
実施例1〜4および比較例1〜3における濡れ性の評価、発光層の観察結果、発光状態を下記表1に示す。
Figure 2007287623
本発明の有機EL素子の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明に用いられる光触媒処理層基板の一例を示す概略断面図である。 本発明に用いられる光触媒処理層基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明に用いられる光触媒処理層基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機EL素子の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の有機EL素子の製造方法の他の例を示す工程図である。
符号の説明
2 … 基板
3 … 電極層
4 … 絶縁層
5 … 電荷注入輸送層
6 … 有機EL層
7 … 対向電極層
8 … 濡れ性変化層
11 … 光触媒処理層基板
12 … 基体
13 … 遮光部
14 … 光触媒処理層
21 … 親液性領域
22 … 撥液性領域

Claims (8)

  1. 電極層が形成された基板上に、撥液性官能基を有する材料を含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、
    基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、前記電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、前記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、
    前記濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層を形成する有機エレクトロルミネッセンス層形成工程と
    を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  2. 前記撥液性官能基を有する材料が撥液性材料であり、前記電荷注入輸送層が、さらに電荷注入輸送性を有する電荷注入輸送性材料を含有することを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  3. 前記撥液性官能基を有する材料が、電荷注入輸送性を有する部位と、撥液性官能基を有する部位とを有する単一の材料であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  4. 前記撥液性官能基がフッ素を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  5. 電極層が形成された基板上に、電荷注入輸送層を形成する電荷注入輸送層形成工程と、
    前記電荷注入輸送層表面を撥液性とする撥液処理工程と、
    基体上に少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層が形成されている光触媒処理層基板を、前記撥液処理が施された電荷注入輸送層に対して、エネルギー照射に伴う光触媒の作用が及び得る間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギー照射することにより、前記電荷注入輸送層表面に濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、
    前記濡れ性変化パターン上に少なくとも発光層を含む有機エレクトロルミネッセンス層を形成する有機エレクトロルミネッセンス層形成工程と
    を有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  6. 前記撥液処理工程が、前記電荷注入輸送層に、フッ素化合物を導入ガスとして用いてプラズマを照射する工程であることを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  7. 前記電荷注入輸送層が正孔注入輸送層であることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
  8. 前記電荷注入輸送層形成工程前に、前記電極層がパターン状に形成された基板上の前記電極層のパターン間に、前記濡れ性変化パターン形成工程にて照射されるエネルギー線を反射または吸収する絶縁層を形成する絶縁層形成工程を行うことを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法。
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