JP4679841B2 - 有機デバイス - Google Patents

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセント素子などの有機デバイスおよびその製造方法に関するものである。
有機物を用いた有機デバイスには、有機トランジスタ、有機太陽電池、有機エレクトロルミネッセント(以下、ELと略すことがある。)素子などがある。これらの有機デバイスの製造方法においては、電極を外部回路と接続するための端子部上に有機物からなる有機層が形成されていると、端子部と電極とを接続する際に有機層が抵抗として働き、有機デバイスの電気特性を低下させるので、有機層を所定の領域にのみ形成する必要がある。この有機層は一般にドライプロセスやウェットプロセスによって成膜されるものであり、この中でもウェットプロセスであるスピンコート法は容易に成膜できるという利点がある。しかしながら、スピンコート法により有機層を成膜した場合には所定の領域以外にも有機層が成膜されてしまうため、物理的に研磨したり、化学的にエッチングしたりすることにより所定の領域以外の有機層を除去する必要がある。
また、有機デバイスのうち有機EL素子の製造方法においては、有機層のパターニングが行われる場合がある。この有機層のパターニング方法としては、例えばフォトリソ法、マスク蒸着による方法などがあるが、フォトリソ法では、工程が複雑でありコストがかかるという問題があり、またマスク蒸着による方法では、高価格の真空装置が必要となり歩留まりやコストが問題となる。したがって、容易に有機層をパターニング可能な方法が求められている。
最近では、有機層のパターニング方法として光触媒を用いる方法も提案されている(特許文献1参照)。この方法は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層を形成して、この濡れ性変化層表面に濡れ性の違いによるパターンを形成し、この濡れ性の違いによるパターンを利用して有機層をパターニングするものであり、パターニングに要する手間を大幅に省略することができる点で有用である。しかしながら、濡れ性変化層はスピンコート法などで成膜されるので、上述した端子部上にも濡れ性変化層が成膜されてしまう場合があり、このような場合には上述したように濡れ性変化層が抵抗要因となり有機デバイスの電気特性を低下させてしまう。そのため、所定の領域以外の濡れ性変化層は除去する必要があるが、濡れ性変化層は有機層に比べて除去するのが困難であるという問題がある。したがって、簡便な濡れ性変化層の除去方法が求められている。
特開2000−223270号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、所定の領域以外に成膜された有機層または濡れ性変化層を容易に除去することが可能な有機デバイスおよびその製造方法を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明は、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上に形成された有機層と、上記有機層上に形成された第2電極層と、上記基板上の上記第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域の一部に形成された端子部と、上記端子部上に形成され、上記端子部および上記第1電極層、あるいは上記端子部および上記第2電極層を接続する導電層とを有する有機デバイスであって、上記有機層は、上記第2電極層が形成されている第2電極層形成領域に設けられていることを特徴とする有機デバイスを提供する。
本発明によれば、有機層は第2電極層形成領域に設けられており、端子部上には形成されていないため、電気特性が良好な有機デバイスとすることができる。また、本発明の有機デバイスを作製する際には、例えば第2電極層を保護マスクとしてプラズマ処理を行うことで第2電極層非形成領域に成膜された有機層を除去することができ、これにより第2電極層形成領域にのみ有機層を形成することができることから、簡便な方法で製造可能な有機デバイスとすることができる。
また本発明は、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上に形成され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層と、上記濡れ性変化層上にパターン状に形成された有機層と、上記有機層上に形成された第2電極層と、上記基板上の上記第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域の一部に形成された端子部と、上記端子部上に形成され、上記端子部および上記第1電極層、あるいは上記端子部および上記第2電極層を接続する導電層とを有する有機デバイスであって、上記濡れ性変化層は、上記第2電極層が形成されている第2電極層形成領域に設けられていることを特徴とする有機デバイスを提供する。
本発明によれば、濡れ性変化層は第2電極層形成領域に設けられており、端子部上には形成されていないため、電気特性が良好な有機デバイスとすることができる。また、本発明の有機デバイスを作製する際には、例えば第2電極層を保護マスクとしてプラズマ処理を行うことで第2電極層非形成領域に成膜された濡れ性変化層を除去することができ、これにより第2電極層形成領域にのみ濡れ性変化層を形成することができることから、簡便な方法で濡れ性変化層の除去が可能な有機デバイスとすることができる。さらに、本発明の有機デバイスは濡れ性変化層を有することから、濡れ性の変化した濡れ性変化パターンを用いることにより容易にパターン状の有機層を形成することができ、パターニング特性に優れたものとすることができる。
上記発明においては、上記第1電極層と上記濡れ性変化層との間に第2の有機層が形成されており、上記第2の有機層は、上記第2電極層形成領域に設けられていてもよい。
また本発明においては、上記濡れ性変化層が、フルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンを含むことが好ましい。このようなオルガノポリシロキサンを含むことにより、濡れ性変化層のエネルギー未照射部分の撥液性が大きく向上するので、この撥液性領域への有機層の成膜を妨げることでき、エネルギー照射部分である親液性領域のみに有機層を成膜することが可能となり、パターニング特性が向上するからである。
さらに、上記濡れ性変化層は、光触媒を含んでいてもよい。これにより、濡れ性変化層自体に含まれる光触媒の作用によって濡れ性変化層の濡れ性が変化することから、製造工程が少なく、効率的に濡れ性を変化させることができるからである。
さらに本発明は、上述した有機デバイスを用い、上記有機デバイスにおける有機層が、少なくとも発光層を有する有機EL層であることを特徴とする有機EL素子を提供する。本発明の有機EL素子は、上述した有機デバイスを用いたものであるので、電気特性が良好であり、さらにはパターニング特性に優れており、簡便な方法により製造可能なものとすることができる。
また本発明は、第1電極層および端子部が形成された基板上に有機層を形成する有機層形成工程と、
上記有機層上であって、上記端子部が形成されていない端子部非形成領域に第2電極層を形成する第2電極層形成工程と、
上記第2電極層側からプラズマ処理を施し、上記第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域に設けられた上記有機層を除去するプラズマ処理工程と、
上記端子部および上記第1電極層、あるいは上記端子部および上記第2電極層が接続されるように導電層を形成する導電層形成工程と
を有することを特徴とする有機デバイスの製造方法を提供する。
本発明によれば、第2電極層を保護マスクとして第2電極層側からプラズマ処理を施すことで、第2電極層非形成領域に成膜された有機層を除去することができるので、簡便な工程で端子部上に成膜された有機層を除去することができ、電気特性の良好な有機デバイスを容易に製造することが可能である。
さらに本発明は、第1電極層および端子部が形成された基板上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層を形成する濡れ性変化層形成工程と、
上記濡れ性変化層にパターン状にエネルギーを照射し、上記濡れ性変化層の濡れ性が変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、
上記濡れ性変化パターンが形成された濡れ性変化層上に有機層をパターン状に形成する有機層形成工程と、
上記有機層上に第2電極層を形成する第2電極層形成工程と、
上記第2電極層側からプラズマ処理を施し、上記第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域に設けられた上記濡れ性変化層を除去するプラズマ処理工程と、
上記端子部および上記第1電極層、あるいは上記端子部および上記第2電極層が接続されるように導電層を形成する導電層形成工程と
を有することを特徴とする有機デバイスの製造方法を提供する。
本発明によれば、第2電極層を保護マスクとして第2電極層側からプラズマ処理を施すことで、第2電極層非形成領域に成膜された濡れ性変化層を除去することができるので、簡便な工程で端子部上に成膜された濡れ性変化層を除去することができ、電気特性の良好な有機デバイスを容易に製造することが可能である。また、濡れ性変化層にパターン状にエネルギーを照射することにより濡れ性変化パターンを容易に形成することができ、この濡れ性変化パターンの濡れ性の差を利用して有機層を容易にパターン状に形成することが可能である。
上記発明においては、上記濡れ性変化層形成工程前に、上記第1電極層および端子部が形成された基板上に、第2の有機層を形成する第2有機層形成工程が行われ、上記プラズマ処理工程が、上記第2電極層非形成領域に設けられた上記濡れ性変化層および上記第2の有機層を除去する工程であってもよい。本発明においては、プラズマ処理により、第2電極層非形成領域に成膜された濡れ性変化層だけでなく、第2の有機層も除去することが可能である。
本発明は、また、上述した有機デバイスの製造方法を用い、上記有機デバイスの製造方法における有機層形成工程が、少なくとも発光層を有する有機EL層を形成する有機EL層形成工程であることを特徴とする有機EL素子の製造方法を提供する。
本発明によれば、上述した有機デバイスの製造方法を用いているので、簡便な工程で端子部上に成膜された有機層または濡れ性変化層を除去することができ、電気特性の良好な有機EL素子を容易に製造することが可能である。
本発明においては、第2電極層を保護マスクとして用いることにより、端子部上に成膜された有機層または濡れ性変化層を除去することができるので、電気特性が良好な有機デバイスを容易に製造することができるという効果を奏する。
以下、本発明の有機デバイス、有機EL素子、およびこれらの製造方法について詳細に説明する。
A.有機デバイス
まず、本発明の有機デバイスについて説明する。本発明の有機デバイスは、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層の有無により、2つの実施態様に分けることができる。以下、各実施態様について詳細に説明する。
1.第1実施態様
本発明の有機デバイスの第1実施態様は、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上に形成された有機層と、上記有機層上に形成された第2電極層と、上記基板上の上記第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域の一部に形成された端子部と、上記端子部上に形成され、上記端子部および上記第1電極層、あるいは上記端子部および上記第2電極層を接続する導電層とを有する有機デバイスであって、上記有機層は、上記第2電極層が形成されている第2電極層形成領域に設けられていることを特徴とするものである。
本実施態様の有機デバイスについて、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施態様の有機デバイスの一例を示す概略断面図である。図1において、本実施態様の有機デバイスは、基板1と、上記基板1上に形成された第1電極層2と、上記第1電極層2上に形成された有機層3と、上記有機層3上に形成された第2電極層4と、上記基板1上の上記第2電極層4が形成されていない第2電極層非形成領域11の一部に形成された端子部5と、上記端子部5上に形成され、端子部5および第2電極層4を接続する導電層6とを有している。また、有機層3は、第2電極層4が形成されている第2電極層形成領域12に設けられている
このように本実施態様においては、有機層は第2電極層形成領域に設けられていることから、本実施態様の有機デバイスを作製する際に例えば第2電極層を保護マスクとして第2電極層側からプラズマ処理を行うことにより第2電極層非形成領域に成膜された有機層が除去されたものとすることができる。すなわち、複雑なパターニング工程や高価なマスク蒸着装置を要することなく、端子部上に成膜された有機層を容易に除去することができるのである。これにより、端子部と第1電極層または第2電極層とを接続する際に生じる抵抗要因が除去されるので、有機デバイスの電気特性の低下を回避することができる。したがって本実施態様においては、電気特性が良好であり、かつ簡便な方法で製造可能な有機デバイスとすることができるのである。
以下、このような有機デバイスの各構成について説明する。
(1)第2電極層
まず、本実施態様に用いられる第2電極層について説明する。本実施態様に用いられる第2電極層は、後述する有機層上に形成され、この有機層を挟んで第1電極層と対向して形成される電極である。また、第2電極層が形成されている第2電極層形成領域には有機層が設けられ、第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域の一部には端子部が設けられている。
第2電極層は、陽極であっても陰極であってもよい。また第2電極層は、透明性を有していてもよく、透明性を有していなくてもよいが、光の取出し面あるいは受取り面等によって適宜選択される。例えば第2電極層側から光を取り出す場合は、第2電極層は透明または半透明である必要がある。
陽極としては、正孔が注入し易いように仕事関数の大きい導電性材料を用いることが好ましく、具体的にはITO、酸化インジウム、金のような仕事関数の大きい金属、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等を挙げることができる。
一方、陰極としては、電子が注入しやすいように仕事関数の小さい導電性材料を用いることが好ましく、例えばMgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、Li、Caをはじめとするアルカリ金属類およびアルカリ土類金属類、または、アルカリ金属類およびアルカリ土類金属類の合金などが挙げられる。
陽極および陰極のどちらにおいても抵抗が小さいことが好ましく、一般には金属材料が用いられるが、有機化合物または無機化合物を用いてもよい。
また本実施態様においては、後述する「C.有機デバイスの製造方法」の項に記載するように、第2電極層を保護マスクとして第2電極層側からプラズマ処理を行うことにより端子部上に成膜された有機層の除去が可能となることから、第2電極層としてはプラズマ処理による影響の低い材料を用いるか、あるいは第2電極層上に保護層が形成されていることが好ましい。この保護層の形成材料としては、Al、Ag、Au、Cu、Cr、ITO、IZO等を用いることが好ましい。
本実施態様においては、基板上には、第2電極層が形成されている第2電極層形成領域と、第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域とが存在し、第2電極層形成領域には有機層が設けられ、第2電極層非形成領域の一部には端子部が設けられている。上述したように、第2電極層を保護マスクとして第2電極層側からプラズマ処理を行うことにより端子部上に成膜された有機層の除去が可能となることから、第2電極層は有機層上の全面に形成されていることが好ましい。
上記第2電極層の厚みとしては、上記のプラズマ処理による影響を考慮すると100nm〜10μmの範囲内であることが好ましく、中でも100nm〜1μmの範囲内であることが好ましい。
(2)有機層
本実施態様に用いられる有機層は、後述する第1電極層上に形成され、上記第2電極層が形成されている第2電極層形成領域に設けられているものである。
有機層の形成位置としては、第1電極層上であって、第2電極層が形成されている第2電極層形成領域であれば特に限定されるものではない。これにより、第2電極層非形成領域の一部に設けられた端子部上には有機層が形成されていないことになるので、端子部と第1電極層または第2電極層とを接続する際に有機層が抵抗要因となることがなく、本実施態様の有機デバイスの電気特性の低下を回避することができる。
本実施態様に用いられる有機層は、目的とする有機デバイスの種類により適宜選択されるものであり、例えば有機EL素子における有機EL層、有機太陽電池における光電変換層等が挙げられる。
(3)端子部
本実施態様に用いられる端子部は、基板上の第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域の一部に形成されているものであり、第1電極層または第2電極層を外部回路と接続させるために設けられるものである。
端子部の形成位置としては、第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域の一部であれば特に限定されないが、上述したように端子部は外部回路との接続のために設けられることから、通常は基板上の端部に形成される。
また、端子部の形成材料としては、上記第2電極層または後述する第1電極層に使用される材料を用いることができる。
(4)導電層
本実施態様に用いられる導電層は、上記端子部上に形成され、端子部と第1電極層または第2電極層とを接続するものである。
導電層は、端子部と第1電極層とを接続するものであっても、端子部と第2電極層とを接続するものであってもよいが、通常は端子部と第2電極層とを接続するものとする。また、導電層は、端子部上であって、端子部と第1電極層または第2電極層とを接続するように形成されていれば、その形成位置としては特に限定されるものではない。例えば導電層は、端子部の端部と、第1電極層または第2電極層の端部とを覆うように形成されていればよい。
さらに、導電層は、端子部と第1電極層または第2電極層とを接続した際に、低抵抗であることが好ましい。このような導電層の形成材料としては、Al、Ag、Au、Cu、Cr、ITO、IZO等の導電性材料が挙げられる。
上記導電層の厚みとしては、導電性、接触抵抗およびパターニング特性の観点から、50nm〜10μmであることが好ましく、中でも100nm〜1μmの範囲内であることが好ましい。
(5)第1電極層
本実施態様に用いられる第1電極層は、後述する基板上に形成される電極である。第1電極層は、陽極であっても陰極であってもよい。また、第1電極層は、透明性を有していてもよく、透明性を有していなくてもよいが、光の取出し面あるいは受取り面等によって適宜選択される。例えば第1電極層側から光を取り出す場合は、第1電極層は透明または半透明である必要がある。
上記第1電極層は、基板上の全面に形成されていてもよく、パターン状に形成されていてもよい。
なお、第1電極層のその他の点については、上記第2電極層の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(6)基板
本実施態様に用いられる基板は、上述した第1電極層、有機層、第2電極層などを支持するものであり、所定の強度を有するものであれば特に限定されない。本実施態様においては、上記第1電極層が所定の強度を有する場合には、第1電極が基板を兼ねるものであってもよいが、通常は所定の強度を有する基板上に第1電極層が形成される。
基板としては、上記第1電極層等が形成可能であれば特に限定されるものではないが、例えば光の取出し面あるいは受取り面により光透過性が必要か否かが適宜決定される。一般的には、基板側を光の取出し面あるいは受取り面とすることが好ましいことから、基板は透明な材料で形成されることが好ましい。
このような基板の形成材料としては、例えばソーダ石灰ガラス、アルカリガラス、鉛アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、シリカガラス等のガラス板、またはフィルム状に成形が可能な樹脂基板等を用いることができる。この樹脂基板に用いる樹脂としては、耐溶媒性および耐熱性の比較的高い高分子材料であることが好ましい。具体的には、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリミクロイキシレンジメチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、アクリロニトリル-スチレン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、非晶質ポリオレフィン等が挙げられる。また、上記の他にも所定の条件を満たす高分子材料であれば使用可能であり、2種類以上の共重合体を用いることもできる。さらに必要に応じて水分、酸素等のガスを遮断するガスバリア性を有する基板を用いてもよい。
(7)その他
本実施態様の有機デバイスの例としては、有機EL素子、有機太陽電池、有機トランジスタ等が挙げられる。
2.第2実施態様
本発明の有機デバイスの第2実施態様は、基板と、上記基板上に形成された第1電極層と、上記第1電極層上に形成され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層と、上記濡れ性変化層上にパターン状に形成された有機層と、上記有機層上に形成された第2電極層と、上記基板上の上記第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域の一部に形成された端子部と、上記端子部上に形成され、上記端子部および上記第1電極層、あるいは上記端子部および上記第2電極層を接続する導電層とを有する有機デバイスであって、上記濡れ性変化層は、上記第2電極層が形成されている第2電極層形成領域に設けられていることを特徴とするものである。
本実施態様の有機デバイスについて、図面を参照しながら説明する。図2は、本実施態様の有機デバイスの一例を示す概略断面図である。図2において、本実施態様の有機デバイスは、基板1と、上記基板1上に形成された第1電極層2と、上記第1電極層2上に形成され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層7と、上記濡れ性変化層7上にパターン状に形成された有機層3と、上記有機層3上に形成された第2電極層4と、上記基板1上の上記第2電極層4が形成されていない第2電極層非形成領域11の一部に形成された端子部5と、上記端子部5上に形成され、上記端子部5および上記第2電極層4を接続する導電層6とを有している。また、濡れ性変化層7は、第2電極層4が形成されている第2電極層形成領域12に設けられている。
このように本実施態様においては、濡れ性変化層は第2電極層形成領域に設けられていることから、本実施態様の有機デバイスを作製する際に例えば第2電極層を保護マスクとして第2電極層側からプラズマ処理を行うことにより第2電極層非形成領域に成膜された濡れ性変化層が除去されたものとすることができ、端子部上に成膜された有機層が容易に除去されたものとすることができる。これにより、端子部と第1電極層または第2電極層とを接続する際に生じる抵抗要因が除去されるので、有機デバイスの電気特性の低下を回避することができる。したがって本実施態様においては、電気特性が良好であり、かつ簡便な方法で製造可能な有機デバイスとすることができるのである。
また、濡れ性変化層は、後述する「C.有機デバイスの製造方法」の第4実施態様の濡れ性変化パターン形成工程の項に記載するように、パターン状にエネルギーを照射して光触媒を励起させることにより濡れ性が変化するものである。これにより、エネルギー照射部分が親液性、エネルギー未照射部分が撥液性となるので、例えば図2に示すように、濡れ性変化層7表面に親液性領域14および撥液性領域15からなる濡れ性変化パターンが形成される。この濡れ性変化パターンの濡れ性の差を利用することにより、親液性領域14上のみに有機層3を形成することができるので、有機層のパターニングが容易となり、パターニング特性が良好な有機デバイスとすることができる。
なお、第1電極層、第2電極層、有機層、端子部、導電層およびその他の点については、上記第1実施態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。以下、本実施態様の有機デバイスにおける濡れ性変化層、基板およびその他の構成について説明する。
(1)濡れ性変化層
本実施態様に用いられる濡れ性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化するものであれば特に限定されないが、電子あるいは正孔を輸送する機能を有することが好ましい。これにより、本実施態様の有機デバイスの電気特性を向上させることができるからである。
また、本実施態様における濡れ性変化層は、光触媒の含有の有無、および層構成により3つの態様に分けることができる。以下、各態様について説明する。
(i)第1の態様
本実施態様に用いられる濡れ性変化層の第1の態様は、光触媒を含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する光触媒含有層である。このような光触媒含有層は、光触媒含有層自体に含有される光触媒の作用により濡れ性が変化することから、製造工程が少なく、効率的に濡れ性変化パターンを形成することができる点で有用である。
本態様の光触媒含有層は、光触媒と、光触媒の作用により濡れ性が変化する材料とを含有するものであれば特に限定されない。
本態様に用いられる光触媒としては、そのバンドギャップ以上のエネルギーを持つ波長の光あるいは放射線を照射すると伝導帯に電子が生じ、価電子帯に正孔が生じる物質であれば特に限定されるものではなく、光半導体として知られている例えば酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化鉄(Fe)等のような金属酸化物を挙げることができる。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。本態様においては、これらの中でも酸化チタンを用いることが特に好ましい。酸化チタンは、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定であり、毒性もなく、入手も容易である点で有利である。
酸化チタンには、正方晶系に属するアナターゼ型およびルチル型と、斜方晶系に属するブルッカイト型とがあり、本態様ではいずれも使用することができ、またこれらを混合して使用することもできる。本態様においてはこれらの中でも、アナターゼ型酸化チタンを用いることが好ましい。アナターゼ型酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。このようなアナターゼ型酸化チタンとしては、例えば塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))を挙げることができる。
また、ブルッカイト型酸化チタンも光触媒活性が高いことが知られており、好適に使用できる。
なお、光触媒含有層中に光触媒が含有されていることは、X線光電子分光法、ラザフォード後方散乱分光法、核磁気共鳴分光法、または質量分析法を用いて確認することができる。
光触媒含有層中の光触媒の含有量は、この光触媒含有層の濡れ性を変化させることができ、かつ、正孔または電子の輸送を阻害しない程度の量であれば特に限定されるものではない。
また、本態様に用いられる光触媒の作用により濡れ性が変化する材料としては、光触媒の作用により劣化、分解されないような高い結合エネルギーを有する主鎖をもつバインダであれば特に限定されるものではなく、具体的にはオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。本態様においては、中でも上記オルガノポリシロキサンが、フルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。
このようなオルガノポリシロキサンとしては、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水牲や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
上記の(1)の場合、一般式:
SiX(4−n)
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基またはエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは1〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。なお、ここでYで示される基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示されるアルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
具体的には、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン;エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン、n−プロピルトリクロルシラン、n−プロピルトリブロムシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン、n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソプロポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラン、n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン、n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン、フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン、テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、トリクロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒドロシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、およびそれらの部分加水分解物、およびそれらの混合物を挙げることができる。
また、特にフルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンが好ましく用いることができ、具体的には、下記のフルオロアルキルシランの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられ、一般にフッ素系シランカップリング剤として知られたものを使用することができる。
CF(CFCHCHSi(OCH
CF(CFCHCHSi(OCH
CF(CFCHCHSi(OCH
CF(CFCHCHSi(OCH
(CFCF(CFCHCHSi(OCH
(CFCF(CFCHCHSi(OCH
(CFCF(CFCHCHSi(OCH
CF(C)CSi(OCH
CF(CF(C)CSi(OCH
CF(CF(C)CSi(OCH
CF(CF(C)CSi(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
CF(CFCHCHSiCH(OCH
(CFCF(CFCHCHSiCH(OCH
(CFCF(CFCHCHSiCH(OCH
(CFCF(CFCHCHSiCH(OCH
CF(C)CSiCH(OCH
CF(CF(C)CSiCH(OCH
CF(CF(C)CSiCH(OCH
CF(CF(C)CSiCH(OCH
CF(CFCHCHSi(OCHCH
CF(CFCHCHSi(OCHCH
CF(CFCHCHSi(OCHCH
CF(CFCHCHSi(OCHCH;および
CF(CFSON(C)CCHSi(OCH
上記のようなフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンをバインダとして用いることにより、光触媒含有層のエネルギー未照射部分の撥液性が大きく向上するので、この撥液性領域への有機層の成膜を妨げることでき、エネルギー照射部分である親液性領域のみに有機層を成膜することが可能となる。
なお、光触媒含有層中にフルオロアルキル基を含有するポリシロキサンが含有されていることは、X線光電子分光法、ラザフォード後方散乱分光法、核磁気共鳴分光法、または質量分析法を用いて確認することができる。
またさらに、上記の(2)の反応性シリコーンとしては、下記一般式で表される骨格をもつ化合物を挙げることができる。
Figure 0004679841
ただし、nは2以上の整数であり、R,Rはそれぞれ炭素数1〜10の置換もしくは非置換のアルキル、アルケニル、アリールあるいはシアノアルキル基であり、モル比で全体の40%以下がビニル、フェニル、ハロゲン化フェニルである。また、R、Rがメチル基のものが表面エネルギーが最も小さくなるので好ましく、モル比でメチル基が60%以上であることが好ましい。また、鎖末端もしくは側鎖には、分子鎖中に少なくとも1個以上の水酸基等の反応性基を有する。
また、上記のオルガノポリシロキサンとともに、ジメチルポリシロキサンのような架橋反応をしない安定なオルガノシリコーン化合物を混合してもよい。
本態様においては、光触媒含有層に、光触媒の作用により分解し、かつ分解されることにより濡れ性を変化させる機能を有する界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることができ、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
また、光触媒含有層には上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
本態様の光触媒含有層の厚みは、10nm〜1000nmであることが好ましく、中でも10nm〜500nm、特に10nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。光触媒含有層が薄すぎると濡れ性の違いが明確に発現しなくなり、濡れ性変化パターンの形成が困難になるからである。逆に、光触媒含有層が厚すぎると正孔または電子の輸送を阻害し、本実施態様の有機デバイスの電気特性に悪影響を及ぼす可能性があるからである。
また、光触媒含有層表面に形成された濡れ性変化パターンの親液性領域は、撥液性領域より水との接触角が小さい領域であれば特に限定されるものではない。
(ii)第2の態様
本実施態様に用いられる濡れ性変化層の第2の態様は、光触媒を含有する光触媒処理層と、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性可変層とを有するものである。このような光触媒処理層と濡れ性可変層とを有する濡れ性変化層は、機能毎に層が分かれているので、層構成や材料の組み合わせ等を容易に変更することができる点で有用である。
以下、光触媒処理層および濡れ性可変層について説明する。
(光触媒処理層)
本態様に用いられる光触媒処理層は、光触媒を含有するものであり、この光触媒処理層中の光触媒が、積層されている濡れ性可変層の濡れ性を変化させるようなものであれば特に限定されない。また、その表面の濡れ性は親液性であっても撥液性であってもよい。なお、光触媒については、上記第1の態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
上記光触媒処理層は、光触媒単独で形成されたものであってもよく、またバインダと混合して形成されたものであってもよい。光触媒とバインダとからなる光触媒処理層の場合は、光触媒処理層の形成が容易であるという利点を有する。光触媒処理層に用いられるバインダとしては、上記第1の態様の光触媒含有層に用いられるバインダと同様のものを用いることができる。
光触媒処理層が光触媒とバインダとを有する場合は、光触媒処理層中の光触媒の含有量は、濡れ性可変層の濡れ性を変化させることができ、かつ、正孔または電子の輸送を阻害しない程度の量であれば特に限定されるものではない。
また、光触媒処理層の厚みは、10nm〜1000nmであることが好ましく、中でも10nm〜500nm、特に10nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。光触媒処理層が薄すぎると、濡れ性可変層の濡れ性を変化させることが困難になるからである。逆に、光触媒処理層が厚すぎると正孔または電子の輸送を阻害し、本実施態様の有機デバイスの電気特性に悪影響を及ぼす可能性があるからである。
(濡れ性可変層)
本態様に用いられる濡れ性可変層は、光触媒の作用により濡れ性が変化する材料を含有するものであれば特に限定されない。なお、光触媒の作用により濡れ性が変化する材料については、上記第1の態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、濡れ性可変層には、上記第1の態様に記載されているものと同様の界面活性剤や、添加剤等を含有させてもよい。
さらに、上記濡れ性可変層には、電子あるいは正孔を輸送する電荷輸送性を向上させる目的で、電荷輸送性向上物質を含有させてもよい。
上記濡れ性可変層の厚みは、濡れ性変化パターンの形成が可能であり、かつ、正孔または電子の輸送を阻害しないような厚みであれば特に限定されるものではない。
また、濡れ性可変層表面に形成された濡れ性変化パターンの親液性領域は、撥液性領域より水との接触角が小さい領域であれば特に限定されるものではない。
(iii)第3の態様
本実施態様に用いられる濡れ性変化層の第3の態様は、濡れ性変化層と、光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板とを所定の間隙をおいて配置した後、所定の方向からエネルギー照射することにより濡れ性が変化する濡れ性可変層である。本態様の濡れ性可変層は光触媒を含有しないため、本実施態様の有機デバイスが経時的に光触媒の影響を受けることがないという利点を有する。
以下、濡れ性可変層および光触媒処理層側基板について説明する。
(濡れ性可変層)
本態様の濡れ性可変層としては、光触媒の作用により濡れ性が変化する材料を含有するものであれば特に限定されない。なお、光触媒の作用により濡れ性が変化する材料については、上記第1の態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、濡れ性可変層のその他の点については、上記第2の態様の濡れ性可変層と同様であるので、ここでの説明は省略する。
(光触媒処理層側基板)
本態様に用いられる光触媒処理層側基板は、光触媒を含有する光触媒処理層と基体とを有するものである。本態様に用いられる光触媒処理層は、光触媒処理層中の光触媒が、所定の間隙をおいて配置された濡れ性可変層の濡れ性を変化させるような構成であれば特に限定されるものではない。また、その表面の濡れ性は親液性であっても撥液性であってもよい。
上記光触媒処理層は、基体上に全面に形成されたものであってもよいが、基体上にパターン状に形成されたものであってもよい。このように光触媒処理層をパターン状に形成することにより、光触媒処理層を濡れ性可変層と所定の間隙をおいて配置してエネルギーを照射する際に、フォトマスク等を用いるパターン照射をする必要がなく、全面に照射することにより、濡れ性可変層上に濡れ性変化パターンを形成することができる。
なお、光触媒処理層のその点については、上記第2の態様の光触媒処理層と同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、上記光触媒処理層が形成される基体としては、可撓性を有するもの、例えば樹脂製フィルム等であってもよいし、可撓性を有さないもの、例えばガラス基板等であってもよい。このように、光触媒処理層側基板に用いられる基体は特に限定されるものではないが、この光触媒処理層側基板は繰り返し用いられるものであることから、所定の強度を有し、かつその表面が光触媒処理層との密着性が良好であるものが好適に用いられる。具体的には、ガラス、セラミック、金属、プラスチック等を挙げることができる。
さらに、基体表面と光触媒処理層との密着性を向上させるために、基体上にプライマー層を形成するようにしてもよい。このようなプライマー層としては、例えば、シラン系、チタン系のカップリング剤等を挙げることができる。
(2)基板
次に、本実施態様に用いられる基板について説明する。本実施態様に用いられる基板としては、上記第1実施態様に記載したものと同様のものを使用することができるが、上記濡れ性変化層へのエネルギー照射の方向により透明性が要求されることがある。例えばエネルギー照射が基板側から行われる場合には、基板が透明である必要がある。
また、本実施態様においては、基板上に遮光部を設けてもよい。遮光部を形成した場合には、基板側からエネルギーを照射することにより、マスクやレーザーによる描画等を用いることなく、遮光部が設けられていない部分の濡れ性変化層表面の濡れ性を変化させることが可能となる。したがって、濡れ性変化層とマスクとの位置合わせが不要であることから、簡便な工程とすることが可能であり、また描画照射に必要な高価な装置も不必要であることから、コスト的に有利である。
このような遮光部の形成位置としては、基板上に遮光部を形成し、その上に濡れ性変化層を形成する場合、すなわち基板と濡れ性変化層との間に形成する場合と、基板の濡れ性変化層が形成されていない側の表面にパターン状に形成する場合とがある。
上記遮光部の形成方法は、特に限定されるものではなく、遮光部の形成面の特性や、必要とするエネルギーに対する遮蔽性等に応じて適宜選択されて用いられる。例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成されてもよい。このパターニングの方法としては、スパッタ等の通常のパターニング方法を用いることができる。
また、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層をパターン状に形成する方法であってもよい。用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂製遮光部の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。このような樹脂製遮光部のパターニングの方法は、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
(3)第2の有機層
本実施態様においては、第1電極層と濡れ性変化層との間に第2の有機層が形成されていてもよい。この際、第2の有機層は、上記濡れ性変化層と同様に第2電極層形成領域に設けられる。
本実施態様の有機デバイスを作製する際に、第2の有機層を例えばスピンコート法を用いて成膜した場合は、基板の全面に第2の有機層が成膜されることとなる。また、第2の有機層上には、同じく全面に濡れ性変化層が成膜されることとなるが、例えば第2電極層側からプラズマ処理を行うことにより第2電極層が保護マスクとして機能するので、第2電極層非形成領域に成膜された濡れ性変化層および第2の有機層を除去することができる。これにより、第2電極層形成領域に、第2有機層および濡れ性変化層を設けることができるのである。このため、端子部上には第2の有機層も濡れ性変化層も形成されていないことになるので、有機デバイスの電気特性の低下を防止することができる。
なお、第2の有機層のその他の点については、上記第1実施態様に記載した有機層と同様であるので、ここでの説明は省略する。
B.有機EL素子
次に、本発明の有機EL素子について説明する。
本発明の有機EL素子は、上述した有機デバイスを用い、上記有機デバイスにおける有機層が、少なくとも発光層を有する有機EL層であることを特徴とするものである。
本発明においては、上述した有機デバイスを用いるので、電気特性が良好であり、さらにはパターニング特性が良好であり、簡便な方法により製造可能な有機EL素子とすることができる。
以下、本発明の有機EL素子における有機EL層について説明する。
1.有機EL層
本発明に用いられる有機EL層は、少なくとも発光層を含む1層もしくは複数層の有機物層から構成されるものである。すなわち、有機EL層とは、少なくとも発光層を含む層であり、その層構成が有機物層1層以上の層をいう。通常、塗布によるウェットプロセスで有機EL層を形成する場合は、溶媒との関係で多数の層を積層することが困難であることから、1層もしくは2層の有機物層で形成される場合が多いが、有機材料を工夫したり、真空蒸着法を組み合わせたりすることにより、さらに多数層とすることも可能である。
発光層以外に有機EL層内に形成される有機物層としては、正孔注入層や電子注入層といった電荷注入層を挙げることができる。さらに、その他の有機物層としては、発光層に正孔を輸送する正孔輸送層、発光層に電子を輸送する電子輸送層といった電荷輸送層を挙げることができるが、通常これらは上記電荷注入層に電荷輸送の機能を付与することにより、電荷注入層と一体化される場合が多い。その他、有機EL層内に形成される有機物層としては、キャリアブロック層のような正孔あるいは電子の突き抜けを防止し、再結合効率を高めるための層等を挙げることができる。
以下、このような有機EL層の各構成について説明する。
(1)発光層
本発明における有機EL層の必須構成である発光層としては、例えば色素系発光材料、金属錯体系発光材料、高分子系発光材料等の発光材料を用いることができる。
色素系発光材料としては、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマーなどを挙げることができる。
また、金属錯体系発光材料としては、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロビウム錯体等、中心金属にAl、Zn、Be等または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体を挙げることができる。
さらに、高分子系発光材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール等、ポリフルオレン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、およびそれらの共重合体等を挙げることができる。
上記発光層中には、発光効率の向上、発光波長を変化させる等の目的でドーピング剤を添加してもよい。このようなドーピング剤としては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体を挙げることができる。
発光層の厚みとしては、電子と正孔との再結合の場を提供して発光する機能を発現することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、例えば1nm〜500nm程度とすることができる。
(2)電荷注入輸送層
本発明においては、第1電極層あるいは第2電極層と発光層との間に電荷注入輸送層が形成されていてもよい。ここでいう電荷注入輸送層とは、上記発光層に第1電極層あるいは第2電極層からの電荷を安定に輸送する機能を有するものであり、このような電荷注入輸送層を発光層と第1電極層あるいは第2電極層との間に設けることにより、発光層への電荷の注入が安定化し、発光効率を高めることができる。
このような電荷注入輸送層としては、陽極から注入された正孔を発光層内へ輸送する正孔注入輸送層、陰極から注入された電子を発光層内へ輸送する電子注入輸送層とがある。以下、正孔注入輸送層および電子注入輸送層について説明する。
(i)正孔注入輸送層
本発明に用いられる正孔注入輸送層としては、発光層に正孔を注入する正孔注入層、および正孔を輸送する正孔輸送層のいずれか一方であってもよく、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものであってもよく、または、正孔注入機能および正孔輸送機能の両機能を有する単一の層であってもよい。
正孔注入輸送層に用いられる材料としては、陽極から注入された正孔を安定に発光層内へ輸送することができる材料であれば特に限定されるものではなく、上記発光層の発光材料に例示した化合物の他、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン誘導体等を用いることができる。具体的には、ビス(N−(1−ナフチル−N−フェニル)ベンジジン(α−NPD)、4,4,4−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、ポリ3,4エチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等が挙げられる。
また、正孔注入輸送層の厚みとしては、陽極から正孔を注入し、発光層へ正孔を輸送する機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されないが、具体的には0.5nm〜1000nmの範囲内、中でも10nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。
(ii)電子注入輸送層
本発明に用いられる電子注入輸送層としては、発光層に電子を注入する電子注入層、および電子を輸送する電子輸送層のいずれか一方であってもよく、電子注入層および電子輸送層が積層されたものであってもよく、または、電子注入機能および電子輸送機能の両機能を有する単一の層であってもよい。
電子注入層に用いられる材料としては、発光層内への電子の注入を安定化させることができる材料であれば特に限定されるものではなく、上記発光層の発光材料に例示した化合物の他、アルミリチウム合金、フッ化リチウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム、カルシウム、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、リチウム、セシウム、フッ化セシウム等のようにアルカリ金属類、およびアルカリ金属類のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体等を用いることができる。
上記電子注入層の厚みとしては、電子注入機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されない。
また、電子輸送層に用いられる材料としては、第1電極層あるいは第2電極層から注入された電子を発光層内へ輸送することが可能な材料であれば特に限定されるものではなく、例えばバソキュプロイン、バソフェナントロリン、フェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、またはトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)等を挙げることができる。
さらに、電子注入機能および電子輸送機能の両機能を有する単一の層からなる電子注入輸送層としては、電子輸送性の有機材料にアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属をドープした金属ドープ層を形成し、これを電子注入輸送層とすることができる。上記電子輸送性の有機材料としては、例えばバソキュプロイン、バソフェナントロリン、フェナントロリン誘導体等を挙げることができ、ドープする金属としては、Li、Cs、Ba、Sr等が挙げられる。
2.その他
本発明においては、例えば図3に示すように、パターン状に形成された第1電極層2の間に、第1電極層2から有機EL層3への電荷の供給を止める絶縁層10が設けられていてもよい。この絶縁層が形成された部分は、発光しないものとすることができる。
このような絶縁層としては、感光性ポリイミド樹脂、アクリル系樹脂等の光硬化型樹脂、または熱硬化型樹脂、および無機材料等を用いることができる。
また本発明において、上述した「A.有機デバイス 2.第2実施態様」の項に記載したように、第1電極層と濡れ性変化層との間に第2の有機層が形成されている場合、この第2の有機層としては、上記有機EL層の項に記載した電荷注入輸送層等を挙げることができる。この際、濡れ性変化層上に、有機EL層として発光層がパターン状に形成されていることが好ましい。電荷注入輸送層はパターン状に形成されていなくてもよいが、発光層は赤・緑・青の3色の発光層となるようにパターン状に形成されていることにより、カラー表示が可能な有機EL素子とすることができるからである。
C.有機デバイスの製造方法
次に、本発明の有機デバイスの製造方法について説明する。本発明の有機デバイスの製造方法は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層の形成の有無により、2つの実施態様に分けることができる。以下、各実施態様について詳細に説明する。
1.第3実施態様
本発明の有機デバイスの製造方法の第3実施態様は、第1電極層および端子部が形成された基板上に有機層を形成する有機層形成工程と、
上記有機層上であって、上記端子部が形成されていない端子部非形成領域に第2電極層を形成する第2電極層形成工程と、
上記第2電極層側からプラズマ処理を施し、上記第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域に設けられた上記有機層を除去するプラズマ処理工程と、
上記端子部および上記第1電極層、あるいは上記端子部および上記第2電極層が接続されるように導電層を形成する導電層形成工程と
を有することを特徴とするものである。
本実施態様の有機デバイスの製造方法について、図面を参照しながら説明する。図4は、本実施態様の有機デバイスの製造方法の一例を示すものである。本実施態様の有機デバイスの製造方法においては、まず、基板1上にパターン状の第1電極層2と端子部5とを形成し、この第1電極層2の端部を覆うように絶縁層10を形成することにより、第1電極層2および端子部5が形成された基板1を準備し、この基板1上に有機層3を全面に形成する(図4(a)、有機層形成工程)。次に、有機層3上であって、端子部5が形成されていない端子部非形成領域13に第2電極層4を形成する(図4(b)、第2電極層形成工程)。さらに、第2電極層4を保護マスクとして第2電極層4側から全面にプラズマ21を照射してプラズマ処理を行ない、第2電極4が形成されていない第2電極層非形成領域11に成膜された有機層3を除去する(図4(c)〜(d)、プラズマ処理工程)。これにより、端子部5が露出する。その後、第2電極層4と端子部5とが接続されるように導電層6を形成する(図4(e)、導電層形成工程)。
本実施態様においては、第2電極層を保護マスクとして第2電極層側からプラズマ処理を施すことで、第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域に成膜された有機層を除去することができるので、簡便な工程で端子部上に成膜された有機層を除去することが可能である。これにより、端子部と第1電極層または第2電極層とを接続する際の抵抗要因を除去することができるので、電気特性を低減させることなく、有機デバイスを安定して製造することが可能である。
以下、このような有機デバイスの製造方法における各工程について説明する。
(1)有機層形成工程
本実施態様における有機層形成工程は、第1電極層および端子部が形成された基板上に有機層を形成する工程である。本工程においては、有機層は第1電極層および端子部が形成された基板上に有機層形成用塗工液を塗布することにより形成することができる。
上記有機層形成用塗工液としては、塗布することにより有機層となるものであってもよく、また塗布後に薬剤により処理され、もしくは紫外線、熱等により処理された後に有機層となるものであってもよい。有機層形成用塗工液が、紫外線、熱、電子線等で効果する成分を含有している場合には、硬化処理を行うことにより素早く有機層が形成できることから好ましい。
また、上記有機層形成用塗工液の塗布方法としては、第1電極層および端子部が形成された基板上に塗布することが可能な方法であれば特に限定されるものではないが、有機層を均一に形成することが可能な方法であることが好ましい。このような塗布方法としては、例えばディップコート、ロールコート、ブレードコート、スピンコート、マイクログラビアコート、グラビアコート、バーコート、ワイヤーバーコート、キャスト等の塗布法、インクジェット、電界ジェット、ディスペンサーを用いる方法等を含むノズル吐出法、LB法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。
本実施態様において、2層以上の有機層を積層して形成する場合には、第1電極層の直上の有機層は塗布により形成されるが、この有機層上に積層されるその他の有機層の形成方法は、塗布による形成方法に限定されるものではない。例えば一般的な蒸着方法を用いて形成することも可能である。
また、基板上に第1電極層を形成する方法としては、一般的な電極の形成方法を用いることができ、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、CVD法などを挙げることができる。また、第1電極をパターン状に形成する場合のパターニング方法としては、第1電極を所望のパターンに精度よく形成することができる方法であれば特に限定されないが、具体的にはフォトリソ法等を挙げることができる。
さらに、基板上に端子部を形成する方法としては、上記第1電極層の形成方法と同様の方法を用いることができる。
(2)第2電極層形成工程
本実施態様における第2電極層形成工程は、上記有機層上であって、上記端子部が形成されていない端子部非形成領域に第2電極層を形成する工程である。
端子部は、外部回路と第1電極層または第2電極層とを接続するために設けられるものであり、この端子部上に有機層が成膜されていると抵抗要因となり有機デバイスの電気特性を低下させてしまうので、端子部が形成されている端子部形成領域に成膜された有機層を除去する必要がある。本実施態様における第2電極層は、後述するプラズマ処理工程にて保護マスクとして機能するものであることから、本工程においては端子部が形成されている端子部形成領域に成膜された有機層がプラズマ処理により除去されるように所定の位置に第2電極層が形成される。
なお、第2電極の形成方法については、上述した有機層形成工程の項に記載した第1電極層の形成方法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
(3)プラズマ処理工程
次に、本実施態様におけるプラズマ処理工程について説明する。本実施態様におけるプラズマ処理工程は、第2電極層側からプラズマ処理を施し、上記第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域に設けられた上記有機層を除去する工程である。
本工程において、プラズマを照射する際に用いられる反応性ガスとしては、一般的に用いられている反応性ガスを使用することが可能である。中でも、有機層を効率的に除去することが可能な反応性ガスであることが好ましい。また、第2電極層を保護マスクとしてプラズマ処理を施すことから、第2電極層への影響が少ない反応ガスであることが好ましい。このような反応性ガスの組成としては、フッ素またはフッ素化合物を含んだガス、塩素または塩素化合物を含んだガス、酸素、アルゴン、窒素等が挙げられる。これらの他にも、所定の条件を満たすガスであれば使用可能であり、2種類以上の混合ガスであってもよい。
プラズマの照射方向としては、第2電極層側からであれば特に限定されるものではなく、第2電極層を保護マスクとして第2電極層非形成領域に設けられた有機層を除去することができればよい。
(4)導電層形成工程
本実施態様における導電層形成工程は、上記端子部および上記第1電極層、あるいは上記端子部および上記第2電極層が接続されるように導電層を形成する工程である。
本工程において、導電層は、Al、Ag、Au、Cu、Cr、ITO、IZO等の導電性材料を用いて一般的な蒸着法により形成することができる。また、上記導電性材料のコロイド溶液を用いてインクジェット法により形成することもできる。
(5)その他
なお、本実施態様により製造される有機デバイスについては、上述した「A.有機デバイス」の第1実施態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
2.第4実施態様
本発明の有機デバイスの製造方法の第4実施態様は、第1電極層および端子部が形成された基板上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層を形成する濡れ性変化層形成工程と、
上記濡れ性変化層にパターン状にエネルギーを照射し、上記濡れ性変化層の濡れ性が変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、
上記濡れ性変化パターンが形成された濡れ性変化層上に有機層をパターン状に形成する有機層形成工程と、
上記有機層上に第2電極層を形成する第2電極層形成工程と、
上記第2電極層側からプラズマ処理を施し、上記第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域に設けられた上記濡れ性変化層を除去するプラズマ処理工程と、
上記端子部および上記第1電極層、あるいは上記端子部および上記第2電極層が接続されるように導電層を形成する導電層形成工程と
を有することを特徴とするものである。
本実施態様の有機デバイスの製造方法について、図面を参照しながら説明する。図5は、本実施態様の有機デバイスの製造方法の一例を示すものである。本実施態様の有機デバイスの製造方法においては、まず、基板1上にパターン状の第1電極層2と端子部5とを形成し、この第1電極層2の端部を覆うように絶縁層10を形成することにより、第1電極層2および端子部5が形成された基板1を準備し、この基板1上に濡れ性変化層7を全面に形成する(図5(a)、濡れ性変化層形成工程)。次に、濡れ性変化層7にフォトマスク32を介してパターン状にエネルギー31を照射し、濡れ性変化層7の濡れ性を変化させ、親液性領域14および撥液性領域15からなる濡れ性変化パターンを形成する(図5(b)、濡れ性変化パターン形成工程)。さらに、この濡れ性変化パターンが形成された濡れ性変化層7上に有機層3をパターン状に形成し(図5(c)、有機層形成工程)、有機層3上に第2電極層4を形成する(図5(d)、第2電極層形成工程)。この第2電極層4を保護マスクとして第2電極層4側から全面にプラズマ21を照射してプラズマ処理を行ない、第2電極4が形成されていない第2電極層非形成領域11に設けられた濡れ性変化層7を除去する(図5(e)、プラズマ処理工程)。これにより、端子部5が露出する。その後、第2電極層4と端子部5とが接続されるように導電層6を形成する(図5(f)、導電層形成工程)。これにより、有機デバイスを製造することができる。
本実施態様によれば、第2電極層を保護マスクとして用いてプラズマ処理を施すことで、第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域の濡れ性変化層を容易に除去することができる。
また、濡れ性変化層にパターン状にエネルギーを照射することにより光触媒を励起させて、濡れ性変化層の濡れ性を変化させることができ、親液性領域および撥液性領域からなる濡れ性変化パターンを容易に形成することができる。さらには、この濡れ性変化パターンの濡れ性の差を利用して、有機層を容易にパターン状に形成することが可能となる。
以下、このような有機デバイスの製造方法における各工程について説明する。
(1)濡れ性変化層形成工程
本実施態様における濡れ性変化層形成工程は、第1電極層および端子部が形成された基板上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層を形成する工程である。この濡れ性変化層は、第1電極層および端子部が形成された基板上に、濡れ性変化層形成用塗工液を塗布して、乾燥することにより形成することができる。
本実施態様に用いられる濡れ性変化層形成用塗工液は、上述した「A.有機デバイス」の第2実施態様の項に記載した濡れ性変化層の3つの態様により、適宜調製される。例えば濡れ性変化層が、光触媒を含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する光触媒含有層である場合(第1の態様)は、光触媒と光触媒の作用により濡れ性が変化する材料とを含有する濡れ性変化層形成用塗工液が用いられる。
このような濡れ性変化層形成用塗工液は、光触媒、光触媒の作用により濡れ性が変化する材料およびその他の添加物を、水もしくは溶剤を用いて溶解または分散させることにより調製することができる。なお、光触媒、光触媒の作用により濡れ性が変化する材料、およびその他の添加物については、上述した「A.有機デバイス」の第2実施態様の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
上記濡れ性変化層形成用塗工液に使用することができる溶剤としては、上述した光触媒や光触媒の作用により濡れ性が変化する材料等と混合するものであり、白濁その他の現象によるパターニング特性に影響を及ぼさないものであれば特に限定されない。このような溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、アセトニトリル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチルグリコールモノメチルエーテル、ジエチルグリコールモノエチルエーテル、ジエチルグリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、乳酸メチル、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、エチレングリコール、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ピリジン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリジノン等が挙げられる。これらの溶剤は2種以上を混合して使用してもよい。
また、濡れ性変化層形成用塗工液の塗布方法としては、第1電極層および端子部が形成された基板上に濡れ性変化層形成用塗工液を塗布することが可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えばスピンコート法、インクジェット法、キャスト法、LB法、ディスペンサー法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法等が挙げられる。
上記濡れ性変化層形成用塗工液の乾燥方法としては、均一な濡れ性変化層を形成することが可能な方法であれば特に限定されるものではないが、例えばホットプレート、赤外線ヒーター、オーブンを用いる方法が挙げられる。
(2)濡れ性変化パターン形成工程
本実施態様における濡れ性変化パターン形成工程は、上記濡れ性変化層にパターン状にエネルギーを照射し、上記濡れ性変化層の濡れ性が変化した濡れ性変化パターンを形成する工程である。
濡れ性変化層における、光触媒による作用機構は必ずしも明確なものではないが、エネルギーの照射によって光触媒が酸化還元反応を引き起こし、スーパーオキシド(O )や水酸ラジカル(・OH)などの活性酸素種を発生し、この発生した活性酸素種が有機物の化学構造に変化を及ぼすものと考えられている。
本実施態様における濡れ性変化パターン形成工程は、上述した濡れ性変化層の態様により2つの態様に分けることができる。以下、各態様について説明する。
(i)第4の態様
本実施態様における濡れ性変化パターン形成工程の第4の態様は、濡れ性変化層が、光触媒を含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する光触媒含有層である場合(第1の態様)、および、光触媒を含有する光触媒処理層と、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性可変層とを有する場合(第2の態様)に行われるものである。本工程においては、このような濡れ性変化層にパターン状にエネルギーを照射し、上記濡れ性変化層の濡れ性が変化した濡れ性変化パターンを形成する。
なお、本発明でいうエネルギー照射(露光)とは、光触媒を励起することが可能ないかなるエネルギー線の照射をも含む概念であり、紫外線、可視光線、赤外線の他、これらの光線よりもさらに短波長または長波長の電磁波、放射線も含まれる。
エネルギーの照射方法は、濡れ性変化層の濡れ性を変化させることが可能な方法であれば、特に限定されるものではない。また、エネルギーの照射は、目的とするパターンが形成された、例えばフォトマスク等のマスクを用いて行ってもよい。これにより、目的とするパターン状にエネルギーを照射することが可能となり、濡れ性変化層の濡れ性をパターン状に変化させることができるからである。この際、用いられるマスクの種類としては、目的とするパターン状にエネルギーが照射可能であれば、特に限定されるものではなく、エネルギーを透過する素材に遮光部が形成されたフォトマスク等であってもよく、また目的とするパターン状に孔部が形成されているシャドウマスク等であってもよい。また、これらのマスクの材料として、具体的には金属、ガラスやセラミック等の無機物、またはプラスチック等の有機物等を挙げることができる。
さらに、用いる基板上に遮光部が形成されている場合には、エネルギーの照射は、この遮光部を利用して、基板側から全面に露光を行うものであってもよい。これにより、上記遮光部が形成されていない位置の濡れ性変化層にのみエネルギーを照射することができ、この濡れ性変化層の濡れ性を変化させることができるからである。この場合、上記マスクやレーザー等による描画の必要がないことから、位置合わせや高価な描画装置等が必要としないという利点がある。
エネルギー照射には通常、紫外線が用いられ、具体的な光の波長としては400nm以下の範囲、好ましくは150nm〜380nmの範囲内から設定される。これは、上述したように濡れ性変化層に用いられる好ましい光触媒が酸化チタンであり、この酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上述した波長の光が好ましいからである。
このようなエネルギー照射に用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。また、エキシマ、YAG等のレーザーを用いてエネルギー照射を行ってもよい。レーザーを用いてエネルギー照射を行うことにより、上述したフォトマスク等の位置合わせ等が必要なく、また基板上に遮光部を形成することなく、高精細に濡れ性変化層の濡れ性を変化させることができるのである。
また、光触媒としてアナターゼ型酸化チタンを用いた場合は、アナターゼ型酸化チタンの励起波長が380nm以下にあるので、エネルギー照射は紫外線により行うことができる。このような紫外線を発する光源としては、高圧水銀ランプ(154、313、365、405、436、546、577nm)、超高圧水銀ランプ(250〜600nm)、メタルハライドランプ(250〜600nm)、キセノンランプ(300〜1100nm)、エキシマレーザー、およびその他の紫外線光源を使用することができる。
エネルギー照射に際してのエネルギーの照射量は、濡れ性変化層中の光触媒の作用により濡れ性変化層の濡れ性の変化が行われるのに必要な照射量とする。
この際、濡れ性変化層を加熱しながらエネルギー照射することにより、感度を上昇させることが可能となり、効率的な濡れ性の変化を行うことができる点で好ましい。具体的には30℃〜80℃の範囲内で加熱することが好ましい。
本実施態様における濡れ性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化するものであり、液体との接触角が低下する方向に変化する。この濡れ性変化層にパターン状にエネルギーを照射することにより、エネルギー照射された部分の親液性領域と、エネルギー未照射部分の撥液性領域とからなる濡れ性変化パターンを形成することが可能となる。
ここで、親液性領域とは、液体との接触角が小さい領域であり、後述する有機層形成用塗工液に対する濡れ性の良好な領域をいうこととする。また、撥液性領域とは、液体との接触角が大きい領域であり、有機層形成用塗工液に対する濡れ性が悪い領域をいうこととする。
エネルギー照射により形成される親液性領域と、エネルギー未照射の撥液性領域との、有機層形成用塗工液に対する接触角が、少なくとも1°以上、好ましくは5°以上、特に10°以上異なることが好ましい。
また、上記濡れ性変化層は、エネルギー照射した部分、すなわち親水性領域においては、エネルギー照射により液体との接触角が低下して、表面張力40mN/mの液体との接触角が9°以下、好ましくは表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下、特に表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下の濡れ性を示すことが好ましい。エネルギー照射した部分、すなわち親液性領域における液体との接触角が高いと、有機層を形成する際に、この部分での有機層形成用塗工液の広がりが劣る可能性があり、有機層の欠け等の問題が生じる可能性があるからである。
一方、上記濡れ性変化層は、エネルギー照射していない部分、すなわち撥水性領域においては、表面張力40mN/mの液体との接触角が10°以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上の濡れ性を示すことが好ましい。エネルギー照射していない部分は、撥液性が要求される部分であることから、液体との接触角が小さい場合は、撥液性が十分でなく、有機層を形成する際に、パターニング特性が低下する可能性があるからである。
なお、ここでいう液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いた。
(ii)第5の態様
本実施態様における濡れ性変化パターン形成工程の第5の態様は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層と、光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板とを所定の間隙をおいて配置した後、パターン状にエネルギーを照射し、濡れ性変化層の濡れ性が変化した濡れ性変化パターンを形成する工程である。本態様の濡れ性変化パターン形成工程は、上述した「A.有機デバイス 2.第2実施態様」の項に記載した第3の態様の濡れ性可変層を形成する場合に行われるものである。
本態様の濡れ性変化パターン形成工程においては、例えば図6(a)に示すように、濡れ性可変層7と、光触媒を含有する光触媒処理層34および基体33を有する光触媒処理層側基板35とを、濡れ性可変層7および光触媒処理層34が所定の間隙となるように配置した後、フォトマスク32を介してエネルギー31を照射し、図6(b)に示すように、濡れ性可変層7の濡れ性を変化させ、親液性領域14および撥液性領域15からなる濡れ性変化パターンを形成する。
本態様においては、光触媒処理層および濡れ性可変層は、光触媒処理層と濡れ性可変層とを光触媒の作用が及ぶように所定の間隙をおいて配置するものである。ここでいう配置とは、実質的に光触媒の作用が濡れ性可変層表面に及ぶような状態で配置された状態をいうこととし、実際に物理的に接触している状態の他、所定の間隙を隔てて上記光触媒処理層と濡れ性可変層とが配置された状態とする。
また本態様においては、上記の間隙は200μm以下であることが好ましい。さらにパターン精度が極めて良好であり、光触媒の感度も高く、濡れ性変化の効率が良好である点を考慮すると、中でも0.2μm〜10μm、特に1μm〜5μmの範囲内とすることが好ましい。このような間隙の範囲は、間隙を高い精度で制御することが可能である小面積の濡れ性可変層に対して特に有効である。
一方、例えば300mm×300mm以上といった大面積の濡れ性可変層に対して処理を行う場合は、接触することなく、かつ上述したような微細な間隙を光触媒処理層と濡れ性可変層との間に形成することは極めて困難である。したがって、濡れ性可変層が比較的大面積である場合は、上記の間隙は、10〜100μmの範囲内、特に50〜75μmの範囲内とすることが好ましい。間隙をこのような範囲内とすることにより、パターンがぼやける等のパターン精度の低下の問題や、光触媒の感度が悪化して濡れ性変化の効率が悪化する等の問題が生じることなく、さらに濡れ性変化にムラが発生しないといった効果を有するからである。
このように比較的大面積の濡れ性可変層をエネルギー照射する際には、エネルギー照射装置内の光触媒処理層と濡れ性可変層との位置決め装置における間隙の設定を、10μm〜200μmの範囲内、特に25μm〜75μmの範囲内に設定することが好ましい。設定値をこのような範囲内とすることにより、パターン精度の大幅な低下や光触媒の感度の大幅な悪化を招くことなく、かつ光触媒処理層と濡れ性可変層とが接触することなく配置することが可能となるからである。
このように光触媒処理層と濡れ性可変層とを所定の間隔で離して配置することにより、酸素と水および光触媒作用により生じた活性酸素種が脱着しやすくなる。すなわち、上記範囲より光触媒処理層と濡れ性可変層との間隔を狭くした場合は、上記活性酸素種の脱着がしにくくなり、結果的に濡れ性変化速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。また、上記範囲より間隔を離して配置した場合は、生じた活性酸素種が濡れ性可変層に届き難くなり、この場合も濡れ性変化の速度を遅くしてしまう可能性があることから好ましくない。
また、このような極めて狭い間隙を均一に形成して光触媒処理層と濡れ性可変層とを配置する方法としては、例えばスペーサを用いる方法を挙げることができる。そして、このようにスペーサを用いることにより、均一な間隙を形成することができると共に、このスペーサが接触する部分は、光触媒の作用が濡れ性可変層表面に及ばないことから、このスペーサを目的とする濡れ性変化パターンと同様のパターンを有するものとすることにより、濡れ性可変層上に所定の濡れ性変化パターンを形成することが可能となる。また、このようなスペーサを用いることにより、光触媒の作用により生じた活性酸素種が拡散することなく、高濃度で濡れ性可変層表面に到達することから、効率よく高精細な濡れ性変化パターンを形成することができる。
本態様においては、このような光触媒処理層と濡れ性可変層との配置状態は、少なくともエネルギー照射の間だけ維持されればよい。
また本態様においては、濡れ性可変層と光触媒処理層とを所定の間隙をおいて配置し、エネルギー照射することにより濡れ性を変化させるものであり、エネルギー照射後は光触媒処理層側基板を取り外すものであることから、光触媒の影響を受けない有機デバイスを製造することができる。
さらに本態様においては、光触媒処理層と濡れ性可変層とを対向させてエネルギー照射を行うものであり、光触媒処理層が基体上にパターン状に形成されている場合は、実際に光触媒処理層の形成された部分のみの濡れ性が変化するものであるので、エネルギーの照射方向は上記光触媒処理層と濡れ性可変層とが対向する部分にエネルギーが照射されるものであれば、いかなる方向から照射されてもよく、さらには、照射されるエネルギーも特に平行光等の平行なものに限定されないという利点を有するものとなる。
なお、濡れ性変化パターン形成工程のその他の点については、上記第4の態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(3)有機層形成工程
本実施態様における有機層形成工程は、上記濡れ性変化パターンが形成された濡れ性変化層上に有機層をパターン状に形成する工程である。本実施態様においては、上記濡れ性変化パターンの濡れ性の差を利用することにより、容易に有機層を高精細にパターン状に形成することが可能である。本工程において、有機層は、上記濡れ性変化パターンが形成された濡れ性変化層上に、有機層形成用塗工液を塗布することにより形成することができる。
なお、有機層形成工程のその他の点については、上述した第3実施態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(4)第2電極層形成工程
本実施態様における第2電極層形成工程は、上記有機層上に第2電極層を形成する工程である。本実施態様における第2電極層は、後述するプラズマ処理工程にて保護マスクとして機能するものであることから、本工程においては端子部が形成されている領域の濡れ性変化層がプラズマ処理により除去されるように所定の位置に第2電極層が形成される。
なお、第2電極の形成方法については、上述した第3実施態様の項に記載した第1電極層の形成方法と同様であるので、ここでの説明は省略する。
(5)プラズマ処理工程
本実施態様におけるプラズマ処理工程は、上記第2電極層側からプラズマ処理を施し、上記第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域に設けられた上記濡れ性変化層を除去する工程である。
本工程において、プラズマを照射する際に用いられる反応性ガスとしては、一般的に用いられている反応性ガスを使用することが可能であるが、中でも、濡れ性変化層を効率的に除去することが可能な反応性ガスであることが好ましい。このような反応性ガスとしては、上述した第3実施態様の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
プラズマの照射方向としては、第2電極層側からであれば特に限定されるものではなく、第2電極層を保護マスクとして第2電極層非形成領域に設けられた濡れ性変化層を除去することができればよい。
また、後述するように、本実施態様において第2有機層形成工程が行われた場合、本工程では、第2電極層非形成領域に設けられた濡れ性変化層および第2の有機層が除去されることになる。上述した反応性ガスは、濡れ性変化層も有機層も除去可能なものであるので、濡れ性変化層と、この濡れ性変化層の下に形成された第2の有機層とを除去することは可能である。
(6)導電層形成工程
本実施態様における導電層形成工程は、上記端子部および上記第1電極層、あるいは上記端子部および上記第2電極層が接続されるように導電層を形成する工程である。なお、導電層形成工程については、上述した第3実施態様の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(7)第2有機層形成工程
本実施態様においては、上記濡れ性変化層形成工程前に、第1電極層および端子部が形成された基板上に、第2の有機層を形成する第2有機層形成工程が行われてもよい。
なお、第2有機層形成工程は、上記第3実施態様の項に記載した有機層形成工程と同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、このような第2有機層形成工程が行われた場合は、基板の全面に第2の有機層が形成されるので、上記プラズマ処理工程では、濡れ性変化層の下に設けられた第2の有機層も除去する必要がある。
(8)その他
なお、本実施態様により製造される有機デバイスについては、上述した「A.有機デバイス」の第2実施態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
D.有機EL素子の製造方法
次に、本発明の有機EL素子の製造方法について説明する。
本発明の有機EL素子の製造方法は、上述した有機デバイスの製造方法を用い、上記有機デバイスの製造方法における有機層形成工程が、少なくとも発光層を有する有機EL層を形成する有機EL層形成工程であることを特徴とするものである。
本発明においては、上述した有機デバイスの製造方法を用いているので、簡便な工程で端子部上に成膜された有機層または濡れ性変化層を除去することができ、電気特性の良好な有機EL素子を容易に製造することが可能である。
以下、本発明の有機EL素子の製造方法における有機EL層形成工程について説明する。
1.有機EL層形成工程
本発明における有機EL層形成工程は、上記有機デバイスの製造方法における有機層形成工程が、少なくとも発光層を有する有機EL層を形成する工程である。
本工程により形成される有機EL層は、少なくとも発光層を含む1層もしくは複数層の有機物層から構成されるものであり、その層構成については、上述した「B.有機EL素子」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
上記有機EL層の必須の構成である発光層は、色素系発光材料、金属錯体系発光材料および高分子系発光材料等の発光材料を含有する発光層形成用塗工液を塗布することにより形成することができる。このような発光層形成用塗工液は、上記発光材料およびその他の添加物を溶媒に溶解または分散させることにより調製することができる。なお、発光材料およびその他の添加物については、上述した「B.有機EL素子」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
上記発光層形成用塗工液に用いられる溶媒としては、上述した発光材料を溶解もしくは分散させることができるものであれば特に限定されない。具体的には、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン等を挙げることができる。
このような発光層形成用塗工液の塗布方法としては、上述した第1電極層上あるいは濡れ性変化層上に塗布することが可能な方法であれば特に限定されるものではないが、発光層を均一かつ高精細に形成することが可能な方法であることが好ましい。このような塗布方法としては、例えばディップコート法、ロールコート法、ブレードコート法、スピンコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。
また、電荷注入輸送層である正孔注入輸送層、電子注入輸送層なども上記発光層と同様にして形成することができる。
さらに、有機EL層が、2層以上の有機物層を積層することにより形成される場合は、第1電極層あるいは濡れ変化層の直上に形成される有機物層以外の有機物層は、上記の塗布による形成方法に限定されるものではなく、例えば一般的な蒸着方法により形成することもできる。
2.その他
本発明においては、パターン状の第1電極層を形成した後に、このパターン状の第1電極層間に絶縁層を形成する絶縁層形成工程が行われてもよい。絶縁層の形成方法としては、フォトリソ法、印刷法等の一般的な方法を用いることができる。
なお、本発明により製造される有機EL素子については、上述した「B.有機EL素子」の項に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、本発明について実施例および比較例を用いて具体的に説明する。
[実施例1]
25mm角ガラス基板上に、第1電極層として透明電極(ITO)を形成し、この透明電極が形成された基板上に、フルオロアルキルアルコキシシランのイソプロピルアルコール溶液とチタニアゾル液とからなる濡れ性変化層形成用塗工液をスピンコータを用いて塗布し、乾燥させて膜厚100nmの濡れ性変化層を成膜した。次に、パターンマスクを介して紫外線を照射することで、濡れ性変化層上に濡れ性変化パターンを形成した。この濡れ性変化パターンの親液性領域にマイクロシリンジを用いたシリンジ法によりポリビニルカルバゾールとクマリン誘導体とからなる発光材料のキシレン溶液を塗布し、乾燥させて発光層を形成した。続いて、発光層上に第2電極層としてAgを成膜した。
次に、第2電極層側から全面にプラズマ処理を行ない、第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域に設けられた濡れ性変化層を除去した。その後、第2電極層と端子部とを接続する導電層としてAgを成膜した。これにより有機EL素子を作製した。
[比較例1]
25mm角ガラス基板上に、第1電極層として透明電極(ITO)を形成し、この透明電極が形成された基板上に、フルオロアルキルアルコキシシランのイソプロピルアルコール溶液とチタニアゾル液とからなる濡れ性変化層形成用塗工液をスピンコータを用いて塗布し、乾燥させて膜厚100nmの濡れ性変化層を成膜した。次に、パターンマスクを介して紫外線を照射することで、濡れ性変化層上に濡れ性変化パターンを形成した。この濡れ性変化パターンの親液性領域にマイクロシリンジを用いたシリンジ法によりポリビニルカルバゾールとクマリン誘導体とからなる発光材料のキシレン溶液を塗布し、乾燥させて発光層を形成し。続いて、発光層上に第2電極層としてAgを成膜した。その後、第2電極層と端子部とを接続する導電層としてAgを成膜した。これにより、有機EL素子を作製した。
[評価]
実施例1および比較例1の有機EL素子の電気特性を比較すると、比較例1の有機EL素子は、実施例1の有機EL素子よりも駆動電圧が高かった。
[実施例2]
25mm角ガラス基板上に、第1電極層として透明電極(ITO)を形成し、この透明電極が形成された基板上に、ポリビニルカルバゾールとクマリン誘導体とからなる発光材料のキシレン溶液をスピンコータを用いて塗布し、乾燥させて発光層を形成した。続いて、発光層上に、第2電極層としてAgを成膜した。
次に、第2電極層側から全面にプラズマ処理を行ない、第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域に設けられた発光層を除去した。その後、第2電極層と端子部とを接続する導電層としてAgを成膜した。このようにして得られた有機EL素子は、電圧特性が良好であった。
[実施例3]
25mm角ガラス基板上に、第1電極層として透明電極(ITO)を形成し、この透明電極が形成された基板上に、ポリビニルカルバゾール溶液をスピンコータを用いて塗布し、乾燥させて有機層を形成した。この有機層上にフルオロアルキルアルコキシシランのイソプロピルアルコール溶液とチタニアゾル液とからなる濡れ性変化層用形成用塗工液をスピンコータを用いて塗布し、乾燥させて濡れ性変化層を形成した。さらに、パターンマスクを介して紫外線を照射することで、濡れ性変化層上に濡れ性変化パターンを形成した。この濡れ性変化パターンの親液性領域にマイクロシリンジを用いたシリンジ法によりポリビニルカルバゾールとクマリン誘導体とからなる発光材料のキシレン溶液を塗布し、乾燥させて発光層を形成した。続いて、発光層上に第2電極層としてAgを成膜した。
次に、第2電極層側から全面にプラズマ処理を行ない、第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域に設けられた有機層および濡れ性変化層を除去した。その後、第2電極層と端子部とを接続する導電層としてAgを成膜した。このようにして得られた有機EL素子は、電圧特性が良好であった。
本発明の有機デバイスの一例を示す概略断面図である。 本発明の有機デバイスの他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。 本発明の有機デバイスの製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の有機デバイスの製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の有機デバイスの製造方法における濡れ性変化パターン形成工程の一例を示す工程図である。
符号の説明
1 … 基板
2 … 第1電極層
3 … 有機層
4 … 第2電極層
5 … 端子部
6 … 導電層
7 … 濡れ性変化層
10 … 絶縁層
11 … 第2電極層非形成領域
12 … 第2電極層形成領域
13 … 端子部非形成領域
14 … 親液性領域
15 … 撥液性領域

Claims (6)

  1. 基板と、前記基板上に形成された第1電極層と、前記第1電極層上に形成され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化し、かつ光触媒が含有されていない濡れ性変化層と、前記濡れ性変化層上にパターン状に形成された有機層と、前記有機層上に形成された第2電極層と、前記基板上の前記第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域の一部に形成された端子部と、前記端子部上に形成され、前記端子部および前記第1電極層、あるいは前記端子部および前記第2電極層を接続する導電層とを有する有機デバイスであって、
    前記濡れ性変化層は、前記第2電極層が形成されている第2電極層形成領域のみに設けられており、
    また、前記濡れ性変化層が、フルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンを含むことを特徴とする有機デバイス。
  2. 前記第1電極層と前記濡れ性変化層との間に第2の有機層が形成されており、前記第2の有機層は、前記第2電極層形成領域に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の有機デバイス。
  3. 請求項1または請求項2に記載の有機デバイスを用い、前記有機デバイスにおける有機層が、少なくとも発光層を有する有機エレクトロルミネッセント層であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子。
  4. 第1電極層および端子部が形成された基板上に、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化し、かつ光触媒が含有されていない濡れ性変化層を形成する濡れ性変化層形成工程と、
    前記濡れ性変化層と、光触媒を含有する光触媒処理層および基体を有する光触媒処理層側基板とを200μm以下の間隔をおいて配置した後、パターン状にエネルギーを照射し、前記濡れ性変化層の濡れ性が変化した濡れ性変化パターンを形成する濡れ性変化パターン形成工程と、
    前記濡れ性変化パターンが形成された濡れ性変化層上に有機層をパターン状に形成する有機層形成工程と、
    前記有機層上に第2電極層を形成する第2電極層形成工程と、
    前記第2電極層側からプラズマ処理を施し、前記第2電極層が形成されていない第2電極層非形成領域に設けられた前記濡れ性変化層を除去するプラズマ処理工程と、
    前記端子部および前記第1電極層、あるいは前記端子部および前記第2電極層が接続されるように導電層を形成する導電層形成工程と
    を有し、
    前記濡れ性変化層が、フルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンを含むことを特徴とする有機デバイスの製造方法。
  5. 前記濡れ性変化層形成工程前に、前記第1電極層および端子部が形成された基板上に、
    第2の有機層を形成する第2有機層形成工程が行われ、前記プラズマ処理工程が、前記第2電極層非形成領域に設けられた前記濡れ性変化層および前記第2の有機層を除去する工程であることを特徴とする請求項4に記載の有機デバイスの製造方法。
  6. 請求項4または請求項5に記載の有機デバイスの製造方法を用い、前記有機デバイスの製造方法における有機層形成工程が、少なくとも発光層を有する有機エレクトロルミネッセント層を形成する有機エレクトロルミネッセント層形成工程であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子の製造方法。
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