JP4668000B2 - 有機エレクトロルミネッセント素子用基板、および有機エレクトロルミネッセント素子 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセント素子用基板、および有機エレクトロルミネッセント素子 Download PDF

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Description

本発明は、各種ディスプレーや発光素子等に好適に用いられる有機エレクトロルミネッセント素子、およびその製造に用いられる有機エレクトロルミネッセント素子用基板に関するものである。
従来、有機エレクトロルミネッセント(以下、有機ELともいう。)素子の製造方法において、有機EL層の形成は、フォトリソグラフィー法やマスク蒸着法により行われていた。しかしながら、フォトリソグラフィー法では、工程が複雑でありコストがかかるという問題があり、またマスク蒸着法では、高価格の真空装置が必要となり歩留まりやコスト面で問題があった。
そこで、最近では、有機EL層のパターニング方法として光触媒を用いる方法が提案されている(特許文献1参照)。この方法は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層を形成し、この濡れ性変化層表面に濡れ性の違いによるパターンを形成することにより、有機EL層をパターニングするものである。この方法によれば、上記濡れ性の差を利用して高精細に有機EL層を形成することができ、パターニングに要する手間を大幅に省略することができる点で有用である。しかしながら、上記光触媒の活性が低い場合には、パターンの形成に時間がかかり、エネルギーの回り込み等により、パターンが太ってしまうことから、高精細なパターンを形成することが難しい、という問題があった。
また、このような方法において、上記濡れ性変化層の膜厚が厚い場合等には、濡れ性変化層によって電荷注入効率が低下し、有機EL素子の発光特性が低下するという問題があった。また一方で、濡れ性変化層を薄くした場合には、濡れ性の異なるパターンの形成が困難となり、パターン特性が低下する、という問題があった。
特開2000−223270号公報
そこで、短時間で、高精細なパターン状に、かつ効率よく有機EL層を形成可能な有機EL素子用基板、およびそれを用いた、電気特性が良好な有機EL素子の提供が望まれている。
本発明は、基材と、上記基材上にパターン状に形成された電極層と、上記電極層を覆うように形成され、光触媒およびバインダを含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する光触媒含有層とを有する有機エレクトロルミネッセント素子用基板であって、上記光触媒含有層の表面に、ラジカルを発生せず、かつラジカルを消費しない材質から形成された筒状の電子スピン濃度測定用冶具を設置して上記電子スピン濃度測定用冶具の筒内部にスピントラップ剤溶液を添加し、照度550ルクスの高圧水銀ランプから積算エネルギー量が2000mJ/mとなるまで上記光触媒含有層に紫外線を照射して上記光触媒含有層からラジカルを発生させた後、上記ラジカルがトラップされたスピントラップ剤溶液に対して、電子スピン共鳴法による測定を行った際、ヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度が上記光触媒含有層1m当たり1.0×1020スピン以上であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子用基板を提供する。
本発明によれば、上記光触媒含有層に上記紫外線が照射された際のヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度が所定の値以上であることから、光触媒含有層中での光触媒の活性が高く、短時間における活性酸素種の発生効率が高いものとすることができる。そのため、短時間で効率よく高精細なパターン状に光触媒含有層の濡れ性を変化させることができ、このパターンに沿って、高精細な有機EL層を形成可能とすることができる。また本発明によれば、上記光触媒含有層中の光触媒の活性が高いことから、光触媒含有層の膜厚が薄い場合であっても、エネルギー照射により、光触媒含有層表面の濡れ性を大きく変化させることができる。したがって本発明の有機EL素子用基板を用いて有機EL素子を形成した際に、光触媒含有層によって電荷注入効率が低下すること等が少ないものとすることができる。
また本発明は、上述した有機エレクトロルミネッセント素子用基板の光触媒含有層上に形成された有機エレクトロルミネッセント層と、上記有機エレクトロルミネッセント層上に形成された対向電極層とを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子を提供する。
本発明によれば、上記有機EL素子用基板の光触媒含有層の濡れ性が変化したパターンを利用して、上記有機EL層が形成されたものとすることができる。したがって、簡便な工程で、効率よく形成された、発光特性が良好な有機EL素子とすることができる。
また、本発明は、基材と、上記基材上にパターン状に形成された電極層と、上記電極層を覆うように形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に形成され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層とを有する有機エレクトロルミネッセント素子用基板であって、上記濡れ性変化層の表面に、ラジカルを発生せず、かつラジカルを消費しない材質から形成された筒状の電子スピン濃度測定用冶具を設置して上記電子スピン濃度測定用冶具の筒内部にスピントラップ剤溶液を添加し、照度550ルクスの高圧水銀ランプから積算エネルギー量が2000mJ/mとなるまで上記光触媒処理層に紫外線を照射して上記光触媒処理層からラジカルを発生させた後、上記ラジカルがトラップされたスピントラップ剤溶液に対して、電子スピン共鳴法による測定を行った際、ヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度が上記光触媒処理層1m当たり1.0×1020スピン以上であることを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子用基板を提供する。
本発明によれば、上記光触媒含有層に上記紫外線が照射された際のヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度が所定の値以上であることから、光触媒処理層中での光触媒の活性が高く、短時間における活性酸素種の発生効率が高いものとすることができる。そのため、短時間で効率よく高精細なパターン状に濡れ性変化層の濡れ性が変化するものとすることができ、このパターンに沿って、高精細な有機EL層を形成可能とすることができるのである。また、本発明によれば、上記光触媒処理層中の光触媒の活性が高いことから、光触媒処理層や濡れ性変化層の膜厚が薄い場合であっても、高精細なパターンを形成することが可能であり、本発明の有機EL素子用基板を用いて形成された有機EL素子の発光特性を良好なものとすることができる、という利点も有する。
またさらに、本発明は、上述した有機エレクトロルミネッセント素子用基板の濡れ性変化層上に形成された有機エレクトロルミネッセント層と、上記有機エレクトロルミネッセント層上に形成された対向電極層とを有することを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子を提供する。
本発明によれば、上記有機EL素子用基板の濡れ性変化層の濡れ性が変化したパターンを利用して、上記有機EL層が形成されたものとすることができる。したがって、簡便な工程で、効率よく形成された、発光特性が良好な有機EL素子とすることができる。
本発明によれば、光触媒含有層の濡れ性を、短時間で効率よく高精細なパターン状に変化させることができ、このパターンに沿って、高精細な有機EL層を形成可能な有機EL素子用基板とすることができる。また、光触媒含有層の膜厚が薄い場合であっても、高精細なパターンを形成することが可能であることから、本発明の有機EL素子用基板を用いて形成された有機EL素子の発光特性を良好なものとすることができる、という効果も奏するものである。
本発明は、各種ディスプレーや発光素子等に好適に用いられる有機エレクトロルミネッセント素子、およびその製造に用いられる有機エレクトロルミネッセント素子用基板に関するものである。以下、それぞれについてわけて説明する。
A.有機EL素子用基板
まず、本発明の有機EL素子用基板について説明する。本発明の有機EL素子用基板は、その構成の違いにより、2つの実施態様がある。以下、それぞれの実施態様ごとに説明する。
1.第1実施態様
まず、本発明の有機EL素子用基板の第1実施態様について説明する。本発明の有機EL素子用基板の第1実施態様は、基材と、上記基材上にパターン状に形成された電極層と、上記電極層を覆うように形成され、光触媒およびバインダを含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する光触媒含有層とを有する有機エレクトロルミネッセント素子用基板であって、上記光触媒含有層の表面に、ラジカルを発生せず、かつラジカルを消費しない材質から形成された筒状の電子スピン濃度測定用冶具を設置して上記電子スピン濃度測定用冶具の筒内部にスピントラップ剤溶液を添加し、照度550ルクスの高圧水銀ランプから積算エネルギー量が2000mJ/mとなるまで上記光触媒含有層に紫外線を照射して上記光触媒含有層からラジカルを発生させた後、上記ラジカルがトラップされたスピントラップ剤溶液に対して、電子スピン共鳴法による測定を行った際、ヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度が上記光触媒含有層1m当たり1.0×1020スピン以上であることを特徴とするものである。
本実施態様の有機EL素子用基板の一例を、図1を用いて説明する。本実施態様の有機EL素子用基板は、基材1と、その基材1上にパターン状に形成された電極層2と、その電極層2を覆うように形成された光触媒含有層3とを有するものである。また上記光触媒含有層は、所定の方法を用いて、上記光触媒含有層に紫外線を照射し、電子スピン共鳴法による測定を行った際、ヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度が所定の値以上であるものとされる。
酸素や水の存在下、光触媒を含有する光触媒含有層にエネルギーを照射した場合、ヒドロキシラジカル等の活性酸素種が発生し、この活性酸素種が光触媒含有層中に含有されるバインダ等の有機物の変性や分解に寄与して、光触媒含有層の濡れ性が変化することとなる。そこで、光触媒の活性が高く、短時間で発生する活性酸素種の量が多い光触媒含有層であれば、短時間で効率よく光触媒含有層の濡れ性を変化させることが可能となる。
ここで、このようなエネルギー照射に伴う光触媒の活性度の評価は、電子スピン共鳴(ESR)法により行うことができる。具体的には、電子スピン共鳴法により、所定の波長を有する紫外線を照射し、一定のエネルギー量を光触媒含有層に与えた際における活性酸素種の発生量、すなわちヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度を算出することにより、行うことができる。この電子スピン濃度が大きい光触媒含有層ほど、短時間で多量の活性酸素種を発生させることが可能であり、光触媒の活性が高く、光触媒含有層表面の濡れ性を短時間で変化させることが可能であるといえる。
本実施態様においては、所定の方法で、上記光触媒含有層に紫外線を照射し、電子スピン共鳴法による測定を行った際、光触媒含有層1m当たりのヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度が、所定の値以上とされる。したがって、光触媒含有層中に含有される光触媒の活性酸素種の発生効率が高く、短時間で効率よく濡れ性を変化させることが可能な光触媒含有層とすることができる。
また、光触媒の活性が低い場合には、光触媒含有層をパターニングする際、長時間エネルギーを照射する必要があり、この場合、エネルギーの回り込み等により、パターンが太ってしまう場合等があるが、本実施態様においては、上述したように、上記光触媒含有層中の光触媒の活性が高いことから、短時間でパターニングを行うことができ、高精細なパターンを形成することができる。
また、光触媒含有層の膜厚が厚い場合には、有機EL素子用基板を有機EL素子に用いた際、光触媒含有層によって、電荷注入効率が低下し、有機EL素子の発光特性が低下する場合がある。しかしながら、本実施態様によれば、上記光触媒含有層中の光触媒の活性が高いことから、光触媒含有層の膜厚が薄いものとした場合であっても、効率よく光触媒含有層の濡れ性を変化させることができ、濡れ性変化の度合いが大きいものとすることができる。したがって、光触媒含有層の膜厚を薄く形成することができ、有機EL素子に用いた際、電荷注入効率の低下が少ないものとすることができるのである。
以下、本実施態様の有機EL素子用基板の各構成について詳しく説明する。
(1)光触媒含有層
まず、本実施態様に用いられる光触媒含有層について説明する。本実施態様に用いられる光触媒含有層は、後述する電極層を覆うように形成されるものであり、光触媒およびバインダを含有するものであって、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化するものである。また、この光触媒含有層は、ラジカルを発生せず、かつラジカルを消費しない材質から形成された筒状の電子スピン濃度測定用冶具を表面に配置して上記電子スピン濃度測定用冶具の筒内部にスピントラップ剤溶液を添加し、照度550ルクスの高圧水銀ランプから積算エネルギー量が2000mJ/mとなるまで上記光触媒含有層に紫外線を照射して上記光触媒含有層からラジカルを発生させた後、上記ラジカルがトラップされたスピントラップ剤溶液に対して、電子スピン共鳴法による測定を行った際、ヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度が上記光触媒含有層1m当たり1.0×1020スピン以上となるものであり、本実施態様においては、上記の中でも5.0×1020スピン以上、特に1.0×1021スピン以上となるものであることが好ましい。これにより、光触媒含有層中での光触媒の活性を高いものとすることができ、短時間で効率よく表面の濡れ性を変化させることが可能な光触媒含有層とすることができるからである。
また本実施態様において、上記電子スピン濃度が上記値以上となるのは、上記高圧水銀ランプから照射された積算エネルギー量が、2000mJ/m以下、中でも1500mJ/m以下、特に1000mJ/m以下となる時であることが好ましい。これにより、光触媒含有層中の光触媒が、より少ないエネルギー量で活性化されるものとすることができ、パターニングに要する時間を短縮できるからである。
なお、本実施態様に用いられる高圧水銀ランプとしては、照度が550ルクスを示すものであり、紫外線を上記エネルギー量照射可能なものであれば特に限定されるものではない。
ここで、上記電子スピン濃度の測定方法について、図面を用いて説明する。図2は、本実施態様の光触媒含有層における電子スピン濃度の測定方法の工程を示す説明図である。まず、図2(a)に示すように、基材1上に形成された光触媒含有層3の表面に電子スピン濃度測定用冶具10を設置し、その後、図2(b)に示すように、電子スピン濃度測定用冶具10の筒内部にスピントラップ剤溶液11を添加する。さらに、図2(c)に示すように、一定量の紫外線12を光触媒含有層3に照射して光触媒含有層3からラジカルを発生させる。ここで、光触媒含有層3における紫外線12が照射される領域は、電子スピン濃度測定用冶具10の筒内部、すなわちスピントラップ剤11が光触媒含有層3と接触している領域を含むものとされる。その後、光触媒含有層3から発生したラジカルをトラップしたスピントラップ剤溶液11´を得て、このスピントラップ剤溶液11´を電子スピン共鳴装置で測定し、得られたラジカル由来の信号強度から、ヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度を求める。
この際、電子スピン濃度は、測定により得られたラジカル由来の信号強度を、スピン濃度既知のDPPH標準試薬を測定した場合の信号強度と比較することで求めることができる。詳細な算出方法としては、「電子スピン共鳴」(株式会社講談社 1991年発行)に記載されている方法を用いる。
なお、上記光触媒含有層には、光触媒含有層表面の特性を変化させる物質、すなわち光触媒の作用により発生するヒドロキシラジカルと反応を起こす物質が含有されている。したがって、ヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度を求める際には、ヒドロキシラジカル由来の信号強度、および上記ヒドロキシラジカルと反応を起こした物質から発生したラジカル由来の信号強度から、ヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度を求めることができる。
ここで、本発明に用いられる電子スピン濃度測定用冶具とは、ラジカルを発生せず、かつラジカルを消費しない材質から形成されたものであって、光触媒含有層と密着して配置された後、筒内部に添加されるスピントラップ剤溶液を保持することが可能なものであれば、特に限定されるものではない。なお、本実施態様でいう「ラジカルを発生させない」とは、光触媒含有層に紫外線を照射することにより発生するラジカルによって、電子スピン濃度測定用冶具から電子スピン濃度の測定値に実質的な影響を与える程ラジカルを発生させないことをいい、「ラジカルを消費しない」とは、光触媒含有層から発生するラジカルによって、電子スピン濃度の測定値に実質的な影響を与える程度電子スピン濃度測定用冶具が変質したりしないことをいうこととする。具体的には、石英からなる上記電子スピン濃度測定用冶具を用い、この電子スピン濃度測定用冶具内にスピントラップ剤溶液を添加して、照度550ルクスの高圧水銀ランプから積算エネルギー量が2000mJ/mとなるまで紫外線を照射した際に、1.0×1019スピン/m〜5.0×1019スピン/mの範囲内となる基準板に対して、上記材質からなる上記電子スピン濃度測定用冶具を用いて同様の測定を行った際、石英を用いた場合に対して、電子スピン濃度の誤差が、5%以下となる材質をいう。
このような電子スピン濃度測定用冶具の材質として、具体的には、天然石英、合成石英等が挙げられ、中でも高純度の合成石英が用いられることが好ましい。これらは、加工が容易であり、かつラジカルを発生したりすることなく、またラジカルに対して安定しているからである。
上記電子スピン濃度測定用冶具の形状としては、筒状であり、光触媒含有層とスピントラップ剤溶液とを接触させることができるものであれば特に限定されるものではない。具体的には、円筒状、あるいは断面が多角形の筒状等を挙げることができ、中でも円筒状であることが好ましい。スピントラップ剤溶液が、均一にラジカルをトラップすることができるからである。また、上記電子スピン濃度測定用冶具は、スピントラップ剤溶液の蒸発、外部環境からの汚染等を防止するために、蓋を有するものであっても良い。なお、蓋を有するものである場合には、上記蓋は上記紫外線を透過させる透過性を有するものであることが好ましい。
また、上記電子スピン濃度測定用冶具を光触媒含有層の表面に設置し、上記電子スピン濃度測定用冶具の筒内部にスピントラップ剤溶液を添加した際に、光触媒含有層およびスピントラップ剤溶液が接触する接触面積としては、特に限定されるものではないが、例えば1〜10cmの範囲内、中でも3〜8cmの範囲内であることが好ましい。
また、本実施態様おいては、上記電子スピン濃度測定用冶具が光触媒含有層と接触する領域に、電子スピン濃度測定用冶具と光触媒含有層との密着性を向上させるための流出防止手段を用いることが好ましい。これにより、光触媒含有層および電子スピン濃度測定用冶具の密着性が向上し、スピントラップ剤溶液の流出を防止することができるからである。このような流出防止手段としては、例えば電子スピン濃度測定用冶具側に形成されるシール部材であってもよく、また電子スピン濃度測定用冶具側および/または光触媒含有層側に塗布されるシール剤等であってもよい。
上記流出防止手段として電子スピン濃度測定用冶具側に形成されるシール部材としては、ラジカルを発生せず、かつラジカルを消費しない材質からなるものであって、光触媒含有層および電子スピン濃度測定用冶具との密着性が良好なものであれば、特に限定されるものではない。このようなシール部材としては、上記電子スピン濃度測定用冶具と一体に形成されているものであってもよく、また電子スピン濃度測定用冶具と着脱可能なものであってもよい。
また上記シール部材の形状については、上記光触媒含有層および電子スピン濃度測定用冶具と密着させることが可能な形状であれば特に限定されるものではない。通常電子スピン濃度測定用冶具のうち、光触媒含有層と面することとなる領域全体に形成されるものとされる。
また、上記流出防止手段として電子スピン濃度測定用冶具側および/または光触媒含有層側に塗布されるシール剤としては、ラジカルを発生せず、かつラジカルを消費しないものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコーングリースのような無機グリース等を挙げることができる。また、シール剤の使用量は、電子スピン濃度測定用冶具の形状、大きさ、あるいはスピントラップ剤の種類等を考慮して、適宜選択することが好ましい。
また、上記スピントラップ剤溶液は、通常、スピントラップ剤および溶媒を少なくとも含有するものである。上記スピントラップ剤としては、上記紫外線照射により上記光触媒含有層から発生するラジカルをトラップすることができるものであれば特に限定されるものではなく、信号強度の測定を行うラジカルに合わせて適宜選択されるものである。例えば、上記光触媒含有層から発生するヒドロキシラジカル由来の信号強度を測定する場合には、スピントラップ剤として、5,5-Dimethyl-1-pyrroline N-oxide(DMPO)を用いることが好ましい。
また、上記ヒドロキシラジカルと反応を起こした物質から発生するラジカルが例えば炭素ラジカルである場合には、スピントラップ剤として、3,5-dibromo-4-nitrosobenzenesulfonic acid(DBNBS)等を用いることが好ましい。
上記スピントラップ剤を溶解または分散させる溶媒としては、上記スピントラップ剤を溶解または分散させることが可能なものであれば特に限定されるものではなく、通常、水を用いることができる。
また上記スピントラップ剤溶液におけるスピントラップ剤の濃度としては、紫外線照射によって生じるラジカルをトラップできる濃度であれば特に限定されるものではないが、通常0.01〜1質量%程度、中でも0.1〜1質量%程度とすることができる。濃度が低すぎると、紫外線照射によって生じるラジカルをトラップしきれない可能性があり、濃度が高すぎると、得られる効果は変わらず、コスト面で好ましくないからである。
なお、本実施態様において、上記光触媒含有層のヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度を上記値以上とする方法としては、例えば光触媒含有層中に光触媒活性向上用添加剤を添加して、光触媒表面の光触媒活性を向上させる方法や、光触媒含有層中における光触媒の分散性を良好なものとし、効率よく活性酸素種を発生させる方法等が挙げられる。
上記光触媒活性向上用添加剤としては、例えば金属の酸化物や塩化物、硫化物、硫酸化物、硝酸化物、有機酸塩等が挙げられ、より具体的には、酸化スズ、塩化鉄、硝酸亜鉛、酢酸銀等が挙げられる。
また、上記光触媒含有層中における光触媒の分散性を向上させる方法としては、例えば光触媒含有層形成の際に、液性を酸性とすることにより、光触媒粒子同士の電気的反発力を利用して分散性を向上させる方法や、光触媒が凝集しないように、分散剤や凝集防止剤を添加する方法、また各成分が均一に分散するよう、一定条件下で攪拌、分散を行う方法、光触媒体を取り巻くバインダ成分を嵩高くして凝集を防止する方法等が挙げられる。
また、上記光触媒含有層を形成する際に用いられる洗浄方法や乾燥方法等を適宜選択することにより、上記光触媒含有層のヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度を上記値以上としてもよい。
上記洗浄方法としては、例えば、光触媒含有層を傷つけないよう注意しながら、表面を純水で洗浄する方法が好ましく用いられる。ここで、表面を洗浄する際、圧力の高い流水を用いた場合、逆に光触媒含有層の膜質劣化や光触媒活性低下を引き起こしてしまうため、純水槽に1分間程浸漬させた後、軽く純水でリンスする方法が好ましい。このような洗浄方法を用いることにより、光触媒表面に吸着し、活性酸素種をトラップしてしまう不純物や、上記光触媒含有層が形成された有機EL素子用基板を有機EL素子に用いた際、有機EL素子特性に悪影響を及ぼす不純物を除去することができるからである。
また、上記乾燥方法としては、例えば、光触媒含有層形成用塗工液を塗布後、室温下でしばらく静置した後、ホットプレート上で除々に加温しながら水の沸点以上まで温度を上げ、そのまま1時間加熱乾燥させ、上述した洗浄方法を用いて洗浄を行った後、さらに1時間加熱乾燥させる方法を用いることが好ましい。これにより、光触媒が凝集せずに水分を取り除くことができるからである。
また本実施態様に用いられる上記光触媒含有層は、電子または正孔を輸送する機能を有することが好ましい。これにより、本実施態様の有機EL素子用基板を用いて有機EL素子を形成した際に、有機EL素子の電気特性を向上させることが可能となるからである。
ここで、上記光触媒含有層に用いられる光触媒としては、光半導体として知られている例えば酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化鉄(Fe)等のような金属酸化物を挙げることができる。これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。本実施態様においては、これらの中でも酸化チタンを用いることが特に好ましい。酸化チタンは、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定であり、毒性もなく、入手も容易である点で有利である。
酸化チタンには、正方晶系に属するアナターゼ型およびルチル型と、斜方晶系に属するブルッカイト型とがあり、本実施態様ではいずれも使用することができ、またこれらを混合して使用することもできる。本実施態様においてはこれらの中でも、アナターゼ型酸化チタンを用いることが好ましい。アナターゼ型酸化チタンは励起波長が380nm以下にある。このようなアナターゼ型酸化チタンとしては、例えば塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製STS−02(平均粒径7nm)、石原産業(株)製ST−K01)、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製TA−15(平均粒径12nm))を挙げることができる。
また、ブルッカイト型酸化チタンも光触媒活性が高いことが知られており、好適に使用できる。
なお、光触媒含有層中に光触媒が含有されていることは、X線光電子分光法、ラザフォード後方散乱分光法、核磁気共鳴分光法、または質量分析法を用いて、あるいはこれらの方法を組み合わせて確認することができる。
また光触媒含有層中の光触媒の含有量は、この光触媒含有層の濡れ性を変化させることができ、かつ、正孔または電子の輸送を阻害しない程度の量であって、光触媒含有層が上述したように、活性酸素種を発生可能なものであれば特に限定されるものではないが、通常、5〜80質量%、好ましくは20〜70質量%の範囲で設定することができる。
また、本実施態様に用いられるバインダとしては、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、濡れ性が変化するものであることが好ましい。これにより、光触媒含有層中に、光触媒含有層の濡れ性を変化させる材料を別途添加する必要がないものとすることができるからである。
このような光触媒の作用により濡れ性が変化する材料としては、光触媒の作用により劣化、分解されないような高い結合エネルギーを有する主鎖をもつバインダであれば特に限定されるものではなく、具体的にはオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。本実施態様においては、中でも上記オルガノポリシロキサンが、フルオロアルキル基を含有するオルガノポリシロキサンであることが好ましい。これにより、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により、光触媒含有層の濡れ性が大きく変化するものとすることができるからである。なお、このようなフルオロアルキル基を有するオルガノポリシロキサンは、例えば特開2000−249821号公報に記載されているものと同様のものとすることができる。
また、上記光触媒含有層の形成方法としては、例えば光触媒とバインダであるオルガノポリシロキサンとを必要に応じて他の添加剤とともに溶剤中に分散して塗布液を調製し、この塗布液を基材上に塗布することにより形成することができる。使用する溶剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系の有機溶剤が好ましい。塗布はスピンコート、スプレーコート、ディップコート、ロールコート、ビードコート等の公知の塗布方法により行うことができる。バインダとして紫外線硬化型の成分を含有している場合、紫外線を照射して硬化処理を行うことにより光触媒含有層を形成することができる。
また、上記光触媒含有層には上記の光触媒およびバインダの他に、界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることができ、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
さらに、光触媒含有層には上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。
さらに、光触媒含有層には上記の光触媒、バインダ、界面活性剤のほかに、塩化鉄、硝酸銅、酸化錫、酢酸銀等の金属塩、金属酸化物や、金、銀、銅、鉄等金属微粒子や、トリアゾールのような紫外線吸収色素を含有させることができる。
ここで、本実施態様に用いられる光触媒含有層の厚みは、10nm〜1000nmであることが好ましく、中でも10nm〜500nm、特に10nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。光触媒含有層が薄すぎると濡れ性の違いが明確に発現しなくなり、濡れ性変化パターンの形成が困難になるからである。逆に、光触媒含有層が厚すぎると正孔または電子の輸送を阻害し、本実施態様の有機EL素子用基板を用いて有機EL素子とした際に、有機EL素子の電気特性に悪影響を及ぼす可能性があるからである。
(2)電極層
次に、本実施態様に用いられる電極層について説明する。本実施態様に用いられる電極層は、後述する基材上にパターン状に形成されるものである。本実施態様に用いられる電極層は、陽極であっても陰極であってもよいが、通常は陽極として形成される。
また、電極層は透明性を有していても有していなくてもよく、光の取出し面あるいは受取り面等によって適宜選択される。本実施態様の有機EL素子用基板を用いて有機EL素子を形成した際に、例えば電極層側から光を取り出す場合は、電極層は透明または半透明である必要がある。
陽極としては、正孔が注入し易いように仕事関数の大きい導電性材料を用いることが好ましく、具体的にはITO、酸化インジウム、金のような仕事関数の大きい金属、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等を挙げることができる。
また、電極層は抵抗が小さいことが好ましく、一般には金属材料が用いられるが、有機化合物または無機化合物を用いてもよい。
このような電極層の形成方法としては、一般的な電極の形成方法を用いることができ、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD法や、CVD法などを挙げることができる。また、電極層のパターニング方法としては、所望のパターンに精度よく形成することができる方法であれば特に限定されないが、具体的にはフォトリソグラフィー法等を挙げることができる。
(3)基材
本実施態様に用いられる基材は、上述した電極層および光触媒含有層を支持するものであり、所定の強度を有するものであれば特に限定されない。本実施態様においては、上記電極層が所定の強度を有する場合には、電極層が基材を兼ねるものであってもよいが、通常は所定の強度を有する基材上に電極層が形成される。
基材としては、上記電極層等が形成可能であれば特に限定されるものではないが、例えば光の取出し面あるいは受取り面により光透過性が必要か否かが適宜決定される。一般的には、基材側を光の取出し面あるいは受取り面とすることが好ましいことから、基材は透明な材料で形成されることが好ましい。
このような基材の形成材料としては、例えばソーダ石灰ガラス、アルカリガラス、鉛アルカリガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノケイ酸ガラス、シリカガラス等のガラス板、またはフィルム状に成形が可能な樹脂基板等を用いることができる。この樹脂基板に用いる樹脂としては、耐溶媒性および耐熱性の比較的高い高分子材料であることが好ましい。具体的には、フッ素系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリエステル、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、液晶性ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリミクロイキシレンジメチレンテレフタレート、ポリオキシメチレン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアクリレート、アクリロニトリル-スチレン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、シリコーン樹脂、非晶質ポリオレフィン等が挙げられる。また、上記の他にも所定の条件を満たす高分子材料であれば使用可能であり、2種類以上の共重合体を用いることもできる。さらに必要に応じて水分、酸素等のガスを遮断するガスバリア性を有する基材を用いてもよい。
また、本実施態様においては、基材上に遮光部を設けてもよい。遮光部を形成した場合には、基材側からエネルギーを照射することにより、マスクやレーザーによる描画等を用いることなく、遮光部が設けられていない部分の光触媒含有層表面の濡れ性を変化させることが可能となる。したがって、光触媒含有層とマスクとの位置合わせが不要であることから、簡便な工程とすることが可能であり、また描画照射に必要な高価な装置も不必要であることから、コスト的に有利である。
このような遮光部の形成位置としては、基材上に遮光部を形成し、その上に光触媒含有層を形成する場合、すなわち基材と光触媒含有層との間に形成する場合と、基材の光触媒含有層が形成されていない側の表面にパターン状に形成する場合とがある。
上記遮光部の形成方法は、特に限定されるものではなく、遮光部の形成面の特性や、必要とするエネルギーに対する遮蔽性等に応じて適宜選択されて用いられる。例えば、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成されてもよい。このパターニングの方法としては、スパッタ等の通常のパターニング方法を用いることができる。
また、樹脂バインダ中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層をパターン状に形成する方法であってもよい。用いられる樹脂バインダとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂製遮光部の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。このような樹脂製遮光部のパターニングの方法は、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
(4)有機EL素子用基板
次に、本実施態様の有機EL素子用基板について説明する。本実施態様の有機EL素子用基板は、上記基材、電極層、および光触媒含有層を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば必要に応じて適宜絶縁層やバリア層等を有していてもよい。
ここで、本実施態様の有機EL素子用基板は、上記光触媒含有層の濡れ性が変化していないものであってもよいが、本実施態様においては特に、上記光触媒含有層の表面の濡れ性がパターン状に変化していることが好ましい。これにより、本実施態様の有機EL素子用基板を用いて有機EL素子を形成する際、この濡れ性変化パターンに沿って高精細に有機EL層を形成可能なものとすることができるからである。以下、このような濡れ性変化パターンについて説明する。
(濡れ性変化パターン)
上記光触媒含有層上に形成される濡れ性変化パターンとしては、光触媒含有層上に形成される有機EL層の形状に合わせて適宜選択されるものであり、そのパターンは特に限定されるものではない。
本実施態様においては、上記光触媒含有層がエネルギー照射に伴う光触媒の作用により特性が変化するものであることから、例えば図3に示すように、光触媒含有層3に対して、フォトマスク20等を用いてパターン状にエネルギー21を照射することにより(図3(a))、光触媒含有層3上に、濡れ性が変化した濡れ性変化パターン4を形成することができる(図3(b))。通常、上記エネルギー照射された部分が親液性領域、エネルギー照射されていない領域が撥液性領域として用いられることとなる。
ここで、親液性領域とは、液体との接触角が小さい領域であり、本実施態様により製造される有機EL素子用基板を用いて有機EL素子を製造する際に使用される有機EL層形成用塗工液に対する濡れ性の良好な領域をいうこととする。また、撥液性領域とは、液体との接触角が大きい領域であり、有機EL層形成用塗工液に対する濡れ性が悪い領域をいうこととする。
エネルギー照射により形成される親液性領域と、エネルギー未照射の撥液性領域との、有機EL層形成用塗工液に対する接触角は、少なくとも1°以上、好ましくは5°以上、特に10°以上異なることが好ましい。
また、エネルギー照射された部分、すなわち親液性領域においては、エネルギー照射により液体との接触角が低下して、表面張力40mN/mの液体との接触角が9°以下、好ましくは表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下、特に表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下の濡れ性を示すことが好ましい。エネルギー照射された部分、すなわち親液性領域における液体との接触角が高いと、有機EL層を形成する際に、この部分での有機EL層形成用塗工液の広がりが劣る可能性があり、有機EL層、特に発光層の欠け等の問題が生じる可能性があるからである。
一方、光触媒含有層は、エネルギー照射されていない部分、すなわち撥液性領域においては、表面張力40mN/mの液体との接触角が10°以上、好ましくは表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上、特に表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上の濡れ性を示すことが好ましい。エネルギー照射されていない部分は、撥液性が要求される部分であることから、液体との接触角が小さい場合は、撥液性が十分でなく、有機EL層を形成する際に、パターニング特性が低下する可能性があるからである。
なお、ここでいう液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)し、その結果から、もしくはその結果をグラフにして得たものである。また、この測定に際して、種々の表面張力を有する液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液を用いた。
なお、本実施態様でいうエネルギー照射(露光)とは、光触媒を励起することが可能ないかなるエネルギー線の照射をも含む概念であり、紫外線、可視光線、赤外線の他、これらの光線よりもさらに短波長または長波長の電磁波、放射線も含まれる。
エネルギーの照射方法は、光触媒含有層の濡れ性を変化させることが可能な方法であれば、特に限定されるものではない。また、エネルギーの照射は、目的とするパターンが形成された、例えばフォトマスク等のマスクを用いて行ってもよい。これにより、目的とするパターン状にエネルギーを照射することが可能となり、光触媒含有層の濡れ性をパターン状に変化させることができるからである。この際、用いられるマスクの種類としては、目的とするパターン状にエネルギーが照射可能であれば、特に限定されるものではなく、エネルギーを透過する素材に遮光部が形成されたフォトマスク等であってもよく、また目的とするパターン状に孔部が形成されているシャドウマスク等であってもよい。また、これらのマスクの材料として、具体的には金属、ガラスやセラミック等の無機物、またはプラスチック等の有機物等を挙げることができる。
さらに、上記基材上に遮光部が形成されている場合には、この遮光部を利用して、基材側から全面にエネルギーを照射するものであってもよい。これにより、上記遮光部が形成されていない位置の光触媒含有層にのみエネルギーを照射することができ、この部分の光触媒含有層の濡れ性を変化させることができるからである。この場合、上記マスクやレーザー等による描画の必要がないことから、位置合わせや高価な描画装置等を必要としないという利点がある。
エネルギー照射には通常、紫外線が用いられ、具体的な光の波長としては400nm以下の範囲、好ましくは150nm〜380nmの範囲内から設定される。これは、上述したように光触媒含有層に用いられる好ましい光触媒が酸化チタンであり、この酸化チタンにより光触媒作用を活性化させるエネルギーとして、上述した波長の光が好ましいからである。
このようなエネルギー照射に用いることができる光源としては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、エキシマランプ、その他種々の光源を挙げることができる。また、エキシマ、YAG等のレーザーを用いてエネルギー照射を行ってもよい。レーザーを用いてエネルギー照射を行うことにより、上述したフォトマスク等の位置合わせ等が必要なく、また基材上に遮光部を形成することなく、高精細に光触媒含有層の濡れ性を変化させることができるのである。
また、光触媒としてアナターゼ型酸化チタンを用いた場合は、アナターゼ型酸化チタンの励起波長が380nm以下にあるので、エネルギー照射は紫外線により行うことができる。このような紫外線を発する光源としては、高圧水銀ランプ(154、313、365、405、436、546、577nm)、超高圧水銀ランプ(250〜600nm)、メタルハライドランプ(250〜600nm)、キセノンランプ(300〜1100nm)、エキシマレーザー、およびその他の紫外線光源を使用することができる。
エネルギー照射に際してのエネルギーの照射量は、光触媒含有層中の光触媒の作用により光触媒含有層の濡れ性の変化が行われるのに必要な照射量とする。
2.第2実施態様
次に、本発明における有機EL素子用基板の第2実施態様について説明する。本発明における有機EL素子用基板の第2実施態様は、基材と、上記基材上にパターン状に形成された電極層と、上記電極層を覆うように形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層と、上記光触媒処理層上に形成され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層とを有する有機エレクトロルミネッセント素子用基板であって、上記濡れ性変化層の表面に、ラジカルを発生せず、かつラジカルを消費しない材質から形成された筒状の電子スピン濃度測定用冶具を設置して上記電子スピン濃度測定用冶具の筒内部にスピントラップ剤溶液を添加し、照度550ルクスの高圧水銀ランプから積算エネルギー量が2000mJ/mとなるまで上記光触媒処理層に紫外線を照射して上記光触媒処理層からラジカルを発生させた後、上記ラジカルがトラップされたスピントラップ剤溶液に対して、電子スピン共鳴法による測定を行った際、ヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度が上記光触媒処理層1m当たり1.0×1020スピン以上であることを特徴とするものである。
本実施態様の有機EL素子用基板は、例えば図4に示すように、基材1と、その基材1上にパターン状に形成された電極層2と、電極層2を覆うように形成された光触媒処理層5と、その光触媒処理層5上に形成された濡れ性変化層6とを有するものである。またこの光触媒処理層は、所定の方法で紫外線を照射することにより発生させたラジカルに対して電子スピン共鳴法による測定を行った際、ヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度が所定の値以上であるものとされる。
本実施態様によれば、上記光触媒処理層中に含有される光触媒の活性酸素種の発生効率が高く、短時間で効率よく濡れ性変化層の濡れ性を変化させることが可能であり、濡れ性変化層上に濡れ性の変化したパターンを形成する際、パターンが太ってしまうこと等のないものとすることができる。
また、本実施態様によれば、上記活性酸素種の発生効率が高いことから、光触媒処理層や濡れ性変化層の膜厚を薄くした場合であっても、効率よく濡れ性変化層の濡れ性を変化させることができ、濡れ性変化の度合いが大きいものとすることができる。したがって、上記光触媒処理層や濡れ性変化層の膜厚を薄く形成することができ、本実施態様の有機EL素子用基板を有機EL素子に用いた際、光触媒処理層や濡れ性変化層等により、電荷注入効率が低下することが少ないものとすることができるのである。以下、本実施態様の有機EL素子用基板の各構成について詳しく説明する。なお、上記電極層および基材については、第1実施態様と同様のものを用いることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
(1)光触媒処理層
本実施態様に用いられる光触媒処理層は、上記電極層上に形成されるものであって、少なくとも光触媒を含有するものであれば、特に限定されるものではないが、本実施態様においては特に、電子または正孔を輸送する機能を有することが好ましい。これにより、本実施態様の有機EL素子用基板を用いて有機EL素子を形成した際に、有機EL素子の電気特性を向上させることが可能となるからである。
また、上記光触媒処理層は、上記濡れ性変化層の表面に、ラジカルを発生せず、かつラジカルを消費しない材質から形成された筒状の電子スピン濃度測定用冶具を設置して上記電子スピン濃度測定用冶具の筒内部にスピントラップ剤溶液を添加し、照度550ルクスの高圧水銀ランプから積算エネルギー量が2000mJ/mとなるまで紫外線を照射して上記光触媒処理層からラジカルを発生させた後、上記ラジカルがトラップされたスピントラップ剤溶液に対して、電子スピン共鳴法による測定を行った際、ヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度が上記光触媒処理層1m当たり1.0×1020スピン以上となるものであり、本実施態様においては、上記の中でも5.0×1020スピン以上、特に1.0×1021スピン以上となるものであることが好ましい。これにより、光触媒処理層中での光触媒の活性を高いものとすることができ、短時間で効率よく濡れ性変化層の濡れ性を変化させることができる光触媒処理層とすることができるからである。
また本実施態様において、上記電子スピン濃度が上記値以上となるのは、上記高圧水銀ランプから照射された積算エネルギー量が、2000mJ/m以下、中でも1500mJ/m以下、特に1000mJ/m以下となる時であることが好ましい。これにより、光触媒処理層中の光触媒が、より少ないエネルギー量で活性化されるものとすることができ、パターニングに要する時間を短縮できるからである。なお、上記電子スピン濃度は、上述した方法により測定することができる。
なお、本実施態様においては、上記濡れ性変化性変化層表面に電子スピン濃度測定用冶具を設置して電子スピン濃度の測定が行われることから、上記ヒドロキシラジカル由来の信号強度、および上記ヒドロキシラジカルと反応を起こした物質から発生したラジカル由来の信号強度によって、ヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度を求めることができる。また、上記電子スピン濃度の算出方法や、測定に用いられる電子スピン濃度測定用冶具、スピントラップ剤、および高圧水銀ランプについては、上述した第1実施態様の光触媒含有層の項で説明したものと同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。なお、本実施態様においては、上記光触媒処理層表面に、上記電子スピン濃度測定用冶具を設置して、上記電子スピン濃度を測定する方法とすることもできる。
また、上記光触媒処理層のヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度を上記値以上とする方法としては、例えば光触媒処理層中に光触媒活性向上用添加剤を添加して、光触媒表面の光触媒活性を向上させる方法や、光触媒処理層中における光触媒の分散性を良好なものとし、効率よく活性酸素種を発生させる方法等が挙げられる。このような方法としては、上述した第1実施態様の光触媒含有層の項で説明した方法と同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
また、光触媒処理層は、光触媒単独で形成されたものであってもよく、また光触媒とバインダとを混合して形成されたものであってもよい。光触媒とバインダとからなる光触媒処理層の場合は、光触媒処理層の形成が容易であるという利点を有する。光触媒処理層に用いられるバインダとしては、上記第1実施態様の光触媒含有層に用いられるバインダと同様のものを用いることができる。なお、光触媒については、上記第1実施態様に記載したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
また、光触媒のみからなる光触媒処理層の形成方法としては、例えば、スパッタリング法、CVD法、真空蒸着法等の真空製膜法を用いる方法を挙げることができる。真空製膜法により光触媒処理層を形成することにより、均一な膜でかつ光触媒のみを含有する光触媒処理層とすることが可能である。
なお、光触媒のみからなる光触媒処理層の形成方法として、例えば光触媒が二酸化チタンの場合は、上記電極層を覆うように無定形チタニアを形成し、次いで焼成により結晶性チタニアに相変化させる方法等が挙げられる。ここで用いられる無定形チタニアとしては、例えば四塩化チタン、硫酸チタン等のチタンの無機塩の加水分解、脱水縮合、テトラエトキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラブトキシチタン、テトラメトキシチタン等の有機チタン化合物を酸存在下において加水分解、脱水縮合によって得ることができる。次いで、400℃〜500℃における焼成によってアナターゼ型チタニアに変性し、600℃〜700℃の焼成によってルチル型チタニアに変性することができる。
また、上記光触媒処理層の厚みは、10nm〜1000nmであることが好ましく、中でも10nm〜500nm、特に10nm〜200nmの範囲内であることが好ましい。光触媒処理層が薄すぎると、濡れ性変化層の濡れ性を変化させることが困難になる場合があるからである。逆に、光触媒処理層が厚すぎると正孔または電子の輸送を阻害し、本実施態様の有機EL素子用基板を用いて有機EL素子とした際に、有機EL素子の電気特性に悪影響を及ぼす可能性があるからである。
(2)濡れ性変化層
本実施態様に用いられる濡れ性変化層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する材料を含有するものであれば特に限定されない。なお、光触媒の作用により濡れ性が変化する材料については、上記第1実施態様の光触媒含有層中に含有されるバインダと同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、濡れ性変化層には、上記第1実施態様に記載されているものと同様の界面活性剤や、添加剤等を含有させてもよい。
さらに、上記濡れ性変化層には、電子あるいは正孔を輸送する電荷輸送性を向上させる目的で、電荷輸送性向上物質を含有させてもよい。
上記濡れ性変化層の厚みは、濡れ性変化パターンの形成が可能であり、かつ、正孔または電子の輸送を阻害しないような厚みであれば特に限定されるものではない。
(3)有機EL素子用基板
次に、本実施態様の有機EL素子用基板について説明する。本実施態様の有機EL素子用基板は、上記基材、電極層、光触媒処理層、および濡れ性変化層を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば必要に応じて絶縁層や遮光部、バリア層等を有していてもよい。
ここで、本実施態様においては、上記濡れ性変化層の濡れ性が変化していないものであってもよいが、本実施態様においては特に、上記濡れ性変化層の表面の濡れ性がパターン状に変化していることが好ましい。これにより、本実施態様の有機EL素子用基板を用いて有機EL素子を形成する際、この濡れ性変化パターンに沿って高精細に有機EL層を形成可能なものとすることができるからである。
なお、このような濡れ性変化パターンの形成方法としては、第1実施態様と同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
B.有機EL素子
次に、本発明の有機EL素子について説明する。本発明の有機EL素子についても、その構成の違いにより2つの実施態様がある。以下、それぞれの実施態様ごとに詳しく説明する。
1.第1実施態様
まず、本発明の有機EL素子の第1実施態様について説明する。本発明の有機EL素子の第1実施態様は、上述した第1実施態様の有機エレクトロルミネッセント素子用基板の光触媒含有層上に形成された有機エレクトロルミネッセント層と、上記有機エレクトロルミネッセント層上に形成された対向電極層とを有することを特徴とするものである。
本実施態様の有機EL素子は、例えば図5に示すように、基材1と、その基材1上にパターン状に形成された電極層2と、その電極層2上に形成された光触媒含有層3と、その光触媒含有層3上に形成された有機EL層7と、その有機EL層7上に形成された対向電極層8とを有するものである。
本実施態様によれば、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する光触媒含有層が形成されていることから、上記光触媒含有層上に形成された濡れ性変化パターンに沿って有機EL層が形成されたものとすることができる。したがって、有機EL層を、簡便な工程で効率よく形成することが可能となる。また、上記光触媒含有層中の光触媒の活性が高いことから、上記光触媒含有層の濡れ性を短時間で効率よく変化させることができる。したがって、エネルギーの回り込み等により、パターンが太ること等のないものとすることができ、高精細なパターン状に有機EL層が形成されたものとすることができるのである。
またさらに、上記光触媒含有層中の光触媒の活性が高いことから、上記光触媒含有層の膜厚を薄いものとすることができる。したがって、上記光触媒含有層が電荷注入効率を低下させることの少ないものとすることができ、発光特性の高い有機EL素子とすることができるのである。
以下、本実施態様の有機EL素子の各構成について説明する。なお、上記基材、電極層、光触媒含有層については、上述した「A.有機EL素子用基板」の第1実施態様で説明したものと同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
(1)有機EL層
本実施態様に用いられる有機EL層は、少なくとも発光層を含む1層もしくは複数層の有機層から構成されるものである。すなわち、有機EL層とは、少なくとも発光層を含む層であり、その層構成が有機層1層以上の層をいう。通常、塗布によるウェットプロセスで有機EL層を形成する場合は、溶媒との関係で多数の層を積層することが困難であることから、1層もしくは2層の有機層で形成される場合が多いが、有機材料を工夫したり、真空蒸着法を組み合わせたりすることにより、さらに多数層とすることも可能である。
発光層以外に有機EL層内に形成される有機層としては、正孔注入層や電子注入層といった電荷注入層を挙げることができる。さらに、その他の有機層としては、発光層に正孔を輸送する正孔輸送層、発光層に電子を輸送する電子輸送層といった電荷輸送層を挙げることができるが、通常これらは上記電荷注入層に電荷輸送の機能を付与することにより、電荷注入層と一体化される場合が多い。その他、有機EL層内に形成される有機層としては、キャリアブロック層のような正孔あるいは電子の突き抜けを防止し、再結合効率を高めるための層等を挙げることができる。
本実施態様において、有機EL素子用基板の光触媒含有層が、電子または正孔を輸送する機能を有する場合には、光触媒含有層が例えば正孔注入層もしくは正孔輸送層、または正孔注入機能および正孔輸送機能の両機能を有する単一の層からなる正孔注入輸送層としての役割を兼ねることができる。この場合には、有機EL層として、正孔注入層、正孔輸送層、または正孔注入機能および正孔輸送機能を有する単一の正孔注入輸送層を設ける必要はない。
以下、このような有機EL層の各構成について説明する。
a.発光層
本実施態様における有機EL層の必須構成である発光層としては、例えば色素系発光材料、金属錯体系発光材料、高分子系発光材料等の発光材料を用いることができる。
色素系発光材料としては、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマーなどを挙げることができる。
また、金属錯体系発光材料としては、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロビウム錯体等、中心金属にAl、Zn、Be等または、Tb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体を挙げることができる。
さらに、高分子系発光材料としては、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール等、ポリフルオレン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、およびそれらの共重合体等を挙げることができる。
上記発光層中には、発光効率の向上、発光波長を変化させる等の目的でドーピング剤を添加してもよい。このようなドーピング剤としては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル系色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体を挙げることができる。
発光層の厚みとしては、電子と正孔との再結合の場を提供して発光する機能を発現することができる厚みであれば特に限定されるものではなく、例えば1nm〜500nm程度とすることができる。
本実施態様においては、上述したように、光触媒含有層が例えば正孔注入層、正孔輸送層、または正孔注入機能および正孔輸送機能を有する単一の層からなる正孔注入輸送層としての役割を兼ねる場合には、上記光触媒含有層上に、有機EL層として発光層がパターン状に形成されていることが好ましい。発光層が赤・緑・青の3色の発光層となるようにパターン状に形成されていることにより、カラー表示が可能な有機EL素子とすることができるからである。
このような発光層の形成方法としては、上記材料を含有する発光層形成用塗工液を、上述した濡れ性変化パターンが形成された光触媒含有層上に塗布すること等により、形成することができる。このような発光層形成用塗工液の塗布方法としては、上述した光触媒含有層の濡れ性変化パターン上に塗布することが可能な方法であれば特に限定されるものではないが、発光層を均一かつ高精細に形成することが可能な方法であることが好ましい。このような塗布方法としては、例えばディップコート法、ロールコート法、ブレードコート法、スピンコート法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ワイヤーバーコート法、キャスト法、インクジェット法、LB法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。
b.電荷注入輸送層
本実施態様においては、電極層または対向電極層と発光層との間に電荷注入輸送層が形成されていてもよい。ここでいう電荷注入輸送層とは、上記発光層に電極層または対向電極層からの電荷を安定に輸送する機能を有するものであり、このような電荷注入輸送層を発光層と電極層または対向電極層との間に設けることにより、発光層への電荷の注入が安定化し、発光効率を高めることができる。
このような電荷注入輸送層としては、陽極から注入された正孔を発光層内へ輸送する正孔注入輸送層、陰極から注入された電子を発光層内へ輸送する電子注入輸送層とがある。以下、正孔注入輸送層および電子注入輸送層について説明する。
(i)正孔注入輸送層
本実施態様に用いられる正孔注入輸送層としては、発光層に正孔を注入する正孔注入層、および正孔を輸送する正孔輸送層のいずれか一方であってもよく、正孔注入層および正孔輸送層が積層されたものであってもよく、または、正孔注入機能および正孔輸送機能の両機能を有する単一の層であってもよい。
本実施態様においては、通常、有機EL素子用基板の電極層が陽極となることから、正孔注入輸送層は発光層と電極層との間に形成される。
正孔注入輸送層に用いられる材料としては、陽極から注入された正孔を安定に発光層内へ輸送することができる材料であれば特に限定されるものではなく、上記発光層の発光材料に例示した化合物の他、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリフェニレンビニレン誘導体等を用いることができる。具体的には、ビス(N−(1−ナフチル−N−フェニル)ベンジジン(α−NPD)、4,4,4−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、ポリ3,4エチレンジオキシチオフェン−ポリスチレンスルホン酸(PEDOT−PSS)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)等が挙げられる。
また、正孔注入輸送層の厚みとしては、陽極から正孔を注入し、発光層へ正孔を輸送する機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されないが、具体的には0.5nm〜1000nmの範囲内、中でも10nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。
(ii)電子注入輸送層
本実施態様に用いられる電子注入輸送層としては、発光層に電子を注入する電子注入層、および電子を輸送する電子輸送層のいずれか一方であってもよく、電子注入層および電子輸送層が積層されたものであってもよく、または、電子注入機能および電子輸送機能の両機能を有する単一の層であってもよい。
本実施態様においては、通常、対向電極層が陰極となることから、電子注入輸送層は発光層と対向電極層との間に形成される。
電子注入層に用いられる材料としては、発光層内への電子の注入を安定化させることができる材料であれば特に限定されるものではなく、上記発光層の発光材料に例示した化合物の他、アルミニウムリチウム合金、フッ化リチウム、ストロンチウム、酸化マグネシウム、フッ化マグネシウム、フッ化ストロンチウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、酸化アルミニウム、酸化ストロンチウム、カルシウム、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、リチウム、セシウム、フッ化セシウム等のようにアルカリ金属類、およびアルカリ金属類のハロゲン化物、アルカリ金属の有機錯体等を用いることができる。
上記電子注入層の厚みとしては、電子注入機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されない。
また、電子輸送層に用いられる材料としては、電極層もしくは対向電極層から注入された電子を発光層内へ輸送することが可能な材料であれば特に限定されるものではなく、例えばバソキュプロイン、バソフェナントロリン、フェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、またはトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)等を挙げることができる。
上記電子輸送層の厚みとしては、電子輸送機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されない。
さらに、電子注入機能および電子輸送機能の両機能を有する単一の層からなる電子注入輸送層としては、電子輸送性の有機材料にアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属をドープした金属ドープ層を形成し、これを電子注入輸送層とすることができる。上記電子輸送性の有機材料としては、例えばバソキュプロイン、バソフェナントロリン、フェナントロリン誘導体等を挙げることができ、ドープする金属としては、Li、Cs、Ba、Sr等が挙げられる。
上記の単一の層からなる電子注入輸送層の厚みとしては、電子注入機能および電子輸送機能が十分に発揮される厚みであれば特に限定されない。
(2)対向電極層
本実施態様に用いられる対向電極層は、上記有機EL層上に形成されるものであり、有機EL素子用基板の電極層に対向する電極である。本実施態様に用いられる対向電極層は、陽極であっても陰極であってもよいが、通常は陰極として形成される。
また、対向電極層は、透明性を有していても有していなくてもよく、光の取出し面あるいは受取り面等によって適宜選択される。例えば対向電極層側から光を取り出す場合は、対向電極層は透明または半透明である必要がある。
陰極としては、電子が注入しやすいように仕事関数の小さい導電性材料を用いることが好ましく、例えばMgAg等のマグネシウム合金、AlLi、AlCa、AlMg等のアルミニウム合金、Li、Caをはじめとするアルカリ金属類およびアルカリ土類金属類、または、アルカリ金属類およびアルカリ土類金属類の合金などが挙げられる。
また、対向電極層は抵抗が小さいことが好ましく、一般には金属材料が用いられるが、有機化合物または無機化合物を用いてもよい。
なお、対向電極層のその他の点については、上述した「A.有機EL素子用基板」の電極層の項で説明したものと同様であるので、ここでの説明は省略する。
(3)有機EL素子
本実施態様の有機EL素子は、上記基材、電極層、光触媒含有層、有機EL層、および対向電極層を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば絶縁層やバリア層等、必要に応じて適宜有していてもよい。
2.第2実施態様
本発明の有機EL素子の第2実施態様は、上述した第2実施態様の有機エレクトロルミネッセント素子用基板の濡れ性変化層上に形成された有機エレクトロルミネッセント層と、上記有機エレクトロルミネッセント層上に形成された対向電極層とを有することを特徴とするものである。
本実施態様の有機EL素子は、例えば図6に示すように、基材1と、その基材1上にパターン状に形成された電極層2と、その電極層2上に形成された光触媒処理層5と、その光触媒処理層5上に形成された濡れ性変化層6と、上記濡れ性変化層6上に形成された有機EL層7と、その有機EL層7上に形成された対向電極層8とを有するものである。
本実施態様によれば、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層が形成されていることから、上記濡れ性変化層上に形成された濡れ性変化パターンに沿って有機EL層が形成されたものとすることができる。したがって、有機EL層を、簡便な工程で効率よく形成することが可能となる。また、上記光触媒処理層中の光触媒の活性が高いことから、上記濡れ性変化層の濡れ性を短時間で効率よく変化させることができる。したがって、エネルギーのまわり込み等により、パターンが太ること等のないものとすることができ、高精細なパターン状に有機EL層が形成されたものとすることができるのである。
またさらに、上記光触媒処理層中の光触媒の活性が高いことから、上記光触媒処理層および濡れ性変化層の膜厚を薄いものとすることができ、上記光触媒処理層や濡れ性変化層によって電荷注入効率が低下すること等の少ない、発光特性の高い有機EL素子とすることができるのである。
なお、本実施態様の有機EL素子に用いられる基材、電極層、光触媒処理層、および濡れ性変化層については、上述した「A.有機EL素子用基板」の第2実施態様で説明したものと同様とすることができ、上記有機EL層、および対向電極層については、上述した第1実施態様と同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
なお、本実施態様においても、上記基材、電極層、光触媒処理層、濡れ性変化層、有機EL層、および対向電極層の他に、例えば絶縁層やバリア層等、必要に応じて適宜有していてもよい。また、上記光触媒処理層や濡れ性変化層が、電子または正孔を輸送する機能を有する場合には、これらの層が例えば正孔注入層もしくは正孔輸送層、または正孔注入機能および正孔輸送機能の両機能を有する単一の層からなる正孔注入輸送層としての役割を兼ねることができる。
また、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例]
(有機EL素子用基板の形成)
3gのイソプロピルアルコール、0.1gのテトラエトキシシランおよび0.5gの酸化チタンゾル液(商品名:STK-01、石原産業社製)に、濡れ性変化特性を付与するために、0.004gのフルオロアルキルシランを混合し、100℃で30分間攪拌して、濡れ性変化特性を有する光触媒組成物の分散液を調製した。調製した分散液を、洗浄済みのITOガラス基板上にスピンコーティング法によりコートし、室温下で3分間乾燥させた。その後、ホットプレート上にコーティング物を移し、室温から徐々に200℃まで温度を上げ、200℃に達してから1時間加熱乾燥させ、厚さ80nmの光触媒組成物塗布膜を得た。基板、材料の変質を抑えるため、ホットプレートの加熱温度が200℃を上回らないように注意した。
乾燥した膜を、純水を満たしたガラス容器中に1分間浸漬した後、取り出し、純水洗浄し、上述と同様に200℃ホットプレート上でさらに1時間させ、基板上に濡れ性変化特性を有する透明な光触媒含有層(正孔輸送層)を成膜し、有機EL素子用基板を形成した。
(ヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度の測定)
上記有機EL素子用基板の光触媒含有層に、表面をきずつけないように慎重に、端部に微量のシリコーングリースを塗布した直径2cm(面積約3.14cm)の円を底面に有する筒状の合成石英治具を密着させた。この筒内部に、静かに、事前に調製したスピントラップ剤(DMPO)5%純水溶液をマイクロピペッターにより正確に2ml滴下した。この際、光触媒含有層面と治具の接触部分より、スピントラップ剤の漏れが無いことを確認した。この光触媒含有層に対し、高圧水銀ランプにより紫外線を垂直方向から2000mJ/m照射し、マイクロピペッターにより、上述2mlのスピントラップ剤純水溶液部分から1mlを抜き取り、電子スピン濃度測定用サンプル管に投入し、電子スピン濃度測定を実施した。その測定結果から、ヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度を、書籍(電子スピン共鳴;株式会社講談社1991年発行)記載の方法に従って求めたところ、光触媒含有層1m当たり1.8×1020スピンであった。
(有機EL素子の形成)
上記有機EL素子用基板の光触媒含有層に対し、フォトマスクを介して、高圧水銀灯により照度70mW/cmで50秒間光照射することによって、照射部(親液性領域)と非照射部(撥液性領域)とで接触角差のあるパターンを形成した。
次に、上記光触媒含有層の親液性領域に、予めろ過をしたADS社製EL発光層用インキ(ADS100TS)を、インクジェット法により吐出し、100℃で1時間乾燥させることにより、赤色発光層を形成した。この際、赤色発光層のパターン幅は、設計通りに濡れ広がって仕上がり、上述の光触媒が、電子スピン共鳴スペクトルにより活性の高い光触媒が選定されている効果が得られた。続いて赤色発光層上に、Caを500オングストロームの厚みで蒸着し、さらに保護層としてAgを2500オングストロームの厚みで蒸着し、有機EL素子を作成した。ITO電極側を陽極、Ag電極側を陰極に接続し、ソースメーターにより、直流電流を印加した結果、10V印加時に良好な赤色発光が認められた。
[比較例]
(有機EL素子用基板の形成)
ホットプレートによる乾燥温度を、300℃に変えたこと以外は、全て実施例と同様にして有機EL素子用基板を形成した。
(ヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度の測定)
得られた有機EL素子用基板の光触媒含有層に対して、実施例と同様に電子スピン共鳴スペクトル測定を行った結果、積算露光量2000mJ/mの紫外線照射に対するヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度は、光触媒含有層1m当たり5.7×1019スピンであって、過剰加熱により、不要な変質が生じ、求める活性種の生成が抑制されてしまうことが分かった。
(有機EL素子の形成)
ホットプレートによる乾燥温度を、300℃に変えたこと以外は、全て実施例と同様にして、有機EL素子を作製した。ITO電極側を陽極、Ag電極側を陰極に接続し、ソースメーターにより、直流電流を印加した結果、10V印加時に赤色発光が認められたが、発光パターン幅は設計よりも太く、所望の発光ライン&スペースが確保できなかった。
本発明の有機EL素子用基板の一例を示す概略断面図である。 本発明に用いられる電子スピン濃度の測定方法を説明する説明図である。 本発明に用いられる光触媒含有層のパターニング方法を説明する説明図である。 本発明の有機EL素子用基板の他の例を示す概略断面図である。 本発明の有機EL素子の一例を示す概略断面図である。 本発明の有機EL素子の他の例を示す概略断面図である。
符号の説明
1 …基材
2 …電極層
3 …光触媒含有層
5 …光触媒処理層
6 …濡れ性変化層
7 …有機EL層
8 …対向電極層
10 …電子スピン濃度測定用冶具
11 …スピントラップ剤溶液
12 …紫外線

Claims (2)

  1. 基材と、前記基材上にパターン状に形成された電極層と、前記電極層を覆うように形成され、光触媒およびバインダを含有し、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する光触媒含有層とを有する有機エレクトロルミネッセント素子用基板を準備し
    前記光触媒含有層の表面に、ラジカルを発生せず、かつラジカルを消費しない材質から形成された筒状の電子スピン濃度測定用冶具を設置して前記電子スピン濃度測定用冶具の筒内部にスピントラップ剤溶液を添加し、照度550ルクスの高圧水銀ランプから積算エネルギー量が2000mJ/mとなるまで前記光触媒含有層に紫外線を照射して前記光触媒含有層からラジカルを発生させた後、前記ラジカルがトラップされたスピントラップ剤溶液に対して、電子スピン共鳴法による測定を行い、
    前記電子スピン共鳴法による測定の結果、ヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度が前記光触媒含有層1m当たり1.0×1020スピン以上である高活性有機エレクトロルミネッセント素子用基板を用い、
    前記高活性有機エレクトロルミネッセント素子用基板の光触媒含有層上に、有機エレクトロルミネッセント層を形成し、
    前記有機エレクトロルミネッセント層上に対向電極層を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子の製造方法。
  2. 基材と、前記基材上にパターン状に形成された電極層と、前記電極層を覆うように形成され、少なくとも光触媒を含有する光触媒処理層と、前記光触媒処理層上に形成され、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により濡れ性が変化する濡れ性変化層とを有する有機エレクトロルミネッセント素子用基板を準備し
    前記濡れ性変化層の表面に、ラジカルを発生せず、かつラジカルを消費しない材質から形成された筒状の電子スピン濃度測定用冶具を設置して前記電子スピン濃度測定用冶具の筒内部にスピントラップ剤溶液を添加し、照度550ルクスの高圧水銀ランプから積算エネルギー量が2000mJ/mとなるまで前記光触媒処理層に紫外線を照射して前記光触媒処理層からラジカルを発生させた後、前記ラジカルがトラップされたスピントラップ剤溶液に対して、電子スピン共鳴法による測定を行い、
    前記電子スピン共鳴法による測定の結果、ヒドロキシラジカル由来の電子スピン濃度が前記光触媒処理層1m当たり1.0×1020スピン以上である高活性有機エレクトロルミネッセント素子用基板を用い、
    前記高活性有機エレクトロルミネッセント素子用基板の濡れ性変化層上に、有機エレクトロルミネッセント層を形成し、
    前記有機エレクトロルミネッセント層上に対向電極層を形成することを特徴とする有機エレクトロルミネッセント素子の製造方法。
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