JP4504070B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機エレクトロルミネッセンス素子及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、有機エレクトロルミネセンス素子およびその製造方法に関し、更に詳しくは、発光効率を向上させる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、発光効率が向上した有機エレクトロルミネセンス素子およびその製造方法に関するものである。
有機エレクトロルミネセンス素子(以下、有機EL素子という。)は、発光層に到達した電子と正孔とが再結合する際に生じる発光を利用した電荷注入型の自発光デバイスである。こうした有機EL素子は、1987年にT.W.Tangらにより蛍光性金属キレート錯体とジアミン系分子とからなる薄膜を積層した素子が低い駆動電圧で高輝度な発光を示すことが実証されて以来、その開発が活発に行われている。
有機EL素子の素子構造は、陰極/有機層/陽極から構成され、その有機層としては、発光層と正孔注入層とからなる2層構造、または、電子輸送層と発光層と正孔輸送層とからなる3層構造が一般的である。有機EL素子においては、発光中心となる発光材料に電荷(正孔、電子)を効率的かつ速やかに供給することが必要であり、そのため、電荷輸送材料を発光層中に含有させたり、陽極と発光層との間に正孔輸送層を設けたり、陰極と発光層との間に電子輸送層を設けることが行われている。
こうした有機EL素子では、高い発光効率を得るために、電極から有機層に電荷(正孔、電子)を効率的に注入することが必要であるが、陽極や陰極と発光層等の有機層とはエネルギーギャップが大きく、電荷を容易に注入できない。そのため、従来においては、陽極の仕事関数を増加させたり、陽極と有機層との間に正孔注入層を設けたり、陰極の仕事関数を減少させたり、陰極と有機層との間に電子注入層を設けたりして、電極と有機層とのエネルギーギャップを小さくすることが行われている。
また、電極から有機層への高効率な電荷注入だけでなく、高効率な発光を得る為に、低分子型有機EL素子では、電子ブロック層や正孔ブロック層などを設け、単に電極から電荷を注入するだけでなく、発光層から電子や正孔が出て行くことを防止して発光層において正孔と電子の再結合効率をあげることを目的とした多層構造が一般的になってきた(例えば、特許文献1)。また、低分子/高分子型有機EL素子においても同様の試みがなされている(特許文献2)。電子ブロック層の材料としてはトリフェニルアミンとフルオレンの共重合体も提案されている(非特許文献1)。しかしながらこれはトルエン、キシレン等の非水形溶媒に溶解するので、これらの溶媒を使用して発光層等を形成する高分子型有機EL素子においては、電子ブロック層を積層する際に下の層を溶かしたり、電子ブロック層上に発光層を積層する際に電子ブロック層を溶かす可能性をもっており、低分子系有機EL素子と同様な多層膜構造を形成することは困難であった。一方、特許文献3には、パターニング形成を目的とした金属酸化物及び有機ケイ素化合物を含む機能層が開示されている。
特開2002−175887号公報 特開2001−203081号公報 特開2002−373790号公報 Advanced Materials, 20, 1708 (2003)
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたもので、その第一の目的は、高分子型有機EL素子でも、正孔と電子の再結合効率をあげることを目的とした電子ブロック層を形成可能にする有機EL素子用材料を提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、上記有機EL素子用材料を用いた、輝度、発光効率、寿命特性等、素子特性が向上した有機EL素子及びその製造方法を提供することにある。
本発明に係る有機エレクトロルミネセンス素子用材料は、有機EL素子内の電子ブロック層を形成するための材料であって、少なくとも硬化後にはSiO結合を有する、フルオロアルキル基を含有する有機ケイ素化合物であることを特徴とする。
本発明に係る有機エレクトロルミネセンス素子用材料は、少なくとも硬化後にはSiO結合を有する、フルオロアルキル基を含有する有機ケイ素化合物であることにより、SiOのような絶縁性を示しながら、且つアルコール系溶媒を用いて塗工可能な場合が多く、この場合高分子型有機EL素子で一般的に多用されている発光層や正孔注入層等と混ざり合うことなく層を形成可能で、高分子型有機EL素子でも発光層での正孔と電子の再結合効率を上げることを目的とした電子ブロック層を形成可能にする。また、本発明に係る有機エレクトロルミネセンス素子用材料は、有機材料を含む発光層や正孔注入層等との密着性が良く、また当該材料に含まれる有機基の調節によりバンドギャップを制御可能であるというメリットも有する。
フルオロアルキル基を含有する有機ケイ素化合物が撥水性を有することから
この電子ブロック層の上に形成される発光層の溶媒の影響を防ぐ効果が高く、なおかつ電気陰性度が大きいことから、発光層へ注入された電子が正孔注入層等へ通過するのを阻害する作用がより大きい。
上記少なくとも硬化後にはSiO結合を有する有機ケイ素化合物である有機エレクトロルミネセンス素子用材料は、YSiX4−n(Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、または、エポキシ基であり、Yは少なくとも1つはフルオロアルキル基である。Xはハロゲン、メトキシル基、エトキシル基、または、アセチル基である。n=1〜3である。)で表される有機ケイ素化合物からなることが好ましい。
本発明に係る有機EL素子は、基板上に少なくとも陽極と有機材料を含む発光層と陰極が設けられた有機EL素子であって、発光層と陽極の間にのみ、フルオロアルキル基を含有する有機ケイ素化合物の硬化物を含み、当該有機ケイ素化合物の硬化物がSiO結合を有する電子ブロック層が形成されていることを特徴とする。
本発明に係る有機EL素子は、発光層の陽極側の界面に電子ブロック層を有するため、発光層へ注入された電子が正孔輸送層や正孔注入層へ通過することが阻止され、発光層での正孔と電子の再結合効率を上げることができる。本発明における電子ブロック層は、SiO結合を有する有機ケイ素化合物の硬化物を主成分とするため、SiOのような絶縁性を示しながら且つ層形成時にはアルコール系溶媒を用いて塗工可能な場合が多く、この場合高分子型有機EL素子においても、一般的に多用されている発光層や正孔注入層等と混ざり合うことなく形成可能である。また、本発明における電子ブロック層は、有機材料を含む発光層や正孔注入層等との密着性が良く、また当該材料に含まれる有機基の調節によりバンドギャップを制御可能であるというメリットも有する。従って、本発明においては、輝度、発光効率、寿命特性等、素子特性が向上した有機EL素子が得られる。
また、フルオロアルキル基を含有する有機ケイ素化合物が撥水性を有することからこの電子ブロック層の上に形成される発光層の溶媒の影響を防ぐ効果が高く、なおかつ電気陰性度が大きいことから、発光層へ注入された電子が正孔注入層等へ通過するのを阻害する作用がより大きい。
前記電子ブロック層の材料は、YSiX4−n(Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、または、エポキシ基であり、Yは少なくとも1つはフルオロアルキル基である。Xはハロゲン、メトキシル基、エトキシル基、または、アセチル基である。n=1〜3である。)で表される有機ケイ素化合物を含むことが好ましい。
前記電子ブロック層の厚さは、ブロッキング効果の点から0.5nm以上、正孔の移動を妨げないという点から200nm以下であることが好ましい。
前記電子ブロック層の最表面の水に対する接触角は、80度以上150度以下であることが、撥水性をもち、この電子注入層の上に形成される発光層の溶媒の影響を防ぐという点から好ましい。
前記発光層の材料は、蛍光発光する高分子化合物または蛍光発光する低分子化合物を含む高分子化合物や、燐光発光する高分子化合物または燐光発光する低分子化合物を含む高分子化合物を好適に用いることができる。
また、前記電子ブロック層は、湿式コーティングにより形成することが可能であり、装置が簡易な点から湿式コーティングにより形成されることが好ましいが、ドライプロセスにより形成されても良い。
本発明に係る有機EL素子の製造方法は、基板上に陽極を形成する工程と、少なくとも硬化後にはSiO結合を有する、フルオロアルキル基を含有する有機ケイ素化合物を用いて電子ブロック層を形成する工程と、非水系溶媒を用いた湿式コーティングにより発光層を形成する工程と、陰極を形成する工程を含むことを特徴とする。
アルコール系溶媒を用いた湿式コーティングにより前記電子ブロック層を形成する工程を含むことが、電子ブロック層と発光層が混ざり合わない点から好ましい。
本発明に係る有機EL素子用材料は、少なくとも硬化後にはSiO結合を有する有機ケイ素化合物であることにより、SiO2のような絶縁性を示しながら、且つアルコール系溶媒を用いて塗工可能な場合が多く、この場合高分子型有機EL素子で一般的に多用されている発光層や正孔注入層等と混ざり合うことなく層を形成可能で、高分子型有機EL素子でも発光層での正孔と電子の再結合効率を上げることを目的とした電子ブロック層を形成可能にする。また、本発明に係る有機EL素子用材料は、有機材料を含む発光層や正孔注入層等との密着性が良く、また当該材料に含まれる有機基の調節によりバンドギャップを制御可能であるというメリットも有する。従って、本発明の有機EL素子用材料は、輝度、発光効率、寿命特性等、素子特性が向上した有機EL素子を実現できる。
また、上記本発明に係る有機EL素子は、発光層の陽極側の界面に電子ブロック層を有するため、発光層へ注入された電子が正孔輸送層や正孔注入層へ通過することが阻止され、発光層での正孔と電子の再結合効率を上げることができる。本発明における電子ブロック層は、SiO結合を有する有機ケイ素化合物の硬化物を主成分とするため、SiO2のような絶縁性を示しながら且つ層形成時にはアルコール系溶媒を用いて塗工可能な場合が多く、この場合高分子型有機EL素子においても、一般的に多用されている発光層や正孔注入層等と混ざり合うことなく形成可能である。また、本発明における電子ブロック層は、有機材料を含む発光層や正孔注入層等との密着性が良く、また当該材料に含まれる有機基の調節によりバンドギャップを制御可能である。従って、本発明に係る有機EL素子は、正孔と電子の再結合効率が高くなり、輝度、発光効率、寿命特性等、素子特性が向上したものである。
<有機EL素子用材料>
本発明に係る有機EL素子用材料は、有機EL素子内の電子ブロック層を形成するための材料であって、少なくとも硬化後にはSiO結合を有する有機ケイ素化合物であることを特徴とする。なお、電子ブロック層は有機EL素子内の電子が通過する有機材料層の界面に存在して電子が通過することを阻止する層をいう。
本発明に係る有機EL素子用材料は、少なくとも硬化後にはSiO結合を有する有機ケイ素化合物であることにより、SiO2のような絶縁性を示しながら、且つアルコール系溶媒を用いて塗工可能な場合が多く、この場合高分子型有機EL素子で一般的に多用されている発光層や正孔注入層等と混ざり合うことなく層を形成可能で、高分子型有機EL素子でも発光層での正孔と電子の再結合効率を上げることを目的とした電子ブロック層を形成可能にする。また、本発明に係る有機エレクトロルミネセンス素子用材料は、有機材料を含む発光層や正孔注入層等との密着性が良く、また当該材料に含まれる有機基の調節によりバンドギャップを制御可能であるというメリットも有する。
本発明に係る有機EL素子用材料は、少なくとも硬化後にはSiO結合を有する有機ケイ素化合物であり、少なくとも炭素−水素結合とSi−O結合を含む化合物であるか、又は、少なくとも炭素−水素結合とケイ素原子を含む化合物であって例えばゾルゲル反応等、加水分解、重縮合を行って硬化させた後にはSiO結合を有する化合物である。
中でも、イソプロピルアルコール、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒のいずれかに溶解可能なものが好ましく、この場合、アルコール系溶媒を用いて塗工可能なため、高分子型有機EL素子で一般的に多用されている発光層や正孔注入層等と混ざり合うことなく層を形成可能である。
少なくとも硬化後にはSiO結合を有する有機ケイ素化合物としては、成膜時に均一な層になり、上に隣接する層を形成する際の溶媒の影響を受け難くなる点から、分子同士が重合するような反応性を有するもの、及びそれらの重合物であることが好ましい。この点から、YSiX4−n(Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、または、エポキシ基であり、Xはハロゲン、メトキシル基、エトキシル基、または、アセチル基である。n=1〜3である。)で表される有機ケイ素化合物、及びこれらの加水分解縮合物、共加水分解縮合物が好ましい。
具体的には、メチルトリクロルシラン、メチルトリブロムシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラン;エチルトリクロルシラン、エチルトリブロムシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt−ブトキシシラン;n−プロピルトリクロルシラン、n−ブロピルトリブロムシラン、n−ブロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルトリt−ブトキシシラン;n−ヘキシルトリクロルシラン、n−ヘキシルトリブロムシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリイソプロポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキシシラン;n−デシルトリクロルシラン、n−デシルトリブロムシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシルトリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン;n−オクタデシルトリクロルシラン、n−オクタデシルトリブロムシラン、n−オルタデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン;フェニルトリクロルシラン、フェニルトリブロムシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−ブトキシシラン;テトラクロルシラン、テトラブロムシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン;ジメチルジクロルシラン、ジメチルジブロムシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン;ジフェニルジクロルシラン、ジフェニルジブロムシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン;フェニルメチルジクロルシラン、フェニルメチルジブロムシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン;トリクロルヒドロシラン、トリブロムヒドロシラン、トリメトキシヒドロシラン、トリエトキシヒドロシラン、トリイソプロポキシヒドロシラン、トリt−ブトキシヒトロシラン;ビニルトリクロルシラン、ビニルトリブロムシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt−ブトキシシラン;トリフルオロプロピルトリクロルシラン、トリフルオロプロピルトリブロムシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシシラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メタアクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクロヤキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラン;γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリt−ブトキシシラン;β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン;および、それらの部分加水分解物;および、それらの混合物を挙げることができる。
また、特にフルオロアルキル基を含有する有機ケイ素化合物が撥水性を有することからこの電子ブロック層の上に形成される発光層の溶媒の影響を防ぐ効果が高く、なおかつ電気陰性度が大きいことから、発光層へ注入された電子が正孔注入層等へ通過するのを阻害する作用がより大きいという点から好ましく、具体的には、フルオロアルキルシラン、フルオロアルキル基を含有するポリシロキサンが好ましい。
更に具体的には、下記のフルオロアルキルシラン、および、下記のフルオロアルキルシランの1種または2種以上の加水分解縮合物、共加水分解縮合物が挙げられるが、フルオロアルキルシランとしては一般にフッ素系シランカップリング剤として知られたものを使用することができる。
CF3(CF23CH2CH2Si(OCH33 、 CF3(CF25CH2CH2Si(OCH33 、 CF3(CF27CH2CH2Si(OCH33 、CF3(CF29CH2CH2Si(OCH33 、(CF32CF(CF24CH2CH2Si(OCH33 、(CF32CF(CF26CH2CH2Si(OCH33 、 (CF32CF(CF28CH2CH2Si(OCH33 、 CF3(C64)C24Si(OCH33 、 CF3(CF23(C64)C24Si(OCH33 、 CF3(CF25(C64)C24Si(OCH33 、 CF3(CF27(C64)C24Si(OCH33 、 CF3(CF23CH2CH2SiCH3(OCH32 、 CF3(CF25CH2CH2SiCH3(OCH32 、CF3(CF27CH2CH2SiCH3(OCH32 、 CF3(CF29CH2CH2SiCH3(OCH32 、(CF32CF(CF24CH2CH2SiCH3(OCH32 、(CF32CF(CF26CH2CH2SiCH3(OCH32、(CF32CF(CF28CH2CH2SiCH3(OCH32 、 CF3(C64)C24SiCH3(OCH32 、CF3(CF23(C64)C24SiCH3(OCH32、 CF3(CF25(C64)C24SiCH3(OCH32、 CF3(CF27(C64)C24SiCH3(OCH32 、CF3(CF23CH2CH2Si(OCH2CH33、 CF3(CF25CH2CH2Si(OCH2CH33、 CF3(CF27CH2CH2Si(OCH2CH33 、CF3(CF29CH2CH2Si(OCH2CH33 、CF3(CF27SO2N(C25)C24CH2Si(OCH33
少なくとも硬化後にはSiO結合を有する有機ケイ素化合物としては、0.5nm〜200nm程度の膜厚で成膜可能であれば、反応性を有しないものであっても良い。反応性を有しないものとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
また、本発明に係る有機EL素子用材料は、当該材料を用いて形成された電子ブロック層と隣接して形成する層との良好な密着性を得るために、隣接して形成する層の疎水性又は親水性に合わせて、疎水性又は親水性を有する官能基を含むことが好ましい。
更に、本発明に係る有機EL素子用材料は、当該材料を用いて形成された電子ブロック層の仕事関数が、該電子ブロック層に隣接する二つの層の各仕事関数の間になるように、電気陰性度の観点から有機基を適宜選択して本発明に係る有機EL素子用材料の双極子モーメントを調節することにより、電気二重層の大きさを変化させて、バンドギャップを制御することが可能である。このように、本発明に係る有機EL素子用材料を用いると、電子ブロック層でありながら発光層へ正孔を注入し易くする機能をも有する層を形成することが可能である。具体的には、例えば、隣接して形成する正孔輸送層がポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート水分散液を用いて形成され、隣接して形成する発光層がポリフルオレンを用いて形成される場合には、正孔輸送層の仕事関数が5.2eV、発光層の仕事関数が6.0eVであるため、電子ブロック層の仕事関数が5.2eV〜6.0eVの間に入るように、有機基として電気陰性度が高いフッ素化合物を含む有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。
<有機EL素子>
次に、本発明の有機EL素子およびその製造方法について詳しく説明する。
本発明に係る有機EL素子は、基板上に少なくとも陽極と有機材料を含む発光層と陰極が設けられた有機エレクトロルミネセンス素子であって、発光層と陽極の間にのみ、SiO結合を有する有機ケイ素化合物の硬化物を含む電子ブロック層が形成されていることを特徴とする。
図1は、本発明の有機EL素子の層構成の一例を示す断面模式図である。
本発明の有機EL素子8は、図1に示すように、陽極2が形成された基板1と陰極6が形成された基板7との間に、正孔注入層3と発光層5から成る有機層が設けられたものであり、発光層5と陽極2の間であって正孔注入層3と発光層5の間にSiO結合を有する有機ケイ素化合物の硬化物を含む電子ブロック層4が形成されている。
(電子ブロック層)
本発明の有機EL素子に用いられる電子ブロック層4は、発光層と陽極の間に存在して、発光層へ注入された電子が他の有機層へ通過することを阻止し、発光層での正孔と電子の再結合効率を上げる機能を有するものである。電子ブロック層4は、有機EL素子の層構成により適宜異なるが、図1のような層構成の場合には発光層と正孔注入層の間、陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極のような層構成の場合には発光層と正孔輸送層の間等、通常、好ましくは発光層の陽極側の界面に設けられる。但し、電子ブロック層と発光層の間に他の機能層が含まれても良い。
なお、SiO結合を有する有機ケイ素化合物の硬化物は、少なくとも硬化後にはSiO結合を有する有機ケイ素化合物の硬化物であり、少なくとも炭素−水素結合とSiO結合を含む化合物の硬化物であるか、又は、少なくとも炭素−水素結合とケイ素原子を含む化合物であって例えばゾルゲル反応等、加水分解、重縮合を行って硬化させた後にはSiO結合を有する硬化物である。
本発明の有機EL素子における電子ブロック層は、SiO結合を有する有機ケイ素化合物の硬化物を含み、主として上記本発明にかかる有機EL素子用材料を用いて形成される。
本発明における電子ブロック層は、SiO結合を有する有機ケイ素化合物の硬化物を主成分とするため、SiO2のような絶縁性を示しながら且つ層形成時にはアルコール系溶媒を用いて塗工可能な場合が多い。この場合、高分子型有機EL素子において、一般的にキシレンやトルエン等非水系溶媒を用いて塗布して形成されることが多い発光層や一般的にキシレンやトルエン等非水系溶媒や水系溶媒を用いて塗布して形成されることが多い正孔注入層等と混ざり合うことなく電子ブロック層を形成可能である。
また、本発明における電子ブロック層は、上記本発明に係る有機EL素子用材料を用いて形成されるため、有機材料を含む発光層や正孔注入層等との密着性が良く、また上記本発明に係る有機EL素子用材料に含まれる有機基の調節によりバンドギャップを制御可能である。従って、本発明においては、輝度、発光効率、寿命特性等、素子特性が向上した有機EL素子が得られる。
電子ブロック層には、上記本発明に係る有機EL素子用材料の他に、界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製サーフロンS−141、145、大日本インキ化学工業(株)製メガファックF−141、144、ネオス(株)製フタージェントF−200、F251、ダイキン工業(株)製ユニダインDS−401、402、スリーエム(株)製フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることかでき、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
さらに、電子ブロック層には上記の界面活性剤の他にも、ポリビニルアルコール、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ジアリルフタレート、エチレンプロピレンジエンモノマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリイミド、スチレンブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリブタジエン、ポリベンズイミダゾール、ポリアクリルニトリル、エピクロルヒドリン、ポリサルファイド、ポリイソプレン等のオリゴマー、ポリマー等を含有させることができる。その場合であっても、電子ブロック層中のSiO結合を有する有機ケイ素化合物の硬化物の含有量は60重量%以上、好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。また、本発明に係る有機EL素子の電子ブロック層には、金属酸化物は一切含まれない。
また、電子ブロック層の厚さは、ブロッキング効果の点から0.5nm以上、正孔の移動を妨げないという点から200nm以下であることが好ましく、更に0.5nm以上50nm以下であることが好ましい。
また、撥水性をもち、この電子注入層の上に形成される発光層の溶媒の影響を防ぐという点から、電子ブロック層の最表面の水に対する接触角は80度以上130度以下であることが好ましく、更に100度以上125度以下であることが好ましい。
(基板)
発光層の両側に配置される基板1,7は、本発明の有機EL素子8の支持体になるものであり、例えばフレキシブルな材質であっても、硬質な材質であってもよい。具体的に用いることができる材料としては、例えば、ガラス、石英、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエステル、ポリカーボネート等を挙げることができる。発光層5で発光した光が基板1側を透過して取り出される場合においては、少なくともその基板1が透明な材質である必要があるが、光が基板7側を透過して取り出される場合においては、少なくともその基板7が透明な材質である必要がある。これらのうち、合成樹脂製の基板を使用する場合には、ガスバリア性を有することが望ましい。各基板1,7の厚さは特に限定されないが、通常、0.5〜2.0mm程度である。
(陽極、陰極)
陽極2および陰極6は、発光層5で発光した光の取り出し方向により、どちらの電極2,6に透明性が要求されるか否かが異なり、基板1側から光を取り出す場合には陽極2を透明な材料で形成する必要があり、また基板7側から光を取り出す場合には陰極6を透明な材料で形成する必要がある。
基板1の発光層側に設けられている陽極2は、発光層5に正孔を注入するよう作用し、基板7の発光層側に設けられている陰極6は、発光層5に電子を注入するよう作用する。陽極2、陰極6は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/又はスズの酸化物などの金属酸化物により形成することができる。また、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリアルキルチオフェン誘導体、ポリシラン誘導体のような導電性高分子等で形成することも可能である。
陽極および陰極は、通常、それぞれの基板1,7上にスパッタリング法、真空蒸着法などの方法により形成されることが多いが、塗布法やディップ法等の湿式法により形成することもできる。陽極および陰極の厚さは、各々の電極に要求される透明性等により異なる。透明性が必要な場合には、電極の可視光波長領域の光透過率が、通常、60%以上、好ましくは80%以上となることが望ましく、この場合の厚さは、通常10〜1000nm、好ましくは20〜500nm程度である。
(発光層)
発光層5は、図1に示すように、陽極2が形成された基板1と陰極6が形成された基板7との間に、発光材料により形成される。
発光材料としては、一般的に用いられている材料であれば特に限定されず、例えば、色素系発光材料、金属錯体系発光材料、高分子系発光材料等を挙げることができる。
色素系発光材料としては、例えば、シクロペンタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾロキノリン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、シロール誘導体、チオフェン環化合物、ピリジン環化合物、ペリノン誘導体、ペリレン誘導体、オリゴチオフェン誘導体、トリフマニルアミン誘導体、オキサジアゾールダイマー、ピラゾリンダイマー等を挙げることができる。
金属錯体系発光材料としては、例えば、アルミキノリノール錯体、ベンゾキノリノールベリリウム錯体、ベンゾオキサゾール亜鉛錯体、ベンゾチアゾール亜鉛錯体、アゾメチル亜鉛錯体、ポルフィリン亜鉛錯体、ユーロピウム錯体等、中心金属に、Al、Zn、Be等、又はTb、Eu、Dy等の希土類金属を有し、配位子にオキサジアゾール、チアジアゾール、フェニルピリジン、フェニルベンゾイミダゾール、キノリン構造等を有する金属錯体等を挙げることができる。
高分子系発光材料としては、例えば、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリシラン誘導体、ポリアセチレン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレノン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリキノキサリン誘導体、及びそれらの共重合体等を挙げることができる。
発光層中には、発光効率の向上、発光波長を変化させる等の目的でドーピング剤等の添加剤を添加するようにしてもよい。ドーピング剤としては、例えば、ペリレン誘導体、クマリン誘導体、ルブレン誘導体、キナクリドン誘導体、スクアリウム誘導体、ポルフィリン誘導体、スチリル色素、テトラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、デカシクレン、フェノキサゾン、キノキサリン誘導体、カルバゾール誘導体、フルオレン誘導体等を挙げることができる。また、ドーパントとして、例えば次に掲げる構造式をもつ有機化合物を使用してもよい。例えば、Ir(ppy)、(ppy)Ir(acac)、Ir(BQ)、(BQ)Ir(acac)、Ir(THP)、(THP)Ir(acac)、Ir(BO)、(BO)(acac)、Ir(BT)、(BT)Ir(acac)、Ir(BTP)、(BTP)Ir(acac)、PtOEP等の重金属イオンを中心に有し、燐光を示す有機金属錯体が使用可能である。中でも、Ir(ppy)は、低分子キャリア輸送材料や有機発光層の構成成分として有効な化合物である。
本発明においては、電子ブロック層がアルコール系の溶媒を用いて塗布して形成可能なものであるため、発光層の材料としては湿式コーティングにより層を形成する高分子型材料を用いることが可能である。従って本発明においては、発光層の材料としては蛍光発光する低分子化合物または高分子化合物や、燐光発光する低分子化合物または高分子化合物のいずれをも用いることができるが、蛍光発光する高分子化合物または蛍光発光する低分子化合物を含む高分子化合物や、燐光発光する高分子化合物または燐光発光する低分子化合物を含む高分子化合物を好適に用いることができる。
(正孔注入層)
正孔注入層3は、図1に示すように、陽極2が形成された基板1と発光層5との間に形成されるが、電子ブロック層4を有する本発明においては、陽極2と電子ブロック層4の間に形成される。正孔注入層は、発光層に正孔を注入する機能を有するため、設けられることが好ましい。
正孔注入層を形成する材料としては、一般的に用いられている材料であれば特に限定されず、例えば、フェニルアミン系、スターバースト型アミン系、フタロシアニン系、酸化バナジウム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化アルミニウム等の酸化物、アモルファスカーボン、ポリアニリン、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
図1には、本発明に係る有機EL素子の一例として正孔注入層を有する場合を挙げたが、本発明に係る有機EL素子は、その他に、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、その他機能層等を更に設けても良い。これら任意の層に用いられる材料は特に限定されず、一般的に各層を形成するために用いられる材料を用いることができる。
本発明に係る有機EL素子は、上記本発明に係る有機EL素子用材料、すなわち少なくとも硬化後にはSiO結合を有する有機ケイ素化合物を用いて形成された電子ブロック層を備えたものであるため、高分子型の発光層や正孔注入層に用いられる材料と混ざり合うことなく電子ブロック層を形成可能であり、高分子型有機EL素子に好適である。
本発明に係る有機EL素子は、電子ブロック層を有するため、発光層における正孔と電子の再結合効率が高くなり、輝度、発光効率、寿命特性等、素子特性が向上した有機EL素子である。
(有機EL素子の製造方法)
本発明に係る有機EL素子の製造方法は、基板上に陽極を形成する工程と、少なくとも硬化後にはSiO結合を有する有機ケイ素化合物を用いて電子ブロック層を形成する工程と、非水系溶媒を用いた湿式コーティングにより発光層を形成する工程と、陰極を形成する工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る有機EL素子の製造方法において、電子ブロック層は少なくとも硬化後にはSiO結合を有する有機ケイ素化合物を用いて形成されるため、前記発光層は非水系溶媒を用いた湿式コーティングにより形成しても電子ブロック層と混ざり合うことなく形成することができる。
前記電子ブロック層は、少なくとも硬化後にはSiO結合を有する有機ケイ素化合物を用いて、スピンコート、ディップコート、浸漬法、印刷法など、液状の被覆材料を塗布後、該被覆材料の媒体を除去する湿式コーティングにより形成することができる。湿式コーティングにより層を形成するための液状の被覆材料は、前記本発明に係る有機EL素子用材料とその他の成分を溶剤に溶解又は分散して調製することができる。当該液状の被覆材料を調製するのに用いられる溶剤としては、前記本発明に係る有機EL素子用材料を溶解するものであることが好ましく、中でも高分子型有機ELを形成する場合には、イソプロパノール、エタノール等のアルコール系溶媒を用いることが、非水系溶媒を用いた湿式コーティングにより形成される発光層等と混ざらない点から好ましい。
また、前記電子ブロック層は、少なくとも硬化後にはSiO結合を有する有機ケイ素化合物を用いて、真空蒸着法、スパッタ法、CVD法など、被覆材料を気相状態で被覆面に堆積させるドライプロセスにより形成しても良い。
電子ブロック層、発光層以外は、通常の有機EL素子の製造方法によることができる。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例1)
ソーダライムガラスから成る基板上にITO薄膜が形成されたITO基板(三容真空社製、膜厚:1500Å、シート抵抗:20Ω)を用いた。そのITO基板を中性洗剤にて、10分間超音波洗浄、純水シャワー、純水にて10分間超音波洗浄、純水中で窒素バブリング1分間、その後、130℃に加熱したホットプレート上で30分間乾燥させ、さらに、15分間UV/オゾン洗浄を行った。
洗浄後の上記ITO基板を、正孔注入層であるPEDOT:PSS(ポリ−3,4−エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォネート)水分散液(バイエル社製、商品名:Baytron TP CH8000)をスピンコートにて成膜し、窒素雰囲気下で、200℃で1時間乾燥した。その後、電子ブロック層としてフルオロアルキルシラン溶液(G.E東芝シリコーン製 商品名:xc98−B2472)をイソプロピルアルコールに10重量%で溶解して調製)をスピンコートにて成膜した。電子ブロック層の厚さは30nmであった。また、電子ブロック層の最表面の水に対する接触角は120度であった。その後更にフルオレン誘導体(キシレンに1.5重量%で溶解して調製)の発光層をスピンコートで成膜し、真空蒸着法にてカルシウムを8nm、銀を200nm成膜した。最後に乾燥剤を貼った封止ガラスを貼りあわせて封止し、実施例1の有機EL素子を得た。
(比較例1)
比較例1の素子は、上記実施例1と同様に、洗浄方法にてITO基板を洗浄し、PEDOT:PSSを成膜し、その後、発光層、カルシウム、銀を成膜し、封止して作製した。
(比較例2)
更に上記実施例1の作製方法にて、同様に発光層まで成膜し、更にもう1層陰極側にフルオロアルキルシラン層を成膜して、カルシウム、銀を成膜し、封止して実施例2の有機EL素子を作製した。
(結果)
図2に電圧−電流特性を示す。実施例1は比較例1よりも電流特性は良好であった。そして、図3に輝度を示すが、実施例は明らかに比較例1よりも輝度が向上した。その結果、図4に見られるような発光効率の結果が得られた。これらの結果から、正孔注入層(PEDOT:PSS層)の上に炭素原子を有し且つ少なくとも硬化後にはSiO結合を有するケイ素化合物を含む層を成膜することによって、これが電子ブロック層として機能し、輝度、効率向上につながったことが明らかになった。
また、上記実施例1及び比較例1の素子の寿命測定の結果を図5に示す。その結果、実施例1は寿命特性が良好であった。これは、上記の初期特性の結果を反映しており、電子ブロック層の効果を示唆しているものである。
一方、陰極側にもフルオロアルキルシラン層を設けた比較例2は、陰極側から注入される電子をブロックして発光層に電子が注入されることを妨げてしまったため、性能が落ちてしまったと推定される。
本発明の有機EL素子の一例を示す断面図である。 本発明の有機EL素子の電流−電圧特性の図である。 本発明の有機EL素子の輝度−電圧特性の図である。 本発明の有機EL素子の効率−電圧特性の図である。 本発明の有機EL素子の発光寿命の図である。
符号の説明
1、7…基板
2…陽極
3…正孔注入層
4…中間層
5…発光層
6…陰極
8…有機EL素子

Claims (10)

  1. 有機EL素子内の電子ブロック層を形成するための材料であって、少なくとも硬化後にはSiO結合を有する、フルオロアルキル基を含有する有機ケイ素化合物であることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子用材料。
  2. SiX4−n(Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、または、エポキシ基であり、Yは少なくとも1つはフルオロアルキル基である。Xはハロゲン、メトキシル基、エトキシル基、または、アセチル基である。n=1〜3である。)で表される有機ケイ素化合物からなる、請求項1に記載の有機エレクトロルミネセンス素子用材料。
  3. 基板上に少なくとも陽極と有機材料を含む発光層と陰極が設けられた有機エレクトロルミネセンス素子であって、発光層と陽極の間にのみ、フルオロアルキル基を含有する有機ケイ素化合物の硬化物を含み、当該有機ケイ素化合物の硬化物がSiO結合を有する電子ブロック層が形成されていることを特徴とする有機エレクロルミネッセンス素子。
  4. 前記電子ブロック層の材料が、YSiX4−n(Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、または、エポキシ基であり、Yは少なくとも1つはフルオロアルキル基である。Xはハロゲン、メトキシル基、エトキシル基、または、アセチル基である。n=1〜3である。)で表される有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする請求項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 前記電子ブロック層の厚さが0.5nm以上、200nm以下であることを特徴とする請求項3又は4に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 前記電子ブロック層の最表面の水に対する接触角が80度以上130度以下であることを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  7. 前記発光層の材料が、蛍光発光または燐光発光する高分子化合物または蛍光発光または燐光発光する低分子化合物を含む高分子化合物であることを特徴とする請求項3乃至6のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  8. 前記電子ブロック層は、湿式コーティングまたはドライプロセスにより形成されたこと特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  9. 基板上に陽極を形成する工程と、少なくとも硬化後にはSiO結合を有する、フルオロアルキル基を含有する有機ケイ素化合物を用いて電子ブロック層を形成する工程と、非水系溶媒を用いた湿式コーティングにより発光層を形成する工程と、陰極を形成する工程を含むことを特徴とする有機エレクロルミネッセンス素子の製造方法。
  10. アルコール系溶媒を用いた湿式コーティングにより前記電子ブロック層を形成する工程を含むことを特徴とする請求項に記載の有機エレクロルミネッセンス素子の製造方法。
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