JP2008149778A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】小型トラック、バン用のタイヤとして好適に用いられる、軽量化が実現されているとともに耐久性においても良好な空気入りラジアルタイヤを提供すること。
【解決手段】ビードコア5を有する一対のビード部1と、両ビードコア5をまたがるようにかつ該ビード部で折返し部をなして配された1層以上のカーカス2を有する空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ビードコア5を形成するワイヤー3を螺旋状に、上段に向かうにつれて巻き数を減じてかつ下段の巻付けワイヤー3のワイヤー軸線間にワイヤー軸線が位置するように巻き回して構成することにより、ビードコア5全体の断面形状を略二等辺三角形状に形成せしめ、かつ、ビードフィラーを配することなく、かつ、最外層にあるビードワイヤー3の中心点を通る水平位置でのリムクッションゴム4の厚さが2〜8mmであり、JIS硬度が70〜95の範囲であることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
【選択図】図1
【解決手段】ビードコア5を有する一対のビード部1と、両ビードコア5をまたがるようにかつ該ビード部で折返し部をなして配された1層以上のカーカス2を有する空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ビードコア5を形成するワイヤー3を螺旋状に、上段に向かうにつれて巻き数を減じてかつ下段の巻付けワイヤー3のワイヤー軸線間にワイヤー軸線が位置するように巻き回して構成することにより、ビードコア5全体の断面形状を略二等辺三角形状に形成せしめ、かつ、ビードフィラーを配することなく、かつ、最外層にあるビードワイヤー3の中心点を通る水平位置でのリムクッションゴム4の厚さが2〜8mmであり、JIS硬度が70〜95の範囲であることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
【選択図】図1
Description
本発明は空気入りラジアルタイヤに関し、特に、タイヤ全体の軽量化が実現されているとともに耐久性においても良好な空気入りラジアルタイヤに関する。
本発明の空気入りラジアルタイヤは、その特徴を生かし、特に軽トラック、小型トラック、バンなどに装着されるタイヤとして好適なものである。
従来からラジアルタイヤを軽量化するためにさまざまな技術が検討されてきた。しかし、通常、タイヤの軽量化を図ることは、一方で耐久性に劣るものとなり、軽量化と良好な耐久性の両者をともに満足するものはなかったのが実状である。
タイヤの軽量化を検討するにあたり、構造面での検討を行うことは有益であり、特にビード部においては、一般にビードワイヤーやビードフィラー等の複数部材が組み合わされて使用され存在することから構造面での検討や改良がされやすい部分である。
本発明は、このビード部の構造に着目して検討を行いなされたものであるが、かかるビード部の構造は、また、タイヤ軽量化という目的以外の目的でもさまざまな検討がされてきた箇所である。
例えば、ランフラットタイヤにおいての乗り心地を良くするために、ビードコアを形成するビードワイヤ列のタイヤ子午線方向の断面形状を略三角形状にすることが提案されている(特許文献1)。
しかし、この特許文献1に提案のものは、特にランフラットタイヤの乗り心地向上のために縦バネを落としかつリム外れしないことを目的としたものであり、その略三角形状として提案されている具体的形状は主に直角三角形と解され、本発明とは目的・効果のいずれも相違するものである。
また、偏平空気入りラジアルタイヤのタイヤ成型上の問題点を解消するためにビードコアの断面形状を最内層のワイヤ列数を最外層のワイヤ列数よりも小さくして形成される台形状または三角形状とし、該ビードコアとビードフィラーとで形成する断面形状をビードコアの最内層を底辺とする三角形状とした偏平空気入りラジアルタイヤについて提案がされている(特許文献2)。
しかし、この特許文献2に提案のものは、比較的断面幅の小さいビードフィラーが適用できて、剛性バランスの均一化された偏平空気入りラジアルタイヤを実現できるものの、全体の軽量化という点ではいまだ不十分なものであった。
特開2002−301915号公報
特開平7−179105号公報
軽トラック、小型トラック、バンなどに装着されるタイヤは、車輌本体とのバランス等から全体に軽量であることが要請され、一方では、比較的重量の大きなものを積載し高速での連続走行を行うこともあって耐久性においてもより高いことが要請されるものである。
本発明の目的は、このような点に鑑み、タイヤ全体の軽量化が実現されているとともに耐久性においても良好な空気入りラジアルタイヤを提供すること、特に、軽トラック、小型トラック、バン用のタイヤとして好適に用いられる空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
上述した目的を達成する本発明の空気入りラジアルタイヤは、以下の(1)の構成を有する。
(1)ビードワイヤーから形成されるビードコアを有する一対のビード部と、両ビードコアをまたがるようにかつ該ビード部で折返し部をなして配された1層以上のカーカスを有する空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ビードコアを形成するワイヤーを螺旋状に、かつビード底部下段から上段に向かうにつれて巻き数を減じてかつ下段の巻付けワイヤーのワイヤ軸線間にワイヤー軸線が位置するように上段のワイヤーを巻き回して構成することにより、ビードコア全体の断面形状を略二等辺三角形状に形成せしめ、かつ、ビードフィラーを配することなく、かつ、最外層にあるビードワイヤーの中心点を通る水平位置でのリムクッションゴムの厚さが2〜8mmであり、リムクッションゴムのJIS硬度が70〜95の範囲であることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
かかる本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、より具体的に好ましくは、以下の(2)〜(4)のいずれかの構成からなるものである。
(2)ビードコアを形成するビードワイヤーの径が、1.2mm以上2.6mm以下であることを特徴とする上記(1)記載の空気入りラジアルタイヤ。
(3) ビードコアを形成するビードワイヤーの螺旋状の巻き回しが、巻き始め部分と巻き終わり部分とでオーバーラップ量3mm〜45mmで巻き回されているものであることを特徴とする上記(1)または(2)記載の空気入りラジアルタイヤ。
(4)カーカスが1層であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
本発明によれば、軽量化に極めて優れた空気入りラジアルタイヤを、耐久性を損なうことなく提供することができ、特に、軽トラック、小型トラック、バン用のタイヤとして好適に用いられる空気入りラジアルタイヤを提供することができるものである。
以下、更に詳しく本発明について、図面などに基づいて説明する。
図1は、本発明の空気入りラジアルタイヤのビード部付近をモデル的に示したタイヤ子午線方向の一部概略断面図である。本発明空気入りラジアルタイヤは、図1に概略モデル図を示したように、ビードワイヤー3から形成されるビードコア5を有する一対のビード部1(図示しているのは一対のうちの片方のみ)と、両ビードコア1をまたがるようにかつ該ビード部1で折返し部をなして配された1層以上のカーカス2を有する空気入りラジアルタイヤにおいて、ビードコア5を形成するワイヤー3を螺旋状に、かつビード底部下段から上段に向かうにつれて巻き数を減じてかつ下段の巻付けワイヤー3のワイヤ軸線間にワイヤー軸線が位置するように上段のワイヤー3を巻き回して構成することにより、ビードコア5全体の断面形状を略二等辺三角形状に形成せしめ、かつ、ビードフィラーを配することなく、かつ、最外層にあるビードワイヤー3の中心点を通る水平位置でのリムクッションゴム4の厚さTが2〜8mmであり、リムクッションゴム4のJIS硬度が70〜95の範囲であることを特徴とするものである。
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいては、ビードワイヤー3をタイヤ周方向に沿うように螺旋状に巻き回す際に、ビード底部下段から上段に向かうにつれて巻き数を減じてかつ下段の巻付けワイヤー3のワイヤ軸線間にワイヤー軸線が位置するように上段のワイヤー3を巻き回して、ビードコア5全体の断面形状を略二等辺三角形状に形成せしめ、該三角形状の頂点領域付近でのビードフィラーの配置を不要とし、その分の軽量化が達成できたものである。
ここで、特に、ビードコア5全体の断面形状が上述のようにして形成される略二等辺三角形状であることは、タイヤ加硫工程中などでタイヤがまだ形状的に不安定なときでも、ビードコア5全体の安定性を向上させることができるので重要なものである。
ビードコア5全体の断面形状が直角三角形状のものは、バランスや安定性の点で好ましくなく、特に、軽トラック、小型トラック、バン用などのもともと軽めのタイヤにおいては微妙なバランスと安定性が要されるために、略二等辺三角形状であることが重要なものである。
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいては、ビードフィラーを配さないものであり、特に、ビードワイヤーを通常のビードフィラーが存在している領域付近にまで存在させることによりビードフィラーを使用することなく、ビード部1全体の剛性向上を実現しているものである。
また、ビードフィラーを使用することがなくても、ビード部1全体の剛性向上を実現する意味で、リムクッションゴム4の材質(特に硬度)やその厚さなどを適度なものとすることは重要であり、最外層にあるビードワイヤー3の中心点を通る水平位置でのリムクッションゴム4の厚さTが2〜8mmであることが重要であり、特に好ましくは、3〜6mmであることである。また、該リムクッションゴム4のJIS硬度が70〜95の範囲であることが重要である。本発明者等の知見によれば、より好ましいリムクッションゴム4のJIS硬度は70〜85である。
上述のリムクッションゴム4の厚さTが2mm未満の場合には、一般に、嵌合不良なリムずれ、リム外れが発生する場合があり、好ましくなく、また、8mmよりも大きい場合には、一般に所望どおりの軽量化の実現が難しく好ましくない。
また、上述のリムクッションゴム4のJIS硬度が70未満であれば、一般に、タイヤ剛性を確保することが難しいことから好ましくなく、また、95よりも大きい場合には、一般に、周辺部材と比べ、局所的に硬度が異なり、応力集中を発生してしまい好ましくないものである。
本発明において用いられるビードワイヤー3の直径は、1.2mm以上2.6mm以下であることが好ましく、直径2.6mmよりも太いビードワイヤーを用いた場合は重量が著しく増加する方向であり、軽トラック、小型トラック、バン用のタイヤとして好ましくない。また、直径が1.2mm未満である場合には、タイヤ空気圧を保持することが難しくなり、耐久性に問題が生じてくるので好ましくない。より好ましくは、1.3mm以上1.8mm以下である。
また、ビードコアを形成するビードワイヤーの螺旋状の巻き回しが、巻き始め部分と巻き終わり部分とでオーバーラップ量(長さ)3mm〜45mmで巻き回されているものであることが好ましい。さらに、より好ましくは3mm〜20mmのオーバーラップ量であることである。
なお、ここでいうオーバーラップ量とは、螺旋状の巻き回しの巻き始め部分と巻き終わり部分とが、タイヤ周方向においてオーバーラップして(重なり合いをして)巻かれているタイヤ周方向長さをいう。該オーバーラップ量(長さ)が3mm〜45mmであることにより、タイヤ製造上、より均質なタイヤを生産することができる。該オーバーラップ量(長さ)が3mm未満では、製造技術的に難しくなる方向であり、同一仕様のタイヤ固体間でも物性や性能のバラツキが生ずる場合があり好ましくない。また、45mmを超える場合には、重量増加の方向とタイヤバランス性の悪化の原因となり好ましくない。
本発明においては、用いられるカーカスは1層であることが好ましく、カーカスが1層でかつビードフィラーを使用せずにタイヤを構成して、特に、軽量化と高耐久性を実現したことに技術的意義があり、その軽量さと高耐久性により、軽トラックや小型トラック、バン用のタイヤとして本発明の特徴点を良好に生かしつつ用いられるものである。
なお、ベルト層のプライ数は、特に限定されるものではないが、2プライなどの通常のものでよい。
実施例1〜3、従来例(比較例1)、比較例2〜4
タイヤサイズ145R126PRにおいて、リムサイズ12X4.00Bに装着し、JATMA最大空気圧:450kPaを充填し、質量、耐久性、水圧試験を行い評価をした。
タイヤサイズ145R126PRにおいて、リムサイズ12X4.00Bに装着し、JATMA最大空気圧:450kPaを充填し、質量、耐久性、水圧試験を行い評価をした。
それぞれの空気入りラジアルタイヤは、表1に記載したとおりの構成によるものである。
耐久試験条件については、JIS−D4230に記載されているドラム荷重耐久試験条件にて実施した。
質量は、指数化して評価した(数値の大きい方が優れている)。
水圧試験については、基準を1.8MPaとして、合格、不合格を判定した。
水圧試験については、基準を1.8MPaとして、合格、不合格を判定した。
耐久性試験については、試験車輌(小型トラック)に装着し、最大積載量を積載した状態にて試験を行い、指数化して評価した(数値の大きい方が優れている)。
リムずれ試験は、初速度10km/時間からABS制動したときのリムのずれ量を測定したものであり、従来例の値(8mm)を基準として、指数化して評価した(数値の大きい方が優れている)。
リム外れ試験は、基準空気圧から10kPaずつタイヤ内空気圧を減少させ、半径6mの円を35km/時間でUターンし、リムからタイヤが外れる空気圧を測定し、指数化して評価した(数値の大きい方が優れている)。
表1から、本発明にかかる空気入りラジアルタイヤは、軽量性、耐久性に非常に優れていることがわかる。
1:ビード部
2:カーカス
3:ビードワイヤー
4:リムクッションゴム
5:ビードコア
T:最外層にあるビードワイヤーの中心点を通る水平位置でのリムクッションゴム厚さ
2:カーカス
3:ビードワイヤー
4:リムクッションゴム
5:ビードコア
T:最外層にあるビードワイヤーの中心点を通る水平位置でのリムクッションゴム厚さ
Claims (4)
- ビードワイヤーから形成されるビードコアを有する一対のビード部と、両ビードコアをまたがるようにかつ該ビード部で折返し部をなして配された1層以上のカーカスを有する空気入りラジアルタイヤにおいて、前記ビードコアを形成するワイヤーを螺旋状に、かつビード底部下段から上段に向かうにつれて巻き数を減じてかつ下段の巻付けワイヤーのワイヤー軸線間にワイヤー軸線が位置するように上段のワイヤーを巻き回して構成することにより、ビードコア全体の断面形状を略二等辺三角形状に形成せしめ、かつ、ビードフィラーを配することなく、かつ、最外層にあるビードワイヤーの中心点を通る水平位置でのリムクッションゴムの厚さが2〜8mmであり、リムクッションゴムのJIS硬度が70〜95の範囲であることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
- ビードコアを形成するビードワイヤーの径が、1.2mm以上2.6mm以下であることを特徴とする請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
- ビードコアを形成するビードワイヤーの螺旋状の巻き回しが、巻き始め部分と巻き終わり部分とでオーバーラップ量3mm〜45mmで巻き回されているものであることを特徴とする請求項1または2記載の空気入りラジアルタイヤ。
- カーカスが1層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
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