以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。詳細には、この図1には、このタイヤ2の回転の中心軸を含む平面に沿った、このタイヤ2の断面の一部が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
このタイヤ2は、トレッド4、一対のサイドウォール6、一対のクリンチ8、一対のビード10、カーカス12、ベルト14、バンド16、一対のエッジバンド18、一対のクッション層20、インナーライナー22、一対のインスレーション24、一対のチェーファー26、一対の荷重支持層28及び一対のフィラー30を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面32を形成する。トレッド4には、溝34が刻まれている。この溝34により、トレッドパターンが形成されている。トレッド4は、架橋ゴムからなる。この架橋ゴムには、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性が考慮されている。
それぞれのサイドウォール6は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール6の半径方向外側部分は、トレッド4と接合されている。このサイドウォール6の半径方向内側部分は、クリンチ8と接合されている。このサイドウォール6は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。このサイドウォール6は、カーカス12の損傷を防止する。
それぞれのクリンチ8は、サイドウォール6の半径方向略内側に位置している。クリンチ8は、軸方向において、ビード10及びカーカス12よりも外側に位置している。クリンチ8は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。クリンチ8は、リムのフランジ(図示されず)と当接する。
それぞれのビード10は、クリンチ8の軸方向内側に位置している。前述したように、クリンチ8はサイドウォール6の半径方向略内側に位置している。このビード10は、サイドウォール6りも半径方向内側に位置している。
このタイヤ2では、ビード10は、第一パート36と第二パート38とを備えている。第二パート38は、第一パート36よりも軸方向外側に位置している。
第一パート36は、第一コア40と第一エイペックス42とを備えている。詳細には、第一パート36は第一コア40及び第一エイペックス42から構成されている。第一コア40は、リング状である。図示されていないが、第一コア40は巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。第一エイペックス42は、高硬度な架橋ゴムからなる。第一エイペックス42は、第一コア40を覆い、かつ、この第一コア40から半径方向略外向きに延在している。第一エイペックス42の半径方向外側部分は、先細りな形状を呈している。
第二パート38は、第二コア44と第二エイペックス46とを備えている。詳細には、第二パート38は第二コア44及び第二エイペックス46から構成されている。第二コア44は、リング状である。図示されていないが、第二コア44は巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。第二エイペックス46は、高硬度な架橋ゴムからなる。第二エイペックス46は、第二コア44を覆い、かつ、この第二コア44から半径方向略外向きに延在している。第二エイペックス46の半径方向外側部分は、先細りな形状を呈している。
このタイヤ2では、第二エイペックス46の外端48は、半径方向において、第一エイペックス42の外端50の近傍に位置している。この第二エイペックス46の外端48からこの第一エイペックス42の外端50までの半径方向距離は10mm以下の範囲で適宜調整される。このタイヤ2では、第二エイペックス46の外端48が第一エイペックス42の外端50よりも半径方向外側に位置してもよいし、第二エイペックス46の外端48が第一エイペックス42の外端50よりも半径方向内側に位置してもよい。このビード10の半径方向外側部分には、この外側部分が軸方向外向きに倒れるように力が作用するので、この倒れの抑制の観点から、第二エイペックス46の外端48は第一エイペックス42の外端50よりも半径方向外側に位置しているのが好ましい。
このタイヤ2では、それぞれのビード10の半径方向内側部分では、第一エイペックス42は第二エイペックス46と接合している。この部分において、第一エイペックス42と第二エイペックス46とは一体的に形成されている。
このタイヤ2では、第一エイペックス42及び第二エイペックス46の材質に特に制限はない。第一エイペックス42及び第二エイペックス46が、従来のタイヤにおけるエイペックスの材質と同等の材質で構成されてもよい。このタイヤ2では、第二エイペックス46の材質は第一エイペックス42のそれと同じである。この第二エイペックス46が第一エイペックス42の材質とは異なる材質で構成されてもよい。
カーカス12は、カーカスプライ52を備えている。このタイヤ2のカーカス12は、一枚のカーカスプライ52からなる。このカーカス12が2枚以上のカーカスプライ52から形成されてもよい。
カーカスプライ52は、一方のビード10と他方のビード10との間に架け渡されている。カーカスプライ52は、トレッド4及びサイドウォール6の内側に沿って延在している。
このタイヤ2では、カーカスプライ52は並列された多数のカーカスコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのカーカスコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス12はラジアル構造を有する。カーカスコードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。高い剛性を有するカーカス12が得られるとの観点から、このカーカスコードのための有機繊維としては、アラミド繊維がより好ましい。
このタイヤ2では、ビード10の第一パート36は軸方向においてカーカスプライ52の内側に位置している。第二パート38は、軸方向において、このカーカスプライ52の外側に位置している。詳細には、カーカスプライ52の端54の部分は軸方向において第一パート36と第二パート38との間に位置している。言い換えれば、カーカスプライ52の端54の部分は第一パート36と第二パート38との間に挟まれている。前述したように、ビード10の半径方向内側部分において、第一エイペックス42と第二エイペックス46とは一体的に形成されている。このタイヤ2では、カーカスプライ52は従来のタイヤのようにビード10の周りにて折り返されていない。本発明においては、端54の部分が第一パート36と第二パート38との間に挟まれたカーカスプライ52から構成されたカーカス12の構造は、「インサート構造」と称される。図示されていないが、ビードの周りにて折り返されたカーカスプライからカーカスが構成されている場合、このカーカスの構造は「折り返し構造」と称される。
ベルト14は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト14は、カーカス12と積層されている。ベルト14は、カーカス12を補強する。ベルト14は、内側層56及び外側層58からなる。図1から明らかなように、軸方向において、内側層56の幅は外側層58の幅よりも若干大きい。
図示されていないが、内側層56及び外側層58のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の一般的な絶対値は、10°以上35°以下である。内側層56のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層58のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト14の軸方向幅は、タイヤ2の最大幅(断面幅(JATMA参照)とも称される。)の0.7倍以上が好ましい。ベルト14が、3以上の層を備えてもよい。
バンド16は、ベルト14の半径方向外側に位置している。バンド16は、半径方向において、ベルト14とトレッド4との間に位置している。軸方向において、バンド16の幅はベルト14の幅よりも大きい。バンド16は、ベルト14を覆っている。
図示されていないが、バンド16はバンドコードとトッピングゴムとからなる。バンドコードは、螺旋状に巻かれている。このバンド16は、いわゆるジョイントレス構造を有する。バンドコードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するバンドコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このバンドコードによりベルト14が拘束されるので、ベルト14のリフティングが抑制される。バンドコードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。適度な剛性を有するバンド16が得られるとの観点から、このバンドコードとしては、アラミド繊維からなるコードがより好ましい。このバンド16は、軽量化及び転がり抵抗の低減に寄与する。
それぞれのエッジバンド18は、ベルト14の半径方向外側であって、かつベルト14の端の近傍に位置している。このタイヤ2では、エッジバンド18は半径方向においてベルト14とバンド16との間に位置している。エッジバンド18は、ベルト14の内側層56の端及びその外側層58の端を覆っている。このエッジバンド18の半径方向外側に、バンド16の端の部分が積層されている。
図示されていないが、このエッジバンド18は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このエッジバンド18は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト14の端が拘束されるので、ベルト14のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ぞれぞれのクッション層20は、ベルト14の端の近傍において、カーカス12と積層されている。クッション層20は、軟質な架橋ゴムからなる。クッション層20は、ベルト14の端の応力を吸収する。このクッション層20は、ベルト14のリフティングの抑制に寄与する。
インナーライナー22は、カーカス12の内側に位置している。赤道面の近傍において、インナーライナー22は、カーカス12の内面に接合されている。インナーライナー22は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー22の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー22は、タイヤ2の内圧を保持する。
それぞれのインスレーション24は、軸方向において、サイドウォール6の内側に位置している。インスレーション24は、荷重支持層28とインナーライナー22とに挟まれている。インスレーション24は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。インスレーション24は、荷重支持層28と堅固に接合し、インナーライナー22とも堅固に接合する。インスレーション24により、サイドウォール6の軸方向内側における、インナーライナー22の剥離が抑制される。
それぞれのチェーファー26は、ビード10の近傍に位置している。タイヤ2がリムに組み込まれると、チェーファー26はリムと当接する。この当接により、ビード10の近傍が保護される。この実施形態では、チェーファー26は、クリンチ8と一体である。したがって、チェーファー26の材質はクリンチ8の材質と同じである。チェーファー26が、布とこの布に含浸したゴムとからなってもよい。
それぞれの荷重支持層28(以下、支持層28)は、サイドウォール6よりも軸方向内側に位置している。この支持層28は、軸方向において、カーカス12のさらに内側に位置している。この支持層28は、カーカス12と、インナーライナー22とに挟まれている。この支持層28は、ビード10における第一エイペックス42の半径方向外側に位置している。このタイヤ2では、支持層28はこの第一エイペックス42と積層されている。この支持層28は、第一エイペックス42と接合されている。
このタイヤ2では、支持層28は、半径方向において、内向きに先細りであり外向きにも先細りである。この支持層28は、三日月に類似の形状を有する。支持層28は、架橋ゴムからなる。タイヤ2がパンクしたとき、この支持層28が車重を支える。この支持層28により、パンク状態であっても、タイヤ2はある程度の距離を走行しうる。このタイヤ2は、ランフラットタイヤとも称されている。このタイヤ2は、サイド補強タイプである。
カーカス12のうち、支持層28とオーバーラップしている部分は、インナーライナー22と離れている。換言すれば、支持層28の存在により、カーカス12は湾曲させられている。パンク状態のとき、支持層28には圧縮荷重がかかり、カーカス12のうち支持層28と近接している領域には引張り荷重がかかる。支持層28はゴム塊なので、圧縮荷重に十分に耐えうる。カーカスコードは、引張り荷重に十分に耐えうる。支持層28とカーカスコードとにより、パンク状態でのタイヤ2の縦撓みが抑制される。縦撓みが抑制されたタイヤ2は、パンク状態での操縦安定性に優れる。
このタイヤ2では、支持層28の硬さは60以上85以下が好ましい。この硬さが60以上に設定されることにより、パンクによってこのタイヤ2の内圧が低下した場合、この支持層28が車重の支持に効果的に寄与しうる。この観点から、この硬さは65以上がより好ましい。この硬さが85以下に設定されることにより、支持層28によるサイドウォール6の部分の撓みへの影響が抑えられる。このタイヤ2では、乗り心地が適切に維持される。この観点から、この硬さは80以下がより好ましい。
本願において、硬さはJIS−A硬さである。この硬さは、「JIS−K6253」の規定に準拠して、23℃の環境下で、タイプAのデュロメータによって測定される。より詳細には、硬さは、図1に示された断面にタイプAのデュロメータが押し付けられることで測定される。
それぞれのフィラー30は、ビード10からサイドウォール6に遷移していく領域に位置している。フィラー30の内端60は、第一コア40及び第二コア44の近くに位置している。フィラー30の外端62は、サイドウォール6の近くに位置している。このタイヤ2では、フィラー30はビード10からサイドウォール6に向かってカーカス12に沿って延在している。
図2には、フィラー30の一部がカーカス12の一部とともに模式的に示されている。この図2は、図1の右側からこのタイヤ2の側面を見た状態に相当する。この図2において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の周方向であり、紙面の垂直方向がタイヤ2の軸方向である。この図2には、フィラー30の外端62の部分が示されている。
このタイヤ2では、フィラー30は並列された多数のフィラーコード64を含んでいる。詳細には、このフィラー30は、多数のフィラーコード64とトッピングゴム66とからなる。この紙面では、説明の便宜のために、それぞれのフィラーコード64は太実線で表されている。しかしこのフィラー30においては、フィラーコード64はトッピングゴム66で覆われている。前述したように、カーカスプライ52は並列された多数のカーカスコード68とトッピングゴム70とからなる。この紙面では、説明の便宜のために、これらのカーカスコード68も太実線で表されているが、このカーカスプライ52においても、カーカスコード68はトッピングゴム70で覆われている。
図2に示されているように、このタイヤ2では、フィラーコード64は半径方向に対して傾斜している。前述したように、このタイヤ2のカーカス12はラジアル構造を有している。このカーカス12に含まれるカーカスコード68は、略半径方向に延在している。このタイヤ2では、フィラーコード64はカーカスコード68に対して傾斜している。言い換えれば、フィラーコード64はカーカスコード68と交差している。
図3において、角度θは、フィラーコード64が半径方向に対してなす角度である。この角度θは、フィラーコード64の傾斜角である。
前述したように、このタイヤ2では、フィラーコード64は半径方向に対して傾斜している。このフィラーコード64を含むフィラー30は、このタイヤ2の半径方向及び周方向それぞれの剛性に寄与する。半径方向及び周方向ぞれぞれの剛性への貢献がバランス良く整えられるとの観点から、この傾斜角θは30°以上が好ましく、60°以下が好ましい。この傾斜角θは、40°以上がより好ましく、50°以下がより好ましい。特に好ましくは、この傾斜角θは45°である。
図3には、フィラーコード64の断面が示されている。このタイヤ2では、フィラーコード64は撚り線である。このフィラーコード64は、複数のフィラメント72からなる。それぞれのフィラメント72の材質は、スチールである。したがって、このフィラーコード64の材質はスチールである。言い換えれば、フィラーコード64はスチールコードである。スチールコードがフィラーコード64として用いられているフィラー30は、スチールフィラーとも称される。
図3から明らかなように、このタイヤ2では、フィラーコード64は2本のフィラメント72からなる。このフィラーコード64の構成は、「1×2」で表される。このフィラーコード64は、単撚り構造を有している。このタイヤ2では、フィラー30に用いられるフィラーコード64は、図3に示された撚り線に限られない。3本のフィラメント72からなる撚り線がフィラーコード64として用いられてもよいし、4本のフィラメント72からなる撚り線がフィラーコード64として用いられてもよい。剛性への貢献の観点から、このフィラーコード64を構成するフィラメント72の本数は2本以上が好ましい。軽量化への貢献の観点から、この本数は4本以下が好ましい。
図3において、両矢印DFはフィラメント72の外径である。両矢印DCは、フィラーコード64の外径である。本発明においては、この外径DCはフィラーコード64をなす複数のフィラメント72の外接円の直径で表される。
このタイヤ2では、フィラーコード64をなすフィラメント72の外径DFは0.16mm以上が好ましく、0.30mm以下が好ましい。剛性への貢献の観点から、この外径DFは0.20mm以上がより好ましい。軽量化への貢献の観点から、この外径DFは0.25mm以下がより好ましい。
このタイヤ2では、フィラーコード64の外径DCは0.3mm以上が好ましく、0.6mm以下が好ましい。剛性への貢献の観点から、この外径DCは0.35mm以上がより好ましい。軽量化への貢献の観点から、この外径DFは0.55mm以下がより好ましい。
図4には、このタイヤ2のビード10の部分が示されている。図4において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。
このタイヤ2では、フィラー30の内端60の部分は、軸方向において、第一パート36と第二パート38との間に位置している。言い換えれば、フィラー30の内端60の部分は第一パート36と第二パート38との間に挟まれている。前述したように、このタイヤ2では、カーカスプライ52の端54の部分はビード10の第一パート36とその第二パート38との間に位置している。このタイヤ2ではさらに、フィラー30の内端60の部分が、このカーカスプライ52の端54の部分とともに、第一パート36と第二パート38との間に位置している。しかもフィラー30の外端62は、半径方向において、第一パート36の第一エイペックス42の外端50よりも外側に位置している。このフィラー30の外端62は、半径方向において、第二パート38の第二エイペックス46の外端48よりも外側に位置している。このフィラー30は、ビード10から突出し、このビード10とサイドウォール6との間を架け渡している。
このタイヤ2では、フィラー30は剛性に寄与する。このフィラー30は、カーカスプライ52の動きを効果的に抑える。このタイヤ2では、フィラー30よりも半径方向外側の部分において、カーカスプライ52には高いテンションが作用する。このタイヤ2では、フィラー30とカーカスプライ52との相乗的な作用により、サイドウォール6の部分において、剛性が十分に確保される。このタイヤ2は、操縦安定性、及びパンク状態での耐久性に優れる。
図1において、実線BBLはビードベースラインを表している。このビードベースラインは、タイヤ2が装着されるリム(図示されず)のリム径(JATMA参照)を規定する線である。このビードベースラインは、軸方向に延びる。両矢印Hは、このタイヤ2の断面高さ(JATMA参照)である。この高さHは、ビードベースラインからこのタイヤ2の半径方向外側端までの半径方向距離で表される。具体的には、この高さHはタイヤ2の外径とリム径との差の半分である。符号PHは、タイヤ2の外面上の特定の位置を表している。このタイヤ2では、ビードベースラインからこの位置PHまでの半径方向距離は、断面高さHの半分に等しい。この位置PHは、このタイヤ2の断面高さHの半分に等しい位置である。両矢印hは、ビードベースラインからフィラー30の外端62までの半径方向距離である。この距離hは、フィラー30の半径方向高さである。
前述したように、このタイヤ2のフィラー30はスチールフィラーである。このフィラー30の剛性は高い。このため、このフィラー30の外端62がベルト14の端に近づくと、サイドウォール6からトレッド4へ遷移していく領域(バットレスとも称される)の柔軟性が損なわれ、転がり抵抗が上昇する恐れがある。フィラー30の外端62に歪みが集中しやすくなり、耐久性が低下する恐れもある。
このタイヤ2では、断面高さHに対するフィラー30の半径方向高さhの比は0.5以下である。言い換えれば、このタイヤ2では、半径方向において、フィラー30の外端62の位置は、ビードベースラインからの高さがこのタイヤ2の断面高さHの半分に等しい位置PHと一致している、又は、このフィラー30の外端62が、このビードベースラインからの高さがこのタイヤ2の断面高さHの半分に等しい位置PHよりも内側に位置している。このタイヤ2では、バットレスの柔軟性が適切に維持される上に、フィラー30の外端62への歪みの集中が抑えられる。このタイヤ2では、フィラー30による、転がり抵抗及び耐久性への影響が抑えられている。このタイヤ2では、小さな転がり抵抗と良好な耐久性が維持される。この観点から、この比は0.45以下が好ましい。
このタイヤ2では、フィラー30とカーカスプライ52との相乗的な作用により、サイドウォール6の部分において、剛性が十分に確保される。このため、薄い荷重支持層28を採用しても、良好な操縦安定性、及びパンク状態での耐久性は維持される。このタイヤ2では、良好な操縦安定性、及びパンク状態での耐久性の維持のために、エネルギーロスを増大させる恐れのある、大きなボリュームを有するエイペックスを採用する必要もない。このタイヤ2では、転がり抵抗の低減が達成される。本発明によれば、操縦安定性、及びパンク状態での耐久性を損なうことなく、転がり抵抗の低減が達成された、空気入りタイヤ2が得られる。
このタイヤ2では、断面高さHに対するフィラー30の半径方向高さhの比は0.3以上が好ましい。この比が0.3以上に設定されることにより、フィラー30がサイドウォール6の部分の剛性に効果的に寄与する。このタイヤ2では、薄い荷重支持層28を採用しても、良好な操縦安定性、及びパンク状態での耐久性は維持される。薄い荷重支持層28の採用は、小さな転がり抵抗に寄与する。この観点から、この比は0.33以上がより好ましい。
例えば、図4に示されているように、このタイヤ2では、フィラー30は軸方向においてカーカスプライ52の外側に位置している。特に、このタイヤ2では、フィラー30は軸方向においてカーカス12の外側に位置している。このタイヤ2では、フィラー30がカーカス12の動きをより効果的に抑える。このタイヤ2では、このフィラー30よりも半径方向外側部分において、十分に高いテンションがカーカスプライ52に作用する。このタイヤ2では、フィラー30とカーカスプライ52との相乗的な作用により、サイドウォール6の部分において、より十分な剛性が確保される。このタイヤ2は、操縦安定性及びパンク状態での耐久性に優れる。
このタイヤ2では、フィラー30が軸方向においてカーカスプライ52の内側に位置しても、このフィラー30はカーカス12の動きを抑制する。このフィラー30が軸方向においてカーカス12の内側に位置しても、このフィラー30はカーカス12の動きを抑制する。しかし、このフィラー30の配置されている部分では、カーカス12には、このカーカス12が軸方向外側に倒れるように力が作用する。このため、このフィラー30によるカーカス12の動きの抑制効果は、フィラー30をカーカスプライ52の軸方向外側に配置させた場合に比して小さい。フィラー30によるカーカス12の動きの抑制効果が十分に発揮されるとの観点から、このフィラー30は、軸方向においてカーカスプライ52の外側に位置しているのが好ましい。このフィラー30は、軸方向においてカーカス12の外側に位置しているのがより好ましい。
このタイヤ2では、5cm幅のフィラー30に含まれるフィラーコード64の量は5.0mm2以下が好ましい。このフィラーコード64の量が5.0mm2以下に設定されることにより、フィラーコード64間の距離が適切に維持される。フィラーコード64間に存在するトッピングゴム66の量が十分に確保されるので、このフィラー30には損傷が生じにくい。このタイヤ2では、パンク状態での耐久性の向上にフィラー30が効果的に貢献できる。この観点から、このフィラーコード64の量は4.95mm2以下がより好ましく、4.91mm2以下がさらに好ましい。なお、フィラー30の剛性が適切に維持され、良好な操縦安定性が得られるとの観点から、このフィラーコード64の量は2.9mm2以上が好ましく、2.94mm2以上がより好ましく、3.93mm2以上がさらに好ましい。
本発明において、5cm幅のフィラー30に含まれるフィラーコード64の量は、フィラー30におけるフィラーコード64の密度と、このフィラーコード641本の断面積との積で表される。フィラーコード64の密度は、フィラー30の、フィラーコード64の長さ方向に垂直な断面において、このフィラー30の5cm幅あたりに存在するフィラーコード64の断面の数(エンズ)を計測することにより得られる。フィラーコード64の断面積は、このフィラーコード64を構成するフィラメント72の断面積の合計で表される。
このタイヤ2では、5cm幅のフィラー30の強度は440g・cm以上665g・cm以下が好ましい。フィラー30の強度が440g・cm以上に設定されることにより、フィラー30の剛性が適切に維持される。このフィラー30は、操縦安定性に寄与する。この観点から、このフィラー30の強度は443g・cm以上がより好ましい。このフィラー30の強度が665g・cm以下に設定されることにより、このフィラー30がしなやかな撓みに寄与する。このタイヤ2では、転がり抵抗の上昇が抑えられる。この観点から、このフィラー30の強度は554g・cm以下がより好ましい。
本発明において、5cm幅のフィラー30の強度は、前述のフィラーコード64の密度と、このフィラーコード641本の曲げ剛性との積で表される。フィラーコード64の曲げ剛性は、次のようにして得られる。
図5には、フィラーコード64の曲げ剛性の計測の様子が模式的に示されている。フィラーコード64の曲げ剛性の計測では、試験機74として、TABER社製のV−5剛性試験機(150−D型)が用いられる。図示されているように、フィラーコード64はこの試験機74の掴み治具76に取り付けられる。点P0は、この掴み治具76から突き出るフィラーコード64の付け根を表している。点P1は、このフィラーコード64の先端を表している。点P2は、この先端P1に荷重が掛けられて曲げられた状態にあるフィラーコード64の先端を表している。角度αは、点P0と点P1とを結ぶ直線L1と、点P0と点P2とを結ぶ直線L2とがなす角度を表している。矢印線Bは、このフィラーコード64が曲げられる方向を表している。
フィラーコード64の曲げ剛性の計測では、フィラーコード64が掴み治具76に取り付けられて、このフィラーコード64の、付け根P0から先端P1までの長さが、5cmに調整される。次に、先端P1に荷重が掛けられて、このフィラーコード64が矢印線Bで示された方向に曲げられる。フィラーコード64が曲げられることにより、先端P1は、点P2に示される位置に移動する。そして、角度αが15°を示したときの荷重が計測される。本発明においては、この計測された荷重に基づいて得られる曲げモーメントが、このフィラーコード64の曲げ剛性として用いられる。
前述したように、このタイヤ2では、フィラー30の内端60の部分は軸方向において第一パート36と第二パート38との間に位置している。特に、このタイヤ2では、図4に示されているように、このフィラー30の内端60は、軸方向において、第一コア40と第二コア44との間に位置している。このタイヤ2では、第一コア40と第二コア44との間にカーカスプライ52が挟まれており、フィラー30はこのカーカスプライ52の外側に位置している。このタイヤ2では、フィラー30の内端60はカーカスプライ52を介して第一コア40と第二コア44との間に挟まれている。このタイヤ2では、ビード10の部分に荷重が作用した際、このフィラー30はしなやかに撓む。このフィラー30は、タイヤ2の剛性に効果的に寄与する。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。
図4において、両矢印LLは第二コア44の外端78からフィラー30の内端60までの長さを表している。ビード10の部分に荷重が作用した際、このフィラー30しなやかな撓みむことができるとの観点から、この長さLLは1mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。このタイヤ2の質量の観点から、この長さLLは、10mm以下が好ましく、8mm以下がより好ましい。
図4において、両矢印HFは、第二コア44の外端78からフィラー30の外端62までの半径方向距離である。この距離HFは、第二コア44から突出しているフィラー30の半径方向長さである。この図4において、両矢印HSAは、第二コア44の外端78から第二エイペックス46の外端48までの半径方向距離である。この距離HSAは、第二コア44から突出している第二エイペックス46の半径方向長さである。
このタイヤ2では、フィラー30の長さHFに対する第二エイペックス46の長さHSAの比は、0.40以上0.70以下が好ましい。この比が0.40以上に設定されることにより、ビード10の半径方向外側部分が軸方向外向きに倒れるようにこの外側部分に力が作用した場合に、第二エイペックス46がフィラー30とともにこの力に抗するように作用する。このタイヤ2では、第二エイペックス46がビード10の部分の剛性に効果的に寄与する。このタイヤ2は、パンク状態での耐久性及び操縦安定性に優れる。この観点から、この比は、0.45以上がより好ましい。この比が0.70以下に設定されることにより、第二エイペックス46による転がり抵抗への影響が抑えられる。この観点から、この比は0.65以下がより好ましい。
図4において、実線L1は、第二コア44の外端78におけるフィラー30の法線である。両矢印tは、この法線L1に沿って計測されるビード10の厚さである。両矢印t1は、この法線L1に沿って計測される第二エイペックス46の厚さである。この図4において、実線L2は、前述の長さHSAの中心におけるフィラー30の法線である。両矢印t2は、この法線L2に沿って計測される第二エイペックス46の厚さである。
このタイヤ2では、ビード10の厚さtに対する第二エイペックス46の厚さt1の比は、0.2以上0.4以下が好ましい。この比が0.2以上に設定されることにより、第二エイペックス46の剛性が適切に維持される。このタイヤ2では、カーカスプライ52の外側に位置するフィラー30を第二エイペックス46が効果的に支持する。このタイヤ2では、このフィラー30が、この第二エイペックス46とともに、カーカス12の動きを効果的に抑える。このタイヤ2は、パンク状態での耐久性及び操縦安定性に優れる。この観点から、この比は0.25以上がより好ましい。この比が0.4以下に設定されることにより、第二エイペックス46のボリュームが適切に維持されるとともに、フィラー30がしなやかな撓むことができる。このタイヤ2では、第二エイペックス46による転がり抵抗への影響が効果的に抑えられる。この観点から、この比は0.35以下がより好ましい。
このタイヤ2では、第二エイペックス46の厚さt1に対するその厚さt2の比は、0.3以上0.9以下が好ましい。この比が0.3以上に設定されることにより、第二エイペックス46の剛性が適切に維持される。このタイヤ2では、カーカスプライ52の外側に位置するフィラー30を第二エイペックス46が効果的に支持する。このタイヤ2では、フィラー30が、この第二エイペックス46とともに、カーカス12の動きを効果的に抑える。このタイヤ2は、パンク状態での耐久性及び操縦安定性に優れる。この観点から、この比は0.40以上がより好ましい。この比が0.9以下に設定されることにより、第二エイペックス46のボリュームが適切に維持されるとともに、フィラー30がしなやかな撓むことができる。このタイヤ2では、第二エイペックス46による転がり抵抗への影響が効果的に抑えられる。この観点から、この比は0.80以下がより好ましい。
以上説明されたタイヤ2は、次のようにして製造される。この製造方法では、中子が準備される。図示されていないが、この中子はトロイダル状の外面を備えている。
このタイヤ2の製造方法では、中子の外面においてインナーライナー22をはじめとする多数の要素が組み合わされて、ローカバー(未加硫タイヤ2)が得られる。この製造方法では、ローカバーは中子の外面において組み立てられる。
この製造方法では、ローカバーは中子とともにモールド(図示されず)に投入される。投入後、モールドは閉じられる。ローカバーの内面は、中子に当接している。ローカバーの外面は、モールドのキャビティ面と当接する。ローカバーは、モールドのキャビティ面と中子の外面とに挟まれて加圧される。ローカバーは、モールド内で加圧及び加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物が流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤ2が得られる。このように中子を用いたタイヤ2の製造方法は、中子工法とも称される。
前述したように、このタイヤ2では、カーカス12、バンド16等の部材には、剛性の観点から、好ましくは、アラミド繊維からなコード(以下、アラミドコード)が採用される。このアラミドコードの採用は、転がり抵抗の低減及びパンク状態での耐久性の向上に寄与する。しかしこのアラミドコードの伸びはかなり小さい。このため、ローカバーを膨らませてその形態を整える工程、すなわちシェーピング工程を含む製造方法では、このアラミドコードを含む部材を備えるタイヤ2の製造は困難である。これに対して、中子方法では、ローカバーを膨らませてその形態を整える必要はない。この中子工法では、ローカバーの形態変化を伴うことなく、タイヤ2の成形が可能である。この中子工法によれば、伸びの小さなアラミドコードを含む部材を採用しても、タイヤ2を安定に製造することができる。この中子方法は、タイヤ2の転がり抵抗の低減及びパンク状態での耐久性の向上に寄与する。しかもこの中子工法では、各部材は、周方向において継ぎ目のない要素で形成される。このタイヤ2では、各部材の厚さは周方向において一様である。このタイヤ2は、ユニフォミティに優れる。
本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。乗用車用タイヤ2の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。
本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。
本明細書において正規荷重とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた荷重を意味する。JATMA規格における「最高負荷能力」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「LOAD CAPACITY」は、正規荷重である。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1−4に示されたタイヤを製作した。このタイヤのサイズは、245/45RF18である。この実施例1では、フィラーの半径方向高さhの断面高さHに対する比は、0.42であった。フィラーの長さHFに対する第二エイペックスの長さHSAの比(HSA/HF)は、0.55であった。法線L1に沿って計測される第二エイペックスの厚さt1に対する、法線L2に沿って計測される第二エイペックスの厚さt2の比(t2/t1)は、0.57であった。
この実施例1では、フィラーコードには、スチールコードが用いられた。このスチールコードの構成は、1×2×0.25であった。このことが、表1における「構成」の欄に「1×2」として、そして、「フィラメント径DF」の欄に「0.25」として表されている。このフィラーコードの外径DCは、0.50mmであった。このフィラーにおけるフィラーコードの密度は40エンズ/5cmに設定された。5cm幅のフィラーにおけるフィラーコードの量は3.93mm2であり、5cm幅のフィラーの強度は443g・cmであった。
[比較例1]
フィラーを設けなかった他は実施例1と同様にして、比較例1のタイヤを得た。この比較例1は、従来のタイヤである。
[実施例2−4及び比較例2]
フィラーの高さを変えて比(h/H)及び比(HSA/HF)を下記の表1に示された通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−4及び比較例2のタイヤを得た。
[実施例5−15]
フィラーコードの構成及びフィラーコードの密度を変えてフィラーコードの量及びフィラーの強度を下記の表2及び3に示された通りとした他は実施例1と同様にして、実施例5−15のタイヤを得た。
[実施例16−19]
長さHSAを変えて比(HSA/HF)を下記の表4に示された通りとした他は実施例1と同様にして、実施例16−19のタイヤを得た。
[実施例20−23]
厚さt2を変えて比(t2/t1)を下記の表5に示された通りとした他は実施例1と同様にして、実施例20−23のタイヤを得た。
[耐久性(ランフラット)]
タイヤがパンクして内圧が低下した場合における、耐久性を、以下のようにして評価した。タイヤをリム(18×8J)に組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を180kPaとした。このタイヤをドラム式走行試験機に装着し、JATMA最大負荷荷重(正規荷重)の65%に相当する縦荷重をタイヤに負荷した。その後、このタイヤの内圧を常圧としてパンク状態を再現し、このタイヤを80km/hの速度で、半径が1.7mであるドラムの上を走行させた。タイヤが破壊するまでの走行距離を、測定した。この結果が、指数で下記の表1−5に示されている。数値が大きいほど、好ましい。
[転がり抵抗係数(RRC)]
転がり抵抗試験機(ドラム径=1.7m、ドラム表面=smooth steel)を用い、下記の測定条件で転がり抵抗係数(RRC)を測定した。
リム(アルミニウム合金製):18×8J
内圧:210kPa
荷重:5.3kN
速度:80km/h
温度:20℃
慣らし時間:30分
トー角:ゼロ
キャンバー角:0°
この結果が、指数で下記の表1−5に示されている。数値が大きいほど好ましい、つまり転がり抵抗係数(RRC)が小さい。
[操縦安定性]
タイヤをリム(18×8J)に組み込み、このタイヤに内圧が230kPaとなるように空気を充填した。このタイヤを、排気量が4300ccである乗用車に装着した。ドライバーに、この乗用車をレーシングサーキットで運転させて、操縦安定性を評価させた。この結果が、指数で下記の表1−5に示されている。数値が大きいほど好ましい。
表1−5に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。