JP6043553B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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本発明は、空気入りタイヤに関する。
タイヤの製造方法では、フォーマーのドラム上で、トレッド、サイドウォール等の部材を多数組み合わせて、ローカバー(未架橋タイヤ)が得られる。このローカバーの成形工程では、ドラムが拡径され、このローカバーの形状が整えられる。
この製造方法では、ローカバーはモールドに投入される。このとき、ブラダーはローカバーの内側に位置している。ブラダーにガスが充填されると、ブラダーは膨張する。これにより、ローカバーは変形する。モールドが締められ、ブラダーの内圧が高められる。ローカバーは、モールドとブラダーとに挟まれ加圧される。ローカバーは、ブラダー及びモールドからの熱伝導により、加熱される。加圧及び加熱により、ローカバーのゴム組成物は流動する。加熱によりゴムが架橋反応を起こし、タイヤが得られる。
タイヤの性能は、これを構成する部材の特性を調整することにより制御される。操縦安定性の向上の観点から、タイヤの構成部材として、短繊維を含む部材を採用することがある。
上記短繊維を含む部材の採用例が、特開2003−146028公報に開示されている。この公報に記載のタイヤでは、短繊維を含む部材として短繊維補強ゴム層が用いられている。このタイヤでは、短繊維補強ゴム層はビードのエイペックスよりも軸方向外側に設けられている。
図7には、従来タイヤ2の一例としてランフラットタイヤが示されている。このタイヤ2は、トレッド4、ウィング6、サイドウォール8、クリンチ10、ビード12、カーカス14、荷重支持層16、ベルト18、バンド20、インナーライナー22及びチェーファー24を備えている。
このタイヤ2では、ビード12は、コア26と、このコア26から半径方向外向きに延びるエイペックス28とを備えている。コア26はリング状であり、複数本の非伸縮性ワイヤーを含む。エイペックス28は、半径方向外向きに先細りなテーパ状であり、高硬度な架橋ゴムからなる。カーカス14をなすカーカスプライ30は、両側のビード12の間に架け渡されており、トレッド4及びサイドウォール8の内側に沿っている。カーカスプライ30は、コア26の周りにて、軸方向内側から外側に向かって巻かれている。カーカスプライ30の端30eは、トレッド4の近傍にまで至っている。このカーカス14の構造は、超ハイターンアップ構造と称される。荷重支持層16は、サイドウォール8の軸方向内側に位置している。荷重支持層16は、三日月に類似の形状である。荷重支持層16は、高硬度な架橋ゴムからなる。
このタイヤ2では、パンクによってその内圧が低下した場合、荷重支持層16が車重を支える。この荷重支持層16により、内圧が低い場合でも、タイヤ2はある程度の距離を走行しうる。
特開2003−146028公報
上記図7に示されたタイヤ2では、パンクによってタイヤ2の内圧が低下した場合における、このタイヤ2の耐久性(ランフラット耐久性とも称されている。)の向上の観点から、大きな厚みを有する荷重支持層16を採用することがある。しかしこの荷重支持層16は、質量の増加を招く恐れがある。しかもこの荷重支持層16は、剛性に影響する。この荷重支持層16は、乗り心地を低下させる恐れもある。
前述の、短繊維を含む部材によれば、質量の増加を抑えつつ、タイヤ2の剛性を調整できる。しかし、短繊維を多く含む部材の伸びは小さい。このため、タイヤ2の加硫工程において、ブラダーが膨張しローカバーが変形するとき、この部材がこの変形に追随できないことがある。ローカバーの変形を伴う製造方法では、短繊維を多く含む部材は採用できないという問題がある。
このタイヤ2では、荷重支持層16は、ゴム組成物を押し出して得たシートを用いて形成される。形成のとき、シートの一端とその他端とが継ぎ合わされる。このタイヤ2のローカバーでは、荷重支持層16に継ぎ目がある。
前述したように、タイヤ2の加硫工程では、ブラダーが膨張しローカバーが変形する。この変形は例えば、荷重支持層16に形態変化を招来する。前述したように、荷重支持層16には継ぎ目がある。継ぎ目の部分の強度は、この継ぎ目のない部分の強度よりも小さい。このため、ローカバーが変形すると、継ぎ目の部分において、形態が顕著に変化する。このタイヤ2では、継ぎ目の部分の形態がこの継ぎ目のない部分の形態と相違することがある。この形態の相違がランフラット耐久性に影響することがある。
本発明の目的は、質量の増加を抑えつつ、パンクによってタイヤの内圧が低下した場合における、耐久性の向上が達成された空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、トロイダル状の中子の外面において組み立てられ、モールドとこの中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱されることにより形成される。このタイヤは、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のクリンチと、それぞれがクリンチよりも軸方向内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、それぞれがカーカスよりも軸方向内側に位置する一対の荷重支持層とを備えている。この荷重支持層は、基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなる。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記カーカスはカーカスプライを備えている。上記ビードは、第一コアとこの第一コアよりも軸方向外側に位置する第二コアとを備えている。上記カーカスプライの端部は、上記第一コアと上記第二コアとの間に挟まれている。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記ビードは半径方向外向きに先細りな形状を呈するエイペックスをさらに備えている。このエイペックスは、上記カーカスプライよりも軸方向外側に位置し、かつ、上記第二コアを覆っている。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記短繊維の配合量は上記基材ゴム100質量部に対して5質量部以上60質量部以下である。より好ましくは、上記短繊維の配合量は、上記基材ゴム100質量部に対して30質量部以上である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記荷重支持層における短繊維は周方向に配向している。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記荷重支持層は上記ゴム組成物からなるストリップを周方向に螺旋状に巻回すことにより形成されている。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、断面高さの半分の高さに相当する位置において、上記荷重支持層の厚さの上記サイドウォールの厚さに対する比は1以上5以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤは、上記荷重支持層の硬度は60以上85以下である。
本発明に係る空気入りタイヤの製造方法は、
(1)トロイダル状の中子の外面において、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のクリンチと、それぞれがクリンチよりも軸方向内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、それぞれがカーカスよりも軸方向内側に位置する一対の荷重支持層とを備えており、この荷重支持層が基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物からなる、ローカバーが組み立てられる工程と、
(2)このローカバーが、モールドに投入される工程
及び
(3)このローカバーが、このモールドと上記中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱される工程
を含む。
本発明に係る空気入りタイヤでは、質量の増加を抑えつつ、パンクによってタイヤの内圧が低下した場合における、耐久性の向上が達成される。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。 図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。 図4は、図3の荷重支持層の短繊維が示された模式図である。 図5は、荷重支持層のためのストリップの一部が示された斜視図である。 図6は、図1のタイヤの製造の様子が示された模式図である。 図7は、従来のタイヤの一部が示された断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ32が示されている。図1において、上下方向がタイヤ32の半径方向であり、左右方向がタイヤ32の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ32の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ32の赤道面を表わす。このタイヤ32の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。
図1において、実線BBLはビードベースラインを表している。このビードベースラインは、タイヤ32が装着されるリム(図示されず)のリム径(JATMA参照)を規定する線である。両矢印Hは、ビードベースラインからタイヤ32の赤道までの半径方向距離を表している。この距離Hは、このタイヤ32の断面高さである。符号Phで示されているのは、ビードベースラインからの半径方向距離(図中の両矢印Hh)が断面高さHの半分となる、このタイヤ32の外面上の位置である。この符号Phは、このタイヤ32の断面高さHの半分の高さに相当する位置を表している。
このタイヤ32は、トレッド34、サイドウォール36、クリンチ38、ビード40、カーカス42、ベルト44、バンド46、インナーライナー48、チェーファー50及び荷重支持層52を備えている。このタイヤ32は、チューブレスタイプである。このタイヤ32は、乗用車に装着される。
トレッド34は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド34の外面は、路面と接地するトレッド面54を形成する。トレッド面54には、溝56が刻まれている。この溝56により、トレッドパターンが形成されている。トレッド34は、ベース層58とキャップ層60とを有している。ベース層58は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層58の典型的な基材ゴムは、天然ゴムである。キャップ層60は、ベース層58の半径方向外側に位置している。キャップ層60は、ベース層58に積層されている。キャップ層60は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
サイドウォール36は、トレッド34の端から半径方向略内向きに延びている。サイドウォール36は、軸方向においてカーカス42よりも外側に位置している。このサイドウォール36は、その半径方向外側端において、トレッド34と接合されている。このサイドウォール36は、その半径方向内側端において、クリンチ38と接合されている。サイドウォール36は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。このサイドウォール36は、カーカス42の損傷を防止する。
クリンチ38は、サイドウォール36よりも半径方向略内側に位置している。クリンチ38は、軸方向において、ビード40及びカーカス42よりも外側に位置している。クリンチ38は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。クリンチ38は、リム(図示されず)のフランジと当接する。このタイヤ32では、クリンチ38の外端38eの位置は半径方向において位置Phと一致している。半径方向において、クリンチ38の外端38eが位置Phよりも外側に位置してもよいし、この位置Phよりも内側に位置してもよい。タイヤ32のサイドウォール36の部分における剛性の制御が容易との観点から、クリンチ38の外端38eの位置は半径方向において位置Phと一致するか、このクリンチ38の外端38eが位置Phよりも半径方向内側に位置しているのが好ましい。
ビード40は、サイドウォール36よりも半径方向略内側に位置している。ビード40は、クリンチ38よりも軸方向内側に位置している。
このタイヤ32では、ビード40は、第一コア62aと、第二コア62bと、エイペックス64とを備えている。より詳細には、このタイヤ32のビード40は、第一コア62a、第二コア62b及びエイペックス64から構成されている。
第一コア62aは、軸方向においてカーカス42よりも内側に位置している。第一コア62aは、リング状であり、巻回された非伸縮性の第一ワイヤー66aを含む。このタイヤ32の第一コア62aは、第一ワイヤー66aを周方向に沿って渦巻き状に巻き回すことにより形成されている。第一ワイヤー66aの典型的な材質は、スチールである。
第二コア62bは、軸方向において第一コア62aよりも外側に位置している。第二コア62bは、軸方向においてカーカス42よりも外側に位置している。図から明らかなように、第二コア62bはエイペックス64で覆われている。第二コア62bはリング状であり、巻回された非伸縮性の第二ワイヤー66bを含む。このタイヤ32の第二コア62bは、第二ワイヤー66bを周方向に沿って渦巻き状に巻き回すことにより形成されている。第二ワイヤー66bの典型的な材質は、スチールである。このタイヤ32では、第二ワイヤー66bは第一ワイヤー66aと同等である。
エイペックス64は、高硬度な架橋ゴムからなる。エイペックス64は、軸方向においてカーカス42よりも外側に位置している。図から明らかなように、エイペックス64はクリンチ38とカーカス42との間に位置している。このエイペックス64は、半径方向外向きに先細りな形状を呈している。エイペックス64の外端64eは、半径方向において第二コア62bの外端66beより外側に位置している。エイペックス64の外端64eは、半径方向において第一コア62aの外端62aeより外側に位置している。エイペックス64の外端64eは、半径方向においてクリンチ38の外端38eよりも内側に位置している。
このタイヤ32では、エイペックス64は十分な大きさを有している。このエイペックス64を含むビード40は、タイヤ32をリムに十分に締め付ける。このビード40には、カーカス42の軸方向内側に位置する別のエイペックスは不要である。このビード40は、タイヤ32を構成する部品数の低減に寄与しうる。しかもカーカス42の軸方向外側にのみエイペックス64を設ければよいので、このビード40の製造は容易である。このビード40は、生産性の向上に寄与しうる。
カーカス42は、カーカスプライ68を備えている。このタイヤ32のカーカス42は、一枚のカーカスプライ68からなる。このカーカス42が2枚以上のカーカスプライ68から形成されてもよい。カーカスプライ68は、両側のビード40の間に架け渡されており、トレッド34及びサイドウォール36の内側に沿っている。このタイヤ32では、カーカスプライ68の端部はビード40の第一コア62aとその第二コア62bとの間に挟まれている。
このタイヤ32では、カーカス42の形成に際し、従来のタイヤ2のように、カーカスプライ68を折り返す必要はない。このタイヤ32では、カーカス42の形成は容易である。このカーカス42は、生産性の向上に寄与しうる。
図示されていないが、カーカスプライ68は並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス42はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
ベルト44は、カーカス42の半径方向外側に位置している。ベルト44は、カーカス42と積層されている。ベルト44は、カーカス42を補強する。ベルト44は、内側層70a及び外側層70bからなる。図から明らかなように、軸方向において、内側層70aの幅は外側層70bの幅よりも若干大きい。このタイヤ32では、内側層70aの端70aeがベルト44の端である。ベルト44の軸方向幅は、タイヤ32の最大幅の0.7倍以上が好ましい。ベルト44が、3以上の層70を備えてもよい。
図示されていないが、内側層70a及び外側層70bのそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の絶対値は、通常は10°以上35°以下である。内側層70aのコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層70bのコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。
バンド46は、ベルト44の半径方向外側に位置している。このタイヤ32では、バンド46の軸方向幅はベルト44の軸方向幅よりも若干大きい。図示されていないが、バンド46はコードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド46は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト44が拘束されるので、ベルト44のリフティングが抑制される。ベルト44が効果的に拘束されるとの観点から、バンド46の軸方向幅はベルト44の軸方向幅の0.9倍以上1.1倍以下が好ましい。このタイヤ32では、バンド46のコードは有機繊維からなる。好ましい有機繊維としては、ナイロン繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
インナーライナー48は、カーカス42の内側に位置している。このインナーライナー48は、タイヤ32の内面を形成している。インナーライナー48は、架橋ゴムからなる。インナーライナー48には、空気遮蔽性に優れたゴムが用いられている。インナーライナー48の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー48は、タイヤ32の内圧を保持する。
チェーファー50は、ビード40の近傍に位置している。タイヤ32がリムに組み込まれると、チェーファー50はリムと当接する。この当接により、ビード40の近傍が保護される。この実施形態では、チェーファー50は布とこの布に含浸したゴムとからなる。このチェーファー50がクリンチ38と一体とされてもよい。この場合は、チェーファー50の材質はクリンチ38の材質と同じとされる。
荷重支持層52は、サイドウォール36よりも軸方向内側に位置している。荷重支持層52は、カーカス42よりもさらに軸方向内側に位置している。荷重支持層52は、インナーライナー48よりも軸方向外側に位置している。荷重支持層52は、半径方向略外向きに先細りな形状を呈している。この荷重支持層52の半径方向外側端52eは、軸方向において、ベルト44の外側層70bの端70beよりも内側に位置している。
このタイヤ32では、荷重支持層52はゴム組成物が架橋されたものからなる。このゴム組成物は、基材ゴムを含む。この基材ゴムとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリイソプレン、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリクロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体及びイソブチレン−イソプレン共重合体が例示される。2種以上のゴムが併用されてもよい。
荷重支持層52のゴム組成物は、短繊維をさらに含む。短繊維は、荷重支持層52の強度に寄与しうる。この短繊維としては、有機繊維が例示される。有機繊維としては、ナイロン繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びポリエステル繊維が例示される。質量の軽量化及び低コスト化の観点から、この短繊維として、クラフト紙及び新聞古紙からなる原料紙が細片化されて叩解されることにより得られる紙繊維が用いられてもよい。
このタイヤ32では、荷重支持層52に含まれる短繊維の配合量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上60質量部以下が好ましい。この短繊維の配合量が5質量部以上に設定されることにより、荷重支持層52が適度な強度を有する。この荷重支持層52は、タイヤ32の剛性に寄与しうる。この観点から、この短繊維の配合量は、15質量部以上がより好ましく、25質量部以上ががさらに好ましく、30質量部以上が特に好ましい。この短繊維の配合量が60質量部以下に設定されることにより、荷重支持層52がインナーライナー48及びカーカス42のそれぞれと十分に接合されうる。このタイヤ32は、耐久性に優れる。この観点から、この短繊維の配合量は55質量部以下がより好ましく、45質量部以下が特に好ましい。
好ましくは、荷重支持層52のゴム組成物は、硫黄を含む。硫黄により、ゴム分子同士が架橋される。硫黄と共に、又は硫黄に代えて、他の架橋剤が用いられてもよい。電子線によって架橋がなされてもよい。
好ましくは、荷重支持層52のゴム組成物は、硫黄と共に加硫促進剤を含む。スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤等が、用いられうる。
荷重支持層52のゴム組成物は、補強材を含む。典型的な補強材は、カーボンブラックである。FEF、GPF、HAF、ISAF、SAF等が用いられうる。荷重支持層52の強度の観点から、カーボンブラックの量は、基材ゴム100質量部に対して5質量部以上が好ましい。荷重支持層52の軟質の観点から、カーボンブラックの量は50質量部以下が好ましい。カーボンブラックと共に、又はカーボンブラックに代えて、シリカが用いられてもよい。乾式シリカ及び湿式シリカが用いられうる。
荷重支持層52のゴム組成物は、軟化剤を含む。好ましい軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルが例示される。荷重支持層52の軟質の観点から、軟化剤の量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましい。荷重支持層52の強度の観点から、軟化剤の量は40質量部以下が好ましい。
荷重支持層52のゴム組成物には、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、架橋助剤等が、必要に応じ添加される。
図2には、図1のタイヤ32の一部が示されている。この図2には、荷重支持層52の設けられている部分が拡大して示されている。この図2において、上下方向がタイヤ32の半径方向であり、左右方向がタイヤ32の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ32の周方向である。図3は、図2のIII−III線に沿った断面図である。この図3には、荷重支持層52の一部が示されている。この図3において、上下方向がタイヤ32の半径方向であり、左右方向がタイヤ32の周方向である。
図示されているように、荷重支持層52は、多数の短繊維72と、マトリクス74とで構成されている。換言すれば、この荷重支持層52は繊維補強ゴム(FRR)からなる。これら短繊維72は、マトリクス74に分散している。これら短繊維72の長手方向は、略周方向に沿っている。この荷重支持層52において、短繊維72は周方向に配向している。短繊維72は、荷重支持層52の強度に効果的に寄与しうる。
図4は、図3の荷重支持層52の短繊維72が示された模式図である。図4において、左右方向が周方向である。矢印θで示されているのは、短繊維72の角度である。角度θは、直線X1と直線X2とのなす角度の絶対値である。直線X1は、周方向に延びている。直線X2は、短繊維72の一端76a及び他端76bを通過している。この角度θは、短繊維72の長手方向が周方向に対してなす角度である。角度θは、0°以上90°以下である。なお、図4中、両矢印Lで示されているのが繊維長である。この繊維長Lは、一端76aから他端76bまでの長さが計測されることにより得られる。
荷重支持層52がタイヤ32の剛性に効果的に寄与しうるとの観点から、角度θが20°以下である短繊維72の数の、短繊維72の総数に対する比率は、50%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、90%以上が特に好ましい。比率の算出においては、荷重支持層52の、周方向に沿った断面に露出した短繊維72の角度が、測定される。無作為に抽出された100本の短繊維72について、角度の測定がなされる。なお、角度θが20°以下である短繊維72の数の、短繊維72の総数に対する比率が90%以上である場合が、荷重支持層52における短繊維72が周方向に配向している状態である。
このタイヤ32では、短繊維72が荷重支持層52の強度を効果的に高めている。この荷重支持層52は、タイヤ32の剛性に寄与しうる。このタイヤ32では、サイドウォール36の軸方向内側において、カーカス42とインナーライナー48との間に、荷重支持層52が位置している。このタイヤ32では、パンクによってその内圧が低下した場合、荷重支持層52が車重を支えうる。これにより、内圧が低い場合でも、タイヤ32はある程度の距離を走行しうる。このタイヤ32は、ランフラットタイヤである。このタイヤ32は、サイド補強型である。
このタイヤ32では、荷重支持層52に含まれる短繊維72が質量に与える影響は小さい。このタイヤ32では、質量の増加が抑えられている。
このタイヤ32では、荷重支持層52に含まれる短繊維72が周方向に配向しているので、荷重支持層52による、サイドウォール36の部分の撓みへの影響が抑えられている。このタイヤ32では、乗り心地が適切に維持される。
このタイヤ32では、短繊維72が効果的に荷重支持層52の強度を高めるとの観点から、短繊維72の平均長さL(図4参照)は、20μm以上が好ましい。平均長さLが20μm以上である短繊維72により、荷重支持層52が十分に補強される。マトリクス74への分散性の観点から、平均長さLは5000μm以下が好ましい。
短繊維72の平均直径Dは、0.04μm以上が好ましい。平均直径Dが0.04μm以上である短繊維72により、荷重支持層52の強度が十分に高められる。マトリクス74への分散性の観点から、平均直径Dは500μm以下が好ましい。
短繊維72のアスペクト比(L/D)は、10以上が好ましい。アスペクト比(L/D)が10以上である短繊維72により、荷重支持層52の強度が十分に高められる。マトリクス74への分散性の観点から、アスペクト比(L/D)は500以下が好ましい。
後述するが、このタイヤ32では、荷重支持層52の厚さ及びサイドウォール36の厚さが適切に調整されている。このタイヤ32では、この荷重支持層52に加えて、カーカス42とサイドウォール36との間に別の荷重支持層を設ける必要がない。言い換えれば、このタイヤ32には、カーカス42とサイドウォール36との間に荷重支持層は不要である。本発明によれば、軽量化が達成されうる。しかも本発明は、タイヤ32を構成する部材の数の低減に寄与しうる。本発明にによれば、生産コストの低減が達成されうる。
以上説明されたタイヤ32は、次のようにして製造される。この製造方法では、中子が準備される。図示されていないが、この中子はトロイダル状の外面を備えている。この外面は、空気が充填されその内圧が正規内圧の5%に保持された状態にあるタイヤ32の内面形状に近似されている。
この製造方法では、中子の外面にインナーライナー48が巻かれる。荷重支持層52のゴム組成物が押し出され、図5に示されたストリップ78が形成される。図5中、矢印Aで示された方向はこのストリップ78の長さ方向である。この長さ方向は、ストリップ78の押出方向でもある。
この製造方法では、ストリップ78はその断面形状が矩形状を呈するように成形される。前述したように、荷重支持層52のゴム組成物は短繊維72を含んでいる。したがって、このストリップ78も短繊維72を含んでいる。ストリップ78はゴム組成物を押し出して成形されるので、短繊維72は、このストリップ78において、その押出方向、言い換えれば、その長さ方向に配向している。ここで「長さ方向に配向」とは、長手方向がストリップ78の長さ方向に対してなす角度が20°以下である短繊維72の数の、短繊維72の総数に対する比率が90%以上である場合を意味している。このストリップ78における短繊維72の長手方向がストリップ78の長さ方向に対してなす角度は、前述の、荷重支持層52における角度θの計測方法と同様の方法で計測される。なお、比率の算出においては、ストリップ78の表面に露出した短繊維72の角度が、測定される。
この製造方法では、ストリップ78はインナーライナー48上に巻回される。これにより、タイヤ32のサイドウォール36に相当する部分に、架橋により荷重支持層52をなす要素が形成される。
この製造方法では、荷重支持層52をなす要素が形成されると、この要素にビード40の一部をなす第一コア62aが組み合わされる。インナーライナー48に、荷重支持層52をなす要素及び第一コア62aが組み合わされたものの外側に、カーカスプライ68が形成される。このカーカスプライ68の端部に、ビード40の他の一部をなす第二コア62bが組み合わされる。この第二コア62bを覆うように、エイペックス64が組み合わされる。ベルト44、サイドウォール36、トレッド34等がさらに組み合わされ、ローカバー(未架橋タイヤ)が得られる。この製造方法では、ローカバーが組み立てられる工程は成形工程と称されている。
この製造方法では、中子の外面において荷重支持層52をはじめとする多数の要素が組み合わされてローカバーが得られる。言い換えれば、ローカバーは中子の外面において組み立てられる。前述したように、中子の外面は、空気が充填されその内圧が正規内圧の5%に保持された状態にあるタイヤ32の内面形状に近似されている。この製造方法では、従来の製造方法のようなローカバーのシェーピングは不要である。この製造方法では、成形工程においてローカバーは引き延ばされない。
ローカバーは、開かれたモールドに投入される。この製造方法では、ローカバーは中子に組み合わされた状態でモールドに投入される。したがって、モールドに投入されたローカバーの内側には、中子が位置している。
この製造方法では、図6に示されているように、モールド(図中の符号M)が締められると、ローカバー(図中の符号R)はモールドMのキャビティ面80と中子(図中の符号N)の外面82とに挟まれて加圧される。ローカバーRは、中子N及びモールドMからの熱伝導により、加熱される。加圧と加熱とにより、ローカバーRのゴム組成物が流動する。加熱によりゴム組成物が架橋反応を起こし、図1に示されたタイヤ32が得られる。このタイヤ32は、ローカバーRをモールドMと中子Nとの間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱することにより形成される。この製造方法では、ローカバーRが加圧及び加熱される工程は架橋工程と称される。
前述したように、この製造方法では、ローカバーRは中子Nに組み合わされた状態でモールドMに投入され、モールドMのキャビティ面80と中子Nの外面82とに挟まれて加圧及び加熱される。この製造方法では、従来の製造方法で使用されるブラダーは不要である。この製造方法では、架橋工程においてローカバーRは引き延ばされない。
このタイヤ32の荷重支持層52は、短繊維72を含むゴム組成物からなる要素をモールドMと中子Nとの間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱することにより形成される。前述したように、この製造方法では、成形工程においてローカバーRは引き延ばされない。架橋工程においても、ローカバーRは引き延ばされない。このため、この製造方法では、荷重支持層52のためのストリップ78が、作業者が指で摘んで引っ張ると伸びずに破断してしまう程度に多量の短繊維を含んでいても、このストリップ78から荷重支持層52が形成され、ローカバーRが得られる。そして、このローカバーRからタイヤ32が得られる。この製造方法によれば、多量の短繊維72を含有する荷重支持層52を備えたタイヤ32が高品質にしかも安定に生産されうる。
このタイヤ32では、荷重支持層52はストリップ78を周方向に螺旋状に巻回して形成される。この荷重支持層52には、一枚のシートを用いて形成された従来の荷重支持層16のように、シートを巻き回して、このシートの一端とその他端とを継ぎ合わせることにより形成される、継ぎ目はない。この荷重支持層52の形態は、特異でない。しかもローカバーRを引き延ばすことなくタイヤ32が得られるので、このタイヤ32の製造方法では、荷重支持層52の形態変化が効果的に抑えられる。この荷重支持層52は、周方向において一様な形態を有する。この荷重支持層52は、パンクによってタイヤ32の内圧が低下した場合における、このタイヤ32の耐久性(ランフラット耐久性とも称されている。)の向上に寄与しうる。
このタイヤ32では、荷重支持層52の硬度は60以上85以下が好ましい。この硬度が60以上に設定されることにより、パンクによってこのタイヤ32の内圧が低下した場合、この荷重支持層52が車重の支持に効果的に寄与しうる。この観点から、この硬度は65以上がより好ましい。この硬度が85以下に設定されることにより、荷重支持層52によるサイドウォール36の部分の撓みへの影響が抑えられる。このタイヤ32では、乗り心地が適切に維持される。この観点から、この硬度は80以下がより好ましい。
本願において、硬度はJIS−A硬度である。この硬度は、「JIS−K6253」の規定に準拠して、23℃の環境下で、タイプAのデュロメータによって測定される。より詳細には、硬度は、図1に示された断面にタイプAのデュロメータが押し付けられることで測定される。
このタイヤ32では、サイドウォール36の硬度は40以上75以下が好ましい。この硬度が40以上に設定されることにより、サイドウォール36がタイヤ32の剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ32は、操縦安定性に優れる。この観点から、この硬度は45以上がより好ましい。この硬度が75以下に設定されることにより、このタイヤ32の剛性過大が効果的に抑えられる。このタイヤ32では、乗り心地が適切に維持される。この観点から、この硬度は65以下がより好ましい。
図1において、両矢印eは位置Phにおける荷重支持層52の厚さを表している。両矢印Eは、位置Phにおけるサイドウォール36の厚さを表している。
このタイヤ32では、荷重支持層52の厚さeは1mm以上15mm以下が好ましい。この厚さeが1mm以上に設定されることにより、パンクによってこのタイヤ32の内圧が低下した場合、この荷重支持層52が車重の支持に効果的に寄与しうる。この観点から、この厚さeは3mm以上がより好ましい。この厚さeが15mm以下に設定されることにより、荷重支持層52による、サイドウォール36の部分の撓みへの影響が抑えられる。このタイヤ32では、乗り心地が適切に維持される。しかもこの厚みeが過大でないので、タイヤ32の質量が適切に維持される。この観点から、この厚みeは12mm以下がより好ましい。
このタイヤ32では、サイドウォール36の厚さEは1mm以上10mm以下が好ましい。この厚さEが1mm以上に設定されることにより、サイドウォール36がカーカス42の保護に効果的に寄与しうる。この観点から、この厚さEは2mm以上がより好ましい。この厚さEが10mm以下に設定されることにより、サイドウォール36による撓みへの影響が抑えられる。このタイヤ32では、乗り心地が適切に維持される。しかもこの厚みEが過大でないので、タイヤ32の質量が適切に維持される。この観点から、この厚みEは7mm以下がより好ましい。
このタイヤ32では、サイドウォール36の厚さEに対する荷重支持層52の厚さeの比は1以上5以下が好ましい。この比が1以上に設定されることにより、パンクによってこのタイヤ32の内圧が低下した場合、この荷重支持層52が車重の支持に効果的に寄与しうる。しかもこの荷重支持層52がタイヤ32の剛性に効果的に寄与するので、このタイヤ32は操縦安定性に優れる。この観点から、この比は2以上がより好ましい。この比が5以下に設定されることにより、荷重支持層52によるサイドウォール36の部分の撓みへの影響が抑えられる。このタイヤ32では、乗り心地が適切に維持される。この観点から、この比は3.5以下がより好ましい。
図5において、両矢印TTは荷重支持層52の形成に用いるストリップ78の厚みを表している。両矢印WTは、このストリップ78の幅を表している。
この製造方法では、厚みTTは0.3mm以上2.0mm以下が好ましい。この厚みTTが0.3mm以上に設定されることにより、ストリップ78の強度が適切に維持される。しかもこのストリップ78により形成される荷重支持層52が、タイヤ32の剛性に効果的に寄与しうる。この観点から、この厚みTTは0.5mm以上がより好ましい。この厚みTTが2.0mm以下に設定されることにより、このストリップ78により形成される荷重支持層52がタイヤ32の質量に与える影響が抑えられる。しかも、この厚みTTに起因する段差の形成が防止される。このストリップ78によれば、タイヤ32の耐久性への影響が抑えられた荷重支持層52が形成されうる。この観点から、この厚みTTは1.0mm以下がより好ましい。
この製造方法では、幅WTは3mm以上25mm以下が好ましい。この幅WTが3mm以上に設定されることにより、このタイヤ32の生産性が適切に維持されうる。この観点から、この幅WTは5mm以上が好ましい。この幅WTが25mm以下に設定されることにより、このストリップ78の巻き始めと巻き終わりにおける剛性差が適切に維持される。このストリップ78によれば、荷重支持層52がタイヤ32の耐久性を阻害することが防止されうる。この観点から、この幅WTは15mm以下がより好ましい。
本発明では、タイヤ32の各部材の寸法及び角度は、タイヤ32が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ32に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ32には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ32が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ32が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。乗用車用タイヤ32の場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
中子の外面にローカバーを成形し、この中子と組み合わせたままこのローカバーをモールドに投入した。このローカバーをモールドと中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱することにより、図1に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた実施例1の空気入りタイヤ(サイズ:245/40R18)を得た。このタイヤは、ランフラットタイヤである。このタイヤが中子工法で製造されたことが、この表において「A」で表されている。荷重支持層の形成には、短繊維の配合量が40質量部とされたゴム組成物からなるストリップが用いられた。このストリップを周方向に螺旋状に巻回すことにより、荷重支持層が形成された。このストリップの幅WTは10mmとされ、その厚さTTは0.8mmとされた。なお、このストリップを指で摘んでその長さ方向に引っ張ると、このストリップは直ぐに破断した。このことが、この表において、「B」で表されている。短繊維には、アラミド繊維からなる短繊維(平均外径=10μm、平均長さ=500μm)が用いられた。荷重支持層の硬度は、75とされた。サイドウォールの硬度は、60とされた。このタイヤの断面高さの、半分の高さに相当する位置における、荷重支持層の厚さeは10mmとされた。この位置におけるサイドウォールの厚さEは、4mmとされた。したがって厚さEに対する厚さeの比(e/E)は2.5であった。
[実施例2−9及び比較例4]
ゴム組成物における短繊維の配合量を下記の表2及び3の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−9及び比較例4のタイヤを得た。比較例4及び実施例2−5では、ストリップを指で摘んで長さ方向に引っ張ると、このストリップは僅かに伸長した(伸長率で約3%)。このことが、この表において、「S」で表されている。これら以外では、ストリップを指で摘んで長さ方向に引っ張ると直ぐにこのストリップは破断した。
[実施例10−21]
厚さe及び厚さEを変えることにより比(e/E)を下記の表4、5及び6の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例10−21のタイヤを得た。
[実施例22−29]
荷重支持層の硬度を下記の表7及び8の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例22−29のタイヤを得た。
[比較例1]
従来の製造方法により、図7に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた比較例1の空気入りタイヤ(サイズ:245/40R18)を得た。このタイヤは、従来のランフラットタイヤである。このタイヤでは、荷重支持層はシートを用いて形成された。したがって、この荷重支持層には継ぎ目がある。この製造方法では、その成形工程において、ローカバーはシェーピングされた。架橋工程では、ブラダーを用いてローカバーが膨張された。このように従来の製造方法によりこのタイヤが製造されたことが、この表において「C」で表されている。このタイヤの荷重支持層の硬度は、75とされた。このタイヤの断面高さHの半分の高さHhにおける、この荷重支持層の厚さeは12mmとされた。この断面高さHの半分の高さHhにおける、サイドウォールの厚さEは4mmとされた。したがって厚さEに対する厚さeの比(e/E)は3であった。なお、この荷重支持層には短繊維は含まれていない。
[比較例2−3]
荷重支持層にアラミド繊維からなる短繊維(平均外径=10μm、平均長さ=500μm)を配合し、その配合量を下記の表1の通りとした他は比較例1と同様にして、比較例2−3のタイヤを得た。
[タイヤ質量]
タイヤの質量を計測した。この結果が、比較例1を100とした指数値で下記の表1から8に示されている。数値が小さいほど質量が小さいことが示されている。
[耐久性]
タイヤを正規リムに組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を180kPaとした。このタイヤをドラム式走行試験機に装着し、7.5kNの縦荷重をタイヤに負荷した。このタイヤの内圧を常圧としてパンク状態を再現し、このタイヤを80km/hの速度で、半径が1.7mであるドラムの上を走行させた。タイヤが破壊するまでの走行距離を、測定した。この結果が、比較例1を100とした指数値で下記の表1から8に示されている。数値が大きいほど、好ましい。
[操縦安定性及び乗り心地]
タイヤを18×8.5Jのリムに組み込み、標準内圧となるようにタイヤに空気を充填した。これを、排気量が3.0リットルであり、前側エンジン後輪駆動の乗用車に装着した。ドライバーに、この乗用車をレーシングサーキットで運転させて、操縦安定性及び乗り心地を評価させた。この結果が、満点が10点とされた指数として下記の表1から8に示されている。数値が大きいほど好ましい。
[生産性]
1本のタイヤの生産に要する時間を計測した。その結果(計測された時間)が、下記の表1から8に、比較例1を100とした指数値で示されている。この数値が小さいほど、評価が高い。
Figure 0006043553
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表1から8に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。なお、比較例3では、シェーピング中にストリップが破断したため、ローカバーを成形することができなかった。したがって、この比較例3のタイヤは製造できなかった。
以上説明された方法は、様々なタイヤの製造にも適用されうる。
2、32・・・タイヤ
4、34・・・トレッド
8、36・・・サイドウォール
10、38・・・クリンチ
12、40・・・ビード
14、42・・・カーカス
16、52・・・荷重支持層
26、62a、62b・・・コア
28、64・・・エイペックス
30、68・・・カーカスプライ
52e・・・端
54・・・トレッド面
72・・・短繊維
74・・・マトリクス
76a、76b・・・端
78・・・ストリップ

Claims (9)

  1. 中子工法で製造された空気入りタイヤであって、
    その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のクリンチと、それぞれがクリンチよりも軸方向内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、それぞれがカーカスよりも軸方向内側に位置する一対の荷重支持層とを備えており、
    この荷重支持層が、基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物が架橋されたものからなり、
    上記短繊維の配合量が、上記基材ゴム100質量部に対して30質量部以上60質量部以下である、空気入りタイヤ。
  2. 上記カーカスがカーカスプライを備えており、
    上記ビードが第一コアとこの第一コアよりも軸方向外側に位置する第二コアとを備えており、
    上記カーカスプライの端部が上記第一コアと上記第二コアとの間に挟まれている請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 上記ビードが半径方向外向きに先細りな形状を呈するエイペックスをさらに備えており、
    このエイペックスが上記カーカスプライよりも軸方向外側に位置し、かつ、上記第二コアを覆っている請求項2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 上記第一コアが、上記荷重支持層で覆われている、請求項2又は3に記載の空気入りタイヤ。
  5. 上記荷重支持層における短繊維が周方向に配向している請求項1からのいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 上記荷重支持層が周方向に螺旋状に巻回されたストリップからなり、
    上記ストリップが上記ゴム組成物からなる、請求項1からのいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. このタイヤの断面高さの半分の高さに相当する位置において、上記荷重支持層の厚さの上記サイドウォールの厚さに対する比が1以上5以下である請求項1からのいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 上記荷重支持層の硬度が60以上85以下である請求項1からのいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  9. トロイダル状の中子の外面において、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれがこのトレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれがサイドウォールよりも半径方向略内側に位置する一対のクリンチと、それぞれがクリンチよりも軸方向内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及びサイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、それぞれがカーカスよりも軸方向内側に位置する一対の荷重支持層とを備えており、この荷重支持層が基材ゴム及び短繊維を含むゴム組成物からなる、ローカバーが組み立てられる工程と、
    このローカバーが、モールドに投入される工程と、
    このローカバーが、このモールドと上記中子との間に形成されたキャビティ内で加圧及び加熱される工程と
    を含んでおり、
    上記短繊維の配合量が、上記基材ゴム100質量部に対して30質量部以上60質量部以下である、空気入りタイヤの製造方法。
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