JP6285751B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。詳細には、本発明は、乗用車のための空気入りタイヤに関する。
タイヤは、一対のビードを備えている。両側のビードの間には、カーカスが架け渡されている。ビードは、コアと、このコアから半径方向外向きに延びるエイペックスとを備えている。通常カーカスをなすカーカスプライは、コアの周りを、軸方向内側から外側に折り返される。これにより、カーカスプライには主部と折り返し部とが形成される。
タイヤにおいて、ビードの部分はリムに嵌め合わされる。走行状態においては、このビードの部分に大きな荷重が掛かる。このため、このビードの部分の耐久性は重要である。ビードの部分の耐久性に関し、様々な検討が行われている。この検討の一例が、特開2005−255047公報に開示されている。
特開2005−255047公報
通常タイヤでは、ビードの軸方向外側にクリンチが設けられる。クリンチは、リムのフランジと当接する。
前述の通り、走行状態においてはビードの部分に大きな荷重が掛かる。折り返し部はクリンチとビードとの間に位置しているので、この折り返し部には歪みが集中しやすい。歪みの集中は、ルースを招来する。ルースの防止の観点から、例えば、大きな厚みを有するクリンチを採用して、ビードの部分に大きな曲げ剛性を付与することがある。しかしこのような剛性のチューニングは、タイヤの操縦安定性に影響する。
走行状態におけるタイヤでは、変形と復元とが繰り返される。この繰り返しは、発熱を招来する。前述されたタイヤのビードの部分は、大きなボリュームを有する。このため、このビードの部分における発熱量は大きい。しかもゴムは熱を蓄積する。熱はタイヤの耐久性に影響する。
ビードの部分に大きな曲げ剛性を付与することは、タイヤの縦剛性に影響する。大きな縦剛性は、乗り心地だけでなく、80から100Hzまでの周波数域にあるノイズを増加させる。このタイヤでは、静粛性が損なわれる恐れがある。
本発明の目的は、操縦安定性を損なうことなく、静粛性及び耐久性の向上が達成された空気入りタイヤの提供にある。
本発明に係る空気入りタイヤは、その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれが上記トレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれが上記サイドウォールの端から半径方向略内向きに延びる一対のクリンチと、それぞれが上記クリンチよりも軸方向内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、それぞれが上記ビードからこのカーカスに沿って半径方向略外向きに延びる一対のストリップとを備えている。上記ビードは、コアと、このコアから半径方向外向きに延びる第一エイペックスと、軸方向においてこの第一エイペックスよりも外側に位置する第二エイペックスとを備えている。上記カーカスはカーカスプライを備えている。上記カーカスプライは上記コアの周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返されており、この折り返しによりこのカーカスプライには主部と折り返し部とが形成されている。上記折り返し部は上記第一エイペックスと上記第二エイペックスとの間に位置している。この第一エイペックスの外側端よりも半径方向外側において、この折り返し部は上記主部と接している。上記第二エイペックスの外側端は、上記折り返し部の端よりも半径方向外側に位置している。上記ストリップの外側端の位置は半径方向においてこのタイヤの最大幅を示す位置と一致している、又は、このストリップの外側端はこのタイヤの最大幅を示す位置よりも半径方向内側に位置している。上記ストリップの複素弾性率は、60MPa以上70MPa以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記第一エイペックスの長さは、5mm以上15mm以下である。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記第一エイペックスの外側端から上記折り返し部の端までの長さは10mm以上である。
好ましくは、この空気入りタイヤは、それぞれが上記ビードの周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返された一対のチェーファーを備えている。軸方向において、上記チェーファーの一端は上記折り返し部と上記クリンチとの間に位置している。ビードベースラインから上記チェーファーの一端までの高さは5mm以上22mm以下である。このタイヤがリムに組み込まれたとき、上記チェーファーはこのリムと接する。
好ましくは、この空気入りタイヤでは、上記ストリップは上記第二エイペックスの外側端から上記主部に沿って半径方向外向きに延在している。
本発明に係る空気入りタイヤでは、カーカスプライの折り返し部とクリンチとの間に第二エイペックスが位置している。このタイヤでは、折り返し部は従来タイヤにおける折り返し部よりも軸方向内側に配置される。この配置は、折り返し部への歪みの集中を抑えうる。ルースの発生が抑えられるので、このタイヤは耐久性に優れる。
このタイヤでは、折り返し部は、第一エイペックスと第二エイペックスとの間に位置している。この折り返し部は、第一エイペックスの外側端よりも半径方向外側において、カーカスプライの主部と接している。第二エイペックスの外側端は、この折り返し部の端よりも半径方向外側に位置している。このタイヤの第一エイペックスは、従来タイヤのエイペックスよりも小さい。小さな第一エイペックスは、主部に適正な輪郭(ケースラインとも称される。)を付与する。詳細には、このタイヤでは、その周方向に対して垂直な断面において、主部は単一の円弧に近い輪郭を有している。この輪郭は、歪みの集中を抑える。この輪郭は、耐久性に寄与する。しかもこの輪郭は、サイドウォールの部分において特異な剛性を有する部分の形成を抑える。このタイヤでは、このサイドウォールの部分全体が適正に撓む。このタイヤでは、サイドウォールの部分が全体として効果的に剛性に寄与する。このような撓みは、タイヤの操縦安定性に寄与する。
このタイヤは、ビードからカーカスに沿って延在するストリップを備えている。このストリップの外側端の位置は、半径方向において最大幅を示す位置と一致しているか、この外側端はこの最大幅を示す位置よりも半径方向内側に位置している。そして、このストリップと第一エイペックスとの間には第二エイペックスが設けられている。このストリップは、第二エイペックスとともに、タイヤの面内捻り剛性に寄与する。このストリップ及び第二エイペックスは、操縦安定性に寄与する。
このタイヤでは、耐久性のために、大きな厚みのクリンチを採用する必要はない。このタイヤでは、ビードの部分は小さなボリュームを有する。小さなボリュームは、発熱を抑える。小さな発熱は、タイヤの耐久性に寄与する。
前述された小さなボリュームは、ビードの部分を柔構造とする。柔構造は、タイヤに小さな縦剛性を招来する。これにより振動が抑制されるので、このタイヤではノイズが低減される。特にこのタイヤでは、80から100Hzまでの周波数域にあるノイズの低減が達成される。このタイヤは、静粛性に優れる。
このように本発明によれば、操縦安定性を損なうことなく、静粛性及び耐久性の向上が達成された空気入りタイヤが得られる。
図1は、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの一部が示された断面図である。 図2は、図1のタイヤの一部が示された拡大断面図である。
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
図1には、空気入りタイヤ2が示されている。図1において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。図1において、一点鎖線CLはタイヤ2の赤道面を表わす。このタイヤ2の形状は、トレッドパターンを除き、赤道面に対して対称である。図1において、実線BBLはビードベースラインである。ビードベースラインは、タイヤ2が装着されるリム(図示されず)のリム径(JATMA参照)を規定する線である。このビードベースラインは、軸方向に延びる。
このタイヤ2は、トレッド4、貫通部6、サイドウォール8、クリンチ10、ビード12、カーカス14、ベルト16、バンド18、インナーライナー20、チェーファー22及びストリップ24を備えている。このタイヤ2は、チューブレスタイプである。このタイヤ2は、乗用車に装着される。
図1において、符号Pbはこのタイヤ2の内面上の点である。このタイヤ2では、この点Pbにおいて、この内面のプロファイルで表される軸方向幅が最大を示す。このタイヤ2では、最大幅はこの点Pbにおける左右の側面(サイドウォール8の外面)間の軸方向長さで表される。言い換えれば、この点Pbはこのタイヤ2の最大幅を示す位置である。
トレッド4は、半径方向外向きに凸な形状を呈している。トレッド4は、路面と接地するトレッド面26を形成する。トレッド4には、溝28が刻まれている。この溝28により、トレッドパターンが形成されている。トレッド4は、ベース層30とキャップ層32とを有している。キャップ層32は、ベース層30の半径方向外側に位置している。キャップ層32は、ベース層30に積層されている。ベース層30は、接着性に優れた架橋ゴムからなる。ベース層30の典型的な基材ゴムは、天然ゴムである。キャップ層32は、耐摩耗性、耐熱性及びグリップ性に優れた架橋ゴムからなる。
貫通部6は、トレッド4を貫通している。貫通部6の一端は、トレッド面26に露出している。貫通部6の他端は、バンド18と接触している。貫通部6は、周方向に延在している。貫通部6は、環状である。タイヤ2が、環状ではなく、周方向において互いに離間した複数の貫通部6を備えてもよい。貫通部6は、導電性の架橋ゴムからなる。
サイドウォール8は、トレッド4の端から半径方向略内向きに延びている。このサイドウォール8の半径方向内側端は、クリンチ10と接合されている。このサイドウォール8は、耐カット性及び耐候性に優れた架橋ゴムからなる。このサイドウォール8は、カーカス14の損傷を防止する。
クリンチ10は、サイドウォール8の半径方向略内側に位置している。クリンチ10は、サイドウォール8の端から半径方向略内向きに延びている。クリンチ10は、軸方向において、ビード12及びカーカス14よりも外側に位置している。クリンチ10は、耐摩耗性に優れた架橋ゴムからなる。クリンチ10は、リムのフランジと当接する。
ビード12は、クリンチ10よりも軸方向内側に位置している。ビード12は、コア34と、第一エイペックス36と、第二エイペックス38とを備えている。コア34はリング状であり、巻回された非伸縮性ワイヤーを含む。ワイヤーの典型的な材質は、スチールである。第一エイペックス36は、コア34から半径方向外向きに延びている。第一エイペックス36は、半径方向外向きに先細りである。第二エイペックス38は、軸方向において第一エイペックス36よりも外側に位置している。第二エイペックス38は、軸方向においてクリンチ10とカーカス14との間に位置している。このタイヤ2では、第二エイペックス38の外側端40は半径方向において第一エイペックス36の外側端42よりも外側に位置している。
このタイヤ2では、第一エイペックス36はゴム組成物が架橋されることによって成形されている。つまり第一エイペックス36は架橋ゴムである。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、ジエン系ゴムである。ジエン系ゴムの具体例としては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)及びポリクロロプレン(CR)が挙げられる。2種以上のゴムが併用されてもよい。
好ましくは、第一エイペックス36のゴム組成物は、硫黄を含む。硫黄により、ゴム分子同士が架橋される。硫黄と共に、又は硫黄に代えて、他の架橋剤が用いられてもよい。電子線によって架橋がなされてもよい。
好ましくは、第一エイペックス36のゴム組成物は、硫黄と共に加硫促進剤を含む。スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤等が、用いられうる。
第一エイペックス36のゴム組成物は、補強材を含む。典型的な補強材は、カーボンブラックである。FEF、GPF、HAF、ISAF、SAF等が用いられうる。第一エイペックス36の強度の観点から、カーボンブラックの量は基材ゴム100質量部に対して5質量部以上が好ましい。第一エイペックス36の軟質の観点から、カーボンブラックの量は50質量部以下が好ましい。カーボンブラックと共に、又はカーボンブラックに代えて、シリカが用いられてもよい。この場合、乾式シリカ及び湿式シリカが用いられうる。
第一エイペックス36のゴム組成物は、軟化剤を含む。好ましい軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルが例示される。第一エイペックス36の軟質の観点から、軟化剤の量は基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましい。第一エイペックス36の強度の観点から、軟化剤の量は40質量部以下が好ましい。
第一エイペックス36のゴム組成物には、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、架橋助剤等が、必要に応じ添加される。
このタイヤ2では、第二エイペックス38はゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、ジエン系ゴムである。ジエン系ゴムの具体例としては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)及びポリクロロプレン(CR)が挙げられる。2種以上のゴムが併用されてもよい。
好ましくは、第二エイペックス38のゴム組成物は、硫黄を含む。硫黄により、ゴム分子同士が架橋される。硫黄と共に、又は硫黄に代えて、他の架橋剤が用いられてもよい。電子線によって架橋がなされてもよい。
好ましくは、第二エイペックス38のゴム組成物は、硫黄と共に加硫促進剤を含む。スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤等が、用いられうる。
第二エイペックス38のゴム組成物は、補強材を含む。典型的な補強材は、カーボンブラックである。FEF、GPF、HAF、ISAF、SAF等が用いられうる。第二エイペックス38の強度の観点から、カーボンブラックの量は基材ゴム100質量部に対して5質量部以上が好ましい。第二エイペックス38の軟質の観点から、カーボンブラックの量は50質量部以下が好ましい。カーボンブラックと共に、又はカーボンブラックに代えて、シリカが用いられてもよい。この場合、乾式シリカ及び湿式シリカが用いられうる。
第二エイペックス38のゴム組成物は、軟化剤を含む。好ましい軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルが例示される。第二エイペックス38の軟質の観点から、軟化剤の量は基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましい。第二エイペックス38の強度の観点から、軟化剤の量は40質量部以下が好ましい。
第二エイペックス38のゴム組成物には、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、架橋助剤等が、必要に応じ添加される。
カーカス14は、カーカスプライ44からなる。カーカスプライ44は、両側のビード12の間に架け渡されている。カーカスプライ44は、トレッド4及びサイドウォール8の内側に沿っている。カーカスプライ44は、コア34の周りにて、軸方向内側から外側に向かって折り返されている。この折り返しにより、カーカスプライ44には、主部46と折り返し部48とが形成されている。このタイヤ2では、折り返し部48の端50は、半径方向において、最大幅を示す位置Pbよりも内側に位置している。折り返し部48の端50は、半径方向において、クリンチ10の外側端52よりも内側に位置している。この折り返し部48の端50は、半径方向において、第二エイペックス38の内側端54とその外側端40との間に位置している。この折り返し部48の端50は、コア34の近くに位置している。このカーカス14は、いわゆる「ローターンアップ構造」を有する。
カーカスプライ44は、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードが赤道面に対してなす角度の絶対値は、75°から90°である。換言すれば、このカーカス14はラジアル構造を有する。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。カーカス14が、2枚以上のカーカスプライ44から形成されてもよい。質量への影響の観点から、このカーカス14は1枚のカーカスプライ44から形成されるのが好ましい。
ベルト16は、トレッド4の半径方向内側に位置している。ベルト16は、カーカス14と積層されている。ベルト16は、カーカス14を補強する。ベルト16は、内側層56及び外側層58からなる。図1から明らかなように、軸方向において、内側層56の幅は外側層58の幅よりも若干大きい。図示されていないが、内側層56及び外側層58のそれぞれは、並列された多数のコードとトッピングゴムとからなる。それぞれのコードは、赤道面に対して傾斜している。傾斜角度の一般的な絶対値は、10°以上35°以下である。内側層56のコードの赤道面に対する傾斜方向は、外側層58のコードの赤道面に対する傾斜方向とは逆である。コードの好ましい材質は、スチールである。コードに、有機繊維が用いられてもよい。ベルト16の軸方向幅は、タイヤ2の最大幅の0.7倍以上が好ましい。ベルト16が、3以上の層を備えてもよい。
バンド18は、ベルト16の半径方向外側に位置している。軸方向において、バンド18の幅はベルト16の幅よりも大きい。図示されていないが、このバンド18は、コードとトッピングゴムとからなる。コードは、螺旋状に巻かれている。このバンド18は、いわゆるジョイントレス構造を有する。コードは、実質的に周方向に延びている。周方向に対するコードの角度は、5°以下、さらには2°以下である。このコードによりベルト16が拘束されるので、ベルト16のリフティングが抑制される。コードは、有機繊維からなる。好ましい有機繊維として、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリエチレンナフタレート繊維及びアラミド繊維が例示される。
インナーライナー20は、カーカス14の内側に位置している。インナーライナー20は、カーカス14の内面に接合されている。インナーライナー20は、空気遮蔽性に優れた架橋ゴムからなる。インナーライナー20の典型的な基材ゴムは、ブチルゴム又はハロゲン化ブチルゴムである。インナーライナー20は、タイヤ2の内圧を保持する。
チェーファー22は、ビード12の近傍に位置している。図から明らかなように、チェーファー22はビード12の周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返されている。チェーファー22の一端60は、カーカス14よりも軸方向外側に位置している。このチェーファー22の一端60は、軸方向において、折り返し部48とクリンチ10との間に位置している。チェーファー22の他端62は、カーカス14よりも軸方向内側に位置している。このチェーファー22の他端62は、半径方向において第一エイペックス36の外側端42よりも内側に位置している。タイヤ2がリムに組み込まれると、このチェーファー22がリムと当接する。この当接により、ビード12の近傍が保護される。この実施形態では、チェーファー22は布とこの布に含浸したゴムとからなる。
ストリップ24は、軸方向においてカーカスプライ44の主部46の外側に位置している。ストリップ24は、ビード12から主部46に沿って半径方向略外向きに延びている。ストリップ24の外側端64は、半径方向において、クリンチ10の外側端52よりも外側に位置している。ストリップ24の内側端66は、軸方向において主部46とクリンチ10との間に位置している。このストリップ24の内側端66は、半径方向において、折り返し部48の端50よりも外側に位置している。
このタイヤ2では、ストリップ24はゴム組成物が架橋されることによって成形されている。このゴム組成物の好ましい基材ゴムは、ジエン系ゴムである。ジエン系ゴムの具体例としては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレン(IR)、ポリブタジエン(BR)、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体(NBR)及びポリクロロプレン(CR)が挙げられる。2種以上のゴムが併用されてもよい。
好ましくは、ストリップ24のゴム組成物は、硫黄を含む。硫黄により、ゴム分子同士が架橋される。硫黄と共に、又は硫黄に代えて、他の架橋剤が用いられてもよい。電子線によって架橋がなされてもよい。
好ましくは、ストリップ24のゴム組成物は、硫黄と共に加硫促進剤を含む。スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤、チアゾール系加硫促進剤、チウラム系加硫促進剤、ジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤等が、用いられうる。
ストリップ24のゴム組成物は、補強材を含む。典型的な補強材は、カーボンブラックである。FEF、GPF、HAF、ISAF、SAF等が用いられうる。ストリップ24の強度の観点から、カーボンブラックの量は基材ゴム100質量部に対して5質量部以上が好ましい。ストリップ24の軟質の観点から、カーボンブラックの量は50質量部以下が好ましい。カーボンブラックと共に、又はカーボンブラックに代えて、シリカが用いられてもよい。この場合、乾式シリカ及び湿式シリカが用いられうる。
ストリップ24のゴム組成物は、軟化剤を含む。好ましい軟化剤として、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイルが例示される。ストリップ24の軟質の観点から、軟化剤の量は基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましい。ストリップ24の強度の観点から、軟化剤の量は40質量部以下が好ましい。
ストリップ24のゴム組成物には、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、架橋助剤等が、必要に応じ添加される。
図2には、図1に示されたタイヤ2の一部が示されている。この図2には、このタイヤ2のビード12の部分が示されている。この図2において、上下方向がタイヤ2の半径方向であり、左右方向がタイヤ2の軸方向であり、紙面との垂直方向がタイヤ2の周方向である。
このタイヤ2では、カーカスプライ44の折り返し部48とクリンチ10との間に第二エイペックス38が位置している。このタイヤ2では、折り返し部48は従来タイヤにおける折り返し部よりも軸方向内側に配置される。この配置は、折り返し部48への歪みの集中を抑えうる。ルースの発生が抑えられるので、このタイヤ2は耐久性に優れる。
このタイヤ2では、折り返し部48は、第一エイペックス36と第二エイペックス38との間に位置している。この折り返し部48は、第一エイペックス36の外側端42よりも半径方向外側において、カーカスプライ44の主部46と接している。第二エイペックス38の外側端40は、この折り返し部48の端50よりも半径方向外側に位置している。このタイヤ2の第一エイペックス36は、従来タイヤのエイペックスよりも小さい。小さな第一エイペックス36は、主部46に適正な輪郭(ケースラインとも称される。)を付与する。詳細には、このタイヤ2では、その周方向に対して垂直な断面において、ベルト16の端の近くからコア34の近くに至る主部46の輪郭が、タイヤ2の内面よりも内側に中心を有する、円弧で表される。言い換えれば、このタイヤ2の断面において、主部46は単一の円弧に近い輪郭を有している。この輪郭は、歪みの集中を抑える。この輪郭は、耐久性に寄与する。
前述したように、このタイヤ2では、主部46は単一の円弧に近い輪郭を有している。この輪郭は、タイヤ2のサイドウォール8の部分において、特異な剛性を有する部分の形成を抑える。このタイヤ2では、サイドウォール8の部分全体が適正に撓む。このタイヤ2では、サイドウォール8の部分が全体として効果的に剛性に寄与する。このような撓みは、タイヤ2の操縦安定性に寄与する。
このタイヤ2は、ビード12からカーカス14に沿って延在するストリップ24を備えている。このストリップ24の外側端64の位置は、半径方向において最大幅を示す位置Pbと一致しているか、この外側端64はこの最大幅を示す位置Pbよりも半径方向内側に位置している。そして、このストリップ24と第一エイペックス36との間には第二エイペックス38が設けられている。ストリップ24は、この第二エイペックス38の外側端40から主部46に沿って半径方向外向きに延在している。このストリップ24は、第二エイペックス38とともに、タイヤ2の面内捻り剛性に寄与する。このストリップ24及び第二エイペックス38は、操縦安定性に寄与する。またこのタイヤ2では、最大幅を示す位置Pbよりも半径方向外側に外側端64が位置していないので、ストリップ24による質量及び転がり抵抗への影響が抑えられている。
このタイヤ2では、耐久性のために、大きな厚みのクリンチ10を採用する必要はない。このタイヤ2では、従来のタイヤに比べて、ビード12の部分は小さなボリュームを有する。小さなボリュームは、発熱を抑える。小さな発熱は、タイヤ2の耐久性に寄与する。
前述された小さなボリュームは、ビード12の部分を柔構造とする。柔構造は、タイヤ2に小さな縦剛性を招来する。これにより振動が抑制されるので、このタイヤ2ではノイズが低減される。特にこのタイヤ2では、80から100Hzまでの周波数域にあるノイズの低減が達成される。このタイヤ2は、静粛性に優れる。
このようにこのタイヤ2では、第一エイペックス36、第二エイペックス38、及び、ストリップ24が、主部46の輪郭の適正化、面内捻り剛性の向上、及び、ビード12の部分の低ボリューム化に寄与する。これにより、このタイヤ2では、操縦安定性を損なうことなく、静粛性及び耐久性の向上が達成されている。すなわち、本発明によれば、操縦安定性を損なうことなく、静粛性及び耐久性の向上が達成された空気入りタイヤ2が得られる。
このタイヤ2では、ストリップ24の複素弾性率Esは60MPa以上70MPa以下である。この弾性率Esが60MPa以上に設定されることにより、ストリップ24が面内捻り剛性に寄与する。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この弾性率Esが70MPa以下に設定されることにより、ストリップ24による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2では、乗り心地が適切に維持される。
本発明では、ストリップ24の複素弾性率Esは「JIS K 6394」の規定に準拠して測定される。測定条件は、以下の通りである。なお、後述する第一エイペックス36の複素弾性率E1及び第二エイペックス38の複素弾性率E2も、複素弾性率Esと同様にして測定される。
粘弾性スペクトロメーター:岩本製作所の「VESF−3」
初期歪み:10%
動歪み:±1%
周波数:10Hz
変形モード:引張
測定温度:70℃
このタイヤ2では、第一エイペックス36の複素弾性率E1は60MPa以上70MPa以下が好ましい。この弾性率E1が60MPa以上に設定されることにより、第一エイペックス36がタイヤ2の支持に寄与する。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この弾性率E1が70MPa以下に設定されることにより、第一エイペックス36による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2では、乗り心地が適切に維持される。
このタイヤ2では、第二エイペックス38の複素弾性率E2は60MPa以上70MPa以下が好ましい。この弾性率E2が60MPa以上に設定されることにより、第二エイペックス38が面内捻り剛性に寄与する。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この弾性率E2が70MPa以下に設定されることにより、第二エイペックス38による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2では、乗り心地が適切に維持される。
前述の通りこのタイヤ2では、ストリップ24は架橋ゴムからなる。第二エイペックス38は、架橋ゴムからなる。第一エイペックス36は、架橋ゴムからなる。生産性の観点から、第二エイペックス38は、ストリップ24の架橋ゴムと同等の架橋ゴムからなるのが好ましい。同様の観点から、第一エイペックス36は、ストリップ24の架橋ゴムと同等の架橋ゴムからなるのが好ましい。特に好ましくは、第一エイペックス36及び第二エイペックス38がストリップ24の架橋ゴムと同等の架橋ゴムからなる、つまり、第一エイペックス36、第二エイペックス38及びストリップ24が同じゴム組成物を架橋することによって成形されることである。
図2において、符号Fは、ビード12の近傍において、カーカス14から側面までの厚みが最大となる位置を表している。両矢印HFは、ビードベースラインからこの位置Fまでの半径方向高さを表している。この高さHFは、このタイヤ2が嵌め合わされるリムのフランジの高さに対応する。この高さHFは通常、25mm以上30mm以下の範囲に設定される。両矢印Hcは、ビードベースラインからチェーファー22の一端60までの半径方向高さを表している。
タイヤ2は、リムに嵌め合わされて使用される。この使用状態では、タイヤ2は、リムのフランジの半径方向外側端に対応する位置において、大きな歪みを有する。前述したように、このタイヤ2では、位置Fにおいて、カーカス14から側面までの厚み(図2中の両矢印t)が最大となる。このタイヤ2では、使用状態における大きな歪みによる影響が効果的に防止されている。このタイヤ2は、耐久性に優れる。
このタイヤ2では、チェーファー22の一端60は前述された位置Fよりも半径方向内側に位置しているのが好ましい。これにより、チェーファー22によるコスト及び質量への影響が抑えられるとともに、このチェーファー22の一端60への歪みの集中が防止される。チェーファールースの発生が防止されるので、このタイヤ2は耐久性に優れる。この観点から、高さHcは22mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましい。
前述したように、チェーファー22はリムと当接する。使用状態では、チェーファー22はリムに押しつけられている。このタイヤ2では、チェーファー22の一端60は折り返し部48とクリンチ10との間に挟まれている。チェーファー22の一端60がリムとは接触しないので、このタイヤ2では、チェーファー22の、タイヤ2からの剥がれが効果的に防止されている。このタイヤ2は、耐久性に優れる。この観点から、前述された高さHcは5mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましい。
図2において、両矢印L1は第一エイペックス36の長さである。この長さL1は、第一エイペックス36の底面の軸方向中心(図2の符号Pa)からその外側端42までの長さで表される。
このタイヤ2では、長さL1は5mm以上15mm以下が好ましい。この長さL1が5mm以上に設定されることにより、第一エイペックス36が横剛性に効果的に寄与しうる。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この長さL1が15mm以下に設定されることにより、適正な輪郭を有するカーカス14が得られる。このカーカス14は、タイヤ2の耐久性及び操縦安定性に寄与する。しかも小さな第一エイペックス36は、ノイズの低減に寄与する。
図2において、両矢印Lpは第一エイペックス36の外側端42から折り返し部48の端50までの長さを表している。前述したように、折り返し部48は、第一エイペックス36の外側端42よりも半径方向外側において主部46と接している。この長さLpは、主部46と折り返し部48との重複長さでもある。
このタイヤ2では、長さLpは10mm以上が好ましい。これにより、折り返し部48が主部46と十分に接触する。この十分な接触は、折り返し部48におけるルースの発生を防止する。質量及びコストへの影響の観点から、この長さLpは20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましい。
図2において、両矢印Lsはストリップ24の長さである。この長さLsは、ストリップ24の内側端66からその外側端64までの長さで表される。この長さLsは、ストリップ24に沿って計測される。
このタイヤ22では、長さLsは40mm以上70mm以下が好ましい。この長さLsが40mm以上に設定されることにより、ストリップ24が面内捻り剛性に寄与する。このタイヤ2は、操縦安定性に優れる。この観点から、この長さLsは50mm以上がより好ましい。この長さLsが70mm以下に設定されることにより、このストリップ24による剛性への影響が抑えられる。このタイヤ2では、乗り心地が適切に維持される。この観点から、この長さLsは60mm以下がより好ましい。なお、このタイヤ2では、操縦安定性及び質量の観点から、このストリップ24の厚みは0.5mm以上2mm以下が好ましい。
図1において、両矢印Hbは、ビードベースラインから最大幅を示す位置Pbまでの半径方向高さを表している。この高さHbは、本発明における基準高さである。両矢印Hsは、ビードベースラインからストリップ24の外側端64までの半径方向高さを表している。両矢印H2は、ビードベースラインから第二エイペックス38の外側端40までの半径方向高さを表している。両矢印Hrは、ビードベースラインから折り返し部48の端50までの半径方向高さを表している。
前述の通り、このタイヤ2では、ストリップ24の外側端64の位置は半径方向において最大幅を示す位置Pbと一致している、又は、このストリップ24の外側端64はこの最大幅を示す位置Pbよりも半径方向内側に位置している。したがって、基準高さHbに対する高さHsの比は1以下である。これにより、ストリップ24による転がり抵抗への影響が抑えられる。十分な面内捻り剛性が得られるとの観点から、この比は0.7以上が好ましい。
このタイヤ2では、第二エイペックス38が剛性に適切に寄与するとの観点から、高さH2は30mm以上が好ましく、40mm以下が好ましい。
このタイヤ2では、折り返し部48が剛性に適切に寄与するとの観点から、高さHrは20mm以上が好ましく、80mm以下が好ましい。
本発明では、タイヤ2の各部材の寸法及び角度は、タイヤ2が正規リムに組み込まれ、正規内圧となるようにタイヤ2に空気が充填された状態で測定される。測定時には、タイヤ2には荷重がかけられない。本明細書において正規リムとは、タイヤ2が依拠する規格において定められたリムを意味する。JATMA規格における「標準リム」、TRA規格における「Design Rim」、及びETRTO規格における「Measuring Rim」は、正規リムである。本明細書において正規内圧とは、タイヤ2が依拠する規格において定められた内圧を意味する。JATMA規格における「最高空気圧」、TRA規格における「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に掲載された「最大値」、及びETRTO規格における「INFLATION PRESSURE」は、正規内圧である。このタイヤ2が乗用車用である場合は、内圧が180kPaの状態で、寸法及び角度が測定される。
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
[実施例1]
図1に示された基本構成を備え、下記の表1に示された仕様を備えた実施例1の空気入りタイヤを得た。このタイヤのサイズは、195/65R15とされた。第一エイペックス、第二エイペックス及びストリップは、同じゴム組成物を架橋することによって成形された。
[比較例1−3]
第二エイペックス及びストリップを設けず、長さL1、高さHc及び長さLpを下記の表1の通りとした他は実施例1と同様にして、比較例1−3のタイヤを得た。なお、比較例1は従来タイヤである。
[比較例4]
ストリップを設けなかった他は実施例1と同様にして、比較例4のタイヤを得た。
[比較例5]
第二エイペックスを設けなかった他は実施例1と同様にして、比較例5のタイヤを得た。
[実施例2及び比較例6−7]
ストリップのためのゴム組成物を変えて、弾性率Esを下記の表2の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2及び比較例6−7のタイヤを得た。
[実施例3−5及び比較例8]
ストリップの長さLsを変えて、比(Hs/Hb)を下記の表3の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例3−5及び比較例8のタイヤを得た。
[実施例6−8]
第一エイペックスのためのゴム組成物、第二エイペックスのためのゴム組成物及びストリップのためのゴム組成物を変えて、弾性率E1、弾性率E2及び弾性率Esを下記の表4の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例6−8のタイヤを得た。なお、実施例6−8のそれぞれでは、第一エイペックス、第二エイペックス及びストリップは、同じゴム組成物を架橋することによって成形されている。
[実施例9−12]
第一エイペックスの長さL1を下記の表5の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例9−12のタイヤを得た。
[実施例13−17]
高さHcを下記の表6の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例13−17のタイヤを得た。
[実施例18−21]
長さLpを下記の表7の通りとした他は実施例1と同様にして、実施例18−21のタイヤを得た。
[面内捻り剛性及びコーナリングパワーの測定]
フラットベルト式タイヤ6分力測定装置を用い、下記の測定条件で面内捻り剛性及びコーナリングパワーを測定した。
使用リム:6.0JJ
内圧:210kPa
荷重:2.55kN
速度:80km/h
キャンバー角:0°
スリップ角:1.0°
比較例1のタイヤの面内捻り剛性及びコーナリングパワーを100としたときの指数が、下記の表1−7に示されている。数値が大きいほど、面内捻り剛性及びコーナリングパワーは大きい。
[横剛性の評価]
下記の条件にて、タイヤの横バネ定数を測定した。
使用リム:6.0JJ
内圧:210kPa
荷重:4.24kN
比較例1のタイヤの横バネ定数を100としたときの指数が、下記の表1−7に示されている。数値が大きいほど、横剛性は大きい。
[操縦安定性及び乗り心地]
タイヤを6.0JJのリムに組み込み、このタイヤに内圧が210kPaとなるように空気を充填した。このタイヤを、排気量が1800ccである乗用車に装着した。ドライバーに、この乗用車をレーシングサーキットで運転させて、操縦安定性及び乗り心地を評価させた。操縦安定性に関する評価では、N(ニュートラル)付近、レーンチェンジ及びドライコースでの旋回(DRY旋回)における安定性が確認された。この結果が、指数として下記の表1−7に示されている。数値が大きいほど好ましい。
[耐久性]
タイヤを正規リムに組み込み、このタイヤに空気を充填して内圧を250kPaとした。このタイヤをドラム式走行試験機に装着し、8.15kNの縦荷重をタイヤに負荷した。このタイヤを、100km/hの速度で、半径が1.7mであるドラムの上を走行させた。タイヤに損傷が確認されるまでの走行距離を、測定した。この結果が、比較例1を100とした指数として、下記の表1−7に示されている。数値が大きいほど、好ましい。
[質量]
タイヤ1本の質量を計測した。この結果が、比較例1を100とした指数として、下記の表1−7に示されている。数値が小さいほど、好ましい。
[ノイズ]
タイヤをそのサイズが6.0JJであるリムに組み込み、このタイヤに内圧が210kPaとなるように空気を充填した。このタイヤを、排気量が1800ccである乗用車に装着した。この乗用車を、粗度の高いアスファルト製路面の上で、60km/hの速度で走行させた。この走行時の運転席における、100Hzバンドの騒音レベル(dB)を集音マイクで計測した。この計測値が、比較例1を100とした指数値で下記の表1−7に示されている。数値が小さいほど、ロードノイズが小さいことが示される。
Figure 0006285751
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表1−7に示されるように、実施例のタイヤでは、比較例のタイヤに比べて評価が高い。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
以上説明された空気入りタイヤは、様々な車輌にも適用されうる。
2・・・タイヤ
4・・・トレッド
8・・・サイドウォール
10・・・クリンチ
12・・・ビード
14・・・カーカス
24・・・ストリップ
26・・・トレッド面
34・・・コア
36・・・第一エイペックス
38・・・第二エイペックス
40・・・第二エイペックス38の外側端
42・・・第一エイペックス36の外側端
44・・・カーカスプライ
46・・・主部
48・・・折り返し部
50・・・折り返し部48の端
52・・・クリンチ10の外側端
54・・・第二エイペックス38の内側端
60・・・チェーファー22の一端
64・・・ストリップ24の外側端

Claims (7)

  1. その外面がトレッド面をなすトレッドと、それぞれが上記トレッドの端から半径方向略内向きに延びる一対のサイドウォールと、それぞれが上記サイドウォールの端から半径方向略内向きに延びる一対のクリンチと、それぞれが上記クリンチよりも軸方向内側に位置する一対のビードと、上記トレッド及び上記サイドウォールの内側に沿って一方のビードと他方のビードとの間に架け渡されたカーカスと、それぞれが上記ビードからこのカーカスに沿って半径方向略外向きに延びる一対のストリップとを備えており、
    上記ビードが、コアと、このコアから半径方向外向きに延びる第一エイペックスと、軸方向においてこの第一エイペックスよりも外側に位置する第二エイペックスとを備えており、
    上記カーカスがカーカスプライを備えており、
    上記カーカスプライが上記コアの周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返されており、この折り返しによりこのカーカスプライには主部と折り返し部とが形成されており、
    上記折り返し部が上記第一エイペックスと上記第二エイペックスとの間に位置しており、この第一エイペックスの外側端よりも半径方向外側においてこの折り返し部が上記主部と接しており、
    上記第二エイペックスの外側端が上記折り返し部の端よりも半径方向外側に位置しており、
    半径方向における、ビードベースラインからこのタイヤの最大幅を示す位置までの高さHbに対するビードベースラインから上記ストリップの外側端までの高さHsの比(Hs/Hb)が0.7以上1.1以下であり、
    上記ストリップの複素弾性率が60MPa以上80MPa以下である、空気入りタイヤ。
  2. 上記第一エイペックスの長さが5mm以上15mm以下である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 上記第一エイペックスの外側端から上記折り返し部の端までの長さが10mm以上である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. それぞれが上記ビードの周りにて軸方向内側から外側に向かって折り返された一対のチェーファーを備えており、
    軸方向において、上記チェーファーの一端が上記折り返し部と上記クリンチとの間に位置しており、
    ビードベースラインから上記チェーファーの一端までの高さが5mm以上22mm以下であり、
    このタイヤがリムに組み込まれたとき上記チェーファーがこのリムと接する、請求項1から3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 上記ストリップが上記第二エイペックスの外側端から上記主部に沿って半径方向外向きに延在している、請求項1から4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 上記ストリップの外側端の位置が半径方向においてこのタイヤの最大幅を示す位置と一致している、又は、このストリップの外側端がこのタイヤの最大幅を示す位置よりも半径方向内側に位置している、請求項1から5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 上記ストリップの複素弾性率が70MPa以下である、請求項1から6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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