JP2008133433A - 粘着シートおよび再剥離性の粘着シート - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面基材、粘着剤層、剥離シートを積層して備える粘着シートであって、ISO8791−4に準じてクランプ圧1000kPa、ソフトタイプのバッキングディスクで測定したパーカープリントサーフ平滑度が2.0〜3.5μmである剥離シート上に粘着剤塗液をカーテン塗布方式にて塗布、乾燥して粘着剤層を形成したことを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明にかかる粘着シートは、表面基材、粘着剤層、剥離シートを積層して備える粘着シートであって、ISO8791−4に準じてクランプ圧1000kPa、ソフトタイプのバッキングディスクで測定したパーカープリントサーフ平滑度が2.0〜3.5μmである剥離シート上に粘着剤塗液をカーテン塗布方式にて塗布、乾燥して粘着剤層を形成したことを特徴とする。
前記剥離シートが、剥離紙原紙の少なくとも一方の面に、コア部とシェル部とが共にスチレンをモノマー単位に含む共重合体ラテックスを主成分とする、コア・シェル構造の複合体ラテックスと顔料とを含有する下塗り層を設け、該下塗り層上に剥離剤層を設けてなる剥離シートであることが好ましい。
前記粘着剤層が2層以上の粘着剤層であってもよい。
前記粘着剤層を形成する粘着剤塗液に0.1%水溶液の動的表面張力が30〜60mN/mとなる界面活性剤を含有させることが好ましい。
前記粘着剤層を形成する粘着剤塗液が1液再剥離型粘着剤塗液であることが再剥離性の粘着シートとして好ましい。
前記1液再剥離型粘着剤塗液が(A)(a)アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを主成分とし、(b)カルボニル基含有不飽和モノマーを共重合してなる水性分散液と、(B)分子中に少なくとも2個のヒドラジノ基を有するヒドラジン誘導体と、(C)水溶性可塑剤とを含有してなる水性分散液であることが再剥離性の粘着シートとして好ましい。
剥離シートに1液再剥離型粘着剤層、プライマー層をこの順番となるように同時塗布、乾燥して形成することが再剥離性の粘着シートとして好ましい。
剥離シートに1液再剥離型粘着剤塗液をカーテン塗布方式にて塗布、乾燥して粘着剤層を形成し、表面基材を貼り合せる前に該粘着剤層表面を活性化処理することが再剥離性の粘着シートとして好ましい。
活性化処理がコロナ放電処理、電離性放射線処理、紫外線処理から選択される1種であることが再剥離性の粘着シートとして好ましい。
請求項2にかかる本発明の粘着シートは、SO8791−4に準じてクランプ圧1000kPa、ソフトタイプのバッキングディスクで測定したパーカープリントサーフ平滑度が2.0〜3.5μmである剥離シート上に粘着剤塗液をカーテン塗布方式にて塗布、乾燥して粘着剤層を形成した。この平滑度に制御することによって、低塗工量で平滑な粘着剤層面が得られるので、粘着性能に優れウーズの発生を抑えた粘着シートが得られる。
請求項3にかかる本発明の粘着シートは、剥離剤層の硬化性を阻害させず接着性能の低下をきたさないため好ましい。
請求項4にかかる本発明の粘着シートは、前記粘着剤層が2層以上の粘着剤層であっても、単層の場合と同様に低塗工量で優れた粘着性能を示し、ウーズの発生を効果的に抑制させることができるので好ましい。
請求項5にかかる本発明の粘着シートは、粘着剤塗液の動的表面張力の制御が容易となり、カーテン塗布方式を採る上でより好ましい。
請求項6にかかる本発明の再剥離性の粘着シートは、粘着剤塗液が1液再剥離型粘着剤塗液であるので優れた再剥離適性、粘着適性を発揮し、ウーズの発生を抑え、しかも粘着シートからラベルへの打抜き加工適性にも優れる。
請求項7にかかる本発明の再剥離性の粘着シートは、1液再剥離型粘着剤塗液が(A)(a)アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを主成分とし、(b)カルボニル基含有不飽和モノマーを共重合してなるアクリル系粘着剤の水性分散液と、分子中に少なくとも2個のヒドラジノ基を有するヒドラジン誘導体と、水溶性可塑剤とを含有することにより反応速度の制御が容易となり、高速塗布・乾燥しても再剥離適性が得られる。
請求項8にかかる本発明の再剥離性の粘着シートは、表面基材、プライマー層、1液再剥離型粘着剤層間で強固な密着性が得られるため優れた再剥離適性が得られる。
請求項9にかかる本発明の再剥離性の粘着シートは、粘着剤層表面を活性化処理しているので表面基材あるいはプライマー層とのさらに強固な密着性が得られる。
請求項10にかかる本発明の再剥離性の粘着シートは、粘着剤層と表面基材あるいはプライマー層との間でより強固な密着性が得られるので優れた再剥離適性を発揮する。
本発明において使用される表面基材としては、特に限定されないが、キャスト紙、コート紙 、アート紙 、上質紙 、感熱紙 、熱転写用紙、インクジェット用紙、合成紙 、金属蒸着紙 、布、不織布、金属ホイル、各種高分子フィルム等を適宜使用することができる。
本発明において使用される剥離紙原紙としては、木材繊維や再生パルプを主体とするパルプを所要の叩解設備で適宜叩解し、必要に応じて内添サイズ剤、填料、蛍光増白剤、消泡剤等の助剤を添加してパルプスラリーを調製し、硫酸バンド等で酸性化した、いわゆる酸性抄紙した原紙、あるいは、炭酸カルシウム等を填料とし、抄紙pHを弱酸性〜9.2程度で抄紙する方法、いわゆる中性抄紙等で得られた原紙が適宜利用できる。ここで、抄紙機としては、長網多筒型抄紙機、長網ヤンキー型抄紙機、あるいは円網型抄紙機等が挙げられ、原紙としては、上質紙、中質紙、片艶紙、クラフト紙等を挙げることができる。更に、上記の如き条件で抄紙された原紙表面に酸化デンプンや各種表面サイズ剤等を必要に応じてサイズプレスコーティングを行い、吸水性や紙力の向上を図る等の効果を上げることもできる。
上記のようにして得られる剥離紙原紙に下塗り層が設けられて剥離紙基材とするが、下塗り層は、主として、剥離剤層に用いられるシリコーン塗液の浸透を抑制する機能を発揮する。ここで、下塗り層の種類は特に限定されないが、顔料コート層またはポリビニルアルコール、デンプン、ポリエチレン等による高分子樹脂コート層が適宜選択される。顔料コート層の中でも顔料とバインダーを主成分とし、該バインダーがコア・シェル構造を有するスチレン−ブタジエン共重合体ラテックスを含有するものが好ましい。尚、ポリビニルアルコールやデンプン等を下塗り層に使用する場合は先に説明した原紙の抄紙工程の中のサイズプレス工程で下塗り層まで形成されるので剥離紙基材が原紙製造工程において直接得られることになる。
ブタジエンの共重合比が小さ過ぎると、ブタジエン単位含有による接着性向上の効果が充分に得難く、大き過ぎるとリサイクル適性が悪化するおそれがある。コア部主成分におけるスチレンとブタジエン以外のモノマー単位としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、ステアリン酸等が挙げられる。コア部主成分におけるスチレンとブタジエン以外のモノマー単位の共重合比(質量比)は、スチレンに対して0.1〜20%であることが好ましく、0.1〜5%であることがより好ましい。コア部におけるコア部主成分の割合は、80質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましい。コア部主成分以外のコア部の成分としては、例えば、アクリロニトリル、メチルメタクリレート等が挙げられる。コア部のガラス転移温度(Tg)は、−50〜−5℃が好ましく、−30〜−3℃がより好ましい。コア部のTgを−50℃以上とすることにより、剥離剤塗液の浸透を効果的に防止することができる。また、−5℃以下とすることにより、接着性向上の効果を得ることができる。
さらに、本発明の下塗り層塗液中に0.1%水溶液の動的表面張力が30〜60mN/m、好ましくは30〜55mN/mとなる界面活性剤を含有させることもできる。30mN/m以上であれば下塗り層塗液の泡立ちが起こるおそれが無く、60mN/m以下では下塗り層塗液を剥離紙原紙上に塗布する際、剥離紙原紙上での下塗り層塗液のハジキが防止され、優れた塗布面が得られる。このような動的表面張力を有する界面活性剤については〔粘着剤層〕のところで説明する界面活性剤と同じ物質を使用することができる。
下塗り層の塗布量は、特に制限はないが、品質や価格等を考慮すると、絶乾質量(固形分)で3〜10g/m2とすることが好ましい。尚、下塗り層形成のために、2回以上の塗布操作により多層塗布あるいはスライドカーテンコーターにて多層同時塗布してもよい。また、塗布後、必要に応じてスーパーカレンダー等の仕上処理を施すことにより、下塗り層表面の平滑性を所望の範囲に制御することができる。尚、この下塗り層表面と剥離剤層表面の平滑性についてはほとんど同一である。理由は後記した。また、スーパーカレンダーの条件としては、ニップ段数、ニップ圧力、加湿量、加熱温度、通紙速度、ロールの種類等を適宜組み合わせて設定する。
本発明において使用する剥離シートは、上記のような剥離紙基材の下塗り層表面に剥離剤層を設けたものである。剥離剤層は、剥離紙基材の下塗り層表面に、剥離剤塗液を塗布し、硬化させて形成する。剥離剤は、例えば、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル系化合物等が用いられ、中でもシリコーン系化合物が好ましく用いられる。
シリコーン系化合物としては、トルエンやヘキサン等の有機溶剤に希釈した溶剤希釈型シリコーン、有効固形分が100質量%の無溶剤型シリコーン等が用いられる。中でも、環境保護の観点から、無溶剤型シリコーンが好ましく用いられる。無溶剤型シリコーンとしては、熱硬化型シリコーン化合物、電子線硬化型シリコーン化合物、紫外線硬化型シリコーン化合物等が挙げられる。これら無溶剤型シリコーンの塗布方法としては、特に限定するものではないが、一般に、多段式ロールコーター、オフセットグラビアコーター等が使用される。この場合の塗布量は0.05〜3.00g/m2程度、好ましくは0.2〜1.5g/m2程度の範囲で適宜調節される。尚、塗布量が0.05g/m2未満では剥離剤層としての作用効果に乏しく、また、3.00g/m2を超えると、経済的な面から必要性に乏しい。
この動的平滑度とも呼ばれるPPSの範囲を規定したことは、粘着剤の塗布を従来の2倍程度の高速で行うのに適した剥離紙の平滑度を規定したもので、まさに動的な平滑度が比較的粘度の低い塗液を塗工する上で重用な因子であったということであろうと推定される。因みに、平滑度が2.0μm未満であると、粘着剤塗液を塗布した際、ハジキが発生し易くなるおそれがある。平滑度が3.5μmを超えると、粘着剤塗液を塗布した際平滑な粘着剤層面が得られ難くなり、各種被着体に対する粘着力が低下してしまうおそれがある。より好ましい範囲としては、平滑度が2.0〜3.0μmである。ここで、平滑度は、Messmer社製パーカープリントサーフ(型式:M596)を用いて測定した。尚、本剥離シート表面のPPSは実際的には先に説明した下塗り層表面のPPSと同じであった。これは上述の剥離剤層の塗布厚みがせいぜい1μm程度であるので下塗り層を形成した段階の平滑度が本剥離シート表面の平滑度と同じになるということである。本明細書中の実施例等におけるハジキの定義については○はハジキの発生がなく粘着剤塗液の塗布適性に優れていることを意味し、×はハジキの発生が酷く粘着シートとして実用上問題となるレベルであることを意味する。
ここで、接触角は、協和界面科学株式会社製接触角測定装置「Model CA−X」を用い、水の滴下量を1.8μlとして、滴下10秒後に測定した。
本プライマー層は一般の粘着シートには特に使用する必要はないが、再剥離性粘着シートを得るうえでは表面基材と粘着剤層の間に本プライマー層を形成することが非常に好ましい。従来一般に用いられていたプライマー層塗液は溶剤型であったが、塗布工程や乾燥工程において有機溶剤が飛散し、室内に残留したりするため作業者の衛生上の問題からも脱有機溶剤化が強く要望されているので、本発明では水系プライマー層塗液を選択した。
該水系プライマー層用材料としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルション、ポリオレフィン系水性ディスパーション、エチレンイミン誘導体(ポリエチレンイミン、活性アミン基含有ポリマー等)、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、ポリクロロプレンとポリウレタンを必須成分として含む水性ディスパーション、ポリクロロプレンとエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分として含む水性ディスパーション等を挙げることができるが、これらの群より少なくとも1種以上を使用することができる。また、該プライマー層中には本発明の所望の効果を阻害しない範囲で前記顔料コート層のところで説明した顔料と同様のものを添加することができる。
プライマー層の塗布量としては、0.01〜5g/m2が好ましく、0.05〜2g/m2がさらに好ましい。プライマー層の塗布量が0.01g/m2未満であると、粘着剤層と表面基材との密着性が充分得られず、再剥離した際被着体に糊残りしたり、ラベル加工時に糊のはみ出しが酷くなるおそれがある。一方、プライマー層の塗布量が5g/m2を超えると粘着力が低下して、被着体からラベルが剥れ落ちるおそれがある。
本発明では粘着剤層としては一般の粘着剤層と再剥離型の粘着剤層を形成する二通りの場合がある。先に一般の粘着剤層について説明する。
<一般の粘着剤層>
上記のようにして得られた剥離シートの剥離剤層側に粘着剤層を形成する。この粘着剤層を構成する粘着剤は、基本的にはアクリル系高分子(A)とガラス転移温度が−50℃〜50℃のビニル系重合体(B)から構成される。ここで、アクリル系高分子(A)は、官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)と粘着付与樹脂(b)からなるのが好ましい。このような組成の粘着剤を用いると、比較的低塗布量で粘着力を確保できるため好ましい。官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー、官能基を有するモノマーおよびその他の重合可能なモノマーとの共重合体である。(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマーとしては、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの群より少なくとも1種以上使用することができるが、特に炭素数4〜12のアルキル鎖を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれたモノマーを主成分として使用することが好ましい。
[0011]〜[0024]記載のようにして得られた剥離シートの剥離剤層側に再剥離型の粘着剤層を形成する。この粘着剤層を構成する粘着剤は、1液再剥離型であれば特に限定されないが、下記組成の粘着剤が再剥離適性に優れるため好ましい。その詳細な組成は、基本的には(A)(a)アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを主成分とし、(b)カルボニル基含有不飽和モノマーを共重合してなる共重合体からなる水性分散液に、(B)分子中に少なくとも2個のヒドラジノ基を有するヒドラジン誘導体および(C)水溶性可塑剤から選択される少なくとも1種以上の化合物を含有してなる1液型再剥離用水分散タイプ粘着剤であり、好ましくは(A)(a)アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを55〜99.8質量%、(b)カルボニル基含有不飽和モノマーを0.1〜5質量%、(c)(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーと共重合可能なカルボニル基含有不飽和モノマー以外の不飽和モノマー0.1〜40質量%のモノマー混合物を共重合してなる水性分散液の固形分100質量部に対して、(B)分子中に少なくとも2個のヒドラジノ基を有するヒドラジン誘導体を、(A)成分中のカルボニル基1モルに対して0.05〜5モルと、(C)水溶性可塑剤から選択された1種以上の化合物を0.2〜10質量部とを含有してなる1液型再剥離用水分散タイプ粘着剤である。
以下は<一般の粘着剤層>および<再剥離型の粘着剤層>に適用できる種々の条件や助剤について記載した。
最大泡圧法による表面張力測定
最大泡圧法の測定装置は、液の中に差し込んだ細管から窒素ガスを噴き出して泡を膨らませることにより、液体と気体の界面を広げ、その際の最大圧力から表面張力を求めるというものである。球状の泡の半径をRからR+dRに増やす時、泡の表面積の増加分ΔAは、
ΔA=4π(R+dR)2−4πR2=8πR・dR
一方、この時、圧力によって行われた仕事は、面積が4πR2の球面をdRだけ押し動かしたのだから、
W=ΔP・4πR2dR
したがって、表面張力は、
γ=W/ΔA・・・・・(表面張力の定義)
=ΔP・4πR2dR/8πR・dR
=ΔP・R/2
で求められる。これを書き換えると、
ΔP=2γ/R
すなわち、Rが小さい程、内部圧力が大きくなる。細管の先端から出る泡の半径Rの変化を見ると、半球状の時が最小で細管の内径rに等しい。したがって、内部圧力の最大値をPmax、細管の先端部分の水圧をP0とすれば、
γ=(Pmax−P0)r/2
ここで、界面活性剤は0.1%水溶液の動的表面張力が20〜60mN/mとなる物質であれば特に限定されないが、アニオン系もしくはノニオン系界面活性剤が好ましい。とりわけ、アニオン系界面活性剤が好ましい。中でもジアルキルスルホコハク酸ナトリウムやジアルキルスルホコハク酸カリウム等、ジアルキルスルホコハク酸アルキル金属塩系界面活性剤が濡れ性に優れるので好ましく、特にジアルキルスルホコハク酸ナトリウムが好ましい。また、ノニオン系界面活性剤としては分子中に1個の三重結合を有するアセチレングリコール(2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール等)、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキサイド10モル付加物等)、アセチレンアルコール(2,4,4,7,9−ペンタメチル−5−デシン−7−オール等)が濡れ性と消泡性に優れるので好ましい。
粘着剤層を形成するための塗布方法としてカーテンコーターを用いる。カーテンコーターを用いると、他のコーター例えばリバースロールコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、スロットダイコーター、カーテンコーター、リバースグラビアコーター、バリオグラビアコーター等では粘着剤塗布面に発生し易いリビングラインが発生し難く、比較的低い平滑度を有する剥離シートを用いて粘着シートを構成しても、平滑度に優れる粘着剤層面が得られ、低塗布量でも優れた粘着性能を発揮することを見出した。更に、低塗布量であるので、ウーズの発生を効果的に抑制できるので、印刷機でラベル加工する作業適性に優れる。本発明において使用するカーテンコーターとしては、エクストルージョンホッパー型カーテンコーター、スライドホッパー型カーテンコーター等が挙げられるが、特に限定されない。粘着剤層の塗工量は8〜30g/m2、好ましくは10〜27g/m2である。塗工速度は400〜800m/分が好ましい。因みに、塗工速度が400m/分未満の場合、粘着剤塗液を塗布してから、乾燥ゾーンに到達するまでに時間がかかり過ぎ、剥離シート上でハジキが発生するおそれがある。逆に塗工速度が800m/分を超えると、4.5×105(s−1)程度以上のせん断速度となり、粘着剤塗液の粘度が低下してハジキが発生するおそれがある。
また、再剥離性粘着シートに特有の処理として以下の[活性化処理]を行うことが非常に好ましい。
本発明において粘着剤層表面の活性化処理というのはコロナ放電処理、電離放射線処理、あるいは紫外線照射処理等を意味するものである。ここで、粘着剤層表面を活性化処理することによって表面基材と粘着剤層との密着性が向上する理由については明確なことは判らないが、活性化処理することによって粘着剤層中に水酸基、カルボニル基、カルボキシル基、パーオキサイド等をはじめとする活性基の増加ないしラジカル生成に伴う結合が生じるためではないかと考えられる。
[下塗り層塗液]
下塗り層中のバインダーとして下記組成(モノマー単位とその質量比、Tg)
コア部 (スチレン:ブタジエン=5:5、Tg:−19℃)
シェル部 (スチレン:アクリル酸:オレイン酸=54:34:2、Tg:26℃)
のコア・シェル構造を有する複合体ラテックス(商品名「A6160」、ゲル分率:96%、複合体ラテックス全体のTg:21℃、旭化成社製)を用いた。
顔料として板状のカオリンを用い、スチレン系共重合体ラテックス:板状のカオリン=1:1(質量比)となるように、濃度50質量%の下塗り層塗液を調製した。
[剥離紙基材の製造]
剥離紙原紙として上質紙(坪量78g/m2)を使用し、その片面に、上記下塗り層塗液を絶乾質量(固形分)で7g/m2を塗布し、乾燥して、カレンダー処理にて平滑化した。さらにカールコントロールを裏面蒸気加湿(スチームボックス)にて実施し、剥離紙基材を得た。
[剥離剤塗液]
荒川化学工業社製無溶剤型シリコーン剥離剤「POLY360(ベースポリマー)」28質量部、「621V230(ベースポリマー)」50質量部、「11367(ベースポリマー)」18質量部、「XL323(架橋剤)」3.7質量部、「触媒」4質量部を混合して剥離剤塗液を調製した。
[剥離シートの製造]
上記剥離紙基材の下塗り層塗布面に上記無溶剤型シリコーン剥離剤を多段ロールコーターにて1.1g/m2となるように塗布後、熱風により硬化させて剥離シートを得た。
上記剥離シートにエマルション型粘着剤(商品名「サイビノールX−406−796E−1、サイデン化学社製」)をスライドホッパー型カーテンコーターで17g/m2となるように塗布速度:600m/分の条件にて塗布、乾燥させた後、キャスト紙(商品名「Nミラー73」、王子製紙社製)を貼り合せて、本発明の粘着シートを得た。尚、この実施例で使用したエマルション型粘着剤は、官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)と粘着付与樹脂(b)からなるアクリル系高分子(A)とガラス転移温度が−50℃〜50℃のビニル系重合体(B)から構成されるもの100質量部に、更にジオクチルスルホコハク酸系濡れ剤0.2質量部(商品名「ネオコールSWC」、第一工業製薬社製)(0.1%水溶液の動的表面張力:32.8mN/m)、レベリング剤0.15質量部(2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、商品名「サーフィノール104」、日信化学社製)(0.1%水溶液の動的表面張力:35.1mN/m)を添加してアンモニア水にてpHを8程度に調整して粘着剤塗液とした。
[剥離紙基材の製造]
フリーネス150mlのNBKP70質量部とフリーネス150mlのLBKP30質量部のパルプスラリーに内添サイズ剤として強化ロジンサイズ剤(商品名「サイズパインE、荒川化学工業社製」)を絶乾パルプに対して0.5%添加した。このパルプスラリーに硫酸バンドを添加し定着させた後、長網抄紙機で抄紙し、下塗り層としてポリビニルアルコール(商品名「PVA117」、クラレ社製)の水溶液を固形分で2.0g/m2となるようにゲートロールコーターで塗布して、坪量80g/m2の剥離紙基材の元基材を得た(水分13%)。この元基材を金属ロールと弾性ロールからなる多段式スーパーカレンダーを用いて、紙のフェルト面が全て金属ロールに、ワイヤー面が全て弾性ロールに接するように通紙して剥離紙基材(セミグラシン紙)を得た。
[剥離剤塗液]
東レ・ダウコーニング社製無溶剤型シリコーン剥離剤「SL160(ベースポリマー)」100質量部、「SL9(架橋剤)」5.7質量部、「SL10(剥離コントロール剤)」25質量部、「触媒」1質量部を混合して剥離剤塗液を調整した。
[剥離シートの製造]
この剥離紙基材の下塗り層塗布面に上記無溶剤型シリコーン剥離剤を多段ロールコーターにて0.9g/m2となるように塗布後、熱風により硬化させて剥離シートを得た。
上記剥離シートにエマルション型粘着剤(商品名「サイビノールX−406−796E−3」、サイデン化学社製)をエクストルージョンホッパー型カーテンコーターで17g/m2となるように塗布速度:500m/分の条件で塗布、乾燥させた後、上質紙(商品名「TWF55」、王子製紙社製)を貼り合せて、本発明の粘着シートを得た。尚、この実施例で使用したエマルション型粘着剤は、官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)と粘着付与樹脂(b)からなるアクリル系高分子(A)とガラス転移温度が−50℃〜50℃のビニル系重合体(B)から構成されるもの100質量部に、更にジオクチルスルホコハク酸系濡れ剤0.2質量部(商品名「ネオコールSWC」、第一工業製薬社製)(0.1%水溶液の動的表面張力:32.8mN/m)、レベリング剤0.1質量部(2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキサイド10モル付加物、商品名「サーフィノール465」、日信化学社製)(0.1%水溶液の動的表面張力:40.2mN/m)を添加してアンモニア水にてpHを8程度に調整して粘着剤塗液とした。
[粘着シートの製造]
実施例1と同様の剥離シートにエマルション型粘着剤(商品名「サイビノールX−406−912E−1」、サイデン化学社製)(ボールタック:14)とエマルション型粘着剤(商品名「サイビノールX−406−796E−1」、サイデン化学社製)(ボールタック:10)をスライドホッパー型カーテンコーターで8.5g/m2づつトータルで17g/m2となるように塗布速度:450m/分の条件で2層を同時塗布、乾燥させた後、キャスト紙(商品名「Nミラー73」、王子製紙社製)を貼り合せて、本発明の粘着シートを得た。尚、この実施例で使用したエマルション型粘着剤はいずれも、官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)と粘着付与樹脂(b)からなるアクリル系高分子(A)とガラス転移温度が−50℃〜50℃のビニル系重合体(B)から構成されるもの100質量部に、更にジオクチルスルホコハク酸系濡れ剤0.2質量部(商品名「ネオコールSWC」、第一工業製薬社製)(0.1%水溶液の動的表面張力:32.8mN/m)、レベリング剤0.2質量部(ラウリルアルコールのエチレンオキサイド5モル付加物)(0.1%水溶液の動的表面張力:53.9mN/m)を添加してアンモニア水にてpHを8程度に調整して粘着剤塗液とした。
[粘着剤組成物の製造]
予めビーカーに2−エチルヘキシルアクリレート45質量部、ブチルアクリレート53.5質量部、アクリル酸0.7質量部、エチレングリコールジメタクリレート0.8質量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(商品名「ラテムルWX」、花王社製)4質量部、脱イオン水42.4質量部をフィードし、強攪拌して乳化する。
攪拌機、還流冷却機、温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応装置に脱イオン水15質量部を仕込み、窒素を流入させて、内温を80℃まで昇温させ、脱イオン水で濃度10質量%に溶解した過硫酸アンモニウム2質量部を仕込む。予めビーカーに調製した上記モノマー乳化物を4時間かけて滴下し、並行して脱イオン水で溶解した過硫酸アンモニウム3質量部を滴下し、内温80〜85℃で乳化重合を行う。滴下終了後、同温度で3時間熟成した後室温まで冷却する。濃度25質量%のアンモニア水0.8質量部を添加し、固形分60質量%、pH8.0である官能基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体(a)を得た。
攪拌機、還流冷却機、温度計、窒素導入管、滴下ロートを備えた反応装置に脱イオン水42質量部およびポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(商品名「ラテムルWX」、花王社製)0.4質量部を仕込み、窒素を流入させて、内温を80℃まで昇温させ、脱イオン水で濃度10質量%に溶解した過硫酸アンモニウム2質量部を仕込む。予めビーカーに調製した上記モノマー乳化物を4時間かけて滴下し、並行して脱イオン水で溶解した過硫酸アンモニウム2質量部を滴下し、内温80〜85℃で乳化重合を行う。滴下終了後、同温度で3時間熟成した後室温まで冷却する。濃度25質量%のアンモニア水0.8質量部を添加し、固形分48質量%、pH7.8、Tg−18℃であるビニル系重合体(B)を得た。
実施例1と同様の剥離シートに上記組成のエマルション型粘着剤塗液(ボールタック:10)をスライドホッパー型カーテンコーターで17g/m2となるように塗布速度:450m/分の条件で塗布、乾燥させた後、キャスト紙(商品名「Nミラー73」、王子製紙社製)を貼り合せて、本発明の粘着シートを得た。
[剥離紙基材の製造]
フリーネス150mlのNBKP70質量部とフリーネス150mlのLBKP30質量部のパルプスラリーに内添サイズ剤として強化ロジンサイズ(商品名「サイズパインE」、荒川化学工業社製)を絶乾パルプに対して0.5%添加した。このパルプスラリーに硫酸バンドを添加し定着させた後、長網抄紙機で抄紙し、下塗り層としてポリビニルアルコール(商品名「PVA117」、クラレ社製)の水溶液を固形分で2.0g/m2となるようにゲートロールコーターで塗布して、坪量70g/m2の原紙を得た。この原紙を金属ロールと弾性ロールからなる多段式スーパーカレンダーを用いて、紙のフェルト面が全て金属ロールに、ワイヤー面が全て弾性ロールに接するように通紙して剥離紙基材(グラシン紙)を得た。
[剥離剤塗液]
信越化学工業社製無溶剤型シリコーン剥離剤「KNS−320」100質量部、「触媒」2質量部を混合して剥離剤塗液を調整した。
[剥離シートの製造]
この剥離紙基材の下塗り層塗布面に上記無溶剤型シリコーン剥離剤をグラビアコーターにて0.8g/m2となるように塗布後、熱風により硬化させて剥離シートを得た。
上記剥離シートに(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体に増粘剤、濡れ剤、レベリング剤を添加してアンモニア水にてpHを8程度に調整して粘着剤塗液としたエマルション型粘着剤(商品名「ニカゾールTS−662」、日本カーバイド工業社製)をリバースロールコーターで25g/m2となるように塗布速度250m/分の条件で塗布、乾燥させた後、上質紙(商品名「TWF55」、王子製紙社製)を貼り合せて、本発明の粘着シートを得た。
[剥離紙基材の製造]
顔料としてカオリン(商品名:「UW−90」、EMC社製)80質量部、沈降性炭酸カルシウム(商品名:「タマパールTP」、奥多摩工業社製)20質量部にポリアクリル酸ナトリウム0.2質量部を添加してコーレス分散機で分散し、濃度70質量%の顔料スラリーを調整した。この顔料スラリーに酸化澱粉(商品名:「エースA」、王子コーンスターチ社製)5質量部、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:「JSR0696」、JSR社製)10質量部を加え、更に、水を加えて濃度60質量%の下塗り層塗液を調製した。
[剥離剤塗液]
信越化学工業社製溶剤型シリコーン剥離剤「KS−770」100質量部、「触媒」0.5質量部を混合して剥離剤塗液を調整した。
[剥離シートの製造]
この剥離紙基材の塗被層上に上記溶剤型シリコーン剥離剤をバーコーターにて0.8g/m2となるように塗布後、130℃の熱風加熱ドライヤーで1分間乾燥、硬化させて剥離シートを得た。
上記剥離シートに(メタ)アクリル酸アルキルエステル系共重合体に増粘剤、濡れ剤、レベリング剤を添加してアンモニア水にてpHを8程度に調整して粘着剤塗液としたエマルション型粘着剤(商品名「ニカゾールL−144」、日本カーバイド工業社製)をリバースロールコーターで25g/m2となるように塗布速度250m/分の条件で塗布、乾燥させた後、上質紙(商品名「TWF55」、王子製紙社製)を貼り合せて、本発明の粘着シートを得た。
坪量72g/m2の上質紙にコロナ放電処理を施し、その上に下塗り層として中密度ポリエチレン(商品名:「サンテック−LD L4490」、旭化成社製)を押出しラミネートして、剥離紙基材を得た(ポリエチレン層厚:13μ)。
この剥離紙基材を用いて比較例1と同様にして剥離シートおよび粘着シートを製造した。
比較例1において、粘着剤を商品名「サイビノールX−406−796E−1」、サイデン化学社製とし、エクストルージョンホッパー型カーテンコーターで17g/m2となるように塗布、乾燥した以外は比較例1と同様にして粘着シートを得た。
比較例2において、粘着剤を商品名「サイビノールX−406−796E−1」、サイデン化学社製とし、エクストルージョンホッパー型カーテンコーターで17g/m2となるように塗布、乾燥した以外は比較例2と同様にして粘着シートを得た。
比較例3において、粘着剤を商品名「サイビノールX−406−796E−1」、サイデン化学社製とし、エクストルージョンホッパー型カーテンコーターで17g/m2となるように塗布、乾燥した以外は比較例3と同様にして粘着シートを得た。
実施例1において、剥離紙基材をカレンダー処理にて平滑化しなかった以外は実施例1と同様にして、粘着シートを得た。
[下塗り層塗液]
下塗り層中のバインダーとして下記組成(モノマー単位とその質量比、Tg)
コア部 (スチレン:ブタジエン=5:5、Tg:−19℃)
シェル部 (スチレン:アクリル酸:オレイン酸=54:44:2、Tg:26℃)
のコア・シェル構造を有する複合体ラテックス(商品名「A6160」、ゲル分率:96%、複合体ラテックス全体のTg:21℃、旭化成社製)を用いた。
顔料として板状のカオリン(商品名「コンツァー1500」、イメリスミネラルズジャパン社製)を用い、スチレン系共重合体ラテックス:板状のカオリン=1:1(質量比)となるように、濃度50質量%の下塗り層塗液を調製した。
[剥離紙基材の製造]
剥離紙原紙として上質紙(坪量78g/m2)を使用し、その片面に、上記下塗り層塗液を絶乾質量(固形分)で7g/m2を塗布し、乾燥して、カレンダー処理にて平滑化した。さらにカールコントロールを裏面蒸気加湿(スチームボックス)にて実施し、剥離紙基材を得た。
[剥離剤塗液]
荒川化学工業社製無溶剤型シリコーン剥離剤「POLY360(ベースポリマー)」28質量部、「621V230(ベースポリマー)」50質量部、「11367(ベースポリマー)」18質量部、「XL323(架橋剤)」3.7質量部、「触媒」4質量部を混合して剥離剤塗液を調整した。
[剥離シートの製造]
上記剥離紙基材の下塗り層塗布面に上記無溶剤型シリコーン剥離剤を多段ロールコーターにて1.1g/m2となるように塗布後、熱風により硬化させて剥離シートを得た。
温度計、撹拌機、滴下装置、還流冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に、イオン交換水28質量部をとり、窒素を封入して内温を80℃まで昇温させ、その温度に保ちながら10質量%濃度の過硫酸アンモニウム水溶液2質量部を添加し直ちに、別に準備した2−エチルヘキシルアクリレート96質量部、アクリル酸2質量部、ジアセトンアクリルアミド2質量部のモノマー混合物に、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム(商品名:「レベノールWZ」、花王社製)4質量部、イオン交換水56質量部を混合し乳化したモノマー混合物を連続的に4時間滴下して乳化重合した。並行して5質量%濃度の過硫酸アンモニウム水溶液4質量部を滴下した。滴下終了後、80℃で4時間熟成し、その後室温まで冷却した。これをアンモニア水で中和し、固形分を水で調整して固形分50質量%、pH8.3の水性分散液を得た。
この水性分散液100質量部(固形分)に対して水溶性可塑剤としてグリセリンを0.5質量部添加し、さらに10質量%濃度のアジピン酸ジヒドラジド水溶液を10質量部、ジオクチルスルホコハク酸系濡れ剤0.2質量部(商品名:「ネオコールSWC」、第一工業製薬社製)(0.1%水溶液の動的表面張力:32.8mN/m)、アセチレンジオール系レベリング剤0.15質量部(商品名:「サーフィノール104」、日信化学社製)(0.1%水溶液の動的表面張力:35.1mN/m)を添加してよく混合して1液再剥離型粘着剤塗液を調整した。
上記剥離シートに上記1液再剥離型粘着剤をエクストルージョンホッパー型カーテンコーターで17g/m2となるように塗布速度:600m/分の条件にて塗布、乾燥させた後、キャスト紙(商品名「Nミラー73」、王子製紙社製)を貼り合せて、本発明の再剥離性粘着シートを得た。
〔1液再剥離型粘着剤塗液の製造〕
温度計、撹拌機、滴下装置、還流冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に、イオン交換水180質量部を仕込み、他方、2−エチルヘキシルアクリレート480質量部、アクリル酸20質量部、ラウリル硫酸ナトリウム2質量部、イオン交換水200質量部の混合物を乳化し、滴下装置に装入した。滴下装置中に窒素を吹き込み1時間窒素置換した。同様に反応装置に窒素を吹き込み1時間窒素置換した。その後、撹拌下に反応装置の内温を28℃に保ち、1質量%の硫酸第一鉄水溶液1質量部を添加した。直ちに、モノマー乳化物、0.5質量%のt−ブチルハイドロパーオキサイド水溶液25質量部、0.5質量%の重亜硫酸ナトリウム水溶液25質量部を滴下し、3時間で重合を完結した。反応終了後、アンモニア水にて中和し、ジオクチルスルホコハク酸系濡れ剤0.18質量部(商品名:「ネオコールSWC」、第一工業製薬社製)(0.1%水溶液の動的表面張力:32.8mN/m)、アセチレンジオール系レベリング剤0.2質量部(商品名:「サーフィノール465」、日信化学社製)(0.1%水溶液の動的表面張力:40.2mN/m)を添加して固形分濃度50質量%、pH7.9の1液再剥離型粘着剤塗液を調整した。
[剥離紙基材の製造]
フリーネス150mlのNBKP70質量部とフリーネス150mlのLBKP30質量部のパルプスラリーに内添サイズ剤として強化ロジンサイズ(商品名「サイズパインE」、荒川化学工業社製)を絶乾パルプに対して0.5%添加した。このパルプスラリーに硫酸バンドを添加し定着させた後、長網抄紙機で抄紙し、下塗り層としてポリビニルアルコール(商品名「PVA117」、クラレ社製)の水溶液を固形分で2.0g/m2となるようにゲートロールコーターで塗布して、坪量80g/m2の剥離紙基材の元基材を得た(水分13%)。この元基材を金属ロールと弾性ロールからなる多段式スーパーカレンダーを用いて、紙のフェルト面が全て金属ロールに、ワイヤー面が全て弾性ロールに接するように通紙して剥離紙基材(セミグラシン紙)を得た。
[剥離剤塗液]
東レ・ダウコーニング社製無溶剤型シリコーン剥離剤「SL160(ベースポリマー)」100質量部、「SL9(架橋剤)」5.7質量部、「SL10(剥離コントロール剤)」25質量部、「触媒」1質量部を混合して剥離剤塗液を調整した。
[剥離シートの製造]
この剥離紙基材の下塗り層塗布面に上記無溶剤型シリコーン剥離剤を多段ロールコーターにて0.9g/m2となるように塗布後、熱風により硬化させて剥離シートを得た。
上記剥離シートに上記1液再剥離型粘着剤をエクストルージョンホッパー型カーテンコーターで17g/m2となるように塗布速度:500m/分の条件で塗布、乾燥させた後、上質紙(商品名「TWF55」、王子製紙社製)を貼り合せて、本発明の再剥離性粘着シートを得た。
[粘着シートの製造]
実施例4において、実施例4と同じ剥離シートに実施例4と同じ1液再剥離型粘着剤塗液、プライマー層塗液(商品名:「ポリメントSK−1000」、日本触媒社製)をこの順番にスライドホッパー型カーテンコーターで15g/m2:2g/m2となるように塗布速度:600m/分の条件にて塗布、乾燥させた後、キャスト紙(商品名「Nミラー73」、王子製紙社製)を貼り合せた以外は実施例4と同様にして、本発明の再剥離性粘着シートを得た。
〔1液再剥離型粘着剤塗液の製造〕
n−ブチルアクリレート85.0質量部、アクリル酸1.5質量部、メタクリル酸3.0質量部、メタクリル酸メチル10.5質量部、連鎖移動剤(n−ドデシルメルカプタン)0.05質量部、アニオン型反応性界面活性剤(商品名:「エレミノールJS−2」、三洋化成工業社製)3.2質量部、pH緩衝剤(第二リン酸ナトリウム)0.5質量部、イオン交換水45質量部を混合撹拌し、モノマー混合物の乳化液を得た。
温度計、撹拌機、滴下装置、還流冷却管および窒素導入管を備えた反応装置に、アニオン型反応性界面活性剤(商品名:「エレミノールJS−2」、三洋化成工業社製)0.5質量部とイオン交換水40質量部を仕込み、撹拌下75℃に昇温し、前記乳化液の5質量%を添加した。更に80℃まで昇温した後、3質量%過硫酸カリウム水溶液を1質量部添加して乳化重合を行った。その後約20分後に前記乳化液の95質量%と3質量%過硫酸カリウム水溶液3質量部を混合した混合液を3.5時間かけて滴下した。滴下終了後、液温を80℃に保持したまま約3時間撹拌を続け、反応を完結させた。その後、30℃まで冷却した後、アンモニア水にて中和し、固形分を水で調整して固形分50質量%、pH8.3の水性分散液を得た。
この水性分散液100質量部(固形分)に対して水溶性可塑剤としてグリセリンを0.5質量部添加し、さらにオキサゾリン系化合物(商品名「エポクロスWS−500」、日本触媒社製)を0.3質量部、ジオクチルスルホコハク酸系濡れ剤0.23質量部(商品名:「ネオコールSWC」、第一工業製薬社製)(0.1%水溶液の動的表面張力:32.8mN/m)、アセチレンジオール系レベリング剤(商品名:「サーフィノール104」、日信化学社製)0.1質量部(0.1%水溶液の動的表面張力:35.1mN/m)を添加してよく混合して1液再剥離型粘着剤塗液を調整した。
実施例4において、実施例4と同じ剥離シートに上記1液再剥離型粘着剤塗液をエクストルージョンホッパー型カーテンコーターで17g/m2となるように塗布速度:600m/分の条件にて塗布、乾燥させた後、キャスト紙(商品名「Nミラー73」、王子製紙社製)を貼り合せた以外は実施例4と同様にして、本発明の再剥離性粘着シートを得た。
[粘着シートの製造]
実施例4において、実施例4と同じ剥離シートに上記1液再剥離型粘着剤塗液をエクストルージョンホッパー型カーテンコーターで17g/m2となるように塗布、乾燥させた後、粘着剤層表面を発振周波数30KHz、出力電圧34KV、出力0.7KW、処理速度4m/分でコロナ処理してキャスト紙(商品名「Nミラー73」、王子製紙社製)を貼り合せた以外は実施例4と同様にして、本発明の再剥離性粘着シートを得た。
[粘着シートの製造]
実施例4において、実施例4と同じ剥離シートに上記1液再剥離型粘着剤塗液をエクストルージョンホッパー型カーテンコーターで17g/m2となるように塗布、乾燥させた後、粘着剤層表面を加速電圧160KV,照射線量2MRadの条件で電子線を照射してキャスト紙(商品名「Nミラー73」、王子製紙社製)を貼り合せた以外は実施例4と同様にして、本発明の再剥離性粘着シートを得た。
[剥離紙基材の製造]
フリーネス150mlのNBKP70質量部とフリーネス150mlのLBKP30質量部のパルプスラリーに内添サイズ剤として強化ロジンサイズ(商品名「サイズパインE」、荒川化学工業社製)を絶乾パルプに対して0.5%添加した。このパルプスラリーに硫酸バンドを添加し定着させた後、長網抄紙機で抄紙し、下塗り層としてポリビニルアルコール(商品名「PVA117」、クラレ社製)の水溶液を固形分で2.0g/m2となるようにゲートロールコーターで塗布して、坪量70g/m2の原紙を得た。この原紙を金属ロールと弾性ロールからなる多段式スーパーカレンダーを用いて、紙のフェルト面が全て金属ロールに、ワイヤー面が全て弾性ロールに接するように通紙して剥離紙基材(グラシン紙)を得た。
[剥離剤塗液]
信越化学工業社製無溶剤型シリコーン剥離剤「KNS−320」100質量部、「触媒」2質量部を混合して剥離剤塗液を調整した。
[剥離シートの製造]
この剥離紙基材のバリヤー剤塗布面に上記無溶剤型シリコーン剥離剤をオフセットグラビアコーターにて0.8g/m2となるように塗布後、熱風により硬化させて剥離シートを得た。
上記剥離シートに実施例4と同じ1液再剥離型粘着剤エクストルジョンホッパー型カーテンコーターで17g/m2となるように塗布速度600m/分の条件で塗布、乾燥させた後、上質紙(商品名「TWF55」、王子製紙社製)を貼り合せて、再剥離性粘着シートを得た。
[剥離紙基材の製造]
顔料としてカオリン(商品名:UW−90、EMC社製)80質量部、沈降性炭酸カルシウム(商品名:タマパールTP、奥多摩工業社製)20質量部にポリアクリル酸ナトリウム0.2質量部を添加してコーレス分散機で分散し、濃度70質量%の顔料スラリーを調製した。この顔料スラリーに酸化澱粉(商品名:エースA、王子コーンスターチ社製)5質量部、スチレン・ブタジエン共重合体ラテックス(商品名:JSR0696、JSR社製)10質量部を加え、更に、水を加えて濃度60質量%の塗液を調製した。
[剥離剤塗液]
信越化学工業社製溶剤型シリコーン剥離剤「KS770」100質量部、「触媒」0.5質量部を混合して剥離剤塗液を調整した。
[剥離シートの製造]
この剥離紙基材の塗被層上に上記溶剤型シリコーン剥離剤をバーコーターにて0.8g/m2となるように塗布後、130℃の熱風加熱ドライヤーで1分間乾燥、硬化させて剥離シートを得た。
上記剥離シートを用いた以外は比較例8と同様にして再剥離性粘着シートを得た。
実施例5において、カレンダー処理にて平滑化しなかった以外は実施例5と同様にして剥離シートを製造し、実施例5と同様にして粘着シートを得た。
(1)接着力:JIS Z 0237:2000年に準じて、ポリエチレン板(日本テストパネル社製)に対する接着力を測定した。
○:粘着剤のはみ出しがなく、ギロチン刃、断裁面にべとつきがなく良好。
△:若干粘着剤のはみ出しがあり、ギロチン刃、断裁面にべとつきがあるが、実用上問題ないレベルである。
×:粘着剤のはみ出しが酷く、実用上問題となるレベルである。
◎:ラベルの身上がりやカス切れが全くなく加工適性に非常に優れている。
○:ラベルの身上がりやカス切れがほとんどなく加工適性に優れている。
△:若干ラベルの身上がりあるいはカス切れが発生するが、実用上問題ないレベルである。
×:ラベルの身上がりあるいはカス切れが酷く、実用上問題となるレベルである。
○:Kライナーが破れたり、粘着剤がKライナーに残ったりせず、スムースに剥がれる。
△:若干Kライナーが破れたり、粘着剤がKライナーに残るが、実用上問題ないレベルである。
×:Kライナーの破れが酷い、あるいは粘着剤残りが酷いため実用上問題となるレベルである。
◎:粘着シートとして非常に優れている
○:粘着シートとして優れている
△:粘着シートとして若干問題があるが、実用上問題ないレベルである
×:粘着シートとして問題があり、実用出来ないレベルである。
比較例4〜6では、従前のリバースロールコーターによって粘着剤を塗布する際に使用していた剥離シートと同一のものに実施例で使用した粘着剤を実施例で使用したカーテンコーターにて塗布したわけである。これらの剥離シート表面の平滑度が高いため、粘着剤塗液にハジキが発生し、塗布適性に劣るものであった。尚、比較例として挙げてはいないが、粘着剤の粘度、表面張力を種々調整してこれらの剥離シートにカーテンコーターにて塗布することを試行したが実施例のごとく満足の得られる粘着シートが得られなかった。
比較例7では、剥離シート表面の平滑度が低いため、接着力が低く、接着適性に劣るものであった。比較例8、9は剥離シート表面の接触角が高く、粘着剤塗液をカーテン塗布するとハジキが劣っていた。比較例10は剥離シート表面の平滑度が低く、粘着力も低いため、剥離力も低くなり過ぎたため、ラベル加工適性に劣る結果となった。
Claims (10)
- 表面基材、粘着剤層、剥離シートを積層して備える粘着シートであって、剥離シートの粘着剤層に接する面のISO8791−4に準じてクランプ圧1000kPa、ソフトタイプのバッキングディスクで測定したパーカープリントサーフ平滑度が2.0〜3.5μmであることを特徴とする粘着シート。
- 表面基材、粘着剤層、剥離シートを積層して備える粘着シートであって、ISO8791−4に準じてクランプ圧1000kPa、ソフトタイプのバッキングディスクで測定したパーカープリントサーフ平滑度が2.0〜3.5μmである剥離シート上に粘着剤塗液をカーテン塗布方式にて塗布、乾燥して粘着剤層を形成したことを特徴とする粘着シート。
- 前記剥離シートが、剥離紙原紙の少なくとも一方の面に、コア部とシェル部とが共にスチレンをモノマー単位に含む共重合体ラテックスを主成分とする、コア・シェル構造の複合体ラテックスと顔料とを含有する下塗り層を設け、該下塗り層上に剥離剤層を設けてなる剥離シートであることを特徴とする請求項1または2に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤層が2層以上の粘着剤層であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤層を形成する粘着剤塗液に0.1%水溶液の動的表面張力が30〜60mN/mとなる界面活性剤を含有させたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤層を形成する粘着剤塗液が1液再剥離型粘着剤塗液である請求項1〜5のいずれか一項に記載の再剥離性の粘着シート。
- 前記1液再剥離型粘着剤塗液が(A)(a)アルキル基の炭素数が4〜12の(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマーを主成分とし、(b)カルボニル基含有不飽和モノマーを共重合してなる水性分散液と、(B)分子中に少なくとも2個のヒドラジノ基を有するヒドラジン誘導体と、(C)水溶性可塑剤とを含有してなる水性分散液である請求項6記載の再剥離性の粘着シート。
- 剥離シートに1液再剥離型粘着剤層、プライマー層をこの順番となるように同時塗布、乾燥して形成したことを特徴とする請求項6または7に記載の再剥離性の粘着シート。
- 剥離シートに1液再剥離型粘着剤塗液をカーテン塗布方式にて塗布、乾燥して粘着剤層を形成し、表面基材を貼り合せる前に該粘着剤層表面を活性化処理したことを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の再剥離性の粘着シート。
- 活性化処理がコロナ放電処理、電離性放射線処理、紫外線処理から選択される1種である請求項9に記載の再剥離性の粘着シート。
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