JP2023095559A - 粘着剤組成物及び粘着シート - Google Patents

粘着剤組成物及び粘着シート Download PDF

Info

Publication number
JP2023095559A
JP2023095559A JP2021211523A JP2021211523A JP2023095559A JP 2023095559 A JP2023095559 A JP 2023095559A JP 2021211523 A JP2021211523 A JP 2021211523A JP 2021211523 A JP2021211523 A JP 2021211523A JP 2023095559 A JP2023095559 A JP 2023095559A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
meth
pressure
particles
sensitive adhesive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021211523A
Other languages
English (en)
Inventor
裕也 金子
Yuya Kaneko
彰啓 坂口
Akihiro Sakaguchi
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Carbide Industries Co Inc
Original Assignee
Nippon Carbide Industries Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Carbide Industries Co Inc filed Critical Nippon Carbide Industries Co Inc
Priority to JP2021211523A priority Critical patent/JP2023095559A/ja
Publication of JP2023095559A publication Critical patent/JP2023095559A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Adhesive Tapes (AREA)

Abstract

【課題】貼り合わせ直後のリワーク性に優れ、高温高湿環境下に置かれた場合でも優れた再剥離性を有する粘着剤層を形成でき、経時での液安定性に優れる粘着剤組成物の提供。【解決手段】(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位[a1]、(メタ)アクリル酸単位[a2]0.1~0.4質量%、及び、エチレン性不飽和基とケトン基及び/又はアルデヒド基とを有する単量体単位[a3]1.1~3.0質量%含む共重合体[A]の粒子と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位[b1]、及び(メタ)アクリル酸単位[b2]20~50質量%含み、エチレン性不飽和基とケトン基及び/又はアルデヒド基とを有する単量体単位[b3]の含有率が0~0.2質量%の共重合体[B]の粒子と、ヒドラジド系架橋剤と、水と、を含有し、共重合体[B]の粒子の含有量が共重合体[A]の粒子100質量部に対して0.5~2.5質量部である粘着剤組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、粘着剤組成物及び粘着シートに関する。
従来、再剥離性を有する粘着シート用の粘着剤(「再剥離型粘着剤」ともいう。)の開発が行われている。一方、近年の環境問題への関心の高まりから、粘着剤の分野では、有機溶剤を使用しない水系粘着剤の開発がより一層求められている。一般に、水系粘着剤に対し、再剥離性を付与するためには、架橋剤を配合する必要がある。架橋剤を配合する粘着剤の多くは2液型粘着剤であるが、2液型粘着剤では、使用する直前に架橋剤を配合する必要があるため、1液型粘着剤と比較して作業工程が増える。このような事情から、近年では、1液型の再剥離型粘着剤の開発がなされている。
例えば、特許文献1には、1液型の再剥離型粘着剤として、架橋剤と反応する構成単位を有する(メタ)アクリル酸系エステル共重合体のエマルション[A]を主成分とし、上記エマルション[A]の固形分100質量部に対して、架橋助剤として機能する(メタ)アクリル酸系エステル共重合体のエマルション[B]を、固形分換算で0.6質量部以上の量で含み、更に、これらのエマルションと共に架橋剤[C]を含んでなり、上記(メタ)アクリル酸系エステル共重合体のエマルション[A]は、(メタ)アクリレート系モノマー由来の構成単位(a1)を主成分とし、かつ、官能基含有不飽和モノマー由来の構成単位(a2)を0.5質量%~3.0質量%の範囲内で含み、上記架橋剤[C]との反応性を有するエチレン性不飽和モノマー由来の構成単位(a3)を0.1質量%~1.0質量%の範囲内で含んでなるエマルションであり、上記(メタ)アクリル酸系エステル共重合体のエマルション[B]は、(メタ)アクリレート系モノマー由来の構成単位(b1)を15質量%~60質量%の範囲内で含み、カルボキシ基含有不飽和モノマー由来の構成単位(b2)を20質量%~50質量%の範囲内で含み、上記架橋剤[C]との反応性を有するエチレン性不飽和モノマー由来の構成単位(b3)を20質量%~45質量%の範囲内で含んでなり、かつ、pH6.5~7.5での粒径分布解析結果にて計測不可となる、中和にて水に溶解するエマルションであり、上記架橋剤[C]は、少なくとも、上記エマルション[A]の上記構成単位(a3)及び上記エマルション[B]の上記構成単位(b3)と架橋可能であり、かつ、水に溶解又は分散するヒドラジド系化合物を含む、水性粘着剤組成物が開示されている。
特開2018-76390号公報
水系の再剥離型粘着剤は、タトゥーシール、ネイルシール、ノベルティーステッカー等の再剥離シールに使用されている。これらの用途では、貼り合わせ位置の微調整が必要となる場合があり、一旦剥離したシールを再度貼着することが行なわれる。このため、再剥離シールに使用される粘着剤には、貼り合わせ直後に容易に再剥離及び再貼着が可能な性質(以下、「リワーク性」ともいう。)に優れる粘着剤層を形成できることが求められる。また、再剥離シールは、屋外で使用される等、外気に曝されることも多いため、再剥離シールに使用される粘着剤には、高温高湿環境下に長期間置かれた場合であっても、剥離後の被着体の表面に糊残りを生じさせ難い性質(以下、「再剥離性」ともいう。)に優れる粘着剤層を形成できることが求められる。また、水系の粘着剤に対しては、経時での液安定性に優れることが求められる。
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、被着体との貼り合わせ直後のリワーク性に優れ、被着体と貼り合わせた後に高温高湿環境下に置かれた場合でも優れた再剥離性を有する粘着剤層を形成でき、かつ、経時での液安定性に優れる粘着剤組成物を提供することにある。
本開示の他の実施形態が解決しようとする課題は、被着体との貼り合わせ直後のリワーク性に優れ、被着体と貼り合わせた後に高温高湿環境下に置かれた場合でも優れた再剥離性を有する粘着剤層を備える粘着シートを提供することにある。
課題を解決するための具体的手段には、以下の態様が含まれる。
<1> (メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位(a1)、全構成単位に対して0.1質量%~0.4質量%の(メタ)アクリル酸に由来する構成単位(a2)、及び、全構成単位に対して1.1質量%~3.0質量%の、エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体に由来する構成単位(a3)を含む(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子と、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位(b1)、及び、全構成単位に対して20質量%~50質量%の(メタ)アクリル酸に由来する構成単位(b2)を含み、かつ、エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体に由来する構成単位(b3)を含まないか、又は、上記構成単位(b3)の含有率が全構成単位に対して0質量%を超えて0.2質量%以下の範囲である(メタ)アクリル系共重合体(B)の粒子と、
ヒドラジド系架橋剤と、
水と、を含有し、
上記(メタ)アクリル系共重合体(B)の粒子の含有量が、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子100質量部に対して0.5質量部~2.5質量部である粘着剤組成物。
<2> 上記(メタ)アクリル系共重合体(A)における、上記構成単位(a2)の含有量に対する上記構成単位(a3)の含有量の比〔即ち、上記構成単位(a3)の含有量/上記構成単位(a2)の含有量〕が、質量基準で、4.0以上である<1>に記載の粘着剤組成物。
<3> 上記ヒドラジド系架橋剤の含有量が、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子100質量部に対して0.05質量部~0.7質量部である<1>又は<2>に記載の粘着剤組成物。
<4> 上記ヒドラジド系架橋剤が、カルボジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、及びコハク酸ジヒドラジドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である<1>~<3>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物。
<5> <1>~<4>のいずれか1つに記載の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備える粘着シート。
本開示の一実施形態によれば、被着体との貼り合わせ直後のリワーク性に優れ、被着体と貼り合わせた後に高温高湿環境下に置かれた場合でも優れた再剥離性を有する粘着剤層を形成でき、かつ、経時での液安定性に優れる粘着剤組成物が提供される。
本開示の他の実施形態が解決しようとする課題は、被着体との貼り合わせ直後のリワーク性に優れ、被着体と貼り合わせた後に高温高湿環境下に置かれた場合でも優れた再剥離性を有する粘着剤層を備える粘着シートが提供される。
以下、本開示に係る粘着剤組成物及び粘着シートについて、詳細に説明する。以下に記載する要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜、変更を加えて実施できる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、粘着剤組成物中の各成分の量は、粘着剤組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合には、特に断らない限り、粘着剤組成物中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
本開示において、「(メタ)アクリル系共重合体」とは、(メタ)アクリロイル基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が、全構成単位〔即ち、(メタ)アクリル系共重合体〕に対して50質量%以上である共重合体を意味する。
本開示において、「(メタ)アクリル」は「アクリル」及び「メタクリル」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する用語であり、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両方を包含する用語である。
本開示において、「n-」はノルマルを意味し、「i-」はイソを意味し、「s-」はセカンダリーを意味し、「t-」はターシャリーを意味する。
本開示において、「粘着剤」と「粘着剤組成物」とは、同義である。
本開示において、「単量体」と「モノマー」とは、同義である。
[粘着剤組成物]
本開示の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位(a1)、全構成単位に対して0.1質量%~0.4質量%の(メタ)アクリル酸に由来する構成単位(a2)、及び、全構成単位に対して1.1質量%~3.0質量%の、エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体に由来する構成単位(a3)を含む(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位(b1)、及び、全構成単位に対して20質量%~50質量%の(メタ)アクリル酸に由来する構成単位(b2)を含み、かつ、エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体に由来する構成単位(b3)を含まないか、又は、上記構成単位(b3)の含有率が全構成単位に対して0質量%を超えて0.2質量%以下の範囲である(メタ)アクリル系共重合体(B)の粒子と、ヒドラジド系架橋剤と、水と、を含有し、上記(メタ)アクリル系共重合体(B)の粒子の含有量が、上記(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子100質量部に対して0.5質量部~2.5質量部である。
本開示の粘着剤組成物は、上記のような構成を有することにより、被着体との貼り合わせ直後のリワーク性に優れ、かつ、被着体と貼り合わせた後に高温高湿環境下に置かれた場合でも優れた再剥離性を有する粘着剤層を形成できる。また、本開示の粘着剤組成物は、経時での液安定性に優れる。
また、本開示の粘着剤組成物は、被着体の種類(所謂、材質)を問わず、貼り合わせ初期には被着体から剥離しない程度に高い粘着力を示し、かつ、その粘着力が高温環境下に置かれた場合でも経時で過度に上昇し難く、貼り直しが必要となった場合に過剰な力を必要とせずに剥離可能な粘着剤層を形成できるという効果も奏し得る。
〔特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子〕
本開示の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位(a1)、全構成単位に対して0.1質量%~0.4質量%の(メタ)アクリル酸に由来する構成単位(a2)、及び、全構成単位に対して1.1質量%~3.0質量%の、エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体に由来する構成単位(a3)を含む(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子を含有する。
本開示では、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位(a1)、全構成単位に対して0.1質量%~0.4質量%の(メタ)アクリル酸に由来する構成単位(a2)、及び、全構成単位に対して1.1質量%~3.0質量%の、エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体に由来する構成単位(a3)を含む(メタ)アクリル系共重合体(A)」を「特定(メタ)アクリル系共重合体(A)」ともいう。また、本開示では、「特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子」を「特定粒子(A)」ともいう。
本開示の粘着剤組成物は、特定粒子(A)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
<構成単位(a1)>
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位(a1)を含む。
本開示において、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位」とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。本開示における「(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体」には、後述する「エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体」及び「多官能モノマー」に該当する単量体は、包含されない。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の種類は、特に限定されない。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、アクリル酸アルキルエステル単量体であってもよく、メタクリル酸アルキルエステル単量体であってもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、アルキル基が無置換であっても、置換されていてもよいが、アルキル基が無置換の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が有するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が有するアルキル基の炭素数は、例えば、1~18であることが好ましく、1~12であることがより好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、i-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、i-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びイソボルニル(メタ)アクリレートが挙げられる。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、n-ブチルアクリレート(n-BA)、及びメチルメタクリレート(MMA)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、構成単位(a1)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における構成単位(a1)の含有率は、特に限定されないが、例えば、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して、50質量%~98.8質量%であることが好ましく、70質量%~98.8質量%であることがより好ましく、90質量%~98.8質量%であることが更に好ましい。
ここで、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における構成単位(a1)の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して50質量%以上であることは、構成単位(a1)が、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)を構成する構成単位の主成分として含まれていることを意味する。
<構成単位(a2)>
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、全構成単位に対して0.1質量%~0.4質量%の(メタ)アクリル酸に由来する構成単位(a2)を含む。
本開示において「(メタ)アクリル酸に由来する構成単位」とは、(メタ)アクリル酸が付加重合して形成される構成単位を意味する。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、構成単位(a2)として、アクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸に由来する構成単位の両方を含んでいてもよく、アクリル酸に由来する構成単位又はメタクリル酸に由来する構成単位のいずれか一方を含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)がアクリル酸に由来する構成単位又はメタクリル酸に由来する構成単位のいずれか一方を含む場合、構成単位(a2)は、アクリル酸に由来する構成単位であってもよく、メタクリル酸に由来する構成単位であってもよいが、アクリル酸に由来する構成単位であることが好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における構成単位(a2)の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して0.1質量%~0.4質量%である。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における構成単位(a2)の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して0.1質量%以上であると、粘着剤組成物が経時での液安定性に優れる傾向を示す。このような観点から、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における構成単位(a2)の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して、0.1質量%以上であり、0.15質量%以上であることが好ましく、0.2質量%以上であることがより好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における構成単位(a2)の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して0.4質量%以下であると、形成される粘着剤層が、被着体との貼り合わせ直後のリワーク性に優れる傾向を示す。このような観点から、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における構成単位(a2)の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して、0.4質量%以下であり、0.35質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましい。
<構成単位(a3)>
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、全構成単位に対して1.1質量%~3.0質量%の、エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体に由来する構成単位(a3)を含む。
本開示において「エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体に由来する構成単位」とは、エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。
エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体は、上記基を有していれば、その種類は、特に限定されない。
エチレン性不飽和基の種類は、特に限定されない。
エチレン性不飽和基の具体例としては、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、及び(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
エチレン性不飽和基としては、ビニル基が好ましい。
エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体は、エチレン性不飽和基とケトン基とを有する単量体であってもよく、エチレン性不飽和基とアルデヒド基とを有する単量体であってもよく、エチレン性不飽和基とケトン基とアルデヒド基とを有する単量体であってもよい。
エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体の具体例としては、ジアセトンアクリルアミド、2-アセトアセトキシエチルメタクリレート、メタクロレイン、及びアクロレインが挙げられる。
エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体としては、ジアセトンアクリルアミド(DAAM)が好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、構成単位(a3)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における構成単位(a3)の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して1.1質量%~3.0質量%である。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における構成単位(a3)の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して1.1質量%以上であると、形成される粘着剤層が、被着体との貼り合わせ直後のリワーク性に優れる傾向を示す。このような観点から、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における構成単位(a3)の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して、1.1質量%以上であり、1.3質量%以上であることが好ましく、1.5質量%以上であることがより好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における構成単位(a3)の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して3.0質量%以下であると、粘着剤組成物が経時での液安定性に優れる傾向を示す。このような観点から、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における構成単位(a3)の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して、3.0質量%以下であり、2.5質量%以下であることが好ましく、2.0質量%以下であることがより好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における、構成単位(a2)の含有量に対する構成単位(a3)の含有量の比は、特に限定されないが、例えば、質量基準で、3.7以上であることが好ましく、4.0以上であることがより好ましく、4.5以上であることが更に好ましく、5.0以上であることが特に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における、構成単位(a2)の含有量に対する構成単位(a3)の含有量の比が、質量基準で、3.7以上であると、被着体と貼り合わせた後に高温高湿環境下に置かれた場合の粘着剤層の再剥離性がより良好となる傾向がある。また、粘着剤組成物の経時での液安定性がより向上し得る。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における、構成単位(a2)の含有量に対する構成単位(a3)の含有量の比は、例えば、特定(メタ)アクリル系共重合体の製造安定性の観点から、質量基準で、25以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましい。
<水酸基を有する単量体に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含んでいてもよいが、例えば、形成される粘着剤層の耐水性の観点からは、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含まないか、又は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して0質量%を超えて1質量%以下の範囲であることが好ましく、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含まないか、又は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の全構成単位に対して0質量%を超えて0.5質量%以下の範囲であることがより好ましく、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含まないことが更に好ましい。
本開示において「水酸基を有する単量体に由来する構成単位」とは、水酸基を有する単量体が付加重合して形成される構成単位を意味する。
水酸基を有する単量体の種類は、特に限定されない。
水酸基を有する単量体としては、例えば、1分子中に少なくとも1つの水酸基とエチレン性不飽和基とを有する単量体が挙げられる。
エチレン性不飽和基の具体例としては、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリルアミド基、及び(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
水酸基を有する単量体の具体例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及び4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート挙げられる。
<その他の構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)が含み得るその他の構成単位としては、ベンジル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートに代表される芳香族環を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位;メトキシエチル(メタ)アクリレート及びエトキシエチル(メタ)アクリレートに代表されるアルコキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位;スチレン、α-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、p-クロロスチレン、クロロメチルスチレン及びビニルトルエンに代表される芳香族モノビニルに由来する構成単位;アクリロニトリル及びメタクリロニトリルに代表されるシアン化ビニルに由来する構成単位;等が挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)は、その他の構成単位を含む場合、その他の構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(A)がその他の構成単位を含む場合、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)におけるその他の構成単位の含有率は、本開示の粘着剤組成物の効果を損なわない範囲において、適宜設定できる。
-特定粒子(A)の形状-
特定粒子(A)の形状は、特に限定されない。
特定粒子(A)の形状としては、球状、不定形状等が挙げられ、球状が好ましい。
本開示でいう「球状」には、真球状のみならず、略球状も包含される。
-特定粒子(A)の平均粒子径-
特定粒子(A)の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、50nm~800nmであることが好ましく、80nm~600nmであることがより好ましく、100nm~400nmであることが更に好ましい。
特定粒子(A)の平均粒子径が50nm以上であると、特定粒子(A)の製造安定性がより良好となる傾向がある。
特定粒子(A)の平均粒子径が800nm以下であると、形成される粘着剤層と基材との密着性がより良好となる傾向がある。
特定粒子(A)の平均粒子径は、例えば、特定粒子(A)を製造する際に使用する界面活性剤の量を調整することにより調整できる。特定粒子(A)の粒子径は、例えば、界面活性剤の使用量が多いと小さくなり、界面活性剤の使用量が少ないと大きくなる。
特定粒子(A)の平均粒子径は、体積平均粒子径を意味する。特定粒子(A)の平均粒子径は、粒度分布測定装置を用い、日本化学会編「新実験化学講座4 基礎技術3 光(II)」第725頁~第741頁〔昭和51年7月20日丸善(株)発行〕に記載された動的光散乱法により測定される値である。具体的な方法を以下に示す。
特定粒子(A)を蒸留水で希釈し、十分に撹拌混合した後、10mm角のガラスセル中にパスツールピペットを用いて5mL採取し、これを粒度分布測定装置にセットする。減衰率(Attenuator)の設定値をx8(8倍)に設定し、減衰率のCount Rateが150kCps~200kCpsになるように、特定粒子(A)の希釈液の濃度を調整した後、測定温度25℃及び光散乱角90°の条件で、特定粒子(A)の粒度分布を測定する。得られた測定結果をコンピュータ処理することにより、特定粒子(A)の平均粒子径を求める。具体的には、得られた粒度分布における積算値50%(体積基準)での粒子径を体積平均粒子径とする。
粒度分布測定装置としては、例えば、Malvern社製の「ゼータサイザーナノZS-90」を好適に使用できる。但し、粒度分布測定装置は、これに限定されない。
<<特定粒子(A)の含有率>>
本開示の粘着剤組成物における特定粒子(A)の含有率は、特に限定されないが、例えば、粘着剤組成物中の全固形分量に対して、80.0質量%~99.5質量%であることが好ましく、85.0質量%~99.5質量%であることがより好ましく、90.0質量%~99.5質量%であることが更に好ましい。
本開示において、「粘着剤組成物中の全固形分量」とは、粘着剤組成物から溶媒を除いた残渣の質量を意味する。本開示において、「溶媒」とは、水及び有機溶剤を意味する。
〔特定粒子(A)の製造方法〕
特定粒子(A)の製造方法は、既述の特定粒子(A)を製造できれば、特に限定されない。
特定粒子(A)を製造する方法としては、例えば、特定粒子(A)を製造しやすいとの観点から、乳化重合法が好ましい。
特定粒子(A)を製造するための乳化重合法としては、例えば、以下に示す(1)~(3)の方法が挙げられる。
(1)温度計、撹拌機、原料導入管、還流冷却器、窒素導入管等を備えた反応器内に、既述の単量体成分と、界面活性剤と、水と、を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら昇温させた後、適宜、重合開始剤、還元剤等を加えて、乳化重合反応を進行させる方法(所謂、一括仕込み方式)。
(2)温度計、撹拌機、原料導入管、還流冷却器、窒素導入管等を備えた反応器内に、少なくとも界面活性剤と水とを仕込み、窒素気流下で撹拌しながら昇温させた後、単量体成分を滴下し、適宜、重合開始剤、還元剤等を加えて、乳化重合反応を進行させる方法(所謂、モノマー滴下法)。
(3)温度計、撹拌機、原料導入管、還流冷却器、窒素導入管等を備えた反応器内に、水を仕込み、窒素気流下で撹拌しながら昇温させる。一方、別の容器において、単量体成分を予め、少なくとも界面活性剤と水とを用いて乳化させ、単量体成分を分散質とする乳化物を調製する。次いで、単量体成分を分散質とする乳化物を、上記反応器内に滴下し、適宜、重合開始剤、還元剤等を加えて、乳化重合反応を進行させる方法(所謂、乳化モノマー滴下法)。
これらの中でも、特定粒子(A)を製造するための乳化重合法としては、例えば、工業的生産性の観点から、上記(3)の乳化モノマー滴下法が好ましい。
特定粒子(A)を製造するための乳化重合法において、界面活性剤の種類は、特に限定されないが、例えば、アニオン性界面活性剤及び/又はノニオン性界面活性剤であることが好ましい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウムに代表されるポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンスチレン化ジフェニルエーテル硫酸アンモニウムに代表されるポリオキシアルキレンスチレン化ジフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムに代表されるポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルナトリウムに代表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、及びアルキルリン酸エステル塩が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、及びポリオキシエチレンラウリルエーテルに代表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテル、並びに、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルに代表されるポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテルが挙げられる。
特定粒子(A)を製造するための乳化重合法では、界面活性剤を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
特定粒子(A)を製造するための乳化重合法において、界面活性剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、単量体の合計100質量部に対して、0.5質量部~5質量部であることが好ましい。
重合開始剤は、通常の乳化重合に使用できるものであれば、特に限定されない。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩、有機過酸化物及びアゾ化合物が挙げられる。
過硫酸塩の具体例としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸カリウムが挙げられる。
有機過酸化物の具体例としては、t-ブチルヒドロペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、カプロイルペルオキシド、ジ-i-プロピルペルオキシジカルボナート、ジ-2-エチルヘキシルペルオキシジカルボナート、及びt-ブチルペルオキシピバレートが挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、及び2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチルが挙げられる。
特定粒子(A)を製造するための乳化重合法では、重合開始剤を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
特定粒子(A)を製造するための乳化重合法において、重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、単量体の合計100質量部に対して、0.2質量部~5質量部であることが好ましい。
特定粒子(A)を製造するための乳化重合法では、重合開始剤とともに、還元剤を使用してもよい。
還元剤の具体例としては、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、チオグリコール酸、チオ硫酸ナトリウム、二酸化チオ尿素、L-アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、及びブドウ糖が挙げられる。
特定粒子(A)を製造するための乳化重合法では、還元剤を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
特定粒子(A)を製造するための乳化重合法において、還元剤を使用する場合、還元剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、単量体の合計100質量部に対して、0.2質量部~5質量部であることが好ましい。
特定粒子(A)を製造するための乳化重合法では、重合温度は、例えば、50℃~90℃であり、好ましくは60℃~80℃である。また、重合時間は、例えば、1時間~5時間であり、好ましくは2時間~4時間である。
乳化重合法では、特定粒子(A)を分散質として含む分散液〔所謂、特定粒子(A)の分散液〕が得られる。
特定粒子(A)の分散液のpHは、7~9に調整されることが好ましい。特定粒子(A)の分散液のpHが7~9であると、特定粒子(A)の分散安定性がより良好となる傾向がある。
特定粒子(A)の分散液のpHを調整する方法は、特に限定されず、例えば、pH調整剤を用いる方法が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、アンモニア水を好適に使用できる。
特定粒子(A)の分散液のpHは、pHメータを用い、JIS Z 8802:2011に準拠した方法により、液温30℃の条件にて測定した値を採用する。測定装置としては、例えば、(株)堀場製作所製のpHメータ(商品名:F-51)を用いることができる。但し、測定装置は、これに限定されない。
〔特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の粒子〕
本開示の粘着剤組成物は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位(b1)、及び、全構成単位に対して20質量%~50質量%の(メタ)アクリル酸に由来する構成単位(b2)を含み、かつ、エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体に由来する構成単位(b3)を含まないか、又は、上記構成単位(b3)の含有率が全構成単位に対して0質量%を超えて0.2質量%以下の範囲である特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の粒子を、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子〔即ち、特定粒子(A)〕100質量部に対して0.5質量部~2.5質量部含有する。
本開示では、「(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位(b1)、及び、全構成単位に対して20質量%~50質量%の(メタ)アクリル酸に由来する構成単位(b2)を含み、かつ、エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体に由来する構成単位(b3)を含まないか、又は、上記構成単位(b3)の含有率が全構成単位に対して0質量%を超えて0.2質量%以下の範囲である(メタ)アクリル系共重合体(B)」を「特定(メタ)アクリル系共重合体(B)」ともいう。また、本開示では、「特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の粒子」を「特定粒子(B)」ともいう。
本開示の粘着剤組成物は、特定粒子(B)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
<構成単位(b1)>
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位(b1)を含む。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の種類は、特に限定されない。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、アクリル酸アルキルエステル単量体であってもよく、メタクリル酸アルキルエステル単量体であってもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体は、アルキル基が無置換であっても、置換されていてもよいが、アルキル基が無置換の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が有するアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、又は環状のいずれであってもよい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体が有するアルキル基の炭素数は、例えば、1~18であることが好ましく、1~8であることがより好ましく、1~4であることが更に好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の具体例は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の具体例と同様である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、エチルアクリレート(EA)が好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、構成単位(b1)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)における構成単位(b1)の含有率は、特に限定されないが、例えば、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して、40質量%~80質量%であることが好ましく、45質量%~79質量%であることがより好ましく、50質量%~75質量%であることが更に好ましい。
<構成単位(b2)>
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、全構成単位に対して20質量%~50質量%の(メタ)アクリル酸に由来する構成単位(b2)を含む。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、構成単位(b2)として、アクリル酸に由来する構成単位及びメタクリル酸に由来する構成単位の両方を含んでいてもよく、アクリル酸に由来する構成単位又はメタクリル酸に由来する構成単位のいずれか一方を含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)がアクリル酸に由来する構成単位又はメタクリル酸に由来する構成単位のいずれか一方を含む場合、構成単位(b2)は、アクリル酸に由来する構成単位であってもよく、メタクリル酸に由来する構成単位であってもよいが、メタクリル酸に由来する構成単位であることが好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)における構成単位(b2)の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して20質量%~50質量%である。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)における構成単位(b2)の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して20質量%以上であると、形成される粘着剤層が、被着体と貼り合わせた後に高温高湿環境下に置かれた場合でも優れた再剥離性を有する傾向を示す。このような観点から、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)における構成単位(b2)の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して、20質量%以上であり、23質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)における構成単位(b2)の含有率が、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して50質量%以下であると、粘着剤組成物が経時での液安定性に優れる傾向を示す。このような観点から、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)における構成単位(b2)の含有率は、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して、50質量%以下であり、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
<構成単位(b3)>
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体に由来する構成単位(b3)を含まないか、又は、構成単位(b3)の含有率が特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して0質量%を超えて0.2質量%以下の範囲である。
エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体は、上記基を有していれば、その種類は、特に限定されない。
エチレン性不飽和基の種類は、特に限定されない。
エチレン性不飽和基の具体例としては、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、及び(メタ)アクリロイル基が挙げられる。
エチレン性不飽和基としては、ビニル基が好ましい。
エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体は、エチレン性不飽和基とケトン基とを有する単量体であってもよく、エチレン性不飽和基とアルデヒド基とを有する単量体であってもよく、エチレン性不飽和基とケトン基とアルデヒド基とを有する単量体であってもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)における、エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体の具体例は、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)における、エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体の具体例と同様である。
エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体としては、ジアセトンアクリルアミド(DAAM)が好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、構成単位(b3)を含まないか、又は、構成単位(b3)の含有率が特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して0質量%を超えて0.2質量%以下の範囲である。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)が構成単位(b3)を含まないか、又は、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)における構成単位(b3)の含有率が特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して0質量%を超えて0.2質量%以下の範囲であると、形成される粘着剤層が、被着体と貼り合わせた後に高温高湿環境下に置かれた場合でも優れた再剥離性を有する傾向を示す。また、粘着剤組成物が経時での液安定性に優れる傾向を示す。このような観点から、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、構成単位(b3)を含まないか、又は、構成単位(b3)の含有率が特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して0質量%を超えて0.2質量%以下の範囲であり、構成単位(b3)を含まないか、又は、構成単位(b3)の含有率が特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して0質量%を超えて0.1質量%以下の範囲であることが好ましく、構成単位(b3)を含まないことがより好ましい。
<構成単位(b4)>
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、多官能モノマーに由来する構成単位(b4)を含むことが好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)が構成単位(b4)を含むと、特定粒子(B)をより形成しやすくなる傾向がある。
本開示において、「多官能モノマーに由来する構成単位」とは、多官能モノマーが付加重合して形成される構成単位を意味する。
多官能モノマーは、重合性基を2つ以上有するモノマーであれば、特に限定されない。
多官能モノマーとしては、多官能アリルエーテル単量体、多官能アリルエステル単量体、多官能(メタ)アクリル酸エステル単量体等が挙げられる。
多官能アリルエーテル単量体の具体例としては、トリアリルシアヌレート(TAC)、1,3-ジアリルオキシ-2-プロパノール、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、及びペンタエリスリトールテトラアリルエーテルが挙げられる。
多官能アリルエステル単量体の具体例としては、フマル酸ジアリル、アジピン酸ジアリル、クエン酸トリアリル、及びヘキサヒドロフタル酸ジアリルが挙げられる。
多官能(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチルエチルプロパンジオール(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5ペンタンジオールジアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート、ネオペンチルグリコール/ヒドロキシピバリン酸エステルジアクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート等の3官能(メタ)アクリレート化合物、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の4官能(メタ)アクリレート化合物、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の5官能(メタ)アクリレート化合物、及び、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート等の6官能(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
多官能モノマーとしては、例えば、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の製造安定性の観点から、トリアリルシアヌレート(TAC)及びトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)から選ばれる少なくとも1種が好ましく、トリアリルシアヌレート(TAC)がより好ましい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、構成単位(b4)を含む場合、構成単位(b4)を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)が構成単位(b4)を含む場合、構成単位(b4)の含有率は、特に限定されないが、例えば、特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して、0.1質量%~5.0質量%であることが好ましく、0.1質量%~3.0質量%であることがより好ましく、0.1質量%~1.0質量%であることが更に好ましい。
<水酸基を有する単量体に由来する構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含んでいてもよいが、例えば、形成される粘着剤層の耐水性の観点からは、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含まないか、又は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して0質量%を超えて1質量%以下の範囲であることが好ましく、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含まないか、又は、水酸基を有する単量体に由来する構成単位の含有率が特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の全構成単位に対して0質量%を超えて0.5質量%以下の範囲であることがより好ましく、水酸基を有する単量体に由来する構成単位を含まないことが更に好ましい。
水酸基を有する単量体の詳細は、既述のとおりであるため、ここでは説明を省略する。
<その他の構成単位>
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)が含み得るその他の構成単位としては、ベンジル(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートに代表される芳香族環を有する(メタ)アクリレートに由来する構成単位;メトキシエチル(メタ)アクリレート及びエトキシエチル(メタ)アクリレートに代表されるアルコキシアルキル(メタ)アクリレートに由来する構成単位;スチレン、α-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、p-クロロスチレン、クロロメチルスチレン及びビニルトルエンに代表される芳香族モノビニルに由来する構成単位;アクリロニトリル及びメタクリロニトリルに代表されるシアン化ビニルに由来する構成単位;等が挙げられる。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)は、その他の構成単位を含む場合、その他の構成単位を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
特定(メタ)アクリル系共重合体(B)がその他の構成単位を含む場合、その他の構成単位の含有率は、本開示の粘着剤組成物の効果を損なわない範囲において、適宜設定できる。
-特定粒子(B)の形状-
特定粒子(B)の形状は、特に限定されない。
特定粒子(B)の形状としては、球状、不定形状等が挙げられ、球状が好ましい。
-特定粒子(B)の平均粒子径-
特定粒子(B)の平均粒子径は、特に限定されないが、例えば、50nm~150nmであることが好ましく、50nm~120nmであることがより好ましく、50nm~100nmであることが更に好ましい。
特定粒子(B)の平均粒子径が50nm以上であると、特定粒子(B)の製造安定性がより良好となる傾向がある。
特定粒子(B)の平均粒子径が150nm以下であると、被着体と貼り合わせた後に高温高湿環境下に置かれた場合の粘着剤層の再剥離性がより良好となる傾向がある。
特定粒子(B)の平均粒子径は、特定粒子(A)の平均粒子径よりも小さいことが好ましい。
特定粒子(B)の平均粒子径が特定粒子(A)の平均粒子径よりも小さいと、被着体と貼り合わせた後に高温高湿環境下に置かれた場合の粘着剤層の再剥離性がより良好となる傾向がある。
特定粒子(B)の平均粒子径は、例えば、特定粒子(B)を製造する際に使用する界面活性剤の量を調整することにより調整できる。特定粒子(B)の粒子径は、例えば、界面活性剤の使用量が多いと小さくなり、界面活性剤の使用量が少ないと大きくなる。
特定粒子(B)の平均粒子径は、体積平均粒子径を意味する。特定粒子(B)の平均粒子径は、特定粒子(A)の平均粒子径と同様の方法により測定される値である。
<<特定粒子(B)の含有量>>
本開示の粘着剤組成物における特定粒子(B)の含有量は、特定粒子(A)100質量部に対して0.5質量部~2.5質量部である。
本開示の粘着剤組成物における特定粒子(B)の含有量が、特定粒子(A)100質量部に対して0.5質量部以上であると、形成される粘着剤層が、被着体と貼り合わせた後に高温高湿環境下に置かれた場合でも優れた再剥離性を有する傾向を示す。理由としては、本開示の粘着剤組成物の塗布膜を形成する際に、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子間に生じた隙間に特定粒子(B)が適度に入り込むことで塗布膜の密度が向上するためと考えられる。このような観点から、本開示の粘着剤組成物における特定粒子(B)の含有量は、特定粒子(A)100質量部に対して、0.5質量部以上であり、0.8質量部以上であることが好ましく、1.0質量部以上であることがより好ましい。
本開示の粘着剤組成物における特定粒子(B)の含有量が、特定粒子(A)100質量部に対して2.5質量部以下であると、粘着剤組成物が経時での液安定性に優れる傾向を示す。また、形成される粘着剤層が、被着体との貼り合わせ直後のリワーク性に優れる傾向を示す。理由としては、塗布膜中の特定粒子(B)が過度に存在せず、塗布膜の表面に出てくることが抑制されるためと考えられる。このような観点から、本開示の粘着剤組成物における特定粒子(B)の含有量は、特定粒子(A)100質量部に対して、2.5質量部以下であり、2.0質量部以下であることが好ましく、1.5質量部以下であることがより好ましい。
〔特定粒子(B)の製造方法〕
特定粒子(B)の製造方法は、既述の特定粒子(B)を製造できれば、特に限定されない。
特定粒子(B)を製造する方法としては、例えば、特定粒子(B)を製造しやすいとの観点から、乳化重合法が好ましい。
特定粒子(B)を製造するための乳化重合法は、特定粒子(A)を製造するための乳化重合法と同様であるため、共通する部分は、説明を省略する。
特定粒子(B)を製造するための乳化重合法において、界面活性剤の種類は、特に限定されないが、例えば、アニオン性界面活性剤及び/又はノニオン性界面活性剤であることが好ましく、アニオン性界面活性剤であることがより好ましい。
アニオン性界面活性剤及びノニオン性界面活性剤の具体例は、既述のとおりであるため、ここでは説明を省略する。
特定粒子(B)を製造するための乳化重合法では、界面活性剤を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
特定粒子(B)を製造するための乳化重合法において、界面活性剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、単量体の合計100質量部に対して、1.0質量部~10.0質量部であることが好ましい。
重合開始剤は、通常の乳化重合に使用できるものであれば、特に限定されない。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩、有機過酸化物及びアゾ化合物が挙げられる。 重合開始剤である過硫酸塩、有機過酸化物及びアゾ化合物の具体例は、既述のとおりであるため、ここでは説明を省略する。
特定粒子(B)を製造するための乳化重合法では、重合開始剤を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
特定粒子(B)を製造するための乳化重合法において、重合開始剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、単量体の合計100質量部に対して、0.05質量部~5.0質量部であることが好ましい。
特定粒子(B)を製造するための乳化重合法では、重合開始剤とともに、還元剤を使用してもよい。
還元剤の具体例は、既述のとおりであるため、ここでは説明を省略する。
特定粒子(B)を製造するための乳化重合法では、還元剤を1種のみ用いてもよく、2種以上用いてもよい。
特定粒子(B)を製造するための乳化重合法において、還元剤を使用する場合、還元剤の使用量は、特に限定されないが、例えば、単量体の合計100質量部に対して、0.05質量部~5.0質量部であることが好ましい。
特定粒子(B)を製造するための乳化重合法では、重合温度は、例えば、50℃~90℃であり、好ましくは60℃~90℃である。また、重合時間は、例えば、1時間~5時間であり、好ましくは2時間~4時間である。
乳化重合法では、特定粒子(B)を分散質として含む分散液〔所謂、特定粒子(B)の分散液〕が得られる。
特定粒子(B)の分散液のpHは、2~5に調整されることが好ましい。特定粒子(B)の分散液のpHが2~5であると、特定粒子(B)の分散安定性がより良好となる傾向がある。
特定粒子(B)の分散液のpHを調整する方法は、特に限定されず、例えば、pH調整剤を用いる方法が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、アンモニア水を好適に使用できる。
特定粒子(B)の分散液のpHは、特定粒子(A)の分散液のpHと同様に、pHメータを用い、JIS Z 8802:2011に準拠した方法により、液温30℃の条件にて測定した値を採用する。測定装置としては、例えば、(株)堀場製作所製のpHメータ(商品名:F-51)を用いることができる。但し、測定装置は、これに限定されない。
〔ヒドラジド系架橋剤〕
本開示の粘着剤組成物は、ヒドラジド系架橋剤を含む。
本開示の粘着剤組成物がヒドラジド系架橋剤を含むと、他の架橋剤、例えば、カルボジイミド系架橋剤を含む場合と比較して、粘着剤組成物が経時での液安定性に優れる傾向がある。
本開示において、「ヒドラジド系架橋剤」とは、1分子中に2以上のヒドラジド基を有する化合物を指す。ヒドラジド系架橋剤は、水等の水性媒体中では架橋せずに、例えば、粘着剤組成物の塗工乾燥時に架橋する架橋剤である。
ヒドラジド系架橋剤の種類は、特に限定されない。
ヒドラジド系架橋剤は、カルボジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、及びコハク酸ジヒドラジドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましく、カルボジヒドラジド及びアジピン酸ジヒドラジドから選ばれる少なくとも1種の化合物であることがより好ましく、アジピン酸ジヒドラジドであることが更に好ましい。
ヒドラジド系架橋剤としては、市販品を使用できる。
ヒドラジド系架橋剤の市販品の例としては、(株)日本ファインケム(株)製の「CDH(カルボジヒドラジド)」及び「ADH(アジピン酸ジヒドラジド)」が挙げられる。
本開示の粘着剤組成物は、ヒドラジド系架橋剤を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の粘着剤組成物におけるヒドラジド系架橋剤の含有量は、特に限定されないが、例えば、特定粒子(A)100質量部に対して、0.01質量部~1.0質量部であることが好ましく、0.05質量部~0.7質量部であることがより好ましく、0.05質量部~0.5質量部であることが更に好ましく、0.1質量部~0.4質量部であることが特に好ましい。
本開示の粘着剤組成物におけるヒドラジド系架橋剤の含有量が、特定粒子(A)100質量部に対して0.01質量部以上であると、被着体との貼り合わせ直後の粘着剤層のリワーク性がより良好となる傾向がある。また、被着体と貼り合わせた後に高温高湿環境下に置かれた場合の粘着剤層の再剥離性がより良好となる傾向がある。
本開示の粘着剤組成物におけるヒドラジド系架橋剤の含有量が、特定粒子(A)100質量部に対して1.0質量部以下であると、粘着剤組成物の経時での液安定性がより向上し得る。
〔水〕
本開示の粘着剤組成物は、水を含む。
水は、特に限定されないが、例えば、不純物が少ないとの観点から、蒸留水、イオン交換水、純水等が好ましい。
本開示の粘着剤組成物における水の含有率は、特に限定されないが、例えば、粘着剤組成物の全質量に対して、30質量%~70質量%であることが好ましく、40質量%~60質量%であることがより好ましい。
〔水以外の水性媒体〕
本開示の粘着剤組成物は、水以外の水性媒体を含んでいてもよい。
水以外の水性媒体としては、例えば、水混和性の有機溶剤が挙げられる。
水混和性の有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の一価アルコール化合物;グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体;などの有機溶剤が挙げられる。
本開示の粘着剤組成物は、水以外の水性媒体を含む場合、水以外の水性媒体を1種のみ含んでいてもよく、2種以上含んでいてもよい。
本開示の粘着剤組成物における水以外の水性媒体の含有量は、本開示の粘着剤組成物の効果を損なわない範囲において、適宜設定できる。
〔水非混和性の有機溶剤〕
本開示の粘着剤組成物は、例えば、環境への配慮の観点から、水非混和性の有機溶剤を含まないか、又は、水非混和性の有機溶剤の含有率が粘着剤組成物の全質量に対して0質量%を超えて5質量%以下の範囲であることが好ましく、水非混和性の有機溶剤を含まないか、又は、水非混和性の有機溶剤の含有率が粘着剤組成物の全質量に対して0質量%を超えて3質量%以下の範囲であることがより好ましく、水非混和性の有機溶剤を含まないか、又は、水非混和性の有機溶剤の含有率が粘着剤組成物の全質量に対して0質量%を超えて1質量%以下の範囲であることが更に好ましく、水非混和性の有機溶剤を含まないか、又は、水非混和性の有機溶剤の含有率が粘着剤組成物の全質量に対して0質量%を超えて0.5質量%以下の範囲であることが特に好ましい。
水非混和性の有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素化合物;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル化合物;ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素化合物;ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル化合物;オクタノール等のアルコール化合物;メチルイソブチルケトン等のケトン化合物;などの有機溶剤が挙げられる。
〔その他の成分〕
本開示の粘着剤組成物は、その効果を損なわない範囲において、必要に応じて、既述した成分以外の成分(所謂、その他の成分)を含んでいてもよい。
その他の成分としては、特定(メタ)アクリル系共重合体(A)及び特定(メタ)アクリル系共重合体(B)以外の重合体の粒子、酸化防止剤、着色剤(例えば、染料及び顔料)、光安定剤(例えば、紫外線吸収剤)、帯電防止剤、防腐剤、湿潤剤、消泡剤、可塑剤、ワックス等の各種添加剤が挙げられる。
[粘着シート]
本開示の粘着シートは、既述の本開示の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備える。このため、本開示の粘着シートは、被着体との貼り合わせ直後のリワーク性に優れ、被着体と貼り合わせた後に高温高湿環境下に置かれた場合でも優れた再剥離性を有する。また、本開示の粘着シートは、被着体の種類を問わず、貼り合わせ初期には被着体から剥離しない程度に高い粘着力を示し、かつ、その粘着力が高温環境下に置かれた場合でも経時で過度に上昇し難く、貼り直しが必要となった場合でも、過剰な力を要することなく剥離できる。よって、本開示の粘着シートは、ノベルティーステッカー、タトゥーシール、ネイルシール等として好適に用いることができる。
本開示の粘着シートが備える粘着剤層の厚さは、特に限定されない。
粘着剤層の厚さは、一般には1μm~300μmであり、5μm~200μmであることが好ましく、10μm~100μmであることがより好ましい。
本開示の「粘着剤層の厚さ」は、粘着剤層の平均厚さを意味する。
粘着剤層の平均厚さは、以下の方法により求められる値である。
粘着剤層の厚み方向において無作為に選択した10箇所の厚さを、膜厚計を用いて測定する。測定値の算術平均値を求め、得られた値を粘着剤層の平均厚さとする。
本開示の粘着シートは、基材を有しない無基材タイプの粘着シートでもよく、基材の片面又は両面に粘着剤層を備える有基材タイプの粘着シートでもよい。
本開示の粘着シートが、基材を有しない無基材タイプの粘着シートである場合、又は、基材の片面に粘着剤層を備える有基材タイプの粘着シートである場合、本開示の粘着シートにおいて、露出した粘着剤層の面は、剥離シートによって保護されていてもよい。
一般に、剥離シートは、粘着シートを実用に供するまでの間、粘着剤層の表面を保護し、使用時に剥離される。
剥離シートは、粘着剤層から容易に剥離できるものであれば、特に限定されない。
剥離シートとしては、例えば、片面又は両面に剥離処理剤による表面処理(所謂、易剥離処理)が施された樹脂フィルム、紙、合成紙、及びこれらの2種以上を積層した複合シートが挙げられる。
本開示では、樹脂フィルムの片面又は両面に剥離処理剤による表面処理(所謂、易剥離処理)が施された態様の剥離シートを「剥離フィルム」ともいう。
剥離処理剤としては、例えば、シリコーン系剥離処理剤(例:シリコーン)、ワックス系剥離処理剤(例:パラフィンワックス)、及びフッ素系剥離処理剤(例:フッ素系樹脂)が挙げられる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに代表されるポリエステルフィルムが挙げられる。
紙としては、例えば、上質紙及びコート紙が挙げられる。
剥離シートの膜厚は、特に限定されず、一般的には、20μm~180μmである。
本開示の粘着シートが基材を備える場合、基材は、その基材上に粘着剤層を形成できれば、特に限定されない。
基材としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂〔例えば、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)〕、ポリエステル系樹脂〔例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)〕、アセテート系樹脂(例えば、トリアセチルセルロース樹脂)、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂、フッ素系樹脂等の樹脂を含むフィルム、紙(例えば、上質紙及びコート紙)、合成紙、及びこれらの2種以上を積層した複合シートが挙げられる。
基材の粘着剤層が設けられる側の面には、基材と粘着剤層との密着性を向上させる観点から、コロナ放電処理、プラズマ放電処理等の表面処理(所謂、易接着処理)が施されていてもよい。
基材は、可塑剤、着色剤(例えば、染料及び顔料)、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、酸化防止剤、充填剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
基材は、一部又は全体に、模様が施されていてもよい。
基材の厚さは、特に限定されないが、一般には5μm~500μmであり、10μm~300μmであることが好ましく、10μm~200μmであることがより好ましく、10μm~100μmであることが更に好ましい。
本開示における「基材の厚さ」は、基材の平均厚さを意味する。基材の平均厚さは、既述の粘着剤層の平均厚さと同様の方法により求められる値である。
[粘着シートの作製方法]
本開示の粘着シートの作製方法は、特に限定されない。
本開示の粘着シートは、公知の方法により作製できる。
本開示の粘着シートを作製する方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
本開示の粘着シートが無基材タイプの粘着シートの場合、まず、本開示の粘着剤組成物を剥離シートの易剥離処理面に塗布することにより、剥離シート上に塗布膜を形成する。次いで、形成した塗布膜を乾燥させることにより、剥離シート上に粘着剤層を形成する。次いで、形成した粘着剤層の露出した面を、別途、準備した剥離シートの易剥離処理面に重ねて貼り合わせることにより、剥離シート/粘着剤層/剥離シートの積層構造を有する、無基材タイプの粘着シートを作製できる。
本開示の粘着シートが有基材タイプの粘着シートの場合、まず、本開示の粘着剤組成物を基材の易接着処理面に塗布することにより、基材上に塗布膜を形成する。次いで、形成した塗布膜を乾燥させることにより、基材上に粘着剤層を形成する。次いで、形成した粘着剤層の露出した面を剥離シートの易剥離処理面に重ねて貼り合わせることにより、剥離シート/粘着剤層/基材の積層構造を有する、有基材タイプの粘着シートを作製できる。
本開示の粘着シートが有基材タイプの粘着シートの場合、別の方法としては、例えば、以下の方法も挙げられる。
本開示の粘着剤組成物を剥離シートの易剥離処理面に塗布することにより、剥離シート上に塗布膜を形成する。次いで、形成した塗布膜を乾燥させることにより、剥離シート上に粘着剤層を形成する。次いで、形成した粘着剤層の露出した面を基材の易接着処理面に重ねて貼り合わせることにより、基材/粘着剤層/剥離シートの積層構造を有する、有基材タイプの粘着シートを作製できる。
粘着剤組成物の塗布方法は、特に限定されない。
粘着剤組成物の塗布方法としては、例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、バーコーター、アプリケーター等を用いる公知の方法が挙げられる。
粘着剤組成物の塗布量は、特に限定されず、例えば、形成する粘着剤層の厚さに応じて、適宜設定される。
塗布膜の乾燥方法は、特に限定されない。
塗布膜の乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥、真空乾燥等の方法が挙げられる。
塗布膜の乾燥温度及び乾燥時間は、特に限定されず、塗布膜の厚さ、塗布膜中の水及び有機溶剤の量等に応じて、適宜設定される。
乾燥条件の一例としては、熱風循環式乾燥機を用いて、70℃~120℃で30秒間~180秒間乾燥させる条件が挙げられる。
以下、本開示に係る粘着剤組成物及び粘着シートを実施例により更に具体的に説明する。本開示はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
実施例では、便宜上、各単量体成分を以下の略称により分類して表示する場合がある。
「構成単位(a1)を形成する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体」を「単量体(a1)」、「構成単位(a2)を形成する(メタ)アクリル酸」を「単量体(a2)」、「構成単位(a3)を形成する、エチレン性不飽和基とケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体」を「単量体(a3)」、「構成単位(b1)を形成する(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体」を「単量体(b1)」、「構成単位(b2)を形成する(メタ)アクリル酸」を「単量体(b2)」、「構成単位(b3)を形成する、エチレン性不飽和基とケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体」を「単量体(b3)」、及び「構成単位(b4)を形成する多官能モノマー」を「単量体(b4)」。
[(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子の製造]
〔製造例A-1〕
2-エチルヘキシルアクリレート〔2EHA;単量体(a1)〕98.65質量部(394.6g)、アクリル酸〔AA;単量体(a2)〕0.25質量部(1.0g)、及びジアセトンアクリルアミド〔DAAM;単量体(a3)〕1.1質量部(4.4g)を混合し、単量体混合物を調製した。次いで、調製した単量体混合物100質量部に、アニオン性界面活性剤である「ハイテノール(登録商標) NF-13」〔商品名、有効成分:ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム、有効成分濃度:95.0質量%、第一工業製薬(株)製〕2.0質量部[有効成分換算値](8.4g)、ノニオン性界面活性剤である「DKS NL-600F」〔商品名、有効成分:ポリオキシエチレンラウリルエーテル、有効成分濃度:100質量%、第一工業製薬(株)製〕1.0質量部[有効成分換算値](4.0g)、及びイオン交換水50.0質量部(200.0g)を加えて撹拌することにより、単量体成分を分散質とする乳化物を調製した。
次に、温度計、撹拌機、逐次滴下装置、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応器に、イオン交換水43.75質量部(175.0g)を添加し、窒素を封入した後、内温を70℃まで昇温させた。反応器の内温を70℃に保ちながら、4質量%濃度の過硫酸アンモニウム水溶液〔重合開始剤〕0.06質量部[固形分換算値](6.2g)、及び4質量%濃度のピロ亜硫酸ナトリウム水溶液〔還元剤〕0.06質量部[固形分換算値](6.2g)を添加し、直ちに、先に調製した乳化物を、連続的に3時間滴下して乳化重合させた。また、この操作と並行して、反応器内に、4質量%濃度の過硫酸アンモニウム水溶液〔重合開始剤〕0.37質量部[固形分換算値](36.5g)、及び4質量%濃度のピロ亜硫酸ナトリウム水溶液〔還元剤〕0.37質量部[固形分換算値](36.5g)を滴下した。滴下終了後、得られた乳化重合物に、6.9質量%濃度のt-ブチルヒドロペルオキシド水溶液〔重合開始剤〕0.07質量部[有効成分換算値](4.0g)、及び6.9質量%濃度の二酸化チオ尿素〔還元剤〕0.07質量部[有効成分換算値](4.0g)を添加し、70℃で2時間熟成させてから室温まで冷却した。冷却後、アンモニア水を添加してpHが7~9の範囲になるように調整を行った。pH調整後、イオン交換水を添加して濃度を調整し、(メタ)アクリル系共重合体A-1の粒子の水分散液を得た。
得られた(メタ)アクリル系共重合体A-1の粒子の水分散液は、固形分濃度が46.0質量%であり、pHが8.3であった。
なお、実施例では、「(メタ)アクリル系共重合体A-1の粒子」を「粒子A-1」ともいう。以下において製造した(メタ)アクリル系共重合体A-2~A-12の各粒子についても同様とする。
粒子A-1の水分散液の「固形分濃度」とは、粒子A-1の水分散液に占める粒子A-1の質量割合を意味する。以下において製造した粒子A-2~A-12の各水分散液についても同様である。
〔製造例A-2~A-5、A-7、及びA-9~A-12〕
製造例A-2~A-5、A-7、及びA-9~A-12では、(メタ)アクリル系共重合体(A)の単量体組成を表1に示す単量体組成に変更したこと以外は、製造例A-1と同様の操作を行い、粒子A-2~A-5、A-7、及びA-9~A-12の各水分散液を得た。
〔製造例A-6及びA-8〕
製造例A-6及びA-8では、(メタ)アクリル系共重合体(A)の単量体組成を表1に示す単量体組成に変更し、かつ、界面活性剤の使用量等を適宜変更したこと以外は、製造例A-1と同様の操作を行い、粒子A-6及びA-8の各水分散液を得た。
上記にて得られた粒子A-2~A-12の各水分散液の固形分濃度を以下に示す。
-固形分濃度-
A-2:46.0質量%、A-3:46.0質量%、A-4:46.0質量%、A-5:46.0質量%、A-6:46.0質量%、A-7:46.0質量%、A-8:46.0質量%、A-9:46.0質量%、A-10:46.0質量%、A-11:46.0質量%、A-12:46.0質量%
上記にて得られた粒子A-2~A-12の各水分散液のpHを以下に示す。
粒子A-2~A-12の各水分散液のpHは、(株)堀場製作所製のpHメータ(商品名:F-51)を用い、JIS Z 8802:2011に準拠した方法により、液温30℃の条件にて測定した。
-pH-
A-2:8.3、A-3:8.3、A-4:8.3、A-5:8.3、A-6:8.3、A-7:8.3、A-8:8.3、A-9:8.3、A-10:8.3、A-11:8.3、A-12:8.3
(メタ)アクリル系共重合体A-1~A-12の単量体組成(単位:質量%)、及び粒子A-1~A-12の平均粒子径(体積平均粒子径、単位:nm)を表1に示す。
粒子A-1~A-12の平均粒子径は、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子〔即ち、特定粒子(A)〕の平均粒子径の測定方法と同様の方法により測定した。
測定装置には、Malvern社製の粒度分布測定装置であるゼータサイザーナノZS-90(商品名)を用いた。
上記にて得られた粒子A-1~A-12のうち、粒子A-1~A-8は、本開示における特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子〔即ち、特定粒子(A)〕に該当する。
Figure 2023095559000001
表1に記載の各単量体の詳細は、以下に示すとおりである。
<単量体(a1)>
「2EHA」:2-エチルヘキシルアクリレート
「n-BA」:n-ブチルアクリレート
「MMA」:メチルメタクリレート
<単量体(a2)>
「AA」:アクリル酸
<単量体(a3)>
「DAAM」:ジアセトンアクリルアミド
<その他の単量体>
「AN」:アクリロニトリル
表1では、単量体(a2)の含有質量に対する単量体(a3)の含有質量の比を「質量比(a3)/(a2)」と表記した。
表1中、単量体組成の欄に記載の「-」は、その欄に該当する単量体を使用していないことを意味する。
[(メタ)アクリル系共重合体(B)の粒子の製造]
〔製造例B-1〕
エチルアクリレート〔EA;単量体(b1)〕79.0質量部(199.4g)、メタクリル酸〔MAA;単量体(b2)〕20.0質量部(50.5g)、及びトリアリルシアヌレート〔TAC;単量体(b4)〕1.0質量部(2.5g)を混合し、単量体混合物を調製した。次いで、調製した単量体混合物100質量部に、アニオン性界面活性剤である「ニッサントラックス(登録商標) K-40」〔商品名、有効成分:ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム、有効成分濃度:30.0質量%、日油(株)製〕4.7質量部[有効成分換算値](39.6g)、及びイオン交換水26.6質量部(67.2g)を加えて撹拌することにより、単量体成分を分散質とする乳化物を調製した。
次に、温度計、撹拌機、逐次滴下装置、還流冷却管及び窒素導入管を備えた反応器に、イオン交換水201.3質量部(508.1g)、及びアニオン性界面活性剤である「ニッサントラックス(登録商標) K-40」〔商品名、日油(株)製〕2.3質量部[有効成分換算値](19.3g)を添加し、窒素を封入した後、内温を80℃まで昇温させた。反応器の内温を80℃に保ちながら、先に調製した乳化物、4質量%濃度の過硫酸アンモニウム水溶液〔重合開始剤〕0.1質量部[固形分換算値](6.3g)、及び4質量%濃度のピロ亜硫酸ナトリウム水溶液〔還元剤〕0.1質量部[固形分換算値](6.3g)を、連続的に3時間滴下して乳化重合させた。滴下終了後、得られた乳化重合物を2時間熟成させてから室温まで冷却した。冷却後、イオン交換水を添加して濃度を調整し、(メタ)アクリル系共重合体B-1の粒子の水分散液を得た。
得られた(メタ)アクリル系共重合体B-1の粒子の水分散液は、固形分濃度が27.0質量%であり、pHが3.5であった。
なお、実施例では、「(メタ)アクリル系共重合体B-1の粒子」を「粒子B-1」ともいう。以下において製造した(メタ)アクリル系共重合体B-2~B-9の各粒子についても同様とする。
粒子B-1の水分散液の「固形分濃度」とは、粒子B-1の水分散液に占める粒子B-1の質量割合を意味する。以下において製造した粒子B-2~B-9の各水分散液についても同様である。
〔製造例B-2~B-9〕
製造例B-2~B-9では、(メタ)アクリル系共重合体(B)の単量体組成を表2に示す単量体組成に変更したこと以外は、製造例B-1と同様の操作を行い、粒子B-2~B-9の各水分散液を得た。
上記にて得られた粒子B-2~B-9の各水分散液の固形分濃度を以下に示す。
-固形分濃度-
B-2:27.0質量%、B-3:27.0質量%、B-4:27.0質量%、B-5:27.0質量%、B-6:27.0質量%、B-7:27.0質量%、B-8:27.0質量%、B-9:27.0質量%
上記にて得られた粒子B-2~B-9の各水分散液のpHを以下に示す。
粒子B-2~B-9の各水分散液のpHは、(株)堀場製作所製のpHメータ(商品名:F-51)を用い、JIS Z 8802:2011に準拠した方法により、液温30℃の条件にて測定した。
-pH-
B-2:3.3、B-3:3.0、B-4:3.3、B-5:3.7、B-6:2.6、B-7:3.5、B-8:3.3、B-9:3.3
(メタ)アクリル系共重合体B-1~B-9の単量体組成(単位:質量%)、及び粒子B-1~B-9の平均粒子径(体積平均粒子径、単位:nm)を表2に示す。
粒子B-1~B-9の平均粒子径は、既述の特定(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子〔即ち、特定粒子(A)〕の平均粒子径の測定方法と同様の方法により測定した。
測定装置には、Malvern社製の粒度分布測定装置であるゼータサイザーナノZS-90(商品名)を用いた。
上記にて得られた粒子B-1~B-9のうち、粒子B-1~B-4及びB-9は、本開示における特定(メタ)アクリル系共重合体(B)の粒子〔即ち、特定粒子(B)〕に該当する。
Figure 2023095559000002
表2に記載の各単量体の詳細は、以下に示すとおりである。
<単量体(b1)>
「EA」:エチルアクリレート
<単量体(b2)>
「MAA」:メタクリル酸
<単量体(b3)>
「DAAM」:ジアセトンアクリルアミド
<単量体(b4)>
「TMPTA」:トリメチロールプロパントリアクリレート
「TAC」:トリアリルシアヌレート
表2中、単量体組成の欄に記載の「-」は、その欄に該当する単量体を使用していないことを意味する。
[粘着剤組成物の調製]
〔実施例1〕
上記にて得られた粒子A-1の水分散液100質量部(固形分換算値)と、上記にて得られた粒子B-2の水分散液1.8質量部(固形分換算値)と、消泡剤として「ノプコ(登録商標) CP-101」〔商品名、サンノプコ(株)製〕0.4質量部(固形分換算値)と、消泡剤として「SN デフォーマー 470」〔商品名、サンノプコ(株)製〕0.2質量部(固形分換算値)と、防腐剤として「ACTICIDE(登録商標) BW-20」〔商品名、THOR JAPAN社製〕0.04質量部(固形分換算値)と、湿潤剤として「サーフィノール(登録商標) 440」〔商品名、日信化学工業(株)製〕0.8質量部(固形分換算値)と、ヒドラジド系架橋剤として「ADH(アジピン酸ジヒドラジド)」〔商品名、(株)日本ファインケム製〕0.35質量部(固形分換算値)と、を十分に混合し、実施例1の粘着剤組成物を調製した。
〔実施例2~18〕
実施例2~18では、粘着剤組成物の組成を表3に記載のとおりにしたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、実施例2~18の各粘着剤組成物を調製した。
〔比較例1~14〕
比較例1~14では、粘着剤組成物の組成を表4に記載のとおりにしたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、比較例1~14の各粘着剤組成物を調製した。
Figure 2023095559000003
Figure 2023095559000004
表3及び/又は表4に記載の架橋剤の詳細は、以下に示すとおりである。
<ヒドラジド系架橋剤>
「ADH」〔商品名、アジピン酸ジヒドラジド、(株)日本ファインケム製〕
「CDH」〔商品名、カルボジヒドラジド、(株)日本ファインケム製〕
<カルボジイミド系架橋剤>
「V-04」〔商品名:カルボジライト(登録商標) V-04、カルボジイミド、日清紡ケミカル(株)製〕
表4中、粘着剤組成物の組成の欄に記載の「-」は、その欄に該当する成分を使用していないことを意味する。
[評価用粘着シートの作製]
上記にて調製した粘着剤組成物を、剥離シート〔商品名:SL-80W(#1011)、(株)タカラインコーポレーション製〕の上に、乾燥後の塗布量が20g/mとなるようにアプリケーターを用いて塗布し、塗布膜を形成した。次いで、形成した塗布膜を、熱風循環式乾燥機を用いて、乾燥温度105℃、乾燥時間90秒間の条件で乾燥させ、剥離シートの面上に粘着剤層を形成した。次いで、剥離シートの面上に形成された粘着剤層の露出した面上に、基材としての上質紙〔商品名:OKプリンス上質、米坪:81.4g/m、王子製紙(株)製〕の一方の面に重ねて貼り合わせることにより、評価用粘着シートを作製した。作製した評価用粘着テープは、剥離シート/粘着剤層(厚さ:20μm)/基材(上質紙)の積層構造を有する。
[測定及び評価]
1.貼り合わせ直後のリワーク性
上記にて作製した評価用粘着シートを25mm×150mmの大きさに切断し、評価用粘着シート片を準備した。準備した評価用粘着シート片(構成:剥離シート/粘着剤層/基材)から剥離シートを剥離し、試験片とした。この試験片について、測定装置として(株)レスカ製のプローブタック試験機(型番:TAC-1000)を用い、JIS Z 0237:2009に準拠した方法により、タック力(単位:N/cm)を測定した。そして、下記の評価基準に従って、評価を行った。測定値及び評価の結果を表5及び表6に示す。
下記の評価基準において、「A」及び「B」は、実用上問題ないレベルであり、「A」であることが最も好ましい。
-評価基準-
A:タック力が3.0N/cm以上8.0N/cm未満の範囲である。
B:タック力が8.0N/cm以上9.0N/cm未満の範囲である。
C:タック力が9.0N/cm以上である、又は、3.0N/cm未満である。
2.高温高湿環境下に置かれた場合の再剥離性
上記にて作製した評価用粘着シートを25mm×100mmの大きさに切断し、評価用粘着シート片を準備した。準備した評価用粘着シート片(構成:剥離シート/粘着剤層/基材)から剥離シートを剥離し、剥離により露出した粘着剤層の面を、JIS Z 0237:2009に準拠した方法に従い、JIS R 6253:2006に規定の#360の耐水研磨紙を用いて磨いたSUS304(ステンレス鋼板;単に「SUS」ともいう。)の面に重ねて圧着し、試験片を作製した。作製した試験片を、槽内の温度及び湿度をそれぞれ40℃、90%RHに設定した恒温恒湿槽に入れ、24時間放置した後、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に30分間静置した。静置後の試験片について、SUSから評価用粘着シート片(構成:基材/粘着剤層)を長辺(100mm)方向に180°剥離した。剥離後のSUSの表面を目視により観察し、下記の評価基準に従って、評価を行った。評価の結果を表5及び表6に示す。
下記の評価基準において、「A」及び「B」は、実用上問題ないレベルであり、「A」であることが最も好ましい。なお、評価基準における「糊」は、粘着剤と同義である。
-評価基準-
A:糊残りが全く確認されない。
B:糊残りが僅かに確認される。
C:糊残りが顕著に確認される。
3.経時での液安定性
上記にて調製した粘着剤組成物の粘度(単位:mPa/s)を、BL型粘度計[東京計器(株)製]を用い、JIS Z 8803:2011に準拠した方法〔測定温度:25℃、回転速度:12rpm(revolutions per minute)〕により測定した。得られた値を初期の粘度とした。
次に、上記にて調製した粘着剤組成物をポリエチレン製の容器に入れ、密封した後、雰囲気温度23℃の環境下に1ヶ月静置した。また、別の系として、上記にて調製した粘着剤組成物をポリエチレン製の容器に入れ、密封した後、雰囲気温度40℃の環境下に1ヶ月静置した。静置後の粘着剤組成物の粘度を、上記と同様の方法により測定し、初期からの粘度上昇を算出した。また、静置後の粘着剤組成物を目視により観察し、粗粒物の有無を確認した。そして、下記の評価基準に従って、評価を行った。測定値及び評価の結果を表5及び表6に示す。
下記の評価基準において、「A」及び「B」は、実用上問題ないレベルであり、「A」であることが最も好ましい。また、雰囲気温度23℃における試験及び雰囲気温度40℃における試験の両方において、「A」及び/又は「B」を示した場合に、経時での液安定性に優れる粘着剤組成物であると評価した。
-評価基準-
A:粘度上昇が1000mPa・s未満であり、かつ、粗粒物が確認されない。
B:粘度上昇が1000mPa・s以上1500mPa・s以下の範囲であり、かつ、粗粒物が確認されない。
C:粘度上昇が1500mPa・sを超える、又は、粗粒物が確認される。
4.粘着力
(1)初期の粘着力
(1-1)被着体:SUS
上記にて作製した評価用粘着シートを25mm×100mmの大きさに切断し、評価用粘着シート片を準備した。準備した評価用粘着シート片(構成:剥離シート/粘着剤層/基材)から剥離シートを剥離し、剥離により露出した粘着剤層の面を、JIS Z 0237:2009に準拠した方法に従い、JIS R 6253:2006に規定の#360の耐水研磨紙を用いて磨いたSUS304の面に重ねて圧着し、試験片を作製した。作製した試験片を、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に30分間静置した。静置後の試験片について、SUSから評価用粘着シート片(構成:基材/粘着剤層)を長辺(100mm)方向に180°剥離したときの粘着力(単位:N/25mm)を、測定装置として(株)エー・アンド・デイ製のシングルコラム型材料試験機(型番:STA-1225)を用い、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下、剥離速度300mm/分の条件で測定した。そして、下記の評価基準に従って、評価を行った。測定値及び評価の結果を表7及び表8に示す。
下記の評価基準において、「A」及び「B」は、実用上問題ないレベルであり、「A」であることが最も好ましい。
-評価基準-
A:粘着力が3.0N/25mm以上5.0N/25mm以下の範囲である。
B:粘着力が5.0N/25mmを超えて8.0N/25mm以下の範囲である。
C:粘着力が3.0N/25mm未満である、又は、8.0N/25mmを超える。
(1-2)被着体:ベークライト
ヒトの皮膚の代替として、フェノール樹脂(所謂、ベークライト)板を用いた。
上記にて作製した評価用粘着シートを25mm×100mmの大きさに切断し、評価用粘着シート片を準備した。準備した評価用粘着シート片(構成:剥離シート/粘着剤層/基材)から剥離シートを剥離し、剥離により露出した粘着剤層の面を、ベークライト板の一方の面に重ね合わせた後、2kgのローラーを1往復させて圧着し、試験片を作製した。作製した試験片を、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に30分間静置した。静置後の試験片について、ベークライト板から評価用粘着シート片(構成:粘着剤層/基材)を長辺(100mm)方向に180°剥離したときの粘着力(単位:N/25mm)を、上記「(1-1)被着体:SUS」における測定方法と同様の方法により測定した。そして、上記「(1-1)被着体:SUS」における評価基準と同じ評価基準に従って、同様の評価を行った。測定値及び評価の結果を表7及び表8に示す。
(1-3)被着体:PP
上記にて作製した評価用粘着シートを25mm×100mmの大きさに切断し、評価用粘着シート片を準備した。準備した評価用粘着シート片(構成:剥離シート/粘着剤層/基材)から剥離シートを剥離し、剥離により露出した粘着剤層の面を、ポリプロピレン(「PP」ともいう。)板〔商品名:コウベポリシートPP-N-BN、昭和電工マテリアルズ(株)製〕の一方の面に重ね合わせた後、2kgのローラーを1往復させて圧着し、試験片を作製した。作製した試験片を、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に30分間静置した。静置後の試験片について、PP板から評価用粘着シート片(構成:粘着剤層/基材)を長辺(100mm)方向に180°剥離したときの粘着力(単位:N/25mm)を、上記「(1-1)被着体:SUS」における測定方法と同様の方法により測定した。そして、上記「(1-1)被着体:SUS」における評価基準と同じ評価基準に従って、同様の評価を行った。測定値及び評価の結果を表7及び表8に示す。
(2)経時後の粘着力
(2-1)被着体:SUS
上記「(1-1)被着体:SUS」と同様の操作を行い、試験片を作製した。作製した試験片を、槽内の温度を40℃に設定した恒温恒湿槽に入れ、7日間放置した後、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に30分間静置した。静置後の試験片について、SUSから評価用粘着シート片(構成:基材/粘着剤層)を長辺(100mm)方向に180°剥離したときの粘着力(単位:N/25mm)を、上記「(1-1)被着体:SUS」における測定方法と同様の方法により測定した。そして、下記の評価基準に従って、評価を行った。測定値及び評価の結果を表7及び表8に示す。
下記の評価基準において、「A」及び「B」は、実用上問題ないレベルであり、「A」であることが最も好ましい。
-評価基準-
A:粘着力が3.0N/25mm以上5.5N/25mm以下の範囲である。
B:粘着力が5.5N/25mmを超えて10.0N/25mm以下の範囲である。
C:粘着力が3.0N/25mm未満である、又は、10.0N/25mmを超える。
(2-2)被着体:ベークライト
上記「(1-2)被着体:ベークライト」と同様の操作を行い、試験片を作製した。作製した試験片を、槽内の温度を40℃に設定した恒温恒湿槽に入れ、7日間放置した後、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に30分間静置した。静置後の試験片について、ベークライト板から評価用粘着シート片(構成:基材/粘着剤層)を長辺(100mm)方向に180°剥離したときの粘着力(単位:N/25mm)を、上記「(1-1)被着体:SUS」における測定方法と同様の方法により測定した。そして、上記「(2-1)被着体:SUS」における評価基準と同じ評価基準に従って、同様の評価を行った。測定値及び評価の結果を表7及び表8に示す。
(2-3)被着体:PP
上記「(1-3)被着体:PP」と同様の操作を行い、試験片を作製した。作製した試験片を、槽内の温度を40℃に設定した恒温恒湿槽に入れ、7日間放置した後、雰囲気温度23℃、50%RHの環境下に30分間静置した。静置後の試験片について、PP板から評価用粘着シート片(構成:基材/粘着剤層)を長辺(100mm)方向に180°剥離したときの粘着力(単位:N/25mm)を、上記「(1-1)被着体:SUS」における測定方法と同様の方法により測定した。そして、上記「(2-1)被着体:SUS」における評価基準と同じ評価基準に従って、同様の評価を行った。測定値及び評価の結果を表7及び表8に示す。
Figure 2023095559000005
Figure 2023095559000006
Figure 2023095559000007
Figure 2023095559000008
表5に示すように、実施例の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、被着体との貼り合わせ直後のリワーク性に優れ、被着体と貼り合わせた後に高温高湿環境下に置かれた場合でも優れた再剥離性を有していた。また、実施例の粘着剤組成物は、経時での液安定性に優れていた。
一方、表6に示すように、比較例の粘着剤組成物は、実施例の粘着剤組成物と比較して、経時での液安定性に劣るか、或いは、形成された粘着剤層が、被着体との貼り合わせ直後のリワーク性、及び/又は、被着体と貼り合わせた後に高温高湿環境下に置かれた場合の再剥離性に劣っていた。
また、表7に示すように、実施例の粘着剤組成物により形成された粘着剤層は、被着体の種類を問わず、貼り合わせ初期には被着体から剥離しない程度に高い粘着力を示し、かつ、その粘着力が高温環境下に置かれた場合でも経時で過度に上昇し難く、貼り直しが必要となった場合に過剰な力を必要とせず、剥離できる粘着剤層であることが確認された。

Claims (5)

  1. (メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位(a1)、全構成単位に対して0.1質量%~0.4質量%の(メタ)アクリル酸に由来する構成単位(a2)、及び、全構成単位に対して1.1質量%~3.0質量%の、エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体に由来する構成単位(a3)を含む(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子と、
    (メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体に由来する構成単位(b1)、及び、全構成単位に対して20質量%~50質量%の(メタ)アクリル酸に由来する構成単位(b2)を含み、かつ、エチレン性不飽和基と、ケトン基及びアルデヒド基から選ばれる少なくとも1種の基とを有する単量体に由来する構成単位(b3)を含まないか、又は、前記構成単位(b3)の含有率が全構成単位に対して0質量%を超えて0.2質量%以下の範囲である(メタ)アクリル系共重合体(B)の粒子と、
    ヒドラジド系架橋剤と、
    水と、を含有し、
    前記(メタ)アクリル系共重合体(B)の粒子の含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子100質量部に対して0.5質量部~2.5質量部である粘着剤組成物。
  2. 前記(メタ)アクリル系共重合体(A)における、前記構成単位(a2)の含有量に対する前記構成単位(a3)の含有量の比が、質量基準で、4.0以上である請求項1に記載の粘着剤組成物。
  3. 前記ヒドラジド系架橋剤の含有量が、前記(メタ)アクリル系共重合体(A)の粒子100質量部に対して0.05質量部~0.7質量部である請求項1又は請求項2に記載の粘着剤組成物。
  4. 前記ヒドラジド系架橋剤が、カルボジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、及びコハク酸ジヒドラジドからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
  5. 請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物により形成された粘着剤層を備える粘着シート。
JP2021211523A 2021-12-24 2021-12-24 粘着剤組成物及び粘着シート Pending JP2023095559A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021211523A JP2023095559A (ja) 2021-12-24 2021-12-24 粘着剤組成物及び粘着シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2021211523A JP2023095559A (ja) 2021-12-24 2021-12-24 粘着剤組成物及び粘着シート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023095559A true JP2023095559A (ja) 2023-07-06

Family

ID=87002061

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021211523A Pending JP2023095559A (ja) 2021-12-24 2021-12-24 粘着剤組成物及び粘着シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023095559A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN102471658B (zh) 水性粘结剂组合物、其制备方法及粘结薄膜
JP6231693B2 (ja) ポリプロピレンフィルム用粘着剤組成物及びその製造方法
KR20050067158A (ko) 재부착가능하며,수-백화에 저항성이 있는 감압성 접착제
JP6241260B2 (ja) 再剥離性水性粘着剤および粘着シート
US20130323498A1 (en) Pressure-sensitive adhesive composition and pressure-sensitive adhesive sheet
KR102470448B1 (ko) 의류용 수성 아크릴계 점착제 및 이의 제조 방법
JP6121266B2 (ja) 水分散型粘着剤組成物およびその製造方法
JP2007023126A (ja) (メタ)アクリル系エマルション型粘着剤組成物及び粘着シート
EP3607018B1 (en) Aqueous dispersions with high stability for adhesives and sealants
JP2012122054A (ja) きれいに除去可能な接着シート
JP6206137B2 (ja) 水性再剥離型粘着剤および再剥離型粘着シート
US8268390B2 (en) Adhesive film having at least two continuous phases
JPH09217050A (ja) 水性接着剤組成物
JP2009525371A (ja) 自着性接着剤
JP4351834B2 (ja) フィルム基材用水性粘着剤組成物
JP2023095559A (ja) 粘着剤組成物及び粘着シート
JP5512119B2 (ja) アクリルエマルション粘着剤
JP6044017B2 (ja) 水性再剥離型粘着剤および再剥離型粘着シート
JP6028288B2 (ja) 再剥離型水性感圧接着剤
JP6554922B2 (ja) 再剥離型水性感圧式接着剤
WO2019117539A1 (ko) 의류용 수성 아크릴계 점착제 및 이의 제조 방법
JP2024059471A (ja) 粘着剤組成物及びその製造方法、並びに、粘着シート
JP2006008834A (ja) 粘着剤用樹脂組成物水性分散体及び粘着剤組成物
WO2023119911A1 (ja) 粘着剤組成物及びその製造方法、粘着剤層、並びに粘着シート
JP4141023B2 (ja) 粘着剤組成物及び粘着テープ