JP2003027027A - 水分散型粘着剤組成物 - Google Patents

水分散型粘着剤組成物

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JP2003027027A
JP2003027027A JP2001210895A JP2001210895A JP2003027027A JP 2003027027 A JP2003027027 A JP 2003027027A JP 2001210895 A JP2001210895 A JP 2001210895A JP 2001210895 A JP2001210895 A JP 2001210895A JP 2003027027 A JP2003027027 A JP 2003027027A
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Akinori Eto
彰紀 江藤
Makoto Yaegashi
誠 八重樫
Takeshi Sato
健 佐藤
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた高速塗工性を有し、各種基材、剥離材
に対する濡れ性に優れた水分散型粘着剤組成物、及び生
産性に優れた粘着加工品の製法を提供する。 【解決手段】 水分散型粘着剤組成物を水により固形分
を1質量%に希釈した時の(a)静的表面張力値が50
mN/m以下,(b)60cm2を最大表面積、20cm
2を最小表面積として30秒で1サイクルになるよう周期
的に表面積を変化させる条件で動的表面張力を測定した
ときに、表面積が収縮する際の40cm2における表面
張力値と表面積が拡大する際の40cm2における表面
張力値の差の絶対値が10mN/m以下であることを特
徴とする粘着剤組成物、及び該粘着組成物を100〜7
00m/分の塗工速度で基材または剥離材に塗布する粘
着加工品の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、粘着性のテープ、
ラベル、シートあるいは両面テープ等の各種粘着加工品
における粘着剤に使用される水分散型粘着剤組成物、及
びそれを用いた粘着加工品に関するもので、各種基材、
或いは剥離材に対する濡れ性が良好であり、平滑面が得
られにくい高速塗工時においてもハジキ、チヂミ、カス
レの無い平滑な塗工面が得ることができる水分散型粘着
剤組成物、および生産性に優れた粘着加工品およびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、水分散型粘着剤組成物は、無有機
溶剤型であるため、有機溶剤型粘着剤と比較して、当該
有機溶剤が乾燥等により大気中に飛散・分散することが
ないので、大気汚染が少ないこと、安全衛生に優れてい
ること等の利点があるため、近年広く普及してきてい
る。
【0003】このような利点をもつ水分散型粘着剤組成
物は、紙またはフイルム、シート等の基材に直接塗布す
るか、あるいは剥離材に塗布した後、各種基材に転写す
ることで、粘着性のテープ、ラベル、シートあるいは両
面テープ等の各種粘着性製品に加工される。
【0004】上記の塗布工程においては、従来は比較的
低速の塗工速度で行われていたが、粘着加工品の生産性
を向上し、製造コストを低下させるためには、各種基材
への粘着剤組成物の塗工速度をより高速で行う必要があ
る。しかしながら、水分散型粘着剤の場合、塗工速度を
上げることによって、乾燥効率が低下したり、粘着剤に
加わるせん断応力が高くなることにより凝集物が発生し
やすくなる、あるいは、塗工剤槽内に気泡が発生しやす
くなる等の問題が生じるため、自ずと塗工速度に制限が
加わり、十分な生産性の向上に結び付けることは困難で
あった。
【0005】この問題を解決する手段として、水分散型
粘着剤の固形分を上げ乾燥効率を向上させたり、機械的
安定性を向上させる添加剤を加え凝集物の発生を抑える
等の方法が挙げられる。しかしながら、これらの条件を
満足する全ての粘着剤組成物が、高速塗工性に優れてい
るとは言えないことが明らかとなっている。この課題に
関し、特開平8−218047号公報では、水分散型
(メタ)アクリル系粘着剤組成物に関し、固形分を50
質量%以上、重合体粒子の平均粒子径を0.2μm以
上、及びせん断速度1.0x105(1/s)における
粘度を20mpa・s以上にすることで高速塗工に適し
た粘着剤組成物を提案している。しかしながら、水分散
型粘着剤組成物の塗工性は各種基材や剥離材に対する濡
れ性にも深く関係するため、固形分、粒子径、粘度の特
定のみでは不十分であり、該組成物の表面張力特性が重
要な因子となることが明らかとなった。
【0006】この点に関しては、J.Schwartzが水ベース
樹脂のコーテングにおいて良好な塗工面を形成するには
低い動的表面張力が重要であることを指摘しており、最
大泡圧法を用いて動的表面張力の測定を行い、各種添加
剤の動的表面張力に対する効果を議論している(J. Sch
wartz; Journal of Coatings Technology., September
1992, Vol.64, No.812, P65-74)。一般に最大泡圧法で
は1秒以下の時間領域の動的表面張力挙動が測定できる
利点を有するが、現に上記研究報告においても使用測定
装置の限界となる短時間領域での測定を行っている。
【0007】一方、R.E.Smithは本発明の測定方法と同
様の原理を利用して、塗工剤の動的表面張力の測定を行
っている。この測定方法は、一般的には秒以上の時間領
域の動的表面張力挙動が測定できる。上記研究報告でも
例外ではなく、その測定は10.6サイクル/分に固定され
ている(R.E.Smith, Ind. Eng. Chem. Prod. Res. De
v., 1983, Vol.22, P67-71)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、泡立ち等塗
工槽内の塗工液の状態が乱れやすく、また、良好な塗工
面が得られにくい高速塗工時においても、各種基材、剥
離材に対しハジキ、チヂミ、カスレの無い平滑な塗工面
を得ることができる水分散型粘着剤組成物、及びこれを
用いて生産性に優れた粘着加工品、及びその製造方法を
提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、これらの
問題を解決するため鋭意検討を行った。すなわち、確か
に前記の2つの研究が指摘する通り、塗工工程において
良好な塗工面を得るために、塗工剤の動的表面張力を低
くすることは本質的である。ただし、動的表面張力は一
種の緩和現象であるため、それを特徴づける緩和時間が
存在し、緩和時間に該当する時間で最大の動的表面張力
特性を示す。言い方を替えれば、ある測定時間領域で動
的表面張力特性を示す系であっても測定時間領域が緩和
時間に該当した領域でなければ、動的表面張力が顕著に
観測されない場合がある。
【0010】したがって、塗工工程において良好な塗工
面を得るためには、塗工剤の静的表面張力値、動的表面
張力特性に加え、塗工剤の動的表面張力が示す緩和時間
も重要なファクターとなるのではないかとの観点から検
討を行った結果、特定の静的表面張力値示し、かつ本発
明で示される動的表面張力測定方法において観測される
動的表面張力が特定の時間領域に最大動的表面張力特性
を示し、その時間領域内で特定の動的表面張力値を示す
水分散型粘着剤組成物が、優れた塗工性を有し、各種基
材、剥離材に対する良好な濡れ性を示し、ハジキ、チヂ
ミ、カスレ起こりやすい高速塗工時においても平滑で良
好な塗工面を得ることができることを見出し、本発明を
完成するに至った。
【0011】すなわち、本発明は以下の(1)〜(4)
を提供するものである。 (1)(a)静的表面張力値が50mN/m以下であ
り、(b)60cm2を最大表面積、20cm2を最小表
面積として周期的に表面積を変化させる条件で動的表面
張力を測定した場合に、その周期が1〜6(サイクル/
分)の時に最大の動的表面張力特性を示し、かつ(c)
2サイクル/分の周期で表面積を変化させる条件におい
て動的表面張力を測定した時に、表面積が収縮する際の
40cm2における表面張力値と表面積が拡大する際の
40cm2における表面張力値の差の絶対値が10mN
/m以下であることを特徴とする水分散型粘着剤組成
物。 (2)(1)記載の水分散型粘着剤組成物が、(メタ)
アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これに官能
基を有するエチレン性不飽和単量体、必要に応じて2個
以上のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体及びそ
の他のモノエチレン性不飽和単量体を共重合して得られ
ることを特徴とする水分散型(メタ)アクリル系粘着剤
組成物。 (3)(1)または(2)記載の粘着剤組成物を、10
0m/分から700m/分の塗工速度で基材あるいは剥
離材に塗工することを特徴とする粘着加工品の製造方
法。 (4)(3)記載の方法により得られる粘着加工品。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の方法をさらに詳細
に説明する。本発明の水分散型粘着剤組成物とは、通
常、水に分散するタイプの粘着剤組成物であれば良く、
特に制限はないが、好ましくは(メタ)アクリル系、天
然あるいは合成ゴム系、シリコーン系、酢酸ビニル等を
主成分とした粘着剤組成物であり、水を主成分とした媒
体に分散された状態にある。これらは単独で、また、必
要に応じて2種類以上混合して用いることができるが、
モノマー成分を選択することによって粘着性能を容易に
調節できること、耐候性、耐溶剤性が良いこと等の理由
により(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする水分
散型(メタ)アクリル系粘着剤組成物がより好ましい。
【0013】本発明において、水分散型粘着剤組成物の
静的表面張力値および動的表面張力値特性は用いた原料
の種類や量によって決まるが、各種添加剤等によっても
自由に調節できる。
【0014】本発明の水分散型粘着剤組成物では、該粘
着剤組成物を蒸留水により固形分を1質量%に希釈した
時の(a)静的表面張力値が50mN/m以下であり、
(b)60cm2を最大表面積、20cm2を最小表面積
として周期的に表面積を変化させる条件で動的表面張力
を測定した場合に、その周期が1〜6(サイクル/分)
の時に最大の動的表面張力特性を示し、かつ(c)2サ
イクル/分の周期で表面積を変化させる条件において動
的表面張力を測定した時に、表面積が収縮する際の40
cm2における表面張力値と表面積が拡大する際の40
cm2における表面張力値の差の絶対値が10mN/m
以下ででなければならない。
【0015】剥離材は一般に表面張力が低いため、静的
表面張力値が50mN/mを超えると剥離材と粘着剤組
成物の表面張力差が大きくなり、剥離材に対して濡れ性
が十分でなくなり、ハジキ、チヂミの原因となる場合が
ある。
【0016】また動的表面張力値の差の絶対値が10m
N/mを超えると特に高速塗工時には塗工槽内に気泡が
発生しやすくなる場合があり、その気泡が高速塗工時の
カスレ等の原因となる可能性がある。
【0017】また、静的、動的表面張力特性が低くと
も、本発明で示される測定方法で観測される動的表面張
力値が1サイクル/分以下あるいは7サイクル/分以上
の周期領域で最大値を示す場合であると、優れた塗工面
は得られにくい。動的表面張力値が1サイクル/分以下
に最大値をもつ場合には安定した界面構造を形成するま
でに時間がかかりすぎ、塗工速度によって粘着物性が変
化する場合がある。また、最大値が7サイクル/分以上
の時間領域に存在する場合は塗工時に気泡が発生しやす
い傾向にある。これは組成物内の界面活性剤の過剰分に
よる緩和現象が強調されるものと推測される。すなわ
ち、ハジキ、チヂミが無く、気泡が発生しやすい高速塗
工時においてもカスレの無い平滑な塗工面を得るために
は静的表面張力値および動的表面張力特性を特定するこ
とが必要となるのである。
【0018】本発明における水分散型粘着剤組成物とし
ては、上記したように、(メタ)アクリル酸エステルを
主成分とする水分散型(メタ)アクリル系粘着剤組成物
であることがより好ましい。以下に説明する。本発明の
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、
アクリル酸エステル単量体として、具体的には、例えば
メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルア
クリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレー
ト、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オ
クチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレー
ト、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート等が挙
げられる。また、メタクリル酸エステル単量体として
は、例えばメチルメタクリレート、エチルメタアクリレ
ート、プロピルメタアクリレート、ブチルメタアクリレ
ート、アミルメタアクリレート、ヘキシルメタアクリレ
ート、ヘプチルメタアクリレート、オクチルメタアクリ
レート、2−エチルヘキシルメタアクリレート、デシル
メタアクリレート、ラウリルメタアクリレート等が挙げ
られ、これらは単独で、或いは2種類以上混合して用い
ることができる。
【0019】共重合体中の上記(メタ)アクリル酸エス
テル単量体の配合量としては70〜99.7質量%さら
には75〜99.7質量%が好ましい。70質量%未満
では粘着剤としての十分な粘着力が得られにくい傾向に
ある。また99.7質量%を超えると粘着剤として十分
な凝集力が得にくくなり易い傾向にある。
【0020】また上記(メタ)アクリル酸エステル単量
体との共重合成分である官能基を有するエチレン性不飽
和単量体としては、具体的には例えば2−ヒドロキシエ
チルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレー
ト、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン
酸、イタコン酸、フマル酸、シトラコン酸、グリシジル
アクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリ
シジルエーテル、アクリルアミド、メタクリルアミド、
N−メチロールアクリルアミド等が挙げられ、これらは
単独で、或いは2種類以上混合して用いることができ
る。共重合体中の上記の官能基を有するエチレン性不飽
和単量体の配合量としては0.3〜30質量%さらには
0.3〜10質量%が好ましい。更に好ましくは、0.
3〜5質量%である。0.3質量%未満ではエマルショ
ンの重合および機械的安定性が低くなり易いため、重合
中の粗大粒子の発生やせん断応力下における凝集物発生
の原因となり易い傾向にある。また30質量%を超える
と粘着剤のガラス転移温度が高くなることによって十分
な粘着力が得られにくい傾向にある。
【0021】本発明の水分散型(メタ)アクリル系粘着
剤組成物は、上記の主成分の他に、必要に応じて2個以
上のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体及びその
他のモノエチレン性不飽和単量体等を共重合しても良
い。
【0022】まず、2個以上のエチレン性不飽和二重結
合を有する単量体としては、具体的には、例えばブタジ
エン、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコール
ジアクリレート、(ポリ)エチレングリコールジメタク
リレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、
トリメチロールプロパントリメタクリレート等が挙げら
れ、これらは単独で、或いは2種類以上混合して用いる
ことができる。
【0023】その他のモノエチレン性不飽和単量体とし
ては、例えば酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリ
ル、塩化ビニル等のビニル系単量体が挙げられる。これ
ら単量体成分の使用量は、一般的には前記2成分100
質量%に対して、0〜20質量%の範囲で用いられる。
【0024】本発明の(メタ)アクリル酸アルキルエス
テルを主成分とし、これに官能基を有するエチレン性不
飽和単量体、必要に応じて2個以上のエチレン性不飽和
二重結合を有する単量体及びその他のモノエチレン性不
飽和単量体(以下(メタ)アクリル系単量体と称す)の
共重合体を製造する方法としては、特に制限はないが、
通常、公知の乳化重合法に従って行うことで十分であ
り、特殊な方法を必要とするものではない。すなわち、
水、上記(メタ)アクリル系単量体混合物、界面活性
剤、連鎖移動剤(重合度調節剤)、ラジカル重合開始剤
を基本構成とする乳化重合法である。
【0025】まず、界面活性剤としては、具体的には例
えば脂肪酸石鹸、ロジン石鹸、アルキルスルホン酸塩、
アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルアリールス
ルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸、ポリオキシエチ
レンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリ
ール硫酸塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチ
レンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソ
ルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピ
レンコポリマー等のノニオン性界面活性剤が挙げられ、
通常アニオン性界面活性剤単独またはアニオン性界面活
性剤とノニオン性界面活性剤の混合系で用いられる。さ
らに必要に応じて、ラジカル重合性の界面活性剤または
カチオン性界面活性剤を用いることができる。
【0026】また、連鎖移動剤としては、具体的には例
えば、n−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカ
プタン、t−ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノ
ール等のメルカプタン類、四塩化炭素等のハロゲン化炭
化水素等が挙げられる。また、ラジカル開始剤としては
過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウ
ム等の過硫酸塩、過酸化水素、過酸化ベンゾイル、t−
ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオ
キサイド等の過酸化物、2,2’−アゾビスイソブチロ
ニトリル等のアゾビス化合物等が挙げられるが、特に過
硫酸塩が好ましい。
【0027】本発明の乳化重合において、重合温度は6
0〜90℃の範囲が一般的であるが、重亜硫酸ソーダ、
アスコルビン酸(塩)、ロンガリット等の還元剤をラジ
カル重合開始剤と組み合わせた低温レドックス重合を用
いることもできる。また必要に応じて水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリ
ウム、りん酸水素ナトリウム等のPH調節剤、あるいは
PH緩衝剤等の重合調節剤を添加することもできる。
【0028】また本発明の粘着剤組成物は、アルカリ中
和を行うことによって安定性を向上させることもでき
る。中和剤としては例えばアンモニア水溶液、水酸化ナ
トリウム等の水酸化物、アミン等を用いることができ
る。上記乳化重合により得られた共重合体粒子の平均粒
子径としては、通常0.1〜2.0μmであり、好まし
くは0.2〜1.0μmであり、より好ましくは0.3
〜1.0μmである。0.1μm以下では粘度が上昇
し、固形分(濃度)が十分に高められなく、2.0μm
以上では粒子の沈降等の問題が生じる場合がある。
【0029】本発明の水分散型粘着剤組成物の固形分
(濃度)としては40質量%〜75質量%が好ましく、
より好ましくは50質量%〜75質量%である。40質
量%未満の固形分では乾燥に多くのエネルギーを必要と
するため、実用性の面より高速塗工に優れているとはい
えない場合がある。75質量%を超えると乾燥効率はあ
がるものの製造時の粘度が高くなり過ぎ、操作性が悪い
等の問題が生じ易くなるため実用的ではない場合があ
る。
【0030】本発明の水分散型粘着剤組成物の粘度とし
ては、特に限定はされないが、一般的にはB型粘度計で
測定される60回転での粘度が500〜15000mP
a・sであり、好ましくは1000〜12000mPa
・sであり、より好ましくは3000〜10000mP
a・sである。以上のようにして得られた粘着剤組成物
には、要求される物性や性能を付与するために、粘着剤
の分野で使用されている種類及び量の配合剤を、本発明
の効果を損なうことのない範囲で、必要に応じて添加す
ることができる。添加できる配合剤としては、例えば増
粘剤、機械的安定性付与剤、粘着付与剤、レベリング
剤、架橋剤、防腐剤、防錆剤、顔料、充填剤、凍結防止
剤または消泡剤等が挙げられる。
【0031】本発明の水分散型粘着剤組成物は、100
m/分から700m/分まで幅広い塗工速度に対応する
ことができる。100m/分未満の塗工速度でも塗布す
ることは可能であるが、生産性の高い製造方法とは言い
難い場合がある。また、700m/分を超える塗工速度
では、粘着剤にかかるせん断応力が大きくなりすぎて、
凝集物の発生の原因となり易い傾向にある。本発明の粘
着加工品の製造方法において、上記水分散型粘着剤組成
物の塗工作業は、通常、リバースロールコーター又はス
リットダイコーター、リップコーター等の塗工機器によ
って容易に行うことが出来る。
【0032】以上、説明してきた通り、本発明の粘着剤
組成物は、幅広い塗工速度での塗工が可能であり、特に
高速塗工時においても良好な塗工面を得ることができ、
生産性の優れた粘着加工品の製造が可能となる。
【0033】
【実施例】以下に実施例、及び比較例を挙げて、本発明
をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例に限定さ
れるものではない。なお、例中の部は質量部を、%は質
量%をそれぞれ表す。さらに各物性値の測定は次の方法
で行った。 1.静的、動的表面張力計(単位:mN/m) 表面張力は自動・動的表面張力計(DST−A1型:協
和界面科学社製)を用いて測定した。測定試料濃度は蒸
留水により固形分を1質量%にした。動的表面張力測定
における測定表面積の最大値は60cm2、最小値は2
0cm2とした。1サイクルの周期は0.3サイクル/
分(200秒/サイクル)から7.5サイクル/分(8
秒/サイクル)までとした。静的表面張力値は表面積を
変化させないときに測定される値であり、動的表面張力
値は表面積を変化させた場合に測定される値である。本
発明での動的表面張力値特性、あるいは動的表面張力値
は表面積が収縮する際の40cm2における表面張力値
と表面積が拡大する際の40cm2における表面張力値
の差の絶対値で定義した。なお、測定は前記装置へ試料
注入後30分後とする。
【0034】また、以下の実施例・比較例中で使用した
単量体は、下記の略称で表す。 ・2−エチルヘキシルアクリレート…HA ・ブチルアクリレート…BA ・スチレン…ST ・2―ヒドロキシエチルアクリレート…HEA ・2−ヒドロキシエチルメタクリレート…HEMA ・アクリル酸…AA ・メタクリル酸…MAA ・n−ドデシルメルカプタン…DM
【0035】[製造例 1]窒素導入管、攪拌機を設置
した温度調節可能な反応器に蒸留水90部、過硫酸カリ
ウム1.0部を仕込み窒素気流下で70℃まで昇温した
後、HA128部、BA60部、ST6部、HEA4
部、AA2部、DM0.1部からなる単量体混合物をラ
ウリル硫酸ソーダ0.8部、蒸留水63.3部に乳化分
散させた単量体乳化物を3時間で連続的に添加し、さら
に80℃で3時間反応を継続し、重合を完結させた後、
冷却し、アンモニア水にてPHを7.0〜8.0に調整
後、金網等で濾過し、固形分54.3質量%、平均粒子
径0.50μmのアクリル共重合体エマルジョンを得
た。
【0036】[製造例2]製造例1と同様の装置で蒸留
水90部、過硫酸カリウム1.0部を仕込み窒素気流下
で70℃まで昇温した後、HA126部、BA65部、
ST3部、HEA4部、AA2部、DM0.1部からな
る単量体混合物をポリエチレンアルキルエーテル硫酸エ
ステル塩(N−1305SN;日本乳化剤(株)製)
0.8部、蒸留水63.3部に乳化分散させた単量体乳
化物を3時間で連続的に添加し、さらに80℃で3時間
反応を継続し、重合を完結させた後、冷却し、アンモニ
ア水にてPHを7.0〜8.0に調整後、金網等で濾過
し、固形分55.0質量%、平均粒子径0.49μmの
アクリル共重合体エマルジョンを得た。
【0037】[製造例3]製造例1と同様の装置で蒸留
水90部、過硫酸カリウム1.0部を仕込み窒素気流下
で70℃まで昇温した後、HA150部、BA44部、
HEMA4部、MAA2部、DM0.1部からなる単量
体混合物をドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ1.2
部、蒸留水63.3部に乳化分散させた単量体乳化物を
3時間で連続的に添加し、、さらに80℃で3時間反応
を継続し、重合を完結させた後、冷却し、アンモニア水
にてPHを7.0〜8.0に調整後、金網等で濾過し、
固形分55.4質量%、平均粒子径0.32μmのアク
リル共重合体エマルジョンを得た。
【0038】[実施例1]製造例1により得たアクリル
共重合体エマルジョンにノプコ8034(シリコーン系
消泡剤:サンノプコ(株)製)を0.2部およびジアル
キルスルホコハク酸エステルナトリウム(ネオコールS
W−C:第一工業製薬製)を1.0部加え、プライマル
ASE−60(アルカリ増粘剤:日本アクリル社製)を
添加することにより粘着剤組成物を得た。増粘剤の添加
量は、23℃におけるB型回転粘度計での60回転の粘
度が5000mPa・sとなる量とした。
【0039】[実施例2]製造例2により得たアクリル
共重合体エマルジョンにノプコ8034を0.2部加
え、プライマルASE−60を添加することにより粘着
剤組成物を得た。増粘剤の添加量は、23℃におけるB
型回転粘度計での60回転の粘度が5000mPa・s
となる量とした。
【0040】[実施例3]製造例2により得たアクリル
共重合体エマルジョンに蒸留水を加え、固形分(濃度)
を45質量%に調節した。ここに、ノプコ8034を
0.2部およびジアルキルスルホコハク酸エステルナト
リウムを1.0部加え、プライマルASE−60を添加
することにより粘着剤組成物を得た。増粘剤の添加量
は、23℃におけるB型回転粘度計での60回転の粘度
が5000mPa・sとなる量とした。
【0041】[比較例1]製造例1で得られた(メタ)
アクリル系エマルジョンにノプコ8034を0.2部加
え、プライマルASE−60を添加することにより粘着
剤組成物を得た。増粘剤の添加量は、23℃におけるB
型回転粘度計での60回転の粘度が5000mPa・s
となる量とした。
【0042】[比較例2]製造例1で得られた(メタ)
アクリル系エマルジョンにプライマルASE−60を添
加することにより粘着剤組成物を得た。増粘剤の添加量
は、23℃におけるB型回転粘度計での60回転の粘度
が5000mPa・sとなる量とした。
【0043】[比較例3]製造例3で得られた(メタ)
アクリル系エマルジョンにジアルキルスルホコハク酸エ
ステルナトリウムを1.0部加え、プライマルASE−
60を添加することにより粘着剤組成物を得た。増粘剤
の添加量は、23℃におけるB型回転粘度計での60回
転の粘度が5000mPa・sとなる量とした。
【0044】上記実施例および比較例で得られた粘着剤
組成物をリップコーターにて350m/分の速度で塗工
し、塗工面の平滑性、ハジキ、チヂミ、カスレを観察し
た。また、上記実施例および比較例で得られた粘着剤組
成物を水により固形分を1質量%に希釈した時の静的表
面張力値、および60cm2を最大表面積、20cm2
最小表面積として周期的に表面積を変化させる条件で2
サイクル/分の周期での動的表面張力を測定した時の表
面積が収縮する際の40cm2における表面張力値と表
面積が拡大する際の40cm2における表面張力値の差
の絶対値を動的表面張力値として表1に示した。さら
に、上記で定義される動的表面張力値が最大値を示す周
期を示した。また、高せん断速度下での粘度と塗工適性
の関係を調べるために、せん断速度1.0x105(1
/s)における高速剪断粘度も示した。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明の水分散型粘着剤組成物は、高速
塗工時に適しており、各種基材、或いは剥離材に対する
濡れ性が良好であり、これを使用して塗工すれば高速塗
工時においても、ハジキ、チヂミ、カスレの無い平滑な
塗工面を得ることができる。また、本発明の粘着加工品
の製造方法によれば、上記した如く高速塗工が可能で且
つ基材又剥離材への塗れ性が良好な為、従来品と同等若
しくはそれ以上の粘着性能を有する粘着加工品を容易に
製造することが可能であり、格段に生産性の優れた粘着
加工品を製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J004 AA05 AA09 AA10 AA11 AB01 GA01 GA02 4J040 CA011 CA031 DE021 DF041 DF051 EK031 GA03 GA05 GA11 GA22 JA03 JA09 JB09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水分散型粘着剤組成物であって、当該組
    成物を蒸留水で固形分1質量%に希釈した時の (a)静的表面張力値が50mN/m以下であり、
    (b)60cm2を最大表面積、20cm2を最小表面積
    として周期的に表面積を変化させる条件で動的表面張力
    を測定した場合に、その周期が1〜6(サイクル/分)
    の時に最大の動的表面張力特性を示し、かつ(c)2サ
    イクル/分の周期で表面積を変化させる条件において動
    的表面張力を測定した時に、表面積が収縮する際の40
    cm2における表面張力値と表面積が拡大する際の40
    cm2における表面張力値の差の絶対値が10mN/m
    以下であることを特徴とする水分散型粘着剤組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の水分散型粘着剤組成物
    が、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分と
    し、これに官能基を有するエチレン性不飽和単量体、必
    要に応じて2個以上のエチレン性不飽和二重結合を有す
    る単量体及びその他のモノエチレン性不飽和単量体を共
    重合して得られることを特徴とする水分散型(メタ)ア
    クリル系粘着剤組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の粘着剤組成物
    を、100m/分から700m/分の塗工速度で基材あ
    るいは剥離材に塗工することを特徴とする粘着加工品の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3の方法により得られる粘着加工
    品。
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