JP2007211074A - エマルジョン型粘着剤組成物の製造方法、及び粘着剤組成物 - Google Patents

エマルジョン型粘着剤組成物の製造方法、及び粘着剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 エマルジョンの不揮発分が高く、かつエマルジョンの放置安定性、接着性(特にポリオレフィンに対する接着性)、保持力(特に高温下での保持力及び湿熱下での保持力)に優れたエマルジョン型粘着剤組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】 (メタ)アクリル酸エステル(a1)を主成分とするエチレン性不飽和単量体(A)及び粘着付与樹脂(B)を含んでなる油溶成分(C)を水媒体中で乳化剤を用いて乳化させてなる乳化液(D)を、重合開始剤の存在下で重合し、エマルジョン型粘着剤組成物を製造するにあたり、該乳化液(D)の23℃における静的表面張力が35mN/m以上であることを特徴とするエマルジョン型粘着剤組成物の製造方法。

Description

本発明は、エマルジョン型粘着剤組成物の製造方法に関し、更に詳しくは、高不揮発分で、かつ重合時の凝集物生成がほとんどなく、更にエマルジョンの放置安定性に優れるとともに、粘着剤として用いた場合の接着性(特にポリオレフィンに対する接着性)、保持力(特に高温下での保持力、及び湿熱下での保持力)に優れたエマルジョン型粘着剤組成物の製造方法に関するものである。
アクリル酸エステル共重合体エマルジョンはその組成を変えることにより、接着性、凝集力のバランスを変えることができるので、接着剤や粘着剤として利用することができる。そして、この場合、接着性を向上させるために、粘着付与樹脂を添加することが広く行われている。
しかしながら、粘着付与樹脂は水不溶性のため、溶剤に溶かして添加する方法や水に乳化してエマルジョンとして添加する方法などの手段が取られているが、それらの方法では水系としての利点が無くなったり、粘着付与樹脂の粒子とアクリルエマルジョンの粒子が均一に混合しないため、得られた接着剤や粘着剤は充分な接着性が得られず、又耐水性も低下するという問題点がある。
かかる問題点を解決するために、エマルジョン型の粘着剤に粘着付与樹脂を導入させる方法がいくつか提案されており、例えば、アクリル系モノマー、架橋性官能基含有共重合性モノマー、前記2成分の少なくとも一方に予め溶解した高分子化合物、及び界面活性剤を含有するエマルジョンを乳化重合させて得られる水分散型接着剤組成物(例えば、特許文献1参照。)や、架橋性モノマーと(メタ)アクリレートの混合物に、粘着付与樹脂を溶解又は分散した配合物、又はこの配合物を、乳化剤を含有する重合水溶液中に分散した乳化配合物を、水と乳化剤と重合開始剤を含有する重合水溶液に、連続的に添加しつつ重合を行って得られる共重合体エマルジョン型接着剤(例えば、特許文献2参照。)が提案されている。
しかし、これらの手法は通常の方法により乳化分散した乳化液を用いて重合を行うため、粘着付与樹脂の使用量が多くなると重合が不安定となり、得られるエマルジョンの放置安定性が低下するという問題があった。
そして、これらの問題点を解決する方法として、モノマー油滴を制御する製造法がいくつか提案されている。例えば、(メタ)アクリル酸エステルに粘着付与樹脂と油溶性開始剤を溶解させ、平均粒子径が1μm以下のモノマー油滴を形成させた後、モノマー油滴内で乳化重合を行う方法(例えば、特許文献3参照。)、(メタ)アクリル酸エステルに粘着付与樹脂を溶解させ、平均粒子径が1μm以下のモノマー油滴を形成させた後、開始剤の存在下で乳化重合を行う方法(例えば、特許文献4参照。)、(メタ)アクリル酸エステルに粘着付与樹脂を溶解させたものをアニオン性乳化剤を用いて平均粒子径が0.4μm以下のモノマー油滴を形成させた後、水溶性開始剤とアニオン性乳化剤が含有する重合水溶液中に滴下しながら重合を行う方法(例えば、特許文献5参照。)が、それぞれ提案されている。
特開昭54−23641号公報 特開昭58−185668号公報 特開2000−313865号公報 特開2001−348551号公報 特開2003−335805号公報
一方、近年ではシックハウスなどの環境問題がクローズアップされ、住宅内装関連、家電用品関連、及び自動車関連等に使用される粘着テープ、例えば両面テープや発泡体基材の粘着テープなどは溶剤系から水系エマルジョン等、無溶剤化への転換が急速に図られている。このような中、両面テープや発泡体基材の粘着テープなどでは粘着剤を厚塗りするために、粘着剤の不揮発分が高いものが要求されており、また、エマルジョン型粘着剤では溶媒に水を使用していることから、不揮発分の低いエマルジョン型粘着剤では、能力の高い乾燥機が必要となったり、乾燥に時間がかかったり、または複数回塗工する必要があったりするため、より不揮発分の高いエマルジョン型粘着剤が望まれている。
上記特許文献3の開示技術では、粘着付与樹脂の使用量が多くなると重合安定性の点でまだまだ満足のいくものではなく、また、上記特許文献5の開示技術では、あらかじめ乳化剤の存在する重合水溶液中に、粒子径を制御した粘着付与樹脂の含有した乳化液を滴下し、乳化重合するため、フリーの乳化剤ミセルへ乳化液のモノマー成分が移行し新粒子が生成することから、粒子径が小さくなり耐水性等は良好であるものの、粘着付与樹脂の使用量が多くなったり、不揮発分を高くすると重合安定性が低下してしまうという問題があった。
更に、上記特許文献4の開示技術では、重合安定性や諸物性、すなわち接着性(特にポリオレフィンに対する接着性)などとの両立は比較的出来ているものの、市場で求められている厚塗り性、すなわち高不揮発分という点ではまだまだ改良の余地がある。すなわち、一般にエマルジョン型粘着剤の市場での商品形態は、取り扱い性(作業性)、塗工適性、及び長期保存性の観点から、ベースとなる樹脂エマルジョンに防腐・防黴剤、消泡剤、濡れ性付与剤、レベリング剤、増粘剤などの添加剤が添加されてなる。この時、各種添加剤は添加ショックを避けるため、または作業性を良くするため水で希釈(溶解、または分散)させたものを添加するのが一般的で、それらを添加することにより不揮発分が低下する傾向にあり、高不揮発分のエマルジョン型粘着剤組成物を得ようとする場合、ベースとなる樹脂エマルジョンをより高不揮発分で製造することが望まれている。また、接着性(特にポリオレフィンに対する接着性)や保持力(特に高温下での保持力)においても更なる向上が望まれている。
すなわち、上記特許文献4及び5では、不揮発分が比較的低く、厚塗り性においてまだまだ満足するものではなく、上記特許文献3及び5では、接着性においてもまだまだ満足するものではなく、特にポリオレフィンに対する接着性は不充分であり、更なる改良が望まれるものである。
そこで、本発明ではこのような背景下において、エマルジョンの放置安定性に優れ、粘着剤として用いた場合の接着性(特にポリオレフィンに対する接着性)、保持力(特に高温下での保持力、及び湿熱下での保持力)に優れた性能と、高不揮発分とすることによる優れた乾燥性(厚塗り性)とを両立した、重合安定性の良好なエマルジョン型粘着剤組成物の製造方法、及びかかる製造方法により得られる粘着剤組成物を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者等はかかる課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(メタ)アクリル酸エステル(a1)を主成分とするエチレン性不飽和単量体(A)及び粘着付与樹脂(B)を含んでなる油溶成分(C)を水媒体中で乳化剤を用いて乳化させてなる乳化液(D)を、重合開始剤の存在下で重合し、エマルジョン型粘着剤組成物を製造するにあたり、該乳化液(D)の23℃における静的表面張力を35mN/m以上とすることにより、厚塗りしても乾燥性に優れた高不揮発分のエマルジョン型粘着剤組成物を得ることができ、更にエマルジョンの安定性、粘着物性にも優れたエマルジョン型粘着剤組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の要旨は、(メタ)アクリル酸エステル(a1)を主成分とするエチレン性不飽和単量体(A)及び粘着付与樹脂(B)を含んでなる油溶成分(C)を水媒体中で乳化剤を用いて乳化させてなる乳化液(D)を、重合開始剤の存在下で重合し、高濃度のエマルジョン型粘着剤組成物、特に不揮発分が50重量%以上であるエマルジョン型粘着剤組成物を製造するにあたり、該乳化液(D)の23℃における静的表面張力が35mN/m以上であるエマルジョン型粘着剤組成物の製造方法に存するものである。
本発明では、エチレン性不飽和単量体(A)として、架橋性を有する単量体(a2)を含むことが架橋剤を配合することにより凝集力を付与できることや分子量や樹脂のガラス転移点(Tg)の調整により凝集力を付与できる点で好ましい。
また、粘着付与樹脂(B)の含有量が、エチレン性不飽和単量体(A)100重量部に対して、15〜40重量部であることがオレフィンに対する接着性などの粘着物性が良好となる点で好ましい。
更に、本発明では、エチレン性不飽和単量体(A)の重合率が95%以下の段階で、エマルジョンのpHを5〜9にする中和工程を含むことも好ましく、また、乳化液(D)の乳化剤としてノニオン性乳化剤を用いることも好ましい。
本発明では前記製造方法により得られるエマルジョン型粘着剤組成物には、更に架橋剤を含有してなることが良好な粘着物性を得る点から好ましい。
本発明のエマルジョン型粘着剤組成物の製造方法によれば、エマルジョンの放置安定性に優れ、粘着剤として用いた場合の接着性(特にポリオレフィンに対する接着性)、保持力(特に高温下での保持力及び湿熱下での保持力)に優れた性能と、高不揮発分とすることによる優れた乾燥性(厚塗り性)とを両立した、重合安定性の良好なエマルジョン型粘着剤組成物を得ることができる。
以下、本発明について具体的に説明する。
なお、本発明において、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸あるいはメタクリル酸を、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
本発明で用いられるエチレン性不飽和単量体(A)としては、(メタ)アクリル酸エステル(a1)を主成分とするものであり、かかる(メタ)アクリル酸エステル(a1)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレートなどの脂肪族(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂環式(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香族(メタ)アクリレートの他、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられ、中でもメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの炭素数1〜12、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基を有する脂肪族(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
又、エチレン性不飽和単量体(A)として、架橋性を有する単量体(a2)を含有することが、凝集力を調整することが出来ることから好ましく、かかる架橋性を有する単量体(a2)としては、例えば、(1)カルボキシル基含有単量体、(2)カルボニル基、(3)水酸基含有単量体、(4)エポキシ基含有単量体、(5)アルコキシシリル基含有単量体、(6)アミド基やメチロール基を含有する単量体、(7)多官能性モノマー等が挙げられる。
(1)カルボキシル基含有単量体としては、アクリル酸、アクリル酸ダイマー、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸等が挙げられる。
(2)カルボニル基含有単量体としては、ダイアセトンアクリルアミド、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
(3)水酸基含有単量体としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(4)エポキシ基含有単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
(5)アルコキシシリル基含有単量体としては、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジクロロシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルクロロシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリプロピオキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジプロピオキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリブトキシシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、5−(メタ)アクリロキシペンチルトリメトキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルトリエトキシシラン、8−(メタ)アクリロキシオクチルトリメトキシシラン、10−(メタ)アクリロキシデシルトリメトキシシラン、12−(メタ)アクリロキシドデシルトリメトキシシラン、18−(メタ)アクリロキシオクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリポロポキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジプロポキシシラン等が挙げられる。
(6)アミド基やメチロール基を含有する単量体としては、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ブトキシN−メチロールアクリルアミド、等が挙げられる。
(7)多官能性モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのトリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシフォスフェート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ジアリルテレフタレート、テトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、トリ(メタ)アリルイソシアヌレート等が挙げられる。
上記の中でも、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジルジ(メタ)アクリレート、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−メチロールアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、2−(アセトアセトキシ)エチルメタクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルテレフタレート、ジビニルベンゼン等が特に好ましく用いられる。
又、本発明では、その他共重合可能な単量体(a3)を用いることも可能で、かかる共重合可能な単量体(a3)として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、アルキルビニルエーテル等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和単量体(A)において、(メタ)アクリル酸エステル(a1)、架橋性を有する単量体(a2)、及び共重合可能な単量体(a3)の含有割合は、(メタ)アクリル酸エステル(a1)が50〜99.9重量%、架橋性を有する単量体(a2)が0.1〜20重量%、共重合可能な単量体(a3)が0〜49.9重量%であることが好ましく、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステル(a1)が70〜99.7重量%、架橋性を有する単量体(a2)が0.3〜10重量%、共重合可能な単量体(a3)が0〜29.7重量%であり、特に好ましくは(メタ)アクリル酸エステル(a1)が80〜99.5重量%、架橋性を有する単量体(a2)が0.5〜5重量%、共重合可能な単量体(a3)が0〜19.5重量%である。
(メタ)アクリル酸エステル(a1)が下限値未満では充分な接着力、タックが得られない傾向にある。架橋性を有する単量体(a2)が下限値未満では保持力が低下し、上限値を超えると接着力、タックが低下する傾向にある。共重合可能な単量体(a3)が上限値を超えると接着力、タックが低下する傾向にある。
本発明に用いられる粘着付与樹脂(B)としては、エチレン性不飽和単量体(A)に溶解又は分散するものであればよく、例えば、スーパーエステルA−75(荒川化学社製)、スーパーエステルA−100(荒川化学社製)、スーパーエステルA−125(荒川化学社製)等のロジンエステル、ペンセルD−125(荒川化学社製)、ペンセルD−135(荒川化学社製)、ペンセルD−160(荒川化学社製)、リカタックPCJ(理化ファインテック社製)等の重合ロジンエステル、ニカノールHP−100(三菱ガス化学社製)、ニカノールHP−150(三菱ガス化学社製)、ニカノールH−80等のキシレン樹脂、YSポリスターT−115(ヤスハラケミカル社製)、マイテックG125(ヤスハラケミカル社製)等のテルペンフェノール樹脂、FTR−6120(三井石油化学社製)、FTR−6100(三井石油化学社製)等の石油樹脂、その他、クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂、スチレン樹脂、エチレン/酢酸ビニル樹脂等が挙げられ、1種または2種以上用いることができる。
又、エラストマーと呼ばれるスチレン−ブタジエンブロックポリマー、スチレン−イソプレンブロックポリマー、エチレン−イソプレン−スチレンブロックポリマー、塩ビ/酢ビ系ポリマー、アクリルゴム等も用いることができる。
本発明では、上記エチレン性不飽和単量体(A)と粘着付与樹脂(B)を配合し、油溶成分(C)を形成するが、かかる配合割合は、エチレン性不飽和単量体(A)100重量部に対して、粘着付与樹脂(B)が1〜50重量部であることが好ましく、より好ましくは15〜40重量部、特に好ましくは20〜35重量部である。粘着付与樹脂(B)が下限値未満では充分な接着性、特にポリオレフィンに対する接着性が得られない傾向があり、上限値を超えると重合が不安定になるとともに、充分な接着性、タックが得られなくなる傾向がある。
エチレン性不飽和単量体(A)と粘着付与樹脂(B)を含んでなる油溶成分(C)を、水媒体中で乳化剤を用いて乳化させるに当たり、用いられる乳化剤としては、各成分を水媒体中に乳化させ得る機能を持つものであれば特には限定されないが、例えば、反応性(イオン性又はノニオン性)界面活性剤、非反応性(イオン性又はノニオン性)界面活性剤等が単独又は併用して用いられる。特にアニオン性乳化剤とノニオン性乳化剤を併用すると重合安定性が良好になり好ましい。また、耐水性を考慮すれば、反応性界面活性剤を用いるほうが好ましい。
反応性界面活性剤とは、エチレン性不飽和単量体(A)とラジカル反応性を有するイオン性、ノニオン性の界面活性剤であればよく、該反応性界面活性剤としては例えば、下記一般式(1)〜(11)のような構造をもつものが挙げられる。
Figure 2007211074
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〔ここで、一般式(1)〜(11)において、Rはアルキル基、Rは水素又はメチル基、Rはアルキレン基、nは1以上の整数、m、lは1以上の整数(m+n=3)、Xは水素、SONH4、SONaのいずれかである。〕
上記界面活性剤として具体的には、アデカリアソープSE−10N(アニオン性)、アデカリアソープSE−20N(アニオン性)、アデカリアソープSR−10(アニオン性)、アデカリアソープSR−20(アニオン性)、アデカリアソープNE−10(ノニオン性)、アデカリアソープNE−20(ノニオン性)、アデカリアソープNE−30(ノニオン性)、アデカリアソープNE−40(ノニオン性)、アデカリアソープER−10(ノニオン性)、アデカリアソープER−20(ノニオン性)、アデカリアソープER−30(ノニオン性)、アデカリアソープER−40(ノニオン性)、アデカリアソープSDX−730(アニオン性)、アデカリアソープSDX−731(アニオン性)、アデカリアソープPP−70(アニオン性)、アデカリアソープPP−710(アニオン性)〔以上、旭電化(株)製〕、エレミノールJS−2(アニオン性)、エレミノールJS−20(アニオン性)、エレミノールRS−30(アニオン性)〔以上、三洋化成(株)製〕、ラテムルS−180A(アニオン性)、ラテムルS−180(アニオン性)、ラテムルPD−104(アニオン性)〔以上、花王(株)製〕、アクアロンBC−05(アニオン性)、アクアロンBC−10(アニオン性)、アクアロンBC−20(アニオン性)、アクアロンHS−05(アニオン性)、アクアロンHS−10(アニオン性)、アクアロンHS−20(アニオン性)、アクアロンRN−10(ノニオン性)、アクアロンRN−20(ノニオン性)、アクアロンRN−30(ノニオン性)、アクアロンRN−50(ノニオン性)、アクアロンKH−05(アニオン性)、アクアロンKH−10(アニオン性)、ニューフロンティアS−510(アニオン性)〔以上、第一工業製薬(株)製〕、フォスフィノ−ルTX(アニオン性)〔東邦化学工業(株)製〕)等の市販品が挙げられる。
又、反応性を有しないアニオン型乳化剤としては、例えばアルキル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
反応性を有しないノニオン型乳化剤としては、例えばオキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸等が挙げられる。
具体的にはアデカプルロニックL−31、アデカプルロニックL−61、アデカプルロニックL−62、アデカプルロニックL−72、アデカプルロニックL−101、アデカプルロニックL−121、アデカプルロニックL−122などのアデカプルロニックLシリーズ、アデカプルロニックP−103などのアデカプルロニックPシリーズ、アデカプルロニックF−68、アデカプルロニックF−88などのアデカプルロニックFシリーズ、アデカプロにックTR−701、アデカプルロニックTR−702などのアデカプルロニックTRシリーズ〔以上、旭電化(株)製〕などが挙げられる。
かかる乳化剤の使用量は、エチレン性不飽和単量体(A)100重量部に対して、0.5〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.8〜7重量部、特に好ましくは1〜5重量部である。該乳化剤が上記下限値未満では乳化重合が不安定となる傾向にあり、上限値を超えると基材密着性や被着体汚染の原因となる傾向にある。
次に、(メタ)アクリル酸エステル(a1)、架橋性を有する単量体(a2)及びその他の共重合可能な単量体(a3)を含有するエチレン性不飽和単量体(A)と粘着付与樹脂(B)を含んでなる油溶成分(C)を、水媒体中で上記乳化剤を用いて乳化させて乳化液(D)を調製し、かかる乳化液(D)を重合開始剤の存在下で重合し、エマルジョン型粘着剤組成物を製造するわけであるが、かかる乳化液(D)を得る方法について以下に説明する。
各成分の仕込み方法としては、水に乳化剤を溶解した後、その他の成分を仕込むことが好ましい。
水の使用量は、エチレン性不飽和単量体(A)と粘着付与樹脂(B)の合計量100重量部に対して、40〜120重量部であることが好ましく、より好ましくは60〜100重量部、特に好ましくは65〜90重量部である。水の使用量が下限値未満では乳化液が高粘度となり、又、重合安定性も低下する傾向があり、上限値を超えると生成する乳化液のモノマー濃度が低くなり、本発明にあるエマルジョンの不揮発分を50重量%以上とするには脱水工程のような多くの水を除外する工程が別途必要となり、製造上好ましくない。
本発明における乳化液(D)は、エチレン性不飽和単量体(A)と粘着付与樹脂(B)を含んでなる油溶成分(C)を、水媒体中で乳化剤を用いて乳化させて得られるが、その23℃における静的表面張力は35mN/m以上、好ましくは38mN/m以上、特に好ましくは39mN/m以上である。乳化液(D)において、静的表面張力が下限値未満であると重合時に多量の凝集物が生成し、現場製造のような大きなスケールでの製造は極めて困難であり、また、塗膜の接着力、特にポリオレフィンに対する接着力に劣り本発明の効果が得られない。このことは、乳化液(D)の静的表面張力が本発明の下限未満であると乳化重合の併発が多くなり、粘着付与樹脂を含まない粒子が生成したり、または粒子中の粘着付与樹脂の配合分布に偏りが出来、粘着付与樹脂とアクリル樹脂との相溶性などが悪くなるためと推察される。また、本発明においては、乳化液(D)の静的表面張力の上限値としては通常55mN/mが好ましく、特には50mN/m、更には45mN/mが好ましく、かかる上限値を超えると乳化液(D)の粘度が高くなり作業性が悪くなったり、用いた乳化剤が少量の場合は乳化液(D)の安定性が悪くなり重合安定性が悪化する傾向がある。
乳化液(D)の静的表面張力を35mN/m以上とする方法としては、特に限定されないが、乳化剤の種類や量の選択、及び/又は乳化処理の条件を変更することで調整することができる。すなわち乳化液の静的表面張力は、粒子形成に関与していない、いわゆる系中にフリーに存在する乳化剤の量に大きく左右される。フリーの乳化剤が少なければ少ないほどその静的表面張力は大きくなり、逆に多くなれば静的表面張力は小さくなる。乳化剤の種類と量が同じであればせん断力を高めると粒子径が小さくなりフリーの乳化剤量が減り、結果として静的表面張力は大きくなる。ただし、使用する乳化剤の種類によって乳化力は異なる為、最適な量や乳化処理の条件は異なるが、例えば乳化力の強い乳化剤を使用する場合には、量を減らす又は/及び乳化処理のせん断力を高めるなどの変更により静的表面張力を35mN/m以上となるよう調整することができる。
乳化の手順としては各成分を混合し、任意の撹拌装置等で充分撹拌を行い、更にせん断力を高めた処理を行うなど、複数回の段階を踏まえて最終的に静的表面張力が35mN/m以上となるよう調整することが好ましい。すなわち一旦、静的表面張力が35mN/m未満である乳化液(d)とした後、更に乳化分散させ、静的表面張力が35mN/m以上である乳化液(D)とすることが、乳化液の転相分離が起こりにくい点で好ましい。複数回の段階の調整とは、例えば、各成分を混合し、ホモディスパー、パドル翼等の撹拌翼を取り付けた撹拌装置を用いて予備乳化を行い、この予備乳化液(d1)を更に、よりせん断力の高い処理で乳化分散させ、静的表面張力が35mN/m未満である乳化液(d2)とする。その後、更に、よりせん断力の高い処理で乳化分散させ、静的表面張力が35mN/m以上である乳化液(D)とすることである。
静的表面張力が35mN/m以上である乳化液(D)を調整する際に使用する、せん断力の高い処理としては、特に限定されないが、高圧ホモジナイザー処理、超音波処理、ハイドロシャー等の乳化装置による方法が挙げられ、特に高圧ホモジナイザー処理が効率よく、粒子径分布の狭い乳化液が得られる点で好ましい。
高圧ホモジナイザーを用いる際は、予備乳化液(d1)の高圧ホモジナイザーの通過(Pass)回数を1〜5回程度とすることが好ましいが、本発明のように粘着付与樹脂の比率が多くなる場合には、予備乳化液(d1)をいきなり高圧処理とすると転相し、乳化できない場合が多いため、予備乳化液(d1)は、まず低圧処理(150kg/cm以下、好ましくは100kg/cm以下)を1回又は複数回行い、乳化液(d2)を経てから、高圧処理(180kg/cm以上、好ましくは200kg/cm以上)を1回又は複数回行い乳化液(D)とすることが好ましい。
乳化液(d2)及び/又は乳化液(D)の静的表面張力を測定するに当たり、その方法としてデュ・ヌイ(リング)法や、ウィル・ヘルミー(プレート)法などが挙げられるが、本発明における静的表面張力の値は、23℃の条件下でのデュ・ヌイ(リング)法で測定した値を示している。
また、乳化時の温度は、乳化中に混合物が反応しない程度の温度であれば問題なく、通常5〜60℃程度が適当である。
上記の乳化液(D)を調製後、該乳化液(D)を重合開始剤の存在下で重合を行うのであるが、その方法としては、(1)乳化液(D)全量をそのまま昇温して重合する方法、(2)乳化液(D)の一部を昇温して重合を開始し、残りの乳化液(D)(必要に応じて重合開始剤も滴下)を滴下又は分割添加して重合を継続する方法、(3)反応缶に水(重合安定性に影響の無い程度に一部の乳化剤、及び重合開始剤を仕込んでおいてもよい)を仕込んで昇温した後、乳化液(D)を全量滴下又は分割添加して重合する方法、(4)反応缶にポリマーエマルジョン(必要に応じて水及び重合開始剤を仕込んでおいても良い)を仕込んで昇温した後、乳化液(D)を全量滴下又は分割添加して重合する方法、(5)上記(1)〜(4)の方法で乳化液(D)を反応させた後、更にエチレン性不飽和単量体、乳化剤、及び水が主成分である乳化液を滴下又は分割添加して重合する方法、等が挙げられるが、重合温度の制御が容易である点で、(2)、(3)、(4)、及び(5)の方法が好ましく、さらに高不揮発分とし易いことから(2)、(4)及び(5)の方法が特に好ましい。特に他のポリマーエマルジョンを準備したり、乳化液(D)とは別の乳化液を準備したりする必要が無く、乳化液(D)のみの調製でよいといった製造工程上の簡便さから(2)の方法が最も好ましい。
重合開始剤の使用量は、エチレン性不飽和単量体(A)100重量部に対して、0.05〜5重量部であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜3重量部である。重合開始剤が下限値未満では重合速度が遅くなったり、重合反応がスムーズに進行しなかったりし、上限値を超えると樹脂の分子量が低くなり、保持力が低下する傾向がある。
重合開始剤としては、特に制限されず、水溶性、油溶性のいずれのものも用いることが可能で、具体的には、アルキルパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、p−メタンヒドロパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ラウロリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ジ−イソブチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾジイソブチレート、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリックアシッドのアンモニウム(アミン)塩、2,2’−アゾビス(2−メチルアミドオキシム)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルブタンアミドオキシム)ジヒドロクロライドテトラヒドレート、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕−プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス〔2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド〕、各種レドックス系触媒(この場合酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド等が、還元剤としては亜硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等が用いられる。)等が挙げられる。
尚、該重合開始剤は重合缶内に予め加えておいてもよいし、重合開始直前に加えてもよいし、又、乳化の前のエチレン性不飽和単量体(A)及び粘着付与樹脂(B)の混合液に予め添加したり、該乳化後の乳化液(D)に添加してもよい。
又、必要に応じて、重合時のpH調整のため、pH緩衝剤を併用してもよい。
上記重合方法における重合条件としては、特に限定されないが、例えば、(1)の方法では、通常40〜100℃程度の温度範囲が適当であり、昇温開始後1〜8時間程度反応を行った後(重合工程)、その後同温度(重合工程の温度と異なっても良い)で1〜3時間程度熟成する(熟成工程)。
(2)の方法では、乳化液(D)の5〜50重量%を40〜90℃で0.1〜4時間重合開始した後、残りの乳化液(D)を1〜5時間程度かけて滴下又は分割添加して(重合工程)、その後同温度(重合工程の温度と異なっても良い)で1〜3時間程度熟成する(熟成工程)。
(3)の方法では、水を乳化液(D)の1〜20重量%となるように仕込み、40〜90℃に昇温し、乳化液(D)を2〜5時間程度かけて滴下又は分割添加し(重合工程)、その後同温度(重合工程の温度と異なっても良い)で1〜3時間程度熟成する(熟成工程)。
(4)の方法では、ポリマーエマルジョンを乳化液(D)の5〜50重量%となるように仕込み、40〜90℃に昇温し、乳化液(D)を2〜5時間程度かけて滴下又は分割添加し(重合工程)、その後同温度(重合工程の温度と異なっても良い)で1〜3時間程度熟成する(熟成工程)。
(5)の方法では、乳化液(D)の全量が総仕込み量の30〜90重量%となるよう仕込み40〜90℃で0.1〜8時間重合開始した後、更に乳化液(D)とは別の、エチレン性不飽和単量体、乳化剤、水が主成分である予備乳化液を総仕込量の70〜10重量%(全体が100重量%)となるように1〜5時間程度かけて滴下又は分割添加し(重合工程)、その後同温度(重合工程の温度と異なっても良い)で1〜3時間程度熟成する(熟成工程)。
また、本発明では、(1)〜(5)の方法で、重合中のエマルジョン粒子の重合率が95%以下の段階で、エマルジョンのpHを5〜9に中和することで重合安定性が良好となる点から望ましく、更に好ましくは重合率が70〜95%、特に好ましくは重合率が85〜95%である。重合率が70%未満では未反応のエチレン性不飽和単量体(A)などの反応性が悪くなり残存モノマー量が増える傾向にあり好ましくなく、95%より重合率が高くなってから中和すると粒子の安定性が悪くなる傾向にある。
特に(1)〜(5)の方法では、熟成工程の前に中和工程を行うと重合率が好ましい範囲となり望ましい。なお、重合率はエマルジョンの不揮発分(N2)を測定し、式1)より求める。
式1) P=(N2−N3/N1−N3)×100
ここで、
P;重合率(%)
1;エマルジョンの不揮発分計算値(%)
2;エマルジョンの不揮発分実測値(%)
3;エチレン性不飽和単量体(A)以外の不揮発分計算値(%)
なお、上記、(N1)はサンプリングした段階でのエマルジョンの不揮発分の計算値であり、その段階までに仕込まれた原料から計算し、式2)より求められる。また、(N2)はサンプリングした段階での不揮発分実測値であり、「JIS K 6828−1、合成樹脂エマルジョン−第1部;不揮発分の求め方、条件B」に従い求められる。また、(N3)はエチレン性不飽和単量体(A)以外の成分の不揮発分計算値であり、その段階までに仕込まれた原料から計算し、式3)より求められる。
式2) N1=[(A+B+C+D)/T]×100
式3) N3=[(B+C+D)/T]×100
ここで、
A;エチレン性不飽和単量体(A)(部)
B;粘着付与樹脂(B)(部)
C;乳化剤(D)の不揮発分値(部)
D;その他(A,B,C以外)の原料の不揮発分値(部)
T;総仕込み原料(部)
かくして本発明のエマルジョン型粘着剤組成物が得られるが、本発明においては、高濃度のエマルジョン型粘着剤組成物を良好に製造することができ、通常、エマルジョンの不揮発分が50重量%以上、好ましくは50〜70重量%といったものを得ることができる。又、粘着付与樹脂を多量に含む系でも凝集力や粗粒子がほとんど発生することなく安定して重合を行うことができ、更に放置安定性に優れたエマルジョン型粘着剤組成物を製造することができる。
又、本発明では、必要に応じて、防腐・防黴剤、消泡剤、増粘剤、レベリング剤、濡れ性改良剤、防錆剤、凍結融解安定剤、可塑剤、高沸点溶剤、顔料、充填剤等を、得られたエマルジョン型粘着剤組成物に適宜添加したり、重合前や重合途中に添加したりすることができる。
又、本発明では、上記架橋性を有する単量体(a2)の官能基を架橋する目的で、架橋剤(好ましくは官能基を2個以上有するもの)を併用することが凝集力を付与できることから好ましく、かかる架橋剤としては、例えば、(1)ヒドラジド系化合物、(2)イソシアネート系化合物、(3)メラミン系化合物、(4)アジリジン系化合物、(5)エポキシ系化合物、(6)オキサゾリン系化合物、(7)カルボジイミド系化合物、(8)金属系化合物、(9)アミノ基含有系化合物等が挙げられる。
(1)ヒドラジン系化合物としては、蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
(2)イソシアネート系化合物としては、トルイレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、等のイソシアネート化合物、「スミジュールN」(住友バイエルウレタン社製)の如きビュレットポリイソシアネート化合物、「デスモジュールIL」、「デスモジュールHL」(バイエルA.G.社製)、「コロネートEH」(日本ウレタン社製)の如きイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート化合物、「スミジュールL」(住友バイエルウレタン社製)の如きアダクトポリイソシアネート化合物、「コロネートHL」(日本ポリウレタン社製)の如きアダクトポリイソシアネート化合物、「アクアネート100」、「アクアネート110」、「アクアネート200」、「アクアネート210」(日本ポリウレタン社製)の如き自己乳化型の水分散ポリイソシアネート化合物等が挙げられる。
(3)メラミン系化合物としては、ヘキサメトキシメチロールメラミン、メトキシメチロールユリア等が挙げられる。
(4)アジリジン系化合物としては、「ケミタイトPZ−33」、「ケミタイトDZ−22E」(日本触媒社製)等が挙げられる。
(5)エポキシ系化合物としては、「デナコールEX−611」、「デナコールEX−612」、「デナコールEX−614」、「デナコールEX−614B」、「デナコールEX−622」、「デナコールEX−512」、「デナコールEX−521」、「デナコナールEX−411」、「デナコールEX−421」、「デナコールEX−313」、「デナコールEX−314」、「デナコールEX−321」、「デナコールEX−201」、「デナコールEX−211」、「デナコールEX−212」、「デナコールEX−252」、「デナコールEX−810」、「デナコールEX−811」、「デナコールEX−850」、「デナコールEX−851」、「デナコールEX−821」、「デナコールEX−830」、「デナコールEX−832」、「デナコールEX−841」、「デナコールEX−861」、「デナコールEX−911」、「デナコールEX−941」、「デナコールEX−920」、「デナコールEX−931」(ナガセケムテックス社製)、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、N,N,N′,N′−テトラグリシジルm−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N′−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
(6)オキサゾリン系化合物としては、「エポクロスWS−500」、「エポクロスWS−700」、「エポクロスK−2010E」、「エポクロスK−2020E」、「エポクロスK−2030E」(日本触媒社製)等が挙げられる。
(7)カルボジイミド系化合物としては「カルボジライトV−02」、「カルボジライトV−02−L2」、「カルボジライトV−04」、「カルボジライトV−06」、「カルボジライトE−01」、「カルボジライトE−02」(日清紡社製)等が挙げられる。
(8)金属系化合物としては、テトラエチルチタネート、テトラエチルジルコネート、アルミニウムイソプロピオネート等の金属アルコキシドや、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウム等の多価金属のアセチルアセトンやアセト酢酸エステル、エチレンジアミン四酢酸配位化合物の金属キレート化合物等や、酢酸−アンモニウム錯塩、アンモニウム−カーボネート錯塩等の金属錯体等が挙げられる。
(9)アミノ基含有系化合物としては、1,3−ジアミノプロパン、ビス−(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス−(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ビス−(3−アミノプロポキシ)−2,2−ジメチルプロパン、1,4−ジアミノブタン等が挙げられる。
これらの架橋剤としては、特に水溶液型、水分散型あるいは自己乳化型のものが好適に用いられ、2種以上併用してもよい。
架橋剤の含有量については、アクリル系樹脂エマルジョン中のアクリル系樹脂100重量部に対して0.01〜20重量部であることが好ましく、特には0.05〜15重量部、更には0.1〜10重量部であることが好ましい。かかる含有量が下限値未満では凝集力不足となるなど物性バランスが悪化する傾向があり、上限値を超えると接着力が低下する傾向がある。
本発明で得られるエマルジョン型粘着剤組成物は、特に粘着シート、粘着ラベル、粘着テープ等の粘着製品に使用され、特に両面テープ用途、発泡体テープ用途、粘着ラベル用途等に好適に使用される。
かくして本発明では、(メタ)アクリル酸エステル(a1)を主成分とするエチレン性不飽和単量体(A)及び粘着付与樹脂(B)を含んでなる油溶成分(C)を、水媒体中で乳化剤を用いて乳化させて、23℃における静的表面張力が35mN/m以上となる乳化液(D)を調整し、該乳化液(D)を、重合開始剤の存在下で重合することにより、エマルジョン型粘着剤組成物を得るため、エマルジョンの不揮発分が高く、かつ粘着付与樹脂を多量に含む系においても、重合時の凝集物生成がほとんどなく、得られるエマルジョンの放置安定性に優れ、更に被膜の接着性(特にポリオレフィンに対する接着性)、保持力(特に高温下での保持力、及び湿熱下での保持力)に優れた効果を有するものである。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
尚、例中「部」、「%」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
実施例1
2−エチルヘキシルアクリレート25部、n−ブチルアクリレート66部、メタクリル酸メチル6部、アクリル酸2部、ダイアセトンアクリルアミド1部及び「ペンセルD−135」(重合ロジン系粘着付与樹脂:荒川化学社製)23部を含む混合液を、水88.2部に第二燐酸ソーダ水塩0.6部、乳化剤である「アデカリアソープSR−10」2.8部、及び「アデカリアソープER−10」0.5部を溶解した水溶液に加え、ホモディスパーを用いて撹拌混合し予備乳化を行った。
次いで、この予備乳化液(d1)を高圧ホモジナイザー(GAULIN社製、15MR−8TA)を用いて、圧力70kg/cmで1Pass処理した。かかる乳化液(d2)をデュ・ヌイ(リング)法を用いて、23℃の条件下で静的表面張力を測定したところ33.4mN/mであった。更に、かかる乳化液(d2)を圧力300kg/cmで1Pass処理し、静的表面張力が40.4mN/mの乳化液(D)215.1部を得た。
又、重合開始剤として過硫酸アンモニウム(キシダ化学社製)0.5部を水4.5部に溶解し、開始剤液を調製した。
次に、ステンレス製の重合缶に水3.7部、上記乳化液(D)43.7部を仕込み、昇温して内温が75℃となったところで、上記開始剤液の10%を添加し、75℃で30分間重合を行った後、残りの乳化液(D)及び開始剤液の60%をそれぞれ4.5時間かけて75℃で滴下重合を行った。滴下終了10分後に10%アンモニア水4部を添加してpHを8に調整した。このときアンモニア水添加前(中和前)の重合率は90%であった。更に20分後に上記開始剤の30%を添加し、その後同温で1.5時間重合を行った。その後、55℃とし、パーブチルH−69(日本油脂社製)の0.15部を水の1.35部で希釈したのもを添加し、更に、亜硫酸水素ナトリウム(和光純薬社製)の0.15部を水の1.35部で希釈したものを添加し、追い込み重合を行い、冷却してエマルジョン型粘着剤組成物(I)を得た(不揮発分55%、粘度500mPa・s(BM型粘度計、12rpm、ローターNo.4、23℃)、粒子径208nm)。
更にその後、防腐剤の「ビオサイトW−B350」(タイショーテクノス社製)0.1部を水0.2部で希釈したもの、及び、消泡剤の「SNデフォーマーJK」(サンノプコ社製)0.1部を水0.2部で希釈したもの、及び、濡れ剤の「SNウェット970」(サンノプコ社製)1部を水2部で希釈したものを添加し、架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製)0.4部を水0.8部で分散させたものを添加し、さらに増粘剤である「アデカノールUH−541」(旭電化社製;有効成分30%)3.9部を水3.9で希釈したものを添加し、エマルジョン型粘着剤組成物(II)を得た(不揮発分53%、粘度10500mPa・s(BM型粘度計、12rpm、ローターNo.4、23℃))。
得られたエマルジョン型粘着剤組成物(II)の放置安定性、凝集物量を下記の如く評価した。
(放置安定性)
得られたエマルジョン型粘着剤組成物(II)を室温下で6ヶ月間静置した後の沈降物や分離の有無を観察した。評価基準は以下の通りである。
○・・・沈降物又は分離なし
×・・・沈降物又は分離あり
(凝集物量)
得られたエマルジョン型粘着剤組成物(II)100gを150目ナイロン網でろ過し、ろ過成分(凝集物)を100℃で3時間乾燥して、該凝集物の重量を測定した。
(反応缶の汚れ)
製造したエマルジョン型粘着剤組成物(II)を抜き取った後の反応缶の汚れ(付着物)の度合いを目視で観察した。評価基準は以下の通りである。
○・・・ほとんど付着物なし
△・・・少量の付着物あり
×・・・付着物が多い
又、得られたエマルジョン型粘着剤組成物(II)の粘着物性を下記の如く評価した。
(ポリオレフィンに対する接着力)
得られたエマルジョン型粘着剤組成物(II)を離型紙上に乾燥後の厚みが50μmになるように塗布し、100℃で5分間乾燥させて25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに転写して粘着フィルムを作製した。該粘着フィルムを、ポリエチレン板(日本テストパネル標準試験板)に23℃、50%RHの雰囲気下で接着させて、JIS Z 0237の粘着力の測定法に準じて180度剥離強度を測定した。
(保持力)
得られたエマルジョンを離型紙上に乾燥後の厚みが50μmになるように塗布し、100℃で5分間乾燥させて25μmのPETフィルムに転写して粘着フィルムを作製した。該粘着フィルムを、ステンレス板(SUS304)の試験板に貼り付け面積が25mm×25mmになるように貼着し、(1)40℃×80%RHの条件下、又は(2)80℃の条件下にて1kgの荷重をかけて、JIS Z 0237の保持力の測定法に準じて、該フィルムの24時間後のズレ(mm)を測定した。
実施例2
実施例1において、乳化剤を「SR−10」2.4部および「ER−10」0.4部に変更し、静的表面張力を41.2mN/mに調製した乳化液(D)を用いた以外は同様に行い(中和前の重合率89%)、エマルジョン型粘着剤組成物(I)(不揮発分55%、粘度450mPa・s、粒子径225nm)及びエマルジョン型粘着剤組成物(II)(不揮発分53%、粘度10000mPa・s)を得た。
得られたエマルジョン型粘着剤組成物(II)について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例3
実施例1において、高圧ホモジナイザー(GAULIN社製、15MR−8TA)を用いて、圧力70kg/cmで2Pass処理した後、更に圧力300kg/cmで1Pass処理して、静的表面張力を41.9mN/mに調製した乳化液(D)を用いた以外は同様に行い(中和前の重合率91%)、エマルジョン型粘着剤組成物(I)(不揮発分55%、粘度600mPa・s、粒子径197nm)及びエマルジョン型粘着剤組成物(II)(不揮発分55%、粘度11000mPa・s、)を得た。
得られたエマルジョン型粘着剤組成物(II)について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例4
実施例1において、高圧ホモジナイザー(GAULIN社製、15MR−8TA)を用いて、圧力70kg/cmで3Pass処理した後、更に圧力300kg/cmで1Pass処理して、静的表面張力を43.8mN/mに調製した乳化液(D)を用いた以外は同様に行い(中和前の重合率90%)、エマルジョン型粘着剤組成物(I)(不揮発分55%、粘度630mPa・s、粒子径195nm)及びエマルジョン型粘着剤組成物(II)(不揮発分53%、粘度12000mPa・s)を得た。
得られたエマルジョン型粘着剤組成物(II)について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例5
実施例1において、水87.2部、「アデカリアソープSR−10」1.6部、及び「アデカリアソープER−10」0.3部に変更して得られた乳化液(D)(静的表面張力42.1mN/m)を用いて、重合缶に水3.7部、及び該乳化液(D)の215.1部の全量を仕込み、昇温して内温が75℃となったところで、上記開始剤液の5%を添加し、75℃で2時間重合を行った。その後、残りの開始剤液の65%を2.5時間かけて75℃で滴下し重合を行った。滴下終了10分後に10%アンモニア水4部を添加してpHを8に調整した。このときアンモニア水添加前(中和前)の重合率は89%であった。更に20分後に上記開始剤の30%を添加し、その後同温で1.5時間重合を行った。その後、55℃とし、パーブチルH−69の0.15部を水の1.35部で希釈したのもを添加し、更に亜硫酸水素ナトリウムの0.15部を水の1.35部で希釈したものを添加し追い込み重合を行い、冷却してエマルジョン型粘着剤組成物(I)を得た(不揮発分55%、粘度500mPa・s、粒子径210nm)。
更にその後、防腐剤の「ビオサイトW−B350」(タイショーテクノス社製)0.1部を水0.2部で希釈したもの、及び、消泡剤の「SNデフォーマーJK」(サンノプコ社製)0.1部を水0.2部で希釈したもの、及び、濡れ剤の「SNウェット970」(サンノプコ社製)1部を水2部で希釈したものを添加し、架橋剤としてアジピン酸ジヒドラジド(大塚化学社製)0.4部を水0.8部で分散させたものを添加し、さらに増粘剤である「アデカノールUH−541」(旭電化社製;有効成分30%)3.9部を水3.9で希釈したものを添加し、エマルジョン型粘着剤組成物(II)を得た(不揮発分53%、粘度10700mPa・s)。
得られたエマルジョン型粘着剤組成物(II)について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例6
実施例1において、「ペンセルD−135」(重合ロジン系粘着付与樹脂:荒川化学社製)を30部として、静的表面張力を39.7mN/mに調製した乳化液(D)を用いた以外は同様に行い(中和前の重合率は89%)、エマルジョン型粘着剤組成物(I)(不揮発分55%、粘度560mPa・s、粒子径203nm)及びエマルジョン型粘着剤組成物(II)(不揮発分53%、粘度11000mPa・s)を得た。
得られたエマルジョン型粘着剤組成物(II)について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例7
実施例1において、「スーパーエステルA−125」(ロジンエステル系粘着付与樹脂:荒川化学社製)を用いて、静的表面張力を40.0mN/mに調製した乳化液(D)を用いた以外は同様に行い(中和前の重合率は89%)、エマルジョン型粘着剤組成物(I)(不揮発分55%、粘度580mPa・s、粒子径200nm)及びエマルジョン型粘着剤組成物(II)(不揮発分53%、粘度11300mPa・s)を得た。
得られたエマルジョン型粘着剤組成物(II)について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例8
実施例1において、乳化剤の「ER−10」の代わりに「アデカプルロニックL−61」(旭電化社製)を用いて、静的表面張力を41.0mN/mに調製した乳化液(D)を用いた以外は同様に行い(中和前の重合率90%)、エマルジョン型粘着剤組成物(I)(不揮発分55%、粘度490mPa・s、粒子径212nm)及びエマルジョン型粘着剤組成物(II)(不揮発分53%、粘度9900mPa・s)を得た。
得られたエマルジョン型粘着剤組成物(II)について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例9
実施例1において、10%アンモニア水の添加のタイミングを滴下終了10分後から、60分後に変更したこと以外は同様に行い(中和前の重合率は94%)、エマルジョン型粘着剤組成物(I)(不揮発分55%、粘度500mPa・s、粒子径205nm)及びエマルジョン型粘着剤組成物(II)(不揮発分53%、粘度11200mPa・s)を得た。
得られたエマルジョン型粘着剤組成物(II)について、実施例1と同様の評価を行った。
比較例1
実施例1において、高圧ホモジナイザー(GAULIN社製、15MR−8TA)を用いて、圧力30kg/cmで1Pass処理した後、更に圧力100kg/cmで1Pass処理して、静的表面張力を34.3mN/mに調製した乳化液(D)を用いた以外は同様に行い(中和前の重合率90%)、エマルジョン型粘着剤組成物(I)(不揮発分54%、粘度620mPa・s、粒子径195nm)及びエマルジョン型粘着剤組成物(II)(不揮発分52%、粘度15500mPa・s)を得た。
得られたエマルジョン型粘着剤組成物(II)について、実施例1と同様の評価を行った。
実施例と比較例の実施形態を表1に、評価結果を表2に示す。

Figure 2007211074
Figure 2007211074
本発明では、高不揮発分で、かつ重合時の凝集物生成がほとんどなく、更にエマルジョンの放置安定性に優れるとともに、粘着剤として用いた場合の接着性(特にポリオレフィンに対する接着性)、保持力(特に高温下での保持力及び湿熱下での保持力)に優れたエマルジョン型粘着剤組成物を得ることができ、得られた粘着剤組成物は、特に粘着シート、粘着ラベル、粘着テープ等の粘着製品に使用され、特に両面テープ用途、発泡体テープ用途、粘着ラベル用途等に好適に使用される。

Claims (7)

  1. (メタ)アクリル酸エステル(a1)を主成分とするエチレン性不飽和単量体(A)及び粘着付与樹脂(B)を含んでなる油溶成分(C)を水媒体中で乳化剤を用いて乳化させてなる乳化液(D)を、重合開始剤の存在下で重合し、エマルジョン型粘着剤組成物を製造するにあたり、該乳化液(D)の23℃における静的表面張力が35mN/m以上であることを特徴とするエマルジョン型粘着剤組成物の製造方法。
  2. エチレン性不飽和単量体(A)として、架橋性を有する単量体(a2)を含むことを特徴とする請求項1記載のエマルジョン型粘着剤組成物の製造方法。
  3. 粘着付与樹脂(B)の含有量が、エチレン性不飽和単量体(A)100重量部に対して、15〜40重量部であることを特徴とする請求項1又は2記載のエマルジョン型粘着剤組成物の製造方法。
  4. エチレン性不飽和単量体(A)の重合率が95%以下の段階で、エマルジョンのpHを5〜9にする中和工程を含むことを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のエマルジョン型粘着剤組成物の製造方法。
  5. 乳化液(D)の乳化剤としてノニオン性乳化剤を用いることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のエマルジョン型粘着剤組成物の製造方法。
  6. 請求項1〜5いずれか記載のエマルジョン型粘着剤組成物の製造方法により得られる粘着剤組成物。
  7. 更に、架橋剤を含有してなることを特徴とする請求項6記載の粘着剤組成物。
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