JP2014105262A - 両面粘着テープ - Google Patents

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諭勲 白石
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Abstract

【課題】耐熱せん断保持力に優れ、適度な粘着力を有し、粘着剤層で凝集破壊が生じがたく、打ち抜き加工性に優れ、例えば、電子機器、尿、鼻水、血液などの体外診断薬の検査キット、スマートフォン、携帯電話などに用いられるフィルムやシートなどを固定する際に有用な両面粘着テープを提供すること。
【解決手段】支持体の両面に(メタ)アクリル樹脂系粘着剤で形成された粘着剤層を有する両面粘着テープであって、支持体と2つの粘着剤層との厚さの総和が3〜30μmであり、粘着剤層におけるゲル分率が15〜50質量%であることを特徴とする両面粘着テープ。
【選択図】なし

Description

本発明は、両面粘着テープに関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、電子機器、尿、鼻水、血液などの体外診断薬の検査キット、スマートフォン、携帯電話などに用いられるフィルムやシートなどを固定する際に有用な両面粘着テープに関する。
近年、電子部品などの小型化、薄型化が進み、当該電子部品などに用いられる両面粘着テープにも薄膜化が要求されている。薄膜化され、耐熱性が良好な粘着テープとして、熱膨張係数が1×10-6〜50×10-6-1であり、長手方向(MD方向)の熱膨張係数をαMDとし、幅方向(TD方向)の熱膨張係数をαTDとしたときの両者の比(αMD/αTD)の値が0.5〜2である芳香族ポリアミドフィルムの両面に粘着剤層が設けられた粘着テープであって、長手方向(MD方向)の強度が10MPa以上であり、全体の厚さが100μm以下である粘着テープが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、一般に両面粘着テープを薄膜化させると粘着力が低下する傾向があることから、両面粘着テープを薄膜化させるとともに粘着力を向上させるために、粘着剤層における架橋剤の量を低減させることが考えられるが、架橋剤の量を低減させると粘着剤層で凝集破壊が生じるとともに両面粘着テープを基材から剥離させたときに粘着剤層が基材に残存しやすくなる。一方、粘着剤層における架橋剤量を多くするとせん断保持力および打ち抜き加工性が向上する反面、粘着剤層の粘着力が低下するようになる。
特開2003−105275号公報
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、耐熱せん断保持力に優れ、適度な粘着力を有し、粘着剤層で凝集破壊が生じがたく、打ち抜き加工性に優れた両面粘着テープを提供することを目的とする。
本発明は、
(1) 支持体の両面に(メタ)アクリル樹脂系粘着剤からなる粘着剤層を有する両面粘着テープであって、支持体と2つの粘着剤層との厚さの総和が3〜30μmであり、粘着剤層におけるゲル分率が15〜50質量%であることを特徴とする両面粘着テープ、および
(2) 80℃におけるせん断保持力が24時間以上である前記(1)に記載の両面粘着テープに関する。
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」または「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」または「メタクリル」を意味する。
本発明によれば、耐熱せん断保持力に優れ、適度な粘着力を有し、粘着剤層で凝集破壊が生じがたく、打ち抜き加工性に優れた両面粘着テープが提供される。
本発明の両面粘着テープは、前記したように、支持体の両面に(メタ)アクリル樹脂系粘着剤で形成された粘着剤層を有する両面粘着テープであって、支持体と2つの粘着剤層との厚さの総和が3〜30μmであり、粘着剤層におけるゲル分率が15〜50質量%であることを特徴とする。本発明の両面粘着テープは、このように(メタ)アクリル樹脂系粘着剤で形成された粘着剤層におけるゲル分率が特定範囲内となるように制御されていることから、耐熱せん断保持力に優れ、適度な粘着力を有し、粘着剤層で凝集破壊が生じがたく、打ち抜き加工性に優れている。
なお、本願明細書において、耐熱せん断保持力は、80℃におけるせん断保持力が24時間以上であることを意味する。前記耐熱せん断保持力において、せん断保持力の測定時の温度が80℃とされるのは、本発明の両面粘着テープは、例えば、電子機器、尿、鼻水、血液などの体外診断薬の検査キット、スマートフォン、携帯電話などに用いられる際に、当該両面粘着テープが加熱される温度が高くても80℃であることに基づく。
支持体としては、例えば、樹脂シート;上質紙、クラフト紙、クレープ紙、グラシン紙などの紙類;パルプ、レーヨン、マニラ麻、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリエステルなどの樹脂からなる不織布、織布などの繊維質基材;エーテル系ポリウレタンフォーム、エステル系ポリウレタンフォームなどのポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォーム、ポリプロピレンフォームなどのポリオレフィン系樹脂フォーム、塩化ビニル樹脂フォーム、ポリスチレンフォームなどの樹脂フォーム;ネオプレン系ゴムフォーム、クロロプレン系ゴムフォーム、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴムフォーム、ニトリルゴムフォームなどのゴムフォーム、金属シートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。基材は、本発明の両面粘着テープの用途を考慮して適宜選択することが好ましい。これらの支持体のなかでは、耐久性および加工性に優れていることから、樹脂シートが好ましい。
樹脂シートに用いられる樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)などのポリスチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ナイロンに代表されるポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、アラミド樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリエステルイミド系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリアリーレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリアリール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂、エポキシ系樹脂などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの樹脂は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの樹脂のなかでは、機械的強度および加工性に優れていることから、ポリエステル系樹脂が好ましい。
樹脂シートの表面には、粘着剤層との密着性を高める観点から、例えば、クロム酸処理、オゾン処理、イオン化処理などが施されていてもよく、また、例えば、下塗り処理などが施されていてもよい。
なお、支持体は、1層のみで構成されていてもよく、例えば、複数の樹脂フィルムが積層された複層構造を有する樹脂シート、表面に金属蒸着膜が形成されている樹脂シートなどであってもよい。
支持体の厚さは、本発明の両面粘着テープの機械的強度を高める観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上であり、本発明の両面粘着テープの厚さを薄くする観点から、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、さらに好ましくは6μm以下である。
前記支持体の両面には、(メタ)アクリル樹脂系粘着剤からなる粘着剤層が形成される。本発明においては、粘着剤層として(メタ)アクリル樹脂系粘着剤からなる粘着剤層が用いられているので、本発明の両面粘着テープは、適度な粘着力を有する。
(メタ)アクリル樹脂系粘着剤に用いられる(メタ)アクリル系樹脂としては、アルキル(メタ)アクリレートを含有するモノマー成分を重合させることによって得られる(メタ)アクリル系樹脂が好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレートなどのアルキル基の炭素数が1〜20のアルキル(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アルキル(メタ)アクリレートのなかでは、適度な粘着力を有することから、アルキル基の炭素数が4〜18であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル基の炭素数が4〜12であるアルキル(メタ)アクリレートがより好ましく、アルキル基の炭素数が4〜8であるアルキル(メタ)アクリレートがさらに好ましく、n−ブチルアクリレートおよび2−エチルヘキシルアクリレートがさらに一層好ましい。モノマー成分におけるn−ブチルアクリレートの含有率は、粘着性を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、耐熱せん断保持力を向上させる観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。また、モノマー成分における2−エチルヘキシルアクリレートの含有率は、粘着性を向上させる観点から、好ましくは15質量%以上、より好ましくは20質量%以上、さらに好ましくは30質量%以上であり、耐熱せん断保持力を向上させる観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下である。
モノマー成分は、アルキル(メタ)アクリレートのみで構成されていてもよく、必要により、他のモノマーが含まれていてもよい。
他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、アクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー、アミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルモルホリンなどのアミノ基含有モノマー、スチレン、置換スチレンなどの芳香族ビニル系モノマー、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー、ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含モノマー、塩化ビニル、酢酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー、エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのオレフィン系モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含モノマー、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能モノマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの他のモノマーは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
モノマー成分における他のモノマーの量は、当該他のモノマーの種類、本発明の両面粘着テープに要求される性質などによって異なることから一概には決定することができない。したがって、モノマー成分における他のモノマーの量は、これらの性質などに応じて適宜調整することが好ましい。
本発明において、耐熱せん断保持力に優れ、適度な粘着力を有し、粘着剤層で凝集破壊が生じがたく、打ち抜き加工性に優れた両面粘着テープを得る観点から、他のモノマーは、好ましくは酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸および水酸基含有モノマー、より好ましくは酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸およびヒドロキシエチル(メタ)アクリレートである。この場合、モノマー成分における酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸および水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルの量は、モノマー成分の全体の量が100質量%となるように調整される。
(メタ)アクリル系樹脂は、例えば、前記モノマー成分を重合させることによって調製することができる。モノマー成分を重合させる方法としては、例えば、溶液重合法、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
モノマー成分を溶液重合法によって重合させる際には、溶媒が用いられる。溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族化合物;イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコールなどのアルコール;プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのエーテル;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン;ジメチルホルムアミドなどのアミドなどの有機溶媒が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。溶媒のなかでは、人体に対する影響を小さくする観点から、脂肪族炭化水素化合物、アルコール、エーテル、エステル、ケトンおよびアミドが好ましく、脂肪族炭化水素化合物およびエステルがより好ましく、n−ヘキサンおよび酢酸エチルがさらに好ましい。
溶媒の量は、重合条件、モノマー成分に用いられるモノマーの種類およびその組成などに応じて適宜決定すればよい。
モノマー成分を溶液重合法によって重合させる際には、重合率および生産効率を高める観点から、モノマー成分を溶媒に溶解させることによって得られたモノマー成分溶液を好ましくは30〜100℃、より好ましくは40〜90℃、さらに好ましくは50〜85℃の温度に加熱することが望ましい。モノマー成分の重合は、例えば、アルゴンガス、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気中で行なうことが好ましい。
なお、モノマー成分の重合は、モノマー成分溶液に重合開始剤を添加することによって行なうことができる。重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アゾ系重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)〔例えば、日本ヒドラジン工業(株)製、商品名:ABN−Eなど〕、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔例えば、日本ヒドラジン工業(株)製、商品名:ABN−Vなど〕などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
過酸化物系重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシオクトエート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、ラウロイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤の量は、特に限定されないが、通常、モノマー成分100質量部あたり、好ましくは0.001〜20質量部、より好ましくは0.01〜10質量部である。
モノマー成分の重合時間は、重合温度、モノマー成分の種類およびその量などによって異なるので一概には決定することができないことから、これらに応じて適宜調整することが好ましいが、通常、0.5〜10時間程度である。
以上のようにしてモノマー成分を重合することにより、(メタ)アクリル系樹脂を含有する反応溶液が得られる。得られた(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、適度な粘着力を有し、粘着剤層で凝集破壊が生じがたく、打ち抜き加工性に優れた(メタ)アクリル樹脂系粘着剤を得る観点から、好ましくは30万以上、より好ましくは40万以上、さらに好ましくは50万以上である。(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量の上限は、特に限定されないが、(メタ)アクリル樹脂系粘着剤の塗工性を向上させる観点から、好ましくは120万以下、より好ましくは100万以下、さらに好ましくは80万以下である。
なお、本明細書において、(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)の測定装置として、東ソー(株)製、品番:HLC−8220GPC、分離カラム:東ソー(株)製、品番:TSKgel Super HZM−Mを用い、標準ポリスチレン〔東ソー(株)製〕による換算値である。
(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、凝集力を向上させる観点から、好ましくは−65℃以上、より好ましくは−63℃以上であり、適度な粘着力を有し、粘着剤層で凝集破壊が生じがたく、打ち抜き加工性に優れた(メタ)アクリル樹脂系粘着剤を得る観点から、好ましくは−45℃以下、より好ましくは−50℃以下である。
なお、本願明細書において、(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度は、(メタ)アクリル系樹脂の原料として用いられるモノマー成分に使用されているモノマーからなるホモポリマーのガラス転移温度を用いて、式:
1/Tg=Σ(Wm/Tgm)/100
〔式中、Wmはポリマーを構成するモノマー成分におけるモノマーmの含有率(質量%)、Tgmはモノマーmのホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度:K)を示す〕
で表されるフォックス(Fox)の式に基づいて求められた温度を意味する。
主要なホモポリマーのガラス転移温度(Tg)を示せば、例えば、ポリアクリル酸のガラス転移温度(Tg)は106℃、ポリメタクリル酸のガラス転移温度(Tg)は130℃、ポリアクリル酸メチルのガラス転移温度(Tg)は8℃、ポリアクリル酸エチルのガラス転移温度(Tg)は22℃、ポリアクリル酸n−ブチルのガラス転移温度(Tg)は−54℃、ポリアクリル酸2−エチルへキシルのガラス転移温度(Tg)は−70℃、ポリアクリル酸ヒドロキシエチルのガラス転移温度(Tg)は−15℃、ポリメタクリル酸2−ヒドロキシエチルのガラス転移温度(Tg)は55℃、ポリアクリル酸4−ヒドロキシブチルのガラス転移温度(Tg)は−70℃、ポリメタクリル酸メチルのガラス転移温度(Tg)は105℃、ポリ酢酸ビニルのガラス転移温度(Tg)は32℃、ポリアクリロニトリルのガラス転移温度(Tg)は125℃、ポリスチレンのガラス転移温度(Tg)は100℃である。
(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度は、当該(メタ)アクリル系樹脂を調製する際に用いられるモノマーの種類およびその量を適宜調整することによって容易に調節することができる。
前記で得られた(メタ)アクリル系樹脂を含有する反応溶液は、そのまま用いてもよく、あるいは必要により当該反応溶液に含まれている溶媒を除去することにより、(メタ)アクリル系樹脂を単離してもよいが、生産効率を高める観点から、(メタ)アクリル系樹脂を含有する反応溶液をそのまま用いることが好ましい。
次に、(メタ)アクリル系樹脂またはその反応溶液と粘着付与剤と架橋剤とを混合することにより、(メタ)アクリル樹脂系粘着剤が得られる。
粘着付与剤としては、例えば、ロジン系粘着付与剤、重合ロジン系粘着付与剤、ロジンエステル系粘着付与剤、重合ロジンエステル系粘着付与剤、テルペン系粘着付与剤、テルペンフェノール系粘着付与剤、クマロン系粘着付与剤、クマロンインデン系粘着付与剤、スチレン樹脂系粘着付与剤、キシレン樹脂系粘着付与剤、フェノール樹脂系粘着付与剤、石油樹脂系粘着付与剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの粘着付与剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。粘着付与剤のなかでは、適度な粘着力を有し、粘着剤層で凝集破壊が生じがたく、打ち抜き加工性に優れた両面粘着テープを得る観点から、ロジン系粘着付与剤、重合ロジン系粘着付与剤、ロジンエステル系粘着付与剤および重合ロジンエステル系粘着付与剤が好ましく、ロジンエステル系粘着付与剤および重合ロジンエステル系粘着付与剤がより好ましい。
粘着付与剤の軟化点〔JIS K5902に規定されている乾球法にしたがって測定された軟化点(軟化温度)〕は、耐熱せん断保持力を向上させる観点から、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは100℃以上であり、当該粘着付与剤の軟化点の上限値は、特に限定されないが、通常、好ましくは170℃以下、より好ましくは160℃以下、さらに好ましくは155℃以下である。
粘着付与剤は、商業的に容易に入手することができるものである。商業的に容易に入手することができる粘着付与剤としては、例えば、ハリマ化成(株)製、商品名:ハリエステターDS−90、ハリエステターDS−130、ハリエステターAD−130、荒川化学工業(株)製、商品名:スーパーエステルA−100、スーパーエステルA−115、スーパーエステルA−125などのロジンエステル系粘着付与剤、丸善油化商事(株)製、商品名:PEDR−120M、荒川化学工業(株)製、商品名:ペンセルD−125、ペンセルD−135、ペンセルD−160などの重合ロジンエステル系粘着付与剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
(メタ)アクリル系樹脂100質量部あたりの粘着付与剤の量は、粘着性を向上させる観点から、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上であり、好ましくは40質量部以下、より好ましくは35質量部以下である。
架橋剤としては、(メタ)アクリル系樹脂が有する官能基と反応し得る官能基を1分子中に2個以上有する化合物を用いることができる。架橋剤の例としては、ポリイソシアネート系架橋剤、多官能エポキシ化合物系架橋剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ポリイソシアネート系架橋剤としては、例えば、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、前記芳香族ポリイソシアネートの水素添加物などの脂肪族または脂環族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートの二量体または三量体、これらのポリイソシアネートとトリメチロールプロパンなどのポリオールとからなるアダクト体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのポリイソシアネート系架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ポリイソシアネート系架橋剤は、例えば、日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:コロネートL、コロネートL−55E、コロネートHX、コロネートHL、コロネートHL−S、コロネート2234(コロネートおよびアクアネートは登録商標);住友バイエルウレタン(株)(現バイエルA.G.社)製、商品名:デスモジュールN3400(デスモジュールは登録商標);旭化成ケミカルズ(株)製、商品名:デュラネートD−201、デュラネートTSE−100、デュラネートTSS−100、デュラネート24A−100、デュラネートE−405−80T(デュラネートは登録商標);三井化学ポリウレタン(株)製、商品名:タケネートD−110N、タケネートD−120N、タケネートM−631N、MTERT−オレスターNP1200(タケネートおよびオレスターは登録商標)などとして商業的に容易に入手することができる。これらのポリイソシアネートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
多官能エポキシ化合物系架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジルトルイジンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多官能エポキシ化合物系架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。多官能エポキシ化合物系架橋剤のなかで商業的に容易に入手することができる架橋剤としては、例えば、三菱ガス化学(株)製、商品名:TETRAD−Cなどのアミノ基含有エポキシ硬化剤などが挙げられる。
架橋剤のなかでは、イソシアネート系架橋剤が好ましく、ポリイソシアネートの二量体、ポリイソシアネートの三量体、ポリイソシアネートの2官能プレポリマーおよびポリイソシアネートのアダクト体がより好ましく、ヘキサメチレンジイソシアネートの二量体、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアネート体(三量体)およびトリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体がさらに好ましい。
(メタ)アクリル系樹脂100質量部あたりの架橋剤の量は、架橋構造を形成させることによって凝集力および耐熱せん断保持力を向上させる観点から、好ましくは0.01質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上であり、粘着性を向上させるから、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
(メタ)アクリル系樹脂が有する官能基の合計量を1当量としたときの架橋剤の量は、架橋構造を形成させることによって凝集力および耐熱せん断保持力を向上させる観点および粘着性を向上させる観点から、好ましくは0.01〜2当量、より好ましくは0.05〜1.5当量である。
また、本発明においては、架橋促進剤を適量で用いてもよい。架橋促進剤としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、オクトエ酸錫、ジブチル錫ジ(2−エチルヘキサノエート)、2−エチルヘキサノエート鉛、チタン酸2−エチルヘキシル、2−エチルヘキサノエート鉄、2−エチルヘキサノエートコバルト、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、テトラn−ブチル錫などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの架橋促進剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、(メタ)アクリル樹脂系粘着剤には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、必要により、(メタ)アクリル系樹脂以外の樹脂を含有させてもよい。また、(メタ)アクリル樹脂系粘着剤には、本発明の目的を阻害しない範囲で、例えば、カチオン性帯電防止剤、アニオン性帯電防止剤、両性帯電防止剤、ノニオン性帯電防止剤などの帯電防止剤、架橋促進剤、改質剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、老化防止剤、着色剤などの添加剤を含有させてもよい。
(メタ)アクリル樹脂系粘着剤は、(メタ)アクリル系樹脂またはその溶液と粘着付与剤と架橋剤と必要により添加剤とを混合することによって容易に調製することができる。(メタ)アクリル樹脂系粘着剤における樹脂固形分含量は、生産性を向上させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、塗工性を向上させる観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下である。(メタ)アクリル樹脂系粘着剤における樹脂固形分含量は、(メタ)アクリル樹脂系粘着剤に含まれる溶媒量などを調整することによって調節することができる。溶媒としては、前記モノマー成分を重合させる際に用いられる溶媒と同様のものを例示することができる。
本発明の両面粘着テープは、支持体の両面に(メタ)アクリル樹脂系粘着剤からなる粘着剤層を有する。両面粘着テープは、例えば、支持体の両面に(メタ)アクリル樹脂系粘着剤からなる粘着剤層を形成させた後、乾燥させることにより、製造することができる。(メタ)アクリル樹脂系粘着剤を支持体に塗布するとき、(メタ)アクリル樹脂系粘着剤を支持体に直接塗布してもよく、あるいは剥離ライナーなどに塗布した後、形成された粘着剤層を支持体へ転写させてもよい。このように支持体の両面に(メタ)アクリル樹脂系粘着剤からなる粘着剤層を形成させた後、乾燥させることにより、両面に粘着剤層が形成された両面粘着テープを製造することができる。
なお、(メタ)アクリル樹脂系粘着剤を支持体に塗布する方法としては、例えば、ナイフコーター、スロットダイコーター、リップコーター、ロールコーター、フローコーター、スプレーコーター、バーコーター、ディッピングなどの方法が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
粘着剤を支持体に塗布した後には乾燥させるが、その乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥法、遠赤外線照射乾燥法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
本発明の粘着シートにおける乾燥後の各粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、適度な粘着力を有し、粘着剤層で凝集破壊が生じがたく、打ち抜き加工性に優れている両面粘着テープを得る観点から、好ましくは1〜10μm、より好ましくは2〜6μmである。支持体の両面に形成されている各粘着剤層の厚さは、同一であってもよく、あるいは異なっていてもよい。
また、支持体と2つの粘着剤層との厚さの総和(全体の厚さ)は、全体の厚さが小さいにもかかわらず、適度な粘着力を有し、粘着剤層で凝集破壊が生じがたく、打ち抜き加工性に優れている両面粘着テープを得る観点から、3〜30μm、好ましくは6〜20μm、さらに好ましくは8〜18μmである。
支持体上に形成された粘着剤層の表面には、例えば、剥離ライナーを貼着してもよい。粘着剤層の表面に剥離ライナーを貼着した場合には、粘着剤層を好適に保護することができる。剥離ライナーは、両面粘着テープを使用するときに粘着剤層の表面から引き剥がされる。
剥離ライナーの素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィン系樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリイミド;ポリカーボネートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。剥離ライナーの厚さは、特に限定されないが、通常、10〜500μm程度である。
以上のようにして本発明の両面粘着テープが得られる。本発明の両面粘着テープは、支持体の両面に(メタ)アクリル樹脂系粘着剤で形成された粘着剤層を有し、支持体と2つの粘着剤層との厚さの総和が3〜30μmであり、粘着剤層におけるゲル分率が15〜50質量%であることから、適度な粘着力を有し、粘着剤層で凝集破壊が生じがたく、しかも耐熱せん断保持力および打ち抜き加工性にも優れるという優れた効果を奏するものである。
したがって、本発明の両面粘着テープは、例えば、電子機器、尿、鼻水、血液などの体外診断薬の検査キット、スマートフォン、携帯電話などに用いられるフィルムやシートなどを固定する際に使用することが期待される。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、当該実施例のみに限定されるものではない。
製造例1
攪拌機、冷却管、温度計、滴下漏斗および窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコ内に、n−ブチルアクリレート60部(質量部、以下同じ)、2−エチルヘキシルアクリレート37部、アクリル酸1部、2−ヒドロキシエチルアクリレート0.2部および酢酸ビニル2部を入れた後、酢酸エチル110部をフラスコ内に入れた。
次に、フラスコの内部を窒素ガス置換し、フラスコの内温を80℃まで昇温し、還流を確認した後、重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル〔(株)日本ファインケム製、品番:ABN−R〕0.2部をフラスコ内に添加し、8時間重合反応を行なうことにより、(メタ)アクリル系樹脂の反応溶液を得た。
前記で得られた(メタ)アクリル系樹脂の反応溶液に含まれている(メタ)アクリル系樹脂のガラス転移温度は−59℃であり、その重量平均分子量を以下の方法で測定したところ、78万であった。
〔(メタ)アクリル系樹脂の重量平均分子量の測定方法〕
(メタ)アクリル系樹脂の反応溶液0.1g程度を秤量し、テトラヒドロフランで固形分濃度が約0.3質量%となるようにテトラヒドロフランで希釈し、分子量測定用サンプルを調製した。
次に、この分子量測定用サンプルをゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)の測定装置〔東ソー(株)製、品番:HLC−8220GPC〕を用い、以下の測定条件で測定し、標準ポリスチレン〔東ソー(株)製〕による換算値を重量平均分子量とした。
(測定条件)
・分離カラム:東ソー(株)製、品番:TSKgel Super HZM−M
・溶出溶媒:テトラヒドロフラン
・流量:0.35mL/min
・注入量:10μL/回
・試料濃度:0.2質量%
前記で得られた(メタ)アクリル系樹脂の反応溶液に含まれている(メタ)アクリル系樹脂の樹脂固形分100部あたりの重合ロジン系粘着付与剤[丸善油化商事(株)製、商品名:PEDR−120M、軟化点:123℃]の量が25部となるように、当該(メタ)アクリル系樹脂の反応溶液と粘着付与剤とを均一な組成となるように混合し、酢酸エチルで不揮発分含量を調整することにより、不揮発分含量が50.0質量%の樹脂溶液を得た。
実施例1
製造例1で得られた樹脂溶液100部あたりの架橋剤〔日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:コロネートL−55E〕の量が1.0部となるように樹脂溶液と架橋剤とを混合することにより、(メタ)アクリル樹脂系粘着剤(不揮発分含量:50.1質量%)を得た。
次に、前記で得られた(メタ)アクリル樹脂系粘着剤を剥離紙に乾燥後の粘着剤層の厚さが5μmとなるように均一に塗工し、80℃で5分間加熱乾燥させた。得られた粘着シートをポリエステルフィルム〔東レ(株)製、商品名:ルミナラー♯53、縦:20cm、横:30cm、厚さ:3.5μm〕の両面に転写し、80℃の熱ロールで4kgf/cm2(約0.4MPa)の圧力でラミネートした後、40℃の雰囲気中で2日間養生することにより、支持体と2つの粘着剤層との厚さの総和が13.5μmの両面粘着テープを得た。
前記で得られた両面粘着テープに形成されている粘着剤層のゲル分率および当該両面粘着テープの耐熱せん断保持力を以下の方法に基づいて調べたところ、この粘着剤層のゲル分率は25質量%であり、両面粘着テープの耐熱せん断保持力は24時間以上であることからその評価は○であった。
〔ゲル分率〕
粘着剤層の一部を試料として用いた。当該試料2.00gを秤量した後、酢酸エチル50mL中に添加することにより、混合物を得た。得られた混合物を室温(約25℃)中で24時間放置することにより、ゲルを得た。
次に、前記で得られたゲルを金網〔目開き:200メッシュ(JISメッシュ)〕で濾過し、金網上に残存したゲルを回収し、150℃の温度で1時間乾燥させた後、乾燥したゲルの質量を秤量し、式:
[ゲル分率(質量%)]
={[乾燥させた後のゲルの質量]÷[乾燥前の試料の質量(2.00g)]}×100
に基づいてゲル分率を求めた。
〔耐熱せん断保持力〕
JIS Z0237「粘着テープ、粘着シート試験方法 13.保持力」に準拠して前記で得られた両面粘着テープの耐熱せん断保持力を調べた。
より具体的には、平滑な表面を有するステンレス鋼板(SUS304、縦:110mm、横:30mm、厚さ:1mm)をサンドペーパー(#280)で研磨し、キシレンで十分に洗浄し、乾燥させた。
一方、前記で得られた両面粘着テープを縦45mm、横25mmの大きさとなるように裁断することにより、試験片を作製した。この試験片の一方表面の剥離紙を剥がして粘着面を露出させ、粘着面の全面にポリエステルフィルム(縦:45mm、横:25mm、厚さ:25μm)を裏打ちした。その後、他方表面の剥離紙を剥がして短辺の端部から試験片の縦:20mm、横:25mmの部分を裏打ちした。他方表面の裏打ちがされていない部分(縦:25mm、横:25mm)をステンレス鋼板に貼り付けた後、質量が2kgのゴムローラーで圧着させることによって試験片の両面がポリエステルフィルムで裏打ちされた部分をステンレス鋼板の端部から突出させた。
次に、ステンレス鋼板から突出している試験片の部分(縦:20mm、横:25mm)に、ステンレス鋼板と試験片と錘(質量:1kg)とが鉛直方向で一直線上に並ぶように、前記試験片の下端を錘に取付けられているチャックで掴持した後、この試験片を80℃に設定された保持力試験機内で静置し、試験開始から24時間の間に試験用テープが取付け片から外れて落下するかどうかを調べ、以下の評価基準に基づいて耐熱せん断保持力を評価した。
[評価基準]
○:試験開始から24時間経過しても試験片の落下なし
×:試験開始から24時間以内に試験片の落下あり
次に、両面粘着テープの粘着力および打ち抜き加工性を以下の方法に基づいて調べた。その結果を表1に示す。
〔粘着力〕
被着体として、サンドペーパー(#280)で研磨し、キシレンで十分に洗浄し、乾燥させたステンレス鋼(SUS304)板に、前記で得られた両面粘着テープの一方表面の剥離紙を剥がし、その粘着面にポリエステルフィルム(厚さ:25μm)を裏打ちした。その後、両面粘着テープの他方表面の剥離紙を剥がし、前記被着体に両面粘着テープを貼り付け、両面粘着テープの上を質量が2kgのゴムローラーで1往復させることによって接着させ、試験片を作製した。
次に、前記で得られた各試験片を用い、両面粘着テープを貼り付けて20分間経過後に180°剥離試験を行ない、粘着力を測定するとともに凝集破壊の有無を調べ、以下の評価基準に基づいて評価した。
[評価基準]
◎:粘着力が10N/25mm以上
○:粘着力が9N/25mm以上10N/25mm未満
△:粘着力が6N/25mm以上9N/25mm未満
×:粘着力が6N/25mm未満であるか、凝集破壊が発生
〔打ち抜き加工性〕
試験片をダンベルカッターでダンベル2号状に打ち抜いた後、得られたダンベル上の試験片の切断面を目視によって観察し、以下の評価基準に基づいて評価した。
[評価基準]
○:切断面に糊残りなし
×:切断面に糊残りあり
実施例2
製造例1で得られた樹脂溶液100部あたりの架橋剤〔日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:コロネートL−55E〕の量が1.5部となるように樹脂溶液と架橋剤とを混合することにより、(メタ)アクリル樹脂系粘着剤(不揮発分含量:50.2質量%)を得た。
次に、前記で得られた(メタ)アクリル樹脂系粘着剤を用いて実施例1と同様の操作を行なうことにより、支持体と2つの粘着剤層との厚さの総和が13.5μmの両面粘着テープを得た。
前記で得られた両面粘着テープに形成されている粘着剤層のゲル分率および当該両面粘着テープの耐熱せん断保持力を実施例1と同様にして調べたところ、この粘着剤層のゲル分率は38質量%であり、両面粘着テープの耐熱せん断保持力は24時間以上であることからその評価は○であった。
次に、前記で得られた両面粘着テープを用いて(メタ)アクリル樹脂系粘着剤の粘着力および打ち抜き加工性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
比較例1
製造例1で得られた樹脂溶液100部あたりの架橋剤〔日本ポリウレタン工業(株)製、商品名:コロネートL−55E〕の量が0.5部となるように樹脂溶液と架橋剤とを混合することにより、(メタ)アクリル樹脂系粘着剤(不揮発分含量:50.0質量%)を得た。
次に、前記で得られた(メタ)アクリル樹脂系粘着剤を用いて実施例1と同様の操作を行なうことにより、支持体と2つの粘着剤層との厚さの総和が13.5μmの両面粘着テープを得た。
前記で得られた両面粘着テープに形成されている粘着剤層のゲル分率および当該両面粘着テープの耐熱せん断保持力を実施例1と同様にして調べたところ、この粘着剤層のゲル分率は10質量%であり、両面粘着テープの耐熱せん断保持力は24時間未満であることからその評価は×であった。
次に、前記で得られた両面粘着テープを用いて(メタ)アクリル樹脂系粘着剤の粘着力および打ち抜き加工性を実施例1と同様にして調べた。その結果を表1に示す。
以上の結果から、各実施例で得られた両面粘着テープは、いずれも、支持体と2つの粘着剤層との厚さの総和が3〜30μmの範囲内にあり、粘着剤層におけるゲル分率が15〜50質量%の範囲内にあり、耐熱せん断保持力が24時間以上であり、適度な粘着力を有し、粘着剤層で凝集破壊が生じがたく、打ち抜き加工を施した際にその切断面に接着剤が残ることがなく、打ち抜き加工性に優れていることがわかる。

Claims (2)

  1. 支持体の両面に(メタ)アクリル樹脂系粘着剤で形成された粘着剤層を有する両面粘着テープであって、支持体と2つの粘着剤層との厚さの総和が3〜30μmであり、粘着剤層におけるゲル分率が15〜50質量%であることを特徴とする両面粘着テープ。
  2. 80℃におけるせん断保持力が24時間以上である請求項1に記載の両面粘着テープ。
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